JP5534564B2 - 紫外線センサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線センサの製造方法に関し、より詳しくは、p型半導体層とn型半導体層とをヘテロ接合させたフォトダイオード型の紫外線センサの製造方法に関する。
紫外線センサは、空気中や水中に浮遊する菌を殺菌する殺菌灯や紫外線照射装置等の紫外線検出デバイスとして広く使用されており、近年では光通信デバイスへの応用にも期待されている。
この種の紫外線センサは、従来より、センサ材料としてダイヤモンド半導体やSiC半導体を使用したものが知られている。しかしながら、これらのダイヤモンド半導体やSiC半導体は、材料加工性に劣り、高価であるという欠点があった。
そこで、最近では、材料加工性が容易で比較的安価な酸化物半導体が注目されており、これらの酸化物半導体を使用してp型半導体層とn型半導体層とをヘテロ接合させた紫外線センサの研究・開発が盛んに行なわれている。
例えば、特許文献1には、ZnOがNiOに固溶してなる酸化化合物半導体からなる、(Ni,Zn)O層と、前記(Ni,Zn)O層の一方主面の一部を覆うように、スパッタリング法により形成される薄膜材料層と、前記(Ni,Zn)O層の両端に形成された第1及び第2の端子電極とを有し、前記(Ni,Zn)O層内に内部電極が形成され、前記第1の端子電極が前記内部電極に電気的に接続されると共に、前記第2の端子電極が前記薄膜材料層に電気的に接続された紫外線センサが提案されている。
この特許文献1では、検出されるべき紫外線は、薄膜材料層を透過して上記接合部にまで到達する必要がなく、接合部が、直接、紫外光に照射される。したがって、薄膜材料層を透過する際の紫外線の減衰によって、紫外線センサの感度が低下してしまうのを回避することができる。特に薄膜材料層をZnOで形成した場合は、波長選択性の比較的高い紫外線センサを得ることが可能となる。
特開2010−87482号公報(請求項1)
ところで、紫外線センサの場合、用途に応じて種々の波長帯域で紫外光を検出できるようにするのが望まれる。例えば、紫外線センサを殺菌灯等に使用する場合は、230〜330nm程度(UV−B、UV−C)の波長帯域で応答する必要があり、発光ダイオード(LED)からの紫外線を検知する場合は、350nm〜370nm(UV−A)の波長帯域で応答する必要がある。したがって、同一の材料系で種々の吸収帯域で強く応答するような紫外線センサが実現できれば好都合である。
しかしながら、特許文献1のような従来の紫外線センサでは、波長応答特性は材料の吸収特性に支配されるため、同一の材料系で種々の波長帯域で強く応答する紫外線センサを得るのは困難であり、特に、殺菌灯近傍に特定して動作する紫外線センサは未だ存在していない状況にある。
一方、紫外線は目の健康に影響を及ぼすことから直接目で見ることはできない。このため従来では、例えば、殺菌灯の場合、その交換を時間単位で管理等しており、紫外線ランプの効果確認をできないことも多いのが実情である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、特定の吸収波長に強く応答することができる紫外線センサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、p型半導体層となるべき焼結体を所定の表面処理溶液に接触させて該焼結体の表層面のZnを溶出させることにより、吸収波長のピークを変移させることができるという知見を得た。そして、前記Znの溶出量を制御することにより、特定の吸収波長(例えば、UV−C領域)に強く応答する紫外線センサを得ることが可能となる。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る紫外線センサの製造方法は、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするグリーンシートを複数作製するグリーンシート作製工程と、前記複数のグリーンシートのうち、一のグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗布し所定パターンの導電膜を形成する導電膜形成工程と、前記導電膜が形成されたグリーンシートを挟持するような形態で前記複数のグリーンシートを積層し、成形体を作製する成形体作製工程と、前記成形体を焼成して焼結体を作製する焼成工程とを含む紫外線センサの製造方法において、前記焼結体を酸性及びアルカリ性のいずれかに調整された表面処理溶液に接触させ、前記焼結体の表層面のZnを溶出させてp型半導体層を作製する表面処理工程を有することを特徴としている。
また、チップ型電子部品では、はんだ付け性を良好にするため、外部電極を形成し、その後、外部電極の表面にめっき処理を施してめっき皮膜を形成するのが一般的である。したがって、本発明の紫外線センサでも、めっき処理を施すが、めっき処理に使用するめっき液として、Znの溶出が可能な表面処理溶液を使用することにより、表面処理工程とめっき工程とを兼ねることが可能となる。
すなわち、本発明の紫外線センサの製造方法は、前記焼結体の両端部に外部電極を形成する外部電極形成工程と、前記外部電極の表面に少なくとも一層以上のめっき皮膜を形成するめっき工程とを含み、前記表面処理工程は、前記めっき工程を兼ねると共に、前記表面処理溶液は、前記めっき皮膜の形成時に使用されるめっき液であるのが好ましい。
さらに、本発明の紫外線センサの製造方法は、前記表面処理工程は、特定の吸収波長でピークを有するように前記表層面のZn濃度を制御するのが好ましい。
また、表層面のZn濃度(Zn溶出量)を制御する方法としては、Zn溶出量が所定量となるようなpHに調整された表面処理溶液を選択し、焼結体に表面処理を行う方法、及びZn溶出量が所定量となるような所定時間、焼結体を表面処理溶液に浸漬させる方法がある。
すなわち、本発明の紫外線センサの製造方法は、前記表面処理工程では、前記表層面からのZn溶出量が所定量となるようなpHに調整された前記表面処理溶液を選択し、表面処理を行うのが好ましい。
また、本発明の紫外線センサの製造方法は、前記表面処理工程では、前記表層面からのZn溶出量が所定量となるような所定時間、前記焼結体を前記表面処理溶液に浸漬させるのが好ましい。
また、本発明の紫外線センサの製造方法は、ZnOを主成分とするn型半導体層を前記p型半導体層の一部が表面露出した形態で前記p型半導体層の表面に形成するn型半導体層形成工程を含み、前記n型半導体層形成工程は、ZnOを主成分とするZnO焼結体を作製するZnO焼結体作製工程と、前記ZnO焼結体をターゲットにしてスパッタリングし、前記n型半導体層を形成するスパッタリング工程とを有しているのが好ましい。
本発明の紫外線センサの製造方法によれば、焼結体を酸性及びアルカリ性のいずれかに調整された表面処理溶液に接触させ、前記焼結体の表層面のZnを溶出させてp型半導体層を作製する表面処理工程を有するので、表層面のZn濃度がZnの溶出量に応じて変動し、これにより紫外線の吸収波長のピークを変移させることが可能となる。したがって、UV−A、UV−B、UV−Cの広範な波長帯域で特定の吸収波長に強く応答する紫外線センサを実現することが可能となり、同一材料系であっても用途に適した紫外線センサを製造することができる。
また、前記焼結体の両端部に外部電極を形成する外部電極形成工程と、前記外部電極の表面に少なくとも一層以上のめっき皮膜を形成するめっき工程とを含み、前記表面処理工程は前記めっき工程を兼ねると共に、前記表面処理溶液は、前記めっき工程で使用されるめっき液とすることにより、工程増を招くこともなく、用途に応じた特定の吸収波長で強く応答する紫外線センサを容易に得ることができる。
また、前記表面処理工程は、特定の吸収波長でピークを有するように前記表層面のZn濃度を制御することにより、紫外線センサの波長応答特性を任意に制御することが可能となる。
また、表層面からのZn溶出量が所定量となるようなpHに調整された前記表面処理溶液を選択し、表面処理を行うことにより、或いは表層面からのZn溶出量が所定量となるような所定時間、前記焼結体を前記表面処理溶液に浸漬させることにより、表層面のZn濃度を容易に制御することができる。
また、ZnOを主成分とするn型半導体層を前記p型半導体層の一部が表面露出した形態で前記p型半導体層の表面に形成するn型半導体層形成工程を含み、前記n型半導体層形成工程は、ZnOを主成分とするZnO焼結体を作製するZnO焼結体作製工程と、前記ZnO焼結体をターゲットにしてスパッタリングし、前記n型半導体層を形成するスパッタリング工程とを有することにより、ZnOを主成分とするn型半導体層とZnO及びNiOの固溶体を主成分とするp型半導体層とを有する紫外線センサを製造することができる。そして、上述したようにp型半導体層の表層面のZn濃度が減少することから、p型半導体層を形成する結晶粒子の格子歪みが緩和され、NiOのバンドギャップが変化し、表層面のZn濃度に応じ吸収波長のピークが短波長側に変移する。しかも、p型半導体層側のキャリアが減少することから、キャリアはn型半導体層からp型半導体層側に流れ込み、その結果n型半導体層とp型半導体層の界面に形成される空乏層は大部分はp型半導体層側に形成されることとなる。したがって、n型半導体層側に由来する350nm〜370nmの吸収波長でのピークが低下し、p型半導体層側に由来する230〜330nmの吸収波長に強く応答する紫外線センサを製造することができる。
本発明に係る紫外線センサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。 焼成前の成形体の分解斜視図である。 実施例の出力電流の測定方法を示す図である。 表面処理溶液のpHをパラメータとした波長応答特性を示す図である。
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、本発明に係る紫外線センサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。
すなわち、この紫外線センサは、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層1と、ZnOを主成分とするn型半導体層2とを有し、n型半導体層2は、p型半導体層1の表面の一部が露出した形態でp型半導体層1に接合されている。
p型半導体層1の上部には、一端が表面露出するように内部電極4が埋設されており、かつp型半導体層1の両端には端子電極3a、3bが形成されている。具体的には、一方の端子電極3aは、内部電極4と電気的に接続されるようにp型半導体層1の一方の端部に形成され、他方の端子電極3bは、n型半導体層2と電気的に接続されるようにp型半導体層1の他方の端部に形成されている。
また、端子電極3a、3bは、AgやAg−Pd等からなる外部電極5a、5bと、該外部電極5a、5bの表面に形成されたNi等からなる第1のめっき皮膜6a、6bと、該第1のめっき皮膜6a、6bの表面に形成されたSn等からなる第2のめっき皮膜7a、7bとから構成されている。
上記紫外線センサでは、矢印Aに示すように紫外線が照射され、n型半導体層2とp型半導体層1との接合界面8に形成される空乏層に紫外光が当たると、キャリアが励起されて光電流が生じ、この光電流を検知することにより紫外線強度を検出することができる。
ここで、p型半導体層1は、一般式(Ni1-xZn)O(以下、(Ni,Zn)Oと表記する。)で表わすことができる。そして、Znの配合モル比xは、p型半導体層1が所望の機能を発揮するためには、0.2≦x≦0.4が好ましい。これはxが0.2未満になると、Niの含有量が過剰となって高抵抗化するおそれがあり、一方、xが0.4を超えると、Znの含有量が過剰となってZnO粒子が結晶粒界に析出し、n型に半導体化してしまうおそれがあるからである。また、p型半導体層1には、その他の微量の添加物が含まれていてもよく、例えば、拡散剤として、Fe、Mn等を含有していてもよい。また、不純物として微量のZr、Si等を含有していても特性に影響を与えるものではない。
また、n型半導体層2は、ZnOを主成分とし、ドープ剤として微量のAl、Co、In、Ga等が含有されている。そして、斯かるドープ剤を含有することにより導電性が付与され、n型に半導体化が促進される。尚、n型半導体層2は、p型半導体層1と同様、その他の微量の添加物が含まれていてもよく、例えば、拡散剤として、Fe、Ni、Mn等を含有していてもよい。また、不純物として微量のZr、Si等を含有していても特性に影響を与えるものではない。
内部電極4は、希土類元素RとNiを主成分とした一般式RNiOで表されるペロブスカイト型構造の酸化物や一般式RNiOで表される酸化物を含有する低抵抗の複合酸化物で形成されている。
すなわち、希土類元素RとNiを主成分とした複合酸化物は、(Ni,Zn)Oと同様、Ni系酸化物であり、両者はエネルギー準位が近く、(Ni,Zn)Oとの間で不必要なショットキー障壁が形成されるのを抑制でき、オーミック接触に近くなる。また、希土類元素は、Niに比べ、(Ni,Zn)O側に拡散しにくく、Pdのような酸素放出作用もないことから、(Ni,Zn)Oの比抵抗を低下させることが可能となる。しかも、上述したように希土類元素RとNiを主成分とした複合酸化物は、(Ni,Zn)Oと同様のNi系酸化物であることから、高温での収縮挙動が(Ni,Zn)Oと近く、p型半導体層2と内部電極4との間でデラミネーションが生じ難く、焼結体内部に電極を引き込むような現象もない。
このように内部電極4を希土類元素RとNiを主成分とすることにより(Ni,Zn)Oの比抵抗を低下させることができる。したがって、外部に電源回路を設けて紫外線強度の抵抗値の変化で検出する必要がなく、所望の大きな光電流を直接検知することが可能となる。
また、Pt、Pd等の高価な貴金属材料を使用しなくて済むので、高価格化を抑制することが可能となる。
以上の理由から本実施の形態では、希土類元素RとNiを主成分とした一般式RNiOで表されるペロブスカイト型構造の酸化物や一般式RNiOで表される酸化物を含有する低抵抗の複合酸化物で内部電極4を形成している。
このような希土類元素としては、Niとの間で複合酸化物を形成した場合に低抵抗であれば、特に限定されるものではなく、例えば、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、及びYbの中から選択された少なくとも1種を使用することができる。尚、これらの中では、経済的理由から安価なLaを使用するのが好ましい。
そして、この紫外線センサでは、p型半導体層1の作製過程で得られる(Ni,Zn)O焼結体を酸性又はアルカリ性の表面処理溶液に浸漬(接触)させ、これにより(Ni,Zn)O焼結体の表層面のZnを溶出させて該表層面のZn濃度を減少させ、特定の吸収波長で強く応答する紫外線センサを得ている。
すなわち、フォトダイオード型の紫外線センサでは、上述したように紫外線を空乏層に照射し、これによりキャリア励起されて光電流が生じる。通常、n型半導体層2の電子がp型半導体層1側に移動し、p型半導体層1の正孔がn型半導体層2側に移動するため、両者は接合界面近傍で結合して消滅し、これにより空乏層が形成される。
そして、この紫外線センサでは、(Ni,Zn)O側では230〜300nmの波長の紫外光を吸収し、ZnO側では350〜370nmの波長の紫外光を吸収することから、2つの吸収ピークを有し、UV−A、UV−B及びUV−Cの広範囲の波長帯域で応答する。
しかるに、p型半導体層1となるべき(Ni,Zn)O焼結体の表層面のZnを溶出させ、該表層面のZn濃度を減少させると、(Ni,Zn)O焼結体の結晶格子の格子歪みが緩和され、このためバンドギャップが変化し、その結果、紫外光に応答する吸収波長のピークも変移する。
また、ZnO系材料を使用してp型半導体層1上にn型半導体層2を形成すると、(Ni,Zn)Oのキャリア濃度は、ZnOのキャリア濃度に比べて低い上に、格子歪みの緩和によって(Ni,Zn)Oのキャリア濃度は更に減少する。そして、キャリアは濃度の高い領域から低い領域に移動することから、平衡状態ではn型半導体層2側の空乏層は薄くなり、空乏層の大部分はp型半導体層1側に形成される。このためZnOに由来する吸収波長ピーク(350〜370nm)が低下し、これにより、特定の吸収波長のみに強く応答する紫外線センサを得ることができる。
上述したZnの溶出は、(Ni,Zn)O焼結体を酸性又はアルカリ性に調整された表面処理溶液に浸漬させることにより可能となる。すなわち、HNO等の酸性溶液やNaOH等のアルカリ性溶液に適宜pH調整剤を添加し、表面処理溶液のpHを調整し、酸性又はアルカリ性にpH調整された表面処理溶液に(Ni,Zn)O焼結体を浸漬させることにより、表層面のZnを溶出させることが可能となる。そして、Znの溶出量に応じて吸収波長が変移することから、特定pHに調整された表面処理溶液を選択して表面処理を行うことにより、特定の吸収波長で強く応答する紫外線センサを得ることが可能となる。
尚、表面処理溶液は、酸性の場合は、pHは3以上が好ましく、アルカリ性の場合は、pHは10以下が好ましい。これはpHが3未満になって表面処理溶液が過度に酸性側になった場合や、pHが10を超えて過度にアルカリ性側となった場合は、Znの溶出量が増加して表層面のZn濃度が低下し、表層面が絶縁体化して紫外線に応答しなくなるおそれがあるからである。
そして、このような表面処理は、外部電極5a、5b形成後のめっき工程で行うのが好ましい。すなわち、(Ni,Zn)O焼結体の両端部に形成された外部電極5a、5bの表面にめっき処理を行ってめっき皮膜が形成されるが、従来では(Ni,Zn)O焼結体からZnが溶出するのを避けるため、中性乃至略中性に調整されためっき液を使用していた。
しかるに、Znは酸性及びアルカリ性のいずれにも溶解することから、酸性又はアルカリ性に調整されためっき液(表面処理溶液)を使用してZnを積極的に溶出させ、これにより吸収波長のピークを変移させることが可能となる。
このようにめっき工程と表面処理工程とを兼ねることにより、特定の吸収波長でピークを有し、該吸収波長で強く応答する紫外線センサを効率良く得ることができる。
以下、上記紫外線センサの作製手順の一実施の形態を詳述する。
〔ZnO焼結体の作製〕
ZnO粉末、各種ドープ剤、必要に応じて拡散剤等の添加物を用意し、所定量秤量する。そして、これら秤量物に純水等の溶媒を加え、PSZ(部分安定化ジルコニア)等の玉石を粉砕媒体とし、ボールミルを使用して十分に湿式で混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥した後、所定粒径に造粒し、その後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。
その後、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体とし、ボールミルを使用して十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。
次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、純水、分散剤、バインダ、可塑剤等を添加して成形用スラリーを作製する。そしてこの後、ドクターブレード法等の成形加工法を使用して成形用スラリーに成形加工を施し、所定膜厚のZnOグリーンシートを作製する。
次いで、このZnOグリーンシートを所定枚数積層し、圧着して圧着体を作製する。その後、この圧着体を脱脂した後、焼成し、これによりZnO焼結体を得る。
〔(Ni,Zn)Oグリーンシートの作製〕
NiO粉末及びZnO粉末を、Znの配合モル比xが0.2〜0.4となるように秤量し、この秤量物に純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。
次いで、この混合物を脱水乾燥し、所定粒径に造粒した後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。
次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤、分散剤、バインダ及び可塑剤等を加えて成形用スラリーを作製する。次いで、ドクターブレード法等の成形加工法を使用して成形用スラリーを成形加工し、これにより所定膜厚の(Ni,Zn)Oグリーンシートを得る。
〔内部電極形成用ペーストの作製〕
NiO粉末及びR粉末(R:希土類元素)を、モル比で2:1となるように秤量し、この秤量物に純水等の溶媒を添加し、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で湿式で十分に混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、所定粒径に造粒した後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥し、一般式RNiOや一般式RNiOで表される酸化物を含有した複合酸化物粉末を得る。そして、得られた複合酸化物粉末を有機ビヒクルと混合し、三本ロールミルで混練し、これにより内部電極形成用ペーストを作製する。
尚、有機ビヒクルは、バインダ樹脂が有機溶剤に溶解されてなり、バインダ樹脂と有機溶剤とは、例えば体積比率で、1〜3:7〜9となるように調製されている。バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
〔(Ni,Zn)O焼結体の作製〕
まず、焼成前の積層成形体の作製方法を図2を参照しながら説明する。
まず、所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート9a、9b、9c、…9nを用意し、そのうちの1枚の(Ni,Zn)Oグリーンシート9bの表面に上述した内部電極形成用ペーストを塗付し、導電膜10を形成する。
次に、導電膜の形成されていない所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート9c〜9nを積層し、その上に導電膜10が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシート9bを積層し、さらに、その上に導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシート9aを積層し、圧着して積層成形体を作製する。
次に、上記積層成形体を300〜500℃程度の温度で熱処理して十分に脱脂した後、1200℃前後の温度で約5時間焼成し、導電膜10と(Ni,Zn)Oグリーンシート9a〜9nとを同時焼成し、これにより内部電極4が埋設された(Ni,Zn)O焼結体を得る。
〔外部電極の作製〕
(Ni,Zn)O焼結体の両端部に外部電極形成用ペーストを塗布して焼付け処理を行い、これにより外部電極5a、5bを形成する。ここで、外部電極形成用ペーストの導電性材料としては、良好な導電率を有するものであれば、特に限定されるものではなく、Ag、Ag−Pd等を使用することができる。
〔表面処理(兼めっき処理)〕
外部電極5a、5bが形成された(Ni,Zn)O焼結体を酸性(好ましくはpHが3以上)又はアルカリ性(好ましくは10以下)に調整された第1のめっき液に浸漬して電解めっきを施し、第1のめっき皮膜6a、6bを形成する。これと同時に、(Ni,Zn)O焼結体の表層面のZnを溶出させ、これにより表層面のZn濃度を減少させる。
例えば、第1のめっき皮膜6a、6bとしてNi皮膜を形成する場合は、Niめっき液を使用して電解めっきを行なうが、これと同時に、特定の吸収波長でピークを有するように(Ni,Zn)O焼結体の表層面からZnを溶出させて表層面のZn濃度を制御する。すなわち、まず、表層面からのZn溶出量が、特定の吸収ピーク波長を有するに至るような所定量となるように、pH調整された酸性のNiめっき液を用意する。そしてこのNiめっき液を使用して電解めっきを施し、Ni皮膜を形成し、これと同時に、(Ni,Zn)O焼結体の表層面のZnを前記所定量溶出させ、表層面のZn濃度を減少させる。
次いで、第2のめっき液を使用して電解めっきを施し、第2のめっき皮膜7a、7bを形成する。
例えば、第2のめっき皮膜7a、7bとしてSn皮膜を形成する場合は、中性乃至略中性に調整されたSnめっき液を使用し、表層面のZnの溶出を抑制しつつ電解めっきを行なう。
そして、これにより外部電極5a、5bの表面に二層構造のめっき皮膜(第1及び第2のめっき皮膜6a、6b、7a、7b)を有する端子電極3a、3bを形成する。
尚、上記実施の形態では、第1のめっき皮膜6a、6b形成時に表層面のZnを溶出させているが、第2のめっき皮膜7a、7b形成時に表層面のZnを溶出させてもよい。この場合は、第1のめっき皮膜6a、6b形成時に中性乃至略中性のめっき液を使用して電解めっきを行い、その後の第2のめっき皮膜7a、7b形成時に、酸性又はアルカリ性に調整されためっき液を使用し、電解めっきを行ないつつ表層面のZnが溶出するようにすればよい。また、第1及び第2のめっき皮膜6a、6b、7a、7bの形成時にそれぞれ酸性又はアルカリ性のめっき液を使用し、Zn溶出量の総量が所定量となるようにしてもよい。
〔n型半導体層2の作製〕
ZnO焼結体をターゲットとし、所定の開口部を有する金属マスクを介してスパッタリングを行い、p型半導体層1の一部が表面露出し、かつ第2の端子電極3bと電気的に接続されるように、ZnO系薄膜からなるn型半導体層2をp型半導体層1の表面に形成し、これにより紫外線センサを得る。
このように本実施の形態では、(Ni,Zn)O焼結体を酸性及びアルカリ性のいずれかに調整された表面処理溶液に接触させ、前記焼結体の表層面のZnを溶出させてp型半導体層を作製する表面処理工程を有するので、表層面のZn濃度がZnの溶出量に応じて減少する。そして、このようにp型半導体層の表層面のZn濃度が減少することから、p型半導体層を形成する(Ni,Zn)O焼結体の結晶粒子の格子歪みが緩和され、NiOのバンドギャップが変化し、表層面のZn濃度に応じ吸収波長のピークが短波長側に変移する。しかも、p型半導体層側のキャリアが減少することから、キャリアはn型半導体層からp型半導体層側に流れ込み、その結果n型半導体層とp型半導体層の界面に形成される空乏層は大部分はp型半導体層側に形成されることとなり、n型半導体層側に由来する350nm〜370nmの吸収波長でのピークは低下する。そしてこれにより特定の吸収波長で強く応答する紫外線センサを製造することができる。したがって、UV−A、UV−B、UV−Cの広範な波長帯域で特定の吸収波長に強く応答する紫外線センサを実現することが可能となり、同一材料系であっても用途に適した紫外線センサを製造することができる。
特に、表面処理工程はめっき工程を兼ねると共に、表面処理溶液は、めっき工程で使用されるめっき液とすることにより、工程増を招くこともなく、用途に応じた特定の吸収波長で強く応答する紫外線センサを容易に得ることができる。
また、特定の吸収波長でピークを有するように前記表層面のZn濃度を制御しているので、紫外線センサの波長応答特性を任意に制御することが可能となる。
また、表層面からのZn溶出量が所定量となるようなpHに調整された前記表面処理溶液を選択し、表面処理を行っているので、表層面のZn濃度を容易に制御することができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、表層面からのZn溶出量が所定量となるようなpHに調整された表面処理溶液を選択し、表面処理を行っているが、表層面からのZn溶出量が所定量となるような所定時間、(Ni,Zn)O焼結体を表面処理溶液に浸漬させることによっても、特定の吸収波長で強く応答する紫外線を得ることができる。
また、上記実施の形態では、表面処理工程はめっき工程を兼ねているが、めっき工程とは別工程の表面処理工程を設け、HNO、CHCOOH、NaOH等の酸性又はアルカリ性の表面処理溶液を使用し、Znを溶出させるのも自由である。
また、上記実施の形態では、複合酸化物を含有した内部電極形成用ペーストを作製し、該内部電極形成用ペーストを(Ni,Zn)Oグリーンシートの表面に塗付し、その後焼成することにより、内部電極4を形成しているが、内部電極形成用ペースト中にNiを含めることなく、主成分が希土類酸化物Rで構成された希土類ペーストを作製し、焼成処理中に(Ni,Zn)Oグリーンシート中のNiを、希土類膜側に拡散させることによっても所望の内部電極を形成することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔試料の作製〕
〔ZnO焼結体の作製〕
主成分となるZnOとドープ剤としてのGaとを、配合比がモル%でそれぞれ99.9mol%、0.1mol%となるように秤量した。そして、これら秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μm以下のスラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。
次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、純水及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製し、ドクターブレード法を使用して厚みが20μmのグリーンシートを作製した。次いで、このグリーンシートを厚みが20mmとなるように所定枚数積層し、250MPaの圧力で5分間圧着処理を施し、圧着体を得た。次いで、この圧着体を脱脂した後、1200℃の温度で20時間焼成し、ZnO焼結体を得た。
〔(Ni,Zn)Oグリーンシートの作製〕
NiO粉末及びZnO粉末を、モル比で7:3となるように秤量し、これに純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミルで混合粉砕し、スラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製した。そして、ドクターブレード法を使用し、この成形用スラリーに成形加工を施し、膜厚10μmの(Ni,Zn)Oグリーンシートを得た。
〔内部電極形成用ペースト〕
NiO粉末及び希土類酸化物としてのLa粉末を、モル比で2:1となるようにそれぞれ秤量し、この秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、スラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。そして、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥し、LaNiO粉末を得た。その後、得られたLaNiO粉末を、有機ビヒクルと混合させ、三本ロールミルで混練し、これにより内部電極形成用ペーストを作製した。
尚、有機ビヒクルは、バインダー樹脂としてエチルセルロース樹脂30体積%、有機溶剤としてα―テルピネオール70体積%となるようにエチルセルロース樹脂とα―テルピネオールとを混合し、作製した。
〔(Ni,Zn)O焼結体の作製〕
(Ni,Zn)Oグリーンシートのうちの1枚について、内部電極形成用ペーストを表面にスクリーン印刷して塗付し、60℃の温度で1時間乾燥させ、所定パターンの導電膜を形成した。
次いで、導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシートを20枚積層し、その上に導電膜が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシートを積層し、さらに、その上に導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシートを1枚順次積層した。そして、これらを200MPaの圧力で圧着した後、2.5mm×1.5mmの寸法に切断し、これにより積層成形体を作製した。
次いで、この積層成形体を300℃の温度でゆっくりとかつ十分に脱脂した後、1200℃の温度で1時間大気中で焼成し、これにより内部電極が埋設された(Ni,Zn)O焼結体を得た。
〔外部電極の作製〕
AgとPdの含有比率が95:5に調製された外部電極形成用ペーストを用意した。そして、この外部電極形成用ペーストを(Ni,Zn)O焼結体の両端部に塗付し、850℃の温度で10分間焼付け処理を行い、外部電極を作製し、試料番号1〜6の試料を作製した。
〔表面処理〕
pHが3.0〜9.1に調整された酸性溶液、中性溶液、アルカリ性溶液を用意した。尚、酸性溶液の母液としてはHNOを使用し、アルカリ性溶液の母液としてはNaOHを使用し、pH調整剤を添加してpHを調整した。
そして、試料番号2〜6の各試料を、表1に示すpHの表面処理溶液に10分間浸漬し、その後純水で超音波洗浄した。その後、略中性に調整したNiめっき液、およびSnめっき液を使用し電解めっきを施し、これにより両端部に端子電極が形成されたp型半導体層を得た。
〔n型半導体層の形成〕
ZnO焼結体をターゲットとし、p型半導体層の一方の主面の一部を覆い、かつ第2の端子電極の一部と重なり合うように金属マスクを使用してスパッタリングを行い、厚みが約0.5μmの所定パターンを有するn型半導体層を作製し、これにより試料番号1〜6の試料を得た。
〔試料の評価〕
試料番号1〜6の各試料は、図3に示すように、いずれもp型半導体層31に内部電極32が埋設されると共に、前記p型半導体層31の両端には端子電極33a、33bが形成され、かつp型半導体層31の表面にはn型半導体層34が接合されている。そして、端子電極33a、33b間に電流計35を介装し、暗室で矢印Bに示すように、分光器を備えた紫外線光源からn型半導体層34側の外表面に照射し、端子電極33a,33b間に流れる光電流を計測し、波長応答特性を調べた。尚、測定温度は25℃±1℃となるように制御し、紫外線光源は200nmから500nmまで10nm毎に階段状に変化させた。
さらに、各試料について、光電流値から波長応答特性におけるピーク波長の受光感度を求めた。
また、各試料について、XPS(X-ray photoelectron spectroscopy(X線光電子分光))法を使用して表層面のZn濃度を求めた。
表1は、試料番号1〜6の各試料について、表面処理溶液のpH、浸漬時間、ピーク波長、受光感度、及びZn濃度を示している。
Figure 0005534564
試料番号1は、(Ni,Zn)O焼結体に表面処理を行わなかった本発明範囲外の比較例である。
試料番号4は、pHが7.0、Zn濃度は32atm%、ピーク波長は360nmであり、いずれも表面処理を行わなかった試料番号1と同一であり、受光感度も、試料番号1と同一の0.32A/Wであった。すなわち、試料番号4は、試料番号1と同様、ZnOに由来するピーク波長360nmの紫外線センサが得られた。
一方、試料番号2、3に示すように表面処理溶液のpHが酸性側に変移するのに伴い、また試料番号5、6に示すように表面処理溶液のpHがアルカリ性側に変移するのに伴い、Znの溶出量が増加して表層面のZn濃度が減少し、これに伴いピーク波長も移動していることが分かる。また、ピーク波長での受光感度も略同一であることから、特定のpHに調整された表面処理溶液で(Ni,Zn)O焼結体を表面処理して表層面のZn濃度を減少させることにより、ピーク波長を変移させることが可能となる。
図4は、試料番号1〜6の波長応答特性を示す図であり、横軸が波長(nm)、縦軸が受光感度(a.u.)である。
この図4から明らかなように、試料番号1、4は、360nmの波長で強く応答している。
これに対し試料番号3、2に示すように、表面処理溶液のpHが酸性側に移行するのに伴い、表層面のZn濃度が減少し、ZnO側の空乏層も薄くなることから、ZnOに由来する360nmの波長で受光感度が低下し、ピーク波長は短波長側に変移している。
同様に、試料番号5、6に示すように、表面処理溶液のpHがアルカリ性側に移行するのに伴い、表層面のZn濃度が減少し、ZnO側の空乏層も薄くなることから、ZnOに由来する360nmの波長で受光感度が低下し、ピーク波長は短波長側に変移している。
このように表層面のZn濃度を制御することにより、吸収波長のピークを異ならせることができ、これにより特定の吸収波長に強く応答する紫外線センサを得ることのできることが分かった。
すなわち、UV−A、UV−B、UV−Cの広範の波長帯域で、用途に応じた波長応答特性を有する紫外線センサの実現が可能であることが分かった。
(Ni,Zn)O焼結体の表面処理溶液への浸漬時間を15分間、及び30分間とした以外は、試料番号3の試料と同様の方法・手順で試料番号11、12の試料を作製した。
次いで、実施例1と同様の方法・手順で波長応答特性、ピーク波長での受光感度、及び表層面のZn濃度を求めた。
表2は、試料番号11、12の各試料について、表面処理溶液のpH、浸漬時間、ピーク波長、受光感度、及びZn濃度を示している。また、この表2では参考のため試料番号3の測定結果を再掲している。
Figure 0005534564
この表2から明らかなように、浸漬時間の増加と共に表層面のZn濃度が減少し、これに伴い吸収波長のピークも短波長側に変移することが分かった。
したがって、(Ni,Zn)O焼結体に対し酸性又はアルカリ性の表面処理溶液の浸漬時間を異ならせることによっても、波長応答特性を異ならせることができ、UV−A、UV−B、UV−Cの広範な波長帯域で、用途に適した波長応答特性を有することが確認された。
上述した外部電極の作製過程までは、実施例1と同様の方法・手順で試料を作製した。その後、pHを8.0に調整したNiめっき液を使用して電解めっきを施し、次いでpHを7.0に調整したSnめっき液を使用して電解めっきを施し、外部電極の表面にNi皮膜及びSn皮膜を形成し、端子電極を形成した。
そしてその後、実施例1と同様の方法・手順でn型半導体層を形成し、試料番号21の試料を作製した。
次いで、この試料番号21について、実施例1と同様の方法・手順で波長応答特性を測定したところ、試料番号5と同様の波長応答特性が得られることが分かった。
種々の波長帯域で特定の吸収波長に強く応答することができる紫外線センサを製造することができ、UV−A、UV−B、UV−Cの広範な波長帯域で、用途に適した波長応答特性を有する紫外線センサを得ることができる。
1 p型半導体層
2 n型半導体層
3a、3b 端子電極
4 内部電極
5a、5b 外部電極
6a、6b 第1のめっき皮膜
7a、7b 第2のめっき皮膜
9a〜9n (Ni,Zn)Oグリーンシート
10 導電膜

Claims (6)

  1. NiOとZnOとの固溶体を主成分とするグリーンシートを複数作製するグリーンシート作製工程と、前記複数のグリーンシートのうち、一のグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗布し所定パターンの導電膜を形成する導電膜形成工程と、前記導電膜が形成されたグリーンシートを挟持するような形態で前記複数のグリーンシートを積層し、成形体を作製する成形体作製工程と、前記成形体を焼成して焼結体を作製する焼成工程とを含む紫外線センサの製造方法において、
    前記焼結体を酸性及びアルカリ性のいずれかに調整された表面処理溶液に接触させ、前記焼結体の表層面のZnを溶出させてp型半導体層を作製する表面処理工程を有することを特徴とする紫外線センサの製造方法。
  2. 前記焼結体の両端部に外部電極を形成する外部電極形成工程と、
    前記外部電極の表面に少なくとも一層以上のめっき皮膜を形成するめっき工程とを含み、
    前記表面処理工程は、前記めっき工程を兼ねると共に、
    前記表面処理溶液は、前記めっき工程で使用されるめっき液であることを特徴とする請求項1記載の紫外線センサの製造方法。
  3. 前記表面処理工程は、特定の吸収波長でピークを有するように前記表層面のZn濃度を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の紫外線センサの製造方法。
  4. 前記表面処理工程では、前記表層面からのZn溶出量が所定量となるようなpHに調整された前記表面処理溶液を選択し、表面処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の紫外線センサの製造方法。
  5. 前記表面処理工程では、前記表層面からのZn溶出量が所定量となるような所定時間、前記焼結体を前記表面処理溶液に浸漬させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の紫外線センサの製造方法。
  6. ZnOを主成分とするn型半導体層を前記p型半導体層の一部が表面露出した形態で前記p型半導体層の表面に形成するn型半導体層形成工程を含み、
    前記n型半導体層形成工程は、ZnOを主成分とするZnO焼結体を作製するZnO焼結体作製工程と、前記ZnO焼結体をターゲットにしてスパッタリングし、前記n型半導体層を形成するスパッタリング工程とを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の紫外線センサの製造方法。
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