JP5533597B2 - 温度測定装置 - Google Patents
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Description
前記浸炭処理は細分化された複数の工程によって実施されるとともに、これら複数の工程からなる浸炭処理ラインは、主に、各工程が実施される処理室をワークの進行方向に沿って一直線上に並べた連続浸炭炉によって構成される。
図7は、従来の連続浸炭炉100を示した全体斜視図であるが、本図に示すように、連続浸炭炉100は主に脱脂室101、予熱室102、浸炭室103、拡散室104、降温室105、および油槽106aを有する油焼入れ室106などからなり、これら各処理室101・102・・・106が、ワーク150の搬送方向(図7中の矢印Aの方向)に沿って連続的に一列に配設されて構成される。
そして、ワーク150に対して浸炭処理を施す際は、先ず、(1)脱脂室101によってワーク150の表面に付着した油脂分を除去し、(2)予熱室102によってワーク150の温度を浸炭処理に適した温度にまで昇温させ、(3)浸炭室103によってワーク150の表面に浸炭ガス(COガス)を吹き付けて該表面から炭素を浸透させ、(4)拡散室104によってワーク150を所定の温度に保持し、ワーク150に浸透した炭素(原子)を拡散させ、(5)降温室105によってワーク150の温度を焼入れ温度に適した温度にまで降温させた後、(6)ワーク150を油焼入れ室106内に投入し、ワーク150を油槽106a内に浸漬することで焼入れ処理を行うという、一連の作業工程が行われるのである。
即ち、炉立上げ直後や年数回の定期点検の際には、各処理室内の炉内温度を測定し、これら炉内温度が予め定められた温度にそれぞれ維持されていることを確認する作業が必要となる。
そこで近年、簡単、且つ人手をかけずに各処理室内の炉内温度が測定可能なことから、データロガーと称される履歴データ記録装置を備える測定装置を用いて、これら炉内温度を測定することが行われている(例えば、「特許文献1」を参照。)。
しかし、前記「特許文献1」による技術では、双方の熱膨張率の違いより、二重構造からなる断熱ケースと、これら断熱ケースの間に挟装される断熱材との間に隙間が発生することもあり、常に期待した断熱効果を発揮することは難しい。
その結果、連続浸炭炉における各処理室内の炉内温度の影響によって測定装置が故障し、該炉内温度を常に正確に計測できるとは言い難い。
即ち、本発明における温度測定装置によれば、油槽内へワークを浸漬する焼入れ室を備えた連続浸炭炉に対して、該油槽内の液体による影響を防ぎつつ、各処理室内の炉内温度の影響によって断熱効果が低下することなく、該炉内温度または炉内を通過するワークの温度を常に正確に測定することができる。
先ず、本発明を具現化する温度測定装置1の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図1および図3における矢印Aの方向を前方と規定して以下説明する。また、図1乃至図3においては、図面上の上下方向を温度測定装置1、付勢手段5、および外耐熱ケース6の上下方向と各々規定して説明する。
そして、接触端子部2bによって検出された各処理室内の炉内温度は、電気信号に変換されて測定装置本体2に送信され、履歴データ(測定データ)として測定装置本体2によって処理され保存される。
内装部3は、測定装置本体2を内装する内耐熱ケース31と、内耐熱ケース31の周囲に配設される蓄熱素材32とを有して構成される。
内耐熱ケース31は、測定装置本体2を内装するのに十分な内部空間を有する箱状の部材からなり、本体部31aと蓋部31bとからなる分割構造を有して構成される。
また、蓋部31bによって本体部31aを閉塞する際において、これら本体部31aと蓋部31bとの間には、樹脂性素材からなるシール部材33が配設される。つまり、シール部材33は、本体部31aと蓋部31bとによって挟持されつつ、これら本体部31aの合わせ面31cと、蓋部31bの合わせ面31dとに対して同時に密着されており、内耐熱ケース31の内部空間は、シール部材33によってシールされ、より密閉性が高められる構成となっている。
蓄熱素材32は、内耐熱ケース31の形状に即して形成された内部空間を有し、本体部32aと蓋部32bとからなる分割構造を有して構成される。また、前記内部空間に内耐熱ケース31を内装しつつ、蓋部32bによって本体部32aを閉塞した状態において、これら本体部32aおよび蓋部32bの合わせ面は、内耐熱ケース31の合わせ面31c・31dと略同一平面上に位置するようになっている。
このように、蓄熱素材32は内耐熱ケース31の外周を全体的に被覆している。
なお、これら本体部32aおよび蓋部32bの合わせ面において、蓄熱素材32は十分な弾力性を有することから、プローブ2aの断面形状がつぶされることはない。
断熱層4は、複数の外側断熱材4A・4A・・・および内側断熱材4B・4B・・・によって構成される。
外側断熱材4Aおよび内側断熱材4Bは、熱の伝導を抑える性質を有した部材であり、例えば発泡系断熱素材や繊維系断熱素材など既知の素材によって形成される。
なお、開口部4bは、正面視にて蓄熱素材32の外形形状に即した形状に形成される。
つまり、外側断熱材4Aおよび内側断熱材4Bは、積層方向の一側から他側へ向けて、外側断熱材4A・4A、内側断熱材4B・4B・・・、および外側断熱材4A・4Aの順に積層されており、一側の外側断熱材4A・4Aと他側の外側断熱材4A・4Aとで内側断熱材4B・4B・・・を挟持するように配置されている。
また、各外側断熱材4A・4A、および内側断熱材4B・4B・・・は、外耐熱ケース6内を、外耐熱ケース6の軸心方向に沿って摺動可能に設けられている。
換言すれば、内耐熱ケース3は、蓄熱素材32を介して、断熱層4によって全体的に被包される。
なお、外側断熱材4Aおよび内側断熱材4Bは十分な弾力性を有することから、断熱層4や外耐熱ケース6によって挟持されるプローブ2aは、その断面形状がつぶされることなく、断熱層4および外耐熱ケース6に被包されることとなる。また、内装部3に対する断熱層4による断熱効果が損なわれることはない。
付勢手段5は、断熱層4を構成する複数の外側断熱材4A・4A・・・および内側断熱材4B・4B・・・に対して、これら部材間に隙間が生じないように、断熱層4を付勢するための部位である。
付勢手段5は、密閉された内部空間を有する略筒状の金属部材からなり、その筒形状の軸心方向に蛇腹構造5aが設けられる。つまり、付勢手段5は、蛇腹構造5aによって、軸心方向に向かって伸縮可能に構成される。
なお、付勢手段5の材質については、本実施例のものに限定されることはなく、例えば、耐熱性を有した樹脂素材などを用いてもよい。
なお、前記流体については、本実施例のものに特に限定されないが、例えば、油などの場合には、空気や水と比べて熱膨張率が低いため、これら空気や水と比べて温度変化に対する応答性に劣る。従って、付勢手段5に充填される流体は、空気または水を用いることが好ましい。
従って、付勢手段5は、常温状態においては、外耐熱ケース6の軸心方向、且つ外耐熱ケース6に対して相対的に後方(あるいは前方)に向かって、断熱層4の前面(あるいは後面)を付勢する。
つまり、断熱層4の熱膨張率に比べて外耐熱ケース6の熱膨張率が高いため、外耐熱ケース6の軸心方向に関する膨張量は、断熱層4の前後方向(外耐熱ケース6の軸心方向)に関する膨張量に比べて大きい。
その結果、断熱層4の前面(あるいは後面)と、外耐熱ケース6内の前面(あるいは後面)との間隙寸法は、周囲の温度が常温である場合に比べて大きくなり、そのままでは断熱層4を構成する複数の外側断熱材4A・4A・・・および内側断熱材4B・4B・・・間に隙間が生じることとなる。
即ち、付勢手段5の全長(図2(b)に示す寸法X2)は、前記流体の体積変化によって、断熱層4の前面(あるいは後面)と、外耐熱ケース6内の前面(あるいは後面)との間隙寸法に比べて、常にやや大きな状態(以下、「伸張状態」と記載する)に維持される。
よって、付勢手段5は、高温状態においても、外耐熱ケース6の軸心方向、且つ外耐熱ケース6に対して相対的に後方(あるいは前方)に向かって、断熱層4の前面(あるいは後面)を付勢する。
その結果、断熱層4を構成する複数の外側断熱材4A・4A・・・および内側断熱材4B・4B・・・に対して、これら部材間に隙間が生じることはなく、高温の炉内温度の影響により、内耐熱ケース31内の断熱効果が低下することもないのである。
図1に示すように、外耐熱ケース6は、密閉された内部空間を有する略筒状の金属部材からなり、図1では、その軸心方向が図1において規定した前後方向と一致している。
また、図3に示すように、外耐熱ケース6は軸心方向中央部にて分断された分割構造からなり、前部に位置する前側本体部6Aと、後部に位置する後側本体部6Bとを有して構成される。
この際、耐熱ボルト61および耐熱ナット62は、さほど周囲の温度に影響を受けることもなく十分な締付力が維持される。
その結果、これら耐熱ボルト61および耐熱ナット62の締付力によって、軟化したシール部材63は各々のフランジ部6a・6aの合わせ面に対して密着されることととなり、外耐熱ケース6の内部空間の密着性が高められる。
しかし、この際においては、前述の通りシール部材63は既に軟化しているため、各々のフランジ部6a・6aの合わせ面に対して、依然密着されることととなり、外耐熱ケース6の内部空間の密着性が高められるのである。
即ち、内耐熱ケース31および外耐熱ケース6にシール部材33・63を各々設けることで、内装部3の内部空間に対する高度な「耐油機能」を実現し、また、蓄熱素材32および断熱層4を、内耐熱ケース31と外耐熱ケース6との間に設けることで、内装部3の内部空間に対する高度な「耐熱機能」を実現しているのである。
次に、本発明を具現化する温度測定装置1による炉内温度またはワーク温度の測定方法について、図4乃至図6を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては、便宜上、図4および図6における矢印Aの方向を前方と規定して以下説明する。また、図4および6においては、図面上の上下方向を温度測定装置1の上下方向と各々規定して説明する。
こうして、複数のワーク50・50・・・とともに、搬送トレイ52上に搭載された温度測定装置1は、測定対象とする連続浸炭炉内に投入される。
そして、検知された炉内温度の測定データは電気信号に変換された後、プローブ2a・2a・・・を通じて、測定装置本体2に送信され、履歴データとして順次、測定装置本体2内に記録される。
なお、各処理室内を通過するワーク50・50・・・は、該処理室内の炉内温度にまで昇温されることから、プローブ2a・2a・・・により検知されたワーク50・50・・・温度を、各処理室内の炉内温度として捉えることも可能である。
そして、パソコンなどによって、測定装置本体2に記録されたデータが読み取られることで、温度測定装置1による連続浸炭炉の炉内を通過するワーク50・50・・・温度の測定が完了するのである。
即ち、図5に示すように、油槽53において、内部に貯溜される液体54は、およそ百数十℃にまで昇温されるとともに、図示せぬ撹拌機構によって常に油槽53内を循環(図5に示す矢印Bの方向)している。
即ち、複数のワーク50・50・・・を搭載した搬送トレイ52を液体54内に浸漬する際、液体54の温度分布や流速分布の偏りによっては、これらワーク50・50・・・が搭載される位置によって、冷却状態の差異が生じ、搬送トレイ52上にて歪みなどの品質不良を生じる原因ともなる。
そして、前記冷却速度に関するデータは、液体54によるワーク50の均一な冷却状態を実現するための荷姿(ジグ51によるワーク50の支持姿勢)を検討する際のデータとして役立たせることができるのである。
そして、各処理室内の炉内温度の影響については、主に、互いに積層された複数外側断熱材4A・4A・・・および内側断熱材4B・4B・・・からなる断熱層(断熱材)4によって防がれるところ、外耐熱ケース6と断熱層4との熱膨張率の違いから、外耐熱ケース6が断熱層4に対して相対的に、断熱層4の積層方向に向かって膨張した結果、たとえ複数の外側断熱材4A・4A・・・および内側断熱材4B・4B・・・間に隙間が生じ得る状態になっても、外耐熱ケース6と断熱層4との間には、断熱層4を積層方向に沿って挟持する方向に付勢する付勢手段5・5が備えられているため、これら外側断熱材4A・4A・・・および内側断熱材4B・4B・・・間に隙間が生じることはない。
従って、本実施例における温度測定装置1によれば、各処理室内の炉内温度の影響によって断熱層4内に隙間が生じ、断熱効果が低下するようなこともなく、該炉内を通過するワークの温度を常に正確に測定することができるのである。
一方、本実施例における付勢手段5においては、内部に流体を充填し、該流体の熱膨張による体積変化によって、付勢手段5を伸張あるいは縮退させることとしている。
従って、本実施例における温度測定装置1においては、数百℃にもおよぶ高温状態の環境下においても、付勢手段5の弾性力が低下することはなく、断熱層4内に生じる隙間を防止し、断熱効果の低下を極力防ぐことができるのである。
2 測定装置本体
4 断熱層(断熱材)
4A 外側断熱材
4B 内側断熱材
5 付勢手段
5a 蛇腹構造
6 外耐熱ケース
31 内耐熱ケース
32 蓄熱素材
Claims (3)
- 測定データを処理する測定装置本体と、該測定装置本体を内装する内耐熱ケースと、該内耐熱ケースを被包する断熱材と、該断熱材を内装する外耐熱ケースと、を備え、前記断熱材が、互いに積層された複数の板状部材から構成されるとともに、前記外耐熱ケース内を積層方向に沿って摺動可能に配設される温度測定装置であって、
前記外耐熱ケースと前記断熱材との間には、前記断熱材を積層方向において圧縮する側へ付勢する付勢手段を備える、
ことを特徴とする温度測定装置。 - 前記付勢手段は、
蛇腹構造を有した略筒状に形成され、軸心方向に向かって伸縮可能に構成されるとともに、
前記外耐熱ケースと前記断熱材との間において、前記軸心方向を前記断熱材の積層方向に向けて配設され、
前記付勢手段の内部には流体が充填される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の温度測定装置。 - 前記付勢手段に充填される流体は、空気または水である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の温度測定装置。
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