JP5533527B2 - 貯湯式給湯装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートポンプ方式等の加熱手段で加熱した水を貯湯槽へ貯湯して利用する貯湯式給湯装置に関するものである。
この種の給湯装置は、加熱手段によって貯湯槽の底部から供給される水を高温に加熱し、断熱材で被覆された貯湯槽の上部へ貯留する一連のサイクルを繰り返すことにより、貯湯槽の全体または一部に高温の湯を蓄える。使用者が湯を使用する給湯時には、加熱されていない水と混合することで所定温度にして給湯端末で使用する。
ここで用いるヒートポンプ式加熱手段の運転効率は、外気温と沸き上げ温度と加熱手段に供給される水の温度である入水温度とに依存し、外気温が高い場合や沸き上げ温度が低い場合、入水温度が低い場合に運転効率が向上する。外気温は季節や稼動時刻によって変動し、それに加えて入水温度は貯湯槽の温度状態によっても変動する。
特に、風呂追い焚きやラジエター等の貯湯槽内の熱を利用する端末を使用する場合は、熱利用端末内の湯と貯湯槽の湯を熱交換器によって熱交換した後の湯を貯湯槽下部へ戻す構成となっている。本来は、貯湯槽の底部には給水温度と同程度の温度の水が存在しているが、熱利用端末の利用が発生する場合は、熱交換器からの湯が下部の低い水と混合されるため、給水温度よりも高い中間的な温度となった中温水が貯湯槽の下部に生じる。その中温水が、沸き上げの際に加熱手段へ供給されるため、入水の温度が上昇することになり効率は著しく低下する。
従来、熱利用端末によって生じる中温水を取り除くために、貯湯槽の上下方向の中間的な位置に第2の出湯口を設け、中間位置に存在する湯を優先的に使用する構成としていた(例えば、特許文献1参照)。
図16は、特許文献1に記載された従来の給湯装置を示すものである。図16に示すように、貯湯槽1と、この貯湯槽1の湯水を加熱する加熱手段2と、貯湯槽1の上部に接続された第1の出湯管3と、貯湯槽1の中間部分に接続された第2の出湯管4と、貯湯槽1の第1の出湯管3からの湯と第2の出湯管4からの湯を混合させる第1の混合弁6と、第2の出湯管4が接続された位置での貯湯槽1内の湯温を検知する中温検知手段12と、給湯温度を設定する給湯温度設定手段30を設け、中温検知手段12により検知された湯温が給湯温度設定手段30で設定された給湯設定温度以上であれば第2の出湯管4から出湯し、給湯設定温度未満であれば第1の出湯管3から出湯するように、第1の混合弁6の流路を切り換える。
また、熱利用端末23と、貯湯槽1の熱と熱利用端末23内の熱を交換する熱交換器20と、貯湯槽1の上部に接続された熱利用出湯管21と、熱交換器20と貯湯槽1の下部に接続された熱利用戻り管22と、貯湯槽1から熱交換器20へ湯を搬送するためのポンプ25と、熱利用端末23での利用熱温度を検知する熱利用温度検知手段24と、熱利用端末23での利用温度を設定する熱利用温度設定手段31を設け、熱利用端末23による熱の利用が発生する場合は、熱利用温度検知手段24の検知する温度と熱利用温度設定手段31で設定された温度に従ってポンプ25を制御して流量を制御する。熱利用戻り管22から戻る中温水は、貯湯槽1の下部から入水され、湯の利用に従って上昇し、第2の出湯管4から出湯して利用される。
特開2003−240342号公報
しかしながら、熱利用戻り管22の貯湯槽1との接続位置が、第2の出湯管4の接続位置よりも低い場合は、熱利用端末23の利用によって生じる中温水を十分に取り除くことができず、効率の悪化を防ぐことができない。
ここで、図17を用いて、この作用を詳しく説明する。まず、図17は従来の構成における貯湯槽1内の熱利用戻り管からの湯による温度変化と、給湯が発生した場合の温度変化について説明したものであり、横軸に温度、縦軸に貯湯槽1の高さをとって温度分布を示す。図17(a)の51は初期温度分布であり、その状態から貯湯槽1の底部に熱利用戻り管22からの湯が流入した場合、図17(b)の52に示すように、貯湯槽1の底部にある温度の低い湯の温度T1が一様にT2まで上昇して中温水が生じる。
その後、シャワー等の給湯が発生すると、図17(c)の53に示すように、第2の出湯管4より下の部分が押し上げられ、貯湯槽1の下部には、出湯量に相当する量の水が流入し温度はT1に戻る。しかし、最下部は低温であるが、それ以上の54で示す部分の中温水は使い切れずに残ったままになる。
その後、貯湯槽1の底部から順番に加熱手段2へ湯を循環して夜間の沸き上げが行われるため、加熱手段2へT2まで上昇した中温水が送られ効率が低下する。そのため、熱利用戻り管22からの湯の戻りによる温度分布変化を鑑みると、熱利用戻り管22の接続位置が第2の出湯管4の下より低い位置にある場合では、効率の低下を十分に防止することはできないことがわかる。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、貯湯槽の湯を利用する構成において、中温水が発生することによる利用可能湯量の減少と、沸き上げ時の効率低下とを抑えて、使用性と省エネルギー性に優れた給湯装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯装置は、貯湯槽と、前記貯湯槽の下部から送出された低温水を加熱して高温湯とするヒートポンプ装置と、前記貯湯槽の下部と前記ヒートポンプ装置とを接続する入水配管と、前記ヒートポンプ装置と前記貯湯槽の上部とを接続する加熱配管と、前記貯湯槽の上部に接続された第1の出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、前記貯湯槽の上下方向において前記第1の出湯管が接続された位置と前記給水管が接続された位置との間に接続された第2の出湯管と、前記給水管から分岐された給水分岐管と、前記第2の出湯管と前記第1の出湯管とが入口側に接続された第1の混合弁と、前記第1の混合弁の出口側に接続された出湯管合流管と、前記出湯管合流管と前記給水分岐管とが入口側に接続された第2の混合弁と、前記第2の混合弁の出口側に接続され、前記第2の混合弁によって混合された湯水が給湯口へ流れる混合水管と、前記貯湯槽の上部に接続され、前記貯湯槽の上部に貯えられた前記高温湯を取り出す熱利用出湯管と、前記熱利用出湯管に接続され、前記貯湯槽の上部から取り出された前記高温湯によって浴槽の湯水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器と前記貯湯槽とを接続し、前記熱交換器にて前記浴槽の湯水を加熱して温度が低下した温水を前記貯湯槽に戻す熱利用戻り管と、を備え、前記熱利用戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第2の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも高い位置のみで、前記貯湯槽に接続され、前記熱利用戻り管には、水平方向に設けられ、前記熱利用戻り管から前記貯湯槽に流入する前記温水が前記貯湯槽の上方に向かって流れることを防止するとともに、前記温水を前記第2の出湯管と前記貯湯槽との前記接続位置よりも高い位置に誘導する撹拌防止部材が設けられていることを特徴とするものである。
これによって、熱利用端末で湯の使用がある場合、熱交換器から貯湯槽に戻る湯により発生した中温水を、第2の出湯管を通じて有効に利用することができる。また、第1の出湯管の湯と第2の出湯管を混合した後に、給水管からの湯を混合する接続方法により、貯湯槽内に発生する大きな温度勾配に対して比較的安定した給湯温度で温水の供給が可能となる。
本発明によれば、貯湯槽の湯を利用する構成において、中温水が発生することによる利用可能湯量の減少と、沸き上げ時の効率低下とを抑えて、使用性と省エネルギー性に優れた給湯装置を提供できる。
本発明の実施の形態1における給湯装置の構成図 同給湯が発生する場合の制御ブロック図 同給湯が発生する場合の制御のフローチャート 同貯湯槽内の温度分布の変化を示す図 同熱利用端末での熱利用が発生する場合の制御ブロック図 同熱利用端末での熱利用が発生する場合の制御のフローチャート (a)同熱利用端末での熱利用が発生する前の温度分布を示す図(b)同熱利用端末での熱利用が発生した直後の温度分布を示す図(c)同熱利用端末での熱利用が発生した後、給湯が発生した後の温度分布を示す図 (a)本発明の実施の形態1において貯湯槽の温度が高い場合に大きな温度勾配が発生する仕組みを示す図(b)本発明の実施の形態1において貯湯槽の温度が低い場合に大きな温度勾配が発生する仕組みを示す図 本発明の実施の形態1において考え得る混合弁の他の接続構成を示す図 (a)本発明の実施の形態1において貯湯槽からの第1の出湯管の出湯温度が急激に変化する場合の給湯温度を示す図(b)本発明の実施の形態1において貯湯槽からの第2の出湯管の出湯温度が急激に変化する場合の給湯温度を示す図 同撹拌防止部材の一例を示す図 本発明の実施の形態2における給湯装置の構成図 本発明の実施の形態3における給湯装置の構成図 同給湯が発生する場合の制御ブロック図 同給湯が発生する場合の制御のフローチャート 従来の給湯装置の構成図 (a)従来の給湯装置において熱利用端末での熱利用が発生する前の温度分布を示す図(b)従来の給湯装置において熱利用端末での熱利用が発生した直後の温度分布を示す図(c)従来の給湯装置において熱利用端末での熱利用が発生した後に給湯が発生した後の温度分布を示す図
第1の発明は、貯湯槽と、前記貯湯槽の下部から送出された低温水を加熱して高温湯とするヒートポンプ装置と、前記貯湯槽の下部と前記ヒートポンプ装置とを接続する入水配管と、前記ヒートポンプ装置と前記貯湯槽の上部とを接続する加熱配管と、前記貯湯槽の上部に接続された第1の出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、前記貯湯槽の上下方向において前記第1の出湯管が接続された位置と前記給水管が接続された位置との間に接続された第2の出湯管と、前記給水管から分岐された給水分岐管と、前記第2の出湯管と前記第1の出湯管とが入口側に接続された第1の混合弁と、前記第1の混合弁の出口側に接続された出湯管合流管と、前記出湯管合流管と前記給水分岐管とが入口側に接続された第2の混合弁と、前記第2の混合弁の出口側に接続され、前記第2の混合弁によって混合された湯水が給湯口へ流れる混合水管と、前記貯湯槽の上部に接続され、前記貯
湯槽の上部に貯えられた前記高温湯を取り出す熱利用出湯管と、前記熱利用出湯管に接続され、前記貯湯槽の上部から取り出された前記高温湯によって浴槽の湯水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器と前記貯湯槽とを接続し、前記熱交換器にて前記浴槽の湯水を加熱して温度が低下した温水を前記貯湯槽に戻す熱利用戻り管と、を備え、前記熱利用戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第2の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも高い位置のみで、前記貯湯槽に接続され、前記熱利用戻り管には、水平方向に設けられ、前記熱利用戻り管から前記貯湯槽に流入する前記温水が前記貯湯槽の上方に向かって流れることを防止するとともに、前記温水を前記第2の出湯管と前記貯湯槽との前記接続位置よりも高い位置に誘導する撹拌防止部材が設けられていることを特徴とする貯湯式給湯装置で、熱交換器から貯湯槽に戻る湯により発生した中温水を第2の出湯管を通じて有効に利用することにより、貯湯された湯の熱量を最大限有効に利用し、かつ沸き上げ効率の低下を防ぐことができるので、良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できるという効果がある。また、第1の出湯管の湯と第2の出湯管を混合した後に、給水管からの湯を混合する接続方法により、貯湯槽内に発生する急激な温度変化に対して比較的安定した給湯温度での温水の供給が可能となる。
また、前記熱利用戻り管が、前記貯湯槽内の湯の撹拌を防止する拡散部材を備えていることを特徴とするもので、前記貯湯槽内の温度成層を崩すことを防止する効果がある。
第2の発明は、記熱利用戻り管が前記加熱配管を介して前記貯湯槽の上部に接続されていることを特徴とするもので、前記貯湯槽に新たに戻り口を設ける必要がないため、前記貯湯槽の耐圧性能の低下を防ぐことができるという効果がある。
第3の発明は、前記出湯管合流管から分岐する注湯用出湯管合流管と前記給水管から分岐する注湯用給水分岐管とが入口側に接続された第3の混合弁と、前記第3の混合弁の出口側に接続され、前記第3の混合弁で混合された湯水が前記浴槽へ流れる注湯用混合水管とを備えたことを特徴とするもので、浴槽へ湯張りを行う注湯の際でも中温水を有効に利用することができるので、さらに良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における給湯装置の構成を示す図である。
図1において、給湯装置は、貯湯槽1と、この貯湯槽1の水を加熱する加熱手段2であるヒートポンプ装置と、貯湯槽1の上部に接続された第1の出湯管3と、貯湯槽1の下部
に接続された給水管5と、第1の出湯管3と給水管5とが接続された位置の間、すなわち、高さ方向において貯湯槽1の胴部略中央部に接続された第2の出湯管4と、給水管5から分岐された給水分岐管10と、第1の出湯管3と第2の出湯管4とが入口側に接続された第1の混合弁6と、この第1の混合弁6の出口側に接続された出湯管合流管8と給水分岐管10とが入口側に接続された第2の混合弁7と、この第2の混合弁7の出口側に接続された混合水管9とを備えている。
さらに、この混合水管9に接続された給湯口11と、第2の出湯管4を流れる湯温を検知する中温検知手段12と、出湯管合流管8を流れる湯温を検知する合流温検知手段13と、混合水管9を流れる湯温を検知する給湯温度検知手段14と、貯湯槽1の上部に接続された熱利用出湯管21と、熱利用出湯管21に接続された熱交換器20と、第1の出湯管3、熱利用出湯管21が接続された貯湯槽1上部と第2の出湯管4が接続された貯湯槽1の胴部略中央部との間に接続された熱利用戻り管22と、熱交換器20に接続された熱利用端末23と、熱利用戻り管22に流れる湯量を調整するポンプ25と、熱利用端末23に流れる湯温を検知する熱利用温度検知手段24とを備えている。
さらに、給湯口11の給湯温度を設定する給湯温度設定手段30と、熱利用端末23の熱利用温度を設定する熱利用温度設定手段31と、中温検知手段12と合流温検知手段13と給湯温度検知手段14の出力ならびに給湯温度設定手段30の設定に基づいて第1の混合弁6と第2の混合弁7とを制御し、熱利用温度設定手段31と熱利用温度検知手段24の出力、ならびに熱利用温度設定手段31の設定に基づいてポンプ25を制御する制御手段32をと有する制御装置33とを備えている。
図2は制御のブロック図を示し、中温検知手段12と、合流温検知手段13、および給湯温度検知手段14の出力と給湯温度設定手段30の設定に基づいて、第1の混合弁6と第2の混合弁7の制御を行う制御手段32からなる。
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
基本的な動作としては、沸き上げ前は貯湯槽1に低温の水が多く満たされており、運転を開始すると、貯湯槽1の水がヒートポンプ装置2に送出され、そこで加熱されて高温の湯が貯湯槽1に戻される。これによって貯湯槽1には高温の湯が貯えられていく。
沸き上げ後の給湯利用の際には、第1の出湯管3と第2の出湯管4を通じて出湯される貯湯槽1の湯を第1の混合弁6によって混合された出湯管合流管8内の湯と、給水分岐管10からの給水を第2の混合弁7によって給湯設定温度に混合されて給湯口11へ供給される。また、給湯に使用された湯量相当の水が給水管5を通じて貯湯槽1下部から流入する。
ここで、この給湯利用時の動作と熱利用端末利用時の動作を図3〜図7を用いて詳細に説明する。給湯温度は給湯温度設定手段30で給湯設定温度として設定され、tsを給湯口11の給湯設定温度とし、ts2を例えば+5℃といった給湯設定温度から所定温度高い温度とし、tmを中温検知手段12で検知した温度とする。また、teを熱利用温度検知手段24で検出する温度とし、ts3を熱利用設定温度手段で設定される温度とする。
図3は、給湯が発生した場合の制御のフローチャートである。給湯が開始されると、tmとts2の大小関係を判断し(ステップ1)、tmがts2よりも高い場合は、第2の出湯管4からのみ出湯するように、第1の混合弁6を第2の出湯管4側に全開にする(ステップ2)。
tmがts2以下である場合は、合流温検知手段13で検知する湯温に基づいて、合流温検知手段13がts2になるように第1の混合弁6の開度を調整する(ステップ3)。その後、給湯温度検知手段14からの出力がtsになるように、第2の混合弁7によって出湯管合流管8の湯と給水分岐管10の水を混合する(ステップ4)。設定温度tsに調整された湯は、混合水管9を通じて給湯口11から給湯される。
図4は、貯湯槽1内の温度分布の変化を示した図である。横軸に温度、縦軸に貯湯槽1の高さを示し、45の温度分布は、中間的な温度帯である中温層の上端が第2の出湯管4の貯湯槽1との接続位置にある場合、つまり、中温層の給湯利用が開始される直前の様子である。第1の出湯管3と第2の出湯管4の両方から出湯される間、中温層は縮小しながら貯湯槽1の上方へ移動する。
両方から出湯したときの出湯管合流管8での湯温がts以下になると、第2の出湯管4からの出湯は停止し、中温層はそのまま貯湯槽1の上方へ移動する。この結果、中温層の大きさは当初は15fであったものが15gまで縮小する。46は、中温層15gが第2の出湯管4の接続位置を通過した時点の温度分布である。
図5は、熱利用端末23での熱利用があった場合の制御のブロック図を示し、熱利用温度検知手段24の出力と、熱利用温度設定手段31の設定に基づいて、ポンプ25の制御を行う制御手段32からなる。
図6は、熱利用端末23での熱利用があった場合の制御のフローチャートである。熱利用端末23での利用が開始されると、熱利用温度検知手段24で熱利用端末23の温度teを検知し、teと熱利用端末設定温度ts3との比較を行う(ステップ5)。teがts3よりも低い場合は、ポンプの駆動を開始し(ステップ6)、高い場合は、ポンプの駆動を停止する(ステップ7)。
図7は、貯湯槽1内の熱利用戻り管からの湯による温度変化と、給湯が発生した場合の温度変化について説明したものであり、横軸に温度、縦軸に貯湯槽1高さをとった温度分布を示す。T1は給水温度であり、T3は貯湯槽1上部の温度、T2は熱利用戻り管22からの湯の流入により生じた中温水の温度である。
図7(a)の61は初期の温度分布であり、その状態から貯湯槽1の上部に熱利用戻り管22からの湯が流入した場合、図7(b)の62に示すような温度分布となる。T2は、熱利用戻り管22から流入する温度とT3によって変化するが、必ず、貯湯槽1の熱利用戻り管22が接続されている位置より下の湯が中温水となる。
その後、給湯が発生した場合、第2の出湯管4が熱利用戻り管よりも下の位置に接続されているため、熱利用戻り管22により生じた中温水が、優先的に利用され、熱利用戻り管22による温度分布変化の影響を取り除くことができる。
また、熱利用戻り管22は貯湯槽1の上部に接続されており、貯湯槽1下部の温度が給水温度T1に保たれているため、沸き上げ時に加熱装置に中温水が循環して効率が低下することは無くなる。
次に、給湯温度tsを生成するために、図1に示す第1の混合弁6と第2の混合弁7の接続構成によって、第1の出湯管3と第2の出湯管4と給水管5の湯水を混合する際の作用について述べる。
まず、熱利用戻り管22から貯湯槽1へ湯が戻る場合、貯湯槽1内に部分的に大きな温
度勾配が発生する現象について説明する。図8は、この現象についての説明を行う図である。横軸方向に貯湯槽1の温度を、縦軸に貯湯槽1の高さを示している。
図8(a)は、熱利用戻り管22と貯湯槽1の接続位置の温度が、熱利用戻り管22から戻る湯の温度よりも高い場合で、点線81は、熱利用端末23での熱利用開始直前の貯湯槽1の温度分布である。この場合、熱利用が開始されると実線82で示すように、貯湯槽1内の高温の湯が熱利用戻り管22の湯と混合して温度が低めの湯となるため、接続位置の直下の部分に中温水が生成される。熱利用が進むと、実線83で示す温度分布のように、接続位置直下の中温水はさらに温度が低く、かつ、領域も大きくなり、また、接続位置の上部には、温度勾配の大きな部分が形成される状態となる。
図8(b)は、熱利用戻り管22と貯湯槽1の接続位置の温度が、熱利用戻り管22から戻る湯の温度よりも低い場合で、点線84は、熱利用端末23での熱利用開始直前の貯湯槽1の温度分布である。この場合、熱利用が開始されると実線85で示すように、貯湯槽1の低温の湯が熱利用戻り管22の湯と混合して高めの湯となるため、接続位置の直上の部分に中温水が生成される。熱利用が進むと、実線86で示す温度分布のように、接続位置直上の中温水はさらに温度が高く、かつ、領域も大きくなり、また、接続位置の下部には、温度勾配の大きな部分が形成される状態となる。
以上のように形成された温度勾配の大きな部分は、給湯利用が進むにつれ貯湯槽1の上方向に上昇して給湯されたり、昼間に沸き上げが発生して、貯湯槽1内におけるその位置が下方向にずれて第2の出湯管4から給湯されたりする。その際、温度勾配が大きいため、第1の混合弁6と第2の混合弁7の開度調整が温度変化に追いつかず、給湯温度よりも低い温度を給湯してしまう場合がある。
次に、図1で示す第1の混合弁6と第2の混合弁7の接続構成(高温先混)とすることで、温度のゆらぎを防止することができることについて説明する。
ここで、混合弁の他に考え得る接続構成には、図9に示すように、まず、第2の出湯管4からの湯と給水分岐管10からの水を給湯温度よりも所定の温度低い温度に混合した後、第1の出湯管3からの湯と混合して給湯温度とする方法が考えられる(低温先混)。本実施の形態で第1の混合弁6での混合温度は、給湯温度より所定温度高い温度とするが、この接続構成の場合は、第1の混合弁6で給湯温度より所定温度低い温度に混合する。一般的に、温度制御を行う場合は、貯湯槽1内の温度分布や、温度検知手段の制度のばらつきを考慮して、ある程度の温度幅を持たすのが通常用いられる方法であるが、混合弁の接続構成によって、前述のように混合温度に違いが発生し、これが、熱利用戻り管22によって発生する温度勾配の大きな部分が出湯される場合の給湯温度のゆらぎに影響を及ぼす。
図10は、配管の接続構成の違いによる給湯温度の違いを示したものである。図10(a)は、図8(a)の温度分布が発生した時に対応しており、第2の出湯管からの温度が45℃で、第1の出湯管から出湯する湯の温度が65℃である状態から、第1の出湯管からの湯の温度が一気に低下して、混合弁の制御が追いつかない場合の給湯温度をグラフ化している。この時の設定温度は40℃としている。
○印のグラフは、本実施の形態における配管接続構成の高温先混の給湯温度であり、×印のグラフは、低温を先に混ぜる配管接続構成(低温先混)の場合の給湯温度である。高温先混は、第2の出湯管の温度が給湯温度以上であるため、貯湯槽1の温度が急激に低下したとしても、第2の出湯管からのみ出湯するため影響はないが、低温先混は、高温を混合させることで最終的な給湯温度にするために、第1の出湯管の温度の低下の影響を受け
やすい。
また、図10(b)は、図8bの温度分布が発生した時に対応しており、第1の出湯管からの温度が65℃で、第2の出湯管から出湯する湯の温度が30℃である状態から、第2の出湯管からの湯の温度が一気に低下して、混合弁の制御が追いつかない場合の給湯温度をグラフ化している。この時の設定温度は40℃としている。
○印のグラフは、本実施の形態における配管接続構成の高温先混の給湯温度であり、×印のグラフは、低温を先に混ぜる配管接続構成(低温先混)の場合の給湯温度である。
第2の出湯管からの湯温が、例えば30℃のように低めの温度である場合、低温先混は、第1の混合弁6での混合温度が給湯温度より所定温度低い温度であるため、給水配管からの給水とは混合しない。そのため、第2の出湯管からの出湯流量は、高温先混の第2の出湯管の場合よりも多く、第2の出湯管の湯の急激な温度が低下の影響を受けやすい。
以上述べたように、図1に示す接続構成とすることにより、貯湯槽内に発生する大きな温度勾配に対して比較的安定した給湯温度での温水の供給が可能となる。
次に示す図11は、熱利用戻り管が貯湯槽1と接続する部分に設置されている撹拌防止部材の一例を示す図である。熱利用戻り管22からの流速が高い場合、貯湯槽1内に形成されている温度成層が湯の流入によって撹拌され、熱利用戻り管の周囲の湯との混合により中温水が多くなる恐れがある。
図11に示すように、熱利用戻り管の貯湯槽1内の出口付近にバッフル板を設置し、流速を落として撹拌を防止する構成にすることによって、より高い効果を得ることができる。尚、撹拌防止部材は、この例の限りでなく、熱利用戻り管の開口部の形状や面積を変更したものであってもよい。
このように、本発明の第1の実施の形態によれば、熱利用戻り管22の貯湯槽1との接続位置を第2の出湯管4の貯湯槽1との接続位置よりも高い位置にする構成により、熱利用戻り管22によって生じる中温水の影響を取り除き、沸き上げ時の効率低下を防ぐことができるので、良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できる。
さらに、ヒートポンプ装置2の冷凍サイクルは冷媒として二酸化炭素を用い、臨界圧を越える圧力で運転することが好ましい。二酸化炭素を冷媒として用いることで沸き上げ温度を高温にできるので、貯湯槽1内の湯温を自在に制御できる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の第2の実施の形態における給湯装置の構成を示す図である。第1の実施の形態における熱利用戻り管22が、加熱手段2の出口側と貯湯槽1とに接続される沸き上げ管16の途中に、接続される構成としている。
制御手段32による制御は第1の実施の形態における制御と同一であり、沸き上げ管16を通して貯湯槽1に熱利用戻り管22内の湯を流入させても中温水の影響による効率低下を防ぐ効果は同等である。加えて、貯湯槽1の頂部に新たに接続口を設ける必要がないため、強度を保つ効果がある。
このように、本発明の第2の実施の形態によれば、貯湯槽1の強度を落とすことなく、熱利用戻り管22による効率低下を防ぐことができる。
(実施の形態3)
図13は、本発明の第3の実施の形態における給湯装置の構成を示す図である。第1の実施の形態の構成に加えて、出湯管合流管8の途中から分岐する注湯用出湯管合流管40と、給水管5から分岐する注湯用給水分岐管41とが入口側に接続される第3の混合弁42と、第3の混合弁42の出口側に接続される注湯用混合水管43とを備えている。
さらに、注湯用混合水管43に接続される注湯口44と、注湯用混合水管43を流れる湯温を検知する注湯温度検知手段45とを備えている。
図14は、第3の実施の形態における制御のブロック図を示し、中温検知手段12と、合流温検知手段13、給湯温度検知手段14、および注湯温度検知手段45の出力と、給湯温度設定手段30、および、熱利用温度設定手段31の設定に基づいて、第1の混合弁6と第2の混合弁7と第3の混合弁42の制御を行う二温度制御手段34からなる。
以下、注湯が開始される場合の動作を、図15の制御のフローチャートを用いて説明する。ここで、ts4を熱利用温度設定手段31で設定される温度ts3よりも例えば+5℃といった所定温度高い温度とする。
注湯が開始されると、tmとts4の大小関係を判断し(ステップ11)、tmがts4よりも高い場合は、第2の出湯管4からのみ出湯するように、第1の混合弁6を第2の出湯管4側に全開にする(ステップ12)。
tmがts4以下である場合は、合流温検知手段13で検知する湯温に基づいて、合流温検知手段13がts4になるように第1の混合弁6の開度を調整する(ステップ13)。その後、注湯温度検知手段45からの出力がts3になるように、第3の混合弁42によって注湯用出湯管合流管40の湯と注湯用給水分岐管41の水を混合する(ステップ14)。設定温度ts3に調整された湯は、注湯用混合水管43を通じて注湯口44から注湯される。
なお、給湯が発生した場合は、図3で示すフローチャートと同様の処理を行い、熱利用端末23で注湯以外の熱利用があった場合は、図5、図6に示すフローチャートと同様の処理を行う。
このように、本発明の第3の実施の形態によれば、浴槽へ湯張りを行う注湯の際にも中温水を優先的に利用することで、さらに沸き上げ時の効率低下を防ぐことができるため、より良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できる。
以上のように、本発明にかかる給湯装置は、貯湯槽内の湯の熱を利用する場合において熱利用端末利用による効率の低下を減少させるので、前記したような家庭用の給湯装置に適用できるほか、熱源と貯湯槽を有するシステムにおいて業務用などの規模の大きい用途にも適用し、優れた省エネルギー性を提供できる。
1 貯湯槽
2 加熱手段(ヒートポンプ装置)
3 第1の出湯管
4 第2の出湯管
5 給水管
6 第1の混合弁
7 第2の混合弁
8 出湯管合流管
9 混合水管
10 給水分岐管
11 給湯口
12 中温検知手段
13 合流温検知手段
14 給湯温度検知手段
16 沸き上げ管
20 熱交換器
21 熱利用出湯管
22 熱利用戻り管
23 熱利用端末
24 熱利用温度検知手段
25 ポンプ
30 給湯温度設定手段
31 熱利用温度設定手段
32 制御手段
33 制御装置
34 二温度制御手段
40 注湯用出湯管合流管
41 注湯用給水分岐管
42 第3の混合弁
43 注湯用混合水管
44 注湯口
45 注湯温度検知手段

Claims (3)

  1. 貯湯槽と、
    前記貯湯槽の下部から送出された低温水を加熱して高温湯とするヒートポンプ装置と、
    前記貯湯槽の下部と前記ヒートポンプ装置とを接続する入水配管と、
    前記ヒートポンプ装置と前記貯湯槽の上部とを接続する加熱配管と、
    前記貯湯槽の上部に接続された第1の出湯管と、
    前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、
    前記貯湯槽の上下方向において前記第1の出湯管が接続された位置と前記給水管が接続された位置との間に接続された第2の出湯管と、
    前記給水管から分岐された給水分岐管と、
    前記第2の出湯管と前記第1の出湯管とが入口側に接続された第1の混合弁と、
    前記第1の混合弁の出口側に接続された出湯管合流管と、
    前記出湯管合流管と前記給水分岐管とが入口側に接続された第2の混合弁と、
    前記第2の混合弁の出口側に接続され、前記第2の混合弁によって混合された湯水が給湯口へ流れる混合水管と、
    前記貯湯槽の上部に接続され、前記貯湯槽の上部に貯えられた前記高温湯を取り出す熱利用出湯管と、
    前記熱利用出湯管に接続され、前記貯湯槽の上部から取り出された前記高温湯によって浴槽の湯水を加熱する熱交換器と、
    前記熱交換器と前記貯湯槽とを接続し、前記熱交換器にて前記浴槽の湯水を加熱して温度が低下した温水を前記貯湯槽に戻す熱利用戻り管と、を備え、
    前記熱利用戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第2の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも高い位置のみで、前記貯湯槽に接続され、
    前記熱利用戻り管には、水平方向に設けられ、前記熱利用戻り管から前記貯湯槽に流入する前記温水が前記貯湯槽の上方に向かって流れることを防止するとともに、前記温水を前記第2の出湯管と前記貯湯槽との前記接続位置よりも高い位置に誘導する撹拌防止部材が設けられていることを特徴とする貯湯式給湯装置。
  2. 前記熱利用戻り管が前記加熱配管を介して前記貯湯槽の上部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
  3. 前記出湯管合流管から分岐する注湯用出湯管合流管と前記給水管から分岐する注湯用給水分岐管とが入口側に接続された第3の混合弁と、
    前記第3の混合弁の出口側に接続され、前記第3の混合弁で混合された湯水が前記浴槽へ流れる注湯用混合水管と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯装置。
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