JP2013224760A - 貯湯式給湯装置 - Google Patents

Abstract

【課題】貯湯槽の湯を利用する構成において、中温水が発生することによる利用可能湯量の減少と、沸き上げ時の効率低下とを抑えた給湯装置を提供すること。
【解決手段】貯湯槽１の上部に接続された第１の出湯管３、貯湯槽１の下部に接続された給水管５、貯湯槽１の上下方向において第１の出湯管３が接続された位置と給水管５が接続された位置との間に接続された第２の出湯管４と、貯湯槽１の上部に接続された浴槽側出湯管２１に接続された浴槽側熱交換器２０と、浴槽側熱交換器２０と貯湯槽１に接続された浴槽側戻り管２３と、貯湯槽１の上部に接続された暖房側出湯管２７に接続された暖房側熱交換器２６と、暖房側熱交換器２６と貯湯槽１に接続された暖房側戻り管２９とを備え、浴槽側戻り管２３は貯湯槽１の上下方向において第２の出湯管４の貯湯槽１の接続位置よりも高い位置で、暖房側戻り管２９は低い位置で、貯湯槽１に接続されている。
【選択図】図１

Description

本発明は、加熱した湯水を貯湯槽へ貯湯して利用する貯湯式給湯装置に関するものである。

この種の給湯装置は、加熱手段によって貯湯槽の底部から供給される水を高温に加熱し、断熱材で被覆された貯湯槽の上部へ貯留する一連のサイクルを繰り返すことにより、貯湯槽の全体または一部に高温の湯を蓄える。使用者が湯を使用する給湯時には、加熱されていない水と混合することで所定温度にして給湯端末で使用する。

ここで用いるヒートポンプ式加熱手段の運転効率は、外気温と沸き上げ温度と加熱手段に供給される水の温度である入水温度とに依存し、外気温が高い場合や沸き上げ温度が低い場合、入水温度が低い場合に運転効率が向上する。外気温は季節や稼動時刻によって変動し、それに加えて入水温度は貯湯槽の温度状態によっても変動する。

特に、風呂追い焚きやラジエター等の貯湯槽内の熱を利用する端末を使用する場合は、熱利用端末内の湯と貯湯槽の湯を熱交換器によって熱交換した後の湯を貯湯槽下部へ戻す構成となっている。

本来は、貯湯槽の底部には給水温度と同程度の温度の水が存在しているが、熱利用端末の利用が発生する場合は、熱交換器からの湯が下部の低い水と混合されるため、給水温度よりも高い中間的な温度となった中温水が貯湯槽の下部に生じる。その中温水が、沸き上げの際に加熱手段へ供給されるため、入水の温度が上昇することになり効率は著しく低下する。

従来、熱利用端末によって生じる中温水を取り除くために、貯湯槽の上下方向の中間的な位置に第２の出湯口を設け、中間位置に存在する湯を優先的に使用する構成としていた（例えば、特許文献１参照）。

図１８は、特許文献１に記載された従来の給湯装置を示すものである。図１８に示すように、貯湯槽１と、この貯湯槽１の湯水を加熱する加熱手段２と、貯湯槽１の上部に接続された第１の出湯管３と、貯湯槽１の中間部分に接続された第２の出湯管４と、貯湯槽１の第１の出湯管３からの湯と第２の出湯管４からの湯を混合させる第１の混合弁６と、第１の混合弁６からの湯と給水管５からの水を混合させる第２の混合弁７とを設け、第１の混合弁６の下流側が所望の温度に、第２の混合弁７の下流側が設定された給湯温度になるように第２の混合弁７の開度を調整する。

また、浴槽２４と、貯湯槽１の熱と浴槽２４内の熱を交換する浴槽側熱交換器２０と、貯湯槽１の上部に接続された浴槽側出湯管２１と、浴槽側熱交換器２０と貯湯槽１の下部に接続された浴槽側戻り管２３と、貯湯槽１から浴槽側熱交換器２０へ湯を搬送するための浴槽側１次側ポンプ２２と、浴槽２４から浴槽側熱交換器２０へ湯を搬送するための浴槽側２次側ポンプ２５とを設け、浴槽２４の追い焚き運転を行う場合は、浴槽２４内の温度を検出し、設定温度になるように浴槽側１次側ポンプ２２と、浴槽側２次側ポンプ２５との流量を制御する。浴槽側戻り管２３から戻る中温水は、貯湯槽１の下部から入水され、湯の利用に従って上昇し、第２の出湯管４から出湯して利用される。

また、暖房ユニット３０と、貯湯槽１の熱と暖房ユニット３０の熱を交換する暖房側熱
交換器２６と、貯湯槽１の上部に接続された暖房側出湯管２７と、暖房側熱交換器２６と貯湯槽１の下部に接続された暖房側戻り管２９と、貯湯槽１から暖房側熱交換器２６へ湯を搬送するための暖房側１次側ポンプ２８と、暖房ユニット３０から暖房側熱交換器２６へ湯を搬送するための暖房側２次側ポンプ３１とを設け、暖房ユニット３０の運転を行う場合は、暖房ユニット３０の温度を検出し、設定温度になるように暖房側１次側ポンプ２８と、暖房側２次側ポンプ３１との流量を制御する。暖房側戻り管２９から戻る中温水は、貯湯槽１の下部から入水され、湯の利用に従って上昇し、第２の出湯管４から出湯して利用される。

特開２００９−９７８２４号公報

しかしながら、浴槽側戻り管２３の貯湯槽１との接続位置が、第２の出湯管４の接続位置よりも低い場合は、浴槽２４の追い焚き運転によって生じる中温水を十分に取り除くことができず、効率の悪化を防ぐことができない。

ここで、図１９を用いて、この作用を詳しく説明する。まず、図１９は従来の構成における貯湯槽１内の浴槽側戻り管からの湯による温度変化と、給湯が発生した場合の温度変化について説明したものであり、横軸に温度、縦軸に貯湯槽１の高さをとって温度分布を示す。図１９（ａ）の５１は初期温度分布であり、その状態から貯湯槽１の底部に浴槽側戻り管２３からの湯が流入した場合、図１９（ｂ）の５２に示すように、貯湯槽１の底部にある温度の低い湯の温度Ｔ１が一様にＴ２まで上昇して中温水が生じる。

その後、シャワー等の給湯が発生すると、図１９（ｃ）の５３に示すように、第２の出湯管４より下の部分が押し上げられ、貯湯槽１の下部には、出湯量に相当する量の水が流入し温度はＴ１に戻る。しかし、最下部は低温であるが、それ以上の５４で示す部分の中温水は使い切れずに残ったままになる。

その後、貯湯槽１の底部から順番に加熱手段２へ湯を循環して夜間の沸き上げが行われるため、加熱手段２へＴ２まで上昇した中温水が送られ効率が低下する。そのため、浴槽側戻り管２３からの湯の戻りによる温度分布変化を鑑みると、浴槽側戻り管２３の接続位置が第２の出湯管４の下より低い位置にある場合では、効率の低下を十分に防止することはできないことがわかる。

本発明は、前記従来の課題を解決するもので、貯湯槽の湯を利用する構成において、中温水が発生することによる利用可能湯量の減少と、沸き上げ時の効率低下とを抑えて、使用性と省エネルギー性に優れた給湯装置を提供することを目的とする。

前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯装置は、貯湯槽と、前記貯湯槽の上部に接続された第１の出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、前記貯湯槽の上下方向において前記第１の出湯管が接続された位置と前記給水管が接続された位置との間に接続された第２の出湯管と、前記給水管から分岐された給水分岐管と、前記第２の出湯管と前記第１の出湯管とが入口側に接続された第１の混合弁と、前記第１の混合弁の出口側に接続された出湯管合流管と、前記出湯管合流管と前記給水分岐管とが入口側に接続された第２の混合弁と、前記第２の混合弁の出口側に接続された混合水管と、前記貯湯槽の上部に接続された浴槽側出湯管と、前記浴槽側出湯管に接続された浴槽側熱交換器
と、前記浴槽側熱交換器と前記貯湯槽に接続された浴槽側戻り管と、前記貯湯槽の上部に接続された暖房側出湯管と、前記暖房側出湯管に接続された暖房側熱交換器と、前記暖房側熱交換器と前記貯湯槽に接続された暖房側戻り管とを備え、前記浴槽側戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第２の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも高い位置で、前記貯湯槽に接続され、前記暖房側戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第２の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも低い位置で、前記貯湯槽に接続されていることを特徴とするものである。

これによって、浴槽で湯の使用がある場合、浴槽側熱交換器から貯湯槽に戻る湯により発生した中温水を、第２の出湯管を通じて有効に利用することができる。

また、第１の出湯管の湯と第２の出湯管を混合した後に、給水管からの湯を混合する接続方法により、貯湯槽内に発生する大きな温度勾配に対して比較的安定した給湯温度で温水の供給が可能となる。

本発明によれば、貯湯槽の湯を利用する構成において、中温水が発生することによる利用可能湯量の減少と、沸き上げ時の効率低下とを抑えて、使用性と省エネルギー性に優れた給湯装置を提供できる。

本発明の実施の形態１における給湯装置の構成図 同給湯が発生する場合の制御ブロック図 同給湯が発生する場合の制御のフローチャート 同貯湯槽内の温度分布の変化を示す図 同浴槽での追い炊き運転があった場合の制御ブロック図 同浴槽での追い炊き運転があった場合の制御のフローチャート （ａ）同浴槽での追い炊き運転を開始する前の温度分布を示す図（ｂ）同浴槽での追い炊き運転を開始した直後の温度分布を示す図（ｃ）同浴槽での追い炊き運転を開始した後、給湯が発生した後の温度分布を示す図 （ａ）本発明の実施の形態１において貯湯槽の温度が高い場合に大きな温度勾配が発生する仕組みを示す図（ｂ）本発明の実施の形態１において貯湯槽の温度が低い場合に大きな温度勾配が発生する仕組みを示す図 同暖房ユニットでの暖房運転を行う場合の制御ブロック図 同暖房ユニットでの暖房運転を行う場合の制御のフローチャート 本発明の実施の形態１において考え得る混合弁の他の接続構成を示す図 （ａ）本発明の実施の形態１において貯湯槽からの第１の出湯管の出湯温度が急激に変化する場合の給湯温度を示す図（ｂ）本発明の実施の形態１において貯湯槽からの第２の出湯管の出湯温度が急激に変化する場合の給湯温度を示す図 同給湯装置の噴出し水流調整手段の断面図 本発明の実施の形態２における給湯装置の構成図 本発明の実施の形態３における給湯装置の構成図 同給湯が発生する場合の制御ブロック図 同給湯が発生する場合の制御のフローチャート 従来の給湯装置の構成図 （ａ）従来の給湯装置において浴槽での追い炊き運転を開始する前の温度分布を示す図（ｂ）従来の給湯装置において浴槽での追い炊き運転を開始した直後の温度分布を示す図（ｃ）従来の給湯装置において浴槽での追い炊き運転を開始した後に給湯が発生した後の温度分布を示す図

第１の発明は、貯湯槽と、前記貯湯槽の上部に接続された第１の出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、前記貯湯槽の上下方向において前記第１の出湯管が接続された位置と前記給水管が接続された位置との間に接続された第２の出湯管と、前記給水管から分岐された給水分岐管と、前記第２の出湯管と前記第１の出湯管とが入口側に接続された第１の混合弁と、前記第１の混合弁の出口側に接続された出湯管合流管と、前記出湯管合流管と前記給水分岐管とが入口側に接続された第２の混合弁と、前記第２の混合弁の出口側に接続された混合水管と、前記貯湯槽の上部に接続された浴槽側出湯管と、前記浴槽側出湯管に接続された浴槽側熱交換器と、前記浴槽側熱交換器と前記貯湯槽に接続された浴槽側戻り管と、前記貯湯槽の上部に接続された暖房側出湯管と、前記暖房側出湯管に接続された暖房側熱交換器と、前記暖房側熱交換器と前記貯湯槽に接続された暖房側戻り管とを備え、前記浴槽側戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第２の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも高い位置で、前記貯湯槽に接続され、前記暖房側戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第２の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも低い位置で、前記貯湯槽に接続されていることを特徴とする貯湯式給湯装置である。

これにより、浴槽側熱交換器から貯湯槽に戻る湯により発生した中温水を第２の出湯管を通じて有効に利用することにより、貯湯された湯の熱量を最大限有効に利用し、かつ、沸き上げ効率の低下を防ぐことができるので、良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できるという効果がある。

また、第１の出湯管の湯と第２の出湯管を混合した後に、給水管からの湯を混合する接続方法により、貯湯槽内に発生する急激な温度変化に対して比較的安定した給湯温度での温水の供給が可能となる。

第２の発明は、前記出湯管合流管から分岐する注湯用出湯管合流管と前記給水管から分岐する注湯用給水分岐管とが入口側に接続された第３の混合弁と、前記第３の混合弁の出口側に接続された注湯用混合水管とを備えたことを特徴とする貯湯式給湯装置で、浴槽へ湯張りを行う注湯の際でも中温水を有効に利用することができるので、さらに良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できるという効果がある。

第３の発明は、前記浴槽側戻り管の先端に、噴出し口からの水流が、前記貯湯槽内で高さ方向に対して、略水平方向に分散して噴出する噴出し水流調整手段を配設したことを特徴とするもので、前記貯湯槽内の温度成層を崩すことを防止する効果がある。

第４の発明は、前記貯湯槽の底部に接続された入水配管と、前記入水配管に接続された加熱手段と、前記加熱手段と前記貯湯装置上部に接続された加熱配管とを備え、前記浴槽側戻り管が前記加熱配管と接続していることを特徴とするもので、前記貯湯槽に新たに戻り口を設ける必要がないため、前記貯湯槽の耐圧性能の低下を防ぐことができるという効果がある。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

（実施の形態１）
図１は本発明の第１の実施の形態における給湯装置の構成を示す図である。

図１において、給湯装置は、貯湯槽１と、この貯湯槽１の水を加熱する加熱手段２であるヒートポンプ装置と、貯湯槽１の上部に接続された第１の出湯管３と、貯湯槽１の下部に接続された給水管５と、第１の出湯管３と給水管５とが接続された位置の間、すなわち
、高さ方向において貯湯槽１の胴部略中央部に接続された第２の出湯管４と、給水管５から分岐された給水分岐管１０と、第１の出湯管３と第２の出湯管４とが入口側に接続された第１の混合弁６と、この第１の混合弁６の出口側に接続された出湯管合流管８と給水分岐管１０とが入口側に接続された第２の混合弁７と、この第２の混合弁７の出口側に接続された混合水管９とを備えている。

さらに、この混合水管９に接続された給湯口１１と、第２の出湯管４を流れる湯温を検知する中温検知手段１２と、出湯管合流管８を流れる湯温を検知する合流温検知手段１３と、混合水管９を流れる湯温を検知する給湯温度検知手段１４と、貯湯槽１の上部に接続された浴槽側出湯管２１と、浴槽側出湯管２１に接続された浴槽側熱交換器２０と、第１の出湯管３、浴槽側出湯管２１が接続された貯湯槽１上部と第２の出湯管４が接続された貯湯槽１の胴部略中央部との間に接続された浴槽側戻り管２３と、浴槽側熱交換器２０に接続された浴槽２４と、浴槽側戻り管２３に流れる湯量を調整する浴槽側１次側ポンプ２２と、浴槽２４に流れる湯量を調整する浴槽側２次側ポンプ２５と、浴槽２４に流れる湯温を検知する浴槽側温度検知手段３２とを備えている。

さらに、貯湯槽１の上部に接続された暖房側出湯管２７と、暖房側出湯管２７に接続された暖房側熱交換器２６と、第２の出湯管４が接続された貯湯槽１の胴部略中央部より下方で貯湯槽１下部に接続された暖房側戻り管２９と、暖房側熱交換器２６に接続された暖房ユニット３０と、暖房側戻り管２９に流れる湯量を調整する暖房側１次側ポンプ２８と、暖房ユニット３０に流れる湯量を調整する暖房側２次側ポンプ３１と、暖房ユニット３０に流れる湯温を検知する暖房側温度検知手段３３とを備えている。

さらに、給湯口１１の給湯温度を設定する給湯温度設定手段３４と、浴槽２４の出口温度を設定する浴槽側温度設定手段３５と、暖房ユニット３０の出口温度を設定する暖房側温度設定手段３６と、中温検知手段１２と合流温検知手段１３と給湯温度検知手段１４の出力ならびに給湯温度設定手段３４の設定に基づいて第１の混合弁６と第２の混合弁７とを制御し、浴槽側温度設定手段３５と浴槽側温度検知手段３２の出力、ならびに浴槽側温度設定手段３５の設定に基づいて浴槽側１次側ポンプ２２、浴槽側２次側ポンプ２５を、暖房側温度設定手段３６と暖房側温度検知手段３３の出力、ならびに暖房側温度設定手段３６の設定に基づいて暖房側１次側ポンプ２８、暖房側２次側ポンプ３１を制御する制御手段３７をと有する制御装置３８とを備えている。

図２は制御のブロック図を示し、中温検知手段１２と、合流温検知手段１３、および給湯温度検知手段１４の出力と給湯温度設定手段３４の設定に基づいて、第１の混合弁６と第２の混合弁７の制御を行う制御手段３７からなる。

以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。

基本的な動作としては、沸き上げ前は貯湯槽１に低温の水が多く満たされており、運転を開始すると、貯湯槽１の水がヒートポンプ装置２に送出され、そこで加熱されて高温の湯が貯湯槽１に戻される。これによって貯湯槽１には高温の湯が貯えられていく。

沸き上げ後の給湯利用の際には、第１の出湯管３と第２の出湯管４を通じて出湯される貯湯槽１の湯を第１の混合弁６によって混合された出湯管合流管８内の湯と、給水分岐管１０からの給水を第２の混合弁７によって給湯設定温度に混合されて給湯口１１へ供給される。また、給湯に使用された湯量相当の水が給水管５を通じて貯湯槽１下部から流入する。

図３は、給湯が発生した場合の制御のフローチャートである。ここで、給湯温度は給湯
温度設定手段３４で給湯設定温度として設定され、ｔｓ２を給湯口１１の給湯設定温度とし、ｔｓ２を例えば＋５℃といった給湯設定温度から所定温度高い温度とし、ｔｍを中温検知手段１２で検知した温度とする。

給湯が開始されると、ｔｍとｔｓ２の大小関係を判断し（ステップ１）、ｔｍがｔｓ２よりも高い場合は、第２の出湯管４からのみ出湯するように、第１の混合弁６を第２の出湯管４側に全開にする（ステップ２）。

ｔｍがｔｓ２以下である場合は、合流温検知手段１３で検知する湯温に基づいて、合流温検知手段１３がｔｓ２になるように第１の混合弁６の開度を調整する（ステップ３）。その後、給湯温度検知手段１４からの出力がｔｓになるように、第２の混合弁７によって出湯管合流管８の湯と給水分岐管１０の水を混合する（ステップ４）。設定温度ｔｓに調整された湯は、混合水管９を通じて給湯口１１から給湯される。

図４は、貯湯槽１内の温度分布の変化を示した図である。横軸に温度、縦軸に貯湯槽１の高さを示し、４６の温度分布は、中間的な温度帯である中温層の上端が第２の出湯管４の貯湯槽１との接続位置にある場合、つまり、中温層の給湯利用が開始される直前の様子である。第１の出湯管３と第２の出湯管４の両方から出湯される間、中温層は縮小しながら貯湯槽１の上方へ移動する。

両方から出湯したときの出湯管合流管８での湯温がｔｓ以下になると、第２の出湯管４からの出湯は停止し、中温層はそのまま貯湯槽１の上方へ移動する。この結果、中温層の大きさは当初は１５ｆであったものが１５ｇまで縮小する。４７は、中温層１５ｇが第２の出湯管４の接続位置を通過した時点の温度分布である。

図５は、浴槽２４での追い炊き運転があった場合の制御のブロック図を示し、浴槽温度検知手段３２の出力と、浴槽側温度設定手段３５の設定に基づいて、浴槽側１次側ポンプ２２の制御を行う制御手段３７からなる。

図６は、浴槽２４での追い炊き運転があった場合の制御のフローチャートである。ここで、ｔｅを浴槽側温度検知手段３２で検出する温度とし、ｔｓ３を浴槽側設定温度手段で設定される温度とする。浴槽２４での追い炊き運転が開始されると、浴槽温度検知手段３２で浴槽２４の温度ｔｅを検知し、ｔｅと浴槽設定温度ｔｓ３との比較を行う（ステップ５）。ｔｅがｔｓ３よりも低い場合は、ポンプの駆動を開始し（ステップ６）、高い場合は、ポンプの駆動を停止する（ステップ７）。

図７は、貯湯槽１内の浴槽側戻り管からの湯による温度変化と、給湯が発生した場合の温度変化について説明したものであり、横軸に温度、縦軸に貯湯槽１高さをとった温度分布を示す。Ｔ１は給水温度であり、Ｔ３は貯湯槽１上部の温度、Ｔ２は浴槽側戻り管２３からの湯の流入により生じた中温水の温度である。

図７（ａ）の６１は初期の温度分布であり、その状態から貯湯槽１の上部に浴槽側戻り管２３からの湯が流入した場合、図７（ｂ）の６２に示すような温度分布となる。Ｔ２は、浴槽側戻り管２３から流入する温度とＴ３によって変化するが、必ず、貯湯槽１の浴槽側戻り管２３が接続されている位置より下の湯が中温水となる。

その後、給湯が発生した場合、第２の出湯管４が浴槽側戻り管２３よりも下の位置に接続されているため、浴槽側戻り管２３により生じた中温水が、優先的に利用され、浴槽側戻り管２３による温度分布変化の影響を取り除くことができる。

また、浴槽側戻り管２３は貯湯槽１の上部に接続されており、貯湯槽１下部の温度が給水温度Ｔ１に保たれているため、沸き上げ時に加熱装置に中温水が循環して効率が低下することは無くなる。

次に、給湯温度ｔｓを生成するために、図１に示す第１の混合弁６と第２の混合弁７の接続構成によって、第１の出湯管３と第２の出湯管４と給水管５の湯水を混合する際の作用について述べる。

まず、浴槽側戻り管２３から貯湯槽１へ湯が戻る場合、貯湯槽１内に部分的に大きな温度勾配が発生する現象について説明する。図８は、この現象についての説明を行う図である。横軸方向に貯湯槽１の温度を、縦軸に貯湯槽１の高さを示している。

図８（ａ）は、浴槽側戻り管２３と貯湯槽１の接続位置の温度が、浴槽側戻り管２３から戻る湯の温度よりも高い場合で、点線７１は、浴槽２４での追い炊き運転開始直前の貯湯槽１の温度分布である。この場合、追い炊き運転が開始されると実線７２で示すように、貯湯槽１内の高温の湯が浴槽側戻り管２３の湯と混合して温度が低めの湯となるため、接続位置の直下の部分に中温水が生成される。追い炊き運転が進むと、実線７３で示す温度分布のように、接続位置直下の中温水はさらに温度が低く、かつ、領域も大きくなり、また、接続位置の上部には、温度勾配の大きな部分が形成される状態となる。

図８（ｂ）は、浴槽側戻り管２３と貯湯槽１の接続位置の温度が、浴槽側戻り管２３から戻る湯の温度よりも低い場合で、点線７４は、浴槽２４での追い炊き運転開始直前の貯湯槽１の温度分布である。この場合、追い炊き運転が開始されると実線７５で示すように、貯湯槽１の低温の湯が浴槽側戻り管２３の湯と混合して高めの湯となるため、接続位置の直上の部分に中温水が生成される。追い炊き運転が進むと、実線７６で示す温度分布のように、接続位置直上の中温水はさらに温度が高く、かつ、領域も大きくなり、また、接続位置の下部には、温度勾配の大きな部分が形成される状態となる。

以上のように形成された温度勾配の大きな部分は、給湯利用が進むにつれ貯湯槽１の上方向に上昇して給湯されたり、昼間に沸き上げが発生して、貯湯槽１内におけるその位置が下方向にずれて第２の出湯管４から給湯されたりする。その際、温度勾配が大きいため、第１の混合弁６と第２の混合弁７の開度調整が温度変化に追いつかず、給湯温度よりも低い温度を給湯してしまう場合がある。

図９は、暖房ユニット３０での暖房運転があった場合の制御のブロック図を示し、暖房温度検知手段３３の出力と、暖房温度設定手段３６の設定に基づいて、暖房側１次側ポンプ２８の制御を行う制御手段３７からなる。

図１０は、暖房ユニット３０での暖房運転があった場合の制御のフローチャートである。ここで、ｔｆを暖房側温度検知手段３６で検出する温度とし、ｔｓ４を浴槽側設定温度手段で設定される温度とする。暖房ユニット３０での暖房運転が開始されると、暖房温度検知手段３３で暖房ユニット３０の温度ｔｆを検知し、ｔｆと暖房設定温度ｔｓ４との比較を行う（ステップ８）。ｔｆがｔｓ４よりも低い場合は、ポンプの駆動を開始し（ステップ９）、高い場合は、ポンプの駆動を停止する（ステップ１０）。

以上のように形成された中温水は、給湯利用が進むにつれ貯湯槽１の上方向に上昇して給湯されたり、昼間に沸き上げが発生して、貯湯槽１内におけるその位置が下方向にずれて第２の出湯管４から給湯されたりする。

次に、図１で示す第１の混合弁６と第２の混合弁７の接続構成（高温先混）とすること
で、温度のゆらぎを防止することができることについて説明する。

ここで、混合弁の他に考え得る接続構成には、図１１に示すように、まず、第２の出湯管４からの湯と給水分岐管１０からの水を給湯温度よりも所定の温度低い温度に混合した後、第１の出湯管３からの湯と混合して給湯温度とする方法が考えられる（低温先混）。本実施の形態で第１の混合弁６での混合温度は、給湯温度より所定温度高い温度とするが、この接続構成の場合は、第１の混合弁６で給湯温度より所定温度低い温度に混合する。

一般的に、温度制御を行う場合は、貯湯槽１内の温度分布や、温度検知手段の制度のばらつきを考慮して、ある程度の温度幅を持たすのが通常用いられる方法であるが、混合弁の接続構成によって、前述のように混合温度に違いが発生し、これが、浴槽側戻り管２３によって発生する温度勾配の大きな部分が出湯される場合の給湯温度のゆらぎに影響を及ぼす。

図１２は、配管の接続構成の違いによる給湯温度の違いを示したものである。図１２（ａ）は、図８（ａ）の温度分布が発生した時に対応しており、第２の出湯管からの温度が４５℃で、第１の出湯管から出湯する湯の温度が６５℃である状態から、第１の出湯管からの湯の温度が一気に低下して、混合弁の制御が追いつかない場合の給湯温度をグラフ化している。この時の設定温度は４０℃としている。

○印のグラフは、本実施の形態における配管接続構成の高温先混の給湯温度であり、×印のグラフは、低温を先に混ぜる配管接続構成（低温先混）の場合の給湯温度である。高温先混は、第２の出湯管の温度が給湯温度以上であるため、貯湯槽１の温度が急激に低下したとしても、第２の出湯管からのみ出湯するため影響はないが、低温先混は、高温を混合させることで最終的な給湯温度にするために、第１の出湯管の温度の低下の影響を受けやすい。

また、図１２（ｂ）は、図８（ｂ）の温度分布が発生した時に対応しており、第１の出湯管からの温度が６５℃で、第２の出湯管から出湯する湯の温度が３０℃である状態から、第２の出湯管からの湯の温度が一気に低下して、混合弁の制御が追いつかない場合の給湯温度をグラフ化している。この時の設定温度は４０℃としている。

○印のグラフは、本実施の形態における配管接続構成の高温先混の給湯温度であり、×印のグラフは、低温を先に混ぜる配管接続構成（低温先混）の場合の給湯温度である。

第２の出湯管からの湯温が、例えば３０℃のように低めの温度である場合、低温先混は、第１の混合弁６での混合温度が給湯温度より所定温度低い温度であるため、給水配管からの給水とは混合しない。そのため、第２の出湯管からの出湯流量は、高温先混の第２の出湯管の場合よりも多く、第２の出湯管の湯の急激な温度が低下の影響を受けやすい。

以上述べたように、図１に示す接続構成とすることにより、貯湯槽内に発生する大きな温度勾配に対して比較的安定した給湯温度での温水の供給が可能となる。

次に示す図１３は、浴槽側戻り管２３が貯湯槽１と接続する部分に設置されている撹拌防止部材の一例を示す図である。浴槽側戻り管２３からの流速が高い場合、貯湯槽１内に形成されている温度成層が湯の流入によって撹拌され、浴槽側戻り管２３の周囲の湯との混合により中温水が多くなる恐れがある。

図１３に示すように、浴槽側戻り管２３の先端に、噴出し水流調整手段４８を配設している。この噴出し水流調整手段４８に形成された２つの噴出し口４８ａと４８ｂは、貯湯
槽１内の内壁近傍の位置に設けられ、貯湯槽１の上下方向に対して水平、かつ、浴槽側戻り管２３の管内水流に対して略直角方向となるように両側に形成されている。

浴槽側戻り管２３内を経由して、噴出し水流調整手段４８に流入する湯水は、噴出し水流調整手段４８に構成された噴出し口４８ａと４８ｂから貯湯槽１内へ流入する。

噴出し水流調整手段４８に形成された複数の噴出し口４８ａと４８ｂとは、貯湯槽１内の内壁近傍の位置に、浴槽側戻り管２３の管内水流に対して略直角方向となるように両側に形成され、かつ、貯湯槽１の上下方向に対して略水平関係になるように形成されている。

従って、噴出し口４８ａおよび４８ｂから貯湯槽１内へ流入する水流は、貯湯槽１の上下方向に対して、略水平に流入するとともに、浴槽側戻り管２３の管内水流方向に対し略直角方向に左右方向の両側に分散して流入する。

このように、本発明の第１の実施の形態によれば、浴槽側戻り管２３の貯湯槽１との接続位置を第２の出湯管４の貯湯槽１との接続位置よりも高い位置にする構成により、浴槽側戻り管２３によって生じる中温水の影響を取り除き、沸き上げ時の効率低下を防ぐことができるので、良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できる。

さらに、ヒートポンプ装置２の冷凍サイクルは冷媒として二酸化炭素を用い、臨界圧を越える圧力で運転することが好ましい。二酸化炭素を冷媒として用いることで沸き上げ温度を高温にできるので、貯湯槽１内の湯温を自在に制御できる。

（実施の形態２）
図１４は、本発明の第２の実施の形態における給湯装置の構成を示す図である。第１の実施の形態における浴槽側戻り管２３が、加熱手段２の出口側と貯湯槽１の上部とを接続している沸き上げ管１６の途中に接続される構成としている。

制御手段３７による制御は第１の実施の形態における制御と同一であり、沸き上げ管１６を通して、貯湯槽１に浴槽側戻り管２３内の湯を流入させても、中温水の影響による効率低下を防ぐ効果は同等である。加えて、貯湯槽１の頂部に新たに接続口を設ける必要がないため、強度を保つ効果がある。

このように、本発明の第２の実施の形態によれば、貯湯槽１の強度を落とすことなく、浴槽側戻り管２３による効率低下を防ぐことができる。

（実施の形態３）
図１５は、本発明の第３の実施の形態における給湯装置の構成を示す図である。第１の実施の形態の構成に加えて、出湯管合流管８の途中から分岐する注湯用出湯管合流管４０と、給水管５から分岐する注湯用給水分岐管４１とが入口側に接続される第３の混合弁４２と、第３の混合弁４２の出口側に接続される注湯用混合水管４３とを備えている。

さらに、注湯用混合水管４３に接続される注湯口４４と、注湯用混合水管４３を流れる湯温を検知する注湯温度検知手段４５とを備えている。

図１６は、第３の実施の形態における制御のブロック図を示し、中温検知手段１２と、合流温検知手段１３、給湯温度検知手段１４、および注湯温度検知手段４５の出力と、給湯温度設定手段３４、および、浴槽側温度設定手段３５の設定に基づいて、第１の混合弁６と第２の混合弁７と第３の混合弁４２の制御を行う二温度制御手段３４からなる。

以下、注湯が開始される場合の動作を、図１７の制御のフローチャートを用いて説明する。ここで、ｔｓ５を浴槽側温度設定手段３５で設定される温度ｔｓ３よりも例えば＋５℃といった所定温度高い温度とする。

注湯が開始されると、ｔｍとｔｓ５の大小関係を判断し（ステップ１１）、ｔｍがｔｓ５よりも高い場合は、第２の出湯管４からのみ出湯するように、第１の混合弁６を第２の出湯管４側に全開にする（ステップ１２）。

ｔｍがｔｓ５以下である場合は、合流温検知手段１３で検知する湯温に基づいて、合流温検知手段１３がｔｓ５になるように第１の混合弁６の開度を調整する（ステップ１３）。その後、注湯温度検知手段４５からの出力がｔｓ３になるように、第３の混合弁４２によって注湯用出湯管合流管４０の湯と注湯用給水分岐管４１の水を混合する（ステップ１４）。設定温度ｔｓ３に調整された湯は、注湯用混合水管４３を通じて注湯口４４から注湯される。

なお、給湯が発生した場合は、図３で示すフローチャートと同様の処理を行い、浴槽２４で注湯以外の熱利用があった場合は、図５、図６に示すフローチャートと同様の処理を行い、暖房ユニット３０で熱利用があった場合は、図９、図１０に示すフローチャートと同様の処理を行う。

このように、本発明の第３の実施の形態によれば、浴槽へ湯張りを行う注湯の際にも中温水を優先的に利用することで、さらに沸き上げ時の効率低下を防ぐことができるため、より良好な使い勝手と高い省エネルギー性とを実現できる。

以上のように、本発明にかかる給湯装置は、貯湯槽内の湯の熱を利用する場合において浴槽利用による効率の低下を減少させるので、家庭用の給湯装置や業務用などの規模の大きい用途にも適用できる。

１ 貯湯槽
３ 第１の出湯管
４ 第２の出湯管
５ 給水管
６ 第１の混合弁
７ 第２の混合弁
８ 出湯管合流管
９ 混合水管
１０ 給水分岐管
２０ 浴槽側熱交換器
２１ 浴槽側出湯管
２３ 浴槽側戻り管
２６ 暖房側熱交換器
２７ 暖房側出湯管
２９ 暖房側戻り管
４８ 噴出し水流調整手段

Claims (4)

1. 貯湯槽と、前記貯湯槽の上部に接続された第１の出湯管と、前記貯湯槽の下部に接続された給水管と、前記貯湯槽の上下方向において前記第１の出湯管が接続された位置と前記給水管が接続された位置との間に接続された第２の出湯管と、前記給水管から分岐された給水分岐管と、前記第２の出湯管と前記第１の出湯管とが入口側に接続された第１の混合弁と、前記第１の混合弁の出口側に接続された出湯管合流管と、前記出湯管合流管と前記給水分岐管とが入口側に接続された第２の混合弁と、前記第２の混合弁の出口側に接続された混合水管と、前記貯湯槽の上部に接続された浴槽側出湯管と、前記浴槽側出湯管に接続された浴槽側熱交換器と、前記浴槽側熱交換器と前記貯湯槽に接続された浴槽側戻り管と、前記貯湯槽の上部に接続された暖房側出湯管と、前記暖房側出湯管に接続された暖房側熱交換器と、前記暖房側熱交換器と前記貯湯槽に接続された暖房側戻り管とを備え、前記浴槽側戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第２の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも高い位置で、前記貯湯槽に接続され、前記暖房側戻り管は、前記貯湯槽の上下方向において、前記第２の出湯管の前記貯湯槽の接続位置よりも低い位置で、前記貯湯槽に接続されていることを特徴とする貯湯式給湯装置。
2. 前記出湯管合流管から分岐する注湯用出湯管合流管と前記給水管から分岐する注湯用給水分岐管とが入口側に接続された第３の混合弁と、前記第３の混合弁の出口側に接続された注湯用混合水管とを備えたことを特徴とする請求項１に記載の貯湯式給湯装置。
3. 前記浴槽側戻り管の先端に、噴出し口からの水流が、前記貯湯槽内で高さ方向に対して、略水平方向に分散して噴出する噴出し水流調整手段を配設したことを特徴とする請求項１または２に記載の貯湯式給湯装置。
4. 前記貯湯槽の底部に接続された入水配管と、前記入水配管に接続された加熱手段と、前記加熱手段と前記貯湯装置上部に接続された加熱配管とを備え、前記浴槽側戻り管が前記加熱配管と接続していることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の貯湯式給湯装置。