JP5533333B2 - ホログラムシート - Google Patents

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Description

本発明は、新規なホログラムシート、特に、位相ホログラムを呈するレリーフホログラムのレリーフ位置に、サーモクロミック薄膜を配した発色型のホログラムシートに関するものである。
本明細書において、配合を示す「部」は質量基準である。また、「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。「回折格子」には、光干渉縞などの光学的に形成したものや、電子線描画方法などの直接描画方法によって形成したものを含む。
(主なる用途)
本発明のホログラムシートの主なる用途としては、ホログラムそのものを装飾用として用いる美術・工芸品分野や商業用分野があるが、それにとどまらず、偽造防止分野に使用されるホログラムシートであって、具体的には、クレジットカード等の偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
また、これら情報記録体以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も偽造され得るものである。また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体、またはそれらのケース等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
(背景技術)
従来、情報記録体や上記した種々の物品(総称して、真正性識別対象物と言う。)の偽造を防止する目的で、その構造の精密さから、製造上の困難性を有すると言われるホログラムを真正性の識別可能なものとして適用することが多く行なわれている。しかしながら、ホログラムの製造方法自体は知られており、その方法により精密な加工を施すことができることから、ホログラムが単に目視による判定だけのものであるときは、真正なホログラムと偽造されたホログラムとの区別は困難である。
これらの真正性識別対象物、特にラベル形態や転写形態にてホログラム画像を施された物品は、ホログラム画像の目視確認という真正性識別のみでなく、新たな真正性識別方法を用いてその対象物の真正性を識別する必要が生じている。
(先行技術)
これらの要求に応えるため、ホログラムに積層して、入射した光の内、左回り偏光もしくは、右回り偏光のいずれか一方の光のみを反射する光選択反射層を有するホログラムシートが提案された。(例えば、特許文献1参照。)
この光選択反射層として、コレステリック液晶を使用し、偏光版等を用いて確認する方法で偽造防止性を高めている。
しかしながら、特許文献1の記載にあるように、ホログラム形成層上の反射性薄膜層の反射率が高いため、コレステリック液晶層で反射されず透過した光(選択的反射光の補色光)が、この反射性薄膜層で反射し、再びコレステリック液晶層へ戻る(以下戻り光とする)ことにより、この戻り光が、コレステリック液晶を観察する際のノイズ成分となって、選択的反射光に付加・混在し、液晶本来の色調とならず、視認・識別することすら難しくなっていた。
また、コレステリック液晶材料そのものが高価であり、その液晶性能を引き出すためには液晶層に接して、配向膜の形成が不可欠であって煩雑であり、さらには、コレステリック液晶の光散乱性により、ホログラム画像を再生する光がその液晶層を通過するときに画像にボケ・歪みを生じる等の問題があった。
このため、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えたり、コレステリック液晶層そのものを薄くする等の工夫が考えられたが、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えるために屈折率差を小さくしたり、コレステリック液晶層を薄くしたりすると、上記した光選択反射層としての機能が低下してしまい、ホログラム画像の鮮明性と偽造防止性能を確保する最適な条件を得ることが難しいという欠点を有していた。
さらには、ホログラム形成層をサーモクロミック材料で構成し、そのサーモクロミック層の一方の面にホログラムレリーフと反射性薄膜層を形成することで、そのホログラムレリーフの存在を隠蔽する偽造防止方法が提案されているが、この積層におけるサーモクロミック層は、あくまで「意外な色調変化をする」層としての役目をしているのみであり、偽造防止効果としては不十分であった。(例えば、特許文献2参照。)
特開2007−90538号公報 特開平3−248188号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、位相ホログラムのホログラム形成層、すなわちホログラムレリーフに接するようにサーモクロミック薄膜層を設け、定められた条件下でのみ、所定の色調からなるホログラムを視認することができ、もしくは、定められた条件下で、色調が変化したホログラムを視認することができる、新規なホログラムシートを提供することである。さらに、このようなホログラムシートはこれまでに存在しないため、新規な装飾性及び、これを応用する偽造防止性を提供することである。
上記の課題を解決するために、
本発明のホログラムシートの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、光遮蔽性薄膜が離散的に設けられ、その上に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して、且つ均一な厚さで、サーモクロミック薄膜層が設けられていることを特徴とするものである。
上記第1の態様のホログラムシートによれば、
透明基材の一方の面に、光遮蔽性薄膜が離散的に設けられ、その上に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して、且つ均一な厚さで、サーモクロミック薄膜層が設けられていることで、サーモクロミック薄膜層の発光光の空間的なコヒーレント性を向上させ、鮮明なホログラムの再生像を得ることができる、ホログラムシートを提供することができる。
また、本発明のホログラムシートの第2の態様は、
前記サーモクロミック薄膜層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とするものである。
上記第2の態様のホログラムシートによれば、
前記サーモクロミック薄膜層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下である請求項1記載のホログラムシートが提供され、サーモクロミック薄膜層の発光光の発光位置を制御して、空間的なコヒーレント性を向上させ、鮮明なホログラムの再生像を得ることができる。
発明のホログラムシートにおいては、ホログラム画像を再生する回折格子群が、ホログラムレリーフとして、透明樹脂層面上に略一平面として形成されており、このレリーフ上に、若しくは、このレリーフに追従して均一な厚さでサーモクロミック薄膜層が設けられている。
すなわち、ホログラムレリーフは、位相ホログラムとしての位相差をレリーフ形状に現しているが、この位相差を有するレリーフ形状に追従して(沿って)サーモクロミック薄膜層が設けられることにより、サーモクロミック薄膜層が呈する色調が、上記位相差を有して(含んで)観察されることになる。言い換えれば、サーモクロミック薄膜が所定の条件下において呈する「色調」を有する「光」がそのサーモクロミック薄膜層から「発する」ことになる。
これは、レリーフホログラムを再生する場合に生じる(ホログラム再生の元となる)ホイヘンスの2次波に対し、本発明のホログラムシートの場合において、この2次波に相当するものが、ホログラムレリーフ面に配されたサーモクロミック薄膜の呈する色調(以後、発した色として「発色」、若しくは、発色した光として、「発色光」、又は「発光光」とも表現する。)であり、この発色光がその役目を担い、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフが有する位相差を含んで発色光を観察者側に発するものである。

この発色光が、ホログラムレリーフ面上の空間において干渉現象を起こし、その結果、所定の方向に所定のホログラム再生像を発現する。
この「発光」は、サーモクロミック薄膜に含まれるサーモクロミック分子による自発光型の発光と捉えることができ、視野角依存性がなく、ディスプレーデバイスとしては長所として扱われるが、本発明の目的においては、その発光の放射する方向は、所定方向に制限されていることが望ましく、その制限によって、発光光の空間的コヒーレント性を向上させることができる。
このため、透明基材の一方の面に、光遮蔽性薄膜を離散的に設け、所望の制限を達成する。
光遮蔽性薄膜を離散的に設ける代表的な態様としては、透明基材の一方の面に、金属性薄膜層を、微細な網点状又は、離散的な市松模様状に設ける。
従って、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層は、透明基材の一方の面上のこの光遮蔽性薄膜のない部分、及び光遮蔽性薄膜上に形成されることになる。
網点等の個々の大きさは、ホログラムレリーフの代表的周期1μmより小さいものとし、0.01μm〜0.5μm、好適には、0.05μm〜0.1μmとする。
且つ、その分布は、周期的、又は、無作為なものとすることができるが、いずれにしても、上記代表的周期において、均一な遮蔽面積を占めるように形成する。これは、ホログラムレリーフの個々の周期に対して、均一な光の量を配するためであり、この均一性は、ホログラムレリーフの再生像の精度に影響を及ぼすためである。
例えば、単純回折格子の断面が周期1.4μmの三角関数形状であった場合には、その0.7μmが凹部であって、残りの0.7μmが凸部であり、それぞれの部分に対応する位置に、一辺0.1μm正方の市松模様を想定し、その正方形の一つ飛ばしに(交互に)遮蔽部分を設けることで、凹部と凸部に対する遮蔽割合が同一となるとともに、凹凸形状に対応する部分に偏りなく均等に遮蔽部を設けることができる。
このことは、その開口部を通過する、ホログラムレリーフの位相(情報)を含んだ発光光が、強度面で1/2以下に制限されるものの、その位相(情報)に不要な方向に進む光を止めて、不要な撹乱を受けることなく放出されることを意味する。
さらに、この離散的に設けられた金属性薄膜を、もう一層設けて2層とし、その2層目(もう一つの層)を、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層の、そのホログラムレリーフ面上に設け、且つ、その遮蔽領域の個々の位置をその2層間で同調させて設ける。
光遮蔽性薄膜を、このように離間させ、且つ、その遮蔽領域を同調させて(その位置を同一として)設けることにより、その第2層目(サーモクロミック薄膜層と接している。)で、「発光」層から放出されたほぼ180度に拡がる光(発光面の垂直線に対して、±90度という意味。さらに言い換えれば、進行方向に全方位という意味。)の発光点をまず制限し(サーモクロミック薄膜層と接して光遮蔽薄膜が存在する部分は、その部分の発光光の進行を止めるため。)、且つ、その第1層目(基材に接している。)で、所定の方向(発光面に垂直な方向。)に進む光のみを透過するよう制限することで、発光光の進行方向を所定の方向に制限することができる。
上記した市松模様を例にとると、第2層目の一つの正方形状の開口部分を通過した発光光が、その発光面に垂直方向に進み、その第1層目の同一位置の正方形状の開口部分を通過して、放射される。しかし、第2層目の一つの正方形状の開口部分をその発光面に角度を持って通過する(垂直線に対して30度の傾きをもって通過する)発光光は、第1層目の市松模様のその対応する開口部分の両隣の遮蔽部分(正方形状)において、遮蔽されることとなる。両隣の遮蔽部分のさらに隣の開口部分へ向かう発光光は、光の屈折により(界面反射により)ほぼ全反射となって、外に放射される光の量が大幅に減少する。
もちろん、市松模様は、縦横方向には、上記した開口部分と遮蔽部分が交互に均一に形成されているが、斜め方向では、その開口部分と遮蔽部分の割合が偏る場合があり、その正方形の対角線上では、遮蔽部分がなく、すべて開口部分となっている。
この正方形対角線方向をも、開口部分と遮蔽部分が交互に形成されるように、市松模様を変形し、正方形の四隅にも遮蔽領域を追加する等の工夫も好適である。
また、2つの遮蔽層を相対的に平行移動して、その制限方向を垂直方向以外の所定の角度に設定し、ホログラムレリーフの回折方向(結像方向)と関連性を持たせることも好適である。
以上のような発光光の放射角度を、所定方向に制限することにより、発光光の空間的コヒーレント性を改善することができ、ホログラムレリーフの位相を含む発光光の干渉効果を高め、より精度の高い、鮮明なホログラム再生像を再生することを可能とする。
本発明は、ホログラムの加熱前の波長とは異なる波長でホログラムを再生するものであり、例えば、紫外線で加熱用照明し、青色のホログラムを視認することもできるため、観察者の目には、あたかも、通常用いられる青色の照明光源の無いところに、ホログラムだけが光輝き、空中に浮いているように見え、意匠性にも優れるものとなる。
さらに、ホログラムを再生するための色調が変化する温度が非常に急峻である場合には、その特定の温度を知りうる者のみがホログラム再生を果たすことができ、真正性判定用に有用なものとなる。また、上記加熱・昇温後の発色した、もしくは変化した色調を知りうる者のみがホログラム再生像の色調を予測でき、その再生波長に調整したバンドパスフィルターを通して覗いて、そのバンドパスフィルターを通過できるホログラムのみが、真正であると判定することもできる。
また、このバンドパスフィルターを通過する角度(回折角度)も、その発色もしくは変化後の波長に依存し、やはり、その値を知りうる者のみがその所定の角度で判定を行うことができる。
さらに、同一の加温で、且つ、加温後の色調が異なる、サーモクロミック分子を複数含めると、この再生像は複数の角度に異なる色調で現れることになり、意匠性の面でも、真正性判定の面でもより優れたものとなる。
サーモクロミック薄膜が、その色調を変化させる様子を、サーモクロミック分子ポテンシャル曲線(図1参照。)を用いて、以下に説明する。
サーモクロミック分子S1(光吸収波長λを有する。この波長が、紫外領域や、赤外領域の場合は、無色透明と観察される。)は、熱伝導、赤外線等の放射線照射、自発熱等によってエネルギーを得て、励起状態の分子S*になる。(STEP1)
このとき、励起状態となったサーモクロミック分子S*は分子内反応、例えば、固相反応、電子供与体ー受容体の電子授受、結晶転移、脱水、(結晶)構造変化にともなう化学変化等により、その分子の幾何構造や、電子構造を変化させる。
この変化によって、サーモクロミック分子S*は、サーモクロミック分子S1とは違った波長の光λ′(可視光領域の波長。可視光領域の吸収極大を有することを意味する。また、λとλ´が逆の場合は、発光→消色へと変化することになる。)を吸収するサーモクロミック分子S2 へと変化する。
そして、サーモクロミック分子S2 は、熱エネルギーを吸収(STEP3)して、再び、サーモクロミック分子S1 へと戻る。
そしてこのSTEP1〜STEP3を繰り返すことが可能であって、この性質をサーモクロミズム性と呼び、その性質を示す薄膜層を、サーモクロミック薄膜層と称する。
S1の方がS2よりも熱的に安定であり、常温でS1が主成分となり、高温下でS1が主成分となる。
△HをS2とS1のエンタルピー差とすれば、S1の存在量とS2の存在量の比は、
[S2]/[S1]=K×EXP(−△H1/RT) ・・・ (1)
と表される。(R:気体定数、T:温度)
この比の温度依存性が、S1のサーモクロミズム性の温度に対する感度である。この感度は、△H1に比例しており、△H1の大きいほど、感度が高く好ましい。例えば、常温でS1とS2の比が9/1である場合、100℃でこの比が逆転するためには、△H1=10kcal/mol(キロカロリー/1分子)である必要がある。この△H1が大きいことは、活性化エネルギー△H2の値を大きなものとし、S1からS2への変化速度を下げることになるが、本発明の用途においては、この速度が比較的緩慢であっても、意匠性や、偽造防止性に影響しないものであれば問題とならない。
また、応答速度反応定数k(平衡に達するまでの速度定数)は、
k={kS1+kS2×EKP(△H1/RT)}×EXP(−△H2/RT)
となり、活性化エネルギー△H2が高いと反応速度が遅く、また、△H1が高いと応答速度が早くなるものの、S2からS1への逆反応を早めるため、平衡時におけるS2の存在量を低くする。このようにサーモクロミズムは、熱力学パラメーター△H1及び△H2によって制御される。
しかし、いかにS1からS2への変化が大きくても、両者のスペクトル差(色差)が小さければ、サーモクロミズム性は小さい。
スペクトル差の程度は、上記したような化学変化量に比例せず、個々のスペクトル位置によっても異なる。
「色変化」という観点からは、「無色」から「有色」への変化が、「鮮明な変化」として捉えやすく好適である。「有色」から「別の有色」への変化は、必ずしも鮮明とはならないが、互いに補色の関係にあれば、むしろ「色差」発生の程度は大きいものとなる。
S1が「無色」で、S2が「有色」の場合を、「クロミズム性」と呼び、逆の場合、すなわち、S1が「有色」で、S2が「無色」の場合を、「逆クロミズム性」という。
本発明の場合は、「クロミズム性」を示す場合の方が、その意外性から、意匠性及び、偽造防止性に優れるものとなる。
従って、サーモクロミック薄膜層に用いられるサーモクロミック材料としては、温度変化による変色が明瞭で且つ変色温度幅が狭ければ使用できるが、意匠性においても、その意外性を高めるためには、又は、偽造防止の目的に使うためには、その変色温度や、変色レベルが高い精度で繰り返し可能であって、所定の温度で急激に変化するものが望ましい。
特に、常温(室温)では、無色であって、所定の加熱により発色するものが、より望ましく、消色段階は、意匠性を求めるものにおいては、しばらく発色を維持しているものが望ましく、偽造防止目的であれば、速やかに消色するものが望ましい。
すなわち、サーモクロミック薄膜は、あるときはサーモクロミック分子S1で構成され、あるときは、サーモクロミック分子S2で構成されていることになる。
サーモクロミック分子S1もしくは、S2はそれぞれ特徴のある光吸収曲線を有しており、サーモクロミック分子S1は波長λにおいて、サーモクロミック分子S2は波長λ´において大きな吸収(曲線)部分を持つ。
一例として、サーモクロミック分子S1における波長λが、紫外線領域にある場合、サーモクロミック分子S1は、無色透明であって、励起状態S*を経て、サーモクロミック分子S2に変化して初めて、可視光領域にある特定の波長(これが波長λ´の場合もある。)を中心とする光の吸収により、特定の色調を呈するようになる。
この「色調を呈する」状況は、サーモクロミック分子S2が、可視光領域において所定の光吸収曲線を有しており、このサーモクロミック分子S2に白色光を当てた際に、特定の波長を含む所定の波長領域の光を吸収し、吸収されなかった波長領域の光が発散光として、サーモクロミック分子Bからなるサーモクロミック薄膜層から発することになる。
この例によるホログラムシートにおいては、サーモクロミック分子S2から発する発散光が、上記したホイヘンスの2次波の役割を担うことになる。
従って、サーモクロミック薄膜層がサーモクロミック分子S1で構成されているときには、このサーモクロミック薄膜層が無色透明であって、その位置にホログラムがあるとは認識できず、そのサーモクロミック薄膜層の背景にあるものが見えているが、熱伝導等の手段で、サーモクロミック薄膜層を加熱・昇温させることにより、サーモクロミック薄膜層が上記した波長領域の光を発散し、その発散光の干渉により、その発散光の「色調」によるホログラムが空中に浮かんで見えることになる。
この発散光の「色調」によるホログラム再生像は、サーモクロミック薄膜層が、上記した△H2と△H1との差が大きい場合には、その「色調」をしばらく維持し、徐々に消色し、また、サーモクロミック薄膜層が、上記した△H2と△H1との差が小さい場合には、比較的すみやかに「色調」が消色し、再び、無色透明となる。
また、サーモクロミック分子S1、S2がいずれも可視領域の色調を呈する場合には、ホログラム再生像の色調が変わる現象が現れることになる。
本発明のホログラムシートのこのような効果を意匠性ととらえて、鑑賞用途に採用してもよい。
また、△H2と△H1との差が小さいものの中でも、その消色の速さを非常に早いものとして、加熱手段をはずすと同時に消色するように設計し、ホログラム真正性判定者が、ホログラムシート(もしくはホログラムシート貼着物)保持者から、そのホログラムシート(もしくはホログラムシート貼着物)を預かり、素早く加熱手段を僅かな時間あてて、その瞬間に、上記した発色光によるホログラム再生像を視認して、真正であることを確認し、その後、すみやかに、そのホログラムシート(もしくはホログラムシート貼着物)を、その保持者に返却するなど、その真正性判定を、その保持者に気づかれずにに行うことを可能とすることもできる。
この場合には、消色の速さを、発色強度(発色濃度)の半減期で表現して、その半減期が、0.1秒〜数秒となるように設計する必要がある。こうすることで、加熱手段を当てると、速やかに上記した変化が生じ、サーモクロミック分子S2の「色調」のホログラム再生像が現れ、加熱を止める(机の上に押し当てる等の不自然に見えない冷却手段を併用してもよい。)と、速やかに無色透明となる、真正性判定に優れるホログラムシートを提供することができる。
もちろん、加熱後、発色を確認し、速やかに、再度、熱を加えて消色するような判定システムを用いることも好適である。
次に、ホログラフィの原理について説明する。
物体がコヒーレント光で照明され,物体から回折された光が記録媒体(フォトレジスト等。)を照明しているとした場合、物体から回折されて記録面に到達した物体波は、
F(x,y)=A(x,y)EXP[φ(x,y)]
であらわされる。ここで、
A(x,y) は物体波の振幅分布とし、
φ(x,y) は位相分布とする。
このとき、記録媒体には、記録媒体に到達する光波の強度分布が記録される。その強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)|2=A2(x,y) (1)
となり、位相分布は記録されない。
ここで,物体波にこれと干渉性のある光波(参照波という)を重ね合わせると,記録される光波の強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)+R(x,y)|2
=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+F(x,y)R*(x,y)+F*(x,y)R(x,y) (2)
となる.(*は複素共役項を表す。)
ただし,参照光が記録面に角度θで入射する平面波であるとすれば、
R(x,y)=r(x,y)EXP(2πiαx) (3)
と書け、
α = SIN(θ)/λ (4)
である。(2)の第1項と第2項はそれぞれ、物体波の強度と参照波の強度でいずれも位相情報は欠落している。第3項と第4項は干渉の項でそれぞれ
F(x,y)R*(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[i [φ(x,y)−2παx] ] (5)
F*(x,y)R(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[−i [φ(x,y)−2παx]] (6)
とあらわされ、物体の位相項 φ(x,y) が残っている。(5)、(6)は互いに複素共役であり、(4.2)の第3項は物体の複素振幅分布を含んでいる。(5)、(6)を(2)に代入すると、
I(x,y)=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+2A(x,y)r(x,y)COS [2παx−φ(x,y)] (7)
となる.物体波と参照波が干渉して干渉縞を形成していることがわかる。
このように、物体波に参照波を重ね合わせて干渉記録し、 物体の位相情報を欠落させずに記録する方法がホログラフィである。(7)を記録したものが「ホログラム」と呼ばれる。ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布 I(x,y)に比例し、
T(x,y)=τI(x,y) (8)
とかけるとする。このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてると、ホログラムを透過もしくは反射してきた波面は、
T(x,y)R(x,y)=τ(|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+τF(x,y)|R(x,y)|2
+τF*(x,y)R2(x,y) (9)
とあらわすことが出来る.この第2項は
τF(x,y)|R(x,y)|2
τA(x,y)r2(x,y)EXP[iφ(x,y)]] (10)
第3項は、
τF*(x,y)R2(x,y)=
τA(x,y)r2(x,y)EXP[−iφ(x,y)+2πiα] (11)
とかける。
このことから、(9)の第1項は、照明光と同じ方向にホログラムを突き抜ける光束もしくは正反射する光束であり、第2項は、(10)より、物体光に比例した振幅を持つ光波であることがわかり、第3項は、(11)より、物体波と共役な位相分布を持ち、2θの方向に伝播する光波であることがわかる。
このようにして,ホログラフィの技術を使うと複素振幅分布を記録して再生することが出来る。
本発明の場合は、ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布に比例し、(8)の式で表されてはいるものの、このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてるのではなく、(8)の振幅透過率もしくは振幅反射率と同様の空間的な分布を持つ発光波がこのホログラムから発せられることになる。
従って、参照光にホログラムに記録された位相項を付与するという従来のホログラム再生の原理によらず、既にホログラムに記録されている位相項を保持して発光波を放射するものである。従って、理論上は、物体の位相差を含む空間関数を持つ3次元の連続曲面状の発光面を有し、その1曲面から光が放射されることになる。
従来のホログラム再生原理を透過タイプについて、単純化して説明すると、参照光としての平行光をホログラムにあてた際、遮蔽部分では、平行光が遮蔽され、透過部分からのみその平行光を透過し、透過部分と遮蔽部分との境界において回折が起こり、物体の持つ位相項を受け取り、ホログラムを透過した成分全体が重ね合わさり、それがホログラム再生光となって観察者の目に届くものである。
本発明の場合は、上記した参照光としての平行光が存在せず、ホログラムレリーフに接するように設けられた発光面での発光時、その放射光が物体の位相項を保持しており、その放射光同士の干渉現象により、ホログラム再生がなされるものである。
時間的且つ空間的コヒーレンス性を持たない放射光同士の干渉効果は、レーザー光のような十分な干渉を生じないが、低コヒーレント光で ホログラムを照明した際と同様のレベルでホログラム再生が行われる。例示すれば、レーザー光のような特別な光源による照明を用いず、一般家庭や、一般的な事務所等において用いられている「蛍光灯」のような、「人工的に発生させた自然光」によっても、ホログラムを再生させることが十分可能である。但し、「人工的に発生させた自然光」であっても、その光源の大きさが、「点光源」であるか、「線状」であるか。もしくは「平面状」であるかによっても、また、その発光波長が、「単色光」であるか否か、さらには、その発光曲線の半値幅が狭いか否か等によって、その「ホログラム再生像の鮮明さ」は大きく左右されることになる。
この空間的なコヒーレント性を向上するため、
「透明基材」と「ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層(ホログラム形成層ともいう。)」との間に、光遮蔽性薄膜を離散的に、「1層」、設ける。
さらには、2層タイプとして、
もう一層(2層目)を、「ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層」の「ホログラムレリーフ形成面」上に設ける。
二つの光遮蔽性薄膜の間の間隔は、「透明樹脂層の厚さ」になり、透明樹脂層の厚さは、0.05μm〜5.0μmとする。
すなわち、厚さ0.05μm〜5.0μmの間の値だけ、二つの光遮蔽性薄膜を離間させることができる。ホログラムレリーフの周期の大きさから、そして、光遮蔽性薄膜の個々の大きさから、これを越えて離間させることは、意味を持たない。
もちろん、一つのみの光遮蔽性薄膜(1層目)を形成した場合には、サーモクロミック薄膜層面と、光遮蔽性薄膜との間隔が、この値となる。
さらに、光遮蔽性薄膜を3層設けることも可能であり、この場合は、透明基材の他方の面に3層目を設けたり、透明基材と透明樹脂層との間に、別の平坦な透明樹脂層を挿入し、その一方の面に設けることも好適である。このときの別の透明樹脂層の厚さ範囲も、上記した透明樹脂層の厚さ範囲と同様とする。
この「別の透明樹脂層」の両面に光遮蔽性薄膜を設けることも好適である。
さらに、サーモクロミック薄膜層の発光の観察を、ホログラム形成層側とは反対側から行う場合には、サーモクロミック薄膜層のホログラム形成層側とは反対側の上に上記と同様に「別の透明樹脂層」を設け、その両面に光遮蔽性薄膜を形成することもできる。
この離間する距離は、光遮蔽性薄膜によって遮蔽する大きさ、すなわち、遮蔽性薄膜の個々の部分の大きさ、及び、それらが離散的に設けられた、その間隔の大きさに依存して定められる。
光遮蔽性薄膜を離散的に設ける方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、スピンコート法、キャスト法を用いたゾルゲル法、スプレイパイロリシス法、イオンプレーティング法等の方法、さらには、所望の組成の塗布液を塗布して形成する方法等を用いて、一旦全面に形成し、その後、フォトレジスト処理等の湿式エッチング方法等により、網点や市松模様における不要部分を除去する方法を採用することができる。
網点等の個々の大きさは、ホログラムレリーフの代表的周期1μmより小さいものとし、0.01μm〜0.5μm、好適には、0.05μm〜0.1μmとするとともに、その厚さも、同様に、0.01μm〜0.1μmとする。
離散的に設ける個々の光遮蔽領域の形状は、上記した様に、円形、楕円形(以上、網点。)や、正方形、長方形(以上、市松模様。)に限定されず、多角形や、星型等、任意の形状を採用することができるが、この光遮蔽領域を通過する(開口部を通過する)発光光が保有するホログラムレリーフの位相(情報)を、撹乱するものであってはならず、可能な限り、その形状を単純なものとすることが望ましい。
しかも、その開口部の面積も、均一に配分されたものであることが望ましく、例えば、所定の大きさに設定された円形を、所定の距離間隔で一面に配置したものや、正方形の市松模様が望ましい。
その厚さも、0.01μm未満では、その光遮蔽性が不十分であり、0.1μmを超えると、光遮蔽層のある領域と無い領域との段差が大きくなり、サーモクロミック薄膜層の発光膜としての性能低下を招く。
光遮蔽性薄膜を形成する材料としては、アルミニウム、亜鉛、錫、金、銀、白金、銅、鉄、マグネシウム等の単体もしくは合金による金属薄膜や、グラファイトなどを用いることができる。
その中でも、サーモクロミック薄膜層の発光波長領域において、高い遮蔽性を示すものが好適である。
以上のことより、サーモクロミック薄膜層の発光面と、第1層目の光遮蔽性薄膜との距離は、0.05μm〜5.0μmとするが、さらに、0.1μm〜0.5μmとすることが望ましい。
すなわち、光遮蔽性薄膜の開口部分の大きさ及び、遮蔽部分の大きさが、0.01〜0.5μmであるため、0.01μm開口に対して、その5倍の距離離間した位置に、0.01μmの開口部分が配されることにより、斜め方向へ進む光をかなり遮断できる。
但し、離間距離が5倍以上となると、一つの開口部を通過した光が、対応する開口部とは異なる開口部を通過する割合が増加するため、これを上限として、離間距離と開口距離との比であらわすと、5/1〜1/1とすることが最適である。この比が1/1未満では、光の進む角度が広くなり、進行方向を制限することができなくなる。
もちろん、二つの光遮蔽性薄膜を設ける位置が、サーモクロミック薄膜層の発光面から、二つとも離間している場合には、進む光の角度をより小さく制限することが可能となることはいうまでもない。
以上のような原理によるホログラム再生であるため、ホログラム撮影時の参照光は平行光であることが好ましく(複雑な参照光を再現できないため。)、もしくは、「回折格子により表現されたホログラム」(回折格子は、物体光、参照光とも平行光である。)であることが好ましく、さらに、回折格子は計算機ホログラム等、電子線描画により形成したものが精密であり、好適である。
さらに、上記の理由から、ホログラム再生像をより鮮明にするためには、放射光に、時間的若しくは空間的なコヒーレンス性に類する特性を付与することが必要であり、例えば、発光する層の厚さを薄いものとしたり、発光波長の幅を狭くすることが望ましい。
また、加熱する際、ホログラム全体、すなわち、サーモクロミック薄膜層全体を均一に加熱、そして、昇温させることが必要であり、温度分布を精度よく制御した加熱板(温度分布を±1度以内とする等。)や、強度の均一な赤外線照射を行うこと、さらに、観察時、その放射光をフィルタリングして発色光のみを取り出したり、さらにそれを増幅することも有効である。
これらの加熱により、ホログラムレリーフ面に接するように設けられたサーモクロミック薄膜層から、さらに言及すれば、そのサーモクロミック薄膜層に含まれるサーモクロミック分子等から個々に、昇温前の波長とは異なる波長の発光等が発現する。その発光等が、ホログラムレリーフと同一の空間的位相を含み、且つ、加温前とは異なる波長(発光波長。)を有することから、ホログラムレリーフによる加温前の回折方向とは異なる方向、すなわち、新たな発光波長による回折方向へホログラム像の再生が行われる。
但し、このサーモクロミック薄膜層の厚さが、ホログラムレリーフとは無関係にそのホログラム面上に分布している場合には、その厚さ分布に起因する発光強度分布が、場合によっては、ホログラムを再生する光と不要な干渉を生じ、ホログラム再生像を不鮮明にする要因となり得る。
この要因を排除するため、サーモクロミック薄膜層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成して、ホログラムレリーフ面のどの位置からも、同一の強度の発光が生じるようにし、ホログラム再生像の鮮明化を図る。
「ホログラムレリーフへ追従して、かつ、均一な厚さで形成する」とは、光が放出される発光層であるサーモクロミック薄膜層の膜厚さが、より薄く、且つ、より均一であることが要求されることを意味する。
すなわち、「ホログラムレリーフ面」と接する「発光層」との界面である「発光面」の形状はもちろんのこと、その「発光層」のホログラムレリーフ面とは反対側の「面」の形状も、そのホログラムレリーフのレリーフ形状と同一乃至はほぼ同一となることが重要である。(この「発光面」とその「面」との間に、サーモクロミック薄膜層が存在している。)
ここで、ほぼ同一とは、レリーフ形状の凹凸の再現性(その二つの「面」の同一性を意味する。)が、90%以上、さらには、95%以上であることが望ましい。
これは、一つの凹凸の再現性であると同時に、ホログラムを再生する領域全体の再現性を示す指標である。
この再現性は、例えば、2つの3次元曲線の比較において、元の3次元曲線の凹凸領域の体積に対して、もう一つの3次元曲線との差分領域の体積が、その10%以内、さらには、5%以内にあることを意味する。これは、一つの凹凸の再現性であると同時に、ホログラムを再生する領域全体の再現性を示す指標である。簡易的な評価として、レリーフ断面同士を2次曲線で比較する方法を用いることも好適である。
本発明のホログラムシートの加熱手段として、透明な発熱版を使用したり、紫外光や赤外光を使用した場合は、その光は観察者には見えず、あたかも(本来なら必要な)照明光のないところからホログラム再生像が浮き上がっているように観察されるが、このホログラム再生像は、昇温励起・発光というプロセスを経て発光するものであるため、その発光時の空間的なホログラムの位相を含んではいるとはいえ、その発色光同士の時間的及び空間的なコヒーレント性は小さく、ホログラム再生像は通常のレーザー再生レリーフホログラムのレーザー光による再生像より微弱であって且つ不鮮明となっている。
もちろん、ビーム形状の回折光を観察するのみであれば、その色調と回折方向を確認することは容易であり、そのままでも真正性の判定に差し支えないが、この微弱且つ不鮮明なホログラム再生像を観察者が認識しその存在を正確に判定可能とするために、サーモクロミック薄膜の発光性能を向上させ、且つ、回折角度を大きくとって波長―回折角依存性を強め、さらには、サーモクロミック薄膜層を薄くして、サーモクロミック薄膜層厚さ方向のばらつきを抑え且つ均一なものとすることが必要となる。(発光面が位相情報を含んでいるため、その空間的な形状を正確に再現するものとする。)
また、サーモクロミック薄膜層の発色光は、可視光領域にある「特定の吸収波長」を除くその「短波長側の領域の発光」と「長波長側の領域の発光」という二つの光(領域)の加色混合となることが多く、このことによるコヒーレント性の低下を招きやすい。このため、例えば、500nmに大きな吸収を有するサーモクロミック分子S2の場合には、「青色発光」と、「赤色発光」の加色混合により、通常なら「ピンク色の発光」色調となるところ、実際には、「青色発光」と「赤色発光」それぞれのホログラム再生像を再生し、それらが干渉して、ホログラム再生像の鮮明さを低下させるものである。
この現象を回避するためには、「特定の吸収波長」の波長幅の比較的大きいもの、そして、500nm以下の領域と、500nmを越える領域の2つの領域にその吸収領域を持つことで、「発光波長」が、500nm付近にあって、且つその半値巾の狭い(50nm以下。)「発光」を実現し、より鮮明なホログラム再生像を得ることも好適である。
さらには、時間的なコヒーレント性を発現するため、サーモクロミック薄膜層の昇温と、冷却のサイクルを0.1秒〜1秒程度に速くすることも好適である。
これは、サーモクロミック薄膜層の「色が変化する温度」(サーモクロミズム温度。Tc温度ともいう。)を常温より高いものに設定し、赤外線ヒーター等による赤外線照射で、速やかに、Tc温度より高い温度まで薄膜層を昇温し、その赤外線照射を止めた後、速やかに冷却が進む(常温とTcの温度差が大きいほど、その冷却速度は速くなる。例えば、その差を20〜50度とする。冷却速度を確保するためには、20℃以上の差が必要であるし、その差が50℃を超えると、昇温に時間を要することとなる。)ようにし、薄膜層温度がTcより低くなった時点で、再び赤外線を照射して、薄膜層温度をTcより高いものとする、などの手法を用いることで達成できる。
これにより、一つの発光の発光面が、次の発光によって生じた発光面とは、互いに撹乱現象を起こさず、一つの発光面によって生じるホログラフィックな干渉現象により、鮮明なホログラム再生像を観察することができるようになる。このようにストロボ状の再生画像であっても、観察者には、連続して発光(再生)しているようにも見えるため、このような簡易な手段であっても目視で確認する場合には、鮮明なホログラム再生像を観察することができる。
サーモクロミック薄膜層は、サーモクロミック分子を樹脂に混入させたり、溶剤(若しくは水)に分散させたりしたサーモクロミック分子含有インキを、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、ノズルコート方式さらにはインクジェット方式等でホログラムレリーフ上に形成することができる。
このとき、インキ中のサーモクロミック分子の含有割合を調整する等により、形成したサーモクロミック薄膜層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成することができる。
ホログラムレリーフの凹凸は例えれば、1μmレベルの周期で、深さ0.01μmレベルの凹凸を持つ、ゆるやかな曲線であって略平面と見做せるため、この略平面上に適宜な粘度(0.1〜10パスカル・秒)に調整し、インキの自重によるレベリング効果を発揮させることと、インキ中の固形分を10%以下、さらには5%以下とすることで、例えば、厚さ1μmに対して、そのばらつきを1/10以下に、さらには1/20以下に抑えることができる。
ここで、サーモクロミック薄膜層を1μmオーダーとしたが、ホログラム再生像の鮮明度を向上させるためには、サーモクロミック薄膜層を離散的に設けることも好ましく、このために、サーモクロミック薄膜を形成する領域の単位(サイズ)を1.0μm程度もしくはそれ以下、例えば0.01μm〜0.5μm、より好適には、0.01〜0.05μmとし、ホログラムレリーフ面内に均一に点在させることも好適である。そして、サーモクロミック薄膜層厚さ方向には、サーモクロミック分子、もしくは、サーモクロミック分子を吸着させた微粒子を単位として1〜10分子もしくは1〜10粒子で並んでいる状態とすることが好ましい。
中でも、ノズルコート方式やインクジェット方式、さらには、化学蒸着等の物理的蒸着法では、樹脂を使用せず溶剤等とサーモクロミック分子や粒子のみで薄膜を形成可能であり、サーモクロミック薄膜層として非常に薄く形成(サーモクロミック分子や粒子1〜10分子等。)することができるため好適である。その上にそれらのサーモクロミック薄膜を固定するために適宜な透明樹脂層を保護層として形成してもよい。
ところで、サーモクロミック材料は、ホログラム記録材料や、光メモリ用記録材料そのものとして用いることは可能であり、そのような用途は既に公知であるが、これらは、サーモクロミック材料に直接ホログラフィックな記録(干渉縞の記録)を行うものであって、サーモクロミック材料に微細な明暗の記録を行うものである。
この記録は、記録した領域のサーモクロミック分子に変化を与えない手法(変化を与えない波長の光を照射するなど。)を用いて、読み出されることになる。
これに対して、本発明のホログラムシートは、均一に形成したサーモクロミック薄膜層を全て同様に(均一に)加熱し、均一な発色を生じさせるだけのものであって、ホログラム撮影光学系を組んでサーモクロミック薄膜層を露光するというような複雑な工程を必要とせず、サーモクロミック薄膜層そのものが「その形状として保有」している凹凸形状に、そのホログラム情報を担持させており、サーモクロミック薄膜層を均一に形成するだけでホログラム情報を「取得する」(「ホログラム再生情報」を「獲得する」という意味。)ことができるという顕著な効果を有するものである。
ホログラムレリーフは、周期1μm程度で、深さは、0.01μm、最大でも0.5μmの凹凸形状をしており、この凹部にのみサーモクロミック薄膜層を設けることで、ホログラムレリーフの周期に同調するかたちで、サーモクロミック薄膜層の有無、すなわち、発光の有無を設けることができる。
ホログラムレリーフの凹部とは、ホログラムレリーフ上にサーモクロミック薄膜層を形成する際の凹部であって、通常の観察の仕方、すなわち、ホログラム形成層側から観察する場合には、凸部側となる。サーモクロミック薄膜層の有無を利用して発光強度分布を形成するためには、凹凸どちらかに部分的に形成すればよく、さらには、凹部全体をサーモクロミック薄膜層で埋めてもよく、もしくは、凹部の底の部分のほんの一部のみに形成してもよい。但し、その位相分布と形成する分布が同調する必要があるため、一部に形成する場合は、常に同一の位置に同一のサーモクロミック薄膜「量」を持って形成しなければならない。(この「量」が、発光強度に比例するため。)
凹部に選択的にサーモクロミック薄膜層を形成する方法としては、溶剤等に分散した粒径の非常に小さい、サーモクロミック分子を含むか、その表面に吸着させた微粒子(粒径が0.01μm等。樹脂を含まない。)インキを使用して、ホログラムレリーフの上にインキ層を形成し、溶剤が揮発する間に、微粒子が自重で凸部から凹部へと移動するようにしても良い。
また、規則的な回折格子を設け、その上に均一に設けたサーモクロミック薄膜層をフォトリソグラフィーを用いて、その規則的な回折格子に同調させて露光現像、エッチングすることにより、凹凸とサーモクロミック薄膜層を同調して設けることもできる。この方法によると、各凹部に点在するサーモクロミック薄膜層の厚さや大きさを制御可能であり、レリーフ面全体に、いわば”均一に”形成することができる。
以上の手法により形成したものは、上記のホログラムの原理において説明した、発光(放射光)にホログラムレリーフの位相情報を含ませること、に加え、その位相情報に同調した振幅情報をさらに含ませるものである。
従って、発光放射光に位相ホログラムと振幅ホログラムの両方のホログラム情報を含ませることができ、より鮮明なホログラムを得ることが可能となる。
これにより、その意匠性及び真正性判定性を向上することができる。
上記したホログラムの原理より、ホログラム再生像の鮮明度を高めるためには、サーモクロミック薄膜層の厚さは薄いことが望ましいが、薄くすればするほど、ホログラム再生時の発光強度が弱くなるため、サーモクロミック薄膜層厚さは、0.01μm以上1.0μm以下である必要があり、さらには、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
0.01μm未満(最小粒径の粒子1個分)では、発光強度が弱すぎて、光電子倍増管を用いて増幅したとしても、迷光等のノイズとの区別がつきにくく、1.0μmを超えると、発光強度は本発明の目的には十分な強度を得ることが可能であるが、厚さ方向に複数存在する粒子からの発光により、ホログラムレリーフの位相情報を担う曲面の位置がその厚み方向に複数存在することになり、結果としてホログラム再生像が不鮮明となる。
これに対して、0.01μm以上として発光強度を確保し、0.5μm以下として、位相情報を担う曲面の位置を明確にして、ホログラム再生像を鮮明なものとする。
本発明のホログラムシートによれば、
透明基材の一方の面に、光遮蔽性薄膜が離散的に設けられ、その上に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するようにサーモクロミック薄膜層が設けられていることを特徴とするホログラムシートが提供され、加熱前の波長と異なる波長によるホログラム再生像を持つ、意匠性及び真正性判定性に優れるホログラムシートが提供される。
また、本発明の他のホログラムシートによれば、
発光層が薄く、もしくは、光遮蔽性薄膜が透明樹脂層上にもう一層設けられていて、より鮮明なホログラム再生が可能なホログラムシートが提供される。
は、サーモクロミック分子ポテンシャル曲線を説明する図である。 は、本発明の1実施例を示すホログラムシートAの断面図である。 (サーモクロミック薄膜層が、「ホログラムレリーフを形成する凹凸 に追従して均一な厚さで形成されている」例。) は、本発明の他の1実施例を示すホログラムシートA´の断面図である。 (サーモクロミック薄膜層が、「ホログラムレリーフを形成する凹凸 の凹部にのみ形成されている」例。) は、本発明の1実施例を判定するプロセスである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(透明基材)本発明で使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムシートAを製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
その中でも、紫外線等の昇温用励起光に対する耐性を有するもの、例えば、紫外線吸収剤を含むものであってもよい。紫外線吸収剤を含むものは、自然光等の中に含まれる紫外線により微かではあるが、予定外のホログラム再生を防ぐ効果も有する。
透明基材1の厚さは、通常5〜100μmであるが、ホログラム再生像の視認性を配慮する場合には、5〜50μm、特に5〜25μmとすることが望ましい。
(光遮蔽性薄膜:1層目)
透明基材1上に光遮蔽性薄膜4(1層目)を形成する。
光遮蔽性薄膜4は、アルミニウム等の金属薄膜や、グラファイトなどを、真空蒸着法等の薄膜形成方法を用いて、透明基材1上に設け、その上に、フォトレジストを塗布して、パターン露光・現像・エッチング処理により、不要部分を除去し(この部分が開口部分となる。)、光遮蔽性の領域を離散的に設ける。
その厚さは、発光光を遮蔽できる厚さであって、10nm〜100nmとする。10nm未満では、その遮蔽性が不十分であり、100nmを超えると、光遮蔽性薄膜4の有無による段差が大きくなり、この上に形成する各層を形成し難くなる。
ホログラムレリーフ形状の凹凸のピッチ(周期)はホログラム再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、光遮蔽する個々の遮蔽領域の大きさは、このホログラム再生に対する影響を小さいものとするため、このピッチより小さくし、0.01μm〜0.5μm、好適には、0.05μm〜0.1μmとする。この大きさは小さい方が望ましいが、サーモクロミック薄膜層と離間させる距離に相当する透明樹脂層の厚さから、0.01μmより小さくすることは難しい。
離散的に設ける個々の光遮蔽領域の形状は、上記した様に、円形、楕円形、正方形、長方形等に限定されず、多角形や、星型等、任意の形状を採用することができるが、この光遮蔽領域を通過する発光光が保有するホログラムレリーフの位相(情報)を、不要に撹乱せしないものであることが望ましい。
(ホログラムレリーフを有する透明樹脂層:ホログラム形成層ともいう。)
本発明のホログラム形成層2を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層2を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。
また、カラーホログラム画像を、回折格子線からなる回折格子画素(同一の回折格子線からなる単一回折格子エリアの最小単位。これら画素から回折光としてでてくる光の集合が一つのカラーホログラム画像を形成する。)に要素分解し、所定の画素のサイズ、格子線ピッチ、格子線角度をその各要素に割り当てて再現するという画像処理方法を用いて形成することも可能である。
凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.01μm〜0.5μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記透明基材1上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜層を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
複製方式は、平板式もしくは、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、複製温度は、通常60℃〜200℃とする。
(光遮蔽性薄膜:2層目)
ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面上に、接して、且つ、追従するように、光遮蔽性薄膜4(1層目)と同様の材料、方法を用いて、光遮蔽性薄膜4に対応する位置に、同一の大きさで、光遮蔽性薄膜5(2層目)を形成する。
ホログラムレリーフ面は、実際には、ほぼ平坦な面であるため、また、対応する位置関係の精度を高めるため、透明基材1の上に形成する光遮蔽性薄膜4(1層目)と同一手法にて形成することが望ましい。
但し、接着させる材料が異なるため、十分な接着強度を得られるようその形成条件を調整する。
対応する位置とは、透明基材1に対して垂直な方向に重なる位置を意味するが、敢えて、この垂直方向を所定の角度、例えば10度〜30度の内の定められた角度分斜めとし、ホログラム再生像が結像する角度に調整することは、本発明の目的をより効果的に達成できる。
(サーモクロミック薄膜層)
本発明では、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面に、サーモクロミック薄膜層3を形成する。
このサーモクロミック薄膜層に用いられる、サーモクロミック分子(サーモクロミック材料)としては、有機化合物系と、無機化合物系があり、
有機化合物系としては、
縮合芳香環置換エチレン誘導体として、
スピロピラン類:スピロピラン化合物の閉環型(無色)と開裂してできる平面的開環方(有色)との間の熱感度の高い平衡状態によるもの、すなわち、ビアントロンやジキサンチレン、キサンチリジエンアンスロン(無色→各色)、ジーα,β−ナフトイソスピロピラン、ベンゾーβーナフトイソスピロピラン、3−アルキル−ジ−ナフトイソスピロピラン、ビアンスロン、ジキサンチレン、キサンチリデンアンスロン等、
異性化タイプ:サリチルアルデヒド・アニリン誘導体縮合生成物等、
共役系有機化合物として、トリフェニルメタン系(無色→緑)、(緑→無色)等、
メタモカラーとして、電子供与呈色性有機化合物(色素)、電子受容性化合物、有極性有機化合物の3成分系からなるもの等がある。
その電子供与性呈色性有機化合物としては、ジアリールフタリド類、インドリルフタリド類、ビニローグフタリド類、アザフタリド類、チアジン類、ボリアリールカルビナ−ル類、ロイコオーラミン類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類、フルオレン類等があり、
フルオラン類としては、3,6−ジメトキシフルオラン、2−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−tert−ブチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−4−メチルアニリノ)フルオラン、8−ジエチルアミノベンゾ[a]フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−n−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)フルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−4−メチルアニリノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−[4−(4−アニリノアニリノ)アニリノ]フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−プロピルアミノフルオラン等。
さらに、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ペンチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−ペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−ペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジメチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(4−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(4−t−アミルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3−クロロ−4−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジエチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジエチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン,2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジエチルアミノフルオラン、2,2−ビス{4−[6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラン−2−イルアミノ]フェニル}プロパン等。
ジアリールフタリド類としては、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
インドリルフタリド類としては、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジブチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等、
ビニローグフタリド系化合物としては、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−[2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エテニル]フタリド、3,3−ビス[2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[2−(4−ピロリジノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[2,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[2,2−ビス(4−ピロリジノフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラブロモフタリド等。
アザフタリド類としては、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−[4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−2−エトキシフェニル]−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等が、ジアリールメタン系化合物としては、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリールベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン等が、ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB(4−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミンB(4−クロロアニリノ)ラクタム等、
チアジン類としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が、スピロピラン系化合物としては、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−フェニルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピルスピロジベンゾピラン等が、
フルオレン類としては、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ[9,3']−6'−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−(N−アリル−N−メチルアミノ)フルオレンスピロ[9,3']−6'−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,6'−6'H−クロメノ(4,3−b)インドール]、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−3'−メチルスピロ[フルオレン−9,6'−6'H−クロメノ(4,3−b)インドール]、3,6−ビス(ジエチルアミノ)−3'−メチルスピロ[フルオレン−9,6'−6'H−クロメノ(4,3−b)インドール]等を用い得る。
電子受容性化合物としては、炭素2〜5のヒドリン誘導体、フェノール性水酸基含有化合物、そのアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルブニル基等置換物も、用いることができる。
具体的には、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルブエノール、スチレン化フェノール、2,2−メチレンビス(4−メチル−5−tert−ブチルフェノール)、α−ナフトール、β−ナフトール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、グアヤコール、オイゲノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、0−クロロフェノール、0−ブロモフェノール、0−フェニルフェノール、p−(p−クロロフェニル)−フェノール、0−(0−クロロフェニル)−フェノール、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル、p−安息香酸プロビル、p−オキシ安息香酸ブチル、p−オキシ安息香酸オクチル。p−オキシ安息香酸rデシル、3−iso−プロピルカテコール、p−tert−ブチルカテコール、4.4−メチレンジフェノール、4.4−チオ−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、4,4−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、 1.2−ジオキシナフクレン、クロロカテコール。ブロモカテコール、2.4−ジヒドロキシベンゾフェノン、フェノールフタレイン、0−クレゾールフタレイン、プロトカテキュ−酸メチル、プロトカテキュ−酸エチル、プロトカテキュ−酸プロピル、プロトカテキュ−酸オクチル、プロトカテキュ−酸ドデシル、2,4.6−)リオキシメチルベンゼン、2,3.4−トリオキシエチルベンゼン、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸ヘキシル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、没食子酸セチル、没食子酸ステアリル、2.3.5−トリオキシナフタレン、タンニン酸、フェノール樹脂等がある。
また、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩として、上記フェノール性水酸基を有する化合物のナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、アルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属の塩がある。
有極性有機化合物としては、
エステル類として、芳香族及び脂肪族カルボン酸のアルキルエステル、アリ−ルアルキルエステル、脂環アルキルエステル、分校アルキルエステル及びそれらの置換誘導体があげられる。具体的には、パルミチン酸n−ブチル、ステアリン酸n−ブチル、ベヘン酸n−ブチル、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2〜エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸3.5.5−1リメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸l−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル#2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸l−メチルプロピル、ステアリン酸l−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1.1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−シメチルオクチル、ミリスチン酸3.7−シメチルオクチル、パルミチン酸3,7−シメチルオクチル、ステアリン酸3゜7−シメチルオクチル、ベヘン酸3,7−シメチルオクチル、エルカ酸n−ブチル、エルカ酸3゜7−シメチルオクチル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸セチル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、ステアリン酸ラウリル、aIi酸ステアリル、酪酸ベヘニル、酪酸セチル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、ステアリン酸n−ヘキシル、アラキン酸n−ブチル等が用いられる。
その芳香族カルボン酸、炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、安息香酸、トルイル酸、p−tert−ブチル安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、エトキシ安息香酸、没食子酸、ナフトエ酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等がある。カルボン酸金属塩としては、モノカルボン酸からポリカルボン酸の金属塩がある。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヘヘニン酸、クロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リルン酸、モノクロル酢酸、モノブロム酢酸、モノフルオロ酢酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セパチン酸、リンゴ酸、酒石酸、キラコラ酸、マレイン酸、フマール酸、ナフテン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−te、rt−ブチル安息香酸、桂皮酸、クロル安息香酸、ブロム安息香酸、エトキシ安息香酸、マンデル酸、プロトカテキュ−酸、バニリン酸、レゾルシン酸、ジオキシ安息香酸、ジオキシクロル安息香酸、没食子酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸、フタル酸、フタル酸モノエチルエステル、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸モノメチルエステル、トリメリット酸、ピロメリット酸等があり、そのナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト,スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属塩も用い得る。
酸性リン酸エステル化合物としては、アルキル、分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリ−ルエステル等及びそれらの誘導体が挙げられる。酸性リン酸エステル化合物にはモノエステル、ジエステルがあり、またそれらの混合物でもよい。
また、酸性リン酸エステル化合物の金属塩として、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属の塩を用い得る。
さらに、トリアゾール化合物として、1.2.3−1−リアゾール、4(5)−ヒドロキシ−1,2,3−)リアゾール、5(61−メチル−1,2,3−ペンゾトリアゾール、5−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、7−ニトロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−ベンゾイルアミノ−1,2゜3−ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシ−1゜2.3−ベンゾトリアゾール、ナフト−1,2゜3″″トリアゾール、5.5’−ビス(1,2,1−ベンゾトリアゾール)、1,2.3−ベンゾトリアゾール−4−スルフォオクチルアミド等を用いることができる。
液晶系は、液晶の立体構造変化が変色の元となるため、本発明の目的である「薄膜化」には不向きである。
さらに具体的には、
ハロゲノ錯体として、
テトラハロゲノ銅(二)錯体:イソプロピル置換アンモニウム塩テトラクロロ銅
(二)錯体、ジエチル置換アンモニウム塩テトラクロロ銅(二)錯体、メチルフ
ェネチル置換アンモニウム塩テトラクロロ銅(二)錯体、ピペラジニウム置換ア
ンモニウム塩テトラクロロ銅(二)錯体、イソプロピル置換アンモニウム塩トリ
クロロ銅(二)錯体があり、[[(CH3)2CH]NH3]2[CuCl4]、
[(C2H5)2NH2]2[CuCl4]、[[(C6H5C2H2)CH3]NH2]2[CuCl4]、[H2N(C2H4)2NH2]2[CuCl4]Cl2、[H2N(C2H4)2NH2]2[CuBr4]Br2、[[(CH3)2CH]NH3][CuCl3]:[サーモクロミック温度]40〜90℃等。:[色変化]緑色→黄色等。テトラハロゲノニッケル(二)錯体:[(C2H5
)3NH]2[NiCl4]、[(CH3)3NH]2[NiCl4]、[(C6H5CH2)CH3NH2][NiCl4]、[(C2H5)2NH2]2[NiCl4]:70〜110℃等:褐色→青色([(CH3)2NH2]2[NiCl4]等は、150〜230℃であり使用できない。)。テトラヨード水銀(二)錯体:Ag2[HgI4]、Cu2[HgI4]:40〜70℃等:黄色
→オレンジ(Pb2[HgI4]等は、130℃以上であり、使用できない。)等がある。
また、エチレンジアミン誘導体錯体として、C−置換エチレンジアミン類ニッケル(二)錯体:ビス(C−置換エチレンジアミン)ニッケル(二)錯体があり
、[{Ni(H2O)2}{1,2-C4H8(NH2)2}2]Cl2、[{Ni(H2O)2}{3,3−(CH3)2−1,2−C4H8(NH2)2}2]Br2、[{Ni(H2O)2}{1,2-C4H8(NH2)2}2](NO3)2:40〜90℃等:紫→黄色等があり、
N,N´−ジエチルエチレンジアミン錯体として、[Cu(H2O)2](ClO4)2:35℃:赤→青紫等がある。ここで、[Cu(H2O)2](NO3)2等はサーモクロミック温度が150℃以上であり、非常に高温の加熱を要し、高いエネルギーを必要とする上、積層する他の基材の熱変形等の劣化を招くため、本発明の目的には使用できない。
また、含窒素配位子錯体として、ジニトロジアンミン銅(二)錯体:[Cu(N
O2)2(NH3)2]、[CuCL(NO2)(NH3)2]、[CuBr(NO2)(NH3)2]:31℃:紫→緑(急激)等、
ジクロロJニッケル(二)錯体として、トランス−2−(2´−キノリル)−メ
チレン−3−キノクリディノン等、
重金属塩類(サーモカラー)として、ヘキサメチレンテトラミン錯体:[Co(H2O)6]Cl2・4H2O・2(C6H12N4)、[Co(H2O)6]Br2・3H2O・2(C6H12N4):50℃:ピンク→青、[Co(H2O)6]I2・2H2O・2(C6H12N4):50℃:緑→青、[Co(NCS)2(H2O)4]2(C6H12N4):85℃:オレンジ→青紫、エチレンジアミン類ニッケル(二)錯体:[Ni(H2O)2(N−CH3−C2H
2(NH2)2]Cl2:45度:紫青→青緑ORオレンジ、[Ni(H2O)2(N−CH3−C2H2(NH2)2]Br2:45度:紫青→青緑ORオレンジ等、
を用いることができる。
特に、サーモクロミック温度が、常温に比較的近く、その色変化が急激なものが好適である。
また、無機化合物系としては、
金属酸化物等の誘電体薄膜や、金属化合物微粒子を透明材料(ガラス、透明樹脂等)に分散したもの、さらには、反射型の調光特性(調光ミラー特性)を有する材料として、イットリウムやランタン等の希土類金属の水素化物、ガドリニウム等の希土類金属とマグネシウムの合金の水素化物、及びマグネシウム・ニッケル合金の水素化物等の薄膜や微粒子を用いることができ、特に、資源やコストの観点から、マグネシウム・ニッケル合金を用いたものは好適である。
反射型の調光特性を有する材料は、透明状態と鏡面状態を切り替えることが可能であって、その鏡面状態の時に、所定の光を反射し、その反射光がホログラムを再生するものである。
また、ルチル型の二酸化バナジウム(VO2)の粒子と、ルチル型の二酸化チタン(TiO2)の粒子とを含むサーモクロミック微粒子であって、その二酸化バナジウム粒子が、二酸化チタン(TiO2)粒子上に、二酸化チタン(TiO2)の粒子よりも大きく、ロッド状に成長しているサーモクロミック微粒子も、用い得る。
以下の説明において、無機化合物系は本来「種々の原子からなる化合物」と表現すべきであるが、有機化合物系と同様に説明するため、「材料」を表す言葉として、共通に捉えて説明するため、敢えて、「分子」という表現を使用する。
形成方法としては、一般的印刷方法、コーティング方法等も用いることは可能であるが、より精密な薄膜を形成する方法として、回転塗布法、キャスト法、スクリーン印刷法、ブレードコーティング法、ロール塗布法、水面展開法、LB(ラングミュア・ブロジェット)法等が挙げられ、ドライ・プロセスとしては真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法等が挙げられる。
特に、有機化合物系を均一に、且つ、分子レベルで薄膜形成するには、化学蒸着法が好適である。
より具体的には、サーモクロミック分子を透明な樹脂に均一に分散した樹脂分散型のインキや、水又は溶剤にサーモクロミック分子を分散した溶媒分散型のインキを作製し、それらを用いて、印刷方式や、コーティング方式さらには、インクジェット方式等の種々の形成方法を用いて、ホログラム形成層2に、そのホログラムレリーフに接するように、また、追従するよう均一に、若しくは凹部に部分的に、サーモクロミック薄膜層3を形成することができる。(ホログラムシートA)
また、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面上に、直接、サーモクロミック分子を化学蒸着法によりサーモクロミック薄膜層3を形成することも、そのホログラムレリーフ追従性や、その均一性から好適であるとともに、電子ビーム加熱真空蒸着法における高温の電子ビームや、スパッタリング法におけるアルゴン原子の衝突がなく、分子の構造を維持しやすいため好適である。
また、ホログラム形成層2上にサーモクロミック薄膜層3を形成した後、フォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法により、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去によりフォトレジストのパターンを回折格子パターンの凹部に同調させ、エッチングによりサーモクロミック薄膜層を除去して、凹部のみにサーモクロミック薄膜層を残すことができる。(ホログラムシートA´)
逆に、ホログラム形成層2上にフォトレジスト層を形成し、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去により、凸部にフォトレジストを残し、凹部を露出させて、この上にサーモクロミック薄膜層を形成後、凸部上のフォトレジストを除去すると同時に、その真上にあるサーモクロミック薄膜層を部分的に除去することにより、凹部のみにサーモクロミック薄膜層3を残すことができる。(ホログラムシートA´)
樹脂分散型のインキは、上記したサーモクロミック分子を、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に混入し、2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、さらには、インクジェット方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。
但し、サーモクロミック薄膜層3の厚さを、0.003μm以上1.0μm以下、さらには、0.01μm以上0.5μm以下とするためには、樹脂分散型インキの固形分を1〜10%とし、溶剤若しくは水を溶媒とした塗布膜が、例えば、5μmであったときに、溶媒を蒸発させた後の厚さ(サーモクロミック薄膜層の厚さ)がその1/10乃至は1/100となるようにし、0.5μm〜0.05μmとする。
溶媒分散型のインキは、樹脂成分を含まず、サーモクロミック分子と溶媒のみであるため、樹脂分散型よりサーモクロミック薄膜層3の厚さを薄くすることができる。
溶媒としては、使用するサーモクロミック分子の極性に合わせ、水やアルコール系溶剤、若しくは、セルソルブ系、パラフィン系溶剤を用いて、サーモクロミック分子を溶解・保持させ、攪拌しながらカーテンコート、ノズルコート等によりホログラム形成層2上に設けることができる。
さらには、ホログラムレリーフ面を形成している樹脂に対して、溶解性を有する遅い揮発性の溶剤を数μm塗布し(アクリル・塩ビ・酢ビ樹脂や、ポリエステル樹脂等に対するケトン系溶剤、例えばシクロヘキサノン等。この溶剤を非溶解性の溶剤で希釈して使用し、残留する成分を0.1μm以下にすることも可能である。)、そのホログラムレリーフ面の最表面のみを溶解して、その最表面に粘着性を付与し、その上に、サーモクロミック分子を霧状として吹きかけて、その粘着性の面に接するサーモクロミック分子のみがホログラムレリーフ面上に残るようにするサーモクロミック薄膜層形成方法も好適である。
この方法によると、サーモクロミック薄膜層3がLB膜のように分子レベルの膜となり、ホログラムレリーフ面上に(フォログラムレリーフの大きさに比較して)均一に形成され、ホログラム形成層2側から昇温用励起光を当てた場合の発光面が、ホログラムレリーフ面と「同一」となる。
いずれにしても、ホログラムレリーフの凹凸が非常に小さい為、サーモクロミック薄膜層3を均一厚さで、且つ、その中のサーモクロミック分子が均一な密度となるように、もしくは、ホログラムレリーフ面上に均一に(部分形成の場合には形成してある部分同士が均一に)形成するためには、サーモクロミック分子が凝集して2次粒子状とならないようにする必要があり、溶剤(溶媒)へ溶解する方法や、ナノ粒子の表面に吸着させて、ナノ粒子顔料として薄膜形成することが好適である。
さらに、このような非常に薄いサーモクロミック薄膜層3を物理的に保護するために、上記した透明な樹脂を適宜な形成方法を用いて、1.0μm〜3.0μmの厚さで設けてもよい。
また、ホログラム形成層2、サーモクロミック薄膜層3、及び上記保護のための層の互いの屈折率差を、0.3以内、さらには、0.03以内とすることで、昇温励起前における不要なホログラム再生像の出現を防ぎ、より偽造防止性を高めることが可能となる。
この様にして作成したホログラムシートは、単純にヒーターを接触させて加熱したり、透明性を有する加熱板を押し当てて、そのヒーターを通して観察する等の手法により、その加熱後のホログラム再生像を確認することができるが、また、使用したサーモクロミック分子や、サーモクロミック薄膜層3に適した昇温用励起光、例えば、脱水反応によるサーモクロミック分子の場合には、その脱水反応を促進する赤外線乾燥用ランプ50〜150mmφ、100〜300Wを用い、10〜200秒照射したり、その他の放射線、例えば、紫外線等を照射したり、また、マイクロ波加熱、誘電加熱、誘導加熱、などの電磁波(高周波)応用技術を用いる加熱方法等も、加熱していることを視認し難いという点で好適である。
特に、光遮蔽性薄膜4として、電磁誘導発熱を生じやすい、Fe、Ni、Cr等の金属や、その合金等を、発生熱量を確保するため比較的厚く形成し、且つ、離散的に設けた個々の領域を電気的に導通させることも、その昇温処理が、そのホログラムシートを構成する各層や、そのホログラムシートを貼付等した真正性識別対象物を構成する材料等を劣化させ難いため好適である。
このような種々の手段を用いて、所定の色調に発色させ、もしくは、色調変化させ、その色調におけるホログラム再生像を視認して、その真正性を判定することができる。
このとき、所定のフィルターや、再生光増幅装置等を用いて、その視認性を高めたり、機械的判定を行ってもよい。
また、所定の色調のホログラム再生像の存在を、ホログラムシートを所持している者、すなわち、ホログラムシートを転写形成、又は、貼付した真正性識別対象物を所持している者に悟られないよう、真正性確認後、速やかに(数秒〜数十秒以内。)その色調が消えるか、又は、元の色調に戻るよう工夫することも好適である。
(実施例1)
透明基材1として、12μmのPETフィルムの表面に、光遮蔽性薄膜4として、アルミニウム薄膜を真空蒸着法により100nm厚さで形成し、フォトレジストを1μm厚さにコーティング形成後、1辺0.1μm正方の市松模様状にパターン露光・現像・エッチング処理を施して、市松模様状の開口部を有する光遮蔽性薄膜4を形成した。
その上に、メラミン樹脂組成物を塗布し、ホログラム画像位置検知パターン付きのレリーフホログラム(「発光」の文字画像:図4参照)の複製用型の型面を、接触させたまま加熱硬化させることにより、レリーフホログラムの形成を行ない、厚さ3μmのホログラム形成層2を得た。
このホログラム形成層2上に、下記組成の樹脂分散型のサーモクロミック分子含有インキをグラビアコーティング方式により、コーティングし乾燥して、サーモクロミック薄膜層3を10μm厚さで、ホログラムレリーフに接するように形成し、乾燥して、1.0μm厚さとし、
・<インキ組成物>
ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)硝酸塩(水和物) 1質量部
塩ビ樹脂 9質量部
メチルエチルケトン 20質量部
トルエン 70質量部
本発明のホログラムシートAを作製した。
このホログラムシートAは、図4に示すように、青色のホログラム再生像を観察することができた。
このホログラムシートAを、127mm径125W赤外線乾燥用ランプ照明下に30秒間放置したところ、赤色のホログラム再生像が、異なる回折方向に浮かび上がった(光遮蔽性薄膜層4及び、サーモクロミック薄膜層3が選択的に照射熱を吸収した。)。
さらに、このホログラムシートAを室内に放置したところ、再び、元の回折方向に青色のホログラム再生像を観察することができた。
このホログラムシートAを3cm角に切り出し、パスポートに貼付して、その部分だけを露出させるカバーを掛け、同様に赤外線乾燥用ランプ下に置くと、赤色のホログラム再生像を視認することができ、室内放置により、再び、青色のホログラム再生像に戻ることを確認した、このことにより、パスポート保持者に気づかれずに、真正性判定をすることが十分に可能と思われた。
(実施例2)
サーモクロミック分子として、ペリレンテトラカルボン酸ビスベンジルイミドを以下の手順にて合成した。
ペリレンテトラカルボン酸二無水物5gを水100gに分散、ベンジルアミン10gを加えて攪拌後、ろ過し、1%熱水酸化カリウム溶液による洗浄を行った後、水洗及びテトラヒドロフラン洗浄し、乾燥後、真空昇華精製により、茶褐色の結晶粉末を得た。
この結晶粉末を使用し、化学蒸着法により、ホログラムレリーフに接するように薄膜形成し、0.02μm厚さとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の本発明のホログラムシートAを作製した。
このホログラムシートAからは、オレンジ色の鮮明なホログラム再生像を観察することができた。
このホログラムシートAを実施例1と同様に観察したところ、青緑色のホログラム再生像を視認でき、実施例1と同様に、パスポート保持者に気づかれずに、真正性判定をすることが十分に可能と思われた。
(実施例3)
ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面上に、実施例1の光反射性薄膜4と同様にして光反射性薄膜5を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のホログラムシートA´を得た。
実施例1と同様に観察したところ、より鮮明に青色のホログラム再生像を確認することができた。
(比較例)
サーモクロミック薄膜層を形成せず、ホログラムシートを形成し、比較例とした。
実施例1と同様に観察したところ、赤外線乾燥用ランプを照射しても何らの変化もなく、目視にて確実に認識できるホログラム再生像を確認することはできなかった。
このことより、このホログラムシートが真正なものでなく、このパスポートが偽物であると判断できた。
A、A´ ホログラムシート
1 透明基材
2 ホログラムレリーフを有する透明樹脂層(ホログラム形成層)
3 サーモクロミック薄膜層(連続的な形成若しくは部分形成)
4 光遮蔽性薄膜(1層目)
5 光遮蔽性薄膜(2層目)
6 観察状態の例示:一般的な事務所の照明光
7 同上 :黄色の再生
8 同上 :赤外線照射による加熱
9 同上 :赤色の再生像

Claims (2)

  1. 透明基材の一方の面に、光遮蔽性薄膜が離散的に設けられ、その上に、ホログラム画像
    に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログ
    ラムレリーフを形成する凹凸に追従して、且つ、均一な厚さで、サーモクロミック薄膜層
    が設けられていることを特徴とするホログラムシート。
  2. 前記サーモクロミック薄膜層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを
    特徴とする請求項1に記載のホログラムシート。
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