JP2012226135A - ホログラムラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】ホログラムラベルは、被貼着体に貼付後、その被貼着体の真正性を証明するものであるため、不正に剥離されて、真正でない他の被貼着体へ再貼付して使用されることが可能であると、その証明性を維持することができなくなるという課題を有していた。
【解決手段】ホログラムラベルを構成する透明基材の一方の面にパターン状に表面活性化処理を施すことにより、ホログラムラベルを剥そうとすると、透明基材のみが容易に剥離して、その後にその「パターン」が浮き上がるという効果を持ち、さらに、所定の加熱により、その「パターン」状の欠けを含むホログラム再生像が出現して、その真正性を容易に判定可能なホログラムラベルを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、新規なホログラムラベル、特に、位相ホログラムを呈するレリーフホログラムのレリーフ位置に、サーモクロミック薄膜を配した「変色」型、または、「発色」型のホログラムラベルに関するものである。
以下、サーモクロミック薄膜層が、「ある色調」から「別の色調」へと変化することを所定の加熱(熱板プレスまたは赤外線照射等。)による「変色」といい、「無色」乃至は「白色」の状態から「有色」の状態へ変化することを所定の加熱(熱板プレスまたは赤外線照射等。)による「発色」という。(もしくは、「変色」と「発色」を併せて、新たな「色」を発するという意味において、単に「発色」という場合もある。)
さらに、本発明のホログラムラベルは、「ある色調」の脆性ホログラムラベルとしか認識できないラベル、もしくは、通常照明光の照明においては、ホログラム再生像が出現せず、単なる「無色透明」乃至は「白色」の脆性ラベルとしか認識できないラベル(「封緘」の文字等の通常の印刷層がそのラベル構成層の一部に施されている場合が多い。)であって、不正にラベルを張り替えたり、偽造若しくは改竄をしようとする者(以下、不正者ともいう。)にとっては、それらの不正行為が容易に実施可能と思わせる外観を呈するものでありながら、高い不正防止機能を有する、ホログラムラベルに関するものである。
通常の脆性ラベルは、封筒などに貼着後、剥がそうとすると、ラベルそのものが破壊されたり、ラベルの一部構成材料である透明基材のみが優先的に剥がれ、その透明基材側や、ラベルの残った部分に、「開封」等の文字が浮かび上がって、不正な開封が行われたことを知らしめるものである。
このような脆性ラベルに対して、不正者は、封筒の封緘部分から、そのラベルや透明基材を剥がした後、不正に封筒を開封して同封物を不正に閲覧したり、不正に差し替えたりした後、再び、その封筒の封緘部分に残ったラベル残部の「開封」等の文字を埋めるように、その残部の上に新たなラベルを貼着したり、さらには、その剥がした透明基材を悪用して、透明基材上に付着している「開封」の文字等を覆うように新たな粘着剤塗布を行い、あたかも、均一な粘着層と見せかけ、別の封筒に貼着するなどの、不正行為を行うことが想定される。
しかしながら、本発明のホログラムラベルは、所定の加熱により、所定の「変色」もしくは「発色」したホログラム再生像が浮かび上がるため、本発明のホログラムラベルに対して、上記のような不正が行われた場合には、不正に貼着した新たなラベルの上から、その所定の照明光による照明を行うことで、いずれも、「開封」等の文字状に「欠け」が発生しているホログラム再生像が出現することとなる。例えば、変色タイプのサーモクロミック薄膜層を用いた場合には、不正者は、ホログラム再生像を呈している「所定の色の層」に似せて「同一色の層」を埋めて復元を試みるが、当然にこの「同一色の層」の部分は、「変色」しないため、所定の照明光による照明により、その色の違いが浮き出るとともに、「変色」した色調により再生されるホログラム再生像の再生方向は、元の色調によるホログラム再生像の再生方向とは異なるため、「変色」した色調により再生されるホログラム再生像の再生方向から観察すると、「開封」等の文字状に「欠け」が発生しているホログラム再生像が出現することとなる。
もちろん、剥がした透明基材を悪用したものについても、透明基材に付着していた「開封」等の文字状部分から「変色」もしくは「発色」したホログラム再生像を出現させる(「開封」の文字の「画線」状に開口を持つ窓から、その奥にある立体像を覗き見るような状態となる。)ことができる。
すなわち、本発明は、ホログラムラベルの不正開封や、貼り換えなどの不正行為、さらには、偽造若しくは改竄を困難とする、ホログラムラベルに関するものである。
また、本発明において、「パターン状」の「パターン」とは、文字、図形、記号等、視認可能な「表示パターン」であればいずれも使用でき、代表的には、ラベルを剥離した証拠を示すという意味で、「開封」や「不正」等の「文字表示パターン」を採用する。
そして、「パターン状の表面活性化処理を施す」とは、これらの「表示パターン」の画線部内を表面活性化処理することを意味し、例えば、その「表示パターン」が「開」という一文字であれば、その文字を構成する一本一本の線(これが画線であって、所定の層の表面に設定された線状の領域である。)の中(線の内側、すなわち、画線部内。)を一様に表面活性化処理することを意味する。
また、透明基材が既に十分活性化されている表面を有する場合には、その表示パターンの画線部の外を表面不活性化処理することも含み、結果として、透明基材表面に、「活性化」の度合いの異なる部分(これが、透明基材上に形成される「別の層」との間の剥離強度が、部分的に異なる状態、すなわち、その領域間で異なる状態として現れる。)が設けられていることを意味する。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、 「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)本発明のホログラムラベルの主なる用途としては、偽造防止分野に使用されるホログラムラベルであって、具体的には、
(1)製造メーカー純正品等、純正品の認証が意義を持つ種々の商品分野、例えば、電子機器、電気機器、コンピュータ関連製品、及び、それらの構成部品、コンピュータ関連ソフト、純正備品類(用紙やトナーなどのプリンタ消耗品等。)医薬品、医薬部外品もしくは化成品等、
(2)商品そのものが真正品であることを消費者に強く求められる分野、もしくは、ラベルを貼付することで意匠性を高めたり、商品が高価であることを示し、その商品の付加価値を高める分野など、例えば、書籍、文書、講演、演劇、映画、写真、絵画、彫刻、版画、図面、模型等もしくは、それらの編集物、又は記録媒体に記録したもの(ビデオカセット、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなど)等の著作物、所定の設定をされ、変更を防止しているROMボード(コンピューター機器、ゲーム機、遊技機等に用いられるもの。ROMとボードに渡る貼付も含む。)、時計、衣類、バッグ、宝石等宝飾品、スポーツ用品、化粧品、及びそれらの高級ブランド品等、
(3)本人確認の手段(ID証)分野、例えば、パスポート、運転免許証、保険証、会員証、身分証、住民登録証、病院カード、もしくは図書館カード等、
(4)経済秩序を保つ上で真正品であることが求められる分野、例えば、商品券、ギフト券等の金券類、もしくはプリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード等のカード類、
(5)さらには、これらのものを包装し、その包装を封印する分野、例えば、単に保管のため、もしくは郵便物や小荷物として封筒に入れたり、パッケージに入れて配達や配送をする分野、商品をパッケージに入れて販売する分野、単純に包装する分野、それらの封緘シールとして使用する分野、また、それらの説明書や効能書等にその真正性を証明するために貼付する分野等、
などに関し、特に、そのホログラムラベルを巧妙に剥がして、そのものの価値を下げられたり、そのホログラムラベルを再利用されることをに配慮すべき、もしくは配慮している分野に好適である。
(先行技術)近年、光の干渉を用いて立体画像を再生し得るホログラムの開発が進められ、このホログラムは高度な製造技術を要するとともに様々な形態、例えばラベル、シール、箔状に形成可能なことから、これを応用し偽造防止手段として、上記分野を含め、様々なものの一部に貼着して使用されている。このホログラムは、一見して本物か否かが判り、しかも上述したように製造が困難であることから、広く利用されるようになってきた。
そしてこれらは物品に貼付された後に剥がされ、悪用されることがないように支持体とホログラム層、或いはこれらの間に設けられた剥離層と支持体またはホログラム層で剥離するようにし、被着物から故意に剥離させた場合にホログラム全体が破壊されるものがある。特に、実公平5−48210号公報に開示されるホログラム脆性シールのように、支持体とホログラム形成層がパターン状剥離層を介して積層され、ホログラム形成上に反射性金属薄膜層、及び接着剤層を順次積層し、使用に際しては所要の大きさ、形状に切断し、証書や身分証明書のような偽造、変造されたくない被着体、または封書等の封印部に加圧により、必要に応じて加熱をしながら貼りつけるものがある。
このようにして一度被着体に貼りつけられたホログラムラベルは、剥がそうとすると、剥離層部と非剥離層部との境界断面でホログラムが破壊し、支持体上と被着体上にホログラムが分離して残存してしまうのでラベル全体をそつくりそのまま剥がすことができないため、他の物品にホログラムラベルを貼りかえることができず、ホログラム自体の偽造・変造の困難性により、ホログラムラベルが被着体の真正さを保証できる。
従つて、ラベルが貼つてあつた箇所の記載事項や印影写真等を書替えるのには、ラベルの残存部分を除去する必要があり、偽造、変造が困難である。また、支持体上にはパターン状にしかホログラムが残存しない為、ラベルの貼替えは不可能であり、かつ封印部の開封は被着体にパターン状に残存したホログラムにより容易に認識できうる。
従つて、本考案のホログラムラベルは偽造されたくない被着体へ適用は勿論のこと、包装物の封印として適用でき、さらにはホログラムラベルは美麗により装飾物としても使用できる。
しかしながら、前者の全面破壊型のホログラム脆性シールは、剥がし方によってはホログラム層及び反射性薄膜層が破壊されることなく、ホログラムシール全体を完全に剥離させて、その結果、再使用できることで悪用されてしまう可能性がある。そのため、ホログラム層や反射性薄膜層自体を破壊する方法として上記、実公平5−48210号公報の方法があるが、この方法ではホログラム脆性シールを貼着された状態で見るとホログラム層の上にパターン状の剥離層が設けられているため、そのパターンの存在を容易に目視により判別でき、ホログラムの再生画像の見え方に影響を与えるだけでなく、偽造防止策の存在が明らかになってしまう問題を有する。
この問題を解決するため、特開平8−152842号公報には、脆性剥離層を、反射性薄膜層と接着剤層との間に設ける等の方法も提案されているが、いずれも、ホログラム形成層の強度が大きく、基材との接着強度差や、脆性剥離性の存在程度では、ホログラム形成層そのものを破断するに至らないか、部分的に破断され、その目的を十分に達成できなかった。
実公平5−48210号公報 特開平8−152842号公報
本発明は、ホログラムラベルであるものの、そのホログラム再生像を通常照明下においては視認できず、外観上、「ある色調」のホログラムラベルとしか認識できない「ラベル」、もしくは、単なる「無色透明」乃至は「白色」のラベルとしか認識できない「ラベル」であって、ホログラムラベルを被貼着体に貼着する際には、問題なく貼着可能であって、その被貼着体からホログラムラベルを不正に剥そうとすると、ラベル基材のみが剥がれ、その剥した痕跡として、被貼着体側に「残ったもの(ホログラム形成層、サーモクロミック薄膜層、及び粘着層)」そのものに、例えば「開」と「封」の文字が、「窪み状の文字」として出現し、この段階で、このラベルがいわゆる「脆性ラベル」であることが判明する。
さらに、この「残ったもの」を、所定の照明光によって照明すると、「開封等の文字状の欠け」を含んだ「変色」もしくは「発色」したホログラム再生像が浮き上がるホログラムラベルを提供する。
すなわち、本発明は、上記従来の問題点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは、不正な剥離行為によるシールの貼り替えを確実に発見することが可能で、しかも、ホログラムの存在や、部分的に脆性破壊する層の存在を発見しにくい、いわば、隠しホログラム脆性シールを提供することにある。
上記の課題を解決するために、
本発明のホログラムラベルの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、パターン状の表面活性化処理を施した後、その上に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、前記ホログラムレリーフに接するように設けられたサーモクロミック薄膜層、粘着層を設けたことを特徴とするものである。
上記第1の態様のホログラムラベルによれば、
透明基材の一方の面に、パターン状の表面活性化処理を施した後、その上に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、前記ホログラムレリーフに接するように設けられたサーモクロミック薄膜層、粘着層を設けたことを特徴とするホログラムラベルを提供することができ、外観上は、ホログラムの無い通常の脆性ラベル、もしくは、所定の色調を呈するホログラムラベルのように見えながら、不正行為が行われたことを容易に判定可能な、ホログラムラベルを提供できる。
本発明のホログラムラベルの第2の態様は、
前記サーモクロミック薄膜層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されていることを特徴とするものである。
上記第2の態様のホログラムラベルによれば、
前記サーモクロミック薄膜層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されていることを特徴とする第1の態様に記載のホログラムラベルを提供することができ、第1の態様の特徴に加えて、より鮮明なホログラム再生像を出現させることが可能な、ホログラムラベルを提供できる。
本発明のホログラムラベルの第3の態様は、
前記サーモクロミック薄膜層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とするものである。
上記第3の態様のホログラムラベルによれば、
前記サーモクロミック薄膜層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とする第2の態様に記載のホログラムラベルを提供することができ、第2の態様の特徴に加えて、著しく鮮明なホログラム再生像を出現させることが可能な、ホログラムラベルを提供できる。
本発明のホログラムラベルの第4の態様は、
前記表面活性化処理が、光処理、又は物理的処理であることを特徴とするものである。
上記第4の態様のホログラムラベルによれば、
前記表面活性化処理が、光処理、又は物理的処理であることを特徴とする第1から第3の態様のいずれか一つの態様に記載のホログラムラベルを提供することができ、その態様の特徴に加えて、より脆性破壊し易く、且つ、脆性破壊する層の存在をより発見し難い、ホログラムラベルを提供できる。
本発明のホログラムラベルの第5の態様は、
前記パターンが、微細なパターンの集合により構成されているものであることを特徴とするものである。
上記第5の態様のホログラムラベルによれば、
前記パターンが、微細なパターンの集合により構成されているものであることを特徴とする第1から第4の態様のいずれか一つの態様に記載のホログラムラベルを提供することができ、その態様の特徴に加えて、さらに脆性破壊し易く、且つ、脆性破壊する層の存在をさらに発見し難い、ホログラムラベルを提供できる。
すなわち、本発明のホログラムラベルは、透明基材の一方の面に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、サーモクロミック薄膜層、粘着層がこの順序で形成され、上記したホログラムラベルの用途において、所望の被貼着体の一部や、封筒等の封緘部分等に貼着される。
このホログラムラベルを、その被貼着体、もしくは、封緘部分から、貼付した痕跡を残さず、ホログラムラベルも完全な元の状態で剥して、不正に準備した別の被貼着体に貼り替えたり、封筒や箱を開封して内容物を取り替えた後、あたかも、その被貼着体や封筒や箱の内容物が本物であると主張したり、逆に、真正なホログラムラベルを剥したものは、本物でないとして、その価値を低下させるなどの不正を防止するためには、
ホログラムラベルの基材及びホログラム形成層そのものが破断することが望ましいが、ホログラムラベルの基材及び、ホログラム形成層の破断強度は、非常に大きく、ラベルとしての粘着力等(JIS Z0237で規定する180°剥離試験にて、0.1〜1.0kg/25mm幅。)では、それらの層を100%破断させることは困難である。
そのため、透明基材とホログラム形成層との間の剥離強度を小さく抑え、且つ、透明基材の一方の面を所望のパターン状に表面活性化処理して、透明基材とホログラム形成層との接着性を部分的(その表面活性化処理した領域のみという意味。)に向上させ、0.5kg/25mm幅以上、3.0kg/25mm幅以下の剥離強度(JIS Z0237で規定する180°剥離試験にて。)とし、その他の領域については、ホログラム形成層との接着性をその強度より小さいままに抑えるか、さらには、その小さい強度をさらに小さくするため表面不活性化処理を行う。
その「パターン」としては、視認可能な大きさや形状を有する、文字、図形、記号等、その「パターン」が「可視化」されたときに、「容易に視認可能な表示」となるものであればいずれも使用でき、代表的には、ラベルを剥離した証拠を示すという意味で、「開封」の文字表示を出現させるため、「開」と「封」の文字の画線部領域のみを表面活性化処理するか、さらには、その表面活性化処理に加えて、その画線部以外の領域を表面不活性化処理する。
この表面活性化処理、すなわち、濡れ性を非常に高める処理や、表面に官能基を創り出す処理等には、炭酸ガスレーザー照射、遠赤外線炭酸ガスレーザー照射、172nm真空紫外線(VUV、エキシマ光)照射、酸素増感エキシマ光照射、(オープン)プラズマ処理、コロナ処理、電子線照射処理等の透明基材最表面の化学結合エネルギーよりも大きいエネルギー(例えば、7.2eV以上。)により、透明基材最表面の化学結合を切断し、または、172nmの真空紫外線等のように、大気中の酸素に吸収されてオゾンまたは直接励起酸素を発生し、この接触により官能基を生成する等の物理的処理等を用いて、透明基材の最表面のみを「表面活性化処理(表面張力が大きくなることを意味する。)」し、もしくは、酸化剤等薬品による表面処理、プライマー処理、シランカップリング処理等の化学的処理、アルゴンビームエッチング、エッチング液、さらにはサンドブラスト加工等の物理的な租面形成処理等を用いることができる。
そして、表面不活性化処理としては、透明基材上、もしくは、上記の表面活性化処理面の所定の部分のみを精度よく表面不活性化処理する必要があり、透明基材上に直接「表面不活性化処理」を行う方法、例えば、熱硬化性樹脂や、硬化剤を添加した樹脂からなる透明基材を用いて、その最表面の一部を赤外線加熱等により完全硬化させて、未反応成分を解消したり、離型成分を含む樹脂の部分加熱や部分硬化により、その離形成分を最表面にブリードする方法等、または、まず、透明基材の最表面全体に上記した「表面活性化処理」を施し、その後、活性化した透明基材の最表面の一部(領域)に、その最表面のみを部分的に溶解する、もしくは、その最表面の活性化した官能基と反応して官能基の活性を解消する、溶剤類、例えば、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン等。)、エステル類、エーテル類(テトラヒドロフラン等。)等、または、これらの透明基材とはそもそも接着し難い、界面張力の小さい樹脂、例えば、シリコーン樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂や、これらのフッ化炭化水素基、有機珪素基を含む樹脂等を、活版印刷方式やインクジェット方式を用いて、表面活性化処理面への接触を避けて、上記した所望のパターン状に部分形成する方法等により、高い精度でパターン状に表面不活性化処理する。
この際、透明基材表面の光学的な特性(透明基材に付着したものを含んだ特性とし、光学的透明性、屈折率分布や、光を反射する界面形状等。)に変化を与えないことが望ましく、溶剤等は揮発することで、また、樹脂等はあくまで表面改質の目的であって乾燥後の形成厚さが光の波長の1/2〜1/10程度となることが望ましい。もちろん、これらを併用することも好適である。
そして、このホログラムラベルを剥そうとして透明基材を被貼着体から持ち上げた際、表面活性化処理を施していない部分、または、表面不活性化処理した部分において、その透明基材とホログラム形成層との間で容易に剥離が起こり、表面活性化処理した部分においては、透明基材側にホログラム形成層が付着したままとなって、表面不活性化処理した部分と表面活性化処理を施していない部分との境界、または、表面不活性化処理した部分と表面不活性化処理した部分との境界において、ホログラム形成層に強いせん断力(ホログラム形成層を破断しようとする力。ホログラム形成層が破断する際に加えていた力が破断強度となる。)が働くこととなる。
このホログラム形成層上に、そのホログラムレリーフに接するように、さらには、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで、サーモクロミック薄膜層が設けられているが、このサーモクロミック薄膜層は非常に薄い層であり、且つ、サーモクロミック材料を多く含んでいるため、サーモクロミック薄膜層の破断強度は非常に小さく、ホログラム形成層の破断とともに容易に破断する。
そして、このサーモクロミック薄膜層上に設けられている粘着層も、その破断強度はホログラム形成層より小さく、ホログラム形成層の破断とともに、破断するか、もしくは、粘着層内において凝集破壊(粘着層が上下に分断されることを意味する。)を生じることとなる。
すなわち、「開封」の文字状に表面活性化処理等を施した場合、「開封」の文字の領域に対応する部分のホログラム形成層、サーモクロミック薄膜層、及び粘着層のみが、透明基材に付着し(以下、透明基材側残部ともいう。)、「開封」の文字以外の領域に対応する部分ではそれらの層は透明基材に付着しないで、透明基材が剥離され、被貼着体側には、ホログラム形成層、サーモクロミック薄膜層、及び粘着層が、「開封」の文字状に欠けた状態(文字状の窪みが発生した状態、もしくは、文字状の穴が開いた状態。以下、被貼着体側残部ともいう。)で残されることとなる。
また、表面活性化処理部分の領域の大きさ(面積)と、それ以外の領域(表面不活性化処理部分の領域を含む。)の大きさ(面積)とを比較すると、この例もそうであるが、表面活性化処理部分の領域の大きさより、それ以外の領域の大きさの方が相対的に大きくなる場合が多いことから、この透明基材とホログラム形成層の界面での剥離を助長する効果も有する。
そして、この被貼着体上の被貼着体側残部に、所定の加熱をすると、サーモクロミック材料が「変色」もしくは「発色」し、その「変色」もしくは「発色」した波長(以下、発光波長ともいう。)によるホログラム再生像が出現する。この場合、ホログラム再生像は、「開封」の文字により遮られた状態として観察される。
そもそも、ホログラム再生像はその再生の原理から非常に冗長性が高いため、この「遮断」(表面活性化処理領域の幅、すなわち、「開封」の文字の線幅だけ、ホログラムレリーフ及びサーモクロミック薄膜層が取り除かれているため、この領域からホログラム再生に寄与する光が放射されないことを意味し、あたかも、ホログラム再生像の上から、「開封」の文字状の「遮蔽物」をかぶせて、ホログラム再生像を結像する光の進路を「遮断」したように見えることを意味する。)を明確に視認できるようにするため、そのホログラムレリーフの干渉縞の周期0.5μm〜2μmの200倍〜5000倍、より好適には、500倍〜2000倍とする。
この「遮断」が、200倍未満であると、ホログラムの冗長性からホログラム再生像が強く再現されて「遮断」が弱まってその存在を視認し難くなり、この「遮断」が5000倍を超えると、表面活性化処理した部分の領域の面積が大きくなって(個々の線幅が大きくなり、結果として全体の面積も大きくなることを意味する。)、透明基材そのものが剥離しにくくなったり、ホログラムラベル全体が何らの破断も生じずそのまま剥離できてしまう等の不具合が発生する。
透明基材を剥離した際の「遮断」(文字等。)の鮮明さは、500倍〜2000倍が最も良好となる。
これに対し、表面活性化処理していない面、乃至は表面不活性化処理面は、その剥離強度を、0.01kg/25mm幅以上0.1kg/25mm幅以下として、ホログラムラベルを剥そうとすると、どのように工夫しても、必ず、透明基材がホログラム形成層からスムースに剥がれるものとし、透明基材を剥離した際、ホログラム形成面の最表面がほぼ鏡面となって(剥離痕等が残らないことを意味する。)、その部分からは、その下にあるホログラム再生像を鮮明に視認することができるものとする。
上記した印刷手法を用いる表面不活性化処理は、非常に鮮明なパターンを形成可能であり、且つ、表面不活性化処理面と表面活性化処理面との接着強度差を非常に大きくすることができるため、破断する境界線をより明確なものとすることができる。
もちろん、これらの表面活性化処理及び表面不活性化処理を用いたパターン状処理は、光学的に透明であって、ホログラムラベルを観察した際、そのパターン境界を視認することができず、レーザー等で照明してもその透明性(その連続性。)を維持している。
この表面活性化処理の中でも、レーザー照射等の光処理、又はプラズマ処理等の物理的処理は、透明基材の処理面に凹凸が発生せず、鏡面を維持していること、表面活性化処理の位置精度を高くすることが可能であること、及び、表面不活性化処理による表面不活性化処理効果が大きいことから、特に望ましく、また光学的透明性にも優れる。
さらに、上記した「パターン」内を均一に表面活性化処理することに替えて、その「パターン」を「微細なパターンの集合により構成」する、すなわち、その「パターン」内を、
より「微細なパターン」、例えば、網点状、市松模様状、ランダムパターン状等の「微細なパターン」の集合体とし、その「微細なパターン」の部分のみを表面活性化処理することで、「破断」する境界線(すなわち、破断する機会)を増やし、「破断」をより効率的に発生させることができるようになり、透明基材を剥離した際のホログラム形成層等の破断性、そして、併せて、サーモクロミック薄膜層の破断性を向上することができる。
例えば、網点形状の場合には、その網点の中を表面活性化処理し、網点と網点の間の領域は、表面活性化処理せず、または、表面不活性化処理し、
市松模様状の場合には、升目で一様に区切り、その一つ飛ばしの升目の部分のみ、表面活性化処理し、それ以外の升目は、表面活性化処理しないか、もしくは、表面不活性化処理して、透明基材とホログラム形成層との界面の剥離強度に微細な網点状や微細な市松模様状の強弱を付与することで、「破断」性を向上させる。
このため、「微細なパターン」の個々の大きさ(市松模様であれば、その一つのマスの大きさを意味する。)は、50μm〜1mmとする。
「微細なパターン」の個々の大きさが、1mmより大きいと、「破断」性を向上させる効果が低下し、50μm未満とすると、表面活性化処理の個々の領域が小さくなりすぎて、上記した方法による、十分な表面活性化処理ができなくなる。
この表面活性化処理を施す範囲は、ホログラム形成層全体に渡って施すこともできるが、この表面活性化処理の目的が「不正行為の判定」であるため、ホログラムラベルの所定の一部範囲(1/10〜1/25の範囲。)に限定して施すことも、ホログラムラベルを被貼着体に貼着した状態で、そのような処理が存在することをさらに秘匿する意味で好適である。
さらに、ホログラムの冗長性を遮断する目的を考慮すると、「パターン」は均一に設けることが望ましいが、ホログラム画像再生時のもう一つの特徴である、「50μm〜300μm幅の微細な光回折性の帯でホログラムを寸断すると、光回折性の帯とホログラムの帯が一対となって縞を構成し、それぞれの帯から回折する光の干渉効果により、ホログラム画像の再生を阻害する効果が発生する」現象を用いて、ホログラム再生を「遮断」するためには、「微細なパターン」の大きさを、50μm〜300μm幅であって、長さも同様とすることが望ましい。本発明の場合は、この微細な光回折性の帯に相当する部分は、光散乱性の帯となる。
例えば、網点の直径、市松模様の一つの正方形の一辺の長さ、さらには、ランダムパターンの個々の領域の幅等を、この大きさとする。
透明基材剥離時、ホログラム再生に寄与する領域とホログラム再生に寄与しない領域とが、交互に上記した大きさで形成されることで、1つのホログラム再生領域とそれに隣接する1つのホログラム再生しない領域が、上記した微細な「縞」を形成し、この縞が繰り返し存在することで、ホログラム画像の再生を阻害し、単なる虹色の領域として視認されることになる。従って、この場合は、例えば、虹色の「開封」文字が観察される。
本発明で使用される透明基材には、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムラベルを製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、5〜250μm厚さのフィルム状もしくはシート状のプラスチックを用いる。
透明基材の上に形成される、ホログラム形成層を構成する、透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、グラビアコーティング方式等の各種コーティング方式や、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式等の各種印刷方式を用いて、5μm〜50μm厚さのホログラム形成層を形成する。
上記の透明な樹脂材料を用いてホログラム形成層を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
レリーフホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
特に、所定の色調を呈しているサーモクロミック薄膜層により、その色調のホログラム再生像を視認できている場合には、その色調のホログラム再生像の再生方向を通常照明光の入射角度に対して、一般的に視認する際の観察角度(入射角度に対して30度〜60度の方向)に設定しておき、変色後の観察可能角度が再生方向の変化により、その角度範囲外とすることも、その偽造防止性を高める意味で好適である。
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.1μm〜1μmである。
ホログラムレリーフは、位相ホログラムとしての位相差を「レリーフ形状(凹凸形状を意味する。)」に現しているが、この位相差を有する「レリーフ形状」に接するように設けられ(サーモクロミック薄膜層の一方の面がその「レリーフ形状」に沿って設けられ)、または、「レリーフ形状」に追従して均一な厚さで、サーモクロミック薄膜層が設けられることにより、サーモクロミック薄膜層が発する発光が、上記位相差を含んで、または、有して発することになる。
サーモクロミック薄膜層が、透明性を有しているか、もしくは、「白色」(サーモクロミック材料表面の光散乱性により、「白色」と視認されることを意味する。)である場合には、通常の照明光の下では、単なる透明なラベル、もしくは、白色ラベルとして視認される。そのため、上記した種々のホログラムラベルの用途においては、その用途に適合する文字や絵柄等の印刷層を、ホログラムラベルを構成する各層の上下、特には、透明基材とホログラム形成層との間に設けることが好適である。
また、サーモクロミック薄膜層が、既に、「ある色調」を呈している(「有色」の状態を意味する。)場合には(この場合の方が多い。)、通常の室内照明光の下で、その色調によるホログラムラベルとして視認できるため、「ある色調」と「同一の色」(色の三要素である「色相」「色彩」「明度」が実質的に一致することを意味する。)を呈する「真正」等のそのホログラムラベルが本物であることを意味する文字や図柄等印刷層を、ホログラムラベルを構成する各層の上下、特には、透明基材とホログラム形成層との間に設けることが好適である。
これにより、サーモクロミック薄膜層に対して所定の加熱をし、サーモクロミック薄膜層を「変色」をさせた際に、その「真正」等の文字が浮き上がるようにすることができる。
この場合における「同一の色」の範囲は、「色差」、例えば、L*a*b*色度図(LAB表色系)における△E{=(△a2+△b2+△L21/2)}で表される「色差」において、△Eが、0.5以下となることを意味する。
国際照明委員会(CIE)が提唱する表色系には、その他RGB系、XYZ系(Yxy系)、UVW系(Luv系)等があるが、これらは相関しており、容易に換算が可能であって、その換算値を用いることもできる。
そして、「色」の変化は、この△Eが0.5を超えると「差があるもの」として認識され(SLIGHT:差がわずかに感じられる。)、1.5を超えると明確にその「違い」を視認できる(NOTICEABLE:差がかなり感じられる。)。
このようなある色調を呈するホログラムラベルとしか視認されない「ラベル」もしくは、「通常のデザインを有する通常のラベル」が、所定の加熱により「変色」もしくは「発色」して、その「発色」波長、乃至は「変色」波長のホログラム再生像を出現する。
ここで、ホログラム再生像が出現する原理について以下に説明する。
サーモクロミック薄膜層が「発色」もしくは「変色」により呈する「光」は、レリーフホログラムを再生する場合に生じる(ホログラム再生の元となる)ホイヘンスの2次波に対し、本発明のホログラムラベルの場合において、この2次波に相当するものが、ホログラムレリーフ面に配されたサーモクロミック薄膜の呈する色調(以後、「発した色」、もしくは、「変色した色」からでる「光」を便宜上まとめて、「発色光」、又は「発光光」とも表現する。)であり、この発色光がその役目を担い、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフが有する位相差を含んで発色光を観察者側に発するものである。
この発色光が、ホログラムレリーフ面上の空間において干渉現象を起こし、その結果、所定の方向に所定のホログラム再生像を発現する。
サーモクロミック薄膜が、その色調を変化させる様子を、サーモクロミック分子ポテンシャル曲線(図1参照。)を用いて、以下に説明する。
サーモクロミック分子S1(光吸収波長λを有する。この波長が、紫外領域や、赤外領域の場合は、無色透明と観察される。)は、熱伝導、赤外線等の放射線照射、自発熱等によってエネルギーを得て、励起状態の分子S*になる。(STEP1)
このとき、励起状態となったサーモクロミック分子S*は分子内反応、例えば、固相反応、電子供与体ー受容体の電子授受、結晶転移、脱水、(結晶)構造変化にともなう化学変化等により、その分子の幾何構造や、電子構造を変化させる。
この変化によって、サーモクロミック分子S*は、サーモクロミック分子S1とは違った波長の光λ′(可視光領域の波長。可視光領域の吸収極大を有することを意味する。また、λとλ´が逆の場合は、発色→消色へと変化することになる。)を吸収するサーモクロミック分子S2 へと変化する。
そして、サーモクロミック分子S2 は、熱エネルギーを吸収(STEP3)して、再び、サーモクロミック分子S1 へと戻る。
そしてこのSTEP1〜STEP3を繰り返すことが可能であって、この性質をサーモクロミズム性と呼び、その性質を示す薄膜層を、サーモクロミック薄膜層と称する。
S1の方がS2よりも熱的に安定であり、常温でS1が主成分となり、高温下でS1が主成分となる。
△HをS2とS1のエンタルピー差とすれば、S1の存在量とS2の存在量の比は、
[S2]/[S1]=K×EXP(−△H1/RT) ・・・ (1)
と表される。(R:気体定数、T:温度)
この比の温度依存性が、S1のサーモクロミズム性の温度に対する感度である。この感度は、△H1に比例しており、△H1の大きいほど、感度が高く好ましい。例えば、常温でS1とS2の比が9/1である場合、100℃でこの比が逆転するためには、△H1=10kcal/mol(キロカロリー/1分子)である必要がある。この△H1が大きいことは、活性化エネルギー△H2の値を大きなものとし、S1からS2への変化速度を下げることになるが、本発明の用途においては、この速度が比較的緩慢であっても、意匠性や、偽造防止性に影響しないものであれば問題とならない。
また、応答速度反応定数k(平衡に達するまでの速度定数)は、
k={kS1+kS2×EKP(△H1/RT)}×EXP(−△H2/RT)
となり、活性化エネルギー△H2が高いと反応速度が遅く、また、△H1が高いと応答速度が早くなるものの、S2からS1への逆反応を早めるため、平衡時におけるS2の存在量を低くする。このようにサーモクロミズムは、熱力学パラメーター△H1及び△H2によって制御される。
しかし、いかにS1からS2への変化が大きくても、両者のスペクトル差(色差)が小さければ、サーモクロミズム性は小さい。
スペクトル差の程度は、上記したような化学変化量に比例せず、個々のスペクトル位置によっても異なる。
「色変化」という観点からは、「無色」から「有色」への変化が、「鮮明な変化」として捉えやすく好適である。「有色」から「別の有色」への変化は、必ずしも鮮明とはならないが、互いに補色の関係にあれば、むしろ「色差」発生の程度は大きいものとなる。
S1が「無色」で、S2が「有色」の場合を、「クロミズム性」と呼び、逆の場合、すなわち、S1が「有色」で、S2が「無色」の場合を、「逆クロミズム性」という。
本発明の場合は、「クロミズム性」を示す場合の方が、その意外性から、意匠性及び、偽造防止性に優れるものとなる。
従って、サーモクロミック薄膜層に用いられるサーモクロミック材料としては、温度変化による変色が明瞭で且つ変色温度幅が狭ければ使用できるが、意匠性においても、その意外性を高めるためには、又は、偽造防止の目的に使うためには、その変色温度や、変色レベルが高い精度で繰り返し可能であって、所定の温度で急激に変化するものが望ましい。
特に、常温(室温)では、無色であって、所定の加熱により発色するものが、より望ましく、消色段階は、意匠性を求めるものにおいては、しばらく発色を維持しているものが望ましく、偽造防止目的であれば、速やかに消色するものが望ましい。
すなわち、サーモクロミック薄膜は、あるときはサーモクロミック分子S1で構成され、あるときは、サーモクロミック分子S2で構成されていることになる。
サーモクロミック分子S1もしくは、S2はそれぞれ特徴のある光吸収曲線を有しており、サーモクロミック分子S1は波長λにおいて、サーモクロミック分子S2は波長λ´において大きな吸収(曲線)部分を持つ。
一例として、サーモクロミック分子S1における波長λが、紫外線領域にある場合、サーモクロミック分子S1は、無色透明であって、励起状態S*を経て、サーモクロミック分子S2に変化して初めて、可視光領域にある特定の波長(これが波長λ´の場合もある。)を中心とする光の吸収により、特定の色調を呈するようになる。
この「色調を呈する」状況は、サーモクロミック分子S2が、可視光領域において所定の光吸収曲線を有しており、このサーモクロミック分子S2に白色光を当てた際に、特定の波長を含む所定の波長領域の光を吸収し、吸収されなかった波長領域の光が発散光として、サーモクロミック分子Bからなるサーモクロミック薄膜層から発することになる。
この例によるホログラムラベルにおいては、サーモクロミック分子S2から発する発散光が、上記したホイヘンスの2次波の役割を担うことになる。
従って、サーモクロミック薄膜層がサーモクロミック分子S1で構成されているときには、このサーモクロミック薄膜層が無色透明であって、その位置にホログラムがあるとは認識できず、そのサーモクロミック薄膜層の背景にあるものが見えているが、熱伝導等の手段で、サーモクロミック薄膜層を加熱・昇温させることにより、サーモクロミック薄膜層が上記した波長領域の光を発散し、その発散光の干渉により、その発散光の「色調」によるホログラムが空中に浮かんで見えることになる。
この発散光の「色調」によるホログラム再生像は、サーモクロミック薄膜層が、上記した△H2と△H1との差が大きい場合には、その「色調」をしばらく維持し、徐々に消色し、また、サーモクロミック薄膜層が、上記した△H2と△H1との差が小さい場合には、比較的すみやかに「色調」が消色し、再び、無色透明となる。
また、サーモクロミック分子S1、S2がいずれも可視領域の色調を呈する場合には、ホログラム再生像の色調が変わる現象が現れることになる。
本発明のホログラムラベルのこのような効果を意匠性ととらえて、鑑賞用途に採用してもよい。
また、△H2と△H1との差が小さいものの中でも、その消色の速さを非常に早いものとして、加熱手段をはずすと同時に消色するように設計し、ホログラム真正性判定者が、ホログラムラベル(もしくはホログラムラベル貼着物)保持者から、そのホログラムラベル(もしくはホログラムラベル貼着物)を預かり、素早く加熱手段を僅かな時間あてて、その瞬間に、上記した発色光によるホログラム再生像を視認して、真正であることを確認し、その後、すみやかに、そのホログラムラベル(もしくはホログラムラベル貼着物)を、その保持者に返却するなど、その真正性判定を、その保持者に気づかれずにに行うことを可能とすることもできる。
この場合には、消色の速さを、発色強度(発色濃度)の半減期で表現して、その半減期が、0.1秒〜数秒となるように設計する必要がある。こうすることで、加熱手段を当てると、速やかに上記した変化が生じ、サーモクロミック分子S2の「色調」のホログラム再生像が現れ、加熱を止める(机の上に押し当てる等の不自然に見えない冷却手段を併用してもよい。)と、速やかに無色透明となる、真正性判定に優れるホログラムラベルを提供することができる。
もちろん、加熱後、発色を確認し、速やかに、再度、熱を加えて消色するような判定システムを用いることも好適である。
次に、ホログラフィの原理について説明する。
物体がコヒーレント光で照明され,物体から回折された光が記録媒体(サーモレジスト等。)を照明しているとした場合、物体から回折されて記録面に到達した物体波は、
F(x,y)=A(x,y)EXP[φ(x,y)]
であらわされる。ここで、
A(x,y) は物体波の振幅分布とし、
φ(x,y) は位相分布とする。
このとき、記録媒体には、記録媒体に到達する光波の強度分布が記録される。その強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)|2=A2(x,y) (1)
となり、位相分布は記録されない。
ここで,物体波にこれと干渉性のある光波(参照波という)を重ね合わせると,記録される光波の強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)+R(x,y)|2
=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+F(x,y)R*(x,y)+F*(x,y)R(x,y) (2)
となる.(*は複素共役項を表す。)
ただし,参照光が記録面に角度θで入射する平面波であるとすれば、
R(x,y)=r(x,y)EXP(2πiαx) (3)
と書け、
α = SIN(θ)/λ (4)
である。(2)の第1項と第2項はそれぞれ、物体波の強度と参照波の強度でいずれも位相情報は欠落している。第3項と第4項は干渉の項でそれぞれ
F(x,y)R*(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[i [φ(x,y)−2παx] ] (5)
F*(x,y)R(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[−i [φ(x,y)−2παx]] (6)
とあらわされ、物体の位相項 φ(x,y) が残っている。(5)、(6)は互いに複素共役であり、(4.2)の第3項は物体の複素振幅分布を含んでいる。(5)、(6)を(2)に代入すると、
I(x,y)=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+2A(x,y)r(x,y)COS [2παx−φ(x,y)] (7)
となる.物体波と参照波が干渉して干渉縞を形成していることがわかる。
このように、物体波に参照波を重ね合わせて干渉記録し、 物体の位相情報を欠落させずに記録する方法がホログラフィである。(7)を記録したものが「ホログラム」と呼ばれる。ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布 I(x,y)に比例し、
T(x,y)=τI(x,y) (8)
とかけるとする。このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてると、ホログラムを透過もしくは反射してきた波面は、
T(x,y)R(x,y)=τ(|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+τF(x,y)|R(x,y)|2
+τF*(x,y)R2(x,y) (9)
とあらわすことが出来る.この第2項は
τF(x,y)|R(x,y)|2
τA(x,y)r2(x,y)EXP[iφ(x,y)]] (10)
第3項は、
τF*(x,y)R2(x,y)=
τA(x,y)r2(x,y)EXP[−iφ(x,y)+2πiα] (11)
とかける。
このことから、(9)の第1項は、照明光と同じ方向にホログラムを突き抜ける光束もしくは正反射する光束であり、第2項は、(10)より、物体光に比例した振幅を持つ光波であることがわかり、第3項は、(11)より、物体波と共役な位相分布を持ち、2θの方向に伝播する光波であることがわかる。
このようにして,ホログラフィの技術を使うと複素振幅分布を記録して再生することが出来る。
本発明の場合は、ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布に比例し、(8)の式で表されてはいるものの、このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてるのではなく、(8)の振幅透過率もしくは振幅反射率と同様の空間的な分布を持つ発光波がこのホログラムから発せられることになる。
従って、参照光にホログラムに記録された位相項を付与するという従来のホログラム再生の原理によらず、既にホログラムに記録されている位相項を保持して発光波を放射するものである。従って、理論上は、物体の位相差を含む空間関数を持つ3次元の連続曲面状の発光面を有し、その1曲面から光が放射されることになる。
従来のホログラム再生原理を透過タイプについて、単純化して説明すると、参照光としての平行光をホログラムにあてた際、遮蔽部分では、平行光が遮蔽され、透過部分からのみその平行光を透過し、透過部分と遮蔽部分との境界において回折が起こり、物体の持つ位相項を受け取り、ホログラムを透過した成分全体が重ね合わさり、それがホログラム再生光となって観察者の目に届くものである。
本発明の場合は、上記した参照光としての平行光が存在せず、ホログラムレリーフに接するように設けられた発光面での発光時(「発色」や「変色」により「色」が発することを「発光」と捉えることを意味する。ホログラム原理の説明をする場合においては、敢えてこの「発光」という言葉を使用する。)、その放射光が物体の位相項を保持しており、その放射光同士の干渉現象により、ホログラム再生がなされるものである。
時間的且つ空間的コヒーレンス性を持たない放射光同士の干渉効果は、レーザー光のような十分な干渉を生じないが、低コヒーレント光で ホログラムを照明した際と同様のレベルでホログラム再生が行われる。例示すれば、レーザー光のような特別な光源による照明を用いず、一般家庭や、一般的な事務所等において用いられている「蛍光灯」のような、「人工的に発生させた自然光」によっても、ホログラムを再生させることが十分可能である。但し、「人工的に発生させた自然光」であっても、その光源の大きさが、「点光源」であるか、「線状」であるか。もしくは「平面状」であるかによっても、また、その発光波長が、「単色光」であるか否か、さらには、その発光曲線の半値幅が狭いか否か等によって、その「ホログラム再生像の鮮明さ」は大きく左右されることになる。
以上のような原理によるホログラム再生であるため、ホログラム撮影時の参照光は平行光であることが好ましく(複雑な参照光を再現できないため。)、もしくは、「回折格子により表現されたホログラム」(回折格子は、物体光、参照光とも平行光である。)であることが好ましく、さらに、回折格子は計算機ホログラム等、電子線描画により形成したものが精密であり、好適である。
さらに、上記の理由から、ホログラム再生像をより鮮明にするためには、放射光に、時間的若しくは空間的なコヒーレンス性に類する特性を付与することが必要であり、例えば、発光する層の厚さを薄いものとしたり、発光波長の幅を狭くすることが望ましい。
また、加熱する際、一つのホログラム画像を再生するホログラムの全体、すなわち、対応するサーモクロミック薄膜層全体を均一に加熱、そして、昇温させることが必要であり、温度分布を精度よく制御した加熱板(温度分布を±1度以内とする等。)や、強度の均一な赤外線照射を行うこと、さらに、観察時、その放射光をフィルタリングして発色光のみを取り出したり、さらにそれを増幅することも有効である。
これらの加熱により、ホログラムレリーフ面に接するように設けられたサーモクロミック薄膜層から、さらに言及すれば、そのサーモクロミック薄膜層に含まれるサーモクロミック分子等から個々に、加熱前の波長とは異なる波長の発光等が発現する。その発光等が、ホログラムレリーフと同一の空間的位相を含み、且つ、加熱前とは異なる波長(発光波長。)を有することから、ホログラムレリーフによる加熱前の回折方向とは異なる方向、すなわち、新たな発光波長による回折方向へホログラム像の再生が行われる。
但し、このサーモクロミック薄膜層の厚さが、ホログラムレリーフとは無関係にそのホログラム面上に分布している場合には、その厚さ分布に起因する発光強度分布が、場合によっては、ホログラムを再生する光と不要な干渉を生じ、ホログラム再生像を不鮮明にする要因となり得る。
この要因を排除するため、サーモクロミック薄膜層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成して、ホログラムレリーフ面のどの位置からも、同一の強度の発光が生じるようにし、ホログラム再生像の鮮明化を図る。
「ホログラムレリーフへ追従して、かつ、均一な厚さで形成する」とは、光が放出される発光層であるサーモクロミック薄膜層の膜厚さが、より薄く、且つ、より均一であることが要求されることを意味する。
すなわち、「ホログラムレリーフ面」と接する「発光層」との界面である「発光面」の形状はもちろんのこと、その「発光層」のホログラムレリーフ面とは反対側の「面」の形状も、そのホログラムレリーフのレリーフ形状と同一乃至はほぼ同一となることが重要である。(この「発光面」とその「面」との間に、サーモクロミック薄膜層が存在している。)
ここで、ほぼ同一とは、レリーフ形状の凹凸の再現性(その二つの「面」の同一性を意味する。)が、90%以上、さらには、95%以上であることが望ましい。
これは、一つの凹凸の再現性であると同時に、ホログラムを再生する領域全体の再現性を示す指標である。
この再現性は、例えば、2つの3次元曲線の比較において、元の3次元曲線の凹凸領域の体積に対して、もう一つの3次元曲線との差分領域の体積が、その10%以内、さらには、5%以内にあることを意味する。これは、一つの凹凸の再現性であると同時に、ホログラムを再生する領域全体の再現性を示す指標である。簡易的な評価として、レリーフ断面同士を2次曲線で比較する方法を用いることも好適である。
本発明のホログラムラベルの加熱手段として、透明な発熱板を使用したり、紫外光や赤外光を使用した場合は、その板や光は観察者には見えず、あたかも(本来なら必要な)照明光のないところからホログラム再生像が浮き上がっているように観察されるが、このホログラム再生像は、昇温励起・発光というプロセスを経て発光するものであるため、その発光時の空間的なホログラムの位相を含んではいるとはいえ、その発色光同士の時間的及び空間的なコヒーレント性は小さく、ホログラム再生像は通常のレーザー再生レリーフホログラムのレーザー光による再生像より微弱であって且つ不鮮明となっている。
もちろん、ビーム形状の回折光を観察するのみであれば、その色調と回折方向を確認することは容易であり、そのままでも真正性の判定に差し支えないが、この微弱且つ不鮮明なホログラム再生像を観察者が認識しその存在を正確に判定可能とするために、サーモクロミック薄膜の発光性能を向上させ、且つ、回折角度を大きくとって波長―回折角依存性を強め、さらには、サーモクロミック薄膜層を薄くして、サーモクロミック薄膜層厚さ方向のばらつきを抑え且つ均一なものとすることが必要となる。(発光面が位相情報を含んでいるため、その空間的な形状を正確に再現するものとする。)
また、サーモクロミック薄膜層の発色光は、可視光領域にある「特定の吸収波長」を除くその「短波長側の領域の発光」と「長波長側の領域の発光」という二つの光(領域)の加色混合となることが多く、このことによるコヒーレント性の低下を招きやすい。このため、例えば、500nmに大きな吸収を有するサーモクロミック分子S2の場合には、「青色発光」と、「赤色発光」の加色混合により、通常なら「ピンク色の発光」色調となるところ、実際には、「青色発光」と「赤色発光」それぞれのホログラム再生像を再生し、それらが干渉して、ホログラム再生像の鮮明さを低下させるものである。
この現象を回避するためには、「特定の吸収波長」の波長幅の比較的大きいもの、そして、500nm以下の領域と、500nmを越える領域の2つの領域にその吸収領域を持つことで、「発光波長」が、500nm付近にあって、且つその半値巾の狭い(50nm以下。)「発光」を実現し、より鮮明なホログラム再生像を得ることも好適である。
さらには、時間的なコヒーレント性を発現するため、サーモクロミック薄膜層の昇温と、冷却のサイクルを0.1秒〜1秒程度に速くすることも好適である。
これは、サーモクロミック薄膜層の「色が変化する温度」(サーモクロミズム温度。Tc温度ともいう。)を常温より高いものに設定し、赤外線ヒーター等による赤外線照射で、速やかに、Tc温度より高い温度まで薄膜層を昇温し、その赤外線照射を止めた後、速やかに冷却が進む(常温とTcの温度差が大きいほど、その冷却速度は速くなる。例えば、その差を20〜50度とする。冷却速度を確保するためには、20℃以上の差が必要であるし、その差が50℃を超えると、昇温に時間を要することとなる。)ようにし、薄膜層温度がTcより低くなった時点で、再び赤外線を照射して、薄膜層温度をTcより高いものとする、などの手法を用いることで達成できる。
これにより、一つの発光の発光面が、次の発光によって生じた発光面とは、互いに撹乱現象を起こさず、一つの発光面によって生じるホログラフィックな干渉現象により、鮮明なホログラム再生像を観察することができるようになる。このようにストロボ状の再生画像であっても、観察者には、連続して発光(再生)しているようにも見えるため、このような簡易な手段であっても目視で確認する場合には、鮮明なホログラム再生像を観察することができる。
サーモクロミック薄膜層は、サーモクロミック分子を樹脂に混入させたり、溶剤(若しくは水)に分散させたりしたサーモクロミック分子含有インキを、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、ノズルコート方式さらにはインクジェット方式等でホログラムレリーフ上に形成することができる。
このとき、インキ中のサーモクロミック分子の含有割合を調整する等により、形成したサーモクロミック薄膜層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成することができる。
ホログラムレリーフの凹凸は例えれば、1μmレベルの周期で、深さ0.01μmレベルの凹凸を持つ、ゆるやかな曲線であって略平面と見做せるため、この略平面上に適宜な粘度(0.1〜10パスカル・秒)に調整し、インキの自重によるレベリング効果を発揮させることと、インキ中の固形分を10%以下、さらには5%以下とすることで、例えば、厚さ1μmに対して、そのばらつきを1/10以下に、さらには1/20以下に抑えることができる。
ここで、サーモクロミック薄膜層を1μmオーダーとしたが、ホログラム再生像の鮮明度を向上させるためには、サーモクロミック薄膜層を離散的に設けることも好ましく、このために、サーモクロミック薄膜を形成する領域の単位(サイズ)を1.0μm程度もしくはそれ以下、例えば0.01μm〜0.5μm、より好適には、0.01〜0.05μmとし、ホログラムレリーフ面内に均一に点在させることも好適である。そして、サーモクロミック薄膜層厚さ方向には、サーモクロミック分子、もしくは、サーモクロミック分子を吸着させた微粒子を単位として1〜10分子もしくは1〜10粒子で並んでいる状態とすることが好ましい。
中でも、ノズルコート方式やインクジェット方式、さらには、化学蒸着等の物理的蒸着法では、樹脂を使用せず溶剤等とサーモクロミック分子や粒子のみで薄膜を形成可能であり、サーモクロミック薄膜層として非常に薄く形成(サーモクロミック分子や粒子1〜10分子等。)することができるため好適である。その上にそれらのサーモクロミック薄膜を固定するために適宜な透明樹脂層を保護層として形成してもよい。
ところで、サーモクロミック材料は、ホログラム記録材料や、光メモリ用記録材料そのものとして用いることは可能であり、そのような用途は既に公知であるが、これらは、サーモクロミック材料に直接ホログラフィックな記録(干渉縞の記録)を行うものであって、サーモクロミック材料に微細な明暗の記録を行うものである。
この記録は、記録した領域のサーモクロミック分子に変化を与えない手法(変化を与えない程度に光を照射するなど。)を用いて、読み出されることになる。
これに対して、本発明のホログラムラベルは、均一に形成したサーモクロミック薄膜層を全て同様に(均一に)加熱し、均一な発色を生じさせるだけのものであって、ホログラム撮影光学系を組んでサーモクロミック薄膜層を露光するというような複雑な工程を必要とせず、サーモクロミック薄膜層そのものが「その形状として保有」している凹凸形状に、そのホログラム情報を担持させており、サーモクロミック薄膜層を均一に形成するだけでホログラム情報を「取得する」(「ホログラム再生情報」を「獲得する」という意味。)ことができるという顕著な効果を有するものである。
ホログラムレリーフは、周期1μm程度で、深さは、0.01μm、最大でも0.5μmの凹凸形状をしており、この凹部にのみサーモクロミック薄膜層を設けることで、ホログラムレリーフの周期に同調するかたちで、サーモクロミック薄膜層の有無、すなわち、発光の有無を設けることができる。
ホログラムレリーフの凹部とは、ホログラムレリーフ上にサーモクロミック薄膜層を形成する際の凹部であって、通常の観察の仕方、すなわち、ホログラム形成層側から観察する場合には、凸部側となる。サーモクロミック薄膜層の有無を利用して発光強度分布を形成するためには、凹凸どちらかに部分的に形成すればよく、さらには、凹部全体をサーモクロミック薄膜層で埋めてもよく、もしくは、凹部の底の部分のほんの一部のみに形成してもよい。但し、その位相分布と形成する分布が同調する必要があるため、一部に形成する場合は、常に同一の位置に同一のサーモクロミック薄膜「量」を持って形成しなければならない。(この「量」が、発光強度に比例するため。)
凹部に選択的にサーモクロミック薄膜層を形成する方法としては、溶剤等に分散した粒径の非常に小さい、サーモクロミック分子を含むか、その表面に吸着させた微粒子(粒径が0.01μm等。樹脂を含まない。)インキを使用して、ホログラムレリーフの上にインキ層を形成し、溶剤が揮発する間に、微粒子が自重で凸部から凹部へと移動するようにしても良い。
また、規則的な回折格子を設け、その上に均一に設けたサーモクロミック薄膜層をフォトリソグラフィーを用いて、その規則的な回折格子に同調させて露光現像、エッチングすることにより、凹凸とサーモクロミック薄膜層を同調して設けることもできる。この方法によると、各凹部に点在するサーモクロミック薄膜層の厚さや大きさを制御可能であり、レリーフ面全体に、いわば”均一に”形成することができる。
以上の手法により形成したものは、上記のホログラムの原理において説明した、発光(放射光)にホログラムレリーフの位相情報を含ませること、に加え、その位相情報に同調した振幅情報をさらに含ませるものである。
従って、発光放射光に位相ホログラムと振幅ホログラムの両方のホログラム情報を含ませることができ、より鮮明なホログラムを得ることが可能となる。
これにより、その意匠性及び真正性判定性を向上することができる。
上記したホログラムの原理より、ホログラム再生像の鮮明度を高めるためには、サーモクロミック薄膜層の厚さは薄いことが望ましいが、薄くすればするほど、ホログラム再生時の発光強度が弱くなるため、サーモクロミック薄膜層厚さは、0.01μm以上1.0μm以下である必要があり、さらには、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
0.01μm未満(最小粒径の粒子1個分)では、発光強度が弱すぎて、光電子倍増管を用いて増幅したとしても、迷光等のノイズとの区別がつきにくく、1.0μmを超えると、発光強度は本発明の目的には十分な強度を得ることが可能であるが、厚さ方向に複数存在する粒子からの発光により、ホログラムレリーフの位相情報を担う曲面の位置がその厚み方向に複数存在することになり、結果としてホログラム再生像が不鮮明となる。
これに対して、0.01μm以上として発光強度を確保し、0.5μm以下として、位相情報を担う曲面の位置を明確にして、ホログラム再生像を鮮明なものとする。
このようなサーモクロミック薄膜層は、ホログラムラベルを不正に剥がした際に非常に破断しやすいことから、真正性の判定性をさらに向上することができる。
このサーモクロミック薄膜層上、もしくは、サーモクロミック薄膜層が無い領域においては、ホログラム形成層に直接、粘着層を設け、本発明のホログラムラベルを形成することができる。
粘着層に用い得る透明な樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリビニリデン、メチルセルロース、フッ素樹脂、メラミン樹脂、もしくは、この混合体等を適宜用いることができ、更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる(粘着剤を意味する。)。
これらの粘着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、グラビア印刷等のコーティング方式や、シルク印刷、さらには、無溶剤のホットメルト方式等を用いて、上記のレリーフホログラムのホログラムレリーフ上に、乾燥後の形成厚さ、5μm〜50μmで、設けることができる。
5μm未満では、ホログラムラベルを貼着する被貼着体との接着力(接着強度、もしくは、剥離強度を意味する。)が不十分であり、また、50μmを超えると、ホログラムラベルの取扱い適性に欠けるものとなる。
上記した粘着層に用いる透明な樹脂は、サーモクロミック薄膜層やホログラム形成層との接着性の強いものを適宜選択する。
また、粘着層には、光散乱性を有するもの、例えば、高屈折率である透明無機顔料微粒子(二酸化チタン顔料:屈折率2.70、酸化鉄パール顔料:屈折率3.0など。)を比較的多く混入させることが可能であって(粘着層を通過する光は、「ホログラム再生」には寄与しないため。)、これにより、サーモクロミック薄膜層を発色、または、変色させた際の、観察側とは反対の方向に進む光を乱反射させて減衰させることができるとともに、粘着層の粘性を抑制してホログラムラベルのブロッキングを防止でき、好適である。
この光散乱性は、赤外線照射等による加熱をする際には、この赤外線を散乱することにも寄与し、その加熱効率を向上させるため好適である。
粘着層と、サーモクロミック薄膜層やホログラム形成層との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)は、100g/25mm〜3kg/25mm、特に、300g/25mm以上とすることが望ましい。
100mm/25mm未満では、ホログラムラベルを被貼着体に貼着した後、ホログラムラベルを不正に剥がそうとした際に、被貼着体と粘着層との界面においての剥離が起こり易くなり、ホログラムラベル全体が容易に剥がれてしまい、不正行為を可能としてしまうこととなる。そして、不正防止という意味では、剥離強度は、大きいことが望ましいが、3kg/25mmを超えると、ラベル加工適性や、ラベル貼付適性に劣るものとなる。
この外観上は単なる「ラベル」としか視認できない「ラベル」、もしくは、所定の色調のホログラム再生像を有する「ラベル」を、所望の被貼着体上の適宜な位置に貼付した後に、この「ラベル」を不正者が不正に剥そうとすると、透明基材が容易に剥がれ、透明基材側に、透明基材側残部が残り、被貼着体側に被貼着体側残部が残って、「開封」等の文字が現れ、この「ラベル」が「脆性ラベル」であったことが判明する。
この段階で、不正者は、被貼着体側残部を溶剤等で除去するとその溶剤等で被貼着体表面を劣化させると考え、その被貼着体側残部を残したまま、元の「ラベル」貼着状態を復元することを試みることとなる。もしくは、その「所定の色調」と同一の「色調」を呈する被貼着体側残部を、元の位置に位置合わせして重ね、元の「ラベル」貼着状態を復元することを試みることとなる。
すなわち、単なる「ラベル」としか視認できない場合には、偽の「ラベル」として、ホログラム形成層を有しない、通常の脆性ラベルを別途用意し、その偽の「ラベル」の粘着層で、その被貼着体側残部の窪みもしくは穴を埋めるように、その偽の「ラベル」をその被貼着体側残部上に貼着する。
不正者は、この行為により、元の「ラベル」貼着状態を復元できたとして、被貼着体を元にあった場所に戻して、不正行為を隠ぺいし得たと確信するが、被貼着体の「真の所有者」が、この偽の「ラベル」の上から、熱板や赤外線等による所定の加熱を施すと、被貼着体側残部に残っているサーモクロミック薄膜層が発光し(所定の色調を呈し)、その発光波長によるホログラム再生像を発現し、しかも、そのホログラム再生像が、「開封」等の文字状に「遮蔽」された状態で現れることから、何らかの「不正」が行われたことを、容易、且つ、確実に判定することができる。
もちろん、不正者が剥がした透明基材を使用して、新たな偽の「ラベル」を作り出したとしても、その「ラベル」を同様の照明光の下に置くと、今度は、「開封」等の文字部分にのみホログラム再生像が出現し、「不正」行為の存在を示すこととなる。
さらに、不正者がその剥がした透明基材そのものを使用して、元の状態を復元しようとして、被貼着体側残部の窪みの位置と、透明基材側残部の位置を合致させたとしても、そのホログラムレリーフの位置は空間的にずれており(厚さ方向のずれであり、1μmオーダーで位置合わせをすることは不可能である。)、従って、ホログラム再生像の結像位置もずれを生じて、やはり、「不正」の存在を示すこととなる。
しかし、それでも、不正者が、その困難を克服して、通常の照明光の下において、その「埋め合わせ」に成功したとしても(すなわち、通常照明光下において歪みなどの目立たないホログラム再生像を得ることができたとしても。)、その復元したホログラムラベルに対して、所定の加熱を行った際、それらの断面における熱伝導率の大幅な低下や、空気層の混在による大きな断熱効果などにより、そのラベル内の温度分布が不均一となって、サーモクロミック薄膜層に「変色ムラ」が発生し、不正者には到底予測することができない、歪みや不鮮明さが強調されたホログラム再生像によって、「真の所有者」は、その不正を容易に判別することができるものである。
本発明によれば、透明基材に、表面活性化処理を施した後、その上に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、サーモクロミック薄膜層、粘着層が設けられていることを特徴とするホログラムラベルを提供することができ、このホログラムラベルを、所望の被貼着体に貼着後、本来剥すことのないそのホログラムラベルを不正な目的のために剥そうとすると、その透明基材とホログラム形成層との界面で優先して剥離が発生し、その剥離した後には、不正行為であるというメッセージを表出し、さらに、所定の照明光によって照明すると、「開封等の文字状の欠け」や、「歪みなど」を含んだホログラム再生像が浮き上がって、不正が行われたか否かの判定を容易とすることができるホログラムラベルを提供することができる。
サーモクロミック分子ポテンシャル曲線を説明する図である。 本発明の一実施例を示すホログラムラベルAの断面図である。 本発明の一実施例を剥離するプロセスである。 本発明の一実施例を剥離後、判定するプロセスである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(透明基材)本発明のホログラムラベルで使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムラベルAを製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。(図2参照。)
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材1の一方の面に、パターン状に表面活性化処理を施して、表面活性化処理した部分2を設け、さらには、表面活性化処理した部分2以外の部分を表面不活性化処理して、
表面活性化処理した部分2とそれ以外の部分における、透明基材1とホログラム形成層3との密着性の差、すなわち、剥離強度の差を大きくする。(図2参照。)
透明基材1の厚さは、通常5〜250μmであるが、「ラベル」としての取り扱い適正から25〜100μmとすることが望ましい。
但し、サーモクロミック薄膜層4を加熱板等による熱伝導方式によって加熱する場合には、熱伝導性の高いものを使用し、且つ、その厚さも薄い方が好ましく、5〜50μmとする。そして、加熱板を外した際には、速やかに放熱し、常温に戻るものを用いることが、その偽造防止性から、望ましい。
また、透明基材1の一方の面に、透明な樹脂をコーティングして、この透明な樹脂に上記処理を行い、上記した効果を持たせても良い。(図示せず。)
この透明な樹脂には、上記した樹脂群に加え、下記するホログラム形成層2に用いられる樹脂を使用することができる。
さらに、表面活性化処理した部分2とそれ以外、乃至は、表面不活性化処理した部分との剥離強度の差を拡大する目的で、透明基材1とホログラム形成層3との間、すなわち、ホログラム形成層3上に保護層として形成され、透明基材1との剥離性を有する透明な樹脂を設けてもよい。(図示せず。)
この場合も、透明な樹脂としては、上記した樹脂群に加え、下記するホログラム形成層3に用いられる樹脂を、適宜、使用することができる。
もちろん、環境影響を配慮して、透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシートを使用することもでき、化学合成系として、ラクトン系樹脂:εーカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,3−トリメチルカプロラクトン、3,3,5―トリメチルカプロラクトン、βープロピオラクトン、γーブチロラクトン、δーバレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体またはこれら2種以上のモノマーの共重合体、これらの混合物、ポリカプロラクトン、もしくは、ポリブチレンサクシネート系樹脂:ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネートとポリカプロラクトンとの混合物、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンサクシネート・アジペートとの混合物、ポリブチレンサクシネート・アジペートとポリ乳酸との混合物、もしくは、ポリ乳酸、ポリ乳酸とD−乳酸との混合物など、もしくは、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂、例えばコハク酸とブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせや、シュウ酸とネオペンチルグリコール、ブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせなど、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものが好適である。
また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など:澱粉脂肪酸エステル、澱粉キトナン・セルロースなど、微生物生産系として、ポリヒドロキシブチレートや、ポリエステル系:炭素源として3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、γ―ブチロラクトンをベースとするP(3HB−CO―4HB)、炭素源としてプロピオン酸、吉草酸をベースとしたP(3HB−CO―3HV)などが好適である。
(表面活性化処理)
透明基材1の一方の面に対する表面活性化処理には、炭酸ガスレーザー照射、遠赤外線炭酸ガスレーザー照射、172nm真空紫外線(VUV、エキシマ光)照射、酸素増感エキシマ光照射、プラズマ処理、オープンプラズマ処理、コロナ処理、電子線照射処理等の透明基材1最表面の化学結合エネルギーよりも大きいフォトンエネルギー(7.2eV)、放電エネルギー、電子線エネルギー等により、透明基材1最表面の化学結合を切断し、又は、172nmの真空紫外線等のように、大気中の酸素に吸収されてオゾンまたは直接励起酸素を発生し、この接触により官能基を生成する等の物理的処理や、
過マンガン酸塩、過酸化物等の酸化剤を塗布することによる透明基材表面の酸化処理、プライマーコーティング処理、ビニル・エポキシ・メタクリキシ・アミノ・メルカプト・アクリロキシ・イソシアネート・スチリル・アルコキシオリゴマータイプシランカップリング剤を用いた処理等の化学的処理、真空処理であるアルゴンビームエッチング処理、透明基材を部分的に溶解するエッチング液処理、さらには機械的に透明基材表面を削り取るサンドブラスト加工等の物理的な租面形成処理等を用いることができる。(処理プロセスは図示せず。)(図2参照。)
この透明基材1の表面化活性化処理によって、透明基材1との接着性の弱い、すなわち、剥離強度の小さい樹脂に対しても、大きな剥離強度を得ることができる。
以上の表面活性化処理を用いて、透明基材1の界面張力もしくは表面エネルギーを増大させる。ホログラム形成層3に用いる樹脂や、その形成方法によってその剥離強度は決まるため、界面張力値を一義的には指定できないが、その目安としては、60〜80mN/mが好適である。(ポリエチレンテレフタレート樹脂では、36mN/mが、60mN/mに増大し、ホログラム形成層としてのメラミン樹脂との剥離強度が0.4kg/25mm幅から2.1kg/25mm幅へと大きくなる。)
そのため、透明基材1の一方の面を表面活性化して、表面活性化処理した部分2における、透明基材1とその上に形成するホログラム形成層3との接着性を向上させ、0.5kg/25mm幅以上、3.0kg/25mm幅以下の強度(JIS Z0237で規定する180°剥離試験にて。)とし、その表面活性化処理した部分2を視認可能な所望のパターン状として残し、その他の領域については表面不活性化処理を行う。
この「パターン」は、文字、図形、記号等、視認可能な表示であればいずれも使用できるが、代表的には、ラベルを剥離した証拠を示すという意味で、「開封」等の文字表示をするため、「開」と「封」の2文字を縦、横に繰り返し展開したようなデザインを想定して、それらの文字の画線内に対応する透明基材1上の最表面部分を表面活性化処理して、表面活性化処理した部分2とする。
表面活性化処理の中でも、レーザー照射等の光処理、又はプラズマ処理等の物理的処理は、透明基材1の処理面に凹凸が発生せず、鏡面性を維持していること、及び、表面活性化処理による表面活性化効果が大きいことから、特に望ましく、また光学的透明性にも優れる。
さらに、上記した「パターン」内を均一に表面活性化処理することに替えて、その「パターン」内をより「微細なパターン」、例えば、網点状、市松模様状、ランダムパターン状等の微細な領域のみ表面活性化処理する(例えば、網点状に表面活性化処理することにより、「パターン」内の網点以外の部分は、表面活性化処理していない部分として残る。)ことで、透明基材1を剥離した際のホログラム形成層3や、サーモクロミック薄膜層4を破断しようとする力の働き(力の作用方向、その大きさ等。)をより複雑化し、その「破断」性を向上させることができる。
透明基材1の一方の面を全面表面活性化処理後に、上記した「パターン」を明暗反転した形状(「パターン」を「ポジパターン」として、それを反転した「ネガパターン」を意味する。)に「表面不活性化処理された部分」を形成するためには、もしくは、透明基材1上に、直接、所望の形状を有する「表面不活性化処理された部分」を形成するためには、
透明基材1の最表面のみを部分的に溶解する、もしくは、活性化した官能基と反応して官能基の活性を解消する、溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)等をパターン状に活版印刷方式やインクジェット方式を用いて、表面活性化面への接触を避けてパターン形成し、透明基材1の活性化された最表面のみ(透明基材1を厚さ方向に捉えたもの。)と反応して、その部分のみを表面不活性化させる。(図示せず。)
このとき、溶剤が瞬時に揮発せず、所定時間、透明基材表面に留まる必要があるため、その沸点は、60度以上200度以下、好適には、100度以上160度に調整する。
この方法は、透明基材1の表面粗さに悪影響をほとんど与えず、その性質のみを変化させるという意味で特に好適である。
または、透明基材1とはそもそも接着し難い、界面張力の小さい樹脂、例えば、シリコーン樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂や、これらのフッ化炭化水素基、有機珪素基を含む樹脂や、不揮発油(リンシードオイル、ポピーオイル、ウォルナッツオイル等の乾性油、オリーブオイルや落花生油等の不乾性油、ゴマ油、ナタネ油等の半乾性油)等を、活版印刷や、インクジェット印刷等により、上記した所望のパターン状に部分形成することで、高い精度でパターン状に表面不活性化処理する。(図示せず。)
この際、その部分形成後に透明基材1上に光学的な変化を与えないことが望ましく、溶剤等は揮発することで、また、樹脂等はあくまで表面改質の目的であって乾燥後の形成厚さが光の波長の1/50〜1/10程度となることが望ましい。もちろん、これらを併用することも好適である。
この表面不活性化処理により、その表面不活性化処理した部分は、透明基材1とホログラム形成層3との剥離強度を、0.01kg/25mm幅以上0.1kg/25mm幅以下とでき、ホログラムラベルを剥そうとすると、どのように工夫しても、必ず、透明基材1とホログラム形成層3間に空隙が発生し、その部分においては、透明基材1のみ剥がれる。
そして、透明基材1を完全に剥離すると、その表面不活性化処理した部分にあたるホログラム形成層3の最表面がほぼ鏡面となって、その部分からは、その下にあるホログラム再生像を鮮明に視認することができる。
さらに、上記した「パターン」内をより「微細なパターン」、すなわち、網点状、市松模様状、ランダムパターン状等の微細な領域のみ表面活性化処理することで、透明基材1を剥離した際の力の働き具合をより複雑化し、各層の「破断」性を向上することができる。
「微細なパターン」の個々の大きさは、最小の大きさとしては、高精度な印刷方式を用いて50μmの大きさで、且つ、10μm程度の間隔を開けて設けることもでき、最大では、その「パターン」を構成する線幅まで広げることもできる。このような「微細なパターン」の大きさの集合で、「パターン」を構成するには、もはや従来方式であるマスクを用いた直接表面活性化処理方式を用いることが難しくなることは明らかである。
好適には、50μm〜300μmの大きさの網点(網点率は、30%〜70%が好適。)や、市松模様状(正方形や、長方形、その他形状。)に一つ飛ばしに不活性化処理したもの、さらには、規則的な処理が不要な回折現象を発生させることを回避するため、網点やその正方形や長方形の大きさを50μm〜300μmの間で、ランダムに変化させたものを用いる。(図示せず。)
(ホログラム形成層)
本発明のホログラム形成層3を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。(図2参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層3を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.1μm〜1μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
さらに、透明金属化合物薄膜の場合は、その薄膜の上下の面が、同一レリーフ形状であり且つ、その面と面の距離(すなわち膜厚さ)が均一であればあるほど、再現もしくは再生強度が大きくなる。また、レリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再現もしくは再生時のノイズとなり、画像を不鮮明にする要因となる。
レリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記ホログラム形成層3上に、もしくは、下記するサーモクロミック薄膜層4上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターン(一つのホログラム再生像を発現するホログラムレリーフを、一つのホログラムパターンという。)は、単独でも、複数でもよい。また、ホログラムレリーフを形成する領域の形も、単独領域としても、複数領域としてもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
透明基材1上のホログラム形成層3をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、透明な基材1全体を加熱するのではなく、ホログラム形成層3面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
(サーモクロミック薄膜層)
本発明では、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面に、サーモクロミック薄膜層4を形成する。(図2参照。)
このサーモクロミック薄膜層4に用いられる、サーモクロミック分子(サーモクロミック材料)としては、有機化合物系と、無機化合物系があり、
有機化合物系としては、
縮合芳香環置換エチレン誘導体として、
スピロピラン類:スピロピラン化合物の閉環型(無色)と開裂してできる平面的開環方(有色)との間の熱感度の高い平衡状態によるもの、すなわち、ビアントロンやジキサンチレン、キサンチリジエンアンスロン(無色→各色)、ジーα,β−ナフトイソスピロピラン、ベンゾーβーナフトイソスピロピラン、3−アルキル−ジ−ナフトイソスピロピラン、ビアンスロン、ジキサンチレン、キサンチリデンアンスロン等、
異性化タイプ:サリチルアルデヒド・アニリン誘導体縮合生成物等、
共役系有機化合物として、トリフェニルメタン系(無色→緑)、(緑→無色)等、
メタモカラーとして、電子供与呈色性有機化合物(色素)、電子受容性化合物、有極性有機化合物の3成分系からなるもの等がある。
その電子供与性呈色性有機化合物としては、ジアリールフタリド類、インドリルフタリド類、ビニローグフタリド類、アザフタリド類、チアジン類、ボリアリールカルビナ−ル類、ロイコオーラミン類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類、フルオレン類等があり、
フルオラン類としては、3,6−ジメトキシフルオラン、2−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−tert−ブチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−4−メチルアニリノ)フルオラン、8−ジエチルアミノベンゾ[a]フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−n−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)フルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−4−メチルアニリノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−[4−(4−アニリノアニリノ)アニリノ]フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−プロピルアミノフルオラン等。
さらに、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ペンチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−ペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−ペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジメチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(4−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(4−t−アミルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3−クロロ−4−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジエチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,6−ジエチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン,2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジエチルアミノフルオラン、2,2−ビス{4−[6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラン−2−イルアミノ]フェニル}プロパン等。
ジアリールフタリド類としては、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
インドリルフタリド類としては、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジブチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等、
ビニローグフタリド系化合物としては、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−[2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エテニル]フタリド、3,3−ビス[2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[2−(4−ピロリジノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[2,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[2,2−ビス(4−ピロリジノフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラブロモフタリド等。
アザフタリド類としては、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−[4−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−2−エトキシフェニル]−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等が、ジアリールメタン系化合物としては、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリールベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン等が、ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB(4−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミンB(4−クロロアニリノ)ラクタム等、
チアジン類としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が、スピロピラン系化合物としては、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−フェニルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピルスピロジベンゾピラン等が、
フルオレン類としては、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ[9,3']−6'−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−(N−アリル−N−メチルアミノ)フルオレンスピロ[9,3']−6'−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,6'−6'H−クロメノ(4,3−b)インドール]、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−3'−メチルスピロ[フルオレン−9,6'−6'H−クロメノ(4,3−b)インドール]、3,6−ビス(ジエチルアミノ)−3'−メチルスピロ[フルオレン−9,6'−6'H−クロメノ(4,3−b)インドール]等を用い得る。
電子受容性化合物としては、炭素2〜5のヒドリン誘導体、フェノール性水酸基含有化合物、そのアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルブニル基等置換物も、用いることができる。
具体的には、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルブエノール、スチレン化フェノール、2,2−メチレンビス(4−メチル−5−tert−ブチルフェノール)、α−ナフトール、β−ナフトール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、グアヤコール、オイゲノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、0−クロロフェノール、0−ブロモフェノール、0−フェニルフェノール、p−(p−クロロフェニル)−フェノール、0−(0−クロロフェニル)−フェノール、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル、p−安息香酸プロビル、p−オキシ安息香酸ブチル、p−オキシ安息香酸オクチル。p−オキシ安息香酸rデシル、3−iso−プロピルカテコール、p−tert−ブチルカテコール、4.4−メチレンジフェノール、4.4−チオ−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、4,4−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、 1.2−ジオキシナフクレン、クロロカテコール。ブロモカテコール、2.4−ジヒドロキシベンゾフェノン、フェノールフタレイン、0−クレゾールフタレイン、プロトカテキュ−酸メチル、プロトカテキュ−酸エチル、プロトカテキュ−酸プロピル、プロトカテキュ−酸オクチル、プロトカテキュ−酸ドデシル、2,4.6−)リオキシメチルベンゼン、2,3.4−トリオキシエチルベンゼン、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸ヘキシル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、没食子酸セチル、没食子酸ステアリル、2.3.5−トリオキシナフタレン、タンニン酸、フェノール樹脂等がある。
また、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩として、上記フェノール性水酸基を有する化合物のナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、アルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属の塩がある。
有極性有機化合物としては、
エステル類として、芳香族及び脂肪族カルボン酸のアルキルエステル、アリ−ルアルキルエステル、脂環アルキルエステル、分校アルキルエステル及びそれらの置換誘導体があげられる。具体的には、パルミチン酸n−ブチル、ステアリン酸n−ブチル、ベヘン酸n−ブチル、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2〜エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸3.5.5−1リメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸l−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル#2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸l−メチルプロピル、ステアリン酸l−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1.1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−シメチルオクチル、ミリスチン酸3.7−シメチルオクチル、パルミチン酸3,7−シメチルオクチル、ステアリン酸3゜7−シメチルオクチル、ベヘン酸3,7−シメチルオクチル、エルカ酸n−ブチル、エルカ酸3゜7−シメチルオクチル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸セチル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、ステアリン酸ラウリル、aIi酸ステアリル、酪酸ベヘニル、酪酸セチル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、ステアリン酸n−ヘキシル、アラキン酸n−ブチル等が用いられる。
その芳香族カルボン酸、炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、安息香酸、トルイル酸、p−tert−ブチル安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、エトキシ安息香酸、没食子酸、ナフトエ酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等がある。カルボン酸金属塩としては、モノカルボン酸からポリカルボン酸の金属塩がある。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヘヘニン酸、クロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リルン酸、モノクロル酢酸、モノブロム酢酸、モノフルオロ酢酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セパチン酸、リンゴ酸、酒石酸、キラコラ酸、マレイン酸、フマール酸、ナフテン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−te、rt−ブチル安息香酸、桂皮酸、クロル安息香酸、ブロム安息香酸、エトキシ安息香酸、マンデル酸、プロトカテキュ−酸、バニリン酸、レゾルシン酸、ジオキシ安息香酸、ジオキシクロル安息香酸、没食子酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸、フタル酸、フタル酸モノエチルエステル、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸モノメチルエステル、トリメリット酸、ピロメリット酸等があり、そのナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト,スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属塩も用い得る。
酸性リン酸エステル化合物としては、アルキル、分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリ−ルエステル等及びそれらの誘導体が挙げられる。酸性リン酸エステル化合物にはモノエステル、ジエステルがあり、またそれらの混合物でもよい。
また、酸性リン酸エステル化合物の金属塩として、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、モリブデン等の金属の塩を用い得る。
さらに、トリアゾール化合物として、1.2.3−1−リアゾール、4(5)−ヒドロキシ−1,2,3−)リアゾール、5(61−メチル−1,2,3−ペンゾトリアゾール、5−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、7−ニトロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−ベンゾイルアミノ−1,2゜3−ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシ−1゜2.3−ベンゾトリアゾール、ナフト−1,2゜3″″トリアゾール、5.5’−ビス(1,2,1−ベンゾトリアゾール)、1,2.3−ベンゾトリアゾール−4−スルフォオクチルアミド等を用いることができる。
液晶系は、液晶の立体構造変化が変色の元となるため、本発明の目的である「薄膜化」には不向きである。
さらに具体的には、
ハロゲノ錯体として、
テトラハロゲノ銅(2)錯体:イソプロピル置換アンモニウム塩テトラクロロ銅(2)錯体、ジエチル置換アンモニウム塩テトラクロロ銅(2)錯体、メチルフェネチル置換アンモニウム塩テトラクロロ銅(2)錯体、ピペラジニウム置換アンモニウム塩テトラクロロ銅(2)錯体、イソプロピル置換アンモニウム塩トリクロロ銅(2)錯体があり、[[(CH32CH]NH3]2[CuCl4]、[(C252NH2]2[CuCl4]、[[(C6522)CH3]NH2]2[CuCl4]、[H2N(C242NH2]2[CuCl4]Cl2、[H2N(C242NH2]2[CuBr4]Br2、[[(CH32CH]NH3][CuCl3]:[サーモクロミック温度]40〜90℃等。:[色変化]緑色→黄色等。テトラハロゲノニッケル(2)錯体:[(C253NH]2[NiCl4]、[(CH33NH]2[NiCl4]、[(C65CH2)CH3NH2][NiCl4]、[(C252NH2]2[NiCl4]:70〜110℃等:褐色→青色([(CH32NH2]2[NiCl4]等は、150〜230℃であり使用できない。)。テトラヨード水銀(2)錯体:Ag2[HgI4]、Cu2[HgI4]:40〜70℃等:黄色→オレンジ(Pb2[HgI4]等は、130℃以上であり、使用できない。)等がある。
また、エチレンジアミン誘導体錯体として、C−置換エチレンジアミン類ニッケル(2)錯体:ビス(C−置換エチレンジアミン)ニッケル(2)錯体があり、[{Ni(H2O)2}{1,2-C48(NH222]Cl2、[{Ni(H2O)2}{3,3−(CH32−1,2−C48(NH222]Br2、[{Ni(H2O)2}{1,2-C48(NH222](NO32:40〜90℃等:紫→黄色等があり、
N,N´−ジエチルエチレンジアミン錯体として、[Cu(H2O)2](ClO42:35℃:赤→青紫等がある。ここで、[Cu(H2O)2](NO32等はサーモクロミック温度が150℃以上であり、非常に高温の加熱を要し、高いエネルギーを必要とする上、積層する他の基材の熱変形等の劣化を招くため、本発明の目的には使用できない。
また、含窒素配位子錯体として、ジニトロジアンミン銅(2)錯体:[Cu(NO22(NH32]、[CuCL(NO2)(NH32]、[CuBr(NO2)(NH32]:31℃:紫→緑(急激)等、
ジクロロJニッケル(2)錯体として、トランス−2−(2´−キノリル)−メチレン−3−キノクリディノン等、
重金属塩類(サーモカラー)として、ヘキサメチレンテトラミン錯体:[Co(H2O)6]Cl2・4H2O・2(C6H124)、[Co(H2O)6]Br2・3H2O・2(C6H124):50℃:ピンク→青、[Co(H2O)6]I2・2H2O・2(C6H124):50℃:緑→青、[Co(NCS)2(H2O)4]2(C6H124):85℃:オレンジ→青紫、エチレンジアミン類ニッケル(2)錯体:[Ni(H2O)2(N−CH3−C22(NH22]Cl2:45度:紫青→青緑ORオレンジ、[Ni(H2O)2(N−CH3−C22(NH22]Br2:45度:紫青→青緑、オレンジ等、
を用いることができる。
特に、サーモクロミック温度が、常温に比較的近く、その色変化が急激なものが好適である。
また、無機化合物系としては、
金属酸化物等の誘電体薄膜や、金属化合物微粒子を透明材料(ガラス、透明樹脂等)に分散したもの、さらには、反射型の調光特性(調光ミラー特性)を有する材料として、イットリウムやランタン等の希土類金属の水素化物、ガドリニウム等の希土類金属とマグネシウムの合金の水素化物、及びマグネシウム・ニッケル合金の水素化物等の薄膜や微粒子を用いることができ、特に、資源やコストの観点から、マグネシウム・ニッケル合金を用いたものは好適である。
反射型の調光特性を有する材料は、透明状態と鏡面状態を切り替えることが可能であって、その鏡面状態の時に、所定の光を反射し、その反射光がホログラムを再生するものである。
また、ルチル型の二酸化バナジウム(VO2)の粒子と、ルチル型の二酸化チタン(TiO2)の粒子とを含むサーモクロミック微粒子であって、その二酸化バナジウム粒子が、二酸化チタン(TiO2)粒子上に、二酸化チタン(TiO2)の粒子よりも大きく、ロッド状に成長しているサーモクロミック微粒子も、用い得る。
以下の説明において、無機化合物系は本来「種々の原子からなる化合物」と表現すべきであるが、有機化合物系と同様に説明するため、「材料」を表す言葉として、共通に捉えて説明するため、敢えて、「分子」という表現を使用する。
形成方法としては、一般的印刷方法、コーティング方法等も用いることは可能であるが、より精密な薄膜を形成する方法として、回転塗布法、キャスト法、スクリーン印刷法、ブレードコーティング法、ロール塗布法、水面展開法、LB(ラングミュア・ブロジェット)法等が挙げられ、ドライ・プロセスとしては真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法等が挙げられる。
特に、有機化合物系を均一に、且つ、分子レベルで薄膜形成するには、化学蒸着法が好適である。
より具体的には、サーモクロミック分子を透明な樹脂に均一に分散した樹脂分散型のインキや、水又は溶剤にサーモクロミック分子を分散した溶媒分散型のインキを作製し、それらを用いて、印刷方式や、コーティング方式さらには、インクジェット方式等の種々の形成方法を用いて、ホログラム形成層2に、そのホログラムレリーフに接するように、また、追従するよう均一に、若しくは凹部に部分的に、サーモクロミック薄膜層4を形成することができる。
また、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面上に、直接、サーモクロミック分子を化学蒸着法によりサーモクロミック薄膜層4を形成することも、そのホログラムレリーフ追従性や、その均一性から好適であるとともに、電子ビーム加熱真空蒸着法における高温の電子ビームや、スパッタリング法におけるアルゴン原子の衝突がなく、分子の構造を維持しやすいため好適である。
また、ホログラム形成層2上にサーモクロミック薄膜層4を形成した後、フォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法により、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去によりフォトレジストのパターンを回折格子パターンの凹部に同調させ、エッチングによりサーモクロミック薄膜層を除去して、凹部のみにサーモクロミック薄膜層を残すことができる。(図示せず。)
逆に、ホログラム形成層2上にフォトレジスト層を形成し、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去により、凸部にフォトレジストを残し、凹部を露出させて、この上にサーモクロミック薄膜層を形成後、凸部上のフォトレジストを除去すると同時に、その真上にあるサーモクロミック薄膜層を部分的に除去することにより、凹部のみにサーモクロミック薄膜層4を残すことができる。
樹脂分散型のインキは、上記したサーモクロミック分子を、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に混入し、2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、さらには、インクジェット方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。
但し、サーモクロミック薄膜層4の厚さを、0.003μm以上1.0μm以下、さらには、0.01μm以上0.5μm以下とするためには、樹脂分散型インキの固形分を1〜10%とし、溶剤若しくは水を溶媒とした塗布膜が、例えば、5μmであったときに、溶媒を蒸発させた後の厚さ(サーモクロミック薄膜層の厚さ)がその1/10乃至は1/100となるようにし、0.5μm〜0.05μmとする。
溶媒分散型のインキは、樹脂成分を含まず、サーモクロミック分子と溶媒のみであるため、樹脂分散型よりサーモクロミック薄膜層4の厚さを薄くすることができる。
溶媒としては、使用するサーモクロミック分子の極性に合わせ、水やアルコール系溶剤、若しくは、セルソルブ系、パラフィン系溶剤を用いて、サーモクロミック分子を溶解・保持させ、攪拌しながらカーテンコート、ノズルコート等によりホログラム形成層2上に設けることができる。
さらには、ホログラムレリーフ面を形成している樹脂に対して、溶解性を有する遅い揮発性の溶剤を数μm塗布し(アクリル・塩ビ・酢ビ樹脂や、ポリエステル樹脂等に対するケトン系溶剤、例えばシクロヘキサノン等。この溶剤を非溶解性の溶剤で希釈して使用し、残留する成分を0.1μm以下にすることも可能である。)、そのホログラムレリーフ面の最表面のみを溶解して、その最表面に粘着性を付与し、その上に、サーモクロミック分子を霧状として吹きかけて、その粘着性の面に接するサーモクロミック分子のみがホログラムレリーフ面上に残るようにするサーモクロミック薄膜層形成方法も好適である。
この方法によると、サーモクロミック薄膜層4がLB膜のように分子レベルの膜となり、ホログラムレリーフ面上に(フォログラムレリーフの大きさに比較して)均一に形成され、ホログラム形成層2側からの発光面が、ホログラムレリーフ面と「同一」となる。
いずれにしても、ホログラムレリーフの凹凸が非常に小さい為、サーモクロミック薄膜層4を均一厚さで、且つ、その中のサーモクロミック分子が均一な密度となるように、もしくは、ホログラムレリーフ面上に均一に(部分形成の場合には形成してある部分同士が均一に)形成するためには、サーモクロミック分子が凝集して2次粒子状とならないようにする必要があり、溶剤(溶媒)へ溶解する方法や、ナノ粒子の表面に吸着させて、ナノ粒子顔料として薄膜形成することが好適である。
さらに、このような非常に薄いサーモクロミック薄膜層4を物理的に保護するために、上記した透明な樹脂を適宜な形成方法を用いて、1.0μm〜3.0μmの厚さで設けてもよい。
また、ホログラム形成層2、サーモクロミック薄膜層4、及び上記保護のための層の互いの屈折率差を、0.1以内、さらには、0.03以内とすることで、加熱前における不要なホログラム再生像の出現を防ぎ、より偽造防止性を高めることが可能となる。
(粘着層)
粘着層5としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
粘着層5の塗工量は、約8〜30g/m2(固形分)が一般的であり、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、塗布し乾燥して粘着層5を形成する。(図2参照。)
また、粘着層5の粘着力は、サーモクロミック薄膜層4と粘着層5との剥離強度で、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、0.1〜1kg程度の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
以上の如き粘着剤の種類や、塗工量は、透明基材1、ホログラム形成層3及びサーモクロミック薄膜層4上に粘着剤層5を形成する際に、その剥離強度が上記範囲になるように、選択して使用することが好ましい。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)透明基材1として、16μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの表面に、ホログラム画像位置検知パターン及びタテ・ヨコ20mm×20mmサイズの「封」と「緘」の黒色文字をオフセット印刷方式にて1μm厚さに印刷し(図示せず。)、
その一方の面を、エキシマ社製エキシマUV03改質装置を用いて、波長172nmのエキシマ光を、タテ・ヨコ10mm×10mmサイズで「開」「封」の文字を縦横連続して配置したデザインのそれらの文字の画線部内を(画線部の線幅は、1000μm。)、一文字毎にマスキングして、一様に照射して表面活性化処理し、「パターン」状に「表面活性化処理された部分2」を形成した。(図2参照。)
その上に、メラミン樹脂からなるホログラム形成層3を形成した後(透明基材1と、ホログラム形成層3との剥離強度:活性化処理面1.2kg/25mm幅、それ以外の部分300g/25mm幅に相当。)、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラムを備えたNi原版を用意し、上記したホログラム形成層3に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分)にてホログラムレリーフをホログラム形成層3上に形成した。
これとは別に、表面平滑性の高い12μmポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用意し、この上に、下記組成の樹脂分散型のサーモクロミック分子含有インキ(サーモクロミック薄膜層4用インキ組成物)を用いてグラビアリバースコーティング方式により、サーモクロミック薄膜層4を、コーティング時7.0μm厚さで、ホログラムレリーフに接するように形成し、その後、乾燥温度を徐々に上昇させる乾燥方式により、塗膜内のマイグレーションを抑制しつつ、乾燥して、0.7μm厚さとした。(図示せず。)
この12μmポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムとサーモクロミック薄膜層4の積層シートを、そのサーモクロミック薄膜層4側を、上記のホログラム形成層3とが接するように重ね合わせ、ロールプレス温度80℃、ロール圧力1トン/m、搬送速度1.0m/分)にて、サーモクロミック薄膜層4をホログラム形成層3上に転写形成した。(転写プロセスは図示せず。)
この時のサーモクロミック薄膜層4は、ホログラム形成層3のホログラムレリーフに追従しており、且つ、均一な厚さを有していた。
・<サーモクロミック薄膜層4用インキ組成物>
ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)銅(II)硝酸塩(水和物) 1質量部
ウレタン樹脂 9質量部
メチルエチルケトン 20質量部
トルエン 40質量部
酢酸エチル 30質量部
そのサーモクロミック薄膜層4上に、下記組成の接着剤層5用接着剤組成物をカーテンコート方式により、コーティングし乾燥して、接着剤層5を、20μmの厚さで形成し、実施例1のホログラムラベルAを作製した。(図2参照。)
・<接着剤層5用接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
イソホロンジイソシアネート 1質量部
トルエン 9質量部
酢酸エチル 40質量部
メチルイソブチルケトン 20質量部
このホログラムラベルAを、封筒の封緘用に使用し、その封緘部分に貼着して、(2kg荷重のローラーにて圧着。)室内照明光の下で観察したところ、水色のホログラム再生像を観察することができた。(図示せず。)
さらに、このホログラムラベルAを、127mm径125W赤外線乾燥用ランプ照明下に30秒間放置し、室内照明光の下で観察したところ、ピンク色のホログラム再生像が、異なる回折方向に浮かび上がった(透明基材1、ホログラム形成層2は、無色透明な層であり、サーモクロミック薄膜層4が選択的に照射熱を吸収した。)。(図示せず。)
その後、このホログラムラベルAを、その封筒から剥がそうとしたところ、透明基材1が容易に剥がれ、その透明基材1側に、透明基材側残部が「開」と「封」の文字状にタテ・ヨコに連続して付着していた。(剥がれた透明基材6となる。図3参照。図3では、模式的に、「開」と「封」の文字を一つずつ描いてある。)
また、その封筒側には、「開」と「封」の文字状にタテ・ヨコに連続した凹部が形成された被貼着体側残部が残っていた。(被貼着体上に残った被貼着体側残部7となる。図3参照。図3では、同様に、「開」と「封」の文字を一つずつ描いてある。)
この剥がれた透明基材6を、127mm径125W赤外線乾燥用ランプ照明下に30秒間放置し、室内照明光の下で観察したところ、「開」と「封」の文字の画線部内(透明基材側残部の位置。)に、ピンクのホログラム再生像を視認することができた。(剥がれた透明基材9となる。図4参照。)
また、この封筒の上の被貼着体側残部7を、同様に、127mm径125W赤外線乾燥用ランプ照明下に30秒間放置し、室内照明光の下で観察したところ、被貼着体側残部上にピンクのホログラム再生像を視認することができた。(被貼着体側残部11となる。図4参照。)
その後、この「ラベル」を復元するため、剥がれた透明基材9を、被貼着体側残部11を覆うように、且つ、精密に位置合わせして、再度、密着させ、同様のローラーを用いて圧着した。この復元した「ラベル」は、室内照明光の下での観察では、特に違和感の無い(目立った変形や色むらが無いという意味。)、水色のホログラム再生像を観察できるものであった。
その復元した「ラベル」に対して、127mm径125W赤外線乾燥用ランプ照明下に30秒間放置し、室内照明光の下で観察したところ、ピンク色のホログラム再生像の中に、部分的に水色とピンク色の混ざった色調の部分が混在し、不鮮明な再生像となっていることを確認した。(図示せず。)
このことから、ホログラムラベルAは、高い開封防止効果を有するものと思われた。
(実施例2)
サーモクロミック分子として、ペリレンテトラカルボン酸ビスベンジルイミドを以下の手順にて合成した。
ペリレンテトラカルボン酸二無水物5gを水100gに分散、ベンジルアミン10gを加えて攪拌後、ろ過し、1%熱水酸化カリウム溶液による洗浄を行った後、水洗及びテトラヒドロフラン洗浄し、乾燥後、真空昇華精製により、茶褐色の結晶粉末を得た。
この結晶粉末を使用し、化学蒸着法により、直接、ホログラム形成層3上のホログラムレリーフに接するように薄膜形成して、0.02μm厚さとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の本発明のホログラムラベルAを作製した。(図2参照。)
このホログラムラベルAを実施例1と同様に観察したところ、このホログラムラベルAからは、加熱前においては、オレンジ色の非常に鮮明なホログラム再生像を観察することができ、加熱後には、青緑色の非常に鮮明なホログラム再生像を視認できたこと、及び、復元した「ラベル」のホログラム再生像の不鮮明さがより明確になったこと以外は、実施例1と同様に、良好な結果を得た。
(実施例3)
サーモクロミック分子含有インキを下記組成とし、サーモクロミック薄膜層4を20μm厚さで、ホログラムレリーフに接するように形成し、乾燥して、0.1μm厚さとし、橙黄色のホログラム再生像を観察したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の本発明のホログラムラベルAを得た。(図2参照。)
・<サーモクロミック薄膜層4用インキ組成物>
四硫化四窒素(粉体) 0.5質量部
エタノール 30質量部
ベンゼン 70質量部
このホログラムラベルAを実施例1と同様に観察したところ、このホログラムラベルAからは、加熱前においては、橙黄色のより鮮明なホログラム再生像を観察することができ、加熱後には、橙赤色のより鮮明なホログラム再生像を視認できたこと以外は、実施例1と同様に、良好な結果を得た。
(実施例4)
透明基材1上に、サーモクロミック薄膜層4の変色した「色」と「同一の色」の印刷用インキを用いて、タテ・ヨコ20mm×20mmサイズの「封」と「緘」の文字をオフセット印刷方式にて印刷したこと、及び、透明基材1上を、エキシマ社製エキシマUV03改質装置を用いて、波長172nmのエキシマ光を走査しながら照射してその全面を表面活性化処理した後、この上に、表面不活性化処理用溶剤組成物を用いたインクジェット方式を用いて、プリントし、透明基材1上の表面不活性化処理を、「微細なパターン形状」である、一辺が200μm程度の正方形からなる市松模様が、タテ・ヨコ10mm×10mmサイズで「開」「封」の文字を縦横連続して配置したデザインのそれらの文字の画線部内を埋めるように形成し、その結果として、表面不活性化処理した領域以外となる、表面活性化処理した領域2を、その画縁部内を一辺が200μm程度の正方形からなる市松模様である「微細なパターン」の「集合」により構成されているものとなるように処理したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のホログラムラベルAを得た。(図2参照。「微細なパターン」は、図示せず。)
〈不活性化処理用溶剤組成物〉
イソプロピルアルコール(沸点83度) 20部
トルエン(沸点100度) 20部
ブチルアルコール(沸点117度) 30部
メチルイソブチルケトン(沸点115度) 30部
実施例1と同様にして観察したところ、実施例1より、「パターン」の存在が判り難く、そして、ホログラムラベルAを剥がした際には、脆性破壊し易く、さらに、ホログラムラベルAを一旦剥がした後に加熱した後の「色のムラ」を、「封」と「緘」の文字の「色」と比較することによって、非常に容易、且つ、明確に確認することができたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
(比較例1)表面活性化処理、または、表面不活性化処理を行なわず、ホログラム形成層も設けず、実施例1と同様にし、比較例1の透明な「ラベル」を得た。
この「ラベル」を実施例1と同様に評価したところ、透明基材1が容易には剥がれず、粘着層5から剥離し、また、赤外線乾燥用ランプを照射して加熱したところ、水色の「ラベル」全体が一様にピンク色に「変色」したのみであった。
従って、この「ラベル」を丁寧に剥がせば、不正に剥すことが可能であって、しかも、貼り替え等の悪用も可能であると思われた。
A ホログラムラベル
1 透明基材
2 透明基材の一方の面をパターン状に表面活性化処理した部分
(透明基材とホログラム形成層の界面において、この部分以外の部分 は、表面活性化処理を施されていない部分、もしくは、表面不活性化 処理された部分という。)
3 ホログラム形成層
4 サーモクロミック薄膜層
5 粘着層
6 ホログラムラベルAを剥がした際に、剥がれた透明基材(透明基材側 残部が付着している。)
7 ホログラムラベルAを剥がした際に、被貼着体上に残った被貼着体側 残部(透明基材側残部が取り除かれた状態。)
8 所定の加熱(赤外線を例示。)
9 所定の照明光を照射した際の、剥がれた透明基材(透明基材側残部が 、発光によるホログラム再生像を発現している。)

10 所定の加熱(赤外線を例示。)
11 所定の照明光を照射した際の、被貼着体側残部(被貼着体側残部が、 発光によるホログラム再生像を発現している。)

Claims (5)

  1. 透明基材の一方の面に、パターン状の表面活性化処理を施した後、その上に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層、前記ホログラムレリーフに接するように設けられたサーモクロミック薄膜層、粘着層を設けたことを特徴とするホログラムラベル。
  2. 前記サーモクロミック薄膜層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホログラムラベル。
  3. 前記サーモクロミック薄膜層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のホログラムラベル。
  4. 前記表面活性化処理は、光処理、又は物理的処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のホログラムラベル。
  5. 前記パターンは、微細なパターンの集合により構成されているものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のホログラムラベル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015206937A (ja) * 2014-04-22 2015-11-19 大日本印刷株式会社 ホログラム体を用いた認証方法および認証装置、並びに認証方法において用いられるホログラム体
WO2019093566A1 (ko) * 2017-11-08 2019-05-16 한국생산기술연구원 용액 공정을 이용하여 우수한 접착력을 가지는 유무기 하이브리드 열변색층을 포함하는 광학 적층체 및 이의 제조방법

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