JP5532379B2 - 異形断面ガラス繊維、及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents

異形断面ガラス繊維、及びその製造方法並びに製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5532379B2
JP5532379B2 JP2009076568A JP2009076568A JP5532379B2 JP 5532379 B2 JP5532379 B2 JP 5532379B2 JP 2009076568 A JP2009076568 A JP 2009076568A JP 2009076568 A JP2009076568 A JP 2009076568A JP 5532379 B2 JP5532379 B2 JP 5532379B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
glass fiber
molten glass
section
cross
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009076568A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009263211A (ja
Inventor
浩樹 望月
仁司 竹村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Electric Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Electric Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Electric Glass Co Ltd filed Critical Nippon Electric Glass Co Ltd
Priority to JP2009076568A priority Critical patent/JP5532379B2/ja
Publication of JP2009263211A publication Critical patent/JP2009263211A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5532379B2 publication Critical patent/JP5532379B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Description

本発明は、ガラス繊維に関するもので、詳しくは、熔融ガラスの引出方向に垂直な横断面が扁平形状をなす異形断面ガラス繊維に関するものである。
横断面が長円形や楕円形のような扁平形状をなす異形断面ガラス繊維は、樹脂に混合して複合化した場合に高い補強効果を実現できることから、広範な分野において利用されている。
この種の異形断面ガラス繊維は、熔融ガラスが貯溜された熔融ガラス貯溜槽の底部に設けられたノズルから熔融ガラスを引き出しながら冷却することにより製造される。そして、この際に使用されるノズル孔の形状が、製造されるガラス繊維の横断面の形状の基礎を形作ることから、異形断面ガラス繊維の製造においては、扁平形状のノズル孔を有するノズルが使用される場合が多い。
しかしながら、横断面が円形状をなすガラス繊維に比べて、異形断面ガラス繊維の製造は、その形状の特異性に起因して一般的に困難である。すなわち、単に、扁平形状のノズル孔を有するノズルを使用したとしても、ノズルから引き出される熔融ガラスの粘度が不適切であれば、ノズル孔から流下した熔融ガラスが、ノズル直下で表面張力により丸みを帯びやすく、所期の異形断面ガラス繊維を製造することができなくなる。
そこで、特許文献1では、ノズルの先端部の一部に切欠部を設け、この切欠部を通じて熔融ガラスを冷却することで、熔融ガラスの粘度を調整するようにしている。そして、同文献では、切欠部は、扁平形状のノズル孔の長軸を境界とするノズル孔の半周未満の領域に設けられている。換言すれば、ノズルの先端部において、切欠部を除くノズル孔の周縁部は、切欠部の形成領域に比して相対的に突出した突出部とされており、この突出部が、ノズル孔の長軸を境界とするノズル孔の半周超の領域に設けられている。
特開2003−048742号公報
ところで、特許文献1に開示のノズルでは、上述のようにノズル孔の長軸を境界とするノズル孔の半周超の周縁部に突出部が形成されていることから、ノズル孔の長軸方向両端部では、熔融ガラスの両面がノズルの突出部に挟まれた状態になる。これに対して、ノズル孔の長軸方向中央部では、熔融ガラスの一方側の面はノズルの切欠部に面していることから、熔融ガラスの他方側の面のみが突出部と接触する状態となる。そのため、ノズル孔の長軸方向両端部では、突出部によって熔融ガラスの両面側が冷却され難いのに対して、ノズル孔の長軸方向中央部では、切欠部を通じて熔融ガラスの片面側が冷却されやすい。すなわち、熔融ガラスの片面のうち、切欠部に面している狭い領域が部分的に冷却されて、粘度が局所的に低下しやすい。そして、このように熔融ガラスに部分的に粘性が相違する部分が形成されると、成形時の障害となり、精密な形状を成形し難いという問題が生じる。
以上の実情に鑑み、本発明は、ノズルの形状の適正化を図ることで、成形時の熔融ガラスの粘性のばらつきを可及的に低減し、異形断面ガラス繊維の精密成形を実現することを技術的課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス繊維の製造方法は、熔融ガラスが貯溜された熔融ガラス貯溜槽の底部に、長軸及び該長軸と直交する短軸を有する扁平状のノズル孔が形成されたノズルを設け、該ノズルのノズル孔から熔融ガラスを引き出すことで、その引出方向と垂直な横断面が扁平形状をなす異形断面ガラス繊維を製造する異形断面ガラス繊維の製造方法であって、前記ノズルとして、該ノズルの先端部に、ノズル孔の長軸を境界とするノズル孔の半周以下の周縁部から引出方向に沿って突出する突出部を有するものを用いることに特徴づけられる。
上記の方法によれば、ノズルとして、ノズル孔の半周以下の周縁部に突出部を有するものが用いられるので、ノズル孔の長軸方向両端部においても、熔融ガラスの両面が突出部により挟まれた状態となることがない。すなわち、少なくとも熔融ガラスの片面全体が、突出部に面していない自由表面となることから、局所的に冷却されやすい場所や、冷却され難い場所が形成され難く、熔融ガラス全体を速やかに冷却することができる。そのため、熔融ガラスの粘性のばらつきを抑制しつつ、ノズルの直下で、熔融ガラスが表面張力により丸く変形するという事態を確実に抑制することができる。したがって、当該形状をなすノズルを用いてガラス繊維を製造すれば、所期の形状を満足する異形断面ガラス繊維を精密成形することが可能となる。
上記の方法において、前記ノズルからガラス繊維を引き出す際の前記ノズルのヘッド圧が、2kPa以上500kPa以下の範囲内であることが好ましい。
すなわち、ノズルのヘッド圧が2kPa未満であると、熔融ガラスの流出量が少なくなるため、熔融ガラスが早期に冷却されやすい。そのため、熔融ガラスが十分に引き伸ばされる前に固化し、途中で切断されてしまうおそれがある。なお、熔融ガラスの温度を上昇させることで、ノズルでの上記固化現象を防止することも考えられるが、この場合には熔融ガラスが表面張力によって丸くなり易くなって扁平性の高い異形断面ガラス繊維が得られなくなるおそれがある。一方、ノズルのヘッド圧が500kPaを超えると、熔融ガラス貯溜槽に相当な耐圧性が必要となり、例えば、貯溜槽の壁面を相当程度厚くせねば耐えられないものとなってしまう。その結果、貯溜槽の製作に多大な費用がかかることになり、製造費用が嵩み実用的なものではない。したがって、ノズルのヘッド圧は、このような問題が生じない上記の数値範囲内であることが好ましく、2.2kPa以上100kPa以下の範囲内であることがより好ましい。また、ガラス繊維の更なる形状安定性を確保するという観点からは、ノズルのヘッド圧は、2.3kPa以上65kPa以下の範囲内であることが好ましく、2.3kPa以上29kPa以下の範囲内であることがより好ましい。
上記の方法において、前記ノズルのヘッド圧を、前記熔融ガラス貯溜槽に貯溜された前記熔融ガラスの液面を加圧することにより調整するようにしてもよい。
このようにすれば、ノズルのヘッド圧の微調整が容易となる。その結果、ノズルから引き出される熔融ガラスの流量のばらつきが最小限に抑止されて安定する。したがって、冷却されて固化したガラス繊維の寸法や外形形状の変動が抑えられ、安定した品位をより確実に維持することが可能となる。
なお、熔融ガラス貯溜槽内に滞留する熔融ガラスの表面を加圧する方法としては、熔融ガラスに悪影響を及ぼさないガス(例えば、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、及びネオンなど)によって、熔融ガラス表面を加圧するようにすることが好ましい。
上記の方法において、前記ノズルのヘッド圧を、前記熔融ガラス貯溜槽に貯溜された前記熔融ガラスの深さを制御することにより調整するようにしてもよい。
このようにすれば、ノズルのヘッド圧の微調整が容易となる。その結果、ノズルから引き出される熔融ガラスの流量のばらつきが最小限に抑止されて安定する。また、熔融ガラスの深さを監視することで、ノズルから吐出する熔融ガラスの流量の調整も同時に行うことが可能となる。
なお、本発明の異形断面ガラス繊維の製造方法では、熔融ガラスから直接ガラス繊維を成形するものであっても間接的に製造するものであってもよい。後者の間接的に製造する場合は、まず、熔融ガラスから一旦マーブル状の形態のガラスを成形して、室温まで冷却して固化したガラスマーブルを保管した後に、このガラスマーブルを再度加熱して得られる熔融ガラスを、例えば上記したような熔融ガラス深さを調整する方法や熔融ガラス表面を加圧ガス等によって加圧しながらノズルから引き出すことにより、異形断面ガラス繊維を製造するようにしてもよい。
上記課題を解決するために創案された本発明に係る異形断面ガラス繊維は、上記構成を適宜備えた製造方法によって製造された異形断面ガラス繊維であって、前記横断面の扁平比が、1.5以上10.0以下の範囲内であることに特徴づけられる。
すなわち、扁平比が1.5未満であると、扁平化によって得られる複合化後の等方性に支障が生じ、十分な性能が発揮されないおそれがある。一方、扁平比が10.0を超えると、ガラス繊維の横断面の長軸方向両端部に傷やカケ等の欠陥が生じやすく、そのため複合化しても高い機械的性能を発揮できないおそれがある。したがって、上記製造方法によって精密成形可能な本発明に係る異形断面ガラス繊維は、扁平比が上記数値範囲内になるように成形されていることが好ましく、1.6以上9.8以下の範囲内であることがより好ましく、1.8以上9.6以下の範囲内であることが更に好ましい。
上記の構成において、前記横断面の輪郭に1以上の凸部又は凹部が形成されていることが好ましい。
このようにすれば、ガラス繊維の横断面における長軸方向に垂直な方向の機械的強度ばかりでなく、引出方向(紡出方向)に平行な機械的強度に関しても高い等方性を有した構成を実現することができる。
なお、前記凸部又は凹部は、ガラス繊維の横断面を互いに平行な2つの直線で挟んだ時にその直線間の距離が最短になる長さを最短直径とした場合、その最短直径方向と平行で、且つ、その高さ又は深さが最短直径の3%以上50%以下の範囲内であることが好ましい。すなわち、凸部又は凹部の大きさが、横断面の最短直径の3%未満であると、当該凸部又は凹部を有する異形断面ガラス繊維を樹脂材等と複合化した後に、凸部又は凹部部と、樹脂材との噛み合いが弱くなるおそれがある。一方、凸部又は凹部の大きさが、横断面の最短直径の50%を越えると、ガラス繊維の形状のバラツキが大きくなるおそれがある。そのため、凸部又は凹部の大きさは、このような問題が生じない上記の数値範囲内であることが好ましく、4%以上45%以下の範囲内であることがより好ましく、5%以上40%以下の範囲内であることが更に好ましい。
なお、ガラス繊維の横断面において、上述の凸部又は凹部は、例えば、ノズル孔から流出する熔融ガラスの温度と流出速度とを適正に調整することによって形成される。
具体的には、例えば、凸部を形成する場合には、熔融ガラスの温度を高温状態とし、ノズル孔から流出した熔融ガラスが冷却固化されるまでに、より軟化変形し易い状態とする。ノズルが、ノズル孔の長手方向の半周以下の周縁部から引出方向に突出した突出部を有しているので、突出部に対向する側にある、非突出部の壁部から流出した熔融ガラスは、突出部から流出した熔融ガラスよりも先に外気に開放された状態となって表面張力により丸くなろうとし、しかも粘度が低いため突出部側から流出した熔融ガラス側へと回り込み、凸部を形成することになる。
また、例えば、凹部を形成する場合には、熔融ガラスの温度の高温化に加えて、ヘッド圧を上げて熔融ガラスの流出量を多くし、さらにガラス繊維の引き出し速度を速くする。そうすると、ノズルの非突出部の壁部から流出した熔融ガラスは、突出部側に回り込み、回り込みによって冷却速度が低下した突出部側の熔融ガラスが高速に引き出されることによって凹部を形成することになる。
上記の構成において、円相当径が3μm以上40μm以下の範囲内であることが好ましい。
このようにすれば、複合化した後に寸法の高い安定性を必要とする用途に用いられる安定した精密寸法を有するガラス繊維として特に有用なものとなる。
なお、この場合には、さらに、ガラス繊維の横断面の長軸方向寸法が、4μm以上40μm以下の範囲内であることが好ましい。このようにすれば、成形後の性能の向上ばかりでなく、ノズルのヘッド圧の調整によって安定した寸法品位を維持した状態での成形ができ、紡糸効率が高く、製造時における糸切れの発生率を抑制することが可能である。
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス繊維の製造装置は、熔融ガラスが貯溜された熔融ガラス貯溜槽の底部に、長軸及び該長軸と直交する短軸を有する扁平状のノズル孔が形成されたノズルを設け、該ノズルのノズル孔から熔融ガラスを引き出すことで、その引出方向と垂直な横断面が扁平形状をなす異形断面ガラス繊維を製造する異形断面ガラス繊維の製造装置であって、前記ノズルの先端部に、ノズル孔の長軸を境界とするノズル孔の半周以下の周縁部から前記引出方向に沿って突出する突出部を設けたことに特徴づけられる。
このような構成によれば、上記方法で記載した基本的構成から得られる作用効果を同様に享受することができる。
以上の本発明によれば、ノズルの先端部に形成される突出部の範囲が適正なものとなり、成形時の熔融ガラスの粘性のばらつきを可及的に低減し、異形断面ガラス繊維の精密成形を実現することが可能である。
本発明の実施例1に係る異形断面ガラス繊維の製造装置を模式的に示す縦断面図である。 図1のノズルの拡大図であり、(A)は縦断面図、(B)は(A)のX−X断面図である。 図1のノズル周辺の冷却管の配設状態を示す縦断面図である。 製造された異形断面ガラス繊維を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施例2に係る異形断面ガラス繊維の製造装置を模式的に示す縦断面図である。 本発明の実施例3に係る異形断面ガラス繊維を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施例4に係る異形断面ガラス繊維を模式的に示す横断面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る異形断面ガラス繊維の製造装置を模式的に示す縦断面図である。同図では、10が白金合金製ノズル、11がノズル孔、20が熔融ガラス貯溜槽としての白金合金製容器、21が白金合金容器内の熔融ガラス上部空間、22が加圧ガス導入管、30が白金合金製パイプ、40がフィーダー、50がブッシング、60がガラス繊維巻き取り装置、70が水冷管、Aが加圧ガス導入方向、Fが異形断面ガラス繊維を表している。
この製造装置は、複数のガラス原料を加熱して均一な熔融ガラスとした後に、そのまま連続した工程で熔融ガラスGから直接ガラス繊維を紡出することによって異形断面ガラス繊維Fを得るものである。なお、この場合、図示しないガラス熔融炉には、複数のフィーダー40を設けることが可能であり、図1ではその1つのフィーダー40以降について示している。
図外のガラス熔融炉内で加熱されて撹拌操作等によって均質化されたEガラス材質の熔融ガラスGは、フィーダー40に流入する。このフィーダー40に流入した熔融ガラスGは、フィーダー40の川下側に配設された白金合金製の耐熱パイプ30内を流動して白金合金製容器20内へと流入して貯溜される。この白金合金製容器20の底部は、白金合金製の矩形状のブッシング50により構成されている。このブッシング50には、複数本(本実施例では400本)の白金合金製のノズル10が、ノズル孔11を垂直方向に向けて等間隔となるように整列した状態で配されている。
白金合金製のノズル10は、図2(A)及び(B)に示すように、扁平なノズル孔11を有し、ノズル10の先端部に、ノズル孔11の長軸Tを境界とする半周以下の周縁から熔融ガラスGの引出方向(下方)に突出した突出部10aを有するものである。
詳述すると、この実施例では、ノズル10は、長軸Tを境界とするノズル孔11の半周の周縁全体が下方へ突出した突出部10aを有する形状とされている。すなわち、このノズル10は、ノズル孔11の長軸Tを含み、且つ、熔融ガラスGの引出方向と平行な平面Hに対して非対称な形状となっている。そして、この突出部10aは、扁平なノズル孔11の丁度半周に相当する部分に形成されているため、残りの半周に相当する部分は非突出部となり、その非突出部の先端側に切欠部10bが形成されている。このノズル孔11の形状は、図2(B)に示すように、長円形の外観を呈している。すなわち、ノズル孔11の輪郭の形状は、ノズル10の横断面におけるノズル孔11の長軸Tに平行な直線部11aと、この直線部11aの端部に連接する湾曲部11bとを有するものとなっている。また、この場合、ノズル孔11は、図2(B)における短軸方向寸法に対する長軸方向寸法の比率(長軸方向寸法/短軸方向寸法)が1.5から10までの範囲であることが好ましい。
また、図1に示すように、白金合金製容器20の天井には、加圧ガス導入管22が接続されており、この加圧ガス導入管22を介して、白金合金製容器20内に貯溜された熔融ガラスGの上部空間21に高圧ガスが導入されるようになっている。これにより、白金合金製容器20内に貯溜されている熔融ガラスGの表面が均等に加圧され、その加圧力の大きさによりノズル10のヘッド圧が調整されるようになっている。
ここで、加圧ガス導入管22から導入する高圧ガスとしては、熔融ガラスGに悪影響を及ぼさないガスであれば特に限定されるものではなく、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどが使用できる。
白金合金製容器20の内圧は、マノメータ等の圧力計(図示省略)により計測されており、計測値に基づいて適正値となるように加圧条件が調整されるようになっている。加圧条件の調整は、導入される高圧ガスの圧力を調整することによって行うようになっており、その高圧ガスの圧力調整は、白金合金製容器20の内圧の計測値に基づき作動する減圧弁と開放弁を動作させることによって行うようになっている。そして、この高圧ガスの圧力を調整することによって、ノズル10のノズル孔11の出口におけるノズルヘッド圧が、2kPa以上500kPa以下の範囲内となるように調整されている。
なお、このように熔融ガラスGの液面を加圧する場合、圧力の計測値を累積的に記憶するようにすれば、過去の計測値からのずれを補正することで圧力を適正値に調整することができる。また、白金合金製容器20内の内圧調整装置の制御方式は、開閉弁等を使用するオンオフ制御方式の他、導入する加圧ガス導入管22からの導入口の開口断面積を連続的に制御することによって調整する方式、白金合金製容器20内に設けられた導入口以外のガスを排気するための排出口の開口断面積を連続的に制御することによって調整する方式、或いはこれらを組み合わせた方式のいずれの方式であってもよい。
また、ノズル10のヘッド圧を、上記の2kPa以上500kPa以下の範囲内に調整するようにした第1の理由は、当該数値範囲内であれば、ガラス繊維Fの成形が問題なく行うことができるためである。また、第2の理由は、上記の数値範囲を逸脱すれば、ガラス繊維Fの成形に次のような問題が生じるおそれがあるためである。すなわち、ヘッド圧を1.9kPaとした場合について検討したところ、当該ヘッド圧では、糸切れが多発し、良品率の低下と作業効率の悪化が目立つものとなった。一方、ヘッド圧を520kPaとした場合について検討したところ、当該ヘッド圧では、ブッシング50が直ぐに変形し始め、その結果、ブッシング50と白金合金製容器20との溶接箇所の一部から熔融ガラスGの漏れが発生した。したがって、このような結果から、ガラス繊維Fを問題なく成形するためには、ノズル10のヘッド圧は、上記の数値範囲に設定することが好ましいという知見を得るに至った。
そして、以上のようなヘッド圧の条件下で、ノズル10のノズル孔11から熔融ガラスGを下方に引き出した場合、ノズル10の形状に起因して、熔融ガラスGが精密成形される。すなわち、図2に示すように、ノズル10は、長軸Tを境界とするノズル孔11の半周の周縁部に突出部10aを有しているので、ノズル孔11の長軸T方向両端部においても、熔融ガラスGの両面が突出部10aにより挟まれた状態となることがない。すなわち、熔融ガラスGの片面全体が、切欠部10bに面する自由表面となることから、局所的に冷却されやすい場所や、冷却され難い場所が形成され難く、熔融ガラスGの切欠部10bに面するノズル孔11の半周に相当する部位全体を略同条件で速やかに冷却することができる。そのため、熔融ガラスGの粘性のばらつきを抑制しつつ、ノズル10の直下で、熔融ガラスGが表面張力により不当に丸く変形するという事態を防止することができる。したがって、当該形状をなすノズル10を用いて製造すれば、所期の形状を満足する異形断面ガラス繊維Fを精密成形することが可能となる。
また、この実施例では、図1に示すように、ノズル10の下方の周辺近傍に、ノズル10から引き出された熔融ガラスGを冷却する冷却管70が配設されている。この冷却管70によって、熔融ガラスGは1000℃以上の高温から急激に冷却される。そのため、ノズル孔11から引き出された熔融ガラスGは、熔融ガラスGの粘性が急激に高くなるので、表面張力が作用し難くなり断面形状が丸くなる傾向が抑制される。その結果、熔融ガラスGは、長円状のノズル孔11から引き出した際の断面形状から大きく変化することなくそのまま固化し、異形断面ガラス繊維Fとなる。そして、製造された異形断面ガラス繊維Fは、集束剤を塗布されノズル10の下方に配された巻き取り装置60のボビン上に繊維束として巻き取られる。
なお、この実施例では、図3に示すように、冷却管70が、ノズル10を挟むような位置関係で、且つ、ブッシング50と平行となるようにブッシング50から一定の距離を保って配設されている。また、冷却管70の内部には、冷却水Wが流通しており、常に所定の冷却効果が得られるようになっている。
以上のような製造装置を使用することによって連続生産されたガラス繊維Fは、図4に示すように、引出(紡出)方向に垂直な横断面における長軸方向寸法をa、短軸方向寸法をbとした場合に、断面形状の縦横比(a/b)、すなわち扁平比が、1.5から10.0の範囲内となっている。そして、このようなガラス繊維Fであれば、種々の樹脂材と併用することによって複合材料を形成することによって、得られた複合材料に歪みなどが生じ難くなり高い形状維持性を実現することができる。
なお、このような作用効果を享受するという観点からは、異形断面ガラス繊維Fの扁平比は、2.1から9.0の範囲内であることが好ましく、2.4から8.0の範囲内であることがより好ましく、2.7から7.0の範囲内であることが一層好ましく、3.1から6.0の範囲内であることが最も好ましい。
また、このように製造されたガラス繊維Fは、横断面の輪郭の円相当径が、例えば、5以上30μm以下の範囲内とすることができる。ここで、円相当径とは、ガラス繊維の横断面の面積と等しい面積を有する円の直径を表すもので、円相当径の算出にはガラス繊維の横断面についての画像を撮影して解析する手法を使用し、面積の等しい真円に相当する円の直径を導けばよい。5以上30μm以下の範囲を外れると所望の異形断面形状となるように製造条件を調整するのが困難となる場合もある。
さらに、このように製造されたガラス繊維Fは、引出方向に垂直な横断面の直径値の2乗を複数のガラス繊維Fで構成されるガラス繊維束のテックス数で除した値が10以下とすることができる。
ガラス繊維Fの引出方向に垂直な横断面の直径値の2乗を複数のガラス繊維Fで構成されるガラス繊維束のテックス数で除した値が10以下であるとは、ガラス繊維Fの横断面のμmで表した円相当径の2乗を複数のガラス繊維Fから構成される繊維束1000m当たりのグラム数で除した値が、0よりも大きく、かつ10以下であることを意味している。ここで、ガラス繊維Fの横断面の直径値の2乗を複数のガラス繊維Fから構成されるガラス繊維束のテックス数で除した値については、テックス数が無名数であるため、この値も無名数とした。
ガラス繊維Fの横断面の直径値の2乗を複数のガラス繊維Fから構成されるガラス繊維束のテックス数で除した値が10よりも大きいと、繊維束を構成するガラス繊維Fの本数が少なくなりすぎて、ガラス繊維強化樹脂などガラス繊維束が適用される用途において、ガラス繊維束は巻き戻し、加撚、振動など様々な負荷を受ける工程の中で、糸切れや繊維の脱落など工程を阻害する現象が発生するおそれがある。このような観点からガラス繊維Fの横断面の直径値の2乗をガラス繊維束のテックス数で除した値は、より好ましくは5以下、さらに好ましくは2以下、一層好ましくは1以下、最も好ましくは0.5以下とする。
なお、具体的には、ノズル10のヘッド圧を25kPaに設定した場合、製造されたガラス繊維Fは、円相当径が12μmで、扁平比が4.5となった。また、このガラス繊維Fの横断面の直径値の2乗を複数のガラス繊維Fから構成されるガラス繊維束のテックス数で除した値は0.61であった。
また、ガラス繊維Fの巻き取り速度などを変更することによって円相当径が16μmで扁平比が3.8となる長手方向に伸びた断面形状を有するものも容易に得られることを確認できた。このガラス繊維Fの横断面の直径値の2乗を複数のガラス繊維Fから構成されるガラス繊維束のテックス数で除した値は1.22であった。
さらに、得られた異形断面を有するガラス繊維Fは、例えば、1mm以上20mm以下の範囲内の所定長さに切断され、異形断面を有するガラスチョップドストランドとされる。この異形断面を有するガラスチョップドストランドは、電子制御デバイスの筐体など寸法精度の要求の厳しい部品を得るために必要となる複合材の強化材として好適な性能を有し、射出成形後の筐体の歪みを低減したり、強度を向上したりする効果が得られる。ガラスチョップドストランドの長さは、1mmよりも短くなると、チョップドストランドと樹脂とを複合化して使用する用途では熔融樹脂とチョップドストランドとが混錬される過程でチョップドストランドに働くせん断力により、樹脂による補強効果を得難いほどチョップドストランドがさらに短くなるおそれがある。一方、チョップドストランドの長さが20mmを超えると、熔融樹脂とチョップドストランドとが混練される工程でチョップドストランドがホッパーに貯蔵された後に計量されながら連続供給される際に、チョップドストランドが詰まりやすくなり当該ホッパーからの排出性、連続供給性を損なうおそれがある。このような観点からチョップドストランドの長さは、より好ましくは2mm以上10mm以下の範囲内、さらに好ましくは3mm以上6mmの範囲内とすることである。
図5は、本発明の実施例2に係る異形断面ガラス繊維の製造装置を模式的に示す縦断面図である。同図では、80は熔融ガラスレベルゲージ、90は観察窓、91は炉内監視装置を表している。なお、実施例1と同一の構成については、同一符号を付している。
この実施例2に係る製造装置が、上述の実施例1に係る製造装置と相違するところは、ノズル10のヘッド圧を白金合金製容器20内の熔融ガラスGの深さを制御することにより調整するようにした点にある。
詳述すると、白金合金製容器20の熔融ガラスGの炉壁側面には熔融ガラスGの深さを計測するためのガラスレベルゲージ80が配設されており、熔融ガラスGの深さを計測することができるようになっている。具体的には、熔融ガラスGの炉壁側面の対面側にある観察窓90から炉内監視装置91で、熔融ガラスGの液面がガラスレベルゲージ80のどの水準にあるかを監視することにより、熔融ガラスGの深さを計測する。なお、観察窓90には、透明耐熱材(例えば、透明耐熱ガラスセラミックスなど)がはめ込まれた構成となっている。また、この炉内監視装置91では、画像をデジタルデータとして保存することが可能であり、監視データを蓄積し、再利用するシステムが組まれている。
ノズル10のヘッド圧は、ガラスレベルゲージ80の計測結果に従い熔融ガラスGの深さを制御することにより調整するようになっている。例えば、比重が2.55の熔融ガラスGの深さを100±5mmにすれば、ヘッド圧は2.50±0.125kPa(すなわち2.375〜2.625kPa)に調整することができる。一例を示せば、熔融ガラスGの深さが250mmであると、ヘッド圧は7.5kPaで、熔融ガラスGの深さが500mmであれば、ヘッド圧は12.5kPaとなる。
以上のような製造設備を使用することによって連続生産されたガラス繊維Fの具体例の一つとしては、円相当径が15μmで引出方向に垂直な断面形状の縦横比(a/b)、すなわち扁平比が4.4となる扁平形状の長手方向に伸びた断面形状を有するものとなった。このガラス繊維Fの横断面の直径値の2乗を複数のガラス繊維Fから構成されるガラス繊維束のテックス数で除した値は0.49であった。
得られた異形断面を有するガラス繊維Fは、巻き取られた後に異形断面を有するガラスロービング製品とすることでFRP用の用途として利用できるものとなる。このようにして得られた異形断面を有するガラスロービング製品を使用すると、高い均質性と共に優れた強度性能を有するガラス繊維強化複合体を得ることができる。
図6は、上記の実施例1の製造装置を用い、熔融ガラスGの温度やノズル10からの熔融ガラスGの流量などの製造条件をさらに変更することによって得られるガラス繊維F1の模式的な断面図を示している。
このガラス繊維F1は、ノズル孔11から流出した熔融ガラスGの温度を図4の模式的な断面図で示した実施例1におけるガラス繊維Fの製造時よりも、熔融ガラスGの温度を高温にすることによって得られるものである。高温状態にすると、ノズル孔11から流出した熔融ガラスGは冷却固化するまでに、より軟化変形し易い状態になる。そして、ノズル10は、図2に示すように、ノズル孔11の長軸T方向の一方側の半周部分が下方へ突出した突出部10aを有した外形を有しているので、下方へ突出した突出部10aに対向する側にある、切欠部10bが形成された非突出部の壁部から流出した熔融ガラスGは、突出部10aから流出した熔融ガラスGよりも先に外気に開放された状態となって表面張力により丸くなろうとし、しかも粘度が低いため突出部10a側から流出した熔融ガラスG側へと回り込み、凸部k1、k2を形成することになる。
このようにして得られた異形断面ガラス繊維F1は、引出方向に垂直な横断面に2つの凸部k1、k2を有している。また、この異形断面ガラス繊維F1の具体例の一つでは、長軸方向寸法aが13.1μm、短軸方向寸法bが4.1μmとなり、扁平比が3.2となった。また、その異形断面ガラス繊維F1では、円相当径が8.50μmとなった。さらに、この異形断面ガラス繊維F1の横断面を2つの平面で挟んだ時にその平面の距離が最短となる最短直径は5.1μmで、凸部k1の最短直径に平行な寸法c1は0.5μmとなり、最短直径に対して9.8%になった。また、凸部k2の最短直径に平行な寸法c2は1.1μmとなり、最短直径に対して21.6%となった。
図7に示した異形断面ガラス繊維F2は、凸部k3,k4の周囲に凹部k5,k6が形成されている。このガラス繊維F2は、熔融ガラスGの温度の高温化に加えて、ヘッド圧を上げることにより製造されたものである。具体的には、ヘッド圧を98.1kPaとし、熔融ガラスGの流出量を多くし、さらにガラス繊維F2の巻き取り速度を速くすることによって形成されたものである。切欠部10bが形成された非突出部の壁部から流出した熔融ガラスGは、突出部10a側に回り込み、回り込みによって冷却速度が低下した突出部10a側の熔融ガラスGが高速に引き出されることによって凹みを形成することになる。そして、この条件で製造された異形断面ガラス繊維F2は、長軸方向寸法aが29.1μmで、短軸方向寸法bが4.9μmとなり、扁平比が5.9となった。また、円相当径は14.5μmとなった。
さらに、この異形断面ガラス繊維F2の横断面を2つの平行な直線で挟んだ時にその直線間の距離が最短となる最短直径は6.2μmで、凸部k3の最短直径に平行な大きさc3は0.7μmとなり、最短直径に対して11.3%になった。また、凸部k4の短軸方向寸法bに平行な寸法c4が1.3μmとなり、短軸方向寸法bに対して21.0%になった。更にまた、凹部k5の最短直径に平行な寸法c5は0.3μmで、最短直径に対して4.8%になった。凹部k6の最短直径に平行な寸法c6の大きさは0.7μmで、最短直径に対して11.1%になった。いずれも、扁平状の横断面について、その横断面の最短直径の3%以上の高さの凹凸部が、少なくとも1以上存在するという要件を満足するものとなっている。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態において実施することができる。
例えば、白金合金製容器20内に滞留する熔融ガラスGは、白金合金製容器にて1000℃以上で滞留する場合に白金との高温化学反応性に富まないガラス組成の材質であれば支障はなく、通常のガラス繊維材質、例えばEガラス、Dガラス、Sガラス、ARガラスあるいはCガラス等であれば使用してよい。またこれら以外のガラス材質であっても、上記所望の高温性能を有するものであればよい。
白金合金製パイプ30は、その長さや断面の大きさを限定されるものではないが、熔融ガラスGの円滑な流動性を保持するために電気通電による発熱やバーナーなど外部熱源を用いてもよい。
白金合金製容器20や、白金合金製パイプ30の材質としては、プラチナに加えてルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、又はイリジウム、ジルコニウム、金、タングステン、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、コバルト、スズ、亜鉛、又はチタン等の元素を含有するものを使用することができ、さらにセラミックス粒子等を分散した構造を有するものを採用してもよい。
白金合金製容器20の容積は、配設されたブッシング50に連続的に熔融ガラスGを供給するに足る十分な容積を確保することができるものであればよい。また白金合金製容器20の形状についても必要に応じて種々の形態のものを採用してよい。さらに白金合金製容器20の外側は、構造的な強度を確保するため耐火物やモルタル、あるいは耐火性セラミックスなどにより補強、あるいは被覆した構成としてもよく、断熱性を有する耐火ボード等をその周囲に巻き付けた構成を適宜採用してもよい。
ガラス熔融炉のフィーダー40、白金合金製パイプ30及び白金合金製容器20の相互の配置関係については、上記の実施例1及び実施例2のようにガラス熔融炉のフィーダー40、白金合金製パイプ30及び白金合金製容器20を、それぞれ僅かな傾斜を有するほぼ水平な関係で配設したものとするものでもよい。またガラス熔融炉のフィーダー40からほぼ略垂直に下方へと延びた白金合金製パイプ30の下端側に白金合金製容器20が配設された構造とするものであってもよい。さらにガラス熔融炉のフィーダー40、白金合金製パイプ30及び白金合金製容器20の相互のこの2つの配設構成の中間的な配設構成であってもよい。またフィーダー40と白金合金製容器20とを連結する白金合金パイプ30の本数も必ずしも1本とは限らない。
ノズル10のノズル孔11の形状は、扁平であれば、その輪郭が直線によって構成されている必要はなく、湾曲した輪郭を有するものであってもよい。
ブッシング50に付設されたノズル10の数は、ガラス繊維F,F1,F2の使用される用途や製造を必要とされる量によっても様々な数のノズル10を付設したものを採用することができる。また、ノズル10のブッシング50への付設位置も任意の位置に付設することが可能である。ただ、製造品位を安定させるという観点からその数は100〜50000までが可能であって、ノズル10のブッシング50への付設位置も任意の位置に付設することが可能である。すなわちマトリックス状に配列しても、他のパターンで配列してもよい。
ノズル10は、白金合金製であれば、前述した白金合金製容器20の材質と同様な材質を使用することが可能であり、白金合金製容器20と同じ材質を使用するものであっても、他の材質を使用するものであってもよい。また必要に応じてブッシング50の配設位置に応じて一つのブッシング50に複数の材質のノズル10を付設するようなものであってもよい。
ガラス繊維F,F1,F2の表面を被覆する集束剤については、ガラス繊維の用途に応じて様々な集束剤を塗布することができる。例えば各種シランカップリング剤、殿粉、アクリル、エポキシ、ウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル、あるいは酢酸ビニル・エチレン共重合体などを適宜併用して使用することができる。
異形断面ガラス繊維F,F1,F2は、チョップドストランドあるいはロービングであるならば、多くのガラス繊維強化樹脂に適用することが可能で、様々な構造材の形状精度を向上させることが可能となる。
チョップドストランドの製造方法については任意のものを採用することができる。長繊維として成形した直後に用途に応じた集束剤を塗布し束ねた繊維束をそのまま切断装置により切断加工することもできるし、繊維束を一旦回巻体として巻き取った後、回巻体から繊維束を繰り出して切断装置により切断加工してもよいし、切断加工する際に2次集束剤を塗布してもよい。この場合、切断方法についても任意の方法を採用することができる。例えば、外周刃切断装置や内周刃切断装置、ハンマーミル等を使用することが可能である。また、チョップドストランドの集合形態についても特に限定しない。すなわち、適切な長さに切断加工したガラス繊維を平面上に無方向に積層させて特定の結合剤で成形することもでき、あるいは、3次元的に無方向に集積した状態とすることもできる。また、1次元方向、つまり特定の軸方向に平行に揃え、そこに所定の薬剤、すなわち樹脂などにより固結状態としたもの(ガラスマスターバッチ(GMB)ペレット、樹脂柱状体、LFTPなどとも呼称する)であってもよい。
ロービングについては、ストランドを複数本ひき揃えて束にし、適切な綾を掛けながら円筒状に巻き取ったものであれば、どのような外観のものであっても支障なく、ひき揃えた本数についても限定されるものではない。
ガラス繊維F,F1,F2は、上記以外にもコンティニュアスストランドマット、ボンデッドマット、クロス、テープ、組布、あるいはミルドファイバ等の形態として利用することもできる。また、樹脂を含浸させたプレプレグとすることもできる。そして、ガラス繊維を適用する使用法、成形法などについても、スプレーアップ、ハンドレーアップ、フィラメントワインディング、射出成型、遠心成形、ローラー成形、あるいはマッチダイを使用するBMC、SMC法などにも対応することができる。
ガラス繊維F,F1,F2は、必要に応じて様々用途に使用される樹脂材と共に使用してよい。そのような用途としては例えば電子機器関連用途では、電子機器ハウジング材、ギアテープリール、各種収納ケース、光部品用パッケージ、電子部品用パッケージ、スイッチボックス、絶縁支持体などがあり、車載関連用途では、車体屋根材(ルーフ材)、窓枠材、車体フロント、カーボディ、ランプハウス、エアスポイラー、フェンダーグリル、タンクトロリー、ベンチレーター、水タンク、汚物タンク、座席、ノーズコーン、フェンダーグリル、カーテン、フィルター、エアコンダクト、マフラーフィルター、ダッシュパネル、ファンブレード、ラジエータータイヤ、タイミングベルトなどがあり、航空機関連用途ではエンジンカバー、エアダクト、シートフレーム、コンテナ、カーテン、内装材、サービストレイ、タイヤ、防振材、タイミングベルトなどがあり、造船、陸運海運関連用途ではモーターボート、ヨット、漁船、ドーム、ブイ、海上コンテナ、フローター、タンク、信号機、道路標識、カーブミラー、コンテナ、パレット、ガードレール、照明灯カバー、火花保護シートなどがあり、農業関連用途ではビニールハウス、サイロタンク、スプレーノズル、支柱、ライニング、土壌改良剤などがあり、建設・土木・建材関連ではバスタブ、バストイレユニット、便槽、浄化槽、水タンク、内装パネル、カプセル、バルブ、ノブ、壁補強材、プレキャストコンクリートボード、平板、波板、テント、シャッター、外装パネル、サッシ、配管パイプ、貯水池、プール、道路、構造物側壁、コンクリート型枠、ターポリン、防水ライニング、養生シート、防虫網などがあり、工業施設関連用途では、バグフィルター、下水道パイプ、浄水関連装置、防振コンクリート補強材(GRC)、貯水槽、ベルト、薬品槽、反応槽、容器、ファン、ダクト、耐蝕ライニング、バルブ、冷蔵庫、トレー、冷凍庫、トラフ、機器部品、電動機カバー、絶縁ワイヤ、変圧器絶縁、ケーブルコード、作業服、カーテン、蒸発パネル、機器ハウジングなどがあり、レジャースポーツ関連用途では、釣竿、スキー、アーチェリー、ゴルフクラブ、プール、カヌー、サーフボード、カメラ筐体、ヘルメット、衝撃保護防具、植木鉢、表示ボードなどがあり、日用品関連用途では、テーブル、椅子、ベッド、ベンチ、マネキン、ゴミ箱、携帯端末保護材などがある。
10 白金合金製ノズル
10a ノズルの突出部
10b ノズルの切欠部
11 ノズル孔
11a ノズル孔の輪郭の直線部
11b ノズル孔の輪郭の湾曲部
20 白金合金製容器(熔融ガラス貯溜槽)
21 白金合金容器内の熔融ガラス上部空間
22 加圧ガス導入管
30 白金合金製パイプ(チューブ)
40 フィーダー
50 ブッシング
60 ガラス繊維巻き取り装置
70 冷却管
80 熔融ガラスレベルゲージ
90 観察窓
91 炉内監視装置
A 加圧ガス導入方向
F、F1、F2 異形断面ガラス繊維
G 熔融ガラス
H ノズル孔の長軸を含み、且つ、熔融ガラスの引出方向に平行な平面
k1,k2,k3,k4 異形断面ガラス繊維の紡出方向に垂直な横断面の凸部
k5、k6 異形断面ガラス繊維の紡出方向に垂直な横断面の凹部
T ノズル孔断面の長手方向軸
W 冷却水
a 異形断面ガラス繊維の紡出方向に垂直な横断面の長軸方向寸法
b 異形断面ガラス繊維の紡出方向に垂直な横断面の短軸方向寸法
c1、c2、c3、c4 異形断面ガラス繊維の紡出方向に垂直な横断面の凸部の短軸方向に平行な寸法
c5、c6 異形断面ガラス繊維の紡出方向に垂直な横断面の凹部の短軸方向に平行な寸法

Claims (5)

  1. 熔融ガラスが貯溜された熔融ガラス貯溜槽の底部に、長軸及び該長軸と直交する短軸を有する扁平状の単一のノズル孔が形成されたノズルを間隔を置いて複数本設け、前記ノズルのノズル孔から熔融ガラスを引き出すことで、その引出方向と垂直な横断面が扁平形状をなす異形断面ガラス繊維を製造する異形断面ガラス繊維の製造方法であって、
    前記ノズルとして、該ノズルの先端部に、ノズル孔の長軸を境界とするノズル孔の半周以下の周縁部から引出方向に沿って突出する突出部と、切欠部が先端側に形成された非突出部とを有するものを用い、
    前記切欠部を前記ノズルの外側に露出させた状態で、前記異形断面ガラス繊維を製造することを特徴とする異形断面ガラス繊維の製造方法。
  2. 前記ノズルからガラス繊維を引き出す際の前記ノズルのヘッド圧が、2kPa以上500kPa以下の範囲内である請求項1に記載の異形断面ガラス繊維の製造方法。
  3. 前記ノズルのヘッド圧が、前記熔融ガラス貯溜槽に貯溜された前記熔融ガラスの液面を加圧することにより又は前記熔融ガラス貯溜槽に貯溜された前記熔融ガラスの深さを制御することにより、調整される請求項2に記載の異形断面ガラス繊維の製造方法。
  4. 前記ノズルの前記突出部側と前記非突出部側のそれぞれに冷却板を配置し、熔融ガラスを冷却する請求項1〜3のいずれか1項に記載の異形断面ガラス繊維の製造方法。
  5. 熔融ガラスが貯溜された熔融ガラス貯溜槽の底部に、長軸及び該長軸と直交する短軸を有する扁平状の単一のノズル孔が形成されたノズルを間隔を置いて複数本設け、前記ノズルのノズル孔から熔融ガラスを引き出すことで、その引出方向と垂直な横断面が扁平形状をなす異形断面ガラス繊維を製造する異形断面ガラス繊維の製造装置であって、
    前記ノズルの先端部に、ノズル孔の長軸を境界とするノズル孔の半周以下の周縁部から前記引出方向に沿って突出する突出部と、切欠部が先端側に形成された非突出部とをそれぞれ設け、前記切欠部を前記ノズルの外側に露出させたことを特徴とする異形断面ガラス繊維の製造装置。
JP2009076568A 2008-03-31 2009-03-26 異形断面ガラス繊維、及びその製造方法並びに製造装置 Active JP5532379B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009076568A JP5532379B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-26 異形断面ガラス繊維、及びその製造方法並びに製造装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008091843 2008-03-31
JP2008091843 2008-03-31
JP2009076568A JP5532379B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-26 異形断面ガラス繊維、及びその製造方法並びに製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009263211A JP2009263211A (ja) 2009-11-12
JP5532379B2 true JP5532379B2 (ja) 2014-06-25

Family

ID=41389544

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009076568A Active JP5532379B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-26 異形断面ガラス繊維、及びその製造方法並びに製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5532379B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7377275B2 (ja) * 2019-09-13 2023-11-09 日本板硝子株式会社 ガラスフィラー及び樹脂組成物
CN114341071A (zh) * 2019-09-13 2022-04-12 日本板硝子株式会社 玻璃填料及树脂组合物
JP7333020B2 (ja) * 2020-03-24 2023-08-24 日本電気硝子株式会社 ガラス繊維の製造装置および製造方法
JP2022190302A (ja) * 2021-06-14 2022-12-26 日本電気硝子株式会社 ブッシング、ガラス繊維製造装置、及びガラス繊維製造方法
JP2022190523A (ja) * 2021-06-14 2022-12-26 日本電気硝子株式会社 ブッシング、ガラス繊維製造装置、及びガラス繊維製造方法
JP7385980B1 (ja) 2022-08-18 2023-11-24 日東紡績株式会社 扁平断面ガラス繊維、及び、ガラス再生材料を含むガラス原料からの扁平断面ガラス繊維の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61174141A (ja) * 1985-01-25 1986-08-05 Nitto Boseki Co Ltd ガラス繊維及びその製造方法
JPS61219734A (ja) * 1985-03-23 1986-09-30 Nitto Boseki Co Ltd ガラス繊維
JP4370633B2 (ja) * 1999-05-28 2009-11-25 日東紡績株式会社 扁平ガラス繊維紡糸用ノズルチップ及び製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009263211A (ja) 2009-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5532379B2 (ja) 異形断面ガラス繊維、及びその製造方法並びに製造装置
JP5442181B2 (ja) ガラス繊維組成物、ガラス繊維及びガラス繊維含有複合材料
JP5152437B2 (ja) ガラス繊維
JP7307406B2 (ja) ガラス繊維用組成物及びガラス繊維、ガラス繊維を含有するガラス繊維含有複合材料、並びにガラス繊維の製造方法
JP2012001434A (ja) ガラス長繊維製造用ブッシング及びその製造方法、並びにガラス長繊維製造装置及びこれを用いたガラス長繊維の製造方法
JP5622164B2 (ja) ガラス繊維製造装置およびガラス繊維製造方法
KR101993370B1 (ko) 장섬유 강화 열가소성 수지 프리폼 및 이것을 이용한 섬유 강화 수지 성형체
WO2015046290A1 (ja) 一方向性繊維強化テープおよびその製造方法、ならびにそれを用いた成形体およびその製造方法
JP5984073B2 (ja) 液晶性ポリエステル樹脂ペレットの製造装置および製造方法
JP2009084116A (ja) ガラス繊維用集束剤、ガラス繊維、ガラス繊維の製造方法及びガラス繊維強化熱可塑性樹脂材料
CN111172602A (zh) 纺粘非织造布细旦高速纺丝新型侧吹风装置
JP2008044801A (ja) ガラス繊維製造装置とガラス繊維の製造方法
JP4958063B2 (ja) ガラスロービング回巻体巻き取り装置及びガラスロービング回巻体の成形方法
CN211734550U (zh) 纺粘非织造布细旦高速纺丝新型侧吹风装置
WO2021256217A1 (ja) ガラス繊維用組成物
JP2008266072A (ja) ガラス繊維製造装置、ガラス繊維の製造方法及びガラス繊維
CN106986558B (zh) 大流量涂塑槽
CN109110566A (zh) 一种基于漆包线生产用的收卷装置及其加工工艺
JPWO2018123888A1 (ja) 異形断面ガラス繊維製造用ノズル、異形断面ガラス繊維製造装置、その製造方法、異形断面ガラス繊維
JP3908782B2 (ja) 長繊維強化樹脂構造体用冷却槽及び該構造体の製造方法
CN101661142B (zh) 一种光缆用防鼠咬加强纱及其制备方法
CN101661143B (zh) 一种光缆用加强纱及其制备方法
CN220742208U (zh) 一种玻璃钢制品用缠绕设备
JP2008074697A (ja) ガラス長繊維製造用ブッシング及びその製造方法、並びにガラス長繊維製造装置及びこれを用いたガラス長繊維の製造方法
KR102209487B1 (ko) 토목건축 구조물 보강 탄소섬유시트 제직용 바인드사 제조장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110913

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140410

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5532379

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150