JP7333020B2 - ガラス繊維の製造装置および製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス繊維の製造装置および製造方法に関する。
ガラス繊維として、円形断面を有するガラス繊維や、断面形状が扁平な異形断面ガラス繊維(特許文献1を参照)が製造されている。ガラス繊維は、樹脂と混練して複合化した場合に高い補強効果を実現できることから、繊維強化プラスチック(FRP)用の繊維として採用される等、様々な分野で利用されている。
ここで、ガラス繊維を製造するための手法の一例として、以下のような手法を挙げることができる。
同手法を実行するためには、ガラス溶解炉等で生成した溶融ガラスを流通させるためのフィーダーと、フィーダーよりも下方に配置されたブッシングとが用いられる。ブッシングは多数のノズルを備えており、各ノズルには溶融ガラスを流出させるためのノズル孔が設けられている。これらの製造設備を用いて、フィーダー内からブッシングのノズル孔に至るまでの流路を溶融ガラスで満たした状態で、フィーダーからブッシングに溶融ガラスを供給し、各ノズルのノズル孔から流出させた溶融ガラスを引き出しつつ冷却する。このようにしてガラス繊維を製造する。
国際公開第2017/221471号
しかしながら、上記の手法には下記のような解決すべき問題があった。
ガラス繊維の製造条件を変更する場合に、製造設備の置き換えが必要となることから、製造条件の変更に対して迅速に対応することが困難となる。なお、製造条件を変更する場合の例としては、円形断面を有するガラス繊維と異形断面ガラス繊維との間で製造の対象を切り換えたり、製造する異形断面ガラス繊維の扁平率を変えたり、ガラス組成を変えたりする場合等が挙げられる。上述のごとく製造設備の置き換えが必要となる理由は、ノズル孔とフィーダー内の溶融ガラスの液面との高低差により決まるヘッド圧(溶融ガラスをノズル孔から流出させるための圧力)について、その最適な大きさが製造条件ごとに異なるためである。これにより、製造条件を変更するに際し、ヘッド圧を最適な大きさに調節することを目的として、上記の高低差を変化させる必要があり、そのために製造設備の置き換えが必要となっていた。
上記の事情に鑑みなされた本発明は、ガラス繊維の製造条件の迅速な変更を可能にすることを技術的な課題とする。
上記の課題を解決するためのガラス繊維の製造装置は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、ノズル孔が設けられ且つフィーダーよりも下方に配置されたブッシングと、フィーダーとブッシングとを接続するパイプとを備え、フィーダー内からブッシングのノズル孔に至るまでの流路が溶融ガラスで満たされた状態で、フィーダーからパイプを介してブッシングに供給された溶融ガラスをノズル孔より流出させてガラス繊維を製造する装置であって、パイプが、フィーダーと連結された第一パイプと、ブッシングと連結された第二パイプとを含み、第一パイプと第二パイプとの間で、上下方向における相対位置の変更が可能であることを特徴とする。
本製造装置においては、フィーダーと連結された第一パイプと、ブッシングと連結された第二パイプとの間で、上下方向における相対位置の変更が可能となっている。これにより、両パイプの相対位置を変更するのに伴い、フィーダーとブッシングとの上下方向における相対位置についても変化させることができる。つまり、両パイプの相対位置を変更することで、ノズル孔とフィーダー内の溶融ガラスの液面との高低差により決まるヘッド圧について、その大きさを自在に変化させることが可能になる。このため、ガラス繊維の製造条件を変更するに際し、ヘッド圧を最適な大きさに調節することを目的として、製造設備の置き換えを行う必要がなくなる。その結果、製造条件を迅速に変更できる。
上記の装置では、第一パイプの一部と第二パイプの一部とにより、二重管構造をなすことが好ましい。
このようにすれば、第一パイプの一部と第二パイプの一部とにより二重管構造をなすようにすることで、製造設備の省スペース化を図りつつ、第一パイプと第二パイプとの間での相対位置の変更を実現できる。
上記の装置では、第一パイプの一部が二重管構造の内筒をなすと共に、第二パイプの一部が二重管構造の外筒をなすことが好ましい。
このようにすれば、フィーダーからブッシングへと至る流路(第一パイプと第二パイプとを含んだパイプ)から溶融ガラスが漏れ出すことを防止、或いは、抑制することができる。
上記の装置では、第二パイプの上側開口部に存する溶融ガラスを冷却する温度調節手段を備えることが好ましい。
このようにすれば、第二パイプの上側開口部に存する溶融ガラスを温度調節手段で冷却して固化させることで、固化したガラスにより第二パイプの上側開口部に蓋が形成される。従って、流路(パイプ)からの溶融ガラスの漏れ出しを防止、或いは、抑制することができる。なお、温度調節手段での冷却を止めることにより上側開口部の蓋が無くなる。それにより、第一パイプと第二パイプとの相対位置を変更する際に固化したガラスが障害になることを抑制できる。
上記の装置では、温度調節手段が、第二パイプの上側開口部に沿って配置され、且つ、内部に冷媒を流通させるように構成された冷却用パイプであることが好ましい。
このようにすれば、第一パイプと第二パイプとの相対位置を変更する際に、第二パイプと冷却用パイプとを一体に移動させることが可能となる。
上記の装置では、第一パイプと第二パイプとが個別に加熱されるように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、フィーダーから第一パイプに流入した溶融ガラスの粘度、及び、第二パイプからブッシングに流入する溶融ガラスの粘度を適切に調節しやすくなる。
上記の装置では、第一パイプの各部位のうち、第二パイプの上側開口部よりも上方に位置する部位のみ加熱されるように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、第一パイプの各部位のうち、第二パイプの上側開口部よりも上方に位置する部位に加えて、下方に位置する部位をも加熱した場合とは異なり、溶融ガラスが過度に加熱されて、ブッシングに流入する溶融ガラスの粘度が低くなりすぎることを抑制できる。
上記の装置では、ノズル孔が扁平形状であることが好ましい。
このようにすれば、第一パイプと第二パイプとの相対位置の変更によりヘッド圧を変更することで、様々な扁平率の異形断面ガラス繊維を作り出すことができる。
また、上記の課題を解決するためのガラス繊維の製造方法は、溶融ガラスを流通させるフィーダーと、ノズル孔が設けられ且つフィーダーよりも下方に配置されたブッシングと、フィーダーとブッシングとを接続するパイプとを用いて、フィーダー内からブッシングのノズル孔に至るまでの流路を溶融ガラスで満たした状態で、フィーダーからパイプを介してブッシングに供給した溶融ガラスをノズル孔より流出させてガラス繊維を製造する方法であって、パイプが、フィーダーと連結された第一パイプと、ブッシングと連結された第二パイプとを含み、第一パイプと第二パイプとの間で、上下方向における相対位置の変更が可能であることを特徴とする。
本製造方法においては、上記のガラス繊維の製造装置に係る説明で既述の作用・効果を同様に得ることが可能である。
本発明によれば、ガラス繊維の製造条件の迅速な変更が可能となる。
ガラス繊維の製造装置を示す断面図である。 (a)~(d)はガラス繊維の製造装置に備わった冷却用パイプの周辺を示す断面図である。 異形断面ガラス繊維を示す断面図である。 円形断面を有するガラス繊維を示す断面図である。 ガラス繊維の製造装置に備わったノズルの周辺を示す断面図である。 ガラス繊維の製造装置に備わったノズルの周辺を示す底面図である。 (a)はガラス繊維の製造装置に備わったノズルを示す側面図、(b)は断面図、(c)は底面図である。
以下、実施形態に係るガラス繊維の製造装置および製造方法について、添付の図面を参照しながら説明する。
本実施形態において、ガラス繊維の製造方法(以下、本製法と表記)を実行するにあたっては、図1に示すガラス繊維の製造装置1(以下、製造装置1と表記)を用いる。
製造装置1は、溶融ガラス2を流通させるフィーダー3と、フィーダー3よりも下方に配置されたブッシング4と、フィーダー3とブッシング4とを接続するパイプ5とを備えている。溶融ガラス2は、フィーダー3からパイプ5を介してブッシング4に供給される。そして、溶融ガラス2は、ブッシング4のノズル孔6より流出されつつ冷却されてガラス繊維2fとなる。
本実施形態においては、溶融ガラス2がEガラスからなる。しかしながら、この限りではなく、溶融ガラス2がDガラス、Sガラス、ARガラス、Cガラス等の他のガラスからなってもよい。
フィーダー3は、ガラス溶解炉(図示省略)と接続されている。フィーダー3は、ガラス溶解炉で連続的に生成された溶融ガラス2を流通させることが可能である。フィーダー3の内部には、溶融ガラス2の液面2aが形成されている。
ブッシング4は、底部にベースプレート7を備えている。ベースプレート7には、複数のノズル8と、これらノズル8の近傍に配置された冷却管9とが備わっている。複数のノズル8は、相互に同一の構成を有する。詳細は後述するが、各ノズル8に設けられたノズル孔6は扁平形状である。
パイプ5は、フィーダー3と連結された第一パイプ5aと、ブッシング4と連結された第二パイプ5bとを含んでいる。第一パイプ5aと第二パイプ5bとは、上下方向において両パイプ5a,5bの相対位置を変更することが可能となっている。これにより、フィーダー3とブッシング4とについても、上下方向において両者3,4の相対位置を変更することが可能である。
本製法においては、ガラス繊維2fの製造条件を変更する場合に、第一パイプ5aと第二パイプ5bとの相対位置(フィーダー3とブッシング4との相対位置)を変更する工程を含む。製造条件を変更する場合としては、(1)円形断面を有するガラス繊維と異形断面ガラス繊維との間で製造の対象を切り換える場合、(2)製造する異形断面ガラス繊維の扁平率を変える場合、(3)ガラス組成を変える場合等が挙げられる。
本実施形態では、フィーダー3の位置は固定されており、これによりフィーダー3と連結された第一パイプ5aの位置もまた固定されている。これに対して、ブッシング4、及び、当該ブッシング4と連結された第二パイプ5bは、両者4,5bを一体として上下に移動させることが可能である。そして、矢印A‐Aで示すように第二パイプ5bを上下に移動させることで、第一パイプ5aと第二パイプ5bとの相対位置が変更される。また、第二パイプ5bの上下移動に伴ってブッシング4が上下移動し、フィーダー3とブッシング4との相対位置が変更される。
ここで、ブッシング4は、図1に実線で示す位置を上限位置、二点鎖線で示す位置を下限位置として上下移動する。ブッシング4(第二パイプ5b)が上下移動できる距離は、100mm以上とすることが好ましい。なお、ブッシング4(第二パイプ5b)を上下移動させるにあたっては、例えば油圧ジャッキ等の昇降手段を利用して、ブッシング4又は第二パイプ5bを支持しながら昇降させればよい。
第一パイプ5aおよび第二パイプ5bの各々は、その管軸が上下方向に延びている。両パイプ5a,5bの形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では両パイプ5a,5bは共に円筒状に形成されている。第一パイプ5aの上側開口部はフィーダー3の底部と連結され、第二パイプ5bの下側開口部はブッシング4の上端部と連結されている。
第一パイプ5aの一部と第二パイプ5bの一部とは、両者により二重管構造をなしている。詳細には、第一パイプ5aは第二パイプ5bよりも管径が小さく形成されており、第一パイプ5aの一部が二重管構造の内筒をなすと共に、第二パイプの一部が二重管構造の外筒をなしている。二重管構造において、第一パイプ5aの外周面と第二パイプ5bの内周面との間には、溶融ガラス2の浸入を許容する隙間が形成されている。この隙間を設けることで、熱膨張等に起因して第一パイプ5aと第二パイプ5bとが嵌合した状態となることを防止でき、両パイプ5a,5bの相対位置を円滑に変更できる。なお、隙間の幅としては、3mm以上とすることが好ましい。
第二パイプ5bの上側開口部には、温度調節手段としての冷却用パイプ10が備わっている。冷却用パイプ10は、第二パイプ5bと一体に上下移動させることが可能であり、図1に実線で示す位置が上限位置、二点鎖線で示す位置が下限位置である。冷却用パイプ10は、平面視で第二パイプ5bの上側開口部に沿った環状をなすと共に、内部に冷媒としての冷水10aを流通させることが可能となっている。勿論であるが、冷媒として冷水10a以外のものを用いてもよいし、温度調節手段として冷却用パイプ10以外のものを用いてもよい。
冷却用パイプ10に冷水10aが供給されると、第二パイプ5bの上側開口部に存する溶融ガラス2が冷却され、当該溶融ガラス2が固化する(図1にてクロスハッチングを施した部分は固化したガラス)。この固化したガラスにより、第二パイプ5bの上側開口部から溶融ガラス2が漏れ出すことを防止できる。一方、冷却用パイプ10への冷水10aの供給が停止されると、固化したガラスの温度が上昇して再び溶融ガラス2となる。
冷却用パイプ10への冷水10aの供給、及び、供給の停止は、第一パイプ5aと第二パイプ5bとの相対位置を変更するに際して切り換える。具体例として、位置が固定された状態にある第一パイプ5aに対し、第二パイプ5bを上方に移動させることで、両パイプ5a,5bの相対位置を変更する場合を挙げる。
図2(a)に示すように、冷却用パイプ10に冷水10aを供給している間は、固化したガラス(クロスハッチングを施して表す)により、第二パイプ5bの上側開口部に蓋がされた状態となっている。このとき、第一パイプ5aと第二パイプ5bとは固化したガラスを介して連結されており、両パイプ5a,5bは相対位置の変更が不可能となる。第二パイプ5bを上方に移動させるにあたっては、まず、図2(b)に示すように、冷却用パイプ10への冷水10aの供給を停止し、固化したガラスを溶融ガラス2に戻す。これにより、両パイプ5a,5bの相対位置の変更が可能となる。その後、冷水10aの供給を停止した状態の下、図2(c)に矢印Bで示すように、第二パイプ5bを所望の位置まで上方に移動させる。最後に、図2(d)に示すように、冷却用パイプ10への冷水10aの供給を再開し、第二パイプ5bの上側開口部に存する溶融ガラス2を再び固化させる。
勿論であるが、上記の具体例とは逆に、第二パイプ5bを下方に移動させることで、第一パイプ5aと第二パイプ5bとの相対位置を変更する場合には、図2(c)に示した過程において、第二パイプ5bを所望の位置まで下方に移動させればよい。
図1に示すように、第一パイプ5aと第二パイプ5bとは、第一加熱器11と第二加熱器12とにより個別に加熱が可能となっている。本実施形態においては、第一加熱器11および第二加熱器12は、それぞれ通電加熱により第一パイプ5aおよび第二パイプ5bを加熱する形態となっている。
第一パイプ5aにおいて通電加熱される区間の上端は、当該第一パイプ5aの上側開口部である。一方、第一パイプ5aにおいて通電加熱される区間の下端は、上限位置まで移動した状態にある第二パイプ5bの上側開口部よりも更に上方に位置している。これにより、第一パイプ5aの各部位のうち、第二パイプ5bの上側開口部よりも上方に位置する部位のみが加熱される。
第二パイプ5bにおいて通電加熱される区間の上端は、当該第二パイプ5bの上側開口部から下方に離間して位置している。これにより、冷水10aによる上側開口部に存する溶融ガラス2の冷却を、通電加熱によって妨げられることを回避している。なお、通電加熱される区間の上端を上側開口部から離間させる距離は、100mm以上とすることが好ましい。一方、第二パイプ5bにおいて通電加熱される区間の下端は、当該第二パイプ5bの下側開口部である。
ブッシング4、パイプ5(第一パイプ5a、第二パイプ5b)、ノズル8、及び冷却管9の各部材の一部(溶融ガラス2と接触する部位)又は全体は、純白金、白金合金(白金ロジウム合金等)、又は強化白金(ジルコニアを含有した白金等)により構成されている。なお、本実施形態では、パイプ5(第一パイプ5a、第二パイプ5b)は、全体が純白金、白金合金、又は強化白金で構成されている。
フィーダー3とパイプ5(第一パイプ5a)との接続部から、ブッシング4のノズル孔6に至るまでの流路は、溶融ガラス2で満たされている。そのため、ノズル孔6から溶融ガラス2を流出させるための圧力(ヘッド圧)は、ノズル孔6とフィーダー3内の溶融ガラス2の液面2aとの高低差Hで決定される。高低差Hの値は、上述のとおり第二パイプ5bが上下移動できることにより、当該第二パイプ5bが上下移動できる距離の分だけ調節することが可能である。
ここで、ガラス繊維2fの製造条件を変更する場合のうち、上記(1)の場合、異形断面ガラス繊維(図3)の製造から円形断面を有するガラス繊維(図4)の製造に切り換える際には、高低差Hを小さくし、反対に円形断面を有するガラス繊維の製造から異形断面ガラス繊維の製造に切り換える際には、高低差Hを大きくする。また、上記(2)の場合、製造する異形断面ガラス繊維の扁平率を大きくする際には、高低差Hを大きくし、反対に扁平率を小さくする際には、高低差Hを小さくする。さらに、上記(3)の場合、ガラス組成を粘度の高い組成に変える際には、高低差Hを大きくし、反対に粘度の低い組成に変える際には、高低差Hを小さくする。
ガラス繊維2fを成形する際における溶融ガラス2の温度・粘度は、それぞれ1100℃~1250℃(好ましくは1150℃~1200℃)、102.6dPa・s~103.8dPa・s(好ましくは102.9dPa・s~103.3dPa・s)に設定される。なお、ここで言う「溶融ガラス2の温度・粘度」とは、ノズル8に流入する位置での溶融ガラス2の温度・粘度である。溶融ガラス2の温度・粘度の調整は、例えば、パイプ5(第一パイプ5a、第二パイプ5b)の加熱や、パイプ5の加熱に加えてブッシング4を加熱して行えばよい。この他、ガラス溶解炉内の溶融ガラス2や、フィーダー3を通電加熱等で加熱して溶融ガラス2の温度・粘度を調節してもよい。
ガラス繊維2fの表面に対しては、アプリケーター(図示省略)により集束剤が塗布される。これにより、数百本~数千本程度のガラス繊維2fが、一本のストランド2sとして紡糸される。紡糸されたストランド2sは、巻き取り装置であるボビン13の周りに繊維束2rとして巻き取られる。ストランド2sは、例えば、1mm~20mm程度の長さに切断され、チョップドストランドとして利用される。
図5及び図6に示すように、ノズル8は、一対の長壁部14,14と一対の短壁部15,15とを有する。これら壁部に囲われて扁平なノズル孔6が形作られている。ノズル孔6は、溶融ガラス2の流入口6aと、流出口6bとを有する。一対の長壁部14,14の各々には、流出口6b側に向けて口を開けた切欠き部16が設けられている。これにより、ノズル孔6が切欠き部16を通じてノズル8の外部空間と連なっている。
冷却管9は、その内部を冷却水17が循環することで溶融ガラス2を冷却する。冷却管9は外形が板状に形成されており、板面が長壁部14と平行になっている。なお、冷却管9は必須の構成ではなく省略してもよい。
ベースプレート7には、複数のノズル列Pが間隔を空けて平行に配置されている。各ノズル列Pには複数のノズル8が属する。同じノズル列Pに属する複数のノズル8は、これらに形成されたノズル孔6が同一直線上に位置するように配置されている。
上記の冷却管9は、隣り合う両ノズル列P,Pの相互間において、ノズル列Pと平行に延びるように配置されている。これにより、冷却管9に面した切欠き部16を通じてノズル孔6内の溶融ガラス2が冷却される。具体的には、溶融ガラス2が、冷却管9により1000℃以上の温度から急激に冷却される。
図7(a)~(c)に示すように、各ノズル8の長壁部14に設けられた切欠き部16は、上底が下底よりも短い等脚台形状をなす。これにより、切欠き部16は、ノズル孔6の流入口6a側から流出口6b側に移行するに連れて開口幅が漸次に拡大している。
ノズル孔6は長穴形状に形成されている。なお、ノズル孔6の形状は長穴形状に限らず、例えば楕円形等であってもよい。一対の長壁部14,14はノズル孔6の短径方向で対向し、一対の短壁部15,15はノズル孔6の長径方向で対向している。ノズル孔6の扁平比(長径と短径との比)は2~5とされている。ノズル孔6の内周面(長壁部14の内壁面14aおよび短壁部15の内壁面15aを含む)は、純白金、白金合金、又は強化白金で構成されている。
以下、製造装置1を用いた本製法による主たる作用・効果について説明する。
本製法では、フィーダー3と連結された第一パイプ5aと、ブッシング4と連結された第二パイプ5bとの間で、上下方向における相対位置の変更が可能である。このように両パイプ5a,5bの相対位置を変更することで、ノズル孔6とフィーダー3内の溶融ガラス2の液面2aとの高低差Hにより決まるヘッド圧について、その大きさを自在に変化させることが可能になる。このため、ガラス繊維2fの製造条件を変更するに際し、ヘッド圧を最適な大きさに調節することを目的として、製造設備の置き換えを行う必要がなくなる。その結果、製造条件を迅速に変更できる。
ここで、本発明に係るガラス繊維の製造装置および製造方法は、上記の実施形態で説明した構成や態様に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態においては、第一パイプ5aおよびフィーダー3の位置が固定され、第二パイプ5bおよびブッシング4の上下移動が可能となっているが、これに限定されるものではない。上記の実施形態とは反対に、第二パイプ5bおよびブッシング4の位置が固定され、第一パイプ5aおよびフィーダー3の上下移動が可能となるようにしてもよい。さらに、第一パイプ5aおよびフィーダー3と、第二パイプ5bおよびブッシング4との双方の上下移動が可能となるようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、ノズル孔6が扁平形状になっているが、ノズル孔6が円形に形成されていてもよい。ノズル孔6が円形である場合、円形断面を有するガラス繊維2fを製造するにあたり、第一パイプ5aと第二パイプ5bとの上下方向における相対位置を変更し、高低差Hの大小を調節することで、ガラス繊維2fの径の値を調節することが可能である。
また、上記の実施形態では、固化したガラスにより第二パイプ5bの上側開口部に蓋をする形態となっているが、この限りではない。第二パイプ5bの上側開口部に蓋としての機能を有する部材を設置してもよい。ただし、第一パイプ5aと第二パイプ5bとの相対位置の変更を円滑に実行する観点においては、上記の実施形態のごとく、固化したガラスにより第二パイプ5bの上側開口部に蓋をすることが好ましい。
また、上記の実施形態では、パイプ5は、第一パイプ5aと第二パイプ5bとからなるが、これらの間に他のパイプを配置してもよい。これら3つのパイプのうちの少なくとも1つのパイプを上下方向に移動させてもよい。
1 ガラス繊維の製造装置
2 溶融ガラス
2f ガラス繊維
3 フィーダー
4 ブッシング
5 パイプ
5a 第一パイプ
5b 第二パイプ
6 ノズル孔
10 冷却用パイプ
10a 冷水

Claims (9)

  1. 溶融ガラスを流通させるフィーダーと、ノズル孔が設けられ且つ前記フィーダーよりも下方に配置されたブッシングと、前記フィーダーと前記ブッシングとを接続するパイプとを備え、
    前記フィーダー内から前記ブッシングの前記ノズル孔に至るまでの流路が溶融ガラスで満たされた状態で、前記フィーダーから前記パイプを介して前記ブッシングに供給された溶融ガラスを前記ノズル孔より流出させてガラス繊維を製造するガラス繊維の製造装置であって、
    前記パイプが、前記フィーダーと連結された第一パイプと、前記ブッシングと連結された第二パイプとを含み、
    前記第一パイプと前記第二パイプとの間で、上下方向における相対位置の変更が可能であることを特徴とするガラス繊維の製造装置。
  2. 前記第一パイプの一部と前記第二パイプの一部とにより、二重管構造をなすことを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維の製造装置。
  3. 前記第一パイプの一部が前記二重管構造の内筒をなすと共に、前記第二パイプの一部が前記二重管構造の外筒をなすことを特徴とする請求項2に記載のガラス繊維の製造装置。
  4. 前記第二パイプの上側開口部に存する溶融ガラスを冷却する温度調節手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のガラス繊維に製造装置。
  5. 前記温度調節手段が、前記第二パイプの上側開口部に沿って配置され、且つ、内部に冷媒を流通させるように構成された冷却用パイプであることを特徴とする請求項4に記載のガラス繊維の製造装置。
  6. 前記第一パイプと前記第二パイプとが個別に加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のガラス繊維の製造装置。
  7. 前記第一パイプの各部位のうち、前記第二パイプの上側開口部よりも上方に位置する部位のみ加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のガラス繊維の製造装置。
  8. 前記ノズル孔が扁平形状であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のガラス繊維の製造装置。
  9. 溶融ガラスを流通させるフィーダーと、ノズル孔が設けられ且つ前記フィーダーよりも下方に配置されたブッシングと、前記フィーダーと前記ブッシングとを接続するパイプとを用いて、
    前記フィーダー内から前記ブッシングの前記ノズル孔に至るまでの流路を溶融ガラスで満たした状態で、前記フィーダーから前記パイプを介して前記ブッシングに供給した溶融ガラスを前記ノズル孔より流出させてガラス繊維を製造するガラス繊維の製造方法であって、
    前記パイプが、前記フィーダーと連結された第一パイプと、前記ブッシングと連結された第二パイプとを含み、
    前記第一パイプと前記第二パイプとの間で、上下方向における相対位置の変更が可能であることを特徴とするガラス繊維の製造方法。
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