JP5531810B2 - 熱交換器 - Google Patents

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本発明は、空調装置、給湯装置等の機器に用いられ、特にヒートポンプ式の給湯機等のように、水等の流体と冷媒等の二種の流体を熱交換させるための熱交換器に関するものである。
従来、この種の熱交換器としては、内部に冷媒用流路が形成された小径管と、小径管の外側に設けられた中径管と、中径管との間に水用流路を形成した大径管とから構成された三重管式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図5、図6は、特許文献1に記載された従来の熱交換器の上面図および管断面図である。
図5、図6に示すように、この熱交換器101は、中径管102の内面に溝103を有し、中径管102の内側に、内部を冷媒が流通する小径管105が挿入され、中径管102と小径管105は密着されている。腐食等の理由により、中径管102、又は小径管105に貫通穴が生じた際、中径管102の溝103を通じて大径管106と中径管102との間を流れる水や小径管105内を流れる冷媒が外部に放出される。このように、溝103は水や冷媒の漏れを事前に検知して水や冷媒の混合を防止する機能、即ち漏洩検知機能を有している。
特開2005−69620号公報
しかしながら、前記従来における構成では、冷媒または水の漏洩検知機能のための溝1
03を中径管102の内面に加工する必要があるため、内面溝付き管等の高価な材料を用いる必要があり、熱交換器101のコスト上昇を招いていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、内面溝付き管等の高価な材料を用いることなく冷媒または水の漏洩検知機能を維持した安価な熱交換器を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の熱交換器は、内部にヒートポンプにて加熱された冷媒の流路である第1流体流路を形成する小径管と、前記小径管の外側に設けられた中径管と、前記中径管の外側に設けられ前記中径管との間に第2流体流路を形成する大径管とを備え、前記中径管は内面が平滑で径方向の断面形状が略円形であり、前記小径管は径方向の断面形状が複数の曲線と複数の直線とで形成された略多角形状であり、前記多角形状の角部と前記中径管の内面を密着させ、前記中径管の内面と前記小径管の外面との間に隙間を形成するとともに、前記中径管を複数本ねじり合わせて形成したものである。
この構成によって、内部を冷媒が流通する小径管、又は外部を水が流通する中径管に貫通穴が生じた際でも、隙間を通じて水や冷媒を外部に放出できる。したがって、中径管は、内面溝付き管等の高価な材料である必要性が無く安価な平滑管で良いので、漏洩検知機能を維持した安価な熱交換器を提供できる。
また、中径管は内面が平滑で径方向の断面形状が略円形であり、小径管は径方向の断面形状のうち少なくとも外面は略多角形状であり、多角形状の角部と中径管の内面を密着させ、中径管の内面と小径管の外面との間に隙間を形成したものである。
この構成によって、中径管と小径管の密着箇所が多くなり、小径管の内部を流れる冷媒と中径管の外部を流れる水との間で伝熱が行われる際の接触熱抵抗を低減できるので、安価な平滑管を用いた漏洩検知機能に加えて、高性能な熱交換器を提供できる。
本発明の管式の熱交換器は、内面溝付き管等の高価な中径管を用いることなく平滑管を用いて漏洩検知機能を有することができるので、安価な熱交換器を提供できる。
本発明の参考例1における熱交換器の管断面図 本発明の参考例1における熱交換器の上面図 本発明の実施の形態1における熱交換器の管断面図 本発明の実施の形態2における熱交換器の管断面図 従来の熱交換器の上面図 従来の熱交換器の管断面図
第1の発明は、内部にヒートポンプにて加熱された冷媒の流路である第1流体流路を形成する小径管と、前記小径管の外側に設けられた中径管と、前記中径管の外側に設けられ前記中径管との間に第2流体流路を形成する大径管とを備え、前記中径管は内面が平滑で径方向の断面形状が略円形であり、前記小径管は径方向の断面形状が複数の曲線と複数の直線とで形成された略多角形状であり、前記多角形状の角部と前記中径管の内面を密着させ、前記中径管の内面と前記小径管の外面との間に隙間を形成するとともに、前記中径管を複数本ねじり合わせて形成したものである。
かかる構成とすることにより、中径管と小径管の密着箇所を角部の数だけ多くでき、その結果、小径管の内部を流れる第1流体と中径管の外部を流れる第2流体との間で伝熱が行われる際に、小径管と中径管との接触熱抵抗をより低減せしめるので、安価な平滑管を用いた漏洩検知機能に加えて、高性能な熱交換器を提供できる。
た、多角形状は複数の曲線と複数の直線で構成されたものである。
かかる構成とすることにより、中径管と小径管との接触面積を拡大し密着性を向上できるので、安価でかつ性能を更に高めた熱交換器を提供できる。
た、中径管を複数本備え、複数本の中径管をねじり合わせた構成としたものである。
かかる構成とすることにより、第2流体の流速が増し乱流促進されるため、効率よく熱伝達が促進され、熱交換器の管長を延長させることなく熱交換能力を向上可能である。
第2の発明は、第1の発明において、第1流体流路を流れる流体を二酸化炭素としたものである。かかる構成とすることにより、熱交換器を、例えばヒートポンプ式給湯機用として、水と冷媒の間で熱交換を行う熱交換器として用いた場合、二酸化炭素は超臨界状態で動作し、フロン系の冷媒に比して密度が高い状態で作動するため、高いヒートポンプ効率を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
参考例1
図1は本発明の参考例1における熱交換器の中径管と小径管との断面図である。図2は参考例1における熱交換器の上面図である。
図1および図2において、熱交換器1は、第2流体としての水が流通する第2流体流路を内部に形成する大径管6と、第1流体としての冷媒(本参考例では二酸化炭素)が流通する第1流体流路を内部に形成する小径管5aと、小径管5aの外部に嵌合する中径管2とを備え、小径管5aおよび中径管2を大径管6に内挿して構成された三重管式の熱交換器である。小径管5aを拡管するか、或いは、中径管2を縮管することにより、中径管2の内面と小径管5aの外面とは一部が接し、密着されている。この熱交換器には、内面に小径管5aを嵌合された中径管2が2本設けられており、2本の中径管2は互いに螺旋状にねじり合わされ、その螺旋の中心が、大径管6の軸心とほぼ同軸となるように大径管6に内包されている。
中径管2の内面は平滑であるとともに、中径管2の径方向の断面形状のうち、外面は第1の曲率半径R1なる略円形である。小径管5aの径方向の断面形状のうち、内面は中径管2の内面の第1の曲率半径R1と異なる第2の曲率半径R2を有する部分を備えている。小径管5aの外面と中径管2の内面とは一部で接触するとともに、小径管5aの外面と中径管2の内面との間に隙間3aを形成している。
参考例では、中径管2は内面が平滑な円管であり、小径管5aは少なくとも外面の断面形状が略楕円形状であり、略楕円形の長径が中径管2の内径と略等しく、短径が中径管2の内径より小さくなるような管である。
隙間3aは熱交換器の端部で外部(例えば大気)に接続されており、小径管5または中径管2から漏洩した二酸化炭素や水を、隙間3aを介して外部に漏出させ、万一、二酸化
炭素や水が漏れた場合でも、二酸化炭素と水とが混合するのを防止している。
以上のように構成された熱交換器について、以下その動作を説明する。
腐食等の理由により中径管2や小径管5aに貫通穴が生じた際、小径管5aの内部を流れる二酸化炭素、または中径管2の外部を流れる水は、中径管2の内面と小径管5aの外面から成る円弧状の隙間3aを通り中径管2の端部より外部(例えば大気)に放出される。このように、中径管2は、高価な内面溝付き管の必要が無く安価な平滑管で良いので、漏洩検知機能を有し、かつ安価な熱交換器を提供できる。
また、小径管5aおよび中径管2を2本備え、ねじり合わせた構成とすることにより、水の流速が増し乱流促進されるため、効率よく熱伝達が促進され、熱交換器1の管長を延長させることなく熱交換能力を向上可能である。
また、ヒートポンプ式給湯機用として水と冷媒の間で熱交換を行う熱交換器として用いた場合、二酸化炭素は超臨界状態で動作し、フロン系の冷媒に比して密度が高い状態で、小径管5aを流れる。そして、二酸化炭素は、大径管6と中径管2との間を流れる水と、小径管5aと中径管2とが接した部分を介して熱交換を行う。この際、超臨界状態の二酸化炭素は、フロン系の冷媒に比して、高い熱交換性能を発揮し、高いヒートポンプ効率を得ることができる。
尚、本発明の参考例では、大径管6内に配置する中径管2の本数を2本としているが、1本もしくは3本以上の本数としても同様の作用効果を期待することができる。
また、本発明の参考例では、小径管5aを流れる冷媒を二酸化炭素としたが、ハイドロカーボン系やHFC系(R410A等)の冷媒、あるいはこれらの代替冷媒とすることもできる。
実施の形態1
図3は本発明の実施の形態1における熱交換器の中径管と小径管との断面図である。尚、参考例1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図3において、小径管5bの径方向の断面形状のうち、外面は角部50を有する多角形状を成しており、本実施の形態においては少なくとも外面が略四角形としている。
中径管2の内面は平滑であり、内面溝付き管に比べて安価な平滑管を用いている。中径管2の内面と小径管5bの角部50は密着しており、円弧状の隙間3bを形成している。
以上のように構成された熱交換器について、以下その動作を説明する。
中径管2や小径管5bに貫通穴が生じた際、小径管5bの内部を流れる二酸化炭素、または中径管2の外部を流れる水は、中径管2と小径管5bから成る隙間3bを通過して中径管2の端部より外部(例えば大気)に放出される。
本実施の形態では角部50は四箇所であり、参考例1の場合よりも中径管2と小径管5bの密着箇所を多くできるため、中径管2と小径管5bの接触熱抵抗をより低減せしめ、安価な平滑管を用いた漏洩検知機能に加えて、高性能な熱交換器を提供できる。
尚、本発明の実施の形態1では、小径管5bの径方向の断面形状は略四角形としているが、それ以上の多角形としても同様の作用効果を期待することができる。
実施の形態2
図4は、同実施の形態2における熱交換器の中径管と小径管との管断面図である。尚、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図4において、小径管5cの径方向の断面形状のうち、少なくとも外面は複数の曲線と複数の直線から構成した多角形であり、本実施の形態では、2つの曲線51aと2つの直線51bで構成した略四角形としている。
かかる構成とすることにより、複数の箇所で小径管5cの曲線51aが中径管2の内面と密着することになり、中径管2と小径管5cの密着している面積を拡大できる。
その結果、小径管5cと中径管2の接触熱抵抗をよりいっそう低減しうるので、二酸化炭素の漏洩検知機能を安価に実現できるという効果だけでなく、より高性能な熱交換器を提供できる。
尚、本発明の実施の形態2では、小径管5cの径方向の断面形状は2つの曲線51aと2つの直線51bで構成した略四角形としているが、それ以上の数の曲線と直線で構成した略多角形としても同様の作用効果を期待することができる。
また、以上の実施の形態において、中径管2の半径方向の断面形状のうち内面が略円形であれば、外面は略円形でなくてもよい。例えば、外面は多角形状であってもよい。これによれば、中径管2の内面と小径管5a〜5cとを一部に隙間を有するように密着させることができるとともに、中径管2の外面の表面積を大きくしたり、中径管2の外面を流れる水の乱流化を促進したりして、熱伝達性能を向上させることができる。このため、さらに高性能な熱交換器を実現できる。
また、小径管5a〜5cの半径方向の断面形状のうち内面は、略円形としてもよい。これによれば、小径管5a〜5cの内部を冷媒が流れる際に、冷媒とともに流れる冷凍機油が、内面の隅部に付着して、隅部の伝熱を阻害することを防止できるので、さらに高性能な熱交換器を提供できる。なお、このような内面の断面形状が略円形で、外面の断面形状が略円形でない小径管は、円管を押し出し加工、または、引き抜き加工することで、内面溝付き管より安価に製作できる。
以上のように、本発明にかかる熱交換器は、比較的安価に漏洩検知機能を有することができるので、二酸化炭素を用いた超臨界ヒートポンプ式給湯器や、暖房用ブラインを加熱する超臨界ヒートポンプ装置、さらには、家庭用、業務用の空気調和機、あるいはヒートポンプによる乾燥機能を具備した洗濯乾燥機、穀物貯蔵倉庫等のヒートポンプ機器の他に、燃料電池等の熱交換用途にも適用できる。
1 熱交換器
2 中径管
3a、3b、3c 隙間
5a、5b、5c 小径管
6 大径管
50 角部
51a 曲線
51b 直線
R1 第1の曲率半径
R2 第2の曲率半径

Claims (2)

  1. 内部にヒートポンプにて加熱された冷媒の流路である第1流体流路を形成する小径管と、前記小径管の外側に設けられた中径管と、前記中径管の外側に設けられ前記中径管との間に第2流体流路を形成する大径管とを備え、前記中径管は内面が平滑で径方向の断面形状が略円形であり、前記小径管は径方向の断面形状が複数の曲線と複数の直線とで形成された略多角形状であり、前記多角形状の角部と前記中径管の内面を密着させ、前記中径管の内面と前記小径管の外面との間に隙間を形成するとともに、前記中径管を複数本ねじり合わせて形成したことを特徴とした熱交換器。
  2. 前記第1流体流路を流れる流体を二酸化炭素とした請求項1に記載の熱交換器。
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