JP5530721B2 - エアカーテン兼用空調システム - Google Patents

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本発明は、業務用のエアカーテンを有する空調システムに係り、更に詳しくは室内を所定の温度に保つ空調システムを有する室内と、外部との通用口に荷物・資材等の搬入・搬出する際において、該室内に連通する外部からの外気流入による室内の温度変動を極力抑えるようにしたエアカーテン吹出口を有するエアカーテン兼用空調システムに関するものである。
従来、建造物の出入口と隣接する室内空間における空気調整方法は、冬季において室内空間内に外部から流入した冷気の影響を抑制することが望まれており、その対策として例えば、特許文献1に記載されているように、外部から室内に流入する外気を抑制するための風除室を有する出入口に対して隣接する室内空間に、外気の影響を抑制するようにする空気と調整方法であって、前記風除室に空気流によるエアカーテンを形成すると共に、出入口と隣接する前記室内空間の上方の空気を下方へと送り、前記出入口と隣接する前記室内空間の下部の空気と混合させるようにした空気調整方法が知られている。
特開2006−29624号公報
しかし、従来の空気調整方法では、風除室を構築してエアカーテン装置を常に稼働させるものであることから、設備費と運転費とが嵩むことになる。また、図6に示すように、出入口にシャッター7を設けて、荷物等の搬入時に必要な時だけ前記シャッター7を開放させ、エアカーテン装置8をその開放時だけ稼働させるようにしたものも知られている。しかしながら、等温吹き出しの通常のエアカーテン装置8では温度遮断効果が期待できない。よって室内の室温変動が大きく、前記シャッター7を閉止後、室温が元に戻るまで、時間が掛かることになる。
更に、恒温室と該恒温室に隣接して空調される資材搬入・搬出用の前室と該前室の出入口に設けられたシャッターで仕切られる外部とにおいて、外部と前記前室との出入口に、吹出口と該吹出口にダクト等を介して連通するエアカーテン用空調機とでなるエアカーテン装置を設けた場合、前記出入口の前室側に設けたシャッターの開放時のみに前記エアカーテン装置を稼働させると、エアカーテン装置の稼働後に前記吹出口から吹き出すエアの吹出し温度が所望の温度になるまでに時間が掛かる。よって、例えば冬季においては、出入口から前室に侵入する低温の外気と、前記エアカーテン装置における所望の温度になっていない風とによって、前記前室の室内温度が低下して元の室内温度に回復するまで時間が掛かることになる。前室の資材搬出を終えたトラック等が出入口から外部に出て行くときも、シャッターが開放されるので前室の室内温度が元の温度に回復するまで更に時間が掛かる。それにより、前記出入口の外側で待機しているトラック等が、前のトラック等の前室への進入・退出による温度の影響で当該前室の室内温度が回復するまで待たされ渋滞などを引き起こし、製品・資材を前記前室に搬入・搬出する時間が掛かって輸送作業効率が悪くなる。本発明に係るエアカーテン兼用空調システムは、このような課題を解決するために提案されたものである。
本発明に係るエアカーテン兼用空調システムの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、空調機と、該空調機に一端が接続されるとともに他端が室内とエアカーテン吹出口とに分岐させて接続され空調空気を供給する給気管路と、前記給気管路の他端に接続される室内用吹出口と、前記給気管路の他端に接続され前記室内のシャッターで仕切られる出入口に設けられるエアカーテン吹出口と、前記給気管路の途中に設けられる室内・エアカーテン切替用ダンパと、前記出入り口に設けられ車両の接近を検知する検知装置と、該検知装置と電気的に接続されるとともに前記空調機と前記シャッターおよび前記切替用ダンパを開閉・運転制御する制御装置とからなり、
前記出入口のシャッターが閉の時には前記切替用ダンパによって室内用給気管路が開で、前記エアカーテン用給気管路が閉となっていて前記室内が空調され、
前記検知装置から車両がセンサーで検知された電気信号を伝達された前記制御装置により出入口のシャッターが開放される際には、当該シャッターの開放の前に、前記制御装置により前記エアカーテン用給気管路が閉から開に前記切替用ダンパで切り替えられるとともに、前記室内用給気管路が前記切替用ダンパで開から全閉若しくは一部閉に切り替えられて前記エアカーテン吹出口から吹出す前記室内用の空調空気のエアカーテンで前記出入口の外気流入が遮断されてから、前記エアカーテンによる吹き下ろしが安定した後に、前記シャッターが開放されることである。
前記室内には、室内空気を循環・攪拌させる高速ノズルが設けられ、該高速ノズルは、その吹出口がダクト軸芯からオフセットされとともに、該高速ノズルが回転可能になっていることを含むものである。
本発明のエアカーテン兼用空調システムによれば、室内用の空調機で、給気管路のダンパを制御装置で切り替えてエアカーテン吹出口に空調空気を供給できるようにしたことで、当該エアカーテン用の空調空気が、冬季では温風が夏季では冷風が、短時間で立ち上がって吹出口から吹き出るようになって温度遮断効果が良い。よって、恒温室に隣接する前室等の室温の変動が少なく回復が早くなるとともに、車両等の搬出入手段が外部で待機される時間が短縮され、車両の渋滞が解消されて搬入・搬出作業が効率的になる。また、設備全体が簡易に構成されるので低コストで実現できる。前記室内が、恒温室の前室であって室内温度を一定に維持する必要があるので、本発明により室内温度と大きく異なる外気流入を極力阻止して室内温度の回復を早める。誘引ファンと高速ノズルによるデリベント方式による温調空気の循環気流で撹拌されて室内温度が一定に維持されるものである。
本発明に係るエアカーテン兼用空調システム1の概略全体構成図である。 同本発明のエアカーテン兼用空調システム1における、通常吹き出し時とエアカーテン吹き出し時のモータダンパの開閉状態を示す一部構成図(A),(B)、エアカーテンの吹出口4aの概略正面図(C)と、高速ノズル6bの概略正面図(D)である。 同本発明のエアカーテン兼用空調システム1による実施例を示す動作フロー図である。 同本発明のエアカーテン兼用空調システム1による実施例を示す説明用平面図(A)と一部拡大平面図(B)とである。 同本発明のエアカーテン兼用空調システム1を発送場9に使用した場合と、そうでない場合との温度変化を示す説明図である。 従来例に係るエアカーテン装置8の構成を示す平面図(A)、正面図(B)、平面図におけるA−A線に沿った断面図(C)である。
本発明に係るエアカーテン兼用空調システム1は、図1乃至図2に示すように、高性能に温度管理される恒温室等に隣接して空調される前室に使用される空調機2の空調空気を、ダンパ3(3a,3b,…)の切替によりエアカーテン4用のエアカーテン吹出口4aから吹き出すようにして、エアカーテン4の立ち上がりを短時間で行い、室内の温度変化を極力最小に抑制するものである。
前記エアカーテン兼用空調システム1の構成は、図1に示すように、前室の室内6用の空調機2と、該空調機2に一端5aが接続されるとともに他端5b,5cが室内6とエアカーテン吹出口4aとに分岐させて接続され空調空気を供給する給気管路5と、前記給気管路5の他端に接続される室内用吹出口6aと、前記給気管路5の他端に接続され前記室内6のシャッター(高速シャッター)7(図4(B)参照)で仕切られる出入口に設けられるエアカーテン吹出口4aと、前記給気管路5における前記室内6と前記エアカーテン吹出口4aとの途中に設けられる室内・エアカーテン切替用ダンパ3としての室内用ダンパ3b,3cおよびエアカーテン用ダンパ3a,3dと、前記空調機2と前記シャッター7および前記室内・エアカーテン切替用ダンパ3とを開閉・運転制御する制御装置(図示せず)とからなる。
前記室内6においては、前記空調機2のほかに、図2(D)に示すような複数の高速ノズル6bが設けられている。この高速ノズル6bは吹出口がダクト軸芯からオフセットされ、回転可能になっている。そして、高速ノズル6bの基部は、板厚が通常のダクトよりも厚いダクトを介して静圧の高い送風機6cに接続されている。該送風機6cは、天井の近くに、ダクト・複数ノズルのセットとして複数セット設けられる。この送風機6cは、冬期にに浮上しがちな温風を該送風機6cの側部に設けられた吸気口から吸い込み、前記高速ノズル6bから吐出させる。吐出された室内の温調空気は、周囲の空気を誘引して拡散する。このような循環気流により図4に示す前室である発送場9の室内6は、撹拌効果で満遍なく一定温度が維持される。
前記恒温室10(図4参照)は、前記空調機2とは別の空調機で高精度に温度管理されている。恒温室10の壁に沿って配置された給気ユニットから低速で給気し、恒温室内の機械や人体の発熱とともに前記給気が浮上して順次押し上げる置換換気方式である。これにより、組立作業の高さで一定温度となる温度成層を実現している。この恒温室10の設定温度に一致させて、前室としての発送場9の設定温度として設定されている。
前記エアカーテン吹出口4aは、図4(B)に示すように、出入口のシャッター7の室内側に設けられるものであり、一つの例として、図2(C)に示すように、上方位置で下向きに吹出口が設けられている。この吹出口は、複数個に分割された吹出口が設けられ、夫々が床面に向かって空調空気を吹き出すようになっている。勿論、従来例の図6に示した水平に一対対向した吹出口を有するエアカーテン吹出口であっても良い。
前記室内・エアカーテン切替用ダンパであるエアカーテン用ダンパ3a,室内用ダンパ3bは、モータで駆動されるモータダンパ(MD)である。該モータダンパは前記制御装置によって駆動され開閉制御される。なお、この室内・エアカーテン切替用ダンパ3は、給気管路のそれぞれに個別に設けるダンパのほか、三方ダンパなどを含むものである。
以上のように構成されるエアカーテン兼用空調システム1を、一例として図3乃至図4に示すような工場等に使用して説明する。まず、恒温室10(工場組立室)の前室となっていて、空調機2によって温度制御する発送場9に荷物の搬入がなく、外部と前室の発送場9とを仕切る前記出入口のシャッター7が閉の時には、前記室内用ダンパ3bが開で、前記エアカーテン用ダンパ3aが閉となっていて、前記発送場9の室内6が設定温度に空調されている。そして室温が一定の初期状態から、荷物を積んだトラックが出入口に到着する(図3の上段におけるエアカーテン動作フローの左端)。
前記制御装置には、入口に向かって進入する車両をセンサーで検知する検知装置(図示せず)からの電気信号が伝達されるように、該検知装置が電気的に接続されている。従って、前記トラックが発送場9の東側から進入すると、その進入をセンサーが検知して、検知装置から前記制御装置に電気信号が伝送される。
前記制御装置の指令により、前記エアカーテン用ダンパ3aが閉から開に切り替えられ、前記エアカーテン吹出口4aから吹出す空調空気でエアカーテン4が形成され、前記出入口の外気流入が遮断される。この切替に要する時間は17秒程度である(図3の上段参照)。更に、前記室内用ダンパ3bが開から全閉され、若しくは、空調機2の空調空気の供給能力によっては一部閉となる。また、このダンパ切替えと同時に、若しくは少し遅れて(シャッター遅延は約20秒)シャッター7における開スイッチがONとなる。
前記エアカーテン吹出口4aからの吹き下ろしが安定した後に、シャッター7が開放され全開にされるとトラックが東側の入口から発送場9に進入する。図3の上段における動作フローの中央部に示すように、シャッター7がスイッチONから開き始めるまで約20秒である。なお、他の実施例としてエアカーテン4の稼働とシャッター7の開放を同時にしてもよい。
次に、前記トラックが発送場9に進入した後、前記シャッター7の閉スイッチがONとなる。シャッター7の開放時間は3分間である。そして、前記エアカーテン4の稼働を停止させるべく、前記エアカーテン用ダンパ3aが制御装置により駆動され閉にされる(復帰時間が1分40秒)。これより空調機2は通常運転となる。室温の回復は3分〜5分が目安である。
図3の中段のエアカーテン動作フローに示すように、前記発送場9の温度計を目視で確認して温度が元に戻るまで待機した後、クリーンパネルやハンガードアを開けて、内部の恒温室10へと前記トラックから資材などの荷物を搬出し、工場の製品等を前記トラックの荷台に積み込む。そして、トラックが西側の出口に移動する。
次に、図3の下段にてエアカーテン動作フローに示すように、前記トラックが発送場9の西側の出口に向かって移動すると、その車両をセンサーで検知する検知装置で前記制御装置に電気信号が伝達される。当該制御装置によりこのシャッター7の開スイッチをONにする。エアカーテン4が稼働し、同時に、該エアカーテン4を作動すべくエアカーテン用ダンパ3aを開にする。エアカーテン4への切替時間とシャッター7が開き始めるまでの遅延時間は、トラックが発送場9に進入する場合と同じである。前記シャッター7が全開するまでには、前記エアカーテン吹出口4aから吹出す空調空気のエアカーテン4で前記出口における外気流入が遮断される状態になる。
前記出口のシャッター7が全開になると前記トラックが外部に退出する。シャッター7の開放時間は3分間である。また、シャッター開放により発送場9の室内温度が変動する。そして、トタック退出後、出口のシャッター7の閉スイッチがONとなる。これにより、出口側のシャッター7が閉となり、同時に、エアカーテン吹出口4aからの空調空気の吹き出しを停止させるべく、エアカーテン用ダンパ3aが開から閉に切り替えられる。この復帰時間は1分40秒程度である。室内用ダンパ3bが閉(若しくは一部閉)から開にされる。空調機2が通常運転となる。発送場9が3分〜5分で元の設定温度に回復する。こうして、初期状態になるものである。
このように、室内用の空調機2の給気管路5の流れを、ダンパ切替でエアカーテン吹出口4a側にも切り替えられるように構成して、エアカーテン4用の空調機を発送場の室内用空調機2と別個に用意することなく、更に、前記空調機2の運転および高速ノズル6bの吹き出しは運転継続したままで、温風(冬期)若しくは冷風(夏期)が短時間でエアカーテン吹出口4aから吹き出るようにして、恒温室10の前室(発送場9等)における室内温度の温度変化を極力小さくなるように抑制するものである。
図4(A)に示すように、恒温室10の近傍であって発送場9のA.B.Cの温度測定個所における温度変化を、エアカーテン停止時との比較で、図5に示す。前記A.B.Cの各測定個所は、荷受け作業台の床面から0.1mと1.5mとの高さ位置である。また、外部の風速は、およそ東南の風であり、シャッター7開時において庇端部より1m外側で0.19m/s〜1.64m/s、庇端部より1m内側で0.03m/s〜0.64m/sである。図5の左側の図が、エアカーテン運転時のシャッター開放前後の温度推移を示し、同図5の右側の図が、エアカーテン停止時のシャッター開放前後の温度推移を示し、いずれも冬期である。この結果によれば、発送場9の室内温度が20℃に設定されていて、外部シャッター7が開放されると、入口側(東側)に近いC点ではエアカーテン停止時で約8℃程度まで温度が下がり(右図)、室内温度が10℃以上も変動し外気の影響が大きい。それに対して、エアカーテン運転時では、前記C点においても17℃くらいであり、温度変化が少ない。他の点のB点やC点では、入口側から遠くなるので、温度変動はC点よりも少なくなっている。シャッター7の開放前後の温度変化は、エアカーテン4によって短時間で外気流入が遮断されて、非常に小さくなっていることが判る。
本発明に係るエアカーテン兼用空調システム1は、室内を空調する空調機があれば出入口にエアカーテン吹出口を設けて空調管路および切替用ダンパを装備するだけで良いので、多様な出入口に適用することができる。
1 エアカーテン兼用空調システム、
2 空調機、
3 切替用ダンパ、
3a エアカーテン用ダンパ、 3b 室内用ダンパ、
3c 室内用ダンパ、 3d エアカーテン用ダンパ、
4 エアカーテン、 4a エアカーテン吹出口、
5 給気管路、 5a 一端、
5b,5c 他端、
6 室内、 6a 室内用吹出口、
6b 高速ノズル、 6c 送風機、
7 シャッター、
8 エアカーテン装置、
9 発送場、
10 恒温室。

Claims (2)

  1. 空調機と、該空調機に一端が接続されるとともに他端が室内とエアカーテン吹出口とに分岐させて接続され空調空気を供給する給気管路と、前記給気管路の他端に接続される室内用吹出口と、前記給気管路の他端に接続され前記室内のシャッターで仕切られる出入口に設けられるエアカーテン吹出口と、前記給気管路の途中に設けられる室内・エアカーテン切替用ダンパと、前記出入り口に設けられ車両の接近を検知する検知装置と、該検知装置と電気的に接続されるとともに前記空調機と前記シャッターおよび前記切替用ダンパを開閉・運転制御する制御装置とからなり、
    前記出入口のシャッターが閉の時には前記切替用ダンパによって室内用給気管路が開で、前記エアカーテン用給気管路が閉となっていて前記室内が空調され、
    前記検知装置から車両がセンサーで検知された電気信号を伝達された前記制御装置により出入口のシャッターが開放される際には、当該シャッターの開放の前に、前記制御装置により前記エアカーテン用給気管路が閉から開に前記切替用ダンパで切り替えられるとともに、前記室内用給気管路が前記切替用ダンパで開から全閉若しくは一部閉に切り替えられて前記エアカーテン吹出口から吹出す前記室内用の空調空気のエアカーテンで前記出入口の外気流入が遮断されてから、前記エアカーテンによる吹き下ろしが安定した後に、前記シャッターが開放されること、
    を特徴とするエアカーテン兼用空調システム。
  2. 室内には、室内空気を循環・攪拌させる高速ノズルが設けられ、該高速ノズルは、その吹出口がダクト軸芯からオフセットされとともに、該高速ノズルが回転可能になっていること、
    請求項1に記載のエアカーテン兼用空調システム。
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