JP5530333B2 - 防振装置の検査方法及び検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される防振装置の検査方法及び検査装置に関するものである。
車両に搭載される防振装置(例えばエンジンマウント等)に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査として、従来より、完成車を実際に走行させたり、例えば特許文献1、2に示すように完成車を擬似的に走行させたりしながら、車室内に居る検査員が異音の発生の有無を判定する実車官能検査や、車室内の音をマイクロフォンによって検出して異音の発生の有無を判定する検査が行われている。つまり、車載用の防振装置に起因する異音の発生を検査する場合、従来においては、その防振装置を車両に組み付けた完成車に対する検査を行うことしかできなかった。
しかしながら、完成車に対して異音の発生の有無を検査していたのでは検査効率が悪い上に、例えば異音の発生が確認されたときには、その異音の発生原因である防振装置を交換しなければならず、費用がかかってしまうという問題がある。
この課題を解決するために、特許文献3に示すものでは、以下に述べるような知見に基づいて、車両に組み付ける前の防振装置に対して異音発生の検査を行うようにした。
つまり、防振装置に起因する異音発生のメカニズムは、次のように考えられる。先ず、車体と被支持体との相対変位によって防振装置内において異音の原因となる現象が発生(例えば防振装置内部の部品同士の衝突等)し、それに起因する力が防振装置内を伝達する。その力は、防振装置と車体側との連結部分である車体側取付部を介して車体に伝達されると共に、その車体内を伝達することによって、最終的に車室内に異音として現れると考えられる。従って、車室内で発生する異音の音圧レベルは、
「車室内の音圧レベル」=「車体感度」×「伝達力」
で表すことができる。ここで、「伝達力」は、防振装置から車体に対して伝達される力、「車体感度」は、車体における力の伝達のし易さを意味する。これによると、伝達力が相対的に大きいときには音圧レベルが高くなって室内に異音が発生することになり、伝達力が相対的に小さいときには音圧レベルが低くなって室内に異音が発生しないことになる。
そこで、特許文献3に示すものでは、車両に組み付ける前の防振装置単体で、伝達力の大きさを計測すると共に、それを評価することによって、防振装置を車両に組み付けなくても車室内に異音が発生するか否かを推定可能にした。
具体的には、この検査方法は、車体側に連結される車体側取付部と被支持体側に連結される被支持体側取付部とを有する防振装置によって被支持体が車体に支持された車両の走行中に、防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定する方法である。
そして、この検査方法は、車両に組み付ける前の防振装置を加振装置に取り付けて、この防振装置の被支持体側取付部に、予め設定したパターンの振動を入力する入力ステップと、この入力の最中に、防振装置の車体側取付部から出力される伝達力を計測する計測ステップと、この計測した伝達力の時系列データを周波数分析することによって、伝達力パワースペクトルを得る分析ステップと、伝達力パワースペクトルに基づき、予め設定した評価基準に従って、防振装置を車両に搭載したときにこの防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを推定する判定ステップと、を含む。
また、防振装置の損失係数の検査として、従来より、例えば特許文献4に示すように防振装置を台上に載置し、上方から予荷重をかけて保持するとともに下方から加振して、この加振力による荷重の変化を検出し、少なくともその荷重のデータに基づいて防振装置の損失係数を検査するようにしたものが知られている。
特許第2623884号公報 特開2006−329879号公報 特開2008−267870号公報 特開2010−145251号公報
ところで、従来においては、上述したように、車室内に異音が発生するか否かの検査及び防振装置の損失係数の検査を個別に行うことしかできなかったので、その検査に時間とコストがかかるという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、車両に搭載される防振装置の検査方法及び検査装置において、防振装置を車両に搭載したときにこの防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及び防振装置の損失係数の検査にかかる時間とコストを削減することにある。
第1の発明は、車両に搭載される防振装置の検査方法であって、前記防振装置を加振する加振ステップと、前記加振力による荷重の変化を計測し、少なくともその荷重のデータに基づいて、前記防振装置の損失係数を演算する演算ステップと、前記損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、前記防振装置を車両に搭載したときに該防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定する判定ステップとを含んでいることを特徴とするものである。
これによれば、判定ステップでは、演算ステップにおいて演算した防振装置の損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、防振装置を車両に搭載したときにこの防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定するので、防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及び防振装置の損失係数の検査を個別に行う場合と比較して、防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及び防振装置の損失係数の検査にかかる時間とコストを削減することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記防振装置は、車体側に連結される車体側取付部と、被支持体側に連結される被支持体側取付部と、該両取付部を互いに連結するゴム弾性体と、該ゴム弾性体との間に液室を形成するダイヤフラムと、前記液室を受圧室及び平衡室に区画するとともに、該受圧室及び平衡室を互いに連通するオリフィス通路が形成された区画盤と、該区画盤に収容された可動板とを有する液体封入式のものであり、前記判定ステップでは、前記防振装置を車両に搭載したときに前記可動板が前記区画盤と面接触することに起因して車室内に低周波の異音が発生するか否かを判定することを特徴とするものである。
ところで、防振装置に低周波・大振幅の振動が入力されたときには、区画盤に収容された可動板がその区画盤と面接触して、1次モードの振動を行う。
この1次モードの振動に伴い発生した力は、防振装置のゴム弾性体を介して車体側取付部に伝達される。そうして、その車体側取付部から車体に力が伝達されると共に、その車体内を伝達することによって、車室内で低周波の異音が発生することになる。
防振装置に低周波・大振幅の振動が入力されたときには、上述したように区画盤に収容された可動板がその区画盤と面接触するため、その可動板によって区画盤の貫通孔が閉塞され、受圧室及び平衡室の液が、主にオリフィス通路を介して相互に流通することになる。
ここで、可動板が区画盤と衝突する衝突力が相対的に強いときには、その可動板によってその区画盤の貫通孔が相対的に確実に閉塞されるため、受圧室及び平衡室の液がその貫通孔を介して相互に流通する流通量が相対的に減少し、防振装置の損失係数が相対的に大きくなる。一方、可動板が区画盤と衝突する衝突力が相対的に弱いときには、その可動板によってその区画盤の貫通孔が相対的に不確実に閉塞されるため、受圧室及び平衡室の液がその貫通孔を介して相互に流通する流通量が相対的に増加し、損失係数が相対的に小さくなる。
また、可動板が区画盤と衝突する衝突力が相対的に強いときには、可動板の1次モードの振動が相対的に大きくなるため、伝達力が相対的に大きくなり、車室内の音圧レベルが相対的に高くなる。一方、可動板が区画盤と衝突する衝突力が相対的に弱いときには、可動板の1次モードの振動が相対的に小さくなるため、伝達力が相対的に小さくなり、車室内の音圧レベルが相対的に低くなる。
以上のように、損失係数と可動板の1次モードの振動に起因する低周波の異音との間には高い相関性があることが分かる。つまり、損失係数が相対的に大きいときには低周波の異音が発生することになり、損失係数が相対的に小さいときには低周波の異音が発生しないことになる。
この知見に基づいて、本発明においては、判定ステップでは、防振装置を車両に搭載したときに可動板が区画盤と面接触することに起因して車室内に低周波の異音が発生するか否かを判定する。
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、前記加振ステップでは、前記防振装置の中間品を加振することを特徴とするものである。
これによれば、加振ステップでは、防振装置の中間品を加振するので、防振装置の完成品を加振する場合と比較して、判定ステップで車室内に異音が発生すると判定された場合等にその防振装置を廃棄処分するときにおいて、完成品よりも部材が少ない分、部材の無駄をなくすことができる。
第4の発明は、車両に搭載される防振装置の検査装置であって、前記防振装置を加振する加振手段と、前記加振力による荷重の変化を計測し、少なくともその荷重のデータに基づいて、前記防振装置の損失係数を演算する演算手段と、前記損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、前記防振装置を車両に搭載したときに該防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とするものである。
これによれば、上記第1の発明と同様の作用効果が得られる。
本発明によれば、演算した防振装置の損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、防振装置を車両に搭載したときにこの防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定するので、防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及び防振装置の損失係数の検査を個別に行う場合と比較して、防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及び防振装置の損失係数の検査にかかる時間とコストを削減することができる。
本発明の実施形態に係る防振装置としてのエンジンマウントの中間品を示す断面図である。 エンジンマウントの完成品を示す斜視図である。 異音発生のメカニズムを説明する図である。 エンジンマウントに振動が入力されたときの可動板の振動の様子を模式的に示す図であり、(a)はエンジンマウントに低周波・高振幅の振動が入力されたときの図、(b)はエンジンマウントに高周波・低振幅の振動が入力されたときの図である。 検査装置を向かって左側から見て、その全体構成を示す側面図である。 検査装置の全体構成を示す正面図である。 加振テーブル等を拡大して示す図5の部分断面図である。 図6の一部を拡大した部分断面図である。 駆動機構を前進させたときの図5相当図である。 損失係数に対する官能評価点及び異音レベルの関係を示す図である。 検査装置におけるエンジンマウントの検査手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(エンジンマウントの構成)
図1は、本実施形態において異音の発生の有無及び損失係数(tanδ)を検査する対象である、車両に搭載される防振装置としてのエンジンマウント1の中間品(未完成品)を示す断面図であり、図2は、エンジンマウント1の完成品を示す斜視図である。
このエンジンマウント1は、エンジン側に連結される連結部15(被支持体側取付部)が一体形成された略円筒状のケース11内に、車体側に車体側ブラケットb(図2にのみ図示)を介して連結される連結金具12(車体側取付部)を備えたマウント本体部10が収納されて構成されている。
前記マウント本体部10は、後述するように、ケース11のかしめ部11aにかしめられることによってケース11に対し固定される金属製の固定部材14と前記連結金具12とがゴム弾性体13によって互いに連結されて構成されている。
前記連結金具12は、径方向の外方に膨出する中間部を挟んだ上部が上方に向かって縮径する略円錐形状に、その下部が略円柱形状にそれぞれ形成されており、その円錐形状の上部に対して、前記ゴム弾性体13の下端部が連結されている一方、円柱形状の下部は、ケース11の底部に形成された穴部11bに内挿されている。この連結金具12には、その下端面に開口するボルト孔が形成されており、図示は省略するが、このボルト孔内にボルトが挿通することによって、連結金具12が車体側に車体側ブラケットbを介して固定されることになる。また、図示は省略するが、ケース11の下端面と車体側ブラケットbとの間には、ゴムストッパが連結金具12に外嵌されることによって取り付けられている。尚、前記連結金具12の中間部には、前記ゴム弾性体13と連続するストッパゴム13aが中間部を覆うように設けられている。
前記ゴム弾性体13は、前述したように、前記連結金具12の円錐状側面部に接着された下部から上方に向かって径方向の外方に放射状に拡がっており、その上端は上方に向かって開口している。
そして、前記ゴム弾性体13の上側部分に、前記固定部材14が埋設されている。この固定部材14の上端部は、前記ゴム弾性体13の外周面から径方向外方に突出しており、この円筒部材の突出部分が、前記ケース11の上端部に設けられたかしめ部11aにかしめられることによって、ゴム弾性体13の上側部分が、ケース11に対して固定されるようになっている。
前記マウント本体部10の上部には、ゴム弾性体13の上端開口を覆うように、ゴム製のダイヤフラム16が配設されており、このダイヤフラム16と前記ゴム弾性体13とによって、緩衝液の封入される液室17が構成されている。
また、前記ダイヤフラム16には、金属製のオリフィス盤18(区画盤)が内嵌されており、このオリフィス盤18によって前記液室17は、オリフィス盤18を挟んだゴム弾性体13側の受圧室17aと、ダイヤフラム16側の平衡室17bと、に区画されている。
前記ダイヤフラム16の外周部には、環状金具19が外嵌されており、この環状金具19の下端部が前記ケース11のかしめ部11aに、前記マウント本体部10の固定部材14と共にかしめられることによって、ダイヤフラム16がケース11に対して固定されている。尚、符号22は、ダイヤフラム16を保護するために、このダイヤフラム16に対して外嵌される保護カバーである。
前記オリフィス盤18は、その外周部に螺旋状のオリフィス通路21が形成された本体部18aと、該本体部18aの上面に当接して配設される円盤状の蓋部18bとからなり、本体部18aと蓋部18bとが上下に重なった状態で、ダイヤフラム16とゴム弾性体13とによって挟持されることにより、前記オリフィス盤18は、マウント本体部10内で弾性支持されている。
前記本体部18aにはまた、その上面側の中央部分に、ゴム製の可動板20を収容するための凹部18cが形成されており、この凹部18c内の底壁には、上下方向に貫通する複数の貫通孔が形成されている。また、前記蓋部18bにおいて、前記凹部18cの位置に対応する中央部分にも、凹部18cの底壁と同様に、上下方向に貫通する複数の貫通孔が形成されている。
前記オリフィス盤18によって区画される前記両液室17a,17bは、該オリフィス盤18の周縁に螺旋状に形成されたオリフィス通路21によって互いに連通しており、このエンジンマウント1では、受圧室17a及び平衡室17bの緩衝液がオリフィス通路21を介して相互に流通することによって、ゴム弾性体13から受圧室17aに作用する低周波・大振幅の振動が減衰されるようになっている。このとき、前記ダイヤフラム16は、緩衝液の流通に伴う平衡室17bの容積変化を吸収するように変形する。つまり、前記ダイヤフラム16は、平衡室17bの容積が大きくなったときには外方に向かって膨張する一方、該平衡室17bの容積が小さくなったときには縮んで小さくなる。
また、ゴム弾性体13から受圧室17aに作用する高周波・小振幅の振動は、凹部18c内に収容された可動板20が、その空間内で動くことによって、減衰されるようになっている。
尚、図1は、マウント本体部10に静荷重が作用していない無荷重状態を示しており、この状態では該マウント本体部10のストッパゴム13aとケース11の底部とが近接している。一方、図示は省略するが、エンジンマウント1が車体に取り付けられて、マウント本体部10にエンジンの静荷重が加わる1G状態では、ゴム弾性体13が撓んでケース11が相対的に下方に変位することで、その底部と前記ストッパゴム13aとの間には所定の間隔が形成されることになる。
(エンジンマウントに起因する異音の発生メカニズム)
図3は、前記のエンジンマウント1に起因して車室内に異音が発生するときのメカニズムを示している。例えば悪路走行時等においてエンジンマウント1に大変位が動的に入力されたときには、エンジンマウント1内に大きな液圧変動が生じる。このときに、オリフィス盤18の本体部18aにおける凹部18cと蓋部18bとの間に収容された可動板20が、その本体部18aや蓋部18bと衝突する場合がある。
この衝突に伴い発生した力は、エンジンマウント1のゴム弾性体13及びケース11を介して連結金具12に伝達される。そうして、その連結金具12から車体に力が伝達されると共に、その車体内を伝達することによって、車室内で相対的に低周波のボコボコ音や相対的に高周波のポコポコ音等の異音が発生することになる。
ここで、エンジンマウント1に低周波・大振幅の振動が入力されたときには、図4(a)に模式的に示すように、可動板20がオリフィス盤18の本体部18aや蓋部18bと面接触(平当たり)して、1次モードの振動を行う。
この1次モードの振動に伴い発生した力は、エンジンマウント1のゴム弾性体13及びケース11を介して連結金具12に伝達される。そうして、その連結金具12から車体に力が伝達されると共に、その車体内を伝達することによって、車室内で低周波(例えば30〜150Hz)のボコボコ音が発生することになる。
一方、エンジンマウント1に高周波・低振幅の振動が入力されたときには、図4(b)に模式的に示すように、可動板20がオリフィス盤18の本体部18aや蓋部18bと点接触(変形当たり)して、2次モードの振動を行う。
この2次モードの振動に伴い発生した力は、エンジンマウント1のゴム弾性体13及びケース11を介して連結金具12に伝達される。そうして、その連結金具12から車体に力が伝達されると共に、その車体内を伝達することによって、車室内で高周波(例えば300〜500Hz)のポコポコ音が発生することになる。
以上のように、エンジンマウント1から車体に力が伝達する(以下、その力を伝達力という)と共に、その力が車体を介して伝達することによって車室内に異音が発生することから、車室内で発生する異音の音圧レベルは、
「車室内の音圧レベル」=「車体感度」×「伝達力」
で表すことができる。上式より、伝達力が大きいときには車室内の音圧レベルが高くなって異音として認識されることになると共に、伝達力が小さいときには車室内の音圧レベルが低くなって異音として認識されなくなる。従って、エンジンマウント1の伝達力の大きさを計測することによって、車室内において異音が発生するか否かを予測することが可能であり、この伝達力の大きさは、エンジンマウント1を車両に組み付けなくても、エンジンマウント1単体で計測することが可能である。
(損失係数と異音との間の相関性)
ところで、エンジンマウント1に低周波・大振幅の振動が入力されたときには、上述したようにオリフィス盤18の本体部18aにおける凹部18cと蓋部18bとの間に収容された可動板20が、その本体部18aや蓋部18bと面接触するため、その可動板20によって凹部18c内の底壁や蓋部18bの中央部の貫通孔が閉塞され、受圧室17a及び平衡室17bの緩衝液が、主にオリフィス通路21を介して相互に流通することになる。
この場合、可動板20が本体部18aや蓋部18bと衝突する衝突力が相対的に強いときには、その可動板20によって凹部18cや蓋部18bの貫通孔が相対的に確実に閉塞されるため、受圧室17a及び平衡室17bの緩衝液がその貫通孔を介して相互に流通する流通量が相対的に減少し、損失係数が相対的に大きくなる。一方、可動板20が本体部18aや蓋部18bと衝突する衝突力が相対的に弱いときには、その可動板20によって凹部18cや蓋部18bの貫通孔が相対的に不確実に閉塞されるため、受圧室17a及び平衡室17bの緩衝液がその貫通孔を介して相互に流通する流通量が相対的に増加し、損失係数が相対的に小さくなる。
また、可動板20が本体部18aや蓋部18bと衝突する衝突力が相対的に強いときには、可動板20の1次モードの振動が相対的に大きくなるため、伝達力が相対的に大きくなり、車室内の音圧レベルが相対的に高くなる。一方、可動板20が本体部18aや蓋部18bと衝突する衝突力が相対的に弱いときには、可動板20の1次モードの振動が相対的に小さくなるため、伝達力が相対的に小さくなり、車室内の音圧レベルが相対的に低くなる。
以上のように、損失係数と可動板20の1次モードの振動に起因する低周波のボコボコ音との間には高い相関性があることが分かる。つまり、損失係数が相対的に大きいときにはボコボコ音が発生することになり、損失係数が相対的に小さいときにはボコボコ音が発生しないことになる。
一方、エンジンマウント1に高周波・低振幅の振動が入力されたときには、上述したようにオリフィス盤18の本体部18aにおける凹部18cと蓋部18bとの間に収容された可動板20が、その本体部18aや蓋部18bと点接触するため、その可動板20によって凹部18c内の底壁や蓋部18bの中央部の貫通孔が閉塞されず、受圧室17a及び平衡室17bの緩衝液が、その貫通孔とオリフィス通路21を介して相互に流通することになる。
この場合、可動板20が本体部18aや蓋部18bと衝突する衝突力の強弱に拘わらず、その可動板20によって凹部18cや蓋部18bの貫通孔が閉塞されないため、受圧室17a及び平衡室17bの緩衝液が常に、その貫通孔を介して相互に流通し、損失係数が小さくなる。
また、可動板20が本体部18aや蓋部18bと衝突する衝突力が相対的に強いときには、可動板20の2次モードの振動が相対的に大きくなるため、伝達力が相対的に大きくなり、車室内の音圧レベルが相対的に高くなる。一方、可動板20が本体部18aや蓋部18bと衝突する衝突力が相対的に弱いときには、可動板20の2次モードの振動が相対的に小さくなるため、伝達力が相対的に小さくなり、車室内の音圧レベルが相対的に低くなる。
以上のように、損失係数と可動板20の2次モードの振動に起因する高周波のポコポコ音との間には相関性がないことが分かる。
そこで、本実施形態では、エンジンマウント1の組み立てライン中に設けられた検査装置を用いることによって、エンジンマウント1の損失係数を演算するようにして、この損失係数に基づいて、予め設定した減衰特性評価しきい値及び異音評価しきい値(基準)に従って、エンジンマウント1が良品である(エンジンマウント1を車両に搭載したときに乗り心地性能が良好である)か否か、及び、車室内に低周波のボコボコ音が発生するか否かを、事前に検査する。この検査は、本実施形態では、エンジンマウント1の中間品の形で実施される。この中間品は、本実施形態では、車体側ブラケットb、ボルト及びゴムストッパが取り付けられていないサブアッシー状態のエンジンマウント1である。
また、本実施形態では、従来例(特許文献3)のように、エンジンマウントの組み立てライン外に設けられた加振装置を用いることによって、エンジンマウント1の伝達力の大きさを計測するようにして、車室内に高周波のポコポコ音が発生するか否かを、事前に検査する。この検査は、エンジンマウント1の完成品の形で実施される。したがって、組み立て中のエンジンマウント1をその組み立てラインから一旦取り出す必要はない。尚、ここでは、その検査方法についての詳細な説明は省略する(その詳細は特許文献3を参照のこと)。
(検査装置の構成)
図5〜9は、本発明に係る検査装置をエンジンマウント1の検査装置Aとして実施した形態を示す。この検査装置Aは、エンジンマウント1の中間品を加振テーブル(載置台)110上に載置し、上方からエンジン等の静荷重に相当する予荷重をかけるとともに、下方からは予め設定した振幅及び周期で加振して、実際に使用される状況下でエンジンマウント1の示す損失係数や動ばね定数を検査するためのものである。
−検査装置の全体構成−
図5、6にはそれぞれ検査装置Aの全体構成を示し、角パイプを組み合わせてなるフレーム101内にはその前寄りの部位において左右一対のサイドパネル102,102が立設され、それらの上端に跨るようにアッパーパネル103が架設されている。図の例では、前後に長い矩形ボックス状の基台104が防振ゴムを介してフレーム101の前寄りの部位に配設され、その左右両側縁にそれぞれ前記サイドパネル102,102の下端が取り付けられている。
前記アッパーパネル103の上面の前寄りの部位には昇降用の電動サーボシリンダ105が倒立状態で配設されており、その下端から突出するロッド105aが、アッパーパネル103の貫通孔に遊嵌状態で挿通されている。また、サーボシリンダ105の左右両側の部位においてそれぞれアッパーパネル103を貫通し上下に伸びるようにガイドシリンダ106,106が配設されている。各ガイドシリンダ106の外筒はアッパーパネル103に固定され、内筒の下端には矩形の板部材107(以下、クロスヘッドという)が締結されて、その上面にサーボシリンダ105のロッド105aの下端が取り付けられている。
そして、前記サーボシリンダ105の作動により上下に移動されるクロスヘッド107の下面にはロードセル108が配置され、その下部には樹脂製の押さえ治具109が取り付けられている。この押さえ治具109は、下方に向かって開口する碗状のものであり、前記のようにクロスヘッド107が下降したときに、下方の加振テーブル110上に載置されているエンジンマウント1のケース11上部と係合して、これを保持するようになる(図7、8に仮想線で示す)。そして、その状態でサーボシリンダ105によりそのエンジンマウント1を上方から押圧すれば、エンジン等の静荷重に相当する予荷重をかけることができる。
一方、図5、6の如くサーボシリンダ105のロッド105aが退入し、押さえ治具109がエンジンマウント1の上方に離れた状態では、そのエンジンマウント1と押さえ治具109との間に十分な間隔が空き、エンジンマウント1を加振テーブル110上へ載置することも、反対に加振テーブル110上から取り上げることも容易に行える。すなわち、押さえ治具109は、それが加振テーブル110上のエンジンマウント1を押圧して保持する保持位置と、そこから上方へ移動してエンジンマウント1から離間した退避位置との間で移動されるようになっている。
そのように上下動可能に設けられた押さえ治具109の下方には、エンジンマウント1を載置して加振するための加振テーブル110が配設されている。この加振テーブル110は、前記のように押さえ治具109が退避位置にあるときにそのエンジンマウント1を容易に載置できるように、左右のサイドパネル102,102の前縁付近において作業者の腰くらいの高さに配置されていて、サイドパネル102,102間に跨って配設された支持板11に対し上下動可能に取り付けられている。
−加振テーブル−
図7、8に拡大して示すように、加振テーブル110は矩形板状とされ、その4隅がそれぞれガイドシリンダ112,112,…(ガイド部材)によって支持板111に対し上下動可能に連結されている。すなわち、各ガイドシリンダ112の外筒は支持板111に貫通状態で固定される一方、内筒はその上端が加振テーブル110の4隅に締結され、下端は矩形状の連結板113の4隅に締結されている。この連結板113の中央部には丸穴113aが開口して、後述するエアシリンダ114のロッド114aを離間して囲んでいる。
また、加振テーブル110と連結板113との間には厚板状のリンク部材115が上下に延びるように配設され、後述するスイングアーム120(揺動アーム)の前端部を加振テーブル110の下部に連結している。すなわち、リンク部材115の上部にはその厚み方向に貫通するように軸部材116が配設され、この軸部材116がベアリング117を介して加振テーブル110の下部の取付片に回転自在に取り付けられている。
また、リンク部材115は、支持板111の中央に設けられた丸穴111aに挿通されて、その下部にはベアリング118を介して軸部材119が回転自在に取り付けられ、この軸部材119の両端部がそれぞれ、二股に分岐しているスイングアーム120の前端部に締結されている。よって、後述するようにスイングアーム120が揺動してその前端部が円弧状の軌跡を描くときに、加振テーブル110はガイドシリンダ112により案内されて上下動(振動)するようになる。
さらに、前記リンク部材115の下端にはエアシリンダ114のロッド114aの上端が押し付けられており、エア圧によりリンク部材115を、即ちこれを介して加振テーブル110を上方に押圧している。すなわち、エアシリンダ114は、図5、6に示すように基台104上に起立状態で配設され、その上端から上方に延びるロッド114aが上述したように加振テーブル110の連結板113の丸穴113aを通過して、リンク部材115に下方から当接している。エアシリンダ114には、図示しないレギュレータ回路等のエア圧(気体圧)調整手段を介して、工場の設備である高圧エア供給ラインが接続されており、サーボシリンダ105によるエンジンマウント1への予荷重の大きさに対応する最適値に調整されるようになっている。
つまり、エンジンマウント1及び加振テーブル110は、上下両方から押圧されて一体に保持されており、この状態でスイングアーム120により上下に加振されることになるから、そのスイングアーム120からリンク部材115を経て加振テーブル110に至る駆動力の伝達系に僅かなガタがあっても、その影響は極く僅かなものになり、そのエンジンマウント1が正確に加振されるようになる。
尚、前記加振テーブル110の上面略中央には、エンジンマウント1のセット治具110aが配設されており、位置決めピンにそのエンジンマウント1の連結金具12のボルト孔を外挿することにより、このエンジンマウント1を容易に位置決めしてセットすることができる。また、図示は省略するが、振動する加振テーブル110の位置を計測するために例えばサイドパネル102にレーザ変位センサ等が配設されている。
−スイングアームとその駆動機構−
上述したように前端部がリンク部材115により加振テーブル110に連結されているスイングアーム120は、図5に示すようにフレーム101の上縁付近において前後方向に延びていて、その前後方向の中央部やや後寄りの部位において軸部材121により回動可能に支持されている。そして、以下に述べる駆動機構123により後端部を駆動されることで、スイングアーム120はシーソーのように前側及び後側が上下に逆位相で揺動するようになっている。
詳細は図示しないがスイングアーム120は、左右一対の長尺の板部材120a(図8にのみ符号を付す)からなり、これらの間に補強部材を挟み込んで締結したもので、その長手方向の中間部位に前記の如く軸部材121が配設されて、ベアリング等を備えたブラケット121aによりサイドパネル102に回転自在に取り付けられている。また、スイングアーム120の前端部においては、図9に示すように左右の板部材120aの間に軸部材119が配設されて、上述したようにリンク部材115の下端部に取り付けられている。
さらに、スイングアーム120の後端部には前端部の軸部材119と同様に軸部材122が配設されて、駆動機構123のアーム124(駆動アーム)に回転自在に、かつこれに対しスライド自在に連結されている。図の例ではスイングアーム120の支点である軸部材121から作用点である前端部の軸部材119までの距離が、力点である後端部の軸部材122までの距離よりも長いので、駆動アーム124による揺動ストロークは増幅されて加振テーブル110に伝達されるようになる。
前記駆動機構123において駆動アーム124は、スイングアーム120と略平行に検査装置Aの前後方向に延びていて、その前端部が軸部材125を介してベース126に取り付けられる一方、後端部には、軸部材127を介してリンク128の上端部が回転自在に連結され、このリンク128の下部が連結されている偏心軸129の回転によって、リンク128の上端部が駆動アーム124の後端部を上下に揺動させるようになっている。
すなわち、詳細は図示しないが、駆動機構123のベース126は、前部に上方への延出部が形成されたL字状のパネル126aを2枚組み合わせてなり、その延出部の上部において左右のパネル126a間に渡された軸部材125に、ベアリングを介して駆動アーム124の前端部が回転自在に取り付けられている。一方、ベース126の後端部には同様にして前記偏心軸129が配設されており、その偏心部にリンク128の下端部が回転自在に連結されている。
前記駆動アーム124は下方に開いた断面コ字状のものであり、その上面には長手方向のレール124aに沿ってスライド移動するようにスライダ130が配設されている。このスライダ130は矩形状の本体の上面から上方に延びる凸壁部を有し、ここにベアリング(図示せず)を介して、スイングアーム120の後端の軸部材122が回転自在に取り付けられている。そして、スライダ130が駆動アーム124上をスライド移動することにより該駆動アーム124の有効長さが変化し、これにより上下に揺動されるスイングアーム120のストロークが連続的に変更されるようになっている。
また、そうして揺動するスイングアーム120及び駆動アーム124のそれぞれの支点、即ちスイングアーム120の軸部材121及び駆動アーム124の軸部材125は、いずれも、スライダ130による両アーム120,124同士の連結部位よりも前側に、換言すれば、両者の連結部位よりもアーム長手方向(前後方向)について同じ側に位置している。このため、両アーム120,124はパラレルリンクの如く同位相で揺動するようになり(図9の矢印aを参照)、その連結部位(スライダ130)の揺動軌跡は概ね同じ形状となる。
そのように駆動機構123を動作させる動力源は、駆動機構123の後方に近接して配置された電動機131であり、その出力軸に回転不能に取り付けられたプーリ131aと、駆動機構123の偏心軸129に取り付けられたプーリ129aとの間に、伝動ベルト132が巻き掛けられている。また、電動機131と駆動機構123とは、基台104の上面に前後にスライド移動可能に配設された定盤133上に搭載されていて、一体に前後に移動されるようになっている。
すなわち、基台104の上面には左右一対のスライドレール134(図には1つのみ示す)が前後方向に延びるように設けられていて、この各スライドレール134上にそれぞれ3つずつ設けられたスライダ135が、定盤133の左右両側縁においてそれぞれ前後方向に並んでいる。そして、図示しないエアシリンダ等のアクチュエータによって定盤133は前後方向に移動され、任意の位置に停止されるようになっている。
そうして定盤133が移動されて駆動機構123が前後方向に移動されると、駆動アーム124に対しスライダ130が相対移動することになり、この駆動アーム124の有効長さが変化して、前記のようにスイングアーム120の揺動ストロークが変化する。すなわち、図5のように定盤133が最も後退した位置にあり、駆動アーム124の前端部近傍にスライダ130が位置するときには、その有効長さは殆ど零になるから、それが揺動してもスイングアーム120は殆ど揺動しない。
そこから定盤133が前方に移動すると、これに連れて前方に移動する駆動アーム124に対し相対的にはスライダ130が後方に移動することになり、その相対移動量だけ駆動アーム124の有効長さが長くなって、スイングアーム120の揺動ストロークが増大してゆく。そして、図9のように定盤133が最も前進した位置では駆動アーム124の有効長さが最長になって、スイングアーム120の揺動ストロークも最大になるのである。
ところで、前記図9のような定盤133が最も前進したときでも駆動機構123と加振テーブル110との間には大きなスペースが残されており、このスペースに上述の如くエアシリンダ114が配設されている。また、加振テーブル110の周囲には十分な作業スペースを確保することができる。
−検査装置の作動−
上述した検査装置Aの作動制御はコントローラ140によって行われる。コントローラ140は、図5に示すように検査装置Aの後端の電源ボックス141内に収容されていて、例えばサーボシリンダ105のエンコーダやロードセル108の他に、加振テーブル110の変位を検出するセンサ、電動機131の出力軸の回転角を検出するセンサ(図示せず)等からの信号が入力される。
そして、加振部140a(加振手段)は、サーボシリンダ105によって押さえ治具109を下方に押圧しエンジンマウント1に上方から予荷重をかける一方、エアシリンダ114によって加振テーブル110を上方に押圧し、それらを上下両方から押圧した状態で電動機131を作動させて、加振機構123によりスイングアーム120を上下に揺動させることにより加振テーブル110を、即ちエンジンマウント1を加振する。
同時に演算部140b(演算手段)は、加振テーブル110の変位とエンジンマウント1の荷重の変化とをそれぞれ計測し、少なくともこの計測データに基づいてエンジンマウント1の損失係数等を演算する。こうして、エンジンマウント1にその使用状況下での静荷重に相当する予荷重をかけながら、予め設定した加振条件下において損失係数等の演算を行うことができる。
判定部140c(判定手段)は、予め設定した減衰特性評価しきい値とこの減衰特性評価しきい値よりも大きい予め設定した異音評価しきい値とを記憶しており、演算部140bにおいて演算された損失係数が、減衰特性評価しきい値から異音評価しきい値までの基準範囲内にあるか否かを判定し、結果出力部140dは、その判定結果を例えば表示として出力する。
次に、前記判定部140cでの判定に係る異音評価しきい値の決定方法について説明する。先ず、損失係数が互いに異なる複数個のエンジンマウント1を用意すると共に、各エンジンマウント1を車両に組み付けることによって、複数のエンジンマウント1それぞれによってエンジンを支持した車両を用意する。そうして、その完成車を実際に走行させながら、車室内の異音レベルを測定すると共に、検査員による異音発生の官能評価を行う。
このことによって、例えば図10に示すように、損失係数の大きさに対する官能評価点及び異音レベルの関係(例えば図10に示すように直線によって示される比例関係)が得られる。また、前記の官能評価又は計測した異音のレベルによって、車室内に低周波のボコボコ音が発生したか否かのしきい値が決定される。
従って、決定されたしきい値と前記直線との交点から、前記判定部140cでの判定に係る異音評価しきい値が決定され、その決定された異音評価しきい値が判定部140cに記憶されることになる。
尚、前記判定部140cでの判定に係る減衰特性評価しきい値の決定方法は従来周知のものであるので、その説明は省略する。
(エンジンマウントの検査手順)
次に、図11に示すフローチャートを参照しながら、この検査装置Aにおけるエンジンマウント1の検査手順を説明する。先ずステップS1では、加振部140aにより、検査装置Aに取り付けたエンジンマウント1の中間品に対する振動入力が開始され(加振ステップ)、続くステップS2において、その加振が安定したか否かが判定される。安定していないときのNOにはステップS2を繰り返す一方、安定したときのYESにはステップS3に移行する。
ステップS3では、演算部140bにおいて、加振テーブル110の変位とエンジンマウント1の中間品の、荷重の変化とがそれぞれ計測され、続くステップS4で、少なくともその計測データに基づいてエンジンマウント1の損失係数を演算する(演算ステップ)。そうして、ステップS5では、演算した損失係数が演算部140bから判定部140cに転送される。
ステップS6では、判定部140cにおいて、その損失係数が予め設定した、減衰特性評価しきい値から異音評価しきい値までの基準範囲内にあるかどうかを判定する(判定ステップ)。基準範囲内にあり判定結果がOK、つまりエンジンマウント1の中間品が良品であり(乗り心地性能が良好であり)かつ低周波のボコボコ音が発生しないという判定のときにはステップS7に移行して、結果出力部140dにより、所定の表示器(図示省略)にOK表示をする。一方、基準範囲外にあり(減衰特性評価しきい値よりも小さく又は異音評価しきい値よりも大きく)判定結果がNG、つまりエンジンマウント1の中間品が不良品である(NVH性能が不良である)又はボコボコ音が発生するという判定のときにはステップS8に移行して、結果出力部140dにより、前記表示器にNG表示をする。そうして、ステップS9において振動入力を終了して、検査が終了する。尚、判定結果がNGのエンジンマウント1の中間品は、不合格品として廃棄処分にされる。
−効果−
以上より、本実施形態によれば、判定ステップでは、演算ステップにおいて演算したエンジンマウント1の損失係数に基づいて、予め設定した基準範囲に従って、エンジンマウント1を車両に搭載したときにこのエンジンマウント1に起因して車室内に低周波のボコボコ音が発生するか否かを判定するので、エンジンマウント1に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及びエンジンマウント1の損失係数の検査を個別に行う場合と比較して、エンジンマウント1に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及びエンジンマウント1の損失係数の検査にかかる時間とコストを削減することができる。
特に、本実施形態では、検査装置Aをエンジンマウント1の組み立てライン中に設けているので、車室内に低周波のボコボコ音が発生するか否かを判定するために、組み立て中のエンジンマウント1をその組み立てラインから一旦取り出す必要はない。
また、加振ステップでは、エンジンマウント1の中間品を加振するので、エンジンマウント1の完成品を加振する場合と比較して、判定ステップで車室内に低周波のボコボコ音が発生すると判定された場合等にそのエンジンマウント1を廃棄処分するときにおいて、完成品よりも部材(車体側ブラケットb、ボルト及びゴムストッパ)が少ない分、部材の無駄をなくすことができる。
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、エンジンマウント1の中間品は、車体側ブラケットb、ボルト及びゴムストッパが取り付けられていない状態のエンジンマウント1であるが、その損失係数を演算できる限り、その状態はこれに限定されない。
また、上記実施形態では、エンジンマウント1の中間品を加振しているが、エンジンマウント1の完成品を加振してもよい。但し、部材の無駄をなくす観点からは、中間品を加振するのが望ましい。
また、上記実施形態では、検査装置Aを上述の如く構成しているが、エンジンマウント1の損失係数を演算することができる限り、その構成はこれに限定されない。
以上説明したように、本発明に係る防振装置の検査方法及び検査装置は、防振装置を車両に搭載したときにこの防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及び防振装置の損失係数の検査にかかる時間とコストを削減することが必要な用途等に適用することができる。
1 エンジンマウント(防振装置)
12 連結金具(車体側取付部)
13 ゴム弾性体
15 連結部(被支持体側取付部)
16 ダイヤフラム
17 液室
17a 受圧室
17b 平衡室
18 オリフィス盤(区画盤)
20 可動板
21 オリフィス通路
A エンジンマウントの検査装置
140 コントローラ
140a 加振部(加振手段)
140b 演算部(演算手段)
140c 判定部(判定手段)

Claims (4)

  1. 車両に搭載される防振装置の検査方法であって、
    前記防振装置を加振する加振ステップと、
    前記加振力による荷重の変化を計測し、少なくともその荷重のデータに基づいて、前記防振装置の損失係数を演算する演算ステップと、
    前記損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、前記防振装置を車両に搭載したときに該防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定する判定ステップとを含んでいることを特徴とする防振装置の検査方法。
  2. 請求項1記載の防振装置の検査方法において、
    前記防振装置は、車体側に連結される車体側取付部と、被支持体側に連結される被支持体側取付部と、該両取付部を互いに連結するゴム弾性体と、該ゴム弾性体との間に液室を形成するダイヤフラムと、前記液室を受圧室及び平衡室に区画するとともに、該受圧室及び平衡室を互いに連通するオリフィス通路が形成された区画盤と、該区画盤に収容された可動板とを有する液体封入式のものであり、
    前記判定ステップでは、前記防振装置を車両に搭載したときに前記可動板が前記区画盤と面接触することに起因して車室内に低周波の異音が発生するか否かを判定することを特徴とする防振装置の検査方法。
  3. 請求項1又は2記載の防振装置の検査方法において、
    前記加振ステップでは、前記防振装置の中間品を加振することを特徴とする防振装置の検査方法。
  4. 車両に搭載される防振装置の検査装置であって、
    前記防振装置を加振する加振手段と、
    前記加振力による荷重の変化を計測し、少なくともその荷重のデータに基づいて、前記防振装置の損失係数を演算する演算手段と、
    前記損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、前記防振装置を車両に搭載したときに該防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とする防振装置の検査装置。
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