JP5530333B2 - 防振装置の検査方法及び検査装置 - Google Patents
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Description
「車室内の音圧レベル」=「車体感度」×「伝達力」
で表すことができる。ここで、「伝達力」は、防振装置から車体に対して伝達される力、「車体感度」は、車体における力の伝達のし易さを意味する。これによると、伝達力が相対的に大きいときには音圧レベルが高くなって室内に異音が発生することになり、伝達力が相対的に小さいときには音圧レベルが低くなって室内に異音が発生しないことになる。
図1は、本実施形態において異音の発生の有無及び損失係数(tanδ)を検査する対象である、車両に搭載される防振装置としてのエンジンマウント1の中間品(未完成品)を示す断面図であり、図2は、エンジンマウント1の完成品を示す斜視図である。
図3は、前記のエンジンマウント1に起因して車室内に異音が発生するときのメカニズムを示している。例えば悪路走行時等においてエンジンマウント1に大変位が動的に入力されたときには、エンジンマウント1内に大きな液圧変動が生じる。このときに、オリフィス盤18の本体部18aにおける凹部18cと蓋部18bとの間に収容された可動板20が、その本体部18aや蓋部18bと衝突する場合がある。
「車室内の音圧レベル」=「車体感度」×「伝達力」
で表すことができる。上式より、伝達力が大きいときには車室内の音圧レベルが高くなって異音として認識されることになると共に、伝達力が小さいときには車室内の音圧レベルが低くなって異音として認識されなくなる。従って、エンジンマウント1の伝達力の大きさを計測することによって、車室内において異音が発生するか否かを予測することが可能であり、この伝達力の大きさは、エンジンマウント1を車両に組み付けなくても、エンジンマウント1単体で計測することが可能である。
ところで、エンジンマウント1に低周波・大振幅の振動が入力されたときには、上述したようにオリフィス盤18の本体部18aにおける凹部18cと蓋部18bとの間に収容された可動板20が、その本体部18aや蓋部18bと面接触するため、その可動板20によって凹部18c内の底壁や蓋部18bの中央部の貫通孔が閉塞され、受圧室17a及び平衡室17bの緩衝液が、主にオリフィス通路21を介して相互に流通することになる。
図5〜9は、本発明に係る検査装置をエンジンマウント1の検査装置Aとして実施した形態を示す。この検査装置Aは、エンジンマウント1の中間品を加振テーブル(載置台)110上に載置し、上方からエンジン等の静荷重に相当する予荷重をかけるとともに、下方からは予め設定した振幅及び周期で加振して、実際に使用される状況下でエンジンマウント1の示す損失係数や動ばね定数を検査するためのものである。
図5、6にはそれぞれ検査装置Aの全体構成を示し、角パイプを組み合わせてなるフレーム101内にはその前寄りの部位において左右一対のサイドパネル102,102が立設され、それらの上端に跨るようにアッパーパネル103が架設されている。図の例では、前後に長い矩形ボックス状の基台104が防振ゴムを介してフレーム101の前寄りの部位に配設され、その左右両側縁にそれぞれ前記サイドパネル102,102の下端が取り付けられている。
図7、8に拡大して示すように、加振テーブル110は矩形板状とされ、その4隅がそれぞれガイドシリンダ112,112,…(ガイド部材)によって支持板111に対し上下動可能に連結されている。すなわち、各ガイドシリンダ112の外筒は支持板111に貫通状態で固定される一方、内筒はその上端が加振テーブル110の4隅に締結され、下端は矩形状の連結板113の4隅に締結されている。この連結板113の中央部には丸穴113aが開口して、後述するエアシリンダ114のロッド114aを離間して囲んでいる。
上述したように前端部がリンク部材115により加振テーブル110に連結されているスイングアーム120は、図5に示すようにフレーム101の上縁付近において前後方向に延びていて、その前後方向の中央部やや後寄りの部位において軸部材121により回動可能に支持されている。そして、以下に述べる駆動機構123により後端部を駆動されることで、スイングアーム120はシーソーのように前側及び後側が上下に逆位相で揺動するようになっている。
上述した検査装置Aの作動制御はコントローラ140によって行われる。コントローラ140は、図5に示すように検査装置Aの後端の電源ボックス141内に収容されていて、例えばサーボシリンダ105のエンコーダやロードセル108の他に、加振テーブル110の変位を検出するセンサ、電動機131の出力軸の回転角を検出するセンサ(図示せず)等からの信号が入力される。
次に、図11に示すフローチャートを参照しながら、この検査装置Aにおけるエンジンマウント1の検査手順を説明する。先ずステップS1では、加振部140aにより、検査装置Aに取り付けたエンジンマウント1の中間品に対する振動入力が開始され(加振ステップ)、続くステップS2において、その加振が安定したか否かが判定される。安定していないときのNOにはステップS2を繰り返す一方、安定したときのYESにはステップS3に移行する。
以上より、本実施形態によれば、判定ステップでは、演算ステップにおいて演算したエンジンマウント1の損失係数に基づいて、予め設定した基準範囲に従って、エンジンマウント1を車両に搭載したときにこのエンジンマウント1に起因して車室内に低周波のボコボコ音が発生するか否かを判定するので、エンジンマウント1に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及びエンジンマウント1の損失係数の検査を個別に行う場合と比較して、エンジンマウント1に起因して車室内に異音が発生するか否かの検査及びエンジンマウント1の損失係数の検査にかかる時間とコストを削減することができる。
尚、上記実施形態では、エンジンマウント1の中間品は、車体側ブラケットb、ボルト及びゴムストッパが取り付けられていない状態のエンジンマウント1であるが、その損失係数を演算できる限り、その状態はこれに限定されない。
12 連結金具(車体側取付部)
13 ゴム弾性体
15 連結部(被支持体側取付部)
16 ダイヤフラム
17 液室
17a 受圧室
17b 平衡室
18 オリフィス盤(区画盤)
20 可動板
21 オリフィス通路
A エンジンマウントの検査装置
140 コントローラ
140a 加振部(加振手段)
140b 演算部(演算手段)
140c 判定部(判定手段)
Claims (4)
- 車両に搭載される防振装置の検査方法であって、
前記防振装置を加振する加振ステップと、
前記加振力による荷重の変化を計測し、少なくともその荷重のデータに基づいて、前記防振装置の損失係数を演算する演算ステップと、
前記損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、前記防振装置を車両に搭載したときに該防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定する判定ステップとを含んでいることを特徴とする防振装置の検査方法。 - 請求項1記載の防振装置の検査方法において、
前記防振装置は、車体側に連結される車体側取付部と、被支持体側に連結される被支持体側取付部と、該両取付部を互いに連結するゴム弾性体と、該ゴム弾性体との間に液室を形成するダイヤフラムと、前記液室を受圧室及び平衡室に区画するとともに、該受圧室及び平衡室を互いに連通するオリフィス通路が形成された区画盤と、該区画盤に収容された可動板とを有する液体封入式のものであり、
前記判定ステップでは、前記防振装置を車両に搭載したときに前記可動板が前記区画盤と面接触することに起因して車室内に低周波の異音が発生するか否かを判定することを特徴とする防振装置の検査方法。 - 請求項1又は2記載の防振装置の検査方法において、
前記加振ステップでは、前記防振装置の中間品を加振することを特徴とする防振装置の検査方法。 - 車両に搭載される防振装置の検査装置であって、
前記防振装置を加振する加振手段と、
前記加振力による荷重の変化を計測し、少なくともその荷重のデータに基づいて、前記防振装置の損失係数を演算する演算手段と、
前記損失係数に基づいて、予め設定した基準に従って、前記防振装置を車両に搭載したときに該防振装置に起因して車室内に異音が発生するか否かを判定する判定手段とを備えていることを特徴とする防振装置の検査装置。
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