JP5529801B2 - 光ファイバ - Google Patents
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Description
かかる知見に基づく本発明の光ファイバは、下記の通りである。
最外層の被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物に含まれるケイ素化合物が下記一般式(1)で表され、環状シリコーン部位の含有量が10〜30質量%であるケイ素化合物であることを特徴とする光ファイバ。
前記外側被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物には、前記一般式(1)で表され、環状シリコーン部位の含有量(質量%)が10〜30質量%のケイ素化合物が含まれ、
前記内側被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物には、前記一般式(1)で表され、環状シリコーン部位の含有量(質量%)が5〜20質量%のケイ素化合物が含まれ、
前記内側被覆層に含まれるケイ素化合物の環状シリコーン部位の含有量が前記外側被覆層に含まれるケイ素化合物における環状シリコーン部位の含有量よりも少ないことを特徴とする上記〔1〕記載の光ファイバ。
図1は本発明の光ファイバの実施形態の一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、光ファイバ1は、コア部2とクラッド部3を含む石英系ガラスファイバ4の外周上に単層の被覆層5を形成した態様である。
コア部2の外径は、例えば6μm〜70μm、該クラッド部3の外径は、例えば125μmとすることができる。また、被覆層5の外径は、例えば150μm〜300μmとすることができる。
被覆層8は、石英系ガラスファイバ4の外周上に石英系ガラスファイバ4側から内層被覆層7と外層被覆層5’(最外層)をこの順に有する構成である。内層被覆層7は、エネルギー硬化型樹脂組成物を架橋硬化させてなる層であり、外側被覆層5’は一般式(1)で表され、環状シリコーン部位の含有量が10〜30質量%であるケイ素化合物を含むエネルギー硬化型樹脂組成物を架橋硬化させてなる層である。
外側被覆層5’の外径は、例えば180μm〜300μm、内側被覆層7の外径は、例えば150μm〜250μmとすることができる。
本発明の光ファイバの被覆層に使用されるエネルギー硬化型樹脂組成物は、一般式(1)で表されるケイ素化合物を必須として含むが、当該ケイ素化合物以外の他のエポキシ硬化性化合物をエポキシ基含有成分として含有してもよい。この場合、エポキシ硬化性化合物の含有量は、前記一般式(1)で表されるケイ素化合物と該エポキシ硬化性化合物との両者のトータルの質量100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部である。0.01質量部より少ないとエポキシ硬化性化合物による硬化効果が発現しない虞があり、一方、20質量部を超えた使用は得られる硬化物の耐熱性に影響を及ぼす虞がある。
本発明においては一般式(1)で表されるケイ素化合物の環状シリコーン部位と直鎖状シリコーン部位とから発現する伸びと強靭性のバランスを顕著に享受すべく、他のエポキシ化合物を含有しない方が好ましい。
以下の合成例により、一般式(1)で表される骨格を有し且つ環状シリコーン部位の導入量が異なるケイ素化合物を複数合成した。
ジクロロジメチルシラン90部とジクロロジフェニルシラン9部とを混合し、100部のイオン交換水、50部のトルエン及び450部の48%水酸化ナトリウム水溶液の混合物中に滴下し、105℃で5時間重合させた。得られた反応溶液を500部のイオン交換水で水洗した後に、このトルエン溶液を脱水し、ピリジンを20部加え、これにさらにジメチルビニルクロロシラン10部を加えて70℃で30分間攪拌した。その後、100部のイオン交換水で水洗した後、150℃で溶媒を減圧留去した。次に100部のアセトニトリルで洗浄し、その後、70℃で溶媒を減圧留去し、不飽和結合を有する非環状ポリシロキサン化合物(a1−1)を得た。下記条件でのGPCによる分析の結果、非環状ポリシロキサン(a1−1)の質量平均分子量はMw=3840であった。なお、以降のGPCは全てこの条件で行った。
(GPCの測定条件)
カラム:東ソー株式会社製TSK-GEL MULTIPORE HXL M、7.8mm X 300mm
展開溶媒:テトラヒドロフラン
合成例1で得た非環状ポリシロキサン(a1−1)100部をトルエン200部に溶かし、白金触媒0.003部、及び環状ポリシロキサン化合物である1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン10部を加え、105℃で2時間反応させた。70℃で溶媒を減圧留去した後にアセトニトリル100部で洗浄した。その後、70℃で溶媒を減圧留去し、ポリシロキサン中間体(a3−1)を得た。GPCによる分析の結果、ポリシロキサン中間体(a3−1)の質量平均分子量は、Mw=4300であった。
合成例2で得たポリシロキサン中間体(a3−1)100部をトルエン200部に溶かし、エポキシ化合物である3−ビニル−7−オキサビシクロ〔4,1,0〕ヘプタン19部を加え、105℃で2時間攪拌した。70℃で溶媒を減圧留去した後にアセトニトリル100部で洗浄し、その後、70℃で溶媒を減圧留去し、ケイ素化合物(A−1)を得た。GPCによる分析の結果、ケイ素化合物(A−1)の質量平均分子量はMw=4800であり、環状シリコーン部位の含有量は20質量%であった。
さらに、上記の合成例1〜3において、加水分解および重合の条件を変更することにより、直鎖シリコーン部位の分子量を調整して、ケイ素化合物(A−1)と同じ骨格で、環状シリコーン部位の含有量が異なる7種のケイ素化合物(それぞれ環状シリコーン部位の導入量が5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%のもの)を作成した。
上記合成例で得た各ケイ素化合物 99質量部、及び4-イソプロピル-4'-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート 1質量部を混合し硬化性組成物を得た。
ガラスファイバとして、石英を主成分とするコア径が9.1μm、クラッド径が125μm、比屈折率差が0.42%の純石英コア光ファイバを使用した。そして、該ガラスファイバの外周面を、紫外線硬化性樹脂組成物を紫外線照射によって硬化させてなる内側被覆層にて被覆し、次いで内側被覆層の外周面を紫外線硬化型樹脂組成物を紫外線照射によって硬化させてなる外側被覆層で被覆し、下記実施例1〜5、比較例1〜3の光ファイバを得た。いずれにおいても内側被覆層の外径を200μm、外側被覆層の外径を245μmとした。尚、実施例1、比較例1、2については単層の構成とし、内側被覆層を形成せずにガラスファイバの外周面に外側被覆層を外径200μmとなるように形成して作成した。
光ファイバ心線の評価は以下のように行った。結果を表1に示す。
光ファイバ10mを約φ160の束状態にし、200℃に保持した恒温槽に投入して劣化を観察した。90日以上、光ファイバ被覆にクラックや剥がれが発生しなかったものを○、それを満たせなかった場合は×をつけた。
標線500mm、引張速度25mm/min、N=15で光ファイバの引張強度を試験した。光ファイバを200℃に90日置き、その前後で光ファイバの引張強度を測定して残率を求めた。引張強度のメジアンが残率90%を維持したものを○、それを満たせなかった場合は×をつけた。
280φの光ファイバ束を1km用意して恒温槽に投入し、OTDRにて初期状態(200℃劣化開始直後)から経時後(90日)の損失変化を評価した。損失測定は波長1.55umのOTDR測定機で実施した。
伝送損失の評価基準
◎ 伝送損失変化が0.05dB/km未満を保持した場合
○ 伝送損失変化が0.05〜0.10dB/km
× 伝送損失変化が0.10dB/kmを超える場合
硬化状態については、硬化条件:高圧水銀灯(10mW/cm2、@365nm)を用い、100秒間、照射し、120℃×10分間ポストベイクし、試験片を粉末状シリカゲル(和光純薬社製、商品名:ワコーゲルC−100)の入った容器に、全体が埋まるまで入れた。この試験片を、ガラス板上に10cmの高さから硬化面が垂直になるように3回落下させた。この後、800nmの光の透過率を測定した。この透過率が低いほど表面のタックがあることを示す。なお、シリカゲル付着前の試験片の800nmの光の透過率は、いずれも99%以上であった。
タック性の評価基準
◎ 透過率が90%以上
○ 透過率が70〜89%以上
× 透過率が69%以下
耐熱性は、上記クラック試験、引張試験、伝送損失評価のいずれも○以上であるものを合格と判定した。
Claims (3)
- コア部とクラッド部とからなるガラスファイバの外周上にケイ素化合物を含むエネルギー硬化型樹脂組成物を架橋してなる被覆層を有する光ファイバであって、
最外層の被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物に含まれるケイ素化合物が下記一般式(1)で表され、環状シリコーン部位の含有量が10〜30質量%であるケイ素化合物であることを特徴とする光ファイバ。
(式中、R1は、メチル基又はフェニル基を表わし、mは1〜350の数を表わし、nは1〜150の数を表わす。但し、mを繰り返し数とする重合部位とnを繰り返し数とする重合部位におけるメチル基とフェニル基の含有量がモル比で70:30〜90:10であり、mを繰り返し数とする重合部位と、nを繰り返し数とする重合部位とは、ブロック状であってもランダム状であってもよい。) - 前記被覆層が内側被覆層と外側被覆層の2層から構成され、
前記外側被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物には、前記一般式(1)で表され、環状シリコーン部位の含有量(質量%)が10〜30質量%のケイ素化合物が含まれ、
前記内側被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物には、前記一般式(1)で表され、環状シリコーン部位の含有量(質量%)が5〜20質量%のケイ素化合物が含まれ、
前記内側被覆層に含まれるケイ素化合物の環状シリコーン部位の含有量が前記外側被覆層に含まれるケイ素化合物における環状シリコーン部位の含有量よりも少ないことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。 - 前記内側被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物に含まれるケイ素化合物の環状シリコーン部位の含有量が、前記外側被覆層のエネルギー硬化型樹脂組成物に含まれるケイ素化合物の環状シリコーン部位の含有量よりも5質量%以上少ないことを特徴とする請求項2記載の光ファイバ。
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