JP5528387B2 - ローリングピストン型圧縮機 - Google Patents

ローリングピストン型圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP5528387B2
JP5528387B2 JP2011087345A JP2011087345A JP5528387B2 JP 5528387 B2 JP5528387 B2 JP 5528387B2 JP 2011087345 A JP2011087345 A JP 2011087345A JP 2011087345 A JP2011087345 A JP 2011087345A JP 5528387 B2 JP5528387 B2 JP 5528387B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vane
rotor
rolling piston
cylindrical wall
receiving groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011087345A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012219738A (ja
Inventor
和秀 内田
善則 村瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Denso Corp
Nippon Soken Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Nippon Soken Inc filed Critical Denso Corp
Priority to JP2011087345A priority Critical patent/JP5528387B2/ja
Publication of JP2012219738A publication Critical patent/JP2012219738A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5528387B2 publication Critical patent/JP5528387B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Description

本発明は、ベーン背圧力を圧縮機の回転角に応じて可変させて、圧縮機を高速化しても、ベーンと圧縮用ロータの接触力を過不足なく維持できるようにしたローリングピストン型圧縮機に関する。
家庭用ルームエアコン用圧縮機としてローリングピストン型圧縮機は、効率の高さや、コスト競争力に優れているため、これまで広く使用されてきている。このようなローリングピストン型圧縮機の一例としては、特許文献1(一段型)や特許文献2(図6〜7、2段型)などが挙げられる。
図1は、従来のローリングピストン型圧縮機を模式的に示した概略図である。
ローリングピストン型圧縮機においては、作動室の吸入側空間80−1(圧力Ps、81は吸入通路)と、圧縮室である吐出側空間80−2(圧力Pc、82は吐出通路)とを仕切るベーン14が用いられている。このベーン14は圧縮作動中、圧縮用ロータ5の動き(シリンダ8の内周面8’をロータ5が公転する)に追従して上下動を行っている。このベーン14には、ロータ5とのシールの役割があり、ロータ5の動きに対して離れることの無いように、背圧室16においてバネ15と背圧とが付加されている。
ロータ5と接触、摺動するベーン14は、ローリングピストン型圧縮機の効率、信頼性の主要なポイントの一つである。一般的にベーン14の背面に高圧を付勢させることでベーン14をロータ5に接触させ、シール力を確保し、圧縮機の高効率化を実現している。このシール力に大きな影響を与えるもう一つの要因として、ベーン慣性力がある。このベーン慣性力は、圧縮機の回転角に応じ、シール力を増大させたり、減少させたりする。慣性力が過剰に作用するときには、ベーン14とロータ5の接触面圧が高圧となり、ベーン14あるいはロータ5が磨耗してしまう。
また、慣性力が不足すれば、ベーンは1つのシリンダ8の中にできる2つの作動室を仕切る仕切り板の役割をしているため、この仕切り板(ベーン14)がロータ5から離れて圧縮していた冷媒が他方の作動室へ流出し、最悪冷媒を吐き出すことができなってしまう。つまり、慣性力が過剰に作用すれば、信頼性が低下し、不足すれば、効率低下につながるのである。
特許文献3には、ベーンとロータとの相互形状を限定して摺動部負荷を低減させた従来技術が開示されている。また、特許文献4には、ベーンの一部に段差を設け、背圧を変えることでベーン全体にかかる背圧力を変える従来技術が開示されている。これらの従来技術はいずれも、圧縮機の回転角に関わらず、常に同じ背圧をベーン背面に作用させる構成であって、ベーン背圧力を圧縮機の回転角に応じて可変させるようにしたものではない。
今後、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド)、HV(ハイブリッド自動車)用のヒートポンプへ、ローリングピストン型圧縮機を適用することを考えると、圧縮機の更なる高速化が予想され、これまでの従来技術の延長線上では、ベーンと圧縮ロータの接触力を適切に対応することができなかった。
特開2008−075637号公報 特開2006−275041号公報 特開平08−151988号公報 特開平08−014175号公報
本発明は、上記問題に鑑み、ベーン背圧力を圧縮機の回転角に応じて可変させて、圧縮機を高速化しても、ベーンと圧縮用ロータの接触力を過不足なく維持できるようにしたローリングピストン型圧縮機を提供するものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、駆動軸(1)に対して偏心して設置されたクランク部(11)、クランク部(11)の外周に装着されたロータ(5)、シリンダ(8)、前記ロータ(5)と前記シリンダ(8)間に形成された作動室(80)の吸入側と吐出側とを仕切るベーン(14)、及び、該ベーン(14)に背圧を与える背圧室となるベーン受入溝(85)とを具備し、前記ロータ(5)が、前記シリンダ(8)の内面(8’)を公転方向に公転して、前記作動室(80)内の作動流体を圧縮するローリングピストン型圧縮機であって、前記ベーン受入溝(85)と、前記ベーン受入溝(85)に沿って往復動する前記ベーン(14)とが、それぞれ、吐出側に凸な円弧状の断面形状を有しており、前記ロータ(5)が上死点に来た時に、前記ベーン(14)に公転方向の回転モーメントを発生させて前記ベーン(14)の受圧面積を増加させ、前記ロータ(5)が下死点に来た時に、前記ベーン(14)に反公転方向の回転モーメントを発生させて、前記ベーン(14)に、前記ベーン(14)に働く慣性力と反対方向の背圧力の合力を発生させたローリングピストン型圧縮機において、前記ロータ(5)に対する前記ベーン(14)の接触部(14−5)が、前記シリンダ(8)の内面(8’)に沿って延びた、折れ曲り端部(14−5’)を有することを特徴とするローリングピストン型圧縮機である。
これにより、ベーン背圧力を圧縮機の回転角に応じて可変させて、圧縮機を高速化しても、ベーンと圧縮用ロータの接触力を過不足なく維持できる。すなわち、駆動軸の回転数が高速になっても、ベーンがロータに押圧する力が過大となることがなく、摺動損失増大や焼付けなどの不都合が発生しない。また、ベーンとロータ間のシール圧を、高速になっても適切に維持することができる。
上記効果に加えて、ベーンとロータ間の接触部の面積を大きくして、接触面圧と潤滑特性を大幅に改善するとともに、摺動抵抗も大幅に低減することができる。
請求項の発明は、請求項の発明において、前記ベーン(14)の内外周面(14−2、14−3、14−4)が、同一の第1回転中心線(O3)を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記ベーン受入溝(85)の円筒壁面(85−2、85−3、85−4)が、同一の第2回転中心線(O2)を有することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1からのいずれか1項記載の発明において、前記ベーン受入溝(85)の円筒壁面のうちで、前記折れ曲り端部(14−5’)を収納する第1空隙部(S1)が構成されるように、第3円筒壁面(85−3)が設けられたことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項の発明において、前記ベーン受入溝(85)の円筒壁面のロータ側に、他の円筒壁面(85−2)の半径(R2)より大きい、前記第2回転中心線(O2)からの距離(R1)にある第1円筒状壁面(85−1)が設けられたことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項記載の発明において、前記ベーン(14)の外周面のロータ側に、最大半径(r2)より小さい、前記第1回転中心線(O3)からの距離(r1)にある第1外周状面(14−1)が設けられたことを特徴とする。
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
従来のローリングピストン型圧縮機を模式的に示した概略図である。 (a)は、本発明のベーンの一実施形態が適用されたローリングピストン型圧縮機の正面断面図であり、(b)は、A−A線に関する側面断面図である。 (a)は、ベーン14の形状を、一例として示す平面図であり、(b)は、ベーン受入溝85の形状を、一例として示すシリンダの断面図である。 ロータ5が上死点に来たときの本発明の実施形態の説明図である。 ロータ5が下死点に来たときの本発明の実施形態の説明図である。 本発明のベーンの慣性力を示すグラフである。 本発明の一実施形態におけるベーンにかかる力を説明した説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本発明のベーンを、特許文献1とほぼ同様なローリングピストン型圧縮機に適用した場合の一実施形態について説明するが、これに限定されるものではなく、2段型のローリングピストン型圧縮機であってもよい。本発明のベーンは幅広くローリングピストン型圧縮機の全てに適用可能なものである。
また、本発明のベーンが適用されたローリングピストン型圧縮機は、EV、PHV、HV用エアコンに留まらず、家庭用ルームエアコン、冷蔵庫などにも広く用いることができる。本発明は、特に高速回転のローリングピストン型圧縮機において効果を発揮するものである。
まず、本発明のベーンが一実施形態として適用されたローリングピストン型圧縮機について、その概要を説明する。図2(a)は、本発明の一実施形態として適用されるローリングピストン型圧縮機の正面断面図であり、(b)は、A−A線に関する側面断面図である。図2(a)は、ローリングピストン型圧縮機の部分だけを一部取出した図であって、駆動軸1は左側で端部が発生しているが、左に長く延びたシャフトとして、電動モータを内部に内蔵した密閉型圧縮機を構成してもよい。
まず、図2(a)、(b)を参照して、本発明のベーンが一実施形態として適用されたローリングピストン型圧縮機を説明する。
ローリングピストン型圧縮機は、ロータ5、扁平円筒状のシリンダ8、ロータ5を駆動する駆動軸部である駆動軸1から構成されている。図示していない電動機に連結している駆動軸1が回転すると、駆動軸1の軸に対してクランク部11が偏心して設置されているので、ロータ5が公転する。それにつれて、シリンダ8とロータ5との間の作動室80が、図2(b)において、時計回りに変位して、作動室80内部の作動流体が圧縮される。
シリンダ8の両端部には、フロントハウジング3とリアハウジング4とが設けられ、それらが、作動室80の両端壁30、40を形成している。リアハウジング4のシリンダ8側と反対側の端部にはリアプレート7が設置されて、両者間の内部に吐出室70が形成されている。
ロータ5は、扁平円筒状で、その外径がシリンダ8の内径より小さく設定されており、作動室80内に挿入されている。駆動軸1は、フロントハウジング3とリアハウジング4にそれぞれ固定された軸受部31、41に回転可能に支持されており、電動機により回転される。駆動軸1は、この駆動軸1に対して偏心した円形のクランク部11を有し、このクランク部11の外周にロータ5が摺動可能に装着されている。これにより、駆動軸1の回転に伴って、ロータ5が作動室80内を公転するようになっている。
ロータ5の外周部には、ロータ5に摺動可能であって、ロータ5に当接するベーン14が設けられている。ベーン14はシリンダ8に形成された円弧状のベーン受入溝85に挿入されている。図示しない貯油室からほぼ定圧の高圧潤滑油が、ベーン受入溝85内に供給されている。受入溝85内の潤滑油は定圧でなくある程度変動しても良い。なお、ベーン受入溝85内にはベーン14をロータ5の中心側に向けて付勢するように、さらにバネ15を配設しても良い。
図3(a)は、ベーン14の形状を、一例として示す平面図であり、(b)は、ベーン受入溝85の形状を、一例として示すシリンダの断面図である。ベーン14は、図3(a)の紙面に垂直方向に一定の幅(ベーン幅Bという)を有して円筒板状に形成されているとともに、図3(a)の平面図において、湾曲したベーン板厚(後述するr3−r4など)を有している。
ベーン14は、いわば、円筒面の一部の如く湾曲に形成されており、第1外周状面14−1、第2外周面14−2、第3外周面14−3、内周面14−4、ロータ5との接触部14−5から構成されている。第1外周状面14−1は略円弧面で構成されているが(これに限定されるものではない)、第2外周面14−2、第3外周面14−3、内周面14−4はいずれも円弧面で構成されており、同一の中心線O3(第1回転中心線)を有している。第2外周面14−2、第3外周面14−3、内周面14−4の中心線O3からの半径を、それぞれ、r2、r3、r4としたとき、r2が最大半径となっている。中心線O3と第1外周状面14−1との距離をr1とする。r1は、円弧以外のときは当該面内の最大距離を表わす。
一方、ベーン受入溝85も、クリアランスを持ってベーン14の形状に合わせた空隙が、湾曲に形成されている。第1円筒状壁面85−1は略円弧面で構成されている(これに限定されるものではない)が、第2円筒壁面85−2、第3円筒壁面85−3、第4円筒壁面85−4はいずれも円弧面で構成されており、同一の中心線O2(第2回転中心線)を有している。第2円筒壁面85−2、第3円筒壁面85−3、第4円筒壁面85−4の中心線O2からの半径を、それぞれ、R2、R3、R4としたとき、中心線O2と第1円筒状壁面85−1との距離R1は、R2より、若干大きめに形成され、R3は、ロータ5との接触部14−5の折れ曲り端部14−5’が収納されるように、R4より半径が小さく作られている。R1は、円弧以外のときは第1円筒状壁面内の最小距離を表わす。
半径r2の第2外周面14−2の延長面と、第1外周状面14−1との間に第3空隙部S3が形成されている。
半径R2の第2円筒壁面85−2の延長面と、第1円筒状壁面85−1との間に第2空隙部S2が形成されている。また、半径R3の第3円筒壁面85−3と、半径R4の第4円筒壁面85−4との接続部には段差部が形成されている。半径R4の第4円筒壁面85−4の延長面と、半径R3の第3円筒壁面85−3との間に第1空隙部S1が形成されている。第1空隙部S1は、折れ曲り端部14−5’の移動軌跡長さよりも大きめに形成されており、ベーン14に背圧を及ぼすことができるようになされている。
第1空隙部S1と第2空隙部S2が設けられていれば、第1外周状面14−1、第2外周面14−2、第3外周面14−3が同一半径であっても実施可能である。ベーン受入溝85のR2、R4に対して、それぞれ、r2、r4は所定のクリアランスが設けられており、ベーン14がベーン受入溝85に沿って円滑に往復動することができるようになされている。扁平形状のシリンダ8における、ベーン受入溝85の複雑な形状は、ワイヤーカット放電などで加工して、その後仕上げ加工すればよい。
図2(b)に見られるように、ベーン14は、ロータ5の公転に伴って、背圧を受けながら円弧状のベーン受入溝85内を摺動する。ベーン14のロータ5との接触部14−5がロータ5の外周面に常に当接するように維持されて、作動室80を吸入側空間80−1と吐出側空間80−2とに区画する。このようにして、作動室80内に、ロータ5の外周面5’およびシリンダ8の内周面8’とベーン14とによってポンプ作動室が形成される。
シリンダ8には、ベーン14に近接して、このベーン14を挟むように、作動室80に連通する吸入通路81、および吐出通路82が形成されている。リアハウジング4には、吸入ポート42が形成されており、この吸入ポート42は、シリンダ8の吸入通路81に連通している。これにより、吸入ポート42から吸入された作動流体は吸入通路81を通って作動室80に流入するようになっている。シリンダ8の吐出通路82はリアハウジング4に形成された連通路(図示せず)を介して吐出室70に連通しており、吐出通路82および連通路に連通した吐出室70内の開口部には逆止弁17が設けられている。吐出室70は、作動室80から吐出される作動流体の脈動を平滑化する機能を有するもので、吐出室70の反リアハウジング4側端面には、作動流体を吐出するための吐出ポート71が設けられている。
本実施形態は、駆動軸1に対して偏心して設置されたクランク部11、クランク部11の外周に装着されたロータ5、シリンダ8、及び、ベーン14を具備するローリングピストン型圧縮機であって、ロータ5が、シリンダ8の内周面8’を公転して、作動室80内の作動流体を圧縮するローリングピストン型圧縮機に適用したものである。
本実施形態は、ベーン背圧力を圧縮機の回転角に応じて可変させることで、圧縮機を高速化してもベーン14とロータ5の接触力を過不足なくできるようにしたものである。
ベーン14とロータ5の接触力が、駆動軸1の軸心O1に対して、クランク部11の軸心O4位置の回転角θ(圧縮機の回転角)に応じて、どのように変化するのかを説明する前に、まず、ベーンにかかる背圧力と慣性力について説明する。
図4は、ロータ5が上死点に来たときの本発明の実施形態の説明図である。図5は、ロータ5が下死点に来たときの本発明の実施形態の説明図である。図6は、本発明のベーンの慣性力を示すグラフである。図7は、本発明の一実施形態におけるベーンにかかる力を説明した説明図である。
ロータ5が上死点に来たときを回転角θ=0°とする。したがって、ロータ5が下死点に来たときは、回転角θ=180°である。本実施形態では、ベーン14とローラ5との接触点が駆動軸1の軸心O1に対して偏心しているので、厳密には、ロータ5が上死点とベーン14の上死点は一致していないが、概ね一致していると考えてよいので、概念的に説明する上では、ベーン14が上死点に来たときも回転角θ=0°として説明を進める。
図4は、ロータ5が上死点に来て、これから時計回りに公転を開始する状態(0deg.)を示している。ベーン14には、後述するように、時計回りの回転モーメントが発生して、点X4、X5でベーン受入溝85の円筒壁面に当接する。なお、X5は、ベーン14の内周面14−4と、ベーン受入溝85の第4円筒壁面85−4との接点の場合もありうる。
このとき、ベーン14には、X4からX5に亘って圧力Pd(背圧力)が作用する。X4、X5は各室の仕切り部(封止部)として機能する。0deg.においては、吐出が終了して、吸入室圧力Psがベーン14の下方(図4の紙面下方)に作用していることから、ベーン14は、下方に向けた差圧力(背圧力の合力)F1’’=L5*B*(Pd−Ps)が作用することになる(L5は、図4に示すように、O1を原点としたx−y座標における、X4とX5間のx軸方向長さ、Bは、ベーン幅で、図3(a)の紙面に垂直方向の幅)。
このため、通常のベーンの板厚(円筒状のベーンを平らに伸ばしたとした場合の板厚、図3(a)参照)以上の受圧面積を稼ぐことで背圧力をアップすることができる。
図5は、時計回りに圧縮を行って、ロータ5が下死点に来た状態(180deg.)を示している。ベーン14には、後述するように、0deg.とは逆に、反時計回りの回転モーメントが発生する。点X1で、ベーン14の接触部14−5とロータ5が接触している。図5に示すように、X2、X3でベーン受入溝85の円筒壁面に当接する。このとき、ベーン14には、X2からX3に亘って圧力Pd(背圧力)が作用する。吐出側は、やや高圧の圧力Pcとなっている。したがって、下方に向けた差圧力F1=L2*B*(Pd−Pc)が作用している。また、X1からX2に亘っては、上方に、差圧力F1’=L1*B*(Pc−Ps)が作用する。図5に示すように、既に、作動室の吐出側は高圧になっているので、F1’は大きな力として作用する。差圧力F1と差圧力F1’の合力(背圧力の合力)は、上方に作用するように各寸法、形状、圧力を設定する。
図6は、本発明のベーンの慣性力を示すグラフである。
図5において、差圧力F1、F1’に対して、慣性力F3は、ロータ5が下死点に来た状態(180deg.)で下方に最大となる。駆動軸1の回転数が高速になると、慣性力F3が下方に増大して、ベーン14がロータ5に押圧する力が過大となり、摺動損失増大や焼付けなどの不都合が発生する。このような場合に、本実施形態では、差圧力F1’−F1が上方に作用するので、ベーン14とロータ5間のシール圧を、高速になっても適切に維持することができるのである。
同様に、図4の場合、慣性力F3’’は、ロータ5が上死点に来た状態(0deg.)で上方に最大となる。回転数アップで慣性力F3が上方に増大すると、ベーン14がロータ5に押圧する力が不足することが起こりうる。本実施形態では、差圧力F1’’が充分下方に作用するので、ベーン14とロータ5間のシール圧を、適切に維持することができる。
以上説明したように、ベーン14を円弧形状とし、回転角毎にベーン支持点を移動させることで、背圧をコントロールすることができるのである。ロータ5が上死点に来た時に、ベーン14に公転方向の回転モーメントを発生させてベーン14の受圧面積を増加させ、ロータ5が下死点に来た時に、ベーン14に反公転方向の回転モーメントを発生させて、ベーン14に、慣性力と反対方向の背圧力の合力を発生させて、ロータ5の回転角に応じて背圧力を可変させたことを特徴としている。
次に、ベーンの上死点と下死点での挙動を説明する。図7は、本発明の一実施形態におけるベーンにかかる力を説明した説明図である。ベーン14のベーン受入溝内での支持点(前述の仕切り部)は、ベーンの回転中心O2周りに作用する荷重による回転モーメントで決まる。
0deg.ではベーンの回転中心O2周りには、垂直方向差圧力F1’’と水平方向差圧力F2’’と、ベーン慣性力F3’’の3つの力が作用している。そもそも、F1’’≒F3’’を狙っていることから、ベーンの回転中心O2周りの回転モーメントはF2が支配的となる。よって、ベーン14には時計回りの回転モーメントが作用するため、図4のようなベーン支持点X4、X5となる。
180deg.でも同様に、ベーンの回転中心O2周りには、垂直方向差圧力F1、F1’と水平方向差圧力F2、F2’と、ベーン慣性力F3の4つの力が作用している。ここでもF1’−F1≒F3を狙っていることから、ベーンの回転中心O2周りの回転モーメントはF2、F2’が支配的となる。図5のL4、L3を参照して、水平差圧力F2=L4*B*(Pd−Pc)、水平差圧力F2’=L3*B*(Pc−Ps)である。
ベーンには反時計回りの回転モーメントが作用するようになるので、図5のようなベーン支持点X1、X2、X3となる。
本実施形態では、図4、5において、ベーン受入溝85の各円筒壁面の中心線O2と駆動軸1の軸心O1とが、y軸上にある場合で説明したが、これに限定されず、図4、5で左側の吐出通路側にオフセットしていても良い(図4、5において、ベーン14の左側に吐出通路82があり、右側には吸入通路81がある)。ベーンの円弧中心O3は、駆動軸1の軸心O1(シリンダ中心)に対し、吐出通路側にオフセットすることになる。
その他の実施形態として、ベーン受入溝85の円筒壁面のうちで、折れ曲り端部14−5’を収納する第1空隙部S1が構成されるように、第3円筒壁面85−3が設ける。また、ベーン受入溝85の円筒壁面のロータ側に、他の円筒壁面85−2の半径R2より大きい、前記第2回転中心線(O2)からの距離R1にある第1円筒壁状面85−1を設けるようにして、第2空隙部S2を設けても良い。さらに、ベーン14の外周面のロータ側に、最大半径r2より小さい、前記第1回転中心線(O3)からの距離r1にある第1外周状面14−1を設けるようにして、第3空隙部S3を設けても良い。第2、第3空隙部は、両方設けても良いが、いずれか一方のみ設けても実施可能である。
5 ロータ
8 シリンダ
14 ベーン
14−1 第1外周状面
14−2 第2外周面
14−3 第3外周面
14−4 内周面
80 作動室
85 ベーン受入溝
85−1 第1円筒状壁面
85−2 第2円筒壁面
85−3 第3円筒壁面
85−4 第4円筒壁面

Claims (6)

  1. 駆動軸(1)に対して偏心して設置されたクランク部(11)、クランク部(11)の外周に装着されたロータ(5)、シリンダ(8)、前記ロータ(5)と前記シリンダ(8)間に形成された作動室(80)の吸入側と吐出側とを仕切るベーン(14)、及び、該ベーン(14)に背圧を与える背圧室となるベーン受入溝(85)とを具備し、前記ロータ(5)が、前記シリンダ(8)の内面(8’)を公転方向に公転して、前記作動室(80)内の作動流体を圧縮するローリングピストン型圧縮機であって、
    前記ベーン受入溝(85)と、前記ベーン受入溝(85)に沿って往復動する前記ベーン(14)とが、それぞれ、吐出側に凸な円弧状の断面形状を有しており、
    前記ロータ(5)が上死点に来た時に、前記ベーン(14)に公転方向の回転モーメントを発生させて前記ベーン(14)の受圧面積を増加させ、
    前記ロータ(5)が下死点に来た時に、前記ベーン(14)に反公転方向の回転モーメントを発生させて、前記ベーン(14)に、前記ベーン(14)に働く慣性力と反対方向の背圧力の合力を発生させたローリングピストン型圧縮機において、
    前記ロータ(5)に対する前記ベーン(14)の接触部(14−5)が、前記シリンダ(8)の内面(8’)に沿って延びた、折れ曲り端部(14−5’)を有することを特徴とするローリングピストン型圧縮機。
  2. 前記ベーン(14)の内外周面(14−2、14−3、14−4)が、同一の第1回転中心線(O3)を有することを特徴とする請求項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  3. 前記ベーン受入溝(85)の円筒壁面(85−2、85−3、85−4)が、同一の第2回転中心線(O2)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のローリングピストン型圧縮機。
  4. 前記ベーン受入溝(85)の円筒壁面のうちで、前記折れ曲り端部(14−5’)を収納する第1空隙部(S1)が構成されるように、第3円筒壁面(85−3)が設けられたことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  5. 前記ベーン受入溝(85)の円筒壁面のロータ側に、他の円筒壁面(85−2)の半径(R2)より大きい、前記第2回転中心線(O2)からの距離(R1)にある第1円筒状壁面(85−1)が設けられたことを特徴とする請求項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  6. 前記ベーン(14)の外周面のロータ側に、最大半径(r2)より小さい、前記第1回転中心線(O3)からの距離(r1)にある第1外周状面(14−1)が設けられたことを特徴とする請求項に記載のローリングピストン型圧縮機。
JP2011087345A 2011-04-11 2011-04-11 ローリングピストン型圧縮機 Expired - Fee Related JP5528387B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011087345A JP5528387B2 (ja) 2011-04-11 2011-04-11 ローリングピストン型圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011087345A JP5528387B2 (ja) 2011-04-11 2011-04-11 ローリングピストン型圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012219738A JP2012219738A (ja) 2012-11-12
JP5528387B2 true JP5528387B2 (ja) 2014-06-25

Family

ID=47271518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011087345A Expired - Fee Related JP5528387B2 (ja) 2011-04-11 2011-04-11 ローリングピストン型圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5528387B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5489515U (ja) * 1977-12-06 1979-06-25
JPS60175791A (ja) * 1984-02-22 1985-09-09 Nippon Soken Inc ロ−リングピストン型回転式流体機械

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012219738A (ja) 2012-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109690085B (zh) 涡旋式压缩机
US7534100B2 (en) Rotary fluid machine
JP4862925B2 (ja) ロータリ圧縮機
US9157437B2 (en) Rotary compressor with oiling mechanism
US8323009B2 (en) Rotary-type fluid machine
EP2613053B1 (en) Rotary compressor with dual eccentric portion
US10233928B2 (en) Two-cylinder hermetic compressor
WO2015087754A1 (ja) 圧縮機
KR102485660B1 (ko) 스크롤 압축기
JP5040934B2 (ja) 密閉型圧縮機
US10465684B2 (en) Rotary compressor
JP5528387B2 (ja) ローリングピストン型圧縮機
WO2018230437A1 (ja) スクロール圧縮機
KR101869316B1 (ko) 베인형 압축기
KR102201409B1 (ko) 로터리 압축기
US20170051739A1 (en) Rotary compressor
JP2012197725A (ja) ローリングピストン型圧縮機及びベーン
CN111720311A (zh) 旋转压缩机和制冷循环系统
WO2010013375A1 (ja) ロータリ圧縮機
JPWO2018138840A1 (ja) 回転圧縮機
KR101868193B1 (ko) 로터리 압축기
JP6731655B2 (ja) ロータリー式圧縮機
WO2013179677A1 (ja) ロータリ圧縮機
JP2017008826A (ja) 回転式圧縮機
JP2020012428A (ja) ロータリー圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130301

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140318

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5528387

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees