JP2012197724A - ローリングピストン型圧縮機 - Google Patents

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弘樹 石井
Kazuhide Uchida
和秀 内田
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陽一郎 河本
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Abstract

【課題】ベーンの軽量化を図り、高速化に対応したローリングピストン型圧縮機を提供する。
【解決手段】ロータが、シリンダの内周面を公転して、作動室内の作動流体を圧縮するローリングピストン型圧縮機において、作動室の吸入側と吐出側とを仕切るベーンの内部を、一端が開放した中空内周面に形成するとともに、前記シリンダに突設固定されたベーンガイドを、前記中空内周面に摺接させ、前記ベーンを、前記ロータの公転につれて、ベーンガイドに沿って往復動させて、前記中空内周面内の密閉空間の気体を、気体バネとして機能させたことを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、ベーンの軽量化を図り、高速化に対応したローリングピストン型圧縮機に関する。
家庭用ルームエアコン用圧縮機としてローリングピストン型圧縮機は、効率の高さや、コスト競争力に優れているため、これまで広く使用されてきている。このようなローリングピストン型圧縮機の一例としては、特許文献1(一段型)や特許文献2(図6〜7、2段型)などが挙げられる。
図1は、従来のローリングピストン型圧縮機を模式的に示した概略図である。
ローリングピストン型圧縮機においては、作動室の吸入側Ps(81が吸入通路)は、圧縮室Pを仕切るベーン14が用いられており、このベーン14は圧縮作動中、ロータ5の動き(シリンダ8の内周面8’をロータ5が公転する)に追従して上下動を行っている。このベーン14には、ロータ5とのシールの役割があり、ロータ5の動きに対して離れることの無いように、背圧室16においてバネ15と背圧を付加してある。
しかし、圧縮機が高回転になるとベーン14の往復運動も早くなり、ベーン14に働く慣性力が増大し、最悪の場合、背圧力やバネ15の押付け力以上となり、ベーン先端とロータ外周面との間が離れることで、性能の低下を引き起こすことがあった。これを解決するためにはバネ14を大型化させ押し付け力を増大させることが考えられるが、圧縮機の大型化を招くことになる。
このような問題に対して、特許文献3には、ベーンの内部に中空部を設けることでベーンの軽量化を図ることで慣性力を低減する方法が開示されている。この中空ベーンは、ロータとの接触面との反対側の非摺動面は、開放端となっており、ベーン内部を中空にすることで軽量化を図ったものである。しかし、圧縮機の高回転化が進む昨今においては、ベーンの軽量化だけでは不十分なのが現実である。そこで、図2に示すように、ベーン内部を中空にしてバネ14を大型化させることが考えられるが、やはり、圧縮機の大型化を招いてしまう。
近年、電動圧縮機に対する小型化の要請は益々高まってきており、小型化実現のためには、圧縮機がより高回転化することが求められている。このため、圧縮機の高回転化は、6000rpmを超えて、8000〜10000rpmを目指すようなレベルに来ており、今後EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド)、HV(ハイブリッド自動車)のヒートポンプへの適用を考えると、圧縮機の更なる高速化が予想され、これまでの設計の延長線上で対応できないのが現状であった。
特開2008−075637号公報 特開2006−275041号公報 特開平04−241790号公報
本発明は、上記問題に鑑み、ローリングピストン型圧縮機のベーンの軽量化を図り、高速化に対応した圧縮機を提供するものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ロータ(5)が、シリンダ(8)の内周面(8’)を公転して、作動室(80)内の作動流体を圧縮するローリングピストン型圧縮機において、作動室(80)の吸入側と吐出側とを仕切るベーン(14)の内部を、一端が開放した中空内周面(14−2)に形成するとともに、前記シリンダ(8)に突設固定されたベーンガイド(18−1)を、前記中空内周面(14−2)に摺接させ、前記ベーン(14)を、前記ロータ(5)の公転につれて、ベーンガイド(18−1)に沿って往復動させて、前記中空内周面(14−2)内の密閉空間(101)の気体を、気体バネとして機能させたことを特徴とするローリングピストン型圧縮機である。
これにより、ベーン内部を中空にすることで軽量化を図った上で、密閉空間に気体を封止することで、大きな押付け力を付加できる気体バネ機能を持たせたものであって、圧縮機の体格を大きくすること無く、圧縮機を高回転で作動させることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記中空内周面(14−2)と前記ベーンガイド(18−1)との間にシールを介在させたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、サイドフォースが発生する前記ベーン(14)の外側摺動面が、前記ベーン(14)の往復方向の全長(L2)にわたって、背圧室(16)を形成するベーン受入溝(85)内面に摺接するようにしたことを特徴とする。これにより、請求項1の発明の効果に加えて、ベーン14の外側摺動面を長く設定することができるので、単位面積当たりのサイドフォースを軽減でき、耐磨耗上の効果を得ることが出来る。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、前記密閉空間(101)に高圧ガスを封入したことを特徴とする。これにより、密閉空間に高圧ガスを封止することで、背圧室を不要として、大きな押付け力を付加できるので、圧縮機の体格を大きくすること無く、圧縮機をより高回転で作動させることができる。
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
従来のローリングピストン型圧縮機を模式的に示した概略図である。 ベーン内部を中空にしてバネを大型化させたベーン機構の概略図である。 (a)は、本発明のベーンの一実施形態が適用されたローリングピストン型圧縮機の正面断面図であり、(b)は、A−A線に関する側面断面図である。 (a)は、本発明のベーンの一実施形態を示す概略図であり、(b)は、当該ベーンの斜視図である。 本発明の別の実施形態を示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本発明のベーンを、特許文献1とほぼ同様なローリングピストン型圧縮機に適用した場合の一実施形態について説明するが、これに限定されるものではなく、2段型のローリングピストン型圧縮機であってもよい。本発明のベーンは幅広くローリングピストン型圧縮機の全てに適用可能なものである。
また、本発明のベーンが適用されたローリングピストン型圧縮機は、EV、PHV、HV用エアコンに留まらず、家庭用ルームエアコン、冷蔵庫などにも広く用いることができる。本発明は、特に高速回転のローリングピストン型圧縮機において効果を発揮するものである。
まず、本発明のベーンが一実施形態として適用されたローリングピストン型圧縮機について、その概要を説明する。図3(a)は、本発明の一実施形態として適用されるローリングピストン型圧縮機の正面断面図であり、(b)は、A−A線に関する側面断面図である。図3(a)は、ローリングピストン型圧縮機の部分だけを一部取出した図であって、シャフト1は左側で端部が発生しているが、左に長く延びたシャフトとして、電動モータを内部に内蔵した密閉型圧縮機を構成してもよい。
まず、図3(a)、(b)を参照して、本発明のベーンが一実施形態として適用されたローリングピストン型圧縮機を説明する。
ローリングピストン型圧縮機は、ロータ5、扁平円筒状のシリンダ8、ロータ5を駆動する駆動軸部であるシャフト1から構成されている。図示していない電動機に連結しているシャフト1が回転すると、シャフト1の軸に対してクランク部11が偏心して設置されているので、ロータ5が公転する。それにつれて、シリンダ8とロータ5との間の作動室80が、図3(b)において、反時計回りに変位して、作動室80内部の作動流体が圧縮される。
シリンダ8の両端部には、フロントハウジング3とリアハウジング4とが設けられ、それらが、作動室80の両端壁30、40を形成している。リアハウジング4のシリンダ8側と反対側の端部にはリアプレート7が設置されて、両者間の内部に吐出室70が形成されている。
ロータ5は、扁平円筒状で、その外径がシリンダ8の内径より小さく設定されており、作動室80内に挿入されている。シャフト1は、フロントハウジング3とリアハウジング4にそれぞれ固定された軸受部31、41に回転可能に支持されており、電動機により回転される。シャフト1は、このシャフト1に対して偏心した円形のクランク部11を有し、このクランク部11の外周にロータ5が摺動可能に装着されている。これにより、シャフト1の回転に伴って、ロータ5が作動室80内を公転するようになっている。
ロータ5の外周部には、ロータ5の半径方向に摺動可能として、ロータ5に当接するベーン14が設けられている(図3(b)のベーン14は、模式的に表示されており、詳細は後述する)。ベーン14はシリンダ8に形成されたベーン受入溝85に保持されており、ベーン受入溝85内にはベーン14をロータ5の中心側に向けて付勢するバネ15が配設されている。同時に、図示しない貯油室から高圧潤滑油が、ベーン受入溝85内に供給されている。
後述するように、本発明では、背圧としての潤滑油を背圧室16に供給しなくても実施可能である。ベーン受入溝85内、及び、背圧室16の潤滑油は定圧であっても、定圧でなく変動しても良い。ベーン14は、ロータ5の公転に伴ってベーン受入溝85内を摺動する。ベーン14のロータ5との接触部14−1がロータ5の外周面に常に当接するように維持されて、作動室80を吸入側空間80−1と吐出側空間80−2とに区画する。このようにして、作動室80内に、ロータ5の外周面5’およびシリンダ8の内周面8’とベーン14とによってポンプ作動室が形成される。
シリンダ8には、ベーン14に近接して、このベーン14を挟むように、作動室80に連通する吸入通路81、および吐出通路82が形成されている(図1とは左右逆、ロータは反時計回り)。リアハウジング4には、吸入ポート42が形成されており、この吸入ポート42は、シリンダ8の吸入通路81に連通している。これにより、吸入ポート42から吸入された作動流体は吸入通路81を通って作動室80に流入するようになっている。シリンダ8の吐出通路82はリアハウジング4に形成された連通路(図示せず)を介して吐出室70に連通しており、吐出通路82および連通路に連通した吐出室70内の開口部には逆止弁17が設けられている。吐出室70は、作動室80から吐出される作動流体の脈動を平滑化する機能を有するもので、吐出室70の反リアハウジング4側端面には、作動流体を吐出するための吐出ポート71が設けられている。
本実施形態は、駆動軸1に対して偏心して設置されたクランク部11、クランク部11の外周に装着されたロータ5、シリンダ8、及び、ベーン14を具備するローリングピストン型圧縮機であって、ロータ5が、シリンダ8の内周面8’を公転して、作動室80内の作動流体を圧縮するローリングピストン型圧縮機に適用したものである。
図4(a)は、本発明のベーンの一実施形態を示す概略図であり、(b)は、当該ベーンの斜視図である。図4を参照して、一実施形態であるベーン14を説明する。
本発明のベーン14は、ベーンの内部に中空内周面14−2を形成して、その密閉空間101に気体を封止することで、大きな押付け力を付加するバネ機能を持たせたものであって、圧縮機の体格を大きくすること無く、ベーンの慣性力も低減できることを狙ったものである。
図4(a)に見られるように、シリンダ8には、ベーンガイド18−1が突設している。本実施形態では、ねじ部18−2、ボルト頭18−3で、ベーンガイド18−1がシリンダ8に固定されているが、これに限定されるものではなく、圧入や溶接などでシリンダに固定しても良い。作動室80の吸入側と吐出側とを仕切るベーン14の内部は、一端が開放した中空内周面14−2に形成されている。この中空内周面14−2に、ベーンガイド18−1を嵌入させて、内部に密閉空間101を形成するものである。ベーン14とベーンガイド18−1とが、ピストンシリンダを構成している。
ベーンガイド18−1の下方部には、シール102が設けられている。シール102にはOリングが用いられているが、これに限定されず、周知のリップパッキンなど適宜使用することができる。ベーンを取り囲む周囲(ベーン受入溝85)が、高圧の潤滑油で充満している場合には、シールにより密閉空間101内に潤滑油が進入しないようにしなければならない。密閉空間101内に潤滑油が充満すると、空気バネが機能しなくなるので、背圧室に高圧がかかっている場合にはシールが必要である。
本実施形態では、密閉空間101内に封入するガス圧を高圧にすることができるので、背圧室16には必ずしも圧力をかける必要は無い。適宜、ベーン14がロータ5に所定の接触圧が発生するように、背圧室16の圧力や封入するガス圧などを設定すれば良い。
これにより、ベーン内部を中空にすることで軽量化を図った上で、ロータ5の高回転に対応して発生する慣性力に対しても、ベーンの接触面14−1とロータ5とを所定の密閉空間101に生じた気体バネで押圧するので、圧縮機を高回転で作動させることができる。
さらに、ローリングピストン型圧縮機では、図1において、ロータ5は時計回りに公転して、吐出側空間80−2(P)の作動流体の圧力が上がり、吸入側空間80−1(Ps)と吐出側空間80−2(P)との間には、差圧ΔPが発生し、ベーン14の下端部を反時計周りに曲げる曲げモーメントが生じることがわかっている。このため、ローリングピストン型圧縮機のベーンには、サイドフォースが発生する。
本実施形態では、図2の場合のLとは異なり、図4(b)のベーン14の外側摺動面を長く設定することができる(L2)。これにより、単位面積当たりのサイドフォースを軽減でき、耐磨耗上の効果を得ることが出来る。すなわち、本実施形態の変形例として、サイドフォースが発生するベーン14の外側摺動面が、ベーン14の往復方向の全長L2にわたって、背圧室16を形成するベーン受入溝85内面に摺接するようにしてもよい。
本発明の別の実施形態として、次のような変形形態が考えられる。
図5は、本発明の別の実施形態を示す概略図である。この場合には、シリンダ8に突設固定されたベーンガイド18−1に貫通孔18−7が、密閉空間101に達するように設けられている。ベーンガイド18−1の上部には、ねじ部18−2が切られ、ボルト頭18−3’が接続している。さらに、ボルト頭18−3’の上部には、高圧ガスを封止するために、ねじ18−6が設けられている。キャップ18−5を、パッキン18−4を介して、ねじ18−6によりねじ締めして封止できるようにしている。これに限らず、その他の手段で、空気を含む任意のガスを注入して封止するようにすれば良い。
このようにすれば、ガスを密閉空間101に圧入することができ、所定の気体バネを発生させることができる。封止するガスは、空気に限らず、適宜変更してよい。
本発明の別の実施形態では、ベーン内部を中空にすることで軽量化を図ったた上で、さらに、ロータ5の高回転に対応して発生する慣性力に対しても、ベーンの接触面14−1がロータ5から離れることが無いように、所定の密閉空間101に生じたガス圧で押圧するので、圧縮機を高回転で作動させることができる。
5 ロータ
8 シリンダ
14 ベーン
14−2 中空内周面
16 背圧室
18−1 ベーンガイド
80 作動室
85 ベーン受入溝

Claims (4)

  1. ロータ(5)が、シリンダ(8)の内周面(8’)を公転して、作動室(80)内の作動流体を圧縮するローリングピストン型圧縮機において、
    作動室(80)の吸入側と吐出側とを仕切るベーン(14)の内部を、一端が開放した中空内周面(14−2)に形成するとともに、前記シリンダ(8)に突設固定されたベーンガイド(18−1)を、前記中空内周面(14−2)に摺接させ、
    前記ベーン(14)を、前記ロータ(5)の公転につれて、ベーンガイド(18−1)に沿って往復動させて、前記中空内周面(14−2)内の密閉空間(101)の気体を、気体バネとして機能させたことを特徴とするローリングピストン型圧縮機。
  2. 前記中空内周面(14−2)と前記ベーンガイド(18−1)との間にシールを介在させたことを特徴とする請求項1に記載のローリングピストン型圧縮機。
  3. サイドフォースが発生する前記ベーン(14)の外側摺動面が、前記ベーン(14)の往復方向の全長(L2)にわたって、背圧室(16)を形成するベーン受入溝(85)内面に摺接するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のローリングピストン型圧縮機。
  4. 前記密閉空間(101)に高圧ガスを封入したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
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