JP5528251B2 - 自動操舵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶等の航走体の針路を自動制御する自動操舵装置に関する。
現在、大洋を運航する船舶等のように数日間以上に亘って運航されることのある船舶の殆どは、操縦者の睡眠時間の確保、或いは操縦者の負担軽減を図ることを目的として、オートパイロットといわれる自動操舵装置を備えている。この自動操舵装置は、一定周期で針路偏差(予め設定された針路と実際の針路との差)を求め、この針路偏差を解消し得る命令舵角を計算し、得られた命令舵角に基づいた制御を行うことにより船舶の自動操舵を実現している。
船舶は、船体の長さや舵面積等に応じた固有の運動特性を有しており、船舶の操縦性を示す操縦性指数は船舶の種類に応じて異なるため、船舶の自動操舵を実現するには適切な操縦性指数を把握する必要がある。ここで、操縦性指数の初期値は、船体要目から算出される値、或いは船舶の試運転を実際に行って調整された値が用いられる。但し、操縦性指数は積荷状態に応じた喫水変化や船速の変化で変動するため、これらの変化に応じて操縦性指数を補正して命令舵角に基づいた制御を行うようにしている。尚、従来の自動操作装置の詳細については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
特開2008−230484号公報
ところで、自動操舵装置から出力される命令舵角を示す制御信号に基づいて舵を駆動する機器である舵取機は、舵を駆動する駆動力を発生するアクチュエータである油圧ポンプを複数台備えるものがある。一般的に、船体の大型化に伴って舵面積も大型化する傾向があるため、船体が大きな船舶に設けられる舵取機の中には3台以上の油圧ポンプを備えるものもある。このような複数台の油圧ポンプが設けられている舵取機を備える船舶では、運転させる油圧ポンプの数が運行状況に応じて変えられる。
例えば、2台の油圧ポンプを備える舵取機が設けられている船舶について考える。この船舶が、海峡等の狭い場所を運航する場合には、舵の応答性を高めるため2台の油圧ポンプを並列して運転させる。これに対し、周囲に障害物のない大洋を運航する場合には、舵にさほど高い応答性が求められないため、省エネルギーを考慮して2台の油圧ポンプのうちの一方のみを運転させる。
このように、運行状況に応じて運転させる油圧ポンプの台数を変えてしまうと、油圧ポンプの運転台数によって舵を駆動する駆動力が変化するため、舵角が変化する速度を示す舵速度も変化してしまう。従って、仮に2台の油圧ポンプが並列して運転している状態で制御系の調整を行った後に、1台の油圧ポンプのみが運転している状態で船舶の針路を制御しようとすると、舵速度が調整時とは異なることから制御性が低下して、例えば揺れが大きくなる等の影響が生ずる虞が考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数のアクチュエータの運転状態を切り替えても自動制御の制御性を向上させることができる自動操舵装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の自動操舵装置は、航走体(30)の予定針路である設定針路と前記航走体の実際の針路である実針路との差である針路偏差を求める演算部(13)と、前記航走体の運動特性に応じた操縦性を示す操縦性指数を用いて制御ゲインを求めるゲイン算出部(19)と、前記針路偏差と前記制御ゲインとに応じて前記航走体の針路を自動制御する制御部(20)とを備える自動操舵装置(1、2)において、前記航走体の針路を変更する舵を駆動する舵取機の運転状況に応じて、前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を変更する変更部(14、15、21)を備えることを特徴としている。
この発明によると、ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数が、航走体の針路を変更する舵を駆動する舵取機の運転状況に応じて変更される。
また、本発明の自動操舵装置は、前記変更部が、前記航走体の運動特性に基づいて前記操縦性指数を推定する推定部(14)と、前記推定部で推定された前記操縦性指数を前記舵取機の運転状況に応じて補正することにより前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を変更する補正部(15)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の自動操舵装置は、前記変更部が、前記舵取機の運転状況に応じた前記操縦性指数をテーブル(T)として予め有しており、前記舵取機の運転状況に応じて前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を前記テーブルを用いて切り替えることにより前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を変更することを特徴としている。
また、本発明の自動操舵装置は、前記操縦性指数が、前記舵の舵角が変更されてから前記航走体の針路の変化が現れるまでの遅れ時間を示す追従性指数と、前記舵が前記航走体に与えることができるターンレートの大きさを示す旋回性指数とを含み、前記変更部が、前記舵取機の運転状況に応じて、前記追従性指数及び前記旋回性指数の双方を変更することを特徴としている。
また、本発明の自動操舵装置は、前記舵取機が、前記舵を駆動する駆動力を発生する複数のアクチュエータを備えており、前記舵取機から前記変更部に対し、前記舵取機の運転状況を示す信号として、運転状態にあるアクチュエータの数を示す信号が出力されることを特徴としている。
また、本発明の自動操舵装置は、前記舵取機が、前記舵を駆動する駆動力を発生する複数のアクチュエータと、前記舵の舵速度を検出するセンサとを備えており、前記舵取機から前記変更部に対し、前記舵取機の運転状況を示す信号として、前記センサの検出信号が出力されることを特徴としている。
また、本発明の自動操舵装置は、前記航走体の喫水変化及び速度変化の少なくとも一方に応じて、前記変更部で変更された操縦性指数を補正する補助補正部(16、17)を備えることを特徴としている。
本発明の自動操舵方法は、航走体の予定針路である設定針路と前記航走体の実際の針路である実針路との差である針路偏差を求める演算ステップと、前記航走体の運動特性に応じた操縦性を示す操縦性指数を用いて制御ゲインを求めるゲイン算出ステップと、前記針路偏差と前記制御ゲインとに応じて前記航走体の針路を自動制御する制御ステップとを有する自動操舵方法において、前記航走体の針路を変更する舵を駆動する舵取機の運転状況に応じて、前記ゲイン算出ステップで用いられる前記操縦性指数を変更する変更ステップを有することを特徴としている。
本発明によれば、ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を、航走体の針路を変更する舵を駆動する舵取機の運転状況に応じて変更しているため、複数のアクチュエータの運転状態を切り替えても自動制御の制御性を向上させることができるという効果がある。
本発明の第1実施形態による自動操舵装置の要部構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態による自動操舵装置の要部構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態による自動操舵装置及び方法について詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による自動操舵装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の自動操舵装置1は、入力部11、針路設定部12、演算部13、操縦性指数推定部14(変更部、推定部)、舵速度補正部15(変更部、補正部)、喫水補正部16(補助補正部)、船速補正部17(補助補正部)、ノイズフィルタ部18、最適ゲイン算出部19(ゲイン算出部)、及び最適制御部20(制御部)を備えている。尚、自動操舵装置1は当然ながら船舶30内に設けられるものであるが、図1では説明の便宜のために自動操舵装置1を船舶30外に図示している。
上記構成の自動操舵装置1は、船舶30(航走体)に設けられた方位検出器31の検出結果に基づいて、船舶30に設けられた舵取機32を制御することにより船舶30の針路を自動制御する。具体的には、船舶30が進むべき針路(設定針路)と船舶30の実際の針路(実針路)との差である針路偏差を求め、この針路偏差を解消し得る命令舵角を示す制御信号S1を出力する。尚、上記の実針路は、方位検出器31から出力される検出信号S2で示される針路である。また、上記舵取機32からは、舵33の実際の舵角及び運転状況を示す状態信号S3(詳細は後述する)が出力される。制御装置10は、上記の命令舵角を、予め設定された制御周期(例えば、1秒)毎に求める。
入力部11は、航海士等の操縦者により操作される操作盤を備えており、手動操舵と自動操舵との切り替え指示、船舶30を旋回させるべき方向及び船舶30を旋回させるべき角度の指示等の各種指示を入力する。針路設定部12は、船舶30が進むべき針路である設定針路を設定する。具体的には、操縦者の指示によって自動操舵が設定されている場合には、海図上に予め設定された自動航路に沿って船舶30を自動操舵させるための設定針路を示す設定信号U1を上記の制御周期毎に順次出力する。また、操縦者の指示によって手動操舵が設定されている場合には、入力部11から入力された指示に応じた船舶30の設定針路を示す設定信号U1を出力する。
演算部13は、針路設定部12から出力される設定信号U1から、ノイズフィルタ部18から出力される推定針路信号A1を減算する。このような演算が演算部13でなされることにより、設定信号U1で示される設定針路と推定針路信号A1で示される推定針路(推定される実針路)との差である針路偏差を示す偏差信号E1が求められる。
操縦性指数推定部14は、方位検出器31から出力される検出信号S2と舵取機32から出力される状態信号S3とを入力としており、船舶30の運動特性に応じた操縦性を示す操縦性指数を推定する。尚、操縦性指数の初期値は、船体要目から算出される値、或いは予め定めた基準速度で船舶30の試運転を実際に行って調整された値が用いられる。
ここで、上記の操縦性指数には、舵33の舵角が変更されてから船舶30の針路の変化が現れるまでの遅れ時間を示す追従性指数と、舵33が船舶30に与えることができるターンレートの大きさを示す旋回性指数とが含まれる。操縦性指数推定部14は、方位検出器31から出力される検出信号S2と舵取機32から出力される状態信号S3とに基づいて、操縦性指数に含まれる追従性指数と旋回性指数とを随時更新する。
舵速度補正部15は、舵取機32から出力される状態信号S3に応じて操縦性指数推定部14で推定された操縦性指数(追従性指数及び旋回性指数)を補正する。具体的には、予めシミュレーション又は船舶30を実際に運転させて得られるデータ等から補正係数を算出しておき、舵33を駆動する駆動力を発生するアクチュエータとして舵取機32に設けられている複数の油圧ポンプのうち、運転状態にある油圧ポンプの数に応じて操縦性指数推定部14から出力される操縦性指数に上記の補正係数を乗算して補正する。
例えば、運転状態にある油圧ポンプの数が多ければ遅れ時間が短くなるように追従性指数を高くし、逆に少なければ遅れ時間が長くなるように追従性能を低くする補正を行う。このような補正が行われることにより、後述する最適ゲイン算出部19で用いられる操縦性指数が変更されることになる。尚、詳細は後述するが、運転状態にある油圧ポンプの数を示す信号は、舵取機32から出力される状態信号S3に含まれている。
喫水補正部16は、舵速度補正部15で補正された操縦性指数を、積荷状態による喫水変化に応じて更に補正する。例えば、船舶30の積荷状況毎に設定した操縦性指数がある場合には、舵速度補正部15からの操縦性指数を積荷状況に応じた操縦性指数に変更し、このような操縦性指数が無い場合には、舵速度補正部15からの操縦性指数に対して予め設定された係数を乗算して補正する。
船速補正部17は、喫水補正部16で補正された操縦性指数を、船速変化に応じて更に補正する。例えば、船舶30の航海船速(船体主要目)と実際の船速から、喫水補正部16からの操縦性指数を補正する。尚、図1では図示を省略しているが、喫水補正部16及び船速補正部17には船舶30の積荷状態を示す信号及び船舶30の船速を示す信号がそれぞれ入力されており、喫水補正部16及び船速補正部17は、これらの信号に基づいて上述した補正をそれぞれ行う。
ここで、上述した舵速度補正部15は、喫水補正部16及び船速補正部17よりも操縦性指数推定部14側に設けられており、操縦性指数推定部14で推定された操縦性指数は舵速度補正部15、喫水補正部16、及び船速補正部17の順で補正される。これは、喫水変化や船速の影響を受けることなく船体30が有する固有の運動特性に応じた操縦性指数を、運転状態にある油圧ポンプの数に応じて直接的に補正するためである。
ノイズフィルタ部18は、方位検出器31から出力される検出信号S2及び舵取機32から出力される状態信号S3と船速補正部17から出力される操縦性指数とを入力としており、これらに基づいて船舶30の実針路とターンレートとを推定する。そして、推定した実針路(推定針路)を示す推定針路信号A1と推定したターンレート(推定ターンレート)を示す推定ターンレート信号B1とを出力する。
最適ゲイン算出部19は、船速補正部17から出力される操縦性指数と予め定義された評価関数とを用いて船舶30に設けられた舵取機32を制御するための制御ゲインを算出する。ここで、制御ゲイン算出部19で用いられる操縦性指数は、舵取機32に設けられた油圧ポンプの数、喫水変化、及び船速に応じて変更されたものである。最適制御部20は、演算部13から出力される偏差信号E1及びノイズフィルタ部18から出力される推定ターンレート信号B1と、最適ゲイン算出部19で算出された制御ゲインとに基づいて、偏差信号E1で示される針路偏差を解消し得る命令舵角を示す制御信号S1を出力する。
船舶30に設けられている方位検出器31は、回転型或いは振動式等の機械式ジャイロスコープ、光ファイバジャイロ或いはリングレーザジャイロ等の光学式ジャイロスコープ、その他のジャイロスコープであり、船舶30の進行に関する方位角及びターンレートを検出する。方位検出器31から出力される検出信号S2には、検出された方位角及びターンレートを示す信号が含まれる。
船舶30に設けられている舵取機32は、舵33を駆動する駆動力を発生する複数の油圧ポンプ(アクチュエータ)と、舵33の実際の舵角(実舵角)を検出する舵角センサとを備えており、自動操舵装置1から出力される制御信号S1に基づいて舵33の舵角を変更する。尚、図1では、油圧ポンプ及び舵角センサの図示を省略している。この舵取機32は、運転状態にある油圧ポンプの台数を示す台数信号と舵角センサの検出結果を示す実舵角信号とを含む状態信号S3を出力する。状態信号S3に含まれる台数信号は舵速度補正部15に入力され実舵角信号は操縦性指数推定部14及びノイズフィルタ部18に入力される。
次に、上記構成における自動操舵装置1の動作について説明する。尚、以下では、船舶30の進行に関する方位角及びターンレートが方位検出器31で常時検出されており、その検出結果を示す検出信号S2が方位検出器31から操縦性指数推定部14及びノイズフィルタ部18に出力されているとする。また、舵33の実舵角が舵取機32に設けられた不図示の舵角センサで常時検出されており、その検出結果を示す実舵角信号が状態信号S3として舵取機32から操縦性指数推定部14及びノイズフィルタ部18に出力されているとする。更に、運転状態にある油圧ポンプの台数を示す台数信号が状態信号S3として
舵取機32から舵速度補正部15に出力されているとする。
操縦者が入力部11を操作して船舶30の針路の入力及び自動操舵の指示を行うと、入力部11から入力された針路に応じて設定針路を示す設定信号U1が針路設定部12から出力される。すると、設定信号U1とノイズフィルタ部18から出力される推定針路信号A1との差を示す偏差信号E1が演算部13により求められて最適制御部20に出力される(演算ステップ)。尚、最適制御部20には、上記の偏差信号E1とともにノイズフィルタ部18からの推定ターンレート信号B1が出力される。
以上の処理と並行して、船舶30の運動特性に応じた操縦性を示す操縦性指数が操縦性指数推定部14で推定される。操縦性指数推定部14で推定された操縦性指数(追従性指数及び旋回性指数)は、舵速度補正部15に出力されて舵取機32からの状態信号S3に含まれる台数信号に応じて補正される(変更ステップ)。例えば、舵取機32に2台のポンプが設けられており、1台のポンプのみが運転状態である場合には追従性能が低くなるように補正され、2台のポンプの双方が運転状態である場合には追従性能が高くなるように補正される。
舵速度補正部15で補正された操縦性指数は、喫水補正部16に出力されて積荷状態による喫水変化に応じて補正される。次いで、喫水補正部16で補正された操縦性指数は、船速補正部17に出力されて船速変化に応じて補正される。船速補正部17で補正された操縦性指数は、ノイズフィルタ部18及び最適ゲイン算出部19に出力される。ノイズフィルタ部18に操縦性指数が入力されることにより、前述した推定針路信号A1及び推定ターンレート信号B1が求められる。
最適ゲイン算出部19に操縦性指数が入力されると、予め定義された評価関数を用いて船舶30に設けられた舵取機32を制御するための制御ゲインが算出される(ゲイン算出ステップ)。算出された制御ゲインは最適制御部20に出力され、演算部13から出力される偏差信号E1で示される針路偏差を解消し得る命令舵角が算出される。そして、この命令舵角を示す制御信号S1が舵取機32に出力されて舵33の制御が行われることにより、船舶30の針路が自動制御される(制御ステップ)。
以上の通り、本実施形態では、運転状態にある油圧ポンプの台数を示す台数信号に基づいて舵速度補正部15が操縦性指数推定部14で推定された操縦性指数を補正することによって、最適ゲイン算出部19で制御ゲインの算出に用いられる操縦性指数を変更するようにしている。このため、舵取機32に設けられた油圧ポンプの運転状態を切り替えても(運転状態にある油圧ポンプの数を変えても)自動制御の制御性を向上させることができる。尚、本実施形態は、運転状態にある油圧ポンプの数を切り替える場合のみならず、油圧ポンプの一部に故障が生じた場合でも同様の対応ができる。
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態による自動操舵装置の要部構成を示すブロック図である。尚、図2においては、図1に示した構成と同じ構成については同一の符号を付してある。本実施形態の自動操舵装置2は、図1に示す自動操舵装置1の操縦性指数推定部14及び舵速度補正部15に代えて操縦性指数出力部21(変更部)を設けた構成である。
操縦性指数出力部21は、舵取機32からの状態信号S3に含まれる台数信号を入力としており、この台数信号に応じた操縦性指数を出力する。具体的に、操縦性指数出力部21は、運転状態にある油圧ポンプの台数と操縦性指数との関係が規定された操縦性指数テーブルT(テーブル)を有しており、入力される台数信号に応じた操縦性指数を操縦性指数テーブルTから読み出して出力する。
つまり、第1実施形態では、運転状態にある油圧ポンプの数に応じて操縦性指数推定部14で推定された操縦性指数を舵速度補正部15で補正することにより、最適ゲイン算出部19で用いられる操縦性指数を変更していた。これに対し、本実施形態では、運転状態にある油圧ポンプの数に応じて操縦性指数出力部21から出力される操縦性指数を変えることにより、最適ゲイン算出部19で用いられる操縦性指数を変更している。尚、自動操舵装置2の動作は、自動操舵装置1と同様の動作であるため説明を省略する。
以上の通り、本実施形態では、運転状態にある油圧ポンプの台数を示す台数信号に基づいて操縦性指数出力部21から出力される操縦性指数を変えることによって、最適ゲイン算出部19で制御ゲインの算出に用いられる操縦性指数を変更するようにしている。このため、舵取機32に設けられた油圧ポンプの運転状態を切り替えても(運転状態にある油圧ポンプの数を変えても)自動制御の制御性を向上させることができる。尚、本実施形態でも、運転状態にある油圧ポンプの数を切り替える場合のみならず、油圧ポンプの一部に故障が生じた場合でも同様の対応が可能である。
以上、本発明の実施形態による自動操舵装置及び方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では船舶の自動操舵を行う自動操舵装置を例に挙げて説明したが、船舶以外の航走体や移動体の自動操舵にも適用可能である。
また、上記実施形態では、運転状態にある油圧ポンプの数に基づいて最適ゲイン算出部19で用いる操縦性指数を変更するようにしていた。しかしながら、舵33の速度を検出する舵速度センサ(センサ)を舵取機32に設け、その検出結果を状態信号S3として舵速度補正部15又は操縦性指数出力部21に出力する構成にし、舵速度センサの検出結果に基づいて最適ゲイン算出部19で用いる操縦性指数を変更するようにしても良い。また、上記実施形態では、舵33を駆動する駆動力を発生するアクチュエータとして油圧ポンプを備える例について説明したが、取機32が油圧ポンプ以外のアクチュエータを備えていても本発明を適用することができる。
1,2 自動操舵装置
13 演算部
14 操縦性指数推定部
15 舵速度補正部
16 喫水補正部
17 船速補正部
19 最適ゲイン算出部
20 最適制御部
21 操縦性指数出力部
30 船舶
T 操縦性指数テーブル

Claims (6)

  1. 航走体の予定針路である設定針路と前記航走体の実際の針路である実針路との差である針路偏差を求める演算部と、前記航走体の運動特性に応じた操縦性を示す操縦性指数を用いて制御ゲインを求めるゲイン算出部と、前記針路偏差と前記制御ゲインとに応じて前記航走体の針路を自動制御する制御部とを備える自動操舵装置において、
    前記航走体の針路を変更する舵を駆動する舵取機の運転状況に応じて、前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を変更する変更部を備えており、
    前記変更部は、前記航走体の運動特性に基づいて前記操縦性指数を推定する推定部と、
    前記推定部で推定された前記操縦性指数を前記舵取機の運転状況に応じて補正することにより前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を変更する補正部と
    を備えることを特徴とする自動操舵装置。
  2. 航走体の予定針路である設定針路と前記航走体の実際の針路である実針路との差である針路偏差を求める演算部と、前記航走体の運動特性に応じた操縦性を示す操縦性指数を用いて制御ゲインを求めるゲイン算出部と、前記針路偏差と前記制御ゲインとに応じて前記航走体の針路を自動制御する制御部とを備える自動操舵装置において、
    前記航走体の針路を変更する舵を駆動する舵取機の運転状況に応じて、前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を変更する変更部を備えており、
    前記変更部は、前記舵取機の運転状況に応じた前記操縦性指数をテーブルとして予め有しており、前記舵取機の運転状況に応じて前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を前記テーブルを用いて切り替えることにより前記ゲイン算出部で用いられる前記操縦性指数を変更することを特徴とする自動操舵装置。
  3. 前記操縦性指数は、前記舵の舵角が変更されてから前記航走体の針路の変化が現れるまでの遅れ時間を示す追従性指数と、前記舵が前記航走体に与えることができるターンレートの大きさを示す旋回性指数とを含み、
    前記変更部は、前記舵取機の運転状況に応じて、前記追従性指数及び前記旋回性指数の双方を変更する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動操舵装置。
  4. 前記舵取機は、前記舵を駆動する駆動力を発生する複数のアクチュエータを備えており、
    前記舵取機から前記変更部に対し、前記舵取機の運転状況を示す信号として、運転状態にあるアクチュエータの数を示す信号が出力される
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の自動操舵装置。
  5. 前記舵取機は、前記舵を駆動する駆動力を発生する複数のアクチュエータと、前記舵の舵速度を検出するセンサとを備えており、
    前記舵取機から前記変更部に対し、前記舵取機の運転状況を示す信号として、前記センサの検出信号が出力される
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の自動操舵装置。
  6. 前記航走体の喫水変化及び速度変化の少なくとも一方に応じて、前記変更部で変更された操縦性指数を補正する補助補正部を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の自動操舵装置。
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