JP5526658B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ボール螺子装置を備えた電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、ラック軸が挿通された中空軸を備え、モータ駆動により回転する同中空軸の回転をボール螺子装置を用いてラック軸の軸方向移動に変換することにより、操舵系にアシスト力を付与する所謂ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置(EPS)がある。
通常、このようなEPSにおいて、ボール螺子装置は、中空軸に固定されたボール螺子ナットとラック軸に形成された螺子部との間に複数のボールを介在させることにより形成される。即ち、ボール螺子ナットの内周に形成された螺子部とラック軸の外周に形成された螺子部とが対向することにより、螺旋状の転動路が形成される。そして、同転動路内に配設された各ボールが、その負荷を受けつつ転動することにより、ボール螺子ナットの回転がラック軸の軸方向移動に変換されるようになっている。
さて、上記中空軸に対するボール螺子ナットの固定構造としては、例えば、特許文献1に示されるように、中空軸の内周に形成された収容凹部内に軸方向からボール螺子ナットを嵌挿し、ロックナットにより同ボール螺子ナットを軸方向に挟み込む構造がある。そして、このような構成を採用することにより、その軸方向長さの短縮化が可能という利点がある。
しかしながら、その反面として、径方向のサイズについては、ボール螺子ナットと中空軸とが重複する部分の大型化が避けられない。また、ロックナットによる締め付けによりボール螺子ナットが変形し、その転動路(を構成する螺子溝)に歪みが生ずる可能性がある。そして、これが転動路内における各ボールの円滑な転動を妨げることにより異音や振動が生じ、ひいては操舵フィーリングの悪化を招くおそれがある。
そこで、例えば、特許文献2に示されるように、ボール螺子ナット及び中空軸の軸方向端部に、それぞれ、径方向外側に拡開するフランジを形成し、これら両フランジを締結することにより両者を連結する構造が考えられる。そして、これにより、ボール螺子ナットを変形させることなく、同ボール螺子ナットと中空軸とを相対回転不能に固定することができる。
ところが、このフランジ間の締結による固定構造もまた、複数箇所のボルト締結が煩雑であるため、その生産性の向上が難しいという課題が残されている。このため、上記ロックナットを用いた挟圧による固定構造との比較において明らかな優位性があるとは言い切れないのが実情である。
また、特許文献3には、ボール螺子ナットの外周に螺子部を形成し、同ボール螺子ナットを中空軸の内周に螺着する構造が開示されており、このような構造を採用することで、ボール螺子ナットに作用する応力をその外周全体に分散させることができる。そして、これにより、同ボール螺子ナットの変形及びそれに伴う転動路の歪みを抑えることができるとともに、併せて、その作業性の向上を図ることができる。
特開2006−256414号公報 特開平6−255501号公報 特開2007−239782号公報
しかしながら、このように螺着によりボール螺子ナットを中空軸に固定する構造にも、課題は残されている。
即ち、高い強度と剛性を有するボール螺子ナットの外周全体に螺子部を形成することは極めて困難である。また、ボール螺子ナット自体を中空軸内に配置することで、当該部分の大径化は免れない。更に、EPSにおいては、そのモータ回転方向が頻繁に反転される。そのため、その繰り返し行なわれるモータの反転が、中空軸に螺着されたボール螺子ナットに螺子緩みを発生させる力として作用するという問題がある。しかしながら、上記特許文献3に記載があるような、回り止め手段としてロックナットを用いる、或いは中空軸及びボール螺子ナットを径方向に貫通する止め螺子等の対策では、ボール螺子ナットの転動路に歪みが生ずる可能性があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、変形を生じさせることなく確実にボール螺子ナットを中空軸に固定して、高い信頼性及び静粛性と優れた操舵フィーリングとを実現するとともに、併せて製造時における作業性の向上を図ることのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、軸方向に往復動可能に設けられたラック軸と、前記ラック軸が挿通されるとともにモータ駆動により回転する中空軸と、該中空軸の回転を前記ラック軸の軸方向移動に変換するボール螺子装置とを備え、前記ボール螺子装置は、前記中空軸の軸方向端部にボール螺子ナットを固定し、該ボール螺子ナットの内周に螺刻された螺子溝と前記ラック軸の外周に螺刻された螺子溝とが対向してなる螺旋状の転動路内に複数のボールを配することにより形成される電動パワーステアリング装置において、前記ボール螺子ナットの軸方向端部には中空軸状の螺子軸が設けられ、前記ボール螺子ナットは、前記螺子軸が前記中空軸に形成された螺子部と螺合することにより、前記中空軸の軸方向端部に螺着されるものであって、前記ボール螺子ナットと前記中空軸との相対回転を規制する規制手段を設け、前記中空軸は、モータハウジング内に収容されたモータ軸であるとともに、前記モータハウジングには、給電コネクタの取着孔が形成されるものであって、前記規制手段は、前記取着孔に臨む位置に配置されること、を要旨とする。
即ち、ボール螺子ナットの軸方向端部に螺子軸を形成して中空軸の軸方向端部に螺着することにより、螺子溝が螺刻された本体部分に作用する応力を低減し、その螺子溝が変形する可能性を大幅に低下させることができる。その結果、高い静粛性及び優れた操舵フィーリングを実現することができ、併せてその製造時における作業性を向上させることができる。そして、規制手段によりボール螺子ナットと中空軸との相対回転を規制することで、そのボール螺子ナットの螺子緩みを抑えて高い信頼性を確保することができる。
また、上記構成によれば、その取着孔を介して規制手段を視認することができる。これにより、その製造時における作業性の向上を図ることができ、その結果、より容易且つ確実に、ボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記ボール螺子ナット及び前記中空軸の少なくとも一方には、他方側の外周に形成された係合凹部の外側に配置される薄板部が設けられ、前記規制手段は、前記係合凹部内に前記薄板部をかしめてなること、を要旨とする。
請求項3に記載の発明は、前記係合凹部は、周方向に側壁を有して前記ボール螺子ナットの外周に形成されるとともに、前記薄板部は、前記ボール螺子ナットの螺着により前記係合凹部の径方向外側に配置されるよう前記中空軸の軸方向端部から軸方向に延設されてなること、を要旨とする。
上記各構成によれば、簡素な構成にて、容易且つ確実に、中空軸とボール螺子ナットとの間の相対回転を規制して、そのボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができる。
請求項4に記載の発明は、前記薄板部は、前記ボール螺子ナットの径方向外側を包囲する円環状に形成されること、を要旨とする。
上記構成によれば、中空軸に螺着されたボール螺子ナットにおいて、その係合凹部がどのような周方向位置に配置されようとも、容易に、当該係合凹部内に薄板部をかしめることができ、これにより、その製造時における作業性を更に向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、前記規制手段は、前記かしめにより破断した前記薄板部が形成する係合片と前記係合凹部の側壁とが係合してなること、を要旨とする。
上記構成によれば、係合片がその対応する係合凹部から脱離し難くなる。その結果、単に薄板部の一部を係合凹部内に突出するよう弾性変形させた場合との比較において、その「かしめ」をより強固なものとすることができる。また、その破断面が係合凹部の側壁に係合することで、係合片は、その幅方向(薄板部の周方向)において、ボール螺子ナットと中空軸との相対回転により生ずる負荷を受けることになる。従って、より効果的に、ボール螺子ナットと中空軸との相対回転を規制することができ、その結果、より確実にボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができるようになる。
請求項6に記載の発明は、前記薄板部は、前記中空軸に対して少なくとも前記ボール螺子ナットの螺子緩み方向には回転不能に取着される別部材に設けられること、を要旨とする。
即ち、比較的容易に弾性変形することが求められる薄板部と、高い強度が要求される中空軸とを一体に形成することは難しい。この点、上記構成のように、薄板部が設けられた別部材を中空部に取着することで、その薄板部の形成が容易になる。そして、当該別部材と一体に形成された薄板部は、ボール螺子ナットの螺子緩み方向には回転できない。従って、上記構成によれば、その螺子緩みの発生を抑えつつ、製造時における作業性を更に向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、前記規制手段は、前記ボール螺子ナット又は前記中空軸の一方から軸方向に延設された第1係合部と、その他方側において前記第1係合部と係合する第2係合部とからなること、を要旨とする。
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易且つ確実に、中空軸とボール螺子ナットとの間の相対回転を規制して、そのボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができる。
請求項8に記載の発明は、前記ボール螺子ナット及び前記中空軸の対向する各軸方向端部には、それぞれ径方向外側に延びるフランジ部が形成されるものであって、前記規制手段は、前記フランジ部に取着されて前記第1係合部を構成する軸状部材と、該軸状部材が取着された側のフランジ部に対向する他方側の前記フランジ部に設けられて前記軸状部材が挿通されることにより前記第2係合部を構成する貫通孔とからなること、を要旨とする。
即ち、中空軸とボール螺子ナットとの間に周方向の相対変位が生じた場合には、その軸状部材と貫通孔とが係合することにより、両者間の相対回転が規制される。従って、上記構成によれば、構成簡素、且つ組付け容易に規制手段を構成して、そのボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができる。
請求項9に記載の発明は、前記中空軸側のフランジ部は、前記中空軸に対して前記ボール螺子ナットとは逆螺子の関係となるようにフランジ部材を同軸に螺着することにより形成されるとともに、前記貫通孔は、周方向に延びる長孔状に形成されてなること、を要旨とする。
上記構成によれば、中空軸に対するボール螺子ナットの螺着により、その貫通孔がどのような周方向位置に配置されようとも、他方側のフランジ部に対し、容易に、同貫通孔を介して軸状部材を取着することができる。その結果、その製造時の作業性を向上させることができる。
また、中空軸及びボール螺子ナットのフランジは、その何れか一方が螺子緩み状態となる場合には、他方は螺子締め状態となる。従って、上記構成によれば、ボール螺子ナットに螺子緩みが生じた場合であっても、これら各フランジに設けられた軸状部材と貫通孔との係合によって、フランジ部材が螺子締めされることで、そのボール螺子ナットの螺子緩みの進行を抑えることができる。
更に、ボール螺子ナットと中空軸との相対回転により貫通孔内を移動する軸状部材が、その側壁に接触する際に生ずる衝突音を利用して、螺子緩みの発生を運転者に知らしめることができる。そして、この警告手段としての機能により、その螺子緩みが安全性に影響しない早期の段階で運転者に修理を促すことが可能になり、その結果、より高い信頼性を確保することができるようになる。
請求項10に記載の発明は、前記軸状部材は、螺着により前記フランジ部に取着されること、を要旨とする。
上記構成によれば、そのフランジ部に対する軸状部材の取着作業が容易になり、これにより、その製造時における作業性を向上させることができる。更に、その締結力により、対向する各フランジ部間に摩擦力を発生させることで、より効果的にボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができるようになる。
請求項11に記載の発明は、軸方向に往復動可能に設けられたラック軸と、前記ラック軸が挿通されるとともにモータ駆動により回転する中空軸と、該中空軸の回転を前記ラック軸の軸方向移動に変換するボール螺子装置とを備え、前記ボール螺子装置は、前記中空軸の軸方向端部にボール螺子ナットを固定し、該ボール螺子ナットの内周に螺刻された螺子溝と前記ラック軸の外周に螺刻された螺子溝とが対向してなる螺旋状の転動路内に複数のボールを配することにより形成される電動パワーステアリング装置において、前記ボール螺子ナットにおける前記中空軸側の軸方向端部には中空軸状の螺子軸が設けられ、前記ボール螺子ナットは、前記螺子軸が前記中空軸に形成された螺子部と螺合することにより、前記中空軸の軸方向端部に螺着されるものであって、前記ボール螺子ナットと前記中空軸との相対回転を規制する規制手段を設け、前記規制手段は、前記中空軸における前記ボール螺子ナット側の軸方向端部、及び前記ボール螺子ナットにおける前記中空軸側の軸方向端部の両方に跨って、両端部の径方向外方に配置される規制部材を備え、前記中空軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に取着される筒状部材を備え、前記規制手段は、前記ボール螺子ナットの外周及び前記筒状部材の外周に形成された各螺子部に対して、前記規制部材としての一のナットを螺合してなること、を要旨とする
上記構成によれば、中空軸に対するボール螺子ナットの相対回転を規制して、その螺子緩みを抑えることができる。そして、その中空軸に外嵌された筒状部材の軸方向位置を調整することにより、軸方向に並置される上記二つの螺子部に対して、容易に、そのナットを螺合させることができる。その結果、簡素な構成にて、容易且つ確実に、ボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができるようになる。
請求項1に記載の発明は、前記ボール螺子ナットと該ボール螺子ナットを収容する第1ハウジングとの間には、転がり軸受が介在されるとともに、前記第1ハウジングの軸方向端部に形成された開口部は、第2ハウジングの取着により閉塞されるものであって、前記ボール螺子ナットにおける前記中空軸側の軸方向端部には、径方向外側に延びるフランジ部が形成されるとともに、前記第2ハウジングには前記第1ハウジング内に配置される挿入部が形成され、前記転がり軸受の各軸方向端面には、前記ボール螺子ナットのフランジ部及び前記第2ハウジングの挿入部が当接されること、を要旨とする。
上記構成によれば、ボール螺子ナットと中空軸との軸方向における離間方向の相対移動を規制することができる。その結果、ボール螺子ナットの脱離を防止して、より高い信頼性を確保することができる。
本発明によれば、変形を生じさせることなく確実にボール螺子ナットを中空軸に固定して、高い信頼性及び静粛性と優れた操舵フィーリングとを実現するとともに、併せて製造時における作業性の向上を図ることが可能な電動パワーステアリング装置、及び電動パワーステアリング装置の製造方法を提供することができる。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成を示す断面図。 第1の実施形態におけるボール螺子装置近傍の拡大断面図。 第1の実施形態におけるボール螺子ナット、モータ軸及びフランジ部材の斜視図。 第1の実施形態におけるボール螺子ナット、モータ軸及びフランジ部材の斜視図。 第1の実施形態のフランジ部材が取着(螺着)されたモータ軸の断面図。 (a)A−A断面図、(b)ボール螺子ナットのフランジ部に形成された切欠き内にフランジ部材の薄板部がかしめられた状態を示す正面図。 ボール螺子ナットを固定(螺着)する際の作業手順を示す説明図。 ボール螺子ナットを固定(螺着)する際の作業手順を示す説明図。 ボール螺子ナット近傍の拡大断面図。 第2の実施形態におけるボール螺子装置近傍の拡大断面図。 第2の実施形態におけるボール螺子ナット、モータ軸及びフランジ部材、並びに軸状部材(ボルト)の斜視図。 ボール螺子ナット、フランジ部材及びボルトが組み付けられたモータ軸の斜視図。 貫通孔とボルトとが係合する態様を示す説明図。 第3の実施形態におけるボール螺子装置近傍の拡大断面図。 第3の実施形態におけるボール螺子ナット及びモータ軸、並びに筒状部材及びナットの斜視図。 ボール螺子ナット、筒状部材及びナットが組み付けられたモータ軸の斜視図。 (a)ボール螺子ナット、筒状部材及びナットが組み付けられたモータ軸の側面図、(b)B−B断面図。 別例のフランジ部材及びモータ軸の斜視図。 (a)別例のフランジ部材が取着されたモータ軸の側面図、(b)C−C断面図。 別例のフランジ部材及びモータ軸の斜視図。 (a)別例のフランジ部材が取着されたモータ軸の側面図、(b)D−D断面図。 モータ軸の軸方向端部に設けられた第2係合部としての係合突部、及びボール螺子ナットに設けられた第1係合部としての軸状部材を示す模式図。 第2係合部としての係合突部と第1係合部としての軸状部材とが係合する態様を示す説明図。 別例の筒状部材及びモータ軸の斜視図。 (a)別例のボール螺子ナット、筒状部材及びナットが組み付けられたモータ軸の側面図、(b)E−E断面図。
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のEPS1において、略円筒状をなすハウジング2に挿通されたラック軸3は、ラックガイド及び滑り軸受(ともに図示略)に支承されることにより、その軸方向に沿って移動可能に収容支持されている。そして、同ラック軸3は、周知のラック&ピニオン機構を介してステアリングシャフトと連結されることにより、ステアリング操作に伴い軸方向に往復動するようになっている。
また、EPS1は、駆動源としてのモータ4と、同モータ4の回転をラック軸3の軸方向移動に変換するボール螺子装置5とを備えている。そして、本実施形態のEPS1は、これらラック軸3、モータ4及びボール螺子装置5が、ハウジング2内に一体に収容された所謂ラックアシスト型のEPSとして構成されている。
詳述すると、本実施形態のモータ4は、中空軸状に形成されたモータ軸6を有しており、同モータ軸6は、ハウジング2の内周に設けられた軸受7に支承されることにより、同ハウジング2の軸方向に沿って配置されている。また、本実施形態のモータ4では、このモータ軸6の周面にマグネット8を固着することによりモータロータ9が形成されている。そして、本実施形態のモータ4は、そのモータロータ9の径方向外側を包囲するモータステータ10がハウジング2の内周に固定されるとともに、そのモータ軸6内にラック軸3が挿通されることにより、ハウジング2内においてラック軸3と同軸に配置されている。
ここで、本実施形態では、ハウジング2は、軸方向両端に開口部11a,11bを有する円筒状のモータハウジング12と、同モータハウジング12の各軸方向端部12a,12bに取着されることにより、それぞれ、その開口部11a,11bを閉塞するサイドハウジング13,14とを組み付けてなる。
具体的には、本実施形態では、同図中、モータハウジング12の右側の軸方向端部12aに取着されるサイドハウジング13には、ラック軸3を支承するとともに同ラック軸3をピニオン軸(図示略)に押し付けることによりラック&ピニオン機構を構成する上記ラックガイドが形成される。また、本実施形態では、上記モータ軸6を支承する軸受7は、同サイドハウジング13に設けられており、モータ軸6は、このサイドハウジング13がモータハウジング12の軸方向端部12aに取着されることにより、同モータハウジング12の内周に形成されたモータステータ10の内側に配置される。そして、ラック軸3及びボール螺子装置5は、そのモータハウジング12の軸方向両端に形成された開口部11a,11bのうち、残る一方、即ち同図中、モータハウジング12の左側の軸方向端部12bに形成された開口部11bから組み付けられる構成となっている。
さらに詳述すると、本実施形態のラック軸3は、その外周に螺子溝21を螺刻することにより、螺子軸として構成されている。そして、本実施形態のボール螺子装置5は、このラック軸3に複数のボール22を介してボール螺子ナット23を螺着することにより形成されている。
具体的には、図2に示すように、略円筒状に形成されたボール螺子ナット23の内周には、上記ラック軸3側の螺子溝21に対応する螺子溝24が形成されており、ボール螺子ナット23は、その螺子溝24がラック軸3側の螺子溝21と対向するように同ラック軸3に外嵌されている。そして、各ボール22は、これら二つの螺子溝21,24が対向することにより形成される螺旋状の転動路L1内に配設されている。
また、ボール螺子ナット23には、螺子溝24内の二箇所(接続点P1,P2)に開口する還流路L2が形成されている。尚、本実施形態では、この還流路L2は、ボール螺子ナット23に対して、上記転動路L1から各ボール22を掬い上げる機能及び同転動路L1への再排出機能を備えた循環部材25を装着することにより形成される。そして、上記転動路L1は、この還流路L2により、その開口位置に対応する二つの接続点P1,P2間が短絡されている。
即ち、ラック軸3とボール螺子ナット23との間の転動路L1内に介在された各ボール22は、ラック軸3に対するボール螺子ナット23の相対回転により、その負荷を受けつつ転動路L1内を転動する。また、転動路L1内を転動した各ボール22は、更に、ボール螺子ナット23に形成された上記還流路L2を通過することにより、その転動路L1に設定された二つの接続点P1,P2間を下流側から上流側へと移動する。そして、ボール螺子装置5は、その転動路L1を転動する各ボール22が還流路L2を介して無限循環することにより、ボール螺子ナット23の回転をラック軸3の軸方向移動に変換することが可能となっている。
本実施形態では、ボール螺子ナット23は、モータ軸6の軸方向端部6aに連結されており、駆動源であるモータ4の回転は、このボール螺子ナット23がモータ軸6とともに一体回転することによりボール螺子装置5へと入力される。尚、図1に示すように、本実施形態では、ボール螺子ナット23と同ボール螺子ナット23を収容するハウジング2(モータハウジング12)との間には、転がり軸受としてのボール軸受27が介在されている。そして、本実施形態のEPS1は、そのモータトルクに基づき軸方向移動するラック軸3の押圧力を、ステアリング操作を補助するためのアシスト力として、操舵系に付与する構成となっている。
(ボール螺子ナットの固定構造)
次に、本実施形態のEPSにおけるボール螺子ナットの固定構造について説明する。
図2〜図4に示すように、本実施形態では、ボール螺子ナット23の軸方向端部23a(図2中、右側の端部)には、その軸方向に向って延びる中空軸状の螺子軸30が形成されている。また、モータ軸6の内周には、この螺子軸30の外周に形成された螺子部31に対応する螺子部32が形成されている。そして、本実施形態のボール螺子ナット23は、その軸方向端部23aに設けられた螺子軸30(の螺子部31)がモータ軸6の内周に形成された螺子部32に螺合されることにより、同モータ軸6の軸方向端部6aに固定されるようになっている。
また、本実施形態では、モータ軸6の外周、詳しくは、その軸方向端部6aの外周には、ボール螺子ナット23よりも大径となるように形成されたフランジ部材33が取着される。そして、このフランジ部材33は、その回転が規制されることにより、上記ボール螺子ナット23の螺着時における当該ボール螺子ナット23とモータ軸6との同方向回転を規制することが可能となっている。
即ち、回転自在に支承されたモータ軸6の軸方向端部6aに対して、軸方向からボール螺子ナット23を螺着する場合、その螺着時におけるモータ軸6とボール螺子ナット23との間の同方向回転を規制して、所謂「連れ周り」を抑える必要がある。この点を踏まえ、本実施形態では、上記モータ軸6に取着されたフランジ部材33をモータハウジング12内の所定位置で保持することにより、モータ軸6の連れ回りを抑えることが可能となっている。そして、これにより、ボール螺子ナット23の容易且つ確実な螺着を担保する構成となっている。
詳述すると、本実施形態のフランジ部材33は、円筒状に形成された基部34と、同基部34の外周から径方向外側に拡開する鍔部(フランジ部)35とを備えてなる。尚、本実施形態では、ボール螺子ナット23の軸方向端部23aにも、径方向外側に拡開するフランジ部36が形成されている。そして、本実施形態のフランジ部材33は、その鍔部35の外径R1を、ボール螺子ナット23側のフランジ部36の外径R2よりも大径とすることにより(図2参照、R1>R2)、同鍔部35の外周縁が、ボール螺子ナット23側のフランジ部36の外周縁よりも更に径方向に突出するように構成されている。
また、本実施形態では、上記フランジ部材33を構成する基部34の内周、及びモータ軸6における軸方向端部6aの外周には、それぞれ螺子部37,38が形成されている。そして、本実施形態のフランジ部材33は、その基部34に形成された螺子部37とモータ軸6側の螺子部38と螺合により、同モータ軸6(の軸方向端部6a)の外周に螺着されるようになっている。
ここで、本実施形態では、これらの各螺子部37,38は、上記螺子軸30に形成された螺子部31及びモータ軸6の内周に形成された螺子部32に対して、その螺合する際の回転方向が異なる逆螺子の関係となるように形成されている。詳しくは、上記ボール螺子ナット23を螺着するための各螺子部31,32が「右螺子」であるのに対し、フランジ部材33を螺着するための各螺子部37,38は「左螺子」となっている。
即ち、ボール螺子ナット23を螺着するための各螺子部31,32とフランジ部材33を螺着するための各螺子部37,38とを逆螺子の関係とすることで、これらボール螺子ナット23及びフランジ部材33は、モータ軸6との相対回転により一方が螺子緩み状態となる場合には、他方は螺子締め状態となる。
つまり、ボール螺子ナット23の螺着時、モータ軸6は、当該ボール螺子ナット23と同方向に回転しようとするが、その連れ周り方向は、フランジ部材33に対しては螺子締め方向の回転となっている。従って、フランジ部材33の回転を治具等で規制することにより、ボール螺子ナット23の螺着に伴うモータ軸6の連れ周りを抑えることができる。そして、本実施形態では、ボール螺子ナット23を螺着する際には、そのボール螺子ナット23の外周縁よりも更に径方向外側に突出するフランジ部材33の鍔部35を保持することにより、上記モータ軸6の連れ周りを抑えることが可能となっている。
さらに詳述すると、図3及び図4に示すように、ボール螺子ナット23よりも大径となるように形成されたフランジ部材33の鍔部35には、治具との係合により同フランジ部材33の回転を規制可能な被係合部39が設けられている。
具体的には、本実施形態では、被係合部39は、鍔部35において、ボール螺子ナット23が螺着される側の面(図5中、左側に位置する螺着側面35a)の周縁部に複数(本実施形態では6つ)の凹部40を凹設することにより形成されている。尚、本実施形態では、同被係合部39は、その螺着側面35aの周縁部に対し、周方向に均等間隔で各凹部40を形成することにより、軸方向から多角筒状の治具(例えば、六角筒状の治具)を係合(嵌合)させることが可能な形状となっている。そして、ボール螺子ナット23の螺着時には、この被係合部39に対して軸方向から治具を係合させることにより、モータ軸6の連れ周りを抑えつつ、その治具の内側からボール螺子ナット23を挿入することで、容易且つ確実に、当該ボール螺子ナット23をモータ軸6の軸方向端部6aに螺着することが可能となっている。
更に、本実施形態では、モータ軸6の内周には、治具との係合により同モータ軸6の回転を規制可能な被係合部41が形成されている。具体的には、同被係合部41は、上記ボール螺子ナット23を螺着するための螺子部32よりも、軸方向内部側(図5中、右側)の内周に対し、図6(a)に示すように、周方向に等間隔で、軸方向に延びる複数本(本実施形態では、12本)の三角溝を連続的に凹設した形状に形成される。そして、上記フランジ部材33の螺着時には、多角軸状(多角筒状)の治具(例えば、六角筒状の治具)をモータ軸6内に挿入し、この被係合部41に係合させることにより、同モータ軸6の回転を規制して、その連れ周りを抑えることが可能となっている。
また、本実施形態では、上記フランジ部材33は、モータ軸6と当該モータ軸6の軸方向端部6aに螺着されたボール螺子ナット23との相対回転を規制する規制手段としての機能を有している。
詳述すると、図2〜図5に示すように、モータ軸6の軸方向端部6aに取着されたフランジ部材33には、ボール螺子ナット23の径方向外側に配置される薄板部44が形成されている。本実施形態の薄板部44は、フランジ部材33の鍔部35(の螺着側面35a)から軸方向、ボール螺子ナット23の螺着側(図2及び図5中、左側)に向って延設されることにより、同ボール螺子ナット23の径方向外側、詳しくはその軸方向端部に設けられたフランジ部36を包囲するように、円環状に形成されている。また、ボール螺子ナット23側のフランジ部36には、複数(本実施形態では4つ)の切欠き45が形成されている。尚、本実施形態では、これらの各切欠き45は、周方向に均等間隔で形成されている。そして、本実施形態では、上記フランジ部材33側に形成された薄板部44を径方向外側から押圧し、これら各切欠き45内にかしめることにより、ボール螺子ナット23とフランジ部材33、即ちボール螺子ナット23とモータ軸6との相対回転を規制する構成となっている。
具体的には、本実施形態では、上記の「かしめ」により各切欠き45内に薄板部44を折り込む際、図6(b)に示すように、各切欠き45の側面45aに沿って、薄板部44を破断させる。そして、その薄板部44の破断により形成された各係合片46と各切欠き45とを係合させることにより、その「かしめ」をより強固なものとして、より確実にボール螺子ナット23とモータ軸6との相対回転を規制することが可能となっている。
次に、上記のように構成された本実施形態のEPSにおいて、そのボール螺子ナットを固定する際の作業手順について説明する。
上述のように、本実施形態では、モータ軸6は、モータハウジング12の軸方向両端に形成された開口部11a,11bのうち、一方の開口部11aを閉塞するサイドハウジング13に設けられた軸受7に支承されることにより、回転自在に同モータハウジング12内に配置される(図1参照)。このため、ボール螺子ナット23は、モータハウジング12の残る一方の開口部11bから、ラック軸3とともに挿入され、螺着によりモータ軸6の軸方向端部6aに固定されることになる。
詳述すると、図7に示すように、本実施形態では、ボール螺子ナット23の螺着に先立ち、先ず、モータ軸6の外周に上記フランジ部材33を螺着する工程が行なわれる。
具体的には、このとき、フランジ部材33には、その鍔部35に形成された被係合部39に対して多角筒状の(本実施形態では、六角筒状)の治具51が係合される。また、モータ軸6には、その内周に形成された被係合部41に対して、多角軸状の治具52(本実施形態では、六角軸状の治具)が係合される。そして、フランジ部材33の螺着は、そのモータ軸6側の被係合部41に係合させた治具52により同モータ軸6の回転を規制しつつ、フランジ部材33側の被係合部39に係合させた治具51を回転させることにより行なわれる。
上記フランジ部材33を螺着する工程が終了すると、上記治具52は、モータハウジング12の開口部11bから抜脱される。そして、図8に示すように、同モータ軸6内にラック軸3が挿通された後、その軸方向端部6aにボール螺子ナット23を螺着する工程が行なわれる。
本実施形態では、このとき、上記治具51内に治具53を挿入し、同治具53によりボール螺子ナット23の軸方向端部23b(同図中、左側、開口部11bに臨む側の端部)を把持することにより、同ボール螺子ナット23を回転させることが可能となっている。そして、ボール螺子ナット23の螺着は、上記フランジ部材33側の被係合部39に係合させた治具51により同フランジ部材33の回転を規制し、そのモータ軸6の連れ周りを抑えつつ、ボール螺子ナット23(の軸方向端部23b)を把持した治具53を回転させることにより行なわれる。
上記ボール螺子ナット23を螺着する工程が終了すると、次に、フランジ部材33に設けられた上記薄板部44をかしめる工程が行なわれる。具体的には、モータハウジング12の開口部11bから上記ボール螺子ナット23を螺着する工程に用いた各治具51,53を抜脱し、その開口部11bから工具を挿入することにより行なわれる。そして、その薄板部44の「かしめ」により、ボール螺子ナット23は、モータ軸6に対して相対回転不能に固定される。
ここで、図1に示すように、本実施形態のモータハウジング12には、モータ4に駆動電力を供給する給電コネクタ55を取着するための取着孔56が形成されており、モータハウジング12の内部は、この取着孔56から視認することが可能となっている。そして、本実施形態では、上記フランジ部材33は、モータ軸6の軸方向端部6aに取着されることにより、この取着孔56に臨む位置に配置されるようになっている。
即ち、本実施形態では、ボール螺子ナット23をモータ軸6に固定する上記の各工程においては、上記取着孔56を介して、そのフランジ部材33の被係合部39に対する治具52の係合状態を目視により確認することが可能となっている。同様に、フランジ部材33に設けられた薄板部44の「かしめ」状態を目視により確認することも可能である。そして、本実施形態では、これにより、より容易且つ確実にボール螺子ナット23を固定することが可能となっている。
また、このようにしてモータハウジング12内に収容されたボール螺子ナット23と同モータハウジング12との間には、上記のようにボール軸受27が介在される(図1参照)。本実施形態では、同ボール軸受27は、そのボール螺子ナット23をモータ軸6の軸方向端部6aに固定する工程が完了した後、同ボール螺子ナット23と同様、開口部11bからモータハウジング12内に嵌挿される。そして、これら各工程において用いられたモータハウジング12の開口部11bは、その第1ハウジングとしてのモータハウジング12の軸方向端部12bに第2ハウジングとしてのサイドハウジング14が取着されることにより閉塞されるようになっている。
ここで、図9に示すように、本実施形態では、サイドハウジング14の固定端14aには、そのモータハウジング12への取着により同モータハウジング12内に配置される挿入部47が形成されている。尚、本実施形態では、この挿入部47は、その外径がモータハウジング12の内径と略等しい略円筒状に形成されている。そして、上記ボール軸受27の各軸方向端面には、それぞれ、このサイドハウジング14に形成された挿入部47及びボール螺子ナット23に形成された上記フランジ部36が当接されている。
具体的には、サイドハウジング14の挿入部47は、ボール軸受27の外輪27a、詳しくは、その開口部11b側(同図中、左側)の軸方向端面に当接され、ボール螺子ナット23のフランジ部36は、ボール軸受27の内輪27b、詳しくは、そのモータ軸6側(同図中、右側)の軸方向端面に当接されている。そして、本実施形態では、これより、ボール螺子ナット23の上記開口部11b側への軸方向移動、即ち、モータ軸6から離間する方向の相対移動を規制して、そのモータ軸6からの脱離を防止する構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)ボール螺子ナット23は、その軸方向端部23aに設けられた中空軸状の螺子軸30(の螺子部31)とモータ軸6の内周に形成された螺子部32との螺合により、同モータ軸6の軸方向端部6aに螺着される。また、ボール螺子ナット23の軸方向端部23aに設けられたフランジ部36には、複数の切欠き45が形成されるとともに、モータ軸6(の軸方向端部6a)には、ボール螺子ナット23の径方向外側に配置される薄板部44が形成される。そして、ボール螺子ナット23は、その周方向に側壁を有する係合凹部としての各切欠き45内に、モータ軸6から延びる薄板部44をかしめることにより、同モータ軸6に対する相対回転が規制される。
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易且つ確実に、モータ軸6とボール螺子ナット23との間の相対回転を規制して、そのボール螺子ナット23の螺子緩みを抑えることができる。
(2)薄板部44は、軸方向に延設されることにより、ボール螺子ナット23(のフランジ部36)の径方向外側を包囲する円環状に形成される。
上記構成によれば、モータ軸6に螺着されたボール螺子ナット23において、そのフランジ部36に形成された上記各切欠き45がどのような周方向位置に配置されようとも、容易に、同切欠き45内に薄板部44をかしめることができ、これにより、その製造時における作業性を更に向上させることができる。
(3)「かしめ」により各切欠き45内に薄板部44を折り込む際には、各切欠き45の側壁としての側面45aに沿って、薄板部44を破断させる。そして、その薄板部44の破断により形成された各係合片46と各切欠き45とを係合させる。
上記構成によれば、各係合片46が、その対応する各切欠き45から脱離し難くなる。その結果、単に薄板部44の一部を各切欠き45内に突出するように弾性変形させた場合との比較において、その「かしめ」をより強固なものとすることができる。また、その破断面が各切欠き45の側面45aに係合することで、各係合片46は、その幅方向(薄板部44の周方向)において、ボール螺子ナット23とモータ軸6との相対回転により生ずる負荷を受けることになる。従って、より効果的に、ボール螺子ナット23とモータ軸6との相対回転を規制することができ、その結果、より確実にボール螺子ナット23の螺子緩みを抑えることができるようになる。
(4)薄板部44は、モータ軸6の軸方向端部6a(の外周)に取着されるフランジ部材33に形成される。そして、同フランジ部材33は、ボール螺子ナット23とは逆螺子の関係を有してモータ軸6と同軸に螺着される。
即ち、比較的容易に弾性変形することが求められる薄板部44と、高い強度が要求されるモータ軸6とを一体に形成することは難しい。この点、フランジ部材33には、モータ軸6ほど高い強度は要求されない。従って、上記構成のように、その薄板部44をフランジ部材33に形成する構成とすることで、同薄板部44の形成が容易になる。また、モータ軸6に対してフランジ部材33がボール螺子ナット23とは逆螺子の関係で螺着されるため、同フランジ部材33と一体に形成された薄板部44は、ボール螺子ナット23の螺子緩み方向には回転できない。従って、上記構成によれば、ボール螺子ナット23の螺子緩みを抑えつつ、その製造時における作業性の更なる向上を図ることができるようになる。
(5)ボール螺子ナット23と同ボール螺子ナット23を収容するモータハウジング12との間には、ボール軸受27が介在される。モータハウジング12の開口部11bは、その軸方向端部12bにサイドハウジング14が取着されることにより閉塞されるとともに、当該サイドハウジング14の固定端14aには、その取着により同モータハウジング12内に配置される挿入部47が形成される。そして、上記ボール軸受27の各軸方向端面には、それぞれ、このサイドハウジング14に形成された挿入部47及びボール螺子ナット23に形成された上記フランジ部36が当接される。
このような構成とすることで、ボール螺子ナット23とモータ軸6との軸方向における離間方向の相対移動を規制することができる。その結果、ボール螺子ナット23の脱離を防止して、より高い信頼性を確保することができる。
(6)モータハウジング12には、モータ4に駆動電力を供給する給電コネクタ55を取着するための取着孔56が形成される。そして、フランジ部材33は、モータ軸6に取着されることにより、この取着孔56に臨む位置に配置される。
上記構成によれば、その取着孔56を介してフランジ部材33を視認することができる。これにより、当該フランジ部材33に設けられることにより規制手段を形成する上記薄板部44のかしめ状態を、目視により確認することが可能になる。その結果、より容易且つ確実に、ボール螺子ナットの螺子緩みを抑えることができるようになる。
[第2の実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。
尚、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
図10〜図12に示すように、本実施形態では、上記ボール螺子ナット23とは逆螺子の関係を有してモータ軸6の軸方向端部6a(の外周)に螺着されるフランジ部材60において、そのフランジ部(鍔部)61には、複数の螺子孔62が形成されている。また、このモータ軸6側のフランジ部61と対向するように、ボール螺子ナット23の軸方向端部23aに形成されたフランジ部63には、複数の貫通孔64が形成されている。尚、本実施形態では、これらモータ軸6側及びボール螺子ナット23側に設けられた二つのフランジ部61,63は、その外径が略等しくなるように形成されている。そして、上記モータ軸6側のフランジ部61に設けられた各螺子孔62には、ボール螺子ナット23側のフランジ部63に形成された各貫通孔64に挿通された複数のボルト65が螺着されている。
即ち、本実施形態では、モータ軸6側のフランジ部61(の螺子孔62)に螺着された軸状部材としてのボルト65よって、同モータ軸6から軸方向に延設される第1係合部が構成され、ボール螺子ナット23側のフランジ部63に形成された貫通孔64によって、上記第1係合部と係合する第2係合部が構成されている。そして、モータ軸6とボール螺子ナット23との間に周方向の相対変位が生じた場合には、その第1係合部を構成する軸状部材としてのボルト65と第2係合部としての貫通孔64(の側壁64a)が係合することにより、両者間の相対回転が規制され、ひいては、その螺子緩みにより生ずるボール螺子ナット23の脱離の防止を図る構成となっている。
詳述すると、本実施形態では、モータ軸6側のフランジ部61には、その周方向に沿って略均等間隔で8つの上記螺子孔62が形成されるとともに、ボール螺子ナット23側のフランジ部63には、周方向に沿って略均等間隔で4つの貫通孔64が形成されている。具体的には、各貫通孔64は、周方向に延びる長孔状に形成されている。そして、本実施形態では、これら各貫通孔64に対応する位置にある上記各螺子孔62に対し、それぞれ、その対応する各貫通孔64に挿通されたボルト65を螺着する構成となっている。
即ち、このように長孔状に貫通孔64を形成することで、モータ軸6に螺着されたボール螺子ナット23において、そのフランジ部63に形成された各貫通孔64がどのような周方向位置に配置されようとも、モータ軸6側のフランジ部61に形成された各螺子孔62に対し、容易に、これら各貫通孔64を介してボルト65を螺着することができる。そして、本実施形態では、これにより、その製造時における作業性の向上が図られている。
また、図13に示すように、ボール螺子ナット23に螺子緩みが生じた場合、その螺子緩みに起因して当該ボール螺子ナット23とモータ軸6との間に周方向の相対変位が生ずることにより、各ボルト65は、長孔状に形成された貫通孔64内を周方向に沿って移動する。そして、その側壁64aに各ボルト65が当接して係合することによりボール螺子ナット23とモータ軸6との間の相対変位が規制され、これにより、ボール螺子ナット23の更なる螺子緩みを抑えることが可能となっている。
そして、更に、各ボルト65が貫通孔64内を移動し、その側壁64aに接触することにより生ずる衝突音を利用して、螺子緩みの発生を運転者に知らしめることができる。そして、この警告手段としての機能によって、その螺子緩みが安全性に影響しない早期の段階で、運転者に修理を促すことが可能な構成となっている。
尚、本実施形態では、螺子孔62に螺着された各ボルト65を更に螺子締めすることにより、その締結部材としての本来の機能、即ちモータ軸6側のフランジ部61とボール螺子ナット23側のフランジ部63との間に締結力を発生させる。そして、これにより生ずる摩擦力を利用して、ボール螺子ナット23の螺子緩みを抑える構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)モータ軸6側のフランジ部61に形成された螺子孔62に対し、ボール螺子ナット23側のフランジ部63に形成された貫通孔64に挿通されたボルト65を螺着する。
上記構成によれば、モータ軸6とボール螺子ナット23との間に周方向の相対変位が生じた場合には、これらボルト65と貫通孔64(の側壁64a)とが係合することにより、両者間の相対回転が規制される。そして、これにより、ボール螺子ナット23の螺子緩みを抑えることができる。
また、第1係合部を構成する軸状部材としてボルト65を用いることで、そのフランジ部61に対する取着作業が容易になり、これにより、その製造時における作業性を向上させることができる。更に、その締結部材としての本来の機能、即ちモータ軸6側のフランジ部61とボール螺子ナット23側のフランジ部63との間に締結力を発生させることが可能になる。そして、これにより生ずる摩擦力を利用して、より効果的にボール螺子ナット23の螺子緩みを抑えることができるようになる。
(2)各貫通孔64は、周方向に延びる長孔状に形成される。
上記構成によれば、モータ軸6に螺着されたボール螺子ナット23において、そのフランジ部63に形成された各貫通孔64がどのような周方向位置に配置されようとも、そのモータ軸6側のフランジ部61に形成された各螺子孔62に対して、容易に、これら各貫通孔64を介してボルト65を螺着することができる。その結果、その製造時における作業性の向上を図ることができるようになる。
また、ボール螺子ナット23とモータ軸6との相対回転により貫通孔64内を移動するボルト65が、その側壁64aに接触する際に生ずる衝突音を利用して、螺子緩みの発生を運転者に知らしめることができる。そして、この警告手段としての機能により、その螺子緩みが安全性に影響しない早期の段階で運転者に修理を促すことができ、その結果、より高い信頼性を確保することができるようになる。
(3)モータ軸6側のフランジ部61は、ボール螺子ナット23とは逆螺子の関係を有して同モータ軸6の軸方向端部6aに螺着される。
上記構成によれば、各ボルト65を有するフランジ部61と、その各ボルト65と係合する各貫通孔64を有するボール螺子ナット23との関係において、何れか一方が螺子緩み状態となる場合には、他方は螺子締め状態となる。従って、ボール螺子ナット23に螺子緩みが生じた場合であっても、これら各ボルト65と各貫通孔64との係合によって、フランジ部材61が螺子締めされることで、そのボール螺子ナット23の螺子緩みの進行を抑えることができる。
[第3の実施形態]
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。
尚、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
図14〜図17(a)(b)に示すように、本実施形態では、モータ軸70の外周、詳しくは、ボール螺子ナット23が螺着される側の軸方向端部70aの外周には、その外周に螺子部71が形成された筒状部材72が相対回転不能に外嵌されている。また、ボール螺子ナット23の外周、詳しくは、その軸方向端部23a(図14中、右側、モータ軸70に螺着される側の端部)に設けられたフランジ部73の外周には、上記モータ軸70の外周に形成された螺子部71に対応する螺子部74が形成されている。そして、本実施形態では、そのボール螺子ナット23の螺着により軸方向に並置される上記二つの螺子部71,74に対し、その両方に跨るように一のナット75(の螺子部75a)を螺合することにより、モータ軸70とボール螺子ナット23との相対回転を規制して同ボール螺子ナット23の螺子緩みを抑える構成となっている。
詳述すると、本実施形態では、モータ軸70の軸方向端部70aには、その外周に円環状の嵌合凹部76が形成されており、上記筒状部材72は、この嵌合凹部76に対して軸方向移動可能に取着(嵌着)されている。そして、この筒状部材72の取着状態において、上記螺子部71は、そのボール螺子ナット23の螺着側に位置する軸方向端部(図14中、左側の軸方向端部)72aの外周に形成されている。
ここで、本実施形態では、この筒状部材72の外周に形成された螺子部71、及び上記ボール螺子ナット23(のフランジ部73)の外周に形成された螺子部74については、そのボール螺子ナット23の螺着時おける外径、及び螺子山の高さ並びにピッチが略等しくなるように設定されている。そして、モータ軸70に外嵌された筒状部材72の軸方向位置を調整することにより、これらの各螺子部71,74に対して、一のナット75(の螺子部75a)を螺合させることが可能となっている。
尚、本実施形態では、筒状部材72の外周には、径方向外側に延びるフランジ部77が形成されている。そして、上記各螺子部71,74に螺合されたナット75は、このフランジ部77と圧接する方向に螺子締めされることにより、その螺着位置が固定されるようになっている。
更に、本実施形態の筒状部材72は、その取着状態において、反ボール螺子ナット側に位置する軸方向端部(図14中、左側の軸方向端部)72bから軸方向に延びる複数の係合突部78を備えている。また、モータ軸70の外周には、これら各係合突部78と係合する複数の係合凹部79が設けられている。具体的には、各係合凹部79は、モータ軸70の軸方向端部70aに形成された上記嵌合凹部76の軸方向端面76aに開口するように形成されている。即ち、筒状部材72(の軸方向端部72b)に設けられた各係合突部78は、筒状部材72が嵌合凹部76に取着されることにより、その対応する各係合凹部79内に挿入される。そして、本実施形態では、これら各係合突部78と係合凹部79との係合により、モータ軸70に対する筒状部材72の相対回転が規制されるようになっている。
このように、モータ軸70の軸方向端部70aに対して相対回転不能に取着された筒状部材72、及びボール螺子ナット23(のフランジ部73)の外周にそれぞれ形成された二つの螺子部71,74に跨って一のナット75(の螺子部75a)を螺合することで、モータ軸70に対するボール螺子ナット23の相対回転を規制して、その螺子緩みを抑えることができる。そして、モータ軸70に外嵌された筒状部材72の軸方向位置を調整することにより、軸方向に並置される上記二つの螺子部71,74に対して、容易に、そのナット75を螺合させることができる。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、容易且つ確実に、ボール螺子ナット23の螺子緩みを抑えることができるようになる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、本発明をモータ4とラック軸3とが同軸に配置される同軸モータ型のEPSに具体化した。しかし、これに限らず、モータにより駆動される中空軸を有するラックアシスト型のEPSであって、その中空軸の軸方向端部にボール螺子ナットを螺着する構成であれば、モータ配置については、特に限定するものではない。即ち、例えば、モータとラック軸とが平行配置される所謂パラレル型や、モータの軸線がラック軸と斜交するように配置されるラッククロス型のEPSに適用してもよい。
・上記第1の実施形態では、薄板部44は、ボール螺子ナット23(のフランジ部36)の径方向外側を包囲するような円環状に形成されることとした。しかし、これに限らず、例えば、短冊状に形成された複数の薄板部をモータ軸6からボール螺子ナット23側に向って軸方向に延設する等としてもよい。
・また、上記第1の実施形態では、ボール螺子ナット23側に係合凹部としての切欠き45を形成し、モータ軸6側に薄板部44を形成した。しかし、これに限らず、ボール螺子ナット側に薄板部を形成し、モータ軸側に係合凹部を形成する構成としてもよい。更に、薄板部の形状を上記のように短冊状に形成するような場合には、当該薄板部及び対応係合凹部を、ボール螺子ナット側及びモータ軸側の両方に形成することとしてもよい。これにより、より確実に螺子緩みを防止することができるようになる。
・また、上記第1の実施形態では、ボール螺子ナット23の軸方向端部23aに設けられたフランジ部36に複数の切欠き45を形成し、これら各切欠き45を薄板部44がかしめられる係合凹部とすることとした。しかし、これに限らず、かしめによりボール螺子ナット23の相対回転を規制可能な側壁(側面45aに相当)を有するものであればよく、例えば、ボール螺子ナット23の外周面に対して直接に係合凹部を形成する等としてもよい。
・更に、上記第1の実施形態では、薄板部44は、フランジ部材33に設けられて同フランジ部材33とともにモータ軸6の軸方向端部6a(の外周)に取着されることとした。しかし、これに限らず、モータ軸と一体に薄板部を形成する構成であってもよい。
・また、モータ軸に取着される別部材にかしめ用の薄板部を形成する場合であっても、その取着構造については、上記フランジ部材33のような逆螺子による螺着に限るものではない。即ち、モータ軸6に対して少なくともボール螺子ナット23の螺子緩み方向に回転不能であればよい。従って、その別部材が相対回転不能にモータ軸6に取着される構成であってもよい。
具体的には、例えば、図18及び図19(a)(b)に示されるように、モータ軸80の外周にフランジ部材81を外嵌する。そして、これらフランジ部材81及びモータ軸80に設けられた係合突部82及び係合凹部83を係合させることにより、そのフランジ部材81の相対回転を規制する構成としてもよい。このような構成としても上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、モータ軸80の外周にフランジ部材81を外嵌する構造については、モータ軸80の軸方向端部80aに、上記第3の実施形態における嵌合凹部76(図14〜図17(a)(b)参照)と同様の嵌合凹部84を形成すればよい。そして、フランジ部材81側の係合突部82、及びモータ軸80側の係合凹部83についてもまた、上記第3の実施形態における各係合突部78及び各係合凹部79(図14〜図17(a)(b)参照)と同様に形成すればよい。即ち、各係合突部82は、フランジ部材81の基部86から軸方向に延設されるように、また各係合凹部83は、モータ軸80の軸方向端部80aに形成された上記嵌合凹部84の軸方向端面84aに開口するように形成するとよい。
・更に、相対回転不能にフランジ部材をモータ軸に取着するための係合手段の構成についても、上記図18及び図19(a)(b)に示された一例に限るものではない。例えば、図20及び図21(a)(b)に示すように、フランジ部材87における基部88の内周、及びモータ軸90における軸方向端部90aの外周に、それぞれスプライン嵌合部(若しくはセレーション嵌合部)91,92を形成する。そして、これらを嵌合させることにより、モータ軸90とフランジ部材87との相対回転を規制する構成としてもよい。このような構成としても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記第2の実施形態では、フランジ部61に取着されることにより第1係合部を構成する軸状部材としてボルト65を用いることとした。しかし、これに限らず、例えば、フランジ部61に形成された孔(穴)に対して、ピン等、ボルト以外の軸状部材を圧入する構成であってもよい。
・また、軸状部材としてのボルト65が挿通される貫通孔64は、周方向に延びる長孔状に形成されることとした。しかし、これに限らず、円孔等、その第1係合部を構成する軸状部材(ボルト65等)との係合より、ボール螺子ナット23の相対回転を規制可能であれば、その形状は、これに限るものではない。
・更に、上記第2の実施形態では、モータ軸6側のフランジ部61に軸状部材としての各ボルト65を螺着し、ボール螺子ナット23側のフランジ部63に、これら各ボルト65が挿通される複数の貫通孔64を形成することとした。しかし、これに限らず、例えば、ボール螺子ナット側のフランジに軸状部材を取着し、モータ軸側のフランジ部に、その軸状部材が挿通される貫通孔を設ける構成としてもよい。そして、更には、モータ軸側及びボール螺子ナット側の各フランジの双方に、第1係合部を構成する軸状部材及び同第1係合部と係合する第2係合部を設ける構成であってもよい。
・また、第1係合部及び第2係合部については、必ずしも、それぞれフランジ部に設けられた軸状部材及び貫通孔でなくともよい。
具体的には、例えば、図22に示すように、モータ軸6の軸方向端部6aに、その径方向外側に向って突出する第2係合部として、複数(この例では、4つ)の係合突部93を形成する。他方、ボール螺子ナット23側のフランジ部95には、モータ軸6側に向って軸方向に延びる第1係合部として、複数(この例では、4つ)の軸状部材96を設ける。
尚、この例において、これらの各係合突部93は、モータ軸6の軸方向端面に、その外周に該各係合突部93を構成する突出部94aが形成された円環状の板部材94を固着することにより形成される。また、図22は、二点鎖線(仮想線)に示されるボール螺子ナット23側のフランジ部95及び各軸状部材96が、実線に示されるモータ軸6の軸方向端部6a(板部材94)よりも紙面手前側に配置された状態を示している。従って、各軸状部材96が「モータ軸6側に向って軸方向に延びる方向」は、同図中、紙面表側から裏側に向う方向になる。
そして、図23に示すように、そのボール螺子ナット23の相対回転によって、当該ボール螺子ナット23側に設けられた第1係合部としての軸状部材96と、モータ軸6側に設けられた第2係合部としての各係合突部93とが当接し係合することにより、その相対回転を規制する構成としてもよい。このような構成としても、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記第3の実施形態では、ボール螺子ナット23側の螺子部74は、その軸方向端部23aに設けられたフランジ部73の外周に形成されることとした。しかし、これに限らず、ボール螺子ナット23の外周に直接的に形成する構成であってもよい。
・上記第3の実施形態では、モータ軸70の軸方向端部70aに形成された嵌合凹部76に対して筒状部材72を取着する。そして、筒状部材72に設けられた各係合突部78と、モータ軸70に設けられた各係合凹部79とを係合させることにより、軸方向移動可能且つ相対回転不能に筒状部材72をモータ軸70に取着することとした。しかし、軸方向移動可能且つ相対回転不能に筒状部材72をモータ軸70に取着する構成については、必ずしもこれに限るものではない。
具体的には、例えば、図24及び図25(a)(b)に示すように、筒状部材97の内周、及びモータ軸98における軸方向端部98aの外周に、それぞれスプライン嵌合部(若しくはセレーション嵌合部)99,100を形成し、これらを嵌合させてもよい。このような構成としても、軸方向移動可能且つ相対回転不能に筒状部材72をモータ軸70に取着することができる。
・上記第2及び第3の実施形態では特に言及しなかったが、図9に示されるような、ボール螺子ナット23とモータハウジング12との間に介在されたボール軸受27、及びサイドハウジング14に形成された挿入部47を利用してボール螺子ナット23の軸方向移動を規制する構造を、これら各実施形態の構成に適用してもよいことはいうまでもない。
・上記第2の実施態形において規制手段を構成する各要素(ボルト65及び貫通孔64)が設けられたフランジ部61,63についても、モータハウジング12に形成された給電コネクタ55の臨む位置に配置されるように設定するとよい。これにより、その製造時における作業性の向上を図ることができる。そしてこれは、上記第3の実施態形において規制手段を構成する各要素(螺子部71,74及びナット75)が設けられた筒状部材72及びフランジ部73についても同様である。
・上記第1の実施形態では、薄板部44が設けられたフランジ部材33をモータ軸6の軸方向端部6aに取着することとした。しかし、組付け上の制約がない場合、このようなフランジ部材33はモータ軸6と一体に形成してもよい。また、第2の実施形態におけるフランジ部材60についても同様に、モータ軸6と一体に形成してもよい。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ハウジング、3…ラック軸、4…モータ、5…ボール螺子装置、6,70,89,90,98…モータ軸、6a,70a,89a,90a,98a…軸方向端部、7…軸受、11a,11b…開口部、12…モータハウジング、12a,12b…軸方向端部、13,14…サイドハウジング、21…螺子溝、22…ボール、23…ボール螺子ナット、23a,23b…軸方向端部、24…螺子溝、25…循環部材、27…ボール軸受、27a…外輪、27b…内輪、30…螺子軸、31,32…螺子部、33,60,81,87…フランジ部材、34,86,88…基部、35…鍔部、36,63,73,95…フランジ部、37,38…螺子部、44…薄板部、45…切欠き、45a…側面、46…係合片、47…挿入部、55…給電コネクタ、56…取着孔、61…フランジ部、62…螺子孔、64…貫通孔、64a…側壁、65…ボルト、71…螺子部、72,97…筒状部材、72a,72b…軸方向端部、74…螺子部、75…ナット、75a…螺子部、76,84…嵌合凹部、78,82…係合突部、79,83…係合凹部、93…係合突部、96…軸状部材、91,92,99,100…スプライン嵌合部。

Claims (12)

  1. 軸方向に往復動可能に設けられたラック軸と、前記ラック軸が挿通されるとともにモータ駆動により回転する中空軸と、該中空軸の回転を前記ラック軸の軸方向移動に変換するボール螺子装置とを備え、前記ボール螺子装置は、前記中空軸の軸方向端部にボール螺子ナットを固定し、該ボール螺子ナットの内周に螺刻された螺子溝と前記ラック軸の外周に螺刻された螺子溝とが対向してなる螺旋状の転動路内に複数のボールを配することにより形成される電動パワーステアリング装置において、
    前記ボール螺子ナットの軸方向端部には中空軸状の螺子軸が設けられ、前記ボール螺子ナットは、前記螺子軸が前記中空軸に形成された螺子部と螺合することにより、前記中空軸の軸方向端部に螺着されるものであって、
    前記ボール螺子ナットと前記中空軸との相対回転を規制する規制手段を設け、
    前記中空軸は、モータハウジング内に収容されたモータ軸であるとともに、前記モータハウジングには、給電コネクタの取着孔が形成されるものであって、
    前記規制手段は、前記取着孔に臨む位置に配置されること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記ボール螺子ナット及び前記中空軸の少なくとも一方には、他方側の外周に形成された係合凹部の外側に配置される薄板部が設けられ、
    前記規制手段は、前記係合凹部内に前記薄板部をかしめてなること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記係合凹部は、周方向に側壁を有して前記ボール螺子ナットの外周に形成されるとともに、
    前記薄板部は、前記ボール螺子ナットの螺着により前記係合凹部の径方向外側に配置されるよう前記中空軸の軸方向端部から軸方向に延設されてなること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項3に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記薄板部は、前記ボール螺子ナットの径方向外側を包囲する円環状に形成されること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項4に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記規制手段は、前記かしめにより破断した前記薄板部が形成する係合片と前記係合凹部の側壁とが係合してなること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項3〜請求項5の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記薄板部は、前記中空軸に対して少なくとも前記ボール螺子ナットの螺子緩み方向には回転不能に取着される別部材に設けられること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  7. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記規制手段は、前記ボール螺子ナット又は前記中空軸の一方から軸方向に延設された第1係合部と、その他方側において前記第1係合部と係合する第2係合部とからなること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  8. 請求項7に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記ボール螺子ナット及び前記中空軸の対向する各軸方向端部には、それぞれ径方向外側に延びるフランジ部が形成されるものであって、
    前記規制手段は、前記フランジ部に取着されて前記第1係合部を構成する軸状部材と、該軸状部材が取着された側のフランジ部に対向する他方側の前記フランジ部に設けられて
    前記軸状部材が挿通されることにより前記第2係合部を構成する貫通孔とからなること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  9. 請求項8に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記中空軸側のフランジ部は、前記中空軸に対して前記ボール螺子ナットとは逆螺子の関係となるようにフランジ部材を同軸に螺着することにより形成されるとともに、前記貫通孔は、周方向に延びる長孔状に形成されてなること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記軸状部材は、螺着により前記フランジ部に取着されること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  11. 軸方向に往復動可能に設けられたラック軸と、前記ラック軸が挿通されるとともにモータ駆動により回転する中空軸と、該中空軸の回転を前記ラック軸の軸方向移動に変換するボール螺子装置とを備え、前記ボール螺子装置は、前記中空軸の軸方向端部にボール螺子ナットを固定し、該ボール螺子ナットの内周に螺刻された螺子溝と前記ラック軸の外周に螺刻された螺子溝とが対向してなる螺旋状の転動路内に複数のボールを配することにより形成される電動パワーステアリング装置において、
    前記ボール螺子ナットにおける前記中空軸側の軸方向端部には中空軸状の螺子軸が設けられ、前記ボール螺子ナットは、前記螺子軸が前記中空軸に形成された螺子部と螺合することにより、前記中空軸の軸方向端部に螺着されるものであって、
    前記ボール螺子ナットと前記中空軸との相対回転を規制する規制手段を設け、
    前記規制手段は、前記中空軸における前記ボール螺子ナット側の軸方向端部、及び前記ボール螺子ナットにおける前記中空軸側の軸方向端部の両方に跨って、両端部の径方向外方に配置される規制部材を備え
    前記中空軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に取着される筒状部材を備え、
    前記規制手段は、前記ボール螺子ナットの外周及び前記筒状部材の外周に形成された各螺子部に対して、前記規制部材としての一のナットを螺合してなること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  12. 請求項1〜請求項1の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記ボール螺子ナットと該ボール螺子ナットを収容する第1ハウジングとの間には、転がり軸受が介在されるとともに、前記第1ハウジングの軸方向端部に形成された開口部は、第2ハウジングの取着により閉塞されるものであって、
    前記ボール螺子ナットにおける前記中空軸側の軸方向端部には、径方向外側に延びるフランジ部が形成されるとともに、前記第2ハウジングには前記第1ハウジング内に配置される挿入部が形成され、
    前記転がり軸受の各軸方向端面には、前記ボール螺子ナットのフランジ部及び前記第2ハウジングの挿入部が当接されること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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