本発明の半導体装置の構成について、以下詳しく説明する。
図1(A)に、本発明の半導体装置が有するガラス基板の構成を、一例として示す。図1(A)において、ガラス基板10上には、半導体素子で形成された1つまたは複数の回路11が形成されている。さらに、ガラス基板10上には、光信号の送受を行なう光入出力部12と、該光入出力部12に出入りする電気信号を処理するインターフェース13とを有している。
光入出力部12は、光信号を受信するための受光素子が形成された光入力部14と、光信号を送信するための発光素子が形成された光出力部15とを有している。図1(A)では、説明を分かり易くするため、光入力部14と光出力部15とを区分けして示しているが、光信号を受信する機能を有する素子と、光信号を送信する機能を有する素子とが混在していても良い。
また図1(A)では、他基板との間の信号の送受を光信号のみによって行う場合について示しているが、信号の一部を電気信号のまま送受しても良く、電気信号のまま送受用の機能、例えば端子などを有していても良い。
図1(B)に、図1(A)に示したガラス基板を重ね合わせ、各基板間で光信号の送受信を行なっている様子を示す。各基板どうしで光入出力部12が重なり合っており、各基板間で光信号の送受を行なうことで、各基板10に形成された回路11からなる集積回路が構築される。
図2(A)に、光入出力部12のより具体的な構成を示す。図2(A)では、基板間で1つの発光素子16に対して少なくとも1つの受光素子17が対応している様子を示している。発光素子は、ガラス基板上に形成することができ、なおかつ指向性を有する発光が得られる素子であることが望ましい。
なお図2(A)では光入出力部12に発光素子16と受光素子17のみ示しているが、実際には電気信号により発光素子を発光させるための駆動部と、受光素子から得られた電気信号を増幅する回路や、得られた電気信号の波形を整形するための回路を設ける。なおこれらの機能をインターフェース13が備えるようにしても良い。
図2(B)に、光入力部14と光出力部15の具体的な構成を示す。光出力部15は、発光素子16と、インターフェース13から出力された電気信号(出力信号)を用いて該発光素子16を発光させるための発光素子駆動部18を有している。発光素子駆動部18の具体的な構成は、発光素子16の構成に合わせて適宜決めることができる。
光入力部14は、受光素子17と、該受光素子17において得られた電気信号を増幅するための増幅回路19と、電気信号の波形を整形するための波形整形回路20とを有している。なお、増幅回路19と波形整形回路20は必ずしも設ける必要はなく、またこれらの回路の他に、電気信号の波形に何らかの処理を加える回路を有していても良い。図2(B)では、波形整形回路20から出力された電気信号がインターフェース13に入力される。
なお、図2(A)では、発光素子と受光素子が一対一で対応している例について示したが、本発明はこの構成に限定されない。2つ以上の発光素子が1つの受光素子に対応していても良いし、1つの発光素子が2つ以上の受光素子に対応していても良い。
図3(A)に、それぞれ異なる基板に形成された2つの発光素子が、さらに別の基板上に形成された1つの受光素子に対応している様子を示す。発光素子30は、発せられる光が、発光素子31の形成されているガラス基板33を透過して受光素子32に入射するように配置されている。上記構成により、発光素子30から光信号を受光素子32に送っている間に、発光素子31が形成されている基板において別の動作を行うことができ、逆に発光素子31から光信号を受光素子32に送っている間に、発光素子30が形成されている基板において別の動作を行うことができる。
逆に、それぞれ異なる基板に形成された2つの受光素子が、さらに別の基板上に形成された1つの発光素子に対応している場合、複数の基板へ同時に光信号を送信することができる。
また図3(B)に、複数の受光素子で得られた電気信号のいずれかを選択し、例えば増幅回路のような光入力部内のほかの回路や、インターフェースに送る機能を有する選択回路を設けた場合を示す。図3(B)では、それぞれ異なる基板上に形成された2つの発光素子35、36から発せられた光信号を、さらに別の基板上に形成された2つの受光素子37、38において電気信号に変換する。そして得られる2つの電気信号のいずれか一方を、選択回路39において選択し、後段の回路に送信する。上記構成により、図3(A)の場合と同様に、発光素子1つあたりの発振周波数を低くすることができ、発光素子の駆動を制御する発光素子駆動部の負担を小さくすることができる。
なお、ガラス基板間で光信号によるデータの伝送を並列に行うためには、光信号の経路を夫々独立させる必要がある。しかし、光の拡散の度合いによっては、光信号が対応しない受光素子に入射する所謂クロストークが生じる場合がある。
光の拡散の度合いは、発光素子から発せられる光の指向性と、光信号の経路における媒質の屈折率に依存する。よって、クロストークがなるべく抑えられるように光の拡散を考慮し、用いる発光素子の光の指向性に合わせて、受光素子と発光素子をレイアウトし、基板の厚さ、基板間の距離、基板間の媒質等を適宜設定することが望ましい。またクロストークを防ぐために、光信号の経路に、円筒形またはそれに近い断面をもつ光ファイバーや、平面状の誘電体薄膜にそって光を伝える薄膜導波路等の光導波路を設けても良い。
なお本発明で用いる基板はガラス基板に限定されない。透過性を有し、半導体素子の形成やその他のプロセスにおける処理温度に耐え得る基板であれば、プラスチック基板など、ガラス基板以外の基板も用いることは当然可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、マイクロプロセッサに代表されるCPU(Central Processing Unit)のCPUコアを複数のガラス基板上に形成し、各基板間を光インターコネクションによって接続する例について説明する。
ガラス基板上に形成されたTFTは単結晶トランジスタに比べて動作速度が遅い。そのため、ガラス基板上にCPUを形成した場合、処理内容が複雑化すると単一のCPUコアでは、十分な速度で処理を実行することが困難である。そこでCPUコアの一連の処理を、その目的別にいくつかの処理に分け、各処理に一つの基板上に形成されたCPUコアを割り当てる。そして各CPUコアが形成された複数の基板を光インターコネクションで接続することで、単一のCPUコアを用いた場合と同じく一連の処理を行うことができる。それぞれの基板上に形成されたCPUコアは割り当てられた処理だけを行えばよく、単一のCPUコアですべての処理を行う場合にくらべて処理速度が向上する。
図4に、本実施例のマイクロプロセッサの斜視図を示す。マイクロプロセッサ100は、ガラス基板を用いた複数のCPUコア用基板101、メインメモリ102、クロックコントローラ103、キャッシュコントローラ104、シリアルインターフェース105、I/Oポート106等から構成される。勿論、図4に示すマイクロプロセッサは簡略化した一例であり、実際のマイクロプロセッサはその用途によって多種多様な構成を有している。
CPUコア用基板101は透過性を有する基板で形成されており、本実施例ではガラス基板を用いている。そして、CPUコア用基板101は、光入出力部107と、インターフェース108と、CPUコア109と、キャッシュメモリ110とをそれぞれ有している。
なお光入出力部107には、電気信号を光信号として出力する機能を有する素子と、光信号を電気信号に変換する機能を有する素子の両方を有していても良いし、基板によっては片方だけ有していても良い。そして、マイクロプロセッサ100を構成する他の回路との間で、電気信号を光信号に変換せずにそのまま送受信するための端子を有していても良い。
キャッシュメモリ110は、CPUコア109とメインメモリ102の間に介在した、小容量で高速のメモリである。高速動作のCPUコアは高速動作のメモリを必要とする。しかし、CPUコアの動作スピードにあったアクセスタイムをもつ高速の大容量メモリを使用した場合、一般的にコストが高くなってしまう。
CPUコアはキャッシュメモリをアクセスすることによりメインメモリのスピードによらず、高速で動作することが可能となる。
以下、各CPUコア109の動作の一例について説明する。
例えば、まず実行初期において、プログラムをメインメモリ102や他の外付メモリなどから、各CPUコア用基板101のキャッシュメモリ110(SRAM)にダウンロードする。マスターとなるCPUコア109がこれを行っても良い。
次に、スレーブとなる各CPUコア109は、同じCPUコア用基板101のキャッシュメモリ110に格納されたプログラムを順に実行する。同じCPUコア用基板101のキャッシュメモリ110は、プログラムを格納するだけでなく、ワーク領域としても機能し、CPUコア109の計算結果等を一時的に格納する。
各CPUコア109が、他のCPUコア109の出力結果や、メインメモリ102といった、CPUコア用基板内のキャッシュメモリ110以外との信号のやりとりが必要となる場合には、光入出力部107を経由して、これを行う。
CPUコア109の数に応じて全体の動作速度は向上する。特に、CPUコア109間の信号や、CPUコア用基板101外への信号のやりとりが少ない場合に、並列化の効果が高い。
プログラム例としては、例えば、非常に多くの極小値をもつ位相空間内において最小値を探すような最適化問題(例えば、自動配線、セールスマンの巡回問題)や、バラツキの評価(回路シミュレーション、等)において、モンテカルロ法やシミュレーテッドアニーリングなどを適用する場合が挙げられる。
これらのプログラムでは、基本的には、独立に、多数回、同じサブプログラムを実行する構造となっており、各サブプログラムを異なるCPUコア109に担当させる事で、実質的には、各CPUコア用基板101内のCPUコア109とキャッシュメモリ110で完結したプログラムを実行することができ、理想的な並列計算を行うことが可能となる。
なお、CPUコア間の処理速度がまちまちだと処理全体で見たときに不都合が起きる場合があるので、スレーブとなる各CPUコア間の処理速度のバランスを、マスターとなるCPUコアでとるようにしても良い。
本実施例では、本発明の半導体装置の1つである半導体表示装置の一実施例について説明する。
図5に本実施例の半導体表示装置の構成をブロック図で示す。図5では2枚のガラス基板を用いており、第1の基板200には外部入力端子225、VRAM(Video Random Access Memory)201、タイミング信号発生回路202、映像信号処理回路203、制御信号用光出力部204及び映像信号用光出力部205が設けられている。
制御信号用光出力部204及び映像信号用光出力部205には、それぞれ1つまたは複数の発光素子220と、それに対応する発光素子駆動部221とが形成されている。なお、1つの発光素子駆動部221が複数の発光素子220に対応していても良いし、一対一で対応していても良い。
また、第2の基板210には、制御信号用光入力部211、映像信号用光入力部212、信号線駆動回路213、走査線駆動回路214及び画素部215が設けられている。
制御信号用光入力部211及び映像信号用光入力部212には、それぞれ1つまたは複数の受光素子222と、それに対応する増幅回路223及び波形整形回路224とが形成されている。
VRAM201には外部入力端子225から入力された画像情報を有するデータが記憶されており、映像信号処理回路203では、信号線駆動回路213の規格に合わせて、該データをに何らかの処理を加え、映像信号として映像信号出力部205に送る。映像信号出力部205の発光素子駆動部221では、送られた映像信号を用いて発光素子220の発光を制御する。
一方、タイミング信号発生回路では、映像信号処理回路203、信号線駆動回路213、走査線駆動回路214の駆動のタイミングを制御するクロック信号(CLK)、スタートパルス信号(SP)、ラッチ信号等の信号が生成される。映像信号処理回路203の駆動を制御する信号は直接該回路に与えられるが、第2の基板210に形成された回路、ここでは信号線駆動回路213、走査線駆動回路214に与える信号は、制御信号用光出力部204において光信号に変換され、制御信号用光入力部211において再び電気信号に変換される。そして電気信号に変換された各種制御信号は、信号線駆動回路213、走査線駆動回路214に与えられる。
信号線駆動回路213は与えられた制御信号のタイミングに同期して駆動し、映像信号をサンプリングして画素部215に入力する。また走査線駆動回路214も入力された制御信号に同期して、画素部215の各画素に映像信号が入力されるタイミングを制御する。
なお、本実施例では画像情報を有するデータを、外部入力端子225を介して電気信号として伝送しているが、電気信号としてではなく光信号として伝送するようにしても良い。
図6に実施例で用いたアクティブマトリクス型の半導体表示装置の信号線駆動回路、走査線駆動回路、画素部の具体的な構成を示す。なお図6では、画素部に画像を表示する素子の1つである発光素子として、OLED(OLED:Organic Light Emitting Device)を用いた場合を示す。
図6(A)において信号線駆動回路213は、シフトレジスタ213_1、ラッチA213_2、ラッチB213_3、D/A変換回路213_4を有している。シフトレジスタ213_1は、入力されたクロック信号(CLK)およびスタートパルス(SP)に基づき、タイミング信号を順に発生させ、後段の回路へタイミング信号を順次供給する。
なおシフトレジスタ213_1からのタイミング信号を、バッファ等(図示せず)によって緩衝増幅し、後段の回路へ緩衝増幅したタイミング信号を順次供給しても良い。タイミング信号が供給される配線には、多くの回路あるいは素子が接続されているために負荷容量(寄生容量)が大きい。この負荷容量が大きいために生ずるタイミング信号の立ち上がりまたは立ち下がりの”鈍り”を防ぐために、このバッファが設けられる。
シフトレジスタ213_1からのタイミング信号は、ラッチA213_2に供給される。ラッチA213_2は、デジタルの映像信号を処理する複数のステージのラッチを有している。ラッチA213_2は、前記タイミング信号が入力されると同時に、映像信号を順次書き込み、保持する。
なお、ラッチA213_2に映像信号を取り込む際に、ラッチA213_2が有する複数のステージのラッチに、順に映像信号を入力する。
ラッチA213_2の全ステージのラッチへの映像信号の書き込みが一通り終了するまでの時間を、ライン期間と呼ぶ。すなわち、ラッチA213_2中で一番左側のステージのラッチに映像信号の書き込みが開始される時点から、一番右側のステージのラッチに映像信号の書き込みが終了する時点までの時間間隔がライン期間である。実際には、上記ライン期間に水平帰線期間が加えられた期間をライン期間に含むことがある。
1ライン期間が終了すると、ラッチB213_3にラッチ信号(Latch Signal)が供給される。この瞬間、ラッチA213_2に書き込まれ保持されている映像信号は、ラッチB213_3に一斉に送出され、ラッチB213_3の全ステージのラッチに書き込まれ、保持される。
映像信号をラッチB213_3に送出し終えたラッチA213_2は、シフトレジスタ213_1からのタイミング信号に基づき、再び映像信号の書き込みを順次行う。
この2順目の1ライン期間中には、ラッチB213_3に書き込まれ、保持されている映像信号がD/A変換回路213_4においてアナログに変換され、画素部215に設けられた信号線に入力される。
なお、D/A変換回路213_4は必ずしも用いる必要はなく、時分割階調を行なう場合は、D/A変換回路213_4を用いずに、デジタルの映像信号をそのまま画素部215に設けられた信号線に入力する。
なお、光入出力部における光信号のバス幅を広く取ることができるので、光入力部における入力信号数が1ライン分の信号線の数と同じにすることも可能である。この場合、タイミング信号で順にラッチを選択して書き込まなくとも、一度に全ステージのラッチへの書き込みができるので、シフトレジスタを用いなくても駆動が可能である。また、光入力部における入力信号数が1ライン分の全信号線に対応していなくとも、いずれにしろ光入出力部における光信号のバス幅を広く取ることができるので、端子を用いたときよりも信号線駆動回路の駆動周波数を十分落とすことができる。
また、光入力部における入力信号数が1ライン分の信号線の数と同じ場合、ラッチBを設けなくとも駆動が可能である。
一方、走査線駆動回路214は、それぞれシフトレジスタ214_1、バッファ214_2を有している。また場合によっては、さらにレベルシフタを有していても良い。
走査線駆動回路214において、シフトレジスタ214_1からの選択信号がバッファ(図示せず)に供給され、対応する走査線に供給される。
図6(B)に画素部の一部を示す。各走査線には、1ライン分の画素のTFT230のゲートが接続されている。そして、1ライン分の画素のTFT230を一斉にONにしなくてはならないので、バッファ214_2は大きな電流を流すことが可能なものが用いられる。
次に、本実施例の半導体表示装置の外観について説明する。図7(A)は図5に示した半導体表示装置の斜視図の一実施例である。また図7(B)はその断面を示したものである。
第1の基板200上に形成された外部入力端子225は、FPC231に接続されており、FPC231を介して画像情報を有するデータが外部入力端子225に入力される。また図7(B)に示すように、第1の基板200上にはVRAM201、映像信号処理回路203、映像信号用光出力部205が設けられている。なお、図7(B)で示した以外に、第1の基板200上にはタイミング信号発生回路202と、制御信号用光出力部204が形成されている。
第1の基板200は、接着剤233により第2の基板210と対向するように張り合わされている。この接着剤233は、光を透過し、なおかつクロストークを考慮した上での最適な屈折率を有する材料であれば良い。
第2の基板210上には、画素部215と、信号線駆動回路213と、映像信号用光入力部212とが形成されている。なお、図7(B)で示した以外に、第2の基板210上には走査線駆動回路214と、制御信号用光入力部211が形成されている。
第2の基板210上に形成された画素部215は、第2の基板210とカバー材232との間に、不活性ガスまたは樹脂等と共に密封されている。なお第2の基板210とカバー材232とは、シール材234で封止されている。
第1の基板200上に形成された映像信号用光出力部205は、接着材233と第2の基板210を間に挟んで、映像信号用光入力部212と重なり合っている。また図示してはいないが、制御信号用光出力部204と制御信号用光入力部211も、接着材233と第2の基板210を間に挟んで重なり合っている。
なお本実施例では、OLEDを用いた半導体表示装置について説明したが、半導体表示装置はこれに限定されず、OLED以外の発光素子を表示素子として用いた半導体表示装置であっても良いし、液晶表示装置(LCD)、PDP、DLPやその他の半導体表示装置であっても良い。
本実施例は、実施例1と組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、回路が形成された基板の重ね合わせ方の一実施例について説明する。
図8(A)に本実施例の半導体装置の断面図の一例を示す。複数の基板300には、それぞれ光入力部301と光出力部302が設けられている。また、各基板間には接着材304が充填されており、基板間の距離はスペーサ303によって固定されている。
なお、基板間に必ずしも接着材を充填させる必要はなく、部分的に接着材を用いて、光入力部と光出力部の間には空気や、不活性ガス、その他気体が存在するようにしても良い。
各基板に設けられた光出力部302は、他の基板300に形成された少なくとも1つの光入力部301に対応している。そして本実施例では、対応する光入力部301と光出力部302の間に存在する基板300の数が極力少なくなるように、各基板300の水平方向の位置が定められている。
光入力部301と光出力部302の間に存在する基板300の数が多くなると、図8(B)に示すように、接着材233と基板300との屈折率の違いにより、光が屈折したり、光の一部が反射したりすることで、拡散してクロストークが生じやすくなる。図8(C)に示すように、光入力部301と光出力部302の間の光の経路上において、媒質の変化を少なくすることで、光の拡散を抑え、クロストークを抑えることができる。
本実施例は、実施例1または2と組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、光入力部と光出力部の間に光導波路の1つである光ファイバーアレイを設け、クロストークを防止する構成について説明する。
図9(A)に、光ファイバーアレイの一部を拡大して示す。光ファイバーアレイ400は、複数の光ファイバー401が束になっており、各光ファイバー401間は緩衝材等で埋められている。全ての光ファイバー401は光の伝播方向が揃うように配置されている
光ファイバー401は、光が伝搬される屈折率の高いコア402と、周囲の屈折率の低いクラッド403とで構成されている。
図9(B)に、2つの基板間に光ファーバーアレイ400を配置した様子を示す。第1の基板405と第2の基板406には、それぞれ光入出力部407、408が向かい合うように設けられている。そして、光入出力部407、408の間に挟まれるように、第1の基板405と第2の基板406の間に光ファイバーアレイ400が配置されている。
光ファイバーアレイ400は、光ファイバーアレイ400内の光の伝播方向と、光入出力部407、408間の光信号の進行方向とが一致するように配置されている。
本実施例のように光ファイバーアレイを用いることで、発光素子から発せられる光の指向性が高まり、クロストークを効果的に防ぐことができる。
本実施例は、実施例1〜3と組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、同一基板上における光入力部と光出力部の具体的な作製方法について説明する。
図10において、基板500には、例えばコーニング社の1737ガラス基板に代表される無アルカリガラス基板を用いた。そして、基板500の素子が形成される面に、下地膜501をプラズマCVD法やスパッタ法で形成した。下地膜501は図示していないが、窒化珪素膜を25〜100nm(ここでは50nmの厚さ)と、酸化シリコン膜を50〜300nm(ここでは150nmの厚さ)
とを形成した。また、下地膜501は、窒化珪素膜や窒化酸化シリコン膜のみを用いても良い。
次に、この下地膜501の上に50nmの厚さの、非晶質珪素膜をプラズマCVD法で形成した。非晶質珪素膜は含有水素量にもよるが、好ましくは400〜550℃で数時間加熱して脱水素処理を行い、含有水素量を5atom%以下として、結晶化の工程を行うことが望ましい。また、非晶質珪素膜をスパッタ法や蒸着法などの他の作製方法で形成しても良いが、膜中に含まれる酸素、窒素などの不純物元素を十分低減させておくことが望ましい。
なお、半導体膜は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムを用いるようにしても良い。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
ここで、下地膜と非晶質珪素膜とはいずれもプラズマCVD法で作製されるものであり、このとき下地膜と非晶質珪素膜を真空中で連続して形成しても良い。
下地膜501を形成後、一旦大気雰囲気にさらされない工程にすることにより、表面の汚染を防ぐことが可能となり、作製されるTFTの特性バラツキを低減させることができた。
そして、公知の技術により非晶質珪素膜を結晶化し、結晶質珪素膜(多結晶シリコン膜若しくはポリシリコン膜ともいう)を形成する。公知の結晶化方法としては、電熱炉を使用した熱結晶化方法、レーザー光を用いたレーザーアニール結晶化法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法がある。本実施例では、XeClガスを用いたエキシマレーザー光を用いて結晶化する。
なお、本実施例では線状に加工したパルス発振型のエキシマレーザー光を用いるが、矩形であっても良いし、連続発振型のアルゴンレーザー光や連続発振型のエキシマレーザー光を用いることもできる。
また、本実施例では結晶質珪素膜をTFTの活性層として用いるが、非晶質珪素膜を活性層として用いることも可能である。
なお、オフ電流を低減する必要のあるTFTの活性層を非晶質珪素膜で形成し、オン電流の大きさに重点が置かれているTFTの活性層を結晶質珪素膜で形成することは有効である。非晶質珪素膜はキャリア移動度が低いため電流を流しにくくオフ電流が流れにくい。即ち、電流を流しにくい非晶質珪素膜と電流を流しやすい結晶質珪素膜の両者の利点を生かすことができる。
こうして形成された結晶質珪素膜をパターニングして、島状の半導体層(以下、活性層という)503〜505を形成した。
次に、活性層503〜505を覆って、酸化シリコンまたは窒化珪素を主成分とするゲート絶縁膜506を形成した。本実施例では、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)、電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて、酸化シリコン膜を形成した。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効果的に拡散させることができる。またアルミニウムの含まれない酸化珪素や酸化窒化珪素等を形成した後、窒化アルミニウムを積層したものをゲート絶縁膜として用いても良い。(図10(A))
そして、ゲート絶縁膜506の上に導電膜を100〜500nmの厚さで成膜し、パターニングすることで、ゲート電極508〜510を形成する。
なお、本実施例ではゲート電極をTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また単層の導電膜ではなく、複数の層からなる導電膜を積層したものであっても良い。
例えば、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をAlとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をCuとする組み合わせで形成することが好ましい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
次に、n型の不純物元素を添加する工程を行い、n型の不純物領域512〜517を形成する。ここでは、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法で行った。
次にnチャネル型TFTが形成される領域をレジストマスク520で覆って、pチャネル型TFTが形成される領域に、p型の不純物元素を添加する工程を行い、p型の不純物領域521、522を形成した。ここではジボラン(B2H6)
を用いてイオンドープ法で添加した(図10(C))。
そして、導電型の制御を目的とし、それぞれの島状半導体層に添加された不純物元素を活性化する工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。その他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。熱アニール法では酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜600℃で行うものであり、本実施例では500℃で4時間の熱処理を行う。ただし、ゲート電極508〜510が熱に弱い場合には、配線等を保護するため層間絶縁膜(シリコンを主成分とする)を形成した後で活性化を行うことが好ましい。
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行い、島状半導体層を水素化する工程を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
次いで、図10(D)に示すように、10〜200nmの厚さの酸化窒化シリコンからなる第1無機絶縁膜521を、CVD法を用いて形成する。なお、第1無機絶縁膜は酸化窒化シリコン膜に限定されず、後に形成される有機樹脂膜への水分の出入りを抑えることができる、窒素を含む無機の絶縁膜であれば良く、例えば窒化珪素、窒化アルミニウムまたは酸化窒化アルミニウムを用いることができる。
なお、窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTや発光素子などで発生した熱を効果的に拡散させることができる。
次に、第1無機絶縁膜521の上に、ポジ型の感光性有機樹脂から成る有機樹脂膜522を成膜する。本実施例ではポジ型の感光性のアクリルを用いて有機樹脂膜522を形成するが、本発明はこれに限定されない。
本実施例では、スピンコート法によりポジ型の感光性アクリルを塗布し、焼成することで、有機樹脂膜522を形成する。なお有機樹脂膜522の膜厚は、焼成後、0.7〜5μm(さらに好ましくは2〜4μm)程度になるようにする。
次に、フォトマスクを用いて開口部を形成したい部分を露光する。そして、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を主成分とする現像液で現像した後、基板を乾燥させ、220℃、1時間程度の焼成を行う。そして、図10(D)に示したように有機樹脂膜522に開口部が形成され、該開口部において第1無機絶縁膜521が一部露出された状態になる。
なお、ポジ型の感光性アクリルは薄茶色に着色しているので、発光素子から発せられる光が基板側に向かっているときは、脱色処理を施す。この場合、焼成する前に、再び現像後の感光性アクリル全体を露光する。このときの露光は、開口部を形成するための露光に比べて、やや強い光を照射したり、照射時間を長くしたりするようにし、完全に露光が行なわれるようにする。例えば、2μmの膜厚のポジ型のアクリル樹脂を脱色するとき、超高圧水銀灯のスペクトル光であるg線(436nm)とh線(405nm)とi線(365nm)とから成る多波長光を利用する等倍投影露光装置(具体的にはCanon製のMPA)を用いる場合、60sec程度照射する。この露光により、ポジ型のアクリル樹脂が完全に脱色される。
また本実施例では、現像後に220℃で焼成を行なっているが、現像後にプリベークとして100℃程度の低温で焼成してから、220℃の高温で焼成するようにしても良い。
そして図10(D)に示すように、第1無機絶縁膜521が一部露出された該開口部と、有機樹脂膜522を覆って、RFスパッタ法を用いて窒化珪素からなる第2無機絶縁膜523を成膜する。第2無機絶縁膜523の膜厚は10〜200nm程度が望ましい。また、第2無機絶縁膜は酸化窒化シリコン膜に限定されず、有機樹脂膜522への水分の出入りを抑えることができる、窒素を含む無機の絶縁膜であれば良く、例えば窒化珪素、窒化アルミニウムまたは酸化窒化アルミニウムを用いることができる。
なお、酸化窒化珪素膜または酸化窒化アルミニウム膜は、その酸素と窒素のatomic%の割合が、そのバリア性に大きく関与している。酸素に対する窒素の割合が高ければ高いほど、バリア性が高められる。また、具体的には、窒素の割合が酸素の割合よりも高い方が望ましい。
またRFスパッタ法を用いて成膜された膜は緻密性が高く、バリア性に優れている。RFスパッタの条件は、例えば酸化窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、N2、Ar、N2Oをガスの流量比が31:5:4となるように流し、圧力0.4Pa、電力3000Wとして成膜する。また、例えば窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、チャンバー内のN2、Arをガスの流量比が20:20となるように流し、圧力0.8Pa、電力3000W、成膜温度を215℃として成膜する。
この有機樹脂膜522と、第1無機絶縁膜521と、第2無機絶縁膜523とで、第1の層間絶縁膜が形成される。
次に、図11(A)に示すように、有機樹脂膜522の開口部において、レジストマスク524を形成し、ゲート絶縁膜506、第1無機絶縁膜521及び第2無機絶縁膜523に、ドライエッチング法を用いてコンタクトホールを形成する。
このコンタクトホールの開口により、不純物領域512〜515、516、517が一部露出された状態になる。このドライエッチングの条件は、ゲート絶縁膜506、第1無機絶縁膜521及び第2無機絶縁膜523の材料によって適宜設定する。本実施例では、ゲート絶縁膜506に酸化珪素、第1無機絶縁膜521に酸化窒化珪素、第2無機絶縁膜523に窒化珪素を用いているので、まず、CF4、O2、Heをエッチングガスとして窒化珪素からなる第2無機絶縁膜523と酸化窒化珪素からなる第1無機絶縁膜521をエッチングし、その後CHF3を用いて酸化珪素からなるゲート絶縁膜506をエッチングする。
なおエッチングの際に、開口部において有機樹脂膜522が露出しないようにすることが肝要である。
次に、コンタクトホールを覆うように、第2無機絶縁膜523上に導電膜を成膜し、パターニングすることで、第1の不純物領域512〜515、516、517に接続された配線526〜531が形成される。
なお本実施例では、第2無機絶縁膜523上に、Ti膜を100nm、Al膜300nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続して形成した3層構造の導電膜としたが本発明はこの構成に限定されない。単層の導電膜で形成しても良いし、3層以外の複数の層からなる導電膜で形成しても良い。また材料もこれに限定されない。
例えば、Ti膜を成膜した後、Tiを含むAl膜を積層した導電膜を用いてもよいし、Ti膜を成膜した後、Wを含むAl膜を積層した導電膜を用いても良い。
次に、第2無機絶縁膜523の上に、バンクとなる有機樹脂膜を成膜する。本実施例ではポジ型の感光性のアクリルを用いるが、本発明はこれに限定されない。本実施例では、スピンコート法によりポジ型の感光性アクリルを塗布し、焼成することで、有機樹脂膜を形成する。なお有機樹脂膜522の膜厚は、焼成後、0.7〜5μm(さらに好ましくは2〜4μm)程度になるようにする。
次に、フォトマスクを用いて開口部を形成したい部分を露光する。そして、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を主成分とする現像液で現像した後、基板を乾燥させ、220℃、1時間程度の焼成を行う。そして、図11(C)に示したように開口部を有するバンク533が形成され、該開口部において配線529、531が一部露出された状態になる。
なお、ポジ型の感光性アクリルは薄茶色に着色しているので、発光素子から発せられる光が基板側に向かっているときは、脱色処理を施す。脱色処理は有機樹脂膜522に施した脱色処理と同様に行なう。
バンクに感光性の有機樹脂を用いることで、開口部の断面に丸みをもたせることができるので、後に形成される電界発光層や陰極のカバレッジを良好とすることができ、発光領域が減少するシュリンクとよばれる不良を低減させることができる。
そして図12(A)に示すように、配線529、531が一部露出された該開口部と、バンク533を覆って、RFスパッタ法を用いて窒化珪素からなる第3無機絶縁膜534を成膜する。第3無機絶縁膜534の膜厚は10〜200nm程度が望ましい。また、第3無機絶縁膜534は酸化窒化シリコン膜に限定されず、バンク533への水分の出入りを抑えることができる、窒素を含む無機の絶縁膜であれば良く、例えば窒化珪素、窒化アルミニウムまたは酸化窒化アルミニウムを用いることができる。
なお、酸化窒化珪素膜または酸化窒化アルミニウム膜は、その酸素と窒素のatomic%の割合が、そのバリア性に大きく関与している。酸素に対する窒素の割合が高ければ高いほど、バリア性が高められる。また、具体的には、窒素の割合が酸素の割合よりも高い方が望ましい。
次に図12(A)に示すように、バンク533の開口部においてレジストマスク535を形成し、第3無機絶縁膜534に、ドライエッチング法を用いてコンタクトホールを形成する。
このコンタクトホールの開口により、配線529、531が一部露出された状態になる。このドライエッチングの条件は、第3無機絶縁膜534の材料によって適宜設定する。本実施例では、第3無機絶縁膜534に窒化珪素を用いているので、CF4、O2、Heをエッチングガスとして窒化珪素からなる第3無機絶縁膜534をエッチングする。
なおエッチングの際に、開口部においてバンク533が露出しないようにすることが肝要である。
次に、透明導電膜、例えばITO膜を110nmの厚さに形成し、パターニングを行うことで、配線531に接する画素電極540と、ダイオードで生じた電流を得るための引き出し配線541を形成する。また、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。この画素電極540が発光素子の陽極となる(図12(B))。
次に、画素電極540上に電界発光層542を蒸着法により形成し、更に蒸着法により陰極(MgAg電極)543を形成する。このとき電界発光層542及び陰極543を形成するに先立って画素電極540に対して熱処理を施し、水分を完全に除去しておくことが望ましい。なお、本実施例ではOLEDの陰極としてMgAg電極を用いるが、仕事関数の小さい導電膜であれば公知の他の材料、例えばCa、Al、CaF、MgAg、AlLiであっても良い。
なお陰極としてAlLiを用いた場合、窒素を含んだ第3の層間絶縁膜534によって、AlLi中のLiが、第3の層間絶縁膜534より基板側に入り込んでしまうのを防ぐことができる。
なお、電界発光層542としては、公知の材料を用いることができる。本実施例では正孔輸送層(Hole transporting layer)及び発光層(Emitting layer)
でなる2層構造を電界発光層とするが、正孔注入層、電子注入層若しくは電子輸送層のいずれかを設ける場合もある。このように組み合わせは既に様々な例が報告されており、そのいずれの構成を用いても構わない。例えば、電子輸送層またはホールブロッキング層として、SAlqやCAlqなどを用いても良い。
なお、電界発光層542の膜厚は10〜400[nm](典型的には60〜150[nm])、陰極543の厚さは80〜200[nm](典型的には100〜150[nm])とすれば良い。
こうして図12(B)に示すような構造の発光装置が完成する。図12(A)
において550は光出力部であり、551は光入力部に相当する。光出力部550において、画素電極540、電界発光層542、陰極543の重なっている部分552がOLEDに相当する。
553は受光素子として用いるTFTであり、ゲート電極509には、受光素子553に光が照射されていない時に、不純物領域515と不純物領域514の間に設けられたチャネル形成領域555に電流が流れないような電圧が与えられている。つまり、TFT553がnチャネル型TFTの場合、閾値電圧より低い電圧が与えられており、pチャネル型TFTの場合、閾値電圧より高い電圧が与えられている。
なお、本実施例で示すTFTの構成及び具体的な作製方法はほんの一例であり、本発明はこの構成に限定されない。
また本発明の半導体装置が有するTFTの構造は、本実施例に示したものに限定されない。TFTの構成は適宜設計者が設定することができる
なお、実際には図12(B)まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)や透光性のカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、カバー材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置したりするとOLEDの信頼性が向上する。
なお、本発明は上述した作製方法に限定されず、公知の方法を用いて作製することが可能である。また本実施例は、実施例1〜実施例4と自由に組み合わせることが可能である。
本実施例では、同一基板上における光入力部と光出力部の、実施例5に示したのとは異なる構成について説明する。
図13(A)において、第2の無機絶縁膜565上にカソード電極560が形成されている。カソード電極560は、半導体膜に導電型を付与する不純物を添加することで得られる。そして、カソード電極560上には光電変換層561、アノード電極562が順に積層されている。アノード電極562もカソード電極560と同様に、半導体膜にカソード電極560と逆の一導電型を付与する不純物を添加することで得られる。カソード電極560と、光電変換層561と、アノード電極562とによって、フォトダイオード563が形成される。
一方、感光性の有機樹脂で形成されたバンク566には、開口部が形成されており、該開口部においてアノード電極562と、TFT567に接続されている配線568とが一部露出している。そして開口部を覆うようにバンク566上には、第3の無機絶縁膜569が成膜されている。
そして第3の無機絶縁膜569は、バンク566の開口部においてドライエッチングされており、アノード電極562と、TFT567に接続されている配線568とが一部露出している。そして第3の無機絶縁膜569上に、フォトダイオード563において発生した電流を得るための引き出し配線564が第3の層間絶縁膜569上に、アノード電極562と接続するように形成されている。
また、第3の無機絶縁膜569上に、発光素子570の画素電極571が形成されている。そして画素電極571上に、電界発光層572と、陰極573が順に積層されている。画素電極571と、電界発光層572と、陰極573とによって発光素子570が構成されている。
図13(A)では、引き出し配線564と、画素電極571とが透明導電膜で形成されている。よって発光素子570から発せられる光は基板側に放射される。
図13(B)に、発光素子の画素電極に陰極を用い、発光素子から発せられる光が基板と反対側に放射される構成を示す。図13(B)において、引き出し配線580と画素電極581は同じ陰極材料で形成されており、画素電極581上に、電界発光層582を間に挟んで重なり合うように陽極583が形成されている。画素電極581、電界発光層582、陽極583とで発光素子584が形成されている。
本実施例は、実施例1〜5と組み合わせて実施することが可能である。
本発明の半導体装置は、様々な電子機器への適用が可能である。その一例は、携帯情報端末(電子手帳、モバイルコンピュータ、携帯電話等)、ビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビ受像器、携帯電話、投影型表示装置等が挙げられる。それら電子機器の具体例を図14に示す。
図14(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明の半導体装置を表示部2003またはその他の回路に用いることで、本発明の表示装置が完成する。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図14(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明の半導体装置を表示部2102またはその他の回路に用いることで、本発明のデジタルスチルカメラが完成する。
図14(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明の半導体装置を表示部2203またはその他の回路に用いることで、本発明のノート型パーソナルコンピュータが完成する。
図14(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明の半導体装置を表示部2302またはその他の回路に用いることで、本発明のモバイルコンピュータが完成する。
図14(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示する。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。本発明の半導体装置を表示部A、B2403、2404またはその他の回路に用いることで、本発明の画像再生装置が完成する。
図14(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明の半導体装置を表示部2502またはその他の回路に用いることで、本発明のゴーグル型ディスプレイが完成する。
図14(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609等を含む。本発明の半導体装置を表示部2602またはその他の回路に用いることで、本発明のビデオカメラが完成する。
ここで図14(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電流を抑えることができる。本発明の半導体装置を表示部2703またはその他の回路に用いることで、本発明の携帯電話が完成する。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、本実施例は実施例1〜6に示したいずれの構成とも組み合わせて実施することが可能である。
発光素子から発せられる光は、クロストークの低減という観点から、指向性の高い光であることが望ましい。本実施例では、指向性の高い光が得られる発光素子の構成について説明する。
図15(A)に、指向性の高い光が得られる発光素子の断面図を示す。図15(A)において、TFTを覆うように層間絶縁膜803が形成されている。該層間絶縁膜803は開口部を有しており、該開口部においてTFTの不純物領域801が層間絶縁膜803上に形成された配線809と接している。
配線809は複数の導電膜を積層することで形成されており、本実施例では、TaNからなる第1の導電膜802、Alからなる第2の導電膜804が順に積層されている。第1の導電膜802と第2の導電膜804はこの材料に限定されないが、第1の導電膜802はその一部を発光素子の陰極として用いるので、陰極として用いるのに十分な程度、仕事関数の低い材料で、なおかつ光を透過せずに反射するような材料を用いる。
そして配線809を覆って有機樹脂膜を成膜し、部分的にエッチングすることで開口部を有するバンク805を形成する。このとき有機樹脂膜のエッチングと共に、配線809の第2の導電膜804も一部エッチングし、陰極となる第1の導電膜802を部分的に露出させる。
その後、バンク805の開口部に電界発光層806を成膜する。本実施例では、電界発光層806が、バンク805の開口部の端部において第2の導電膜804が一部露出するように成膜されているが、導電膜804が露出しないように電界発光層806で完全に覆っていても良い。
そして電界発光層806上に陽極807を成膜する。陽極807は電界発光層806内にある程度光を閉じ込めるために、陽極として用いるのに十分な程度仕事関数が高く、なおかつ光を透過せずに反射するような材料を用いることが望ましい。本実施例では陽極807としてAlLiを用いた。
第1の導電膜802と、電界発光層806と、陽極807とが重なる部分において、発光素子808が形成される。
さらに陽極807は、バンク805の開口部の端部において光が第2の導電膜804に反射して放射するように、電界発光層806を一部露出させて成膜されている。上記構成により、電界発光層806において生成された光が、第1の導電膜802と陽極807において反射を繰り返し、バンク805の開口部の端部において電界発光層806の一部露出したところから放射され、なおかつバンクの開口部の端部において第2の導電膜804によって反射されるので、指向性の良い光が得られる。
なお、電界発光層806の劣化を防ぐために、光が放射される部分を完全に露出させるのではなく、光を透過する程度の薄い金属膜や、透過性を有するその他の膜で覆い、電界発光層806内に水分や酸素が混入するのを防ぐようにしても良い。
図15(B)に、指向性の高い光が得られる発光素子の、図15(A)とは異なる断面図を示す。
図15(B)において、TFTを覆うように層間絶縁膜815が形成されている。該層間絶縁膜815は開口部を有しており、該開口部においてTFTの不純物領域810が層間絶縁膜815上に形成された配線811と接している。
配線811はその一部を発光素子の陰極として用いるので、陰極として用いるのに十分な程度、仕事関数の低い材料で、なおかつ光を透過せずに反射するような材料を用いる。本実施例ではTaNを用いた。
そして配線811を覆って有機樹脂膜を成膜し、部分的にエッチングすることで開口部を有するバンク812を形成する。その後、バンク812の開口部に電界発光層813を成膜する。そして電界発光層813上に陽極814を成膜する。陽極814は光を電界発光層813内にある程度閉じ込めるために、陽極として用いるのに十分な程度仕事関数が高く、なおかつ光を透過せずに反射するような材料を用いることが望ましい。本実施例では陽極814としてAlLiを用いた。
配線811と、電界発光層813と、陽極814とが重なる部分において、発光素子816が形成される。
さらに陽極814は、バンク812の開口部において、電界発光層813と配線811と重なる領域において、開口部を有し、該開口部において電界発光層813を一部露出させるように成膜されている。上記構成により、電界発光層813において生成された光が、配線811と陽極814において反射を繰り返し、電界発光層813の一部露出したところから放射されるので、指向性の良い光が得られる。
なお、電界発光層813の劣化を防ぐために、光が放射される部分を完全に露出させるのではなく、光を透過する程度の薄い金属膜や、透過性を有するその他の膜で覆い、電界発光層813内に水分や酸素が混入するのを防ぐようにしても良い。
また、本実施例では電界発光層で生成された光が陽極に形成された開口部から放射されているが、陰極に形成された開口部から放射するようにしても良い。
本実施例は、実施例1〜7と組み合わせて実施することが可能である。