JP5525823B2 - 積層コラーゲンゲルの作製方法及び積層コラーゲンゲル - Google Patents

積層コラーゲンゲルの作製方法及び積層コラーゲンゲル Download PDF

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Description

本発明は、積層コラーゲンゲルの作製方法及び積層コラーゲンゲルに関し、さらに詳しくはコラーゲンゲル層を2層以上積層してなる積層コラーゲンゲルの作製方法及びその方法で作製した積層コラーゲンゲルに関する。
コラーゲンは我々の体を構成するタンパク質の中で最も多く(30%以上)、皮膚、骨、腱、血管壁、角膜など様々な臓器の構造タンパク質である。単なる構造支持的機能にとどまらず、細胞外マトリックスとして細胞の足場となり、細胞の増殖や分化を促進する。このため、細胞工学の分野では動物細胞の培養ゲルとして、再生医療の分野では人工皮膚や血管、角膜、骨材料など、人工臓器を構築するマトリックスとしてコラーゲンが応用されている。
コラーゲンは3残基ごとに必ずグリシン(Gly)が現れる(Gly-X-Y)の繰り返し配列からなり、X位やY位にはそれぞれプロリン(Pro)やヒドロキシプロリン(Hyp)が多く現れるという特殊なアミノ酸配列を持ち、3残基で1回転する左巻きのペプチド鎖(α鎖)3本が右巻きに3重により合わさったトリプルへリックスという特徴的な構造をとる(以下、特に断らない限り、このトリプルへリックス構造を有する分子をコラーゲンという)。3本鎖を構成するアミノ酸配列の違いから発見順にType I, II, III…と分類されており、現在では約30種類も見つかっている。組織ごとに存在するTypeや分布が異なる。生体内に最も多く存在するType Iコラーゲンは1本の鎖が約1000残基、3本鎖全体では3000残基からなり、分子量が約300kDa、直径が約1.5nm、長さが300nmである。生体内ではトリプルへリックスが67nmずつ規則正しくずれて会合しコラーゲン細線維を形成し、さらにα鎖間(分子間)で架橋が行われてそれらコラーゲン細線維が会合して束になりコラーゲン線維を形成して階層構造を高め各器官毎に独特の高次構造を形成している。分子構造や細線維の会合メカニズムの詳細は未だに明らかにされていない。
コラーゲンの細胞マトリックスとして医療分野に用いる場合には高品質と高い安全性が要求される。そのため、医療分野に用いる場合、原料となる皮膚や骨などのコラーゲンから抗原性の高い部位(テロペプチド)を酵素処理などにより除去して可溶化した可溶化コラーゲン(例えばアテロコラーゲン)を架橋剤で架橋してゲル化させたものが用いられている。しかし、コラーゲンの細胞マトリックスとしての機能を高めるためには、実際の器官の高次構造に近いコラーゲンゲルを作製する必要があり、コラーゲン線維の配向や積層構造を制御できる技術が望まれている。
例えば、コラーゲンを主成分とする角膜実質の場合、角膜実質はコラーゲン線維が規則正しく配向して密に会合した層が多数積層されて形成されており、上下の層ではその配向が90度異なった構造をしている(ラメラ構造)ために、透明度と物理的強度を維持していると言われている。
これに対し、透明度の高い高濃度(10〜20wt%)のコラーゲンゲル調製法が提案されている(非特許文献1)。この方法は、三方活栓によりつないだ2本のシリンジを用いてコラーゲン溶液を撹拌するため、気泡の混入を防いで高濃度かつ透明なゲルを調製できる。このゲルを用いて角膜実質への応用研究が行われている。
また、コラーゲン線維の配向については、一軸方向に延伸配向する方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、コラーゲン線維を含むハイドロゲルに、そのゲル化過程でゲル把持用物質をゲル両端に挿入し、ゲル化後、ゲル把持用物質の両端を延伸することでハイドロゲルを一軸方向に延伸している。
また、磁場を利用してコラーゲン線維を配向させる方法が提案されている(非特許文献2)。この方法では、磁場中でコラーゲンゲル層を作製後、そのゲル層を回転させそのゲル層の上にさらに磁場中でコラーゲンゲル層を積層している。
国際公開第2007/066715号パンフレット Griffth, M., et al., IOVS 47, 1869, 2006; Biomacromolecules 7, 1819, 2006 Torbet, J., et al. Biomaterials, 29, 4268, 2007
しかしながら、非特許文献1の方法ではゲルの物理的強度は低く、移植の際の縫合に適した物性は達成できていない。また、特許文献1や非特許文献2では、十分な透明度が得られていないのが現状である。
そこで、本発明は、コラーゲン線維の配向や積層構造を制御して、実際の器官の高次構造に近いコラーゲンゲルを作製できる方法を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明の積層コラーゲンゲルの作製方法は、コラーゲンゲル層を2層以上積層してなる積層コラーゲンゲルの作製方法であって、架橋剤を含むコラーゲン溶液を第1の流延方向に流延しゲル化させて下層のゲル層を形成し、
前記下層のゲル層を第1の流延方向から0度より大きく180度より小さい角度だけ回転させ、回転させた前記下層のゲル層の上に前記コラーゲン溶液を第1の流延方向に流延しゲル化させて上層のゲル層を形成する、あるいは、
前記下層のゲル層の上に、第1の流延方向に対し0度より大きく180度より小さい角度をなす第2の流延方向に前記コラーゲン溶液を流延しゲル化させて上層のゲル層を形成する、ことを特徴とする。
また、本発明の積層コラーゲンゲルの作製方法を用いて作製される積層コラーゲンゲルは、架橋されたコラーゲン線維からなるコラーゲンゲル層が2層以上積層されてなる積層コラーゲンゲルであって、各ゲル層のコラーゲン線維が配向しており、下層のゲル層のコラーゲン線維の配向方向と、その下層に重なる上層のゲル層のコラーゲン線維の配向方向とが、0度より大きく180度より小さい角度をなす、ことを特徴とする。
本発明は、架橋剤を含むコラーゲン溶液を所定の方向に流延することにより、コラーゲン分子のトリプルへリックス構造を保持したままで、棒状分子であるコラーゲン分子をその流延方向に加圧流動させ、所定方向に配向させることができる。これにより、コラーゲン分子が会合して形成されるコラーゲンゲル線維の配向性が向上し、ゲル層の物理的強度を高めることができる。
ここで、本発明者らはコラーゲン分子が流延方向に対して概ね垂直の方向に配向することを確認している。これは、X線回折測定によって分子軸方向(子午線)、線維間(赤道)を示すパターンが再現よく得られ、分子軸方向が流延方向に対して概ね垂直であることに基づくものである。
なお、本発明では、透明性に関しては、上層と下層のコラーゲン線維の配向方向が0度より大きく180度より小さい角度をなすような関係になくても、十分な透明性を有する。この理由については、本発明では、コラーゲン線維径が可視光線を乱反射しないくらい十分に細いためと考えられる。
実施例1のコラーゲンゲルの光学顕微鏡写真である。 比較例1のコラーゲンゲルの光学顕微鏡写真である。 実施例1のコラーゲンゲルのX線回折パターンである。 比較例1のコラーゲンゲルのX線回折パターンである。 実施例1のコラーゲンゲルの蛍光顕微鏡写真である。 本発明の積層コラーゲンゲルの引張試験の結果を示すグラフである。
本発明の積層コラーゲンゲルの作製方法は、コラーゲンゲル層を2層以上積層してなる積層コラーゲンゲルの作製方法であって、架橋剤を含むコラーゲン溶液をXY平面内の第1の流延方向に流延しゲル化させて下層のゲル層を形成し、
前記下層のゲル層を第1の流延方向から、0度より大きく180度より小さい角度だけ回転させ、回転させた前記下層のゲル層の上に前記コラーゲン溶液を第1の流延方向に流延しゲル化させて上層のゲル層を形成する、あるいは、
前記下層のゲル層の上に、XY平面内で第1の流延方向に対し0度より大きく180度より小さい角度をなす第2の流延方向に前記コラーゲン溶液を流延しゲル化させて上層のゲル層を形成する、ことを特徴とするものである。
本発明では、まず支持体上に架橋剤を含むコラーゲン溶液を第1の流延方向に流延しゲル化させて第1のゲル層を形成する。次いで、第1のゲル層を第1の流延方向から0度より大きく180度より小さい角度だけ回転させ、回転させた第1のゲル層の上にコラーゲン溶液を第1の流延方向に流延しゲル化させて第2のゲル層を形成する。この操作、すなわち下層のゲル層を第1の流延方向から所定角度回転させ、その回転させた下層のゲル層の上に第1の流延方向にコラーゲン溶液を流延して上層のゲル層を形成する操作を繰り返すことにより2層以上からなる積層コラーゲンゲルを作製することができる。
あるいは、第1のゲル層の上にXY平面内で第1の流延方向に対し0度より大きく180度より小さい角度をなす第2の流延方向にコラーゲン溶液を流延しゲル化させて第2のゲル層を形成することもできる。この操作、すなわち、下層のゲル層の上に、XY平面内で第1の流延方向に対し0度より大きく180度より小さい角度をなす第2の流延方向にコラーゲン溶液を流延しゲル化させて上層のゲル層を形成する操作を繰り返すことにより2層以上からなる積層コラーゲンゲルを作製することもできる。
本発明では、コラーゲン溶液を支持体上あるいは下層のゲル層上に流延するが、流延する方法は、所定方向にコラーゲン溶液を流動させて展延できる方法であれば特に限定されない。例えば、支持体上にコラーゲン溶液を展開させ、支持体を一の軸方向に沿って傾斜させてコラーゲン溶液を展延する方法や、支持体を一の軸方向に沿って傾斜させてコラーゲン溶液の前進及び後進を繰り返す方法や、押圧部材を用いてコラーゲン溶液を展延する方法を挙げることができる。好ましくは押圧部材を用いる方法である。押圧部材には、平板状部材や回転ロール等を用いることができる。具体例としては、一の支持体上にコラーゲン溶液を展開し、別の支持体を所定方向に倒しながらコラーゲン溶液を展延させる方法を挙げることができる。さらに、そのまま一及び別の支持体とでゲル層を挟み、ゲル層の厚み方向にゲル層を加圧することが好ましい。
発明では、上記の方法によりコラーゲン溶液を支持体上あるいは下層のゲル層上に流延することにより、棒状分子であるコラーゲン分子をその流延方向に加圧流動させ、所定方向に配向させる。これにより、コラーゲン分子が会合して形成されるコラーゲン線維の配向性を向上させることができる。なお、本発明者らはコラーゲン分子が流延方向に対して概ね垂直の方向に配向することを確認している。これは、X線回折測定によって分子軸方向(子午線)、線維間(赤道)を示すパターンが再現よく得られ、分子軸方向が流延方向に対して概ね垂直であることに基づくものである。
ここで、コラーゲン線維の配向性は、X線回折法から以下の方法により得られる配向度により評価することができる。本発明により得られるコラーゲン線維の配向度は、50〜80%、より好ましくは60%〜80%である。
ここで、無配向の場合、回折はデバイシェラー環としてえられるので、円形である。コラーゲン線維が配向すると回折は円弧になる。同一円周上の最も強い強度を示す部分から、半分の強度を示す部分までの円弧の角度をH°とすると、
(配向度)=[(180°−H°)/180°]×100、
として算出できる。無配向の場合、配向度は0%であり、100%に近いほど配向度が高いことを示す。例えば配向性の高いワラビーの尻尾の腱から切り出したType Iコラーゲンの配向度を上記手法で算出すると70〜80%となる。
また、本発明では、下層のゲル層を第1の流延方向に対し0度より大きく180度より小さい角度だけ回転させる、あるいは下層のゲル層の上に、XY平面内で第1の流延方向に対し0度より大きく180度より小さい角度をなす第2の流延方向にコラーゲン溶液を流延しゲル化させて上層のゲル層を形成する。上層と下層のゲル層中のコラーゲン線維の重なりを増加させて十分な引張強度を確保するためには、好ましくは70〜110度、より好ましくは80〜100度、さらに好ましくは90度である。
ここで、本発明における積層ゲルの光透過率とは波長400〜700nmの光の光透過率であり、具体的には以下のように定義することができる。すなわち、ゲルをUV測定用石英セルの内壁に貼り付け、ゲルのない状態をブランクとして波長400〜700nmの光の光透過率を算出する。100%に近いほど光透過率が高いことを示す。本発明により得られる積層ゲルの光透過率は70%以上、より好ましくは85%以上である。
なお、本発明者らは、ゲルの厚さが500μm程度までであれば、ゲルの厚さに関係なく概ね一定の光透過率が得られることを確認している。
また、UV測定においては、セル内に生理食塩水や純水等の液体媒体を存在させ、その液体媒体中にゲルを漬けた状態で測定することもできる。液体媒体を用いない状態で測定した場合と光透過率の差がないことを確認している。通常、ゲルはその膨潤や乾燥を抑制するため、生理食塩水に浸けて保存している。そのため、液体媒体に生理食塩水を用いて光透過率を測定する方が、ゲルの保存状態に悪影響を与えないので好ましい。
本発明に用いる支持体は、コラーゲンが特異的に吸着するものでなければ特に限定されない。例えば、ガラス、プラスチック、シリコンシートなどを用いることができる。親水性表面を持つガラス基板が好ましい。
本発明に用いるコラーゲンとしては、水に可溶なコラーゲンであって医療用に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には酸処理コラーゲン、酵素処理コラーゲン(アテロコラーゲン)、アルカリ処理コラーゲン及びそれらの化学修飾コラーゲンである。さらに、好ましくはアテロコラーゲン及びその化学修飾コラーゲンである。ここで、化学修飾コラーゲンとは、コラーゲン分子の架橋部位を活性化するものであって、スクニシル化コラーゲン、アシル化コラーゲン又はエステル化コラーゲン等を挙げることができる。
ここで、可溶化コラーゲンは、コラーゲン分子が数分子以下の集合体まで微細化されたものであり、水あるいは塩水溶液に溶解して透明溶液を形成するものをいう。
本発明で用いるコラーゲン溶液とは、少なくとも、上記の可溶化コラーゲンと架橋剤とを含むものであり、可溶化コラーゲンの濃度は、1から20重量%、より好ましくは5〜20重量%である。1重量%より小さいとゲル強度が不足し、20重量%より大きいとコラーゲン溶液の粘度が高すぎでゲルを作製させるのが困難になるからである。
また、コラーゲン溶液のpHは可溶化コラーゲンが透明となるpHであれば特に限定されない。アテロコラーゲンを用いる場合、pHは2.0〜4.0が好ましい。pHが4.0より高い場合、コラーゲン分子が十分に溶解せず、pHが2.0より低いとコラーゲン分子が加水分解を受け、さらに線維化が促進されないためにゲルの強度が不十分となるからである。
本発明のコラーゲンゲルの作製に用いる架橋剤は、コラーゲン分子間及びコラーゲン線維間の架橋を行うものであり、蛋白質の架橋に用いられ水溶性であれば特に限定されない。例えば、アルデヒド系、カルボジミド系、エポキシ系及びイミダゾール系の水溶性架橋剤を用いることができる。好ましくはカルボジイミド系であり、具体的には、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジミド等を挙げることができる。また、紫外線やγ線による光架橋等を挙げることができるが、水に可溶なEDCが好ましい。
なお、カルボジイミド系の架橋剤を用いる場合、カルボキシル基活性剤としてN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いることが好ましい。カルボキシル基を活性エステル化して架橋効率を高めることができる。架橋剤にEDCを用い、カルボキシル基活性剤としてNHSを用いる場合、その濃度比EDC/NHSが0.5〜10、好ましくは2.0〜10である。
また、架橋剤濃度は0.1〜1.0重量%、より好ましくは0.35〜0.70重量%である。0.1重量%より小さいとゲル強度が不足し、1.0重量%より大きいと架橋剤によりコラーゲンの線維化が阻害されるからである。
なお、本発明では、溶液のpH調整の後に架橋剤を加えることが好ましい。pH調整により線維形成が促進させた状態で架橋剤を加えることにより線維間の架橋が促進される。これにより、線維径が大きくなり、ゲルの強度を大きくすることが可能となる。
本発明ではコラーゲン溶液を流延した後、ゲル化、すなわち、コラーゲンの線維化と架橋反応を促進させるが、そのゲル化条件としては、温度が4〜30℃、より好ましくは20〜25℃で、12〜72時間、より好ましくは24〜48時間静置することが好ましい。さらに、好ましくは、積層ゲルをその厚み方向に加圧した状態で静置することが好ましい。その加圧方法としては、積層ゲルをそのゲル層の厚み方向に加圧できる方法であれば特に限定されない。好ましくは、コラーゲン溶液を流延後、引き続き加圧できる方法である。例えば、上述のように、一の支持体上にコラーゲン溶液を展開し、別の支持体を所定方向に倒しながらコラーゲン溶液を展延し、さらに、そのまま一及び別の支持体とでゲル層を挟み、ゲル層の厚み方向にゲル層を加圧する方法を用いることができる。
本発明の作製方法を用いることにより、架橋されたコラーゲン線維からなるコラーゲンゲル層が2層以上積層されてなる積層コラーゲンゲルを作製することができる。その積層コラーゲンゲルは、各ゲル層のコラーゲン線維が配向しており、下層のゲル層のコラーゲン線維の配向方向と、その下層に重なる上層のゲル層のコラーゲン線維の配向方向とが、0度より大きく180度より小さい角度をなす。
ここで、本発明の積層コラーゲンゲルは、含水率が1〜90重量%、より好ましくは5〜50重量%である。含水率は、例えば凍結乾燥前後のコラーゲンゲルの重量から算出することができる。
また、本発明の積層コラーゲンゲルは、目的に応じて任意の厚みに積層することができる。また、各ゲル層の厚さは、10〜10000μm、より好ましくは50〜300μmとすることができる。コラーゲンゲルの厚さは支持体間に挟むスペーサーの厚さにより制御できる。例えばスペーサーとして50μmのシリコンラバーを用いると50μmの厚さのコラーゲンゲルが作製できる。
また、本発明の積層コラーゲンゲルは、配向したコラーゲン線維が互いに0度より大きく180度より小さい角度をなすように上下方向に積層されているため、高い機械的強度を有する。例えば、JIS K 7128 引裂強度試験で規定されるゲル強度や、JIS K 7127 引張強度試験で規定される引張強度は、ゲル層の積層数とともに増加する。例えば、本発明の積層コラーゲンゲルは、その引張強度は、0.1N以上、より好ましくは0.2N以上である。
実施例1.
ブタ皮膚由来TypeIアテロコラーゲンを10wt%の濃度でpH=4.0の水溶液に溶解させ、1mLのコラーゲン溶液を調製した。1N−NaOHを用いてコラーゲン溶液のpHを3.5〜4.0に調整し、5重量%の縮合剤(EDC)とカルボキシル基活性剤(NHS)を2:1の比率で混合した水溶液をコラーゲン溶液に180μL加えた。この溶液をガラス基板に展開し、直立させた別のガラス基板を倒しながら押し当てて第1の流延方向に沿って流延し、一対のガラス基板で挟み込んで加圧状態とし、25℃で12時間インキュベートすることでゲル化させて第1のゲル層(厚さ300μm)を形成した。次いで、一方のガラス基板を外し、第1のゲル層の表面にコラーゲン溶液を展開し、第1の流延方向と直交する第2の流延方向に沿って別のガラス基板を倒しながら流延し、一対のガラス基板で挟み込んで加圧状態とし、25℃で12時間インキュベートすることでゲル化させて第2のゲル層(厚さ300μm)を形成し、2層のゲル層からなる積層コラーゲンゲルを作製した。
比較例1.
第1のゲル層及び第2のゲル層を形成する際に、流延せず、別のガラス基板を真上からそのまま押し当ててガラス基板で挟み込んで加圧状態とした以外は、実施例1と同様の方法により積層コラーゲンゲルを作製した。
(評価方法)
1.配向度
得られたゲルのX線回折測定を行い、回折パターンから配向性を定量した。用いたX線回折装置はRigaku Lapid/LSである。比較例1(無配向)の場合、回折パターンはデバイシェラー環として得られるので円形である。回折パターンの円弧の広がりを回折パターンから解析し、配向度を定量した。
2.透過率
ゲルをUV測定用石英セルの内壁に貼り付け、ゲルのない状態をブランクとして波長400〜700nmの光の光透過率を算出した。
3.蛍光標識
FITCとローダミンで蛍光標識したコラーゲンゲルを2層積層した積層コラーゲンゲルの断面を蛍光顕微鏡で観察した。
蛍光観察には、オリンパス FV1000を用いた。
4.引張試験
引張試験は、島津製作所製の小型卓上試験機 EZTestを用いて行った。
(結果)
図1Aと図2Aに流延したコラーゲンゲルの光学顕微鏡写真とX線回折パターンを示し、図1Bと図2Bに流延していないコラーゲンゲルの光学顕微鏡写真とX線回折パターンを示す。コラーゲンゲルはガラス基板から直径8mmの大きさに切り出したものを用いた。また、紙面の横方向の矢印が流延方向である。流延したゲルは水に膨潤させると、流延方向に対して垂直方向にのみ膨潤していた。
また、X線回折パターンは、回折像中の内側の強度の回折(赤道の反射)に注目すると、流延していないゲルの回折はほぼ円形であるのに対し、流延したゲルの回折は円弧の広がりが少なくより配向性が良いことが明瞭に分かる。円弧の広がりは約60度であり、実施例1のコラーゲン線維の配向度は、(180−60)/180×100=67%であった。
また、FITCとローダミンで蛍光標識したコラーゲンゲルを2層積層した積層コラーゲンゲルの断面を蛍光顕微鏡で観察した結果を図3に示す。FITCで標識した緑のコラーゲン層の上にローダミンで標識した赤のコラーゲン層が積層されていることを確認することができた。
また、厚さが600μmの一層のコラーゲンゲル Iと、厚さ300μmのコラーゲンゲルを2層積層して厚さを600μmとした積層コラーゲンゲル IIと、厚さ200μmのコラーゲンゲルを3層積層した厚さを600μmとした積層コラーゲンゲル IIIの引張試験の結果を図4に示す。積層数の増加とともに引張強度が増加した。
また、光透過率は、実施例1の場合で85%であり、比較例1では85%であった。これより、本発明の方法が、ゲルの光透過率に影響を与えることなく、引張強度を増加させることが可能なことを確認した。
本発明によれば、コラーゲン線維の配向性や積層構造を容易に制御することができる。また、本発明の積層コラーゲンゲルは従来なし得なかった角膜実質に類似した構造を有する積層コラーゲンゲルを作製することができるので、角膜移植に代わる眼科領域の再生医療技術として有用である。

Claims (3)

  1. コラーゲンゲル層を2層以上積層してなる積層コラーゲンゲルの作製方法であって、
    架橋剤を含むコラーゲン溶液を第1の流延方向に流延しゲル層の厚み方向に加圧してゲル化させて下層のゲル層を形成し、
    前記下層のゲル層を第1の流延方向から0度より大きく180度より小さい角度だけ回転させ、回転させた前記下層のゲル層の上に前記コラーゲン溶液を第1の流延方向に流延しゲル層の厚み方向に加圧してゲル化させて上層のゲル層を形成する、あるいは、
    前記下層のゲル層の上に、第1の流延方向に対し0度より大きく180度より小さい角度をなす第2の流延方向に前記コラーゲン溶液を流延しゲル層の厚み方向に加圧してゲル化させて上層のゲル層を形成する、積層コラーゲンゲルの作製方法。
  2. 支持体上に上記コラーゲン溶液を流延しゲル化させて第1のゲル層を形成する、請求項1記載の作製方法。
  3. 上記コラーゲン溶液中のコラーゲン濃度が1〜20重量%である請求項1から2のいずれか一つに記載の作製方法。
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