JP5525764B2 - 離型フィルム、該離型フィルムを用いた偏光板用保護フィルム、および該偏光板用保護フィルムを用いた偏光板 - Google Patents
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Description
好ましい実施形態においては、上記フィラー含有熱可塑性樹脂層および上記フィラー非含有熱可塑性樹脂層は、それぞれポリエステル系樹脂を含む。
好ましい実施形態においては、上記フィラー含有熱可塑性樹脂層は無機微粒子を含む。
好ましい実施形態においては、上記離型フィルムの総厚みは100μm以下である。
本発明の別の局面によれば、偏光板用保護フィルムが提供される。この偏光板用保護フィルムは、基材と粘着剤層と上記の離型フィルムとをこの順に有する。
好ましい実施形態においては、上記偏光板用保護フィルムは、ロール状とされている。
本発明のさらに別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、上記の偏光板用保護フィルムが上記粘着剤層を介して剥離可能に貼り付けられている。
A−1.離型フィルムの概要
本発明の離型フィルムは、フィラー含有熱可塑性樹脂層およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層をそれぞれ最外層として有する。図1(a)は本発明の1つの実施形態による離型フィルムの概略断面図であり、図1(b)は本発明の別の実施形態による離型フィルムの概略断面図であり、図1(c)は本発明のさらに別の実施形態による離型フィルムの概略断面図である。図1(a)の離型フィルム100は、フィラー含有熱可塑性樹脂層10およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層20の2層構造を有する。図1(b)の離型フィルム101は、第1のフィラー含有熱可塑性樹脂層11、第2のフィラー含有熱可塑性樹脂層12およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層20の3層構造を有する。図1(c)の離型フィルム102は、フィラー含有熱可塑性樹脂層10、第1のフィラー非含有熱可塑性樹脂層21および第2のフィラー非含有熱可塑性樹脂層22の3層構造を有する。本発明の離型フィルムはフィラー含有熱可塑性樹脂層およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層をそれぞれ最外層として有する限り図示例には限定されない。例えば、本発明の離型フィルムは、4層以上の積層構造を有していてもよく、フィラー含有熱可塑性樹脂層およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層以外の任意の適切な層を中間層として有していてもよい。本発明の離型フィルムが図示例以外の積層構造を有する場合の中間層の数、種類および配置順序は、目的に応じて適切に設定され得る。
上記フィラー含有熱可塑性樹脂層は、膜形成成分としての熱可塑性樹脂とフィラーとを含む。熱可塑性樹脂としては、膜形成可能で、かつ本発明の効果が得られ得る任意の適切な熱可塑性樹脂が用いられ得る。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、混合して用いてもよく、これらの樹脂を形成するモノマー成分を共重合してもよい。好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂であり、さらに好ましくは、ポリエステル系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂は、好ましくはポリプロピレンであり、さらに好ましくはシンジオタクチックポリプロピレンである。ポリエステル系樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリエチレン−2,6―ナフタレート(PEN)であり、さらに好ましくは、PETである。耐熱性に優れ、かつ、膜(フィルム)形成時のフィッシュアイが少ないからである。
上記フィラー非含有熱可塑性樹脂層は、膜形成成分としての熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、フィラー含有熱可塑性樹脂層について上記A−2項で説明した樹脂が挙げられる。好ましくは、フィラー非含有熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂は、フィラー含有熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂と同一である。例えば、フィラー含有熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂がPETである場合には、フィラー非含有熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂もまたPETであることが好ましい。このような構成であれば、製造が容易であり、かつ、カールを防止することができる。なお、上記フィラー非含有熱可塑性樹脂層もまた、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。添加剤については、フィラー含有熱可塑性樹脂層について上記A−2項で説明したとおりである。
本発明の離型フィルムは、代表的には、共押出により製造され得る。具体的には、任意の適切な方法で重合した、あるいは市販の熱可塑性樹脂ペレット(フィラー含有熱可塑性樹脂層用およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層用)を、任意の適切な方法で乾燥する。フィラー含有熱可塑性樹脂層用の熱可塑性樹脂には、上記所定の配合量でフィラーを配合する。上記のとおり、フィラー含有熱可塑性樹脂層用の熱可塑性樹脂とフィラー非含有熱可塑性樹脂層用の熱可塑性樹脂とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。乾燥した熱可塑性樹脂ペレットを、共押出用のダイを備えた溶融押出装置に供給し、それぞれの熱可塑性樹脂の融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融した熱可塑性樹脂をダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向積層フィルムを得る。この場合、得られるフィルムの平面性を向上させるため、フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましい。例えば、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好適に採用され得る。
B−1.偏光板用保護フィルムの全体構成
図2は、本発明の1つの実施形態による偏光板用保護フィルムの概略断面図である。この偏光板用保護フィルムは、基材110と粘着剤層120と離型フィルムとをこの順に有する。離型フィルムは、上記A項で説明した本発明の離型フィルムである。したがって、離型フィルムは、例えば、図1(a)に示すフィルム100、図1(b)に示すフィルム101、図1(c)に示すフィルム102、あるいは、図示例以外の任意の適切な本発明の離型フィルムであり得る。離型フィルムは、離型処理されたフィラー含有熱可塑性樹脂層と粘着剤層とが接するようにして、剥離可能に積層されている。
上記基材は、代表的には、熱可塑性樹脂フィルムである。熱可塑性樹脂の具体例としては、離型フィルムに関して上記A項で説明したとおりである。したがって、熱可塑性樹脂は、好ましくはポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂であり、さらに好ましくはポリエステル系樹脂であり、特に好ましくはPET、PBT、PENであり、とりわけ好ましくはPETである。基材を構成する熱可塑性樹脂は、離型フィルム(フィラー含有熱可塑性樹脂層および/またはフィラー非含有熱可塑性樹脂層)を構成する熱可塑性樹脂と同一であってもよく、異なっていてもよい。好ましくは、基材を構成する熱可塑性樹脂は、フィラー含有熱可塑性樹脂層およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂と同一である。
上記粘着剤層は、任意の適切な粘着剤で構成される。粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられる。
図3は、本発明の1つの実施形態による偏光板の概略断面図である。この偏光板300は、偏光子310と、偏光子310の少なくとも片側(図示例では両側)に貼り合わせられた保護層310、310´とを有し、上記B項で説明した本発明の偏光板用保護フィルムが粘着剤層120を介して剥離可能に貼り付けられている。すなわち、本発明の偏光板用保護フィルムの離型フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を通常の偏光板(実質的には、偏光板の保護層表面)に貼り付けることにより、本発明の偏光板が得られる。上記偏光板用保護フィルムは、通常、偏光板の片側に貼り付けられて、実用に供される。1つの実施形態においては、上記本発明の偏光板は、ロール状とされている。本発明によれば、上記A項で説明したような特定の離型フィルムを用いることにより、粘着剤層における特定の大きさ以上の変形を良好に防止することができるので、本発明の偏光板用保護フィルムを偏光板に貼り付けた場合に、当該粘着剤層と偏光板の保護層との間に検査の際に影響を与えるような気泡を生じさせない。したがって、偏光板自体に欠陥がないにもかかわらず、検査で異常と判定されるというような事態を回避することができるので、本発明の偏光板は非常に有用である。なお、偏光子および保護層については、業界で周知の構成が採用されるので、詳細な説明は省略する。
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム−水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的には280℃とし、一方圧力は徐々に減じて最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従いチップ化して固有粘度が0.65であるポリエステル系樹脂Aを得た。
参考例1で得られたポリエステル系樹脂Aを用いて公知の方法にて固相重合し、固有粘度が0.78となるポリエステル系樹脂Bを得た。
平均一次粒径3.0μmのシリカ微粒子を4500ppm添加したこと以外は参考例1と同様にしてポリエステル系樹脂Cを得た。
平均一次粒径3.0μmのシリカ微粒子を4500ppm添加したこと以外は参考例2と同様にしてポリエステル系樹脂Dを得た。
フィラー非含有熱可塑性樹脂層用材料として上記ポリエステル系樹脂Aを用い、フィラー含有熱可塑性樹脂層用材料として上記ポリエステル系樹脂Cを用い、これらをそれぞれベント式二軸押出機に供給し、それぞれ285℃で溶融し、2層構成で共押出して、30℃に冷却したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを125℃にて縦方向に3.0倍延伸し、テンター内で予熱工程を経て100℃で4.4倍の横延伸を施し、205℃で10秒間の熱処理を行い、さらに、180℃で幅方向に20%の弛緩を加え、厚み25μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムのフィラー含有熱可塑性樹脂層表面に離型処理を行った。具体的には、硬化型シリコーン樹脂(信越化学製「KS−779H」)100部、硬化剤(信越化学製「CAT−PL−8」)1部およびメチルエチルケトン(MEK)/トルエン混合溶媒系2200部よりなる離型剤を、塗工量が0.1g/mm2になるように上記フィラー含有熱可塑性樹脂層表面に塗布し、170℃で10秒間の乾燥をいった。このようにして、図1(a)に示すような2層構造を有する離型フィルムを得た。
フィラー非含有熱可塑性樹脂層用材料として上記ポリエステル系樹脂Aを用い、第1および第2のフィラー含有熱可塑性樹脂層用材料としてそれぞれ上記ポリエステル系樹脂Cを用い、3層構成で共押出したこと以外は実施例1と同様にして、図1(b)に示すような3層構造を有する離型フィルムを得た。
第1および第2のフィラー非含有熱可塑性樹脂層用材料としてそれぞれ上記ポリエステル系樹脂Aを用い、フィラー含有熱可塑性樹脂層用材料として上記ポリエステル系樹脂Cを用い、3層構成で共押出したこと以外は実施例1と同様にして、図1(c)に示すような3層構造を有する離型フィルムを得た。
上記ポリエステル系樹脂Cを用い、2層構成で共押出したこと以外は実施例1と同様にして、フィラー含有熱可塑性樹脂層の2層構造を有する離型フィルムを得た。
両側の外層に上記ポリエステル系樹脂Cを用い、中間層に上記ポリエステル系樹脂Aを用い、3層構成で共押出したこと以外は実施例1と同様にして、フィラー含有熱可塑性樹脂層/フィラー非含有熱可塑性樹脂層/フィラー含有熱可塑性樹脂層の3層構造を有する離型フィルムを得た。
基材として市販のPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、ダイアホイル(登録商標)、厚み38μm)を用いた。この基材上にアクリル系粘着剤を厚み21μmで塗布して粘着剤層を形成し、当該粘着剤層に実施例1で得られた離型フィルムを剥離可能に積層して、幅1.4m、長さ4000mのロール状偏光板用保護フィルムを得た。
実施例2で得られた離型フィルムを用いたこと以外は実施例4と同様にして、偏光板用保護フィルムを得た。
実施例3で得られた離型フィルムを用いたこと以外は実施例4と同様にして、偏光板用保護フィルムを得た。
比較例1で得られた離型フィルムを用いたこと以外は実施例4と同様にして、偏光板用保護フィルムを得た。
比較例2で得られた離型フィルムを用いたこと以外は実施例4と同様にして、偏光板用保護フィルムを得た。
実施例4で得られた偏光板用保護フィルムから離型フィルムを剥離し、市販の偏光板(日東電工社製、商品名SEG1425DU)の両側に剥離可能に貼り合わせた。
実施例5で得られた偏光板用保護フィルムを用いたこと以外は実施例7と同様にして、両側に保護フィルムが貼り合わせられた偏光板を得た。
実施例6で得られた偏光板用保護フィルムを用いたこと以外は実施例7と同様にして、両側に保護フィルムが貼り合わせられた偏光板を得た。
比較例3で得られた偏光板用保護フィルムを用いたこと以外は実施例7と同様にして、両側に保護フィルムが貼り合わせられた偏光板を得た。
比較例4で得られた偏光板用保護フィルムを用いたこと以外は実施例7と同様にして、両側に保護フィルムが貼り合わせられた偏光板を得た。
実施例4〜6および比較例3〜4の偏光板用保護フィルム、ならびに、実施例7〜9および比較例5〜6の偏光板について、下記の方法で気泡の有無(存在する場合には気泡の数および大きさ)を調べた。
(1)偏光板用保護フィルム
(i)実施例および比較例で得られた偏光板用保護フィルムの4000mのロールの外層から1000m分を除去した後、長さ方向に1m分を切り出し、1m×1.4mの測定サンプルを得た。
(ii)測定サンプルの気泡の有無を目視にて確認した。気泡が確認された場合には、気泡部分にマーキングし、気泡の数を数えた。
(iii)気泡の大きさ(最長径の長さ)を倍率16倍のルーペを用いて求めた。
(2)偏光板
(i)市販の偏光板(日東電工社製、商品名SEG1425DU)に実施例4〜6および比較例3〜4の保護フィルムをハンドローラーで貼り合わせ、実施例7〜9および比較例5〜6の偏光板に対応する測定サンプルを得た。これらのサンプルに存在する気泡の大きさ(最長径の長さ)を倍率16倍のルーペを用いて求めた。
(ii)上記それぞれの気泡について、目視にて気泡が確認される場合には×、確認できない場合には○と判定した。
(iii)トータルで3個以上の気泡が認められた場合を外観不良とした。
評価結果を下記表1に示す。
20、21、22 フィラー非含有熱可塑性樹脂層
100、101、102 離型フィルム
110 基材
120 粘着剤層
200 偏光板用保護フィルム
300 偏光板
310 偏光子
320、320´ 保護層
Claims (6)
- フィラー含有熱可塑性樹脂層およびフィラー非含有熱可塑性樹脂層をそれぞれ最外層として有し、該フィラー含有熱可塑性樹脂層表面に離型処理が施されており、
該フィラー含有熱可塑性樹脂層に含まれるフィラーの平均粒径が3.0μm〜4.0μmであり、該フィラー含有熱可塑性樹脂層中の該フィラーの配合量が0.45重量%〜3.0重量%である、
離型フィルム。 - 前記フィラー含有熱可塑性樹脂層および前記フィラー非含有熱可塑性樹脂層が、それぞれポリエステル系樹脂を含む、請求項1に記載の離型フィルム。
- 前記フィラー含有熱可塑性樹脂層が無機微粒子を含む、請求項1または2に記載の離型フィルム。
- 総厚みが100μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の離型フィルム。
- 基材と粘着剤層と請求項1から3のいずれかに記載の離型フィルムとをこの順に有する、偏光板用保護フィルム。
- ロール状とされている、請求項5に記載の偏光板用保護フィルム。
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