以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる用紙搬送装置及び画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態で説明する用紙搬送装置は、例えば、複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、及びファクシミリ装置などの画像形成装置に適用されるものである。なお、複合機は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有するものである。
まず、本実施形態の用紙搬送装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態の用紙搬送装置100の機械的構成の一例を模式的に示す側面図である。図1に示すように、用紙搬送装置100は、給紙トレイ102と、ピックアップローラ104と、給紙ローラ106a、106bと、搬送路108と、搬送ローラ110a、110bと、発信センサ112と、受信センサ114とを、備える。なお、ピックアップローラ104、給紙ローラ106a、106b、及び搬送ローラ110a、110bは、図示せぬ駆動装置によって回転駆動される。
給紙トレイ102には、複数の用紙が重ね合わせて収容されている。ピックアップローラ104は、給紙トレイ102の最上部に位置する用紙Pに当接されており、反時計回りに回転することにより、当接している用紙Pをピックアップする。
給紙ローラ106a、106bは、それぞれ、反時計回り、時計回りに回転することにより、ピックアップローラ104によりピックアップされた用紙Pを給紙し、搬送路108上を搬送して搬送ローラ110a、110bへ送る。
搬送ローラ110a、110bは、それぞれ、時計回り、反時計回りに回転することにより、給紙ローラ106a、106bから送られた用紙Pを、搬送路108上を更に搬送する。
発信センサ112及び受信センサ114は、搬送路108を挟んで互いに対向して位置する。発信センサ112は、超音波を発信するセンサであり、受信センサ114は、発信センサ112により発信された超音波を受信するセンサである。受信センサ114により受信された超音波は、空気層や用紙Pを通過することに伴って減衰され、後述の検知部により用紙の重送検知など各種検知に用いられる。なお本実施形態では、発信センサ112及び受信センサ114が移動可能であり、発信センサ112及び受信センサ114間の距離が可変であるものとする。
図2は、本実施形態の発信センサ112及び受信センサ114の一例を示す模式図である。図2に示すように、発信センサ112は、例えば、搬送ローラ110a、110bにより搬送路108上を送られている用紙Pに対して超音波を発信し、受信センサ114は、用紙Pを通過した超音波を受信する。受信センサ114により受信された用紙Pを通過した超音波は、後述の検知部により用紙の重送検知に用いられる。
なお、搬送ローラ110a、110bから送られた用紙Pは、発信センサ112及び受信センサ114の位置を通過した後、図示せぬ画像形成部により画像が転写され、画像が形成(印刷)される。
また、用紙搬送装置100は、上述した機械的構成の全てを必須の構成とする必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
図3は、本実施形態の用紙搬送装置100の電気的構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、用紙搬送装置100は、検知部120と、操作表示部150と、制御部160とを、備える。
検知部120は、搬送路108を搬送される用紙の重送検知、搬送路108内の用紙の有無の検知、及び発信センサ112及び受信センサ114の異常発生の有無の検知など各種検知を行う。検知部120は、発振部122と、バースト波生成部124と、増幅部126と、発信センサ112と、受信センサ114と、増幅部128と、重送判定部136と、用紙有無判定部138と、異常判定部140とを、備える。
発振部122は、制御部160から検知要求を受け、発信センサ112の共振周波数を生成する。発振部122は、例えば、440KHzの発振器であり、220KHzの共振周波数を生成する。
バースト波生成部124は、発振部122により生成された共振周波数を基に、任意の波数の出力バースト波を生成する。例えば、バースト波生成部124は、発振パルス数8波の出力バースト波を生成する。
増幅部126は、バースト波生成部124により生成された出力バースト波を増幅するものであり、例えば、オペアンプなどにより実現できる。例えば、増幅部126は、バースト波生成部124により生成された出力バースト波の駆動電圧を24Vにまで増幅する。
発信センサ112は、増幅部126により増幅された出力バースト波を超音波に変換して発信する。例えば、発信センサ112は、駆動周波数220KHz、駆動電圧24V、及び発振パルス数8波などの条件で超音波を発信する。
受信センサ114は、発信センサ112により発信された超音波を受信し、増幅部128に出力する。例えば、受信センサ114は、受信した超音波を電位に変換した出力値を増幅部128に出力する。
増幅部128は、受信センサ114からの出力値を所定の増幅量で増幅するものであり、例えば、オペアンプなどにより実現できる。増幅部128は、重送判定用増幅部130と、用紙有無判定用増幅部132と、異常判定用増幅部134と、を含む。
重送判定用増幅部130は、受信センサ114により受信された超音波を、1枚の用紙を通過しかつ減衰量が最大となる条件下において受信された通過時最大減衰超音波を出力上限値まで増幅する重送判定用増幅量で増幅する。具体的には、重送判定用増幅部130は、受信センサ114により受信された超音波(受信センサ114からの出力値)を、通過時最大減衰超音波(通過時最大減衰超音波を受信した受信センサ114からの出力値)をオペアンプの電源電圧まで増幅する重送判定用増幅量で増幅し、重送判定部136に出力する。
ここで、通過時最大減衰超音波とは、以下の(1)〜(4)の少なくともいずれかの超音波である。
(1)搬送路108を搬送される最大用紙坪量の1枚の用紙を通過して受信センサ114により受信された超音波
(2)1枚の用紙を通過して受信センサ114の感度特性の下限値で受信された超音波
(3)1枚の用紙を通過して発信センサ112と最大距離離れた受信センサ114により受信された超音波
(4)出力バースト波の最小波駆動電圧値で発信センサ112により発信され1枚の用紙を通過して受信センサ114により受信された超音波
なお本実施形態では、通過時最大減衰超音波は、(1)〜(4)の全てを満たす超音波であるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、(1)〜(4)の少なくともいずれかを満たす超音波であればよい。
図4は、重送判定用増幅部130により増幅された超音波の一例を示す図であり、詳細には、搬送路108上の1枚の用紙Pを通過した超音波を受信した受信センサ114からの出力値を重送判定用増幅量で増幅したパルス出力値を示している。図4に示すように、用紙Pを通過した超音波を受信した受信センサ114からの出力値は、オペアンプの電源電圧である5Vまで増幅されている。
これは、用紙Pを通過した超音波の減衰量は通過時最大減衰超音波以下の減衰量であり、重送判定用増幅量は、1枚の用紙を通過しかつ減衰量が最大となる条件下において受信された通過時最大減衰超音波をオペアンプの電源電圧まで増幅する増幅量となっているためである。つまり、重送判定用増幅量は、通過時最大減衰超音波をオペアンプの電源電圧まで増幅する増幅量であるため、通過時最大減衰超音波以下の減衰量となる用紙Pを通過した超音波を受信した受信センサ114からの出力値は、オペアンプの電源電圧まで増幅されることになる。なお実際には、用紙Pを通過した超音波の減衰量が通過時最大減衰超音波の減衰量よりも小さければ、重送判定用増幅部130により増幅されたパルス出力値は飽和することになるが、重送判定用増幅部130から出力されるパルス出力値自体に変化は生じない。一方、重送されている用紙の場合、超音波が用紙を2回以上通過する事になり超音波の減衰量が通過時最大減衰超音波の減衰量よりも大きくなるため、重送判定用増幅量で増幅してもオペアンプの電源電圧まで増幅されず、図4に示すようなパルス出力値は得られない。
用紙有無判定用増幅部132は、受信センサ114により受信された超音波を、用紙を不通過でかつ減衰量が最大となる条件下において受信された不通過時最大減衰超音波を出力上限値まで増幅する用紙有無判定用増幅量で増幅する。具体的には、用紙有無判定用増幅部132は、受信センサ114により受信された超音波(受信センサ114からの出力値)を、不通過時最大減衰超音波(不通過時最大減衰超音波を受信した受信センサ114からの出力値)をオペアンプの電源電圧まで増幅する用紙有無判定用増幅量で増幅し、用紙有無判定部138に出力する。
ここで、不通過時最大減衰超音波とは、以下の(5)〜(7)の少なくともいずれかの超音波である。
(5)用紙を不通過で受信センサ114の感度特性の下限値で受信された超音波
(6)用紙を不通過で発信センサ112と最大距離離れた受信センサ114により受信された超音波
(7)出力バースト波の最小波駆動電圧値で発信センサ112により発信され用紙を不通過で受信センサ114により受信された超音波
なお本実施形態では、不通過時最大減衰超音波は、(5)〜(7)の全てを満たす超音波であるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、(5)〜(7)の少なくともいずれかを満たす超音波であればよい。
図5は、用紙有無判定用増幅部132により増幅された超音波の一例を示す図であり、詳細には、用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値を用紙有無判定用増幅量で増幅したパルス出力値を示している。図5に示すように、用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値は、オペアンプの電源電圧である5Vまで増幅されている。
これは、用紙を不通過の超音波の減衰量は不通過時最大減衰超音波以下の減衰量であり、用紙有無判定用増幅量は、用紙を不通過でかつ減衰量が最大となる条件下において受信された不通過時最大減衰超音波をオペアンプの電源電圧まで増幅する増幅量となっているためである。つまり、用紙有無判定用増幅量は、不通過時最大減衰超音波をオペアンプの電源電圧まで増幅する増幅量であるため、不通過時最大減衰超音波以下の減衰量となる用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値は、オペアンプの電源電圧まで増幅されることになる。なお実際には、用紙を不通過の超音波の減衰量が不通過時最大減衰超音波の減衰量よりも小さければ、用紙有無判定用増幅部132により増幅されたパルス出力値は飽和することになるが、用紙有無判定用増幅部132から出力されるパルス出力値自体に変化は生じない。一方、超音波が用紙を通過する場合、超音波の減衰量が不通過時最大減衰超音波の減衰量よりも大きくなるため、用紙有無判定用増幅量で増幅してもオペアンプの電源電圧まで増幅されず、図5に示すようなパルス出力値は得られない。
異常判定用増幅部134は、受信センサ114により受信された超音波を、不通過時最大減衰超音波を異常判定可能値まで増幅する異常判定用増幅量で増幅する。具体的には、異常判定用増幅部134は、受信センサ114により受信された超音波(受信センサ114からの出力値)を、不通過時最大減衰超音波(不通過時最大減衰超音波を受信した受信センサ114からの出力値)のピークtoピーク値をオペアンプの電源電圧以下の異常判定可能な所定電圧まで増幅する異常判定用増幅量で増幅し、異常判定部140に出力する。
図6は、異常判定用増幅部134により増幅された超音波の一例を示す図であり、詳細には、用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値を異常判定用増幅量で増幅したパルス出力値を示している。図6に示すように、用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値のピークtoピーク値は、オペアンプの電源電圧以下の異常判定可能な所定電圧である4V程度まで増幅されている。
これは、用紙を不通過の超音波の減衰量は不通過時最大減衰超音波以下の減衰量であり、異常判定用増幅量は、用紙を不通過でかつ減衰量が最大となる条件下において受信された不通過時最大減衰超音波をオペアンプの電源電圧以下の異常判定可能な所定電圧まで増幅する増幅量となっているためである。つまり、異常判定用増幅量は、不通過時最大減衰超音波をオペアンプの電源電圧以下の異常判定可能な所定電圧まで増幅する増幅量であるため、発信センサ112及び受信センサ114に感度劣化などの異常が発生していなければ、不通過時最大減衰超音波以下の減衰量となる用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値のピークtoピーク値は、異常判定可能な所定電圧まで増幅されることになる。一方、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかに感度劣化などの異常が発生している場合、超音波の減衰量が不通過時最大減衰超音波の減衰量よりも大きくなるため、異常判定用増幅量で増幅してもオペアンプの電源電圧以下の異常判定可能な所定電圧まで増幅されず、図6に示すようなパルス出力値は得られない。
なお、重送判定用増幅部130による増幅処理、用紙有無判定用増幅部132による増幅処理、及び異常判定用増幅部134による増幅処理は、並列して行ってもよいし、いずれか1つのみを行うようにしてもよい。
重送判定部136は、重送判定用増幅部130により増幅された超音波を積分し、積分した値を重送判定用閾値と比較して、搬送路108を搬送されている用紙Pが重送されているか否かを判定する回路である。具体的には、重送判定部136は、重送判定用増幅部130から出力されるパルス出力値を積分し、積分した値が重送判定用閾値を超えていれば搬送路108を搬送されている用紙Pは重送されていないと判定する。一方、重送判定部136は、積分した値が重送判定用閾値以下であれば搬送路108を搬送されている用紙Pは重送されていると判定する。そして重送判定部136は、重送判定結果を制御部160へ出力する。
図7は、重送判定部136により積分された超音波の一例を示す図であり、詳細には、図4に示すパルス出力値を積分したレベル出力値を示している。図7に示す例では、重送判定部136により積分されたレベル出力値が、重送判定用の閾値電圧である重送判定用閾値V1を超えており、重送判定部136により搬送路108を搬送されている用紙Pは重送されていないと判定される。
図8は、重送判定部136により積分された超音波の一例を示す図であり、詳細には、重送されている複数枚の用紙を通過した超音波を受信した受信センサ114からの出力値を重送判定用増幅量で増幅したパルス出力値を積分したレベル出力値を示している。図8に示す例では、重送判定部136により積分されたレベル出力値が、重送判定用の閾値電圧である重送判定用閾値V1以下であり、重送判定部136により搬送路108を搬送されている用紙Pは重送されていると判定される。
このように本実施形態では、重送判定用閾値との比較に、重送判定用増幅部130から出力されるパルス出力値を積分したレベル出力値を用いているため、重送時と非重送時とで出力値が大きく異なり、重送であるか非重送であるかを容易に判定することができる。
なお本実施形態では、重送判定部136が、重送判定用増幅部130により増幅された超音波を積分した値を重送判定用閾値と比較して重送判定を行う例について説明したが、重送判定手法はこれに限定されるものではない。例えば、重送判定部136は、重送判定用増幅部130により増幅された超音波(パルス出力値)をそのまま重送判定用閾値と比較し、超音波(パルス出力値)が重送判定用閾値を超えた回数をカウントすることで重送判定を行うようにしてもよい。
用紙有無判定部138は、受信センサ114により受信された超音波に基づいて、搬送路108内の用紙(残紙)の有無を判定する。具体的には、用紙有無判定部138は、用紙有無判定用増幅部132により増幅された超音波を積分し、積分した値を用紙有無判定用閾値と比較して、搬送路108内の用紙(残紙)の有無を判定する回路である。
詳細には、用紙有無判定部138は、用紙有無判定用増幅部132から出力されるパルス出力値を積分し、積分した値が用紙有無判定用閾値を超えていれば搬送路108内に用紙は無いと判定する。一方、用紙有無判定部138は、積分した値が用紙有無判定用閾値以下であれば搬送路108内に用紙が有ると判定する。そして用紙有無判定部138は、用紙有無判定結果を制御部160へ出力する。
図9は、用紙有無判定部138により積分された超音波の一例を示す図であり、詳細には、図5に示すパルス出力値を積分したレベル出力値を示している。図9に示す例では、用紙有無判定部138により積分されたレベル出力値が、用紙有無判定用の閾値電圧である用紙有無判定用閾値V2を超えており、用紙有無判定部138により搬送路108内に用紙は無いと判定される。
図10は、用紙有無判定部138により積分された超音波の一例を示す図であり、詳細には、用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値を用紙有無判定用増幅量で増幅したパルス出力値を積分したレベル出力値を示している。図10に示す例では、用紙有無判定部138により積分されたレベル出力値が、用紙有無判定用の閾値電圧である用紙有無判定用閾値V2以下であり、用紙有無判定部138により搬送路108内に用紙は有ると判定される。
このように本実施形態では、用紙有無判定用閾値との比較に、用紙有無判定用増幅部132から出力されるパルス出力値を積分したレベル出力値を用いているため、用紙有時と用紙無時とで出力値が大きく異なり、搬送路108内に用紙が有るか無いかを容易に判定することができる。
なお本実施形態では、用紙有無判定部138が、用紙有無判定用増幅部132により増幅された超音波を積分した値を用紙有無判定用閾値と比較して用紙有無判定を行う例について説明したが、用紙有無判定手法はこれに限定されるものではない。例えば、用紙有無判定部138は、用紙有無判定用増幅部132により増幅された超音波(パルス出力値)をそのまま用紙有無判定用閾値と比較し、超音波(パルス出力値)が用紙有無判定用閾値を超えた回数をカウントすることで用紙有無判定を行うようにしてもよい。
異常判定部140は、異常判定用増幅部134により増幅された超音波を積分し、積分した値を異常判定用閾値と比較して、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかに異常が発生しているか否かを判定する回路である。
具体的には、異常判定部140は、異常判定用増幅部134から出力されるパルス出力値を積分し、積分した値が異常判定用閾値を超えていれば発信センサ112及び受信センサ114に感度劣化などの異常が発生していないと判定する。一方、異常判定部140は、積分した値が異常判定用閾値以下であれば発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかに感度劣化などの異常が発生していると判定する。そして異常判定部140は、異常判定結果を制御部160へ出力する。
図11は、異常判定部140により積分された超音波の一例を示す図であり、詳細には、図6に示すパルス出力値を積分したレベル出力値を示している。図11に示す例では、異常判定部140により積分されたレベル出力値が、異常判定用閾値の閾値電圧である異常判定用閾値V3を超えており、異常判定部140により発信センサ112及び受信センサ114に異常が発生していないと判定される。
図12は、異常判定部140により積分された超音波の一例を示す図であり、詳細には、用紙を不通過の超音波を受信した受信センサ114からの出力値を異常判定用増幅量で増幅したパルス出力値を積分したレベル出力値を示している。図12に示す例では、異常判定部140により積分されたレベル出力値が、異常判定用閾値の閾値電圧である異常判定用閾値V3以下であり、異常判定部140により発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかに異常が発生していると判定される。
このように本実施形態では、異常判定用閾値との比較に、異常判定用増幅部134から出力されるパルス出力値を積分したレベル出力値を用いているため、異常発生時と異常非発生時とで出力値が大きく異なり、異常が発生しているか異常が発生していないかを容易に判定することができる。
なお本実施形態では、異常判定部140が、異常判定用増幅部134により増幅された超音波を積分した値を異常判定用閾値と比較して異常判定を行う例について説明したが、異常判定手法はこれに限定されるものではない。例えば、異常判定部140は、異常判定用増幅部134により増幅された超音波(パルス出力値)をそのまま異常判定用閾値と比較し、超音波(パルス出力値)が異常判定用閾値を超えた回数をカウントすることで異常判定を行うようにしてもよい。
操作表示部150(報知手段の一例)は、ユーザが各種操作の入力を行うとともに、各種画面を表示するものであり、タッチパネル式ディスプレイなどにより実現できる。操作表示部150は、制御部160の指示を受け、重送判定部136の重送判定結果、用紙有無判定部138の用紙有無判定結果、又は異常判定部140の異常判定結果を報知する。例えば、操作表示部150は、重送判定結果が重送を示している場合にその旨を表示したり、用紙有無判定結果が用紙(残紙)有りを示している場合にその旨を表示したり、異常判定結果が異常を示している場合にその旨を表示したりする。また操作表示部150は、制御部160により発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかからの出力が異常発振を起こしていることが確認された場合、制御部160の指示を受け、その旨を表示する。なお本実施形態では、表示による報知を例に取り説明したが、報知態様はこれに限定されるものではなく、光源などを用いた光による報知やスピーカなどを用いた音声による報知であってもよい。また、操作表示部150は、ユーザから用紙の搬送(印刷)の開始入力を受け、制御部160へ通知する。
制御部160は、用紙搬送装置100の各部を制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコントローラなどの既存の制御装置により実現できる。制御部160は、操作表示部150から用紙の搬送(印刷)の開始入力を受け、印刷ジョブを開始すると、検知部120に検知要求を行う。また制御部160は、検知部120からの重送判定結果、用紙有無判定結果、又は異常判定結果などの出力を受け、操作表示部150に上述した報知を行わせる。
また制御部160(確認手段の一例)は、用紙搬送装置100を停止させ、発信センサ112による超音波の発信及び受信センサ114による超音波の受信が行われていない状態で、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかからの出力が異常発振を起こしていないかを確認する。
これは、一般的な用紙搬送装置の場合、発信センサへの入力値及び受信センサからの出力値を高いゲインで増幅しており、ノイズ低減のためシールドケーブル等でシールド処理を行っているため、ケーブルの断線やシールドクランプの抜け等があった場合に、発信センサ又は受信センサからの出力が異常発振を起こしてしまい、正常な検知が行えなくなってしまうことを防止するためである。なお、用紙搬送装置100を停止させるのは、発信センサ112及び受信センサ114の残響を考慮しているためである。
また制御部160は、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかからの出力が異常発振を起こしていることを確認した場合、操作表示部150に上述した報知を行わせる。
なお、用紙搬送装置100は、上述した電気的構成の全てを必須の構成とする必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
次に、本実施形態の用紙搬送装置の動作について説明する。
図13は、本実施形態の用紙搬送装置100で行われる重送検知処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、搬送路108上の用紙の搬送が開始され、制御部160から重送検知要求が行われると、発信センサ112は、発振部122により生成された共振周波数を基にバースト波生成部124により生成され、増幅部126により増幅された出力バースト波を超音波に変換して発信する(ステップS100)。
続いて、受信センサ114は、発信センサ112により発信された超音波を受信し、増幅部128に出力する(ステップS102)。
続いて、重送判定用増幅部130は、受信センサ114により受信された超音波を、重送判定用増幅量で増幅し、重送判定部136に出力する(ステップS104)。
続いて、重送判定部136は、重送判定用増幅部130により増幅された超音波を積分し、積分した値を重送判定用閾値と比較して、搬送路108を搬送されている用紙が重送されているか否かを判定し、重送判定結果を制御部160へ出力する(ステップS106)。
続いて、制御部160は、重送判定部136から出力された重送判定結果が重送を示している場合には(ステップS108でYes)、操作表示部150にその旨を表示させて用紙が重送されていることを報知させる(ステップS110)。
一方、制御部160は、重送判定部136から出力された重送判定結果が重送を示していない場合には(ステップS108でNo)、ステップS110の処理を行わない。
以上のように本実施形態では、受信センサ114により受信された超音波を、1枚の用紙を通過しかつ減衰量が最大となる条件下において受信された通過時最大減衰超音波を出力上限値まで増幅する重送判定用増幅量で増幅する。これにより、重送判定用増幅量で増幅した超音波から、用紙の坪量や受信器の感度特性など種々の要因が影響する超音波の減衰量の変動を排除することができ、用紙の重送を検知する際に超音波の減衰量の変動に応じた制御が不要となる。このため本実施形態によれば、複雑な制御を必要とせずに用紙の重送の検知精度を高めることができる。
また、超音波の減衰量の変動に応じた制御を行うためのデータ設定なども不要に成るため、データ設定ミスなど人為的ミスによる誤検知も防止することができる。
図14は、本実施形態の用紙搬送装置100で行われる用紙有無検知処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部160から用紙有無検知要求が行われると、発信センサ112は、発振部122により生成された共振周波数を基にバースト波生成部124により生成され、増幅部126により増幅された出力バースト波を超音波に変換して発信する(ステップS200)。
続いて、受信センサ114は、発信センサ112により発信された超音波を受信し、増幅部128に出力する(ステップS202)。
続いて、用紙有無判定用増幅部132は、受信センサ114により受信された超音波を、用紙有無判定用増幅量で増幅し、用紙有無判定部138に出力する(ステップS204)。
続いて、用紙有無判定部138は、用紙有無判定用増幅部132により増幅された超音波を積分し、積分した値を用紙有無判定用閾値と比較して、搬送路108内の用紙の有無を判定し、用紙有無判定結果を制御部160へ出力する(ステップS206)。
続いて、制御部160は、用紙有無判定部138から出力された用紙有無判定結果が用紙有りを示している場合には(ステップS208でYes)、操作表示部150にその旨を表示させて用紙が有ることを報知させる(ステップS210)。
一方、制御部160は、用紙有無判定部138から出力された用紙有無判定結果が用紙有りを示していない場合には(ステップS208でNo)、ステップS210の処理を行わない。
以上のように本実施形態では、受信センサ114により受信された超音波を、用紙を不通過でかつ減衰量が最大となる条件下において受信された不通過時最大減衰超音波を出力上限値まで増幅する用紙有無判定用増幅量で増幅する。これにより、用紙有無判定用増幅量で増幅した超音波から、受信器の感度特性など種々の要因が影響する超音波の減衰量の変動を排除することができ、用紙の有無を検知する際に超音波の減衰量の変動に応じた制御が不要となる。このため本実施形態によれば、複雑な制御を必要とせずに用紙の有無の検知精度を高めることができる。
また、ストックフォーム用紙の様に用紙内に穴の空いた用紙や用紙の先端部又は後端部であっても用紙有無を判別できるので、上述した重送検知と組み合わせることでより確実に用紙がある状態での重送検知が可能となる。
図15は、本実施形態の用紙搬送装置100で行われる異常検知処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部160から異常検知要求が行われると、発信センサ112は、発振部122により生成された共振周波数を基にバースト波生成部124により生成され、増幅部126により増幅された出力バースト波を超音波に変換して発信する(ステップS300)。
続いて、受信センサ114は、発信センサ112により発信された超音波を受信し、増幅部128に出力する(ステップS302)。
続いて、異常判定用増幅部134は、受信センサ114により受信された超音波を、異常判定用増幅量で増幅し、異常判定部140に出力する(ステップS304)。
続いて、異常判定部140は、異常判定用増幅部134により増幅された超音波を積分し、積分した値を異常判定用閾値と比較して、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかに感度劣化などの異常が発生しているか否かを判定し、異常判定結果を制御部160へ出力する(ステップS306)。
続いて、制御部160は、異常判定部140から出力された異常判定結果が異常を示している場合には(ステップS308でYes)、操作表示部150にその旨を表示させて発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかに異常が発生していることを報知させる(ステップS310)。
一方、制御部160は、異常判定部140から出力された異常判定結果が異常を示していない場合には(ステップS308でNo)、ステップS310の処理を行わない。
以上のように本実施形態では、受信センサ114により受信された超音波を、用紙を不通過でかつ減衰量が最大となる条件下において受信された不通過時最大減衰超音波を異常判定可能値まで増幅する異常判定用増幅量で増幅する。これにより、異常判定用増幅量で増幅した超音波から、受信器の感度特性など種々の要因が影響する超音波の減衰量の変動を排除することができ、発信センサ112及び受信センサ114の異常を検知する際に超音波の減衰量の変動に応じた制御が不要となる。このため本実施形態によれば、複雑な制御を必要とせずに発信センサ112及び受信センサ114の異常の検知精度を高めることができる。
また本実施形態では、発信センサ112及び受信センサ114の表面に紙粉が溜まった等の外部要因による感度劣化などの異常も検知できるので、異常を報知することにより、発信センサ112及び受信センサ114の交換や清掃などをユーザに促すこともできる。
また、発信センサ112及び受信センサ114の異常の検知結果を制御部160がログとして保存するとともに保存したログを参照することで、発信センサ112及び受信センサ114の交換や清掃時期を早期にユーザに通知することができ、発信センサ112及び受信センサ114に異常が発生する前にユーザ対応を可能とすることもできる。
また、上述した用紙有無検知や重送検知と組み合わせることでより信頼性の高い重送検知が可能となる。
図16は、本実施形態の用紙搬送装置100で行われるイニシャルチェック処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。なお図16に示すイニシャルチェック処理は、搬送路108に詰まった用紙が取り除かれた後や用紙搬送装置100が起動された後に行われる。
まず、制御部160は、用紙搬送装置100を停止させ、発信センサ112による超音波の発信及び受信センサ114による超音波の受信が行われていない状態で、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかからの出力が異常発振を起こしていないかを確認する(ステップS400)。
続いて、制御部160は、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかからの出力が異常発振を起こしていることを確認した場合には(ステップS402でYes)、操作表示部150にその旨を表示させて、発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかからの出力が異常発振を起こしていることを報知させる(ステップS404)。なお、この場合には、イニシャルチェック処理後に行われる印刷ジョブの実行が中止されるため、重送検知処理などの印刷ジョブの実行に伴う検知処理も行われない。
一方、制御部160は、発信センサ112及び受信センサ114からの出力が異常発振を起こしていないことを確認した場合には(ステップS402でNo)、用紙搬送装置100の動作を開始させ、発信センサ112からの超音波の発信を開始させる(ステップS406)。
続いて、制御部160は、異常判定部140から異常判定結果の出力を受け、異常判定結果が異常を示している場合には(ステップS408でYes)、操作表示部150にその旨を表示させて発信センサ112及び受信センサ114の少なくともいずれかに異常が発生していることを報知させる(ステップS410)。なお、この場合も、イニシャルチェック処理後に行われる印刷ジョブの実行が中止されるため、重送検知処理などの印刷ジョブの実行に伴う検知処理も行われない。
一方、制御部160は、異常判定結果が異常を示していない場合には(ステップS408でNo)、用紙有無判定部138から用紙有無判定結果の出力を受け、用紙有無判定結果が用紙(残紙)有りを示している場合には(ステップS412でYes)、操作表示部150にその旨を表示させて残紙が有ることを報知させる(ステップS414)。なお、この場合も、イニシャルチェック処理後に行われる印刷ジョブの実行が中止されるため、重送検知処理などの印刷ジョブの実行に伴う検知処理も行われない。
一方、制御部160は、用紙有無判定結果が用紙(残紙)無しを示している場合には(ステップS412でNo)、イニシャルチェック処理を終了して、印刷ジョブを実行するとともに、重送検知処理などの印刷ジョブの実行に伴う検知処理を行う。
以上のように本実施形態では、搬送路108に詰まった用紙が取り除かれた後や用紙搬送装置100が起動された後に上述したイニシャルチェック処理を行い、イニシャルチェック処理が正常に終了した場合に、印刷ジョブを実行するとともに、重送検知処理などの印刷ジョブの実行に伴う検知処理を行う。従って本実施形態によれば、ケーブルの断線やシールドクランプの抜け等が原因となる異常発振、印刷時に発生する用紙の紙粉が原因となる感度特性の劣化、及び印刷ジャム発生により搬送路108に詰まった用紙を取り除く際の用紙の破損が原因となる残紙の有無を確認した後に重送検知処理を行うので、超音波方式の重送検知に適した環境で重送検知を行うことができ、信頼性の高い重送検知が可能となる。
なお、制御部160は、操作表示部150に報知を行わせる場合には、報知させる内容(エラー内容)をログとしても保存する。
図17は、本実施形態の用紙搬送装置100が適用される画像形成装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図17に示すように、本実施形態の画像形成装置900は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、画像形成装置900全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部960には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
CPU911は、画像形成装置900の全体制御をおこなうものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)930、USB(Universal Serial Bus)940、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。