JP5521709B2 - 冷凍装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮機と膨張機を別体で備えた冷凍装置に関し、特に、膨張機の起動制御に係るものである。
冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を膨張させる動力回収用の膨張機とを別体で備えた冷凍装置が、例えば特許文献1に開示されている。この冷凍装置は、圧縮機および膨張機が接続され、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えている。圧縮機は、ケーシングと、該ケーシング内に収容され且つ冷媒を圧縮して該ケーシング内へ吐出する圧縮機構とを有している。圧縮機のケーシング内の底部には潤滑油としての冷凍機油が貯留されている。一方、膨張機は、冷媒を膨張させる膨張機構と、該膨張機構を収容するケーシングとを有している。膨張機のケーシング内は、圧縮機の吸入管と連通して低圧状態となっている。この冷凍装置では、圧縮機においてケーシング内に貯留された冷凍機油が圧縮機構へ供給される。また、圧縮機のケーシング内の冷凍機油は、圧縮機のケーシング内圧と膨張機のケーシング内圧との圧力差によって膨張機へ供給され、膨張機構が潤滑される。
特開2008−224053号公報
ところで、上述したような冷凍装置では、比較的長い時間停止した後の運転開始時において、膨張機が潤滑不足になるという問題があった。即ち、運転時に圧縮機構および膨張機構へ供給された冷凍機油の殆どは、長時間停止している間に、それぞれケーシング内へ流出する。また、長時間停止している冷凍装置では、冷媒回路全体が均圧して圧縮機と膨張機との間に圧力差が殆どない状態になっている。この状態で圧縮機および膨張機を起動しても、直ぐには圧縮機と膨張機との間に上述した圧力差は発生しないため、圧縮機から膨張機へ冷凍機油が殆ど供給されない。以上により、長時間停止後の運転開始時において膨張機の潤滑不足が生じてしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷凍装置の運転開始時において膨張機が潤滑不足となるのを防止することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、運転開始時において圧縮機と膨張機との間に所定の圧力差を発生させてから、膨張機を起動するようにしたものである。
具体的に、本発明は、圧縮機(20)と膨張機(30)が接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)を備えている冷凍装置を対象としている。そして、上記圧縮機(20)は、内部に潤滑油が貯留された圧縮機ケーシング(24)と、該圧縮機ケーシング(24)に収容されると共に吸入した冷媒を圧縮して該圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する圧縮機構(21)とを備え、上記膨張機(30)は、流入した冷媒を膨張させて動力を発生させる膨張機構(31)と、該膨張機構(31)を収容する膨張機ケーシング(34)とを備えている。さらに、本発明の冷凍装置は、上記圧縮機(20)と上記膨張機(30)との間に生じる圧力差によって、上記圧縮機ケーシング(24)内の潤滑油を上記膨張機(30)へ供給する油供給機構(41)と、運転開始の際、先に上記圧縮機(20)を起動させ、その後、上記膨張機(30)を起動させる運転制御部(110)とを備えているものである。
本発明では、冷凍装置の運転開始の際、圧縮機(20)および膨張機(30)を起動しても冷媒回路(11)において直ぐには高低差圧は発生しない。そのため、圧縮機(20)と膨張機(30)との間にも圧力差は生じず、圧縮機ケーシング(24)の冷凍機油は膨張機(30)へ供給されにくい。そうすると、起動時の膨張機(30)において潤滑不足が生じてしまう。そこで、本発明では、運転開始の際、膨張機(30)は停止させた状態で圧縮機(20)のみが起動される。この圧縮機(20)の起動により、冷媒回路(11)において高低差圧が徐々に増大し、圧縮機(20)と膨張機(30)との間にも圧力差が発生する。これにより、圧縮機ケーシング(24)から膨張機(30)へ冷凍機油が供給される。圧縮機(20)の起動後、暫くして膨張機(30)が起動されるが、その時点では膨張機(30)に冷凍機油が供給された状態となっている。
第1の発明は、上記運転制御部(110)が、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させ、その後、上記冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロに減少すると、上記圧縮機(20)および上記膨張機(30)を同時に起動させるように構成されているものである。
膨張機構(31)を発電機(33)に接続し膨張機構(31)において発生した動力で発電機(33)を駆動する場合がある。この場合、膨張機(30)は、通常、発電機(33)が力行駆動されることで起動され、その後暫くして、発電機(33)が回生駆動される。発電機(33)が力行駆動される間は、電源などの外部から発電機(33)へ電流(例えば、図6の「膨張機電流」に示すマイナス電流)が流れる。発電機(33)が回生駆動されると、発電機(33)から外部へ電流(例えば、図6の「膨張機電流」に示すプラス電流)が流れる。ここで、例えば図7に示すように、先に起動させた圧縮機(20)を駆動させた状態で膨張機(30)を起動させると(同図a)、発電機(33)がいわゆる脱調状態となり、発電機(33)ひいては膨張機(30)の制御が不安定となる。つまり、膨張機(30)が起動される時点では、既に圧縮機(20)の駆動によって冷媒回路(11)に高低差圧がついた状態となっているため、発電機(33)は力行駆動から直ぐに回生駆動されることになる。そうすると、図7の「膨張機電流」に示すように、発電機(33)における電流がマイナスからプラスへ急激に変化し、発電機(33)における電流値の変化率が大きくなってしまう。このため、発電機(33)がいわゆる脱調状態となる。
そこで、上記第1の発明では、先に起動させた圧縮機(20)が一旦停止される。そうすると、冷媒回路(11)において発生していた高低差圧が徐々に減少していく。つまり、冷媒回路(11)内が均圧されていく。そして、冷媒回路(11)の高低差圧が略ゼロになってから、膨張機(30)が起動される。そのため、冷媒回路(11)に高低差圧が殆どついていない状態、即ち膨張機(30)の流入側と流出側との圧力差が殆どない状態で膨張機(30)が起動されるので、発電機(33)が力行駆動から直ぐに回生駆動されることはない。これにより、発電機(33)における電流値の変化率が大きくなるのを防止でき、いわゆる脱調状態になるのを回避できる。
第2の発明は、上記運転制御部(110)が、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させ、その後、所定時間が経過すると、上記圧縮機(20)および上記膨張機(30)を同時に起動させるように構成されているものである。
上記第2の発明では、上記第1の発明と同様に、先に起動させた圧縮機(20)が一旦停止すると、冷媒回路(11)において発生していた高低差圧が徐々に減少していく。そして、圧縮機(20)が一旦停止してから冷媒回路(11)の高低差圧が略ゼロになるであろう所定時間が経過すると、圧縮機(20)および膨張機(30)が起動される。そのため、本発明においても、上記第1の発明と同様、発電機(33)が脱調状態となるのを防止できる。
第3の発明は、上記膨張機(30)が、上記膨張機構(31)と出力軸(32)によって連結され、上記膨張機構(31)における冷媒の膨張により発生した動力によって回生駆動される発電機(33)を備えている。そして、上記運転制御部(110)は、上記発電機(33)を力行駆動することによって上記膨張機(30)を起動させ、その後、上記発電機(33)を回生駆動するように構成されている。また、上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させ、その後、上記冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロに減少すると、上記圧縮機(20)および上記膨張機(30)を同時に起動させるように構成されている。
上記第3の発明では、膨張機(30)が発電機(33)を備えている。本発明においても、上記第1の発明と同様、冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロになった状態で膨張機(30)が起動されるため、発電機(33)が脱調状態となるのを防止できる。
第4の発明は、上記第1乃至第3の何れか1の発明において、上記冷媒回路(11)には、開閉弁(45)を有し、上記圧縮機(20)の吐出側の配管と吸入側の配管との間に接続されるバイパス管(44)が設けられている。一方、上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させると、上記開閉弁(45)を開くように構成されている。
上記第4の発明では、先に起動させた圧縮機(20)が停止すると、開閉弁(45)が開く。これにより、圧縮機(20)の吐出側と吸入側とが連通するため、冷媒回路(11)における高低差圧がいち早く減少する。つまり、開閉弁(45)を開くことで、冷媒回路(11)において均圧が促進される。
第5の発明は、上記第1乃至第3の何れか1の発明において、上記冷媒回路(11)には、開閉弁(47)を有し、上記膨張機(30)の入口側配管と出口側配管との間に接続されるバイパス管(46)が設けられている。一方、上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させると、上記開閉弁(47)を開くように構成されている。
上記第5の発明では、先に起動させた圧縮機(20)が停止すると、開閉弁(47)が開く。これにより、膨張機(30)の流入側(入口側)と流出側(出口側)とが連通するため、冷媒回路(11)における高低差圧がいち早く減少する。つまり、開閉弁(47)を開くことで、冷媒回路(11)において均圧が促進される。
第6の発明は、上記第1乃至第5の何れか1の発明において、上記運転制御部(110)が、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)の該起動から上記冷媒回路(11)における高低差圧が増大して所定値以上に一定時間維持されるまでの時間を上記所定時間としている。
上記第6の発明では、先に起動させた圧縮機(20)の駆動により、冷媒回路(11)において所定値以上の高低差圧が比較的長い時間維持される。これにより、圧縮機(20)と膨張機(30)との間の圧力差も十分な値となり、圧縮機ケーシング(24)から膨張機(30)へ冷凍機油が確実且つ十分に流れる。
第7の発明は、上記第1乃至第6の何れか1の発明において、上記油供給機構が、一端が上記圧縮機ケーシング(24)に接続されてその冷凍機油に連通し他端が上記膨張機構(31)に接続される給油用配管(41)により構成されている。
上記第7の発明では、圧縮機(20)と膨張機(30)との圧力差によって、圧縮機ケーシング(24)内の冷凍機油が給油用配管(41)を通って膨張機構(31)に流れる。
以上説明したように、本発明によれば、膨張機(30)よりも圧縮機(20)を先に起動させるようにした。これにより、冷媒回路(11)において高低差圧を発生させ、圧縮機ケーシング(24)内と膨張機(30)内との間に圧力差を生じさせることができる。そして、この圧力差によって、圧縮機ケーシング(24)内の冷凍機油を給油用配管(41)を通じて膨張機構(31)へ確実に供給することができる。これにより、膨張機構(31)において冷凍機油が十分に存在する状態で膨張機(30)を起動するので、膨張機(30)の潤滑不足を解消することができる。その結果、膨張機構(31)の焼き付き等のトラブルを未然に防止して空調機(10)の信頼性を確保することができる。
さらに、第1〜第3の発明によれば、先に起動させた圧縮機(20)を一旦停止して冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロに減少してから膨張機(30)を起動させるようにした。これにより、発電機(33)において力行駆動から回生駆動へ急激に切り換わるのを防止できる。これによって、発電機(33)における電流値の変化率が著しく大きくなるのを防止できる。その結果、発電機(33)がいわゆる脱調状態になるのを防止でき、発電機(33)ひいては膨張機(30)の制御を安定させることができる。つまり、膨張機(30)の制御を安定且つ容易にしつつ、起動時における膨張機(30)の潤滑不足を解消することができる。
また、第4および第5の発明によれば、先に圧縮機(20)が起動されて停止した後、開閉弁(45,47)を開くようにしたので、冷媒回路(11)において高低差圧を早く減少させることができる。つまり、冷媒回路(11)において均圧を促進することができる。これにより、圧縮機(20)および膨張機(30)の同時起動のタイミングを早めることができる。その結果、圧縮機(20)および膨張機(30)の起動制御に要する時間を短縮することができる。
また、第6の発明によれば、高低差圧を所定値以上に暫く維持させてから圧縮機(20)を停止させるため、圧縮機ケーシング(24)の冷凍機油を確実且つ十分に膨張機(30)へ供給することができる。よって、運転開始時における膨張機(30)の潤滑不足を確実に解消することができる。
また、第7の発明によれば、油供給機構として、圧縮機ケーシング(24)の底部と膨張機構(31)とに接続される給油用配管(41)を設けるようにしたので、簡易な構成にも拘わらず、圧縮機ケーシング(24)の底部の冷凍機油を確実に膨張機構(31)へ供給することができる。
図1は、実施形態に係る空調機の構成を示す回路図である。 図2は、膨張機の要部を示す縦断面図である。 図3は、膨張機構の要部拡大図である。 図4は、膨張機構における出力軸の回転角90°毎の各ロータリ機構部の状態を示す横断面図である。 図5は、電源回路の構成を示すブロック図である。 図6は、実施形態に係る第2の起動モードについての基本概念を説明するためのタイムチャートである。 図7は、発電機の脱調状態を説明するためのタイムチャートである。 図8は、実施形態に係る第2の起動モードの具体的内容を示すタイムチャートである。 図9は、実施形態の変形例1に係る空調機の一例を示す回路図である。 図10は、実施形態の変形例1に係る空調機の一例を示す回路図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態は、本発明に係る冷凍装置によって構成された空調機(10)である。図1に示すように、本実施形態の空調機(10)は、冷媒回路(11)と、電源回路(100)と、コントローラ(110)とを備えている。
〈冷媒回路の構成〉
冷媒回路(11)の構成について、図1を参照しながら説明する。
冷媒回路(11)には、圧縮機(20)と、膨張機(30)と、室外熱交換器(14)と、室内熱交換器(15)と、第1四方切換弁(12)と、第2四方切換弁(13)とが接続されている。また、冷媒回路(11)には、給油用配管(41)と、油戻し用配管(42)と、冷却用熱交換器(43)とが設けられている。冷媒回路(11)は、冷媒として二酸化炭素(CO)が充填され、その冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。また、この冷媒回路(11)で行われる冷凍サイクルは、その高圧が冷媒である二酸化炭素の臨界圧力よりも高い値に設定されている。
圧縮機(20)は、その吐出管(26)が第1四方切換弁(12)の第1のポートに接続され、その吸入管(25)が第1四方切換弁(12)の第2のポートに接続されている。膨張機(30)は、その流出管(36)が第2四方切換弁(13)の第1のポートに接続され、その流入管(35)が第2四方切換弁(13)の第2のポートに接続されている。室外熱交換器(14)は、その一端が第1四方切換弁(12)の第3のポートに接続され、その他端が第2四方切換弁(13)の第4のポートに接続されている。室内熱交換器(15)は、その一端が第2四方切換弁(13)の第3のポートに接続され、その他端が第1四方切換弁(12)の第4のポートに接続されている。この冷媒回路(11)では、圧縮機(20)の吸入管(25)と第1四方切換弁(12)の第2のポートとを繋ぐ配管が吸入側配管(16)を構成している。
室外熱交換器(14)は、冷媒を室外空気と熱交換させるための空気熱交換器である。室内熱交換器(15)は、冷媒を室内空気と熱交換させるための空気熱交換器である。第1四方切換弁(12)と第2四方切換弁(13)は、それぞれ、第1のポートと第3のポートが連通し且つ第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通し且つ第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図2に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
圧縮機(20)は、いわゆる高圧ドームタイプの全密閉型圧縮機である。この圧縮機(20)は、縦長の円筒形に形成された圧縮機ケーシング(24)を備えている。圧縮機ケーシング(24)の内部には、圧縮機構(21)と電動機(23)と駆動軸(22)とが収容されている。圧縮機構(21)は、いわゆるロータリ式の容積型流体機械を構成している。圧縮機ケーシング(24)内では、圧縮機構(21)の上方に電動機(23)が配置されている。駆動軸(22)は、上下方向に延びる状態で配置され、圧縮機構(21)と電動機(23)を連結している。
圧縮機ケーシング(24)には、吸入管(25)と吐出管(26)が設けられている。吸入管(25)は、圧縮機ケーシング(24)の胴部の下端付近を貫通しており、その終端が圧縮機構(21)へ直に接続されている。吐出管(26)は、圧縮機ケーシング(24)の頂部を貫通しており、その始端が圧縮機ケーシング(24)内における電動機(23)の上側の空間に開口している。圧縮機構(21)は、電動機(23)によって回転駆動され、吸入管(25)から吸い込んだ冷媒を圧縮して圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する。
圧縮機ケーシング(24)の底部には、潤滑油としての冷凍機油が貯留されている。本実施形態では、ポリアルキレングリコール(PAG)が冷凍機油として用いられる。駆動軸(22)の内部には、図示しないが、その軸方向へ延びる給油通路が形成されている。この給油通路は、駆動軸(22)の下端に開口している。駆動軸(22)の下端は、冷凍機油に浸かった状態となっている。圧縮機ケーシング(24)内の冷凍機油は、駆動軸(22)の給油通路を通じて圧縮機構(21)へ供給される。
膨張機(30)は、縦長の円筒形に形成された膨張機ケーシング(34)を備えている。膨張機ケーシング(34)の内部には、膨張機構(31)と発電機(33)と出力軸(32)とが収容されている。膨張機構(31)は、いわゆるロータリ式の容積型流体機械を構成している。膨張機構(31)の詳細は後述する。膨張機ケーシング(34)内では、膨張機構(31)の下方に発電機(33)が配置されている。出力軸(32)は、上下方向に延びる状態で配置され、膨張機構(31)と発電機(33)を連結している。
膨張機ケーシング(34)には、流入管(35)と流出管(36)が設けられている。流入管(35)と流出管(36)は、何れも膨張機ケーシング(34)の胴部の上端付近を貫通している。流入管(35)は、その終端が膨張機構(31)へ直に接続されている。流出管(36)は、その始端が膨張機構(31)へ直に接続されている。膨張機構(31)は、流入管(35)を通って流入した冷媒を膨張させ、膨張後の冷媒を流出管(36)へ送り出す。つまり、膨張機(30)を通過する冷媒は、膨張機ケーシング(34)の内部空間へは流れ込まずに膨張機構(31)だけを通過する。この膨張機構(31)における冷媒の膨張によって、発電機(33)が回転駆動され発電する。つまり、冷媒の膨張によって発生した動力が発電機(33)の駆動に利用される。また、本実施形態の発電機(33)は、励磁部等のない永久磁石型同期発電機を構成している。この永久磁石型同期発電機の場合、回転子側に励磁部やコイルがないため発電機全体の重量が軽減され、且つ、励磁部等による電力ロスがないため発電効率が高い。
給油用配管(41)は、その始端が圧縮機(20)に接続され、その終端が膨張機(30)に接続されている。具体的に、給油用配管(41)の始端部は、圧縮機ケーシング(24)の底部を貫通し、圧縮機ケーシング(24)の内部空間に開口している。この給油用配管(41)の始端部は、圧縮機ケーシング(24)の底部に貯留されている冷凍機油に浸かった状態となっており、駆動軸(22)の下端と概ね同じ高さに開口している。一方、給油用配管(41)の終端部は、膨張機ケーシング(34)内の膨張機構(31)に直に接続されている。膨張機構(31)に対する給油用配管(41)の接続位置については後述する。この給油用配管(41)は、本発明に係る油供給機構を構成している。圧縮機ケーシング(24)の底部に貯留されている冷凍機油は、給油用配管(41)を通って膨張機構(31)へ供給される。
冷却用熱交換器(43)は、給油用配管(41)と吸入側配管(16)とに接続されている。この冷却用熱交換器(43)は、給油用配管(41)を流れる冷凍機油と、吸入側配管(16)を流れる冷媒とを熱交換させる。
油戻し用配管(42)は、その始端が膨張機(30)に接続され、その終端が吸入側配管(16)に接続されている。具体的に、油戻し用配管(42)の始端部は、膨張機ケーシング(34)の底部を貫通し、膨張機ケーシング(34)の内部空間に開口している。この油戻し用配管(42)の始端部は、膨張機ケーシング(34)の底面付近に開口している。一方、油戻し用配管(42)の終端部は、吸入側配管(16)における冷却用熱交換器(43)の下流側に接続されている。膨張機(30)では、膨張機構(31)から漏れ出た冷凍機油が膨張機ケーシング(34)内に溜まり込む。この膨張機ケーシング(34)内に溜まった冷凍機油は、油戻し用配管(42)を通って吸入側配管(16)へ導入され、吸入側配管(16)を流れる冷媒と共に圧縮機構(21)へ吸入される。
また、冷媒回路(11)には各種センサ(51,52,53)が設けられている。具体的に、圧縮機(20)の吐出管(26)と第1四方切換弁(12)との間の配管には、圧縮機(20)の吐出冷媒の圧力を検出する高圧圧力センサ(51)と、圧縮機(20)の吐出冷媒の温度を検出する温度センサ(53)とが設けられている。吸入側配管(16)には、圧縮機(20)の吸入冷媒の圧力を検出する低圧圧力センサ(52)が設けられている。
〈膨張機構の構成〉
膨張機構(31)の構成について、図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。
図2に示すように、出力軸(32)の上端部には、2つの偏心部(79,89)が形成されている。2つの偏心部(79,89)は、出力軸(32)の主軸部(38)よりも大径に形成されており、下側のものが第1偏心部(79)を、上側のものが第2偏心部(89)をそれぞれ構成している。第1偏心部(79)と第2偏心部(89)とは、何れも同じ方向へ偏心している。第2偏心部(89)の外径は、第1偏心部(79)の外径よりも大きくなっている。主軸部(38)の軸心に対する偏心量は、第2偏心部(89)の方が第1偏心部(79)よりも大きくなっている。
出力軸(32)には、給油通路(90)が形成されている。給油通路(90)は、出力軸(32)の軸心に沿って延びている。給油通路(90)の一端は、出力軸(32)の上端面に開口している。給油通路(90)の他端は、直角に屈曲して出力軸(32)の径方向へ延びており、出力軸(32)のうち第1偏心部(79)から幾分下がった部分の外周面に開口している。給油通路(90)には、出力軸(32)の径方向へ延びる分岐通路(91,92)が2つ形成されている。第1分岐通路(91)は、第1偏心部(79)の外周面に開口している。第2分岐通路(92)は、第2偏心部(89)の外周面に開口している。
膨張機構(31)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式流体機械で構成されている。この膨張機構(31)には、対になったシリンダ(71,81)およびピストン(75,85)が二組設けられている。また、膨張機構(31)には、フロントヘッド(61)と、中間プレート(63)と、リアヘッド(62)とが設けられている。
膨張機構(31)では、下から上へ向かって順に、フロントヘッド(61)、第1シリンダ(71)、中間プレート(63)、第2シリンダ(81)、リアヘッド(62)、上部プレート(65)が積層された状態となっている。この状態において、第1シリンダ(71)は、その下側端面がフロントヘッド(61)により閉塞され、その上側端面が中間プレート(63)により閉塞されている。一方、第2シリンダ(81)は、その下側端面が中間プレート(63)により閉塞され、その上側端面がリアヘッド(62)により閉塞されている。また、第2シリンダ(81)の内径は、第1シリンダ(71)の内径よりも大きくなっている。
出力軸(32)は、積層された状態のフロントヘッド(61)、第1シリンダ(71)、中間プレート(63)、第2シリンダ(81)を貫通している。また、出力軸(32)は、その第1偏心部(79)が第1シリンダ(71)内に位置し、その第2偏心部(89)が第2シリンダ(81)内に位置している。
図3および図4にも示すように、第1シリンダ(71)内には第1ピストン(75)が、第2シリンダ(81)内には第2ピストン(85)がそれぞれ設けられている。第1および第2ピストン(75,85)は、何れも円環状あるいは円筒状に形成されている。第1ピストン(75)の外径と第2ピストン(85)の外径とは、互いに等しくなっている。第1ピストン(75)の内径は第1偏心部(79)の外径と、第2ピストン(85)の内径は第2偏心部(89)の外径とそれぞれ概ね等しくなっている。そして、第1ピストン(75)には第1偏心部(79)が、第2ピストン(85)には第2偏心部(89)がそれぞれ貫通している。
第1ピストン(75)は、その外周面が第1シリンダ(71)の内周面に、一方の端面がフロントヘッド(61)に、他方の端面が中間プレート(63)にそれぞれ摺接している。第1シリンダ(71)内には、その内周面と第1ピストン(75)の外周面との間に第1流体室(72)が形成される。一方、上記第2ピストン(85)は、その外周面が第2シリンダ(81)の内周面に、一方の端面がリアヘッド(62)に、他方の端面が中間プレート(63)にそれぞれ摺接している。第2シリンダ(81)内には、その内周面と第2ピストン(85)の外周面との間に第2流体室(82)が形成される。
第1および第2ピストン(75,85)のそれぞれには、ブレード(76,86)が1つずつ一体に設けられている。ブレード(76,86)は、ピストン(75,85)の半径方向へ延びる板状に形成されており、ピストン(75,85)の外周面から外側へ突出している。第1ピストン(75)のブレード(76)は第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)に、第2ピストン(85)のブレード(86)は第2シリンダ(81)のブッシュ孔(88)にそれぞれ挿入されている。各シリンダ(71,81)のブッシュ孔(78,88)は、シリンダ(71,81)を厚み方向へ貫通すると共に、シリンダ(71,81)の内周面に開口している。
各シリンダ(71,81)には、一対のブッシュ(77,87)が一組ずつ設けられている。各ブッシュ(77,87)は、内側面が平面となって外側面が円弧面となるように形成された小片である。各シリンダ(71,81)において、一対のブッシュ(77,87)は、ブッシュ孔(78,88)に挿入されてブレード(76,86)を挟み込んだ状態となる。各ブッシュ(77,87)は、その内側面がブレード(76,86)と摺接し、その外側面がシリンダ(71,81)と摺動する。そして、ピストン(75,85)と一体のブレード(76,86)は、ブッシュ(77,87)を介してシリンダ(71,81)に支持され、シリンダ(71,81)に対して回動自在で且つ進退自在となっている。
第1シリンダ(71)内の第1流体室(72)は、第1ピストン(75)と一体の第1ブレード(76)によって仕切られており、図3,図4における第1ブレード(76)の左側が高圧側の第1高圧室(73)となり、その右側が低圧側の第1低圧室(74)となっている。第2シリンダ(81)内の第2流体室(82)は、第2ピストン(85)と一体の第2ブレード(86)によって仕切られており、図3,図4における第2ブレード(86)の左側が高圧側の第2高圧室(83)となり、その右側が低圧側の第2低圧室(84)となっている。
第1シリンダ(71)と第2シリンダ(81)とは、それぞれの周方向におけるブッシュ(77,87)の位置が一致する姿勢で配置されている。言い換えると、第2シリンダ(81)の第1シリンダ(71)に対する配置角度が0°となっている。上述のように、第1偏心部(79)と第2偏心部(89)とは、主軸部(38)の軸心に対して同じ方向へ偏心している。したがって、第1ブレード(76)が第1シリンダ(71)の外側へ最も退いた状態になるのと同時に、第2ブレード(86)が第2シリンダ(81)の外側へ最も退いた状態になる。
第1シリンダ(71)には、流入ポート(67)が形成されている。流入ポート(67)は、第1シリンダ(71)の内周面のうち、図3,図4におけるブッシュ(77)のやや左側の箇所に開口している。流入ポート(67)は、第1高圧室(73)と連通可能となっている。図示しないが、流入ポート(67)には、流入管(35)が接続されている。
第2シリンダ(81)には、流出ポート(68)が形成されている。流出ポート(68)は、第2シリンダ(81)の内周面のうち、図3,図4におけるブッシュ(87)のやや右側の箇所に開口している。流出ポート(68)は、第2低圧室(84)と連通可能となっている。図示しないが、流出ポート(68)には、流出管(36)が接続されている。
中間プレート(63)には、連通路(64)が形成されている。この連通路(64)は、中間プレート(63)を厚み方向へ貫通している。中間プレート(63)における第1シリンダ(71)側の面では、第1ブレード(76)の右側の箇所に連通路(64)の一端が開口している。中間プレート(63)における第2シリンダ(81)側の面では、第2ブレード(86)の左側の箇所に連通路(64)の他端が開口している。そして、図2に示すように、連通路(64)は、中間プレート(63)の厚み方向に対して斜めに延びており、第1低圧室(74)と第2高圧室(83)とを互いに連通させている。
上述のように、第1ロータリ機構部(70)の第1低圧室(74)と、第2ロータリ機構部(80)の第2高圧室(83)とは、連通路(64)を介して互いに連通している。そして、第1低圧室(74)と連通路(64)と第2高圧室(83)とによって1つの閉空間が形成され、この閉空間が膨張室(66)を構成している。
フロントヘッド(61)は、その中央部が下方へ突出した形状となっている。また、フロントヘッド(61)の中央部には貫通孔が形成されており、この貫通孔に出力軸(32)が挿通されている。フロントヘッド(61)は、出力軸(32)における第1偏心部(79)の下側の部分を支持する滑り軸受を構成している。フロントヘッド(61)では、出力軸(32)の主軸部(38)が挿通される貫通孔の下部に、円周溝が形成されている。この円周溝は、出力軸(32)の外周面に開口する給油通路(90)の端部と対向する位置に形成されており、下側油溜め室(94)を構成している。
リアヘッド(62)の中央部には貫通孔が形成されており、この貫通孔に出力軸(32)の主軸部(38)が挿通されている。リアヘッド(62)は、出力軸(32)における第2偏心部(89)の上側の部分を支持する滑り軸受を構成している。
上部プレート(65)は、やや厚肉の円板状に形成されており、リアヘッド(62)の上に載置されている。上部プレート(65)では、その下面の中央部に円形の凹陥部が形成されている。上部プレート(65)は、その凹陥部が出力軸(32)の上端面と対面する位置に設けられる。上部プレート(65)には、給油用配管(41)の終端が接続されている。給油用配管(41)の終端は、上部プレート(65)を上方から下方へ向かって貫通して凹陥部に開口している。上部プレート(65)の凹陥部は、給油用配管(41)から供給された冷凍機油を溜めるための上側油溜め室(93)を構成している。また、上部プレート(65)では、その下面に凹溝(95)が形成されている。凹溝(95)は、上側油溜め室(93)の周縁から上部プレート(65)の外周方向へ延びている。
膨張機構(31)では、リアヘッド(62)に第1油通路(96)が形成され、中間プレート(63)に第2油通路(97)が形成され、フロントヘッド(61)に第3油通路(98)が形成されている。第1油通路(96)は、リアヘッド(62)を厚み方向へ貫通し、凹溝(95)の終端を第2シリンダ(81)のブッシュ孔(88)と連通させている。第2油通路(97)は、中間プレート(63)を厚み方向へ貫通し、第2シリンダ(81)のブッシュ孔(88)を第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)と連通させている。フロントヘッド(61)において、第3油通路(98)の一端は、フロントヘッド(61)の上面のうち第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)に臨む部分に開口している。また、フロントヘッド(61)において、第3油通路(98)の他端は、出力軸(32)が挿通される貫通孔の内周面に開口している。
以上のように構成された本実施形態の膨張機構(31)では、第1シリンダ(71)と、そこに設けられたブッシュ(77)と、第1ピストン(75)と、第1ブレード(76)とが第1ロータリ機構部(70)を構成している。また、第2シリンダ(81)と、そこに設けられたブッシュ(87)と、第2ピストン(85)と、第2ブレード(86)とが第2ロータリ機構部(80)を構成している。
〈電源回路の構成〉
電源回路(100)の構成について、図5も参照しながら説明する。本実施形態の電源回路(100)は、圧縮機(20)の電動機(23)および膨張機(30)の発電機(33)に接続されている。電源回路(100)は、第1コンバータ(101)と、インバータ(102)と、第2コンバータ(103)とを備えている。
第1コンバータ(101)は、商用電源からの交流電力を直流電力に変換してインバータ(102)へ供給するものである。第2コンバータ(103)は、膨張機(30)の発電機(33)で発電された交流電力を直流電力に変換してインバータ(102)へ供給するものである。インバータ(102)は、第1コンバータ(101)および第2コンバータ(103)からの直流電力を交流電力に変換して圧縮機(20)の電動機(23)へ供給するものである。また、電源回路(100)は、発電機(33)と第2コンバータ(103)との間に設けられ、発電機(33)からの交流電流の電流値を検出する電流センサ(104)を備えている。
〈コントローラの構成〉
コントローラ(110)は、圧縮機制御部(111)と、膨張機制御部(112)と、弁制御部(113)とを備えており、本発明に係る運転制御部を構成している。
圧縮機制御部(111)および膨張機制御部(112)は、電源回路(100)を制御することによって、それぞれ圧縮機(20)および膨張機(30)の起動制御を含む運転制御を行う。そして、圧縮機制御部(111)および膨張機制御部(112)は、圧縮機(20)および膨張機(30)の起動制御として、圧縮機(20)および膨張機(30)を同時に起動させる第1の起動モードと、圧縮機(20)および膨張機(30)を同時に起動させる前に一旦圧縮機(20)を駆動させる第2の起動モードとを有する。これら圧縮機制御部(111)および膨張機制御部(112)の詳細な制御動作については後述する。なお、弁制御部(113)は、各四方切換弁(12,13)の切換制御を行う。
−運転動作−
上記空調機(10)の動作について説明する。
空調機(10)は、冷房運転と暖房運転を切り換えて行う。冷房運転時には、第1四方切換弁(12)および第2四方切換弁(13)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定される一方、暖房運転時には、第1四方切換弁(12)および第2四方切換弁(13)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定される。
冷暖房の何れの運転においても、圧縮機(20)では、電動機(23)によって圧縮機構(21)が回転駆動される。圧縮機構(21)は、吸入管(25)から吸い込んだ冷媒を圧縮して圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する。なお、圧縮機構(21)では冷媒が二酸化炭素の臨界圧力よりも高い圧力まで圧縮される。圧縮機ケーシング(24)内の高圧冷媒は、吐出管(26)を通って圧縮機(20)から吐出される。圧縮機(20)から吐出された冷媒は、冷房運転の場合は室外熱交換器(14)へ送られて室外空気へ放熱し、暖房運転の場合は室内熱交換器(15)へ送られて室内空気へ放熱し室内空気が加熱される。室外熱交換器(14)または室内熱交換器(15)で放熱した高圧冷媒は、膨張機(30)へ流入する。
冷暖房の何れの運転においても、膨張機(30)では、流入管(35)を通って膨張機構(31)へ流入した高圧冷媒が膨張し、それによって発電機(33)が回転駆動され発電する。発電機(33)で発電した電力は、電源回路(100)を介して圧縮機(20)の電動機(23)へ供給される。これにより、商用電源から供給される電動機(23)に必要な駆動電力を削減することができる。膨張機構(31)で膨張した冷媒は、流出管(36)を通って膨張機(30)から送り出される。膨張機(30)から送り出された冷媒は、暖房運転の場合は室外熱交換器(14)へ送られて室外空気から吸熱して蒸発し、冷房運転の場合は室内熱交換器(15)へ送られて室内空気から吸熱して蒸発し室内空気が冷却される。室外熱交換器(14)または室内熱交換器(15)で蒸発した低圧冷媒は、圧縮機(20)の吸入管(25)へ流入する。
〈膨張機構の動作〉
膨張機構(31)の詳細な動作について、図4を参照しながら説明する。
先ず、第1ロータリ機構部(70)の第1高圧室(73)へ超臨界状態の高圧冷媒が流入する過程について説明する。回転角が0°の状態から出力軸(32)が僅かに回転すると、第1ピストン(75)と第1シリンダ(71)の接触位置が流入ポート(67)の開口部を通過し、流入ポート(67)から第1高圧室(73)へ高圧冷媒が流入し始める。その後、出力軸(32)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれて、第1高圧室(73)へ高圧冷媒が流入してゆく。この第1高圧室(73)への高圧冷媒の流入は、出力軸(32)の回転角が360°に達するまで続く。
次に、膨張機構(31)において冷媒が膨張する過程について説明する。回転角が0°の状態から出力軸(32)が僅かに回転すると、第1低圧室(74)と第2高圧室(83)が連通路(64)を介して互いに連通し、第1低圧室(74)から第2高圧室(83)へと冷媒が流入し始める。その後、出力軸(32)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなるにつれ、第1低圧室(74)の容積が次第に減少すると同時に第2高圧室(83)の容積が次第に増加し、結果として膨張室(66)の容積が次第に増加してゆく。この膨張室(66)の容積増加は、出力軸(32)の回転角が360°に達する直前まで続く。そして、膨張室(66)の容積が増加する過程で膨張室(66)内の冷媒が膨張し、この冷媒の膨張によって出力軸(32)が回転駆動される。このように、第1低圧室(74)内の冷媒は、連通路(64)を通って第2高圧室(83)へ膨張しながら流入してゆく。
続いて、第2ロータリ機構部(80)の第2低圧室(84)から冷媒が流出してゆく過程について説明する。第2低圧室(84)は、出力軸(32)の回転角が0°の時点から流出ポート(68)に連通し始める。つまり、第2低圧室(84)から流出ポート(68)へと冷媒が流出し始める。その後、出力軸(32)の回転角が90°,180°,270°と次第に大きくなってゆき、その回転角が360°に達するまでの間に亘って、第2低圧室(84)から膨張後の低圧冷媒が流出してゆく。
〈圧縮機および膨張機の潤滑動作〉
上述した各運転時における圧縮機(20)と膨張機(30)の冷凍機油による潤滑動作について説明する。
圧縮機(20)では、圧縮機ケーシング(24)の内圧が、圧縮機構(21)から吐出された冷媒の圧力とほぼ同じになっている。このため、圧縮機ケーシング(24)の底部に溜まった冷凍機油の圧力も、圧縮機構(21)から吐出された冷媒の圧力とほぼ同じになっている。一方、圧縮機構(21)は、吸入管(25)から低圧冷媒を吸入する。したがって、圧縮機構(21)には、圧縮機ケーシング(24)の内圧よりも低圧となる部分が存在する。この圧力差によって、圧縮機ケーシング(24)の底部の冷凍機油は駆動軸(22)内の給油通路を通って圧縮機構(21)へ流入する。圧縮機構(21)に流入した冷凍機油は、圧縮機構(21)の潤滑に利用される。圧縮機構(21)へ供給された冷凍機油は、圧縮された冷媒と共に圧縮機ケーシング(24)内へ吐出され、再び圧縮機ケーシング(24)の底部へ戻ってくる。
冷媒回路(11)を循環する冷媒の圧力は、圧縮機(20)から膨張機(30)へ至るまでの間に幾分低下する。このため、膨張機構(31)を通過する冷媒の圧力は、必然的に圧縮機ケーシング(24)の内圧よりも低くなる。つまり、圧縮機ケーシング(24)内と膨張機構(31)内との間に圧力差が生じる。この圧力差によって、圧縮機ケーシング(24)の底部に溜まった冷凍機油は、給油用配管(41)を通って膨張機構(31)へ流入する。その際、給油用配管(41)へ流入した冷凍機油は、冷却用熱交換器(43)で吸入側配管(16)内の冷媒と熱交換して冷却され、その後に膨張機構(31)へ流入する。
膨張機構(31)に流入した冷凍機油は、膨張機構(31)の潤滑に利用される。その後、この冷凍機油は、その一部は膨張機構(31)から漏れ出て膨張機ケーシング(34)の底部に溜まり、残りは膨張後の冷媒と共に膨張機(30)から流出する。冷媒と共に膨張機(30)から流出した冷凍機油は、冷媒と共に冷媒回路(11)内を流れて圧縮機(20)へ吸入される。一方、膨張機ケーシング(34)の底部に溜まった冷凍機油は、油戻し用配管(42)を通って吸入側配管(16)へ流入し、冷媒と共に圧縮機(20)へ吸入される。吸入側配管(16)を流れる冷媒の圧力は、冷媒回路(11)内で最も低くなっている。つまり、膨張機ケーシング(34)内と吸入側配管(16)との間に圧力差が生じる。この圧力差によって、膨張機ケーシング(34)内の冷凍機油は、油戻し用配管(42)を通って吸入側配管(16)へ流入する。圧縮機(20)の圧縮機構(21)へ冷媒と共に吸入された冷凍機油は、圧縮後の冷媒と共に圧縮機構(21)から圧縮機ケーシング(24)の内部空間へ吐出され、その後に圧縮機ケーシング(24)の底部へと流れ落ちてゆく。
次に、膨張機構(31)における詳細な潤滑動作について説明する。膨張機構(31)では、給油用配管(41)を通じて供給された冷凍機油が上側油溜め室(93)へ導入される。上側油溜め室(93)へ流入した冷凍機油は、出力軸(32)の給油通路(90)と、出力軸(32)とリアヘッド(62)の摺動部分と、凹溝(95)とに分配される。
出力軸(32)の給油通路(90)へ流入した冷凍機油は、その一部が各分岐通路(91,92)を通じて偏心部(79,89)とピストン(75,85)の摺動部分に供給され、残りが下側油溜め室(94)へ流入する。下側油溜め室(94)へ流入した冷凍機油は、出力軸(32)とフロントヘッド(61)の摺動部分へ供給される。
凹溝(95)へ流入した冷凍機油は、第1油通路(96)を通って第2シリンダ(81)のブッシュ孔(88)へ流入する。このブッシュ孔(88)へ流入した冷凍機油は、その一部が、第2シリンダ(81)とブッシュ(87)の摺動部分や、第2ブレード(86)とブッシュ(87)の摺動部分へ供給される。ブッシュ孔(88)へ流入した冷凍機油の残りは、第2油通路(97)を通って第1シリンダ(71)のブッシュ孔(78)へ流入する。このブッシュ孔(78)へ流入した冷凍機油は、その一部が、第1シリンダ(71)とブッシュ(77)の摺動部分や、第1ブレード(76)とブッシュ(77)の摺動部分へ供給される。ブッシュ孔(78)へ流入した冷凍機油の残りは、第3油通路(98)を通じてフロントヘッド(61)と出力軸(32)の隙間へ供給される。
〈圧縮機および膨張機の起動制御〉
上述した各運転の開始時における圧縮機(20)および膨張機(30)の起動制御の動作について説明する。
この起動制御では、コントローラ(110)によって、第1の起動モードと第2の起動モードの何れかが所定の条件で自動選択される。例えば、本実施形態では、運転終了から次の運転開始までの期間(以下、運転停止期間という。)が所定時間または所定日数以下である場合には膨張機(30)において潤滑不足となるおそれはないとして第1の起動モードが選択される。また、運転停止期間が所定時間または所定日数よりも長い場合には膨張機(30)において潤滑不足となるおそれがあるとして第2の起動モードが選択される。上記所定時間または所定日数は、運転を停止してから膨張機構(31)において冷凍機油が膨張機ケーシング(34)内へ流出して殆ど残存していない状態となるであろう時間または日数に設定される。例えば、いわゆるサーモOFF後やデフロスト運転後の運転開始では、運転停止期間が短いため第1の起動モードが選択される。
(第1の起動モード)
第1の起動モードでは、圧縮機制御部(111)および膨張機制御部(112)によって、圧縮機(20)および膨張機(30)が同時に起動される。この第1の起動モードが選択された状態では、膨張機構(31)においてある程度の冷凍機油が残存しているため、膨張機構(31)を圧縮機(20)と同時に起動しても、膨張機(30)において潤滑不足となることはない。
具体的に、圧縮機制御部(111)は、電源回路(100)のインバータ(102)をスイッチング制御することにより、電動機(23)を回転駆動しその回転数を制御する。これにより、圧縮機(20)が起動されその回転数が制御される。膨張機制御部(112)は、電源回路(100)の第2コンバータ(103)をスイッチング制御することにより、発電機(33)を回転駆動しその回転数を制御する。これにより、膨張機(30)が起動されその回転数が制御される。
また、膨張機(30)の起動時は、冷媒回路(11)において高低差圧が殆ど発生していないため、膨張機構(31)において冷媒の膨張による動力を十分に得られない。そのため、起動時は発電機(33)が力行駆動される。つまり、発電機(33)が電動機として駆動される。具体的に、膨張機制御部(112)は、発電機(33)の電流が力行側に流れるように、即ち電流(マイナス電流)が電源回路(100)から発電機(33)へ流れるように、第2コンバータ(103)を制御する。これにより、膨張機(30)をスムーズに起動させることができる。そして、冷媒回路(11)において高低差圧が発生し膨張機構(31)における冷媒の膨張による動力が十分なものになると、その動力によって発電機(33)が回生駆動される。具体的に、膨張機制御部(112)は、発電機(33)の電流が回生側に流れるように、即ち電流(プラス電流)が発電機(33)から電源回路(100)へ流れるように、第2コンバータ(103)を制御する。これにより、発電機(33)が発電する。
(第2の起動モード)
第2の起動モードが選択された状態では、膨張機構(31)において冷凍機油が殆ど残存していないため、この状態で膨張機(30)を起動すると、潤滑不足となり潤滑不良が生じる。
先ず、第2の起動モードの基本概念について図6を参照しながら説明する。
この第2の起動モードでは、先に、圧縮機(20)のみが起動される(同図A1)。そうすると、冷媒回路(11)において高低差圧が発生する。そして、圧縮機制御部(111)によって圧縮機(20)の回転数が徐々に増大され、それに伴って、冷媒回路(11)における高低差圧も徐々に増大する。この高低差圧の発生および増大により、圧縮機(20)内は勿論のこと、圧縮機ケーシング(24)内と膨張機構(31)内との間にも確実に圧力差が生じる。これにより、圧縮機ケーシング(24)の底部の冷凍機油は、駆動軸(22)内の給油通路を通って圧縮機構(21)へ流入すると共に、給油用配管(41)を通って膨張機構(31)へ流入する。そして、圧縮機(20)を起動してから所定時間が経過すると、圧縮機(20)が停止される(同図A2)。このように、圧縮機(20)の単独運転により、冷媒回路(11)において高低差圧を発生させ、圧縮機ケーシング(24)の冷凍機油を圧縮機構(21)だけでなく膨張機構(31)にも確実に供給することができる。なお、冷媒回路(11)における高低差圧は、圧縮機(20)の吐出圧力と吸入圧力との差圧(即ち、冷凍サイクルにおける高圧と低圧との差)であり、例えば高圧圧力センサ(51)の検出値と低圧圧力センサ(52)の検出値との差でみることができる。
圧縮機(20)が停止されると、冷媒回路(11)において高低差圧が徐々に減少する。つまり、冷媒回路(11)が均圧されていく。そして、冷媒回路(11)における高低差圧がゼロまたは略ゼロになると、圧縮機(20)と膨張機(30)の両方を同時に起動させる(同図A3)。この状態では、既に膨張機構(31)において冷凍機油が十分に存在しているため、膨張機(30)が潤滑不足となるのを確実に防止することができる。そして、圧縮機(20)および膨張機(30)がそれぞれ所定の回転数まで増大されると、第2の起動モードの起動制御が終了する(同図A4)。その後、圧縮機(20)および膨張機(30)は、それぞれ運転条件に応じて回転数が制御される。なお、この第2の起動モードにおいても、上述した第1の起動モードと同様、膨張機(30)は発電機(33)が力行駆動されることで起動され、その後、発電機(33)が回生駆動される。発電機(33)が力行駆動される間は、電源回路(100)から発電機(33)へ電流(即ち、同図の「膨張機電流」に示すマイナス電流)が流れる。発電機(33)が回生駆動されると、発電機(33)から電源回路(100)へ電流(即ち、同図の「膨張機電流」に示すプラス電流)が流れる。
ここで、上述した第2の起動モードにおいて、圧縮機(20)を一旦停止させて冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロになってから、圧縮機(20)および膨張機(30)を同時に起動させる利点について説明する。
例えば、図7に示すように、圧縮機の単独運転を所定時間行った後、圧縮機を停止させずに膨張機を起動させると(同図a)、膨張機の運転制御が不安定になってしまう。具体的に説明すると、膨張機の発電機は、上述したように、起動時には力行駆動され、その後、回生駆動に切り換えられる。一方、図7に示すように、圧縮機の単独運転が所定時間経過した状態では、冷媒回路において高低差圧がある程度発生している。この高低差圧がついた状態で膨張機を起動させると、直ぐに冷媒の膨張による動力が発生するため、発電機は力行駆動から直ぐに回生駆動されることとなる。そうすると、図7の「膨張機電流」に示すように、発電機における電流がマイナスからプラスへ急激に変化し、発電機における電流値の変化率が大きくなってしまう。このため、第2コンバータ(103)の制御が電流値の変化に追従できずに、発電機(33)がいわゆる脱調状態となり、膨張機の制御が不安定または不能となる。ところが、本実施形態では、圧縮機(20)の単独運転を行った後、圧縮機(20)を一旦停止して冷媒回路(11)における高低差圧がゼロまたは略ゼロになってから、膨張機(30)を起動させるため、発電機(33)に対する力行駆動から回生駆動への移行時間を比較的長くとれる。これにより、発電機(33)における電流値の変化率を小さくでき、膨張機(30)の制御を安定させることができる。したがって、上記略ゼロは、膨張機(30)の制御が安定し得る所定値以下の高低差圧である。言い換えれば、上記略ゼロとは、発電機(33)における電流値の変化率が許容値を超えない所定値以下の高低差圧である。
次に、第2の起動モードの具体的制御について図8を参照しながら説明する。
先ず、圧縮機(20)のみが起動される(同図B1)。そうすると、冷媒回路(11)において高低差圧が発生する。そして、圧縮機(20)の回転数が徐々に増大され、それに伴って、冷媒回路(11)における高低差圧も徐々に増大する。この高低差圧、即ち高圧圧力センサ(51)の検出値と低圧圧力センサ(52)の検出値との差が所定値(例えば、0.2MPa)に達すると、圧縮機制御部(111)は圧縮機(20)の回転数を所定回転数で維持する(同図B2)。そして、上記高低差圧が所定値以上である状態が所定時間(例えば、5秒)経過すると、圧縮機制御部(111)は圧縮機(20)を停止させる(同図B3)。以上のように高低差圧が発生することにより、圧縮機ケーシング(24)の底部における冷凍機油が給油用配管(41)を通って膨張機構(31)へ流入する。また、上記高低差圧が所定値に達すると圧縮機(20)を停止させるのではなく、上記高低差圧を所定値以上に暫く維持させてから圧縮機(20)を停止させることにより、圧縮機ケーシング(24)の底部における冷凍機油を確実且つ十分に膨張機構(31)へ供給することができる。
圧縮機(20)が停止すると、上記高低差圧は徐々に減少する。そして、上記高低差圧が略ゼロ(例えば、上記所定値=0.2MPa以下)になると、圧縮機(20)および膨張機(30)が同時に起動される(同図B4)。この状態では、既に膨張機構(31)に冷凍機油が十分に供給されているため、膨張機(30)が潤滑不足になるのを防止することができる。また、上記高低差圧が略ゼロの状態で膨張機(30)を起動させるため、その後の発電機(33)における電流値の変化率を小さくすることができる。よって、第2コンバータ(103)ひいては膨張機(30)の制御を安定させることができる。
圧縮機(20)は、上記高低差圧の変化率が大きくならないように、その回転数が比較的低い値(例えば、20〜30rps)で起動し維持される。一方、膨張機(30)は、発電機(33)が力行駆動されて起動し、その回転数は比較的低い値(例えば、30rps)に維持される。冷媒回路(11)において高低差圧が徐々に増大し膨張機構(31)における冷媒の膨張による動力が十分なものとなり、発電機(33)が回生駆動に切り換わっても、圧縮機(20)および膨張機(30)の回転数は維持される。そして、上記高低差圧が第1の所定値に達するか、圧縮機(20)および膨張機(30)の起動(同図B4)から所定時間が経過すると、膨張機(30)の回転数は維持したまま圧縮機(20)の回転数を増加させていく(同図B5)。そうすると、上記高低差圧の変化率が大きくなる。そして、上記高低差圧が第2の所定値に達すると、起動制御が終了する(同図B6)。起動制御が終了すると、膨張機(30)は冷媒回路(11)における高圧が最適値となるように回転数が制御される。例えば、高圧が低い場合は膨張機(30)の回転数が減少され、高圧が高い場合は膨張機(30)の回転数が増大される。
−実施形態の効果−
本実施形態では、比較的長い運転停止期間の後の運転開始において、先ず圧縮機(20)のみを起動させる、即ち膨張機(30)よりも圧縮機(20)を先に起動させるようにした。これにより、冷媒回路(11)において高低差圧を発生させ、圧縮機ケーシング(24)内と膨張機構(31)内との間に圧力差を生じさせることができる。そして、この圧力差によって、圧縮機ケーシング(24)内の冷凍機油を給油用配管(41)を通じて膨張機構(31)へ確実に供給することができる。これにより、膨張機構(31)において冷凍機油が十分に存在する状態で膨張機(30)が起動されるので、膨張機(30)が潤滑不足となるのを防止することができる。その結果、膨張機構(31)の焼き付き等のトラブルを未然に防止して空調機(10)の信頼性を確保することができる。
さらに、本実施形態では、先に起動させた圧縮機(20)を一旦停止して冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロに減少してから膨張機(30)を起動させるようにした。これにより、膨張機(30)の発電機(33)において力行駆動から回生駆動へ急激に切り換わるのを防止できる。これによって、発電機(33)における電流値の変化率が著しく大きくなるのを防止でき、その結果、発電機(33)ひいては膨張機(30)の制御が不安定または不能になるのを防止することができる。つまり、膨張機(30)の制御を安定且つ容易にしつつ、起動時における膨張機(30)の潤滑不足を解消することができる。
また、本実施形態では、油供給機構として、圧縮機ケーシング(24)の底部と膨張機構(31)とに接続される給油用配管(41)を設けるようにしたので、簡易な構成にも拘わらず、圧縮機ケーシング(24)の底部の冷凍機油を確実に膨張機構(31)へ供給することができる。
−実施形態の変形例−
〈変形例1〉
本変形例は、図9に示すように、上記実施形態の冷媒回路(11)においてバイパス管(44)およびバイパス弁(45)を設けるようにしたものである。また、本変形例は、上記実施形態における第2の起動モードの制御内容について変更したものである。
バイパス管(44)の一端は、圧縮機(20)の吐出管(26)と第1四方切換弁(12)との間の配管(本発明に係る圧縮機(20)の吐出側の配管)に接続されている。バイパス管(44)の他端は、吸入側配管(16)における冷却用熱交換器(43)と油戻し用配管(42)との間に接続されている。バイパス弁(45)は、開閉弁を構成し、バイパス管(44)の途中に設けられている。バイパス弁(45)は弁制御部(113)によって制御される。
本変形例に係る第2の起動モードでは、圧縮機(20)が一旦停止すると(図8B3)、弁制御部(113)によってバイパス弁(45)が開く。これにより、圧縮機(20)の吐出側と吸入側とが連通するので、即ち冷媒回路(11)において最も高い圧力部分と最も低い圧力部分とが連通するので、冷媒回路(11)における高低差圧がいち早く減少する。つまり、バイパス弁(45)を開くことで、冷媒回路(11)において均圧が促進される。そして、上記高低差圧が略ゼロになると(図8B4)、圧縮機(20)および膨張機(30)が同時に起動されると共に、弁制御部(113)によってバイパス弁(45)が閉じられる。
以上のように、本変形例では、先に圧縮機(20)が起動されて停止した後、バイパス弁(45)を開くようにしたので、冷媒回路(11)において高低差圧を早く減少させることができる。その結果、第2の起動モードによる起動制御に要する時間を短縮することができる。その他の構成、作用および効果は上記実施形態と同様である。
また、本変形例では、図10に示すように、バイパス管(46)およびバイパス弁(47)を膨張機(30)側に設けて、バイパス弁(47)を制御するようにしてもよい。具体的に、バイパス管(46)の一端は、膨張機(30)の流入管(35)と第2四方切換弁(13)との間の配管(本発明に係る膨張機(30)の入口側配管)に接続されている。バイパス管(46)の他端は、膨張機(30)の流出管(36)と第2四方切換弁(13)との間の配管(本発明に係る膨張機(30)の出口側配管)に接続されている。バイパス弁(47)は、開閉弁を構成し、バイパス管(46)の途中に設けられている。このバイパス弁(47)は弁制御部(113)によって制御される。この場合、第2の起動モードにおいて圧縮機(20)が一旦停止すると(図8B3)、弁制御部(113)によってバイパス弁(47)が開く。これにより、膨張機(30)の流入側(入口側)と流出側(出口側)とが連通するため、冷媒回路(11)における高低差圧がいち早く減少する。つまり、この場合もバイパス弁(47)を開くことで冷媒回路(11)の均圧が促進される。そして、上記高低差圧が略ゼロになると(図8B4)、圧縮機(20)および膨張機(30)が同時に起動されると共に、弁制御部(113)によってバイパス弁(47)が閉じられる。
〈変形例2〉
本変形例は、上記実施形態において第2の起動モードの制御内容について変更したものである。
上記実施形態の第2の起動モードでは、高圧圧力センサ(51)および低圧圧力センサ(52)によって検出される実際の高低差圧をみて、先に起動させた圧縮機(20)の停止タイミング(図8B3)や、圧縮機(20)および膨張機(30)を同時に起動させるタイミング(図8B4)を計っていた。本変形例では、実際の高低差圧を検出せずにこれらタイミングを計るようにしたものである。具体的に、本変形例の第2の起動モードでは、先に圧縮機(20)が起動されると(図8B1)、冷媒回路(11)における高低差圧が所定値(例えば、0.2MPa)まで増大するのに要する時間が圧縮機制御部(111)によって推定される。圧縮機制御部(111)は、外気温度や室内温度、圧縮機(20)の吐出管(26)の温度(温度センサ(53)の検出値に相当する。以下、吐出管温度という。)などから、上記時間を推定する。そして、圧縮機制御部(111)は、圧縮機(20)を起動させてから上記推定時間が経過すると、圧縮機(20)の回転数を維持する(図8B2)。圧縮機制御部(111)は、圧縮機(20)の回転数を維持すると、その時の外気温度や室内温度、吐出管温度などから、高低差圧が上記所定値で所定時間以上維持される時間を推定し、圧縮機(20)の回転数を維持してからその推定時間が経過すると、圧縮機(20)を停止させる(図8B3)。そして、圧縮機制御部(111)は、圧縮機(20)を停止させると、その時の外気温度や室内温度、吐出管温度などから、高低差圧が略ゼロになる時間を推定し、圧縮機(20)の停止後からその推定時間が経過すると、圧縮機(20)を起動させる(図8B4)。この圧縮機(20)の起動と同時に、膨張機制御部(112)が膨張機(30)を起動させる。このように、圧縮機(20)は、先に起動して所定時間経過後に一旦停止し、その後所定時間経過後に膨張機(30)と共に起動する。これ以外の第2の起動モードの制御内容は上記実施形態のものと同様である。
以上のように、本変形例では、実際の高低差圧を検出せずに、推定時間をもって制御するようにしたため、高圧圧力センサ(51)および低圧圧力センサ(52)が不要となる。これにより、冷媒回路(11)の構成を簡素化することができる。その他の構成、作用および効果は上記実施形態と同様である。
−その他の実施形態−
上記の実施形態では、以下のように構成するようにしてもよい。
例えば、上記実施形態の第2の起動モードでは、圧縮機(20)を一旦停止させて冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロに減少してから圧縮機(20)および膨張機(30)を同時に起動させるようにしたが、圧縮機(20)を停止させることなく膨張機(30)を後から起動させるようにしてもよい。例えば、圧縮機(20)を一旦停止させなくても、上記実施形態の変形例1のようにバイパス弁(45,47)を開くことによって高低差圧が略ゼロになる場合は、先に起動させた圧縮機(20)を停止させることなく膨張機(30)を後から起動させる。
以上説明したように、本発明は、互いに別体に形成された圧縮機と膨張機を備える冷凍装置について有用である。
10 空調機(冷凍装置)
11 冷媒回路
20 圧縮機
21 圧縮機構
24 圧縮機ケーシング
30 膨張機
31 膨張機構
32 出力軸
33 発電機
34 膨張機ケーシング
41 給油用配管(油供給機構)
44 バイパス管
45 バイパス弁(開閉弁)
110 コントローラ(運転制御部)

Claims (7)

  1. 圧縮機(20)と膨張機(30)が接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)を備えている冷凍装置であって、
    上記圧縮機(20)は、内部に潤滑油が貯留された圧縮機ケーシング(24)と、該圧縮機ケーシング(24)に収容されると共に吸入した冷媒を圧縮して該圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する圧縮機構(21)とを備え、
    上記膨張機(30)は、流入した冷媒を膨張させて動力を発生させる膨張機構(31)と、該膨張機構(31)を収容する膨張機ケーシング(34)とを備える一方、
    上記圧縮機(20)と上記膨張機(30)との間に生じる圧力差によって、上記圧縮機ケーシング(24)内の潤滑油を上記膨張機(30)へ供給する油供給機構(41)と、
    運転開始の際、先に上記圧縮機(20)を起動させ、その後、上記膨張機(30)を起動させる運転制御部(110)とを備え
    上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させ、その後、上記冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロに減少すると、上記圧縮機(20)および上記膨張機(30)を同時に起動させるように構成されている
    ことを特徴とする冷凍装置。
  2. 圧縮機(20)と膨張機(30)が接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)を備えている冷凍装置であって、
    上記圧縮機(20)は、内部に潤滑油が貯留された圧縮機ケーシング(24)と、該圧縮機ケーシング(24)に収容されると共に吸入した冷媒を圧縮して該圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する圧縮機構(21)とを備え、
    上記膨張機(30)は、流入した冷媒を膨張させて動力を発生させる膨張機構(31)と、該膨張機構(31)を収容する膨張機ケーシング(34)とを備える一方、
    上記圧縮機(20)と上記膨張機(30)との間に生じる圧力差によって、上記圧縮機ケーシング(24)内の潤滑油を上記膨張機(30)へ供給する油供給機構(41)と、
    運転開始の際、先に上記圧縮機(20)を起動させ、その後、上記膨張機(30)を起動させる運転制御部(110)とを備え、
    上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させ、その後、所定時間が経過すると、上記圧縮機(20)および上記膨張機(30)を同時に起動させるように構成されている
    ことを特徴とする冷凍装置。
  3. 圧縮機(20)と膨張機(30)が接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)を備えている冷凍装置であって、
    上記圧縮機(20)は、内部に潤滑油が貯留された圧縮機ケーシング(24)と、該圧縮機ケーシング(24)に収容されると共に吸入した冷媒を圧縮して該圧縮機ケーシング(24)内へ吐出する圧縮機構(21)とを備え、
    上記膨張機(30)は、流入した冷媒を膨張させて動力を発生させる膨張機構(31)と、該膨張機構(31)を収容する膨張機ケーシング(34)とを備える一方、
    上記圧縮機(20)と上記膨張機(30)との間に生じる圧力差によって、上記圧縮機ケーシング(24)内の潤滑油を上記膨張機(30)へ供給する油供給機構(41)と、
    運転開始の際、先に上記圧縮機(20)を起動させ、その後、上記膨張機(30)を起動させる運転制御部(110)とを備え、
    上記膨張機(30)は、上記膨張機構(31)と出力軸(32)によって連結され、上記膨張機構(31)における冷媒の膨張により発生した動力によって回生駆動される発電機(33)を備え、
    上記運転制御部(110)は、上記発電機(33)を力行駆動することによって上記膨張機(30)を起動させ、その後、上記発電機(33)を回生駆動するように構成される一方、
    上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させ、その後、上記冷媒回路(11)における高低差圧が略ゼロに減少すると、上記圧縮機(20)および上記膨張機(30)を同時に起動させるように構成されている
    ことを特徴とする冷凍装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項において、
    上記冷媒回路(11)には、開閉弁(45)を有し、上記圧縮機(20)の吐出側の配管と吸入側の配管との間に接続されるバイパス管(44)が設けられる一方、
    上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させると、上記開閉弁(45)を開くように構成されている
    ことを特徴とする冷凍装置。
  5. 請求項1乃至3の何れか1項において、
    上記冷媒回路(11)には、開閉弁(47)を有し、上記膨張機(30)の入口側配管と出口側配管との間に接続されるバイパス管(46)が設けられる一方、
    上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)を該起動から所定時間経過後に停止させると、上記開閉弁(47)を開くように構成されている
    ことを特徴とする冷凍装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項において、
    上記運転制御部(110)は、上記運転開始の際、先に起動させた圧縮機(20)の該起動から上記冷媒回路(11)における高低差圧が増大して所定値以上に一定時間維持されるまでの時間を上記所定時間としている
    ことを特徴とする冷凍装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項において、
    上記油供給機構は、一端が上記圧縮機ケーシング(24)に接続されてその冷凍機油に連通し他端が上記膨張機構(31)に接続される給油用配管(41)により構成されている
    ことを特徴とする冷凍装置。
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