JP5520746B2 - スパッタリングターゲット用銅材料及びその製造方法 - Google Patents

スパッタリングターゲット用銅材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スパッタリングターゲット用銅材料及びその製造方法に関する。
近年、モバイルPC、携帯電話端末等の小型電子機器から大型のテレビまで、種々のサイズにおいてフラットパネルディスプレイが使用されている。フラットパネルディスプレイに分類される液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにおいては、高画質・動画の高速描画への要求を満たすために、画素のドットに薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと記載する)素子を組み込んだものが開発され、現在、主流となっている。
図1に、液晶ディスプレイにおけるTFT素子の構造一例を概略断面図で示した。
TFT素子1において、ガラス基板2の上には、走査線3と、走査線3の一部がTFT素子1のON/OFF制御として機能を有するゲート電極4とがある。更に、窒化シリコンの絶縁膜5が、ゲート電極4を覆うように形成され、絶縁膜5の上には、順次、アモルファスシリコン(以下a−Siと記載)層6、P(リン)をドープしたa−Si層7、及びソース−ドレイン電極8、9が形成される。更に、それらを覆うように、窒化シリコンの保護膜10が形成される。また、画素領域には、保護膜10の上にスズドープ酸化インジウム(以下ITOと記載)膜11が配置される。
従来、走査線、ゲート電極、及びソース−ドレイン電極には、Mo又はCrのような高融点金属や、アルミニウムとその合金等が用いられてきた。しかしながら、液晶ディスプレイの大型化や高画素化に伴い、配線長が増大され、信号遅延、電力損失等による画像表示むら等が顕在化した。そこで、電気抵抗率の低い銅配線膜が着目されるようになった。
TFT素子の配線膜に銅を用いると、ガラス基板上に直接形成した銅配線膜が、Cu/ガラス界面における密着性が悪いために、ガラス基板から剥離することがある。
このように、銅配線膜がガラス基板から剥離する問題を解消するための発明として、特許文献1〜3等に記載された技術が提案されている。
特許文献1には、銅配線膜とガラス基板の間にMo等の高融点金属を介在させ、ガラス基板との密着性に優れるバリア層を形成することで、剥離を抑制している。
特許文献2、3には、銅を合金化したスパッタリングターゲットを用いることで、酸化物を銅配線膜とガラス基板との界面に形成させたり、合金元素を銅配線膜とガラス基板との界面に濃化させる等の手法により、剥離を抑制している。
特許文献2、3に記載されたように銅合金化等の手法も開発されているが、現在、工業的には、特許文献1に記載された発明のように、ガラス基板と密着性のよいMoやTi等を、図1に示したバリア層12として、銅配線膜である走査線3及びゲート電極4の下に形成することで、剥離を改善し、スパッタリングにより純銅の銅配線膜を形成している。
TFT素子のゲート電極の形成工程において要求される重要な特性の一つに、基板面内における配線膜の均一性が挙げられる。配線膜の均一性が低いと、すなわち膜厚の違いや凹凸等の存在により、TFT素子内での電気容量が不均一になるため、得られる液晶ディスプレイの表示に悪影響が与えられる。また、TFT素子の製造工程において、膜厚の違いや粗大なクラスタ(パーティクル、スプラッシュ等)が存在すると、エッチングにて配線電極を作製した際に、断線、短絡等の配線不良を引き起こすことが懸念される。
半導体配線等となる純銅膜をスパッタリング工程にて形成する場合に、均一な配線膜が製膜でき、粗大クラスタの抑制及び断線不良を抑制できるスパッタリングターゲットの発明としては、特許文献4〜8等に記載された技術が提案されている。
特許文献4には、酸素、窒素、炭素、及び水素のガス成分を除いた純度99.9999%以上の銅を基体として、酸素濃度0.1ppm以下で溶解、凝固させて製造することで、不良断線率の少ない超LSI用の配線膜を得ることが可能なスパッタリングターゲットが記載されている。この技術においては、銅材料中の不純物量を低減させることで、断線不良等を低減させる。
特許文献5には、純度99.995%以上の銅において、再結晶組織の平均結晶粒径を80μm以下にし、かつ、ビッカース硬さを100以下にしたスパッタリングターゲットを用いることで、スパッタリング粒子の飛び出しの拡がりと粗大クラスタ発生を抑制することが記載されている。
特許文献6には、ガス成分を除いた純度99.999%以上の銅において、スパッタリング面内における{111}面のX線回折ピーク強度I{111}を高め、平均粒径を250μm以下にして、場所による粒径のばらつきを20%以内にすることで、配線膜の均一性を良好にすることが記載されている。
特許文献7には、表面に{110}面を向いた結晶の体積を80%以上にし、それらの結晶を表面から中心に向かって均一に分布させることにより、銅原子の飛び出しを表面から垂直にさせ、アスペクト比の大きな溝の深奥部まで製膜可能にすることが記載されている。
特許文献8には、99.999%以上の純度の銅において、平均結晶粒径を10〜30μmに制御し、{111}、{200}、{220}、及び{311}の各々の配向を有する粒子の量を50%よりも少なくして、ランダムな配向を有することで、配線膜の均一性及び最小の粒子発生を達成できることが記載されている。
以上のように、成分、平均結晶粒径、歪、及び結晶配向の制御により、スパッタリング粒子の飛び出しを制御し、均一な膜厚で製膜ができ、かつ、粗大クラスタを抑制することが、従来の発明において可能になった。しかしながら、大型テレビ用の液晶ディスプレイ等のように基板サイズの大型化が進行し、第7世代では1870mm×2200mm等のように長辺が2mを超える基板サイズとなった。それに伴い、配線膜を製膜するスパッタリング工程においても大型の基板に製膜する必要が出てきており、上述の特許文献に記載の方法を用いても、製膜される配線膜の膜厚が基板の部位毎に不均一になることや、粗大クラスタの発生がより多くなること等が顕在化している。また、使用するスパッタリングターゲット自身も大型化するため、スパッタリングターゲット用銅材料の部位毎に金属組織が不均一になり易く、膜厚精度及び粗大クラスタ形成に及ぼす影響が大きくなった。
特開平7−66423号公報 特許第4065959号公報 特開2008−166742号公報 特許第3727115号公報 特許第3975414号公報 特許第3403918号公報 特許第3997375号公報 特許第3971171号公報
上述の従来技術に鑑みて、TFT液晶パネル等に使用される大型の基板に対してスパッタリング工程で配線膜を製膜する際に、従来以上に均一に粒子を発生し、かつ、使用中においてもその粒子の発生頻度の変化が起こりにくいスパッタリングターゲット用銅材料及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題に対し詳細に研究することによって、双晶境界及び結晶粒界を最適に制御し、また、製造方法を最適化することにより、均一な配線膜を製膜することが可能なスパッタリングターゲットに好適な銅材料を提供できることを見出した。
本発明は、この知見に基づきなされたものである。
本発明のスパッタリングターゲット用銅材料は、純度が99.99%以上である高純度銅からなり、スパッタリング面において、隣接する結晶の方位差が15°以上である結晶粒界の平均長さLgに対し、隣接する結晶の方位差が60°である双晶境界の平均長さLtの比Lt/Lgが、0.6≧Lt/Lg≧0.2を満たし、スパッタリング面における平均結晶粒径が、50μm以上200μm以下である
さらに、前比Lt/Lgが、0.5≧Lt/Lg≧0.3を満たすことが好ましい。
さらに、スパッタリング面における平均結晶粒径が、100μm以上180μm以下であることが好ましい。
本発明のスパッタリングターゲット用銅材料の製造方法は、純度が99.99%以上である高純度銅を溶解鋳造の後、熱間加工、冷間加工、及び熱処理を行うことにより、前記スパッタリングターゲット用銅材料を製造する方法であり、前記熱間加工において熱間圧延前の加熱温度を700〜1000℃とし、各パスの圧延率を5〜30%とし、最終パスの圧延率を10〜25%とし、該最終パスの後、60秒以内に、冷却速度50℃/秒以上となるように水冷をする。
さらに、熱間圧延前の加熱温度を800〜950℃とすることが好ましい。
また、前記最終パスの後、60秒以内に、冷却速度70℃/秒以上となるように水冷をすることが好ましい。
また、前記冷間加工において、圧延率の総和が30%以下である冷間圧延を行ってもよい。
本発明のスパッタリングターゲット用銅材料により、TFT液晶パネル等に使用される大型の基板に対してスパッタリング工程で配線膜を製膜する際に、従来以上に均一に粒子を発生し、かつ、使用中においてもその粒子の発生頻度の変化が起こりにくくなることから、均一な製膜が可能となる。
図1は、液晶ディスプレイにおけるTFT素子の構造一例を示す概略断面図である。 図2は、結晶粒、結晶粒界、双晶領域、双晶境界(Σ3粒界)を示す模式図である。 図3は、スパッタリング後のスパッタリングターゲット表面を観察した結果を示したSEM写真である。
以下に、結晶粒内に形成される双晶について説明した後、本発明のスパッタリングターゲット用銅材料の[純度]、[比Lt/Lg]、及び[平均結晶粒径]と、本発明のスパッタリングターゲット用銅材料の[製造方法]について、それぞれ詳細に説明する。
本発明のスパッタリングターゲット用銅材料は、純度が99.99%以上である高純度銅(以下、単に「純銅」という)からなり、スパッタリング面におけるミクロ組織の結晶粒界の平均長さに対して、双晶境界の平均長さの比を特定の範囲とする。
純銅は、再結晶の進行に伴い結晶粒内に双晶を形成する。双晶とは、隣接する結晶格子が、ある境界(双晶境界)に対して鏡映対称に構造をとった対の結晶であり、形成された双晶領域は、元の結晶とは結晶の方位が異なる。純銅の面心立方格子において双晶境界を挟んだ結晶粒の方位差は60°であり、FCC(face−centered cubic:面心立方格子構造)における双晶境界は、Σ3粒界と呼ばれる対応粒界として表現される。一方で、一般に結晶粒界は、隣接する2つの結晶の方位差が15°以上の境界と表現される。Σ3粒界は、隣接する2つの結晶の方位差が大きい結晶粒界とも捉えられるが、Σ3粒界を挟んだ双方の結晶の格子は、基本的には整合性を保って接しており、隣接する結晶格子間で整合性を持たない界面である結晶粒界とは異なる。図2に、結晶粒13、結晶粒界14、双晶領域15、双晶境界(Σ3粒界)16を模式図で示す。
スパッタリング特性に結晶方位が影響を及ぼすことは、これまで、特許文献6等でも記載されている。しかしながら、上述のように双晶領域は結晶方位のずれが大きく、双晶境界の有無によりスパッタリング特性に影響を受ける。また、双晶境界は、上述のように結晶粒界と異なり整合性を有するため、結晶粒界とは異なる特性を示すことが期待される。
本発明者らは、鋭意研究の結果、スパッタリング面におけるミクロ組織の結晶粒界の平均長さと双晶境界の平均長さとの比を特定の範囲に抑えることにより、スパッタリング特性を向上させ良好な薄膜を得られることを見出した。
[純度]
スパッタリングターゲット用の銅材料としては、99.99%以上の純度(質量ベース)を有することが必要である。純銅の鋳塊を製造する際の原料である電気銅にはある程度の不純物が含有されており、純銅の鋳塊にもそれらが現れる。不純物は、特に、B、Al、Si、P、As、Sb、及びBiの含有量を各々5ppm以下に抑制することが望ましい。これらの元素は、Si半導体のドーパントとして利用される元素であり、半導体特性に悪影響を及ぼす可能性があるためである。より好ましい純度は、99.995%以上である。
[比Lt/Lg]
スパッタリングターゲット用の銅材料は、組織の均一さが求められるため、鋳造凝固による不均一な組織を熱間加工により破壊して再結晶組織を有することが望ましい。
本明細書において、スパッタリング面における双晶境界及び結晶粒界の評価には、EBSD法を用いる。EBSD法とは、Electron BackScatter Diffractionの略で、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折を利用した結晶方位解析技術のことである。2mm2の試料面積に対して、1結晶粒当たり5点以上の方位測定が可能なようにスキャンステップを調整し測定を行う。各結晶粒の方位差を計算し、隣接する結晶の方位差が60°である双晶境界の平均長さLt、及び、隣接する結晶の方位差が15°以上である結晶粒界の平均長さLgを測定する。
本発明のスパッタリングターゲット用銅材料では、隣接する結晶の方位差が15°以上である結晶粒界の平均長さLgに対し、隣接する結晶の方位差が60°である双晶境界の平均長さLtの比Lt/Lgが、0.6≧Lt/Lg≧0.2を満たす。比Lt/Lgが0.6を超える場合には、双晶領域が多くなり、スパッタリング粒子が飛び出す向きが大きく変化しやすく均一な膜厚が得られない。また、比Lt/Lgが0.2より小さい場合には、スプラッシュの発生等が多くなりスパッタリング特性に悪影響を及ぼす。
さらに、前比Lt/Lgが、0.5≧Lt/Lg≧0.3を満たすことが好ましい。比Lt/Lgをこの範囲にて制御することにより、より均一な膜が得やすい効果がある。また、スパッタリング後のスパッタリングターゲット表面を観察した結果、図3のSEM写真に示すように、双晶境界を境に粒子の飛び出す向きが異なる為に、スパッタリング後の表面凹凸が異なることが認められた。
[平均結晶粒径]
再結晶組織の平均結晶粒径が小さい場合は、結晶粒界の総長さが長くなる。結晶粒界は、原子配列が乱れている部分であり、スパッタリング時の元素の飛び易さが粒内とは異なり、形成する膜が不均一になり易い。また、平均結晶粒径が大きい場合は、ターゲット物質を飛び立たせるために高いエネルギーが必要であり、ターゲット原子が多く固まって飛び出して粗大クラスタの形成が増え、形成する膜が不均一になり易い。本発明において平均結晶粒径は50〜200μmであり、好ましくは100〜180μmである。
すなわち、平均結晶粒径を50μm以上とすることにより、形成する膜が均一になり、さらに100μm以上とすることにより、膜の均一性も良く、前比Lg/Ltの制御も良好となって好ましい。また、200μm以下とすることにより、粗大クラスタの形成を抑制することができ、さらに180μ以下とすることにより、より粗大クラスタ形成を抑制できる。
[製造方法]
本発明のスパッタリングターゲット用銅材料の製造方法は、特に限定されるものではないが、スパッタリング面及び内部において結晶粒界の平均長さ、双晶境界の平均長さ、及び平均結晶粒径を制御するためには、製造プロセスにおいて次に示すような点に留意することが好ましい。すなわち、本発明のスパッタリングターゲット用銅材料の好ましい製造方法では、溶解鋳造の後、熱間加工、冷間加工、及び熱処理を行う。また、熱間加工と冷間加工の間に面削の工程を含んでも良い。また、冷間加工と熱処理を繰り返してもよい。本明細書において、熱間加工は、熱間圧延、熱間押出等であり、溶解鋳造プロセスで得られた鋳塊を高温にて加工するプロセスを指す。
従って、熱間加工、冷間加工、及び熱処理の各プロセスにおいて、以下に示すことに留意して製造することにより、前述の金属組織の規定を満たす本発明のスパッタリングターゲット用銅材料が作製可能になる。さらに、得られた複数の短冊状のスパッタリングターゲット用銅材料を、大型のディスプレイ用として組み合わせて使用することにより、スパッタリング膜を均一に形成し易くなるという効果が得られる。
(熱間加工)
熱間加工では、加工中に動的再結晶が生じ、形成した再結晶粒は温度がまだ高温である間は粒成長する。スパッタリングターゲットとして使用する銅材料においては、結晶粒と双晶の関係はほぼ熱間圧延で決定するために、この工程を制御することが必要である。
従来の熱間加工プロセスでは、動的再結晶が起こった後、大気中に曝される時間が長く、平均結晶粒径を所望の大きさに制御することが難しかった。また、スパッタリングターゲット用銅材料の端部は大気中の冷却が大きいために、幅方向端部及び長手方向端部と、中央部とにおいて、平均結晶粒径が不均一になってしまうことがあった。熱間加工を熱間圧延プロセスで行う場合には、熱間加工をした直後に、冷却速度50℃/秒以上となるように水冷をすることで、結晶粒を所望の大きさに制御することができる。
熱間圧延前の加熱温度は700〜1000℃の範囲で行うことが望ましい。加熱温度が700℃より低い場合は、熱間加工中に動的再結晶が十分に生じず均一な金属組織が得られない。1000℃より高い場合には、平均結晶粒径の制御が困難になる。熱間圧延中には、搬送ロール及びサイドエッジロールからの抜熱により端部等が局所的に冷却されることを避けるために、停滞させないことが必要である。端部からの冷却を避けることにより全面にわたり均一な組織が得られ、内部の平均結晶粒径及び硬さのバラつきを小さくすることができる。熱間圧延は、複数回のパスを行うが、最終のパス後には水冷にて冷却することが望ましい。平均結晶粒径を前述の50〜200μmとするには、最終パス直後から水冷を行うまでの時間を60秒以内にして、水冷の冷却速度を50℃/秒以上にすることが望ましく、さらに好ましくは70℃/秒以上にすることである。
さらに、熱間圧延前の加熱温度を800〜950℃とすることが好ましい。この範囲で実施することにより、動的再結晶粒の制御が容易となり、均一な結晶粒を得ることができる。
スパッタリング面において、隣接する結晶の方位差が15°以上である結晶粒界の平均長さLgに対し、隣接する結晶の方位差が60°である双晶境界の平均長さLtの比Lt/Lgを所定の範囲に制御するためには、熱間加工の各パスの圧延率を制御することが必要である。熱間加工の各パスの圧延率を5〜30%に制御し、かつ、最終パスの圧延率を10〜25%に制御することにより、比Lt/Lgを所定の範囲内にすることが可能となる。
(冷間加工)
熱間加工後は、冷間圧延及び焼鈍を行って調質をしてもよい。冷間加工の圧延率の総和は30%以下にすることが望ましい。下限は0%であり、0%は圧延しないことを意味する。冷間加工の圧延率の総和が30%を超えると、内部の歪量が多くなり、スプラッシュ等を発生し易くなりスパッタリング特性を低下させる。
以下に、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す純度(mass%)で、板厚150mm、幅220mm、長さ2100mmのサイズの鋳塊を作製した。得られた鋳塊を、920℃にて加熱した後、熱間圧延を行い、厚さ23mm、幅220mm、長さ約13mとした。熱間圧延においては、各パスの圧延率を5〜30%にし、かつ、最終パスの圧延率を20%として複数回のパスを行うことにより前述の厚さとなるように、パス回数と搬送ロールの搬送速度を変化させた。
熱間圧延の最終パス直後から30秒の後、シャワーが搭載された水冷ゾーンを通過させ、冷却速度を75℃/秒として水冷を行った。その後、表面の酸化膜を面削して厚さを22mmにした後、冷間圧延で厚さ20mm×幅220mmとし、さらにエッジ部分を切断除去することで厚さ20mm×幅200mm×長さ約12mの平板状に、本実施例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(実施例2)
熱間圧延前の加熱温度を870℃にしたことと、最終パスの圧延率を30%としたことと、熱間圧延の最終パス直後から20秒の後、冷却速度を80℃/秒として水冷を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(実施例3)
純度を表1に示した値としたことと、熱間圧延前の加熱温度を800℃にしたことと、熱間圧延の最終パス直後から30秒の後、冷却速度を100℃/秒として水冷を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(実施例4)
純度を表1に示した値としたことと、熱間圧延前の加熱温度を900℃にしたことと、熱間圧延において、各パスの圧延率を5〜15%としたことと、最終パスの圧延率を15%としたことと、熱間圧延の最終パス直後から50秒の後、冷却速度を60℃/秒として水冷を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(実施例5)
純度を表1に示した値としたことと、熱間圧延前の加熱温度を890℃にしたことと、熱間圧延において、各パスの圧延率を5〜20%としたことと、熱間圧延の最終パス直後から40秒の後、冷却速度を60℃/秒として水冷を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(実施例6)
純度を表1に示した値としたことと、熱間圧延前の加熱温度を720℃にしたことと、熱間圧延の最終パス直後から20秒の後、冷却速度を85℃/秒として水冷を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(実施例7)
熱間圧延前の加熱温度を950℃にしたことと、熱間圧延の最終パス直後から30秒の後、冷却速度を55℃/秒として水冷を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(比較例1)
純度を表1に示した値としたこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(比較例2)
純度を表1に示した値としたことと、熱間圧延における最終パスの圧延率を35%にしたこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(比較例3)
熱間圧延における最終パスの圧延率を7%にしたことと、冷却速度を40℃/秒としたこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(比較例4)
水冷を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(比較例5)
熱間圧延において、圧延率が30%を超え40%のパスを含めることにより各パスの圧延率を5〜40%としたことと、最終パスの圧延率を15%としたこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
(比較例6)
熱間圧延前の加熱温度を600℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、本比較例のスパッタリングターゲット用銅材料を作製した。
以上のようにして得られた実施例及び比較例のスパッタリングターゲット用銅材料について、EBSD測定と、平均結晶粒径及びスパッタリング特性を、下記方法により測定した。
[1]EBSD測定
得られたスパッタリングターゲット用銅材料の表面を研磨後、2mmの試料面積に対して、1結晶粒当たり5点以上の方位測定が可能なようにスキャンステップを調整してEBSD測定を行った。各結晶粒の方位差を計算し、隣接する結晶の方位差が60°である双晶境界の平均長さLt、及び隣接する結晶の方位差が15°以上である結晶粒界の平均長さLgを測定した。3視野の測定を行い、それぞれの平均値から比Lt/Lgを算出した。
[2]平均結晶粒径の測定
得られたスパッタリングターゲット用銅材料の表面にて、光学顕微鏡を使用してミクロ組織観察を行い、JIS H 0501(切断法)に基づき測定した。
[3]スパッタリング特性
得られたスパッタリングターゲット用銅材料から、直径15.24cm(φ6インチ)、厚さ6mmに切り出し、研磨を行ってスパッタリングターゲットを作製した。スパッタリング面の粗さの影響を除外するため、粗さは全て最大粗さRaを0.5μm〜0.8μmに研磨して揃えた。
得られたスパッタリングターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリング装置を使用して、膜厚0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、OA−10)にスパッタリングを実施し、膜厚0.3μmの銅配線膜を製膜した。スパッタリング条件は、Arガス圧力を0.4Pa、放電電力を300Wとした。その後、真空中にて300℃、30minの熱処理を行った。熱処理後の銅配線膜の膜厚を10点測定した。同じスパッタリングターゲット用銅材料から切り出したターゲット材9枚で得られた総データ90点において、最大膜厚及び最小膜厚のレンジが±7%になった場合を「良」とし、±7%よりも大きなバラつきが存在した場合を「不良」とした。
実施例1〜7及び比較例1〜6について、上記[1]〜[3]の結果を表1に示す。
実施例1〜7は、いずれにおいても良好なスパッタリング特性を呈している。
これらに対して、比較例1では不純物量が多く、比較例2、3では比Lt/Lgの値が規定値より外れ、比較例4、5では平均結晶粒径が規定値から外れ、また、比較例6では未再結晶粒が混在する組織となったため、それぞれスパッタリング特性が不良となった。
1 TFT素子
2 ガラス基板
3 走査線
4 ゲート電極
5 絶縁膜
6 アモルファスシリコン(a−Si)層
7 リン(P)をドープしたアモルファスシリコン(a−Si)層
8、9 ソース−ドレイン電極
10 窒化シリコンの保護膜
11 スズドープ酸化インジウム(ITO)膜
12 バリア層
13 結晶粒
14 結晶粒界
15 双晶領域
16 双晶境界(Σ3粒界)

Claims (7)

  1. 純度が99.99%以上である高純度銅からなり、
    スパッタリング面において、隣接する結晶の方位差が15°以上である結晶粒界の平均長さLgに対し、隣接する結晶の方位差が60°である双晶境界の平均長さLtの比Lt/Lgが、0.6≧Lt/Lg≧0.2を満たし、
    スパッタリング面における平均結晶粒径が、50μm以上200μm以下であるスパッタリングターゲット用銅材料。
  2. 比Lt/Lgが、0.5≧Lt/Lg≧0.3を満たす請求項1に記載のスパッタリングターゲット用銅材料。
  3. スパッタリング面における平均結晶粒径が、100μm以上180μm以下である請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット用銅材料。
  4. 純度が99.99%以上である高純度銅を溶解鋳造の後、熱間加工、冷間加工、及び熱処理を行うことにより、請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット用銅材料を製造する方法であり、
    前記熱間加工において熱間圧延前の加熱温度を700〜1000℃とし、各パスの圧延率を5〜30%とし、最終パスの圧延率を10〜25%とし、該最終パスの後、60秒以内に、冷却速度50℃/秒以上となるように水冷をするスパッタリングターゲット用銅材料の製造方法。
  5. 熱間圧延前の加熱温度を800〜950℃とする請求項に記載のスパッタリングターゲット用銅材料の製造方法。
  6. 前記最終パスの後、60秒以内に、冷却速度70℃/秒以上となるように水冷をする請求項又はに記載のスパッタリングターゲット用銅材料の製造方法。
  7. 前記冷間加工において、圧延率の総和が30%以下である冷間圧延を行う請求項4から6のいずれか1項に記載のスパッタリングターゲット用銅材料の製造方法。
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