JP5520659B2 - 出入管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、利用者の建物への入退館や建物内での入退室などを管理する出入管理システムに関し、特に利用者どうしが互いに利用者資格を持っているか否かを確認できる出入管理システムに関する。
従来、出入管理システムは、出入口付近に設置され、利用者資格を認証する認証装置と、認証装置の認証結果に応じて扉の施解錠を制御する出入制御装置にて構成され、利用者の建物内での入退室等の出入を管理していた。近年では、更に、利用者がそれぞれ携行するIDカードに、利用者が所在する室における利用者資格の有無を表示できる機能を備えさせ、利用者がお互いにIDカードの表示を見て他の利用者の資格の有無を確認しあう衆人監視機能付きの出入管理システムが提案されている。
例えば、特許文献1には、認証装置にて利用者が、入室資格を有する者であると認証登録されたことを条件に、IDカードに利用者の顔写真を表示させる出入管理システムが提案されている。このIDカードに表示された顔写真と、IDカードの携行者の顔を他の利用者が目視して、IDカードの利用者の正当性を相互に確認する出入管理システムである。
かかる従来の出入管理システムは、入室資格を有する利用者か否かを、IDカードを携行しているか否か、および、IDカード上に表示された顔画像を確認できるか否かにより、利用者が相互に確認できるようになっている。なお、IDカードによる本人認証を行わずに入室した利用者は、いわゆる「共連れ入室」「すれ違い入室」の場合に生じる。具体的には、正規のIDカード等を携行した利用者が出入口扉を通過する際に、共に連れ立って資格認証を済ませていない人物が当該出入口から入室または退室することにより生じる。このような、資格確認していない人物の入退室のことを、正規の利用者と共に入室する場合「共連れ入室」、正規の利用者が退室する際に、入室する場合を「すれ違い入室」と称している。
特開2009−99052号公報
しかしながら、従来の出入管理システムにおけるIDカードは、室の外側では顔写真が表示されていないのが通常であるため、共連れ入室等の際に、共に入室する正規の利用者は、IDカードに顔写真が表示されなくとも不正利用者との認識を持つことができない。したがって、従来の出入管理システムでは、共連れ入室を入室後には確認できるが、入室の際には確認することができなかった。
ところで、入室資格を持たない人物が共連れ入室等により室内への侵入を試みる場合、入室資格がないIDカードを持って出入口付近にて正規の利用者が通過するのを待ち構えることになる。
本発明は、出入口付近の所定領域において長時間滞留しているIDカード等の表示を変更し、周囲の利用者に対して共連れ入室等を狙う人物である疑いがある旨を警戒させることにより、共連れ入室等の不正入室行為自体の発生を事前に検知できることを目的としたものである。
かかる課題を解決するために、利用者に装着されて出入口での前記利用者の現状態を表示可能な表示装置と、前記出入口近傍の所定領域の前記表示装置の存在を検出可能な所在検出装置と、前記表示装置の表示を制御する利用者管理装置とから構成され、前記表示装置の表示を利用者が相互に確認する衆人監視機能付きの出入管理システムであって、前記利用者管理装置は、前記利用者の現状態が保存されている記憶部と、利用者が出入資格を有するか否かを認証する認証手段と、前記所在検出装置からの検出信号に基づいて前記表示装置が出入口近傍に滞留している時間を計測する計時手段と、前記計時手段が所定時間を越えると滞留警告状態、前記認証手段にて前記利用者を認証できれば許可状態、前記認証手段にて認証できなければ不許可状態と判定し、前記記憶部における当該利用者の現状態を更新する判定手段と、前記記憶部の利用者の現状態を非接触通信により前記表示装置に表示させる表示制御手段とを有し、前記表示装置は、滞留警告状態、許可状態、不許可状態を区別して表示可能な表示部を有する、ことを特徴とした出入管理システムを提供する。
上記構成により、共連れ等を狙って、室入口の扉前で、認証されずに所定時間滞留している利用者のIDカード等を警告表示とすることができる。
また、上記出入管理システムにおいて、前記利用者管理装置の前記判定手段は、前記所在検出装置にて前記表示装置が前記所定領域から出た旨の検出信号を受信すると、前記記憶部に滞留警告状態を解除し、前記表示装置は、前記所定領域から出たことを検出すると前記表示部の滞留警告表示を解除する。
上記判定手段および表示装置により、警告表示となったIDカード等を装着した利用者は、扉前の所定領域から出ることにより、当該警告表示を解除することができる。これにより、誤って扉前の所定領域に所定時間以上滞留してしまった利用者は、管理者等による解除操作に頼らずとも、自ら解除操作を行えるため、本出入管理システムを運用する際の管理負荷を低減することができる。
更に、上記出入管理システムにおいて、前記利用者管理装置の前記判定手段は、前記認証手段にて前記利用者を認証でき、かつ前記所在検出装置にて前記表示装置が前記所定領域から出た旨の検出信号を受信すると前記記憶部の滞留警告状態を解除し、前記表示装置は、表示部の現状態が許可状態であり、かつ前記所定領域から出たことを検出すると前記表示部の滞留警告表示を解除する。
上記判定手段および表示装置により、警告表示となったIDカード等を装着した利用者は、認証手段により認証され、扉前の所定領域から出ることにより、当該警告表示を解除することができる。これにより、例えば、誤って扉前の所定領域に所定時間以上滞留してしまった入室資格を有する利用者は、管理者等による解除操作に頼らずとも、自ら解除操作を行えるため、本出入管理システムを運用する際の管理負荷を低減することができる。その一方で、入室資格を有さない利用者は、自ら解除操作を行えないため、管理者等による解除操作が必要とされる。したがって、上記表示制御手段により、金庫室などのようにセキュリティレベルが高い室の扉前における入室資格を有さない利用者の滞留行為を厳格に取り締まることができる。
また、上記出入管理システムにおいて、前記判定手段は、前記認証手段にて前記利用者を認証できると、前記記憶部の滞留警告状態を解除する。
上記判定手段により、警告表示となったIDカード等を装着した利用者は、認証手段により認証されることで、当該警告表示を解除することができる。これにより、例えば、扉前の所定領域において作業等をしなければならないような入室資格を有する利用者は、当該所定領域の外へ移動せずとも解除操作ができるため、作業効率の低下を抑制できる。
上記のように、本発明の出入管理システムは、扉前の所定領域において長時間滞留する者の装着するIDカード等の表示を変更し、周囲の利用者に対して共連れ等を狙う不正利用者である疑いがある旨を警戒させることにより、共連れ等の不正入室行為自体の発生を事前に検知できる。
実施例に係る出入管理システムの構成と運用イメージを模式的に示した図 出入制御装置の構成を示すブロック図 IDカードホルダの構成を示すブロック図 管理装置の構成を示すブロック図 ホルダ状態テーブルを示す図 監視領域テーブルを示す図 出入制御装置における処理を示すフローチャート 管理装置における処理を示すフローチャート 通常状態のIDカードホルダにおける処理を示すフローチャート 滞留警告状態のIDカードホルダにおける処理を示すフローチャート
以下、本発明の一実施形態として、複数の室を有する建物に本発明に係る出入管理システムを適用した場合の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る出入管理システムの構成と運用イメージを模式的に示した図である。図1において、建物は、各室の利用者が共通に利用する共用通路、特定の利用者に制限された室A、室Bに区画されている。室Aおよび室Bと共用通路の間には、それぞれ電気錠付き扉D1、D2が設けられており、共用通路から室A又は室Bへの入室を制限している。電気錠付き扉D1、D2は、利用者が携行するIDカード3からの情報をカードリーダCR1、CR2にて読み込んだ信号に基づいて、資格を有する利用者と認証できた場合にのみ電気錠を解錠するように、出入制御装置M1、M2により制御される。なお、電気錠付き扉D1、D2は、通常時は施錠状態に維持されている。IDカード3は、無表示、入室許可状態、入室不許可状態、滞留警告状態の3種類の表示が可能な表示部34を有するIDカードホルダ30に収納されている。なお、IDカードホルダ30は、複数の状態を同時に表示できる。
管理装置1は、例えば警備室や管理室などに設置され、通信網2を介して出入制御装置M1、M2および送受信装置R1、R2と接続されており、送受信装置R1、R2を介して無線通信により、IDカードホルダ30に対して表示部34の表示制御を行う。なお、送受信装置R1、R2は、出入口近傍の領域であるC1、C2のみをIDカードホルダ30との無線通信可能領域としている。
次に、出入管理システムの概略動作を説明する。図1において、利用者Xは、室Aへの入室資格を有する者である。利用者Yは、室Aへの入室資格を有しているが、室Bへの入室資格を有しない者である。そして、利用者Zは、携行するIDカード3での入室資格の認証を行わずに電気錠付き扉D1の近傍に所在している者である。
利用者Xが、共用通路から室Aに入室する場合について説明する。前提として、共用通路内に所在する利用者に特段の制限をしていないので、利用者IDカードホルダ30の表示部34は基本的に無表示の状態である。このため、室Aへの入室前の利用者Xが所持しているIDカードホルダ30の表示部34は無表示状態である。先ず、利用者Xが携行するIDカードホルダ30は、IDカードホルダ30ごとに付与されている自己のホルダIDを監視領域C1の内側に入ると、送受信装置R1へ送信する。ホルダIDを受信した送受信装置R1は、当該ホルダIDを通信網2経由で管理装置1に送信する。
ホルダIDを受信した管理装置1は、利用者XのIDカードホルダ30が監視領域C1の内側に入ったことを検出し、監視領域C1に継続して所在している時間である滞留時間の計時を開始する。ここで、利用者Xは、室Aへの入室のためのIDカード3をカードリーダCR1にかざすため、管理装置1は、当該滞留時間が予め設定された監視領域C1における滞留制限時間を超えることがない。
利用者Xは、電気錠付き扉D1を解錠させるため、所持しているIDカード3を共用通路内の外部壁面に設けられているカードリーダCR1にかざして、IDカード3の入室資格の認証を要求する。IDカード3から認証要求されたカードリーダCR1は、接続されている出入制御装置M1に対し、利用者Xの所持するIDカード3から読取った識別コードを送信する。出入制御装置M1は、受信した識別コードが予め入室許可されている識別コードか否かを照合する。すなわち、予め記憶している入室許可を受けている識別コードと、カードリーダCR1から受信した識別コードとを照合し、合致していると入室資格があると認証する。ここでは、利用者Xは、室Aへの入室資格を有するので、接続されている電気錠付き扉D1に対して解錠信号を送信する。出入制御装置M1は、電気錠付き扉D1の解錠制御をするとともに、入室許可者である旨の認証結果を通信網2から管理装置1へ送信する。
電気錠付き扉D1は出入制御装置M1から解錠信号を受けた場合に所定時間だけ電気錠を解錠する。
管理装置1は、出入制御装置M1から認証結果を受けると、IDカード3の識別コードに対応するIDカードホルダ30に対して、入室許可の表示命令を送受信装置R1経由で送信し、IDカードホルダ30の表示部34に入室許可状態を一定時間だけ表示させる。なお、IDカード3の識別コードとIDカードホルダ30のホルダIDとの対応関係は、後述するように管理装置1に予め記憶されている。
このようにして、利用者Xが、室Aに入室するときは、入室許可者であると認証され、電気錠が一定時間のみ解錠される。また、この際、利用者XのIDカードホルダ30は、入室許可状態を表すランプが点灯する。これにより、利用者Xは、室Aへの入室許可者であることを周囲の利用者に明示することができると共に、利用者X自身も室Aへ入室する権限を有していることを認識することができる。
次に、室Bへの入室資格を有さない利用者Yが、室Bに入室を試みた場合の動作について説明する。
先ず、利用者Yが携行するIDカードホルダ30は、IDカードホルダ30ごとに付与されている自己のホルダIDを監視領域C2の内側に入ると、送受信装置R2へ送信する。ホルダIDを受信した送受信装置R2は、当該ホルダIDを通信網2経由で管理装置1に送信する。
ホルダIDを受信した管理装置1は、利用者YのIDカードホルダ30が監視領域C2の内側に入ったことを検出し、監視領域C2に継続して所在している時間である滞留時間の計時を開始する。ここでは、利用者Yは、室Bへの入室のためのIDカード3をカードリーダCR2にかざし、当該滞留時間が予め設定された監視領域C2における滞留制限時間を超える前に監視領域C2から出るので、滞留検知とはならない。
利用者Yは、自らが所持するIDカード3をカードリーダCR2にかざして、IDカード3の入室資格の認証を要求する。カードリーダCR2は、利用者Yの所持するIDカード3に記憶された識別コードを読み取り、出入制御装置M2へ送信する。出入制御装置M2は、カードリーダCR2にて読み取った利用者Yの識別コードを照合し、利用者Yが室Bへの入室資格を有しないため、電気錠は解錠されず、管理装置1に当該認証結果を通信網2経由で送信する。
管理装置1は、出入制御装置M2から、利用者Yが室Bへの入室不許可者である旨の認証結果を受けると、利用者YのIDカード3の識別コードに対応するIDカードホルダ30に対して、入室不許可の表示命令を送受信装置R2経由で送信し、利用者YのIDカードホルダ30の表示部34に入室不許可状態を一定時間だけ表示させる。
これにより、利用者Yが室Bへの入室許可を受けていない者であることを周囲の利用者に明示することができると共に、利用者Y自身も室Bへ入室する権限を有していないことを認識することができる。
次に、利用者Zが、共用通路側の出入口近傍の所定領域である電気錠付き扉D1前の監視領域C1にて、所定時間以上の間、滞留した場合の動作について説明する。
利用者Zが携行するIDカードホルダ30は、IDカードホルダ30ごとに付与されている自己のホルダIDを監視領域C1の内側に入ると、送受信装置R1へ送信する。ホルダIDを受信した送受信装置R1は、当該ホルダIDを通信網2経由で管理装置1に送信する。
ホルダIDを受信した管理装置1は、利用者ZのIDカードホルダ30が監視領域C1の内側に入ったことを検出し、監視領域C1に継続して所在している時間である滞留時間の計時を開始する。ここでは、利用者Zは、室Aへの入室のためのIDカード3をカードリーダCR1にかざさない。このため、管理装置1は、当該滞留時間が予め設定された監視領域C1における滞留制限時間を超え、利用者ZのIDカードホルダ30に対して、通信網2および送受信装置R1経由で滞留警告状態の表示命令を送信する。
利用者ZのIDカードホルダ30は、管理装置1から滞留警告状態の表示命令を受信すると、表示部34に滞留警告状態を表示する。これにより、利用者Zが監視領域C1内で長時間滞留していることを周囲の利用者に対して明示できる。したがって、周囲の利用者は、利用者Zが共連れ等を行う恐れのある者でことについて気付き、共連れ等がされる前に警戒することができる。
次に、利用者ZのIDカードホルダ30の表示部34が滞留警告状態となった後、利用者Zが監視領域C1の外側に移動した場合の動作の概略について説明する。
利用者Zは、監視領域C1に長時間滞留したことにより、自らのIDカードホルダ30の表示部34が滞留警告状態の表示になったことに気づき、監視領域C1の外側に移動したとする。利用者ZのIDカードホルダ30は、送受信装置R1との通信が不能であると検出すると、監視領域C1の外側に出たと判定し、滞留警告状態を示している表示部34を消灯させる。
このように、利用者Zは、誤って監視領域C1の内側に長時間滞留してしまった場合、監視領域C1の外側に出ることにより、自ら滞留警告状態を解除するための行動が可能となる。IDカードホルダ30の滞留警告状態を解除するのに、管理者等による解除操作を必要としないため、本出入管理システムを運用する際の管理負荷を低減することができる。また、たとえ利用者Zが共連れ等を狙った不正利用者であったとしても、監視領域C1の外側に移動させて出入口から遠ざけることによって、共連れ等を実施しにくくさせることができる。そのため、不正利用者が自ら滞留警告状態を解除できたとしても、それによるセキュリティレベルの低下を懸念が少なくなる。
また、利用者Zが、室Aへの入室許可者であると認証されてから監視領域C1の外側に移動した場合のみ、滞留警告状態を解除できるといった動作を行ってもでもよい。すなわち、入室資格を有する利用者については、自ら解除操作を行える一方で、入室資格を有さない利用者については管理者による解除操作が必要とされる。これにより、上記のように入室資格を有するか否かに関わらず解除操作ができる動作に比較して、より安全性を高めることができる。したがって、金庫室などのようにセキュリティレベルが高い室の扉前における入室資格を有さない利用者の滞留行為を厳格に取り締まるなどの用途に利用できる。
次に、利用者ZのIDカードホルダ30の表示部34が滞留警告状態となった後、利用者Zが室Aへの入室許可者であると認証された場合の動作について説明する。
管理装置1は、上記のように出入制御装置M1から、利用者Zが室Aへの入室許可者である旨の認証結果を受けた場合、利用者ZのIDカードホルダ30に対して、警告解除の表示命令を送信する。利用者ZのIDカードホルダ30は、送受信装置R1を介して、管理装置1から警告解除の表示命令を受信した場合、滞留警告状態を示すランプを消灯させる。
このように、利用者Zは、誤って監視領域C1の内側に長時間滞留してしまった場合、カード操作を行い認証されることにより、自ら滞留警告状態を解除するための操作を行うことができる。したがって、例えば、扉前の監視領域C1内において作業等をしなければならないような入室資格を有する利用者は、当該所定領域の外へ移動せずとも警告表示を解除できるため、利用者の利便性率の低下を抑制できる。
次に、本実施例の出入管理システムにおける各構成要素について、図2〜図6を参照して詳細に説明する。
以下の説明では、電気錠付き扉D1、D2を総称するときは電気錠付き扉Dといい、カードリーダCR1、CR2を総称するときはカードリーダCRといい、出入制御装置M1、M2を総称するときは、出入制御装置Mといい、送受信装置R1、R2を総称するときは送受信装置Rという。
なお、図1の構成では、電気錠付き扉Dごとに出入制御装置Mが設けられている。しかし、1つの出入制御装置Mが、複数の電気錠付き扉Dを集中管理するように構成されてもよい。
図4は、管理装置1の構成を示している。管理装置1は、コンピュータ機能を有しており、MPU等で構成される制御部40と、管理情報、処理プログラム、各種パラメータ、データ等を記憶する記憶部41と、通信網2に接続され各出入制御装置Mや送受信装置Rと通信を行うLAN通信I/F42とを備えている。
記憶部41には、管理情報として、ホルダ状態テーブル46、監視領域テーブル47が記憶されている。
ホルダ状態テーブル46は、図5に示されるように、各IDカードホルダ30を個別に識別できるホルダIDと、各IDカードホルダ30が貸与された利用者の識別コードと、各IDカードホルダ30のホルダ状態と、各IDカードホルダ30が検知された監視領域の識別名と、IDカードホルダが検知された監視領域内での滞在時間を計数しているタイマ値とを対応づけるテーブルである。各IDカードホルダ30と利用者の識別コードとの対応については、IDカードホルダ30を利用者に貸与する際に管理者によって登録される。
ホルダ状態は、「通常状態」「入室許可状態」「入室不許可状態」「滞留警告状態」がある。「通常状態」は、正常に入室した利用者の所持するIDカードホルダ30に対して付与される状態である。「入室許可状態」は、カード操作により認証OKと判定され、入室が許可された利用者の所持するIDカードホルダ30に対して付与される状態であり、一定時間経過すると通常状態に戻る。「入室不許可状態」は、カード操作により認証NGと判定され、入室が許可されない利用者の所持するIDカードホルダ30に対して付与される状態であり、一定時間経過すると通常状態に戻る。「滞留警告状態」は、各監視領域Cで定められている滞留制限時間以上の間、継続して当該監視領域Cに留まっていた利用者の所持するIDカードホルダ30に対して付与される状態である。
なお、ホルダ状態テーブル46のホルダ状態フィールドへは、複数のホルダ状態を登録することができる。例えば、図5に示すように、ホルダIDが“H004”のIDカードホルダ30のホルダ状態は、「滞留警告状態」と「入室許可状態」の2つの状態が登録されている。
監視領域テーブル47は、図6に示されるように、各送受信装置Rのアドレスコードと、各送受信装置Rの監視する監視領域Cの識別名と、各監視領域Cにおける滞留制限時間と、各監視領域の手前の電気錠付き扉Dを解錠するためのカードリーダCRのアドレスコードとを対応づけるテーブルである。滞留制限時間は、監視領域Cに隣接する管理エリアの重要度等によって定められ、管理者によって予め登録される。
制御部40は、出入制御装置Mおよび送受信装置Rからの情報から記憶部41のホルダ状態テーブル46および監視領域テーブル47を更新する判定手段43と、IDカードホルダ30に対して送受信装置R経由でホルダ状態の表示制御をする表示制御手段44と、IDカードホルダ30が監視領域C内に継続して所在している時間である滞留時間を計時する計時手段48とを有している。
判定手段43は、LAN通信I/F42経由で出入制御装置Mから受信する認証結果に基づいて、利用者が入室許可を受けているか否かを判定し、ホルダ状態テーブル46のホルダ状態を更新する。すなわち、出入制御装置Mから受信した認証結果が認証OKとなった利用者の識別コードであれば、ホルダ状態テーブル46の該当する利用者識別コードに対応するホルダ状態を入室許可状態に更新する。他方、出入制御装置Mから受信した認証結果が認証NGとなった利用者の識別コードであれば、ホルダ状態テーブル46の該当する利用者識別コードに対応するホルダ状態を入室不許可状態に更新する。
また、判定手段43は、LAN通信I/F42経由でIDカードホルダ30が監視領域Cに入った又は出たことを送受信装置Rが検出した情報を受信し、その情報が監視領域Cに入った情報であれば、計時手段48に対してホルダ状態テーブル46のタイマカウントを開始させ、監視領域Cから出た情報であればホルダ状態テーブル46のタイマカウントを0クリアする。また、同一監視領域Cについてのホルダ状態テーブル46におけるタイマの値と、監視領域テーブル47における滞留制限時間とを比較し、タイマ値が滞留制限時間を越えると、ホルダ状態テーブル46のホルダ状態を滞留警告状態とする。
表示制御手段44は、ホルダ状態テーブル46を常時参照し、ホルダ状態が変化するとLAN通信I/Fおよび送受信装置R経由で状態変化をしたIDカードホルダ30の表示部34の制御をする。例えば、ホルダ状態が通常状態から入室許可状態に変化すると、当該IDカードホルダ30に対して、入室許可表示の指令を送信する。あるいは、通常状態から滞留警告状態に変化すると、当該IDカードホルダ30に対して、警告表示の指令を送信する。
次に、送受信装置Rは、管理装置1とは有線接続されており、IDカードホルダ30の通信I/F33と無線通信するインターフェースをもっており、管理装置1からの表示指令やIDカードホルダ30からのホルダIDなどの信号を中継する。また、送受信装置Rは、出入口付近の監視領域C内にIDカードホルダ30が入ると無線通信を開始し、IDカードホルダ30と無線通信できたことを持ってIDカードホルダ30が監視領域Cに入ったと判断し、無線通信不能になったことを持ってIDカードホルダ30が監視領域Cから出たと判断し、管理装置1へIDカードホルダ30の検知信号を送信する。
図2は、出入制御装置Mの構成を示している。出入制御装置Mは、コンピュータ機能を有しており、MPU等で構成され出入制御装置M全体を各種プログラムに基づいて制御する制御部20と、各出入制御装置Mを識別するアドレスコード、管理情報、処理プログラム、各種パラメータ、データ等を記憶する記憶部21と、管理対象のカードリーダCRに接続され通信を行う認証装置I/F25と、通信網2に接続され他の出入制御装置Mや管理装置1と通信を行うLAN通信I/F22と、電気錠付き扉Dと接続される電気錠I/F27を備えている。
記憶部21には、管理情報として、IDテーブル26を記憶している。IDテーブル26は、出入制御装置Mが管理している室への入室資格を有する利用者が携帯するIDカードの識別コードを全て記憶したテーブルである。IDテーブル26は、カードリーダCRで読み取られた識別コードの照合に利用される。
制御部20は、カードリーダCRから受信したIDカード3の識別コードとIDテーブル26に記憶されている識別コードとを照合し、識別コードが合致しているか否かにより利用者の通行可否を判定する判定手段23を有する。また、制御部20は、判定手段23にて利用者の通行を許可したときに、電気錠I/F27を介して電気錠付き扉Dを解錠させる電気錠制御手段24を備えている。
図3は、IDカードホルダ30の構成を示している。IDカードホルダ30は、他の利用者が表示部34を視認できるように身体に装着され、IDカード3を収納して使用される。IDカード3の収納方法については、如何なる方法でもよく、本発明の本質的なことでないので説明は省略する。
IDカードホルダ30はコンピュータの機能を有しており、MPU等から構成されIDカードホルダ30の全体を制御する制御部31と、各IDカードホルダ30を識別するホルダID、処理プログラム、各種パラメータなどを記憶する記憶部32と、送受信装置Rと無線通信するための通信I/F33と、LED等で構成される表示部34とを備えている。
IDカード3は、携行する利用者を識別可能な識別コードを記憶している非接触ICカードである。なお、利用者を識別可能なカードであれば、磁気カード、無線タグ等のいかなるカードを用いても良い。システムの利便性の観点からは、本実施例では非接触式のICカードを用いている。
次に、図7〜図10のフローチャートを参照して、出入管理システムの処理を説明する。
まず、出入管理装置Mで行われる処理について図7のフローチャートを参照して説明する。図7に示すように、出入制御装置Mの制御部20は、カードリーダCRより認証要求を受信したか否かを判定する(S10)。認証要求を受信していなければ(S10−No)、ステップS10を繰り返す。利用者がカード操作を行うと、カードリーダCRが識別コードを読み取って制御装置Mに送信し、これによりステップS10の判定がYesになる。そして、判定手段23が、認証要求に含まれる識別コードを照合する(S12)。ここで、判定手段23は、IDテーブル26を参照し、受信した識別コードが、送信したカードリーダCRのレコードに対応する識別コードのフィールドに登録されているか否かを照合する。
受信された識別コードと一致する識別コードがIDテーブル26に登録されている場合、ステップS14の判定がYesになり、認証結果がOKとなり、解錠許可の処理が行われる(S16)。解錠許可の処理では、出入制御装置Mは解錠制御を行う。解錠制御では、電気錠制御手段24が機能し、電気錠付き扉Dに解錠信号が送られる。電気錠付き扉Dでは、解錠信号に従い電気錠が解錠される。また、制御部20は、LAN通信I/F22を介して管理装置1に認証結果を送る。S16にて解錠許可の処理が行われたときは、ENDに進み、出入制御装置Mの処理を終了する。
ステップS12で、受信された識別コードが、IDテーブル26中の識別コードと一致しない場合、認証結果がNGとなり(S14−No)、解錠不許可の処理が行われる(S18)。解錠不許可の処理では、電気錠は解錠されず、制御部20によりLAN通信I/F22を介して管理装置1に認証結果が送信される。S18にて解錠不許可の処理が行われたときは、ENDに進み、出入制御装置Mの処理を終了する。
次に、管理装置1で行われる処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。図8に示すように、管理装置1の判定手段43は、監視領域CでIDカードホルダ30を検出したか否かを判定する(S20)。すなわち、判定手段43は、IDカードホルダ30が送受信装置Rと通信が可能な範囲に入った場合に送受信装置Rから送信される検知信号を受信すると、当該送受信装置Rに対応する監視領域CにおいてIDカードホルダ30を検出したと判定する(S20−Yes)。
具体的には、判定手段43において以下のようなIDカードホルダ30の検出処理が行われる。IDカードホルダ30が送受信装置Rとの通信可能な範囲である監視領域Cに入った場合、IDカードホルダ30は、送受信装置Rに自らのホルダIDを送信する。ホルダIDを受信した送受信装置Rは、当該ホルダIDと送受信装置R自身のアドレスコードとを検知信号として管理装置1に送信する。管理装置1は、判定手段43にて、記憶部41に記憶されている監視領域テーブル47を参照し、送受信装置Rのアドレスコードに対応する監視領域Cにて、ホルダIDに対応するIDカードホルダ30を検出したと判定する。そして、管理装置1は、ホルダ状態テーブル46を参照し、検出されたホルダIDのレコードにおける検知された監視領域フィールドに、当該監視領域Cの識別名を書き込む。
監視領域CにおいてIDカードホルダ30を検知しなければ(S20−No)、ステップS20を繰り返す。監視領域CにおいてIDカードホルダ30を検知した場合(S20−Yes)、判定手段43は、計時手段48に対して当該監視領域Cにおける滞留時間を表すタイマをスタートさせ、ホルダ状態テーブルのタイマフィールドを随時更新する(S22)。
判定手段43は、監視領域テーブル47とホルダ状態テーブル46を常時参照し、タイマが監視領域Cにおける滞留制限時間を超過しない間(S24−No)、ステップS34の認証結果の受信の判定、及びステップS42のIDカードホルダ30の監視領域C外への移動の検知を繰り返す。
ステップS24にて、タイマが滞留制限時間を超過していると判定手段34にて判定した場合(S24−Yes)、滞留警告状態への移行処理が行われる(S26)。滞留警告状態への移行処理では、判定手段34は、ホルダ状態テーブル46を参照し、ステップS24にて滞留制限時間を超過したホルダIDに対応するレコードのホルダ状態フィールドを、「滞留警告状態」と更新する。また、表示制御手段44は、ホルダ状態テーブル46を常時参照しており、当該ホルダIDに対応するレコードの検知された監視領域の識別名を読み出す。次に、表示制御手段44は、監視領域テーブル47を参照し、読み出した監視領域の識別名に対応する送受信装置Rのアドレスコードを読み出し、LAN通信I/F42を介して、読み出したアドレスコードの送受信装置Rに対して、当該ホルダIDのIDカードホルダ30宛の「滞留警告の表示命令」を送信する。管理装置1から滞留警告の表示命令を受信した送受信装置Rは、宛先となるホルダIDを確認し、当該ホルダIDのIDカードホルダ30に対して、「滞留警告の表示命令」を送信する。
ステップS26にて滞留警告状態への移行処理を実施した場合、判定手段43は、出入制御装置Mから認証OKとする認証結果を受信したか否かを判定する(S28)。
ステップS28にて、認証OKを受信しない場合(28−No)、判定手段43は、滞留警告状態への移行したIDカードホルダ30が、ステップ20にて検知された監視領域Cの外側へ移動したか否かを判定する(S30)。すなわち、判定手段43は、送受信装置RとIDカードホルダ30との通信状態を監視し、両者における通信が遮断した場合、IDカードホルダ30が監視領域Cの外側へ移動したと判定する。具体的には、判定手段43は、送受信装置Rを介してIDカードホルダ30に定期的にポーリングし、IDカードホルダ30からのレスポンスを得られなかった場合に、IDカードホルダ30が監視領域Cの外へ移動したと判定する。または、送受信装置Rが定期的にポーリングし、IDカードホルダ30からのレスポンスを得られなかった場合に、当該結果を管理装置1に対して送信することによって、判定手段43はIDカードホルダ30が監視領域Cの外側へ移動したと判定してもよい。
判定手段43は、出入制御装置Mから認証OKを受信せず(S28−No)、IDカードホルダ30が監視領域Cの外側へ移動したと判定しない場合(S30−No)、ステップS28に戻り、ステップS28とステップS30の処理を繰り返す。
一方、出入制御装置Mから認証OKを受信した場合(S28−Yes)、またはIDカードホルダ30が監視領域Cの外側へ移動したと判定した場合(S30−Yes)、ステップS32に進み、該当するIDカードホルダ30について滞留警告状態の解除処理が行われる(S32)。滞留警告状態の解除処理では、判定手段43は、ホルダ状態テーブル46を参照し、当該IDカードホルダ30のホルダIDに対応するレコードのホルダ状態フィールドを、「通常状態」へと更新する。更に、ステップ28にて、認証OKの認証結果を受信した場合(S28−Yes)、表示制御手段44は、当該IDカードホルダ30に対して、「解除命令」を送信する。
滞留制限時間を超過する前に(S24−No)、出入制御装置Mから認証結果を受信した場合(S34−Yes)、判定手段43は、当該認証結果が認証OKであるか否かを判定する(S36)。
ステップS34にて受信した認証結果が認証OKであると判定された場合(S34−Yes、S36−Yes)、入室許可状態への移行処理が行われる(S38)。入室許可状態への移行処理では、判定手段43は、ホルダ状態テーブル46を参照し、ステップS36で認証OKと判定された利用者の識別コードに対応するレコードのホルダ状態フィールドを「入室許可状態」へと更新する。そして、表示制御手段44は、LAN通信I/F42を介して、当該識別コードに対応するホルダIDのIDカードホルダ30宛に「入室許可の表示命令」を送信する。
ここでは、表示制御手段44により、具体的に次のような処理がなされる。まず、表示制御手段44は、ステップS36で認証OKと判定された利用者の識別コードに対応するホルダIDおよび検知された監視領域Cの識別名を読み出す。次に、表示制御手段44は、監視領域テーブル47を参照し、読み出した監視領域Cの識別名に対応する送受信装置Rのアドレスコードを読み出す。最後に、表示制御手段44は、LAN通信I/F42を介して、当該アドレスコードの送受信装置Rに対し、当該ホルダIDのIDカードホルダ30宛の「入室許可の表示命令」を送信する。なお、管理装置1から入室許可の表示命令を受信した送受信装置Rは、宛先となるホルダIDを確認し、当該ホルダIDのIDカードホルダ30に対して、「入室許可の表示命令」を送信する。
ステップS34にて受信した認証結果が認証NGであると判定された場合(S34−Yes、S36−No)、入室不許可状態への移行処理が行われる(S40)。入室不許可状態への移行処理では、判定手段43は、ホルダ状態テーブル46を参照し、ステップS36で認証NGと判定された利用者の識別コードに対応するレコードのホルダ状態フィールドを「入室不許可状態」へと更新する。そして、表示制御手段44は、LAN通信I/F42を介して、当該識別コードに対応するホルダIDのIDカードホルダ30宛に「入室不許可の表示命令」を送信する。なお、管理装置1から入室不許可の表示命令を受信した送受信装置Rは、宛先となるホルダIDを確認し、当該ホルダIDのIDカードホルダ30に対して、「入室不許可の表示命令」を送信する。
ステップS32にて滞留警告状態の解除処理を実施した場合、ステップS38にて入室許可状態への移行処理を実施した場合、ステップS40にて入室不許可状態への移行処理を実施した場合、またはステップS42にて監視領域Cの外側への移動を検知した場合、タイマのリセット処理が行われる。タイマのリセット処理では、判定手段43は、ホルダ状態テーブル46を参照し、滞留警告状態の解除処理、入室許可状態への移行処理、入室不許可状態への移行処理を行ったホルダID、または監視領域Cの外側への移動を検知したホルダIDに対応するレコードのタイマフィールドを“0”にリセットする(S44)。S44にてタイマのリセット処理が行われたときは、処理を終了する。
次に、通常状態のIDカードホルダ30で行われる処理について図9のフローチャートを参照して説明する。
図9に示すように、IDカードホルダ30の制御部31は、IDカードホルダ30が監視領域Cの内側に移動したか否かを判定する(S60)。すなわち、制御部31は、送受信装置Rとの間における通信の状態を監視し、送受信装置Rとの通信が開始された場合、IDカードホルダ30が監視領域Cの内側に移動したと判定する。
IDカードホルダ30が監視領域Cの内側に移動したと判定された場合(S60−Yes)、進入処理が行われる(S62)。進入処理では、制御部31は、記憶部32に保存されているホルダIDを送受信装置Rに送信し、また、記憶部32に保存されている監視領域内フラグをONとする。なお、IDカードホルダ30が監視領域Cの内側に移動しない場合(S60−No)、ステップS60の処理を繰り返す。
制御部31は、監視領域内フラグがONとなったことを受けて、送受信装置Rからホルダ状態の表示命令を受信したか否かを判定する(S64)。送受信装置Rからホルダ状態の表示命令を受信せずに(S64−No)、当該監視領域Cの外側への移動を判定されない(S66−No)間、ステップS64とステップS66の処理を繰り返す。
一方、送受信装置Rからホルダ状態の表示命令を受信せずに(S64−No)、当該監視領域Cの外側への移動を判定した場合(S66−Yes)、退出処理が行われる(S68)。退出処理では、制御部31は、記憶部32に保存されている監視領域内フラグをOFFとする。退出処理が行われると、ステップS60に戻る。
ステップ64にて、ホルダ状態の表示命令を受信したと判定した場合(S64−Yes)、制御部31は、当該表示命令が「入室許可の表示命令」であるか否かを判定する(S70)。当該変更情報が、「入室許可の表示命令」である場合(S70−Yes)、表示部34に対して「入室許可状態」を表すランプを点灯させる(S72)。
ステップ64にて受信したホルダ状態の表示命令が「入室不許可の表示命令」である場合(S70−No、S74−Yes)、制御部31は、表示部34に対して「入室不許可状態」を表すランプを点灯させる(S76)。
ステップ64にて受信したホルダ状態の表示命令が「滞留警告の表示命令」である場合(S70−No、S74−No)、制御部35は、表示部34に対して「滞留警告状態」を表すランプを点灯させる(S78)。なお、「入室許可状態」および「入室不許可状態」の表示は、一定時間後に消灯させる。
ステップS72、ステップS76、ステップS78にて、それぞれの状態を表すランプが点灯されると処理を終了する。
次に、現在のホルダ状態が「滞留警告状態」である場合におけるIDカードホルダ30で行われる処理について図10のフローチャートを参照して説明する。
図10に示すように、IDカードホルダ30の制御部31は、IDカードホルダ30が監視領域Cの外側に移動したか否かを判定する(S80)。すなわち、制御部31は、送受信装置Rとの間における通信の状態を監視し、送受信装置Rとの通信ができなくなった場合、IDカードホルダ30が監視領域Cの外側に移動したと判定する。制御部31は、ステップS80における監視領域C外への移動判定、およびステップS86における入室許可の表示命令の受信の判定、を繰り返す。
制御部31は、IDカードホルダ30が監視領域Cの外側に移動したと判定した場合(S80−Yes)、退出処理を行う。退出処理では、制御部31は、記憶部32に保存されている監視領域内フラグをOFFとする(S82)。退出処理が行われると、制御部31は、監視領域内フラグがOFFとなったことを受けて、表示部34に対して「滞留警告状態」を表すランプを消灯させる(S84)。
ステップS86にて、入室許可の表示命令を受信した場合(S86−Yes)、ステップS84に進む。S84にて滞留警告状態を表すランプを消灯させたときは、処理を終了する。
以上に本発明の実施の形態について説明した。
本実施の形態では、IDカードホルダ30が、本発明の表示装置として機能している。また、IDカードホルダ30の表示部34が、本発明の表示部として機能している。また、送受信装置Rが、本発明の所在検出装置として機能している。また、管理装置1、出入制御装置MおよびカードリーダCRが、本発明の利用者管理装置として機能している。また、管理装置1の記憶部41が、本発明の記憶部として機能している。また、出入制御装置Mの判定手段23およびカードリーダCRが、本発明の認証手段として機能している。また、管理装置1の計時手段48が、本発明の計時手段として機能している。また、管理装置1の判定手段43が、本発明の判定手段として機能している。そして、管理装置1の表示制御手段44が、本発明の表示制御手段として機能している。
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施例で実施されてもよいものである。また、実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
上記実施例では、認証結果に基づいて、IDカードホルダ30の表示部34に入室許可状態または入室不許可状態を示すランプを一定時間だけ点灯させているが、これに限定されるものではない。例えば、室A、室Bの室内にも送受信装置Rを更に設置し、管理装置1およびIDカードホルダ30は、利用者が入室したか否かを検知する。そして、当該室内では、当該利用者のIDカードホルダ30の表示部34に対して、入室許可状態または入室不許可状態を示すランプを点灯させたままにしてもよい。これにより、室内にいる周囲の利用者に対して、当該利用者が入室許可者であることを常に明示することができる。
上記実施例では、管理装置1は、ステップS40にて入室不許可状態への移行処理を行った後、ステップS44にて当該移行処理を行ったIDカードホルダ30のタイマをリセットしているが、これに限定されるものではない。例えば、管理装置1は、ステップS40にて入室不許可状態への移行処理を行った後、ステップS44におけるタイマのリセットをせずに、ステップS24へ戻る処理を行ってもよい。すなわち、管理装置1は、IDカードホルダ30の入室不許可状態への移行処理を行った後においても、当該IDカードホルダ30の監視領域C内における滞留時間を計時し続ける。これにより、管理装置1は、IDカードホルダ30の入室不許可状態への移行処理を行った後においても、タイマが監視領域Cにおける滞留制限時間を超えた場合に、滞留警告状態への移行処理を行うことができる。
上記実施例では、管理装置1は、ステップS28にて、出入制御装置Mから認証OKとする認証結果を受信したか否かを判定し、ステップS30にて、滞留警告状態への移行したIDカードホルダ30の監視領域Cの外側へ移動したか否かを判定し、上記いずれかの判定がYesとなった場合にステップS30にて、警告状態の解除処理を行っている。また、上記実施例では、警告状態のIDカードホルダ30は、ステップS80にて監視領域Cの外側へ移動したか否かを判定し、ステップS86にて入室許可の表示命令の受信の判定を行い、上記いずれかの判定がYesとなった場合にステップS30にて、ランプの消灯処理を行っている。しかし、上記実施例に限定されるものではない。
例えば、管理装置1は、出入制御装置Mから認証OKとする認証結果を受信し、かつ、IDカードホルダ30の監視領域C外への移動を検知した場合にのみ、警告状態の解除処理を行ってもよい。同様に、IDカードホルダ30も、入室許可の表示命令を受信し、かつ監視領域C外への移動を判定した場合にのみ、ランプの消灯処理を行ってもよい。これにより、誤って扉前の所定領域に所定時間以上滞留してしまった入室資格を有する利用者は自ら解除操作を行える一方で、入室資格を有さない利用者は自ら解除操作を行えない。したがって、金庫室などのようにセキュリティレベルが高い室の扉前における入室資格を有さない利用者の滞留行為を厳格に取り締まることができる。
上記実施例では、IDカードホルダ30は、ステップS78にて滞留警告状態を示すランプのみを点灯させているが、これに限定されず、更にブザー等を鳴動させてもよい。この場合、IDカードホルダ30には、表示部34と共にブザー部が設けられ、制御部31と接続される。これにより、IDカードホルダ30を身体に装着せずに所持のみしている利用者による不正滞留行為を、周囲の利用者は警告音によって検知することができる。
上記実施例では、監視領域Cを送受信装置RがIDカードホルダ30との通信できる範囲の領域としているが、これに限定されるものではない。例えば、監視領域Cを、送受信装置Rによって検出されるIDカードホルダ30の電波強度が、所定閾値以上である範囲の領域としてもよい。これにより、当該閾値を調整することで、監視領域Cの範囲を、本発明を実施する建物環境等に応じて適切な範囲へと調整することができる。
上記実施例では、IDカード3からカードリーダCRにより利用者の識別コードを取得したが、これに限定されず、IDカード以外の対象から識別コードを取得してもよい。例えば、個人の指紋、掌紋、声紋、虹彩等の利用者自身の生体情報を取得し、これを個人を識別する識別コードとしてもよい。このとき、生体情報が適当な識別コードに変換されてよいことはもちろんである。
また、上記のIDカードや生体情報等から、利用者を識別するための識別コードを複数取得し、これらを併用してもよい。例えば、IDカード3の識別コードと、識別コードとしての生体情報とが併用されてもよい。この場合、カードリーダCRと共に指紋読取装置等が設けられる。
上記実施例では、送受信装置Rによって監視領域Cの内側に存在するIDカードホルダ30を検出し、更にIDカードホルダ30と非接触通信を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、管理装置1に接続され、監視領域Cを含む領域を撮影している監視カメラによって、監視領域Cの内側に存在するIDカードホルダ30を検出してもよい。そして、送受信装置Rとは異なる非接触通信装置によってIDカードホルダ30との非接触通信を行ってもよい。
X、Y、Z・・・利用者
D・・・電気錠付き扉
CR・・・カードリーダ
M・・・出入制御装置
R・・・送受信装置
C・・・監視領域
1・・・管理装置
2・・・通信網
3・・・IDカード
20・・・制御部
21・・・記憶部
22・・・LAN通信I/F
23・・・判定手段
24・・・電気錠制御手段
25・・・認証装置I/F
26・・・IDテーブル
27・・・電気錠I/F
30・・・IDカードホルダ
31・・・制御部
32・・・記憶部
33・・・通信I/F
34・・・表示部
40・・・制御部
41・・・記憶部
42・・・LAN通信I/F
43・・・判定手段
44・・・表示制御手段
46・・・ホルダ状態テーブル
47・・・監視領域テーブル
48・・・計時手段

Claims (4)

  1. 利用者に装着されて出入口での前記利用者の現状態を表示可能な表示装置と、前記出入口近傍の所定領域の前記表示装置の存在を検出可能な所在検出装置と、前記表示装置の表示を制御する利用者管理装置とから構成され、前記表示装置の表示を利用者が相互に確認する衆人監視機能付きの出入管理システムであって、
    前記利用者管理装置は、
    前記利用者の現状態が保存されている記憶部と、
    前記出入口近傍において利用者が出入資格を有するか否かを認証する認証手段と、
    前記所在検出装置からの検出信号に基づいて前記表示装置が出入口近傍に滞留している時間を計測する計時手段と、
    前記認証手段にて認証しないまま前記計時手段が所定時間を越えると滞留警告状態、前記認証手段にて前記利用者を認証できれば許可状態、前記認証手段にて認証できなければ不許可状態と判定し、前記記憶部における当該利用者の現状態を更新する判定手段と、
    前記記憶部の利用者の現状態を非接触通信により前記表示装置に表示させる表示制御手段とを有し、
    前記表示装置は、滞留警告状態、許可状態、不許可状態を区別して表示可能な表示部を有する、
    ことを特徴とした出入管理システム。
  2. 前記利用者管理装置の前記判定手段は、前記所在検出装置にて前記表示装置が前記所定領域から出た旨の検出信号を受信すると、前記記憶部の滞留警告状態を解除し、
    前記表示装置は、前記所定領域から出たことを検出すると前記表示部の滞留警告表示を解除する請求項1に記載の出入管理システム。
  3. 前記利用者管理装置の前記判定手段は、前記認証手段にて前記利用者を認証でき、かつ前記所在検出装置にて前記表示装置が前記所定領域から出た旨の検出信号を受信すると前記記憶部の滞留警告状態を解除し、
    前記表示装置は、表示部の現状態が許可状態であり、かつ前記所定領域から出たことを検出すると前記表示部の滞留警告表示を解除する請求項2に記載の出入管理システム。
  4. 前記判定手段は、前記認証手段にて前記利用者を認証できると、前記記憶部の滞留警告状態を解除する請求項1または請求項2に記載の出入管理システム。
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