JP5519131B2 - 管渠の止水壁装置、仮設水路装置および管渠の止水方法 - Google Patents

管渠の止水壁装置、仮設水路装置および管渠の止水方法 Download PDF

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Description

本発明は、下水道管等の地中に埋設された管渠の内部を点検・補修する際に、その管渠内を流れる水流を堰き止めてバイパスするのに使用する管渠の止水壁装置と、これを用いた管渠内の仮設水路装置と、管渠の止水方法とに関する。
例えば、下水道管渠の内部を点検したり補修工事を行う場合においては、管渠の底面部を流れる下水が作業の邪魔になる。このため、下水を堰き止め可能な止水壁装置を管渠の断面下部に水密的に固定し、管渠の断面内で下水をバイパスさせて作業空間を確保するようにした管渠の補修工法が提案されている(特許文献1参照)。
かかる補修工法に用いられる止水壁装置は、図12の断面図に示しているように、管渠40の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された止水壁43と、この止水壁43の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材42と、前記止水壁43の表裏方向を貫通する通水口44と、前記止水壁43の幅方向両端部50,50を押し下げることにより、前記シール部材42をその全長にわたって管渠40の円弧状の内周面40aに圧着させる固定手段44とを備えている。
前記固定手段44は、管渠40の内周長さと止水壁43の外周長さの差にほぼ等しい長さを有する弾性変形自在な固定バンド45と、この固定バンド45の長手方向端部を着脱自在に差し込み可能とするように止水壁43の幅方向両端部50,50に設けられたバンド受け部46とから構成されている。
特開2004−137776号公報(特許請求の範囲、図1、図2参照)
特許文献1に記載の前記固定手段44によれば、固定バンド45の長手方向中央部を上昇させると、固定バンド45が管渠40の内周面40aの上半分に沿ったアーチ型に弾性変形してこの状態が保持される。この状態では、アーチ型の固定バンド45の長手方向両端部が、止水壁43の幅方向両端部50,50に対して下向きに荷重をかけ、これによって止水壁43の外周面に設けられたシール部材42が圧縮変形して管渠40の内周面40aに対して圧着される。さらに、この状態では、固定バンド45は管渠40の内周面40aの上半分に沿ったアーチ型になるので、固定バンド45の厚さ分だけ管渠40の内空断面が侵されはするものの、作業員が止水壁43を跨いで施工区間に出入りする際に当該固定バンド45が邪魔になることがない。
しかし、固定バンド45によって止水壁43の幅方向両端部50,50を押し下げると、シール部材42の内の幅方向両側の部分が、管渠40の内周面40aの両側部に先に接触して引っかかるような状態となり、当該幅方向両側の部分は、管渠40の内周面40aの両側部に押しつけられるが、シール部材42の内の底部の部分には押し下げ力が十分に伝わりにくく、当該底部の部分は、さほど強く管渠40の内周面40aの底部に押しつけられない。また、管渠40の底部で最も水深があり水圧が高くなる。このため、底部49において止水壁43(シール部材42)と管渠40の内周面40aとの間で漏水が生じ易いという問題点がある。
そこで、本発明は、止水壁の底部と管渠の内周面の底部との間における漏水を防ぐことができる管渠の止水壁装置、仮設水路装置および管渠の止水方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明は、横断面円形の管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された円弧による外周輪郭形状を有する止水壁と、この止水壁の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材と、前記止水壁の表裏方向を貫通する通水口と、前記止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって前記管渠の内周面に圧着させる固定手段とを備えている管渠の止水壁装置において、圧縮変形前の前記シール部材は、周方向に均一の断面高さを有しており、記固定手段が前記止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、当該止水壁の底部における当該シール部材の圧縮変更量、当該止水壁の幅方向側部における当該シール部材の圧縮変更量よりも大きくするために、前記止水壁の前記円弧による外周輪郭形状を構成する曲率半径は、前記管渠の曲率半径から、圧縮変形前の前記シール部材の前記断面高さを除いた値に設定され、前記固定手段は、前記止水壁の前記円弧の中心を、前記管渠の中心に対して底側に偏心させて当該止水壁を固定することを特徴とする
本発明によれば、シール部材は、固定手段が止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、当該止水壁の底部におけるシール部材の圧縮変更量が、当該止水壁の幅方向側部におけるシール部材の圧縮変更量よりも大きくなる断面高さに設定されているので、固定手段が止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、管渠の底部に対するシール部材の圧着力を確保することができ、底部における水密性を高めることができる。このため、止水壁の底部と管渠の内周面の底部との間における漏水を防ぐことができる。
また、この管渠の止水壁装置において、前記シール部材の断面高さは、無負荷時で当該シール部材の外周面が前記管渠の内周面とほぼ一致する断面高さに設定されていることにより、固定手段が止水壁の幅方向両端部を押し下げた時(負荷時)に、シール部材の底部における圧縮変形量を、幅方向側部における圧縮変形量よりも大きくすることができる。
また、前記止水壁は、前記水流を堰き止めることができる大きさに形成された上流側の第一止水板および下流側の第二止水板と、これら第一止水板と第二止水板との間に水が溜まる空間が形成されるように両止水板を底部から幅方向両側部に向けて連結している外周壁板とを有している構成することができる。
この場合、第一および第二止水板を軽量化のために薄くしても、第一止水板と第二止水板と外周壁板とによってボックス構造が得られ、止水壁全体の剛性を確保することができる。さらに、第一止水板と第二止水板との間の空間に水を溜めることにより、止水壁の重量を大きくすることができ、設置状態にある止水壁を安定させることができる。
また、前記固定手段は、前記管渠の内周長さと前記止水壁の外周長さとの差にほぼ等しい長さを有する弾性変形自在な固定バンドと、この固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部とを上下方向で連結しているバンド連結部とを有し、前記バンド連結部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との上下方向の距離を変更可能とする長さ調整部を有しているのが好ましい。
この場合、管渠の内周長さに多少のばらつきがあっても、長さ調整部によって、バンドの長手方向端部と止水壁の幅方向端部との上下方向の距離を変更することで、前記ばらつきを吸収して止水壁の幅方向端部を押し下げることができ、シール部材を管渠の内周面に圧着させることができる。
そして、前記長さ調整部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との内の一方に軸方向を上下方向とし回転自在に設けられたねじ軸と、当該長手方向端部と当該幅方向端部との内の他方に設けられ前記ねじ軸の回転に伴って上下動する取り付け部材とを有している構成とすることができる。
この長さ調整部によれば、ねじ軸を回転させ取り付け部材を上下動させることによって、固定バンドの長手方向端部と止水壁の幅方向端部との上下方向の距離を変更することができるので、管渠内の止水壁の取り付け場所において、作業者はねじ軸を回転させる操作を行えばよい。
本発明の仮設水路装置は、管渠内の施工区間の上流側と下流側とにそれぞれ配置された前記止水壁装置と、この止水壁装置の止水壁に設けられた通水口同士を互いに連結するバイパス管路とを備えていることにより、管渠の断面内で下水をバイパスさせて作業空間を確保する管渠内の仮設水路装置を構成することができる。
そして、このような仮設水路装置において、前記バイパス管路を、その中心軸線が湾曲可能となる程度の可撓性を有するホース部材より構成しておけば、止水壁装置で区画された施工区間内でホース部材を移動させることにより、管渠の内周面のほぼ全域を露出させることができ、当該ホース部材の存在によって点検乃至補修ができなくなるエリアを極力少なくまたは皆無にすることができる。
また、本発明は、圧縮変形可能なシール部材が外周面に沿って設けられた止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって横断面円形の管渠の内周面下部に圧着させ、前記管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めるようにした管渠の止水方法であって、前記シール部材を前記管渠の内周面下部に圧着させることで当該シール部材を圧縮変形させる前、当該シール部材は周方向に均一の断面高さを有しており、前記止水壁の底部における前記シール部材の圧縮変形量が、当該止水壁の幅方向側部における前記シール部材の圧縮変形量よりも大きくなるように、前記止水壁の幅方向両端部を押し下げ、下記に定義する曲率半径に設定された円弧による外周輪郭形状を有する前記止水壁の当該円弧の中心を、前記管渠の中心に対して底側に偏心させて当該止水壁を固定することによって行う。
曲率半径:前記管渠の曲率半径から、圧縮変形前の前記シール部材の周方向に均一である前記断面高さを除いた値
本発明によれば、止水壁の底部におけるシール部材の圧縮変形量が、止水壁の幅方向側部におけるシール部材の圧縮変形量よりも大きくなるように、止水壁の幅方向両端部を押し下げるので、管渠の底部に対するシール部材の圧着力を確保することができ、底部における水密性を高めることができる。このため、止水壁の底部と管渠の内周面の底部との間における漏水を防ぐことができる。
また、本発明は、横断面円形の管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された止水壁と、この止水壁の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材と、前記止水壁の表裏方向を貫通する通水口と、前記止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって前記管渠の内周面に圧着させる固定手段とを備えている管渠の止水壁装置において、前記シール部材は、前記固定手段が前記止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、当該止水壁の底部における当該シール部材の圧縮変更量が、当該止水壁の幅方向側部における当該シール部材の圧縮変更量よりも大きくなる断面高さに設定され、前記止水壁は、前記水流を堰き止めることができる大きさに形成された上流側の第一止水板および下流側の第二止水板と、これら第一止水板と第二止水板との間に水が溜まる空間が形成されるように両止水板を底部から幅方向両側部に向けて連結している外周壁板とを有していることを特徴とする。
また、本発明は、横断面円形の管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された止水壁と、この止水壁の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材と、前記止水壁の表裏方向を貫通する通水口と、前記止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって前記管渠の内周面に圧着させる固定手段とを備えている管渠の止水壁装置において、前記シール部材は、前記固定手段が前記止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、当該止水壁の底部における当該シール部材の圧縮変更量が、当該止水壁の幅方向側部における当該シール部材の圧縮変更量よりも大きくなる断面高さに設定され、前記固定手段は、前記管渠の内周長さと前記止水壁の外周長さとの差にほぼ等しい長さを有する弾性変形自在な固定バンドと、この固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部とを上下方向で連結しているバンド連結部と、を有し、前記バンド連結部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との上下方向の距離を変更可能とする長さ調整部を有していることを特徴とする。
また、この管渠の止水壁装置の前記長さ調整部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との内の一方に軸方向を上下方向とし回転自在に設けられたねじ軸と、当該長手方向端部と当該幅方向端部との内の他方に設けられ前記ねじ軸の回転に伴って上下動する取り付け部材とを有しているのが好ましい。
本発明によれば、止水壁の底部における水密性を高め、止水壁の底部と管渠の内周面の底部との間における漏水を防ぐことができるので、管渠内における点検乃至補修作業の作業効率を向上させることができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の止水壁装置1を示し、図2はその止水壁装置1を用いて下水道の管渠2内に構築された仮設水路装置3を示している。図2に示すように、この仮設水路装置3は、マンホール縦管4に接続された横向きの管渠2の断面内で下水をバイパスする仮設水路を構成することにより、当該管渠2の内周面を点検ないし補修するための作業空間を確保するためのものである。
すなわち、この仮設水路装置3は、管渠2内における所定の施工区間の上流側と下流側にそれぞれ配置された止水壁装置1と、この止水壁装置1の止水壁6に設けられた通水口7同士を互いに連結するバイパス管路5とを備えており、上流側の止水壁装置1で堰き止められた下水をすべてバイパス管路5に流すことにより、そのバイパス管路5の外側に作業空間を確保するものである。
上記バイパス管路5は、その中心軸線が湾曲可能となる程度の可撓性を有するホース部材よりなり、より具体的には、外周壁が蛇腹構造5aとなった蛇腹ホースが採用されている。このため、止水壁装置1で区画された施工区間内でホース部材を管渠2の幅方向に移動させることにより、管渠2の内周面のほぼ全域を露出させることができる。なお、バイパス管路5は、取り扱いの容易性および排水必要量の関係により、内径をφ200mm程度としている。
図3は止水壁装置1の正面図であり、図4はこの止水壁装置1が備えている止水壁6の平面図である。止水壁装置1は、横断面円形の管渠2の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された止水壁6と、この止水壁6の外周面16に設けられ径方向(厚さ方向)に圧縮変形可能なシール部材9と、この止水壁6を表裏方向に貫通するように形成された通水口7と、シール部材9を管渠2の内周面2aに圧着させた状態で止水壁6を管渠2内に固定するための固定手段8とを備えている。
〔止水壁6の第一実施形態〕
図3と図4の実施形態の止水壁6は、水流方向に二層の止水板11,12を有していて、中空の構成となっている。つまり、止水壁6は、水流方向の上流側となる第一止水板11と下流側となる第二止水板12とを有し、さらに、止水壁6の底壁となる外周壁板13を有している。第一止水板11および第二止水板12は同じ形状であり、管渠2の内空断面のほぼ下半分の大きさに形成されている。つまり、第一止水板11および第二止水板12は半円形の板からなり、管渠2の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成されている。外周壁板13は、第一止水板11と第二止水板12とを水流方向に対向させて連結している帯板状の部材であり、両止水板11,12を底部Bから幅方向両側部S1,S2にわたって連結している。この外周壁板13は両止水板11,12の円弧形状である外周縁に沿って設けられていることから、外周壁板13の外周面が止水壁6の外周面16を構成する。この止水壁6の構成によれば、第一止水板11および第二止水板12を薄くしても、第一止水板11、第二止水板12および外周壁板13によって止水壁6をボックス構造とすることができ、止水壁6を軽量としながらも全体の剛性を確保することができる。
止水壁6の下部中央には、第一止水板11および第二止水板12を水流方向に貫通している流路を形成しているパイプ部材7aが取り付けられている。このパイプ部材7aが前記通水口7となり、このパイプ部材7aに前記バイパス管路5(図2参照)の端部を嵌め合わして接続できるようになっている。第一止水板11および第二止水板12と、パイプ部材7aとは水密が確保された状態で連結されていて、第一止水板11、第二止水板12および外周壁板13は水密が確保された状態で連結されている。そして、外周壁板13が止水壁6の底部Bおよび側部S1,S2の部材となることにより、第一止水板11と第二止水板12との間に水が溜まる空間Wが形成されている。さらに、止水壁6は、第一止水板11と第二止水板12とを上部でかつ左右両側で連結している上壁板14,14を有していて、止水壁6の剛性をさらに高めている。
止水壁6は樹脂製からなり、例えば、塩化ビニル樹脂製、アクリル樹脂製、FRP製とすることができる。この止水壁6は樹脂製からなり軽量であるが、止水壁6(外周壁板13)の水流方向の寸法が75mm〜150mm程度であり、止水壁6は管渠2内に載せた状態で自立することができる。さらに、止水壁6内の前記空間Wに水を入れることによって重量を大きくし、安定して自立させることができ、水流に抗することができる。
外周壁板13の外周面が止水壁6の外周面16を構成し、この外周面16に、前記シール部材9が設けられている。シール部材9は、弾性的に圧縮変形可能な部材であり、例えば、発泡樹脂製やゴム製である。シール部材9は、周方向に均一の厚さ(周方向に同じ断面形状)として外周面16に取り付けられている。シール部材9は、径方向に圧縮変形することで管渠2の内周面2aに対して水密的に圧着される。このシール部材9によれば、管渠2の内周面2aに生じている亀裂や凹凸を水分が通過しようとしても、当該シール部材9が管渠2の内周面2aに隙間なく圧着して漏れを防止するので、止水壁6による下水の止水効果を向上することができる。
〔固定手段8について〕
固定手段8は、管渠2の内空断面の幅方向中心線から見て左右対称となる止水壁6の幅方向両端部6a,6bに荷重を加えるものであり、厚さ方向に弾性変形自在な板材よりなる固定バンド17と、この固定バンド17の長手方向両端部17a,17bと止水壁6の幅方向両端部6a,6bとをそれぞれ連結しているバンド連結部18a,18bとを有している。この固定手段8は、止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げることにより前記シール部材9を管渠2の内周面2aに圧着させた状態で止水壁6を管渠2内に固定する機能を有している。
固定バンド17は、ゴム製の板よりなり、管渠2の内周長さと止水壁6の外周長さ(管渠2との接触部分の外周長さ)の差にほぼ等しい長さに形成されている。なお、固定バンド17は、硬質プラスチック製のばね板であってもよい。固定バンド17の長手方向中央部にはハンドル部19が設けられている。バンド連結部18a,18bは止水壁6の幅方向両端部6a,6bの上面に設けられていて、一方のバンド連結部18aは、固定バンド17の長手方向一方の端部17aを着脱自在に差し込み可能となるように設けられたバンド受け部からなる。他方のバンド連結部18bは、固定バンド17の端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとを上下方向で連結していると共に、固定バンド17の端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの上下方向の距離を変更可能とする長さ調整部20を有している。固定バンド27を管渠2の内周面2aの上半分に押し当てることで、当該固定バンド27には周方向の圧縮力が作用し、その結果、固定バンド27がバンド連結部18a,18bを介して止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げることができる。
図5は長さ調整部20の第一の形態の説明図である。なお、図5は長さ調整部20を管渠2の中心側から径方向外側へ見た図である。この長さ調整部材20は、止水壁6の幅方向端部6bに軸方向を上下方向とし回転自在に設けられたねじ軸22と、固定バンド17の長手方向の端部17bに固定されねじ軸22の回転に伴って上下動する取り付け部材23とを有している。具体的に説明すると、止水壁6の上端の内の幅方向端部6b(上壁板14の幅方向端部)側に取り付け板21が固定され、この取り付け板21上に回転自在として前記ねじ軸22が設けられている。ねじ軸22は水流方向(固定バンド17の幅方向)に並んで二つ設けられている。固定バンド17の端部17bには取り付け部材23が固定されていて、この取り付け部材23にナット24が固定されている。このナット24にねじ軸22が螺合する。また、ねじ軸22は、作業員が当該ねじ軸22を手動によって回転操作するための円盤部25を有している。
管渠2内で作業員が円盤部25を回転させ、ねじ軸22を回転させることによって、取り付け部材23は取り付け板21に対して接近または離反することができ、固定バンド17の端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの上下方向の距離を変更することができる。この結果、固定バンド17による止水壁6の管渠2の内周面2aへの押しつけ力の調整を行うことができる。また、円盤部25は止水壁6の上方に設けられていて、止水壁6が邪魔とならないで作業員は円盤部25を容易に回転させることができる。なお、図3の実施形態では、止水壁6の幅方向の一方側のバンド連結部18bが前記長さ調整部20を有していて、他方側のバンド連結部18aはこれを有していない場合を説明したが、他方側のバンド連結部18aも同様の長さ調整部20を有していてもよい。
〔止水壁6の第二実施形態〕
図6は止水壁装置1の第二実施形態を説明する正面図であり、図7はこの止水壁装置1が備えている止水壁6の平面図である。なお、固定手段8については、前記実施形態と同じである。図6と図7との止水壁6は、管渠2の内空断面のほぼ下半分の大きさに形成された止水板部30を備えている。止水板部30は半円形の板からなり、管渠2の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成されている。止水壁6は、更に、止水板部30の円周縁に設けられた外周フランジ部31と、止水板部30の上部縁に設けられた上フランジ部32とを一体に備えている。外周フランジ部31の外周面が止水壁6の外周面16を構成していて、この外周面16に沿ってシール部材9が設けられている。シール部材9は、圧縮変形可能な部材であり、例えば、発泡樹脂製やゴム製である。シール部材9は、周方向に均一の厚さ(周方向に同じ断面形状)で外周面16に設けられている。シール部材9は、圧縮変形することで管渠2の内周面に対して水密的に圧着される。
この止水板部30には、水流方向に貫通している孔30a(図7参照)が設けられていて、この孔30aと連続してパイプ部材7aが取り付けられている。このパイプ部材7aが前記通水口7となり、当該パイプ部材7aに前記バイパス管路5(図2)の端部を嵌め合わして接続できるようになっている。この止水壁6は鋼製からなり、外周フランジ部31の水流方向の寸法は75mm〜150mm程度であるために、管渠2内に載せた状態で自立することができる。また、この止水壁6は鋼製からなることで耐久性が高い。
〔止水壁6およびシール部材9の形状について〕
第一実施形態(図3)および第二実施形態(図6)のそれぞれにおける止水壁6の形状およびシール部材9の断面高さ(厚さ)についてさらに説明する。各実施形態では止水壁6の構成部材が異なるが、第一実施形態と第二実施形態とで、止水壁6の外周輪郭形状(円弧形状の部分)およびシール部材9の断面高さは同じである。図8と図9は止水壁6を説明するための説明図である。図8は前記固定手段8によって止水壁6の幅方向両端部6a,6bが押し下げられる前であって止水壁6が管渠2に固定される前の状態である。図9は固定手段8によって止水壁6の幅方向両端部6a,6bが下方へ押し下げられた状態で当該止水壁6が管渠2に固定された後の状態である。なお、シール部材9の断面高さおよび止水壁6の外周輪郭形状の説明を容易とするために、止水壁6の外周面16に取り付けられているシール部材9の断面高さを他の部材に比して大きく示している。
図9に示しているように、本発明では、固定手段8が止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げた時に、止水壁6の底部Bにおけるシール部材9の圧縮変更量Δtbが、止水壁6の幅方向側部S1,S2におけるシール部材9の圧縮変更量Δts1,Δts2よりも大きくなる断面高さに、シール部材9は設定されている(Δtb>Δts1,Δtb>Δts2)。このために、止水壁6の外周輪郭形状は、一定の曲率半径Raによって形成されているが、固定手段8が止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げた時、管渠2の内周面2aと止水壁6の外周面16との間隔gが、幅方向両側部S1,S2から底部Bへ向かって狭くなる(小さくなる)形状としている。なお、管渠2の内周面2aは、止水壁6の曲率半径Raよりも大きい一定の曲率半径Rによって形成されている(R>Ra)。
ここで、本発明の止水壁装置1の止水壁6およびシール部材9と、従来の止水壁43およびシール部材42(図12)とを比較する。図12は従来の止水壁装置41が管渠40内に固定された状態を示している断面図である。従来の止水壁装置41は、管渠40の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された止水壁43と、この止水壁43の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材42と、前記止水壁43の表裏方向を貫通する通水口44と、前記止水壁43の幅方向両端部50,50を押し下げることにより、前記シール部材42をその全長にわたって管渠40の内周面40aに圧着させる固定手段44とを備えている。
従来の止水壁43は本発明の止水壁6と同様に金属板や樹脂板によって製造されている。また、前記シール部材42も本発明と同様に弾性圧縮変形可能なゴム製や発泡樹脂製であり、周方向に均等な厚さで止水壁43の外周面(外周フランジ部47)に取り付けられている。さらに、固定手段44は管渠40の内周長さと止水壁43の外周面長さの差にほぼ等しい長さを有する弾性変形自在な固定バンド45と、この固定バンド45の長手方向端部を着脱自在に差し込み可能となるように止水壁43の幅方向両端部に設けられたバンド受け部46とから構成されている。
この固定手段44によれば、固定バンド45の長手方向両端を止水壁43の各バンド受け部46に差し込んでから当該固定バンド45の長手方向中央部を上昇させると、固定バンド45が管渠40の内周面40aに沿ったアーチ型に弾性変形してこの状態が保持される。この状態では、アーチ型の固定バンド45の長手方向両端が止水壁43の幅方向両端部50,50に対して下向きに荷重をかけていて、これによって止水壁43の外周面に設けられたシール部材42が圧縮変形して管渠40の内周面40aに対して圧着される。また、この状態では、固定バンド45は管渠40の内周面40aに沿ったアーチ型になるので、固定バンド45の厚さ分だけ管渠40の内空断面が侵されはするものの、作業員が止水壁43を跨いで施工区間に出入りする際に当該固定バンド45が邪魔になることがない。このように、従来においても、管渠40内での作業性の観点から、固定バンド45によって止水壁43の幅方向両端部50,50を押し下げた状態とすることで、シール部材42を管渠40の内周面40aに圧着させ、止水壁43を管渠40内に固定している。
従来の止水壁43の具体的な形状およびシール部材42の厚さを説明する。シール部材42の変形前の厚さt1は周方向全長にわたって15mmである。止水壁43の外周輪郭形状は、管渠40の内周面40aに沿った形状であり、図12では、管渠40が円形であることから止水壁43は円弧形状(半円形状)である。そして、従来の止水壁43の外周輪郭形状は、前記固定手段44によって止水壁43の幅方向両端部50,50を押し下げた状態で、前記シール部材42を水密に必要な規定圧縮変形量だけ周方向全長にわたって均一に圧縮させることができる形状となっている。すなわち、具体例を説明すると、管渠40の内径がφ800mm(半径が400mm)である場合、シール部材42の規定圧縮変形量Δtを周方向全長にわたって5mm確保(変形後の厚さt2が10mm)するために、止水壁43のみの曲率半径Raを、管渠40の曲率半径(400mm)と変形後のシール部材42の厚さt2(10mm)との差である390mmとする必要がある。つまり、止水壁43に変形前のシール部材42を含めた曲率半径は、405mmであり、規定圧縮変形量Δt(5mm)を確保する観点から、従来では管渠2の内周面2aの半径(400mm)よりも当然大きくなっている。このように構成した止水壁43を、前記固定バンド45によって当該止水壁43の中心と管渠2の中心とを一致させて固定することで、周方向全長にわたってシール部材42の圧縮変形量を5mmとすることができると考えられる。
しかし、前記のように構成した従来の止水壁43を管渠40に固定するために、固定バンド45によって止水壁43の幅方向両端部50,50を押し下げると、シール部材42の内の幅方向両側の部分が、管渠40の内周面40aの両側部に先に接触して引っかかるような状態となり、当該幅方向両側の部分は、管渠40の内周面40aの両側部に押しつけられるが、シール部材42の内の底部の部分には押し下げ力が十分に伝わりにくく、当該底部の部分は、さほど強く管渠40の内周面40aの底部に押しつけられない。また、管渠40の底部で最も水深があり水圧が高くなる。このため、底部49において止水壁43(シール部材42)と管渠40の内周面40aとの間で漏水が生じ易いという問題点がある。
また、固定状態では、固定バンド45によって止水壁43の幅方向両端部50,50が押し下げられた状態にあるため、(止水壁43は剛体ではないことから)図12の破線で示しているように、止水壁43の幅方向両側部48,48を幅方向外側へ広げるような力が生じると考えられる(なお、図12ではこの様子を誇張して描いている)。これにより、従来では、シール部材42の内の止水壁43の幅方向両側部48,48に取り付けられている部分は、強く管渠40の内周面40aに押しつけられるが、止水壁43の底部49に取り付けられている部分は、さほど強く管渠40の内周面40aに押しつけられない。このため、底部49において止水壁43(シール部材42)と管渠40の内周面40aとの間で漏水が生じ易くなることも考えられる。
そこで、本発明では、止水壁6の底部と管渠2の内周面2aの底部との間における漏水を防ぐことができるようにするために、前記のとおり、固定手段8が止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げた時に(図9参照)、止水壁6の底部Bにおけるシール部材9の圧縮変更量Δtbが、止水壁6の幅方向側部S1,S2におけるシール部材9の圧縮変更量Δts1,Δts2よりも大きくなる(Δtb>Δts1,Δtb>Δts2)断面高さに、シール部材9は設定されている。これを実現するために、図8において、シール部材9の断面高さ(厚さ)tは、無負荷時において当該シール部材9の外周面が管渠2の内周面2aとほぼ一致する断面高さに設定されている。つまり、実施形態に係る止水壁装置1は、止水壁6が固定される部分が円弧面である管渠2用のものであるため、止水壁6のみの外周輪郭形状が、管渠2の前記円弧面の曲率半径Rと、シール部材9の圧縮変形前の厚さ寸法tとの差(R−t)と同じ値の曲率半径Raを有する円弧形状としている。
具体例を説明すると、内径がφ800mmの管渠2の場合であって、シール部材9の圧縮変形前(無負荷時)の厚さ寸法tを周方向全長にわたって15mmとすると、止水壁6のみの外周輪郭形状を、曲率半径Raが(従来よりも小さい)385mmの円弧からなる形状としている。この場合、止水壁6に変形前のシール部材9を含めた曲率半径は400mmとなり、管渠2の内周面2aの曲率半径Rと一致している。したがって、この止水壁6の外周輪郭形状によれば、止水壁6の固定前に、止水壁6の中心Caを管渠2の中心Cと一致させた状態とすると(図8)、管渠2の内周面2aに対する変形前のシール部材9の接触面(外周面)が、管渠2の内周面2aに一致する。
そして、本発明では、このように構成した止水壁6を、前記固定手段9によって管渠2に対して底側に偏心させて固定している(図9参照)。すなわち、止水壁6の中心Caを、管渠2の中心Cから所定の寸法eだけ下方へ下げた状態で止水壁6を管渠2に固定する。前記具体例の場合、シール部材9の圧縮変形前の厚さ寸法tが15mmであり、底部Bにおけるシール部材9の圧縮変形量(潰れ代)Δtb(底部Bにおいて止水に必要な圧縮変形量)を5mmとするために、図8の管渠2の中心Cと止水壁6の中心Caとが一致している固定前の状態よりも、止水壁6の中心Caを、管渠2の中心Cに対して圧縮変形量Δtbと同じ値である5mmだけ下方へ下がった状態として、止水壁6を固定している(図9参照)。つまり、前記所定の寸法eが5mmである。
〔止水壁装置1による止水方法〕
以上のように構成された止水壁装置1による管渠2の断面下部を流れる水流の止水方法は、前記第一実施形態(図3)と前記第二実施形態(図6)とでほぼ共通している。図8と図9とによって説明すると、止水方法は、圧縮変形可能なシール部材9が外周面16に沿って設けられた止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げることにより、前記シール部材9をその全長にわたって管渠2の円弧状の内周面下部に圧着させ、前記管渠2の断面下部を流れる水流を堰き止めることによって行われる。そして、止水壁6の底部Bにおけるシール部材9の圧縮変形量Δtbが、止水壁6の幅方向両側部S1,S2におけるシール部材9の圧縮変形量Δts1,Δts2よりも大きくなるように、止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げることによって行われる。
したがって、前記止水方法によって管渠2内に固定された本発明の止水壁6およびシール部材9によれば、周方向で同じ厚さであったシール部材9の圧縮変形量は、幅方向側部S1,S2から底部Bへ向かって大きくなる。つまり、シール部材9の底部Bにおける圧縮変形量Δtbが、幅方向両側部S1,S2における圧縮変形量Δts1,Δts2よりも大きくして、シール部材9を管渠2の内周面2aに圧着させた状態とする。このため、管渠2の底部Bに対するシール部材9の圧着力を確保することができ、底部Bにおける水密性を高めることができる。特に管渠2の底部では水深が最も大きく水圧が大きくなるが、本発明によれば、その底部における水密性を高めることができる。したがって、止水壁6の底部と管渠2の内周面2aの底部との間における漏水を防ぐことができ、この結果、管渠2内における点検乃至補修作業の作業効率を向上させることができる。
前記止水方法をさらに説明すると、止水壁装置1を管渠2内に固定するためには、まず、止水壁6を管渠2の下半分の位置に設置する。なお、図8に示しているように、止水壁6の中心Caを管渠2の中心Cと一致させると、シール部材9の外周面が管渠2の内周面2aに一致するので、シール部材9は圧縮変形していない。そして、止水壁6を管渠2の内周面2a上に置き、固定バンド17の長手方向の一方側の端部17aを、止水壁6に固定されたバンド受け部からなるバンド連結部18aに差し込み、固定バンド17の長手方向の他方側の端部17bを、バンド連結部18bを介して止水壁6に連結する。そして、長手方向中央部が管渠2の中心C側に凹んだ状態になっていた固定バンド17の当該中央部を上昇させるようにすればよい。これにより、固定バンド17(図8)は管渠2の内周面2aの上半分に沿ったアーチ型に弾性変形し(図9)、この状態が保持される。
さらに、図9の状態では、固定バンド17に周方向の圧縮力が作用することによって、当該固定バンド17の長手方向両端部17a,17bが止水壁6の幅方向両端部6a,6bを下方へ押し込み、その押し込み力によってシール部材9が圧縮変形し、止水壁6の中心Caは、管渠2の中心Cから所定の寸法だけ下方へ下がった状態となる。これによってシール部材9が管渠2の内周面2aに対して圧着される。
なお、シール部材9の圧縮変形量が不足する場合(特に底部Bにおいて)、前記バンド連結部18bが有する長さ調整部20によって、固定バンド17の長手方向端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの上下方向の距離を大きくするように変更する。これにより、止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げ進めることができ、特に底部Bにおいて、シール部材9の圧縮変形量を多くすることができ、管渠2の内周面2aに対するシール部材9の圧着力を強めることができる。
さらに、管渠2の内周面2a形状(内周長さ)に多少のばらつきがあっても、前記長さ調整部20によって、固定バンド17の長手方向端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの上下方向の距離を変更することで、前記ばらつきを吸収して止水壁6の幅方向両端部6a,6bを押し下げることができ、シール部材9を管渠2の内周面2aに圧着させることができる。
また、第一実施形態に係る止水壁6の場合(図3)、止水壁6は樹脂製からなるため、軽量であり搬送が容易であり、また、管渠2内での止水壁6の取り扱いが容易である。しかし、止水壁6が軽量であることから、管渠2内への設置の際に水流(水圧)によって不安定となることがあるが、第一止水板11と第二止水板12との間の空間Wに水を溜めることにより、止水壁6の重量を大きくすることができ、水流に抗して止水壁6を安定させることができる。
さらに、各実施形態の止水壁装置1によれば、止水壁6に下向きの荷重を加えるために固定バンド17を弾性変形させると、管渠2の内周面に沿ったアーチ型になるので、固定バンド17の厚さ分だけ管渠2の内空断面が侵されはするものの、作業員が止水壁6を跨いで施工区間に出入りする際に当該固定バンド17が邪魔になることがない。
一方、止水壁装置1の管渠2に対する固定を解除するには、管渠2の内周面2aに沿ってアーチ型に保持されている固定バンド17(図9)に対して、そのハンドル部19を下方に引っ張って固定バンド17のアーチ形状を崩し(図8)、この状態で、当該固定バンド17の長手方向端部17a,17bをバンド連結部18a,18bから取り外せばよい。このように、固定バンド17のハンドル部19を下方に引っ張るだけで、その固定バンド17のアーチ形状が崩れて同バンド17による突っ張り力を解除できるので、止水壁6の取り外し作業が極めて簡便であるという利点もある。
〔他の長さ調整部〕
図10は、バンド連結部18bが有している長さ調整部の変形例を示している説明図である。この長さ調整部20aも、図5に示した長さ調整部20と同様に、固定バンド17の長手方向端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの上下方向の距離を変更可能とする機能を有している。具体的に説明すると、止水壁6の上部(例えば図6の上フランジ部32)に取り付け板21aが固定され、この取り付け板21aに固定されたナット24aにねじ軸22aが螺合している。一方、固定バンド17の端部17bに取り付け部材23aが固定されていて、ねじ軸22aがその先端において取り付け部材23を下方から支持している。ねじ軸22aは、作業員が手動によって回転させる円盤部25aを有していて、ねじ軸22aを回転させることによって、ねじ軸22aは取り付け部材23aを押し上げ、前記取り付け部材23aを取り付け板21aから離反させることができる。この回転操作によって、固定バンド17の端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの上下方向の距離を変更することができ、固定バンド17による止水壁6の管渠2の内周面2aへの押しつけ力の調整を行うことができる。
また、図11は、長さ調整部のさらに別の変形例を示している説明図である。この長さ調整部20bも、図5に示した長さ調整部20と同様に、固定バンド17の長手方向端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの上下方向の距離を変更可能とする機能を有している。具体的に説明すると、止水壁6の上部に取り付け板21bが固定され、固定バンド17の端部17bに取り付け部材23bが固定されていて、この取り付け部材23bに前記ねじ軸22bが螺合するナット24bが固定されている。ねじ軸22bは取り付け板21bと取り付け部材23b(ナット24b)との間に介在している。ねじ軸22bは、作業員が工具によって回転させるための六角形状となっている操作部25bを有していて、この操作部25によってねじ軸22bを回転させることによって、ねじ軸22bは取り付け部材23bを押し上げ、前記取り付け部材23bを取り付け板21bから離反させることができる。
また、本発明は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。シール部材9の断面高さtは、無負荷時においてシール部材9の外周面が管渠2の内周面2aと、ほぼ一致する断面高さに設定されていればよく、前記実施形態では、シール部材9の厚さを15mmとしてシール部材9の外周面が管渠2の内周面2aと完全に一致する場合を説明したが、ほぼ一致させるために例えばシール部材9の厚さを16mm等としてもよい。
また、シール部材9は断面が矩形の平板形状である以外に、管渠2の内周面2aに接触する側に突起を有していてもよい。
また、例えば図5の実施形態において、ねじ軸22を止水壁6の幅方向端部6bに取り付けた場合を説明したが、これとは反対にねじ軸22を固定バンド17側に取り付けてもよい。すなわち、本発明の長さ調整部は、ねじ軸が、固定バンド17の長手方向端部17bと止水壁6の幅方向端部6bとの内の一方に設けられていて、前記ねじ軸の回転に伴って上下動する取り付け部材が、長手方向端部17bと幅方向端部6bとの内の他方に設けられていればよい。
なお、本発明の止水壁6は、内径がφ800mm〜φ2000mmの管渠2に適用することができ、その内径寸法に応じて止水壁6の大きさを設定して製造すればよい。また、本実施形態の止水壁6は内径が600mmのマンホールからでも資材搬入が可能となるように寸法設計されている。つまり、止水壁6の高さを500mm以下としている。
本発明の止水壁装置を示している。 下水道の管渠内に構築された仮設水路装置を示している。 止水壁装置を説明する正面図である。 止水壁装置が備えている止水壁の平面図である。 長さ調整部の説明図である。 止水壁装置の第二実施形態を説明する正面図である。 図6の止水壁装置が備えている止水壁の平面図である。 止水壁を説明するための説明図である。 止水壁を説明するための説明図である。 長さ調整部の変形例を示している説明図である。 長さ調整部のさらに別の変形例を示している説明図である。 従来の止水壁装置が管渠内に固定された状態を示している説明図である。
符号の説明
1 止水壁装置
2 管渠
2a 内周面
3 仮設水路装置
5 バイパス管路
6 止水壁
6a 幅方向端部
6b 幅方向端部
7 通水口
8 固定手段
9 シール部材
11 第一止水板
12 第二止水板
13 外周壁板
16 止水壁の外周面
17 固定バンド
17a 端部
17b 端部
18b バンド連結部
20,20a,20b 長さ調整部
22,22a,22b ねじ軸
23,23a,23b 取り付け部材
g 間隔
t シール部材の圧縮変形前の断面高さ
Δtb 底部における圧縮変更量
Δts1,Δts2 幅方向両側部における圧縮変更量
B 底部
R 管渠の曲率半径
Ra 止水壁の曲率半径
S1,S2 側部
W 空間

Claims (11)

  1. 横断面円形の管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された円弧による外周輪郭形状を有する止水壁と、
    この止水壁の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材と、
    前記止水壁の表裏方向を貫通する通水口と、
    前記止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって前記管渠の内周面に圧着させる固定手段とを備えている管渠の止水壁装置において、
    圧縮変形前の前記シール部材は、周方向に均一の断面高さを有しており、
    記固定手段が前記止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、当該止水壁の底部における当該シール部材の圧縮変更量、当該止水壁の幅方向側部における当該シール部材の圧縮変更量よりも大きくするために、前記止水壁の前記円弧による外周輪郭形状を構成する曲率半径は、前記管渠の曲率半径から、圧縮変形前の前記シール部材の前記断面高さを除いた値に設定され、前記固定手段は、前記止水壁の前記円弧の中心を、前記管渠の中心に対して底側に偏心させて当該止水壁を固定することを特徴とする管渠の止水壁装置。
  2. 前記シール部材の断面高さは、無負荷時において当該シール部材の外周面が前記管渠の内周面とほぼ一致する断面高さに設定されている請求項1に記載の管渠の止水壁装置。
  3. 前記止水壁は、前記水流を堰き止めることができる大きさに形成された上流側の第一止水板および下流側の第二止水板と、これら第一止水板と第二止水板との間に水が溜まる空間が形成されるように両止水板を底部から幅方向両側部に向けて連結している外周壁板とを有している請求項1または2に記載の管渠の止水壁装置。
  4. 前記固定手段は、前記管渠の内周長さと前記止水壁の外周長さとの差にほぼ等しい長さを有する弾性変形自在な固定バンドと、この固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部とを上下方向で連結しているバンド連結部と、を有し、
    前記バンド連結部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との上下方向の距離を変更可能とする長さ調整部を有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の管渠の止水壁装置。
  5. 前記長さ調整部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との内の一方に軸方向を上下方向とし回転自在に設けられたねじ軸と、当該長手方向端部と当該幅方向端部との内の他方に設けられ前記ねじ軸の回転に伴って上下動する取り付け部材とを有している請求項4に記載の管渠の止水壁装置。
  6. 管渠内の施工区間の上流側と下流側とにそれぞれ配置された請求項1〜5のいずれか一項に記載の止水壁装置と、この止水壁装置の止水壁に設けられた通水口同士を互いに連結するバイパス管路と、を備えていることを特徴とする仮設水路装置。
  7. 前記バイパス管路は、その中心軸線が湾曲可能となる程度の可撓性を有するホース部材よりなる請求項6に記載の仮設水路装置。
  8. 圧縮変形可能なシール部材が外周面に沿って設けられた止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって横断面円形の管渠の内周面下部に圧着させ、前記管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めるようにした管渠の止水方法であって、
    前記シール部材を前記管渠の内周面下部に圧着させることで当該シール部材を圧縮変形させる前、当該シール部材は周方向に均一の断面高さを有しており、
    前記止水壁の底部における前記シール部材の圧縮変形量が、当該止水壁の幅方向側部における前記シール部材の圧縮変形量よりも大きくなるように、前記止水壁の幅方向両端部を押し下げ、下記に定義する曲率半径に設定された円弧による外周輪郭形状を有する前記止水壁の当該円弧の中心を、前記管渠の中心に対して底側に偏心させて当該止水壁を固定することを特徴とする管渠の止水方法。
    曲率半径:前記管渠の曲率半径から、圧縮変形前の前記シール部材の周方向に均一である前記断面高さを除いた値
  9. 横断面円形の管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された止水壁と、
    この止水壁の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材と、
    前記止水壁の表裏方向を貫通する通水口と、
    前記止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって前記管渠の内周面に圧着させる固定手段とを備えている管渠の止水壁装置において、
    前記シール部材は、前記固定手段が前記止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、当該止水壁の底部における当該シール部材の圧縮変更量が、当該止水壁の幅方向側部における当該シール部材の圧縮変更量よりも大きくなる断面高さに設定され、
    前記止水壁は、前記水流を堰き止めることができる大きさに形成された上流側の第一止水板および下流側の第二止水板と、これら第一止水板と第二止水板との間に水が溜まる空間が形成されるように両止水板を底部から幅方向両側部に向けて連結している外周壁板とを有していることを特徴とする管渠の止水壁装置。
  10. 横断面円形の管渠の断面下部を流れる水流を堰き止めることができる大きさに形成された止水壁と、
    この止水壁の外周面に沿って設けられた圧縮変形可能なシール部材と、
    前記止水壁の表裏方向を貫通する通水口と、
    前記止水壁の幅方向両端部を押し下げることにより、前記シール部材をその全長にわたって前記管渠の内周面に圧着させる固定手段とを備えている管渠の止水壁装置において、
    前記シール部材は、前記固定手段が前記止水壁の幅方向両端部を押し下げた時に、当該止水壁の底部における当該シール部材の圧縮変更量が、当該止水壁の幅方向側部における当該シール部材の圧縮変更量よりも大きくなる断面高さに設定され、
    前記固定手段は、前記管渠の内周長さと前記止水壁の外周長さとの差にほぼ等しい長さを有する弾性変形自在な固定バンドと、この固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部とを上下方向で連結しているバンド連結部と、を有し、
    前記バンド連結部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との上下方向の距離を変更可能とする長さ調整部を有していることを特徴とする管渠の止水壁装置。
  11. 前記長さ調整部は、前記固定バンドの長手方向端部と前記止水壁の幅方向端部との内の一方に軸方向を上下方向とし回転自在に設けられたねじ軸と、当該長手方向端部と当該幅方向端部との内の他方に設けられ前記ねじ軸の回転に伴って上下動する取り付け部材とを有している請求項10に記載の管渠の止水壁装置。
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