JP5518410B2 - 軟質金属混合ショットピーニング用粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、軟質金属と鋼球を混合したショットピーニング用混合粉末に関するものである。
摺動部の潤滑は油などの液体潤滑剤を使用して行われることが多いが、設計上の理由により液体潤滑剤を使用することができない場合や、真空中において使用されるなどのように使用環境における制約がある場合、固体潤滑剤が用いられる。また、近年、エネルギー問題への社会的要請が高まるにつれて、自動車用のエンジンやトランスミッションに使用される摺動部材のさらなる摩擦低減が求められている。
そのため摺動部に使用される液体潤滑材の摩擦抵抗を低減するために粘性の低いものが使用される傾向にあり、摺動部における潤滑材の厚みが薄くなり、摺動部材同士が接触する可能性のある境界潤滑環境で使用される軸受が増加しているため、境界潤滑環境下でも高い摺動性を持った、剥離寿命の長い部材の開発が必要とされており、固体潤滑剤で摺動部を被覆することが行われている。
この摺動部材への固体潤滑剤の被覆方法として、例えば特開2002−161371号公報(特許文献1)、および特開2004−255522号公報(特許文献2)にあげられるように、亜鉛や錫などの軟質金属粉末と二硫化モリブデンといった固体潤滑剤粉末の混合粉末や、鋼球と固体潤滑材である二硫化モリブデン粉末の混合粉末を焼結体にショットピーニングを行なう方法が開示されている。
特許文献1においては、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤粉末が軟質金属中に分散した被膜を形成することで、従来、密着強度が低かった固体潤滑剤単体の被膜の密着性を改善しているため、固体潤滑剤の潤滑性を保ったまま、耐久性の高い被膜を形成できるとしている。また、特許文献2においては、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤粉末が鋼球の衝突エネルギーによって、より焼結体内部に浸透させることができるとしている。
また、特開2007−10059号公報(特許文献3)においては、軟質金属粉末もしくは固体潤滑剤粉末単体をショットピーニングする成膜技術が開示されており、摺動面に形成する被膜の被覆面積、厚み、表面粗さを制御することで摩擦係数が小さく、優れた摺動性能を有する摺動部材ができるとしている。
また、[トライボロジー会議 2007年春 予稿集 第123〜124頁「固体潤滑剤ショットコーティングによる転がり軸受の長寿命化」](非特許文献1)にあげられるように、錫もしくは亜鉛の軟質金属粉末を摺動部材にショットピーニングし、軟質金属被膜を形成することで摺動部材の摩擦係数を低減させる技術が開示されている。
特開2002−161371号公報 特開2004−255522号公報 特開2007−10059号公報 [トライボロジー会議 2007年春 予稿集 第123〜124頁「固体潤滑剤ショットコーティングによる転がり軸受の長寿命化」]
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、錫や鉛などの軟質金属粉末と二硫化モリブデンや黒鉛などの固体潤滑剤の粒体を均質に混合することは互いの密度が大きく異なるため非常に困難で、摺動面に均質に固体潤滑剤が分散された被膜を得ることが難しく、また、膜の密着性、付着効率が悪いため十分な摺動性が得られない場合がある。
また、特許文献2に記載の技術においても、鋼球と二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤の粒体を均質に混合することは互いの密度が大きく異なるため非常に困難で、鋼球による固体潤滑材の浸透効果を得ることが難しい。特許文献3、非特許文献1に記載の技術では、摺動面の固体潤滑被膜が強度が低い錫や亜鉛などの軟質金属であるため密着性、耐摩耗性が低く、長時間の使用に膜が耐えられない可能性がある。
上述したような問題を解消するために発明者らは鋭意開発を進めた結果、圧縮残留応力を付与するために使用されている鋼球にSnからなる軟質固体潤滑粉末を混合した後、この混合粉末を用いてショットピーニングを行うことで軟質固体潤滑粉末を摺動性を持った軟質金属皮膜を効率よく付着すると同時に、摺動面を成す基材との密着性を高めることができる。
その発明の要旨とするところは、
(1)ビッカース硬さ800〜1500HVなる鋼球とSnからなる軟質固体潤滑粉末を混合し、その軟質固体潤滑粉末の混合割合が5〜50質量%であることを特徴とするショットピーニング用混合粉末にある。
以上述べたように、本発明による球状などの高硬度ショットピーニング用粉末とSnからなる軟質固体潤滑粉末を混合した後、この混合粉末でショットピーニングを行うことで軟質固体潤滑粉末を摺動性を持った軟質金属皮膜を効率よく付着すると同時に、摺動面を成す基材との密着性を高めることができる極めて優れた効果を奏するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、鋼球とSnからなる軟質固体潤滑粉末金属(以下、軟質金属という)を混合し、その軟質金属の混合割合を5〜50質量%とする。すなわち、本発明は両者とも金属であるため比重が近い鋼球に軟質金属を5〜50質量%の割合で混合した混合粉末をショットピーニングすることにより、境界潤滑環境下などの過酷な潤滑環境下で摺動性を発揮する摺動被膜を効率よく形成し、その密着性を高めることができる。しかし、混合割合が5質量%未満では、軟質金属粉末が少なすぎるために充分な軟質金属皮膜を得ることが困難で、逆に50質量%を超えると鋼球による圧着効果が減少するために、膜の密着性が低下することから、その範囲を5〜50質量%とする。好ましくは、10〜40質量%とする。なお、粒度はほぼ等しい鋼球と軟質金属粉末を軟質金属粉末が5〜50質量%となるような割合で混合する。この混合はV型混合機を用いて、30分〜1.5時間混合を行なう。
上述した本発明に係る鋼球としては、粉末ハイス鋼やFe−Cr−B系合金等を掲げることができる。また、軟質金属としては、Snを掲げることができる。また、被処理部材としては、特に摺動部材に適し、ここで摺動部材とは、相手部材と相対的にすべり接触する摺動面を有する部材で、このような摺動部材の具体例としては、円筒面、球面、平面等において接触運動を行う機械部品であって、例えば、自動車のエンジンを構成するカムおよびカムフォロア、ピストンリング、燃料噴射装置、クラック部品や、すべり軸受を構成するすべり部材や転がり軸受けやすべり軸受けのリテーナが挙げられる。
鋼球は、ビッカース硬さ800〜1500HV、平均粒径30〜60μmなる大きさのものを用い、軟質金属粉末も平均粒径30〜60μmなる大きさのものを用いる。ショットピーニング条件は、ショットピーニング装置を用いて圧力0.4〜1.0MPa、噴射時間5〜20分の条件下で加速して噴射することにより、摺動面に軟質金属を形成させるものである。
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。
成分がFe−9Cr−6Bで、平均粒径44μm、ビッカース硬さ1200HVのショットピーニング用鋼球である粉末22.5kgと軟質金属であるSn粉末(平均粒径44μm)を7.5kgをV型混合機を用いて1時間混合して、合計30kg(内、軟質金属が25質量%)の混合粉末を作製した。図1は、混合粉末の走査型電子顕微鏡写真である。この図に示すように、鋼球粉末1中にSn粉末2が分散していることが分かる。この混合粉末をSUJ2製の硬さをHRC60、表面粗さRaを0.1μmとした直径が26mmで厚さが28mmの軸受のコロの表面に、ショットピーニングする。ショットピーニング条件はガス圧力0.6MPa、ショット時間10分で行なった。
ショット後の表面のSn被覆率は表面からEPMA(電子プローブマイクロアナライザ)を用いて、1000倍で5視野観察し、Feに対してSnが25質量%以上となった領域の面積率を平均したところ79%であった。Snの厚みは軸受コロを切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)の倍率5000倍で5視野観察し、各視野6点の測定を行い、平均して求めたところ、1.7μmであった。
平均粒径44μmの全量をSn粉末で同様のショットピーニング条件でショットを行なったところ、Snの被覆率は81%、膜厚1.6μmとほぼ同様の値が得られた。よって、鋼球の衝突エネルギーにより混合粉末はSnの使用量が4分の1であったにも関らず、全量Sn粉末を使用する場合と同様の皮膜を得ることができ、鋼球と比較して高価なSn粉末の消費量を抑えることができ、皮膜形成率で4倍効率よくSn皮膜を形成できた。
また、膜の密着性を評価するために上記SEM用断面試料の皮膜との界面をSEM・EDSにて分析を行い、軸受鋼中へのSnの拡散を測定したところ、混合粉末をショットした軸受鋼ではSnが皮膜界面から0.5μm以下の点でも検出されたが、Sn単体をショットした軸受鋼では0.5μm以下ではSnは検出されなかった。これは、鋼球の衝突エネルギーによって、Sn皮膜が機械的に圧着された効果によるもので、より深くまでSnが拡散した混合粉末の方が膜の密着性が高いと考えられる。
以上のように、鋼球と軟質金属粉末の混合粉末を高速で被処理部材に衝突させることにより、その衝突時に軟質金属粉末表面が被処理部材と凝着を起こし、移着することにより、軟質金属の皮膜が形成される際に、同時に鋼球の衝突エネルギーを加えることで、膜の形成を効率的に行なうと同時に、密着性の高い膜を形成することができる。
その結果、鋼球と軟質金属粉末の混合粉末でショットピーニングを行うと、軟質金属が処理部材に安定して密着性が高い状態で被覆され、潤滑材として働き、低摩擦係数が長期的に持続して、摺動特性が長期的に安定して維持される。また、鋼球粉末の投射により表面硬さが増すと共に、表面に大きな圧縮残留応力が付与されるので、耐摩耗性が十分となるばかりか、疲労強度も向上し、本発明の及ぼす効果は大きい。
混合粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
1 鋼球粉末
2 Sn粉末



特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (1)

  1. ビッカース硬さ800〜1500HVなる鋼球とSnからなる軟質固体潤滑粉末を混合し、その軟質固体潤滑粉末の混合割合が5〜50質量%であることを特徴とするショットピーニング用混合粉末。
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