以下、実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解されるからである。したがって、開示される発明は以下に示す実施の形態の記載内容のみに限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて本発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。また、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、薄膜トランジスタの形態の一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態にかかる薄膜トランジスタの上面図及び断面図を示す。図1(A)に示す薄膜トランジスタは、基板100上にゲート電極層102を有し、ゲート電極層102を覆うゲート絶縁層104を有し、ゲート絶縁層104上に接して非晶質半導体層106を有し、非晶質半導体層106上の一部に接してソース領域及びドレイン領域110を有する。非晶質半導体層106は、ゲート絶縁層104側の非晶質半導体層106aと、ソース領域及びドレイン領域110側の非晶質半導体層106bとを有する。また、ソース領域及びドレイン領域110上に接して配線層112を有する。配線層112はソース電極及びドレイン電極を構成する。配線層112上には、保護層として機能する絶縁層114を有する。また、各層は所望の形状にパターン形成されている。
なお、図1に示す薄膜トランジスタは、液晶表示装置や発光装置等に代表される表示装置の画素部に設けられる画素トランジスタに適用することができる。そのため、図示した例では、絶縁層114に開口部が設けられ、絶縁層114上に画素電極層116が設けられ、画素電極層116と配線層112の一方とが接続されている。
また、ソース電極及びドレイン電極の一方は、U字型(またはコの字型、馬蹄型)の形状で設けられ、これがソース電極及びドレイン電極の他方を囲い込んでいる。ソース電極とドレイン電極との距離はほぼ一定に保たれている(図1(B)を参照)。
薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極を上記した形状とすることで、該薄膜トランジスタのチャネル幅を大きくすることができ、電流量が増大する。また、電気的特性のばらつきを低減することができる。更には、作製工程におけるマスクパターンのずれによる信頼性の低下を抑制することができる。ただし、本実施の形態はこれに限定されず、ソース電極及びドレイン電極の一方は必ずしもU字型でなくともよい。
ここで、本実施の形態の主要な特徴の一つである非晶質半導体層106について説明する。非晶質半導体層106は、薄膜トランジスタのチャネル形成領域として機能する。非晶質半導体層106において、ダングリングボンドを架橋したNH基を有することを特徴とする。非晶質半導体層は、短距離秩序を有し、結晶格子のように構造に一定の繰り返しパターンがない。このため、ダングリングボンドが多く含まれ、当該ダングリングボンドが多く含まれる領域が欠陥となり、キャリアが捕獲される部位となると共に、電気伝導度の低下が生じる。このため、薄膜トランジスタのオン電流及び電界効果移動度の低減の原因となる。しかしながら、本実施の形態の非晶質半導体層106は、当該ダングリングボンドがNH基で架橋され、ダングリングボンドの数が低減している。即ち、欠陥準位が低減している。また、ダングリングボンドをNH基で架橋することにより形成された結合部がキャリアの通路となるため、従来の非晶質半導体層と比較して、電気伝導度が上昇する。この結果、薄膜トランジスタのチャネル形成領域に本実施の形態に示す非晶質半導体層を用いることで、薄膜トランジスタのオン電流及び電界効果移動度を上昇させることができる。
なお、非晶質半導体層のダングリングボンドをNH基で架橋するとは、NH基の異なる結合手が、非晶質半導体層の異なる半導体元素とそれぞれ結合することをいう。このため、N原子の第1の結合手はH原子と結合し、N原子の第2の結合手は第1の半導体原子と結合し、N原子の第3の結合手は第2の半導体原子と結合する。即ち、N原子は、第1の半導体原子、第2の半導体原子、及びH原子と結合する。
なお、本実施の形態では、非晶質半導体層106において、ゲート絶縁層104側の非晶質半導体層106aが、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層であり、ソース領域及びドレイン領域110側の非晶質半導体層106bが、従来のダングリングボンドを架橋したNH基を有さない非晶質半導体層である形態を示す。薄膜トランジスタにおいては、電界効果移動度及びオン電流を上昇させるためには、ゲート絶縁層側の非晶質半導体層において、欠陥が少なく、電気伝導度が高いことが好ましい。このため、少なくとも、非晶質半導体層106aが、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層であることが好ましい。非晶質半導体層106aは、5nm以上60nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下の厚さで形成することが好ましい。また、非晶質半導体層106bは、30nm以上200nm以下の厚さで形成することが好ましい。また、薄膜トランジスタにおいては、オフ電流を低減させるためには、ソース領域及びドレイン領域側の非晶質半導体層を電気伝導度が低い非晶質半導体層で形成することが好ましい。このため、非晶質半導体層106bが、従来のダングリングボンドを架橋したNH基を有さない非晶質半導体層としてもよい。したがって、本実施の形態に示す薄膜トランジスタは、電界効果移動度及びオン電流が高く、オフ電流が低い。
本実施の形態では、非晶質半導体層106を非晶質半導体層106a、非晶質半導体層106bの2層に分けて示したが、非晶質半導体層106を、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体で形成してもよい。即ち、非晶質半導体層106aを形成する非晶質半導体のみで非晶質半導体層106を形成してもよい。ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体は、欠陥準位が低く、キャリアが捕獲されにくい。このため、当該非晶質半導体層を薄膜トランジスタのチャネル形成領域に用いることで、オン電流及び電界効果移動度を高めることが可能である。
なお、ここで酸素または窒素等の不純物元素において、シリコン中にあってキャリアトラップを生成しない不純物元素(例えば、窒素)を選択する。一方、シリコンの配位数を減らし、ダングリングボンドを生成する不純物元素(例えば2配位の酸素)の濃度は低減させる。従って、非晶質半導体層の酸素濃度を低減させるとよい。具体的には、酸素については二次イオン質量分析法によって計測される濃度を5×1018cm−3以下とするとよい。
また、非晶質半導体層の窒素の濃度は、半導体性を保つ濃度であり、且つ電気伝導度が上昇する範囲であることが好ましい。窒素の濃度が高すぎると、半導体性が低下し、絶縁性が増してしまい、チャネル形成領域として機能しない。また、窒素の濃度が低すぎると、従来の非晶質半導体層と同様となり、電気伝導度が上昇しない。
また、上記のような非晶質半導体層に含まれる複数のダングリングボンドを、窒素、代表的にはNH基で架橋すると、キャリアが流れやすくなるモデルについて、以下に示す。
ここでは、図2に示すように、Si原子のダングリングボンドがH原子191で終端された欠陥192を有するシリコン層において、ダングリングボンドのペア1組がO原子193で架橋されたモデル(モデル1)と、図3に示すように、Si原子のダングリングボンドがH原子191aで終端された欠陥192を有するシリコン層において、ダングリングボンドのペア1組がNH基194で架橋されたモデル(モデル2)とのそれぞれにおいて、n型キャリアの伝導に寄与する準位(即ち、伝導帯における最低準位)であるアモルファスシリコン層のLUMO(最低非占有軌道)のシミュレーションを行った。シミュレーション用のソフトウェアとしては、密度汎関数理論を用いた第1原理計算ソフトウェアを用いている。なお、図3において、NH基194は窒素原子195及び水素原子191bで示している。また、線の交点はシリコン原子を示し、線はシリコン原子の結合手を示している。さらに、酸素原子及びNH基の有効性を評価するため、酸素原子またはNH基で架橋されたダングリングボンド以外のダングリングボンドは、全て水素原子で終端した。
モデル1を用いて行った計算の結果について図4に示し、モデル2を用いて行った計算の結果について図5に示す。
図4においては、Si原子をO原子で架橋した領域及びその周辺における波動関数の形状を示しており、領域196及び領域197は、互いに位相が正または負であり、且つ絶対値が等しい領域を示している。図5においては、Si原子をNH基で架橋した領域及びその周辺における波動関数の形状を示しており、領域198及び領域199は、それぞれは位相が正または負であり、且つ絶対値が等しい領域を示している。
図4から、Si原子のダングリングボンドをO原子で架橋した場合は、波動関数の絶対値と位相が等しい領域(例えば、領域196a、196b)が途切れているため、キャリアが流れにくくなっていることが分かる。即ち、アモルファスシリコン層中に酸素が含まれていると、キャリアの移動を妨げる結合ができ、アモルファスシリコン層のキャリア移動度が低下することが分かる。
一方、図5から、Si原子のダングリングボンドをNH基で架橋した場合は、波動関数の絶対値と位相が等しい領域198が、Si原子のダングリングボンドと、当該Si原子に隣接するSi原子のダングリングボンドの両方に繋がっているため、キャリアが流れやすくなっていることがわかる。即ち、アモルファスシリコン層中にNH基が含まれていると、結晶粒界においてキャリアの移動が容易となる結合ができ、アモルファスシリコン層のキャリア移動度が上昇することがわかる。また、薄膜トランジスタの移動度が上昇すると考えられる。
以上のことから、非晶質半導体層において、ダングリングボンドをNH基で架橋することで、当該結合が、キャリアが移動可能な結合となり、非晶質半導体層のキャリア移動度を高めることができる。また、非晶質半導体層の酸素濃度を低減することにより、欠陥におけるキャリアの移動を阻害する結合を低減することができる。
非晶質半導体層において、酸素濃度を低減し、窒素の濃度を制御することで、さらにはNH基を有せしめることで、欠陥を低減し、キャリア移動度を向上させることができる。また、当該非晶質半導体層をチャネル形成領域に用いることで、薄膜トランジスタの電界効果移動度及びオン電流を上昇させることができる。
また、ソース領域及びドレイン領域110を形成する一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体層に、非晶質半導体層106aと同様に、ダングリングボンドがNH基で架橋された非晶質半導体層を用いてもよい。この場合、ダングリングボンドがNH基で架橋された非晶質半導体層にドナーまたはアクセプターとなる不純物元素が含まれる。ソース領域及びドレイン領域110を形成する一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体層において、NH基によりダングリングボンドが架橋されることにより、欠陥を低減し、一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体層のキャリア移動度を高めることが可能である。この結果、抵抗率の低いソース領域及びドレイン領域を形成することができる。
次に、図1に示す薄膜トランジスタの作製方法について説明する。薄膜トランジスタではp型よりもn型の方が、キャリアの移動度が高い。また、同一の基板上に形成する薄膜トランジスタを全て同じ極性に統一すると、工程数を抑えることができるため、好ましい。そのため、本実施の形態では、n型の薄膜トランジスタの作製方法について説明する。
まず、基板100上にゲート電極層102を形成する(図6(A)を参照)。
基板100としては、絶縁表面を有する基板が好ましく、代表的には、ガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、基板に透光性を要しない場合には、ステンレス合金等の金属の基板の表面に絶縁層を設けたものを用いてもよい。ガラス基板としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板を用いるとよい。基板100がマザーガラスの場合には、第1世代(例えば、320mm×400mm)から第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(例えば、2200mm×2400mm)のものを用いることができるのみならず、第9世代(例えば、2400mm×2800mm)、第10世代(例えば、2950mm×3400mm)のものをも用いることができる。
ゲート電極層102は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層でまたは積層して形成することができる。アルミニウムを用いる場合には、タンタルを添加して合金化したAl−Ta合金を用いるとヒロックが抑制されるため、好ましい。また、ネオジムを添加して合金化したAl−Nd合金を用いると、抵抗を低減しつつヒロックを抑制することができるため、更に好ましい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体層やAgPdCu合金を用いてもよい。例えば、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された二層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した二層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した二層構造とすることが好ましい。電気的抵抗が低い層上にバリア層として機能する金属層が積層されることで、電気的抵抗が低く、且つ金属層から非晶質半導体層への金属元素の拡散を防止することができる。または、窒化チタン層とモリブデン層とから構成される二層の積層構造、または厚さ50nmのタングステン層と厚さ500nmのアルミニウムとシリコンの合金からなる層と厚さ30nmの窒化チタン層とを積層した三層の積層構造としてもよい。また、三層の積層構造とする場合には、第1の導電層のタングステン層に代えて窒化タングステン層を用いてもよいし、第2の導電層のアルミニウムとシリコンの合金からなる層に代えてアルミニウムとチタンの合金からなる層を用いてもよいし、第3の導電層の窒化チタン層に代えてチタン層を用いてもよい。例えば、アルミニウム−ネオジム合金からなる層上にモリブデン層を積層して形成すると、耐熱性に優れ、且つ電気的に低抵抗な導電層を形成することができる。
ゲート電極層102は、基板100上に、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて上記した材料により導電層を形成し、該導電層上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法等によりマスクを形成し、該マスクを用いて導電層をエッチングして形成することができる。また、銀、金または銅等の導電性ナノペーストをインクジェット法により基板上に吐出し、焼成することで形成することもできる。なお、ゲート電極層102と、基板100との密着性向上及び下地への拡散を防ぐバリアメタルとして、上記の金属材料の窒化物層を、基板100と、ゲート電極層102との間に設けてもよい。ここでは、基板100上に導電層を形成し、フォトマスクを用いて形成したレジストマスクによりエッチングする。
なお、ゲート電極層102の側面は、テーパー形状とすることが好ましい。ゲート電極層102上には、後の工程で非晶質半導体層及び配線層を形成するので、段差の箇所における配線切れ防止のためである。ゲート電極層102の側面をテーパー形状にするためには、レジストマスクを後退させつつエッチングを行えばよい。例えば、エッチングガスに酸素ガスを含ませることでレジストマスクを後退させつつエッチングを行うことが可能である。
また、ゲート電極層102を形成する工程によりゲート配線(走査線)も同時に形成することができる。更には、画素部が有する容量線も同時に形成することができる。なお、走査線とは画素を選択する配線をいい、容量線とは画素の保持容量の一方の電極に接続された配線をいう。ただし、これに限定されず、ゲート配線及び容量配線の一方または双方と、ゲート電極層102とは別に設けてもよい。
次に、ゲート電極層102を覆ってゲート絶縁層104を形成する(図6(B)を参照)。ゲート絶縁層104は、CVD法またはスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層または窒化酸化シリコン層を単層でまたは積層して形成することができる。また、ゲート絶縁層104は、CVD法を用いて形成する場合、3MHzから30MHz、代表的には13.56MHz、27.12MHzの高周波電力、または30MHzより大きく300MHz程度までの高周波電力、代表的には60MHzの高周波電力を用いたプラズマCVD法を用いて形成することができる。また、ゲート絶縁層104は、高周波数(1GHz程度)のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて形成することが好ましい。マイクロ波プラズマCVD装置を用いてゲート絶縁層104を形成すると、ゲート電極と、ドレイン電極及びソース電極との間の耐圧を向上させることができるため、信頼性の高い薄膜トランジスタを得ることができる。また、ゲート絶縁層104を酸化窒化シリコン層により形成することで、トランジスタの閾値電圧の変動を抑制することができる。
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。ただし、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
次に、非晶質半導体層106の形成方法について説明する。非晶質半導体層106は、5nm以上60nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下の厚さで形成するとよい。
また、上記したように、非晶質半導体層106は、ダングリングボンドがNH基で架橋されている。NH基によってダングリングボンドが架橋された非晶質半導体層106は、例えば、酸素濃度を低くし、窒素濃度を酸素濃度よりも高くして、非晶質半導体層を形成することで得られる。ここで、窒素濃度は酸素濃度よりも一桁以上高いことが好ましい。より具体的には、ゲート絶縁層104と非晶質半導体層106の界面における、二次イオン質量分析法によって計測される酸素の濃度を5×1018cm−3以下とする。また、酸素濃度を低く抑えて、窒素濃度を酸素濃度よりも高くして形成する手段としては、以下に示すものが挙げられる。
酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする異なる手段の一は、非晶質半導体層106の形成直前の処理室内に、多量の窒素を存在させることである。非晶質半導体層を形成する直前の処理室内に多量の窒素を存在させるためには、ゲート絶縁層104の形成後、非晶質半導体層106の形成前に、ゲート絶縁層104の表面に窒素を含むガス(代表的には、アンモニア、クロロアミン、フルオロアミン等のNH結合を有するガス、窒素ガス等)を吹きかけ、処理室及びゲート絶縁層104に窒素を吸着させればよい。更には、処理室内に窒素を含むガスを導入した後、プラズマを発生させてもよい。
または、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする異なる手段の一は、非晶質半導体層106に接するゲート絶縁層104に、高濃度に窒素を含ませることである。ゲート絶縁層104に高濃度に窒素を含ませるために、ゲート絶縁層104を窒化シリコン層により形成する。さらには、窒化シリコン層の原料として窒素を有するガス(代表的には、アンモニア、クロロアミン、フルオロアミン等のNH結合を有するガス、窒素ガス等)を用い、当該ガスを処理室内に導入させるとよい。なお、この手段については実施の形態2にて説明する。
または、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする異なる手段の一は、非晶質半導体層106の形成に用いる処理室(チャンバー)の内壁を、高濃度に窒素を含む層により覆うことである。高濃度に窒素を含む層として、例えば窒化シリコン層が挙げられる。さらには、窒化シリコン層の原料として窒素を含有するガス(代表的には、窒素ガス、アンモニア、クロロアミン、フルオロアミン等のNH結合を有するガス等)を用い、当該ガスを処理室内に吸着させるとよい。なお、処理室(チャンバー)内壁を覆う高濃度に窒素を含む層は、ゲート絶縁層104と同時に形成することで、工程の簡略化ができるため好ましい。また、この場合には、ゲート絶縁層104の形成に用いる処理室(チャンバー)と非晶質半導体層106の形成に用いる処理室(チャンバー)が同一のものとなるため、装置が小型化される。なお、この手段については実施の形態3にて説明する。
または、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする異なる手段の一は、非晶質半導体層106の形成に用いるガスに含まれる酸素の濃度を低く抑え、窒素の濃度を高くすることである。さらには、窒素を含有するガス(代表的には、アンモニア、クロロアミン、フルオロアミン等のNH結合を有するガス、窒素ガス)を用いるとよい。なお、この手段については実施の形態4にて説明する。
または、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする異なる手段の一は、非晶質半導体層106の形成に用いるガスに含まれる酸素の濃度を低く抑えて、非晶質半導体層を形成した後、非晶質半導体層に窒素を添加することである。代表的には、非晶質半導体層を形成した後、処理室内に窒素を含むガス(代表的には、アンモニア、クロロアミン、フルオロアミン等のNH結合を有するガス、窒素ガス及び水素ガスの混合ガス等)を導入し、プラズマを発生させて、非晶質半導体層中にNH結合を形成させ、ダングリングボンドをNH基で架橋する。なお、この手段については実施の形態5にて説明する。
なお、本実施の形態では上記手段の一を用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。本実施の形態では、ゲート絶縁層104は窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層を積層した構造とし、処理室内に窒素を含有するガス(ここではアンモニア)を供給し、ゲート絶縁層104を窒素を含有するガスに曝すことで、処理室及びゲート絶縁層104に窒素を吸着させる(図6(C)を参照)。
ここで、ゲート絶縁層104、非晶質半導体層106並びにソース領域及びドレイン領域110の形成の一例について詳細に説明する。これらの層はCVD法等を用いて形成する。また、ゲート絶縁層104は、窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層を設けた積層構造とする。このような構造とすることで、窒化シリコン層により基板中に含まれる電気的特性に影響を及ぼす元素(基板がガラスである場合にはナトリウム等の元素)が、非晶質半導体層106等に侵入することを防止することができる。図9は、これらを形成するに際して用いるCVD装置の模式図を示す。
図9に示すプラズマCVD装置161は、ガス供給手段150及び排気手段151に接続されている。
図9に示すプラズマCVD装置161は、処理室141と、ステージ142と、ガス供給部143と、シャワープレート144と、排気口145と、上部電極146と、下部電極147と、交流電源148と、温度制御部149と、を具備する。
処理室141は剛性のある素材で形成され、内部を真空排気できるように構成されている。処理室141には、上部電極146と下部電極147が備えられている。なお、図9では、容量結合型(平行平板型)の構成を示しているが、異なる二以上の高周波電力を印加して処理室141の内部にプラズマを生成できるものであれば、誘導結合型など他の構成を適用してもよい。
図9に示すプラズマCVD装置により処理を行う際には、所定のガスをガス供給部143から供給する。供給されたガスは、シャワープレート144を通って、処理室141に導入される。上部電極146と下部電極147に接続された交流電源148により、高周波電力が印加されて処理室141内のガスが励起され、プラズマが生成される。また、真空ポンプに接続された排気口145によって、処理室141内のガスが排気されている。また、温度制御部149によって、被処理物を加熱しながらプラズマ処理することができる。
ガス供給手段150は、反応ガスが充填されるシリンダ152、圧力調整弁153、ストップバルブ154、マスフローコントローラ155などで構成されている。処理室141内において、上部電極146と基板100との間には、板状に加工され、複数の細孔が設けられたシャワープレート144を有する。上部電極146の内部は中空構造を有し、上部電極146に供給される反応ガスは、上部電極146の内部を経て、シャワープレート144の細孔から処理室141内に供給される。
処理室141に接続される排気手段151は、真空排気と、反応ガスを流す場合において処理室141内を所定の圧力に保持するように制御する機能が含まれている。排気手段151の構成としては、バタフライバルブ156、コンダクタンスバルブ157、ターボ分子ポンプ158、ドライポンプ159などが含まれる。バタフライバルブ156とコンダクタンスバルブ157を並列に配置する場合には、バタフライバルブ156を閉じてコンダクタンスバルブ157を動作させることで、反応ガスの排気速度を制御して処理室141の圧力を所定の範囲に保つことができる。また、コンダクタンスの大きいバタフライバルブ156を開くことで高真空排気が可能となる。
なお、処理室141を10−5Paよりも低い圧力まで超高真空排気する場合には、クライオポンプ160を併用することが好ましい。その他、到達真空度として超高真空まで排気する場合には、処理室141の内壁を鏡面加工し、内壁からのガス放出を低減するためにベーキング用のヒータを設けても良い。
なお、図9に示すように、処理室141の全体を覆って層が形成(被着)されるようにプレコート処理を行うと、処理室(チャンバー)内壁に付着した不純物元素、または処理室(チャンバー)内壁を構成する元素が被処理物(素子)に混入することを防止することができる。本実施の形態では、プレコート処理を行ってシリコン層を形成すればよく、例えば、非晶質シリコン層等を形成すればよい。ただし、この層には酸素が含まれないことが好ましい。
ゲート絶縁層104の形成から一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109(不純物半導体層ともいう。)の形成までについて、図10を参照して以下に説明する。なお、ゲート絶縁層104は、窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層を積層して形成する。
まず、ゲート電極層102が形成された基板をCVD装置の処理室141内にて加熱し、窒化シリコン層を形成するために、窒化シリコン層の堆積に用いる材料ガスを処理室141内に導入する(図10の予備処理401)。ここでは、一例として、SiH4の流量を40sccm、H2の流量を500sccm、N2の流量を550sccm、NH3の流量を140sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室141内の圧力を100Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力370Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの窒化シリコン層を形成する。その後、SiH4の導入のみを停止して数秒後にプラズマの放電を停止させる(図10のSiN形成402)。処理室内にSiH4が存在する状態でプラズマの放電を停止させると、シリコンを主成分とする粒状物または粉状物が形成され、歩留まりを低下させる原因となるためである。なお、SiN形成402において、窒化シリコン層の堆積に用いる材料ガスとして、N2またはNH3の少なくとも一方を用いればよい。
なお、処理室内に導入するガスの流量は、処理室の容積に応じて適宜設定することが好ましい。
次に、窒化シリコン層の堆積に用いた材料ガスを排気し、酸化窒化シリコン層の形成に用いる材料ガスを処理室141内に導入する(図10のガス置換403)。ここでは、一例として、SiH4の流量を30sccm、N2Oの流量を1200sccmとし、材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を40Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力50Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの酸化窒化シリコン層を形成する。その後、窒化シリコン層と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図10のSiON形成404)。
上記の工程により、窒化珪素層及び酸化窒化珪素層が積層されたゲート絶縁層104を形成することができる。ゲート絶縁層104の形成後、基板100を処理室141から搬出する(図10のunload405)。
基板100を処理室141から搬出した後、処理室141に、例えばNF3ガスを導入し、処理室141内をクリーニングする(図10のクリーニング処理406)。その後、処理室141に非晶質シリコン層を形成する処理を行う(図10のプレコート処理407)。この処理は、後に説明する非晶質半導体層105の形成と同様に行うが、水素は処理室141内に導入してもよいし、導入しなくてもよい。この処理により、処理室141の内壁に非晶質シリコン層が形成される。または、窒化シリコン層によりプレコート処理を行ってもよい。この場合の処理は、ゲート絶縁層104を形成する処理と同様である。その後、基板100を処理室141内に搬入する(図10のload408)。
次に、処理室内及びゲート絶縁層104に窒素を吸着させるために、窒素を含有するガスを処理室に供給する(ここでは、フラッシュ処理という。)。ここでは、ゲート絶縁層104の表面をアンモニアガスに曝すことで窒素を吸着させる(図10のフラッシュ処理409)。また、アンモニアガスには水素ガスを含ませてもよい。または、アンモニアガスの代わりに窒素ガス及び水素ガスを用いてもよい。または、アンモニアガス及び窒素ガスを用いてもよい。ここでは、一例として、処理室141内の圧力は概ね20Pa〜30Pa、基板の温度は280℃とし、処理時間は60秒間とするとよい。また、フラッシュ処理の後に、処理室内を減圧または加圧して圧力を制御して、処理室141内の窒素の量を制御してもよい。なお、本工程の処理ではアンモニアガスに曝すのみであるが、プラズマ処理を行ってもよい。その後、これらのガスを排気し、非晶質半導体層105の形成に用いる材料ガスを処理室141内に導入する(図10のガス置換410)。
次に、窒素が吸着されたゲート絶縁層104上の全面に非晶質半導体層105a、105bを積層して非晶質半導体層105を形成する。非晶質半導体層105a、105bは、後の工程でパターン形成されて非晶質半導体層106a、106bとなるものである。まず、非晶質半導体層105a、105bの堆積に用いる材料ガスを処理室141内に導入する。ここでは、一例として、SiH4の流量を280sccm、H2の流量を300sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmの非晶質半導体層105a、ここではアモルファスシリコン層を形成することができる。当該工程において、フラッシュ処理により処理室内及びゲート絶縁層104に吸着されたアンモニアガスがプラズマ放電により分解され、NH基が生成される。また、非晶質半導体層が堆積される際に、非晶質半導体層に含まれる異なるダングリングボンドをNH基によって架橋することができる。なお、処理室に窒素を含有するガスとして、窒素ガスを導入した場合は、プラズマ放電により、当該窒素ガスと、非晶質半導体層の原料ガスである水素ガスとが反応しNH基を生成する。また、当該NH基が非晶質半導体層に含まれる異なるダングリングボンドを架橋する。
なお、処理室内の窒素を含むガス、ここではアンモニアガスが非晶質半導体層105aの生成に消費された後は、非晶質半導体層105bが形成される。非晶質半導体層105bを形成した後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図10のa−Si層形成411)。その後、これらのガスを排気し、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の堆積に用いるガスを導入する(図10のガス置換414)。
本実施の形態において、非晶質半導体層を形成する前に、処理室に窒素を含有するガスが供給されている。プラズマ放電を行うことで、窒素を含有するガスからNH基が形成される。また、上記したように、NH基はアモルファスシリコン層に含まれるダングリングボンドを架橋する。このため、窒素を含有するガスを供給した処理室において、ゲート絶縁層104上に非晶質半導体層105aを形成することで、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
次に、非晶質半導体層105上の全面に一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109を形成する。一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109は、後の工程でパターン形成されてソース領域及びドレイン領域110となるものである。まず、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の堆積に用いる材料ガスを処理室141内に導入する。ここでは、一例として、SiH4の流量を100sccm、PH3をH2により0.5vol%まで希釈した混合ガスの流量を170sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室141内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmの一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109として、リンを含むアモルファスシリコン層を形成することができる。その後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図10の不純物半導体層形成415)。その後、これらのガスを排気する(図10の排気416)。
なお、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109として、非晶質半導体層106と同様に、ダングリングボンドをNH基で架橋した半導体層を用いてもよい。この場合、非晶質半導体層106の形成方法において、PH3をH2により0.5vol%まで希釈した混合ガスを用いることで、ダングリングボンドがNH基で架橋され、且つ一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層を形成することができる。
また、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の原料ガスとして、シランガスでPH3を希釈した混合ガスを用いてもよい。
以上説明したように、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109までを形成することができる(図7(A)を参照)。
次に、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109上に導電層111を形成する。
導電層111は、アルミニウム、銅、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデン、クロム、タンタル若しくはタングステン等により単層で、または積層して形成することができる。または、ヒロック防止元素が添加されたアルミニウム合金(ゲート電極層102に用いることができるアルミニウム−ネオジム合金等)により形成してもよい。一導電型を付与する不純物元素を添加した結晶性シリコンを用いてもよい。一導電型を付与する不純物元素が添加された結晶性シリコンと接する側の層を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステンまたはこれらの元素の窒化物により形成し、その上にアルミニウムまたはアルミニウム合金を形成した積層構造としても良い。更には、アルミニウムまたはアルミニウム合金を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステンまたはこれらの元素の窒化物で挟んだ積層構造としてもよい。例えば、導電層111として、アルミニウム層をモリブデン層で挟んだ三層の積層構造とするとよい。
導電層111は、CVD法、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて形成する。また、導電層111は、銀、金または銅等の導電性ナノペーストを、スクリーン印刷法またはインクジェット法等を用いて配置し、焼成することで形成しても良い。
次に、導電層111上に第1のレジストマスク131を形成する(図7(B)を参照)。第1のレジストマスク131は厚さの異なる二の領域を有し、多階調マスクを用いて形成することができる。多階調マスクを用いることで、使用するフォトマスクの枚数が低減し、作製工程数が減少するため好ましい。本実施の形態において、非晶質半導体層のパターンを形成する工程と、ソース領域とドレイン領域を分離する工程において、多階調マスクを用いて形成したレジストマスクを用いることができる。
多階調マスクとは、多段階の光量で露光を行うことが可能なマスクであり、代表的には、露光領域、半露光領域及び未露光領域の3段階の光量で露光を行う。多階調マスクを用いることで、一度の露光及び現像工程によって、複数(代表的には二種類)の厚さを有するレジストマスクを形成することができる。そのため、多階調マスクを用いることで、フォトマスクの枚数を削減することができる。
図11(A−1)及び図11(B−1)は、代表的な多階調マスクの断面図を示す。図11(A−1)にはグレートーンマスク180を示し、図11(B−1)にはハーフトーンマスク185を示す。
図11(A−1)に示すグレートーンマスク180は、透光性を有する基板181上に、遮光層により形成された遮光部182、及び遮光層のパターンにより設けられた回折格子部183で構成されている。
回折格子部183は、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔で設けられたスリット、ドットまたはメッシュ等を有することで、光の透過率を制御する。なお、回折格子部183に設けられるスリット、ドットまたはメッシュは周期的なものであってもよいし、非周期的なものであってもよい。
透光性を有する基板181としては、石英等を用いることができる。遮光部182及び回折格子部183を構成する遮光層は、金属を用いて形成すればよく、好ましくはクロムまたは酸化クロム等により設けられる。
グレートーンマスク180に露光するための光を照射した場合、図11(A−2)に示すように、遮光部182に重畳する領域における透光率は0%となり、遮光部182または回折格子部183が設けられていない領域における透光率は100%となる。また、回折格子部183における透光率は、概ね10〜70%の範囲であり、回折格子のスリット、ドットまたはメッシュの間隔等により調整可能である。
図11(B−1)に示すハーフトーンマスク185は、透光性を有する基板186上に、半透光層により形成された半透光部187、及び遮光層により形成された遮光部188で構成されている。
半透光部187は、MoSiN、MoSi、MoSiO、MoSiON、CrSi等を用いて形成することができる。遮光部188は、グレートーンマスクの遮光層と同様の金属を用いて形成すればよく、好ましくはクロムまたは酸化クロム等により設けられる。
ハーフトーンマスク185に露光するための光を照射した場合、図11(B−2)に示すように、遮光部188に重畳する領域における透光率は0%となり、遮光部188または半透光部187が設けられていない領域における透光率は100%となる。また、半透光部187における透光率は、概ね10〜70%の範囲であり、形成する材料の種類または形成する厚さ等により、調整可能である。
多階調マスクを用いて露光して現像を行うことで、厚さの異なる領域を有するレジストマスクを形成することができる。
次に、第1のレジストマスク131を用いて非晶質半導体層105、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109、及び導電層111をエッチングする。この工程により、非晶質半導体層105、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109及び導電層111を素子毎に分離する(図7(C)を参照)。
次に、第1のレジストマスク131を後退させて第2のレジストマスク132を形成する。レジストマスクの後退には、酸素プラズマによるアッシングを用いればよい。
次に、第2のレジストマスク132を用いて導電層111をエッチングし、配線層112を形成する(図8(A)を参照)。配線層112は、ソース電極及びドレイン電極を構成する。導電層111のエッチングは、ウエットエッチングを用いることが好ましい。ウエットエッチングにより、導電層が等方的にエッチングされる。その結果、導電層の側面は第2のレジストマスク132よりも内側に後退し、配線層112が形成される。従って、配線層112の側面と、エッチングされた一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の側面は一致せず、配線層112の側面の外側に、ソース領域及びドレイン領域110の側面が形成される。配線層112は、ソース電極及びドレイン電極のみならず信号線としても機能する。ただし、これに限定されず、信号線と配線層212とは別に設けてもよい。
次に、第2のレジストマスク132が形成された状態で、非晶質半導体層105bの一部及び一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109をエッチングして、非晶質半導体層106b、並びにソース領域及びドレイン領域110を形成する(図8(B)を参照)。
次に、第2のレジストマスク132が形成された状態で、ドライエッチングを行うとよい。ここで、ドライエッチングの条件は、露出している非晶質半導体層106b表面にダメージが入らず、且つ非晶質半導体層106bに対するエッチングレートが低い条件を用いる。つまり、露出している非晶質半導体層106b表面にほとんどダメージを与えず、且つ非晶質半導体層106bの露出している部分の厚さがほとんど減少しない条件を用いる。エッチングガスとしては、塩素系ガス、フッ素系ガス(代表的にはCF4)、または窒素ガスを用い、代表的にはCl2ガスを用いる。また、エッチング方法については特に限定はなく、ICP方式、CCP方式、ECR方式、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)方式等を用いることができる。
ここで、用いることのできるドライエッチング条件の一例として、Cl2ガスの流量を100sccm、チャンバー内の圧力を0.67Pa、下部電極温度を−10℃とし、上部電極のコイルに2000WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、基板100側には電力を投入せず0W(すなわち、無バイアス)として、30秒間のエッチングを行う。チャンバー内壁の温度は約80℃とすることが好ましい。
次に、第2のレジストマスク132が形成された状態で、プラズマ処理を行い、第2のレジストマスク132を除去する。プラズマ処理の代表例としては、水プラズマ処理を用いるとよい。
水プラズマ処理は、反応空間に水蒸気(H2O蒸気)に代表される、水を主成分とするガスを導入し、プラズマを生成して、行うことができる。水プラズマにより第2のレジストマスク132を除去することができる。また、水プラズマ処理、あるいは、大気に曝した後に水プラズマ処理を行うことで、露出している非晶質半導体層106b表面上に酸化層が形成される場合もある。
なお、水プラズマ処理を用いることなく露出している非晶質半導体層106b表面にダメージが入らず、且つ非晶質半導体層106bに対するエッチングレートが低い条件でドライエッチングを行ってもよい。
上記したように、一対のソース領域及びドレイン領域110を形成した後に、非晶質半導体層106bにダメージを与えない条件で更なるドライエッチングを行うことで、露出した非晶質半導体層106b表面上に存在する残渣などの不純物元素を除去することができる。また、ドライエッチングに続けて水プラズマ処理を行うことで、第2のレジストマスク132を除去することもできる。水プラズマ処理を行うことで、ソース領域とドレイン領域との間の絶縁を確実なものにすることができ、完成する薄膜トランジスタのオフ電流を低減し、オン電流を向上させ、電気的特性のばらつきを低減することができる。
なお、プラズマ処理等の工程は上記の順番に限定されず、第2のレジストマスク132を除去した後に、無バイアスでのエッチングや、プラズマ処理を行ってもよい。
以上の工程により本実施の形態に係る薄膜トランジスタを作製することができる(図8(B)を参照)。本実施の形態に係る薄膜トランジスタは、液晶表示装置に代表される表示装置の画素におけるスイッチングトランジスタに適用することができる。そのため、この薄膜トランジスタを覆って、開口部を有する絶縁層114を形成する(図8(C)を参照)。この開口部において配線層112の一方と接続されるように絶縁層114上に画素電極層116を形成する。この開口部は、フォトリソグラフィ法により形成することができる。また、配線層112によって、薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極が構成される。このようにして、図1に示す表示装置の画素におけるスイッチングトランジスタを作製することができる。
なお、絶縁層114は、ゲート絶縁層104と同様に形成することができる。絶縁層114は、大気中に浮遊する有機物、金属または水蒸気等の汚染源となりうる不純物元素の侵入を防ぐことができるよう、緻密な窒化シリコン層により設けることが好ましい。
なお、画素電極層116は、透光性を有する導電性高分子(導電性ポリマーともいう。)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。画素電極層116は、シート抵抗が10000Ω/□以下であって、且つ波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、またはこれらの2種以上の共重合体等が挙げられる。
画素電極層116は、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、または酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等を用いて形成することができる。
画素電極層116は、配線層112等と同様に、フォトリソグラフィ法を用いてエッチングを行い、パターン形成すればよい。
なお、図示していないが、絶縁層114と画素電極層116との間に、スピンコーティング法等により形成した有機樹脂からなる絶縁層を有していても良い。
以上、本実施の形態にて説明したように、オン電流が高く、オフ電流が低い薄膜トランジスタを得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図1に示す薄膜トランジスタの作製方法であって、実施の形態1とは異なるものについて説明する。本実施の形態では、実施の形態1と同様に、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成する。ただし、非晶質半導体層に窒素を含ませる手段が異なる。
本実施の形態では、非晶質半導体層に接するゲート絶縁層を窒化シリコン層により形成することで、非晶質半導体層の窒素濃度を制御しNH基でダングリングボンドが架橋された非晶質半導体層を形成する。ゲート絶縁層104の形成から一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成までについて、図12を参照して以下に説明する。
まず、ゲート電極層102が形成された基板をCVD装置の処理室(チャンバー)内にて加熱し、窒化シリコン層を形成するために、窒化シリコン層の形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する(図12の予備処理401)。ここでは、一例として、SiH4の流量を40sccm、H2の流量を500sccm、N2の流量を550sccm、NH3の流量を140sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を100Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力370Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約300nmの窒化シリコン層を形成する。その後、SiH4の供給のみを停止して数秒後にプラズマの放電を停止させる(図12のSiN形成402)。なお、SiN形成402において、窒化シリコン層の堆積に用いる材料ガスとして、N2またはNH3の少なくとも一方を用いればよい。
次に、窒化シリコン層の堆積に用いた材料ガスを排気し、非晶質半導体層105の形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する(図12のガス置換410)。
次に、ゲート絶縁層104上の全面に非晶質半導体層105a、105bを積層して非晶質半導体層105を形成する。非晶質半導体層105a、105bは、後の工程でパターン形成されて非晶質半導体層106a、106bとなるものである。まず、非晶質半導体層105a、105bの形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する。ここでは、一例として、SiH4の流量を280sccm、H2の流量を300sccmとして材料ガスを導入して安定させる。理室内の圧力を170Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmの非晶質半導体層105a、ここではアモルファスシリコン層を形成することができる。当該工程において、SiN層形成の際に処理室内に導入されたアンモニアガスがプラズマ放電により解離しNH基となる。なお、SiN層形成の際に材料ガスとして窒素ガスを導入した場合は、プラズマ放電により、当該窒素ガスと、非晶質半導体層の原料ガスである、水素ガスとが反応しNH基を生成する。さらには、非晶質半導体層が堆積される際に非晶質半導体層に含まれる異なるダングリングボンドをNH基によって架橋することができる。
なお、処理室内の窒素を含むガス、ここではアンモニアガス及び窒素ガスが非晶質半導体層105aの生成に消費された後は、非晶質半導体層105bが形成される。非晶質半導体層105bを形成した後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の供給のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図12のa−Si層形成411)。その後、これらのガスを排気し、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の堆積に用いるガスを導入する(図12のガス置換414)。
本実施の形態において、ゲート絶縁層を形成する処理室には窒素を含有するガスが供給されている。上記したように、NH基は非晶質半導体層に含まれるダングリングボンドを架橋する。このため、窒素を含有するガスを供給した処理室において、ゲート絶縁層104上に非晶質半導体層105aを形成することで、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
次に、非晶質半導体層105上の全面に一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109を形成する。一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109は、後の工程でパターン形成されて、ソース領域及びドレイン領域110となるものである。まず、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する。ここでは、一例として、SiH4の流量を100sccm、PH3をH2により0.5vol%まで希釈した混合ガスの流量を170sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmの一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層を形成することができる。その後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図12の不純物半導体層形成415)。その後、これらのガスを排気する(図12の排気416)。
上記説明したように、少なくとも非晶質半導体層に接するゲート絶縁層を窒化シリコン層により形成することで、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くすることができ、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、図1に示す薄膜トランジスタの作製方法であって、実施の形態1及び実施の形態2とは異なるものについて説明する。本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2と同様に、NH基でダングリングボンドが架橋された非晶質半導体層を形成する。ただし、非晶質半導体層に窒素を含ませる手段が異なる。
本実施の形態では、非晶質半導体層の堆積前に処理室内をクリーニングし、その後窒化シリコン層によりチャンバー内壁を覆うことで非晶質半導体層に窒素を含ませて、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする。ゲート絶縁層104の形成から一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成までについて、図13を参照して以下に説明する。
まず、ゲート電極層102が形成された基板をCVD装置の処理室内(チャンバー内)にて加熱し、窒化シリコン層を形成するために、窒化シリコン層の形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する(図13の予備処理401)。ここでは、一例として、SiH4の流量を40sccm、H2の流量を500sccm、N2の流量を550sccm、NH3の流量を140sccmとして材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を100Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力370Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの窒化シリコン層を形成する。その後、SiH4の導入のみを停止して数秒後にプラズマの放電を停止させる(図13のSiN形成402)。なお、SiN形成402において、窒化シリコン層の堆積に用いる材料ガスとして、N2またはNH3の少なくとも一方を用いればよい。
次に、窒化シリコン層の堆積に用いた材料ガスを排気し、酸化窒化シリコン層の形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する(図13のガス置換403)。ここでは、一例として、SiH4の流量を30sccm、N2Oの流量を1200sccmとし、材料ガスを導入して安定させ、処理室内の圧力を40Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力50Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの酸化窒化シリコン層を形成する。その後、窒化シリコン層と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図13のSiON形成404)。
上記の工程により、ゲート絶縁層104を形成することができる。ゲート絶縁層104の形成後、基板100を処理室141から搬出する(図13のunload405)。
次に、基板100を処理室141から搬出後、処理室141にNF3ガスを導入し、処理室内をクリーニングする(図13のクリーニング処理406)。その後、ゲート絶縁層104と同様に窒化シリコン層を形成する処理を行う(図13のプレコート処理421)。この処理により、処理室141の内壁に窒化シリコン層が形成される。また、処理室内に導入する窒素を含有する気体として、代表的にはアンモニア、クロロアミン、フルオロアミン等のNH結合を有するガス、窒素ガス等を用いることができる。
その後、基板100を処理室141に搬入し、非晶質半導体層105a、105bの堆積に用いる材料ガスを処理室内に導入する(図13のload408)。
次に、ゲート絶縁層104上の全面に非晶質半導体層105a、105bを積層して非晶質半導体層105を形成する。非晶質半導体層105a、105bは、後の工程でパターン形成されて非晶質半導体層106a、106bとなるものである。まず、非晶質半導体層105a、105bの形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する。ここでは、一例として、SiH4の流量を280sccm、H2の流量を300sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を170Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmの非晶質半導体層105a、ここでは、アモルファスシリコン層を形成することができる。当該工程において、処理室内にプレコート処理において導入されたアンモニアガスがプラズマ放電により解離しNH基となる。また、プレコート処理において導入された窒素ガスと、非晶質半導体層の原料ガスである、水素ガスとがプラズマ放電により反応しNH基を生成する。さらには、非晶質半導体層が堆積される際に非晶質半導体層の異なるダングリングボンドをNH基によって架橋することができる。
なお、処理室内の窒素を含むガス、ここではアンモニアガス及び窒素ガスが非晶質半導体層105aの生成に消費された後は、非晶質半導体層105bが形成される。非晶質半導体層105bを形成した後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の供給のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図13のa−Si層形成411)。その後、これらのガスを排気し、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成に用いるガスを導入する(図13のガス置換414)。
本実施の形態においては、処理室内に保護層として窒化シリコン層が形成されているため、当該保護層がプラズマに曝されることにより、非晶質半導体層105aに窒素を含ませる。上記したように、NH基はアモルファスシリコン層に含まれるダングリングボンドを架橋する。このため、窒素を含有するガスを用いてプレコート処理を行った処理室において、ゲート絶縁層104上に非晶質半導体層105aを形成することで、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
次に、非晶質半導体層105上の全面に一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109を形成する。一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109は、後の工程でパターン形成されてソース領域及びドレイン領域110となるものである。まず、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の堆積に用いる材料ガスを処理室内に導入する。ここでは、一例として、SiH4の流量を100sccm、PH3をH2により0.5vol%まで希釈した混合ガスの流量を170sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmの一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層を形成することができる。その後、窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図13の不純物半導体層形成415)。その後、これらのガスを排気する(図13の排気416)。
上記説明したように、少なくとも非晶質半導体層を形成する直前に処理室の内壁を窒化シリコン層で覆うことで、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くすることが可能であり、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
また、処理室の内壁を窒化シリコン層で覆うことで、処理室の内壁を構成する元素等が非晶質半導体層に混入することをも防ぐことができる。
なお、上記の説明では、窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層を積層してゲート絶縁層104を形成したため、ゲート絶縁層104の形成後にクリーニング処理とプレコート処理を行う形態について説明したが、本実施の形態は、実施の形態2と組み合わせて実施してもよい。すなわち、ゲート絶縁層104を窒化シリコン層により形成し、ゲート絶縁層104の形成がプレコート処理を兼ねていてもよい。ゲート絶縁層104の形成がプレコート処理を兼ねることで、工程が簡略化し、スループットを向上させることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、図1に示す薄膜トランジスタの作製方法であって、実施の形態1乃至実施の形態3とは異なるものについて説明する。本実施の形態では、実施の形態1と同様に、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成する。ただし、非晶質半導体層に窒素を含ませる手段が異なる。
本実施の形態では、非晶質半導体層の堆積初期、または非晶質半導体層の堆積時のガスに窒素を含有する気体を混入させることで、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする。ゲート絶縁層104の形成から一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成までについて、図14を参照して以下に説明する。
まず、ゲート電極層102が形成された基板をCVD装置の処理室内(チャンバー内)にて加熱し、窒化シリコン層の堆積に用いる材料ガスを処理室内に導入する(図14の予備処理401)。ここでは、一例として、SiH4の流量を40sccm、H2の流量を500sccm、N2の流量を550sccm、NH3の流量を140sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を100Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力370Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの窒化シリコン層を形成する。その後、SiH4の導入のみを停止して数秒後にプラズマの放電を停止させる(図14のSiN形成402)。なお、SiN形成402において、窒化シリコン層の堆積に用いる材料ガスとして、N2またはNH3の少なくとも一方を用いればよい。
次に、窒化シリコン層の堆積に用いた材料ガスを排気し、酸化窒化シリコン層の形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する(図14のガス置換403)。ここでは、一例として、SiH4の流量を30sccm、N2Oの流量を1200sccmとし、材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を40Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力50Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約110nmの酸化窒化シリコン層を形成する。その後、窒化シリコン層と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図14のSiON形成404)。その後、これらのガスを排気し、非晶質半導体層105の形成に用いるガスを導入する(図14のガス置換422)。
次に、ゲート絶縁層104上の全面に非晶質半導体層105a、105bを積層して非晶質半導体層105を形成する。非晶質半導体層105a、105bは、後の工程でパターン形成されて非晶質半導体層106a、106bとなるものである。ここでは、一例として、SiH4の流量を280sccm、H2の流量を300sccm、NH3(H2希釈)の流量を20sccmとして材料ガスを処理室に導入して安定させ、処理室内の圧力を170Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行う。その後、NH3(H2希釈)の流量のみを0sccmとして非晶質半導体層を成長させて、約50nmの非晶質半導体層105a、ここでは、アモルファスシリコン層を形成することができる。当該工程において、SiN層形成の際に処理室内に導入されたアンモニアガスがプラズマ放電により解離しNH基となる。さらには、非晶質半導体層が堆積される際に、当該NH基が非晶質半導体層の異なるダングリングボンドを架橋することができる。なお、処理室に窒素を含有するガスとして、窒素ガスを導入した場合は、プラズマ放電により、当該窒素ガスと、非晶質半導体層の原料ガスである、水素ガスとが反応しNH基を生成する。また、当該NH基が非晶質半導体層に含まれる異なるダングリングボンドを架橋する。
なお、処理室内の窒素を含むガス、ここではアンモニアガス及び窒素ガスが非晶質半導体層105aの生成に消費された後は、非晶質半導体層105bが形成される。非晶質半導体層105bを形成した後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図14のa−Si層形成423)。その後、これらのガスを排気し、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成に用いるガスを導入する(図14のガス置換414)。
なお、窒素を含むガスを処理室内に導入した後、流量を0sccmとするタイミングは、図14のa−Si層形成423の破線171で示すように、非晶質半導体層の堆積中期でもよい。この場合、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層105aと、ダングリングボンドを架橋したNH基を有しない非晶質半導体層105bとの2層になる。
さらには、図14のa−Si層形成423の破線172で示すように、非晶質半導体層の堆積中に、窒素を含むガスを処理室に導入していても良い。この場合、非晶質半導体層105は、非晶質半導体層105bを有さず、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層105aの1層となる。
上記破線171、172で示す窒素を含むガスの導入方法を用いる場合は、非晶質半導体層が絶縁性とならないように、窒素を含むガスの流量及び濃度を制御することが好ましい。
本実施の形態において、非晶質半導体層105の堆積時のガスには窒素を含有するガスが含まれている。プラズマ放電を行うことで、窒素を含有するガスからNH基が形成される。上記したように、NH基はアモルファスシリコン層に含まれるダングリングボンドを架橋する。このため、窒素を含有するガスを供給した処理室において、ゲート絶縁層104上に非晶質半導体層105aを形成することで、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
次に、非晶質半導体層105上全面に一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109を形成する。一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109は、後の工程でパターン形成されてソース領域及びドレイン領域110となるものである。まず、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成に用いる材料ガスを処理室内に導入する。ここでは、一例として、SiH4の流量を100sccm、PH3をH2により0.5vol%まで希釈した混合ガスの流量を170sccmとして材料ガスを導入して安定させる。処理室内の圧力を280Pa、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力60Wの出力によりプラズマ放電を行うことで、約50nmの一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109を形成することができる。その後、上記した窒化シリコン層等の形成と同様に、SiH4の導入のみを停止し、その数秒後にプラズマの放電を停止させる(図14の不純物半導体層形成415)。その後、これらのガスを排気する(図14の排気416)。
上記説明したように、非晶質半導体層の堆積初期または堆積時のガスに窒素を含ませることで、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くすることが可能であり、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、図1に示す薄膜トランジスタの作製方法であって、実施の形態1乃至実施の形態4とは異なるものについて説明する。本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4と同様に、NH基でダングリングボンドが架橋された非晶質半導体層を形成する。ただし、非晶質半導体層に窒素を含ませる手段が異なる。
本実施の形態では、非晶質半導体層を形成した後、窒素を含むプラズマ処理をして、非晶質半導体層に窒素を含ませて、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くする。ゲート絶縁層104の形成から一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成までについて、図28を参照して以下に説明する。
実施の形態4と同様に、予備処理401からSiON形成404を行い、ゲート電極層102及びゲート絶縁層104を形成する。
次に、実施の形態1と同様にガス置換410及びa−Si層形成411を行い、ゲート絶縁層104上に非晶質半導体層105を形成する。
次に、窒素を含むガスを処理室内に導入した後、プラズマを発生させる(図28のプラズマ処理424)。ここでは、一例として、NH3を導入し、処理室内の圧力を100Pa以上、基板の温度を280℃とし、RF電源周波数13.56MHz、RF電源の電力500W以下の出力としてプラズマ放電を行うことで、非晶質半導体層を窒素プラズマ処理することができる。当該工程において、処理室内に導入したアンモニアガスがプラズマ放電により解離しNH基となる。また、当該プラズマ放電により非晶質半導体層をプラズマ処理して、非晶質半導体層に含まれる異なるダングリングボンドをNH基で架橋することができる。なお、アンモニアガスの代わりに、窒素ガス及び水素ガスを処理室に導入しても良い。または、処理室にアンモニアガス及び窒素ガスを導入してもよい。
この後、処理室内にSiH4及びH2を導入して、さらに非晶質半導体層を形成してもよい。
その後、これらのガスを排気し、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109の形成に用いるガスを導入する(図28のガス置換414)。
次に、非晶質半導体層105上の全面に一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109を形成する(図28の不純物半導体層形成415)。その後、これらのガスを排気する(図28の排気416)。
上記説明したように、非晶質半導体層を形成した後、窒素プラズマ処理を行うことで、酸素濃度を低く抑え、窒素濃度を酸素濃度よりも高くすることが可能であり、ダングリングボンドを架橋したNH基を有する非晶質半導体層を形成することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本実施の形態に係る薄膜トランジスタの形態の一例について、図面を参照して説明する。本実施の形態では、多階調マスクを用いることなく薄膜トランジスタを形成する。
図15は、本実施の形態にかかる薄膜トランジスタの上面図及び断面図を示す。図15(A)に示す薄膜トランジスタは、基板200上にゲート電極層202を有し、ゲート電極層202を覆ってゲート絶縁層204を有し、ゲート絶縁層204上に接して非晶質半導体層206を有し、非晶質半導体層206上の一部に接してソース領域及びドレイン領域210を有する。非晶質半導体層206は、ゲート絶縁層204側の非晶質半導体層206aと、ソース領域及びドレイン領域210側の非晶質半導体層206bとを有する。また、ゲート絶縁層204、並びにソース領域及びドレイン領域210上に接する配線層212を有する。配線層212はソース電極及びドレイン電極を構成する。配線層212上には、保護層として機能する絶縁層214を有する。また、各層は所望の形状にパターン形成されている。
なお、図15に示す薄膜トランジスタは、図1に示す薄膜トランジスタと同様に、液晶表示装置や発光装置等に代表される表示装置の画素部に設けられる画素トランジスタに適用することができる。そのため、図示した例では、絶縁層214には開口部が設けられ、絶縁層214上には画素電極層216が設けられ、画素電極層216と配線層212の一方とが接続されている。
また、ソース電極及びドレイン電極の一方は、U字型(またはコの字型、馬蹄型)の形状で設けられ、これがソース電極及びドレイン電極の他方を囲い込んでいる。ソース電極とドレイン電極との距離はほぼ一定に保たれている(図15(B)を参照)。
薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極を上記した形状とすることで、該薄膜トランジスタのチャネル幅を大きくすることができ、電流量が増大する。また、電気的特性のばらつきを低減することができる。更には、作製工程におけるマスクパターンのずれによる信頼性の低下を抑制することができる。ただし、本実施の形態はこれに限定されず、ソース電極及びドレイン電極の一方は必ずしもU字型でなくともよい。
本実施の形態における非晶質半導体層206は、実施の形態1における非晶質半導体層106と同様の特徴を有し、同様の材料及び方法により形成することができる。また、実施の形態2乃至実施の形態5に示す方法により形成してもよい。従って、本実施の形態では非晶質半導体層206の形成に関する詳細な説明は省略する。
図15に示す薄膜トランジスタの作製方法について説明する。薄膜トランジスタではp型よりもn型の方が、キャリアの移動度が高い。また、同一の基板上に形成する薄膜トランジスタを全て同じ極性に統一すると、工程数を抑えることができ、好ましい。そのため、本実施の形態では、n型の薄膜トランジスタの作製方法について説明する。
まず、基板200上にゲート電極層202を形成する(図16(A)を参照)。
基板200としては、実施の形態1における基板100と同様のものを用いることができる。
ゲート電極層202は、実施の形態1におけるゲート電極層102と同様の材料及び方法により形成することができる。
次に、ゲート電極層202を覆ってゲート絶縁層204を形成する(図16(B)を参照)。ゲート絶縁層204は、実施の形態1におけるゲート絶縁層104と同様の材料及び方法により形成することができる。
ここで、ゲート絶縁層204に窒素を供給する処理を行ってもよい(図16(C)を参照)。窒素を供給する処理として、実施の形態1にて説明したゲート絶縁層204をアンモニアガスに曝す処理が挙げられる。
次に、ゲート絶縁層204上に非晶質半導体層205、及び一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層209を形成する(図17(A)を参照)。その後、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層209上に第1のレジストマスク231を形成する(図17(B)を参照)。
非晶質半導体層205は、実施の形態1における非晶質半導体層105と同様に形成することができる。一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層209は、実施の形態1における一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層109と同様に形成することができる。
なお、非晶質半導体層205は、実施の形態2乃至実施の形態4にて説明した方法により形成してもよい。図17(A)においては、非晶質半導体層205a、205bを積層して非晶質半導体層205を形成する。なお、非晶質半導体層205a、205bは、後の工程でパターン形成されて非晶質半導体層206a、206bとなるものである。
次に、第1のレジストマスク231を用いて非晶質半導体層205及び一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層209をエッチングして島状の半導体層を形成する(図17(C)を参照)。その後、第1のレジストマスク231を除去する(図18(A)を参照)。
次に、エッチングされた非晶質半導体層205、及び一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層209を覆って導電層211を形成する(図18(B)を参照)。導電層211は、導電層111と同様の材料及び方法により形成することができる。その後、導電層211上に第2のレジストマスク232を形成する(図18(C)を参照)。
次に、第2のレジストマスク232を用いて導電層211をエッチングして配線層212を形成する(図19(A)を参照)。配線層212は、ソース電極及びドレイン電極を構成する。導電層211のエッチングは、ウエットエッチングを用いることが好ましい。ウエットエッチングにより、導電層の側面が選択的にエッチングされる。その結果、導電層の側面は第2のレジストマスク232よりも内側に後退し、配線層212が形成される。配線層212は、ソース電極及びドレイン電極のみならず信号線としても機能する。ただし、これに限定されず、信号線と配線層212とは別に設けてもよい。
次に、第2のレジストマスク232を用いて非晶質半導体層205の一部と、一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層209をエッチングする(図19(B)を参照)。以上の工程までで非晶質半導体層206、並びにソース領域及びドレイン領域210が形成される。なお、配線層212の側面と、エッチングされた一導電型を付与する不純物元素を含む半導体層209の側面は一致せず、配線層212の側面の外側に、ソース領域及びドレイン領域210の側面が形成される。
次に、実施の形態1と同様に第2のレジストマスク232が形成された状態で、非晶質半導体層206にダメージが入らず、且つバッファ層を構成する非晶質半導体層206に対するエッチングレートが低い条件でドライエッチングを行うとよい。更には、水プラズマ処理により第2のレジストマスク232を除去するとよい(図19(C)を参照)。
以上の工程により本実施の形態に係る薄膜トランジスタを作製することができる。本実施の形態に係る薄膜トランジスタは、実施の形態1にて説明した薄膜トランジスタと同様に、液晶表示装置に代表される表示装置の画素におけるスイッチングトランジスタに適用することができる。そのため、この薄膜トランジスタを覆って、絶縁層214を形成する。絶縁層214には、配線層212の一方に達するように開口部が形成されている。この開口部は、フォトリソグラフィ法により形成することができる。その後、当該開口部を介して配線層212の一方と接続されるように、絶縁層214上に画素電極層216を設ける。また、配線層212によって、薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極が構成される。このようにして図15に示す表示装置の画素におけるスイッチングトランジスタを作製することができる。
なお、絶縁層214は、実施の形態1における絶縁層114と同様に形成することができる。また、画素電極層216は、実施の形態1における画素電極層116と同様に形成することができる。
なお、図示していないが、絶縁層214と画素電極層216との間に、スピンコーティング法等により形成した有機樹脂層からなる絶縁層を有していても良い。
以上、本実施の形態にて説明したように、オン電流が高く、オフ電流が低い薄膜トランジスタを、多階調マスクを用いることなく得ることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、表示装置の一形態として、実施の形態6で示す薄膜トランジスタを有する液晶表示装置について、以下に示す。ここでは、VA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置について、図20乃至図22を用いて説明する。VA型とは、液晶パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種をいう。VA型の液晶表示装置は、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。本実施の形態では、特に画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されている。これをマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計という。以下の説明では、マルチドメイン設計が考慮された液晶表示装置について説明する。
図20及び図21は、VA型液晶表示装置の画素構造を示している。図21は本実施の形態で示す画素構造の平面図であり、図21中に示す切断線Y−Zに対応する断面構造を図20に表している。以下の説明では図20及び図21を参照して説明する。
本形態で示す画素構造は、基板250上に設けられた一つの画素が複数の画素電極260、262を有し、それぞれの画素電極260、262に平坦化層258及び絶縁層257を介して薄膜トランジスタ264、265が接続されている。各薄膜トランジスタ264、265は、異なるゲート信号で駆動されるように構成されている。すなわち、マルチドメイン設計された画素において、個々の画素電極260、262に印加する信号を、独立して制御する構成を有している。
画素電極260は、開口部259において、配線255を介して薄膜トランジスタ264と接続されている。また、画素電極262は、開口部263において、配線256を介して薄膜トランジスタ265と接続している。薄膜トランジスタ264のゲート電極252と、薄膜トランジスタ265のゲート電極253には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能する配線254は、薄膜トランジスタ264と薄膜トランジスタ265で共通して用いられている。薄膜トランジスタ264及び薄膜トランジスタ265は実施の形態6で示す方法を用いて作製することができる。
画素電極260と画素電極262の形状は異なっており、スリット261によって分離されている。画素電極262は、V字型に広がる画素電極260の外側を囲むように形成されている。画素電極260と画素電極262に印加する電圧のタイミングを、薄膜トランジスタ264及び薄膜トランジスタ265により異ならせることで、液晶の配向を制御している。ゲート電極252とゲート電極253には異なるゲート信号を与えることで、薄膜トランジスタ264と薄膜トランジスタ265の動作タイミングを異ならせることができる。また、画素電極260及び画素電極262上に配向膜272が形成されている。
対向基板251には、遮光層266、着色層267、対向電極269が形成されている。また、着色層267と対向電極269の間には平坦化層268が形成され、液晶の配向乱れを防いでいる。また、対向電極269上に配向膜271が形成される。図22に対向基板251側の画素構造を示す。対向電極269は異なる画素間で共通化され、スリット270を有する。スリット270と、画素電極260及び画素電極262のスリット261とを交互に配置することで、斜め電界を発生させて液晶の配向を制御することができる。その結果、液晶が配向する方向を場所によって異ならせることができ、視野角を拡げることができる。
ここでは、基板、着色層、遮光層、及び平坦化層で、カラーフィルターを構成する。なお、遮光層、平坦化層の何れか一方、または両方は、基板上に形成されていなくともよい。
また、着色層は、可視光の波長範囲のうち、任意の波長範囲の光の成分を優先的に透過させる機能を有する。通常は、赤色波長範囲の光、青色波長範囲の光、及び緑色波長範囲の光、それぞれを優先的に透過させる着色層を組み合わせて、カラーフィルターに用いることが多い。しかしながら、着色層の組み合わせに関しては、これに限られない。
画素電極260と対向電極269が液晶層273を挟持することで、第1の液晶素子が形成されている。また、画素電極262と対向電極269が液晶層273を挟持することで、第2の液晶素子が形成されている。また、一画素に第1の液晶素子と第2の液晶素子が設けられたマルチドメイン構造である。
なお、ここでは、液晶表示装置として、VA型の液晶表示装置を示したが、本実施の形態はこれに限定されない。すなわち、実施の形態6に示す薄膜トランジスタを用いて形成した素子基板を、FFS型の液晶表示装置、IPS型の液晶表示装置、TN型の液晶表示装置またはその他の液晶表示装置に用いることができる。
また、上記の説明では実施の形態6にて作製した薄膜トランジスタを用いたが、実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかにて作製した薄膜トランジスタを用いてもよい。
以上説明したように、液晶表示装置を作製することができる。本実施の形態の液晶表示装置は、オン電流が高くオフ電流が低い薄膜トランジスタを画素トランジスタとして用いているため、画質が良好(例えば、高コントラスト)であり、且つ消費電力の低い液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、表示装置の一形態として、実施の形態6で示す薄膜トランジスタを有する発光表示装置について、以下に示す。ここでは、発光表示装置が有する画素の構成について説明する。図23(A)に、画素の平面図を示し、図23(B)に図23(A)中の切断線A−Bに対応する断面構造を示す。
発光表示装置として、本実施の形態ではエレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を有する表示装置を用いて示す。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって大別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。また、ここでは、薄膜トランジスタの作製工程として実施の形態6を用いたが、これに限定されず、実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示す作製方法により作製したものであってもよい。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子及び正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子及び正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
無機EL素子は、素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらに発光層を誘電体層で挟み込んだものを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
図23(A)及び図23(B)において、第1の薄膜トランジスタ281aは画素電極への信号の入力を制御するためのスイッチング用の薄膜トランジスタであり、第2の薄膜トランジスタ281bは発光素子282への電流または電圧の供給を制御するための駆動用の薄膜トランジスタに相当する。
第1の薄膜トランジスタ281aのゲート電極は走査線283aに、ソース領域及びドレイン領域の一方は、信号線284aに接続され、ソース領域及びドレイン領域の他方は配線284bを介して第2の薄膜トランジスタ281bのゲート電極283bに接続される。また、第2の薄膜トランジスタ281bのソース領域及びドレイン領域の一方は電源線285aに接続され、ソース領域及びドレイン領域の他方は配線285bを介して発光素子の画素電極(陰極288)に接続される。第2の薄膜トランジスタ281bのゲート電極、ゲート絶縁層、及び電源線285aで容量素子を構成し、第1の薄膜トランジスタ281aのソース領域及びドレイン領域の他方は容量素子に接続されている。
なお、容量素子は、第1の薄膜トランジスタ281aがオフのときに第2の薄膜トランジスタ281bのゲート電極とソース電極の間の電位差、またはゲート電極とドレイン電極の間の電位差(以下、ゲート電圧という。)を保持するための容量素子に相当し、これらは必ずしも設けなくてもよい。
本実施の形態では、第1の薄膜トランジスタ281a及び第2の薄膜トランジスタ281bはnチャネル型薄膜トランジスタで形成されるが、これらの一方または双方をpチャネル型の薄膜トランジスタで形成されてもよい。
第1の薄膜トランジスタ281a及び第2の薄膜トランジスタ281b上には絶縁層285が形成され、絶縁層285上に平坦化層286が形成され、平坦化層286及び絶縁層285に開口部が形成され、該開口部において配線285bに接続する陰極288が形成される。平坦化層286は、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミドなどの有機樹脂またはシロキサンポリマーを用いて形成されることが好ましい。該開口部においては、陰極288が凹凸を有するため、当該領域を覆い、且つ開口部を有する隔壁291を設ける。隔壁291の開口部において陰極288と接するように、EL層289が形成され、EL層289を覆うように陽極290が形成され、陽極290及び隔壁291を覆うように保護絶縁層292が形成される。
ここでは、発光素子として上面射出構造の発光素子282を示す。上面射出構造の発光素子282は、第1の薄膜トランジスタ281a及び第2の薄膜トランジスタ281bと重畳する領域でも発光させることが可能であるため、広い発光面積を確保することが可能である。しかしながら、EL層289の下側の層が凹凸を有すると、当該凹凸によってEL層289の厚さがが不均一となり、陽極290と陰極288が短絡(ショート)し、表示欠陥を生じてしまう。このため、平坦化層286を設けることが好ましい。平坦化層286を設けることで、歩留まりを向上させることができる。
陰極288と陽極290でEL層289を挟んでいる領域が発光素子282に相当する。図23に示した画素の場合、発光素子282から発せられる光は、図23(B)に白抜きの矢印で示すように陽極290側に射出する。
陰極288は仕事関数が小さく、且つ光を反射する導電層であれば公知の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、MgAg、AlLi等が望ましい。EL層289は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていても良い。複数の層で構成されている場合には、陰極288に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層して形成する。なお、発光層以外の層、例えば電子注入層、電子輸送層、ホール輸送層、ホール注入層を全て設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。陽極290は、光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成し、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電層を用いても良い。
ここでは、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出構造の発光素子について示したが、本実施の形態はこれに限定されない。すなわち、基板側の面から発光を取り出す下面射出構造の発光素子や、基板側及び基板とは逆側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子を採用してもよい。
また、ここでは、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機EL素子を用いてもよい。
なお、本実施の形態では、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用薄膜トランジスタ)と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用薄膜トランジスタと発光素子との間に電流制御用薄膜トランジスタが接続されている構成でもよい。
以上説明したように、発光表示装置を作製することができる。本実施の形態の発光表示装置は、オン電流が高くオフ電流が低い薄膜トランジスタを画素トランジスタとして用いているため、画質が良好(例えば、高コントラスト)であり、且つ消費電力の低い発光表示装置を作製することができる。
(実施の形態9)
次に、上記実施の形態を適用可能な表示装置である表示パネルの構成の一例について、以下に示す。
図24(A)に、信号線駆動回路303のみを別途形成し、基板301上に形成された画素部302と接続している表示パネルの形態を示す。画素部302、保護回路306、及び走査線駆動回路304が形成された素子基板は、実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかに示す薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路303は、単結晶半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタ、多結晶半導体をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタ、またはSOI(Silicon On Insulator)をチャネル形成領域に用いたトランジスタにより構成すれば良い。SOIをチャネル形成領域に用いたトランジスタにおいては、ガラス基板上に設けられた単結晶半導体層をチャネル形成領域に用いたトランジスタを含む。画素部302と、信号線駆動回路303と、走査線駆動回路304のそれぞれに電源の電位、各種信号等が、FPC305を介して供給される。信号線駆動回路303とFPC305の間、及び信号線駆動回路303と画素部302の間の一方または双方に、実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかに示す薄膜トランジスタで形成された保護回路306を設けてもよい。保護回路306は、その他の構造の薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗素子及び容量素子等から選択された1つまたは複数の素子によって設けてもよい。
なお、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を、画素部の画素トランジスタと同じ基板上に形成しても良い。
また、駆動回路を別途形成する場合には、必ずしも駆動回路が形成された基板を、画素部が形成された基板上に貼り合わせる必要はなく、例えばFPC上に貼り合わせるようにしても良い。図24(B)に、信号線駆動回路313のみを別途形成し、基板311上に形成された画素部312、保護回路316、及び走査線駆動回路314が形成された素子基板とFPC315が接続している表示パネルの形態を示す。画素部312、保護回路316及び走査線駆動回路314は、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路313は、FPC315及び保護回路316を介して、画素部312に接続されている。画素部312と、信号線駆動回路313と、走査線駆動回路314それぞれに、電源の電位及び各種の信号等が、FPC315を介して供給される。FPC315と画素部312との間に、保護回路316を設けてもよい。
また、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを、上記の実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて画素部と同じ基板上に形成し、残りを別途形成して画素部と電気的に接続するようにしても良い。図24(C)に、信号線駆動回路が有するアナログスイッチ323aを、画素部322、走査線駆動回路324と同じ基板321上に形成し、信号線駆動回路が有するシフトレジスタ323bを別途異なる基板に形成して貼り合わせる表示パネルの形態を示す。画素部322、保護回路326、及び走査線駆動回路324は、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路が有するシフトレジスタ323bは、FPC325及び保護回路326を介して画素部322と接続されている。画素部322と、信号線駆動回路と、走査線駆動回路324とそれぞれに、電源の電位、各種信号等が、FPC325を介して供給される。シフトレジスタ323bとアナログスイッチ323aの間に、保護回路326を設けてもよい。
図24に示すように、本実施の形態の表示装置は、駆動回路の一部または全部を、画素部と同じ基板上に、上記実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いて形成することができる。
なお、別途形成した基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方式、ワイヤボンディング方式、或いはTAB方式などを用いることができる。また接続する位置は、電気的な接続が可能であるならば、図24に示した位置に限定されない。また、コントローラ、CPUまたはメモリ等を別途形成し、接続するようにしても良い。
なお、本実施の形態で用いる信号線駆動回路は、シフトレジスタとアナログスイッチを有する。または、シフトレジスタとアナログスイッチに加え、バッファ、レベルシフタ、ソースフォロワ等、他の回路を有していても良い。また、シフトレジスタとアナログスイッチは必ずしも設ける必要はなく、例えばシフトレジスタの代わりにデコーダ回路のような信号線の選択ができる別の回路を用いても良いし、アナログスイッチの代わりにラッチ等を用いても良い。
(実施の形態10)
上記実施の形態の薄膜トランジスタで構成される素子基板、及びそれを用いた表示装置等は、アクティブマトリクス型の表示パネルに適用することができる。すなわち、それらを表示部に組み込んだ電子機器の全てに上記実施の形態を実施できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ及びデジタルカメラ等のカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図25に示す。
図25(A)はテレビジョン装置である。上記実施の形態を適用した表示パネルを筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示パネルにより主画面333が形成され、その他付属設備としてスピーカ部339、操作スイッチなどが備えられている。
図25(A)に示すように、筐体331に表示素子を利用した表示パネル332が組みこまれ、受信機335による一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム334を介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、または受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチまたは別体のリモコン操作機336により行うことが可能であり、このリモコン操作機336にも出力する情報を表示する表示部337が設けられていても良い。また、表示部337に、実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかに示す薄膜トランジスタが設けられていてもよい。また、主画面333の他にサブ画面338を別の表示パネルで形成し、チャンネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面333及びサブ画面338の一方または双方に実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかに示す薄膜トランジスタを適用することができる。
図26はテレビジョン装置の主要な構成を説明するブロック図を示している。表示パネルには、画素部371が形成されている。信号線駆動回路372と走査線駆動回路373は、表示パネルにCOG方式により実装されていても良い。
また、その他の回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ374で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路375と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路376と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路377等を有している。コントロール回路377は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路378を設け、入力デジタル信号をm個(mは整数)に分割して供給する構成としても良い。
チューナ374で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路379に送られ、その出力は音声信号処理回路380を経てスピーカ383に供給される。制御回路381は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部382から受け、チューナ374や音声信号処理回路380に信号を送出する。
勿論、本実施の形態を適用した表示パネルを組み込むことができる電子機器はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体に適用してもよい。
以上説明したように、主画面333及びサブ画面338の一方または双方に実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかで説明した薄膜トランジスタを適用することで、画質が高く、消費電力の低いテレビジョン装置を作製することができる。
図25(B)は携帯電話機341の一例を示している。携帯電話機341は、表示部342、操作部343等により構成されている。表示部342に実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかで説明した薄膜トランジスタを適用することで、画質を向上させ、消費電力を低減させることができる。
図25(C)に示す携帯型のコンピュータは、本体351、表示部352等を含んでいる。表示部352に、実施の形態1等で説明した薄膜トランジスタを適用することで、画質を向上させ、消費電力を低減させることができる。
図25(D)は卓上照明器具であり、照明部361、傘362、可変アーム363、支柱364、台365、電源366を含む。上記実施の形態で説明した発光装置を照明部361に用いることにより作製される。照明部361に実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかで説明した薄膜トランジスタを適用することで、画質を向上させ、消費電力を低減させることができる。
図27は携帯電話機の構成の一例を示しており、例えば表示部に、実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかで示した薄膜トランジスタを有する素子基板及びそれを有する表示装置が適用される。図27(A)が正面図、図27(B)が背面図、図27(C)が展開図である。図27に示す携帯電話機は、筐体394及び筐体385の二つの筐体で構成されている。図27に示す携帯電話機は、携帯電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能であり、スマートフォンとも呼ばれる。
携帯電話機は、筐体394及び筐体385の二つの筐体で構成されている。筐体394においては、表示部386、スピーカ387、マイクロフォン388、操作キー389、ポインティングディバイス390、表面カメラ用レンズ391、外部接続端子ジャック392、イヤホン端子393等を備え、筐体385は、キーボード395、外部メモリスロット396、裏面カメラ397、ライト398等を備える。また、アンテナは筐体394に内蔵されている。
また、上記の構成に加えて、非接触ICチップまたは小型記録装置等を携帯電話機に内蔵していてもよい。
図27(A)では筐体394と筐体385が重なり合っており、図27(A)の状態から筐体394と筐体385がスライドし、図27(C)のように展開する。表示部386には、実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかに示されるトランジスタを有する表示装置を組み込むことが可能であり、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部386と表面カメラ用レンズ391を同一の面に備えているため、テレビ電話としての使用が可能である。また、表示部386をファインダーとして用いることで、裏面カメラ397及びライト398で静止画及び動画の撮影が可能である。
スピーカ387及びマイクロフォン388は音声通話に限らず、テレビ電話、録音及び再生等の用途に使用できる。操作キー389により、電話の発着信、電子メール等の簡単な情報入力、表示部386に表示される画面のスクロール及びカーソル移動等の操作が可能である。
また、書類の作成、携帯情報端末としての使用等、取り扱う情報が多い場合は、キーボード395を用いると便利である。重なり合った筐体394と筐体385(図27(A))をスライドさせることで、図27(C)のように展開して携帯情報端末として使用できる。また、キーボード395及びポインティングディバイス390を用いることで、カーソルの円滑な操作が可能である。外部接続端子ジャック392はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、これを介して充電及びパーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット396に記録媒体を挿入して使用することで、大量のデータの保存及び移動が可能である。
筐体385の裏面(図27(B))には、裏面カメラ397及びライト398を備えており、表示部386をファインダーとし静止画及び動画の撮影が可能である。
また、上記機能構成に加えて、赤外線通信機能、USBポート、テレビワンセグ受信機能、非接触ICチップ、イヤホンジャック等を備えていてもよい。
実施の形態1乃至実施の形態6のいずれかで説明した薄膜トランジスタを画素に適用することで、画質を向上させ、消費電力を低減させることができる。
本実施例では、実施の形態1で示すシミュレーションにおいて、Siの結晶粒界をNH基で架橋した際のLUMOの状態について、以下に示す。
図4及び図5それぞれに、Siの結晶粒界がO原子で架橋されたモデル(モデル1)と、Siの結晶粒界がNH基で架橋されたモデル(モデル2)それぞれのLUMO(最低非占有軌道)の様子を示す。ここで、LUMOは、励起状態の電子が入る最低エネルギーの分子軌道であり、バンド理論における伝導帯(CB)下端の軌道に相当する。したがって、キャリア伝導に寄与する電子の波動関数であり、キャリアの移動度を決定する軌道と解釈できる。
次に、モデル1及びモデル2のLUMOが、どの原子のどの軌道に由来するのか調べた。LUMOの波動関数は、膜を構成する原子の原子軌道の線型結合(即ち、スカラー倍の和)で表せる。
なお、線型結合の係数それぞれの絶対値の2乗から各原子軌道での存在確率がわかり、符号から各原子軌道同士が結合性(同符号)であるのか、もしくは反結合性(異符号)であるのかがわかる。
次に、モデル1の結晶粒界付近において、LUMOを構成する主な原子軌道の概念図を、図29(A)に示し、モデル2の結晶粒界付近において、LUMOを構成する主な原子軌道の概念図を、図29(B)に示す。ここで、ハッチングが異なる領域は、波動関数の符号が互いに逆であることを意味する。ここでは、Si原子のs軌道452、456、Si原子のp軌道451、453、455、457、O原子の2s軌道454、N原子の2s軌道458、H原子の1s軌道459を示す。
図29(A)に示すように、Siの結晶粒界がO原子で架橋される場合、O原子の2s軌道454に注目すると、結晶粒界両側のSi原子のsp3軌道(3s軌道452+3p軌道453、3s軌道456+3p軌道455)とは位相が異なる。すなわち、O原子の2s軌道454は、原子間の結合には寄与するが、波動関数の広がりが小さいので、電子雲をつなげることはできない。したがって、導電率の向上には寄与しないと考えられる。
一方、図29(B)に示すように、Siの結晶粒界がNH基で架橋される場合、N原子の2s軌道458に注目すると、結晶粒界両側のSi原子のsp3軌道(3s軌道452+3p軌道453、3s軌道456+3p軌道455)とは位相が異なる。すなわち、N原子の2s軌道458では、電子雲をつなげることはできない。しかしながら、H原子の1s軌道459が混合する事によって、同一符号の領域であるSi原子のsp3軌道(3s軌道452+3p軌道453)、H原子の1s軌道459、及びSi原子のsp3軌道(3s軌道456+3p軌道455)が結合性軌道となり、電子雲をつなげることができる。したがって、導電率が向上すると考えられる。
以上の結果は、次のように解釈することができる。すなわち、LUMOは励起状態(エネルギーが高い)のため、一般的に、図30(A)に示すように、原子軌道の反結合性軌道により構成される。図29(A)のモデル1に示すO原子によるSiの結晶粒界の架橋、若しくは図29(B)のモデル2に示すNH基によるSiの結晶粒界の架橋でも、O原子及びN原子の2s軌道454、458が、Si原子のsp3軌道(3s軌道452+3p軌道453、3s軌道456+3p軌道455)と反結合(位相が反対)していることがわかる。反結合性軌道の場合、電子雲に節ができることを意味している。したがって、図29(A)のモデル1に示すO原子によるSiの結晶粒界の架橋の場合は、電子雲がつながらない。一方、図29(B)のモデル2に示すNH基によるSiの結晶粒界の架橋の場合、N原子の2s軌道458とSi原子のsp3軌道(3s軌道452+3p軌道453、3s軌道456+3p軌道455)とが反結合性軌道を形成するものの、H原子が存在するため、H原子の1s軌道459とSi原子のsp3軌道(3s軌道452+3p軌道453、3s軌道456+3p軌道455)とが、図30(B)に示すように、結合性軌道を形成することができる。つまり、NH基では、H原子が存在するために電子雲をつなげることができる。
なお、CH2基はH原子を有するが、CH2基中のC原子やH原子の原子軌道が結合することによって構成される分子軌道は、より高いエネルギーの分子軌道を構成するため、LUMO(最低非占有軌道)を構成する原子軌道には含まれない。このためCH2基によるSiの結晶粒界の架橋でも、電子雲がつながらないと考えられる。
以上により、NH基で架橋したSiの結晶粒界のLUMOでは、結晶粒界両端のSi原子のsp3軌道は、N原子の2s軌道とは逆位相であるが、H原子の1s軌道とは同位相となる。したがって、H原子の1s軌道が電子雲の橋渡しをする。この結果、電子雲が繋がり、キャリアの経路が形成されることがわかる。また、Siの結晶粒界において、電子雲がつながるためには、架橋基中において原子軌道がLUMOを構成する原子(例えば、O架橋のO原子、NH基中のN原子とH原子)を有し、且つ、Si原子のsp3軌道と同位相となる原子(例えば、NH基のH原子)を有することが必要であると推定される。