以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
本実施形態においては、本発明の電池劣化情報管理システムをハイブリッド自動車(機器)に搭載した例を採用する。また、電池劣化情報管理システムは、複数の蓄電池と複数の電子装置とを含む上述のような機器に搭載され、複数の電子装置間で各蓄電池の劣化状態を示す電池劣化情報を通信するとともに、各電子装置で電池劣化情報を記憶しておくものである。このように、各電子装置で電池劣化情報を記憶して電池劣化情報を管理することで、電池の劣化状況を管理することができる。
なお、本発明の電池劣化情報管理システムは、ハイブリッド自動車以外にも、例えば、電気自動車、携帯電話機や携帯情報端末などの携帯端末、ノートパソコン、及びデジタルカメラなどの機器に搭載することも可能である。つまり、電池劣化情報管理システムは、蓄電池と複数の電子装置とを含み、複数の電子装置間で蓄電池の劣化状態を示す電池劣化情報を通信するとともに、各電子装置で電池劣化情報を記憶しておく機器であれば搭載することが可能である。
より具体的には、図1に示すように、本実施形態の電池劣化情報管理システムは、例えば複数の電池パック41(第1電池パック41〜第N電池パック41のN個、Nは2以上の自然数)を含む蓄電池(二次電池)40と、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit、第1装置)20と、エンジンECU(Electronic Control Unit、第2装置)30とを含むハイブリッド自動車(機器)に搭載される。そして、ハイブリッドECU20とエンジンECU30間で第1電池パック41〜第N電池パック41における夫々の劣化状態を示す電池劣化情報を通信するとともに、ハイブリッドECU20とエンジンECU30とで各電池劣化情報を記憶しておくものである。また、電池劣化情報管理システムは、ハイブリッドECU20とエンジンECU30とを含んで構成されるものである。なお、以下、ハイブリッドECU20をHV−ECU20、エンジンECU30をENG−ECU30とも称する。
この電池劣化情報管理システムが搭載されたハイブリッド自動車は、車体(図示省略)、インジェクタ96やイグナイタ97などを含むエンジン、フロントモータやリアモータなどを含むモータ85、充放電可能な蓄電池40(組電池)に含まれる第1電池パック41〜第N電池パック41、電池監視ユニット10、及びHV−ECU20やENG−ECU30などの各種電子装置(電子制御装置)を備える。
このハイブリッド自動車は、作動(イグニッションスイッチ70がオン)中においては、電気自動車と同様にフロントモータ及びリアモータを用いて走行できるほか、フロントモータ及びリアモータとエンジンとを併用して走行できる。一方、ハイブリッド自動車の作動を終了(イグニッションスイッチ70がオフ)した後には、電気自動車と同様に、ハイブリッド自動車の外部に設置された外部電源を用いて、蓄電池40中の複数の電池パック(第1電池パック41〜第N電池パック41)に充電できる。なお、外部電源としては、一般に家庭で用いる家庭用コンセント(定格電圧100V)で供給される電源を採用することができる。つまり、ハイブリッド自動車としては、所謂プラグインハイブリッド自動車を採用することができる。
蓄電池40は、エンジン始動時にイグナイタ97やスタータ等へ電力供給したり、モータ85(フロントモータやリアモータなど)を駆動したりするため(モータ駆動用)に、100Vを超える高電圧(例えば144〜288V程度)を出力する高圧側バッテリ(主バッテリ)である。
なお、本実施形態においては、第1電池パック41〜第N電池パック41は直列に接続されている。また、蓄電池40(第1電池パック41〜第N電池パック41)として、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池を採用する。よって、リチウムイオン二次電池からなる第1電池パック41〜第N電池パック41を複数直列に接続した蓄電池40は、車両搭載用高出力電源として好適である。なお、リチウムイオン二次電池は周知技術であるため詳細な説明は省略する。
また、ハイブリッド自動車には、上述の高圧側バッテリとしての蓄電池40の他に、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30などを駆動するための10V程度(例えば12V)の電圧を出力する補機蓄電池60(補機バッテリ)が搭載されている(図2〜4を参照)。このように蓄電池40(主バッテリ)と補機蓄電池60(補機バッテリ)とが搭載されたハイブリッド自動車(二電圧型電源系)では、高圧側バッテリである蓄電池40の出力電圧をDC/DCコンバータを用いて降圧し、その出力によって低圧側バッテリである補機蓄電池60を充電することもできる。
図1に示すように、蓄電池40は、電池電流センサ51、電池電圧センサ52、電池温度センサ53を介して電池監視ユニット10と連携している(シリアル通信)。そして、この電池監視ユニット10は、HV−ECU20とシリアル通信で連携している。さらに、HV−ECU20は、ENG−ECU30とCAN通信で連携している。
この電池監視ユニット10は、蓄電池40の状態(発熱、漏電等の異常)を監視するユニットである(詳細は図2に示す)。HV−ECU20は、モータ、エンジンの駆動量を算出し、モータ85、ENG−ECU30に駆動を指示する制御装置である(詳細は図3に示す)。ENG−ECU30は、HV−ECU20からの要求に応じてエンジンを駆動する制御装置である(詳細は図4に示す)。
ここで、図2に基づいて、電池監視ユニット10に関して説明する。図2に示すように、電池監視ユニット10は、入出力回路11、マイコン(マイクロコンピュータ)12、電源回路13、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-OnlyMemory、記憶装置)15などを備えて構成されている。
電源回路13は、イグニッションスイッチ70を介して補機蓄電池60と電気的に接続可能となっている。この電源回路13は、イグニッションスイッチ70がオン状態であるときに、補機蓄電池60からの入力電圧(例えば12V)を所定の電圧(例えば5V)に変換して入出力回路11及びマイコン12に供給する。
入出力回路11は、電源回路13から電圧を供給されて動作するものであり、電池電流センサ51、電池電圧センサ52、電池温度センサ53からの信号を取得(受信)してマイコン12に出力するとともに、後ほど説明する過充電超過時間や過放電超過時間などの信号をマイコン12から取得(受信)してHV−ECU20へ出力する。換言すると、入出力回路11は、電池電流センサ51、電池電圧センサ52、電池温度センサ53やHV−ECU20との通信インターフェースである。
なお、電池電流センサ51は、第1電池パック41〜第N電池パック41の夫々に流れる電池電流(充放電電流)を個別に検出して、各電池電流を示す信号を電池監視ユニット10に出力する。電池電圧センサ52は、第1電池パック41〜第N電池パック41の夫々の電池電圧を個別に検出して、各電池電圧を示す信号を電池監視ユニット10に出力する。電池温度センサ53は、第1電池パック41〜第N電池パック41の夫々の電池温度を個別に検出して、各電池温度を示す信号を電池監視ユニット10に出力する。
マイコン12は、電源回路13から電圧を供給されて動作するものであり、I/O(Input/Output)12a、CPU(Central Processing Unit)12b、RAM(Random Access Memory)12c、ROM(Read Only Memory)12dなどを含むものである。このように構成された電池監視ユニット10は、CPU12bがI/O12aを介して入出力回路11と通信するとともに、予めROM12dなどに格納されたプログラムをRAM12cに読出して実行することによって所定の処理動作を実行する。
具体的には、電池監視ユニット10(CPU12b)は、電池電流センサ51、電池電圧センサ52、電池温度センサ53からの信号に基づいて、蓄電池40の状態を監視する。特に、電池監視ユニット10(CPU12b)は、電池電圧センサ52から出力された電池電圧を示す信号を取得することによって、蓄電池40の電池電圧をモニタしている。そして、電池電圧が閾値からはずれた時間を計測することで過充電超過時間や過放電超過時間を算出している。この過充電超過時間や過放電超過時間は、電池劣化情報の一部である。なお、過放電とは、放電終止電圧以下の電圧になるまで放電することを示す。過充電とは、十分に電荷が蓄えられた満充電状態を超えて電荷を蓄えようとする状態を示す。
また、上述のように電池電圧センサ52は、第1電池パック41〜第N電池パック41の夫々の電池電圧を個別に出力するものである。これによって、電池監視ユニット10(CPU12b)は、第1電池パック41〜第N電池パック41の夫々における過充電超過時間と過放電超過時間を個別に算出する。換言すると、電池監視ユニット10(CPU12b)は、電池パック41毎の過充電超過時間と過放電超過時間を個別に算出する。さらに、電池監視ユニット10(CPU12b)は、各電池パック41における過充電超過時間と過放電超過時間を算出するとも言い換えることができる。よって、電池パック41の個数に対応した数の過充電超過時間と過放電超過時間が算出されることになる。
なお、電池劣化情報には、この過充電超過時間や過放電超過時間の他に、イグニッションスイッチ70がオンである時間の積算時間(累積時間)であるIGON積算時間(積算値、累積値)も含まれる。つまり、電池劣化情報は、各電池パック41に対応した充電超過時間と過放電超過時間と、IGON積算時間が含まれる。ただし、充電超過時間と過放電超過時間は電池パック41毎に算出されるのに対して、IGON積算時間は電池劣化情報管理システム(又は、ハイブリッド自動車(機器))に一つだけ算出されるものである。また、本実施形態においては、電池劣化情報として、充電超過時間と、過放電超過時間と、IGON積算時間とを採用するが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、EEPROM15には、電池劣化情報管理システムに固有の識別情報として、ハイブリッド自動車(機器)に固有の識別情報である車両固有コードが記憶されている。なお、後ほど説明するHV−ECU20のEEPROM25、ENG−ECU30のEEPROM35にも車両固有コードが記憶されている。そこで、これらを区別するために、電池監視ユニット10(EEPROM15)に記憶されている車両固有コード(すなわち、電池監視ユニット10が認識する車両固有コード)をBCODEとも称する。なお、電池監視ユニット10が別のハイブリッド自動車から取り外されて、現在のハイブリッド自動車に搭載されたものである場合(つまり、電池監視ユニット10が交換されたものである場合)、この電池監視ユニット10のEEPROM15には、別のハイブリッド自動車の車両固有コード(BCODE)が記憶されていることもありうる。
次に、図3に基づいて、HV−ECU20に関して説明する。図3に示すように、HV−ECU20は、入出力回路21、マイコン(マイクロコンピュータ)22、第1電源回路23、第2電源回路24、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)25などを備えて構成されている。
第1電源回路23は、イグニッションスイッチ70を介して補機蓄電池60と電気的に接続可能となっている。この第1電源回路23は、イグニッションスイッチ70がオン状態であるときに、補機蓄電池60からの入力電圧(例えば12V)を所定の電圧に変換して入出力回路21及びマイコン22に供給する。一方、第2電源回路24は、イグニッションスイッチ70を介することなく補機蓄電池60と直接電気的に接続されている。この第2電源回路24は、ハイブリッド自動車に補機蓄電池60が搭載されている場合、常に補機蓄電池60からの入力電圧(例えば12V)を所定の電圧に変換してSRAM(Static Random AccessMemory)22eに供給する。これによって、SRAM22eは、ハイブリッド自動車に補機蓄電池60が搭載されている状態においては常にデータを記憶しておくことが可能となる。
入出力回路21は、第1電源回路23から電圧を供給されて動作するものであり、電池監視ユニット10、ENG−ECU30、車速センサ81、アクセルペダルセンサ82、ストップランプセンサ83、システムリレー84、モータ85と通信可能となっている。よって、入出力回路21には、ハイブリッド自動車の車速を検出する車速センサ81からの車速信号、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ82からのアクセル開度信号、ストップランプセンサ83により検出されたブレーキペダルの状態を示す状態信号などが入力される。また、入出力回路21には、電池監視ユニット10やENG−ECU30から電池劣化情報(電池劣化情報を示す信号)が入力される。
なお、入出力回路21は、これらの信号の他にも、シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサからのシフトポジション信号、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサからのブレーキペダルポジション信号が入力されるものであってもよい。
この入出力回路21は、電池監視ユニット10、ENG−ECU30、車速センサ81、アクセルペダルセンサ82、ストップランプセンサ83からの信号を取得(受信)してマイコン22に出力する。また、入出力回路21は、マイコン22から取得(受信)した各種信号(電池劣化情報や駆動信号など)を電池監視ユニット10、ENG−ECU30、システムリレー84及びモータ85に対して適宜出力する。例えば、ENG−ECU30に電池劣化情報と駆動信号を出力したり、システムリレー84及びモータ85に駆動信号を出力したりする。換言すると、入出力回路21は、電池監視ユニット10、ENG−ECU30、車速センサ81、アクセルペダルセンサ82、ストップランプセンサ83、システムリレー84、モータ85との通信インターフェースである。
マイコン22は、第1電源回路23から電圧を供給されて動作するものであり、I/O(Input/Output)22a、CPU(Central Processing Unit)22b、RAM(Random Access Memory)22c、ROM(Read Only Memory)22dなどを含むものである。このように構成されたHV−ECU20は、CPU22bがI/O22aを介して入出力回路21と通信するとともに、予めROM22dなどに格納されたプログラムをRAM22cに読出して実行することによって所定の処理動作を実行する。
具体的には、HV−ECU20(CPU22b)は、車速センサ81、アクセルペダルセンサ82、ストップランプセンサ83などからの信号に基づいてモータ85、エンジンの駆動量を算出し、モータ85、ENG−ECU30に駆動を指示する(駆動信号を出力する)。なお、HV−ECU20(CPU22b)におけるモータ制御などに関しては、周知技術であるため詳しい説明は省略する。
また、HV−ECU20(CPU22b)は、電池劣化情報としてのIGON積算時間を含む車両情報を取得してRAM22cに記憶しておく。このIGON積算時間は、HV−ECU20(CPU22b)自身でイグニッションスイッチ70のオン時間を積算して取得してもよいし、他のECUから取得してもよい。そして、HV−ECU20(CPU22b)は、このIGON積算時間と、電池監視ユニット10から出力された過充電超過時間や過放電超過時間とに基づいて、所定時間毎に電池劣化情報を生成する(生成手段)。さらに、HV−ECU20(CPU22b)は、生成した電池劣化情報をRAM22cに一時的に記憶する。このように、HV−ECU20は、電池劣化情報を生成する電子装置に相当するものである。
なお、HV−ECU20(CPU22b)は、電池劣化情報などに基づいて蓄電池40の劣化度や余寿命を推定し、蓄電池が劣化した場合に、点検時期であることや交換時期であることをユーザ(ハイブリッド自動車の運転者)に知らせる機能を有する。つまり、蓄電池40の点検の催促や交換の催促をユーザに対して行う機能を有する。
このユーザに対する点検や交換の催促は、ハイブリッド自動車の車室内に設けられたディスプレイ(図示省略)に点検や交換の催促を示す文章やアイコンを表示することによって行うことができる。その他にも、ユーザに対する点検や交換の催促は、ハイブリッド自動車の車室内に設けられたスピーカ(図示省略)から、点検や交換の催促を示す音声案内を出力することによって行うことができる。もちろん、ディスプレイに点検や交換の催促を示す文章やアイコンを表示するとともに、スピーカから点検や交換の催促を示す音声案内を出力するようにしてもよい。
また、HV−ECU20(CPU22b)は、電池劣化情報をENG−ECU30との間で送受信する送信処理(第1送信手段)及び受信処理(第1受信手段)や、電池劣化情報の第2比較判定処理(第2比較判定手段)及び更新処理などを実行する。さらに、HV−ECU20(CPU22b)は、後ほど説明する車両固有コードをENG−ECU30との間で送受信する送信処理(第2送信手段、交換判定手段)及び受信処理(第2受信手段、交換判定手段)や、車両固有コードを電池監視ユニット10から取得する取得処理(識別情報取得手段、交換判定手段)や、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30夫々の車両固有コードを比較して自身(HV−ECU20)及びENG−ECU30の交換を判定する比較判定処理(比較判定手段、交換判定手段)などを実行する。
換言すると、HV−ECU20(CPU22b)は、電池劣化情報をENG−ECU30との間で送受信する送信機能及び受信機能や、電池劣化情報の第2比較判定機能及び更新機能などを有する。さらに、HV−ECU20(CPU22b)は、後ほど説明する車両固有コードをENG−ECU30との間で送受信する送信機能及び受信機能や、車両固有コードを電池監視ユニット10から取得する取得機能や、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30夫々の車両固有コードを比較して自身(HV−ECU20)及びENG−ECU30の交換を判定する比較判定機能などを有する。なお、これらの処理(機能)に関しては、後ほど詳しく説明する。
さらに、HV−ECU20(CPU22b)は、生成した電池劣化情報をSRAM22e(第1記憶手段)及びEEPROM25(第1記憶手段)に書き込む(記憶する)。このように、電池劣化情報をEEPROM25に記憶しておくことによって、HV−ECU20を交換するためにハイブリッド自動車からHV−ECU20が取り外されたり、補機蓄電池60を交換するためにハイブリッド自動車から補機蓄電池60が取り外されたりした場合であっても、HV−ECU20に電池劣化情報が保存されることになる。
通常、EEPROM25は、消去・書き換え回数に限度がある。よって、HV−ECU20(CPU22b)は、この消去・書き換え回数の限度を超えない程度に設定されたタイミングで電池劣化情報をEEPROM25に書き込む。また、このようにEEPROM25には消去・書き換え回数に限度があるため、HV−ECU20(CPU22b)は、第2比較判定処理時にはSRAM22eに記憶された電池劣化情報を読み出して使用すると好ましい。同様に、HV−ECU20(CPU22b)は、更新処理時にはSRAM22eに記憶された電池劣化情報を更新すると好ましい。さらに、HV−ECU20(CPU22b)は、送信処理時にはSRAM22eに記憶された電池劣化情報をENG−ECU30に送信すると好ましい。ここでは、SRAM22eに記憶された電池劣化情報を用いて、第2比較判定処理、更新処理、送信処理などを行う例を採用する。
なお、HV−ECU20(CPU22b)は、ENG−ECU30から受信した電池劣化情報をRAM22cに一時的に記憶する。このENG−ECU30から受信して、RAM22cに記憶された電池劣化情報は、後ほど説明するENG−ECU30が認識している電池劣化情報である。よって、ENG−ECU30から受信して、RAM22cに記憶された電池劣化情報をEDATA(ENG認識値)とも称する。また、RAM22cに記憶された電池劣化情報をリアルタイム値とも称する。さらに、SRAM22eに記憶された電池劣化情報を(すなわち、HV−ECU20が認識している電池劣化情報)をHDATA(HV認識値)とも称する。
このように、リアルタイム値、HDATA、EDATAは、全て電池劣化情報を示すものである。ただし、リアルタイム値、HDATA、EDATAは、電池劣化情報が生成されたタイミングが異なる場合がある。リアルタイム値は、最新の電池劣化情報である。つまり、最も劣化した状態を示す電池劣化情報である。これに対して、HDATAは、後ほど説明するように、EDATAとの比較判定処理(第2比較判定処理)、又はリアルタイム値とEDATAとの比較判定処理(第2比較判定処理)の後に更新された電池劣化情報が含まれる場合がある。同様に、EDATAは、後ほど説明するように、ENG−ECU30によって、HDATAとの比較判定処理(第1比較判定処理)の後に更新された電池劣化情報が含まれる場合がある。なお、SRAM22eにHDATAが記憶されていない場合(つまり初期状態)、HV−ECU20(CPU22b)は、リアルタイム値をHDATAとしてSRAM22eに記憶する。
また、EEPROM25(第2記憶手段)には、電池劣化情報管理システムに固有の識別情報として、ハイブリッド自動車(機器)に固有の識別情報である車両固有コードが記憶されている(交換判定手段)。上述の電池監視ユニット10のEEPROM15に記憶された車両固有コード(BCODE)、及び後ほど説明するENG−ECU30のEEPROM35に記憶された車両固有コードと区別するために、HV−ECU20(EEPROM25)に記憶されている車両固有コード(すなわち、HV−ECU20が認識する車両固有コード)をHCODEと称する。なお、HV−ECU20が別のハイブリッド自動車から取り外されて、現在のハイブリッド自動車に搭載されたものである場合(つまり、HV−ECU20が交換されたものである場合)、このHV−ECU20のEEPROM25には、別のハイブリッド自動車の車両固有コード(HCODE)が記憶されていることもありうる。
次に、図4に基づいて、ENG−ECU30に関して説明する。図4に示すように、ENG−ECU30は、入出力回路31、マイコン(マイクロコンピュータ)32、第1電源回路33、第2電源回路34、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)35などを備えて構成されている。
第1電源回路33は、イグニッションスイッチ70を介して補機蓄電池60と電気的に接続可能となっている。この第1電源回路33は、イグニッションスイッチ70がオン状態であるときに、補機蓄電池60からの入力電圧(例えば12V)を所定の電圧に変換して入出力回路31及びマイコン32に供給する。一方、第2電源回路34は、イグニッションスイッチ70を介することなく補機蓄電池60と直接電気的に接続されている。この第2電源回路34は、ハイブリッド自動車に補機蓄電池60が搭載されている場合、常に補機蓄電池60からの入力電圧(例えば12V)を所定の電圧に変換してSRAM(Static Random AccessMemory)32eに供給する。これによって、SRAM32eは、ハイブリッド自動車に補機蓄電池60が搭載されている状態においては常にデータを記憶しておくことが可能となる。
入出力回路31は、第1電源回路33から電圧を供給されて動作するものであり、HV−ECU20、エンジンの状態を検出する種々のセンサ(A/Fセンサ91、回転センサ92、エアフローセンサ93、スロットルセンサ94、水温センサ95)、インジェクタ96、イグナイタ97などと通信可能となっている。よって、入出力回路21には、A/Fセンサ91からの空燃比信号、クランクシャフトの回転位置を検出する回転センサ92からのクランクポジション信号、吸気管に取り付けられたエアフローメータ93からの吸入空気量信号、スロットルバルブのポジションを検出するスロットルセンサ94からのスロットル開度信号、エンジンの冷却水の温度を検出する水温センサ95からの冷却水温信号などが入力される。また、入出力回路31には、HV−ECU20から電池劣化情報(電池劣化情報を示す信号)や駆動信号が入力される。
なお、入出力回路31は、これらの信号の他にも、燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブや排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサからのカムポジション信号、吸気管に取り付けられた温度センサからの吸気温信号、吸気管内の圧力を検出する吸気圧センサからの吸気圧信号などが入力されるものであってもよい。
この入出力回路31は、HV−ECU20、A/Fセンサ91、回転センサ92、エアフローセンサ93、スロットルセンサ94、水温センサ95からの信号を取得(受信)してマイコン32に出力する。また、入出力回路31は、マイコン32から出力された各種信号(電池劣化情報や駆動信号など)をHV−ECU20、インジェクタ96及びイグナイタ97に対して適宜出力する。例えば、HV−ECU20に電池劣化情報を出力したり、インジェクタ96及びイグナイタ97に駆動信号を出力したりする。換言すると、入出力回路31は、HV−ECU20、A/Fセンサ91、回転センサ92、エアフローセンサ93、スロットルセンサ94、水温センサ95、インジェクタ96、イグナイタ97との通信インターフェースである。
マイコン32は、第1電源回路33から電圧を供給されて動作するものであり、I/O(Input/Output)32a、CPU(Central Processing Unit)32b、RAM(Random Access Memory)32c、ROM(Read Only Memory)32dなどを含むものである。このように構成されたENG−ECU30は、CPU32bがI/O32aを介して入出力回路21と通信するとともに、予めROM32dなどに格納されたプログラムをRAM32cに読出して実行することによって所定の処理動作を実行する。
具体的には、ENG−ECU30(CPU32b)は、HV−ECU20からの要求に応じて、インジェクタ96やイグナイタ97などへの駆動信号を出力することによって、エンジンの運転を制御する。また、ENG−ECU30(CPU32b)は、必要に応じて、A/Fセンサ91、回転センサ92、エアフローセンサ93、スロットルセンサ94、水温センサ95からの信号に基づいて、エンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、ENG−ECU30(CPU32b)におけるエンジン制御に関しては、周知技術であるため詳しい説明は省略する。
また、ENG−ECU30(CPU32b)は、電池劣化情報をHV−ECU20との間で送受信する送信処理(第1送信手段)及び受信処理(第1受信手段)や、電池劣化情報の第1比較判定処理(第1比較判定手段)及び更新処理などを実行する。さらに、ENG−ECU30(CPU32b)は、後ほど説明する車両固有コードをHV−ECU20との間で送受信する送信処理(第2送信手段、交換判定手段)及び受信処理(第2受信手段、交換判定手段)や、車両固有コードを電池監視ユニット10から取得(HV−ECU20経由で取得)する取得処理(識別情報取得手段、交換判定手段)や、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30夫々の車両固有コードを比較してHV−ECU20及び自身(ENG−ECU30)の交換を判定する比較判定処理(比較判定手段、交換判定手段)などを実行する。
換言すると、ENG−ECU30(CPU32b)は、電池劣化情報をHV−ECU20との間で送受信する送信機能及び受信機能や、電池劣化情報の第1比較判定機能及び更新機能などを有する。さらに、ENG−ECU30(CPU32b)は、後ほど説明する車両固有コードをHV−ECU20との間で送受信する送信機能及び受信機能や、車両固有コードを電池監視ユニット10から取得(HV−ECU20経由で取得)する取得機能や、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30夫々の車両固有コードを比較してHV−ECU20及び自身(ENG−ECU30)の交換を判定する比較判定機能などを有する。なお、これらの処理(機能)に関しては、後ほど詳しく説明する。
さらに、ENG−ECU30(CPU32b)は、生成した電池劣化情報をSRAM32e(第1記憶手段)及びEEPROM35(第1記憶手段)に書き込む(記憶する)。このように、電池劣化情報をEEPROM35に記憶しておくことによって、ENG−ECU30を交換するためにハイブリッド自動車からENG−ECU30が取り外されたり、補機蓄電池60を交換するためにハイブリッド自動車から補機蓄電池60が取り外されたりした場合であっても、ENG−ECU30に電池劣化情報が保存されることになる。
また、このように、電池劣化情報をENG−ECU30(SRAM32eやEEPROM35)にも保存しておくことによって、HV−ECU20とENG−ECU30のうち、HV−ECU20のみがハイブリッド自動車から取り外されたとしても、電池劣化情報をハイブリッド自動車(ENG−ECU30)に残して(保存して)おくことができる。なお、上述のように電池劣化情報をHV−ECU20(SRAM22eやEEPROM25)にも保存しているため、HV−ECU20とENG−ECU30のうち、ENG−ECU30のみがハイブリッド自動車から取り外されたとしても、電池劣化情報をハイブリッド自動車(HV−ECU20)に残して(保存して)おくことができる。
通常、EEPROM35は、消去・書き換え回数に限度がある。よって、ENG−ECU30(CPU32b)は、この消去・書き換え回数の限度を超えない程度に設定されたタイミングで電池劣化情報をEEPROM35に書き込む。また、このようにEEPROM35には消去・書き換え回数に限度があるため、ENG−ECU30(CPU32b)は、第1比較処理時にはSRAM32eに記憶された電池劣化情報を読み出して使用すると好ましい。同様に、マイコン32(CPU32b)は、更新処理時にはSRAM32eに記憶された電池劣化情報を更新すると好ましい。さらに、ENG−ECU30(CPU32b)は、送信処理時にはSRAM32eに記憶された電池劣化情報をHV−ECU20に送信すると好ましい。ここでは、SRAM32eに記憶された電池劣化情報を用いて、第1比較判定処理、更新処理、送信処理などを行う例を採用する。
なお、ENG−ECU30(CPU32b)は、HV−ECU20から受信した電池劣化情報をRAM32cに一時的に記憶する。このHV−ECU20から受信して、RAM32cに記憶された電池劣化情報は、HV−ECU20が認識している電池劣化情報(つまり、HDATA)である。また、上述のように、SRAM22eに記憶された電池劣化情報を(すなわち、ENG−ECU30が認識している電池劣化情報)をEDATA(ENG認識値)とも称する。なお、SRAM32eにEDATAが記憶されていない場合(つまり初期状態)、ENG−ECU30(CPU32b)は、リアルタイム値をEDATAとしてSRAM32eに記憶する。
また、EEPROM35(第2記憶手段)には、電池劣化情報管理システムに固有の識別情報として、ハイブリッド自動車(機器)に固有の識別情報である車両固有コードが記憶されている(交換判定手段)。上述の電池監視ユニット10のEEPROM15に記憶された車両固有コード(BCODE)、及びHV−ECU20のEEPROM25に記憶された車両固有コードと区別するために、ENG−ECU30(EEPROM35)に記憶されている車両固有コード(すなわち、ENG−ECU30が認識する車両固有コード)をECODEと称する。なお、ENG−ECU30が別のハイブリッド自動車から取り外されて、現在のハイブリッド自動車に搭載されたものである場合(つまり、ENG−ECU30が交換されたものである場合)、このENG−ECU30のEEPROM35には、別のハイブリッド自動車の車両固有コード(ECODE)が記憶されていることもありうる。
ここで、図5に基づいて、HV−ECU20の処理動作に関して説明する。この図5に示すフローチャートは、イグニッションスイッチ70がオンであるときに所定時間毎に実行されるものである(例えばベース64ms処理)。
ステップS10では、ENG−ECU30からEDATA(ENG−ECU30が認識している電池劣化情報)を受信する。これは、HDATAを更新する際に用いるためである。
また、ステップS11では、ENG−ECU30からECODE(ENG−ECU30が認識している車両固有コード)を受信する。これは、HV−ECU20自身、及びENG−ECU30が交換されたものであるか否かを判定する際に用いるためである。
そして、ステップS12では、電池監視ユニット10からBCODE(電池監視ユニット10が認識している車両固有コード)を受信する。これは、HV−ECU20自身、及びENG−ECU30が交換されたものであるか否かを判定する際に用いるためである。
次に、ステップS13では、ステップS11で受信したECODEと、ステップS12で受信したBCODEと、SRAM22eに記憶されているHCODEとを比較して、BCODE=HCODEかつBCODE=ECODEであるか否かを判定する。そして、BCODE=HCODEかつBCODE=ECODEであると判定した場合は、HV−ECU20及びENG−ECU30ともに交換されたものではないとみなしてステップS17へ進む(交換判定手段)。
一方、BCODE=HCODEかつBCODE=ECODEでないと判定した場合は、HV−ECU20及びENG−ECU30のいずれかが交換されたものである、もしくは、電池監視ユニット10、HV−ECU20及びENG−ECU30の全てが同期していないとみなしてステップS14へ進む(交換判定手段)。
ステップS17では、自身のSRAM22eに記憶されているHDATA(HV−ECU20が認識している電池劣化情報)とステップS10で受信したEDATA(ENG−ECU30が認識している電池劣化情報)とを比較して、HDATA<EDATAであるか否かを判定する(第2比較判定処理)。そして、HDATA<EDATAであると判定した場合は、SRAM22eに記憶されているHDATAよりも、ENG−ECU30から受信したEDATAの方が劣化しているとみなしてステップS18へ進む。つまり、このように判定された場合、HDATAをEDATAで更新する必要があるとみなす。
一方、HDATA<EDATAでないと判定した場合は、SRAM22eに記憶されているHDATAとENG−ECU30から受信したEDATAとは劣化状態が同じ、又は、EDATAよりもHDATAの方が劣化しているとみなして、このフローチャートに示す処理を終了する。つまり、このように判定された場合、HDATAは更新の必要がないとみなす。
そして、ステップS18では、SRAM22eに記憶されているHDATAをEDATAに更新する(更新手段)。換言すると、SRAM22eに記憶されているHDATAをEDATAに書き換える(更新手段)。このように、HV−ECU20は、自身(HV−ECU20)及びENG−ECU30ともに交換されたものでないと判定された場合、自身のSRAM22e(第1記憶手段)に記憶されたHDATAと、自身が受信処理(自身の第1受信手段)で受信したEDATAとを比較して、より劣化している方の電池劣化情報を判定し(第2比較判定手段)、より劣化している方の電池劣化情報でSRAM22e(第1記憶手段)に記憶されたHDATAを更新する(更新手段)。
なお、このように、SRAM22e(第1記憶手段)に記憶されたHDATAと、自身が受信処理(自身の第1受信手段)で受信したEDATAとのみを比較する場合、HV−ECU20は、リアルタイム値を生成すると、この生成したリアルタイム値をHDATAとしてSRAM22eに記憶する。この記憶のタイミングとは別のタイミングで、SRAM22e(第1記憶手段)に記憶されたHDATAと、自身が受信処理(自身の第1受信手段)で受信したEDATAとを比較する。
しかしながら、HV−ECU20は、自身のSRAM22e(第1記憶手段)に記憶されたHDATAと、自身が受信処理(自身の第1受信手段)で受信したEDATAと、自身で生成してRAM22cに記憶されたリアルタイム値とを比較して、最も劣化している電池劣化情報を判定し(第2比較判定手段)、最も劣化している電池劣化情報でSRAM22e(第1記憶手段)に記憶されたHDATAを更新するようにしてもよい(更新手段)。このように、電池劣化情報を三者比較することによって、HV−ECU20のSRAM22eに記憶された電池劣化情報(HDATA)の信頼性を高めることができる。
さらに、ステップS18では、車両固有コードに関しても更新するようにしてもよい。つまり、EEPROM25に記憶されているHCODEをECODEに更新する。換言すると、EEPROM25に記憶されているHCODEをECODEに書き換える(更新手段)。
ステップS14では、BCODEとECODEとを比較して、BCODE=ECODEであるか否かを判定する。そして、BCODE=ECODEであると判定した場合は、ステップS18へ進み、BCODE=ECODEでないと判定した場合は、ステップS15へ進む。
ステップS14でのYES判定を経てステップS18に進んだ場合、BCODE=ECODE、且つBCODE≠HCODEである。つまり、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM22cに記憶したBCODEと受信処理(第2受信手段)にて受信してRAM22cに記憶したECODEとが一致しており、且つ、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM22cに記憶したBCODEとEEPROM25(第2記憶手段)に記憶されているHCODEとが一致していない場合である。従って、HV−ECU20のみが交換されたものであるみなすことができる(交換判定手段)。よって、このHV−ECU20は、新たにハイブリッド自動車に搭載されたものとみなすことができる。
この場合、HV−ECU20は、SRAM22eに記憶されているHDATAをEDATAに更新する(更新手段)。換言すると、SRAM22eに記憶されているHDATAをEDATAに書き換える(更新手段)。このように、HV−ECU20は、自身のみが交換されたものであると判定された場合は、自身が受信処理(自身の第1受信手段)で受信した電池劣化情報(EDATA)でSRAM22e(第1記憶手段)に記憶されたHDATAを更新する(更新手段)。換言すると、HV−ECU20は、自身のみが交換されたものであると判定された場合は、HDATAとEDATAとの劣化状態を比較することなく、SRAM22eに記憶されているHDATAをEDATAに更新する(更新手段)。これによって、このHV−ECU20のSRAM22eには、現在搭載されているハイブリッド自動車の蓄電池40の電池劣化情報が記憶されることになる。
さらに、ステップS18では、車両固有コードに関しても更新する。つまり、EEPROM25に記憶されているHCODEをECODEに更新する。換言すると、EEPROM25に記憶されているHCODEをECODEに書き換える(更新手段)。これによって、このHV−ECU20のEEPROM25には、現在搭載されているハイブリッド自動車の車両固有コードが記憶されることになる。
ステップS15では、BCODEとHCODEとを比較して、BCODE=HCODEであるか否かを判定する。このように、BCODE=HCODEであると判定した場合は、BCODE=HCODE、且つBCODE≠ECODEである。つまり、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM22cに記憶したBCODEとEEPROM25(第2記憶手段)に記憶されているHCODEとが一致しており、且つ、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM22cに記憶したBCODEと受信処理(第2受信手段)にて受信してRAM22cに記憶したECODEとが一致していない場合である。従って、ENG−ECU30のみが交換されたものであるみなすことができる(交換判定手段)。つまり、このHV−ECU20は、交換されたものではなく、既にハイブリッド自動車に搭載されていたものである(交換判定手段)。この場合、HV−ECU20は、SRAM22eに記憶されているHDATA、及びEEPROM25に記憶されているHCODEを更新する必要がない。このように、HV−ECU20は、ENG−ECU30(他方の電子装置)のみが交換されたものであると判定された場合は、SRAM22eに記憶されているHDATA、及びEEPROM25に記憶されているHCODEの更新を行わない(更新手段)。そして、ステップS15においてYESと判定した場合は、このフローチャートに示す処理を終了する。
一方、ステップS15においてNO(BCODE=HCODEでないと)と判定した場合は、ステップS16へ進む。このように、BCODE=HCODEでないと判定した場合は、BCODE≠HCODE、且つBCODE≠ECODEである。従って、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30は、それぞれ異なる車両固有コードを記憶していることになる。つまり、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30のうちどの装置が記憶している車両固有コードが正しいのかを判定することができない。そこで、ステップS16では、BCODE≠HCODE、且つBCODE≠ECODEの場合は異常であると判定し(比較判定手段)、ユーザに対して警告を行う(警告手段)。従って、このような場合は、ユーザに対して警告を行うと好ましい。このとき、例えばユーザに対して、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30の同期を取るように警告する。
次に、図6に基づいて、ENG−ECU30の処理動作に関して説明する。この図6に示すフローチャートは、イグニッションスイッチ70がオンであるときに所定時間毎に実行されるものである(例えばベース64ms処理)。
ステップS20では、HV−ECU20からHDATA(HV−ECU20が認識している電池劣化情報)を受信する。これは、EDATAを更新する際に用いるためである。
また、ステップS21では、HV−ECU20からHCODE(HV−ECU20が認識している車両固有コード)を受信する。これは、HV−ECU20、及びENG−ECU30自身が交換されたものであるか否かを判定する際に用いるためである。
そして、ステップS22では、電池監視ユニット10からBCODE(電池監視ユニット10が認識している車両固有コード)を受信する。これは、HV−ECU20、及びENG−ECU30自身が交換されたものであるか否かを判定する際に用いるためである。なお、このとき、ENG−ECU30は、HV−ECU20経由で電池監視ユニット10からBCODEを取得する。
次に、ステップS23では、ステップS21で受信したHCODEと、ステップS22で受信したBCODEと、SRAM32eに記憶されているECODEとを比較して、BCODE=HCODE且つBCODE=ECODEであるか否かを判定する。そして、BCODE=HCODE且つBCODE=ECODEであると判定した場合は、HV−ECU20及びENG−ECU30ともに交換されたものではないとみなしてステップS25へ進む(交換判定手段)。
一方、BCODE=HCODE且つBCODE=ECODEでないと判定した場合は、HV−ECU20及びENG−ECU30のいずれかが交換されたものである、もしくは、電池監視ユニット10、HV−ECU20及びENG−ECU30の全てが同期していないとみなしてステップS24へ進む(交換判定手段)。
ステップS25では、自身のSRAM32eに記憶されているEDATA(ENG−ECU30が認識している電池劣化情報)とステップS20で受信したHDATA(HV−ECU20が認識している電池劣化情報)とを比較して、EDATA<HDATAであるか否かを判定する(第1比較判定処理)。そして、EDATA<HDATAであると判定した場合は、SRAM32eに記憶されているEDATAよりも、HV−ECU20から受信したHDATAの方が劣化しているとみなしてステップS26へ進む。つまり、このように判定された場合、EDATAをHDATAで更新する必要があるとみなす。
一方、EDATA<HDATAでないと判定した場合は、SRAM32eに記憶されているEDATAとHV−ECU20から受信したHDATAとは劣化状態が同じ、又は、HDATAよりもEDATAの方が劣化しているとみなして、このフローチャートに示す処理を終了する。つまり、このように判定された場合、EDATAは更新の必要がないとみなす。
そして、ステップS26では、SRAM32eに記憶されているEDATAをHDATAに更新する(更新手段)。換言すると、SRAM32eに記憶されているEDATAをHDATAに書き換える(更新手段)。このように、ENG−ECU30は、自身(ENG−ECU30)及びHV−ECU20ともに交換されたものでないと判定された場合、自身のSRAM32e(第1記憶手段)に記憶されたEDATAと、自身が受信処理(自身の第1受信手段)で受信したHDATAとを比較して、より劣化している方の電池劣化情報を判定し(第1比較判定手段)、より劣化している方の電池劣化情報でSRAM32e(第1記憶手段)に記憶されたEDATAを更新する(更新手段)。このようにすることによって、蓄電池40の劣化状態が変化した場合にも、ENG−ECU30では、最新の電池劣化情報を記憶しておくことができるので好ましい。
さらに、ステップS26では、車両固有コードに関しても更新するようにしてもよい。つまり、EEPROM35に記憶されているECODEをHCODEに更新する。換言すると、EEPROM35に記憶されているECODEをHCODEに書き換える(更新手段)。
ステップS24では、BCODEとECODEとを比較して、BCODE=HCODEであるか否かを判定する。そして、BCODE=HCODEであると判定した場合は、ステップS26へ進み、BCODE=HCODEでないと判定した場合は、このフローチャートに示す処理を終了する。
ステップS24でのYES判定を経てステップS26に進んだ場合、BCODE=HCODE、且つBCODE≠ECODEである。つまり、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM32cに記憶したBCODEと受信処理(第2受信手段)にて受信してRAM32cに記憶したHCODEとが一致しており、且つ、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM32cに記憶したBCODEとEEPROM35(第2記憶手段)に記憶されているECODEとが一致していない場合である。従って、ENG−ECU30(自身)のみが交換されたものであるみなすことができる(交換判定手段)。よって、このENG−ECU30は、新たにハイブリッド自動車に搭載されたものとみなすことができる。
この場合、ENG−ECU30は、SRAM32eに記憶されているEDATAをHDATAに更新する(更新手段)。換言すると、SRAM32eに記憶されているEDATAをHDATAに書き換える(更新手段)。このように、ENG−ECU30は、自身のみが交換されたものであると判定された場合は、自身が受信処理(自身の第1受信手段)で受信した電池劣化情報(HDATA)でSRAM32e(第1記憶手段)に記憶されたEDATAを更新する(更新手段)。換言すると、ENG−ECU30は、自身のみが交換されたものであると判定された場合は、EDATAとHDATAとの劣化状態を比較することなく、SRAM32eに記憶されているEDATAをHDATAに更新する(更新手段)。これによって、このENG−ECU30のSRAM32eには、現在搭載されているハイブリッド自動車の蓄電池40の電池劣化情報が記憶されることになる。
さらに、ステップS26では、車両固有コードに関しても更新する。つまり、EEPROM35に記憶されているECODEをHCODEに更新する。換言すると、EEPROM35に記憶されているECODEをHCODEに書き換える(更新手段)。これによって、このENG−ECU30のEEPROM35には、現在搭載されているハイブリッド自動車の車両固有コードが記憶されることになる。
なお、ステップS24において、BCODE=HCODEでないと判定した場合は、例えば、BCODE=ECODE、且つBCODE≠HCODEである。つまり、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM32cに記憶したBCODEとEEPROM35(第2記憶手段)に記憶されているECODEとが一致しており、且つ、電池監視ユニット10から取得(識別情報取得手段にて取得)してRAM32cに記憶したBCODEと受信処理(第2受信手段)にて受信してRAM32cに記憶したHCODEとが一致していない場合である。従って、HV−ECU20(他方の電子装置)のみが交換されたものであるみなすことができる(交換判定手段)。つまり、このENG−ECU30は、交換されたものではなく、既にハイブリッド自動車に搭載されていたものである(交換判定手段)。この場合、ENG−ECU30は、SRAM32eに記憶されているEDATA、及びEEPROM35に記憶されているECODEを更新する必要がない。このように、ENG−ECU30は、HV−ECU20(他方の電子装置)のみが交換されたものであると判定された場合は、SRAM32eに記憶されているEDATA、及びEEPROM35に記憶されているECODEの更新を行わない(更新手段)。
また、ステップS24において、BCODE=HCODEでないと判定した場合は、例えば、BCODE≠ECODE、且つBCODE≠HCODEである。従って、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30は、それぞれ異なる車両固有コードを記憶していることになる。つまり、電池監視ユニット10、HV−ECU20、ENG−ECU30のうちどの装置が記憶している車両固有コードが正しいのかを判定することができない。このような場合に関しても、ENG−ECU30は、SRAM32eに記憶されているEDATA、及びEEPROM35に記憶されているECODEの更新を行わない(更新手段)。
このように、HV−ECU(電子装置)20とENG−ECU(電子装置)30の夫々は、他方の電子装置(自身ではない方の電子装置)のみが交換されたものであると判定された場合は、自身に記憶された電池劣化情報を更新しない(更新手段)。つまり、HV−ECU20とENG−ECU30の夫々は、他方の電子装置のみが交換されたものであると判定された場合は、自身に記憶されている電池劣化情報を保持することができる。換言すると、交換されていない電子装置は、自身が記憶している電池劣化情報が、交換された他方の電子装置に記憶されている電池劣化情報(例えば、他の機器に搭載されている蓄電池の電池劣化情報)に更新されることを抑制できる。
一方、HV−ECU(電子装置)20とENG−ECU(電子装置)30の夫々は、自身が交換されたものであると判定された場合、自身が受信した電池劣化情報に更新する(更新手段)。つまり、HV−ECU20とENG−ECU30の夫々は、自身のみが交換されて新たにハイブリッド自動車に搭載されたものであると判定された場合は、交換されずにハイブリッド自動車に搭載されていた他方の電子装置から電池劣化情報を取得して、自身のSRAM22e、SRAM32eに記憶することができる。換言すると、交換されて新たにハイブリッド自動車に搭載された電子装置は、その新たに搭載されたハイブリッド自動車における蓄電池40の電池劣化情報を取得して、自身のSRAM22e、SRAM32eに記憶することができる。
このように、本発明の電池劣化情報管理システムは、HV−ECU20とENG−ECU30のいずれか一方が交換された場合であっても、他のハイブリッド自動車(機器)に搭載されている蓄電池の電池劣化情報を記憶することなく、自身とともにハイブリッド自動車に搭載されている蓄電池40の電池劣化情報を記憶しておくことができる。よって、電池劣化情報管理システムは、電池劣化情報を適切に管理することができる。
また、このように、HV−ECU(電子装置)20とENG−ECU(電子装置)30の夫々は、他方の電子装置のみが交換されたものであると判定された場合は、自身に記憶された車両固有コードを更新しない(更新手段)。つまり、HV−ECU20とENG−ECU30の夫々は、他方の電子装置のみが交換されたものであると判定された場合は、自身に記憶されている車両固有コードを保持することができる。換言すると、交換されていない電子装置は、自身が記憶している識別情報が、交換された他方の電子装置に記憶されている識別情報(例えば、他のハイブリッド自動車の車両固有コード)に更新されることを抑制できる。
一方、HV−ECU(電子装置)20とENG−ECU(電子装置)30の夫々は、自身が搭載されている電子装置のみが交換されたものであると判定された場合、自身が受信した車両固有コードで更新する。つまり、HV−ECU20とENG−ECU30の夫々は、自身のみが交換されて新たにハイブリッド自動車に搭載されたものであると判定された場合は、交換されずにハイブリッド自動車に搭載されていた他方の電子装置から車両固有コードを取得して記憶することができる。換言すると、交換されて新たにハイブリッド自動車に搭載された電子装置は、その新たに搭載されたハイブリッド自動車に固有の識別情報を取得して記憶することができる。
また、このように、HV−ECU(電子装置)20とENG−ECU(電子装置)30の夫々は、自身のEEPROM(25又は35)に記憶されたハイブリッド自動車に固有の車両固有コードと、自身が受信した車両固有コードと、電池監視ユニット10から取得した車両固有コードとを比較することで、HV−ECU20とENG−ECU30の夫々が交換されたものであるか否かを判定することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
なお、上述の実施形態においては、HV−ECU20とENG−ECU30が交換されたものであるか否かを判定するためにハイブリッド自動車に固有の識別情報である車両固有コードを用いる例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。この識別情報としては、蓄電池40のシリアルナンバーなどを採用することもできる。
また、上述の実施形態においては、本発明の記憶装置として、電池監視ユニット10に設けられたEEPROM15を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。この記憶装置は、識別情報を記憶可能で、且つ、HV−ECU20とENG−ECU30が識別情報を読み取ることができるものであれば採用することができる。例えば、蓄電池40にEEPROMを設けて、HV−ECU20とENG−ECU30(例えばHV−ECU20経由)から読み取り可能なように構成したものであっても採用することができる。さらに、ハイブリッド自動車に設けられた別の装置(例えば、ナビゲーション制御装置、ボデー制御装置など)に設けて、HV−ECU20とENG−ECU30(例えばHV−ECU20経由)から読み取り可能なように構成したものであっても採用することができる。
また、HV−ECU20とENG−ECU30が交換されたものであるか否かを判定するために識別情報を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、HV−ECU20、ENG−ECU30、及び電池監視ユニット10に設けられたEEPROM(ここでは、符号15、25、35)に、蓄電池40が外される度に、予め決められたルールに従って変化(例えばカウントアップ)する変数を保存しておく。そして、電池監視ユニット10のEEPROM15、HV−ECU20のEEPROM25、ENG−ECU30のEEPROM35の夫々に記憶された変数を比較する。例えば、HV−ECU20のEEPROM25に記憶された変数のみが不一致の場合は、HV−ECU20が交換されたものであるとみなす。また、ENG−ECU30のEEPROM35に記憶された変数のみが不一致の場合は、ENG−ECU30が交換されたものであるとみなす。このようにしても、HV−ECU20とENG−ECU30が交換されたものであるか否かを判定する。
この場合、電池劣化情報管理システムは、以下のように換言することができる。機器(ハイブリッド自動車)は、HV−ECU20とENG−ECU30の他に、蓄電池40が外される度に、予め決められたルールに従って変化(例えばカウントアップ)する変数を保存しておく記憶装置を備える。さらに、二つの電子装置(HV−ECU20とENG−ECU30の夫々)には、交換判定手段として、蓄電池40が外される度に、予め決められたルールに従って変化する変数を記憶する第3記憶手段と、第3記憶手段に記憶された変数を他方の電子装置に送信する第3送信手段と、他方の電子装置から送信された変数を受信する第3受信手段と、記憶装置から変数を取得する変数取得手段と、第3記憶手段に記憶された変数と第3受信手段にて受信した変数と変数取得手段にて取得した変数とを比較して電子装置の交換を判定する第3比較判定手段と、を含む。そして、この第3比較判定手段は、自身と同じ電子装置に設けられた変数取得手段にて取得した変数と自身と同じ電子装置に設けられた第3受信手段にて受信した前記変数とが一致しており、且つ自身と同じ電子装置に設けられた変数取得手段にて取得した変数と自身と同じ電子装置に設けられた第3記憶手段に記憶された変数とが一致していない場合は、自身が搭載されている電子装置のみが交換されたものであると判定する。また、第3比較判定手段は、自身と同じ電子装置に設けられた変数取得手段にて取得した変数と自身と同じ電子装置に設けられた第3記憶手段に記憶された変数とが一致しており、且つ自身と同じ電子装置に設けられた変数取得手段にて取得した変数と自身と同じ電子装置に設けられた第3受信手段にて受信した変数とが一致してない場合は、他方の電子装置のみが交換されたものであると判定する。そして、第3比較判定手段は、自身と同じ電子装置に設けられた第3記憶手段に記憶された変数と、自身と同じ電子装置に設けられた第3受信手段にて受信した変数と、自身と同じ電子装置に設けられた変数取得手段にて取得した変数とが全て一致している場合は、自身が搭載されている電子装置及び他方の電子装置が共に交換されたものでないと判定する。
また、上述の実施形態では、蓄電池としてリチウムイオン二次電池を使用したが、ニッケル水素電池などの他の蓄電池、キャパシタを用いることもできる。