JP5515486B2 - 蓄熱構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄熱材が伝熱部材の表面に固定された蓄熱構造体およびその製造方法に関するものである。
従来、化学反応に伴う反応熱を利用した蓄熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の蓄熱装置では、加熱対象物を加熱する加熱モードにおいて、蓄熱材である酸化カルシウムに向けて水が供給されることで、酸化カルシウムと水との化学反応に伴う水和熱が発生し、その熱が伝熱壁を介して加熱対象物に伝達される。しかしながら、蓄熱材と伝熱壁との密着性が低いので、蓄熱材同士の接触熱抵抗、および蓄熱材と伝熱壁間の接触熱抵抗が増大し、蓄熱材が伝熱壁から剥がれ落ちたり、加熱モードにおいて所望の熱出力が得られなくなるという問題があった。
これに対し、蓄熱材を伝熱壁の中に充填することで、蓄熱材と伝熱壁との密着性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−263952号公報 特開2002−162183号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、蓄熱材の表面全体が伝熱材によりコーティングされてしまうので、加熱モードにおいて蓄熱材が水を吸着することができなくなり、その結果、蓄熱材の水和反応が進行せず、所望の熱出力が得られなくなるという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、加熱対象物を加熱する加熱モードにおける熱出力を確保しつつ、伝熱部材と蓄熱材との密着性を向上させることができる蓄熱構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、気体を反応媒体とし、反応媒体と可逆反応可能な金属酸化物で構成される蓄熱材(2)と、反応媒体と金属酸化物が反応して化合物を生成する際に発生する熱によって加熱される加熱対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)とを備え、伝熱部材(10)は、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の金属元素を含む金属から構成されており、伝熱部材(10)を構成する金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーが、伝熱部材(10)中に含まれる金属元素を除く他の金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーより小さく、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の粒子(100)が生成されていることを特徴としている。
これによれば、伝熱部材(10)が加熱されると、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の粒子(100)が、他の金属酸化物より優先的に生成される。これにより、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に生成された金属酸化物の粒子(100)と、蓄熱材(2)のうち伝熱部材(10)と接触する面に存在する金属酸化物とが親和性を持つので、結果として伝熱部材(10)と蓄熱材(2)との密着性を向上させることが可能となる。このとき、蓄熱材(2)の表面全体が伝熱部材(10)によりコーティングされることはないので、加熱モードにおいて、蓄熱材(2)に含まれる金属酸化物と反応媒体との反応が確実に進行し、十分な熱出力を確保することが可能となる。
また、請求項2に記載の発明では、反応媒体は水(水蒸気)であり、水と金属酸化物とを反応させて水和物を生成する際に生じる水和熱によって、加熱対象物を加熱することを特徴としている。
これによれば、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と水が水和反応をした際の水和熱が発生するため、熱出力を確保することが可能となる。
また、請求項3に記載の発明では、伝熱部材(10)は、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物の金属元素と同一の金属元素を含む金属から構成されており、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物の粒子(100)が生成されていることを特徴としている。
これによれば、伝熱部材(10)が加熱されると、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物の粒子(100)が、他の金属酸化物よりも優先的に生成される。これにより、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に生成された金属酸化物の粒子(100)と、蓄熱材(2)のうち伝熱部材(10)と接触する面に存在する金属酸化物とが同一となり、より高い親和性を持つので、結果として伝熱部材(10)と蓄熱材(2)との密着性をより向上させることが可能となる。
また、請求項4に記載の発明のように、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物は、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムであり、伝熱部材(10)は、Mg−Cu合金またはAl合金により構成されていてもよい。
また、請求項5に記載の発明のように、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物は、酸化マグネシウムであり、伝熱部材(10)は、Mg−Cu合金により構成されていてもよい。
また、請求項に記載の発明では、気体を反応媒体とし、反応媒体と可逆反応可能な金属酸化物で構成される蓄熱材(2)と、反応媒体と金属酸化物が反応して化合物を生成する際に発生する熱によって加熱される加熱対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)とを備える蓄熱構造体の製造方法であって、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と反応媒体との化合物を用意する工程と、伝熱部材(10)として、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の金属元素を含む金属から構成され、伝熱部材(10)を構成する金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーが、伝熱部材(10)中に含まれる金属元素を除く他の金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーより小さいものを用意する工程と、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と反応媒体との化合物を伝熱部材(10)の表面に配置する工程と、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と反応媒体との化合物が配置された伝熱部材(10)を加熱することにより、金属酸化物と反応媒体との化合物を金属酸化物と反応媒体とに分離させ、かつ伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の粒子(100)を生成させる工程とを備えることを特徴としている。
これによれば、伝熱部材(10)を加熱する工程において、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の粒子(100)が、他の金属酸化物より優先的に生成される。これにより、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に生成された金属酸化物の粒子(100)と、蓄熱材(2)のうち伝熱部材(10)と接触する面に存在する金属酸化物とが親和性を持つので、結果として伝熱部材(10)と蓄熱材(2)との密着性を向上させることが可能となる。このとき、蓄熱材(2)の表面全体が伝熱部材(10)によりコーティングされることはないので、加熱モードにおいて、蓄熱材(2)に含まれる金属酸化物と反応媒体の化合が確実に進行し、十分な熱出力を確保することが可能となる。
また、請求項に記載の発明のように、反応媒体は水(水蒸気)としてもよい。これによれば、金属酸化物と水の水和反応で、熱出力を確保することが可能となる。
また、請求項に記載の発明では、伝熱部材(10)を用意する工程では、伝熱部材(10)として、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物の金属元素と同一の金属元素を含む金属から構成されるものを用意し、伝熱部材(10)を加熱する工程では、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物の粒子(100)を生成させることを特徴としている。
これによれば、伝熱部材(10)を加熱する工程において、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物の粒子(100)が、他の金属酸化物よりも優先的に生成される。これにより、伝熱部材(10)における蓄熱材(2)と接触している面に生成された金属酸化物の粒子(100)と、蓄熱材(2)のうち伝熱部材(10)と接触する面に存在する金属酸化物とが同一となり、より高い親和性を持つので、結果として伝熱部材(10)と蓄熱材(2)との密着性をより向上させることが可能となる。
また、請求項に記載の発明のように、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と反応媒体との化合物を用意する工程では、水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムを用意し、伝熱部材(10)を用意する工程では、Mg−Cu合金またはAl合金を用意してもよい。
また、請求項10に記載の発明のように、蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と反応媒体との化合物を用意する工程では、水酸化マグネシウムを用意し、伝熱部材(10)を用意する工程では、Mg−Cu合金を用意してもよい。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る蓄熱装置を示す概略断面図である。 第1実施形態の蓄熱装置の作動を説明するためのタイムチャートである。 第1実施形態に係る蓄熱構造体の製造方法を示す概略断面図である。 図3(b)のX部拡大図である。 第3実施形態に係る蓄熱構造体の製造方法を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態は、本発明の蓄熱構造体を、車両のエンジン(内燃機関)の排気系から排気の有する熱を蓄熱して、その熱を暖機促進に利用する蓄熱装置に適用したものである。
図1は、本第1実施形態に係る蓄熱装置を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の蓄熱装置では、エンジン(図示せず)の排気が流通する排気管1の外周面に、金属酸化物を有して構成され、金属酸化物および気体の反応媒体を反応させて化合物を生成する際に生じる熱によって加熱対象物を加熱し、化合物を金属酸化物および反応媒体に分離させることによって外部熱を蓄熱する蓄熱材2が固定されている。なお、本実施形態では、反応媒体が水(水蒸気)であり、化合物は水和物であり、加熱対象物は排気であり、外部熱はエンジンの排気が有する熱である。
ここで、排気管1は、金属製の板材(以下、伝熱部材10という)により構成されており、蓄熱材2と加熱対象物との間で熱の授受を行うようになっている。伝熱部材10は、蓄熱材2を構成する金属酸化物の金属元素と同一の金属元素を含む金属から構成されている。ここで、本実施形態では、蓄熱材2を構成する金属酸化物、すなわち水と可逆反応可能な金属酸化物として酸化マグネシウム(MgO)を用いているので、伝熱部材10は、マグネシウムを含む合金から構成されている。
より詳細には、伝熱部材10を構成する合金としては、伝熱部材10を構成する金属元素の酸化物(本実施形態では酸化マグネシウム)の標準生成自由エネルギーが、合金中に含まれるマグネシウム以外の金属元素の酸化物の標準生成自由エネルギーより小さくなるようなものを用いている。本実施形態では、Mg−Cu合金を用いている。
蓄熱材2が外周面に固定された排気管1の外側には、水が流通する水配管3が配置されている。すなわち、排気管1および水配管3は、水配管3の内側に排気管1を配置する、いわゆる二重管構造となっている。
水配管3には、図示しない水タンクから水が供給されるようになっている。水配管3と水タンクとの間には、水配管3と水タンクとを繋ぐ接続経路4が設けられている。接続経路4には、接続経路4を開閉し、水配管3に供給される水量を調整するための水バルブ5が設けられている。
図2は、本第1実施形態の蓄熱装置の作動を説明するためのタイムチャートである。
まず、排気を加熱する加熱モードについて説明する。図2に示すように、エンジンの始動時に水バルブ5を開き、蓄熱材2に水が供給されると、蓄熱材2である酸化マグネシウムと水とが水和反応して水酸化マグネシウムが生成される。この水和反応は発熱反応であり、反応の際に発生する水和熱によって排気が加熱され、排気温度が上昇する。これにより、蓄熱材2を設けない場合と比較して、エンジン始動時において排気浄化用触媒(図示せず)を早期に活性化することができる。
続いて、排気が有する熱を蓄熱する蓄熱モードについて説明する。排気温度が蓄熱材2の再生温度に達すると、蓄熱材2の水酸化マグネシウムが酸化マグネシウムと水とに分離(脱水)する。この脱水反応は吸熱反応であり、排気が有する熱が蓄熱材2に蓄熱される。そして、脱水反応が完了した後、水バルブ5を閉じる。
続いて、本第1実施形態に係る蓄熱構造体の製造方法について説明する。図3(a)、(b)は本第1実施形態に係る蓄熱構造体の製造方法を示す概略断面図で、図4は図3(b)のX部拡大図である。
まず、水酸化マグネシウム(Mg(OH))に水等を加えてスラリー状とした溶液(以下、水酸化マグネシウム溶液2aという)を用意する。そして、図3(a)に示すように、水酸化マグネシウム溶液2aをMg−Cu合金からなる伝熱部材10の表面に塗布する。続いて、この伝熱部材10を加熱すると、以下の化1に示すように、水酸化マグネシウムが酸化マグネシウムと水とに分離する反応が生じる。
(化1)
Mg(OH)→MgO+H
これにより、図3(b)および図4に示すように、蓄熱材2としての酸化マグネシウムが伝熱部材10の表面に固定される。
ところで、伝熱部材10を加熱した際に、伝熱部材10の表面において、以下の化2、3に示すように、Mg−Cu合金に含まれる金属元素であるマグネシウムおよび銅の酸化反応が生じ得る。
(化2)
2Mg+O→2MgO
(化3)
2Cu+O→2CuO
ここで、酸化マグネシウムの標準生成自由エネルギーは−569kJ/mol、酸化銅の標準生成自由エネルギーは−129.5kJ/molである。酸化マグネシウムの標準生成自由エネルギーは、酸化銅の標準生成自由エネルギーより小さいので、上記化2、3の反応のうち化2に示される反応(マグネシウムの酸化反応)が優先的に起こる。すなわち、伝熱部材10の表面には、酸化マグネシウムが酸化銅よりも優先的に生成される。
これにより、伝熱部材10の表面、すなわち蓄熱材2と接触する面に生成された酸化マグネシウム粒子100と、蓄熱材2のうち伝熱部材10と接触する面に存在する酸化マグネシウムとが同一となり、高い親和性を持つため、結果として伝熱部材10と蓄熱材2との密着性を向上させることが可能となる。このとき、蓄熱材2の表面全体が伝熱部材10によりコーティングされることはないので、加熱モードにおいて、蓄熱材2の水和反応が確実に進行し、十分な熱出力を確保することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態では、伝熱部材10は、蓄熱材2の金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の金属元素と同一の金属元素を含む金属から構成されている。ここで、本実施形態では、蓄熱材2を構成する金属酸化物として酸化マグネシウムを用いているので、伝熱部材10は、酸化マグネシウムと親和性を有する酸化アルミニウム(Al)の金属元素であるアルミニウムを含む合金(Al合金)から構成されている。
より詳細には、伝熱部材10を構成する合金としては、伝熱部材10を構成する金属元素(本実施形態ではアルミニウム)が、合金中に含まれる他の金属元素、すなわちアルミニウム以外の金属元素よりも酸化され易いようなものを用いており、本実施形態では、アルミニウムを含有するステンレス合金(以下、Al−SUS合金という)を用いている。なお、ステンレスは、含有するクロムが不動態被膜を形成しているため、アルミニウムに比べて酸化され難いことがわかっている。
続いて、本第2実施形態に係る蓄熱構造体の製造方法について説明する。
まず、水酸化マグネシウムに水等を加えてスラリー状とした水酸化マグネシウム溶液を用意し、この水酸化マグネシウム溶液をAl−SUS合金からなる伝熱部材10の表面に塗布する。続いて、この伝熱部材10を加熱すると、上記の化1に示すように、水酸化マグネシウムが酸化マグネシウムと水とに分離する反応(脱水反応)が生じ、蓄熱材2としての酸化マグネシウムが伝熱部材10の表面に固定される。
ところで、伝熱部材10を加熱した際に、伝熱部材10の表面において、Al−SUS合金に含まれるアルミニウムおよびステンレスの酸化反応が起こり得るが、上述したようにアルミニウムはステンレスよりも酸化され難いので、以下の化4に示すようなアルミニウムの酸化反応が優先的に起こり、伝熱部材10の表面には酸化アルミニウムが生成される。
(化4)
4Al+3O→2Al
これにより、伝熱部材10の表面、すなわち蓄熱材2と接触する面に生成された酸化アルミニウム粒子と、蓄熱材2のうち伝熱部材10と接触する面に存在する酸化マグネシウムとが親和性を持つため、結果として伝熱部材10と蓄熱材2との密着性を向上させることができる。このとき、蓄熱材2の表面全体が伝熱部材10によりコーティングされることはないので、加熱モードにおいて、蓄熱材2の水和反応が確実に進行し、十分な熱出力を確保することが可能となる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5に基づいて説明する。図5(a)、(b)は、本第3実施形態に係る蓄熱構造体の製造方法を示す概略断面図である。本第3実施形態では、蓄熱材2を構成する金属酸化物として酸化カルシウム(CaO)を用いている。また、伝熱部材10は、Mg−Cu合金から構成されている。
図5(b)に示すように、本実施形態では、伝熱部材10と蓄熱材2との間に、酸化カルシウムと酸化マグネシウムの混合物6(以下、単に混合物6ともいう)が配置されている。
次に、本第3実施形態に係る蓄熱構造体の製造方法について説明する。
まず、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムが同モル比で混在したドロマイト(CaMg(CO))に溶液を加えてスラリー状としたもの(以下、ドロマイト溶液6a)、および水酸化カルシウム(Ca(OH))に水等を加えてスラリー状とした溶液(以下、水酸化カルシウム溶液2bという)を用意する。そして、Mg−Cu合金からなる伝熱部材10の表面に、ドロマイト溶液6aを塗布した後、その上から水酸化カルシウム溶液2bを塗布する。続いて、この伝熱部材10を加熱すると、以下の化5に示すように、水酸化カルシウムが酸化カルシウムと水とに分離する反応(脱水反応)が生じる。
(化5)
Ca(OH)→CaO+H
さらに、以下の化6に示すように、ドロマイトが酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムの混合物6と二酸化炭素とに分離する反応が生じる。
(化6)
CaMg(CO→CaO+MgO+2CO
これにより、図5(b)に示すように、混合物6が伝熱部材10の表面に固定されるとともに、蓄熱材2としての酸化カルシウムが混合物6における伝熱部材10と反対側の面に固定される。このとき、混合物6における伝熱部材10と反対側の面に存在する混合物6中の酸化カルシウム粒子60と、蓄熱材2のうち混合物6と接触する面に存在する酸化カルシウムとが同一となり、高い親和性を持つため、蓄熱材2と混合物6とが強固に密着される。
ところで、伝熱部材10を加熱した際に、伝熱部材10の表面において、上記の化2、3に示すように、Mg−Cu合金に含まれる金属元素であるマグネシウムおよび銅の酸化反応も生じ得るが、酸化マグネシウムの標準生成自由エネルギーは、酸化銅の標準生成自由エネルギーより小さいので、上記化2、3の反応のうち化2に示される反応が優先的に起こる。すなわち、伝熱部材10の表面には、酸化マグネシウムが酸化銅よりも優先的に生成される。
これにより、伝熱部材10の表面、すなわち混合物6と接触する面に生成された酸化マグネシウム粒子100と、混合物6のうち伝熱部材10と接触する面に存在する酸化マグネシウムとが同一となり、高い親和性を持つため、結果として伝熱部材10と混合物6とが強固に密着される。このため、蓄熱材2を、混合物6を介して伝熱部材10に確実に固定することが可能となる。このとき、蓄熱材2の表面全体が伝熱部材10および混合物6によりコーティングされることはないので、加熱モードにおいて、蓄熱材2の水和反応が確実に進行し、十分な熱出力を確保することが可能となる。
(他の実施形態)
なお、上記第1実施形態では、蓄熱材2として酸化マグネシウムを用いた例について説明したが、これに限らず、蓄熱材2として酸化カルシウムを用いてもよい。この場合、伝熱部材10の表面、すなわち蓄熱材2と接触する面に生成された酸化マグネシウム粒子100と、蓄熱材2のうち伝熱部材10と接触する面に存在する酸化カルシウムとが親和性を持つため、伝熱部材10と蓄熱材2との密着性を向上させることができる。
また、上記第2実施形態では、蓄熱材2として酸化マグネシウムを用いた例について説明したが、これに限らず、蓄熱材2として酸化カルシウムを用いてもよい。この場合、伝熱部材10の表面、すなわち蓄熱材2と接触する面に生成された酸化アルミニウム粒子と、蓄熱材2のうち伝熱部材10と接触する面に存在する酸化カルシウムとが親和性を持つため、伝熱部材10と蓄熱材2との密着性を向上させることができる。
また、上記第3実施形態では、伝熱部材10をMg−Cu合金から構成した例について説明したが、これに限らず、伝熱部材10をAl−SUS合金から構成してもよい。この場合、伝熱部材10の表面、すなわち混合物6と接触する面に生成された酸化アルミニウム粒子と、混合物6のうち伝熱部材10と接触する面に存在する酸化マグネシウムとが親和性を持つため、結果として伝熱部材10と混合物6とが強固に密着される。このため、蓄熱材2を、混合物6を介して伝熱部材10に確実に固定することが可能となる。
2 蓄熱材
10 伝熱部材

Claims (10)

  1. 気体を反応媒体とし、前記反応媒体と可逆反応可能な金属酸化物で構成される蓄熱材(2)と、
    前記反応媒体と前記金属酸化物が反応して化合物を生成する際に発生する熱によって加熱される加熱対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)とを備え、
    前記伝熱部材(10)は、前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の金属元素を含む金属から構成されており、
    前記伝熱部材(10)を構成する前記金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーが、前記伝熱部材(10)中に含まれる前記金属元素を除く他の金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーより小さく、前記伝熱部材(10)における前記蓄熱材(2)と接触している面に、前記蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の粒子(100)が生成されていることを特徴とする蓄熱構造体。
  2. 前記反応媒体は水であり、前記水と前記金属酸化物とを反応させて水和物を生成する際に生じる水和熱によって、前記加熱対象物を加熱することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱構造体。
  3. 前記伝熱部材(10)は、前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物の金属元素と同一の金属元素を含む金属から構成されており、前記伝熱部材(10)における前記蓄熱材(2)と接触している面に、前記蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物の粒子(100)が生成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱構造体。
  4. 前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物は、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムであり、
    前記伝熱部材(10)は、Mg−Cu合金またはAl合金により構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱構造体。
  5. 前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物は、酸化マグネシウムであり、
    前記伝熱部材(10)は、Mg−Cu合金により構成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱構造体。
  6. 気体を反応媒体とし、前記反応媒体と可逆反応可能な金属酸化物で構成される蓄熱材(2)と、前記反応媒体と前記金属酸化物が反応して化合物を生成する際に発生する熱によって加熱される加熱対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)とを備える蓄熱構造体の製造方法であって、
    前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物と前記反応媒体との化合物を用意する工程と、
    前記伝熱部材(10)として、前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の金属元素を含む金属から構成され、前記伝熱部材(10)を構成する前記金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーが、前記伝熱部材(10)中に含まれる前記金属元素を除く他の金属元素の酸化物が生成する際の標準生成自由エネルギーより小さいものを用意する工程と、
    前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物と前記反応媒体との化合物を前記伝熱部材(10)の表面に配置する工程と、
    前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物と前記反応媒体との化合物が配置された前記伝熱部材(10)を加熱することにより、前記金属酸化物と前記反応媒体との化合物を前記金属酸化物と前記反応媒体とに分離させ、かつ前記伝熱部材(10)における前記蓄熱材(2)と接触している面に、前記蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と親和性を有する金属酸化物の粒子(100)を生成させる工程とを備えることを特徴とする蓄熱構造体の製造方法。
  7. 前記反応媒体が水であることを特徴とする請求項に記載の蓄熱構造体の製造方法。
  8. 前記伝熱部材(10)を用意する工程では、前記伝熱部材(10)として、前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物の金属元素と同一の金属元素を含む金属から構成されるものを用意し、
    前記伝熱部材(10)を加熱する工程では、前記伝熱部材(10)における前記蓄熱材(2)と接触している面に、前記蓄熱材(2)を構成する金属酸化物と同一の金属酸化物の粒子(100)を生成させることを特徴とする請求項またはに記載の蓄熱構造体の製造方法。
  9. 前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物と前記反応媒体との化合物を用意する工程では、水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムを用意し、
    前記伝熱部材(10)を用意する工程では、Mg−Cu合金またはAl合金を用意することを特徴とする請求項またはに記載の蓄熱構造体の製造方法。
  10. 前記蓄熱材(2)を構成する前記金属酸化物と前記反応媒体との化合物を用意する工程では、水酸化マグネシウムを用意し、
    前記伝熱部材(10)を用意する工程では、Mg−Cu合金を用意することを特徴とする請求項に記載の蓄熱構造体の製造方法。
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