JP5513839B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット法によりインクを吐出して画像を形成する画像形成方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法としては、近年、様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像や記録物の品質、品位に対する要求は高い。
近年では、インクジェット記録を行なう場合、従来より一般に用いられているシャトルスキャン方式ではなく、1回のヘッド操作で記録可能なシングルパス方式で高速記録したり、あるいは両面に画像形成するための記録適性の向上が期待されている。
従来のインクジェット法では、印字速度が遅いため、印字中にインクの溶媒が乾燥あるいは記録媒体中に浸透することで、打滴されたインクドットの強度が確保されていた。また、インク速度が遅いことに起因して、大量の記録媒体に印字したり、その記録媒体が短時間のうちに積み重ねられることもなかった。
ところが、インクジェット法を利用して高速で画像形成する場合には、乾燥に要する時間が短く、かつ連続して記録媒体が重ねられるため、重なった記録媒体中の溶媒をほとんど蒸発させることができずに、画像部が柔らかく強度が確保されないまま積み重ねられることになり、連続して印字された記録媒体の裏面に画像が転写したり、貼り付きを起こして画像が破壊される現象(いわゆるスタッカーブロッキング)が発生することが判ってきた。また、この現象は重ねられる記録媒体の数が多いほど、また記録媒体の面積が大きいほど、また浸透の遅い記録媒体ほど、顕著に現れる。例えば、特開2000−235023号公報に記載されているような、インク溶媒の浸透の速い記録媒体にゆっくりとした速度で印字する場合には、そもそもスタッカーブロッキングが発生しない。
一方、オフセット印刷では、印刷直後に固体粒子を散布することが一般的であり、そのことによりスタッカーブロッキングはほとんど発生しない。
上記に関連して、沸点が200以下の水溶性有機溶剤、顔料、顔料分散剤および水を含有したインクジェット用インクを用い、普通紙に印字を行なうことが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−145970号公報
上記従来の技術のように、印刷直後に固体粒子を散布する方法は、散布した固体粒子が大気中に舞ったり、両面印刷時に紙に付着していた固体粒子が舞うことで、インクジェットヘッドに付着し吐出不良などの弊害を引き起こすため、インクジェット方式の印刷では固体粒子の散布を適用することはできない。
また、沸点が200以下の水溶性有機溶剤を用いた上記インクジェット用インクでは、画像を高速にあるいは両面に形成する場合に発生しやすいスタッカーブロッキングまでは防止することが困難である。このスタッカーブロッキングは、コート紙あるいはアート紙などの印刷用途で知られる塗工紙を用い、インクジェット方式で大量の画像を形成したり、両面に画像形成する際に生じ得る特有の課題である。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、高速で連続的に又は両面に画像形成する場合において、スタッカーブロッキングの発生が防止された画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 塗工層を有し、面積が1250cm以上の記録媒体上に処理液を付与する処理液付与工程と、少なくとも顔料と沸点の異なる二種の有機溶剤とを含み、前記有機溶剤の少なくとも一種は沸点が200℃以下であるインク組成物を、200mm/s以上の搬送速度で搬送される前記処理液付与工程後の記録媒体に付与するインク付与工程と、付与された前記処理液及び前記インク組成物を加熱乾燥する乾燥工程と、加熱乾燥後の前記記録媒体の温度を35℃以下に冷却する冷却工程と、冷却後の前記記録媒体を集積部に集積する集積工程と、を有し、前記インク組成物に含まれる、沸点が200℃以下の前記有機溶剤の含有量が、当該インク組成物の全質量に対して2質量%〜8質量%である画像形成方法である。
<2> 沸点が200℃以下の前記有機溶剤の沸点が100℃以下である前記<1>に記載の画像形成方法である。
> 前記インク組成物は、更に、固体湿潤剤を含む前記<1>又は前記<2>に記載の画像形成方法である。
> 前記集積工程は、前記記録媒体が集積される集積部に少なくとも該記録媒体の集積方向と交差する方向から送風を行ない、前記集積部に集積される記録媒体の各媒体間に気体を供給する前記<1>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
> 前記集積工程は、前記集積部に集積された前記記録媒体の束の少なくとも一端面から送風を行ない、前記束の各媒体間に一括して気体を供給する前記<>に記載の画像形成方法である。
> 前記集積工程は、記録媒体1枚当たりにおいて、供給される気体の供給側からみた媒体幅方向の単位長さ当たりを通過する風量が0.02m/min・m以上である前記<>又は前記<5>に記載の画像形成方法である。
> 前記集積工程は、集積部周囲の温湿度環境における空気を供給する前記<>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
> 前記集積工程は、前記集積部に集積された前記記録媒体の束の複数の端面に、該端面にそれぞれ面した複数の方向から送風を行なう前記<>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
> 前記インク組成物は、更に、樹脂粒子及び水を含む前記<1>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
<1> 前記処理液付与工程は、処理液をインクジェット方式により付与する前記<1>〜前記<>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
<1> 前記処理液がカルボキシル基を含む化合物を含み、pHが6以下である前記<1>〜前記<1>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
<1> 前記記録媒体の両面に前記処理液及び前記インク組成物を付与する前記<1>〜前記<1>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
本発明によれば、高速で連続的に又は両面に画像形成する場合において、スタッカーブロッキングの発生が防止された画像形成方法を提供することができる。
シーズニング装置の構成例を示す斜視図である。 図1のシーズニング装置に記録媒体を置いた様子を示す斜視図である。 送風時の様子を模式的に示す平面図である。 送風時の様子を模式的に示す側面図である。 インクジェット記録装置の構成例を示す概略断面図である。
以下、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、塗工層を有し、面積が1250cm以上の記録媒体上に処理液を付与する処理液付与工程と、少なくとも顔料と沸点の異なる二種の有機溶剤とを含み、前記有機溶剤の少なくとも一種は沸点が200℃以下であるインク組成物を、200mm/s以上の搬送速度で搬送される前記処理液付与工程後の記録媒体に付与するインク付与工程と、付与された前記処理液及び前記インク組成物を加熱乾燥する乾燥工程と、加熱乾燥後の前記記録媒体の温度を35℃以下に冷却する冷却工程と、冷却後の前記記録媒体を集積部に集積する集積工程とを設けて構成されている。
なお、本発明の画像形成方法では、インク組成物に含まれる、沸点が200℃以下の有機溶剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して2質量%〜8質量%であることを要する。
本発明の画像形成方法は、更に、必要に応じて他の構成を設けて構成されてもよい。
本発明においては、記録媒体を200mm/s以上の搬送速度で搬送して画像形成する場合に、あらかじめ処理液が付与された記録媒体に、沸点が200℃以下の有機溶剤を含む2種以上の有機溶剤を含むインク組成物を吐出し、さらに加熱乾燥後に記録媒体を35℃以下の温度域まで冷却した後に集積する搬送系に構成することで、比較的高速にあるいは両面に画像形成されたときでも画像部の強度を保つことができ、柔らかいまま積み重ねられるのを回避する。これにより、複数枚が集積された記録媒体間におけるスタッカーブロッキングの発生が防止され、画像品質が高く品位に優れた印字物を提供することが可能になる。
−処理液付与工程−
処理液付与工程は、塗工層を有し、面積が1250cm以上の記録媒体上に処理液を付与する。処理液は、インク組成物と接触したときにインク組成物中の成分を凝集させて凝集体を形成可能にし、本発明においては予め処理液が付与された上にインク組成物を吐出することにより画像を形成する。この場合、インク組成物中の樹脂粒子や顔料などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法が挙げられる。なお、インクジェット法の詳細については後述する。
本発明においては、処理液の付与量を低く抑える観点から、インクジェット法で吐出方法によるのが好ましい。
処理液は、インク組成物と接触したときにインク組成物中の成分を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有することができる。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃±1℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、6以下が好ましく、1〜6であることがより好ましく、1.2〜5であることが更に好ましく、特に好ましくは1.5〜4である。この場合、吐出工程で用いる前記インク組成物のpH(25±1℃)は、7.5〜9.5(より好ましくは8.0〜9.0)であることが好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25±1℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25±1℃)が1.5〜3である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、凝集成分として、酸性化合物の少なくとも1種を用いて好適に構成することができる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物が更に好ましい。
前記カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、もしくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。
また、処理液としては、凝集成分として多価金属塩及び/又はポリアリルアミンを含有する液を用いてもよく、高速凝集性を向上させることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩、及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
多価金属塩及び/又はポリアリルアミンの処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
また、処理液としては、凝集成分としてカチオン性有機化合物を含有する液でもよい。カチオン性有機化合物としては、例えば、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、又はポリアリルアミン及びその誘導体などのカチオン性ポリマーを挙げることができる。
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、処理液の粘度の観点では分子量が小さい方が好ましい。処理液をインクジェット方式で記録媒体に付与する場合には、1,000〜500,000の範囲が好ましく、1,500〜200,000の範囲がより好ましく、更に好ましくは2,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量は、1000以上であると凝集速度の観点で有利であり、500,000以下であると吐出信頼性の点で有利である。但し、処理液をインクジェット以外の方法で記録媒体に付与する場合には、この限りではない。
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、1級、2級、又は3級アミン塩型の化合物が好ましい。このアミン塩型の化合物の例として、塩酸塩もしくは酢酸塩等の化合物(例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミンなど)、第4級アンモニウム塩型化合物(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなど)、ピリジニウム塩型化合物(例えば、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイドなど)、イミダゾリン型カチオン性化合物(例えば、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンなど)、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物(例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミンなど)等のカチオン性の化合物や、例えば、アミノ酸型の両性界面活性剤、R−NH−CHCH−COOH型の化合物(Rはアルキル基等を表す。)、カルボン酸塩型両性界面活性剤(例えば、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)、硫酸エステル型、スルホン酸型、又は燐酸エステル型等の両性界面活性剤など所望のpH領域でカチオン性を示す両性界面活性剤などを挙げることができる。中でも、2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
カチオン性有機化合物を用いる場合、カチオン性有機化合物の処理液中における含有量は、凝集効果の観点から、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。
上記のうち、凝集成分としては、凝集性及び画像の耐擦過性の点で、2価以上のカルボン酸、又は2価以上のカチオン性有機化合物が好ましく、2価以上のカルボン酸がより好ましい。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mの範囲が好ましく、20〜45mN/mの範囲がより好ましく、25〜40mN/mの範囲がさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
処理液の記録媒体への付与量としては、インク組成物中の成分を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分(例えばカルボキシル基を有する化合物又はカチオン性有機化合物)の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.1〜1.0g/mとなる量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。凝集成分の付与量は、0.1g/m以上であると凝集反応が良好に進行する。また、付与量を1.0g/m以下にすることで、高くなり過ぎない程度の光沢度が得られる。
本発明においては、処理液を記録媒体上に付与後、インク付与工程でインク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
本発明においては、塗工層を有し、面積が1250cm以上の記録媒体上に処理液を付与する。塗工層を有する記録媒体は、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる塗工紙である。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。
面積が1250cm以上であることは、画像形成時に付与されるインクの付与量が比較的多い場合を示すものであり、1250cm以上の場合にスタッカーブロッキングが生じやすい。
本発明における記録媒体は、塗工層が両面で12g/m以上であるものが好ましく、より好ましくは18g/m以上である。塗工層が両面で12g/m以上であるものは、一般のオフセット印刷などに用いられる塗工紙である。塗工層が前記範囲内であると、インクの吸収量が多く、本発明において奏される効果が大きい。
また、記録媒体の坪量は、70〜350g/mが好ましく、より好ましくは70〜200g/mである。一般のオフセット印刷などに用いられる塗工紙は、坪量がこの範囲に含まれる。坪量が前記範囲内である場合は、インクの吸収量が多く、本発明において奏される効果が大きい。
塗工紙は、従来の通常の水性インクジェットによる画像形成においては、インク吸収が遅く、特に高速にあるいは両面に画像形成する場合において、インクの吸収、乾燥が追いつかず、複数枚を重ねて集積したときに記録媒体間で画像が転写してしまうスタッカーブロッキングが生じやすいが、本発明の画像形成方法では、スタッカーブロッキングの発生が防止され、細線や微細な画像部分が精細かつ均質な高品位の画像を形成することができる。
本発明においては、特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
塗工紙は、一般に上市されているものを入手して使用できる。例えば、一般印刷用塗工紙を用いることができ、具体的には、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」、日本製紙(株)製の「オーロラコート」、「ユーライト」等のコート紙(A2、B2)、及び三菱製紙社製の「特菱アート」等のアート紙(A1)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)などを挙げることができる。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点からは、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msにおける水の転移量の差から算出されるものである。
−インク付与工程−
インク付与工程は、少なくとも顔料と沸点の異なる二種の有機溶剤とを含むインク組成物を、200mm/s以上の搬送速度で搬送される前記記録媒体に付与する。本発明におけるインク付与工程は、200mm/s以上となる比較的高速の搬送速度で搬送される記録媒体に画像形成するものである。このような高速で画像形成する場合でも、記録媒体間でのスタッカーブロッキングの発生を効果的に防止することができる。
搬送速度は、画像形成の高速化の観点からは、より早い方が好ましく、具体的には搬送速度が400mm/s以上である場合がより好ましい。
インクジェット法を利用した画像の形成は、エネルギーを供与することにより所望の記録媒体にインク組成物を吐出することにより行なえる。なお、本発明の好ましい画像形成方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがあり、本発明はいずれも適用可能である。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要であり、記録速度の高速化が実現できる点で好ましい。
吐出するインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、0.5〜6pl(ピコリットル)が好ましく、1〜5plがより好ましく、更に好ましくは2〜4plである。
インク吐出工程で付与するインク組成物は、顔料と、沸点が200℃以下の有機溶剤を含む2種以上の有機溶剤とを含み、好ましくは、さらに樹脂粒子、水、界面活性剤を含む。また、インク組成物は、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。
(顔料)
本発明におけるインク組成物は、顔料の少なくとも1種を含有する。顔料は、目的に応じて適宜選択することができ、有機顔料又は無機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。例えば、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。また、前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。これら顔料の中では、水分散性顔料が好ましい。
水分散性顔料の具体例として、下記(1)〜(4)の顔料を挙げることができる。
(1)カプセル化顔料、即ち、ポリマー微粒子に顔料を含有させてなるポリマー分散物であり、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し、顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散可能にしたもの
(2)自己分散顔料、即ち、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたもの
(3)樹脂分散顔料、即ち、重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料
(4)界面活性剤分散顔料、即ち、界面活性剤により分散された顔料
これらのうち、好ましくは(1)カプセル化顔料、(2)自己分散顔料であり、特に好ましくは(1)カプセル化顔料である。
ここで、(1)カプセル化顔料について詳述する。
カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機溶剤の混合溶媒中で自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常は数平均分子量が1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は、有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量は、この範囲内であると顔料における被覆膜として又はインクとした際の塗膜としての機能を発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で用いられるのが好ましい。
カプセル化顔料の樹脂の具体例としては、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂;塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する材料などが挙げられる。
これら樹脂のうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、「アニオン性基含有アクリルモノマー」という。)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。カルボキシキル基を有するアクリルモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
カプセル化顔料は、上記の成分を用いて、従来の物理的、化学的方法により製造することができる。例えば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、又は特開平11−43636号の各公報に記載の方法により製造することができる。具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相乳化法と酸析法等が挙げられ、中でも、分散安定性の点で転相乳化法が好ましい。転相乳化法については後述する。
また、前記自己分散顔料も好ましい例の1つである。自己分散顔料とは、多数の親水性官能基及び/又はその塩(以下、「分散性付与基」という。)を、顔料表面に直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、顔料分散用の分散剤を用いずに水性媒体中に分散可能な顔料である。ここで、「分散剤を用いずに水性媒体中に分散」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能なことをいう。
自己分散顔料を着色剤として含有するインクは、通常、顔料を分散させるために含有させる分散剤を含む必要がないため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。自己分散顔料の表面に結合される分散性付与基には、−COOH、−CO、−OH、−SOH、−PO及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩が例示でき、これらは顔料に物理的処理又は化学的処理を施すことで、分散性付与基又は分散性付与基を有する活性種を顔料表面に結合(グラフト)させることにより結合される。前記物理的処理としては、例えば、真空プラズマ処理等が例示できる。また、前記化学的処理としては、例えば、水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法、等が例示できる。
本発明においては、例えば、次亜ハロゲン酸及び/又は次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、あるいはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散顔料を好ましい例として挙げることができる。自己分散顔料として市販品を使用してもよく、具体的には、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(商品名;キャボット社製)等が挙げられる。
顔料としては、顔料分散剤のうち水不溶性樹脂を用い、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性樹脂で被覆されたカプセル化顔料、例えば水不溶性樹脂粒子に顔料が含有されているポリマーエマルジョンが好ましく、より詳しくは、水不溶性樹脂で顔料の少なくとも一部を被覆し、顔料表面に樹脂層を形成して水に分散させ得る水分散性顔料が好ましい。
ここで、転相乳化法について説明する。
転相乳化法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、上記の硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相乳化法」のより具体的な製造方法は、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
なお、上記の転相乳化法及び酸析法のより具体的な方法については、特開平9−151342号、特開平10−140065号の各公報に記載を参照することができる。
〜顔料分散剤〜
顔料分散剤は、前記顔料を分散させた際の易分散化及び分散後の分散安定化を図ることができる。顔料分散剤としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が挙げられる。
例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、酢酸ビニル、酢酸アリル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クロトン酸エステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、芳香族基を置換してもよいアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、芳香族基を置換してもよいメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、並びに上記化合物の誘導体等が挙げられる。
前記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独もしくは複数を共重合して得られる共重合体を高分子分散剤として用いることができる。具体例として、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
顔料分散剤は、重量平均分子量で2,000〜60,000のものが好ましい。
顔料分散剤の顔料に対する添加量としては、質量基準で顔料の10%以上100%以下の範囲が好ましく、顔料の20%以上70%以下がより好ましく、更に好ましくは顔料の40%以上50%以下である。
顔料は、1種単独で使用してもよく、上記した各群内もしくは各群間より複数種を選択して組み合わせて使用してもよい。
顔料のインク中における含有量としては、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インクの全質量に対して、0.1〜15質量%となる量が好ましく、0.5〜12質量%となる量がより好ましく、1〜10質量%となる量が特に好ましい。
(有機溶剤)
本発明におけるインク組成物は、沸点の異なる二種を含む二種以上の有機溶剤を含有し、その少なくとも一種として沸点が200℃以下の低沸点の有機溶剤を用いる。二種以上の有機溶剤のうち、少なくとも一種の沸点を200℃以下に抑えた組成とすることにより、さらに後述の冷却工程を組み合わせたときに、高速にあるいは両面に画像形成した場合の記録媒体間でのスタッカーブロッキングの発生を効果的に防止することができる。
本発明においては、公知の有機溶剤の中から、少なくとも一種の有機溶剤の沸点が200℃以下となるように二種類又は三種類以上を選択すればよく、インク組成物を水系に構成する観点では、水溶性有機溶剤の中から選択されるのが好ましい。なお、水溶性とは、水100g(25℃)に1g以上溶解することをいう。
本発明においては、有機溶剤として、沸点が200℃以下の水溶性有機溶剤と沸点が200℃を超える水溶性有機溶剤とを含む二種以上の有機溶剤を含む態様、沸点が200℃以下の2種の水溶性有機溶剤を含む二種以上の有機溶剤を含む態様、のいずれの態様に構成されてもよい。
水溶性有機溶剤の例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、(モノ,ジ,トリ−)アルキレングリコール(好ましくはアルキル部位の炭素数1〜4;例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)、アルカンジオール(好ましくは炭素数1〜4;例えば、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等)などの多価アルコール類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等の脂肪族ジオール等のポリオール化合物などが挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性有機溶剤としては、記録媒体のカールの発生抑制の点から、SP値が27.5以下の水溶性有機溶剤を好適に用いることができる。SP値が27.5以下の水溶性有機溶剤を用いると、記録後の様々な環境湿度下でのカールの発生をより抑制することができる。なお、SP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors, Polymer Engineering Science, 14, p.147〜154(1974)に記載の方法で算出されるものをいう。
中でも、下記一般式(1)で表され、分子量が240〜1400である水溶性有機溶剤がより好ましい。
R−A−OH ・・・一般式(1)
前記一般式(1)において、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、又は炭素数3〜12の糖アルコールに由来する基を表す。Rとしては、カール抑制効果の観点から、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数3〜6の糖アルコールに由来する基であることが好ましい。
なお、糖アルコールに由来する基とは、糖アルコールから水酸基を少なくとも一つ取り除いて形成される基を意味する。糖アルコールから除かれる水酸基の位置は特に制限はなく、2以上の水酸基が取り除かれた2価以上の基であってもよい。水溶性有機溶剤は、糖アルコール分子中の異なる位置から水酸基を取り除いて形成された2種以上の混合であってもよい。
Aは、エチレンオキシ基、及びプロピレンオキシ基から選ばれる少なくとも1種を表す。nは、3〜24の整数を表す。
前記一般式(1)で表される水溶性有機溶剤の具体例としては、GP−250(三洋化成工業(株)製)、GP−400(三洋化成工業(株)製)、50HB−55(三洋化成工業(株)製)、50HB−100(三洋化成工業(株)製)、50HB−260(三洋化成工業(株)製)、SC−P400(阪本薬品工業(株)製)、SC−E2000(阪本薬品工業(株)製)等を挙げることができる。
分子量は、240以上であるとカール抑制効果の点で、1400以下であるとインクの吐出安定性の点で有用である。中でも、SP値が27.5以下の水溶性有機溶剤の分子量としては、250〜800の範囲がより好ましい。
SP値が27.5以下の水溶性有機溶剤の中では、記録後のカールの発生抑制の点から、下記構造式(1)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0005513839
構造式(1)において、l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、かつl+m+n=3〜15を満たす。l+m+nの値は、3以上であるとカール抑制効果が良好であり、15以下であると良好な吐出性が保てる。
中でも、l+m+nは3〜12の範囲が好ましく、3〜10の範囲がより好ましい。
構造式(1)中のAOは、エチレンオキシ(EOと略記することがある)及び/又はプロピレンオキシ(POと略記することがある)を表し、中でも、プロピレンオキシ基が好ましい。(AO)、(AO)、及び(AO)の各AOは、それぞれ同一でも異なってもよい。
以下、SP値が27.5以下に該当する水溶性有機溶剤及び前記構造式(1)で表される化合物の例を示す。なお、括弧内の値はSP値である。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(22.4)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
・ジプロピレングリコール(27.2)
Figure 0005513839

・nCO(AO)−H
(AO=EO又はPO(EO:PO=1:1)、SP値=20.1)
・nCO(AO)10−H
(AO=EO又はPO(EO:PO=1:1)、SP値=18.8)
・HO(A'O)40−H
(A'O=EO又はPO(EO:PO=1:3)、SP値=18.7)
・HO(A''O)55−H
(A''O=EO又はPO(EO:PO=5:6)、SP値=18.8)
・HO(PO)−H(SP値=24.7)
・HO(PO)−H(SP値=21.2)
・1,2−ヘキサンジオール(SP値=27.4)
水溶性有機溶剤は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
また、乾燥防止や湿潤の付与を考慮すると、多価アルコール類が有用であり、上記のうち、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどを用いるのが好ましい。
また、浸透促進の付与を考慮すると、上記のうち、ポリオール化合物が有用であり、その中でも、前記脂肪族ジオールが好適である。中でも、前記脂肪族ジオールとして、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げられる。
本発明においては、二種以上の有機溶剤のうち、少なくとも一種は沸点を200℃以下とする。全ての有機溶剤の沸点が200を超える構成では、後述の冷却工程を設けても、高速にあるいは両面に画像形成した場合のスタッカーブロッキングの発生を防止できない。インク組成物に含有する有機溶剤のうち、沸点が200℃以下の低沸点の有機溶剤の沸点としては、100℃以下であるのが好ましく、更には60〜100℃の範囲であるのが好ましい。
また、沸点が200℃以下の有機溶剤を含む二種以上の有機溶剤として、アルキレングリコール(好ましくはアルキル部位の炭素数1〜4)、アルカンジオール(好ましくは炭素数1〜4)、及び炭素数1〜4のアルキルアルコールから選ばれる沸点200℃以下の水溶性有機溶剤と、前記構造式(1)で表される有機溶剤とを含有する態様が好ましい。
また別に、沸点が200℃以下の有機溶剤を含む二種以上の有機溶剤として、沸点が200℃以下の低沸点の水溶性有機溶剤と、該低沸点の水溶性有機溶剤の沸点との差の絶対値が200℃〜100℃の範囲にある水溶性有機溶剤とを含有する態様が好ましく、更には、沸点が200℃以下の低沸点の水溶性有機溶剤と、該低沸点の水溶性有機溶剤の沸点との差の絶対値が180℃〜120℃の範囲にある水溶性有機溶剤とを含有する態様が好ましい。
本発明において、インク組成物に含まれる「沸点が200℃以下の有機溶剤」の含有量は、インク組成物の全質量に対して、2質量%〜8質量%の範囲である。中でも、インク組成物中の「沸点が200℃以下の有機溶剤」の含有量は、インク組成物の全質量に対して4質量%〜6質量%がより好ましい。この低沸点の有機溶剤の含有量は、2質量%以上であると高速に又は両面に画像形成した場合のスタッカーブロッキングの発生抑制効果が大きく、8質量%以下であるとインクの吐出安定性の点で有利である。
更には、「沸点が200℃以下の有機溶剤」の全有機溶剤中に占める含有量は、有機溶剤の全質量に対して、10質量%〜60質量%の範囲が好ましい。
また、SP値が27.5以下の水溶性有機溶剤(特に構造式(1)で表される化合物)を含む場合は、該水溶性有機溶剤の全有機溶剤中に占める含有割合が10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、更に50質量%以上であることが好ましい。SP値が27.5以下の水溶性有機溶剤の含有量が前記範囲であると、インクの安定性や吐出性を悪化せずに、カールの発生を抑制することが可能である。
有機溶剤のインク組成物中における総量は、インク組成物の全質量に対して60質量%以下の範囲が好適であるが、好ましくは20質量%以下である。水溶性有機溶剤の含有量が20質量%以下であると、湿度環境の変化に関わらず記録時のカールの発生をより効果的に防止できる。有機溶剤の含有量の下限値は1質量%が望ましい。水溶性有機溶剤は、1種単独で用いるほか、2種以上混合して使用してもよい。
(樹脂粒子)
本発明におけるインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。樹脂粒子を含有することにより、形成される画像の耐擦性が効果的に向上する。
樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
樹脂粒子としては、吐出安定性及び顔料の分散安定性の観点から、自己分散性ポリマー粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマー粒子がより好ましい。自己分散性ポリマー粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、インク組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマーの乳化又は分散状態、すなわち自己分散性ポリマーの水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散性ポリマーを溶媒(例えば、親水性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散性ポリマーが有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
自己分散性ポリマーにおける安定な乳化又は分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶剤(例えばメチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶剤を除去した後でも、乳化又は分散状態が、25℃で、少なくとも1週間安定に存在し、沈殿の発生が目視で確認できない状態であることをいう。
また、自己分散性ポリマーにおける乳化又は分散状態の安定性は、遠心分離による沈降の加速試験によっても確認することができる。遠心分離による、沈降の加速試験による安定性は、例えば、上記の方法により得られたポリマー粒子の水性分散物を、固形分濃度25質量%に調整した後、12000rpmで一時間遠心分離し、遠心分離後の上澄みの固形分濃度を測定することによって評価できる。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
本発明における自己分散性ポリマーは、分散状態としたときに水溶性を示す水溶性成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性成分が10質量%以下とすることで、ポリマー粒子の膨潤やポリマー粒子同士の融着を効果的に抑制し、より安定な分散状態を維持することができる。また、インク組成物の粘度上昇を抑制でき、例えば、インク組成物をインクジェット法に適用する場合に、吐出安定性がより良好になる。
ここで水溶性成分とは、自己分散性ポリマーに含有される化合物であって、自己分散性ポリマーを分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性ポリマーを製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
本発明における自己分散性ポリマーは、親水性モノマーに由来する親水性構成単位の少なくとも1種と、疎水性モノマーに由来する疎水性構成単位の少なくとも1種とを含む。前記自己分散性ポリマーの主鎖骨格については特に制限はないが、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、ビニルポリマーであることが好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。ここで(メタ)アクリル系ポリマーとは、メタクリル酸誘導体に由来する構成単位及びアクリル酸誘導体に由来する構成単位の少なくとも1種を含むポリマーを意味する。
(親水性構成単位)
親水性構成単位としては、親水性基含有モノマー(親水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
前記親水性基は、自己分散促進の観点、及び形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
親水性基含有モノマーは、自己分散性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとして、例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレートなどの(ポリ)エチレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基を含有するエチレン性不飽和モノマーや、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーの方が、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
親水性構成単位としては、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位のみを含有する態様、及び、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位とをともに含有する態様のいずれかであることが好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
前記自己分散性ポリマーにおける親水性構成単位の含有率は、粘度と経時安定性の観点から、25質量%以下であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜23質量%であることがさらに好ましく、4〜20質量%であることが特に好ましい。
また2種以上の親水性構成単位を有する場合、親水性構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
前記自己分散性ポリマーにおけるアニオン性の解離性基を有する親水性構成単位の含有量は、酸価が後述する好適な範囲となるような範囲が好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
前記自己分散性ポリマーがアニオン性の解離性基を有する場合、その酸価は、自己分散性、水溶性成分の含有量、及びインク組成物を構成した場合の定着性の観点から、50mgKOH/g以上75mgKOH/g以下であることが好ましく、52mgKOH/g以上75mgKOH/g以下であることがより好ましく、55mgKOH/g以上72mgKOH/g以下であることが更に好ましい。特に好ましいのは、60mgKOH/g以上70mgKOH/g以下である。酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインク組成物の吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度は上がり、耐ブロッキングは向上する傾向となる。
(疎水性構成単位)
疎水性構成単位は、疎水性基含有モノマー(疎水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の疎水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の疎水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記疎水性基としては、特に制限はなく、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基のいずれであってもよい。
疎水性モノマーとしては、高Tgが得られ、耐ブロッキング性、耐擦性、分散安定性の観点から、少なくとも1種は環状脂肪族基含有モノマーであることが好ましく、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレート(以下、「脂環式(メタ)アクリレート」いうことがある。)であることがより好ましい。
前記脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換又は置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。また、脂環式(メタ)アクリレートとは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、環状の非芳香族炭化水素基を含むものであれば特に限定はなく、単環式炭化水素基、2環式炭化水素基、3環式以上の多環式炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、及びビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
前記脂環式炭化水素基は、更に置換基を有してもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アルキル又はアリールカルボニル基、及びシアノ基等が挙げられる。
また脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。
本発明における脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
脂環式炭化水素基とアルコールに由来する構造部位とを結合する連結基としては、炭素数1から20までの、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アラルキル基、アルコキシ基、モノ又はオリゴエチレングルコール基、モノ又はオリゴプロピレングリコール基などが好適なものとして挙げられる。
脂環式(メタ)アクリレートの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘブチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性と、定着性、ブロッキング耐性の観点から、2環式(メタ)アクリレート、又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートを少なくとも1種であることが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明において、自己分散性ポリマー粒子に含まれる脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率としては、自己分散状態の安定性、脂環式炭化水素基同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。特に好ましいのは50質量%以上80質量%以下である。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることでポリマー粒子の安定性が向上する。
本発明において自己分散性ポリマーは、疎水性構成単位として前記脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位に加え、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んで構成することができる。前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記脂環式(メタ)アクリレート及び既述の親水性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、公知のモノマーを用いることができる。
前記その他の構成単位を形成するモノマー(以下、「その他共重合可能なモノマー」ということがある)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点及び自己分散性ポリマーの分散安定性の観点から、炭素数が1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートの少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは炭素数が1〜4の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはメチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートである。ここで、鎖状アルキル基とは、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基のことをいう。
また本発明においては、芳香族基を含有する(メタ)アクリレートも好ましく用いることができる。
その他共重合可能なモノマーとして芳香族含有(メタ)アクリレートを含む場合、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性の観点から、芳香族含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位は40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
また、その他共重合可能なモノマーとしてスチレン系モノマーを用いる場合、自己分散性ポリマー粒子とした際の安定性の観点から、スチレン系モノマーに由来する構成単位は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、スチレン系モノマーに由来する構成単位を含まない態様が特に好ましい。
ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン、クロロスチレンなど)、及び、ポリスチレン構造単位を有するスチレンマクロマーのことを指す。
その他共重合可能なモノマーは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他の構成単位を含有する場合、その含有量は10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であり、特に好ましくは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
本発明における自己分散性ポリマーは、分散安定性の観点から、脂環式(メタ)アクリレート、その他共重合可能なモノマー、及び親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることが好ましく、脂環式(メタ)アクリレート、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基含有(メタ)アクリレート、及び親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることがより好ましい。
本発明においては、分散安定性の観点から、炭素数が9以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、及び、芳香族基含有マクロモノマー等に由来する疎水性が大きい置換基を有する構成単位の含有量は、実質的に含まないことが好ましく、全く含まない態様であることがより好ましい
本発明における自己分散性ポリマーは、各構成単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体である場合の各構成単位は、如何なる導入順序で合成されたものであってもよく、同一の構成成分を2度以上用いてもよいが、ランダム共重合体であることが汎用性、製造性の点で好ましい。
自己分散性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で3000〜20万が好ましく、10000〜20万がより好ましく、30000〜15万が更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定される。
自己分散性ポリマーは、インク組成物の粘度調整、吐出応答性、吐出回復性の観点から、酸価が50〜75mgKOH/gであることが好ましく、52〜75mgKOH/gであることがより好ましく、55〜72mgKOH/gであることが更に好ましく、60〜70mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインク組成物の吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度が上がる傾向となる。
酸価は、JIS規格(JIS K 0070:1992)に準拠した方法により求められる。
自己分散性ポリマーは、粘度調整、吐出応答性、吐出回復性の観点から、中和度が40〜60%であることが好ましく、45〜55%であることがより好ましく、47〜53%であることが特に好ましい。中和度は、40%以上であると粘度が上昇する効果、吐出応答性が良化する効果があり、60%以下であると吐出回復性が良化する点で好ましい。
また、中和度が40%以下、あるいは60%以上であると自己分散性ポリマーが安定に製造できない等の弊害もある。
本発明において、中和度は自己分散性ポリマーの製造時において、自己分散性ポリマー鎖に含まれる解離性基を100モル%とした時に、添加したアルカリのモル%のことを言う。
自己分散性ポリマーは、酸価と中和度とについて、酸価が52〜75mgKOH/gであって、中和度が45〜55%である場合が好ましく、酸価が55〜72mgKOH/gであって、中和度が45〜55%である場合がより好ましく、酸価が55〜65mgKOH/gであって、中和度が47〜53%である場合が更に好ましい。
本発明における自己分散性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を共重合比率として20質量%以上90質量%以下と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位と、炭素数1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の少なくとも1種とを含み、酸価が20〜120であって、親水性構成単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が3000〜20万であるビニルポリマーであることが好ましい。
また、2環式又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を共重合比率として20質量%以上90質量%未満と、炭素数1〜4の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を共重合比率として10質量%以上80質量%未満と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位を酸価が50〜75mgKOH/gの範囲で含み、親水性構成単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が10000〜20万であるビニルポリマーであることがより好ましい。
さらに、2環式又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を共重合比率として40質量%以上80質量%未満と、少なくともメチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を共重合比率として20質量%以上60質量%未満含み、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する構成単位を酸価が50〜75mgKOH/gの範囲で含み、親水性構成単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が30000〜15万であるビニルポリマーであることが特に好ましい。
樹脂粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)のガラス転移温度(Tg)としては、120℃以上が好ましく、120℃以上250℃以下がより好ましく、150℃以上250℃以下が更に好ましく、160℃以上200℃以下が特に好ましい。自己分散性ポリマーのガラス転移温度は、120℃以上とすることで、耐ブロッキング性が良化し、また画像形成後のスタッカーブロッキングの防止効果が向上し、250℃以下であることで、画像の耐擦性が向上する。
樹脂粒子のTgは、通常用いられる方法によって適宜制御することができる。例えば、樹脂を構成するモノマーの重合性基の種類、モノマー上の置換基の種類やその構成比率、樹脂粒子を構成するポリマー分子の分子量等を適宜選択することで、樹脂粒子のTgを所望の範囲に制御することができる。なお、Tgは、実測によって得られる「測定Tg」を適用するが、ポリマーの分解等により測定が困難な場合は、下記計算式で算出される「計算Tg」を適用する。
具体的には、前記「測定Tg」は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定した値である。また、「計算Tg」は、下記式(1)によりモノマーの単独重合体のTg値を用いて計算した値である。
1/Tg=Σ(X/Tg) ・・・(1)
前記式(1)において、計算対象となるポリマーは、i=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xはi番目のモノマーの重量分率(ΣX=1)、Tgはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。但し、Σは、i=1〜nの和である。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tg)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用する。
以下、自己分散性ポリマーの具体例を挙げる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=20/72/8)、ガラス転移温度:180℃、酸価:52.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=40/52/8)、ガラス転移温度:160℃、酸価:52.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=38/52/10)、ガラス転移温度:160℃、酸価:65.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=42/52/6)、ガラス転移温度:161℃、酸価:39.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=64/26/10)、ガラス転移温度:140℃
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=36.5/52/11.5)、ガラス転移温度:160℃、酸価:74.8
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=36/52/12)、ガラス転移温度:160℃、酸価:78.1
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=20/62/10/8)、ガラス転移温度:170℃、酸価:52.1
・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=20/72/8)、ガラス転移温度:160℃、酸価:52.1
・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=18/72/10)、ガラス転移温度:161℃、酸価:65.1
・メチルメタクリレート/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=46/11/35/8)、ガラス転移温度:90℃、酸価:65.1
・メチルメタクリレート/PME−100/イソボニルメタクリレート/メタクリル酸(=44/20/26/10)、ガラス転移温度:110℃
(PME−100:日本油脂(株)製のブレンマーPME−100)
本発明における自己分散性ポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の重合法によりモノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、インク組成物としたときの打滴安定性の観点から、有機媒体中で重合することがより好ましく、溶液重合法が特に好ましい。
本発明の自己分散性ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の水性分散物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により自己分散性ポリマー粒子の水性分散物とすることができる。自己分散性ポリマーを水性分散物として得る工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含む転相乳化法であることが好ましい。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶剤、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を攪拌して分散体を得る工程。
工程(2):前記分散体から前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程。
前記工程(1)は、まず前記水不溶性ポリマーを有機溶剤に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶剤中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及びエーテル系溶剤が好ましく挙げられる。アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶剤の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましい。
また、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。これは、例えば、油系から水系への転相時への極性変化が穏和になるためと考えることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶剤は実質的に除去されており、有機溶剤の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の体積平均粒径(以下、単に「平均粒径」ともいう。)は、0.1〜10nmとする必要がある。平均粒径は、0.1nm以上の平均粒径であることで製造適性、吐出回復性が更に向上し、10nm以下の平均粒径とすることで保存安定性、インクの増粘効果が向上する点で好ましい。前記平均粒径の範囲の中でも、増粘、吐出性(吐出応答性、吐出回復性)の点で、0.5〜8nmであることが好ましく、1〜7nmがより好ましく1〜5nmがさらに好ましい。特に好ましくは1〜4nmである。また、自己分散性に増粘効果を持たせることで、結果として増粘剤の添加量を減らすことにより吐出応答性も良化することも可能になる。
また、自己分散性ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
また本発明のインク組成物において、自己分散性ポリマー粒子は、実質的に色材を含有しない形態で存在することが好ましい。
本発明の自己分散性ポリマー粒子は自己分散性に優れており、ポリマー単独で分散させたときの安定性は非常に高いものである。しかし、例えば、顔料を安定に分散させる、所謂分散剤としての機能は高くないため、本発明における自己分散性ポリマーが顔料を含有する形態でインク組成物中に存在すると、結果としてインク組成物全体の安定性が大きく低下する場合がある。
本発明におけるインク組成物においては、自己分散性ポリマー粒子を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでもよい。
樹脂粒子のインク組成物中における含有量としては、画像の光沢性などの観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
また、本発明におけるインク組成物中の顔料と樹脂粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)との含有比率(顔料/樹脂粒子)としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10が好ましく、1/1〜1/4がより好ましい。
(水)
本発明におけるインク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の量は、安定性及び吐出信頼性確保の点から、インク組成物の全質量に対して、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
(固体湿潤剤)
インク組成物は、固体湿潤剤を含有することができる。固体湿潤剤とは、保水機能を有し、25℃で固体の水溶性化合物であって、保湿機能が高くインクの乾燥、凝固を防止する機能を有する。
固体湿潤剤としては、一般に水性のインクに使用されるものを利用することが可能であり、具体的には、尿素及び尿素誘導体、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール等が挙げられる。尿素誘導体の例としては、尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物、チオ尿素、チオ尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物等が挙げられ、具体的には、N,N−ジメチル尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒドロキシブチル尿素、エチレンチオ尿素、ジエチルチオ尿素等が挙げられる。
前記糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど、自然界に広く存在する物質を含む意味である。また、糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば糖アルコール)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸、アミノ酸、チオ糖など)が挙げられる。中でも、特に糖アルコールが好ましく、具体例として、マルチトール、ソルビトール、キシリトールなどが挙げられる。ヒアルロン酸塩は、ヒアルロン酸ナトリウム1%水溶液(分子量35万)として市販されているものを使用することができる。
固体湿潤剤としては、ヘッドに付着したインクミストの除去性の点で、尿素及び尿素誘導体が好ましい。
固体湿潤剤のインク組成物中における含有量としては、1.0質量%以上20.0質量%未満が好ましく、2.0質量%以上15.0質量%未満がより好ましく、3.0質量%以上10.0質量%未満が更に好ましい。ここで、インク組成物に固体湿潤剤を2種以上含む場合は、その合計量が上記範囲にあればよい。
(界面活性剤)
本発明におけるインク組成物は、界面活性剤の少なくとも1種を含有することができる。界面活性剤の添加によって、インクジェット用インク組成物の表面張力を調整することができる。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられ、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)やオルフィンE1010(日信化学工業(株)製)等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。また、好ましいものとして、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤がある。
界面活性剤の添加量は、インクジェット法で良好に吐出するために、インク組成物の表面張力を下記の範囲に調製する量が好ましい。
インク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
具体的には、界面活性剤のインク組成物中における量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
(その他成分)
本発明におけるインク組成物は、上記成分に加え、必要に応じてその他の成分として、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含むことができる。具体的には特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
インク組成物の粘度としては、インクジェット法によるインクの吐出安定性と凝集速度の観点から、4.5mPa・s〜6.5mPa・sが好ましく、5mPa・s〜6mPa・sがより好ましい。また、インク組成物の付与をインクジェット法以外の方法で行なう場合は、1〜40mPa・sの範囲が好ましく、5〜20mPa・sの範囲がより好ましい。
インク組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製)を用いて25℃で測定される値である。
−乾燥工程−
乾燥工程は、前記処理液付与工程及び前記インク付与工程で付与された処理液及びインク組成物を加熱乾燥する。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
加熱乾燥時の温度としては、特に制限はなく、乾燥可能な温度領域を選択すればよい。例えば、送風により記録媒体の温度が45〜70℃になるように加熱する、あるいは45〜70℃の乾燥ドラムに接触させて記録媒体の温度が45〜70℃になるように乾燥させる形態でもよい。また、これらを併用して乾燥させてもよい。
−冷却工程−
冷却工程は、乾燥後の記録媒体の温度を35℃以下に冷却する。前記乾燥工程で一旦加熱して乾燥させた後、集積前にあらかじめ記録媒体を冷却する。
記録媒体の温度は、乾燥後に冷却処理が施されて集積された時点(集積直後)での温度として測定される値[℃]である。集積段階で35℃まで冷却されることにより、集積状態にした際のスタッカーブロッキングを抑制することができる。この記録媒体の温度は、集積された時点(集積直後)において、所望とする記録媒体間に配置された紙間温湿度計(HYGROPALM、ロトロニック社製)により測定される。
冷却後の温度は、35℃以下であればよいが、スタッカーブロッキングの防止の観点では、さらに30℃以下であることが好ましい。冷却後の温度の下限値については、特に制限はない。
冷却方法としては、記録媒体の温度を積極的に下げることができる冷却工程であればいずれの方法であってもよい。冷却方法の例としては、冷却ゾーンに記録媒体を通過させる方法、冷風を記録媒体にあてる方法、冷却した物体に記録媒体を接触させる方法などが挙げられる。
−集積工程−
集積工程は、前記冷却工程で冷却された記録媒体を集積部に集積する。一旦乾燥時に加熱した後に冷却後、集積することにより、集積による記録媒体間のスタッカーブロッキングの発生が防止される。
記録媒体の集積は、任意の集積部に枚様の記録媒体を積み重ねて束状に回収することであり、記録媒体の平面サイズに対応する面積内に自由落下させる等して集積する。本発明においては、このように例えば積み重ねられる記録媒体の枚数が50枚以上になった場合に生じやすいスタッカーブロッキングを防止できる。
集積工程では、記録媒体が集積される集積部に、少なくとも記録媒体の集積方向と交差する方向から送風を行ない、集積部に集積される記録媒体の各媒体間に気体を供給すること(以下、「シーズニング」ということがある。)が好ましい。集積部に集積される複数の記録媒体がそのまま密着して積み重なったままで保持されると、高速にあるいは両面に画像形成された場合に画像中に溶媒が多く残存する結果、互いに隣接する記録媒体間で画像の転写や貼り付き等を生じ、剥がした際に画像が破壊されたり、媒体裏面が汚れる等の故障(スタッカーブロッキング)が発生しやすくなるが、本発明においては、記録媒体間に送風して空気などの気体を送り込むことで、画像中の溶媒成分を気化し、柔らかい画像部を強くして集積によるスタッカーブロッキングの発生を効果的に防止できる。
送風は、記録媒体が集積される方向に対して交差する方向に送風可能なように配置された送風手段を用いて行なえる。具体的には、送風用の開口(送風口)を持つ送風手段(例えば、送風口に回転羽が取り付けられた回転ファン)を使用できる。送風手段から送風を開始すると、風の力で記録媒体が浮き上がり、媒体間に隙間が形成される。
送風は、集積部に集積された記録媒体の束に対し、その少なくとも一端面から送風を行ない、束を構成する各記録媒体間に一括して気体を供給する態様が好ましい。この場合、記録媒体を積載する積載台と天板部によって規制される媒体収容範囲の略全域をカバーする送風口を持つ送風手段が好ましい。
送風は、スタッカーブロッキングの防止効率を高める点で、一方向のみならず、集積部に集積された記録媒体の束の複数の端面にそれぞれ面した複数の方向から送風を行なうようにすることができる。
記録媒体1枚当たり、かつ供給される気体の供給側からみた媒体幅方向の単位長さ当たりを通過する風量は、0.02m/min・m以上であることが好ましい。この範囲の風量に調節することにより、記録媒体の束に対し、束の少なくとも1つの端面から0.02m/min・m以上の送風条件で風(例えば空気)を当てることにより、各記録媒体間に必要量の風を通すことができる。これにより、印刷物の束を一括して短時間で均一にシーズニングすることができ、スタッカーブロッキングの防止効果を高めることができる。該風量は、0.02〜0.5m/min・mの範囲が更に好ましい。風量が0.5m/min・m以下であると、集積性を良好に保つことができる。
送風は、集積部の周囲の温湿度環境における空気をそのまま供給することにより好適に行なえる。画像形成後の記録媒体を迅速かつ均一に周囲環境の湿度に馴染ませる観点から、周囲空気をそのまま送風する形態が好ましい。また、簡易な回転羽を持つ回転ファンを利用し、安価に構成できる。
送風手段から送風される空気の静圧は、500[Pa]以上であることが好ましい。記録媒体として一般に広く用いられている媒体サイズ(例えば、菊半裁636×469[mm])を想定した場合、500[Pa]以上の静圧とすることが好ましい。
より好ましくは、記録媒体1枚当たり、かつ当該送風手段の送風側から見た記録媒体の幅方向の単位長さ当たりを通過する風量qがq>0.02m/min・m、送風手段から送風される空気の静圧PがP>500Paの両条件を同時に満たす場合である。
ここで、送風を行なうシーズニング装置の構成例について説明する。図1は、シーズニング装置の斜視図である。
図1に示すように、シーズニング装置50は、複数枚の記録媒体(図1において不図示)を積層可能な載置台52と、載置台52の上に積載された媒体束の外周側面から送風を行うブロア54とを備える。図1では軸流ブロアを描いたが、送風方式は特に限定されず、遠心ブロアを採用してもよい。
シーズニング装置50は、矩形媒体の長辺に相当する1辺の端面側から送風する構成であり、当該送風側の端面の辺に沿って複数個のブロア54が設置されている(図1において6個のブロア54を例示)。各ブロア54の吹き出し口側には送風口56が形成されたカバー57(送風ノズル)が取り付けられている。送風口56は、載置台52と天板(図1中不図示、図2において符号76として記載)とによって規制される媒体収容範囲の高さ方向の略全域に対して一度に風を吹き出すことができるよう、媒体積層方向について、媒体収容範囲の高さと略同等の開口長さを有して形成される。このような構成により、載置台52上に置かれた全記録媒体に一括して概ね均等に風を当てることができる。なお、送風手段を構成するブロア54の個数、仕様、送風口56の大きさや形状などは、上述の送風条件を満たす必要な送風量と圧力が得られるように設計される。
載置台52の外周4面のうち、ブロア54列が設置される面には側板60が立設される。当該側板60には各ブロア54の送風口56に対応した開口又はスリット(以下、吹き出し口62という。)が設けられている。このように、エアーの吹き出し口62の範囲を制限し、ブロア54の送風口56の周囲を壁部材(側板60)で塞ぐ構成により、ブロア54から送り出す風の進行方向を規制し、風の漏れを防止する。これにより、ブロア54が発生する風を効率よく載置台52上の媒体収容空間58に導入することができ、載置台52上に置かれる媒体束に向けて強い風を当てることができる。
載置台52の外周の前記ブロア54列を配置した辺を挟む左右両側の2辺には、側板64,65が立設される。側板64,65は、載置台52上に置かれる記録媒体の短辺に相当する2辺の側面を塞ぎ、当該側面からの風の漏れを防止するとともに、媒体のばたつきを規制する。
その一方、ブロア54列を設けた側板60と対向する長辺の面には、通風口66が設けられている。通風口66の大きさは適宜設計可能であるが、ブロア54からの風の流れを妨げないよう、なるべく広い断面積を確保することが望ましい。
図2は、載置台52の上に記録媒体70の束73が置かれた様子を通風口66側から描いた斜視図である。
図2に示すように、載置台52の上に印刷後の記録媒体70の束73を載せ、上から天板76で蓋をする。天板76は、送風時における記録媒体70の舞い上がりを防止する役割を果たす。天板76は、側板60、64、65、67、68の上端面に接触して媒体収容空間58の天面を封止するなど、所定の高さ位置に固定する構成でもよいし、記録媒体70の枚数に応じて天板76の高さ位置を適宜調節できる構成でもよい。
図3は、送風時の様子を模式的に示した平面図であり、図4はその側面図である。
これらの図面中、符号80は送風ユニットであり、図1〜図2において符号54として説明したブロアに相当している。図3、図4に示されるように、記録媒体70の端面側から送風ユニット80により風を送り、当該媒体束73の端面に風を当てる。印刷後の記録媒体70内における水分量の均一化を主目的とする本例のシーズニング装置50では、過乾燥を防止する観点から、送風ユニット80は周囲空気を送風する(周囲環境の温度及び湿度の風を送る)ことが好ましい。仮に、ヒータなどによって加熱された空気(温風)や、圧縮空気、ドライエアなど、低湿度風を送風する手段を採用すると、記録媒体の残水量が環境飽和点を下回り、紙の収縮が発生する。
例えば、低湿度風を用いると、記録媒体70内において多量にインクが付与されている領域については短時間の乾燥が可能となる一方で、記録媒体70内における非インク付与部やインク量が非常に少ない領域については過度な乾燥状態となる。このような水分量の差によって記録媒体の伸縮(変形)が生じる可能性があるため、環境温湿度の空気とは異なる温湿度の温風や圧縮空気などを送風する手段を採用することは、好ましい形態ではない。
この点、本例の送風ユニット80は、周囲環境の温湿度の空気をブロア54で送り出す(送風する)だけの構成であり(図1参照)、ヒータ等の加熱手段や除湿手段など、温湿度を制御・調整する手段は設けられていない。
このように、送風ユニット80によって、周囲環境の空気(エアー)を送り、媒体間に環境温湿度の空気を吹き込むことにより、記録媒体内の湿っている部分は乾燥させる一方、乾いている部分は湿らせて媒体内部の水分量を平均化して均す(環境温湿度に近づける)ことができる。
以下に、図5を参照して、本発明の画像形成方法を実施するためのインクジェット記録装置の構成例を示して説明する。
インクジェット記録装置1は、描画部114の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体122にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体122上に処理液を付与し、処理液とインクを反応させて記録媒体122上に画像形成を行なう2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
インクジェット記録装置1は、主として、給紙部110、処理液付与部112、描画部114、乾燥部116、定着部118、及び排紙部120を設けて構成されている。図1〜図4で説明したシーズニング装置50は、排紙部120の排出トレイ192の部分に設置されている。
給紙部110は、記録媒体122を処理液付与部112に供給する機構であり、給紙部110には、枚葉紙である記録媒体122が積層されている。給紙部110には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体122が一枚ずつ処理液付与部112に給紙される。インクジェット記録装置1では、記録媒体122として、紙種や大きさ(媒体サイズ)の異なる複数種類の記録媒体122を使用することができる。なお、本実施形態では、記録媒体122として、枚葉紙(カット紙)を用いた場合を説明するが、連続媒体(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
処理液付与部112は、記録媒体122の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部114で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図5に示すように、処理液付与部112は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体122を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)を備え、この保持手段の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体122を挟み込むことによって記録媒体122の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体122を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられている。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニロックスローラと、アニロックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体122に圧接されて計量後の処理液を記録媒体122に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体122に塗布することができる。
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えばスプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用可能であり、処理液の付与量を少なく抑える点からインクジェット方式が好ましい。
処理液付与部112で処理液が付与された記録媒体122は、処理液ドラム154から中間搬送部124を介して描画部114の描画ドラム170へ受け渡される。描画部114は、描画ドラム170、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体122は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体122における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体122の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体122の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部112で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する顔料、樹脂粒子が凝集し、凝集体が形成される。これにより、記録媒体122上での顔料流れなどが防止され、記録媒体122の記録面に画像が形成される。
描画部114で画像が形成された記録媒体122は、描画ドラム170から中間搬送部126を介して乾燥部116の乾燥ドラム176へ受け渡される。乾燥部116は、凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図5に示すように、乾燥ドラム176と、IRヒータ178、182及び各IRヒータ間に配置された温風噴出ノズル180とを備えている。乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)を備え、この保持手段によって記録媒体122の先端を保持できるようになっている。温風噴出ノズル180から記録媒体122に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各IRヒータの温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件が実現される。
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体122の裏面から加熱を行なうことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体122の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体122の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体122のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥部116で乾燥処理が行なわれた記録媒体122は、乾燥ドラム176から中間搬送部128を介して定着部118の定着ドラム184へ受け渡される。定着部118は、定着ドラム184、第1の定着ローラ186、第2の定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成されている。
定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)を備え、この保持手段によって記録媒体122の先端を保持できるようになっている。この定着ドラム184の回転により、記録媒体122は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して第1の定着ローラ186と第2の定着ローラ188による定着処理とインラインセンサ190による検査が行なわれる。第1の定着ローラ186及び第2の定着ローラ188は、インクを加熱加圧することによって、インク中の樹脂粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体122を加熱加圧するように構成される。具体的には、第1の定着ローラ186及び第2の定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体122は、第1の定着ローラ186及び第2の定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば0.15MPa)でニップされ、定着処理が行なわれる。また、第1の定着ローラ186及び第2の定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。これらの加熱ローラで記録媒体122を加熱することによって、インクに含まれる樹脂粒子のTg(ガラス転移温度)以上の熱エネルギーが付与され、樹脂粒子が溶融されることにより、記録媒体122の凹凸に押し込み定着が行なわれるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢が得られる。インラインセンサ190は、記録媒体122に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
定着部118によれば、乾燥部116で形成された薄層の画像層内の樹脂粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体122に定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度は50℃以上に設定され、定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体122を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができると共に、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
図5に示すように、定着部118の記録媒体搬送方向の下流側には排紙部120が設けられている。排紙部120は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体122は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。排出トレイ192として、図1〜図4で説明したシーズニング装置50が採用されており、画像形成後の記録媒体を積載する載置台としての機能とシーズニング機としての機能を兼ねる。
また、排出トレイ192に冷風噴出ノズル199が併設されており、冷風噴出ノズル199から冷風を送風することにより記録媒体122の冷却が行なえるようになっている。
また、図5には図示しないが、インクジェット記録装置1には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯留タンク、処理液付与部112に対して処理液を供給する手段を備えると共に、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行なうヘッドメンテナンス部や、媒体搬送路上における記録媒体122の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
また、両面に画像形成する場合には、図5のインクジェット記録装置1において、記録媒体の片面(オモテ面)に画像を形成した後にシーズニング装置50で所定時間のシーズニングを行なう。そして、シーズニング処理された記録媒体の束を給紙部110に戻し、ウラ面にさらに画像形成を行なう。これにより、短時間で良好な両面印字を実現できる。
図5に示すインクジェット記録装置1では、排出トレイ192に用いるシーズニング装置50を複数台備えるとともに、各シーズニング装置50を排紙部120と給紙部110との間で移動できる構成としてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で算出した。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて行なった。
(実施例1)
<ポリマー粒子の調製>
〜自己分散性ポリマー粒子B−01の水分散物の調製〜
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン560.0gを仕込んで87℃まで昇温した。反応容器内を還流状態を保ちながら(以下、反応終了まで還流)、この反応容器に、メチルメタクリレート255.2g、ブレンマーPME−100(日本油脂(株)製)116g、イソボルニルメタクリレート150.8g、メタクリル酸58.0g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)2.32gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間攪拌した。その後、V−601を1.16gとメチルエチルケトン6.4gとからなる溶液を加え、2時間攪拌を行なった(工程(1))。続いて、この工程(1)を4回繰り返し、さらにV−601を1.16gとメチルエチルケトン6.4gとからなる溶液を加えて、3時間攪拌を続けた。重合反応を終了した後、溶液の温度を65℃に降温し、イソプロパノール163.0gを加えて放冷し、共重合体(メチルメタクリレート/PME−100/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸= 44/20/26/10)の樹脂溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は63000であり、酸価は65.1mgKOH/gであった。
次に、得られた樹脂溶液317.3g(固形分濃度41.0質量%)を秤量し、イソプロパノール46.4g、20質量%無水マレイン酸水溶液1.65g(水溶性酸性化合物;共重合体に対してマレイン酸として0.3質量%相当)、及び2モル/LのNaOH水溶液40.77gを加え、反応容器内温度を70℃に昇温した。次に、蒸留水380gを10ml/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、減圧下で反応容器内温度70℃で1.5時間保って、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で287.0g留去し、プロキセルGXL(S)(アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製)0.278g(樹脂固形分に対してベンゾイソチアゾリン−3−オンとして440ppm)添加した。その後、1μmのフィルターでろ過を実施し、ろ過液を回収し、固形分濃度26.5%の自己分散性ポリマー粒子B−01の水性分散物を得た。
[ガラス転移温度Tgの測定]
得られた自己分散性ポリマー粒子B−01のガラス転移温度を以下の方法で測定したところ、110℃であった。
重合後の樹脂溶液を固形分量0.5gになる量を採り分け、50℃で4時間減圧乾燥させ、樹脂の固形分を得た。得られた樹脂の固形分を用い、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220によりTgを測定した。測定条件は、サンプル量5mgをアルミパンに密閉し、窒素雰囲気下、以下の温度プロファイルで2回目の昇温時の測定データのDSCのピークトップの値をTgとした。
30℃→−50℃ (50℃/分で冷却)
−50℃→120℃ (20℃/分で昇温)
120℃→−50℃ (50℃/分で冷却)
−50℃→120℃ (20℃/分で昇温)
<顔料分散液の調製>
〜樹脂分散剤P−1の合成〜
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、これにメチルエチルケトン50gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、フェノキシエチルメタクリレート50g、メタクリル酸11g、及びメチルメタクリレート39gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン(MEK)2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液にMEKを加え、フェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(共重合比[質量比]=50/39/111)共重合体(樹脂分散剤P−1)40質量%のMEK溶液を得た。
得られた樹脂分散剤P−1の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は49400であった。さらに、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法によりこの共重合体の酸価を求めたところ、71.7mgKOH/gであった。
〜ブラック顔料分散物Kの調製〜
顔料としてカーボンブラック(#2600、三菱化学(株)製)100gと、フェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)を固形分で57gと、メチルエチルケトン155.8gと、pH調整剤として1mol/L水酸化ナトリウム80.8g(メタクリル酸に対する中和度110モル%)と、イオン交換水491gとをディスパーで予備分散し、さらにビーズミル分散機で0.1mmφジルコニアビーズを用いて分散した。分散後、孔径1μmのフィルターでろ過し、ろ液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が15%の樹脂被覆顔料粒子の分散物(ブラック顔料分散液K)を得た。
<インクの調製>
−インクK−1−
上記で得られたブラック顔料分散液Kと自己分散性ポリマー粒子B−01の水分散物とを用い、下記の組成になるように各成分を混合した。これをプラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、PVDF5μmフィルター(Millex−SV、直径25mm、ミリポア社製)で濾過し、ブラックインク(インク組成物)K−1を調製した。
<組成>
・カーボンブラック ・・・4.0質量%
・前記樹脂分散剤P−1 ・・・2.3質量%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−01の水性分散物(固形分) ・・・6.0質量%
(メチルメタクリルート/ブレンマーPME−100/イソボニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体)
・サンニックスGP250 ・・・10質量%
(三洋化成工業(株)製、分解(沸点)>250℃、ポリオキシプロピル化グリセリン(ポリプロピレングリコールとグリセリンとのエーテル);親水性有機溶剤)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGmME)・・・6質量%
(和光純薬工業(株)製、沸点:243℃、親水性有機溶剤)
・尿素(和光純薬工業(株)製;固体湿潤剤) ・・・5質量%
・ニューポールPE−108(三洋化成工業(株)製、増粘剤) ・・・0.25質量%
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) ・・・1.0質量%
・イオン交換水 ・・・全体を100質量%にするための残部
−インクK−2〜K−15−
前記インクK−1の調製において、有機溶剤の種類、冷却及びシーズニングの有無を下記表1に示すように変更したこと以外は、ブラックインクK−1と同様にして、ブラックインクK−2〜K−15を調製した。
<処理液の調製>
下記組成の諸成分を混合して、処理液を調製した。処理液のpHは1.0であった。
<処理液の組成>
・マロン酸(東京化成工業(株)製) ・・・11質量%
・DL−リンゴ酸(東京化成工業(株)製) ・・・15質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業(株)製)・・・4質量%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・4質量%
(和光純薬工業(株)製)
・イオン交換水 ・・・66質量%
<画像形成及び評価>
〜画像形成〜
図5に示すインクジェット記録装置を用意し、その給紙部110に、記録媒体として特菱アート両面N(面積2982cm(菊判)、坪量104.7g/m、三菱製紙(株)製)を装填し、さらにブラックインク用の塗出ヘッド172Kに接続された不図示のインク貯留タンクに前記ブラックインクK−1〜K−15を順次充填した。また、処理液塗布装置156での処理液の塗布が可能なように処理液タンク(不図示)に前記処理液を充填した。
この装置の給紙部110から繰り出された記録媒体(特菱アート両面N)122に対して、処理液ドラム154(直径450mm)上で、処理液塗布装置156によって処理液を全面に薄膜塗布(1.4μm厚)を行なった。その際、処理液塗布装置156としてグラビアローラを使用した。次いで、処理液を塗布した記録媒体122を温風噴出ノズル158(70℃温風9m/分にて吹き付け)とIRヒータ160(180℃)によって乾燥処理し、処理液中の溶媒の一部を乾燥させた。
この記録媒体122を第1の中間搬送部124を介して描画部114に搬送し、画像信号に応じてブラックインクを吐出ヘッド172Kから吐出し、描画した。このとき、インクの吐出体積は、ハイライト部で1.4pl、高濃度部で3pl(2drops)とし、記録密度は主走査・副走査方向ともに1200dpiで記録されるようにした。
ここで、不吐出ノズルが発生した場合は、不吐出ノズルの隣接ノズルにおいて5pl(3drops)を使用して、不吐出によるスジムラを見えにくくする処理を行なった。また、処理液ドラム154及び乾燥ドラム176を描画ドラム170と別に設けており、これにより処理液の乾燥を高速で行なう場合にも、その熱や風の悪影響が描画部に及ぶことがなく、安定吐出が達成されるようになっている。
次に、画像が形成された記録媒体122を第2の中間搬送部126を介して乾燥部116に搬送し、乾燥ドラム176上で第1のIRヒータ178(表面温度180℃)、温風噴出ノズル180(70℃温風×12m/分の風量)、第2のIRヒータ182(表面温度180℃)により乾燥させた。乾燥時間は約2秒である。乾燥後、記録媒体122を第3の中間搬送部128を介して定着部118に搬送し、画像形成された記録媒体122を50℃の定着ドラム184と、80℃の第1の定着ローラ186及び第2の定着ローラ188とによって、0.30MPaのニップ圧で加熱定着した。このとき、第1の定着ローラ186、第2の定着ローラ188として、金属製の心金に硬度30°のシリコンゴムを6mmの厚さで設けた上にソフトPFA被覆(50μm厚)を施し、インク画像に対する密着性及び剥離性に優れたものを使用した。
加熱定着に続いて、冷風噴出ノズル199より18〜20℃の冷風を記録媒体に吹きつけ、記録媒体122をその表面温度が下記表1に示す温度に冷却されるように冷却した。表面温度については後述のように測定した。その後、排紙部120の排出トレイ192と定着部118の定着ドラム184との間に設けられた渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198によって、記録媒体122は渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出して集積した。
また、記録媒体122を集積する排出トレイ192には、図1〜図4で説明したシーズニング装置50が装備され、集積された記録媒体の束にその一端面から送風して記録媒体間に気体を送り込むこと(シーズニング)ができるようになっている。このように、排出トレイ192は、画像形成後の記録媒体を積載する載置台としての機能とシーズニング装置としての機能とを兼ね備えた構成になっている。
上記において、記録媒体122は、各ドラム154、170、176、184によるドラム搬送によって535mm/sの搬送速度で搬送されるようにした。
以上の工程を経て、2000枚の片面連続印字を実施した。印字サンプルを25℃、60%RHで1時間放置後、さらに印字面の裏面に同様に印字し、両面印字を実施した。このとき、両面印字時に印字した記録媒体の400枚目と401枚目との間に紙間温湿度計HYGROPALM(ロトロニック社製)を配置し、加熱乾燥後の集積直後における紙(記録媒体)の温度を測定した。測定値を下記表1に示す。
〜スタッカーブロッキングの評価〜
排出トレイに集積されて重ねられた2000枚の記録媒体を24時間、25℃、60%RHの環境条件下で保管し、画像形成された記録媒体の500枚目と501枚目との間のスタッカーブロッキングの発生の有無を下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:紙面を剥がすときに張り付き感もなく、紙の付着が目視で認められない。
○:紙面を剥がすときに「パリッ」と音がするが、目視で紙の付着が確認できない。
△:印字面の極一部(10cmに1箇所程度)に接着部があり、目視で紙の付着が僅かに確認できる。
×:印字面全体に接着が生じ、紙の付着が全体的に認められる。
Figure 0005513839
前記表1において、インクNo.6〜No.15では、排出トレイに集積された後さらに30分間、送風によりシーズニングを実施し、その後重ねられた2000枚の記録媒体を24時間、25℃、60%RHの環境条件下で保管し、印字された記録媒体の500枚目と501枚目の間のスタッカーブロッキングの評価を実施した。
前記表1に示されるように、本発明では、スタッカーブロッキングの発生が防止され、高品位の画像が得られた。これに対し、比較例では、スタッカーブロッキングが発生し、画像品質に優れた高品位の印字物は得られなかった。
(実施例2)
実施例1において、処理液タンクに貯留した処理液を、シアンインク用の吐出ヘッド172Cに接続された不図示のインク貯留タンクに充填し、記録媒体122のブラックインクが付与される画像領域に、3plにて主走査・副走査方向共に1200dpiの記録密度で付与されるように処理液を吐出したこと以外は、実施例1と同様にして、画像を形成し、評価を行なった。その結果、処理液の付与量を少なく減らして前記表1と同様の結果が得られた。
1…インクジェット記録装置、50…シーズニング装置、110…給紙部、112…処理液付与部、114…描画部、116…乾燥部、118…定着部、120…排出部、122…記録媒体、170…描画ドラム、172C,172M,172Y,172K…インクジェットヘッド、176…乾燥ドラム、184…定着ドラム、199…冷風噴出ノズル

Claims (12)

  1. 塗工層を有し、面積が1250cm以上の記録媒体上に処理液を付与する処理液付与工程と、
    少なくとも顔料と沸点の異なる二種の有機溶剤とを含み、前記有機溶剤の少なくとも一種は沸点が200℃以下であるインク組成物を、200mm/s以上の搬送速度で搬送される前記処理液付与工程後の記録媒体に付与するインク付与工程と、
    付与された前記処理液及び前記インク組成物を加熱乾燥する乾燥工程と、
    加熱乾燥後の前記記録媒体の温度を35℃以下に冷却する冷却工程と、
    冷却後の前記記録媒体を集積部に集積する集積工程と、
    を有し、
    前記インク組成物に含まれる、沸点が200℃以下の前記有機溶剤の含有量が、当該インク組成物の全質量に対して2質量%〜8質量%である画像形成方法。
  2. 沸点が200℃以下の前記有機溶剤の沸点が100℃以下である請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記インク組成物は、更に、固体湿潤剤を含む請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記集積工程は、前記記録媒体が集積される集積部に少なくとも該記録媒体の集積方向と交差する方向から送風を行ない、前記集積部に集積される記録媒体の各媒体間に気体を供給する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記集積工程は、前記集積部に集積された前記記録媒体の束の少なくとも一端面から送風を行ない、前記束の各媒体間に一括して気体を供給する請求項に記載の画像形成方法。
  6. 前記集積工程は、記録媒体1枚当たりにおいて、供給される気体の供給側からみた媒体幅方向の単位長さ当たりを通過する風量が0.02m/min・m以上である請求項又は請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記集積工程は、集積部周囲の温湿度環境における空気を供給する請求項〜請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  8. 前記集積工程は、前記集積部に集積された前記記録媒体の束の複数の端面に、該端面にそれぞれ面した複数の方向から送風を行なう請求項〜請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  9. 前記インク組成物は、更に、樹脂粒子及び水を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  10. 前記処理液付与工程は、処理液をインクジェット方式により付与する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  11. 前記処理液がカルボキシル基を含む化合物を含み、pHが6以下である請求項1〜請求項1のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  12. 前記記録媒体の両面に前記処理液及び前記インク組成物を付与する請求項1〜請求項1のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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