以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係わるカメラ10は、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。通常撮影時には、撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。ノーファインダ撮影時には、撮影者が胸をそらす動作を行うと、レリーズ動作を行う。レリーズがなされると、画像データを記録媒体に記録し、このとき併せて撮影日時、撮影モード等の情報を記録する。また、記録媒体に記録した撮影画像は、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
図1に示すブロック図を用いて、本発明の第1実施形態に係わるカメラ10の構成について説明する。カメラ10は、画像処理及び制御部1、撮像部2、顔検出部3、記録部4、仮記録部4a、4b、加速度検知部6、操作部7、表示部8、タッチパネル8b、時計部9、通信部12等から構成される。
撮像部2は、ズーム機能を有する撮影レンズ(ズームレンズ)や、シャッタ・絞り等の露出制御部、撮像素子、撮像素子の駆動及び読出回路等を含み、撮影レンズによって形成された被写体像を撮像素子によって画像データに変換し、これを出力する。なお、本明細書においては、画像データは、撮像素子から出力されるデータに限らず、後述する画像処理及び制御部1によって処理された画像データ、および記録部4に記録されている画像データについても使用する。
画像処理及び制御部1は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)およびその周辺のハードウエア回路によって構成され、不図示の記憶部に記憶されているプログラムに従ってカメラ10の全体のシーケンスを制御する。画像処理及び制御部1は、表示制御部1b、画像圧縮部1c、画像加工部1d、トリミング部1eを含む。
表示制御部1bは、後述する表示部8に、撮像部2からの画像データに基づいて行うライブビュー表示を制御し、また、記録部4に記録されている画像データを読み出し、画像再生の表示の制御等を行う。画像圧縮部1cは、仮記録部4a、4bに一時記憶された静止画や動画の画像データをJPEGやTIFF等の圧縮方式により圧縮し、また表示等のために伸張する。なお、画像圧縮はJPEGやTIFFに限らず、他の圧縮方式も適用できる。
トリミング部1eは、画像データの一部を切り出す画像処理を行う。トリミング処理にあたっては、後述する仮記録部4a、4bに一時記憶した画像データから所定形状に画像を切り出し、仮記録部4a、4bに仮記録する。このときの切出し形状としては、矩形に限らず円形等が可能である。後述するように、本実施形態においては、ノーファインダ撮影の際には、画像データから円形の画像データを切り出す。
画像加工部1dは、トリミング以外の種々の画像加工を行い、例えば、トリミング部1eによって切り出された画像データを、後述する加速度検知部6によって検出された傾き値に基づいて、画像の傾きの補正を行う。また、画像を再生表示する際に、カメラ10の姿勢に応じて、画像の傾きの補正を行う。さらに、サムネイル画像を表示する場合、指示に応じて、画面上の各円形画像について、各画像の鉛直軸が表示部8の画面の中央から外側に向かって放射状に並ぶように、各円形画像を回転させて表示する。その他、種々の画像処理を行う。
顔検出部3は、撮像部2によって取得された画像を入力し、画像の中に顔の部分が含まれているか、また含まれていた場合には、その位置や大きさを検出し、検知結果を画像処理及び制御部1に送信する。
記録部4は、カメラ本体に脱着自在な記録媒体から構成される。記録部4には、撮像部2から出力され、画像処理及び制御部1によって画像処理された画像データが記録される。また、仮記録部4a、4bは、SDRAM等の一時記憶部から構成される。この仮記録部4a、4bは、撮像部2から出力される画像データの一時記憶に用いられる。後述する円形画像を記録するために、仮記憶部4aと仮記憶部4bに割り当てられている。
加速度検知部6は、カメラ本体の内部に配置された複数の加速度センサとそのドライバ等から構成され、カメラの姿勢やカメラに加えられた振動を検出する。加速度検知部6の検出結果は、画像処理及び制御部1に出力され、防振動作に用いられると共に、ノーファインダ状態を検出する手段ともなる。また、加速度検知部6の検知出力を用いて、撮影者が胸をそらす動作を行ったか否かの判定も行う。この胸そらし動作を行うと、本実施形態においては、レリーズ動作を実行する。加速度検知部6の詳細については図3を用いて後述する。
操作部7は、カメラ10の外装に配置されたレリーズ釦、電源釦、再生釦、ズーミングのためのテレ・ズーム(TW)釦、メニュー釦等の各種操作部材からなり、撮影者の指示を制御部11に入力する。なお、ノーファインダ撮影は、メニュー釦によって設定されるメニュー画面において、直接設定し、また解除することができる。ノーファインダ撮影を一定時間継続しておきたい場合には、直接設定した方が、検出ミスのおそれがないからである。ノーファインダ撮影専用カメラの場合には、ノーファインダ撮影の設定を省略できるので、ノーファインダ撮影設定のための操作部材を具備しなくてもよい。なお、ノーファインダ撮影を手動で設定する以外にも、ノーファインダ撮影を自動設定するようにしてもよい。自動設定としては、所定の方向、例えば、ストラップ108(図4参照)と反対方向に重力がかかった状態になったことを検出した際に設定するようにしてもよい。あるいは、カメラ10が縦位置や横位置のような定位置に構えられていないことを検出した際に自動設定してもよい。さらに、カメラ10がホールディングされているか否かを検出する保持検出スイッチを設け、この保持検出スイッチの検出結果に応じて自動設定してもよい。これ以外にも、後述する図10のS11および図12のノーファインダ判定と同様の判定を行い、この判定結果に基づいて、自動設定してもよい。
表示部8は、画像処理及び制御部1の表示部制御部1bに接続されており、本体の背面等に配置された液晶モニタや有機EL等のディスプレイを有し、表示制御部1bによる制御により画面に所定の画像が表示される。表示部8の前面には、タッチパネル8bが一体に構成されている。タッチパネル8bは、表示部8の画面をユーザがタッチすると、タッチ位置に応じた信号を、画像処理及び制御部1に出力し、画像処理及び制御部1はタッチ位置に基づいて種々の処理を行う。また、ノーファインダ状態を検出する手段ともなる。タッチパネル8bの詳細については図2を用いて後述する。
時計部9は、計時機能を有し、また日時情報を出力する。撮影時には、この日時情報が画像データと共に記録部4の記録媒体に記録される。通信部12は、USB端子を介して外部と通信を行う。通信方式としては、有線通信以外にも無線通信でも赤外線通信でも勿論かまわない。
次に、タッチパネル8bの構成と、その動作について、図2を用いて説明する。前述したように、タッチパネル8bは、表示部8の表示面上でのユーザのタッチ位置を検出すると共に、カメラ10の背面が覆われた状態であるか否かを判定する。
本実施形態におけるタッチパネル8bは、表示部8の液晶部内に光センサ8cをマトリックス状に所定間隔で2次元配置している。また、タッチパネル8bの背面側には、バックライト8dを配置しており、このバックライト8dから発光光41aが表示面側に照射される。この発光光41aが物体に照射し、その反射光41bを光センサ8cで受光すると、その受光位置に基づいて、タッチ位置を検出することができる。したがって、本実施形態においては、タッチパネル8bは、表示部8を構成する液晶パネルの上に配置されるのではなく、液晶パネル内に一体に構成される。
図2(a)はユーザの指43がタッチパネル8bに接近している場合、また図2(b)はユーザの指43がタッチパネル8bに密着した場合における、タッチパネル8bの模式的な断面図である。バックライト8dからの発光光41aは、ユーザの指43に反射されない場合には、図2(a)に示すように、そのまま外部に発散していく。また、ユーザの指41がタッチパネル8bより少し離れているが、近接している場合には、図2(a)に示すように、発光光41bは指43で反射され、その反射光の一部は光センサ8cによって受光され検出信号を反射検出部11aに出力する。このとき検出した光センサ8cの位置に基づいて、タッチ位置を検出することができる。また、複数の位置にタッチした場合には、複数の光センサ8cが反応するので、反応した光センサ8cの位置を検出することにより、複数のタッチ位置を検出することができる。
さらに、ユーザの指43がタッチパネル8bに近づくと、図2(b)に示すように、バックライト8dからの発光光41aが、指43によって反射され、光センサ8cによって検出される。
また、タッチパネル8bは、指43によるタッチ以外にも、カメラ10が首に掛けられる等によって、タッチパネル8bの全面、言い換えると、カメラ10の背面側の全部が服45等によって覆われる場合も検出することができる。図2(c)は、カメラ10が首に掛けられた時の様子を示している。この場合には、服45によって、バックライト8dからの発光光41aが、略全面に亘って反射される。このため、略全部の光センサ8cが反射光41bを受光し、検出信号を画像処理及び制御部1に出力する。従って、略全部の光センサ14が反射光41bを検出した場合には、服45等によってカメラ10の背面側が覆われている可能性が高いと判定できる。なお、本実施形態においては、タッチパネル8bによって、カメラ10の背面側が覆われたことを検出するが、タッチパネル8b以外の手段によってこのことを検出しても良い。
次に、加速度検知部6の構成と、その動作について、図3を用いて説明する。前述したように、加速度検知部6を構成する加速度センサは、カメラ10に加えられた振動を検出すると共に、撮影者が胸そらし動作を行ったか否か、およびカメラ10がノーファインダ状態特有の姿勢にあるか否かを判定する。
加速度検知部6の加速度センサは、図3(a)に示すように、チップ表面の固定金属部62a、62bと、架橋された金属部61から構成されており、例えばMEMSプロセス等によって製造される。金属部61は、4つの基点61aとこの基点61aによって保持されるH形状をした架橋部61bと、固定金属部62a、62bとはす向かいに対向する可動部61cとから構成される。加速度センサは、可動部61cと固定金属部62a、62bで構成されるコンデンサの静電容量を検知する。
カメラ10の姿勢を変えると、重力の加わる方向が変化し、そのため可動部61cがたわんで変化し、コンデンサの静電容量が変化する。また、図3(a)中の矢印の方向に金属部61が移動すると、コンデンサの静電容量が変化することから、この変化量を求めることにより、矢印方向の加速度αを検知することができる。
カメラ10を動かすと、そのときの加速度αがプラスであるかマイナスであるかに基づいて、どちらの方向に動かされたのかが分かる。本実施形態においては、上下方向に動かされたか、左右(X方向)に動かされたか、前後方向(Z方向)に動かされたかを、検出できるようするために、カメラ10内に加速度センサを、図3(b)に示すように、3つの方向に沿ってそれぞれ配置している。
図3(b)は、カメラ10の背面側からみた透視斜視図であり、加速度センサ150x、150y、150zをカメラ10のボディ内の3か所に配置し、XYZ軸の3方向の加速度(αx、αy、αz)を検出する例を示す。カメラ10の背面には表示部8が設けられており、カメラ10の内部には、加速度センサ150x、150y、150zが配置されている。加速度センサ150xは、カメラ10の上部に幅方向(カメラの長手方向)の加速度αxを検出する向きに配置されている。加速度センサ150yは、カメラ10の背面側から見て左端部に上下方向の加速度αyを検出する向きに配置されている。加速度センサ150zは、カメラ10の底部に厚さ方向(撮像部2の撮影レンズの光軸方向と同じ方向)の加速度αzを検出する向きに配置されている。
加速度センサは、図3(b)に示す各方向にカメラ10の移動が有った場合には、図3(c)に示すような信号を出力する。すなわち、時刻t1にて、一方向に移動すると、図示するように定常状態よりはマイナス側にパルス状に信号が変化し、時刻t2にて、他方向に移動すると、図示するように定常状態よりはプラス側にパルス状に信号が変化する。
次に、本実施形態に係わるカメラ10を撮影者の首に掛け、ノーファインダ撮影を行う場合の動作と、そのときの加速度検知部6の検知信号について、図4ないし図7を用いて説明する。図4は、カメラ10を撮影者21の首に掛けている様子を示す。このカメラ10は、図4(a)に示すように、カメラ10のサイド側の2か所に、ストラップ108を通すためのストラップピン104が設けられている。
ストラップ108を利用してカメラ10を撮影者21に掛ける方法は様々である。例えば、図4(b)は、2か所のストラップピン104にストラップ108を通して撮影者21の首に掛ける場合であり、カメラ10の画面の長手方向と直交する方向が大体水平線の方向となる。また、図4(c)は、1か所のストラップピン104にストラップ108を通して撮影者21の首に掛けた場合である。この場合には、カメラ10の画面の長手方向が水平線や鉛直線に沿うようにすることは殆ど困難である。
さらに、図4(d)は、撮影者21の腕に鞄112と共にカメラ10が引っ掛けられている場合を示す。この場合も図4(c)の場合と同様に、カメラ10の画面の長手方向が水平線や鉛直線に沿うようにすることは殆ど困難である。このように、撮影者21が直接手でカメラ10を持つことなく、ストラップ108を利用して保持する場合には、撮影者21は表示部8に表示されるライブビュー表示を確認することは困難である。また、撮影時のカメラの画面の傾きを予想することは困難である。
カメラ10を直接手で保持することなく、ノーファインダ撮影を行う場合の様子を図5(a)に示す。図示の状態は、撮影者21は首にストラップ108を介してカメラ10を掛けており、また両手は荷物131を持っている。登山で多数の荷物を持っているような状況である。このため、撮影者21は、表示部8に表示されるライブビュー表示を確認することができず、また、両手が荷物131によって塞がっていることから、レリーズ釦を操作することもできない。
図5(a)に示すような状況では、カメラ10は撮影者21の首から下がっていることから、カメラ10の撮影範囲133は図5(b)に示す範囲となる。この状態で、人物である被写体23をノーファインダで撮影しようとすると、被写体23の顔の部分が切れてしまう。このため、撮影者21が被写体23の顔の部分まで画面内に入るようにするために、図6(a)に示すように、胸をそらせ、カメラ10の撮影範囲133を上に向けることになる。
撮影者21が胸をそらせることにより、カメラ10には、上方向に向けての加速度が加わる。すなわち、胸をそらす前は、カメラ10には、図6(b)に示すように、下向き(−X方向)の重力Gが掛かっている。この状態から撮影者21が胸をそらすと、図6(c)に示すように、カメラ10は斜めになり、−X方向と−Z方向に分解される方向に、重力Gが掛かる。また、カメラ10が上方に引き上げられるので、重力に逆らう大きな加速度が発生する。本実施形態においては、この重力Gの方向の変化を加速度検知部6によって検知し、胸をそらす動作がなされた場合に、レリーズ動作を実行するようにしている。
図7は、撮影者21が歩行、停止、胸そらしを順次行った際の加速度検知部6の検知出力の変化を示す。すなわち、時刻t11付近においては、撮影者21は歩行しており、カメラ10の加速度検知部6のX軸方向の加速度センサ150x、Y軸方向の加速度センサ10y、Z軸方向の加速度センサ150zの各検知出力は、図7中のグラフに示すように、歩行に応じて、変化している。特に、カメラ10にストラップ108によって吊り下げられていることから、X方向にのみ重力がかかっており、図示の如く、X方向の加速度センサ150xの検知出力が他のセンサの検知出力よりも大きい。
時刻t12付近で、撮影者21が被写体を撮影しようと思い停止すると、加速度センサ150x〜150zの各検知出力は、図7中のグラフの破線円形部分に示すように、変化が緩やかになる。そして、時刻t13付近において、撮影を行うために、胸をそらすと、この動きに応じて、加速度センサ150x、150zの検知出力が大きく変化する。すなわち、加速度センサ150xと150zには、カメラ10が吊り上げられる時の斜め方向の加速度がかかるので、図7に示すようなセンサピークが発生し、加速度センサ150yには大きな変化が発生しない。
加速度センサ150xと150zのセンサピークが発生した後、時刻t14付近において、これらのセンサの検知出力は安定状態となる。これは、撮影者21が胸をそらし、被写体23に向けてカメラ10を構えるような感じでカメラ10を静止状態にするためである。このときの加速度センサ150xと150zの検知出力をGX、GZとすると、カメラ10の撮影レンズの光軸と水平線とのなす角度をθは、下記式より求めることができる。なお、図7において、GXとGZは、ずらした位置としているが、同一時刻における測定値である。
tanθ=GZ/GX
従って、撮影者21が胸をそらしたときの角度θは、arctan(GZ/GX)より求められ、この角度θが、撮影レンズの画角の半分±10度程度を撮影OK(レリーズ)の判定基準とすれば良い。すなわち、加速度センサ150xおよび150zの検知出力がピーク値となった後、arctan(GZ/GX)より求めた角度θが上記判定基準となれば、そのタイミングで、レリーズ動作を実行すれば、撮影者21の意図に沿って被写体23をノーファインダ撮影することができる。
本実施形態において、ノーファインダ撮影として、ストラップ108を首等に掛けて撮影する場合を説明したが、ストラップ108を首等に掛ける以外にも、カメラ10をポケット110に入れて撮影する方法もある。図8は、クリップ付きカメラを利用したノーファインダ撮影の態様を示す図である。カメラ10には、図8(a)に示すように、背面に表示部8が設けられていると共に、クリップ109が設けられている。このクリップ109によって、図8(b)(c)に示すように、撮影者21のポケット110内にカメラ10を取り付けることができる。カメラ10のレンズがポケット110の外で露呈していれば、両手が塞がった状態であっても、前述したような撮影者21の胸のそらしに応じてレリーズ動作を行うことができる。
また、カメラ10のポケット110への取り付け角度は、図8(b)ではカメラ10の上下左右と、撮影画面の水平線と鉛直線の方向が略一致している。しかし、図8(c)に示す例では、これらの方向が一致していない。このように、カメラ10の角度は撮影者21の好み等により変化することから、カメラ画面の傾きを予想することは、ストラップ108による場合と同様、困難である。
図9(b)は、撮影者21がカメラ10を手に持った状態でノーファインダ撮影を行っている様子を示す。通常の撮影にあたっては、図9(a)に示すように、撮影者21はカメラ10から十分離し、表示部8に表示されるライブビュー表示を観察しながら、構図を決定する。ノーファインダ撮影では、図9(b)に示すように、カメラ10の背面に配置された表示部8を観察することなく、撮影を行う。この状態では、カメラ10の撮影レンズは、被写体の方向を向いており、かつカメラ10の背面側は撮影者21に近接している。したがって、ノーファインダ撮影か否かを判定するにあたって、カメラ10の背面が服等によって覆われているか否かが1つの判定条件となる。
次に、本実施形態における動作について、図10ないし図13に示すフローチャートを用いて説明する。このフローは主に画像処理及び制御部1によって実行される。カメラ制御のフローに入ると、まず、ノーファインダ判定を行う(S11)。ここでは、撮影者21が表示部8におけるライブビュー表示によって被写体像を観察することなく撮影を行うノーファインダ撮影か否かの判定を行う。本実施形態におけるノーファインダ状態の判定条件としては、
(1)カメラ10の背面が覆われた状態であること、
(2)カメラ10がノーファインダ状態特有の姿勢にあること、
(3)カメラ10の撮影レンズが露出していること、
であり、これら3つの条件を満たしているか否かの判定を行う。このノーファインダ判定の詳細については、図11を用いて後述する。なお、メニュー画面において、ノーファインダ撮影が直接設定された場合には、ステップS13における判定処理は省略し、ステップS13に進む。
ステップS11におけるノーファインダ判定を行うと、次に、この判定結果に基づいて、現在、ノーファインダ状態にあるか否かの判定を行う(S12)。後述する図11のフローにおいて、ステップS44またはS45において、ノーファインダ判定が設定されたか、ノーファインダ以外が設定されたかに基づいて判定を行う。
ステップS12における判定の結果、ノーファインダであった場合には、次に、加速度条件を満たしているかを検出する(S13)。ここでは、撮影者21が胸をそらしレリーズ動作を行うタイミングであるか否かを判定するために加速度条件を満たしているかを検出する。すなわち、加速度センサ150x〜150zの検知出力に基づいて、図7において時刻t13から時刻t14におけるセンサ出力と同様な傾向の波形を描いているかを検知する。この加速度条件の詳細については、図12を用いて詳述する。
ステップS13において、加速度条件を検出すると、この検出結果に基づいて、加速度条件がOKであるか否かの判定を行う(S14)。この判定の結果、加速度条件がOKでなかった場合には、ステップS11に戻る。一方、加速度条件がOKであった場合には、撮影者12が胸をそらし、レリーズ動作を行ったことから、ステップS15以下において、撮影動作を行う。
まず、円形撮影を行う(S15)。ここでは、撮像部2からの画像データを取得し、この画像データを用いて画像処理及び制御部1中のトリミング部1eにおいて円形にトリミング処理を行う。前述したように、ノーファインダ撮影の場合には、カメラ10の画面の長手方向(またはこれと直交する方向)を水平線に一致させることは困難である。図14(a)は、ノーファインダ撮影によって水平線が傾いている画像の例である。このような場合には、図14(b)に示すように水平線を一致させるように画像処理を行うのが一般的であるが、本実施形態においては、図14(c)に示すように、円形に画像データをトリミングするようにしている。円形画像の場合には、多少、水平線が傾いていても、違和感が少ないからである。なお、本実施形態においては、図14(d)に示すように、傾き情報を用いて、円形画像の傾きを補正している。
円形撮影を行うと、次に、仮記録を行う(S16)。ここでは、ステップS15において取得した円形の画像データから、円形領域71の画像(円形画像)を排除した部分を黒画像に変換し(図15(b)参照)、この画像データを仮記録部4aに一時記録する。また、円形画像の画像データについては、仮記録部4bに一時記録する。
仮記録を行うと、次に、傾き情報で補正を行う(S17)。傾き情報による補正は、まず、仮記録部4bに一時記録された円形画像を、図15(c)に示すような傾きのない画像データに回転補正する。続いて、仮記録部4aに一時記録されている黒画像と、回転補正後の円形画像を合成する。
ステップS12における判定の結果、ノーファインダでなかった場合には、次に、レリーズか否かの判定を行う(S21)。ノーファインダ撮影でないことから、ステップS21以下において、通常のレリーズ釦によるレリーズ動作を行う。このステップでは、操作部7のレリーズ釦が押されたか否かを判定する。
ステップS21における判定の結果、レリーズであった場合には、次に、通常撮影モードを実行する(S22)。ここでは、通常行われている公知の撮影動作であり、細かくは説明しないが、撮像部2によって取得した画像データを画像処理する。なお、ノーファインダ撮影の際には、円形画像を生成した後に記録していたが、通常撮影モードの場合には、矩形の画像データのまま画像圧縮し、記録部4に記録する。
ステップS22における通常撮影モードによる画像データの取得を行うと、または、ステップS17における傾き情報で補正を行うと、それぞれのステップで得られた画像データを画像圧縮部1cによって圧縮処理を行った後、記録部4に記録する(S18)。記録部4に画像データを記録すると、メインフローに戻る。
ステップS21における判定の結果、レリーズでなかった場合には、次に、再生か否かの判定を行う(S24)。操作部7の再生釦が操作されると再生モードに切り換わるので、このステップでは、再生釦の操作状態を判定する。この判定の結果、再生でなかった場合には、ステップS11に戻る。
一方、ステップS24における判定の結果、再生であった場合には、画像再生を行う(S25)。ここでは、記録部4に記録されている画像データを読み出し、表示部8に表示する。この再生表示の際、カメラ10の姿勢を検知し、この検知結果に応じて、円形画像の傾きを補正する。また、円形の単独画像を再生する場合には、画面をタッチしながら回転させることにより、その傾きを変えることができる。さらに、みんなで見るモードを選択すると、円形画像の鉛直線方向が表示部8の中心部から放射状に沿って、画像の傾きが補正され、複数人で囲んで見やすい配置となる。この画像再生の詳細については、図13を用いて後述する。画像再生を行うとステップS24に戻る。
このように、カメラ制御のフローでは、カメラ10がノーファインダ状態にあるか否かを判定し(S11、S12)、ノーファインダ状態にある場合には、撮影者が胸をそらす動きをしたかを判定し(S13、S14)、胸をそらす動作をした場合には、レリーズ動作(撮影動作)を行うようにしている(S15)。このため、撮影者21はカメラ10を手で把持し、表示部8のライブビュー表示を観察しなくても撮影を行うことができる。また、胸を反らすことにより、撮影レンズが上を少し向き、適度に離れて対抗する人物の顔の方向に向けられるという効果もある。この場合、適度の距離としては、2〜3mであり、通常の焦点距離で撮影すると、半身から全身像となり、バックの風景と人物のバランスが取れる撮影距離である。これにより近距離では、背景があまり写りこまず、どこで撮影した写真か分からなくなり、また、これより遠距離では人物の顔が小さくなって表情が分かりにくくなる。また、胸を反らして撮影する場合のカメラの角度の条件については、撮影者の背の高さや、撮影レンズの画角や、ストラップの長さ等も考慮して設定できるようにしてもよい。
次に、ステップS11におけるノーファインダ判定について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。ノーファインダ判定のフローに入ると、まず、バックライトが全面反射しているか否かの判定を行う(S41)。ここでは、前述のノーファインダ判定の第1番目の条件、すなわち、カメラ10の背面が覆われた状態であるか否かを判定している。このために、バックライト8dから発光光41aを照射し、服45等からの反射光41bが存在するか否かを光センサ8cによって検出する。ノーファインダ状態の場合には、服45等によって、表示部8の略全面が覆われることから、略全ての光センサ8cによって反射光41bを受光したか否かによって判定する。
ステップS41における判定の結果、バックライト全面反射が有った場合には、次に、ストラップ108と反対方向に重力が有るか否かの判定を行う(S42)。ここでは、前述のノーファインダ判定の第2番目の条件、すなわち、カメラ10がノーファインダ状態特有の姿勢にあるか否かを判定している。このために、加速度検知部6の検知出力に基づいて、ストラップ108と反対方向に重力があるか否かを判定している。なお、クリップ109付きのカメラ等の場合にも、加速度センサ150x等の検知出力に基づいて、判定すれば良い。
ステップS42における判定の結果、ストラップと反対方向に重力が有った場合には、次に、撮像結果画像が有るか否かの判定を行う(S43)。ここでは、前述のノーファインダ判定の第3番目の条件、すなわち、カメラ10の撮影レンズが露出しているか否かを判定している。このために、撮像部2からの画像データに基づいて、撮影結果画像があるか否かを判定している。鞄やポケットで撮影レンズが覆われている場合には、真っ黒な画像しか取得できないが、撮影レンズが露呈してれば、何らかの撮影結果画像を得られるからである。この場合、撮影画像を解析しても良いが、画像データの平均輝度が所定値以上あれば、撮像結果画像があると判定しても良い。
ステップS43における判定の結果、撮像結果画像が有れば、ノーファインダ判定を設定する(S44)。一方、ステップS41、S42、またはS43のいずれかにおいて、Noと判定されると、ノーファインダ以外を設定する(S45)。前述したように、ステップS44、またはS45における設定に応じて、ステップS12(図10)における判定がなされる。ステップS44またはS45における設定を行うと、元のフローに戻る。
このように、ノーファインダ判定のフローにおいて、ノーファインダ状態であるかを判定している。この判定結果に応じて、カメラ10をノーファインダ撮影モードに自動的に切り換えることができる。なお、本実施形態においては、ノーファインダ状態の判定にあたっては、前述の(1)〜(3)の3つの条件を満足した場合に、ノーファインダ状態と判定していた。しかし、3つの条件を満足していなくても、(1)+(2)、(1)+(3)、(2)+(3)のように、3つの内の2つの条件を満足した場合、あるいは、(1)または(2)のいずれか単独の条件を満たした場合に、ノーファインダ状態と判定するようにしても良い。各検出手段自体の精度、あるいは求めるノーファインダ状態の判定精度のレベルによって、適宜組み合わせれば良い。
次に、ステップS13における加速度条件について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。加速度条件のフローに入ると、まず、ストラップ方向にパルスがあるか否かの判定を行う(S31)。図7を用いて前述したように、撮影者21は、胸をそらして撮影を行う場合には、まず時刻t13付近において、x軸方向およびz軸方向にパルス状の加速度が発生し、このため、加速度センサ150x、150zにピーク値が生じる。このステップS31においては、このパルス状の加速度が発生したか否かを判定する。
ステップS31における判定の結果、ストラップ方向にパルスが発生した場合には、次に、ストラップと反対方向に重力(GX)が安定しているか否かの判定を行う(S32)。前述したように、時刻t13付近で加速度にピークが発生した後、時刻t14付近になると加速度センサ150x、150zの検知出力は安定状態となる。このステップS32においては、加速度センサ150xの検知出力(GX)が安定しているか否かを判定する。
ステップS32における判定の結果、ストラップ反対方向に重力が安定していた場合には、次に、撮像部と反対方向に重力(GZ)が安定しているか否かの判定を行う(S33)。撮像部2の光軸方向はZ軸方向であり、ここでは、加速度センサ150zの検知出力(GZ)が安定しているか否かを判定する。
ステップS33における判定の結果、撮像部反対方向に重力が安定していた場合には、次に、GZ/GXが所定範囲内になるか否かの判定を行う(S34)。前述したように、角度θ、すなわち、arctan(GZ/GX)が撮影レンズの画角の半分±10度程度であれば良いことから、これを考慮して決められた範囲内にGZ/GXが有るか否かを判定する。
ステップS34における判定の結果、GZ/GXが所定範囲内にあった場合には、加速度条件OKを設定する(S35)。一方、ステップS32〜S34における判定の結果、いずれかがNoであった場合には、次に、所定時間経過したか否かを判定する(S36)。ここでは、撮影者21が撮影を意図して胸をそらした際に、カメラ10が被写体23に向き、安定しているか否かを判定する。この判定にあたって、ステップS31においてストラップ方向にパルスが発生してからの時間を時計部9によって計時する。この判定の結果、所定時間が経過していなかった場合には、ステップS32に戻る。
一方、ステップS36における判定の結果、所定時間が経過した場合、またはステップS31における判定の結果、ストラップ方向にパルスが発生していなかった場合には、加速度条件NGを設定する(S37)。ステップS35またはステップS37においてOKまたはNGを設定すると、元のフローに戻る。
このように、加速度条件のフローでは、ストラップ方向に吊り上げられるようなパルスが発生したことをトリガとし(S31)、この後に続いて、安定した重力が検出された場合に、加速度条件OKを設定している。なお、安定したか否かは、複数回、判定した結果が、所定のバラツキ以下で有れば良い。
次に、ステップS25における画像再生について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。画像再生のフローに入ると、まず、サムネイル表示か否かを判定する(S51)。サムネイル表示は、記録部4に記録されている画像を縮小し、複数の画像を一度に表示部8に表示するモードである。本実施形態においては、このサムネイル表示がデフォルト値として設定されている。テレ・ワイド釦を操作することにより、サムネイル表示と単独表示を交互に切り換えることができる。
ステップS51における判定の結果、サムネイル表示でなかった場合には、画像の拡大表示を行う(S61)。ここでは、記録部4に記憶されている画像データを読み出し、この読み出された画像データに基づいて、表示部8に拡大表示する。
画像の拡大表示を行うと、次に、姿勢によって回転補正を行う(S62)。ここでは、まず、カメラ10の現在の姿勢、例えば縦位置にあるか横位置にあるか等を、加速度検知部6によって検出する。そして、この検出されたカメラの姿勢に基づいて、画像加工部1dによって円形画像の回転補正を行う。
姿勢によって回転補正を行うと、次に、タッチスライドがなされたか否かの判定を行う(S63)。ユーザが表示部8の表示画面に表示されている円形画像a(図16(a)参照)を、手動により回転させたい場合には、回転方向に沿って指をP方向にスライドする(図16(b)参照)。そこで、このステップでは、タッチパネル8b上の指の動きを検出する。
ステップS63における判定の結果、タッチスライドがあった場合には、スライド方向に応じて、回転補正を行う(S64)。ここでは、スライド方向に応じて、画像加工部1dが、図16(c)に示すように、円形画像aに対して回転補正を行う。
ステップS51における判定の結果、サムネイル表示であった場合には、次に表示画像の読出しを行う(S52)。ここでは、記録部4に記録されているサムネイル表示用の複数の画像データを読出す。続いて、ステップS62と同様に、姿勢によって回転補正を行う(S53)。ここでは、検出された現在のカメラの姿勢に基づいて、画像加工部1dによって円形画像の回転補正を行う。この回転補正により、カメラ10の姿勢に応じた見やすい画像となる。
姿勢による回転補正を行うと、次に、みんなで見るか否かの判定を行う(S54)。「みんなで見る」は、図17(c)に示すように、複数人でカメラ10の表示部8に再生されているサムネイル表示を見るためのモードである。すなわち、サムネイル表示を図17(c)に示すように、複数人でカメラ10を囲むように見ている場合に、各人から見やすくするために、図17(b)に示すように円形画像の向きを放射状に変更する表示方法である。このみんなで見るモードは、操作部7のみんなで見る釦を操作することによって設定できるので、このステップでは、この釦が操作されたか否かを判定する。
ステップS54における判定の結果、みんなで見るが選択されていた場合には、次に、画面中央が上方向に回転補正を行う(S55)。ここでは、画像加工部1dによって、各円形画像の鉛直線方向が、表示画面の中心から放射線状になるように、回転補正を行う。なお、この回転補正は、カメラ10を見る者に見やすくするためであることから、厳密に放射線状にならなくても良い。
ステップS55において、画面中央が上方向に回転補正を行うと、またはステップS54における判定の結果、みんなで見るが選択されなかった場合には、次に、画像選択がなされたか否かの判定を行う(S56)。サムネイル表示された画像の中から、ユーザが単独画像で見たい場合には、その画像をタッチ等により選択するので、ここでは、タッチ等により画像が選択されたか否かを判定する。この判定の結果、画像が選択された場合には、前述のステップS61に進み、選択された画像の拡大表示を行う。
ステップS56における判定の結果、画像選択がなされなかった場合、またはステップS64においてタッチスライドで回転補正を行った場合、またはステップS63における判定の結果、タッチスライドがなされていなかった場合には、次に、別画像の指示がなされたか否かの判定を行う(S71)。サムネイル表示の場合には、操作部7の十字釦等によりサムネイル画面のページ送り・戻しを行い、また単独画像表示の場合には、十字釦等により画像送り・戻しを行うので、ここでは、十字釦等により、別画像の指示がなされたか否かの判定を行う。別画像の指示があった場合には、ステップS51に戻る。
一方、ステップS71における判定の結果、別画像の指示がなかった場合には、再生終了か否かの判定を行う(S72)。ここでは、再生釦が再度、操作されたか否かの判定を行う。この判定の結果、終了でなかった場合には、ステップS51に戻る。一方、終了であった場合には、再生終了処理を行った後、元のフローに戻る。
このように、本実施形態における再生においては、単独画像を再生する場合には、カメラ姿勢に応じて、円形画像の回転補正を行っている。このため、カメラの姿勢に応じた見やすい画像となる。また、単独画像の再生表示の場合、タッチスライドにより、円形画像の向きを変更可能としている。このため、ユーザの意図に沿った向きで画像を表示することができる。
また、本実施形態においては、カメラ姿勢に応じて円形画像の回転補正を行っている。このため、カメラの姿勢に応じた見やすい画像となる。また、みんなで見る指示がなされると、放射状に回転補正を行っている。このため、カメラ10を囲んで色々な方向から同時に鑑賞することができ、新たな鑑賞方法を提案できる。なお、本実施形態においては、タッチスライドにより円形画像の向きを変更していたが、これ以外にも、例えば、ダイヤル等によって向きを変更するようにしても勿論かまわない。
次に、本発明の第2実施形態について、図18を用いて説明する。第1実施形態においては、ノーファインダ状態であるかを常に検出し、ノーファインダ状態であった場合には、加速度検出部6によって撮影者が胸をそらす動作を行ったかを常に検出していた。第2実施形態においては、ストラップ方向に力が印加された場合にパルスを発生させ、このパルスを検出した場合に、ノーファインダ撮影か否かを判定の上、ノーファインダ撮影を実行するようにしている。ノーファインダ状態であるか否かの検出を最小限に抑えている。
本実施形態における構成は、図1に示したブロック図において、加速度検知部6には、微小電力(10mW程度)でも動作するコンパレータが設けられており、このコンパレータは加速度センサ150x、150zが、ストラップ方向に所定値以上の振動を検出した場合には、検知信号を出力する。これ以外の構成は、図1に示した構成と略同様であるので、詳しい説明は省略する。
次に、図18に示すフローチャートを用いて、本実施形態の動作について説明する。カメラ制御のフローに入ると、まず、ステップS21と同様に、レリーズを行うか否かの判定を行う(S81)。このステップでは、操作部7のレリーズ釦が操作されたか否かを判定する。この判定の結果、レリーズであった場合には、通常撮影を行い(S82)、ここで取得した画像データを記録部4に記録する(S83)。ここでは、公知の撮影動作であることから、詳細には記載しないが、撮像部2から出力された画像データを画像処理し、圧縮処理した後、記録部4に記録する。ノーファインダ撮影の際には、円形画像に画像処理するが、通常撮影の場合には、第1実施形態と同様、矩形のままの画像データで記録する。画像データを記録すると、ステップS81に戻る。
ステップS81における判定の結果、レリーズでなかった場合には、次に、ストラップ方向にパルスがあるか否かの判定を行う(S85)。前述したように、本実施形態における加速度検知部6は、撮影者21が胸をそらし、ストラップ方向に力が掛かると、パルスを発生するので、このステップでは、このパルスが発生したか否かの判定を行う。
ステップS85における判定の結果、パルスが発生した場合には、次に、ステップS32と同様に、ストラップ108と反対方向に重力(GX)が安定しているか否かの判定を行う(S86)。ここでは、加速度センサ150xの検知出力(GX)が安定しているか否かを判定する。この判定の結果、重力(GX)が安定していた場合には、次に、ステップS33と同様に、撮像部2と反対方向に重力(GZ)が安定しているか否かの判定を行う(S87)。ここでは、加速度センサ150zの検知出力(GZ)が安定しているか否かを判定する。
ステップS87における判定の結果、重力(GZ)が安定していた場合には、次に、ステップS34と同様に、GZ/GXが所定の範囲内にあるか否かの判定を行う(S88)。この判定および、ステップS86、S87において、判定結果がNoであった場合には、次に、ステップS36と同様に、所定時間が経過したか否かの判定を行う(S95)。この判定の結果、所定時間が経過していなかった場合には、ステップS86に戻る。
ステップS89における判定の結果、GZ/GXが所定の範囲内にあれば、ステップS85、S86、S87の判定も含めて、撮影者21によって胸をそらす動作を行ったと判定できる。そこで、次に、画面中央部が複数点タッチされているか否かの判定を行う(S89)。ここでは、タッチパネル8bの画面中央部にあたる位置の複数の光センサ8cからの検知出力に基づいて判定する。この判定は、表示部8が服等によって覆われており、ノーファインダ状態であるか検知するためである。
ステップS89における判定の結果、画面中央部が複数点タッチされていた場合には、ノーファインダ状態で撮影者21が胸をそらす動作を行ったことから、このタイミングでレリーズ動作を開始する。まず、ステップS15およびS16と同様に、円形撮影および仮記録を行う(S91)。ここでは、撮像部2から画像データを取得し、この画像データを円形となるように画像処理を行い(図15(b)参照)、仮記録部4a、4bに仮記録する。
円形撮影及び仮記録を行うと、次に、ステップS17と同様に、傾き情報で補正を行う(S92)。ここでは、仮記録部4a、4bに仮記録した円形画像の画像データを、加速度検知部6からの傾き情報に基づいて、傾きを補正し、図15(c)に示すような画像を得る。傾き情報で補正すると、前述のステップS83に進み、画像データを記録部4に記録する(S83)。
ステップS95における判定の結果、所定時間が経過すると、またはステップS89における判定の結果、画面中央部が複数点タッチされていなかった場合、またはステップS85における判定の結果、ストラップ方向にパルスが発生していなかった場合には、次に、ステップS24と同様に、再生モードか否かの判定を行う(S96)。この判定の結果、再生モードでなかった場合には、ステップS81に戻る。
ステップS96における判定の結果、再生モードであった場合には、次に、ステップS25と同様に、画像再生を行う(S97)。ここでは、前述した図13に示すフローを実行する。画像再生を行うと、ステップS81に戻る。
以上、説明したように、本発明の第2実施形態においては、通常状態では、ストラップ方向にパルスがあるか否かを判定するのみであるので(S85)、ノーファインダ状態であるか否かを頻繁に行う必要がない。このため、消費電力を最小限に抑え、必要に応じてハンズフリーで撮影することができる。
なお、本実施形態においては、ストラップ108を具備する場合について説明したが、クリップ109等を有するカメラであっても、本実施形態と同様に、ノーファインダ状態の際に撮影者が胸をそらす動作をした場合に、レリーズを行うようにすることができる。この場合、クリップ109でポケット110などから下げられた状態での重力方向を検知し、この方向と反対の方向をストラップ方向とすれば良い。
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、第1の方向(実施形態においては、ストラップ方向(通常状態における重力方向と反対の方向))の加速度を検知し、また、第1の方向と異なる第2の方向(実施形態においては、撮像部2の光軸方向の重力加速度が、カメラの背面方向にかかる方向)の加速度を検知し、これらの加速度に基づいて、レリーズ動作を行うタイミングを決めている。このため、両手が塞がっており、レリーズ釦を手で押すことができない状態であっても、撮影者が胸をそらす等の動作を行うことにより、レリーズ動作を行うことができる。
なお、本実施形態においては、加速度検知部6によって加速度を検知していたが、カメラ10に加えられた動きを検出できる検知部であれば良く、角加速度センサやジャイロ等、他の検知部であっても勿論かまわない。また、本実施形態においては、ノーファインダ撮影を行った場合に、円形画像に画像処理した後に記録していたが、矩形画像のまま記録するようにしても勿論かまわない。
また、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。