JP5510720B2 - 複合部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、構造用材料などとして用いられる複合部材及びその製造方法に関する。
樹脂基材は、構造用材料として用いるには剛性が不足する場合がある。そこで、剛性を高めるために、従来、樹脂基材に強化繊維を含浸させた強化複合部材が開発されている。例えば、特許文献1に開示されているように、多数本の強化繊維糸条が並行に引き揃えられたシートの間に不織布を介在させて積層し、この積層体をステッチ糸で一体化し、加圧加熱したものがある。不織布は、加熱により溶融して強化繊維糸条に含浸する。
特開2009−19202号公報
しかしながら、特許文献1に開示された複合部材では、不織布と強化繊維糸条とが、交互に積層されることで積層体が形成されている。このため、強化繊維糸条の厚みが大きいと、溶融した不織布の樹脂が内部まで含浸されず、強化繊維糸条と樹脂との接合性が低下するおそれがある。また、シートを構成する強化繊維は、不織布上に積層する毎に、一方向に引き揃えなければならない。ゆえに、積層工程数が多く、製造コストがかかる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、繊維の樹脂基材への接合強度が高く、また製造が容易な複合部材及びその製造方法を提供することを課題とする。
(1)本発明の複合部材は、第1の熱可塑性樹脂からなる基材と、該基材に固定された織編物とからなる複合部材であって、
前記織編物は、強化繊維と、該強化繊維よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる融着部とから製織製編されており、該融着部が前記基材に融着することにより該強化繊維が該基材に接合されており、
前記織編物は、網目をもつメッシュ材料であって、
前記融着部は、繊維を構成しており、平面矢視で前記網目の中を交差するように製編されており、
前記網目の大きさが糸径の3倍以上であり、前記強化繊維の結束点で前記融着部が編み込まれており、前記強化繊維100質量部に対して前記融着部の質量比が5〜60質量部であることを特徴とする。
上記構成によれば、織編物が、融着部及び強化繊維により製織製編されており、融着部が織編物の組織を形成している。このため、融着部の基材への融着によって、強化繊維が基材に強固に接合される。
また、成形時には、織編物の中の融着部が溶融し、溶融した融着部が基材に融着する。ゆえに、基材を溶融させて織編物の中に基材樹脂を含浸させる場合に比べて、加熱温度を低くでき、また加熱時間や成形時間も短縮化できる。
また、織編物は、編物又は織物からなるため、それ自体でまとまった構造体である。このため、従来のように、織編物を基材に載せた後に各繊維を引き揃える必要がない。ゆえに、簡易に製造することができる。
前記織編物は、網目をもつメッシュ材料である加熱成形時に織編物の網目を通じて基材に熱が伝わりやすい。ゆえに、基材と融着部とが確実に熱融着される。
記織編物が網目をもつメッシュ材料であり、前記融着部は、繊維を構成しており、平面矢視で前記網目の中を交差するように製編されている。この場合には、加熱成形時に、網目を交差している融着部に熱が伝わりやすく、融着部を確実に基材に融着させることができる。
前記融着部は、繊維を構成しているこの場合には、強化繊維と融着部とが繊維同士の絡まりあいによって織編物を製織製編している。このため、強化繊維に絡まり合った繊維状の融着部が基材へ融着することによって、強化繊維が基材に強固に接合される。
(2)前記融着部は、前記強化繊維に一体に接合されて該強化繊維とともに複合繊維を構成していることが好ましい。この場合には、融着部の強化繊維との接触面積が大きく、融着部の基材への融着によって、強化繊維が基材に確実に接合される。
(3)前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂の融点は、前記基材を構成する前記第1の熱可塑性樹脂の融点に対して±50℃の範囲にあることが好ましい。この場合には、加熱成形時に、織編物の融着部が基材とともに溶融するため、融着部の基材への融着強度が高い。ゆえに、強化繊維を基材に確実に接合することができる。
(4)前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂は、前記基材を構成する前記第1の熱可塑性樹脂と同じ種類であることが好ましい。この場合には、融着部の融点を、基材の融点に近似させることができる。ゆえに、加熱成形時に、融着部と基材とが互いに融着して、強化繊維が基材に確実に接合される。
(5)前記織編物は、前記基材の表面に固定されていることが好ましい。この場合には、強化繊維の組織が外観視され、複合部材の意匠性を高めることができる。
(6)本発明の複合部材の製造方法は、第1の熱可塑性樹脂からなる基材と、
強化繊維、及び該強化繊維よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる融着部から製織製編され網目をもつメッシュ材料からなる織編物をもち
前記融着部は、繊維を構成しており、平面矢視で前記網目の中を交差するように製編されており、前記網目の大きさが糸径の3倍以上であり、前記強化繊維の結束点で前記融着部が編み込まれており、前記強化繊維100質量部に対して前記融着部の質量比が5〜60質量部であって
前記織編物を積層してなる積層体を、前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高く且つ前記強化繊維の融点よりも低い温度で加熱プレスすることにより、前記融着部を前記基材に融着させて、前記強化繊維を該基材に接合することを特徴とする。
上記製造方法によれば、加熱プレス時に、織編物を構成している融着部を溶融させて、基材に融着させている。このため、織編物を構成している強化繊維が融着部により基材に強固に接合される。また、強化繊維は融着部とともに織編物を構成しているため、強化繊維と融着部は一体となって基材に積層される。このため、従来のように強化繊維を引き揃える手間がなくなり、製造工程を簡略化できる。本製造方法は、例えば、加熱プレス法、圧縮成形法などに適応される。
(7)本発明の複合部材の製造方法は、強化繊維、及び該強化繊維よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる融着部から製織製編され網目をもつメッシュ材料からなる織編物であって、前記融着部は、繊維を構成しており、平面矢視で前記網目の中を交差するように製編されており、前記網目の大きさが糸径の3倍以上であり、前記強化繊維の結束点で前記融着部が編み込まれており、前記強化繊維100質量部に対して前記融着部の質量比が5〜60質量部であって
前記織編物を設置した金型内に、前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高く且つ前記強化繊維の融点よりも低い温度で第1の熱可塑性樹脂を射出することにより、該融着部を該基材に融着させて該織編物を該第1の熱可塑性樹脂からなる基材に固定することを特徴とする。
上記製造方法によれば、織編物を設置した金型内に、基材を構成する第1の熱可塑性樹脂を射出している。このため、射出された熱可塑性樹脂の熱で、織編物の中の融着部が溶融して基材に融着する。ゆえに、強化繊維を基材に強固に接合することができる。また、強化繊維は融着部とともに織編物を構成しているため、強化繊維と融着部は一体となって基材に積層される。このため、従来のように強化繊維を引き揃える手間がなくなり、製造工程を簡略化できる。本製造方法は、インサート射出成形法などに適用される。
本発明によれば、織編物の融着部が基材に融着することによって、強化繊維が基材に接合されている。このため、織編物の基材への接合強度が高く、また製造が容易である。
本発明における、強化繊維、融着部を構成し得る各材質の応力−たわみ曲線を示す図である。 基材上に織編物を配置して加熱成形する場合の説明図であって、基材上に織編物を配置した場合(図2(a))、織編物の底部を基材表面に接合した場合(図2(b))、織編物を基材表面に埋め込んだ場合(図2(c))を示す。 基材間に織編物を配置して加熱成形する場合の説明図であって、基材と基材の間に織編物を配置した場合(図3(a))、基材間に織編物を配置した積層体を加熱成形した場合(図3(b))を示す。 本発明の複合部材を加熱プレス法で製造する方法を示す説明図である。 本発明の複合部材をインサート射出成形法で製造する方法を示す説明図である。 本発明の複合部材を圧縮成形法で製造する方法を示す説明図である。 実施例1の複合部材の斜視図である。 実施例1の複合部材を製造するために用いる、基材及び織編物の斜視図である。 実施例2の複合部材の斜視図である。 面衝撃実験の方法を示す説明図である。
本発明の複合部材は、基材に織編物を固定してなる。
基材は、第1の熱可塑性樹脂からなる。第1の熱可塑性樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを用いることができる。基材には、第1の熱可塑性樹脂の他に、タルク、繊維などのフィラーが含まれていてもよい。
織編物は、編物又は織物であり、強化繊維と、融着部とを用いて製織又は製編されている。強化繊維は、剛性、衝撃強度などの物理的強度が基材よりも強い材質から形成されている。強化繊維としては、例えば、ポリアリレート繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、炭素繊維などがある。
図1は、強化繊維を構成し得る各材質の応力−たわみ曲線を示す。図1の横軸に各材質に曲げ加重を加えたときに各材質が破断するまでのたわみ量、縦軸に各材質の応力を示す。同図より、ポリアリレート、ポリエステル、ガラス、ポリアミド、PET、カーボンの順に、降伏点に至るまでの直線部の傾斜が高くなっている。このことは、ポリアリレート、ポリエステル、ガラス、ポリアミド、PET、カーボンの順に、材質の曲げ弾性率(降伏点までの直線部のたわみ量に対する応力の比)が高くなり、剛性が高くなることを意味する。また、図1において、曲線の下側の領域の面積は、材質の吸収エネルギーを示している。図1によれば、破断までの吸収エネルギー(破断エネルギー)は、ポリアリレート、ポリエステルが大きく、このことは衝撃強度が高いことを意味している。一方、基材として用いられ得るポリプロピレンは、他の材質に比べて、格段に剛性が低く、また衝撃強度も低い。
例えば、複合部材の剛性を高めたい場合には、カーボン、PETを基材に接合する強化繊維として選択する。複合部材の衝撃強度を高めたい場合には、ポリアリレートやポリエステルを強化繊維として選択する。また、得ようとする複合部材の剛性や衝撃強度に応じて、剛性の高いカーボンやPETと、ポリアリレートやポリエステルの配合比を調整してもよい。このように、各材質を、その剛性及び衝撃強度を考慮して適宜選び出して強化繊維として用いることにより、所望の特性をもつ複合部材を製造できる
強化繊維として用いられる材料の曲げ弾性率(JISK−7171)は、3000MPa以上であることが好ましい。この場合には、複合部材の剛性を高めることができる。
融着部は、強化繊維よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる。第2の熱可塑性樹脂の融点は、基材に用いられる第1の熱可塑性樹脂の融点と近似していることがよい。第2の熱可塑性樹脂の融点と第1の熱可塑性樹脂の融点との差異は±50℃以内であるとよく、更には±30℃以内であり、より望ましくは±10℃以内であることが望ましい。この場合には、融着部の溶融時には基材も溶融するため,融着部が基材に確実に融着する。第2の熱可塑性樹脂は、基材に用いられる第1の熱可塑性樹脂と同じ材質であるとよい。第2の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、フィラー、タルクなどを含むポリプロピレンなどが用いられる。
表1に、強化繊維、融着部、及び基材の材質の一例と、その軟化点、融点及び熱伝導率を示した。
Figure 0005510720
融着部となり得る材質の融点と基材となり得る材質の融点とは、比較的が近似しているが、強化繊維となり得る材質の融点は、融着部や基材の材質に比べてかなり高いことがよい。加熱成形時の温度は、融着部及び基材となり得る材質の融点よりも高く、強化繊維となり得る材質の融点よりも低いことが好ましい。
強化繊維100質量部に対する融着部の質量比率は、例えば、5〜60質量部であるとよい。5質量部未満の場合には、融着部が強化繊維に対して相対的に少なすぎて、強化繊維の基材への接合性が低下するおそれがある。60質量部を超える場合には、融着部の相対質量が多すぎて、強化繊維による基材の特性改良効果が低下するおそれがある。
次に、織編物の形態について説明する。織編物は、編物又は織物からなり、強化繊維と融着部とが互いに絡まりあって製織又は製編されている。織編物は、ある程度の大きさの網目をもつメッシュ材料であることが好ましい。網目の空間を伝って織編物の表裏に素早く熱を伝えることができ、成形時の加熱温度を低くすることできるとともに成形時間を短縮化することができる。
また、網目は、強化繊維により構成されていることが好ましい。この場合には、成形後に強化繊維は繊維として残り、基材を強化するなどの役目を発揮することができる。
網目は、ほぼ四角形をなす貫通穴であり、網目の大きさ(長幅と短幅がある場合には長幅の大きさ)は、糸の径の3倍以上であることが好ましい。この場合には、網目を通じて熱がメッシュ材料の表裏間を伝わりやすく、加熱成形時にメッシュ材料の融着部と基材とを確実に熱融着させることができる。
融着部は、繊維状の融着繊維であるとよい。この場合、融着繊維は、強化繊維とは別々に糸を構成していてもよく、また両者を含む混繊糸を構成していてもよい。これらの糸は、短繊維を撚り合わせた紡績糸であってもよく、また長繊維を撚り合わせたフィラメント糸であってもよい。
強化繊維と融着繊維とで別々の糸を構成する場合には、強化繊維からなる糸で網目を形成し、融着繊維からなる糸は、強化繊維からなる糸に絡めながら、網目を交差するように製編するとよい。この場合には、熱が伝達しやすい網目の中に融着繊維が配置されて、加熱成形時に融着繊維を基材に確実に融着させることができる。
また、強化繊維及び融着部は、互いに一体化して複合繊維を構成していてもよい。この場合、複合繊維の内部側に強化繊維が配置され、外側に融着部が配置されるとよい。溶融した融着部を基材に融着させるためである。
図2には、基材1と織編物2との配置を例示した。図2では、融着部が繊維からなり、織編物2が、強化繊維からなる強化繊維糸21と、融着繊維からなる融着繊維糸22とから製編されている場合で示している。図2(a)に示すように、織編物2は、基材1の表面に配置することがよい。この場合、加圧力や温度の調整により、織編物2を基材1の表面から浮き出た状態で基材1に接合させたり(図2(b))、織編物2を基材1の内部に埋め込んで織編物2と基材1とが面一な位置に配置されるようにしたりすることができる(図2(c))。
織編物2を基材1の表面から浮き出た状態で基材1表面に接合する場合(図2(b))には、織編物1の底部近傍に存在している融着繊維糸22が基材1表面に融着する。このため、接合された織編物2は、基材2に強固に接合して、剥がれることはない。
織編物2を基材1の内部に埋め込んだ場合(図2(c))には、成形時に織編物2に設けられた融着繊維糸22の多くが溶融する。基材1の樹脂が織編物2の中に含浸して溶融した融着繊維糸22と相溶化する。織編物2を構成している強化繊維糸21は、基材1表面に面一状態となって外観視される。
図3(a)に示すように、織編物2は、基材1と基材1との間に介在されていてもよい。この場合、図3(b)に示すように、織編物2の中の融着繊維糸22の多くが溶融する。基材1の樹脂が上下から織編物2の中に含浸して溶融した融着繊維糸22と相溶化する。織編物2を構成している強化繊維糸21は、基材1の内部に配置されていて、外観視されない。
複合材料を製造するにあたっては、例えば、熱プレス法、インサート射出成形法、圧縮成形法などを行うことができる。熱プレス法は、図4に示すように、基材1と織編物2とを積層した積層体5を下型61の上に配置して、上型62により積層方向にプレスしながら加熱して基材1と織編物2とを一体化する。インサート射出成形法は、図5に示すように、金型63内に予め織編物2を設置しておき、流動状態の基材の材料を金型63内に射出する。図6に示すように、圧縮成形法は、金型64内に織編物2と基材1との積層体5を設置し、加熱しながら押型65で加圧する。
いずれの方法においても、成形加熱温度は、融着部を構成する第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高く、且つ強化繊維の融点よりも低い温度とする。また、基材の軟化点よりも高い温度であることが好ましく更には基材の融点よりも高い温度であることが望ましい。
複合材料は、例えば、車両、航空機、建築の構造材料、ヘルメットなどに用いることができる。車両では、バンパー、フェンダー、ドア、ボンネットなどの車体部品に適している。
(実施例1)
本例の複合材料は、図7に示すように、基材1の表面に織編物2を埋め込んで一体化したものである。基材1は、60mm×60mmの大きさの正方形の薄板である。基材2は、ポリプロピレンからなり、基材2の軟化点は150℃、融点は165℃であり、熱伝導率は3.3×10cal/cm・sec・℃である(表1)。
図8に示すように、織編物2は、多軸編み機で形成されたメッシュ材料であり、強化繊維糸21と、融着繊維糸22とで製編されている。強化繊維糸21を100質量部としたときの融着繊維糸22の質量比は40質量部である。強化繊維糸21及び融着繊維糸22は、いずれも、長繊維を撚り合わせたフィラメント糸である。
強化繊維糸21は、ポリアリレート繊維(700Tex)からなり、融着繊維糸22はポリプロピレン繊維(300Tex)からなる。強化繊維を構成するポリアリレートの軟化点は350℃、融点は400℃であり、熱伝導率は3.5×10cal/cm・sec・℃である。融着繊維を構成するポリプロピレンの軟化点は145℃であり、融点は、173℃であり、熱伝導率は3.3×10cal/cm・sec・℃である(表1)。
強化繊維糸21は、織編物2の表面側で網目20を形成している。融着繊維糸22は、主として織編物2の裏面側に配置されて、網目20を交差するように製編されている。融着繊維糸22は、網目20を形成する強化繊維糸21の結束点23で強化繊維糸22とともに編み込まれている。網目20の短幅Aは13mm、長幅Bは20mmである。強化繊維糸22から形成される網目20を囲む編脚24の幅Cは、2mmである。
図7,図2(c)に示すように、織編物2は、基材1の表面と面一の位置まで埋め込まれている。
複合部材を製造するにあたっては、図8に示すように、織編物2を、基材1の表面に載せる。このとき、織編物2の融着繊維糸22が配置されている裏面側を、基材1の表面に対面させる。図4に示すように、織編物2を載せた基材1を、220℃、100〜200kPa(1〜2kg/cm)60秒間の条件で、厚み方向に加熱プレスする。
(実施例2)
加熱プレスの条件を、200℃、100〜200kPa(1〜2kg/cm)、60秒間に変えた以外は、実施例1と同様の方法で複合部材を製造した。この場合、図9に示すように、織編物2の強化繊維糸21は、基材1の中に埋まらずに、基材1表面に突出した状態で基材1に固定された。織編物2の裏面は、融着繊維糸22が基材1に融着することによって剥がれることなく強固に接合されている(図2(b)参照)。複合部材の厚みは、2.7mmであり、この厚みには、基材1自体の厚み(2.5mm)に、織編物2の厚みの一部が加わっている。
(実施例3)
強化繊維の材質をPETに変えた以外は、実施例1と同様である。PETの軟化点は240℃、融点は260℃であり、熱伝導率は5.3×10cal/cm・sec・℃である。部材の厚みは2.8mmである。
(比較例1)
本比較例の部材は、織編物を接合しないで、基材のみからなる点で、実施例1相違する。本比較例の基材は、実施例2と同様に、ポリプロピレンとタルクとからなる。部材の厚みは、2.5mmである。
<実験1>
実施例1、3及び比較例1の部材について高速面衝撃試験を行った。これらの部材は、図7に示すように、基材1の中に、織編物2が埋まっている。図10に示すように、各部材7の両端を支持台81で支持した状態で、各部材7の中央に、ストライカ82の半円球形状の先端を鉛直方向から高速で衝突させた。ストライカ82の衝突速度は、5m/sと10m/sである。試験時の温度は23℃である。
試験時の歪、応力、及びエネルギーの動向を測定し、これに基づいて最大エネルギー、最大点変位、破断エネルギー、破断点変位をもとめるとともに、破壊状態を観察した。最大エネルギーは、応力最大時までに部材に蓄積された吸収エネルギーを、部材の衝撃入力方向に沿った断面の断面積で割った値であり、最大点変位は、応力最大時の部材の撓み量であり、破断エネルギーは、破断時までに部材に蓄積された吸収エネルギーを、部材の衝撃入力方向に沿った断面の断面積で割った値であり、破断点変位は、破断時の部材の撓み量である。その結果を表2に示した。
Figure 0005510720
同表に示すように、比較例1では、ストライカの打撃速度が大きいほど最大エネルギー及び破断エネルギーが少なくなった。これに対して、実施例2,3では、打撃速度が変わっても最大エネルギー及び破断エネルギーはそれほど変化しなかった。このことから、織編物を基材に接合した複合部材が、織編物を含まない部材よりも、打撃速度に対する最大エネルギー及び破断エネルギーの依存性を低くできることがわかる。
また、織編物を基材に接合した複合部材(実施例2、3)は、織編物がない部材(比較例1)よりも、最大点変位及び破断点変位が大きくなった。
また、接合させる繊維がポリアリレート繊維である場合(実施例2)と、PET繊維である場合(実施例3)とでは、最大点変位、破断点変位、破断エネルギーについて大差はなかった。
また、織編物がない部材(比較例1)では、破断時に脆性破壊を起こし、破片が飛び散った。これに対して、織編物を接合した複合部材(実施例2、3)は、脆性破壊であったが、破片は飛び散らなかった。
以上の結果より、織編物を含浸させることにより、靱性及び衝撃強度が高くなり、また破断時の破片の飛び散りも防止できることがわかる。
<実験2>
実施例2の複合部材について、織編物の引き剥がし試験を行った。実施例2では、織編物は、手によっては全く引き剥がすことはできなかった。
これに対して、比較例2として、織編物が強化繊維のみから構成された織編物からなる部材について、同様の引き剥がし試験を行った。織編物は強化繊維のみからなり、加熱プレス時には、加熱プレス時に基材表面に織編物が若干食い込み、アンカー効果で一体化したものであり、織編物は基材表面に弱い接合力で固定されていた。この比較例2で引き剥がし試験を行ったところ、織編物は手で簡単に引き剥がれてしまった。
以上の結果より、強化繊維と融着繊維とからなる織編物は、融着繊維の基材への融着によって、基材表面に強固に接合することがわかる。
1:基材、2:織編物、20:網目、21:強化繊維糸、22:融着繊維糸、23:結束点、24:編脚。

Claims (7)

  1. 第1の熱可塑性樹脂からなる基材と、該基材に固定された織編物とからなる複合部材であって、
    前記織編物は、強化繊維と、該強化繊維よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる融着部とから製織製編されており、該融着部が前記基材に融着することにより該強化繊維が該基材に接合されており、
    前記織編物は、網目をもつメッシュ材料であって、
    前記融着部は、繊維を構成しており、平面矢視で前記網目の中を交差するように製編されており、
    前記網目の大きさが糸径の3倍以上であり、前記強化繊維の結束点で前記融着部が編み込まれており、前記強化繊維100質量部に対して前記融着部の質量比が5〜60質量部であることを特徴とする複合部材。
  2. 前記融着部は、前記強化繊維に一体に接合されて該強化繊維とともに複合繊維を構成している請求項1記載の複合部材。
  3. 前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂の融点は、前記基材を構成する前記第1の熱可塑性樹脂の融点に対して±50℃の範囲にある請求項1又は2に記載の複合部材。
  4. 前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂は、前記基材を構成する前記第1の熱可塑性樹脂と同じ種類である請求項3記載の複合部材。
  5. 前記織編物は、前記基材の表面に固定されている請求項1〜のいずれか1項に記載の複合部材。
  6. 第1の熱可塑性樹脂からなる基材と、
    強化繊維、及び該強化繊維よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる融着部から製織製編され網目をもつメッシュ材料からなる織編物をもち
    前記融着部は、繊維を構成しており、平面矢視で前記網目の中を交差するように製編されており、前記網目の大きさが糸径の3倍以上であり、前記強化繊維の結束点で前記融着部が編み込まれており、前記強化繊維100質量部に対して前記融着部の質量比が5〜60質量部であって
    前記織編物を積層してなる積層体を、前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高く且つ前記強化繊維の融点よりも低い温度で加熱プレスすることにより、前記融着部を前記基材に融着させて、前記強化繊維を該基材に接合することを特徴とする複合部材の製造方法。
  7. 強化繊維、及び該強化繊維よりも融点が低い第2の熱可塑性樹脂からなる融着部から製織製編され網目をもつメッシュ材料からなる織編物であって、前記融着部は、繊維を構成しており、平面矢視で前記網目の中を交差するように製編されており、前記網目の大きさが糸径の3倍以上であり、前記強化繊維の結束点で前記融着部が編み込まれており、前記強化繊維100質量部に対して前記融着部の質量比が5〜60質量部であって
    前記織編物を設置した金型内に、前記融着部を構成する前記第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高く且つ前記強化繊維の融点よりも低い温度で第1の熱可塑性樹脂を射出することにより、該融着部を該基材に融着させて該織編物を該第1の熱可塑性樹脂からなる基材に固定することを特徴とする複合部材の製造方法。
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