JP5510194B2 - 車両の航続距離演算装置 - Google Patents
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Description
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
また、前記残量演算手段で演算された前記残量に基づき、前記第一演算手段で演算された前記電費の変動を抑制した抑制電費を演算する第二演算手段と、前記残量演算手段で演算された前記電力の残量及び前記第二演算手段で演算された前記抑制電費に基づき、前記車両が前記残量の電力で走行する距離の推定値である航続距離を演算する第三演算手段とを備える。
前記第一演算手段で演算される前記電費は、一般的な意味での電費(すなわち、単位電力量で車両が走行する距離の平均値)に対応する。一方、前記第二演算手段で演算される前記抑制電費は、航続距離の演算に最適化された電費であり、前記電費に信号処理又は演算処理を施してその経時変動を抑制したものである。
また、前記走行用バッテリの電力で作動し、車室内の空調制御を実施する空調装置と、選択可能な複数の操作位置を有し、前記操作位置に応じて前記空調装置による風量又は温度を変更する操作ダイヤルと、前記操作ダイヤルの操作位置を検出する操作位置検出手段とを備える。
前記第三演算手段は、前記操作位置検出手段で前記操作位置の変化が検出された場合に、前記残量演算手段で演算された前記電力の残量及び前記第一演算手段で演算された前記電費に基づいて前記航続距離を演算する。
なお、前記複数の操作位置は互いに異なる風量又は温度に対応しており、前記空調装置における消費電力も互いに異なる。
前記残量が大きい状態とは、前記航続距離の演算値が大きく変動しやすい状態である。つまりここでは、前記航続距離の演算値が変動しやすい状態であるほど、前記第二演算手段が前記電費の変動の抑制量を増大させ、前記抑制電費の演算値の急変動が抑制される。
この場合、前記第一演算手段が、前記操作位置検出手段で前記操作位置の変化が検出された場合に、前記電力記憶手段に記憶された前記設定電力と前記車両の走行距離とに基づき前記電費を演算することが好ましい。一方、前記操作位置検出手段で前記操作位置の変化が検出されない場合には、前記電力実測手段で実測された前記消費電力と前記車両の走行距離とに基づき前記電費を演算することが好ましい。
あるいは、前記第三演算手段が、前記操作位置検出手段で検出された前記操作位置が前々回の操作位置と同一であり、かつ、前回の前記操作位置の変更時からの経過時間が所定時間以内である場合に、前記前々回の操作位置のときと同一の前記抑制電費を用いて前記航続距離を演算することが好ましい。
本実施形態の航続距離演算装置は、図1に示す車両10に適用される。この車両10は、走行用バッテリ9の電力で電動のモータ12を駆動することによって走行する電気自動車であり、その内部には通信ライン5を介して接続された複数の電子制御装置が備えられる。通信ライン5は、例えばCANやMOST,Flex Ray等の規格に準拠する車載LANのバスであってもよいし、あるいは専用の信号線であってもよい。図1では、電子制御装置としてEV-ECU1,エアコンECU2,BMU3及びMCU4を例示する。これらの電子制御装置は、周知のマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
また、本実施形態のEV-ECU1は、他の電子制御装置で検出された情報に基づいて、走行用バッテリ9の残りの電力で走行することができると予想される航続距離F(航続可能距離)を演算する機能を有する。ここで演算された航続距離Fは、随時、表示装置6に表示される。
エアコン電力実測部2a(電力実測手段)は、エアコン装置7で実際に消費されている電力[kWh]を実測するものである。ここでは例えば、エアコン装置7のコンプレッサやヒーター,ファンに供給される電圧及び電流を計測することにより、消費電力の実測値が計測される。ここで計測された実測値は、通信ライン5を介してEV-ECU1に伝達される。
制限量設定部1aは、SOC演算部3aで演算された充電率に基づき、制限量B(B>0)を設定するものである。ここでは、図2中に示すように、充電率が大きいほど制限量Bが増大し、充電率が小さいほど制限量Bが所定値B0に収束するような対応マップが記憶される。制限量設定部1aはこの対応マップに基づいて制限量Bを設定し、これを抑制電費演算部1dに伝達する。
〔1〕操作ダイヤル8a,8bが操作されていない場合
航続距離F=電池残量D×抑制電費En ・・・(式1)
〔2〕操作ダイヤル8a,8bが操作され、かつ、
操作位置Anが前々回の操作位置An-2と相違する場合
航続距離F=電池残量D×電費Cn ・・・(式2)
〔3〕操作ダイヤル8a,8bが操作され、かつ、
操作位置Anが前々回の操作位置An-2と同一の場合
航続距離F=電池残量D×前々回の抑制電費En-2 ・・・(式3)
一方、ステップA50で操作位置Aが変化した場合にはステップA60に進み、フラグXがX=1に設定される。また、続くステップA70ではタイマーTにT+1が代入される。タイマーTの値は、操作ダイヤル8a,8bが操作されてからの経過時間に対応する。
本フローにより、操作ダイヤル8a,8bが操作されてからの経過時間に応じて、エアコン装置7の消費電力の実測値と所定の電力値とのうちの何れか一方がEV-ECU1に伝達される。
ステップB50では、履歴記憶部1eにおいて、電費Cの履歴が更新される。ここでは、前回の演算周期で演算された値が前回値Cn-1として記憶される。続くステップB60では、電費演算部1cにおいて、ステップB20で演算された消費電力と車両10の走行距離とから電費Cの今回値Cnが演算される。また、ステップB70では、電池残量演算部1fにおいて、走行用バッテリ9の電池残量Dが演算される。
何れの場合においてもその後ステップB200で航続距離Fの情報が表示装置6に伝達され、航続距離Fが画面に表示される。
これにより、例えば車室内気温と外気温との差が大きい環境でドアや窓を開放してエアコン装置7の消費電力が急増するような状況においても、航続距離Fの演算値の変動を抑制することができ、信頼性及び妥当性の高い航続距離Fの演算値を取得することができる。
また、制限量設定部1aでは、図2に示すように、充電量が大きいほど制限量Bが増大する対応マップが記憶されているため、バッテリの残量が多いほど電費Cの変動が抑制され、抑制電費Eを変動しにくくすることができる。このような点においても、航続距離Fの急変を防止することができ、安定した航続距離Fの演算値を取得することができる。
さらに、操作位置Anが前々回の操作位置An-2と同一の場合には、その操作位置An-2に対応する前々回の抑制電費En-2を用いて航続距離Fを演算しているため、操作ダイヤル8a,8bが元の操作位置に戻されたような場合であっても、それまでの操作ダイヤル8a,8bの操作位置Aで得られた抑制電費Eの値に差し戻すことが可能となり、より自然な航続距離の値を取得することができる。
つまり、ある程度の時間が経過したら、たとえ操作位置Anが前々回の操作位置An-2と同一であったとしても、式3を用いた航続距離Fの演算を実施せず、式2を用いることとする。このような構成により、履歴記憶部1eに記憶された情報のうち、参照するには古すぎる履歴情報を破棄することが可能となり、航続距離Fの演算値をより正確に求めることができる。
1a 制限量設定部
1b 消費電力演算部
1c 電費演算部(第一演算手段)
1d 抑制電費演算部(第二演算手段)
1e 履歴記憶部(履歴記憶手段)
1f 電池残量演算部
1g 航続距離演算部(第三演算手段)
2 エアコンECU
2a エアコン電力実測部(電力実測手段)
2b ダイヤル位置検出部(操作位置検出手段)
2c 所定電力記憶部(電力記憶手段)
3 BMU
3a SOC演算部(残量演算手段)
4 MCU
4a 走行距離演算部(走行距離演算手段)
4b モータ電力演算部(消費電力演算手段)
5 通信ライン
6 表示装置(表示手段)
7 エアコン装置(空調装置)
8 操作パネル
8a,8b 操作ダイヤル
9 走行用バッテリ
10 車両
Claims (6)
- 車両に搭載された走行用バッテリに蓄えられた電力の残量を演算する残量演算手段と、
前記走行用バッテリの消費電力及び前記車両の走行距離に基づき、前記走行用バッテリの単位容量あたりの走行距離を電費として演算する第一演算手段と、
前記残量演算手段で演算された前記残量に基づき、前記第一演算手段で演算された前記電費の変動を抑制した抑制電費を演算する第二演算手段と、
前記残量演算手段で演算された前記電力の残量及び前記第二演算手段で演算された前記抑制電費に基づき、前記車両が前記残量の電力で走行する距離の推定値である航続距離を演算する第三演算手段と、
前記走行用バッテリの電力で作動し、車室内の空調制御を実施する空調装置と、
選択可能な複数の操作位置を有し、前記操作位置に応じて前記空調装置による風量又は温度を変更する操作ダイヤルと、
前記操作ダイヤルの操作位置を検出する操作位置検出手段とを備え、
前記第三演算手段が、前記操作位置検出手段で前記操作位置の変化が検出された場合に、前記残量演算手段で演算された前記電力の残量及び前記第一演算手段で演算された前記電費に基づいて前記航続距離を演算する
ことを特徴とする、車両の航続距離演算装置。 - 前記第二演算手段が、前記残量が大きいほど前記電費の変動の抑制量を増大させる
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の航続距離演算装置。 - 前記複数の操作位置のそれぞれに対応する消費電力に応じた設定電力を記憶する電力記憶手段と、
前記空調装置における前記消費電力を実測する電力実測手段とを備え、
前記第一演算手段が、
前記操作位置検出手段で前記操作位置の変化が検出された場合に、前記電力記憶手段に記憶された前記設定電力と前記車両の走行距離とに基づき前記電費を演算し、
前記操作位置検出手段で前記操作位置の変化が検出されない場合に、前記電力実測手段で実測された前記消費電力と前記車両の走行距離とに基づき前記電費を演算する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両の航続距離演算装置。 - 前記操作ダイヤルが操作された前記操作位置の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、
前記第三演算手段が、前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴に基づき、前記第一演算手段で演算された前記電費及び前記第二演算手段で演算された前記抑制電費のうちの何れか一方を用いて前記航続距離を演算する
ことを特徴とする、請求項3記載の車両の航続距離演算装置。 - 前記第三演算手段が、前記操作位置検出手段で検出された前記操作位置が前々回の操作位置と同一である場合に、前記前々回の操作位置のときと同一の前記抑制電費を用いて前記航続距離を演算する
ことを特徴とする、請求項4記載の車両の航続距離演算装置。 - 前記第三演算手段で演算された前記航続距離を表示する表示手段をさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の車両の航続距離演算装置。
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