JP5509747B2 - モーションコントロール装置 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明は、制御対象を制御する制御演算器に与える指令を生成して出力するモーションコントローラであって、任意の第1の時間幅と正規化された振幅とを有する第1の基本波形と、任意の第2の時間幅と正規化された振幅とを有する第2の基本波形と、を発生する波形発生器と、前記第1の基本波形の振幅に第1の所定ゲインを乗じて出力し、前記第2の基本波形の振幅に第2の所定ゲインを乗じて出力する振幅調整器と、前記第2の所定ゲインを乗じた信号に所定遅延時間を加えて出力する遅延器と、前記第1の所定ゲインを乗じた信号から前記遅延器の出力信号を減算する減算器と、を備え、前記減算器の出力信号を、前記制御対象が振動しない前記指令として前記制御演算器に与えるものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載における前記モーションコントローラが、更に、前記減算器の出力信号を積分する積分器を備え、前記積分器の出力信号を、前記制御対象が振動しない前記指令として前記制御演算器に与えるものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載における前記モーションコントロール装置が、更に、前記減算器の出力信号もしくは前記積分器の出力信号をフィルタ処理するフィルタ演算器を備えるものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1記載における前記波形発生器が、前記第1の基本波形および第2の基本波を矩形波として出力し、かつ、前記矩形波の前記第2の時間幅が前記第1の時間幅より小さくなるように出力し、前記制御対象が任意の単数の周波数で振動しない前記指令を生成するものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1記載における前記波形発生器が、更に、前記指令に基づいて前記第1の基本波形および第2の基本波を矩形波として出力し、かつ、前記矩形波の前記第2の時間幅が前記第1の時間幅より小さくなるように出力し、前記制御対象が任意の複数の周波数で振動しない新たな指令を生成するものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1記載における前記モーションコントロール装置が、前記第1の基本波形の振幅に第1の所定ゲインを乗じた信号を、固有振動角周波数の2次遅れ系の伝達特性を有するシステムに入力した際に発生する第1の正弦波と、前記第2の基本波形の振幅に第2の所定ゲインを乗じた信号を、前記固有振動角周波数の2次遅れ系の伝達特性を有するシステムに入力した際に発生する第2の正弦波と、を算出し、前記第1の正弦波と前記第2の正弦波との振幅および位相が一致するように、前記所定遅延時間および前記第1の所定ゲイン並びに前記第2の所定ゲインを算出するものである。
請求項7に記載の発明は、制御対象を制御する制御演算器に与える指令を生成して出力するモーションコントローラであって、前記制御対象が任意の単数の周波数で振動しない略凹状の前記指令を時間幅と振幅とが異なる2つの信号を所定時間ずらして減算することにより生成して出力し、前記指令を速度指令もしくは前記指令を更に積分した位置指令として前記制御演算器に出力するものである。
また、請求項8に記載の発明は、制御対象を制御する制御演算器に与える指令を生成して出力するモーションコントローラであって、前記制御対象が任意の単数の周波数で振動しない略凹状の前記指令である速度指令に基づいて前記制御対象が任意の複数の周波数で振動しない略凹状の新たな指令を出力し、前記新たな指令を速度指令もしくは前記新たな指令を更に積分した位置指令として前記制御演算器に出力するものである。
また、請求項2に記載の発明によると、時間幅と振幅とが異なる2つの信号を時間Tdだけずらして減算して速度指令を生成し、更に速度指令の積分により位置指令を生成することにより、システムの固有振動角周波数をωnとした場合、指令の払い出し時間がT/2(=π/ωn)よりも早く指令を払い出すことができ、且つ、振動を励起しない指令を生成することができ、更に、機械を高速に位置決めすることができる指令を生成することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、フィルタ処理を施すことでより滑らかで、且つ微分可能な指令を生成することができ、制御演算器で指令を微分してフィードフォワードなどが実現でき、また、振動を励起したくない周波数以外の高い周波数の機械共振なども励起しにくくできる。
また、請求項4に記載の発明によると、単純な矩形波を使用することで、容易に単数の周波数で振動しない指令を生成することができる。
また、請求項5に記載の発明によると、一旦生成した特定の周波数で振動しない指令に基づいて、更に新たな指令を生成することができるため、容易に複数の周波数で振動しない指令を生成することができる。
また、請求項6に記載の発明によると、簡単な演算により所定遅延時間および第1の所定ゲイン並びに第2の所定ゲインを算出することができ、図示しないモーションコントロール装置内の演算器の負荷を軽減することができる。
請求項7に記載の発明は、指令の払い出し時間を短くすることができ、且つ、容易に単数の周波数の振動を励起しない指令を生成することができる。
また、請求項8に記載の発明によると、一旦生成した特定の周波数で振動しない指令に基づいて、更に新たな指令を生成することができるため、容易に複数の周波数で振動しない指令を生成することができる。
ここで、位置制御を行なうシステム構成の場合、xrは位置指令、xは検出位置、vrは速度指令を表し、制御演算器8では位置比例制御、速度比例積分制御、フィードフォワード制御等の制御演算を行い、トルク指令あるいは電流指令を算出する。
なお、xを検出速度、xrを速度指令とした速度制御を行なうシステム構成であってもよい。
振幅調整器3が信号p1を入力してゲインA1を乗じて信号v1を出力し、振幅調整器4が信号p2を入力してゲインA2を乗じて信号を出力する。遅延器6が、振幅調整器4の出力信号を時間Tdだけ遅らせて信号v2を出力する。減算器5が、信号v1から信号v2を減算して信号vrを出力する。積分器7が、信号vrを積分して信号xrを出力する。
固有振動角周波数ωnである2次遅れ系の伝達特性を有するシステムG(s)は、式(1)で表すことができる。また、振幅調整器3が出力する信号v1(時間幅T1の矩形波である信号p1にゲインA1を乗じた信号)のラプラス変換V1は、式(2)で表すことができる。ここで、システムG(s)に信号V1を入力した時の応答h1(t)を、式(1)(2)に基づいて逆ラプラス変換で求めると、式(3)で表すことができる。
なお、システムG(s)は、固有振動角周波数ωnで振動しない指令を作成するための仮定のシステムであり、どのような積分器7、制御演算器8、制御対象9に対しても適用できるように仮定したものである。
なお、応答h1(t)と応答h2(t)が完全に一致するような信号v1(t)と信号v2(t)が作成できれば、これらの減算(v1(t)―v2(t))で求めた信号vr(t)は、固有振動角周波数ωnで最も振動するシステムG(s)に信号v1(t)と信号v2(t)を入力したときに発生する振動が完全に打ち消しあうことになり、信号vr(t)を固有振動角周波数ωnで最も振動するシステムG(s)に入力しても全く振動しないことになる、言い換えると、信号vr(t)が固有振動角周波数ωnの振動を励起しない信号とすることができる。
また、式(3)におけるh1(t)の振幅は式(9)、式(5)におけるh2(t)の振幅は式(10)であり、式(9)=式(10)から式(11)が導出される。
先ず、波形1発生器1が出力する矩形波信号p1の時間幅T1として指令払い出し時間(区間)を設定する。
ここで、指令払い出し時間は、例えば高速位置決めの場合、できるだけ短い時間に設定するのが一般的である。また、機械の許容速度や許容トルク、許容加速度、指令払い出しのサンプリング時間、他の装置との干渉等により設定に制約を受けることもあるため、この場合これらの制約事項を考慮して設定する。
波形2発生器2が出力する矩形波信号p2の時間幅T2の決め方は、時間幅T1より小さければ任意に決定してよく、例えば、時間幅T1の整数分の1などとすればよい。もしくは、時間幅T2の値によって最終的な波形vrが決まるため、波形vrを観測しながらこの時間幅T2を(遅延時間Td、ゲインA1、ゲインA2を算出しながら)調整しても良い。
次に、設定および決定した時間幅T1およびT2を用いて式(8)から遅延時間Tdを算出する。
最後に、式(11)あるいは式(12)と、式(13)あるいは式(15)の2式から、未知変数がゲインA1とゲインA2である連立方程式を解いてゲインA1とゲインA2を決定する。
結果的に、速度指令vrは固有振動角周波数ωnの振動を励起しない指令になるのである。そして、vrを積分した位置指令xrも、固有振動角周波数ωnの振動を励起しない指令となるのである。
ここで、シミュレーションの条件は、制御対象9と制御演算器8とを合わせたシステム全体の振動根が10Hzにある場合であって、また理解を容易にするために、移動距離Dは1とした。
なお、各パラメータ(時間幅T1、時間幅T2、遅延時間Td、ゲインA1、ゲインA2)の値は、上述の通りの式(8)、式(11)もしくは式(12)、式(13)もしくは式(15)を用いて、一連の決定方法で決定した。
波形1発生器1が出力する矩形波信号p1の時間幅T1を0.04s、波形2発生器2が出力する矩形波信号p2の時間幅T2を時間幅T1の1/4の0.01sに設定し、式(8)を用いて遅延時間Td=0.02sを算出し、式(11)もしくは式(12)、式(13)もしくは式(15)を用いて、ゲインA1=884.7331、ゲインA2=904.9822を算出した。
更に、中段の制御対象の位置x応答を見れば、少なくとも0.05s以内に位置決め(移動距離0から1に至る時間)が完了しており、高速位置決めもできていることは明らかである。
本実施例2では、複数のある周波数の振動(例えば、2つの周波数ωnとω1、または3つの周波数ωnとω1とω2)を励起しない指令を生成する場合を説明する。
2つの周波数ωnとω1を励起しない指令を生成する場合、先ず実施例1の要領で固有振動角周波数ωnを励起しない指令を生成し(図4)、次に波形1発生器1および波形2発生器が、図4の指令信号を用いて図5(a)(b)のように、周波数ω1を励起しない指令を生成するための信号p1および信号p2を出力する。時間幅T1およびT2の設定方法は、実施例と同様である。したがって、最終的な信号vrが2つの周波数ωnとω1を励起しない指令に相当する。
同様に、3つの周波数ωnとω1とω2を励起しない指令を生成する場合、上記の場合に引き続いて、波形1発生器1および波形2発生器が、図7の指令信号を用いて、周波数ω2を励起しない指令を生成するための信号p1および信号p2を出力する。時間幅T1およびT2の設定方法は、実施例と同様である。したがって、最終的な信号vrが3つの周波数ωnとω1とω2を励起しない指令に相当する。
なお、波形1発生器1および波形2発生器が信号p1および信号p2を出力した以降の指令の生成方法および各パラメータ(時間幅T1、時間幅T2、遅延時間Td、ゲインA1、ゲインA2)の決定方法は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
ここで、シミュレーションの条件は、制御対象9と制御演算器8を合わせたシステム全体の振動根が16Hzにある場合、且つ、制御対象9が10Hzで振動する台の上に設置されている場合であって、10Hzおよび16Hzの振動も励起したくないとする。また理解を容易にするために、移動距離Dは1とした。
また、この場合、指令の払い出しおよび位置決めは、0.1s以内に完了していることが分かる。
また、システムに複数の振動モードがある場合にも、どの振動も励起せずに制御対象を動作させることが可能な指令を生成することができる。更に、複数の振動の周波数を近い値にすることで、その周波数近傍の周波数を一様に励起しない指令となるので、振動の周波数が若干変化するような制御対象に対して、周波数が変わった場合も振動が発生しにくいロバストな指令を生成することができる。
2 波形2発生器
3 振幅調整器1
4 振幅調整器2
5 減算器
6 遅延器
7 積分器
8 制御演算器
9 制御対象
10 モーションコントローラ
Claims (8)
- 制御対象を制御する制御演算器に与える指令を生成して出力するモーションコントローラであって、
任意の第1の時間幅と正規化された振幅とを有する第1の基本波形と、任意の第2の時間幅と正規化された振幅とを有する第2の基本波形と、を発生する波形発生器と、
前記第1の基本波形の振幅に第1の所定ゲインを乗じて出力し、前記第2の基本波形の振幅に第2の所定ゲインを乗じて出力する振幅調整器と、
前記第2の所定ゲインを乗じた信号に所定遅延時間を加えて出力する遅延器と、
前記第1の所定ゲインを乗じた信号から前記遅延器の出力信号を減算する減算器と、を備え、
前記減算器の出力信号を、前記制御対象が振動しない前記指令として前記制御演算器に与えることを特徴とするモーションコントロール装置。 - 前記モーションコントローラが、更に、前記減算器の出力信号を積分する積分器を備え、
前記積分器の出力信号を、前記制御対象が振動しない前記指令として前記制御演算器に与えることを特徴とする請求項1記載のモーションコントロール装置。 - 前記モーションコントロール装置が、更に、前記減算器の出力信号もしくは前記積分器の出力信号をフィルタ処理するフィルタ演算器を備えることを特徴とする請求項1または2記載のモーションコントロール装置。
- 前記波形発生器が、前記第1の基本波形および第2の基本波を矩形波として出力し、かつ、前記矩形波の前記第2の時間幅が前記第1の時間幅より小さくなるように出力し、
前記制御対象が任意の単数の周波数で振動しない前記指令を生成することを特徴とする請求項1記載のモーションコントロール装置。 - 前記波形発生器が、更に、前記指令に基づいて前記第1の基本波形および第2の基本波を矩形波として出力し、かつ、前記矩形波の前記第2の時間幅が前記第1の時間幅より小さくなるように出力し、
前記制御対象が任意の複数の周波数で振動しない新たな指令を生成することを特徴とする請求項1記載のモーションコントロール装置。 - 前記モーションコントロール装置が、前記第1の基本波形の振幅に第1の所定ゲインを乗じた信号を、固有振動角周波数の2次遅れ系の伝達特性を有するシステムに入力した際に発生する第1の正弦波と、前記第2の基本波形の振幅に第2の所定ゲインを乗じた信号を、前記固有振動角周波数の2次遅れ系の伝達特性を有するシステムに入力した際に発生する第2の正弦波と、を算出し、
前記第1の正弦波と前記第2の正弦波との振幅および位相が一致するように、前記所定遅延時間および前記第1の所定ゲイン並びに前記第2の所定ゲインを算出することを特徴とする請求項1記載のモーションコントロール装置。 - 制御対象を制御する制御演算器に与える指令を生成して出力するモーションコントローラであって、
前記制御対象が任意の単数の周波数で振動しない略凹状の前記指令を時間幅と振幅とが異なる2つの信号を所定時間ずらして減算することにより生成して出力し、前記指令を速度指令もしくは前記指令を更に積分した位置指令として前記制御演算器に出力することを特徴とするモーションコントロール装置。 - 制御対象を制御する制御演算器に与える指令を生成して出力するモーションコントローラであって、
前記制御対象が任意の単数の周波数で振動しない略凹状の前記指令である速度指令に基づいて前記制御対象が任意の複数の周波数で振動しない略凹状の新たな指令を出力し、前記新たな指令を速度指令もしくは前記新たな指令を更に積分した位置指令として前記制御演算器に出力することを特徴とするモーションコントロール装置。
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