JP5508415B2 - ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドまたはフルオロアルキルホスホニルジクロリドの製造方法 - Google Patents

ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドまたはフルオロアルキルホスホニルジクロリドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドまたはフルオロアルキルホスホニルジクロリドの製造方法であって、対応するビス(フルオロアルキル)ホスフィン酸またはフルオロアルキルホスホン酸と塩化剤としてのアリールテトラクロロホスホランとの反応による前記方法に関する。
ホスフィン酸またはホスホン酸と塩化剤であるPClまたはSOClとの反応によるホスフィニルクロリドおよびホスホニルジクロリドの合成方法は、例えば、L.D. Quin, "A Guide to organophosphorus Chemistry", Wiley-Interscience, N.Y., 2000またはD.E.C. Corbridge, "Phosphorus. An Outline of its Chemistry, Biochemistry and Technology (Second Edition)", Elsevier, Amsterdam-Oxford-N.Y., 1980から知られている。これらの方法は、好適には、非フッ素化ホスフィニルクロリドおよび非フッ素化ホスホニルジクロリドの合成のために使用されている。
L.M. Yagupolskii, N.V. Pavlenko, N.V. Ignat'ev, G.I. Matuschecheva, V.Ya. Semenii, Zh. Obsh. Khim. (Russ.), 54 (1984), 2, 334-339には、PClを用いるビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩素化が記載されているが、得られるビス(パーフルオロアルキル)ホスフィニルクロリドおよびPOClはよく似た沸点を有するため、実験が複雑になる。
代わりに、例えば、J.E. Griffith, Spectrochim. Acta, Part A, 24A (1968), 303またはT. Mahmood, J.M. Shreeve, Inorg. Chem., 25 (1986), 3128-3131から知られるように、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィニルクロリドは、NOを用いるビス(パーフルオロアルキル)クロロホスフィンの酸化からも合成することができる。
ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドおよびフルオロアルキルホスホニルジクロリドは、例えばイオン性液体のような新規な物質の合成において、興味深い前駆体である。したがって、これらの前駆体を大量に製造可能にするためには、これらの化合物の合成を、経済的に実施することができる状態および大規模工業規範で利用可能にしておくことが望ましい。
よって、本発明の目的は、これらの条件を満たすビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドまたはフルオロアルキルホスホニルジクロリドの製造方法の改良したものを開発することにある。
驚くべきことに、ビス(フルオロアルキル)ホスフィン酸またはフルオロアルキルホスホン酸との反応における塩化剤としてのアリールテトラクロロホスホランの使用によって、本目的が達成されることが明らかになった。
したがって、本発明は、ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドまたはフルオロアルキルホスホニルジクロリドの製造方法であって、対応するビス(フルオロアルキル)ホスフィン酸またはフルオロアルキルホスホン酸と塩化剤としてのアリールテトラクロロホスホランとの反応による前記方法に関する。
出発物質であるビス(フルオロアルキル)ホスフィン酸およびフルオロアルキルホスホン酸は、例えば、WO 03/087110 and WO 03/087111に記載されるように、市販のトリス(フルオロアルキル)ジフルオロホスホランから始めることにより容易に入手できる。
アリールテトラクロロホスホランArPClのうち、例えば、フェニルテトラクロロホスホランは、市販のジクロロフェニルホスフィン(PhPCl)の塩素との反応から始めることにより調製することができる公知の試薬である。
化学式ArPClにおける略号Arは、例えば、置換または非置換フェニル、ナフチルまたはアンスリルを表す。Arは、特に好ましくは、非置換または置換フェニルを表す。
置換フェニルは、C−〜C12−アルキル、部分フッ素化もしくは過フッ素化C−〜C−アルキルまたはC−〜C−シクロアルキル、NO、F、Cl、Br、非フッ素化、部分フッ素化もしくは過フッ素化C〜C−アルコキシあるいはPClにより置換されるフェニル、例えば、o−、m−またはp−メチルフェニル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−イソブチルフェニル、m−またはp−tert−ブチルフェニル、m−またはp−ニトロフェニル、p−メトキシフェニル、p−エトキシフェニル、m−またはp−(トリフルオロメチル)フェニル、m−またはp−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、2,4,5−トリメチルフェニルあるいは2,4,6−トリメチルフェニルを示す。Arは、極めて特に好ましくは、非置換フェニルである。
アリールテトラクロロホスホランは、好ましくは、フェニルテトラクロロホスホラン、トリルテトラクロロホスホランおよびp−クロロフェニルテトラクロロホスホランから選択される。特には、フェニルテトラクロロホスホランが使われる。
1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルキル基は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチル、ペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピルまたはヘキシルであり、あるいは1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルキル基になるために、例えば、オクチルまたはドデシルによって延ばされる。
非フッ素化C〜C−アルコキシは式OC2p+1のアルコキシ基に相当し、ここでpは1、2、3、4、5または6、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシであり、ここでアルコキシ基のアルキル基は直鎖または分枝状であり得る。過フッ素化アルコキシ基の場合において、上記式中のすべてのH原子が対応してFによって置き換えられる。部分的にFにより置換されるアルコキシ基の場合は、いくつかのHのみがFによって置き換えられる。
したがって、3〜7個の炭素原子を有する非置換の飽和または部分的もしくは完全に不飽和シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはフェニルであり、これらはC−〜C−アルキル基またはPClにより置換されてもよい。
有機溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタンまたは1,6−ジブロモヘキサン中で反応を行うことが可能だが、反応は溶媒無しでも行うことが可能である。反応を、特に好ましくは、溶媒無しで行う。
有機溶媒は、好ましくは乾燥形態である。
一般に、反応を等モル量、すなわち1モルのビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸および1モルのアリールテトラクロロホスホランまたは1モルのフルオロアルキルホスホン酸および2モルのアリールテトラクロロホスホランにて行う。しかし、2倍過剰までのアリールテトラクロロホスホランを使うことも可能である。実施例中で立証されているように、好ましくは10%過剰を使う。
反応を−20℃〜200℃の温度、好ましくは0℃〜150℃の温度で行う。ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドの合成のために、反応を特に好ましくは0℃〜室温の温度で行う。フルオロアルキルホスホニルジクロリドの合成のために、反応を特に好ましくは室温〜80℃の温度で行う。
不活性ガス条件下で反応を行うことは、さらなる利点であり得る。
本発明による方法にとって、ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドの調製のための好適な出発材料は、特には、式I
P(=O)OH I,
式中、
およびRは互いに独立して、直鎖または分枝状アルキル基C2n+1−yをそれぞれ表し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示し、
yは、0、1、2、3、4または5を示し、
ただし、n=1または2のとき、yは0、1または2を示す、
で表される化合物である。
これは、式Ia
P(=O)Cl Ia,
式中、
およびRは互いに独立して、直鎖または分枝状アルキル基C2n+1−yをそれぞれ表し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示し、
yは、0、1、2、3、4または5を示し、
ただし、n=1または2のとき、yは0、1または2を示す、
で表されるビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドを生じる。
置換基RおよびRは同一または異なっていてもよい。2つの置換基RおよびRは、特に好ましくは同一である。
特定の態様では、式IまたはIa中の置換基RおよびRは過フッ素化される、すなわちRおよびRは互いに独立して、直鎖または分枝状フッ素化アルキル基C2n+1をそれぞれ表し、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示す。
式IまたはIa中のRおよびRは互いに独立して、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたは線状もしくは分枝状ノナフルオロブチル、極めて特に好ましくは、ペンタフルオロエチルまたは線状ノナフルオロブチルをそれぞれ表す。
さらに、本発明による方法にとって、式Iaで表されるビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドの調製のための好適な出発材料もまた、式Iで表されるRP(=O)OH酸の塩、すなわち式[RP(=O)OKtm+で表される塩であり、ここでKtm+は無機カチオン、好ましくはNa、K、Ca2+、Mg2+、Zn2+、あるいは有機カチオン、好ましくはアンモニウムまたはホスホニウムであり、m=1または2である。
好ましいアンモニウムカチオンは[NHまたはテトラアルキルアンモニウムカチオンであり、ここでアルキル基は1〜6個の炭素原子を有することができ、直鎖または分枝状であってもよい。アルキル基は、好ましくは同一である。
好ましいホスホニウムカチオンは、アルキル基が1〜6個の炭素原子を有することができ、直鎖または分枝状であってもよいテトラアルキルホスホニウムカチオン、「アリール」が上述のArのための意味うちの一つに相応するテトラアリールホスホニウムカチオン、または「アリール」が上述の意味うちの一つに相応し、「アルキル」が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す直鎖または分枝状であってもよいトリアリールアルキルホスホニウムカチオンである。テトラアルキルホスホニウムカチオンまたはテトラアリールホスホニウムカチオンにおけるアルキル基またはアリール基は、好ましくは同一である。トリアリールアルキルホスホニウムカチオンにおけるアリール基は、好ましくは同一である。
本発明による方法にとって、フルオロアルキルホスホニルジクロリドの調製のための好適な出発物質は、特には、式II
P(=O)(OH) II,
式中、
は直鎖または分枝状アルキル基C2n+1−yを表し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示し、
yは、0、1、2、3、4または5を示し、
ただし、n=1または2のとき、yは0、1または2を示す、
で表される化合物である。
これは、式IIa
P(=O)(Cl) IIa,
式中、
は直鎖または分枝状アルキル基C2n+1−yを表し、
ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示し、
yは、0、1、2、3、4または5を示し、
ただし、n=1または2のとき、yは0、1または2を示す、
で表されるフルオロアルキルホスホニルジクロリドを生じる。
特定の態様では、式IIまたはIIaの置換基Rは過フッ素化される、すなわち各々の場合におけるRは互いに独立して、直鎖または分枝状フッ素化アルキル基C2n+1をそれぞれ表し、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示す。
式IIまたはIIa中のRは、好ましくはトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたは線状もしくは分枝状ノナフルオロブチル、極めて特に好ましくは、ペンタフルオロエチルまたは線状ノナフルオロブチルを表す。
さらに、本発明による方法にとって、式IIaで表されるフルオロアルキルホスホニルジクロリドの調製のための好適な出発材料もまた、式IIで表されるRP(=O)(OH)酸の塩、すなわち式[RP(=O)O2−mKtで表される塩であり、ここでKtは無機カチオン、好ましくはNa、K、Ca2+、Mg2+、Zn2+、あるいは有機カチオン、好ましくはアンモニウムまたはホスホニウムであり、用いるカチオンの電荷によっては、m=1または2である。
好ましいアンモニウムカチオンは[NHまたはテトラアルキルアンモニウムカチオンであり、ここでアルキル基は1〜6個の炭素原子を有することができ、直鎖または分枝状であり得る。アルキル基は、好ましくは同一である。
好ましいホスホニウムカチオンは、アルキル基が1〜6個の炭素原子を有することができ、直鎖または分枝状であり得るテトラアルキルホスホニウムカチオン、「アリール」が上述のArのための意味うちの一つに相応するテトラアリールホスホニウムカチオン、または「アリール」が上述の意味うちの一つに相応し、「アルキル」が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す直鎖または分枝状でもよいトリアリールアルキルホスホニウムカチオンである。テトラアルキルホスホニウムカチオンまたはテトラアリールホスホニウムカチオンにおけるアルキル基またはアリール基は、好ましくは同一である。トリアリールアルキルホスホニウムカチオンにおけるアリール基は、好ましくは同一である。
本発明による方法は、ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドまたはフルオロアルキルホスホニルジクロリドの合成を、従来技術と比較して改善した収率にて可能にする。さらに、この方法は、精製および、アリールテトラクロロホスホランによって生じた副産物の分離が単純化されており、これによって低い機器複雑度のみが必要とされるので、大規模の工業的な合成に適している。例えば、副産物であるCP(O)Clは、文献によると、大気圧で258℃の沸点を有する(Gutmann et al., Monatsh. Chem., 91, 1960, pp. 836-839)。この沸点は、産物のそれとは有意に異なり、副産物の分離が単純化されていることを意味する。
さらなる言及をせずとも、当業者は上述の記載を最も広い範囲において利用し得ることが推測される。したがって、本発明による方法はまた、例えば、2〜12個の炭素原子を有する、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルカルボン酸、またはそれらの塩をアリールテトラクロロホスホランと反応させる、パーフルオロアルキルカルボニルクロリドの調製を促進する。本発明による方法はまた、例えば、3〜10個の炭素原子を有する、好ましくは4〜8個の炭素原子を有するジカルボン酸、またはそれらの塩をアリールテトラクロロホスホランと反応させる、過フッ素化ジカルボン酸ジクロリドの調製を促進する。
したがって、好ましい態様および例は、如何様にも決して限定的ではない記述的な開示に過ぎないとみなされるべきである。
例:
例中に示されない限り、重溶媒中の溶液のNMRスペクトルを、重水素ロックを伴って5mmH/BBブロードバンドプローブを伴うBruker Avance 300分光計において20℃で測定した。様々な核の測定周波数は:1H: 300.13 MHz, 19F: 282.41 MHz および31P: 121.49 MHzである。各スペクトルまたは各データセットについての参考となる方法を別々に記載する。
例1:
a)フェニルテトラクロロホスホランPhPClの合成
PCl + Cl → CPCl
乾燥クロロホルム130ml中のジクロロフェニルホスフィン30.1g(0.168モル)を最初に導入して、塩素ガス11.9g(0.168モル)を約20分間通し、その間は温度を30℃に保持する。その後溶媒を除去し、フェニルテトラクロロホスホランとして同定される固体40.7gを得る。
融点:73〜74℃(文献では73℃:J. Lindner, W. Wirth, B. Zaunbauer, Monatsh. Chem., 70 (1937), 1-19)。

31P NMR (CDCl3;標準: 85% H3PO4),δ, ppm: -42.6 m。
b)ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルクロリドの合成
(CP(O)OH + CPCl → (CP(O)Cl + HCl + CP(O)Cl

フェニルテトラクロロホスホラン20.0g(80mmol)に、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸21.75g(72mmol)を室温で滴加し、混合物を4時間攪拌する。ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルクロリドを蒸留により大気圧で分離して、使用したホスホン酸に基づくと78%の収率に相当するビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィニルクロリド18.1gを得る。

沸点:86〜88℃
19F NMR (純物質; CD3CNフィルム;標準: CCl3F),δ, ppm: -82.0 s (2CF3), -120.1 d,d (2FA), -124.4 d,d (2FB), 2JP,F(A) = 92 Hz, 2JP,F(B) = 100 Hz, 2JF(A),F(B) = 323 Hz。
31P NMR (純物質; CD3CNフィルム;標準: 85% H3PO4),δ, ppm: 20.8 t,t。
例2:ビス(ノナフルオロブチル)ホスフィニルクロリドの合成
(CP(O)OH + CPCl → (CP(O)Cl + HCl + CP(O)Cl

変形態様a) 乾燥クロロホルム3cmに溶解したフェニルテトラクロロホスホラン1.47g(5.9mmol)の溶液に、ビス(ノナフルオロブチル)ホスフィン酸2.49g(5.0mmol)を室温で滴加し、混合物さらに50分間攪拌する。蒸留によりクロロホルムを分離し、ビス(ノナフルオロブチル)ホスフィニルクロリドを大気圧で留去し、使用したホスフィン酸に基づくと63%の収率に相当するビス(ノナフルオロブチル)ホスフィニルクロリド1.62gを得た。
変形態様b) フェニルテトラクロロホスホラン4.6g(18.4mmol)とビス(ノナフルオロブチル)ホスフィン酸7.3g(14.5mmol)との混合物を室温で4時間攪拌した。ガス(HCl)の発生が終わったとき、ノナフルオロブチルホスホニルジクロリドを蒸留により大気圧で分離して、無色の液体物質としてビス(ノナフルオロブチル)ホスフィニルクロリド5.73gを得る。これは、使用したホスフィン酸に基づくと76%の収率に相当する。

沸点:158〜160℃。
19F NMR (純物質; CD3CNフィルム;標準: CCl3F),δ, ppm: -84.3 t,m (2CF3), -115.4 d,d (2FA), -119.7 d,d (2FB), -121.5 m (2CF2), -128.6 m (2CF2), 2JP,F(A) = 95 Hz, 2JP,F(B) = 102 Hz, 2JF(A),F(B) = 328 Hz, 4JF,F = 10 Hz, 4JF,F = 14 Hz。
31P NMR (純物質; CD3CNフィルム;標準: 85% H3PO4),δ, ppm: 21.8 t,t。
例3:ペンタフルオロエチルホスホニルジクロリドの合成
(C)P(O)(OH) + 2CPCl → (C)P(O)Cl + 2HCl + 2CP(O)Cl

フェニルテトラクロロホスホラン19.0g(76mmol)に、ペンタフルオロエチルホスホン酸6.46g(32mmol)を0℃(氷浴)で入念に混合しながら滴加する。その後反応混合物を室温で4時間攪拌する。ペンタフルオロエチルホスホニルジクロリドを蒸留により大気圧で分離し、使用したホスホン酸に基づくと61%の収率に相当する無色の液体物質としてのペンタフルオロエチルホスホニルジクロリド4.64gを得る。

沸点:77〜79℃
19F NMR (純物質; CD3CNフィルム;標準: CCl3F),δ, ppm: -80.9 s (CF3), -122.5 d (CF2), 2JP,F = 110 Hz。
31P NMR (純物質; CD3CNフィルム;標準: 85% H3PO4),δ, ppm: 17.7 t。
例4:ノナフルオロブチルホスホニルジクロリドの合成
(C)P(O)(OH) + 2CPCl → (C)P(O)Cl + 2HCl + 2CP(O)Cl

フェニルテトラクロロホスホラン11.0g(44mmol)とノナフルオロブチルホスホン酸5.5g(18.3mmol)との混合物を40℃(浴温)で2時間攪拌する。ノナフルオロブチルホスホニルジクロリドを蒸留により大気圧で分離し、使用したホスホン酸に基づくと61%の収率に相当する無色の液体物質としてのノナフルオロブチルホスホニルジクロリド3.77gを得る。

沸点:124〜126℃
19F NMR (純物質, CD3CNフィルム;標準: CCl3F),δ, ppm: -83.8 t,m (CF3), -118.5 d (CF2), -121.4 m (CF2), -128.4 m (CF2), 2JP,F = 113 Hz, 4JF,F = 10 Hz, 4JF,F = 14 Hz。
31P NMR (純物質, CD3CNフィルム;標準: 85% H3PO4),δ, ppm: 17.8 t。

Claims (3)

  1. ビス(フルオロアルキル)ホスフィニルクロリドまたはフルオロアルキルホスホニルジクロリドの製造方法であって、対応する
    式I
    P(=O)OH I,
    式中、
    およびR は互いに独立して、直鎖または分枝状アルキル基C 2n+1−y をそれぞれ表し、
    ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示し、
    yは、0、1、2、3、4または5を示し、
    ただし、n=1または2のとき、yは0、1または2を示す、
    で表されるビス(フルオロアルキル)ホスフィン酸または
    式II
    P(=O)(OH) II,
    式中、
    は直鎖または分枝状アルキル基C 2n+1−y を表し、
    ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示し、
    yは、0、1、2、3、4または5を示し、
    ただし、n=1または2のとき、yは0、1または2を示す、
    で表されるフルオロアルキルホスホン酸と塩化剤としてのアリールテトラクロロホスホランとの反応による、前記方法。
  2. 使用するアリールテトラクロロホスホランがフェニルテトラクロロホスホランであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. −20℃〜200℃の間の温度で反応を行なうことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
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