JP5507637B2 - 鋳造用金型およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1の態様に係る鋳造用金型は、先端部にて底部を有する有底穴と、この有底穴の内部に収容されて、その内部に、先端部にて底部を有する冷却水用通路を形成する、金属からなるブッシュと、を有してなる鋳造用金型であって、前記有底穴を形成する表面と、前記ブッシュの外周面とが、亜鉛鋳造に用いられて熱が加えられることによりバインダが蒸発して流動性を失ってしまう、425℃以上の融点を有する熱伝導材料からなる流動性を有する充填材を介して密着した状態で取り付けられていることを特徴とする。
本実施形態では、ダイカスト鋳造用金型としてシリンダーブロック(ウォータージャケット)を作製するものを一具体例として挙げて説明するが、本発明に係るダイカスト鋳造用金型は、シリンダーブロックを作製するものに限定されるものではなく、クランクケース、ミッションケース、トランスファーケース等を作製するものであってもよい。
図3および図7に示すように、有底穴2は、閉塞する一端部にて底部2aを有し、開口する他端部にて段部(拡径部)2bを有するとともに、底部2aと段部2bとの間に穴部2cを有する有底の穴である。
なお、穴部2cは、底部2aの側から段部2bの側にかけて同一の内径を有するように形成されており、底部2aと穴部2c、穴部2cと段部2bは、それぞれ連続するように形成されている。
なお、充填材7は、ブッシュ3の外周面5と、有底穴2の内周面6との間に充填する(塗布する)際には流動性を有し、亜鉛ダイカストやアルミダイカスト等に用いられて熱が加えられることによりバインダ分が蒸発して流動性を失って(固まって)しまうといった性質を有するものである。
また、亜鉛ダイカストやアルミダイカスト等に用いられて熱が加えられることによりバインダ分が蒸発して流動性を失う性質の充填材の他にも、自硬性を有する、例えば、セラミック、エポキシ、アルミナ、マグネシア、グラファイト、ジルコン、ジルコニア等の接着剤や、金属セメント等も充填材として用いることができる。
まず、図3に示す有底穴2の内周面(特に、底部2aおよび穴部2cの内周面)6を、パーツクリーナー等で掃除し、有底穴2の内周面(特に、図3中に符号10で示す穴部2cの入口近傍に位置する内周面)にサビやバリがある場合は、それらを取り除いてきれいにする。
つづいて、図5に示すように、有底穴2の底部2aに、高熱伝導性を有するペースト状の充填材7を適量注入し、有底穴2内にブッシュ3をゆっくりと挿入して、有底穴2の底部2aに注入された充填材7をブッシュ3の底部3a(図7参照)の外周面5aに付着させる。
なお、ここでは、有底穴2の底部2aに充填材7を適量注入するようにしたが、ブッシュ3の外周面5aに充填材7を適量塗布し、有底穴2内にブッシュ3をゆっくりと挿入して、ブッシュ3の外周面5aに塗布された充填材7を有底穴2の底部2aの内周面に付着させるようにしてもよい。
なお、ここでは、有底穴2の穴部2cに充填材7を適量注入するようにしたが、ブッシュ3の外周面5bに充填材7を適量塗布し、ブッシュ3をゆっくりと回転させながら有底穴2に対して何度か抜き差しして、少なくとも胴体部4の外周面(ブッシュ3の外周面5a、およびブッシュ3の外周面5b)全体に充填材7が満遍なく行き渡るようにしてもよい。
さらに、図8および図9に示すように、有底穴2の近くに別の穴12がある場合には、別の穴12から遠い側で点付け溶接し、別の穴12に近い側で点付け溶接しないようにするとさらに好適である。
これにより、製造工程の簡略化を図ることができるとともに、少なくとも亜鉛ダイカストに使用しても冷却効果を維持することができる。
ここで、本実施形態に係るダイカスト鋳造用金型1をマグネシウムダイカストに使用する場合には、655℃以上の融点を有する高熱伝導材料からなる充填材7を使用し、アルミニウムダイカストに使用する場合には、665℃以上の融点を有する高熱伝導材料からなる充填材7を使用すればよい。
これにより、有底穴2を形成するダイカスト鋳造用金型1の表面が酸化し、その表面に錆が発生してしまうことを防止することができ、ダイカスト鋳造用金型1の肉厚方向に亀裂や割れが発生して、冷却水用通路4aを通過する冷却水が外に漏れ出すことを防止することができる。
例えば、上述した実施形態では、亜鉛、マグネシウム、アルミニウムの鋳造を具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の材料を鋳造するものにも適用することができる。この場合、充填材7としては、鋳造する材料の融点+約5℃以上の融点を有するものが選択されることになる。
2 有底穴
2a 底部
2c 穴部
3 ブッシュ
3a 底部
3c 穴部
4 胴体部
4a 冷却水用通路
5 外周面
6 内周面(表面)
7 充填材
Claims (13)
- 先端部にて底部を有する有底穴と、この有底穴の内部に収容されて、その内部に、先端部にて底部を有する冷却水用通路を形成する、金属からなるブッシュと、を有してなる鋳造用金型であって、
前記有底穴を形成する表面と、前記ブッシュの外周面とが、亜鉛鋳造に用いられて熱が加えられることによりバインダが蒸発して流動性を失ってしまう、425℃以上の融点を有する熱伝導材料からなる流動性を有する充填材を介して密着した状態で取り付けられていることを特徴とする鋳造用金型。 - 先端部にて底部を有する有底穴と、この有底穴の内部に収容されて、その内部に、先端部にて底部を有する冷却水用通路を形成する、金属からなるブッシュと、を有してなる鋳造用金型であって、
前記有底穴を形成する表面と、前記ブッシュの外周面とが、マグネシウム鋳造に用いられて熱が加えられることによりバインダが蒸発して流動性を失ってしまう、655℃以上の融点を有する熱伝導材料からなる流動性を有する充填材を介して密着した状態で取り付けられていることを特徴とする鋳造用金型。 - 先端部にて底部を有する有底穴と、この有底穴の内部に収容されて、その内部に、先端部にて底部を有する冷却水用通路を形成する、金属からなるブッシュと、を有してなる鋳造用金型であって、
前記有底穴を形成する表面と、前記ブッシュの外周面とが、アルミニウム鋳造に用いられて熱が加えられることによりバインダが蒸発して流動性を失ってしまう、665℃以上の融点を有する熱伝導材料からなる流動性を有する充填材を介して密着した状態で取り付けられていることを特徴とする鋳造用金型。 - 前記ブッシュと前記有底穴とが、これらの端面における周縁部で点付け溶接により接合されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鋳造用金型。
- 前記有底穴とは異なる他の穴を有しており、
前記ブッシュと前記有底穴とが、前記他の穴から遠い側で点付け溶接されるとともに前記他の穴に近い側では点付け溶接されないことを特徴とする請求項4に記載の鋳造用金型。 - 先端部にて底部を有する有底穴と、この有底穴の内部に収容されて、その内部に、先端部にて底部を有する冷却水用通路を形成する、金属からなるブッシュと、を有してなる鋳造用金型の製造方法であって、
亜鉛鋳造に用いられて熱が加えられることによりバインダが蒸発して流動性を失ってしまう、425℃以上の融点を有する熱伝導材料からなる流動性を有する充填材を、前記有底穴を形成する表面と前記ブッシュの外周面との間に充填するようにしたことを特徴とする鋳造用金型の製造方法。 - 前記充填する工程により前記充填材が充填された前記鋳造用金型を前記亜鉛鋳造に用いて熱を加えることにより、前記バインダを蒸発させて前記充填材の流動性を失わせることを特徴とする請求項6に記載の鋳造用金型の製造方法。
- 先端部にて底部を有する有底穴と、この有底穴の内部に収容されて、その内部に、先端部にて底部を有する冷却水用通路を形成する、金属からなるブッシュと、を有してなる鋳造用金型の製造方法であって、
マグネシウム鋳造に用いられて熱が加えられることによりバインダが蒸発して流動性を失ってしまう、655℃以上の融点を有する熱伝導材料からなる流動性を有する充填材を、前記有底穴を形成する表面と前記ブッシュの外周面との間に充填するようにしたことを特徴とする鋳造用金型の製造方法。 - 前記充填する工程により前記充填材が充填された前記鋳造用金型を前記マグネシウム鋳造に用いて熱を加えることにより、前記バインダを蒸発させて前記充填材の流動性を失わせることを特徴とする請求項8に記載の鋳造用金型の製造方法。
- 先端部にて底部を有する有底穴と、この有底穴の内部に収容されて、その内部に、先端部にて底部を有する冷却水用通路を形成する、金属からなるブッシュと、を有してなる鋳造用金型の製造方法であって、
アルミニウム鋳造に用いられて熱が加えられることによりバインダが蒸発して流動性を失ってしまう、665℃以上の融点を有する熱伝導材料からなる流動性を有する充填材を、前記有底穴を形成する表面と前記ブッシュの外周面との間に充填するようにしたことを特徴とする鋳造用金型の製造方法。 - 前記充填する工程により前記充填材が充填された前記鋳造用金型を前記アルミニウム鋳造に用いて熱を加えることにより、前記バインダを蒸発させて前記充填材の流動性を失わせることを特徴とする請求項10に記載の鋳造用金型の製造方法。
- 前記ブッシュと前記有底穴とを、これらの端面における周縁部で点付け溶接により接合する工程を備えることを特徴とする請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の鋳造用金型の製造方法。
- 前記鋳造用金型は、前記有底穴とは異なる他の穴を有しており、
前記接合する工程は、前記ブッシュと前記有底穴とを、前記他の穴から遠い側で点付け溶接するとともに前記他の穴に近い側では点付け溶接しないことを特徴とする請求項12に記載の鋳造用金型の製造方法。
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