JP5506782B2 - 歯面修復材 - Google Patents

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Description

本発明は、歯面のキズを修復したり、歯面をコーティングする歯面修復材に関し、特に、リン酸カルシウムを含む歯面修復材に関する。
従来から、口腔用組成物に配合されたアパタイトが、蛋白質吸着能を有し、歯垢形成の抑制作用を奏するのみならず、エナメル質表面の再石灰化の進行にも寄与していることが知られている(非特許文献1)。そして、例えば、特許文献1には、流動性が高く歯間や裂溝部等にも容易に入り込む歯磨剤組成物として、球形状のアパタイトを配合したものが提案されている。また、特許文献2においては、歯の表面にアパタイトの被膜を直接形成し、歯表面の凹凸を修復するための口腔用組成物の提案もなされている。
近年、材料の微細化が可能となり、いわゆる「ナノサイズ」の微粒子が多く報告されており、口腔用組成物の分野においても、特許文献3において、粒子径0.05μm以上1.0μm以下のアパタイト及びリン酸三カルシウムを配合することにより、歯牙表面の初期脱灰箇所及び微小なキズを再石灰化可能であると報告されている。
先行技術文献
特開平4−247020号公報 特開平6−24929号公報 特開平9−202717号公報 口腔衛生学会雑誌Vol 38,510〜5111988
しかしながら、実際の生活環境において歯磨剤由来の研磨剤による摩耗、更には、唾液や飲食物の影響による微粒子の脱落は避けられず、期待すべき再石灰化によるアパタイトの皮膜形成やナノサイズの微粒子による歯面への充填と歯面の摩耗は拮抗していると考えられる。さらには再石灰化によるアパタイト皮膜形成には比較的長い時間を必要としているため急性期での効果発現は期待できない。そこで、本発明は、微粒子の脱落を防止しつつ、短時間で効果を発揮可能な歯面修復材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、歯面やキズからの脱落抑制のためには、焼成を施し結晶性を向上させた高結晶性リン酸カルシウムを歯面修復材に配合することで、非晶質のアパタイトを配合した従来の組成物に比べ歯面への吸着性、安定性更には吸着後の耐溶解性が向上することを見出し、更に、微小な大きさを有する高結晶性リン酸カルシウム微粒子を配合することで、微小なキズ等に対して再石灰化のみではなく、当該微粒子が被覆、充填するため歯面修復材に有効であるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
本発明(1)は、リン酸カルシウム微粒子を含む歯面修復材において、
前記リン酸カルシウム微粒子が、高結晶性であり、
平均粒子径が20〜100nmの範囲であることを特徴とする、歯面修復材である。
本発明(2)は、前記リン酸カルシウム微粒子が、
リン酸カルシウムを含有する一次粒子と融着防止剤とを混合する、混合工程と、
上記混合工程によって得られた混合粒子を焼結温度に曝して、当該混合粒子に含まれる一次粒子を高結晶性リン酸カルシウム微粒子にする、焼結工程と、
を含む方法により製造された、前記発明(1)の歯面修復材である。
本発明(3)は、前記混合工程において使用する融着防止剤が、カルシウムイオンを含む、前記発明(2)の歯面修復材である。
本発明(4)は、前記リン酸カルシウム微粒子表面のリン原子に対するカルシウム原子の存在比(Ca/P)が1.6以上である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの歯面修復材である。
前記発明(5)は、前記リン酸カルシウム微粒子の少なくとも一部が、粒子形状である、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの歯面修復材である。
前記発明(6)は、前記リン酸カルシウム微粒子の少なくとも一部が、フルオロアパタイトである、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つの歯面修復材である。
前記発明(7)は、前記リン酸カルシウム微粒子の変動係数が、20%以下である、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つの歯面修復材である。
本発明(1)によれば、高結晶性リン酸カルシウム微粒子が当該平均粒子径を有することにより、歯面への吸着性、安定性更には吸着後の耐溶解性が顕著に向上するため、リン酸カルシウム微粒子が歯の表面に緊密に付着して平滑に覆うことが可能であるという効果を奏する。また、焼結により、リン酸カルシウム微粒子の結晶性が高まっているため、水に溶解しにくい、粒子同士が融着しにくくなるといった効果も奏する。
本発明(2)によれば、リン酸カルシウムが融着防止剤が介在する条件で焼結されているため、リン酸カルシウムが一次粒子のままで保持され、より粒径の小さなリン酸カルシウムとなり、歯の表面に吸着し易くなり、充填効果がより迅速に発揮され易くなるという効果を奏する。
本発明(3)によれば、歯面に対する吸着性が顕著に高まるという効果を奏する。
本発明(4)によれば、リン酸カルシウム微粒子の表面上にプラスチャージを帯びたカルシウム原子の存在比が高くなることにより、マイナスチャージを有する歯面に対して吸着し易くなるという効果を奏する。
本発明(5)によれば、粒子形状の粒子が含まれるため、リン酸カルシウム微粒子が歯の表面に隙間なく、均一に付着しやすくなるという効果を奏する。
本発明(6)によれば、リン酸カルシウム微粒子による歯面充填のみならず、同時に歯の表面をフッ素コートできるという効果を奏する。
本発明(7)は、粒子のバラツキが極めて少なくなるため、歯表面へより均一に付着し易くなるという効果を奏する。
図1は、エナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図2は、製造例1の粒子を塗布した後のエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図3は、製造例2の粒子を塗布した後のエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図4は、製造例3の粒子を塗布した後のエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図5は、比較製造例1の粒子を塗布した後のエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図6は、製造例2の粒子を塗布し、一晩水中に放置した後のエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図7は、製造例3の粒子を塗布し、一晩水中に放置した後のエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図8は、比較製造例1の粒子を塗布し、一晩水中に放置した後のエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図9は、製造例2の粒子を塗布した後のエナメル質表面の初期う歯部分の走査型電子顕微鏡写真である。 図10は、製造例2の粒子を塗布した後のエナメル質表面のクラック部分の走査型電子顕微鏡写真である。 図11は、製造例3の粒子を塗布した後のエナメル質表面のクラック部分の走査型電子顕微鏡写真である。 図12は、象牙質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図13は、製造例1の粒子を塗布した後の象牙質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図14は、製造例2の粒子を塗布した後の象牙質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図15は、製造例3の粒子を塗布した後の象牙質表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図16は、比較製造例1の粒子を塗布した後の象牙質表面の走査型電子顕微鏡写真である。
発明を実施するための形態
本最良形態に係る歯面修復材は、焼結された高結晶性リン酸カルシウム微粒子を含む。その他、任意の構成要件として、各種研磨剤、各種湿潤剤、各種界面活性剤、各種増粘剤、各種防腐剤、各種甘味料、各種香料、水、その他各種薬効成分が含まれていてもよい。これらの中でも、湿潤剤が含まれることが粒子同士の凝集防止の観点から特に好適である。
本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウムは平均粒子径が20〜100nmの範囲(より好適には20〜90nm、更に好適には20〜50nm)であることを特徴とする。平均粒子径を前記範囲とすることにより、本実施の形態に係る歯面修復材は、歯面に存在する微小構造を高結晶性リン酸カルシウム微粒子で被覆、充填し、歯面上に形成される凹部分を修復する。また、歯面を修復することができる結果、知覚過敏を予防・治療の効果を発揮することも可能となる。当該歯面修復材は燐酸カルシウム微粒子が直接、歯面上を被覆したり、キズを充填したりするため、リン酸カルシウムの再石灰化と比較して、短時間で効能効果を発揮することができる。尚、平均粒子径が20nmより小さいと、血流に流されてしまい歯面修復材として十分に機能しない。平均粒子径が100nmより大きいと、粒子同士が凝集し易くなり、当該微粒子が歯の表面に均一に付着しにくくなる。一方、粒子径を100nm以下にすることで、粒子同士が重なりにくくなり歯の表面を緊密に充填できるようになるため、歯の白度や光沢が増すという効果を奏する。更に興味深いことに100nm以下にすることにより、歯の表面部分の中でも、う歯部分に選択的(歯面修復材が十分に多い場合には優先的に)に吸着するようになる。尚、高結晶性リン酸カルシウム微粒子が後述する混合工程を経る方法により焼結されている場合には、前記粒子径の範囲は20〜300nmであってもよい。ただし、粒径が300nmより大きいと、微粒子自体が大きくなり歯の表面に吸着しにくくなる。従って、歯面修復材として十分に機能しない。当該現象が起こる原因は不明であるが、粒子が大きくなると自重が増すため、これにより歯面に吸着してもすぐに剥がれてしまうものと考えられる。尚、平均粒子径及び変動係数は、電子顕微鏡を用い、少なくとも100個以上の一次粒子について粒子径を測定して計算すればよい。変動係数は、20%以下が好適であり、18%以下がより好適であり、15%以下が更に好適である。尚、「変動係数」は、標準偏差÷平均粒子径×100(%)で計算することができる粒子間の粒子径のバラツキを示す値である。高結晶性リン酸カルシウムの形状としては、特に限定されるものではなく、歯面の微細構造に充填可能な形状であればよいが、例えば、粒子状であっても、ロッド状であってもよい。これらの中でも、歯の表面への緊密充填の観点から、粒子状のリン酸カルシウム微粒子が含有されていることが好適である。尚、ロッド状である場合、上記平均粒径及び変動係数は長軸方向の長さを基準に判断するものとする。
ここで、リン酸カルシウムとしては、例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))、フルオロアパタイト(Ca10(POF)、Ca10(POCl等が挙げられる。また、上記高結晶性リン酸カルシウムには、カルシウムイオン及び/又は水酸イオン及び/又はリン酸イオンの一部がストロンチウムイオン、バリウムイオン、ナトリウムイオン、重炭酸イオン、炭酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン等で置換された化合物やリン酸三カルシウム(Ca(PO))、メタリン酸カルシウム(Ca(PO)、オクタリン酸カルシウム(OCP)が含まれていてもよい。上記例示のうち、ハイドロキシアパタイト及び/又は、フルオロアパタイトが好適である。
そして、本最良形態に係るリン酸カルシウム粒子(リン酸カルシウムの粒子)の表面には、Ca10(PO(OH)が存在していることが好適である。このCa10(PO(OH)は、リン酸カルシウムの表面に存在していれば好適であり、リン酸カルシウム全量に対して、0.1重量%程度含まれていればよいが、50重量%以上含まれていることがより好ましい。また、上記リン酸カルシウムには、非晶質のハイドロキシアパタイトを焼結する際に生じる、リン酸三カルシウム等が含まれていてもよい。本実施の形態に係るリン酸カルシウムは、生体組織との親和性及び生体環境における安定性が優れているために、医療用材料、特に歯科用材料として好適である。また、本実施の形態に係るリン酸カルシウムは、生体内で溶解し難い。従って、生体内で長期間、生体活性を維持することができる。
そして、上記高結晶性リン酸カルシウムとして、リン酸カルシウムを焼結(焼成)させた高結晶性リン酸カルシウム焼結体(リン酸カルシウムセラミックスとも呼ばれる)を使用する。上記高結晶性リン酸カルシウム焼結体は、非晶質のリン酸カルシウムを焼結させることにより得られる。具体的には、例えば、後述の方法で焼結させることにより、高結晶性リン酸カルシウム焼結体を得ることができる。上記リン酸カルシウムを焼結させることによって、結晶性を高めることができ、例えば、生体内(歯面微細構造)に導入した場合における溶解性を小さくすることができる。また、焼結された高結晶性リン酸カルシウムとすると、歯面への吸着性、安定性更には吸着後の耐溶解性が向上する。このリン酸カルシウムの結晶性の度合いは、X線回折法(XRD)により、測定することができる。具体的には、各結晶面を示すピークの半値幅が狭ければ狭いほど結晶性が高い。ここで、本発明の高結晶性リン酸カルシウムに係る「高結晶性」とは、d=2.814での半値幅が0.7以下(好適には、0.5以下)であることを意味する。
その他の任意成分として、研磨剤は、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、無水珪酸、珪酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。湿潤剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マルチトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、トレハロース等が挙げられる。これらの湿潤剤の中でも、特に、ポリエチレングリコールが好適である。界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、カルボキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースガム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等が挙げられる。防腐剤としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、パラオキシ安息香酸エステル、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。甘味料としては、特に限定されないが、例えば、サッカリンナトリウム、キシリトール、ステビアエキス等が挙げられる。香料としては、特に限定されないが、メントール、オレンジ油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、ユーカリ油、サリチル酸メチル等が挙げられる。薬効成分としては、特に限定されないが、硝酸カリウム等の神経鈍麻剤や、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素コーティング剤等が挙げられる。
本最良形態に係る歯面修復材は、例えばゲル状、ペースト状といった剤形に調製される。それらどの剤形においても上記の任意成分を含有させることができる。また、ゲル状組成物のゲル化剤として更にはペースト状組成物とする場合の増粘剤として上記のものを含有させることができる。特に緩衝液系の為に高塩濃度となる場合は、非イオン性のポリマー、即ちヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、トラガントガム等を含有させることもできる。
本最良形態に係る歯面修復材において、リン酸カルシウム微粒子の含有量は、全体に対して、0.1〜70重量%が好適であり、1〜50重量%がより好適であり、5〜30重量%が更に好適である。研磨剤の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.1〜50重量%が好適であり、0.2〜30重量%がより好適であり、1〜20重量%が更に好適である。湿潤剤の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.1〜70重量%が好適であり、0.5〜50重量%がより好適であり、1〜40重量%が更に好適である。界面活性剤の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.01〜10重量%が好適であり、0.02〜5重量%がより好適であり、0.05〜2重量%が更に好適である。増粘剤の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.01〜20重量%が好適であり、0.02〜15重量%がより好適であり、0.05%〜10重量%が更に好適である。防腐剤の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.01〜10重量%が好適であり、0.02〜5重量%がより好適であり、0.05〜1重量%が更に好適である。甘味料の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.01〜5重量%が好適であり、0.02〜3重量%がより好適であり、0.05〜1重量%が更に好適である。香料の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.01〜5重量%が好適であり、0.02〜3重量%がより好適であり、0.05〜1重量%が更に好適である。薬効成分の含有量は、その成分により適宜設定可能であるが、例えば、歯面修復材全体に対して、0.01〜20重量%が好適であり、0.02〜10重量%がより好適であり、0.05〜5重量%が更に好適である。
《製造方法》
次に、本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウムの製造方法について説明する。高結晶性リン酸カルシウムは、アモルファスのリン酸カルシウムを焼結させることにより得ることができる。上記リン酸カルシウムは、湿式法や、乾式法、加水分解法、水熱法等の公知の製造方法によって、人工的に製造されたものであってもよく、また、骨、歯等から得られる天然由来のものであってもよい。また、焼結温度の下限値としては、500℃以上がより好ましい。焼結温度が500℃よりも低いと、焼結が十分でない場合がある。一方、焼結温度の上限値としては、1800℃以下がより好ましく、1250℃以下がさらに好ましく、1200℃以下が特に好ましい。焼結温度が1800℃よりも高いと、リン酸カルシウムが分解する場合がある。従って、焼結温度を、上記範囲内とすることにより、生体内で溶解し難い(結晶性が高い)リン酸カルシウムを製造することができる。また、焼結時間としては、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。尚、焼結により、粒子同士が融着してしまう場合もあるが、このような場合には、焼結後の粒子を粉砕して使用することが可能である。
本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウム微粒子は、後述する方法により製造されることが特に好適である。本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウム微粒子の製造方法は、混合工程と、焼結工程とから少なくともなる分散焼成(焼結)法を含む方法であることが好適である。当該分散焼成法によって、得られる微粒子が一次粒子の粒径がそのまま反映されるため、先述した範囲の平均粒子径に調製しやすい。また、本最良形態に係る製造方法は、一次粒子生成工程、除去工程を含んでいてもよい。これらの工程は、例えば、一次粒子生成工程、混合工程、焼結工程、除去工程の順で行われる。
(一次粒子生成工程)
当該一次粒子生成工程は、リン酸カルシウム微粒子を生成することができる工程であれば特に限定されるものではなく、製造する高結晶性リン酸カルシウム微粒子の原料により適宜選択の上、採用すればよい。例えば、常温下において水酸化カルシウムスラリーにリン酸を滴下すれば、リン酸カルシウム(CaP)の粒子が沈殿する。
本最良形態に係るリン酸カルシウム微粒子のように、微細(ナノメートルサイズ)でかつ粒子径が均一な(粒度分布が狭い)一次粒子群を生成する方法については、特に限定されるものではないが、例えば、特開2002−137910号公報記載の方法が利用可能である。つまり、界面活性剤/水/オイル系エマルジョン相にカルシウム溶液及びリン酸溶液を可溶化して混合させ、界面活性剤の曇点以上で反応させることでリン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)微粒子(一次粒子)を合成することができるというものである。また、このとき上記界面活性剤の官能基及び親水性/疎水性比の割合を変えることによりリン酸カルシウム微粒子の大きさを制御することができる。
上記リン酸カルシウム微粒子を製造する原理を簡単に説明すれば、以下の通りである。界面活性剤/水/オイル系エマルジョン相にカルシウム溶液及びリン酸溶液を可溶化して混合させ、反応させてリン酸カルシウム微粒子を合成する方法においては、界面活性剤のミセルの中でリン酸カルシウムの核が成長し、粒子が成長する。このとき反応温度を変化させること(前記界面活性剤が非イオン系の界面活性剤である場合には、界面活性剤の曇点以上とすること)により、ミセルの熱力学的安定性を制御することができる。すなわち界面活性剤の反応温度を上げるということは、界面活性剤のミセルを形成する力を下げるということである。そうすると、ミセルという枠の中で制限を受けていたリン酸カルシウムの粒子成長の駆動力がミセルの枠を維持しようとする駆動力より大きくなると考えられる。よって、そのメカニズムを利用して粒子の形を制御できる。
界面活性剤のミセルを作る場合に、界面活性剤の官能基(親水性部位)及び分子内の親水性/疎水性比が重要であり、この違いによってミセルの安定性、曇点も異なってくる。また界面活性剤の曇点は、種類によって異なる。したがって、界面活性剤の種類を適宜変更することにより、上記界面活性剤の官能基及び親水性/疎水性比の割合を変えることができリン酸カルシウム微粒子の大きさを制御することができる。
尚、上記方法において用いる界面活性剤の種類は、特に限定されず、上記の特開平5−17111号公報に開示された他種類の公知の陰イオン、陽イオン、両性イオン、非イオン性界面活性剤から適宜選択して用いることができる。これらの界面活性剤の中でも、非イオン系の界面活性剤である場合には、界面活性剤の曇点を有するため、前述のメカニズムを利用した結晶の形状制御がし易くなる。より具体的には、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が利用可能である。また陽イオン界面活性剤としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等が利用可能であり、陰イオン界面活性剤としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類等が利用可能であり、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミンオキサイド型等が利用可能である。上記の界面活性剤は1種類又は2種類以上の組み合わせで使用する。このなかで、曇点、溶解性の点から、特にペンタエチレングリコールドデシルエーテルを使用することが望ましい。
また上記方法において利用可能なオイル相としては、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、ドデカン、シクロヘキサン等の炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ブタノール等のアルコール類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等挙げられ、これら溶媒は、使用する界面活性剤に応じて、水の溶解度が小さく、上記界面活性剤のいずれかを溶解するように1種もしくは2種を選択する。この中で、水の溶解度、界面活性剤の溶解性の点から、特にドデカンを使用することが望ましい。この他反応温度、反応時間、原料の添加量等は、一次粒子の組成に応じて適宜最適な条件を選択の上、採用すればよい。ただし反応温度の上限は、水溶液の反応であるから溶液が沸騰しない温度であれることが好ましく、90℃以下が好ましい。
また、本工程には生成した一次粒子を水等で洗浄する工程、遠心分離、ろ過等で一次粒子を回収する工程が含まれていてもよい。
(混合工程)
当該混合工程は、一次粒子と融着防止剤とを混合する工程である。上記一次粒子生成工程によって得られた一次粒子群の粒子間に、あらかじめ融着防止剤を介在させておくことで、その後の焼結工程における一次粒子同士の融着を防止することができるというものである。尚、当該混合工程によって得られた一次粒子と融着防止剤との混合物を「混合粒子」と呼ぶ。
ここで「融着防止剤」としては、一次粒子間の融着を防止できるものであれば特に限定されるものではないが、後の焼結工程の焼結温度において、不揮発性であることが好ましい。焼結温度条件下で不揮発性であるために、焼結工程中に一次粒子間から消失することは無く、一次粒子同士の融着を確実に防止することができるからである。ただし焼結温度において100%の不揮発性を有する必要は無く、焼結工程終了後に一次粒子間に10%以上残存する程度の不揮発性であればよい。また融着防止剤は焼結工程終了後に熱による化学的に分解するものであってもよい。すなわち焼結工程終了後に残存していれば、焼結工程の開始前後で、同一の物質(化合物)である必要は無い。
また融着防止剤が、溶媒、特に水系溶媒に溶解する物質であることが好ましい。上記のごとく融着防止剤として、溶媒に溶解する融着防止剤を用いることによれば、融着防止剤が混在するリン酸カルシウム微粒子を純水等の水系溶媒に懸濁するだけで、融着防止剤(例えば炭酸カルシウム等)を除去することができる。特に水系溶媒に溶解する融着防止剤であれば、融着防止剤を除去する際に有機溶媒を用いる必要が無いため、除去工程に有機溶媒の使用に対応する設備、有機溶媒廃液処理が不要となる。それゆえ、より簡便にリン酸カルシウム微粒子から融着防止剤を除去することができるといえる。上記溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水系溶媒としては、水、エタノール、メタノール等が挙げられ、有機溶媒としては、アセトン、トルエン等が挙げられる。
また上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、シュウ酸塩、エチレンジアミン、ビピリジン、エチレンジアミン四酢酸塩等のキレート化合物を含んでいてもよい。さらに上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、塩化ナトリウム、硝酸アンモニウム、炭酸カリウム等の電解質イオンを含んでいてもよい。
ここで、融着防止剤の溶媒に対する溶解度は、高ければ高いほど除去効率が高くなるために好ましいといえる。係る好ましい溶解度は、溶媒100gに対する溶質の量(g)を溶解度とすると、0.01g以上が好ましく、1g以上がさらに好ましく、10g以上が最も好ましい。
上記融着防止剤の具体例としては、塩化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム等のカルシウム塩(又は錯体)、塩化カリウム、酸化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム等のカリウム塩、塩化ナトリウム、酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム等のナトリウム塩等が挙げられる。
尚、当該混合工程において一次粒子と融着防止剤とを混合させる方法については、特に限定されるものではなく、固体の一次粒子に固体の融着防止剤を混合後、ブレンダーを用いて混合する方法であってもよいし、融着防止剤の溶液中に一次粒子を分散させる方法を行なってもよい。ただし、固体と固体を均一に混合することは困難であるため、一次粒子間に均一かつ確実に融着防止剤を介在させるためには、後者が好ましい方法であるといえる。後者の方法を採用した場合は、一次粒子を分散させた融着防止剤溶液を乾燥させておくことが好ましい。一次粒子と融着防止剤が均一に混合された状態を長期にわたってキープすることができるからである。後述する実施例においても、炭酸カルシウム飽和水溶液にハイドロキシアパタイト(HAp)一次粒子0.5gを分散させ、80℃にて乾燥させて混合粒子を取得している。
また当該混合工程は、側鎖にカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基又はこれらの塩のいずれかを有する高分子化合物を含む溶液と、上記一次粒子とを混合し、金属塩(アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩及び/又は遷移金属塩)をさらに添加する工程であってもよい。上記の工程を採用することによって、高分子化合物がリン酸カルシウム{ハイドロキシアパタイト(HAp)}表面に吸着することで融着防止剤混合過程におけるリン酸カルシウム{ハイドロキシアパタイト(HAp)}同士の接触を確実に防ぐことができ、その後にカルシウム塩を添加することでリン酸カルシウム{ハイドロキシアパタイト(HAp)}表面に確実に融着防止剤を析出させることが可能となる。尚、以下の説明において、側鎖にカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基又はこれらの塩のいずれかを有する高分子化合物のことを、単に「高分子化合物」と称する。
上記高分子化合物は、側鎖にカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基又はこれらの塩のいずれかを有する化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられ、側鎖に硫酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキル硫酸エステル、ポリメタクリル酸アルキル硫酸エステル、ポリスチレン硫酸等が挙げられ、側鎖にスルホン酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキルスルホン酸エステル、ポリメタクリル酸アルキルスルホン酸エステル、ポリスチレンスルホン酸等が挙げられ、側鎖にリン酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキルリン酸エステル、ポリメタクリル酸アルキルリン酸エステル、ポリスチレンリン酸、ポリアクリロイルアミノメチルホスホン酸等が挙げられ、側鎖にホスホン酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキルホスホン酸エステル、ポリメタクリル酸アルキルホスホン酸エステル、ポリスチレンホスホン酸、ポリアクリロイルアミノメチルホスホン酸、ポリビニルアルキルホスホン酸等が挙げられ、側鎖にアミノ基を有する高分子化合物としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリメタクリル酸アミノアルキルエステル、ポリアミノスチレン、ポリペプチド、タンパク質等が挙げられる。尚、当該混合工程においては、上記高分子化合物のいずれか1種類を用いればよいが、複数種類の高分子化合物を混合して用いてもよい。
尚、上記高分子化合物の分子量は特に限定されるものではないが、100g/mol以上1,000,000g/mol以下が好ましく、500g/mol以上500,000g/mol以下がさらに好ましく、1,000g/mol以上300,000g/mol以下が最も好ましい。上記好ましい範囲未満であると一次粒子間に入り込む割合が減少し、一次粒子同士の接触を阻止する割合が低くなる。また上記好ましい範囲を超えると、高分子化合物の溶解度が低くなること、当該高分子化合物を含む溶液の粘度が高くなること等の操作性が悪くなるために好ましくない。
尚、高分子化合物を含む溶液は、水溶液であることが好ましい。リン酸カルシウム{ハイドロキシアパタイト(HAp)}焼結体粒子は強い酸性条件下で溶解してしまうからである。尚、高分子化合物が含まれる水溶液のpHは、5以上14以下でHAp粒子が不溶な条件あれば特に限定されるものではない。当該高分子化合物を含む水溶液は、高分子化合物を蒸留水、イオン交換水等に溶解し、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液でpHを調整すればよい。
また上記水溶液に含まれる高分子化合物の濃度は、0.001%w/v以上50%w/v以下が好ましく、0.005%w/v以上30%w/v以下がさらに好ましく、0.01%w/v以上10%w/v以下が最も好ましい。上記好ましい範囲未満であると一次粒子間に入り込む量が少なく、一次粒子同士の接触を阻止する割合が低くなる。また上記好ましい範囲を超えると、高分子化合物の溶解が困難となること、当該高分子化合物を含む溶液の粘度が高くなる等の操作性が悪くなるために好ましくない。
本発明における混合工程では、上記高分子化合物を含む溶液と、一次粒子とを混合する。かかる混合は、例えば、当該溶液中に一次粒子を投入し、撹拌操作等によって、当該一次粒子を分散させればよい。かかる操作によって、上記本発明に係る高結晶性リン酸カルシウムの製造方法では、一次粒子の表面に上記高分子化合物が吸着し、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基又はこれらの塩のいずれかを当該一次粒子の表面に付加することができる。このとき当該カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はアミノ基は、溶液中でイオンの状態で存在している。
次に高分子化合物を含む溶液と一次粒子とを混合した溶液に、金属塩(アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩及び/又は遷移金属塩)をさらに添加すれば、上記一次粒子の表面に存在するカルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、アミノイオンと、金属イオン(アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオン及び/又は遷移金属イオン)とが結合し、一次粒子の表面にカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩が生じる。かかる金属(アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩が、上記融着防止剤として機能する。従って、金属(アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩がその表面に生じた一次粒子は、いわゆる「混合粒子」である。尚、かかる金属(アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩は沈殿するため、当該沈殿物を回収後、乾燥させて後述する焼結工程に供すればよい。前記乾燥は、例えば減圧条件下(1×10Pa以上1×10−5Pa以下が好ましく、1×10Pa以上1×10−3Pa以下がさらに好ましく、1×10Pa以上1×10−2Pa以下が最も好ましい。)で、加熱(0℃以上200℃以下が好ましく、20℃以上150℃以下がさらに好ましく、40℃以上120℃以下が最も好ましい。)して行なう方法が挙げられる。尚、上記乾燥においては、乾燥温度を下げることができることから減圧条件下が好ましいが、大気圧条件下で行なってもよい。
上記アルカリ金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ酸ナトリウム、酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ酸カリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、硫酸カリウム、チオ硫酸カリウム、セレン酸カリウム、亜硝酸カリウム、硝酸カリウム、リン化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等が利用可能である。
また上記アルカリ土類金属塩としては、例えば塩化マグネシウム、次亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、セレン酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ酸カルシウム、酸化カルシウム、過酸化カルシウム、硫酸カルシウム、チオ硫酸カルシウム、セレン酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が利用可能である。
また上記遷移金属塩としては、例えば塩化亜鉛、次亜塩素酸亜鉛、亜塩素酸亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、硫酸亜鉛、チオ硫酸亜鉛、セレン酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩化鉄、次亜塩素酸鉄、亜塩素酸鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、ヨウ酸鉄、酸化鉄、過酸化鉄、硫酸鉄、チオ硫酸鉄、セレン酸鉄、亜硝酸鉄、硝酸鉄、リン化鉄、炭酸鉄、水酸化鉄等が利用可能である。またニッケル化合物であってもよい。
尚、高分子化合物を含む溶液と一次粒子とを混合した溶液に添加する金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩)は、1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。また金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属)は、固体の状態としてもよいが、均一に添加することができること、及び添加する濃度を制御することが可能である等の理由から水溶液として添加することが好ましい。また添加する金属塩(アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩及び/又は遷移金属塩)の量(濃度)は、一次粒子表面に存在するカルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、アミノイオンと結合して、金属(アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩が生じる条件であれば特に限定されるものではなく、適宜検討の上、決定すればよい。
尚、上記工程によって一次粒子の表面に生じた金属(アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩は、後述する焼結工程において熱分解を受け、金属(アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は遷移金属)の酸化物になる。例えば、一次粒子の表面にポリアクリル酸カルシウムが生じている場合は、焼結工程によって酸化カルシウムとなる。尚、当該金属酸化物(アルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ土類金属酸化物(例えば酸化カルシウム)及び/又は遷移金属酸化物)は水溶性であるため、後述する除去工程によって簡単に除去することが可能である。
尚、ポリアクリル酸ナトリウムは水に可溶なため、本混合工程において融着防止剤としてそのまま利用可能であるが、ポリアクリル酸カルシウムは水に不溶なため、一旦ポリアクリル酸のみを一次粒子表面に吸着させた後に、カルシウム塩等を添加することで、ポリアクリル酸カルシウムを一次粒子表面に析出させるようにすることが好ましい。また、高温(約300℃以上)で一次粒子を仮焼する際に高分子化合物は分解するため、仮焼後も融着防止剤として機能するように、高分子化合物の金属塩を一次粒子の表面に析出させておくことが好ましいといえる。ただし高分子化合物が分解しない(軟化しない)温度において一次粒子を仮焼(熱処理)する場合は、高分子化合物の金属塩を一次粒子の表面に析出させておく必要は特にない。
上記で本最良形態に係るリン酸カルシウム微粒子の製造方法について説明したが、上記混合工程において使用する融着防止剤は、カルシウムイオンを含む融着防止剤であることが好適である。即ち、融着防止剤として、先述のカルシウム塩、又は、先述の高分子化合物とカルシウム塩を使用することが好適である。これにより、焼結工程等におけるリン酸カルシウム微粒子からのカルシウム原子分流出を抑えることができるため、得られるリン酸カルシウム微粒子表面のリン原子に対するカルシウム原子との構成比(Ca/Pの値)が高くなる。これによって、リン酸カルシウム微粒子は、歯面に対して、より吸着し易くなる。当該メカニズムについては明らかではないが、歯の表面はマイナスチャージを有しており、これに対して、プラスチャージのカルシウムが微粒子表面に多く存在するため、当該微粒子の歯面への吸着力が高まると考えられる。尚、本最良形態に係るリン酸カルシウム微粒子表面のリン原子に対するカルシウム原子の存在比(Ca/P)は、1.60以上であることが好適である。当該原子の存在比はXPSにて測定するものとする。
(焼結工程)
当該焼結工程は、上記混合工程によって得られた混合粒子を焼結温度に曝して、当該混合粒子に含まれる一次粒子を高結晶性リン酸カルシウム微粒子(焼結体粒子)にする工程である。一次粒子の粒子間に融着防止剤が介在しているために、焼結工程における高温条件に曝された場合であっても一次粒子同士の融着を防止することができるというものである。
当該焼結工程における焼結温度は、高結晶性リン酸カルシウム微粒子の硬度が所望の硬度となるように適宜設定すればよく、例えば、100℃〜1800℃の範囲内がより好ましく、150℃〜1500℃がさらに好ましく、200℃〜1200℃が最も好ましい。尚、焼結時間については所望する高結晶性リン酸カルシウム微粒子の硬度等を基準に適宜設定すればよい。後述する実施例においては、800℃で1時間焼結を行なっている。
尚、当該焼結工程に用いる装置等は特に限定されるものではなく、製造規模、製造条件等に応じて市販の焼成炉を適宜選択の上、採用すればよい。
(除去工程)
当該除去工程は、焼結工程によって得られた高結晶性リン酸カルシウム微粒子の粒子間に混在する融着防止剤を取り除く工程である。
除去の手段及び手法については、上記混合工程において採用した融着防止剤に応じて適宜採用すればよい。例えば、溶媒溶解性を有する融着防止剤を用いた場合は、高結晶性リン酸カルシウム微粒子を溶解しない溶媒(非溶解性)でかつ融着防止剤を溶解する(溶解性)溶媒を用いることによって、融着防止剤のみを溶解して除去することができる。用いる溶媒としては、上記要件を満たす溶媒であれば特に限定されるものではなく、水系溶媒であっても、有機溶媒であってもよい。例えば、水系溶媒としては、水、エタノール、メタノール等が挙げられ、有機溶媒としては、アセトン、トルエン等が挙げられる。
また上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、シュウ酸塩、エチレンジアミン、ビピリジン、エチレンジアミン四酢酸塩等のキレート化合物が含んでいてもよい。さらに上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、塩化ナトリウム、硝酸アンモニウム、炭酸カリウム等の電解質イオンを含んでいてもよい。
ただし、当該除去工程において有機溶媒の使用に対応する設備が不要となること、有機溶媒廃液処理が不要となること、製造作業の安全性が高いこと、環境に対するリスクが低いこと等の理由から、使用する溶媒は水系溶媒が好ましい。
尚、高結晶性リン酸カルシウム{ハイドロキシアパタイト(HAp)}焼結体粒子の場合は、pH4.0以下の条件において高結晶性リン酸カルシウム{ハイドロキシアパタイト(HAp)}焼結体粒子が溶解するため、pH4.0〜pH12.0で除去工程を行なうことが好ましい。
ところで、溶媒を用いて融着防止剤を除去する場合は、焼結工程によって得られた融着防止剤を含む高結晶性リン酸カルシウムを溶媒に懸濁させた後、ろ過又は遠心分離によって高結晶性リン酸カルシウム粒子のみを回収すればよい。最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウムの製造方法において上記操作は、1回に限られるものではなく2回以上行なってもよい。上記操作を複数回行なうことで、高結晶性リン酸カルシウムの融着防止剤の除去率がさらに向上するものといえる。ただし、製造工程が複雑になること、製造コストが高くなること、高結晶性リン酸カルシウムの回収率が低下すること等の理由により、必要以上に上記操作を行なうことは好ましくない。よって上記操作の回数は、目標とする融着防止剤の除去率を基準に適宜決定すればよい。
尚、本工程には、さらに粒子径を均一にするために分級する工程が含まれていてもよい。
上記溶媒を用いて融着防止剤を除去する方法の他、融着防止剤に磁性体を用いることによって、マグネットを用いて融着防止剤を除去することができる。より具体的には、焼結工程によって得られた融着防止剤を含む高結晶性リン酸カルシウム粒子(粗高結晶性リン酸カルシウム粒子)群を適当な溶媒(水等)に懸濁して分散させた後、当該懸濁液に磁力をかけ、融着防止剤のみをマグネットに吸着させ、吸着しなかった高結晶性リン酸カルシウム粒子のみを回収する。また特に溶媒に懸濁することなく、粗高結晶性リン酸カルシウム粒子をすりつぶして粉体にした後、マグネットによって融防止剤を分離する方法を行なってもよい。ただし、懸濁液にした方が高結晶性リン酸カルシウム粒子と融着防止剤が剥離しやすく、融着防止剤の除去率は高いといえる。尚、この手法を適用することができる高結晶性リン酸カルシウム粒子は、非磁性体又は、弱磁性体であることが好ましい。
《性質》
上記、本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウム粒子の製造方法によって製造された高結晶性リン酸カルシウム粒子は、融着防止剤の作用によって一次粒子同士の融着が防止されているために、その過半数が一次粒子の状態をキープしている。よって、当該高結晶性リン酸カルシウム粒子を溶媒中に懸濁した際には、高結晶性リン酸カルシウム粒子の過半数が単結晶からなる一次粒子又は前記単結晶からなる一次粒子がイオン的相互作用にて集合化した粒子塊(単結晶一次粒子)で分散することができる。
本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウム粒子は、その過半数が単結晶からなる一次粒子、もしくは前記単結晶からなる一次粒子がイオン的相互作用にて集合化した粒子塊(単結晶一次粒子)であり、溶媒中で分散性が良く、二次粒子を形成していないためにその表面積も高い。
ここで高結晶性リン酸カルシウム微粒子が一次粒子で存在しているか否かを評価する方法としては、例えば、電子顕微鏡観察によって粒子径を測定した結果と、動的光散乱法により溶媒に懸濁した状態で粒子径を測定した場合の結果とを対比することにより、両者の結果がほぼ一致すれば、その本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウム粒子のほとんどが一次粒子の状態であると判断することができ、また電子顕微鏡観察による粒子径の測定結果より、動的光散乱法による粒子径測定の結果が大きくなれば、一次粒子同士の融着が起こり二次粒子を形成しているものと判断することができる。
尚、本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウム粒子を分散させる溶媒としては、高結晶性リン酸カルシウム粒子を溶解しないものであれば特に限定されるものではない。例えば、水や、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、トルエン、キシレン、ヘキサン、ドデカン、シクロヘキサン等の炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等挙げられ、これら溶媒は、使用目的に応じて1種もしくは2種を選択して使用すればよい。
動的光散乱法から求めた粒子径分布図をもとに、電子顕微鏡から求めた一次粒子の粒子径とほぼ一致する粒子径である粒子の割合を求めることで、単結晶からなる一次粒子、もしくは前記単結晶からなる一次粒子がイオン的相互作用にて集合化した粒子塊(単結晶一次粒子)の割合が算出可能である。
尚、リン酸カルシウム原料、融着防止剤の種類、焼結の条件等によって異なる場合があるが、上記本最良形態に係る高結晶性リン酸カルシウム粒子の製造方法によれば、少なくとも50%以上が単結晶一次粒子として存在し、より好適な場合には60%以上が単結晶一次粒子として存在し、最も好適な条件下においては70%以上が単結晶一次粒子として存在させることができる。
前記製造方法により得られた、高結晶性リン酸カルシウム微粒子と、先述のゲル化剤や粘結剤と混合し、本最良形態に係る歯面修復材を得ることができる。
(用法用量)
本最良形態に係る歯面修復材は、例えば、医薬部外品や化粧品である練歯磨剤、液状歯磨剤、医療機器である歯面研磨剤等として用いられる。本最良形態に係る歯面修復材は、歯表面の凹部の充填のみならず、エナメル質の表面に対して平滑に吸着するため、光沢性を高めるなど歯の審美のための用途として使用される。更に、本最良形態に係る歯面修復材は、象牙質の表面にも平滑に吸着するため、当該吸着層により象牙質がコーティングされた状態となるため、知覚過敏予防治療剤としても使用されうる。ここで、「知覚過敏症」とは、冷たいものや熱いもの等を食べたときに、歯に、一過性の鋭い痛みを感じる症状を意味する。当該知覚過敏症の原因としては、例えば、歯周炎等により歯肉が痩せること、歯根部の象牙質が露出すること、歯の形成後によるエナメル質の欠損が発生すること等が挙げられる。特に、歯周病等で生じた歯肉の退縮及びエナメル質の磨耗、くさび状欠損により象牙質の象牙細管が開口することにより、冷たい水やブラッシング等の刺激で鋭い痛みを感じる症状を象牙質知覚過敏症という。通常、歯は、エナメル質と象牙質とセメント質とで構成されており、表面に露出しているのがエナメル質であり、象牙質は、上記エナメル質に覆われている。尚、本最良形態に係る歯面修復材は、一日1回以上、一回リン酸カルシウム微粒子を1mg以上、例えば、歯磨剤として歯の表面に適用して使用することにより効能を発揮する。
製造例1(リン酸カルシウム微粒子の製造)
(一次粒子生成工程)
連続オイル相としてドデカン〔CH(CH10CH〕、非イオン性界面活性剤として曇点31℃のペンタエチレングリコールドデシルエーテル〔CH(CH10CHO(CHCHO)CHCHOH〕を用いた。室温において、上記非イオン性界面活性剤0.5gを含有している連続オイル相40mlを調製した。次に、上記で調製した連続オイル相に2.5mol/l水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕分散水溶液10mlを添加し、油中水滴型溶液(W/O溶液)を調製した。上記W/O溶液を攪拌しながら、そこに1.5mol/lリン酸二水素カリウム〔(KHPO)〕溶液を10ml添加した。そして、24時間、室温で撹拌しながら反応させた。次に、得られた反応物を遠心分離により分離洗浄することにより、ハイドロキシアパタイト(HAp)一次粒子群を取得した。
(混合工程)
1.0gのポリアクリル酸ナトリウム(ALDRICH社製、重量平均分子量15,000g/mol)を含むpH12.0の水溶液100mlに、1.0gのハイドロキシアパタイト(HAp)一次粒子群を分散させることで、同粒子表面にポリアクリル酸ナトリウムを吸着させた。この水溶液のpHは株式会社 堀場製作所製pHメータD−24SEを用いて測定した。
次に、上記で調製した分散液に、0.12mol/lの硝酸カルシウム〔Ca(NO〕水溶液100mlを添加することで、同一次粒子表面にポリアクリル酸カルシウムを析出させた。かかるポリアクリル酸カルシウムは、融着防止剤である。その結果として生じた沈殿物を回収し、減圧下(約0.1Pa)80℃にて乾燥させることで、混合粒子を取得した。
(焼結工程)
上記混合粒子をルツボに入れ、焼結温度800℃にて1時間焼結を行なった。この際、ポリアクリル酸カルシウムは熱分解し、酸化カルシウム〔CaO〕となった。焼結工程終了後の酸化カルシウム〔CaO〕の残存率は25%以上であった。
(除去工程)
融着防止剤の水への溶解性を上げるために、50mmol/l硝酸アンモニウム〔NHNO〕水溶液を調製した。次に、上記で調製した水溶液500mlに、上記工程にて得られた焼結体を懸濁し、遠心分離により分離洗浄し、さらに蒸留水に懸濁し、同様に遠心分離により分離洗浄を行なうことによって、融着防止剤および硝酸アンモニウムを除去し、高結晶性ハイドロキシアパタイト(HAp)微粒子を回収した。これらの工程により得られたハイドロキシアパタイト微粒子の詳細な情報については、以下にまとめた。
XRDの半値幅:0.2(d=2.814)
形状:球状
平均粒径(電子顕微鏡より):28nm
変動係数:14%
製造例2
一次粒子生成工程における反応温度を30℃としたことで相違する以外は製造例1と同じ操作を行ない、製造例2のリン酸カルシウム微粒子を得た。以下、当該ハイドロキシアパタイト微粒子の詳細な情報について記載する。
XRDの半値幅:0.2(d=2.814)
形状:球状
平均粒径(電子顕微鏡より):43nm
変動係数:12%
製造例3
一次粒子生成工程における反応温度を80℃とすることで相違する以外は製造例1と同じ操作を行ない、製造例3のハイドロキシアパタイト微粒子を得た。
XRDの半値幅:0.2(d=2.814)
形状:ロッド状
平均粒径(電子顕微鏡より):(長軸方向:長さ)167nm、(短軸方向:太さ)52nm
変動係数:(長軸方向)28%、(短軸方向)30%
製造例4
融着防止剤としてCa(OH)を用いて、硝酸カルシウムの添加を省略した点で相違する以外は製造例2と同じ操作を行ない、製造例4のハイドロキシアパタイト微粒子を得た。
XRDの半値幅:0.2(d=2.814)
形状:球状
平均粒径(電子顕微鏡より):57nm
変動係数:43%
比較製造例1
製造例2と同条件で一次粒子生成工程をのみ行い、その後の混合工程や焼結工程等のその後の工程を行わないで、比較製造例1の未焼成のハイドロキシアパタイト微粒子を得た。以下、当該ハイドロキシアパタイト微粒子の詳細な情報について記載する。
XRDの半値幅:0.8(d=2.814)
形状:粒子形状
平均粒径(電子顕微鏡より):42nm
変動係数:17%
実施例1〜5(歯面修復材)
本発明の歯面修復材は、上記製造例2の高結晶性ハイドロキシアパタイト微粒子をその他の成分とともに情報に従って配合し、医薬部外品や化粧品である練歯磨剤、液状歯磨剤、医療機器である歯面研磨剤等の剤型にすることにより調製される。以下に代表的な組成物を列挙する。ただし、記載の成分は一例であり、構成成分及び配合率は特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
実施例1 練歯磨剤組成物
ハイドロキシアパタイト 30.0%
グリセリン 36.0%
セルロースガム 1.0%
精製水 33.0%
実施例2 練歯磨剤組成物
ハイドロキシアパタイト 50.0%
グリセリン 25.0%
ポリエチレングリコール 4.0%
セルロースガム 1.0%
精製水 20.0%
実施例3 練歯磨剤組成物
ハイドロキシアパタイト 30.0%
水酸化アルミニウム 5.0%
硝酸カリウム 5.0%
グリセリン 25.0%
プロピレングリコール 10.0%
精製水 25.0%
実施例4 練歯磨剤組成物
リン酸三カルシウム 35.0%
ハイドロキシアパタイト 10.0%
グリセリン 30.0%
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.5%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5%
精製水 24.0%
実施例5 練歯磨剤組成物
ハイドロキシアパタイト 30.0%
水酸化アルミニウム 10.0%
無水ケイ酸 5.0%
グリセリン 25.0%
プロピレングリコール 10.0%
精製水 20.0%
(粒子表面組成試験)
製造例2、4により得られたハイドロキシアパタイト微粒子について、ICP及びXPSによるCa/Pの測定結果を示した。更に、製造例2の混合工程、焼結工程前の未焼成のハイドロキシアパタイト微粒子と、従来法により焼結したハイドロキシアパタイト微粒子についても、あわせてデータを取得した。ここで、従来法とは上記の混合工程を経ずに焼結する方法を意味する。ここで、ICPにおいては、粒子を溶解させて測定するため、粒子の表面及び内部の平均組成比が得られる。一方、XPSにおいては、粒子の表面のみを測定するため、粒子表面の平均組成比が得られる。以下の表1にICPの結果を示し、表2にXPSの結果を示す。尚、ICPについては、塩酸にて試料を溶解し、別途カルシウムイオン標準液及びリン酸イオン標準液をもとにそれぞれ検量線を作成し、測定サンプル中に含まれるそれぞれのイオン量を定量した。XPSについては、アルミ製サンプル容器に試料を充填し、十分圧縮した後、以下の条件にてCaおよびPの元素比の測定を行った。
使用装置:PHI社製1600S型
X線光電子分光装置測定条件:X線源MgKα(400W)
分析領域:0.8×2.0mm
これらの結果から、未焼成のアパタイト表面、ならびに従来の焼成法で得られたアパタイト表面は、理論値よりもカルシウムが少なくなっていることがわかった。尚、ハイドロキシアパタイトはイオン交換能に優れるため、粒子は必ずしも理論値にならない。特にハイドロキシアパタイト微粒子の表面ではカルシウムイオンの脱落が顕著である。表2によれば、従来法の焼結では、表面のカルシウムイオンの脱落が顕著であり、一方、製造例2及び製造例4のハイドロキシアパタイト微粒子では、表面のカルシウムイオン脱落は抑制されている。よって、従来法に係る焼結ハイドロキシアパタイトに比べれば、表面にカルシウムイオンが多くの割合で存在するため、より多くの正電荷を有する粒子が得られていることがわかった。後の剥離試験からも、未焼結粒子よりも製造例2の粒子のほうが剥離しにくいことがわかる。
(エナメル質への塗布試験)
試験条件:ヒト抜去歯から1歯につき3個のブロックに分割し、そして、上記歯のエナメル質表面を♯4000の研磨材を用いて研磨した。さらに、0.5molEDTAの溶液を塗布した後、60秒間放置し、スメアー層を除去することにより被検歯とし、走査型電子顕微鏡にて観察を行った。エナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真の図面を図1に示す。なお、走査型電子顕微鏡で観察する際には、金蒸着を行った後で観察を行っている。図1に示すように、平滑であることが分かる。
次に、上記被検歯に、製造例1〜3、比較製造例1の各種ハイドロキシアパタイト微粒子20mgと精製水80mgを混合した試験用製剤を露出面に擦りながら20秒間塗布した後、24時間自然乾燥した後、金蒸着を施し、走査型電子顕微鏡にて観察を行った。このときのエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真の図面を図2〜5に示す。ここで、図2は、平均粒子径28nm(製造例1)、図3は平均粒子径43nm(製造例2)、図4は平均粒子径167nm(製造例3)のハイドロキシアパタイト微粒子の試験結果を示す。尚、図5は、未焼成の42nmのハイドロキシアパタイト微粒子(比較製造例1)の試験結果である。平均粒子径28nmおよび43nmのハイドロキシアパタイトを試験用製剤に選択した場合は、比較的平滑に吸着している様子が確認できた。一方で、平均粒径167nmのハイドロキシアパタイトを試験用製剤に選択した場合は、ハイドロキシアパタイトの凝集塊が認められ、粒子が吸着された歯面は凹凸が生じている様子が確認できた。未焼成のアパタイトでは、特に大きな凝集が認められた。尚、肉眼でブロックのエナメル質部分を観察すると、特に、平均粒径28nmや、平均粒径43nmのハイドロキシアパタイト微粒子を適用した歯は、白く、高い光沢性を有していた。平均粒径167nmのものを適用した歯は、白さを有していたが光沢性は低かった。未焼結のものを適用した歯は、光沢を有していなかった。
(剥離試験)
上記の製造例2、3及び比較製造例1について、一晩水の中に浸した場合の剥離試験を行った。上記のエナメル質への塗布試験と同様の条件で、エナメル質表面上に各種ハイドロキシアパタイト微粒子を塗布し、24時間自然乾燥後、試験歯を水の中に浸漬し、一晩放置した。その後、更に24時間自然乾燥し、金蒸着を施し、走査型電子顕微鏡にて観察を行った。このときのエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真の図面を図6〜8に示す。ここで、図6は、製造例2のハイドロキシアパタイト微粒子であり、図7は製造例3のハイドロキシアパタイト微粒子であり、図8は比較製造例1のハイドロキシアパタイト微粒子の試験結果を示す。図6及び図7によれば、一晩水中に放置したにも関わらず、歯の表面からハイドロキシアパタイト微粒子がほとんど剥離していない様子が観察された。一方、図8によれば、粒子の一部が剥離している様子が観察された。
(歯面微小なキズへの充填試験)
試験条件:ヒト抜去歯から1歯につき3個のブロックに分割し、そして、上記歯のエナメル質表面を♯4000の研磨材を用いて研磨した。さらに、0.5molEDTAの溶液を塗布した後、60秒間放置し、スメアー層を除去することにより被検歯とした。
次に、上記被検歯に、製造例2及び3の各種ハイドロキシアパタイト微粒子20mgと精製水80mgを混合した試験用製剤を露出面に擦りながら20秒間塗布した後、24時間自然乾燥した後、金蒸着を施し、走査型電子顕微鏡にて観察を行った。このときのエナメル質表面の走査型電子顕微鏡写真の図面を図9〜11に示す。ここで、図9及び図10は、平均粒子径43nm(製造例2)、図11は平均粒径167nm(製造例3)のハイドロキシアパタイト微粒子の試験結果を示す。図9において、43nmのハイドロキシアパタイト微粒子がエナメル質表面上に存在した初期う歯の部分を選択的に充填している様子が観察された。また、図10に示すように、43nmのハイドロキシアパタイト微粒子を用いた場合には、歯の表面のクラック部分を充填している様子が観察できた。一方で、平均粒径167nmのハイドロキシアパタイトを試験用製剤に選択した場合は、ハイドロキシアパタイトの凝集塊が認められ、クラック部分にはほとんど充填されていない様子が確認できた(図11)。
(象牙質への塗布試験)
試験条件:ヒト抜去歯から1歯につき3個のブロックに分割し、そして、上記歯のエナメル質表面を削除して、象牙質を露出させその後、♯4000の研磨材を用いて、平滑な象牙質表面になるように研磨した。さらに、0.5molEDTAの溶液を塗布した後、60秒間放置し、スメアー層を除去することにより被検歯とし、走査型電子顕微鏡にて観察を行った。象牙質表面の走査型電子顕微鏡写真の図面を図12に示す。なお、走査型電子顕微鏡で観察する際には、金蒸着を行った後で観察を行っている。図12に示すように、露出面には、象牙細管が開口されていることが分かる。そして、象牙細管の直径は、0.9μm程度であることがわかる。
次に、上記被検歯に、製造例1〜3、比較製造例1の各種ハイドロキシアパタイト微粒子20mgと精製水80mgを混合した試験用製剤を露出面に擦りながら20秒間塗布した後、24時間自然乾燥した後、金蒸着を施し、走査型電子顕微鏡にて観察を行った。このときの象牙質表面の走査型電子顕微鏡写真の図面を図13〜16に示す。ここで、図13は、平均粒子径28nm(製造例1)、図14は平均粒子径43nm(製造例2)、図15は平均粒子径167nm(製造例3)のハイドロキシアパタイト微粒子の試験結果を示す。尚、図16は、未焼成の42nmのハイドロキシアパタイト微粒子(比較製造例1)の試験結果である。平均粒子径28nmのハイドロキシアパタイトを試験用製剤に選択した場合は、若干の凹凸が認められるものの比較的平滑に歯面へ吸着している様子が確認できた。また、平均粒子径43nmのハイドロキシアパタイトを試験用製剤に選択した場合は、平滑にかつ均一に粒子が歯面へ吸着している様子が確認できた。一方で、平均粒径167nmのハイドロキシアパタイトを試験用製剤に選択した場合は、略均一に歯面に吸着しているが、一部でハイドロキシアパタイトの凝集塊が認められ、粒子が吸着された歯面は若干の凹凸が生じている様子が確認できた。未焼成のアパタイトでは、特に大きな凝集が認められた。

Claims (9)

  1. リン酸カルシウム微粒子、研磨剤、湿潤剤、界面活性剤、及び増粘剤を含む歯面修復材において、
    前記リン酸カルシウム微粒子
    非晶質のリン酸カルシウムを焼結させることにより得られ、歯面への吸着性及び安定性を増すとともに、吸着後の耐溶解性を増すために、格子面間隔d=2.814での半値幅が0.7以下の高結晶であって、
    血流に流されにくくなり、且つ、歯面のうちの凹部分に、選択的に、または、前記歯面修復材が十分に多い場合には優先的に、吸着するために、平均粒子径が20〜100nmの範囲であり、
    歯面へ吸着し、歯面からの脱落が抑制されるように、歯面のマイナスチャージと、前記リン酸カルシウム微粒子のカルシウムイオン部のプラスチャージとが引き付け合うことを特徴とする、歯面修復材。
  2. 歯面のうちの前記凹部分は、う歯部分、歯面のクラック部分、または、歯のエナメル質表面の凹凸部分の凹部分であることを特徴とする、請求項1に記載の歯面修復材。
  3. 前記歯面修復材と水とが混合されて、歯面に擦りながら塗布されることにより、歯面の凹凸を修復する又は平滑にするように用いられることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の歯面修復材。
  4. 前記平均粒子径が100nmより小さいリン酸カルシウム微粒子を、前記リン酸カルシウム微粒子同士が凝集しないで、歯のエナメル質の表面に緊密に充填し、歯のエナメル質の表面が平滑になり、歯の白度や光沢が増すように用いられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の歯面修復材。
  5. 前記リン酸カルシウム微粒子は、
    非晶質のリン酸カルシウムを焼結させることにより得られ、ゲル状、ペースト状に剤形され、
    形状が歯面のうちの前記凹部分に充填可能な粒子状又はロッド状であって、
    前記リン酸カルシウム微粒子の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.1〜70重量%であり、湿潤剤の含有量は、歯面修復材全体に対して、0.1〜70重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の歯面修復材。
  6. 前記リン酸カルシウム微粒子が、
    リン酸カルシウムを含有する一次粒子と融着防止剤とを混合する、混合工程と、
    上記混合工程によって得られた混合粒子を焼結温度に曝して、当該混合粒子に含まれる一次粒子を高結晶性リン酸カルシウム微粒子にする、焼結工程と、
    を含む方法により製造された、請求項1〜5のいずれか一項記載の歯面修復材。
  7. 前記混合工程において使用する融着防止剤が、カルシウムイオンを含む、請求項6記載の歯面修復材。
  8. 前記リン酸カルシウム微粒子表面のリン原子に対するカルシウム原子の存在比(Ca/P)が1.6以上である、請求項1〜7のいずれか一項記載の歯面修復材。
  9. 前記リン酸カルシウム微粒子の少なくとも一部が、粒子形状である、請求項1〜8のいずれか一項記載の歯面修復材。
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