JP5506510B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、トレッド部に横溝を形成した空気入りタイヤに関し、特に、トレッド踏面への水膜浸入を抑制することによりウェット性能の向上を図った空気入りタイヤに関する。
湿潤路面走行時におけるトレッド踏面への水膜浸入は、湿潤路面での摩擦係数(以下、「WETμ」と称する。)を著しく低下させる要因となるため、従来、トレッド踏面への水膜浸入を解消すべく、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と該主溝に開口する多数の細溝とで区画されたブロックの踏面にタイヤ周方向の前後で段差を設けるとともに、段差の低い側における上記細溝の壁面を凹状の屈曲面に形成し、該屈曲面に対向する反対側の壁面との間に拡幅空間を設ける技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−51453号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、タイヤ周方向の前後におけるブロックの踏面に段差を設けることで初期性能は維持できるものの、摩耗により段差が消滅すると細溝が通常のサイプとしての機能しか果たさなくなるため長期的なWETμの向上を望むことができない。
それゆえこの発明は、従来にはない新規な手法によりトレッド踏面への水膜浸入を防止して、長期に亘って良好なウェット性能を発揮する空気入りタイヤを提供することをその目的とする。
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジを形成する横溝を設け、下記式(1)から算出される幅方向エッジの接地面内密度Lを、2.89×10−4≦L≦6.01×10−4の範囲内とし、上記横溝の溝幅を1mm以上とし
前記トレッド部に、タイヤ周方向に沿って延びるとともに前記横溝と交わる縦溝を設けてブロックを形成し、
前記ブロックの踏面に、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジを形成する部分を含みかつ制動時のブロック変形により該幅方向エッジに隣接する部分の溝幅が1mm以上となる幅方向溝を設けたことを特徴とするものである。
L=(Et/S)×(1/E)・・・(1)
ただし、Lは幅方向エッジの接地面内密度(1/mm)であり、Etは接地面内にある幅方向エッジ長さの総和(mm)であり、Sはトレッド部の接地面積(mm)であり、Eは一ピッチ当たりの幅方向エッジ長さの総和(mm)である。
なお、幅方向溝によって形成される幅方向エッジは、上記式(1)により幅方向エッジの接地面内密度Lを算出するにあたり考慮される。また、ここでいう「制動時のブロック変形」とは、空気入りタイヤにJATMAYEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷した状態にて、ブロックに最大静止摩擦力を超えた力を付与したときの、すなわち全滑り時のブロック変形の意味である。
なお、ここでいう「接地面」とは、空気入りタイヤをJATMA YEAR BOOKに規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%の内圧を充填し、最大負荷能力を負荷したときのものである。使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
この発明による作用を発明に到った経緯とともに説明する。発明者は、エッジによって路面とタイヤとの間に介在する水膜を除去することについて詳細な検討を行ったところ、力(例えばブレーキングフォース)の入側のエッジ近傍の巻き込みが大きくなると、すなわち、エッジ直後の非接地領域が大きくなると、エッジに荷重が集中しエッジの接地圧(以下、「エッジ圧」と称する。)が高くなり、その結果、当該エッジによって水膜が切られて接地面内に水が浸入し難くなるとの知見を得ることができた。以下、このようなエッジによる水膜切りの効果をワイパー効果と称する。しかしながら、かかる知見に基づき発明者が単純にエッジを増やして実験を行ったところ期待通りのWETμが得られない場合があった。つまり、接地面内のエッジ量を増加させる手法としては、(A)エッジ間のピッチを小さくして周方向におけるエッジの数を増やす手法、(B)各エッジに傾斜を設けてエッジ長さを増やす手法があるが、上記(A)の場合、エッジ間のピッチを小さくしたことに伴いエッジ間の陸部が相対的に小さくなり、ワイパー効果を発揮させるのに適切なエッジ圧を確保することが困難となる。一方、上記(B)の場合、エッジの傾斜角度の大きさによっては、力の入側エッジの巻き込みが小さくなりエッジ圧が低下してしまう。そこで発明者は、鋭意検討を重ねた結果、最適エッジ量の規定を行うとともに、エッジの角度の適値を規定することで、接地面内でのエッジ数を確保しながら、エッジ圧の低下を抑えてワイパー効果を確実に発揮することができ、しかも幅方向エッジを形成する横溝の溝幅を1mm以上とすることにより、エッジで掻き取った水の行き場を確保して排水性を向上させることができることを新たに見出し、この発明を完成するに到った。
したがって、この発明の空気入りタイヤによれば、幅方向エッジの接地面内密度でエッジ量を確保することでワイパー効果を発揮する領域を増大することができるとともに、幅方向エッジの傾斜角度を適値とすることでエッジ圧を高めることができるので、ワイパー効果を確実に高めてトレッド踏面への水膜浸入を防止することができる。また、ワイパー効果は幅方向エッジを形成する横溝が存在する限り続くので、上記公知技術と比べて長期間に亘って良好なウェット性能がもたらされる。また、この発明によれば、幅方向エッジを形成する横溝の溝幅を1mm以上としたことにより、エッジで掻き取った水の行き場を確保して排水性を向上させることができ、WETμを更に向上させることができる。
なお、この発明の空気入りタイヤにあっては、上記横溝につながり、かつ、溝幅が1mm未満である細溝を設けることが好ましい。
しかも、この発明の空気入りタイヤにあっては、上記ブロックが配置されている領域のタイヤ幅方向の一端から他端までの距離をW(mm)とし、上記ブロックが配置されている領域における基準ピッチ長をPL(mm)とし、上記Wと上記PLとで区画される基準区域内に存在する上記ブロックの個数をa(個)とし、上記基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、下記式(2)により算出されるブロック個数密度Dが0.003〜0.04(個/mm)の範囲内にある、ことが好ましい。
D=a/{PL×W×(1−N/100)}・・・(2)
この発明によれば、トレッド踏面への水膜浸入を防止して、長期に亘って良好なウェット性能を発揮する空気入りタイヤを提供することができる。また、エッジで掻き取った水の排水性を向上させることができ、WETμを更に向上させることができる。
この発明にしたがう一実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す部分展開図である。 (a)はトレッド部の接地面において粘着領域とすべり領域を示した側面図であり、(b)は図1の空気入りタイヤを用いた場合の水膜厚さおよびWETμの変化を示した図である。 エッジの傾斜角度とエッジ圧の関係を示した図である。 比較例の空気入りタイヤを用いた場合の水膜厚さおよびWETμの変化を示した図である。 比較例の空気入りタイヤを用いた場合の水膜厚さおよびWETμの変化を示した図である。 この発明に適用可能な他のブロック踏面形状の一例を表す、トレッド部の拡大図である。 幅方向エッジ密度とWETμとの関係を示す図である。 空気入りタイヤのトレッドパターンを示す部分展開図である。 (a)は、この発明にしたがう他の実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す部分展開図であり、(b)は図9(a)中のブロックの一つを全滑りの状態で示した拡大図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、この発明に適用可能な他のブロック踏面形状の一例を表す、トレッド部の拡大図である。 比較例としての空気入りタイヤのトレッドパターンを示す部分展開図である。 (a)は、比較例としての空気入りタイヤのトレッドパターンを示す部分展開図であり、(b)は図12(a)中のブロックの一つを全滑りの状態で示した拡大図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明にしたがう空気入りタイヤの代表的なトレッドパターンを示し、図中1はトレッド部、2は縦溝、3は横溝、4はブロック、5はブロック列、Cはタイヤ赤道面である。この空気入りタイヤは、トレッド部1に、タイヤ周方向に沿って延びる複数本、ここでは6本の縦溝2と、これらの縦溝2を横切って延びる多数の横溝3とで形成したブロック4を有する。
横溝3は、タイヤ幅方向に沿って直線状に延びており、それによって全てのブロック4に、横溝3に隣接しかつタイヤ幅方向に対する傾斜角度が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジ6が形成されている。なお、横溝3を屈曲または湾曲させながらタイヤ幅方向に延在させることにより、一部のブロック4に幅方向エッジ6を形成したり、ブロック4の中の一部分に幅方向エッジ6を形成したりしても良い。幅方向エッジ6は、下記式(1)から算出される幅方向エッジ6の接地面内密度Lが、2.89×10−4以上6.01×10−4以下となるように設けられている。
L=(Et/S)×(1/E)・・・(1)
ただし、Lは幅方向エッジの接地面内密度(1/mm)であり、Etは接地面内にある幅方向エッジ長の総和(mm)であり、Sはトレッド部の接地面積(mm)であり、Eは一ピッチ当たりの幅方向エッジ長の総和(mm)である。ここで「一ピッチ」とは、タイヤ周方向に隣り合う横溝間の距離である。幅方向エッジの接地面内密度Lは、接地面内にある幅方向エッジ長の総和を接地面積で規格化し一ピッチあたりの幅方向エッチ長で割ることで周方向における幅方向エッジ6の密度を表すものである。
また、幅方向エッジ6に隣接する横溝3の溝幅Wは1mm以上である。特に横溝3は、図1に示すように、車両への装着姿勢にて回転方向が指定されたタイヤでは、ワイパー効果に寄与する幅方向エッジ6の蹴り出し側に配置することが好ましい。
かかる実施形態の空気入りタイヤによれば、幅方向エッジ6の接地面内密度Lでエッジ量を確保することでワイパー効果を発揮する領域を増大することができるとともに、幅方向エッジ6の傾斜角度を適値とすることでエッジ圧を高めることができるので、ワイパー効果を確実に発揮し得てブロック踏面への水膜浸入を防止することができる。すなわち、図2に示すように、すべり領域(接地して次第に摩擦力が増大し、最大静止摩擦力に達した後の領域)において、ワイパー効果により周方向で水膜が段階的に薄くなり、これに伴いWETμが増大する。また、ワイパー効果は幅方向エッジ6を形成する横溝3が存在する限り続くので、前記公知技術と比べて長期間に亘って良好なウェット性能がもたらされる。また、幅方向エッジを形成する横溝の溝幅を1mm以上としたことにより、エッジで掻き取った水の行き場を確保して排水性を向上させることができ、WETμを更に向上させることができる。
以下に、この発明を完成するまでに至った経緯について作用の説明とともに図面を参照して説明する。
発明者は、ブロック4のエッジ6によって路面とタイヤとの間に介在する水膜を除去することについて詳細な検討を行ったところ、力(例えばブレーキングフォース)の入側のエッジ近傍の巻き込みが大きくなると(すなわち、エッジ直後の非接地領域が大きくなると)エッジに荷重が集中しエッジ圧が高くなり、その結果、当該エッジによって水膜が切られて(ワイピングされて)接地面内に水が浸入し難くなるという知見を得たことについては既に前述した通りである。
そこで、発明者は、このようなワイパー効果を考慮した上で、ブロック4の周縁で形成されるエッジの、タイヤ幅方向に対する傾斜角度を−10°以上10°以下とすることによって、幅方向エッジ6がワイパー効果を確実に発揮できるようし、また幅方向エッジ6の接地面内密度でエッジ量を確保することによって、ワイパー効果を発揮する領域を増大し、さらに、幅方向エッジ6の傾斜角度を適値とすることによって、エッジ圧を高めて、ブロック踏面への水膜浸入を有効に防止することができることを見出した。さらに発明者は、幅方向エッジの特に蹴り出し側に溝幅が1mm以上となる横溝を設けることでワイパー効果を更に高めることができることを見出し、この発明を完成することに到ったのである。
なお、幅方向エッジ6をタイヤ幅方向に対して0°を含む−10°以上10°以下とする理由は、エッジの傾斜角度(横溝の傾斜角度)とエッジ圧(平均値)との関係を図3に示すように、エッジの傾斜角度が10°を超えると急激にエッジ圧が低下し、エッジによる充分なワイパー効果が発揮されなくなるからである。
また、幅方向エッジ6の接地面内密度Lを2.89×10−4以上6.01×10−4以下とする理由は、幅方向エッジ6の接地面内密度Lが2.89×10−4未満であると、図4に比較として示すように、周方向に亘ってエッジの数が少なくなるため水膜除去が不充分となり期待するWETμが得られなくなるからである。一方で、幅方向エッジの接地面内密度Lが6.01×10−4を超えるとブロック4の大きさが小さくなるのに伴いブロック剛性が低下し、ブロック4の座屈変形などの影響でエッジ圧が不足し、図5に比較として示すように、水膜除去が不充分となり期待するWETμが得られなくなるからである。この結果は、図7に示すように、幅方向エッジ密度を各種に異ならせてWETμを測定した実験結果からも明らかである。
さらに、幅方向エッジに隣接する横溝の溝幅を1mm以上とする理由は、横溝の溝幅が1mm未満の場合は、接地面内で横溝3が閉塞してワイパー効果によって掻き取った水を排水できないおそれがあるからである。
なお上記実施形態では、幅方向エッジ6はブロック4の全幅に一致して設けているが、幅方向エッジ6は、ブロック4の幅方向中央位置からその両側にそれぞれブロックの幅方向長さWの25%以上の領域に設けることが好ましい。このようにブロック4の幅方向中央領域に幅方向エッジ6を設ける理由は、ブロック4の幅方向中央領域にエッジ圧が集中しやすいからである。
また、上記実施形態では、ブロック4は矩形に形成されているが五角形以上の多角形とすることが好ましく、図6にトレッド部の一部を拡大して示すように八角形とすることが好ましい。これによれば、トレッド部全体の溝容積(ネガティブ率)を確保しつつもブロック4を密集して配置することができるので、後述するブロック4の密集配置による効果を高めることができる。またこのようにブロック4の踏面形状を八角形とすることにより、ブロック4の角部を鈍角化して剛性を確保することができるとともに、タイヤ周方向、タイヤ幅方向およびこれらの両方向に傾斜する方向に対して万遍なくエッジを配置することができ、すなわちトラクション、ブレーキおよびコーナリング時に有効に機能するエッジを効率的に配置することができ、ウェット性能を全体的に向上させることができる。
さらに、この発明では、下記式(2)により算出されるブロック個数密度Dを0.003〜0.04(個/mm)の範囲内とすることが好ましい。
D=a/{PL×W×(1−N/100)}・・・(2)
ただし、図1に示すように、W(mm)はブロックが配置されている領域G(ブロック配設領域G)のタイヤ幅方向の一端から他端までの距離であり、PL(mm)はブロック配設領域Gにおける基準ピッチ長(タイヤ周方向に隣接する横溝3、3間の距離)であり、a(個)はWとPLとで区画される基準区域Z内に存在するブロック4の個数であり、N(%)は該基準区域Z内のネガティブ率である。ブロック個数密度Dは、トレッド部1の実接地面積(溝分を除いた面積)の単位面積当りに何個のブロックが存在するかということを密度として表現したものである。ちなみに、例えば通常のスタッドレスタイヤの場合には、この密度Dは概ね0.002以下となる。なお、基準区域Z内のブロックの個数aをカウントするに際して、ブロックが基準区域Zの内外に跨って存在し、1個として数えることができない場合は、基準区域Zを跨るブロックの表面積に対する、基準区域内に残った同ブロックの残存面積の比率を用いて数えることとする。例えば、基準区域Zの内外に跨り、基準区域Z内にその半分しか存在しないブロックの場合は、1/2個と数えることができる。
また、ブロック配設領域Gにおけるネガティブ率Nは5%〜50%とすることが好ましい。ブロック配設領域Gにおけるネガティブ率Nが5%未満の場合は、溝容積が小さくなりすぎ排水性が不十分となる他、ブロック4の大きさが大きくなりすぎてブロック密集配置による効果が小さくなるからである。一方、50%を超えるとブロック踏面の総面積が小さくなりすぎて、操縦安定性が低下するおそれがあるからである。
このようにブロック個数密度Dを0.003〜0.04(個/mm)の範囲内とすることで、ブロックのトータルエッジ長が増大し、ブロックにサイプを形成することによりエッジ長を稼ぐ場合と比べてブロック剛性を確保しつつも高いエッジ効果が得られる。また、ブロックの支え合いによってブロック剛性が高まり、トータルエッジ長を増大させつつも操縦安定性や耐摩耗性を確保することができる。
次いで、図8に示すタイヤについて説明する。図8に示すタイヤでは、トレッド部1にタイヤ周方向に沿って延びる縦溝2が三本設けられ、これらの縦溝2間にリブ状陸部7が形成されている。さらにリブ状陸部7には、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジ6を形成する複数の溝幅3が設けられている。横溝3の溝幅W3は1mm以上である。さらに、横溝3の両端部からは、溝幅が1mm未満である細溝8が延びている。ここでは細溝8は、縦溝2につながっており、横溝3は細溝8を介して縦溝2と連通している。なお、幅方向エッジ6の接地面内密度Lは、2.89×10−4以上6.01×10−4以下である。
この空気入りタイヤによれば、路面から離れた後の横溝3内の水の排水性が向上するので、安定したワイパー効果を維持することができる。さらに横溝3の両端部に細溝8を設けたことから、細溝8が制動時に閉じることでリブ状陸部7側部の変形が抑制され、リブ状陸部7の横方向からの水の浸入を抑えることができる。
図9に示す実施形態では、トレッド部1に、タイヤ周方向に沿って延びる5本の縦溝2と、これらの縦溝2を横切って延びる複数の横溝3とによって多数のブロック4が区画形成されている。ブロック4を区画する横溝3は、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジ6を形成する。さらに、ブロック4の踏面内には、タイヤ幅方向に対する傾斜角度(エッジの接線の傾斜角度)が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジ6を形成する部分を含む幅方向溝9が形成されている。幅方向溝9は略S字形状をなしてタイヤ幅方向に延びる。また、幅方向溝9の、幅方向エッジ6に隣接する部分の溝幅は約0.5mmであり、制動時のブロック変形により当該溝幅は1mm以上となる。
この実施形態によれば、ブロック4の踏面にもワイパー効果を発揮する幅方向エッジ6を有し、またブロック4の変形によりブロック4の踏面に幅方向エッジ6に隣接して水の行き場が現れるので、WETμをさらに向上させることができる。
図10(a)に示す他の実施形態では、ブロック4はタイヤ周方向長さよりもタイヤ幅方向長さの大きい八角形に形成されている。各ブロック4は、千鳥状に配置されており、タイヤ周方向に隣接するブロック4間に溝幅Wが1mm以上の横溝3が配設されている。さらに、タイヤ幅方向に隣り合うブロック4間には横溝3につながり溝幅が1mm未満となる細溝8が形成されている。
この実施形態の空気入りタイヤによれば、ブロック4の中央にワイパー効果を発揮する幅方向エッジと水の行き場である横溝3とを設け、その横溝3に細溝8を連結したので、矩形のブロックと異なり、接地面内に効率的にエッジを配置できるので、WETμを効率的に向上させることができる。
図10(b)に示す他の実施形態では、ブロック4がタイヤ幅方向長さよりもタイヤ周方向長さの大きい八角形に形成されている点で図10(a)に示す実施形態と異なる。これによれば、タイヤ幅方向の入力に対してWETμを向上させることができる。
図10(c)に示す他の実施形態では、トレッド部1のタイヤ赤道面C(センター)近傍ではブロック4のタイヤ幅方向長さとタイヤ周方向長さがほぼ等しく、ショルダー側に向かうに連れて、タイヤ幅方向長さが漸増するよう構成されている。ショルダーは接地圧がセンターに比べて高いので、制動力を稼ぐことができる部位である。そこで、ショルダーにおいてワイパー効果を発揮する幅方向エッジと水の行き場(横溝)の割合を増やすことで、WETμをさらに向上させることができる。
この発明の効果を確かめるために、この発明の範囲に含まれる空気入りタイヤ(実施例タイヤ)と、この発明の範囲外である比較としての空気入りタイヤ(比較例1および2のタイヤ)と、参考例タイヤとを用意し、それぞれについてWETμを測定し、参考例タイヤについては、比較例1のタイヤのWETμを100とする指数にて評価を行い、実施例タイヤについては、比較例2のタイヤのWETμを100とする指数にて評価を行った。
実施例および参考例のタイヤ並びに比較例1および2のタイヤはいずれもタイヤサイズが195/65R15である。各タイヤの諸元を表1に示す。なお、比較例2は、実施例の幅方向溝9に代えて、溝幅が0.5mmの傾斜溝9’をブロック4の踏面に形成したものである。
Figure 0005506510
WETμの評価は、各供試タイヤをサイズ6JJのリムに組み付け内圧を210kPa(相対圧)とし車両(パネルトラック)に装着した状態で、水深0.6mmのアスファルト路面にて、速度64km/hからフルロックまでの摩擦係数を測定してピーク値(3回の平均値)を指数化することにより行った。評価結果を表2に示し、表中の評価は、参考例タイヤは比較例1のタイヤを基準に指数で表し、実施例タイヤは比較例2のタイヤを基準に指数で表したものであり、それぞれ数値が大きいほどWETμが良好であることを示す。
Figure 0005506510
表2に示す評価結果から明らかなように、幅方向エッジの接地面内密度Lを、2.89×10−4≦L≦6.01×10−4の範囲内とし、横溝の溝幅を1mm以上としたことにより、WETμが向上したことが分かる。
かくしてこの発明により、ブロック踏面への水膜浸入を防止して、長期に亘って良好なウェット性能を発揮する空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 トレッド部
2 縦溝
3 横溝
4 ブロック
5 ブロック列
6 幅方向エッジ
7 リブ状陸部
8 細溝
9 幅方向溝

Claims (3)

  1. トレッド部に、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジを形成する横溝を設け、
    下記式(1)から算出される幅方向エッジの接地面内密度Lを、2.89×10−4≦L≦6.01×10−4の範囲内とし、
    前記横溝の溝幅を1mm以上とし
    前記トレッド部に、タイヤ周方向に沿って延びるとともに前記横溝と交わる縦溝を設けてブロックを形成し、
    前記ブロックの踏面に、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が0°を含む−10°以上10°以下の範囲内にある幅方向エッジを形成する部分を含みかつ制動時のブロック変形により該幅方向エッジに隣接する部分の溝幅が1mm以上となる幅方向溝を設けたことを特徴とする空気入りタイヤ。
    L=(Et/S)×(1/E)・・・(1)
    ただし、Lは幅方向エッジの接地面内密度(1/mm)であり、Etは接地面内にある幅方向エッジ長さの総和(mm)であり、Sはトレッド部の接地面積(mm)であり、Eは一ピッチ当たりの幅方向エッジ長さの総和(mm)である。
  2. 前記横溝につながり、かつ、溝幅が1mm未満である細溝を設けた、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ブロックが配置されている領域のタイヤ幅方向の一端から他端までの距離をW(mm)とし、前記ブロックが配置されている領域における基準ピッチ長をPL(mm)とし、前記Wと前記PLとで区画される基準区域内に存在する前記ブロックの個数をa(個)とし、前記基準区域内のネガティブ率をN(%)としたとき、下記式(2)により算出されるブロック個数密度Dが0.003〜0.04(個/mm )の範囲内にある、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
    D=a/{PL×W×(1−N/100)}・・・(2)
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