JP5504966B2 - 発光素子用基板および発光素子 - Google Patents

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Description

この発明は、発光素子用基板および発光素子に関し、より特定的には、2次元回折格子を備える発光素子用基板および発光素子に関する。
III−V族化合物半導体(たとえば窒化ガリウム(GaN)など)は、発光素子の材料として近年応用が進んでいる。たとえば、当該発光素子を構成する基板としてIII−V族化合物半導体基板(たとえばGaN基板)を用いれば、当該基板の主表面上に格子定数が等しいもしくは非常に近い構成でIII−V族化合物からなる発光層を形成することができる。これにより、発光層と基板との間の応力の発生を抑制し、結晶品質の良い発光層を形成できる。しかし、GaN基板などのIII−V族化合物半導体基板は、一般的に高価である。このため、発光層の結晶品質は若干低下するが、発光ダイオード(LED)などの発光素子には安価なサファイア基板などが多く使用されている。
上記の問題に対して結晶品質の良い発光層を形成するための基板を安価に提供するために、特開2006−210660号公報(特許文献1)は、シリコン(Si)基板などにGaN膜などの窒化物半導体膜を形成するため、Si基板の表面にGaN膜を接合する半導体基板の製造方法を開示する。
上述のように適用が進められている、III−V族化合物半導体の一つであるGaNは、屈折率が約2.5であり、空気(屈折率が1.0)に比べて屈折率が高いため、全反射角が小さくなる。このため、発光層から発した光が発光素子の外に出射しにくいという問題がある。すなわち、発光素子の表面で反射した光は、全反射を繰り返しながら発光素子の側面から出射するが、その多くは、全反射を繰り返すうちに、発光素子の電極および半導体層内での吸収により減衰してしまう。
上記の問題に対して、発光素子からの光の取り出し効率を向上させるとともに、発光素子から出射する光の指向性を変更するために、J. J. Wierer, 他4名,“InGaN/GaN quantum-well heterostructure light-emitting diodes employing photonic crystal structures”, Applied Physics Letters, 84, 19, May 10, 2004, pp3885-3887(非特許文献1)や、K. McGroddy, 他8名, “Directional emission control and increased light extraction in GaN photonic crystal light emitting diodes”, Applied Physics Letters, 93, 103502, 2008(非特許文献2)は、半導体デバイスの表面にフォトニック結晶構造を形成することを開示する。
特開2006−210660号公報
J. J. Wierer, 他4名, "InGaN/GaN quantum-well heterostructure light-emitting diodes employing photonic crystal structures", Applied Physics Letters, 84, 19, May 10, 2004, pp3885-3887 K. McGroddy, 他8名, "Directional emission control and increased light extraction in GaN photonic crystal light emitting diodes", Applied Physics Letters, 93, 103502, 2008
しかし、非特許文献1および非特許文献2においては、発光素子から出射する光は等方的であり(ここでは,出射する光による照射面の形状が当該照射面の中央を中心として、3回以上の回転対称性をもつ、あるいは任意の微小回転に対して回転対称性をもつことを「等方的である」あるいは「等方性を持つ」と呼ぶこととする)、出射する光のプロファイルを変更する場合にも、基本的に出射する光の等方性は維持されている。
一方、上述のような発光素子の適用分野としては、液晶表示装置などの表示装置におけるバックライトが挙げられる。当該バックライトでは、ほぼ板形状の導光板の端面に形成された光入射面に、光を入射するための光源として発光素子が用いられる。しかし、上述した導光板の光入射面は、一般に幅が数mm〜数10cm、高さが数10μm〜数mm程度と、細長い形状を有している。そのため、発光素子から出射した等方的な光をそのまま上記光入射面に照射しても、当該光入射面から導光板の内部に取り込まれる光の割合(結合効率)は低いという問題があった。
このような課題に対応するため、発光素子と光入射面との間にレンズなどの光学系部品を配置することも考えられるが、表示装置の省スペース化の要請や、たとえば携帯電話などの携帯機器のように表示装置自体のサイズが小さいことから、光学系部品を配置することが難しい場合もある。また、このような光学系部品の追加は表示装置の部品数や製造工程数の増加を招き、結果的に表示装置の製造コストの増大に繋がり好ましくない。
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、光学系部品を追加することなく、導光板との十分な結合効率を得ることが可能な発光素子用基板及び発光素子を提供することである。
この発明に従った発光素子用基板は、発光層を含む半導体層と、発光層から間隔を隔てて配置された2次元回折格子と、半導体層と接合された、半導体層を構成する材料とは異なる材料からなる基礎基板とを備える。2次元回折格子は半導体層と基礎基板との接合部に配置されている。2次元回折格子では、2次元回折格子を構成する格子点パターン、すなわち、個々の格子点の形状を無視した格子点の並び方のパターン(たとえば個々の格子点の中心点の並び方のパターン)が2回の回転対称性のみを有し、3回以上の回転対称性を有さないようになっている。2次元回折格子は、3回以上の回転対称性を有する基礎2次元回折格子を、当該基礎2次元回折格子が延在する平面内の一方向について引き伸ばした構成を有する。
なお,このような形状(上述のように、格子点パターンが2回の回転対称性のみをもち3回以上の回転対称性を有さない構成,また異なる観点から言えば、3回以上の回転対称性を有する通常の2次元回折格子を、当該2次元回折格子が延在する平面内のある方向についてのみ引き伸ばしたような構成)の2次元回折格子を本明細書では複機能2次元フォトニック結晶と呼ぶことにする。
上述した複機能2次元フォトニック結晶を用いることにより、発光層から出射する光の指向性を、ある特定の軸方向について相対的に高めることができる。このため、発光素子用基板を用いて形成された発光素子から出射する光の照射領域の形状を円形状ではなく、所定の軸方向に延びるような楕円形状あるいは線状にすることができる。加えて、上記複機能2次元フォトニック結晶は2次元回折格子であるため、本発明による発光素子用基板を用いて形成された発光素子内部においてあらゆる方向に伝搬する光を取出すことができる(たとえば、1次元回折格子では、回折格子の溝方向に沿って伝搬する光は取出せない)。この結果、導光板の細長い光入射面に対して、特別な光学系部品を追加することなく、十分な光を入射させることができる(つまり、結合効率を高めることができる)。そのため、当該導光板を含む表示装置の製造コストが増大することを防止できるとともに、十分な光量の(導光板を含む)バックライトを備えた表示装置を実現できる。
この発明に従った発光素子は、上記発光素子用基板を用いている。このようにすれば、出射する光の照射領域の形状を円形状ではなく、所定の軸方向に延びるような楕円形状にすることが可能な発光素子を実現できる。この結果、当該発光素子を導光板へ入射する光の光源として用いることで、導光板の細長い光入射面に対して、特別な光学系部品を追加することなく、十分な光を入射させることができる。
本発明によれば、発光素子用基板を用いて形成された発光素子から出射する光の照射領域の形状を円形状ではなく、所定の軸方向に延びるような楕円形状あるいは線状にすることができるので、光学系部品を追加することなく、導光板との十分な結合効率を得ることが可能な発光素子を実現できる。
本発明に従った発光素子の実施の形態1を示す断面模式図である。 図1に示した発光素子の複機能2次元フォトニック結晶層の平面形状を説明するための模式図である。 図1に示した発光素子の複機能2次元フォトニック結晶層の平面形状の変形例を説明するための模式図である。 p型半導体層の厚みと複機能2次元フォトニック結晶層における開口部のX軸方向でのピッチ(a1)との関係の一例を示すグラフである。 本発明による発光素子から出射される光の照射領域を示す模式図である。 本発明による発光素子を適用した電子機器を示す模式図である。 図6に示した発光素子と導光板とを示す斜視模式図である。 図1に示した発光素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図8に示した製造工程を説明するためのフローチャートである。 図9に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図9に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図9に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図9に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図9に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図9に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図9に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明による発光素子の実施の形態2を示す断面模式図である。 図17に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図17に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図17に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明による発光素子の実施の形態3を示す断面模式図である。 図21に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図21に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明による発光素子の実施の形態4を示す断面模式図である。 図24に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図24に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 図24に示した発光素子の製造方法を説明するための断面模式図である。 半導体としてGaNを用いた場合の、複機能2次元フォトニック結晶層での格子ピッチと半導体層の部分(p−GaN層)の厚みとの関係を示すグラフである。 半導体としてGaAsを用いた場合の、複機能2次元フォトニック結晶層での格子ピッチと半導体層の部分(p−GaAs層)の厚みとの関係を示すグラフである。 半導体としてGaAsを用いた場合の、複機能2次元フォトニック結晶層での格子ピッチと半導体層の部分(p−GaAs層)の厚みとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例の発光素子から出射した光の平面パターンを示す模式図である。 比較例の発光素子から出射した光の平面パターンを示す模式図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1および図2を参照して、本発明による発光素子の実施の形態1を説明する。
図1を参照して、発光素子1は、基礎基板2と、基礎基板2上に配置された半導体からなる基板4と、基板4上に形成されたn型半導体層5と、発光層6と、p型半導体層7と、n電極8と、p電極9とを備える。基板4は、基礎基板2の主表面上に接続されている。基板4と基礎基板2との接合部には2次元回折格子としての複機能2次元フォトニック結晶層3が形成されている。具体的には、この複機能2次元フォトニック結晶層3は、2次元方向に屈折率が周期的に変化する構造であり、基板4の下部表面(基礎基板2と接合された表面)に、図2に示すような開口部3bが複数形成されている。複機能2次元フォトニック結晶層3においては、内部が空気により充填された状態あるいは内部が真空状態になった開口部3bと、この開口部3bの間に位置し、基板4の一部からなるベース部3aとにおいて、屈折率が異なることにより、フォトニック結晶構造が構成されている。
基板4の上部表面(基礎基板2と接合された表面とは反対側に位置する表面)上にはn型半導体層5が形成されている。n型半導体層上には発光層6が形成されている。発光層6上にはp型半導体層7が形成されている。発光素子1の端部においては、p型半導体層7、発光層6およびn型半導体層5の一部を除去することにより段差部10が形成されている。この段差部10内において露出しているn型半導体層5上にn電極8が形成されている。また、p型半導体層7の上部表面上には透明性の導電体からなるp電極9が形成されている。
発光素子1は、たとえば窒化ガリウム(GaN)を用いたLEDである。この場合、基礎基板2としては、たとえばサファイア基板を用いることができる。なお、基礎基板2としてはたとえば透明性の材料からなる基板を用いてもよいが、他の材料、たとえば金属からなる基板を用いてもよい。たとえば、基礎基板2としてスピネル製の基板、GaN製の基板、炭化シリコン(SiC)製の基板、あるいは石英製の基板を用いることができる。なお、基礎基板2としては表面を平滑に仕上げておくことが好ましい。また、基板4としてはGaN基板を用いることができる。また、n型半導体層5としては、n型のGaNエピタキシャル層を用いることができる。発光層6としては、たとえば多重量子井戸(MQW)構造を有する発光層を用いることができる。具体的には、たとえばGaN層とInGaN層との組合せを6組積重ねた積層構造を発光層6として用いることができる。
また、p型半導体層7としては、たとえばp型のGaNエピタキシャル層を用いることができる。p型半導体層7の厚みdは、たとえば90nmとすることができる。このp型半導体層7の厚みdと、複機能2次元フォトニック結晶層3より上側(発光層6側)の領域における基板4およびn型半導体層5の屈折率などにより決定される。図2からもわかるように、複機能2次元フォトニック結晶層3においては、一の方向(図2におけるX軸方向)における開口部3bの中心間の距離(格子ピッチ)a1は、上記方向とは交差する他の方向(図2におけるY軸方向)における開口部3bの中心間の距離(格子ピッチ)a2よりも小さくなっている。
つまり、このように複機能2次元フォトニック結晶層3における開口部3bのピッチ(格子ピッチ)をX軸方向とY軸方向とで異なるものとすることにより、発光素子1から出射される光の照射領域の形状をほぼ円形状ではなく、特定の方向において延びたような扁平な(たとえば楕円形状あるいは線状の)形状へと変更することができる。また、複機能2次元フォトニック結晶層3における開口部3bの配置としては、図2に示すような三角格子状の配置ではなく、図3に示すような長方格子状の配置を用いてもよい。この場合においても、X軸方向における開口部3bの間の距離a1と別の方向であるY軸方向での開口部3bの中心間の距離a2とは異なる値となるように設定される。なお、複機能2次元フォトニック結晶層3における開口部3bの平面形状は、図2や図3に示すような楕円形状に限られず、たとえば円形状、あるいは四角形状をはじめとする任意の形状でかまわない。
ここで、複機能2次元フォトニック結晶層3におけるX軸方向での開口部3bの中心間の距離(格子ピッチ:以下ピッチとも言う)a1は、p型半導体層7の厚みd(図1参照)やn型半導体層5およびp型半導体層7の屈折率に基づいて決定されることが好ましい。以下、ピッチa1の決定方法について説明する。
まず、2次元面内と厚み方向に無限の広がりを持つとともに、1つの平坦な表面を有する半導体を考える。当該半導体の表面近傍に、表面と平行に延在する発光層(活性層)が形成されているとする。当該半導体(図1に示した基板4、n型半導体層5およびp型半導体層7に相当)の屈折率をn1、発光層から半導体表面までの距離(p型半導体層の厚み)をd、半導体外部(半導体の表面より外側の媒体)の屈折率(例えば空気や樹脂などの屈折率)がn2であるとする。取出したい光の(狙い)中心波長が真空中に於いてλ0であるとする。
ここで、評価用の関数Φ(θ)を以下のように定義する。
上記関数Φ(θ)を示す式において、θは取出したい光の半導体内部での伝搬角度であり,半導体表面の法線ベクトルとなす角として定義する。具体的には、角度θについて、発光層から半導体の表面の法線ベクトルと平行に当該表面を介して光が出射する場合を0°とする。角度θの範囲は0°≦θ<90°とする。また、上記式においてexp(x)は自然対数の底eのx乗を、iは虚数単位を示し、k1=2π/λ0×n1である。また、r(θ)はS偏波の光の半導体表面における複素振幅反射係数であり、簡単には、
という式で与えられる。ここで、sqrt(x)はxの平方根を意味する。なお、より正確を期す場合(たとえば、半導体の表面にITOなどの透明電極を用いる場合に、r(θ)をより正確に規定した場合など)は,転送行列法などの手法を用いてr(θ)を計算しても良い。
次に、上記関数Φ(θ)における極大値を与えるθの集合のうち,最大の値を選定し、これをθmaxとする。θmaxから,求めるべき複機能2次元フォトニック結晶層のピッチa1は、
a1=λ0/(n1・sinθmax)
として求められる。ここで、上記ピッチa1を示す式では、屈折率n1および半導体外部の屈折率n2について、発光素子の構成が決まれば具体的な数値が決定できる。そのため、上記ピッチa1は、半導体層から半導体表面までの距離dの関数として図4に示すように表すことができる。図4では、半導体層の材料としてGaNを用い、半導体層の外部は空気である場合の例を示している。
図4に示すグラフにおいては、横軸はp型半導体層の厚みdを示し、縦軸が、X軸方向における複機能2次元フォトニック結晶層3における開口部3bの中心間の距離a1を示している。なお厚みdおよびピッチa1の単位はそれぞれnmである。また、図4に示したグラフはピッチa1についての中央値を示しており、p型半導体層7の厚みdのそれぞれの値に対して、図4で示したピッチa1の値の±10%以内の範囲であればピッチa1は変更してもよい。なお、図2に示すY軸方向での開口部3bの中心間の距離(格子ピッチ:以下ピッチとも言う)a2は、光の指向性をあまり高めることなく光の取出し効率を向上させる観点から、たとえば0.5μm以上2μm以下といった数値範囲の値とすることができる。
上記のようにピッチa1、a2が決定された複機能2次元フォトニック結晶層3を備える発光素子に電力を投入すると、図5に示すように、p型半導体層7の上部表面から出射される光の照射領域11(p型半導体層7の上部表面と対向し、当該上部表面と同じ方向に延びる平面に当該光を照射した場合の照射領域)は、矢印12に示す方向に延び、矢印13に示す方向においては幅が狭くなったような扁平な形状(楕円形状)となる。
このような本発明による発光素子1を、たとえば液晶表示装置を備える電子機器20に適用する場合を考える。図6および図7に示すように、本発明による電子機器20は、本発明による発光素子1と、この発光素子1から出射される光を受けて、液晶表示装置のバックライトとして機能する導光板21と、当該導光板21の光出射面上に配置された液晶パネル(図示せず)とを備えている。図6および図7に示すように、導光板21の光入射面22に対向する位置に発光素子1が配置されている。発光素子1から出射される光は、図7の矢印12に示す方向に長く延び、矢印12に示す方向と直交する方向(図5に示す矢印13に示す方向)においてはその広がり方が小さくなっている。このため、従来のように照射領域11の形状がほぼ円形状である場合に比べて、導光板21の光入射面22に直接入射する光の量をより多くすることができる。このため、特別なレンズ系統などの光学部材を追加することなく、導光板21における光入射面22に入射する光量を増大させることができる。この結果、液晶表示装置のバックライトの輝度を向上させることができる。
また、上述のように出射する光(可視光や赤外線など)の照射領域の形状が楕円形状または帯状となる発光素子は、たとえば光学式タッチパネルの位置検出用のエネルギー線投光器(たとえば赤外線投光器)に適用することもできる。この場合、タッチパネルの表面に沿って光を広い領域に効率的に出射することができる。
図8〜図16を参照して、図1に示した発光素子の製造方法を説明する。
図8を参照して、図1に示した発光素子の製造方法においては、まず仕様決定工程(S10)を実施する。具体的には、基板4やn型半導体層5として用いられる材料の屈折率やp型半導体層7の厚みdなどに基づいて複機能2次元フォトニック結晶層3における開口部3b(図2参照)のX軸方向におけるピッチa1やY軸方向におけるピッチa2(図2参照)を決定する。なお、具体的なピッチa1の算出方法については後述する。
次に、製造工程(S20)を実施する。具体的には、図9に示すような工程を実施する。製造工程(S20)として、図9に示すように、まず成膜工程(S21)を実施する。具体的には、基板4の上部表面上に、n型半導体層5、発光層6、p型半導体層7を順次たとえばエピタキシャル成長法などを用いて形成する。たとえば、発光素子としてGaNを用いた青色LEDを形成する場合、基板4としてGaN基板(あるいは、サファイア基板)を用いてもよい。
次に、図9に示すように、デバイス加工工程(S22)を実施する。具体的には、図11に示すように、フォトリソグラフィ法を用いてp型半導体層7、発光層6およびn型半導体層5の一部をエッチングにより除去することにより、段差部10を形成する。そして、p型半導体層7の上部表面上および段差部10において露出したn型半導体層5の表面上にそれぞれp電極9およびn電極8を形成する。これらのp電極9およびn電極8の形成方法としては、従来周知の任意の方法を用いることができる。たとえば、まずフォトリソグラフィ法により電極が形成されるべき領域に開口部を有するマスクを形成する。当該マスク上および開口部の内部に電極を構成する金属膜を真空加熱蒸着法などの物理蒸着法により形成する。その後、マスク層を除去する(リフトオフ)ことにより、p電極9およびn電極8を形成する。
次に、図9に示す支持基板貼付け工程(S23)を実施する。具体的には、図12に示すように、p電極9が形成された側の基板表面上に接着剤26を介して支持基板25を貼付ける。支持基板25としてはたとえばシリコン基板を用いることができる。
次に、図9に示すように裏面研磨工程(S24)を実施する。具体的には、図12に示すように、基板4の裏面27を研磨する。この結果、基板4の厚みを所定の厚み(たとえば80μm程度)とすることができる。研磨方法としては任意の方法を用いることができる。また、研磨後の基板4の裏面27については鏡面仕上げを行なう。そして、当該研磨加工によるダメージ層を除去するため、たとえば塩素ガスを用いた反応性イオンエッチングによって、裏面27の表面層を所定の厚さ(たとえば200nm程度)だけ除去する。その結果、上述した研磨工程により発生していたダメージ層を除去することができる。
次に、図9に示すように、2次元回折格子を形成する工程(S25)を実施する。具体的には、まず図13に示すように、基板4の裏面27上に複機能2次元フォトニック結晶層3の開口部3bの平面形状と同様の開口パターンを有するレジスト膜28を、電子線描画法を用いて形成する。
次に、図14に示すように、たとえば塩素ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、レジスト膜28をマスクとして用いて基板4の裏面27の一部を除去する。この結果、開口部3bが形成される。開口部3bの深さはたとえば250nmとすることができる。この後レジスト膜28を除去し、さらに基板4の裏面27側をアセトンで洗浄する。このようにして、開口部3bと、当該開口部3bの間に位置し、基板4の一部からなるベース部3aからなる複機能2次元フォトニック結晶層3が形成される。なお、複機能2次元フォトニック結晶層3の開口部3bのパターンはたとえば図2に示したような三角格子状とすることができる。このとき、図2のX軸方向における格子ピッチa1はたとえば0.195μm、Y軸方向における格子ピッチa2はたとえば1.60μmとする。また、開口部3bの平面形状はだ円形状とし、当該開口部3bの短軸直径は0.14μm,長軸直径は1.1μmとする。このとき,短軸方向はX軸方向に,長軸方向はY軸方向に一致させる。
なお、複機能2次元フォトニック結晶層3を形成するため、上述のような電子線描画法ではなく、他の方法を用いてもよい。たとえば、ArFなどを光源とするフォトリソグラフィ法やナノインプリント法を用いてパターンを有するレジスト膜を形成してもよい。
次に、図9に示すように、基礎基板との貼り合せ工程(S26)を実施する。具体的には、図15に示すように、たとえばサファイアからなる基礎基板2を準備し、当該基礎基板2を基板4の裏面側(複機能2次元フォトニック結晶層3が形成された側の面)に接合する。接合方法としては任意の方法を用いることができるが、たとえば基礎基板2としてサファイア基板を用いた場合には、高真空中で基板4の裏面と基礎基板2とを貼り合せ、加圧接合するといった方法を用いることができる。このように基礎基板2を基板4の裏面側に貼り合せることにより、内部が真空の開口部3bと、ベース部3aとからなる複機能2次元フォトニック結晶層3が基礎基板2と基板4との境界部に形成される。
次に、図9に示すように、支持基板除去工程(S27)を実施する。具体的には、図16に示すように、基礎基板2が貼り付けられた貼り合せ基板をホットプレートなどで加熱することで、接着剤26(図15参照)を軟化させる。その状態で、支持基板25を基板4の主表面に沿った方向にスライドさせて当該支持基板25を貼り合せ基板から除去する(スライドオフ)。その後、貼り合せ基板の表面に残存する接着剤26を薬液(リムーバ)などで溶解・除去する。このようにして、図16に示すような構造のエピタキシャル層からなるLED構造を有する貼り合せ基板30を得ることができる。
この後、図9に示すように、後処理工程(S28)を実施する。具体的には、上述した貼り合せ基板30を発光素子となるべき領域ごとにダイヤモンドソーなどを用いてダイシングする、あるいはスクライブすることによりチップ化する。そして、得られたチップ(発光素子)をステムなどの上に固定し必要な配線を形成することで、発光装置を形成することができる。たとえば、p型半導体層7が上に向くように、基礎基板2を銀ペーストによりステムに貼り付ける。そして、発光素子のp電極9およびn電極8にそれぞれ金ワイヤを接続することで、発光装置(LED)を形成できる。
(実施の形態2)
図17を参照して、本発明による発光素子の実施の形態2を説明する。
図17に示す発光素子1は、基本的には図1に示した発光素子と同様の構造を備えるが、複機能2次元フォトニック結晶層3の配置が異なっている。すなわち、図17に示した発光素子1においては、複機能2次元フォトニック結晶層3が基礎基板2の上部表面(基板4との接合面)に形成された開口部3b(図19参照)と、当該開口部3bの周囲に位置する基礎基板2の部分とにより構成される。異なる観点から言えば、図17に示した発光素子における複機能2次元フォトニック結晶層3は、空気が内部に充填されたあるいは内部が真空状態の開口部3bと、開口部3bの間において、基礎基板2と同じ材質からなるベース部3a(図20参照)とからなっている。開口部3bの配置(X軸方向およびY軸方向での格子ピッチ)は、図1に示した発光素子1の複機能2次元フォトニック結晶層3と同様である。このような構造の発光素子によっても、図1に示した発光素子と同様の効果を得ることができる。
図18〜図20を参照して、図17に示した発光素子の製造方法を説明する。
まず、図9に示した成膜工程(S21)〜裏面研磨工程(S24)までを実施の形態1における発光素子の製造方法と同様に実施する。その後、図18に示すように、基礎基板2を準備し、当該基礎基板2において基板4(図17参照)の裏面と接続される表面上に所定のパターンを有するレジスト膜28を形成する。レジスト膜28における開口パターンは、実施の形態1において図13に示したレジスト膜28における開口パターンと同様である。
次に、当該レジスト膜28をマスクとして用いて基礎基板2の表面の一部をエッチングにより除去することにより、図19に示すように開口部3bを形成する。この結果、開口部3bと、この開口部3bの間に位置し、基礎基板2と同じ材質からなるベース部3a(図20参照)とによって構成される複機能2次元フォトニック結晶層3が得られる。このようにして、2次元回折格子を形成する工程(S25)が実施される。この後、レジスト膜28を除去する。
次に、図9に示すように、基礎基板との貼り合せ工程(S26)を実施する。具体的には、図20に示すように、複機能2次元フォトニック結晶層3が形成された基礎基板2を、基板4の裏面27に接合する。基板4と基礎基板2との接合方法は、任意の方法を用いることができる。
この後、図9に示した支持基板除去工程(S27)および後処理工程(S28)を実施することにより、図17に示した発光素子を得ることができる。
(実施の形態3)
図21を参照して、本発明による発光素子の実施の形態3を説明する。
図21を参照して、発光素子1は基本的には図1に示した発光素子1と同様の構造を備えるが、複機能2次元フォトニック結晶層3と基礎基板2との間に中間層35が配置されている点が異なる。中間層35としては、たとえばシリコン酸化膜やITO膜を用いることができる。中間層35の厚みは、たとえば数十〜数百nmの厚さとすることができる。開口部3bの配置(X軸方向およびY軸方向での格子ピッチ)は、図1に示した発光素子1の複機能2次元フォトニック結晶層3と同様である。このような構造の発光素子1によっても、図1に示した発光素子1と同様の効果を得ることができる。さらに、シリコン酸化膜などからなる中間層35を配置することで、基礎基板2と基板4との間の接続強度をより高めることができる。
図22および図23を参照して、図21に示した発光素子の製造方法を説明する。
図21に示した発光素子の製造方法においては、まず図9に示した成膜工程(S21)〜2次元回折格子を形成する工程(S25)まで(すなわち図10〜図14に示す工程)を実施する。その後、基礎基板との貼り合せ工程(S26)を実施する。具体的には、図22に示すように、まず基礎基板2を準備し、当該基礎基板2の上部表面上(基板4と接合される側の表面)に中間層35を形成する。中間層35の形成方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、中間層35の形成方法として、プラズマCVD法、スパッタ法などを用いることができる。なお、中間層35を基礎基板2の表面のみではなく、基板4の複機能2次元フォトニック結晶層3が形成された側の面上にも形成してもよい。あるいは、基板4の複機能2次元フォトニック結晶層3が形成された側の面上のみに中間層35を形成しておいてもよい。
そして、図23に示すように、中間層35が形成された基礎基板2を、基板4の複機能2次元フォトニック結晶層3が形成された側の面に接合する。接合方法としては任意の方法を用いることができる。
この後、図9に示した支持基板除去工程(S27)および後処理工程(S28)を実施する。このようにして、図21に示す発光素子を得ることができる。
(実施の形態4)
図24を参照して、本発明による発光素子の実施の形態4を説明する。
図24に示した発光素子1は、基本的には図17に示した発光素子1と同様の構造を備えるが、基礎基板2と基板4との間に中間層35が配置されている点および複機能2次元フォトニック結晶層3が当該中間層35および基礎基板2の表面層の両方を利用して形成されている点が異なる。具体的には、図24に示した発光素子1の複機能2次元フォトニック結晶層3では、開口部3bが中間層35を貫通するとともに、基礎基板2の表面層にまで到達するように形成されている。また、ベース部3aは、中間層35と基礎基板2の表面層という2層構造となっている。開口部3bの配置(X軸方向およびY軸方向での格子ピッチ)は、図1に示した発光素子1の複機能2次元フォトニック結晶層3と同様である。このような構造の発光素子1によっても、図2に示した発光素子と同様の効果を得ることができる。さらに、基礎基板2と基板4との間にシリコン酸化膜などからなる中間層35が配置されているため、当該中間層によって基礎基板2と基板4との間の接続強度を向上させることができる。
図25〜図27を参照して、図24に示した発光素子1の製造方法を説明する。
まず、図9に示した成膜工程(S21)〜裏面研磨工程(S24)(すなわち図10〜図12に示す工程)を実施する。その後、2次元回折格子を形成する工程(S25)として、図25および図26に示す工程を実施する。具体的には、基礎基板2を準備し、当該基礎基板2の上部表面上に中間層35を形成する。そして当該中間層35上に図25に示すように所定のパターンを有するレジスト膜28を形成する。レジスト膜28の開口パターンは、基本的には形成されるべき複機能2次元フォトニック結晶層の開口部3bの平面パターンと同じになっている。そして、図26に示すように、反応性イオンエッチングなどのエッチングによりレジスト膜28をマスクとして用いて中間層35および基礎基板2の表面層の一部を除去する。この結果、中間層35を貫通するとともに、基礎基板2の表面層にまで到達する開口部3bが形成される。このようにして、開口部3bと、当該開口部3bの周囲に位置する(中間層35および基礎基板2の一部により構成される)ベース部とからなる複機能2次元フォトニック結晶層3が形成される。この後、レジスト膜28を除去する。
そして、図9に示した基礎基板との貼り合せ工程(S26)を実施する。具体的には図27に示すように、基礎基板2の複機能2次元フォトニック結晶層3が形成された側(中間層35の表面)を基板4の裏面27に接合する。接合方法としては任意の方法を用いることができる。
この後、図9に示した支持基板除去工程(S27)および後処理工程(S28)を実施することにより、図24に示した発光素子を得ることができる。
なお、上述した2次元回折格子を形成する工程(S25)では中間層35を形成せず、貼り合せ工程(S26)において中間層35を形成するようにしてもよい。また、上述した各実施の形態において、基礎基板との貼り合わせ工程(S26)では、張り合わせる界面となる基板4や基礎基板2あるいは中間層35の表面の平坦性を向上させておく(たとえば研磨を事前に実施する)ことで、貼り合わせの強度を向上させることができる。
(実施例1)
図1に示した構成の発光素子において、半導体としてGaNを用いた場合の、複機能2次元フォトニック結晶層の開口部3bのX軸方向でのピッチa1(図2参照)を具体的に求めた。すなわち、上記ピッチa1と、発光層6から半導体層の光出射面までの距離(つまりp型半導体層7の厚みd)との関係を、実施の形態1で説明した関数Φ(θ)および関数r(θ)、さらにa1=λ0/(n1・sinθmax)という数式に基づいて求めた。その結果を図28に示す。
図28に示すグラフでは、横軸がp型半導体層7(つまりp−GaN層)の厚みdを示し、縦軸がX軸方向でのフォトニック結晶周期a1(つまり図2に示すX軸方向での開口部3bの中心間の距離であるピッチa1)を示している。
ここでは、GaNからなる半導体層の屈折率n1を2.5、半導体外部の媒体の屈折率n2を1.0、発光層から出射する光(取出したい光)の真空中における中心波長λ0を450nmとして計算した。そして、上述したピッチa1とp−GaN層の厚みdとの関係について算出したデータに基づき近似式を求めた。その結果、p−GaN層の厚みdが200nm未満のとき、
a1=(5.04×10−11nm−5)×d−(4.48×10−8nm−4)×d+(1.59×10−5nm−3)×d−(2.85×10−3nm−2)×d+(0.274nm−1)×d−13.7d+479nm
という式でピッチa1が表される。
また、厚みdが200nm以上のときには、ピッチa1は183nmとなる。なお、実際の発光素子においては、このように求められたピッチa1の値を中央値として、当該中央値の±10%以内の範囲に入るようにピッチa1の値を決定することができる。また、図2に示したY軸方向でのピッチa2は0.5μm以上2μm以下に設定することができる。
(実施例2)
図1に示した構成の発光素子において、半導体としてGaAsを用いた場合の、複機能2次元フォトニック結晶層の開口部3bのX軸方向でのピッチa1(図2参照)を具体的に求めた。すなわち、上記ピッチa1と、発光層6から半導体層の光出射面までの距離(つまりp型半導体層7の厚みd)との関係を、実施の形態1で説明した関数Φ(θ)および関数r(θ)、さらにa1=λ0/(n1・sinθmax)という数式に基づいて求めた。その結果を図29および図30に示す。
図29および図30に示すグラフでは、横軸がp型半導体層7(つまりp−GaAs層)の厚みdを示し、縦軸がX軸方向でのフォトニック結晶周期a1(つまり図2に示すX軸方向での開口部3bの中心間の距離であるピッチa1)を示している。
ここでは、GaAsからなる半導体層の屈折率n1を3.5、半導体外部の媒体の屈折率n2を1.0、発光層から出射する光(取出したい光)の真空中における中心波長λ0を850nmとして計算した。そして、上述したピッチa1とp−GaAs層の厚みdとの関係について算出したデータに基づき近似式を求めた。その結果、p−GaAs層の厚みdが200nm未満のとき、
a1=(3.26×10−10nm−5)×d−(2.37×10−7nm−4)×d+(6.88×10−5nm−3)×d−(1.03×10−2nm−2)×d+(0.831nm−1)×d−35.7d+943nm
という式でピッチa1が表される。
また、p−GaAs層の厚みdが200nm以上400nm未満のとき、
a1=−(3.71×10−7nm−2)×d+(4.56×10−4nm−1)×d−1.98×10−1d+275nm
という式でピッチa1が表される。
また、厚みdが400nm以上のときには、ピッチa1は244nmとなる。なお、実際の発光素子においては、上述した実施例1の場合と同様に、求められたピッチa1の値を中央値として、当該中央値の±10%以内の範囲に入るようにピッチa1の値を決定することができる。また、図2に示したY軸方向でのピッチa2は0.5μm以上2μm以下に設定することができる。
(実施例3)
本発明の効果を確認するために、図1に示した構造の本発明の実施例としての発光素子と、図1に示した発光素子において複機能2次元フォトニック結晶層を形成しない比較例としての発光素子とを作成し、その発光パターンを確認した。
(試料)
実施例の試料:
実施例の試料として、図1に示した構造の発光素子を準備した。具体的には、基礎基板2として厚みが300μmのサファイア基板を用い、基板4として厚みが80μmのGaN基板を用いた。また、n型半導体層5として厚みが2μmのn−GaN層を用い、p型半導体層7として厚みが0.08μmのp−GaN層を用いた。また、発光層6としてGaN層とInGaN層との組を3組積層したMQW発光層を用いた。MQW発光層のGaN層の厚みは15nmとし、InGaN層の厚みを3nmとした。基板4と基礎基板2との界面において、基板4側に形成された複機能2次元フォトニック結晶層3の平面形状は、図2に示すように開口部3bが三角格子状に配置されたものであり、図2のX軸方向での格子ピッチa1を200nmとし、Y軸方向での格子ピッチa2を1.6μmとした。また、開口部3bの平面形状はだ円形状とし、当該開口部3bの短軸直径は0.14μm、長軸直径は1.1μmとした。このとき,短軸方向はX軸方向に,長軸方向はY軸方向に一致させた。また、開口部3bの深さは250nmとした。そして、p電極9としてはNi(ニッケル)/Au(金)からなり、厚みが合計で0.016μmである透明電極を、またn電極8としてはTi(チタン)/Al(アルミニウム)からなり、厚みが0.3μmである電極を形成した。この基板を、窒素/酸素雰囲気、加熱温度500℃の加熱炉でアニールした後、図には記載していないが、金ワイヤを接続するため、p電極およびn電極の一部にTi/Auからなり、厚みが0.2μmである電極パッドを形成した。
比較例の試料:
比較例の試料として、上述した実施例と基本的に同様の構造の発光素子を準備した。ただし、比較例である発光素子では、図1に示した複機能2次元フォトニック結晶層3を形成しなかった。
(実験)
上述した実施例および比較例の発光素子を、それぞれp−GaN層が上に向くように基礎基板であるサファイア基板を銀ペーストによりステムに貼り付け、p電極およびn電極に金ワイヤを接続して発光装置(LED)を形成した。当該LEDに電流を供給することで、発光装置から出射する光のパターンを測定した。
(結果)
実施例および比較例の発光素子から出射した光のパターンを図31および図32に示す。図31および図32においては、いずれも光の相対強度が高い部分ほど白く、また相対強度が低い部分ほど黒く表示されている。図31および図32から分かるように、実施例の試料から出射した光は図31に示すように所定の方向(図31では縦方向)に延びるように、光の強度が高い領域が形成されている。つまり、所定の強度以上の光が照射される領域が、円形状ではなく楕円状あるいは線状に延びるように形成されている。一方、図32に示した比較例の試料については、出射する光の照射領域の形状はほぼ円形状となっている。
図31に示したようなパターンの光を出射する発光素子を、たとえば細長い光入射面を有する導光板への光源として用い、当該光入射面に上述した所定の強度以上の光が照射される領域が重なるように発光素子を配置すれば、レンズなどの光学部品を追加することなく、従来の発光素子を用いる場合にくらべて、導光板へ入射する光の光量を増やすことができる。
以下、上述した実施の形態および実施例と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
この発明に従った発光素子用基板である貼り合せ基板30は、発光層6を含む半導体層(n型半導体層5、発光層6、p型半導体層7、基板4)と、発光層6から間隔を隔てて配置された2次元回折格子(複機能2次元フォトニック結晶層3)とを備える。複機能2次元フォトニック結晶層3では、複機能2次元フォトニック結晶層3が延在する平面における格子点の並び方のパターンが2回の回転対称性のみを有し,3回以上の回転対称性を有さないように構成されている。
このようにすれば、発光層6から出射する光の指向性を、ある特定の軸方向について相対的に高めることができる。このため、貼り合せ基板30を用いて形成された発光素子1から出射する光の照射領域の形状を円形状ではなく、所定の軸方向に延びるような楕円形状あるいは線状にすることができる。この結果、図7に示すような導光板21の細長い光入射面22に対して、特別な光学系部品を追加することなく、十分な光を入射させることができる(つまり、結合効率を高めることができる)。そのため、当該導光板21を含む表示装置などの電子機器の製造コストが増大することを防止できるとともに、十分な光量の(導光板を含む)バックライトを備えた表示装置を実現できる。
上記貼り合せ基板30は、半導体層(n型半導体層5、発光層6、p型半導体層7、基板4)と接合された、半導体層を構成する材料とは異なる材料からなる基礎基板2をさらに備えていてもよい。複機能2次元フォトニック結晶層3は半導体層と基礎基板2との接合部(基板4と基礎基板2との接合部)に配置されていてもよい。
この場合、半導体層と基礎基板2との接合部となる、半導体層と基礎基板2のすくなくともいずれかの表面を加工することにより、発光層6と離れた位置に複機能2次元フォトニック結晶層3を容易に形成できる。このため、複機能2次元フォトニック結晶層3の形成により発光層6がダメージを受けるといった問題の発生確率を低減できる。
上記貼り合せ基板30において、図1に示すように、複機能2次元フォトニック結晶層3は、半導体層において基礎基板2と接合された表面層(基板4の基礎基板2と接合された表面層)に形成されていてもよい。この場合、半導体層の上記表面層を加工することにより、複機能2次元フォトニック結晶層3を容易に形成することができる。
上記貼り合せ基板30において、図1に示すように、複機能2次元フォトニック結晶層3は、半導体層の表面層(基板4の下部の表面層)に形成された空孔である開口部3bと、開口部3bの周囲の表面層の部分であるベース部3aとを含んでいてもよい。この場合、半導体層の上記表面層に開口部3bを周期的に形成することで、複機能2次元フォトニック結晶層3を容易に形成することができる。
上記貼り合せ基板30において、複機能2次元フォトニック結晶層3は、図17に示すように、基礎基板2において半導体層と接合された表面層に形成されていてもよい。この場合、基礎基板2の表面層を加工することにより、複機能2次元フォトニック結晶層3を容易に形成することができる。
上記貼り合せ基板30において、図21または図24に示すように、半導体層と基礎基板2とは中間層35を介して接合されていてもよい。中間層35としては、たとえば酸化シリコンまたは酸化インジウムスズ(ITO)などを用いてもよい。この場合、半導体層と基礎基板2との接合強度を向上させることができる。
上記貼り合せ基板30において、図24に示すように、複機能2次元フォトニック結晶層3は、中間層35を貫通するとともに基礎基板2の表面層に到達するように形成された空孔としての開口部3bと、開口部3bの周囲の中間層35および基礎基板2の表面層の部分とを含んでいてもよい。この場合、中間層35および基礎基板2の表面層に開口部3bを周期的に形成することで、複機能2次元フォトニック結晶層3を容易に形成することができる。
上記貼り合せ基板30において、基礎基板2を構成する材料は、酸化アルミニウム(Al:サファイア)、酸化ガリウム(Ga)、スピネル(MgAlO)、石英(SiO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化シリコン(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、酸化亜鉛(ZnO)、カーボン、ダイヤモンド、ガラス(たとえば合成石英、ソーダガラス、低アルカリガラスなど)からなる群から選択される1種からなっていてもよい。これらの材料は半導体層を構成する材料(たとえばGaNやGaAsなどのIII−V族化合物半導体)より安価であり、発光素子用の貼り合せ基板30の全体を当該半導体で形成する場合より貼り合せ基板30の製造コストを低減できる。
上記貼り合せ基板30において、基礎基板2は透明基板であってもよい。この場合、基礎基板2側からも光を取出すことが可能になる。なお、ここで透明基板とは、当該基板の単位厚さ(たとえば1mm)当たりでの可視光の透過率が60%以上の基板を言う。
上記貼り合せ基板30において、図2および図3に示すX軸方向での格子ピッチa1が160nm以上390nm以下、Y軸方向での格子ピッチa2が0.5μm以上2μm以下であってもよい。ここで、「X軸方向での格子ピッチ」および「Y軸方向での格子ピッチ」は次のように定義する。ある任意の格子点を中心点として当該中心点を囲む最近接格子点群からなる多角形において、中心点を基点とし多角形の辺上の任意の1点を終点とするベクトルの集合を考える。このうち長さが最も短いベクトルの任意の一つを第1基本ベクトルと呼ぶこととする。この第1基本ベクトルの方向に一致するようにX軸を設定する。また、2次元回折格子が延在する平面においてX軸方向と直交するようにY軸を設定する。さらに、中心点を基点とし、中心点を通るとともにY軸方向に平行な直線と上記多角形との交点を終点とするベクトルの任意の一つを第2基本ベクトルと呼ぶことにする。このとき、第1基本ベクトルの長さを「X軸方向での格子ピッチ」、第2基本ベクトルの長さを「Y軸方向での格子ピッチ」とする。この場合、X軸方向においては、貼り合せ基板30を用いて形成された発光素子1から出射する光の指向性を向上させることができる。一方、Y軸方向においては、高次の回折を利用して上記発光素子1から特定の方向に限定的に光が出射することを抑制するとともに、光の取出し効率を向上させることができる。なお、この場合半導体層を構成する材料は窒化ガリウム(GaN)であってもよく、半導体層中の発光層6から当該半導体層の光出射面までの距離(p型半導体層7の厚さd)が10nm以上250nm以下であってもよく、発光層6から出射する光の真空中における中心波長が450nmであってもよい。
上記貼り合せ基板30において、上記第1基本ベクトルの長さであるX軸方向での格子ピッチa1は、発光層6から半導体層の光出射面までの距離(p型半導体層7の厚さd)と、半導体層の屈折率n1(p型半導体層7、基板4、n型半導体層5を構成する材料の屈折率)と、半導体層の光反射面と接する外部媒体(p型半導体層7の上部表面より外側に位置する媒体、たとえば空気やp電極9など)の屈折率n2と、発光層6から出射する光の真空中における中心波長λ0とに基づいて決定されていてもよい。この場合、後述するように光出射面から取出される光に関して、X軸方向における指向性を高めるように複機能2次元フォトニック結晶層3の格子ピッチを決定することができる。
上記貼り合せ基板30において、半導体層はIII族窒化物半導体からなっていてもよい。
上記貼り合せ基板30において、半導体層は窒化ガリウム(GaN)からなっていてもよく、X軸方向での格子ピッチをa1、発光層6から半導体層の光出射面(p型半導体層7の上部表面)までの距離(p型半導体層7の厚さ)をd、半導体層の屈折率を2.5、外部媒体の屈折率を1.0、発光層6から出射する光の真空中における中心波長を450nmとすると、
距離dが200nm未満のとき、
a1=(5.04×10−11nm−5)×d−(4.48×10−8nm−4)×d+(1.59×10−5nm−3)×d−(2.85×10−3nm−2)×d+(0.274nm−1)×d−13.7d+479nm
距離dが200nm以上のとき、
a1=183nm
という式で表される中央値の±10%以内の範囲に格子ピッチa1が設定されていてもよい。Y軸方向での格子ピッチは0.5μm以上2μm以下に設定されていてもよい。
この場合、光出射面(p型半導体層7の上部表面)から取出される光について、X軸方向については指向性を高める一方、Y軸方向においては相対的に指向性を高くしていない状態とできるので、当該光の照射領域の形状を図32に示すように楕円形状(あるいはY軸方向に延びる線状)にすることができる。
上記貼り合せ基板30において、半導体層はガリウム砒素(GaAs)からなっていてもよく、X軸方向での格子ピッチをa1、発光層6から半導体層の光出射面までの距離(p型半導体層7の厚さ)をd、半導体層の屈折率を3.5、外部媒体の屈折率を1.0、発光層6から出射する光の真空中における中心波長を850nmとすると、
距離dが200nm未満のとき、
a1=(3.26×10−10nm−5)×d−(2.37×10−7nm−4)×d+(6.88×10−5nm−3)×d−(1.03×10−2nm−2)×d+(0.831nm−1)×d−35.7d+943nm
距離dが200nm以上400nm未満のとき、
a1=−(3.71×10−7nm−2)×d+(4.56×10−4nm−1)×d−1.98×10−1d+275nm
距離dが400nm以上のとき、
a1=244nm
という式で表される中央値の±10%以内の範囲に格子ピッチa1が設定されていてもよい。Y軸方向での格子ピッチは0.5μm以上2μm以下に設定されていてもよい。
この場合、光出射面(p型半導体層7)から取出される光について、X軸方向については指向性を高める一方、Y軸方向においては、相対的に指向性を高くしていない状態とできるので、当該光の照射領域の形状を図31に示したような楕円形状(あるいはY軸方向に延びる線状)にすることができる。
上記貼り合せ基板30において、半導体層の厚みは2μm以上100μm以下であってもよい。この場合、半導体層を厚く(たとえば100μm以上の厚み)形成する場合のように貼り合せ基板30の製造コストが増大することを抑制できる。
この発明に従った発光素子1は、上記貼り合せ基板30を用いている。このようにすれば、出射する光の照射領域の形状を円形状ではなく、図31に示すように所定の軸方向に延びるような楕円形状にすることが可能な発光素子1を実現できる。この結果、当該発光素子1を導光板21へ入射する光の光源として用いることで、導光板21の細長い光入射面22に対して、特別な光学系部品を追加することなく、十分な光を入射させることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、2次元回折格子を備える発光素子用基板および発光素子であって、導光板へ光を入射する光源や、光学式タッチパネルの赤外線投光器に有利に適用される。
1 発光素子、2 基礎基板、3 複機能2次元フォトニック結晶層、3a ベース部、3b 開口部、4 基板、5 n型半導体層、6 発光層、7 p型半導体層、8 n電極、9 p電極、10 段差部、11 照射領域、12,13 矢印、20 電子機器、21 導光板、22 光入射面、25 支持基板、26 接着剤、27 裏面、28 レジスト膜、30 貼り合せ基板、35 中間層。

Claims (15)

  1. 発光層を含む半導体層と、
    前記発光層から間隔を隔てて配置された2次元回折格子と
    前記半導体層と接合された、前記半導体層を構成する材料とは異なる材料からなる基礎基板とを備え、
    前記2次元回折格子は前記半導体層と前記基礎基板との接合部に配置されており、
    前記2次元回折格子では、前記2次元回折格子を構成する格子点パターンが2回の回転対称性のみを有し、3回以上の回転対称性を有さず、
    前記2次元回折格子は、3回以上の回転対称性を有する基礎2次元回折格子を、前記基礎2次元回折格子が延在する平面内の一方向について引き伸ばした構成を有する、発光素子用基板。
  2. 前記2次元回折格子は、前記半導体層において前記基礎基板と接合された表面層に形成されている、請求項に記載の発光素子用基板。
  3. 前記半導体層と前記基礎基板とは中間層を介して接合されている、請求項に記載の発光素子用基板。
  4. 前記2次元回折格子は、前記半導体層の前記表面層に形成された空孔と、前記空孔の周囲の前記表面層の部分とを含む、請求項またはに記載の発光素子用基板。
  5. 前記2次元回折格子は、前記基礎基板において前記半導体層と接合された表面層に形成されている、請求項に記載の発光素子用基板。
  6. 前記半導体層と前記基礎基板とは中間層を介して接合されている、請求項に記載の発光素子用基板。
  7. 前記2次元回折格子は、前記中間層を貫通するとともに前記基礎基板の前記表面層に到達するように形成された空孔と、前記空孔の周囲の前記中間層および前記表面層の部分とを含む、請求項に記載の発光素子用基板。
  8. 前記基礎基板を構成する材料は、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、スピネル、石英、窒化アルミニウム、炭化シリコン、セレン化亜鉛、酸化亜鉛、カーボン、ダイヤモンド、ガラスからなる群から選択される1種からなる、請求項のいずれか1項に記載の発光素子用基板。
  9. 前記基礎基板は透明基板である、請求項のいずれか1項に記載の発光素子用基板。
  10. 前記2次元回折格子を構成する前記格子点パターンにおいて、ある任意の格子点を中心点として前記中心点を囲む最近接格子点群からなる多角形を考えたときに、
    前記中心点を基点とし前記多角形の辺上の任意の1点を終点とするベクトルの集合のうち長さが最も短いベクトルの任意の一つを第1基本ベクトルと規定し、前記第1基本ベクトルの方向に一致するようにX軸を、前記2次元回折格子が延在する平面において前記X軸方向と直交するようにY軸をそれぞれ規定し、
    前記中心点を基点とし、前記中心点を通るとともに前記Y軸方向に平行な直線と前記多角形との交点を終点とするベクトルの任意の一つを第2基本ベクトルと規定し、前記第1基本ベクトルの長さを前記X軸方向での格子ピッチ,前記第2基本ベクトルの長さをY軸方向での格子ピッチと定義した場合、
    前記X軸方向での格子ピッチが160nm以上390nm以下、前記Y軸方向での格子ピッチが0.5μm以上2μm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の発光素子用基板。
  11. 前記2次元回折格子を構成する前記格子点パターンにおいて、ある任意の格子点を中心点として前記中心点を囲む最近接格子点群からなる多角形を考えた場合、前記中心点を基点とし前記多角形の辺上の任意の1点を終点とするベクトルの集合のうち長さが最も短いベクトルの任意の一つを第1基本ベクトルと規定したときに、前記第1基本ベクトルの長さは、前記発光層から前記半導体層の光出射面までの距離と、前記半導体層の屈折率と、前記半導体層の前記光反射面と接する外部媒体の屈折率と、前記発光層から出射する光の真空中における中心波長とに基づいて決定される、請求項1〜のいずれか1項に記載の発光素子用基板。
  12. 前記第1基本ベクトルの方向に一致するようにX軸を、前記2次元回折格子が延在する平面において前記X軸方向と前記平面において直交するようにY軸をそれぞれ規定し、
    前記中心点を基点とし、前記中心点を通るとともに前記Y軸方向に平行な直線と前記多角形との交点を終点とするベクトルの任意の一つを第2基本ベクトルと規定し、前記第1基本ベクトルの長さを前記X軸方向での格子ピッチ、前記第2基本ベクトルの長さをY軸方向での格子ピッチと定義し、
    前記半導体層は窒化ガリウムからなり、
    前記X軸方向での格子ピッチをa1(nm)、前記発光層から前記半導体層の光出射面までの距離をd(nm)、前記半導体層の屈折率を2.5、前記外部媒体の屈折率を1.0、前記発光層から出射する光の真空中における中心波長を450nmとすると、
    距離dが200nm未満のとき、
    a1=(5.04×10−11nm−5)×d−(4.48×10−8nm−4)×d+(1.59×10−5nm−3)×d−(2.85×10−3nm−2)×d+(0.274nm−1)×d−13.7d+479nm
    距離dが200nm以上のとき、
    a1=183nm
    という式で表される中央値の±10%以内の範囲に前記格子ピッチa1が設定され、
    前記Y軸方向での格子ピッチが0.5μm以上2μm以下に設定されている、請求項1に記載の発光素子用基板。
  13. 前記第1基本ベクトルの方向に一致するようにX軸を、前記2次元回折格子が延在する平面において前記X軸方向と前記平面において直交するようにY軸をそれぞれ規定し、
    前記中心点を基点とし、前記中心点を通るとともに前記Y軸方向に平行な直線と前記多角形との交点を終点とするベクトルの任意の一つを第2基本ベクトルと規定し、前記第1基本ベクトルの長さを前記X軸方向での格子ピッチ、前記第2基本ベクトルの長さをY軸方向での格子ピッチと定義し、
    前記半導体層はガリウム砒素からなり、
    前記X軸方向での格子ピッチをa1(nm)、前記発光層から前記半導体層の光出射面までの距離をd(nm)、前記半導体層の屈折率を3.5、前記外部媒体の屈折率を1.0、前記発光層から出射する光の真空中における中心波長を850nmとすると、
    距離dが200nm未満のとき、
    a1=(3.26×10−10nm−5)×d−(2.37×10−7nm−4)×d+(6.88×10−5nm−3)×d−(1.03×10−2nm−2)×d+(0.831nm−1)×d−35.7d+943nm
    距離dが200nm以上400nm未満のとき、
    a1=−(3.71×10−7nm−2)×d+(4.56×10−4nm−1)×d−1.98×10−1d+275nm
    距離dが400nm以上のとき、
    a1=244nm
    という式で表される中央値の±10%以内の範囲に前記格子ピッチa1が設定され、
    前記Y軸方向での格子ピッチが0.5μm以上2μm以下に設定されている、請求項11に記載の発光素子用基板。
  14. 前記半導体層の厚みは2μm以上100μm以下である、請求項1〜1のいずれか1項に記載の発光素子用基板。
  15. 請求項1〜1のいずれか1項に記載の発光素子用基板を用いた、発光素子。
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