JP5503944B2 - ローラーガイドによる圧延材の倒れ検出方法及び検出装置 - Google Patents
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もし、ガイドローラー間隔を圧延材寸法と同一寸法に設定して圧延材を誘導しようとすると、圧延材先端部の先太部分や先端曲り部分がガイドローラーに衝突してガイドローラー割損事故、ガイドローラーを軸支しているローラーピン曲損又はローラーガイド本体を破損する等の問題を発生させる恐れがある。このため、圧延材寸法と比べてガイドローラー間隔を広く設定せざるを得ない。
上記のようにガイドローラー間隔を広く設定すると、下記の課題が生じる。
第1の課題は、圧延材先端部の先太部分や先端曲り部分をガイドローラーに衝突させることなく通過させることが可能な間隔、すなわち、ガイドローラー間隔を圧延材寸法と比べて広く設定すると、圧延材がガイドローラーにより正しく保持されずに倒れて圧延ロール孔型に噛み込み、圧延材先端部が圧延ロール孔型に倒れて噛み込むことがあり、この圧延材の倒れによって圧延材にシワ疵や割れ疵等の発生を招くことになる。シワ疵や折れ込み疵の発生は、圧延材が倒れて圧延ロール孔型に進入した場合等にその頻度が高くなることが知られている。
第2の課題は、圧延作業従事者にとって、圧延材が圧延機を通過している際に、目視等の監視手段で圧延材の倒れを発見することは大変に難しいことである。その結果として、圧延工程の下流側の精整工程における圧延材の通過中に、この圧延材の倒れを原因とするシワ疵等を有する製品不良が発見されることが多い。
この課題を解決するために、圧延工程の上流側の粗圧延工程等で圧延材の倒れを検知して、速やかに可視・可聴警報を発令して上記倒れを圧延作業従事者に通知することが要望されていた。
第3の課題は、圧延中に発生した圧延材の疵が、これが大きな疵であれば検査装置等で発見することが可能であるが、僅かな疵が検査工程をすり抜けて出荷される場合があることである。このような場合には、品質保証を維持することが容易ではない。
第4の課題は、圧延中の圧延材の倒れに基づく疵を後工程である精整工程で処理する場合、疵除去に要する費用や時間が必要となって、コストアップになる問題点や納期遅れが発生する原因となる等の問題点がある。
第1乃至第4の各課題を解決するには、圧延工程で圧延材に倒れがあることを早期に発見し、圧延材の倒れを発生させる原因を除去できるようにすることが望ましい。
本発明の目的は、圧延中の圧延材の倒れを簡易に検出することにある。
本発明に係る第2のローラーガイドによる圧延材の倒れ検出方法は、駆動シリンダ及び間隔調整機構を設けてあって、上記駆動シリンダが上記間隔調整機構を通じて圧延材を保持するための対のガイドローラーの間隔を調整可能であるローラーガイド、上記対のガイドローラーの情報を検出する検出手段及び検出結果を計測する制御手段を用いるものであり、上記対のガイドローラー間に進入した際に生じる圧延材の押圧力により、ガイドローラーの間隔が押し広げられて、検出手段によって上記のガイドローラーの保持力を検出し、検出結果を制御手段によって計測し、上記のガイドローラーの保持力に対応する計測値が予め調整してあるガイドローラーの保持力の閾値を超えたとき、圧延材に倒れが発生したと判定し、圧延材の倒れ警報として通知することにある。
本発明に係る第3のローラーガイドによる圧延材の倒れ検出方法は、駆動シリンダ及び間隔調整機構を設けてあって、上記駆動シリンダが上記間隔調整機構を通じて圧延材を保持するための対のガイドローラーの間隔を調整可能であるローラーガイド、上記対のガイドローラーの情報を検出する検出手段及び検出結果を計測する制御手段を用いるものであり、上記対のガイドローラー間に進入した際に生じる圧延材の押圧力により、ガイドローラーの間隔が押し広げられて、検出手段によって上記のガイドローラーの間隔及び保持力を検出し、検出結果を制御手段によって計測し、上記ガイドローラーの間隔及び保持力に対応する計測値が予め調整してあるガイドローラーの間隔及び保持力の閾値を超えたときに、圧延材に倒れが発生したと判定し、圧延材の倒れ警報として通知することにある。
このように、本願発明のローラーガイドによる圧延材の倒れ検出方法において、検出の対象となる対のガイドローラーの情報はガイドローラーの間隔、ガイドローラーの保持力並びにガイドローラーの間隔及び保持力を含むものである。予め設定されているガイドローラーの間隔及び保持力の閾値の双方又は一方と、検出され計測されたガイドローラーの間隔及び保持力に対応する計測値の双方又は一方とを比較することによって、比較値が上記閾値を超えた場合に圧延材の倒れ発生を通知する。
上記ローラーガイドにはガイドボックスに上記対のガイドローラーを設けているものと、対のガイドローラーをローラーホルダーを介して設けているものの双方がある。対のガイドローラーの間隔及び保持力の調整は上記駆動シリンダによってかつ間隔調整機構を介して調整される。上記位置検出器は上記駆動シリンダのピストンの位置を検出可能であると共に上記制御部に電気的に接続されている。上記圧力検出器は上記駆動シリンダのピストンの移動に伴う作動油の油圧を検出可能であると共に上記制御部に電気的に接続されている。上記制御部は、予め調整されている上記ガイドローラーの情報(間隔及び保持力の双方又はその一方)に対応する閾値と、上記位置検出器及び上記圧力検出器の双方又はその一方によって検出された上記ピストンの移動に対応する上記ガイドローラーの間隔及び保持力の双方又はその一方の計測値とを比較することができ、計測値が上記閾値を超えた場合に圧延材の倒れを検出したとして警報を出すことができる。
本発明の検出方法は、検出装置S1を構成しているローラーガイド1と、検出手段である位置検出器2及び圧力検出器3と、油圧回路4及びこの油圧回路に組み込んである制御部5とを用いて圧延材の倒れを検出するものである。
ローラーガイド1は、誘導する圧延材を所定の保持力で保持するための対のガイドローラー13を設けてある。対のガイドローラー13の間隔及び保持力は、油圧回路4によって作動する駆動シリンダ14を介して調整可能である。そして上記間隔及び保持力は、圧延材寸法に合わせて、予め所定の閾値に設定されている。
ガイドローラー13間に進入した際に、各ガイドローラーが受ける圧延材からの押圧力によって、ガイドローラーの間隔が押し広げられた時、ガイドローラーの間隔を位置検出器2で検出し及び上記押圧力によって押し広げられるガイドローラーの保持力を圧力検出器3で検出し、検出結果を制御部5で計測すると共に、計測値と設定されている閾値とを比較して、これらの計測値が、予め調整されたガイドローラーの間隔の閾値及びガイドローラーの保持力の閾値の双方を越えた場合に、圧延材に倒れが生じたものと判定し、圧延材倒れ警報として通知する。通知することにより、圧延材の倒れを検出する。検出後に、ガイドローラー13の間隔及び保持力を上記圧延材の倒れを抑制可能なものに調整する。
当該検出方法の基本的構成は、前記検出方法のそれと共通するので、相違点のみ説明する。
この検出方法では、位置検出器2又は圧力検出器3のいずれか一方を選択するものであり、検出の対象はガイドローラーの間隔又は押圧力によって押し広げられるガイドローラーの保持力である。
ガイドローラー13間に進入した際に生じる圧延材からの押圧力によって、ガイドローラーの間隔が押し広げられた時、ガイドローラーの間隔を位置検出器2で検出し又は上記押圧力によって押し広げられるガイドローラーの保持力を圧力検出器3で検出し、検出結果を制御部5で計測し、計測値と設定されている閾値とを比較して、計測値が、予め調整されたガイドローラーの間隔の閾値及びガイドローラーの保持力の閾値のいずれか一方を越えた場合に、圧延材に倒れが生じたものと判定し、圧延材倒れ警報として通知する。
この検出方法では、位置検出器2及び圧力検出器3の双方を機能させて、双方の検出に基づく計測値のどちらかを選択するものと、位置検出器及び圧力検出器の一方を機能させ、他方を機能させることなく、一方の検出に基づく計測値のどちらかを選択するものとを含む。後者の方法には、位置検出器2及び圧力検出器3のいずれか一方を設置していない場合も含まれる。
ローラーガイドによる圧延材の倒れ検出装置S1は、ローラーガイド1、検出手段である位置検出器2及び圧力検出器3、油圧回路4並びにこの油圧回路に組み込んである制御部5を備えている。
ガイドボックス11には、対のガイドローラー13の間隔及び保持力を調整可能にするための駆動シリンダ14を設けてある。駆動シリンダ14の一端部(図2右端部)側から突出しているピストン14aの一端部14a1側には平歯車15を取り付けてある。平歯車15は、偏芯ローラーピン12に設けてあるギア12bに歯合している。
平歯車15は、ピストン14aの前後方向(図2左右方向)の移動によって前後し、この移動に伴って対のギア12bが対向側(閉方向)に又はその反対側(開方向)に回転するから、ガイドローラー13間が開閉され、その間隔が調整される。偏芯ローラーピン12、ギア12b及び平歯車15は、ガイドローラー13の間隔調整機構を構成している。
このように、制御部5の制御に基づいて駆動シリンダ14を通じてガイドローラー13の間隔及びその保持力が調整可能となる。
ガイドローラー13の間隔の閾値及びガイドローラーの保持力の閾値は、油圧回路4、駆動シリンダ14及び制御部5を通じて、圧延材の倒れが発生する状況に応じて変更し、常に適切な閾値に調整することができる。
ローラーガイド1のガイドローラー13は、ローラー間に進入した圧延材を所定の値の保持力で保持しながら誘導する。圧延材がガイドローラー13の間で倒れが発生した場合には、ガイドローラーの間隔が押し広げられる。ガイドローラー13の間隔が開くと、ギア12bは互いに反対側に回転し、このギアに歯合している駆動シリンダ14のピストン14aが押出されて平歯車15が前進(図2右側へ移動)する。このため、ガイドローラーの間隔の変化は駆動シリンダ14のピストン14aの移動距離を検出する位置検出器2を通じて制御部5に伝えられ、上記移動距離が計測される。同時に、ガイドローラー13の保持力の変化はピストン14aの移動に伴って駆動シリンダ14の先端側に接続されているポンプ側油圧路4aに所定圧で作動油が流れるので、圧力検出器3を通じて制御部5に伝えられ、作動油の圧力が計測される。
計測に基づく圧延材の倒れ判定は下記のいずれかを選択する。
第1は、制御部5において、上記ガイドローラー13の間隔の変化に基づく計測値と、圧延材寸法に合わせて、予め任意の所要値に設定してある対のガイドローラー13の間隔の閾値とを比較し、計測値がこの閾値を超えた場合に、圧延材に倒れが発生したと判定して、圧延材の倒れ警報として通知する。
第2は、制御部5において、上記ガイドローラー13の保持力の変化に基づく計測値と、圧延材寸法に合わせて、予め任意の所要値に設定してある対のガイドローラー13の保持力の閾値とを比較し、計測値がこの閾値を超えた場合に、圧延材に倒れが発生したと判定して、圧延材の倒れ警報として通知する。
第3は、上記ガイドローラー13の間隔及び保持力の変化に基づく各計測値と、圧延材寸法に合わせて、予め任意の所要値に設定してある対のガイドローラー13の間隔の閾値及び保持力の閾値をそれぞれ比較し、各計測値が比較対象となる各閾値を超えた場合に、圧延材に倒れが発生したと判定して、圧延材の倒れ警報として通知する。
図5に示すローラーガイドによる圧延材の倒れ検出装置S2は、図1に示すローラーガイドによる圧延材の倒れ検出装置S1とその基本構成及び作用並びに使用方法に関して共通しているので、相違点を説明し、共通点については必要に応じて説明する。
また、ガイドボックス111には駆動シリンダ114を設けてある。駆動シリンダ114は、停止位置を調整することができるピストン114aを備えている。ピストン114aは、その一端部側(図5右端部側)でテーパースライダー機構121を作動可能である。テーパースライダー機構121を構成している対のテーパースライダー122は、プレッシャーローラー119に当接している。テーパースライダー122は、ガイドボックス111に支持されてターンバックル123に取り付けられている。ターンバックル123は保持体124に設けられている。
このため、両テーパースライダー122は、ターンバックル123の操作によって接触しているプレッシャーローラー119を介して対のローラーホルダー118を開閉可能にし、ガイドローラー113の間隔調整が可能となる。
また、駆動シリンダ114のピストン114aの一端部側はターンバックル123を保持している保持体124に接続されている。保持体124は、駆動シリンダ114のピストン114aに接続されている。
駆動シリンダ114のピストン114aの前後方向(図5左右方向)の移動によって前後し、テーパースライダー122も同一方向に移動し、この移動に伴ってプレッシャーローラー119を介してローラーホルダー118が支点ピン117を中心として互いに反対側(開方向)又はその対向側(閉方向)に回転するから、ガイドローラー113間が開閉され、その間隔が調整される。
プレッシャーローラー119、テーパースライダー122及びターンバックル123はガイドローラー113の間隔調整機構を構成している。
図4に示す切換え弁141、流量調整弁142、逆止弁143及びリリーフ弁144は、図1に示す切換え弁41、流量調整弁42、逆止弁43及びリリーフ弁44にそれぞれ対応している。
圧延材寸法に合わせて予め所要値に設定してあるガイドローラー113の間隔の閾値及びガイドローラー保持力の閾値の両方、又はいずれか一方の閾値と計測値を比較して、計測値が閾値を超えた場合に、圧延材に倒れが発生したと判定して、制御部105により、圧延材の倒れ警報として通知して、圧延材の倒れを防止する。
1,101 ローラーガイド
11,111 ガイドボックス
119 プレッシャーローラー(間隔調整機構)
12 偏芯ローラーピン(間隔調整機構)
12b ギア(間隔調整機構)
122 テーパースライダー(間隔調整機構)
123 ターンバックル(間隔調整機構)
13,113 ガイドローラー
14,114 駆動シリンダ
14a,114a ピストン
15 平歯車(間隔調整機構)
2,102 位置検出器
3,103 圧力検出器
4,104 油圧回路
4a,104a ポンプ側油圧路
4b,104b タンク側油圧路
5,105 制御部(制御手段)
Claims (6)
- 駆動シリンダ及び間隔調整機構を設けてあって、上記駆動シリンダが上記間隔調整機構を通じて圧延材を保持するための対のガイドローラーの間隔を調整可能であるローラーガイドと、上記対のガイドローラーの情報を検出する検出手段及び検出結果を計測する制御手段を用いるものであり、
予め設定されている上記対のガイドローラーの情報に基づく閾値と、上記対のガイドローラー間に進入した圧延材からの押圧力による上記ガイドローラーの間隔が押し広げられることによる上記ガイドローラーの情報を上記検出手段が検出し、その検出結果を制御手段で計測し、計測値と上記閾値とを比較して、上記計測値が上記閾値を超えたときに、圧延材に倒れが発生したと判定し、圧延材の倒れ警報として通知するものであり、
上記情報は、上記対のガイドローラーの間隔及び保持力のうち少なくともいずれか一方である
ことを特徴とするローラーガイドによる圧延材の倒れ検出方法。 - 情報は、対のガイドローラーの間隔及び保持力の双方であることを特徴とする請求項1記載のローラーガイドによる圧延材の倒れ検出方法。
- ガイドボックス、このガイドボックスに配置してある圧延材を保持するための対のガイドローラー、ピストンを有する駆動シリンダ及び間隔調整機構を備えているローラーガイドと、上記駆動シリンダに接続しかつ、上記対のガイドローラーの情報を検出する検出手段と、
上記駆動シリンダを駆動するため油圧回路と、
上記油圧回路及び上記検出手段にそれぞれ接続されている制御部と
を備えており、
上記駆動シリンダは、上記間隔調整機構を通じて上記ガイドローラーの間隔を調整可能のものであり、
上記制御部は、上記検出手段によって検出された検出結果を計測してその計測値と、予め設定されている上記対のガイドローラーの情報に基づく閾値とを比較して、この計測値が上記閾値を超えた場合に圧延材の倒れを検出したとして通知することができるものである
ことを特徴とするローラーガイドによる圧延材の倒れ検出装置。 - 検出手段は、位置検出器及び圧力検出器の双方を含み、上記位置検出器は駆動シリンダに設けてあり、上記圧力検出器は上記駆動シリンダに接続している油圧回路のポンプ側油圧路に組み込んであることを特徴とする請求項3記載のローラーガイドによる圧延材の倒れ検出装置。
- 検出手段は位置検出器であり、上記位置検出器は駆動シリンダに設けてあることを特徴とする請求項3記載のローラーガイドによる圧延材の倒れ検出装置。
- 検出手段は圧力検出器であり、上記圧力検出器は上記駆動シリンダに接続されている油圧回路のポンプ側油圧路に組み込んであることを特徴とする請求項3記載のローラーガイドによる圧延材の倒れ検出装置。
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