JP5503714B2 - 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法 - Google Patents
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Description
金属基板の表面に配向性のセラミックス層を有し、前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を有していることを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材である。
前記非配向性のセラミックス層の厚さが、前記配向性のセラミックス層の厚さに対して50〜300%の厚さであることを特徴とする第1の技術に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
前記非配向性のセラミックス層を形成するセラミックスが、CeO2、YSZ、Y2O3、Al2O3、ZrO2のいずれかであることを特徴とする第1の技術または第2の技術に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層が形成された前記金属基板を前記成膜装置から取り出して冷却する工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層を形成した後、前記金属基板を前記成膜装置から取り出すことなく、加熱したときの温度をそのまま保持した状態で次工程に移す工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
第4の技術または第5の技術に記載の薄膜超電導線材用金属基材の製造方法を用いて製造された前記薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミックス層の表面に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を有することを特徴とする薄膜超電導線材の製造方法である。
金属基板の表面に配向性のセラミックス層を有し、前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を有しており、
前記配向性のセラミックス層の厚さが、0.1〜2μmであり、
前記非配向性のセラミックス層の厚さが、前記配向性のセラミックス層の厚さに対して50〜300%の厚さであり、
前記配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、10.3〜14×10−6 /Kであり、
前記非配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、6.5〜9.2×10−6 /Kである
ことを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材である。
前記非配向性のセラミックス層を形成するセラミックスが、CeO2、Y2O3、Al2O3、ZrO2のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
前記金属基板の幅が2cm以上であって、幅方向に反りがないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層が形成された前記金属基板を前記成膜装置から取り出して冷却する工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラ
ミックス層を形成した後、前記金属基板を前記成膜装置から取り出すことなく、加熱したときの温度をそのまま保持した状態で次工程に移す工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
請求項4または請求項5に記載の薄膜超電導線材用金属基材の製造方法を用いて製造された前記薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミックス層の表面に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を有することを特徴とする薄膜超電導線材の製造方法である。
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミック層の表面に酸化物超電導薄膜が成膜されていることを特徴とする薄膜超電導線材である。
はじめに、本発明における薄膜超電導線材の構造について、図1を用いて説明する。なお、図1は本発明における薄膜超電導線材の構成を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明における薄膜超電導線材2は、金属基板10の表裏面のそれぞれに、配向性のセラミックス層からなる中間層20と非配向性のセラミックス層からなるダミー層50が形成されてなる薄膜超電導線材用金属基材1、中間層20の上に形成された酸化物超電導層30および酸化物超電導層30の上に形成された安定化層40で構成されている。
(a)金属基板
金属基板10としては、厚さが20〜200μmであって、幅が3cm以上、例えば幅5cmのテープ状の配向金属基板が好ましく用いられ、具体的には、例えば、SUS(熱膨張係数:16.0〜20×10−6 /K)、Ni、Ni合金、Ni/Cu/SUSクラッド等からなる配向金属基板が好ましく用いられる。
中間層20としては、厚さが0.1〜2μmであって、例えば、2軸配向させたCeO2単層(熱膨張係数:10.5〜14×10−6 /K)からなる中間層や、第1のCeO2層21、YSZ層22(熱膨張係数:10.3×10−6 /K)および第2のCeO2層23の3層からなる中間層が好ましく用いられる。
ダミー層50としては、Al2O3(熱膨張係数:6.5〜7.0×10−6 /K)、YSZ、Y2O3(熱膨張係数:8.1×10−6 /K)、ZrO2(熱膨張係数:9.2×10−6 /K)等からなる非配向性のセラミックス層が好ましく用いられる。
酸化物超電導層30は、厚さが0.1〜5μmであって、レア・アース系酸化物超電導体(REBa2Cu3OX RE:希土類元素およびイットリウム、x:6〜7.5)からなる層であり、例えばYBCO(YBa2Cu3OX)(面内方向の熱膨張係数:a7.4×10−6 /K、b9.6×10−6 /K)等が挙げられる。
安定化層40は、厚さが0.1〜100μmであって、AgまたはCuからなる層が好ましく用いられる。
次に、本発明における薄膜超電導線材の製造方法について、図2を用いて説明する。なお、図2は本発明における薄膜超電導線材の製造工程を示す図である。
まず、金属基板準備工程において、SUS316L等のSUS(ステンレス鋼)や配向性ニッケル合金などからなるテープ状の配向金属基板10を準備する。
次に、中間層形成工程において、配向金属基板10の表面に、パルスレーザー蒸着法(PLD法)等の公知の方法を用いて中間層20を形成する。
次に、ダミー層形成工程において、中間層20が形成された配向金属基板10を裏返して成膜装置にセットし、中間層20の形成と同様にして、配向金属基板10の裏面にダミー層50を形成する。
以上により、薄膜超電導線材用金属基材1が製造される。
次に、酸化物超電導層形成工程において、中間層20の上にPLD法等の公知の方法を用いて酸化物超電導層30を形成する。
次に、安定化層形成工程において、酸化物超電導層30の上にPLD法等の公知の方法を用いて、AgやCu等からなる安定化層40を形成する。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)薄膜超電導線材用金属基材の作製
イ.配向金属基板の準備および中間層(配向性のセラミックス層)の形成
まず、長尺のテープ状のSUS316L(ステンレス鋼)を配向金属基板10として、幅3cm×厚さ100μmで長さが1mの配向金属基板10を準備した。
そして、中間層20が形成された配向金属基板10を成膜装置から取り出して室温まで冷却した。このとき、配向金属基板10は、図3に示すように、中間層20を上にした場合、逆U字状の反りを発生した。この反りの大きさAを測定したところ、3mmであった。
次に、この表面に中間層20が形成された配向金属基板10を裏返して、再び、成膜装置内にセットして800℃(中間層20を形成した時と同じ温度)に加熱した。そして、この状態で、中間層の形成と同様に、RFスパッタ法を用いて、厚さ0.4μmの非配向性のAl2O3層を形成し、ダミー層50とした。これにより、薄膜超電導線材用金属基材1が作製された。
作製した薄膜超電導線材用金属基材1を成膜装置から取り出して室温まで冷却し、前回と同様の方法にて反りの大きさAを測定したところ、1mm以下であり、反りが解消されて平らに近い状態にあることが確認された。
次に、薄膜超電導線材用金属基材1の中間層20上に、PLD法により厚さが2μmのGdBCOからなる酸化物超電導層30を形成し、さらに、酸化物超電導層30の上に厚さ8μmのAg製の安定化層を形成し、幅3cm、長さ1mの薄膜超電導線材2を作製した。
配向金属基板の幅が1cmであり、ダミー層を設けなかったこと以外は、実施例と同様にして超電導線材を作製した。なお、幅1cmの超電導線材では、反りの影響は問題にならない。
イ.測定方法
77K、自己磁場下において実施例および比較例の超電導線材の臨界電流値Icを測定した。
測定結果を表1に示す。なお、表1では、Icとして、測定値の他に、1cm幅あたりの値を併せて示している。
2 薄膜超電導線材
10 配向金属基板
20 中間層
21 第1のCeO2層
22 YSZ層
23 第2のCeO2層
30 酸化物超電導層
40 安定化層
50 ダミー層
Claims (7)
- 金属基板の表面に配向性のセラミックス層を有し、前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を有しており、
前記配向性のセラミックス層の厚さが、0.1〜2μmであり、
前記非配向性のセラミックス層の厚さが、前記配向性のセラミックス層の厚さに対して50〜300%の厚さであり、
前記配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、10.3〜14×10−6 /Kであり、
前記非配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、6.5〜9.2×10−6 /Kである
ことを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材。 - 前記非配向性のセラミックス層を形成するセラミックスが、CeO2、Y2O3、Al2O3、ZrO2のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜超電導線材用金属基材。
- 前記金属基板の幅が2cm以上であって、幅方向に反りがないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜超電導線材用金属基材。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラ
ミックス層が形成された前記金属基板を前記成膜装置から取り出して冷却する工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層を形成した後、前記金属基板を前記成膜装置から取り出すことなく、加熱したときの温度をそのまま保持した状態で次工程に移す工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法。 - 請求項4または請求項5に記載の薄膜超電導線材用金属基材の製造方法を用いて製造された前記薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミックス層の表面に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を有することを特徴とする薄膜超電導線材の製造方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミック層の表面に酸化物超電導薄膜が成膜されていることを特徴とする薄膜超電導線材。
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