JP5503714B2 - 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法 - Google Patents

薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5503714B2
JP5503714B2 JP2012239024A JP2012239024A JP5503714B2 JP 5503714 B2 JP5503714 B2 JP 5503714B2 JP 2012239024 A JP2012239024 A JP 2012239024A JP 2012239024 A JP2012239024 A JP 2012239024A JP 5503714 B2 JP5503714 B2 JP 5503714B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal substrate
thin film
ceramic layer
layer
superconducting wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012239024A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013055061A (ja
Inventor
優樹 新海
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
International Superconductivity Technology Center
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
International Superconductivity Technology Center
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2009266406A priority Critical patent/JP2011113662A/ja
Application filed by International Superconductivity Technology Center, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical International Superconductivity Technology Center
Priority to JP2012239024A priority patent/JP5503714B2/ja
Publication of JP2013055061A publication Critical patent/JP2013055061A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5503714B2 publication Critical patent/JP5503714B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Landscapes

  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

本発明は、薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法に関する。
高温超電導体の発見以来、ケーブル、コイル、マグネットなどの電力機器への応用を目指した薄膜超電導線材の開発が精力的に行われている。このような薄膜超電導線材は、一般に、金属基板上に配向性のセラミックス層を中間層として形成して金属基材とし、さらに、酸化物超電導層、安定化層を順次積層することにより得られている(特許文献1、2)。
上記において、中間層である配向性のセラミックス層を形成するために用いられる材料はCeOやYSZ等のセラミックスであり、金属基板と比べて熱膨張係数が遙かに小さく、金属基板との密着性や結晶性を考慮して、高温で成膜処理することにより金属基板上へ中間層として形成される。
中間層が形成された金属基板、即ち金属基材は、その後、室温まで冷却されるが、この際、前記した熱膨張係数の相違により、金属基板と中間層との間で熱収縮差を生じるため、図3に示すように、中間層を上にした場合逆U字状に反りを生じる。
近年、薄膜超電導線材の生産性の向上を図る手段として、金属基材の幅広化が検討されている。また、薄膜超電導線材の強度は主として金属基板が担うため、金属基板の強度が重要となる。
しかしながら、幅広(具体的には、2cm以上)で強度の高い金属基板を用いて超電導線材を作製すると、幅の狭い超電導線材では問題とならなかった反りの存在が大きな問題となり、その後の酸化物超電導層形成工程、安定化層形成工程および薄膜超電導線材細線化工程において様々な不良の原因となっていた。
また、反りが発生した薄膜超電導線材は、曲がりにくくなるため、劣化しやすく、その後の工程において扱いにくくなる。
特開2007−80780号公報 特開2007−311234号公報
そこで、本発明は、幅広の金属基板上に中間層が形成された金属基材であっても、金属基板と中間層の熱収縮差による反りの発生を抑制することができ、その後の酸化物超電導層形成工程、安定化層形成工程および薄膜超電導線材細線化工程における不良の発生を抑制することができる薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題の解決につき鋭意検討の結果、従来のように、金属基板上に配向性のセラミックス層を形成して金属基材とするのではなく、さらにその裏面側にも非配向性のセラミックス層をダミー層として設けて金属基材とすることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に関連する第1の技術は、
金属基板の表面に配向性のセラミックス層を有し、前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を有していることを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材である。
第1の技術においては、金属基板の表面に金属基板より熱膨張係数が小さいセラミックス層(中間層)を設けるだけでなく、裏面にも金属基板より熱膨張係数が小さいセラミックス層をダミー層として設けて金属基材としているため、室温まで冷却する際に、金属基板の表面側と裏面側とに形成されたセラミックス層との間で、さらには、中間層および酸化物超電導層の表面側の各セラミックス層と裏面側のセラミックス層との間で、バランスよく金属基材の反りの発生を抑制することができる。
そして、第1の技術においては、セラミックスを用いてダミー層を形成しているため、中間層を形成する際に用いた成膜装置を用いてダミー層を形成することができ、生産コストを抑えることができる。
また、このダミー層の上には超電導層の形成が行われないため、ダミー層は非配向性のセラミックス層で充分であり、配向処理を必要としない分、さらに生産コストを抑えることができる。
本発明に関連する第2の技術は、
前記非配向性のセラミックス層の厚さが、前記配向性のセラミックス層の厚さに対して50〜300%の厚さであることを特徴とする第1の技術に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
非配向性のセラミックス層の厚さは、金属基材上に形成される酸化物超電導層の厚さを見込み、前記セラミックスの熱膨張係数を考慮して適宜設定すればよいが、配向性のセラミックス層(中間層)に対して50〜300%の厚さであれば、反りの発生を充分に抑制することができ好ましい。
本発明に関連する第3の技術は、
前記非配向性のセラミックス層を形成するセラミックスが、CeO、YSZ、Y、Al、ZrOのいずれかであることを特徴とする第1の技術または第2の技術に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
非配向性のセラミックス層を形成するセラミックスとしては、バランスよく金属基材の反りの発生を抑制することができるセラミックスであれば、特に限定はされないが、CeOやYSZは表面側のセラミックス層の形成にも用いられる材料であり、Yは酸化物超電導層の一種であるYBCOの形成にも用いられる材料であるため、材料を準備する手間が掛からず、生産コストを抑えることができる。また、AlやZrOは、安価に調達可能な材料でありながら熱膨張係数も充分に小さいため、生産コストを抑えることができる。なお、これらのセラミックスを複数選択して、積層されたセラミックス層を形成してもよい。
本発明に関連する第4の技術は、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層が形成された前記金属基板を前記成膜装置から取り出して冷却する工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
第4の技術においては、配向性のセラミックス層(中間層)の形成と、非配向性のセラミックス層(ダミー層)形成を同じ成膜装置を用いて行い、それぞれの形成工程に特殊な製造設備を必要としないため、生産コストを抑えることができる。
具体的には、成膜装置内で配向性(または非配向性)のセラミックス層を形成した後、取り出して冷却した後、金属基板を裏返して再び成膜装置にセットして、非配向性(または配向性)のセラミックス層を形成する。
このように、第4の技術によれば、片面に配向性または非配向性のセラミックス層が形成された金属基板を裏返して同じ成膜装置に再びセットするという極めて簡便な方法を用いることにより、極めて容易に、金属基板の両面に中間層およびダミー層を形成することができる。
そして、このように作製された金属基材は、金属基板の表面に配向性のセラミックス層(中間層)が形成され、また裏面には非配向性のセラミックス層(ダミー層)が形成されているため、バランスよく金属基材の反りの発生を抑制することができる。
なお、金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程の順序については、いずれを先としても上記した基本的な効果は変わらないが、良質な配向性を有した中間層を得るという点から、配向性のセラミックス層より成膜する方が好ましい。
本発明に関連する第5の技術は、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層を形成した後、前記金属基板を前記成膜装置から取り出すことなく、加熱したときの温度をそのまま保持した状態で次工程に移す工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
第5の技術においては、配向性(または非配向性)のセラミックス層を形成した後、金属基板を成膜装置から取り出すことなく、加熱したときの温度をそのまま保持した状態で次工程、即ち、非配向性(または配向性)のセラミックス層を形成する工程に移しているため、エネルギーコストの無駄を省くことができ、生産コストを抑えることができる。また冷却工程を有しないため、生産速度を向上させることができ、生産性を向上させることができる。なお、ターゲットを金属基板を挟んで両側に配置して、両面を同時に成膜してもよい。
本発明に関連する第6の技術は、
第4の技術または第5の技術に記載の薄膜超電導線材用金属基材の製造方法を用いて製造された前記薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミックス層の表面に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を有することを特徴とする薄膜超電導線材の製造方法である。
第6の技術においては、バランスよく反りの発生を抑制することができる金属基材上に、酸化物超電導層を形成して薄膜超電導線材を作製しているため、その後の安定化層成膜工程、細線化工程における不良の発生を抑制することができる。
本発明は、以上の技術に基づくものであり、各請求項の発明は以下の通りである。
即ち、請求項1に記載の発明は、
金属基板の表面に配向性のセラミックス層を有し、前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を有しており、
前記配向性のセラミックス層の厚さが、0.1〜2μmであり、
前記非配向性のセラミックス層の厚さが、前記配向性のセラミックス層の厚さに対して50〜300%の厚さであり、
前記配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、10.3〜14×10−6 /Kであり、
前記非配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、6.5〜9.2×10−6 /Kである
ことを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材である。
請求項2に記載の発明は、
前記非配向性のセラミックス層を形成するセラミックスが、CeO、Y、Al、ZrOのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
請求項3に記載の発明は、
前記金属基板の幅が2cm以上であって、幅方向に反りがないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜超電導線材用金属基材である。
請求項4に記載の発明は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層が形成された前記金属基板を前記成膜装置から取り出して冷却する工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラ
ミックス層を形成した後、前記金属基板を前記成膜装置から取り出すことなく、加熱したときの温度をそのまま保持した状態で次工程に移す工程と
を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法である。
請求項6に記載の発明は、
請求項4または請求項5に記載の薄膜超電導線材用金属基材の製造方法を用いて製造された前記薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミックス層の表面に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を有することを特徴とする薄膜超電導線材の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミック層の表面に酸化物超電導薄膜が成膜されていることを特徴とする薄膜超電導線材である。
本発明により、幅広の金属基板上に中間層が形成された金属基材であっても、金属基板と中間層の熱収縮差による反りの発生を抑制することができ、その後の酸化物超電導層形成工程、安定化層形成工程および薄膜超電導線材細線化工程における不良の発生を抑制することができる薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法を提供することができる。
本発明における薄膜超電導線材の構成を示す概略断面図である。 本発明における薄膜超電導線材の製造工程を示す図である。 薄膜超電導線材用金属基材が反った状態を示す図である。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1.薄膜超電導線材の構造
はじめに、本発明における薄膜超電導線材の構造について、図1を用いて説明する。なお、図1は本発明における薄膜超電導線材の構成を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明における薄膜超電導線材2は、金属基板10の表裏面のそれぞれに、配向性のセラミックス層からなる中間層20と非配向性のセラミックス層からなるダミー層50が形成されてなる薄膜超電導線材用金属基材1、中間層20の上に形成された酸化物超電導層30および酸化物超電導層30の上に形成された安定化層40で構成されている。
(1)薄膜超電導線材用金属基材
(a)金属基板
金属基板10としては、厚さが20〜200μmであって、幅が3cm以上、例えば幅5cmのテープ状の配向金属基板が好ましく用いられ、具体的には、例えば、SUS(熱膨張係数:16.0〜20×10−6 /K)、Ni、Ni合金、Ni/Cu/SUSクラッド等からなる配向金属基板が好ましく用いられる。
(b)中間層
中間層20としては、厚さが0.1〜2μmであって、例えば、2軸配向させたCeO単層(熱膨張係数:10.5〜14×10−6 /K)からなる中間層や、第1のCeO層21、YSZ層22(熱膨張係数:10.3×10−6 /K)および第2のCeO層23の3層からなる中間層が好ましく用いられる。
(c)ダミー層
ダミー層50としては、Al(熱膨張係数:6.5〜7.0×10−6 /K)、YSZ、Y(熱膨張係数:8.1×10−6 /K)、ZrO(熱膨張係数:9.2×10−6 /K)等からなる非配向性のセラミックス層が好ましく用いられる。
なお、ダミー層の上には超電導層の形成を行わないため、非配向性のセラミックス層で充分であり、生産コストを抑えることができる。そして、ダミー層50の厚さとしては、中間層20の上に形成される酸化物超電導層の厚さを見込み、セラミックスの熱膨張係数を考慮して適宜設定すればよく、中間層20に対して50〜300%の厚さが好ましい。
(2)酸化物超電導層
酸化物超電導層30は、厚さが0.1〜5μmであって、レア・アース系酸化物超電導体(REBaCu RE:希土類元素およびイットリウム、x:6〜7.5)からなる層であり、例えばYBCO(YBaCu)(面内方向の熱膨張係数:a7.4×10−6 /K、b9.6×10−6 /K)等が挙げられる。
(3)安定化層
安定化層40は、厚さが0.1〜100μmであって、AgまたはCuからなる層が好ましく用いられる。
2.薄膜超電導線材の製造方法
次に、本発明における薄膜超電導線材の製造方法について、図2を用いて説明する。なお、図2は本発明における薄膜超電導線材の製造工程を示す図である。
(1)金属基板準備工程
まず、金属基板準備工程において、SUS316L等のSUS(ステンレス鋼)や配向性ニッケル合金などからなるテープ状の配向金属基板10を準備する。
(2)中間層形成工程
次に、中間層形成工程において、配向金属基板10の表面に、パルスレーザー蒸着法(PLD法)等の公知の方法を用いて中間層20を形成する。
(3)ダミー層形成工程
次に、ダミー層形成工程において、中間層20が形成された配向金属基板10を裏返して成膜装置にセットし、中間層20の形成と同様にして、配向金属基板10の裏面にダミー層50を形成する。
以上により、薄膜超電導線材用金属基材1が製造される。
(4)酸化物超電導層形成工程
次に、酸化物超電導層形成工程において、中間層20の上にPLD法等の公知の方法を用いて酸化物超電導層30を形成する。
(5)安定化層形成工程
次に、安定化層形成工程において、酸化物超電導層30の上にPLD法等の公知の方法を用いて、AgやCu等からなる安定化層40を形成する。
安定化層形成後、所定の幅にスリット加工が施されて、薄膜超電導線材2が製造される。
(実施例)
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)薄膜超電導線材用金属基材の作製
イ.配向金属基板の準備および中間層(配向性のセラミックス層)の形成
まず、長尺のテープ状のSUS316L(ステンレス鋼)を配向金属基板10として、幅3cm×厚さ100μmで長さが1mの配向金属基板10を準備した。
次に、この配向金属基板10を成膜装置内にセットして800℃に加熱し、配向金属基板10の表面に、RFスパッタ法を用いて、第1のCeO層21(厚さ:0.15μm)、YSZ層22(厚さ:0.25μm)、第2のCeO層23(厚さ:0.8μm)を順次形成し、総厚0.48μm(480nm)の3層構造の中間層20を形成した。
ロ.中間層形成後の反りの測定
そして、中間層20が形成された配向金属基板10を成膜装置から取り出して室温まで冷却した。このとき、配向金属基板10は、図3に示すように、中間層20を上にした場合、逆U字状の反りを発生した。この反りの大きさAを測定したところ、3mmであった。
ハ.ダミー層(非配向性のセラミックス層)の形成
次に、この表面に中間層20が形成された配向金属基板10を裏返して、再び、成膜装置内にセットして800℃(中間層20を形成した時と同じ温度)に加熱した。そして、この状態で、中間層の形成と同様に、RFスパッタ法を用いて、厚さ0.4μmの非配向性のAl層を形成し、ダミー層50とした。これにより、薄膜超電導線材用金属基材1が作製された。
ニ.薄膜超電導線材用金属基材の反りの測定
作製した薄膜超電導線材用金属基材1を成膜装置から取り出して室温まで冷却し、前回と同様の方法にて反りの大きさAを測定したところ、1mm以下であり、反りが解消されて平らに近い状態にあることが確認された。
(2)薄膜超電導線材の作製
次に、薄膜超電導線材用金属基材1の中間層20上に、PLD法により厚さが2μmのGdBCOからなる酸化物超電導層30を形成し、さらに、酸化物超電導層30の上に厚さ8μmのAg製の安定化層を形成し、幅3cm、長さ1mの薄膜超電導線材2を作製した。
(比較例)
配向金属基板の幅が1cmであり、ダミー層を設けなかったこと以外は、実施例と同様にして超電導線材を作製した。なお、幅1cmの超電導線材では、反りの影響は問題にならない。
(3)超電導特性の測定
イ.測定方法
77K、自己磁場下において実施例および比較例の超電導線材の臨界電流値Icを測定した。
ロ.測定結果
測定結果を表1に示す。なお、表1では、Icとして、測定値の他に、1cm幅あたりの値を併せて示している。
Figure 0005503714
表1に示す結果から、実施例で得られた薄膜超電導線材では、1cm幅あたりのIcは、反りの影響が問題にならない比較例とほぼ同等であり、良好なIcを発揮することが分かる。
1 薄膜超電導線材用金属基材
2 薄膜超電導線材
10 配向金属基板
20 中間層
21 第1のCeO
22 YSZ層
23 第2のCeO
30 酸化物超電導層
40 安定化層
50 ダミー層

Claims (7)

  1. 金属基板の表面に配向性のセラミックス層を有し、前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を有しており、
    前記配向性のセラミックス層の厚さが、0.1〜2μmであり、
    前記非配向性のセラミックス層の厚さが、前記配向性のセラミックス層の厚さに対して50〜300%の厚さであり、
    前記配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、10.3〜14×10−6 /Kであり、
    前記非配向性のセラミックス層の熱膨張係数が、6.5〜9.2×10−6 /Kである
    ことを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材。
  2. 前記非配向性のセラミックス層を形成するセラミックスが、CeO、Y、Al、ZrOのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜超電導線材用金属基材。
  3. 前記金属基板の幅が2cm以上であって、幅方向に反りがないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜超電導線材用金属基材。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
    金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
    金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
    これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラ
    ミックス層が形成された前記金属基板を前記成膜装置から取り出して冷却する工程と
    を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材を製造する薄膜超電導線材用金属基材の製造方法であって、
    金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の表面に配向性のセラミックス層を形成する工程と、
    金属基板を成膜装置内で加熱して前記金属基板の裏面に非配向性のセラミックス層を形成する工程と、
    これらの工程の間に介在して、前記配向性のセラミックス層または前記非配向性のセラミックス層を形成した後、前記金属基板を前記成膜装置から取り出すことなく、加熱したときの温度をそのまま保持した状態で次工程に移す工程と
    を有することを特徴とする薄膜超電導線材用金属基材の製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の薄膜超電導線材用金属基材の製造方法を用いて製造された前記薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミックス層の表面に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を有することを特徴とする薄膜超電導線材の製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜超電導線材用金属基材の配向性のセラミック層の表面に酸化物超電導薄膜が成膜されていることを特徴とする薄膜超電導線材。
JP2012239024A 2009-11-24 2012-10-30 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法 Expired - Fee Related JP5503714B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009266406A JP2011113662A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法
JP2012239024A JP5503714B2 (ja) 2009-11-24 2012-10-30 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009266406A JP2011113662A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法
JP2012239024A JP5503714B2 (ja) 2009-11-24 2012-10-30 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009266406A Division JP2011113662A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013055061A JP2013055061A (ja) 2013-03-21
JP5503714B2 true JP5503714B2 (ja) 2014-05-28

Family

ID=92074437

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009266406A Pending JP2011113662A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法
JP2012239024A Expired - Fee Related JP5503714B2 (ja) 2009-11-24 2012-10-30 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009266406A Pending JP2011113662A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP2011113662A (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013083614A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Sumitomo Electric Ind Ltd 超電導線材の特性検査方法及び超電導線材の特性検査装置
WO2013157076A1 (ja) * 2012-04-17 2013-10-24 住友電気工業株式会社 薄膜超電導線材用金属基材とその製造方法および薄膜超電導線材
WO2015033380A1 (en) * 2013-09-09 2015-03-12 Superox Japan Llc Superconducting wire and method of fabricating the same
EP2980804A1 (de) * 2014-07-31 2016-02-03 Basf Se Vorprodukt sowie Verfahren zur Herstellung eines bandförmigen Hochtemperatursupraleiters
CN106024195B (zh) * 2016-05-20 2017-09-15 陕西国际商贸学院 一种尺寸可控的钨纳米点的制备方法
EP3282493B1 (de) * 2016-08-10 2020-03-11 Theva Dünnschichttechnik GmbH Hochtemperatur-supraleiter-bandleiter mit edelstahl-substrat

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3634078B2 (ja) * 1995-08-18 2005-03-30 株式会社フジクラ 酸化物超電導導体
JP4690246B2 (ja) * 2006-05-19 2011-06-01 住友電気工業株式会社 超電導薄膜材料およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013055061A (ja) 2013-03-21
JP2011113662A (ja) 2011-06-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5503714B2 (ja) 薄膜超電導線材用金属基材、その製造方法および薄膜超電導線材の製造方法
Ohki et al. Fabrication, microstructure and persistent current measurement of an intermediate grown superconducting (iGS) joint between REBCO-coated conductors
JP5806302B2 (ja) 交流損失を低減したマルチフィラメント超伝導体とその形成方法
KR102362674B1 (ko) 증가된 공학 전류 밀도들을 가지는 라미네이팅된 고온 초전도 배선들
US8043429B2 (en) Method for fabricating filament type high-temperature superconducting wire
JP2009507358A (ja) 高温超電導ワイヤ及びコイル
JP2008210600A (ja) 希土類系テープ状酸化物超電導体及びそれに用いる複合基板
JP2007115562A (ja) 希土類系テープ状酸化物超電導体及びその製造方法
Matsumoto et al. High critical current density YBa2Cu3O7− δ tapes prepared by the surface-oxidation epitaxy method
WO2007094146A1 (ja) 超電導薄膜材料の製造方法、超電導機器、および超電導薄膜材料
JP2006332577A (ja) 酸化物超伝導体コイル、酸化物超伝導体コイルの製造方法、酸化物超伝導体コイルの励磁方法、酸化物超伝導体コイルの冷却方法、及びマグネットシステム
JP5416924B2 (ja) 超電導線材及びその製造方法
US10158061B2 (en) Integrated superconductor device and method of fabrication
JP2003206134A (ja) 高温超電導厚膜部材およびその製造方法
US7445808B2 (en) Method of forming a superconducting article
JP2013030661A (ja) 超電導コイル
WO2011004842A1 (ja) 基板、基板の製造方法、超電導線材および超電導線材の製造方法
WO2013157076A1 (ja) 薄膜超電導線材用金属基材とその製造方法および薄膜超電導線材
JP5405069B2 (ja) テープ状酸化物超電導体及びそれに用いる基板
JP2012119125A (ja) 薄膜超電導線材用金属基材とその製造方法および薄膜超電導線材
JP2008130255A (ja) 超電導線材、およびその製造方法
JP6356046B2 (ja) 超電導線材の接続構造、超電導線材及び接続方法
JP5497412B2 (ja) 超電導薄膜線材の製造方法
JP2007109717A (ja) 超電導素子および超電導素子の製造方法
JP4619475B2 (ja) 酸化物超電導導体

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140310

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140314

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5503714

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees