JP5503406B2 - 車両制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特にアイスバーン走行時のスリップ防止に有効な車両制動装置に関する。
積雪地帯での車両走行において特にアイスバーンでスリップを起こしやすいことは良く知られている。アイスバーンでのスリップは、自動車等の車体の重量がタイヤを通して路面に伝わることによってその圧力で氷の表面が溶けて薄い水の膜を生じさせ、これがタイヤと氷との間で潤滑剤の作用を果たすことが主たる原因であると言われている。スタッドレスタイヤにおけるゴム質やトレッドパターンなどを含めて様々な工夫や開発が行われているものの、従前のスパイクタイヤに匹敵する性能を持たせることが困難であり、依然としてアイスバーンでのスリップ事故が後を絶たないのが現状である。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、特にアイスバーン走行時のスリップ防止に有効な車両制動装置を提供することである。
この課題を解決するため、本願請求項1に係る発明は、運転者のブレーキ操作に応答して水平軸(33)を中心に所定方向に回転する揺動アーム(40)と、この揺動アームの先端に架設される主軸(42)と、この主軸を中心に回転自在である制動ドラム(61)と、この制動ドラムの外周に設けられる爪(62)と、この爪を被覆する親水性材料からなるカバー(63)とを備え、ブレーキペダルが踏み込まれたときに前記揺動アームが前記所定方向に回転して、カバーが接地して路面上の氷に吸着することにより第一段階の制動を実行し、さらに強くブレーキペダルが踏み込まれることにより爪が氷雪路に食い込んで第二段階の制動を実行することを特徴とする車両制動装置である。
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の車両制動装置において、前記主軸は、前記揺動アームの先端に上下方向に移動自在に設けられる一対の移動板(45,45)の間に架け渡されると共に、これら移動板を下向きに付勢して下限位置に保持する押しバネ(53,53)が設けられ、ブレーキペダルが踏み込まれて制動ドラムが強く路面に押し付けられたときに移動板が押しバネの付勢力に抗して上昇し、制動ドラムが路面に押し付けられた状態のまま揺動アームに対して上昇していくものであって、且つ、所定位置に到達したときに制動ドラムの回転を強制的に停止させる停止機構(56)が設けられることを特徴とする。
本願請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の車両制動装置において、前記主軸と前記制動ドラムとの間にゼンマイバネ(66)が設けられ、制動時に制動ドラムが接地して回転している間に巻き上げられた該ゼンマイバネが、ブレーキペダルから足を離すことによって制動ドラムが路面から離れたときに巻き戻され、制動ドラムを逆回転させることを特徴とする。
本願請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか記載の車両制動装置において、ブレーキペダルが踏み込まれているときに前記揺動アームが前記所定方向とは逆方向に回転することを防止すると共にブレーキペダルが踏み込まれていないときは前記揺動アームを前記所定方向に回転することを防止するラチェットストップ機構(70)が設けられることを特徴とする。
本願請求項1に係る本発明の車両制動装置によれば、アイスバーンなどを走行中に運転者がブレーキペダルを踏み込んだときに、揺動アームが下降し、その先端に架設された主軸に装着された制動部材が接地して車両を制動する。制動部材は、制動ドラムの外周に設けられた爪と親水性カバーとからなり、最初に親水性カバーが接地して路面上の氷に吸着することによって第一段階の制動を実行する。さらに強くブレーキペダルを踏み込むと、爪が親水性カバーを突き破ってアイスバーン路面に食い込んで、より強力な第二段階の制動を実行する。これらの制動作用が相俟って、アイスバーン走行時のスリップを有効に防止することができる。
本願請求項2に係る本発明の車両制動装置によれば、主軸および制動ドラムが揺動アームに対して上下動可能に設けられ、ブレーキペダルが踏み込まれて制動ドラムが強く路面に押し付けられたときに制動ドラムが上昇していき、所定位置に到達したときに停止機構によってその回転が強制的に停止されるので、制動ドラム外周の爪がアイスバーン路面に食い込んだままの状態で車両に対して強大な制動力を与えることができ、前述の制動作用がより一層有効に発揮される。
本願請求項3に係る本発明の車両制動装置によれば、主軸と制動ドラムとの間に設けられたゼンマイバネの働きによって、ブレーキペダルから足を離して制動ドラムが路面から離れた瞬間に制動ドラムを逆回転させるので、たとえばカバーが帯状部材を制動ドラムの外周に巻き付けて構成された実施形態などにおいて、制動時に路面に強く押し付けられることによって緩んだり解れたりしたカバーを巻き取って整形し、次回の使用に備えることができる。
本願請求項4に係る本発明の車両制動装置によれば、ラチェットストップ機構の働きによって、ブレーキペダルが踏み込まれているときに揺動アームが制動作用方向とは逆方向に回転することが防止されるので、路面に障害物などがあっても制動ドラムを常に路面に押し付けておくことができ、制動作用を損なうことがない。同時に、ブレーキペダルを踏み込んだときに揺動アームを回転させるための伝達機構に過度の負荷が加わることを回避して、該伝達機構の破損を防止することができる。さらに、このラチェットストップ機構は、ブレーキペダルが踏み込まれていないときは揺動アームを制動作用方向に回転することを防止するので、制動ドラムがその自重や車両走行に伴う振動などによってバタつくことを防止し、次のブレーキペダル操作が行われるまで待機位置に保持する効果を発揮する。
本発明の一実施形態による車両制動装置の全体機構を概略的に示す側面図である。 この車両制動装置に付設されるスイッチ装置の一例を示す平面図である。 この車両制動装置における主軸装着機構の一例を示す側断面図である。 この車両制動装置における制動部材の一例を示す平面図(a)および同図b−b視端面図(b)である。 この車両制動装置における揺動アームの基端部に設けられるラチェットストップ機構を示す側面図である。
図1ないし図5に示す本発明の一実施形態による車両制動装置について以下に記述するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって定義される発明の範囲内において様々な変更や変形が可能である。なお、アイスバーン走行では前輪で踏み固めた路面を後輪がトレースすることになって後輪の方が滑りやすい状況になることが想定されるので、特に後輪の直前で制動部材が働くように本装置を左右一対で用いて設置することが好ましい。
この車両制動装置10は、車両に備えられるブレーキペダル装置(図示せず)の踏み込み/解除の操作に連動して動作するリンク機構11を備えている。この実施形態におけるリンク機構11は、4つのリンクアーム12,13,14,15を有して構成されている。リンクアーム12は固定水平軸16を支点として、リンクアーム13は固定水平軸17を支点として、リンクアーム14は固定水平軸18を支点として、リンクアーム15は固定水平軸19を支点として、それぞれ略垂直面上で回転ないし揺動自在である。
符号20は、ブレーキペダル装置の踏み込み/解除の操作に連動して上下方向A,Bに往復動する垂直可動軸であり、この垂直可動軸20にボールジョイント21を介してリンクアーム12の一端が回動自在に連結されている。リンクアーム12の他端は連結棒22を介してリンクアーム13の一端に回動自在に連結され、リンクアーム13の他端は連結棒23を介してリンクアーム14の一端に回動自在に連結され、リンクアーム14の他端は連結棒24を介してリンクアーム15の一端に回動自在に連結されている。
上記のように構成されたリンク機構11において、ブレーキペダル装置を踏み込むと、垂直可動軸20が上昇(A方向に移動)してリンクアーム12が固定水平軸16を中心に時計方向(図1において、以下同じ)に回転し、これに伴って、リンクアーム13が固定水平軸17を中心に反時計方向に回転し、リンクアーム14が固定水平軸18を中心に時計方向に回転し、リンクアーム15が固定水平軸19を中心に時計方向に回転する。
なお、上記構成のリンク機構11は例示であり、ブレーキペダル装置の踏み込み/解除の操作に連動してリンクアーム15を固定水平軸19を中心に時計方向に回転させることができるものであれば、いかなる構成のリンク機構をも用いることができる。また、機械的なリンク機構に代えて、ブレーキペダル装置の踏み込み/解除の操作に応じて電気的または電子的に作動する手段を採用してリンクアーム15を回転させるものであっても良い。
また、この車両制動装置10は主としてアイスバーン走行する際のスリップ防止を目的として使用されるものであるため、夏季などその使用が全く不要であるときには動作しないようにスイッチオフし、冬季に入ったらスイッチオンしていつでも動作するようにスタンバイしておくようなスイッチ装置を設けることが好ましい。
図2に該スイッチ装置の一例が示されている。このスイッチ装置38は、公知のサイドブレーキレバーに類似した操作レバー(図示せず)の運転者による操作に応答して、スイッチオフ位置(仮想線)とスイッチオン位置(実線)との間を水平移動可能に設けられたスイッチキー39を有する。夏季などの不使用時は、スイッチキー39はその先端が垂直可動軸20の係止穴20aに入り込んだスイッチオフ位置に保持されるので、ブレーキペダル装置の踏み込み/解除の操作を行ってもこれに連動して垂直可動軸20が上下動することができず、車両制動装置10は働かない。冬季に入って前記操作レバーを操作すると、スイッチキー39が垂直可動軸20から離れて係止穴20aに挿入されていないスイッチオン位置に移動し、既述したようにブレーキペダル装置の踏み込み/解除の操作に連動して垂直可動軸20が上下動可能となって、車両制動装置10が動作可能にスタンバイする。
図2に示すスイッチ装置38の構成は例示的なものにすぎず、運転者の操作によって車両制動装置10の動作をオン/オフできるものであれば、いかなる構成のものを採用しても良い。たとえば、運転者のボタン操作などによって車両制動装置10の動作を電気的または電子的にオン/オフ制御するスイッチ装置を採用しても良い。
リンクアーム15の先端部には所定長さに亘って延長する長溝25が形成され、この長溝25内の任意位置で固定された位置調整ボルト26にラックアーム27の一端が回動自在に軸支されている。ラックアーム27の下面には所定長さに亘ってラック歯28が形成されており、このラック歯28に、固定水平軸29を中心として回動自在であるピニオンギア30が噛み合っている。ピニオンギア30の上方には押さえピン31が定置していて、ラックアーム27がリンクアーム15の回転に応じて移動しても、ラック歯28が常にピニオンギア30と噛み合った状態に維持している。ラックアーム27の他端は軸ピン32に回転自在に軸支されている。
ピニオンギア30の下方には、固定水平軸33を中心として回転自在であるギア34が配置されていて、常にピニオンギア30と噛み合っている。つまり、ピニオンギア30は、その上方においてはラックアーム27のラック歯28と、その下方においてはギア34と、常に噛み合った状態を維持している。
ギア34に対して揺動アーム40の一端が固着されている。したがって、揺動アーム40はギア34の回転に伴って揺動するが、その揺動範囲は、軸ピン32から垂下する規制板35から水平方向に突出する上限ピン36と下限ピン37とによって制限されている。
揺動アーム40は先端が二股状に分かれた形状を有しており(図4参照)、水平方向に間隔をおいて対向する一対の先端部41a,41bの間に主軸42が回転自在且つ上下動可能に架け渡されている。主軸42を回転自在且つ上下動可能に架け渡す機構の一例を図3に示す。この主軸装着機構43によれば、アーム先端41a,41bに形成した溝部44,44内を上下動可能に移動板45,45を設け、これら一対の移動板45,45間に架設するようにして主軸42を着脱可能に装着する構成が採用されている。なお、図4(b)中の矢印Cは、制動時の制動ドラム61の回転方向を示す。
主軸装着機構43はアーム先端41a,41bにおいて略対称的な構成を有するので、以下一方のアーム先端41aに関連する構成について図3および図4を参照して詳述すると、アーム先端41aにおいて溝部44の上方に残された部分41cを貫通するようにボルト46が座金48を介してナット47で着脱可能に取り付けられている。ボルト46の下端には座金49が溶接またはネジ止めなどによって固着されている。移動板45の上方において、溝部44には、上方カラー51および下方カラー52が伸縮可能に連結されており、これらの内部にはコイルバネ(押しバネ)53が収容されている。上方カラー51の断面コ字状の上端部51aはボルト46下端の座金49に係止され、その下端外方突出縁51bが下方カラー52の上端内方突出縁52aと係合可能とされている。下方カラー52の下端には座金50が溶接またはネジ止めなどによって固着されていて、移動板45の上面に固着されたフック81に係止されている。移動板45は、上方カラー51の下端外方突出縁51aと下方カラー52の上端内方突出縁52aとが係合した状態のときに下限位置(図3)となるが、コイルバネ53のバネ力以上の力が上向きに作用すると、移動板45は該バネ力に抗して溝部44内を移動ストロークLの範囲内で上昇移動可能である。このようにしてアーム先端41a,41bの溝44,44内を移動板45,45が昇降可能であるが、溝部44は移動板45の略同一の横断面寸法を有するので水平方向には実質的に移動することができない。なお、符号79は、下限位置からの移動板45の不慮の落下を防止するために揺動アーム先端41a,41bに設けられるストッパーピンである。
アーム先端41a,41bに対して上下動可能に設けられた移動板45,45に、主軸42の両端が係止される。図示の構成例では、移動板45,45に主軸係止溝54,54が下向きに開口するように形成され、この主軸係止溝54,54に主軸42の両端部を挿入係止して、外側からナット55,55で強く締め付けることによって、主軸42を取り付けるようにしている。ナット55,55で取り付けられた状態において主軸42は移動板45,45と一体化され、移動板45,45の上下動につれて一体に移動するが、ナット55,55を緩めれば主軸42を移動板45,45から取り外すことができる。さらに、ナット47を外せばボルト46や座金48〜50、ワイヤ51、コイルバネ53なども取り外すことができるので、主軸装着機構43の全体が取り外し可能である。なお、ボルト46、ナット47および座金50は図4(a)では図示省略されている。符号80は止めピンであり、主軸42の両端に差し込まれてナット55,55の緩みを防止し、主軸42およびこれに装着される制動部材60の不慮の脱落を防止する。
主軸42には制動部材60が装着される。制動部材60の詳細について図1と共に図4を参照して説明すると、主軸42に対して回動自在に制動ドラム61が装着され、その外周面にはステンレススチールやタングステンなどの金属や硬質プラスチックなどで形成された爪62が任意の配置で設けられている。爪62は従来のスパイクタイヤに使用されていたスパイクピンのようなものでも良く、制動ドラム61自体を自動車用タイヤと同じようにゴムで形成すれば爪ないしスパイクピン62付制動ドラム61は全体として従来のスパイクタイヤに類似のものとなる。また、爪62付制動ドラム61は全体として歯車に類似した構造のものであっても良い。
制動ドラム61の外周にはさらに爪62を被覆するようにしてカバー63が設けられている。すなわち、制動ドラム61の最外周にはカバー63が存在しており、その内側に爪62が隠れた状態で配置されている。カバー63は好ましくは親水性および弾力性を有する強靱な材料で形成され、たとえば綿や合成繊維などの非金属材料で形成されたものが適している。好適な一実施形態として、カバー63は綿や合成繊維などから形成された長尺の帯状部材であり、制動ドラム61の外周面に巻き付けた上から、両端をフック64,64に係止した強靱なワイヤロープ65で縛り付けて固定されている。
制動ドラム61の一端側と揺動アーム先端41aとの間において、主軸42の回りにゼンマイバネ66が巻装されている。ゼンマイバネ66の内周端はキー67で主軸42に固定され、その外周端に設けられたピン68が制動ドラム61の一端面に形成された渦巻溝69に挿入されている。制動ドラム61が固定軸である主軸42の回りをC方向(図4(b))に回転すると、ピン68が渦巻溝69に沿って移動しながらゼンマイバネ66が巻き上げられていくが、一定以上に巻き上げられるとピン68が渦巻溝69の同心円溝部分に入り込んでそれ以降は空転するようになっている。
既述したように、揺動アーム40はその基端部においてギア34に固定されてギア34の回転と共に揺動するが、該基端部にはラチェットストップ機構70が設けられている。図5を参照して、このラチェットストップ機構70は、ギヤ34の回転中心となる固定水平軸33と同軸に設けられた固定ギア71に噛み合うギア72と、このギア72と噛み合うギア73と、ギア73と同軸78に固定されて一体に回転するカム74と、カム74の両側に配置される一対のバー75a,75bと、これらバー75a,75bを軸ピン76a,76bを中心として内方(他方のバーに近付く方向)に回転付勢するコイルバネ(押しバネ)77a,77bとを有する。固定ギア71は固定水平軸33の外周の全部またはギア72と噛み合う領域のみに形成され、あるいは、固定水平軸33に対して同軸に固定した別部材として設けられる。カム74は直線状に切り欠かれた一対の平坦面74a,74bと円弧面74cとを備えている。この円弧面74cに歯を形成してギア72と噛み合わせるようにして、ギア73とカム74とを一部材(扇形のギア)として構成しても良い。
このラチェットストップ機構70において、制動時に揺動アーム40が時計方向(図5において、以下同じ)すなわちD方向に回転すると、固定ギア71と噛み合うギア72が固定ギア71の回りを公転しながら時計方向に回転し、ギア73およびカム74が反時計方向に回転する(図5中の各矢印参照)。そうすると、図5に示す中立位置ではカム74の平坦面74aと円弧面74cとの境目近辺でカム74と接していたバー75aが平坦面74aと面同士で接することになり、コイルバネ77aに押し出される形でバー75aが軸ピン76aを中心として反時計方向に回転する。これによってバー75aの先端が固定ギア71に入り込むので、アーム40の戻り(制動時の回転方向Dとは逆方向Eへの回転)を防止する。また、揺動アーム40が反時計方向すなわちE方向に回転すると、他方のバー75bがカム74の他方の平坦面74bと面同士で接することになって軸ピン76bを中心として時計方向に回転し、その先端が固定ギア71に入り込んで、アーム40の逆方向(D方向)への回転を防止する。
上述の構成を有する車両制動装置10が、スイッチ装置60によって動作可能にスタンバイされている状態において、車両の運転者がブレーキペダルを踏むと、リンク機構11を介してリンク15が固定水平軸19を中心に時計方向に回転するので、これに伴って、ラックアーム27が若干左肩上がりの状態になりながら左方向に移動していく。押さえピン31によってラックアーム27のラック歯28とピニオンギア30とは常に噛み合った状態に維持されるので、このラックアーム27の移動によってピニオンギア30が反時計方向に回転し、ピニオンギア30と噛み合っているギア33が時計方向に回転する。これによりギア33と一体である揺動アーム40も時計方向に回転(下降)して、制動ドラム61が氷雪面などの路面Rに接地する(図1仮想線参照)。
これにより、制動ドラム61の最外周に配置されている非金属のカバー63が最初に路面Rに接触するので、路面Rの氷に吸着して車両を減速させ、スリップを防止する。これが第一段階の制動である。カバー63は弾力性のある材料で形成されるので、車両に対して過度の衝撃を与えることなく路面Rにソフトランディングする。したがって、轟音や大きな振動を与えずに制動作用を発揮する。カバー63が路面Rに接地すると、車両走行につれて制動ドラム61が主軸42の回りを反時計方向C(図4(b))に回転し始めるので、ゼンマイバネ66が渦巻溝69内で巻き上げられていく。
この状態から引き続き運転者がブレーキペダルを強く踏み込むと、揺動アーム40がさらに時計方向に回転し、揺動アーム先端41a,41bに上方カラー51および下方カラー52などで吊り下げられている移動板45,45が溝部44,44内を上昇していくので、コイルバネ53,53のバネ力が働いて、制動ドラム61がより強い力で路面Rに押し付けられる。これにより、カバー63の内側に隠れていた爪62がカバー63を突き破り、路面に食い込む。これが第二段階の制動であり、特にアイスバーン走行時のスリップ防止に有効である。
さらに、移動板45,45と共に上昇する制動ドラム61が所定の高さまで上昇したときにその回転を強制的に停止させる停止機構56(図4(a))が設けられている。図示実施形態では、制動ドラム61の両端面から外方に向けて突出するピン57,57と、制動ドラム61が所定の高さ位置まで上昇したときにピン57,57を係止可能な位置において揺動アーム先端41aから内方に突出するストッパー58,58とを有する停止機構56が採用されている。したがって、運転者がブレーキペダルを強く踏み込む動作を続けることによって移動板45,45と共に制動ドラム61が上昇して所定の高さ位置に達すると、ピン57,57がストッパー58,58に係止される。これにより、制動ドラム61は車両走行にもかかわらず強制的に停止されることになり、爪62がアイスバーンなどの路面に食い込んだ状態で引きずられていくことになって、制動効果がさらに高まる。
このとき、前述のラチェットストップ機構70の作用によって、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいる限り、揺動アーム40は制動方向D(図5)に逆回転することがない。したがって、たとえば路面上の障害物などに制動ドラム61が当たったような場合であっても制動ドラム61が跳ね上がって路面から離れてしまうことが防止され、前述の制動効果を損なうことがない。さらに、このような場合に揺動アーム40が逆回転してしまうと、ラック歯28,ピニオンギア30,ギア34などの伝達機構に過度の負荷がかかって破損させる恐れがあるので、ラチェットストップ機構70はこのような事態を未然に防止する上でも有効である。
上記の作用を通じて十分な制動が得られた後に運転者が安全を確認してブレーキペダルから足を離すと、移動板45,45が図3に示す下方位置に下降し、これら移動板の間に架け渡されている主軸42並びにこの主軸に装着されている制動ドラム61も下降し、さらにはリンク機構11および伝達機構が前述のブレーキペダル操作時とは逆方向に動作して揺動アーム40が上昇して、制動ドラム61が路面から離れる。なお、揺動アーム40の回転軸となる固定水平軸33の回りにゼンマイバネ59を巻回し、揺動アーム40が制動時の回転方向D(図5)に回転したときに巻き上げておいたゼンマイバネ59が制動解放時に巻き戻されるようにすると、揺動アーム40をE方向に回転させる力として働き、制動ドラム61を路面から離す手助けとすることができる。
制動ドラム61が路面から離れると、制動ドラム61側面の渦巻溝69内で巻き上げられた状態となっていたゼンマイバネ66(図4)が巻き戻され、制動ドラム61を逆回転させる。これにより、制動ドラム61の外周に巻かれている非金属カバー63を巻き取って整形し、次回の制動に備える。
運転者によるブレーキペダル操作が行われていないときは、前述のラチェットストップ機構70の作用により、揺動アーム40はE方向回転のみが許容され、D方向回転には回転しない。したがって、路面から離れた上昇位置(図1)に待機している制動ドラム61がその自重や車両走行に伴う振動などによってバタつくことが防止され、誤って路面に接触することがない。すなわち、ラチェットストップ機構70は、制動解放時に、ゼンマイバネ59による上述の作用を補助して、制動ドラム61を確実に且ついち早く待機位置に上昇移動させると共に、次のブレーキペダル操作が行われるまで該待機位置に保持する作用を果たす。
この車両制動装置10においてメンテナンスが必要となった場合、たとえば制動ドラム61の外周に巻かれた非金属カバー63が破損・消耗・劣化したり、爪62が破損・摩耗したような場合は、図3・図4の装着状態からナット55,55を外して、移動板45,45の主軸係止溝54,54から主軸42を引き抜けば良い。これによって制動ドラム61が外れるので、フック64からワイヤロープ65を外してカバー63を取り外し、補修または交換を容易に行うことができる。また、移動板45,45を含む主軸装着機構43についても、ナット47を外せばボルト46やコイルバネ53などを取り外すことができるので、その交換やメンテナンスも容易である。このようにして車両制動装置10の主要部を簡単に取り外すことができるので、この車両制動装置10を作動させる必要がない夏季などにおいては、車両から取り外して保管しておくことも可能である。
以上において本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明はこの特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって定義される発明の範囲内において様々な変形や変更が可能である。ブレーキペダル操作時の揺動アーム40の回転角度範囲は、リンク機構11およびラック歯28,ピニオンギア30,ギア34などの伝達機構の設計や、リンクアーム15の長溝25内における位置調整ボルト26の固定位置の変更、規制板35上の上限ピン36,下限ピン37の設置位置の変更などによって調整可能である。
本発明によれば、特にアイスバーン走行時のスリップ防止に有効な車両制動装置が提供され、きわめて産業上の利用可能性が大きいものである。本発明は、スタッドレスタイヤの性能に頼っている現状を打破して、スリップ事故防止に多大な貢献をもたらすことができる。この装置はコンパクトな構成であるので、車体と路面との間の限られたスペース内に収容することができる。
10 車両制動装置
11 リンク機構
12〜15 リンクアーム
16〜19 固定水平軸(リンクアームの回転軸)
20 垂直可動軸
20a スイッチキーの係止穴
21〜24 ボールジョイント
25 長溝
26 位置調整ボルト
27 ラックアーム
28 ラック歯
29 固定水平軸
30 ピニオンギア
31 押さえピン
32 軸ピン
33 固定水平軸
34 ギア
35 規制板
36 上限ピン
37 下限ピン
38 スイッチ装置
39 スイッチキー
40 揺動アーム
41a,41b 二股状のアーム先端
41c アーム先端の溝部の上方に残された部分
42 主軸
43 主軸装着機構
44 溝部
45 移動板
46 ボルト
47 ナット
48〜50 座金
51 上方カラー
51a 上端係止部
51b 下端外方突出縁
52 下方カラー
52a 上端内方突出縁
53 コイルバネ(押しバネ)
54 主軸係止溝
55 ナット
56 停止機構
57 ピン
58 ストッパー
59 ゼンマイバネ
60 制動部材
61 制動ドラム
62 爪
63 カバー
64 フック
65 ワイヤロープ
66 ゼンマイバネ(制動ドラム逆回転用)
67 キー
68 ピン
69 渦巻溝
70 ラチェットストップ機構
71 ギア
72 ギア
73 ギア
74 カム
74a,74b 平坦面
74c 円弧面
75a,75b バー
76a,76b 軸ピン
77a,77b コイルバネ
78 軸
79 ストッパーピン
80 止めピン
81 フック
R 路面

Claims (4)

  1. 運転者のブレーキ操作に応答して水平軸(33)を中心に所定方向に回転する揺動アーム(40)と、この揺動アームの先端に架設される主軸(42)と、この主軸を中心に回転自在である制動ドラム(61)と、この制動ドラムの外周に設けられる爪(62)と、この爪を被覆する親水性材料からなるカバー(63)とを備え、ブレーキペダルが踏み込まれたときに前記揺動アームが前記所定方向に回転して、カバーが接地して路面上の氷に吸着することにより第一段階の制動を実行し、さらに強くブレーキペダルが踏み込まれることにより爪が氷雪路に食い込んで第二段階の制動を実行することを特徴とする車両制動装置。
  2. 前記主軸は、前記揺動アームの先端に上下方向に移動自在に設けられる一対の移動板(45,45)の間に架け渡されると共に、これら移動板を下向きに付勢して下限位置に保持する押しバネ(53,53)が設けられ、ブレーキペダルが踏み込まれて制動ドラムが強く路面に押し付けられたときに移動板が押しバネの付勢力に抗して上昇し、制動ドラムが路面に押し付けられた状態のまま揺動アームに対して上昇していくものであって、且つ、所定位置に到達したときに制動ドラムの回転を強制的に停止させる停止機構(56)が設けられることを特徴とする請求項1記載の車両制動装置。
  3. 前記主軸と前記制動ドラムとの間にゼンマイバネ(66)が設けられ、制動時に制動ドラムが接地して回転している間に巻き上げられた該ゼンマイバネが、ブレーキペダルから足を離すことによって制動ドラムが路面から離れたときに巻き戻され、制動ドラムを逆回転させることを特徴とする請求項1または2記載の車両制動装置。
  4. ブレーキペダルが踏み込まれているときに前記揺動アームが前記所定方向とは逆方向に回転することを防止すると共にブレーキペダルが踏み込まれていないときは前記揺動アームを前記所定方向に回転することを防止するラチェットストップ機構(70)が設けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の車両制動装置。
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