JP5503397B2 - 遠心シュー式クラッチ構造 - Google Patents
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Description
本発明は、生産性が高く、コストが抑制され、クラッチアウタの振動が低減されてクラッチ鳴きを防止できる遠心シュー式クラッチ構造を提供することを課題とする。
また、鋳造により、容易に要所のみを厚く形成でき、それによりクラッチアウタの固有振動数を好ましく設定することで、振動減衰効果を高めつつクラッチアウタが軽量化される。
そして、厚く形成したドラム部に、クラッチアウタのバランス調整のためのバランス穴が加工されるので、バランス穴の加工が容易となり、クラッチアウタの回転に伴う振動が低減する。
また、切り欠き溝が、筒状摩擦面のクラッチアウタ半径方向の位置以上に外周側に達するように設けられれば、クラッチシューの摩擦部材の摩耗粉が排出され、摩擦係合力が安定化し、筒状摩擦面での摺動で発生する振動数をコントロールし易くなり、クラッチアウタの固有振動数との共振の回避の設定が容易となる。
また、切り欠き溝の間隔を不等間隔として、振動の節を変更し、バランス穴によりアンバランスの調整をすれば、振動低減効果が向上する。
なお、本明細書の説明における前後左右上下等の向きは、各実施形態に係る遠心シュー式クラッチ構造を備えたパワーユニットを、自動二輪車等の車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
本実施形態において、車両はスクータ型自動二輪車である。
内燃機関1は、4ストロークサイクル2気筒内燃機関であり、車両に搭載された状態において、図1に示されるように、クランク軸4の軸線Yを車両の前後方向に直交させて、車体幅方向に配向させると共に、クランクケース5から、斜め上方に向けて、シリンダ軸Xを前傾して突出するシリンダ部6を有する。
クランクケース5は、シリンダボア10,10にそれぞれ摺動自在に嵌合されたピストン11,11にコンロッド12,12を介して連結されるクランク軸4を回転自在に支承する。
シリンダヘッド8は、ピストン11,11を臨ませる燃焼室13,13をシリンダブロック7との間に形成してシリンダブロック7に結合される。
シリンダヘッドカバー9は、シリンダブロック7とは反対側でシリンダヘッド8に結合される。
発電機室14内でクランク軸4にはアウタロータ16が固定され、アウタロータ16と共働してAC発電機17を構成するインナステータ18が、右ケースカバー15に固定される。
左リヤアーム20Lと、左リヤアーム20Lを左外方側から覆うカバー22とで、動力伝達ケース21が構成される。
カバー22は、左リヤアーム20Lに締結されるカバー内壁23と、カバー内壁23の外面との間に、間隔をあけるようにしてカバー内壁23に締結されるカバー外壁24とを備える。
左リヤアーム20Lの前部は、支持部材30にボールベアリング31を介して回動自在に支承される。
そして、中間アーム部材33の左側端部には、左リヤアーム20Lが複数のボルトB38により着脱可能に連結される。
すなわち左、右リヤアーム20L,20Rは、内燃機関1と後輪19の間で相互に連結され、相互によじれが生じることが防止され、且つ、クランク軸4の軸線Yまわりに上下に揺動することを可能として、内燃機関1に支承される。
すなわち、後部アーム部材34は、前部アーム部材32が中間アーム部材33を介して左リヤアーム20Lに連結された状態を維持しつつ、ボルトC39を外すことで、前部アーム部材32から分離されることを可能として、中間アーム部材33に着脱可能に連結される。
クランク軸4の回転数増加に応じて駆動プーリ42の有効半径が増加するとともに、従動プーリ43の有効半径が減少することにより、変速比をLOWからTOPまで無段階に変速することができる。
減速ギヤ列41は、変速機出力軸45と、動力伝達装置2の最終的な出力端である最終出力軸46との間に設けられて、左リヤアーム20Lと支持壁25との間に収納される。
また、車軸49は、右リヤアーム20Rにおける後部アーム部材34にボールベアリングC51を介して回転自在に支承されており、ボールベアリングC51の内輪と、ハブ50との間には車軸49を囲繞する円筒状のスペーサ52が介装される。
また動力伝達ケース21の後部で、カバー内壁23およびカバー外壁24間には、吸音材54が設けられており、動力伝達ケース21の後部におけるカバー22は、防音構造を有するように構成される。
また各吸気弁70を開閉駆動するための吸気側カム軸71と、図示しない各排気弁を開閉駆動するための排気側カム軸とが、クランク軸4と平行な軸線を有してシリンダヘッド8に支承されており、吸気側カム軸71と排気側カム軸の一端を臨ませるチェーン室72が、発電機室14に通じるようにしてクランクケース5、シリンダブロック7、シリンダヘッド8およびシリンダヘッドカバー9に連通して設けられる。
固定側プーリ半体56は、回転筒55が備えるフランジ部61に複数のリベット62により結合される。
またスライド筒63には、軸方向に長く延びるガイド孔66が設けられており、回転筒55に支軸67を介して軸支されるローラ68が、回転筒55に対する相対回転を不能するとともに軸方向相対移動を可能とすべく、ガイド孔66に挿入される。
従動プーリ43は、以上の構造によって、駆動プーリ42がクランク軸4の回転数増大に応じて無端ベルト44の巻掛け半径を増大するのに伴って、無端ベルト44の巻掛け半径を小さくするように作動する。
クラッチアウタ82は、クラッチインナ81の回転の遠心力による、クラッチシュー84の外周方向へ回動によってクラッチインナ81と接続され、クラッチインナ81の回転駆動力が伝達される
すなわち、クラッチアウタ82は鋳鉄で、環板状の連結壁部88の外周に円筒状のドラム部87の一端が一体に形成され略椀状をなすとともに、連結壁部88の内周には円筒状のボス部86が一体に形成される。
なお、鋳鉄材料は、特に好ましくは球状黒鉛鋳鉄で、本実施形態では、球状黒鉛鋳鉄として、FCD600ないしFCD700(JIS)を用いた。
クラッチインナ81の周方向に等間隔をあけた複数箇所、たとえば5箇所には、変速機出力軸45および回転筒55の軸線Zと平行な軸線を有するとともに、各遠心クラッチシュー84のクラッチインナ81側の面に摺接する鍔部90aをそれぞれ有する支持ピン90の基部が固定される。
各遠心クラッチシュー84の基部およびサイドプレート91に挿通される支持ピン90の先端部には、サイドプレート91に係合する止め輪92が嵌着される。
遠心クラッチシュー84は、亜鉛合金等の金属により靴形に形成されており、各遠心クラッチシュー84の外周側には、遠心クラッチシュー84が支持ピン90まわりに回動する時、ドラム部87の内周面、すなわち筒状摩擦面87aに離接し、摩擦係合可能な摩擦部材83が備えられている(図1、図3参照)。
また、摩擦部材83は、好ましくは、ペーパー系の無機繊維を熱硬化樹脂で固めたものである。勿論、それ以外の通常用いられる材料によってもよい。
また、クラッチインナ81の回転数が下がり、各遠心クラッチシュー84に働く遠心力が低下してクラッチばね85の付勢力が勝ると、各遠心クラッチシュー84は内周方向に回動し、摩擦部材83が筒状摩擦面87aから離間して、クラッチインナ81とクラッチアウタ82の接続が解除される。
遠心シュー式クラッチ80は、上述のように変速機出力軸45上に同軸に構成されるから、遠心シュー式クラッチ80、およびそのクラッチインナ81、クラッチアウタ82の軸芯は、実質的に変速機出力軸45の軸芯Zと同じである。
また、クラッチアウタ82におけるドラム部87の厚さtdが、連結壁部88の厚さtw1、tw2、tw3より厚く形成されている。
すなわち、クラッチアウタ82のボス部86とドラム部87と連結壁部88とが、鋳造により同じ鋳鉄材料で一体に成型されるので、クラッチの生産性が向上し、コストが低減した。また、従来の防振リングを取り付けた場合のような、クラッチアウタとクラッチシューとの摩擦熱に伴う歪みによる締め代のばらつき等がなく、振動減衰効果が安定した。
また、クラッチアウタ82は、鋳造による一体成型なので、プレス加工や溶接組み立て加工では困難、且つ高コストになるような方向、厚さを変化させた形状も、容易且つ低コストで成型できるため、防振効果の向上する形状を容易に形成でき、鋳鉄が有する高い振動低減効果とも相俟って、クラッチ鳴きを防止する効果が高められた。
また、ドラム部87におけるバランス穴93の底の厚さt1と、バランス穴93とドラム部87の端面87bの間の厚さt2が所定以上に維持され、バランス取り加工によるクラッチアウタ82の回転強度への影響が防止された。
そのため、クラッチシュー84の外周側に備える摩擦部材として、耐摩耗性の高いペーパー系の無機繊維を熱硬化樹脂で固めた摩擦部材84を用いることができ、遠心シュー式クラッチの耐久性向上と、コスト低減がなされた。
実施形態2においては、そのクラッチアウタ182が、実施形態1のクラッチアウタ82と異なる。
他は、実質的に同じであるので、図1から図3を参照するものとして、重ねての図示、説明を省略する。
図6、図7において、実施形態2に関しては、実施形態1のものと同じものは同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1のものと対応するが区別して説明するものは、実施形態1のものと下2桁を同じくする100番台の符号を付し、まったく異なるものには、異なる100番台の符号を付して、実施形態1と異なる点を主に説明する。
また、ボス部186とドラム部187と連結壁部188は、実施形態1と同様に、鋳造により同じ鋳鉄材料で一体に成型されている。
また、実施形態1に関し説明したと同様に、クラッチアウタ182におけるドラム部187の厚さtdが、連結壁部188の厚さtw1〜tw3より厚く形成されている(図4参照)。
防振壁194と連結壁部188との間のドラム部187の内周面には、筒状摩擦面187aが形成される。
すなわち、防振壁194は鋳造によりクラッチアウタ182とともに一体に容易に形成できるので、防振壁194により、振動低減効果が高められ、且つドラム部187が補強されて、クラッチアウタ182の強度が高められた。
また、防振壁194に切り欠き溝195を設けることで、防振壁194の固有振動数を好ましく設定でき共振の回避が容易となった。それによりクラッチアウタ182の強度と防振性が、バランスよく強化、向上された。切り欠き溝195の個数、大きさは、その条件から選択できた。
図示しないが、切り欠き溝185の間隔を不等間隔として、振動の節を変更し、バランス穴93によりアンバランスの調整をすれば、振動低減効果が向上する。
実施形態3においては、そのクラッチアウタ282が、実施形態1のクラッチアウタ82と異なる。
他は、実質的に同じであるので、図1から図3を参照するものとして、重ねての図示、説明を省略する。
図8から図10において、実施形態3に関しては、実施形態1のものと同じものは同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1のものと対応するが区別して説明するものは、実施形態1のものと下2桁を同じくする200番台の符号を付し、まったく異なるものには、異なる200番台の符号を付して、実施形態1と異なる点を主に説明する。
また、ボス部286とドラム部287と連結壁部288は、実施形態1と同様に、鋳造により同じ鋳鉄材料で一体に成型されている。
また、実施形態1に関し説明したと同様に、クラッチアウタ282におけるドラム部287の厚さtdが、連結壁部188の厚さtw1〜tw3より厚く形成されている(図4参照)。
斜め溝296は、図10に示すように、連結壁部288に近い側が、クラッチアウタ282の回転方向(図示の矢印R方向)で、上流側に位置されて筒状摩擦面287aを斜めに横切り、下流側においてドラム部287の端面287bに突き抜けている。
すなわち、斜め溝296は鋳造によりクラッチアウタ282とともに一体に容易に形成できるので、斜め溝296により、振動低減効果が高められてクラッチ鳴きが防止された。
また、斜め溝296により、クラッチシュー84の摩擦部材83の摩耗粉を排出でき、摩擦係合力が安定化し、筒状摩擦面287aでの摺動で発生する振動数をコントロールし易くなり、クラッチアウタ282の固有振動数との共振の回避の設定が容易となった。
また、前述の実施形態2において、本実施形態3の斜め溝296を加えて設ける場合は、斜め溝296の下流側端と切り欠き溝195の周方向位置を一致させ、切り欠き溝195の溝底195aが、斜め溝296の溝底296a以上に外周側に位置することが好ましい。
参考例1においては、そのクラッチアウタ382が、実施形態1のクラッチアウタ82と異なる。
他は、実質的に同じであるので、図1から図3を参照するものとして、重ねての図示、説明を省略する。
図11、図12において、参考例1に関しては、実施形態1のものと同じものは同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1のものと対応するが区別して説明するものは、実施形態1のものと下2桁を同じくする300番台の符号を付し、まったく異なるものには、異なる300番台の符号を付して、実施形態1と異なる点を主に説明する。
また、ボス部386とドラム部387と連結壁部388は、実施形態1と同様に、鋳造により同じ鋳鉄材料で一体に成型されている。
また、実施形態1に関し説明したと同様に、クラッチアウタ382におけるドラム部387の厚さtdが、連結壁部388の厚さtw1〜tw3より厚く形成されている(図4参照)。
ドラム部387の内周面が筒状摩擦面387aを形成している。
そして、固有振動数調整穴397は、ドラム部387の端面部387bが開口しないように、ドラム部387の、連結壁部388と繋がる側に設けられている。
また、図11、図12において、バランス穴93は図示省略されているが、実施形態1と同様に必要に応じた位置、個数で加工される。
すなわち、固有振動数調整穴397によりクラッチアウタ382の固有振動数を好ましく設定することで、クラッチ接続時のクラッチシュー84との摺動で発生する振動数との共振に伴うクラッチ鳴きが防止された。
また、ドラム部387の端面部387bが閉じた構造となり、端面部387bの応力増大が抑制され、且つクラッチ鳴きが防止された。
参考例2においては、そのクラッチアウタ482が、実施形態1のクラッチアウタ82と異なる。
他は、実質的に同じであるので、図1から図3を参照するものとして、重ねての図示、説明を省略する。
図13から図16において、参考例2に関しては、実施形態1のものと同じものは同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1のものと対応するが区別して説明するものは、実施形態1のものと下2桁を同じくする400番台の符号を付し、まったく異なるものには、異なる400番台の符号を付して、実施形態1と異なる点を主に説明する。
また、ボス部486とドラム部487と連結壁部488は、実施形態1と同様に、鋳造により同じ鋳鉄材料で一体に成型されている。
また、実施形態1に関し説明したと同様に、クラッチアウタ482におけるドラム部487の厚さtdが、連結壁部388の厚さtw1〜tw3より厚く形成されている(図4参照)。
ドラム部487の内周面が筒状摩擦面487aを形成している。
そして、固有振動数調整穴497Aは、ドラム部487の端面部487bが開口しないように、ドラム部487の、連結壁部488と繋がる側に設けられている。
すなわち、固有振動数調整穴497Aは、クラッチアウタ482の軸芯Zに対して点対称に配置されるが、周方向には不等間隔配置となっている。
本変形例は、断面丸穴の固有振動数調整穴497Aに代えて、断面長穴の固有振動数調整穴497Bが、クラッチアウタ482の軸芯(中心軸)Z方向でドラム部487に設けられている。
他は同じであり、固有振動数調整穴497Bは、ドラム部487の端面部487bが開口しないように、ドラム部487の、連結壁部488と繋がる側に設けられている。
すなわち、固有振動数調整穴497Bは、クラッチアウタ482の軸芯Zに対して点対称に配置されるが、周方向には不等間隔配置となっている。
なお、図15、図16において、バランス穴93は図示省略されているが、実施形態1と同様に、必要に応じた位置、個数で加工される。
すなわち、固有振動数調整穴497Aまたは497Bによりクラッチアウタ482の固有振動数を好ましく設定することで、クラッチ接続時のクラッチシュー84との摺動で発生する振動数との共振に伴うクラッチ鳴きが防止された。
そして、周方向の不等間隔配置により、クラッチアウタ482の固有振動を抑えられ、クラッチシュー84との摺動で発生する振動との共振がより抑制され、クラッチ鳴きが、より低減した。
また、ドラム部487の端面部487bが閉じた構造となり、端面部487bの応力増大が抑制され、且つクラッチ鳴きが防止された。
実施形態4においては、そのクラッチアウタ582Aまたはクラッチアウタ582Bの鋳鉄材料が、球状黒鉛鋳鉄であり、クラッチアウタ582Aまたはクラッチアウタ582Bは、含有する球状黒鉛598Aまたは598Bを、ドラム部587Aまたはドラム部587Bの周方向に、不均一に分散するように形成されている。
また、他の実施形態のものと同じものは、その符号を引用して説明を省略し、他の実施形態のものと対応するが区別して説明するものは、他の実施形態のものと下2桁を同じくする500番台の符号を付し、まったく異なるものには、異なる500番台の符号を付して、他の実施形態と異なる点を主に説明する。
勿論、ドラム部587Aの断面寸法と、球状黒鉛598Aの寸法は、同時に図示不可能な程、レインジを異にするものであるから、図17は、球状黒鉛598Aの、ドラム部587A周方向の分布のイメージを表すに止まるものである。
勿論、ドラム部587Bの断面寸法と、球状黒鉛598Bの寸法は、同時に図示不可能な程、レインジを異にするものであるから、図18は、球状黒鉛598Bの、ドラム部587B周方向の分布のイメージを表すに止まるものである。
すなわち、球状黒鉛鋳鉄を鋳鉄材料としたので、クラッチアウタ582Aまたは582Bの強度が向上したほか、球状黒鉛鋳鉄製のクラッチアウタ582Aまたは582Bの内部成分である球状黒鉛598Aまたは598Bの潤滑作用によってクラッチシュー84の筒状摩擦面587Aaまたは587Baでの摺動特性が安定化し、摺動により発生する振動数をコントロールし易くなり、クラッチアウタ582Aまたは582Bの固有振動数との共振の回避の設定が容易となった。また、球状黒鉛598Aまたは598Bの密度が、位置によって変化することによる振動減衰効果により、クラッチ鳴きの防止効果が高まった。
したがって、そのような構成を加えた実施形態1から実施形態3におけるクラッチアウタ82、182、282、382、482は、球状黒鉛鋳鉄で鋳造され、且つ、ドラム部87、187、287、387、487の筒状摩擦面87a、187a、287a、387a、487aも、機械加工によって円筒形状に形成されたものとなる。
その場合、筒状摩擦面87a、187a、287a、387a、487a、578Aa、578Baには、機械加工によって、当初から球状黒鉛598Aまたは598Bが露出させられるので、クラッチ使用初期から、クラッチ鳴き防止特性を高く維持することができる。
例えば、本発明の遠心シュー式クラッチ構造を有するパワーユニットとして、車両、特にスクータ型自動二輪車に搭載されるパラーユニットを例示したが、そのような適用において特に有効に本発明の特徴を発揮できるとしても、本発明は、そのような適用に限定されるものではない。
本発明は、自動二輪車に限られず、同様に遠心シュー式クラッチを備えるパワーユニットを搭載する種々の車両において、適用されてよく、内燃機関の態様、気筒数等の異なるものでもよい。さらにはパワーユニットに備えられる同様の遠心シュー式クラッチであれば、車載のものに限られないことは言うまでもない。
また、遠心シュー式クラッチの前後の動力伝達装置の種類、順番、配向、さらにはクラッチインナに対する、クラッチアウタのドラム部の端面の向きも、上記実施形態のものに限定されない。
Claims (8)
- 摩擦部材(83)を備えた複数のクラッチシュー(84)を回動可能に保持し、入力回転部材(55)に結合されたクラッチインナ(81)と、出力回転部材(45)に結合され、前記クラッチインナ(81)の外周側を囲んで設けられて、遠心力による前記クラッチシュー(84)の外周方向への回動によって前記クラッチインナ(81)と接続し、同クラッチインナ(81)の回転駆動力が伝達されるクラッチアウタ(82)を有する遠心シュー式クラッチ構造において、
前記クラッチアウタ(82)が、前記出力回転部材(45)に嵌合するボス部(86)と、内周面が前記クラッチシュー(84)と接する筒状摩擦面(87a)をなすドラム部(87)と、前記ボス部(86)とドラム部(87)を繋ぐ連結壁部(88)とからなり、
前記ボス部(86)とドラム部(87)と連結壁部(88)とが、鋳造により同じ鋳鉄材料で一体に成型され、
前記クラッチアウタ(82)における前記ドラム部(87)の厚さが、前記連結壁部(88)の厚さより厚く形成され、
前記ドラム部(87)の外周に、前記クラッチアウタ(82)の軸芯に向かうバランス穴(93)の加工が施されたことを特徴とする遠心シュー式クラッチ構造。 - 前記バランス穴(93)において、同バランス穴(93)の底と前記ドラム部(87)の内周面との間の残り厚さ、および、同バランス穴(93)の縁と前記ドラム部(87)の端面との間の残り厚さがいずれも、前記連結壁部(88)の厚さより厚いことを特徴とする請求項1記載の遠心シュー式クラッチ構造。
- 前記ドラム部(187)の端面に、内周側に向かう防振壁(194)が一体に形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の遠心シュー式クラッチ構造。
- 前記防振壁(194)には、その内周端(194a)から外周方向に凹む切り欠き溝(195)が設けられたことを特徴とする請求項3記載の遠心シュー式クラッチ構造。
- 前記ドラム部(287)の筒状摩擦面(287a)に、周方向に対して斜めに配向する斜め溝(296)が設けられたことを特徴とする請求項1記載の遠心シュー式クラッチ構造。
- 前記摩擦部材(83)は、ペーパー系の無機繊維を熱硬化樹脂で固めたものであり、前記クラッチシュー(84)の外周側に備えられたことを特徴とする請求項1記載の遠心シュー式クラッチ構造。
- 前記鋳鉄材料は球状黒鉛鋳鉄であり、前記クラッチアウタ(582A,582B)は、含有する球状黒鉛(598A,598B)を、前記ドラム部(587A,587B)の周方向に、不均一に分散するように形成されたことを特徴とする請求項1記載の遠心シュー式クラッチ構造。
- 前記ドラム部(587A,587B)の筒状摩擦面(587Aa,587Ba)は、機械加工による円筒形状であることを特徴とする請求項7記載の遠心シュー式クラッチ構造。
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