JP5502309B2 - 透過型電子顕微鏡 - Google Patents

透過型電子顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP5502309B2
JP5502309B2 JP2008282776A JP2008282776A JP5502309B2 JP 5502309 B2 JP5502309 B2 JP 5502309B2 JP 2008282776 A JP2008282776 A JP 2008282776A JP 2008282776 A JP2008282776 A JP 2008282776A JP 5502309 B2 JP5502309 B2 JP 5502309B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer yoke
yoke
objective lens
image
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008282776A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010113810A (ja
Inventor
持 満 羽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jeol Ltd filed Critical Jeol Ltd
Priority to JP2008282776A priority Critical patent/JP5502309B2/ja
Publication of JP2010113810A publication Critical patent/JP2010113810A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5502309B2 publication Critical patent/JP5502309B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は透過型電子顕微鏡に係わり、特に高分解能観察像を得るための耐振性を向上させる技術に関する。
透過型電子顕微鏡(以下、TEMと略称する)は、原子分解能が得られる観察装置である。図5に、走査透過像(以下、STEM像)を観察可能なTEMの概略構成例を示す。図5において、試料1を保持する試料ホルダ2は、観察の位置決めを行なう試料ステージ3に抜き差しできるように保持されている。試料ステージ3は鏡筒4に固定されており、図中のX,Y,Z軸方向の直線動およびX軸周りの傾斜が可能になっている。鏡筒4は除振機5を介して床6上に置かれた架台7上に設置され、床6の振動は除振機5によって伝達が抑制される。除振機5の固有振動数は数Hz程度に設定されており、それ以上の高周波の振動伝達を抑制する。
TEMの原理については良く知られており詳しい説明を省略するが、透過電子像(以下、TEM像)の観察時には、電子銃8のエミッタ9で発生した電子ビーム10をコンデンサレンズ11、コンデンサミニレンズ12、対物レンズを用いて、試料1に平行ビームとして照射し、透過した電子ビーム10を対物レンズ13、中間レンズ14、投影レンズ15で拡大し、蛍光板16あるいは
カメラフィルム17上に結像させることでTEM像を得る。
また、STEM像の観察時には図5中の破線で示すように、試料1の一点に電子ビームを収束させ,透過した電子ビーム量をSTEM検出器18により測定する。照射系偏向器19によって、ビーム照射位置20をXY平面上で2次元走査することによってSTEM像を得る。なお、本図の電子光学系は理解を容易にするための模式的なものであり、厳密なものではない。
さて、除振機5を介して伝達した床振動などの外乱振動は装置全体を振動させる。このとき各部位には振動の加速度にともなう慣性力が発生する。これらの慣性力によって各機械要素は弾性変形する。STEM像取得時には、この弾性変形による試料1とビーム照射位置20との相対変位が観察分解能を超えたとき、振動の影響が問題となる。
一方、TEM像観察時には、蛍光板16あるいはカメラフィルム17上に拡大された透過像の移動量が観察分解能を超えたときに、像振動として問題となる。
従来の設計では、TEMの耐振性を高めるために、各部位の剛性を高めることによりこれらの弾性変形を抑制している。この際、1自由度系への強制振動入力のモデルから、系の固有振動数を高めることが耐振性を高めるのに有利と考えられた。
図2は、1自由度系の振動モデルを示す図である。図2において、ベースが周波数fHz、変位aで強制振動した際、質量の変位をaとおいて、ベースと質量との間の標準化された相対変位|a−a|/aは下式(1)で表される。
Figure 0005502309
ここに、λは系の固有振動数fに対する周波数fの比、ξは1自由度系の減衰比である。
λが1より十分に小さな領域において、相対変位はλに比例する。床振動でしばしば問題になるのは先に述べたように数Hzの周波数成分である。数Hzという周波数は装置の固有振動数より十分に低いため、λが1より十分に小さいという条件を満たす。強制振動の周波数fが一定のとき、相対変位は系の周波数fの2乗に反比例する。即ち、下式(2)のように表される。
Figure 0005502309
よって、相対変位を小さくしてTEMの耐振性を高めるためには、系の固有振動の周波数fを高くすることが必要である。そのため、ばね定数を高めるか、あるいは質量を軽減することが重要である。
特許文献1の特開平9−283067号公報には、電子銃部と鏡体本体とを一体的に結合して電子銃部の固有振動数を上げることによって剛性を向上し、電子銃部先端の電子源の揺れを小さくする技術が開示されている。
特開平9−283067号公報
原子分解能を持つTEMの分解能は、近年開発された多極子の収差補正機の登場により0.1nm以下に達した。TEM設置室に存在する床振動や騒音の環境外乱は装置を弾性変形させ,同変形に起因する像振動が観察分解能の律速条件になる。TEMの高分解能化にともない,設置環境の許容外乱の上限はより厳しく制限された。そのため、環境外乱の対策としてTEM用の耐騒音試料ホルダの開発や、架台の固有モードと床の傾斜振動の連成による数10から数100Hzに渡る床振動増幅を抑制することが行なわれている。
しかし、これらの対策では数Hzの低周波床振動の影響を抑制することはできず、原子分解能を持つTEMに対しては、鏡筒の耐振設計方針を根本的に見直す必要がある。TEMの構造は複雑であり、その構成要素すべてが1自由度系でモデル化できるとは限らない。また、電子ビームは光学系の各部位において、その径が拡大され、また縮小される。よって、機械的剛性を設計するに当たっては電子ビームの拡大縮小の影響を考慮に入れる必要がある。
ここで、TEMを照射系、結像系、対物レンズ部の3つの部位に分けて、その耐振性に関する検討を行なう。鏡筒4に対し水平方向で試料ホルダ2の軸方向の振動が入力する場合を考える。このとき各部位に慣性力が発生し弾性変形が生じる。これをイメージしやすくするために、図3に示すように、鏡筒4を水平方向に伸びた片持ち梁のように除振機位置において固定し、図中の矢印A方向に重力(加速度)がかかった場合を考える。
このとき、鏡筒4は片持ち梁のように弾性変形する。試料ステージ3と試料ホルダ2は、自重によるたわみでやはり下方向に移動する。さて、この状態において、電子光学的観点から各部位のたわみにより像がどのように影響を受けるかを検討する。一般的に電子光学系において、試料1の上側を照射系21、下側を結像系22と呼ぶが、ここでは中間に位置する対物レンズ部23を別の部位にして説明する。
まず、STEM像観察モードでは、電子ビーム10と試料1との相対変位が像の移動量になる。照射系21においては、エミッタ部9のたわみ量が機械的な移動量であるが、電子ビームは照射系において1/1000ほどに縮小される。よって機械的たわみの1/1000が電子ビーム10の照射位置の移動量となる。STEM像の観察分解能が0.1nmであるとき、エミッタ部9のたわみの許容量は、電子ビーム10の照射位置の移動量を1000倍した0.1μmとなる。一方、試料ステージ3や試料ホルダ2、に関してはその機械的たわみ量はそのまま像移動量となる。従って、照射系21の機械的たわみよりも1000倍ほど像移動量に対して影響がある。
次に、TEM像観察モードにおける検討を行なう。照射系21は試料1に対して平行にビームを照射するため,そのたわみは像移動には関係しないため考慮しなくて良い。結像系22においては、電子ビーム径が拡大される。蛍光板上で観察される像が100万倍であるとき、結像系の拡大率は1万倍程度である。100万倍観察時、例えばTEM像の分解能が0.1nmとすると、蛍光板上での長さは0.1mmとなる。よって拡大系のたわみの許容量はこの1/10000の10nmと見積もられる。これは照射系21のSTEM像観察モードにおける影響に比較すれば10倍の影響であるが、試料ステージ3や試料ホルダ2の影響に比べれば小さい。
最後に、対物レンズ部23に注目する。図4に、従来の対物レンズ113のより詳細な構造を示す。図4において、外ヨークa25は外ヨークb26とボルト24a、内ヨーク27とボルト24bにより締結されている。ステージ基台3aは試料ステージ3の一部で、試料ステージ3を鏡筒4に固定するための部材である。ステージ基台3aは外ヨークa25の上部にボルト24cにより固定されている。内ヨーク27の上面にはポールピース下極29とポールピース上極31とが対向しており、これらの間にはスペーサ31が設けられている。
内ヨーク27と外ヨークa25との隙間にはコイル28が設けられ、電流を通すことによって磁場レンズが構成される。同レンズの磁気回路は、ポールピース下極29、内ヨーク27、外ヨークa25、外ヨークb26、ポールピース上極30から構成される。ここで、外ヨークb26とポールピース上極30とは機械的に接触しておらず、わずかに間隙が設けられている。
この対物レンズ部23に対し重力(加速度)による照射系21のモーメントがかかったとき、外ヨークa25が図4中の実線(破線は撓みのない状態を示す)のように撓むと、これに固定されたステージ基台3a、試料ステージ3、試料ホルダ2がともに移動する。一方、内ヨーク27上に配置されたポールピース下極29とポールピース上極30には照射系のモーメントがかからないため、位置変動が起こらない。図4では、外ヨークb26がポールピース上極30にぶつかって描かれているが、実際にはたわみ量は小さいため接触しない。従って、外ヨークa25のたわみの影響度は、試料ステージ3や試料ホルダ2の影響と同等に大きい。さらに、試料ステージ3、試料ホルダ2の場合は自重のみによってたわみが発生するのに対して、外ヨークa25には照射系21の全モーメントがかかるため、外ヨークa25の曲げ剛性は非常に高い必要がある。外ヨークa25のたわみは、試料1の位置変動と等価であるので、TEM像、STEM像の両観察モードともに像振動に影響する。
以上の検討から、鏡筒4において最も高い剛性を必要とするのは、対物レンズ部23のヨークの曲げ剛性であり、換言すれば対物レンズのポールピースから試料までのループ構造の剛性(ループ剛性)であることが分かる。ここで、例えばポールピース上極30と試料1とのループ構造とは、ポールピース上極30と試料1とが僅かな距離を隔てて対向し、ポールピース上極30、外ヨークb26、ステージ基台3a、試料ステージ3、試料ホルダ2、試料1の順に、隣り合う構成要素同士が接して組み立てられているときの、一連の構成要素全体を意味している。また、ループ剛性とは、上述の一連の構成要素全体が持つ剛性を指す。
さらに、照射系21の機械剛性は、対物レンズ部23に比較すれば剛性が低くてもかまわない。従って、例えば特許文献1の特開平9−283067号公報に開示されているように従来しばしば行なわれてきた設計方法、即ち照射系の剛性を高めるために鏡筒先端部の質量を大きくすることは、結果として対物レンズ13のヨークの撓み量を増加させるので、かえって耐振性を低下させる可能性があることも分かる。
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、環境外乱による像移動に対する鏡筒各部の影響度を電子光学的観点から重み付けし、また慣性力によるモーメントを考慮して最も耐振性に影響を及ぼす部分の剛性を重点的に高める設計を行なうことにより、顕著に耐振性を向上させたTEMを提供することに有る。
上記の問題を解決するために、本願発明は、第1の外ヨーク及び第2の外ヨーク及び内ヨークと、前記第1の外ヨークに固定されたポールピース上極と、前記第2の外ヨーク及び前記内ヨークに固定されたポールピース下極と、前記第2の外ヨークと前記内ヨークとの間に形成される空間に配置されたコイルからなる対物レンズと、該対物レンズ上に固定された試料ステージと、該試料ステージに支持された試料ホルダとを備えた透過型電子顕微鏡において、前記対物レンズの前記第2の外ヨーク及び前記内ヨークが前記試料ステージを支持する側に開口部が設けられており、該開口部を塞ぐように補強部材を配設し、
前記補強部材は、補強フランジと補強リングとこれら2つの部材間を締結するボルトからなり、前記第2の外ヨークと前記内ヨークとの接合部は接着又は半田付け又はボルト締結又はロー付けの何れかにより固定されており、前記試料ステージと前記補強フランジとをボルトにより締結したことを特徴とする。
本発明によれば、環境外乱による像移動に対する影響度が最も強い対物レンズのヨークの曲げ剛性を重点的に高める構造とすることにより、対物レンズのポールピースから試料までのループ剛性を高めたため、外乱振動により鏡筒が弾性変形して観察像が移動する量を抑制できるので、透過型電子顕微鏡における原子レベルの高分解能観察を可能とすることができる。
以下図1を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。但し、この例示によって本発明の技術範囲が制限されるものでは無い。図1において図4と同一または類似の動作を行なうものには共通の符号を付し、詳しい説明の重複を避ける。
図1は、本発明を実施する対物レンズ213の構造を示す図である。図1において、外ヨークa25は外ヨークb26とボルト24a、内ヨーク27とボルト24bにより締結されている。ステージ基台3aは試料ステージ3の一部で、試料ステージ3を鏡筒4に固定するための部材である。ステージ基台3aは外ヨークa25の上部にボルト24cにより固定されている。内ヨーク27の上面にはポールピース下極29とポールピース上極31とが対向しており、これらの間にはスペーサ31が設けられている。
内ヨーク27と外ヨークa25との隙間にはコイル28が設けられ、電流を通すことによって磁場レンズが構成される。同レンズの磁気回路は、ポールピース下極29、内ヨーク27、外ヨークa25、外ヨークb26、ポールピース上極30から構成される。ここで、外ヨークb26とポールピース上極30とは機械的に接触しておらず、わずかに間隙が設けられている。
本発明を実施する対物レンズは、ポールピースから試料までのループ剛性を高めるため、外ヨークa25と内ヨーク27をつなぐ補強フランジ32と補強リング33の2つの部材を配置している。2つの部材間はボルト34による締結がなされている。ボルト34′は、ボルト34と同一の働きをするボルトで、異なる部位に配置されていることを示す。
それぞれの内ヨーク27、外ヨークa25との接合部の全面が接着により固定され、高剛性に接合されている。これら接合部は必ずしも接着によらず、はんだ付けやボルト締結などで固定しても良い。これら補強フランジ32と補強リング33が、外ヨークと内ヨークとの相対変形を抑制し、試料とポールピースとの間のループ剛性を高める効果を生み出している。
次に、本発明を実施した他の対物レンズ313の例を、図7を参照しながら説明する。対物レンズ313は、対物レンズ213で実施される補強に加えて、さらに補強フランジ40の中心軸側(電子ビーム軸に近い側)をステージ基台3aとボルト35で固定する補強を行なっている。ボルト35′は、ボルト35と同一の働きをするボルトで、異なる部位に配置されていることを示す。補強フランジ40は、ボルト35によるステージ基台3aとの締結を強固にするため、対物レンズ213の補強フランジ32とは若干異なる形状とされているが、同じ形状として補強フランジ40とステージ基台3aとの間にスペーサ(図示せず)を組み込んでも良い。これらの補強によって、試料とポールピースとの間のループ剛性をより高めることができる。
また、ステージ基台3aとポールピース下極29との間に配置されているスペーサ37は、ステージ基台3aとスペーサ37とをボルト36で締結することができるように、図4に示される従来のスペーサ31と異なった形状とされている。そのため、試料とポールピースとの間のより高いループ剛性を得ることが可能である。
なお、図7においては、補強フランジ40とステージ基台3aとのボルト締結と、ステージ基台3aとスペーサ37とのボルト締結を同時に行なうようにしているが、何れか一方の締結のみ行なうようにしても良い。
次に、本発明を実施した他のもうひとつの対物レンズ413の例を、図8を参照しながら説明する。対物レンズ413において、内ヨーク39には補強フランジ41をねじ込むためのねじ込み部39aが形成されている。補強フランジ41をねじ込んだ後に、ねじ込み部39aをはんだ付けで補強すればなお良い。また、外ヨークa38と補強フランジ41をボルト42で締結する。そのため、外ヨークa38と補強フランジ41は、図4に示される従来の外ヨークa25と補強フランジ32とは異なった形状とされている。ボルト42′は、ボルト42と同一の働きをするボルトで、異なる部位に配置されていることを示す。これらの補強によって、試料とポールピースとの間のループ剛性をより高めることができる。
また、上記した対物レンズ213、313、413の説明において、補強フランジ32、補強フランジ41、補強リング33及び各ボルト等の締結部材には、磁路に影響が無いように非磁性材料を用いている。
次に、本発明による鏡筒剛性の改善効果の検証について説明する。図6は、図1に示した鏡筒剛性の改善による効果を測定した実験結果のグラフである。耐振性の評価のためには、装置全体を加振機に搭載し、加振時の像の振動量を測定するのがよい。しかし、この方法による評価の結果にはゴニオメータなど他の部位の弾性変形による影響も含まれるため、鏡筒剛性改善の効果のみを評価できない。
そこで、鏡筒の側面にばねばかりを用いて一定の荷重をかけた場合の像移動量について、従来設計の対物レンズと本発明を実施した対物レンズとの比較測定を行なった。測定はSTEM像、TEM像の両観察モードでそれぞれ実施した。荷重をかける位置を高さ方向に数点設け、それぞれによる像移動量を測定した。荷重は、試料ホルダの挿入方向とそれに直交する2方向にかけた。
STEM像観察モードにおける結果を図6(a)に示す。電子銃の最上部を試料ホルダ挿入方向へ荷重したとき改良前の像移動量が1となるように係数を乗じて比較を行った。図の横軸は除振機位置から荷重を加えた位置までの高さであり、縦軸が上記の像移動量(比較値)である。改良の効果は顕著であった。試料ホルダに直交する方向で電子銃最上部に荷重をかけたときに像移動の方向が反転したことは、像移動に支配的な要素が顕著に抑制され、他の要素の影響が現れたことを示す。改良前の荷重高さと像移動量との関係はほぼ直線状に並び、像移動量との交点は、図1の外ヨークa25下部にほぼ一致した。これは改良前においては像移動の支配的な弾性変形原因が外ヨークa25に集中しており、弾性変形量が荷重による曲げモーメントに比例するためと推定された。
次に、TEM像観察モードにおける同様の比較を図6(b)に示す。横軸は除振機位置から荷重を加えた位置までの高さ、縦軸は図6(a)と同様の係数を乗じた像移動量(比較値)である。改良の効果はTEM像観察モードにおいても顕著であった。改良前のTEM像観察モードの像移動量はSTEM像観察モードにおける量と同程度であった。また、改良前の荷重高さと像移動量との関係はSTEM像観察モードの場合と同様で、やはり図1の外ヨークa25下部のフランジ高さにほぼ一致した。よってTEM像観察モードにおいてもこの部位の剛性が像移動に対して支配的であった。以上の結果からSTEM像、TEM像両観察モードに対し鏡筒の電子光学的曲げ剛性は顕著に改善した。
以上述べたように、本発明によれば、対物レンズから試料への機械的なループ剛性を高めることにより、外乱振動により鏡筒が弾性変形して観察像が移動する量を抑制し、原子レベルの高分解能観察を可能とすることができる。

本発明を実施する対物レンズの構成例を示す図。 1自由度系の振動モデルを示す図。 鏡筒の各部位に慣性力が発生し弾性変形するときの像移動量を検討するためのモデル図。 従来の対物レンズの構成例を示す図。 走査透過像を観察可能な透過型電子顕微鏡の概略構成例を示す図。 本発明による鏡筒剛性の改善の効果を調べた実験結果のグラフ。 本発明を実施する対物レンズの他の構成例を示す図。 本発明を実施する対物レンズの他のもう1つの構成例を示す図。
符号の説明
(同一または類似の動作を行なうものには共通の符号を付す。)
1…試料
2…試料ホルダ
3…試料ステージ
3a…ステージ基台
4…鏡筒
5…除振機
6…床
7…架台
8…電子銃
9…エミッタ
10…電子ビーム
11…コンデンサレンズ
12…コンデンサミニレンズ
13…対物レンズ
14…中間レンズ
15…投影レンズ
16…蛍光板
17…カメラフィルム
18…STEM検出器
19…照射系偏向器
20…ビーム照射位置
21…照射系
22…結像系
23…対物レンズ部
24a、24b、24c…ボルト
25…外ヨークa
26…外ヨークb
27…内ヨーク
28…コイル
29…ポールピース下極
30…ポールピース上極
31…スペーサ
32…補強フランジ
33…補強リング
34、35、36…ボルト
37…スペーサ
38…外ヨークa
39…内ヨーク
39a…ねじ込み部
40、41…補強フランジ
42…ボルト

Claims (2)

  1. 第1の外ヨーク及び第2の外ヨーク及び内ヨークと、前記第1の外ヨークに固定されたポールピース上極と、前記第2の外ヨーク及び前記内ヨークに固定されたポールピース下極と、前記第2の外ヨークと前記内ヨークとの間に形成される空間に配置されたコイルからなる対物レンズと、該対物レンズ上に固定された試料ステージと、該試料ステージに支持された試料ホルダとを備えた透過型電子顕微鏡において、
    前記対物レンズの前記第2の外ヨーク及び前記内ヨークが前記試料ステージを支持する側に開口部が設けられており、該開口部を塞ぐように補強部材を配設し、
    前記補強部材は、補強フランジと補強リングとこれら2つの部材間を締結するボルトからなり、前記第2の外ヨークと前記内ヨークとの接合部は接着又は半田付け又はボルト締結又はロー付けの何れかにより固定されており、
    前記試料ステージと前記補強フランジとをボルトにより締結した
    ことを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  2. 前記対物レンズの前記ポールピース上極と前記ポールピース下極との間に配設するスペーサ、前記試料ステージとをボルトにより締結したことを特徴とする請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
JP2008282776A 2008-11-04 2008-11-04 透過型電子顕微鏡 Active JP5502309B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008282776A JP5502309B2 (ja) 2008-11-04 2008-11-04 透過型電子顕微鏡

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008282776A JP5502309B2 (ja) 2008-11-04 2008-11-04 透過型電子顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010113810A JP2010113810A (ja) 2010-05-20
JP5502309B2 true JP5502309B2 (ja) 2014-05-28

Family

ID=42302239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008282776A Active JP5502309B2 (ja) 2008-11-04 2008-11-04 透過型電子顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5502309B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102262996B (zh) * 2011-05-31 2013-06-12 北京工业大学 透射电镜用双轴倾转的原位力、电性能综合测试样品杆
JP5420601B2 (ja) * 2011-07-25 2014-02-19 株式会社日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子装置
JP6054728B2 (ja) 2012-12-10 2016-12-27 日本電子株式会社 試料位置決め装置および荷電粒子線装置
KR102682399B1 (ko) * 2022-03-03 2024-07-05 한국기초과학지원연구원 투과전자현미경 시스템

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2561699B2 (ja) * 1988-04-28 1996-12-11 日本電子株式会社 電子顕微鏡用試料装置
JPH06176729A (ja) * 1992-12-01 1994-06-24 Topcon Corp 走査型電子顕微鏡およびその類似装置
JPH08264145A (ja) * 1995-03-28 1996-10-11 Hitachi Ltd ビーム応用装置
JP2001093456A (ja) * 1999-09-27 2001-04-06 Jeol Ltd 荷電粒子ビーム装置
JP2005294712A (ja) * 2004-04-05 2005-10-20 Hitachi High-Technologies Corp 電子ビーム描画装置
JP4634819B2 (ja) * 2005-02-22 2011-02-16 株式会社リコー 光走査装置および画像形成装置
JP2007080668A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Hitachi High-Technologies Corp 荷電粒子線装置の試料移動装置
JP5384786B2 (ja) * 2006-11-14 2014-01-08 株式会社日立ハイテクノロジーズ 荷電ビーム装置、及びその鏡体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010113810A (ja) 2010-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2753979B1 (en) Vibration isolation module and substrate processing system
JP5502309B2 (ja) 透過型電子顕微鏡
JP2017535787A (ja) 基板の検査装置、基板の検査方法、大面積基板検査装置、及びその操作方法
JP6676407B2 (ja) 荷電粒子線装置、及び荷電粒子線装置用制振ダンパ
WO2010146790A1 (ja) 荷電粒子線装置
US20130070223A1 (en) Projection system with flexible coupling
JP6038144B2 (ja) 動的ナノフォーカスシステムを動作させるための方法および装置
Nazaretski et al. A new Kirkpatrick–Baez-based scanning microscope for the Submicron Resolution X-ray Spectroscopy (SRX) beamline at NSLS-II
JP5947128B2 (ja) 帯電粒子を用いて試料を結像、検査又は処理する装置及び方法
US11302512B2 (en) Electron beam inspection apparatus stage positioning
JP5420601B2 (ja) 荷電粒子装置
JP4223971B2 (ja) 走査電子顕微鏡を備えた走査形プローブ顕微鏡
JP6362941B2 (ja) 荷電粒子線装置
WO2005121901A1 (en) System and method for damping structural modes using active vibration control
JP2008052947A (ja) 荷電粒子ビーム装置
JP6633986B2 (ja) 荷電粒子線装置
JP2005032588A (ja) 電子顕微鏡用磁界型対物レンズ
WO2021152793A1 (ja) 荷電粒子線装置及び振動抑制機構
TWM608262U (zh) 帶電粒子束裝置、物鏡模組以及電極裝置
JP2007218677A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JP6118169B2 (ja) 荷電粒子線装置
JPH08273570A (ja) 試料に対する精密作業を行う装置
JP7336594B2 (ja) 荷電粒子線装置
JP7556054B2 (ja) 荷電粒子顕微鏡およびステージ
US20150153385A1 (en) Scanning mechanism and scanning probe microscope

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110808

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131008

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140311

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140313

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5502309

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150