JP5501684B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体装置の製造方法に関し、より詳細には、炭化珪素(SiC)半導体を用いた半導体素子を備える半導体装置の製造方法に関する。
省エネルギーの観点から、パワーデバイスの特性改善が求められている。そこで、次世代の高耐圧および低損失のスイッチング素子として、炭化珪素(SiC)半導体を用いた金属酸化物半導体(Metal Oxide Semiconductor;略称:MOS)構造の電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;略称:FET)、pnダイオードおよびショットキ障壁ダイオードが有望視されている。以下、MOS構造のFETを「MOSFET」という。
スイッチング素子の素子抵抗を低減するためには、素子の単位構造をより小さく微細化することが有効である。たとえば、MOSFETにおいては、ゲート部を掘り込んだトレンチを有する平面型でない構造(以下「トレンチ構造」という)が提案されている。トレンチ構造のMOSFET素子を作製する場合、トレンチをドライエッチングで半導体層に形成した後、トレンチの底面および側面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成して、ゲート構造を作製する。この構造では、トレンチの側面のゲート絶縁膜に接する部分の半導体層をチャネル層として用いる。
このようにトレンチ構造のMOSFET素子では、トレンチの底面および側面にゲート構造が形成されるので、トレンチの底面および側面の品質の制御が重要である。たとえばトレンチがドライエッチングによって形成されるときには、トレンチの底面および側面となる半導体層表面にダメージが生じる。この表面ダメージが生じたトレンチにゲート構造が形成されると、半導体と絶縁膜との良好な界面特性が得られず、良好なスイッチング特性が得られないという問題がある。
またトレンチが形成される半導体層は、ソース−ドレイン間の耐圧を確保するために不純物濃度が高くなっており、トレンチの側面となる半導体層表面も不純物濃度が高くなっている。この表面濃度の高い半導体層表面に直接ゲート構造が形成されると、チャネル層の不純物濃度をソース−ドレイン間の半導体層の不純物濃度と独立して制御することができず、MOSFET素子のオン抵抗および閾値電圧を所望の値に制御することができないという問題が生じる。
従来型のパワーデバイスに用いられている珪素(Si)半導体では、犠牲酸化、すなわち熱酸化と形成された酸化膜のエッチング除去とによって表面ダメージを除去するが可能であり、またドーピングされている不純物の外方拡散によって表面濃度を下げることが可能である。これに対し、SiC半導体では、熱酸化速度が遅いことから犠牲酸化によって表面ダメージを充分に除去することができず、加えて不純物の拡散速度が極めて小さいので、不純物の外方拡散によって表面濃度を下げることが困難である。またSiCを熱酸化して形成したゲート絶縁膜とSiC半導体との界面特性は、Siを熱酸化して形成したゲート絶縁膜とSi半導体との界面特性と比較すると、必ずしも良好ではない。
SiC半導体を用いたスイッチング素子において、トレンチを形成するときの表面ダメージの影響を避けるとともに、耐圧確保のために高濃度となっている半導体層表面への直接のゲート構造の形成を避けるための技術が、たとえば特許文献1に開示されている。特許文献1には、トレンチ形成後、トレンチの側面にSiH4/C38系化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition;略称:CVD)によってチャネル層をエピタキシャル成長させた後、熱酸化によってゲート絶縁膜を形成するというゲート構造の作製手順が開示されている。
スイッチング素子に限らず、素子抵抗を低減する方法としては、耐圧を保持するドリフト層を、電圧印加によって生じる電界と垂直な方向に沿って互いに異なる導電型層を交互に配置して形成する方法(たとえば特許文献2参照)、および互いに異なる導電型層を交互に配置するとともに異なる導電型層同士の間に絶縁層を配置して形成する方法(たとえば特許文献3参照)がある。このようなドリフト層の形成方法として、特許文献2および特許文献3には、ドリフト層となる半導体層をエピタキシャル成長した後、半導体層にドライエッチングで複数のトレンチを形成し、形成したトレンチに、エピタキシャル成長させた半導体層とは異なる導電型の半導体層、または絶縁層をCVDによって埋込む方法が開示されている。
SiC結晶をエピタキシャル成長させる方法としては、たとえば前述の特許文献1および特許文献2に、シランとプロパンとを原料ガスとするSiH4/C38系CVDが開示されている。このような珪素原子含有物質および炭素原子含有物質を原料ガスとするCVDの条件としては、たとえば特許文献4に、1400℃以上の温度で行うことが開示されている。また特許文献4には、成長圧力を、1〜1000Torr、Pa換算で約133〜133000Paにすることが開示されている。
特開平9−74191号公報 特開2002−237592号公報 特開2003−298053号公報 再表03/078702号公報
前述のように特許文献1には、MOSFETのトレンチゲート部分の作製方法として、トレンチ形成後にトレンチ側面へのSiH4/C38系CVDによるチャネル層のエピタキシャル成長と、熱酸化によるゲート絶縁膜形成とを行うことが開示されている。CVDによるエピタキシャル成長は、たとえば特許文献4に開示されるように、1400℃以上の温度で、1〜1000Torr、Pa換算で約133〜133000Paの成長圧力で行われる。特許文献1に開示される方法では、エピタキシャル成長および熱酸化のプロセスを行うときの圧力が高く、チャネル層およびゲート絶縁膜を制御性良く作製することが困難であるという問題がある。したがって、特許文献1に開示される技術を、トレンチ構造の利点を活かすために素子寸法の微細化、すなわちトレンチ幅の微細化を行う場合に適用することは困難である。
また特許文献2および特許文献3には、互いに異なる導電型層を交互に配置した構成、または互いに異なる導電型層同士の間に絶縁層を配置した構成のドリフト層の作製方法として、CVDにてトレンチに異なる導電型層または絶縁膜を埋込む方法が開示されている。CVDは、たとえば特許文献4に開示されるように、1400℃以上の温度で、1〜1000Torr、Pa換算で約133〜133000Paの成長圧力で行われる。特許文献2および特許文献3に開示される技術では、エピタキシャル成長および絶縁膜のCVDのプロセスを行うときの圧力が高く、チャネル層およびゲート絶縁膜を制御性良く作製することが困難であるという問題がある。したがって、特許文献2および特許文献3に開示される技術を、素子の低抵抗化を図る上で必要となる、トレンチ幅の微細化を行う場合に適用することは困難である。
本発明の目的は、微細なトレンチに対しても、ゲート構造または埋込み層などの層を再現性良く形成することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体層として炭化珪素層を備える半導体装置の製造方法であって、前記炭化珪素層に形成されたトレンチの底および前記トレンチの底に近い領域に絶縁膜を形成しないで、前記トレンチの側面に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を形成する工程の後に、前記トレンチ内の空間に、エピタキシャル成長によって炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程を備え、前記炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程では、炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用い、100Pa以下の減圧下で、前記エピタキシャル成長を行い、前記絶縁膜を形成する工程では、100Pa以下の減圧下で酸素活性種を供給することによる酸化および、100Pa以下の減圧下で酸素活性種およびシラン原料を供給することによる堆積の少なくとも一方によって、前記絶縁膜を形成することを特徴とする。
本発明の半導体装置の製造方法によれば、炭化珪素層に形成されたトレンチの底およびトレンチの底に近い領域に絶縁膜を形成しないで、トレンチの側面に、100Pa以下の減圧下で酸素活性種を供給することによる酸化、および100Pa以下の減圧下で酸素活性種およびシラン原料を供給することによる堆積の少なくとも一方によって、絶縁膜が形成される。このように100Pa以下の減圧下での成膜であるので、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチに対しても、絶縁膜を制御性良く形成することができる。これによって、微細なトレンチに対して、ゲート絶縁膜または埋込み絶縁膜などの絶縁膜を再現性良く形成することができる。
また、絶縁膜が形成された後には、トレンチ内の空間に、炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用いた100Pa以下の減圧下でのエピタキシャル成長によって、炭化珪素エピタキシャル層が形成される。このように100Pa以下の減圧下での成膜であるので、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチに対しても、炭化珪素エピタキシャル層を制御性良く形成することができる。これによって、微細なトレンチに対して、炭化珪素エピタキシャル層で構成されるチャネル層または埋込み層などの半導体層を再現性良く形成することができる。このように微細な構造を制御性良く形成することができるので、素子特性の向上を図ることができる。
n型ソース領域14の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 トレンチ16の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 チャネル層17およびゲート絶縁膜18の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 本発明の第1の参考形態における半導体装置1の素子単位構造を示す断面図である。 n型ドリフト層32の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 トレンチ33の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 エピタキシャル層34および埋込み絶縁膜35の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 p型半導体層36の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 n型半導体層37、p型ボディ領域38およびn型ソース領域39の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。 本発明の第の実施の形態における半導体装置30の素子単位構造を示す断面図である。 本発明の第参考形態における半導体装置30Aの素子単位構造を示す断面図である。
<第1の参考形態>
図1〜図4は、本発明の第1の参考形態における半導体装置1の製造方法を説明するための図である。図1〜図3に半導体装置1の製造途中の構造を示し、図4に半導体装置1を示す。本参考形態における半導体装置1は、炭化珪素(SiC)を用いたSiC半導体装置、より詳細にはSiCパワーデバイスである。図1〜図4では、半導体装置1のMOSFETとして動作する領域の素子構造の最小単位(以下「素子単位構造」という場合がある)、またはその製造途中の構造の断面を示している。以下、素子単位構造の製造途中の構造を含めて、「素子単位構造」という場合がある。本参考形態における半導体装置1の活性領域では、図1〜図4に示す素子単位構造が各図の紙面に向かって左右方向に折り返されて、たとえば櫛型構造または多角形構造を成すように連続している。
図1は、n型ソース領域14の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。まずn型半導体基板11上に、n型ドリフト層12をエピタキシャル成長させて形成する。n型半導体基板11は、n型低抵抗SiC基板によって実現される。n型ドリフト層12は、耐圧を保持するための層であり、n型SiCドリフト層によって実現される。
n型ドリフト層12は、n型半導体基板11の厚み方向一方側の表面部全体にわたって形成される。n型ドリフト層12は、たとえば3μm以上150μm以下程度の層厚に形成される。またn型ドリフト層12は、たとえば0.5×1015/cm3以上15×1015/cm3以下程度のドーピング濃度で形成される。kV級の耐圧を考慮すると、n型ドリフト層12の層厚は、5μm以上20μm以下であることが望ましく、またドーピング濃度は、5×1015/cm3以上15×1015/cm3以下であることが望ましい。
形成したn型ドリフト層12のうち、p型ボディ領域13を形成する領域にp型不純物をイオン注入した後、活性化熱処理工程を行うことによって、p型ボディ領域13を選択的に形成する。p型ボディ領域13は、n型ドリフト層12の表面部、具体的にはn型半導体基板11に接する側とは反対側の表面部の選択された領域に形成される。p型ボディ領域13は、たとえば0.5μm以上2μm以下程度の層厚に形成される。またp型ボディ領域13のドーピング濃度は、耐圧確保の観点から、3×1017/cm3以上20×1017/cm3以下程度に選ばれる。
このように本参考形態では、p型ボディ領域13は、イオン注入とその後の活性化熱処理工程とによって形成される。これに限定されず、たとえば、形成したn型ドリフト層12上にエピタキシャル成長によってp型ボディ領域13を形成してもよい。p型ボディ領域13は、p型SiCボディ領域によって実現される。p型ボディ領域13は、たとえば0.5μm以上2μm以下程度の層厚に形成される。またp型ボディ領域13は、たとえば3×1017/cm3以上20×1017/cm3以下程度のドーピング濃度で形成される。
形成したp型ボディ領域13のうち、n型ソース領域14を形成する領域にn型不純物をイオン注入した後、活性化熱処理工程を行うことによって、n型ソース領域14を選択的に形成する。n型ソース領域14は、n型SiCソース領域によって実現される。
n型ソース領域14は、p型ボディ領域13の内部、具体的にはp型ボディ領域13の表面部の選択された領域に、イオン注入および活性化熱処理工程によって選択的に形成される。n型ソース領域14は、n型半導体基板11の厚み方向に垂直な一方向に帯状に延びて形成される。n型ソース領域14は、たとえば0.3μm以上1μm以下程度の層厚に形成される。またn型ソース領域14は、たとえば5×1018/cm3以上50×1018/cm3以下程度のドーピング濃度で形成される。
p型ボディ領域13のうち、コンタクト領域15を形成する領域にp型不純物をイオン注入した後、活性化熱処理工程を行うことによって、コンタクト領域15を形成する。コンタクト領域15は、n型ソース領域14に接して形成され、p型ボディ領域13の表面部の一部分を構成する。本参考形態では、コンタクト領域15は、n型ソース領域14の両側部の一部分に接し、n型ソース領域14の両側部のコンタクト領域15に接する部分を除く残余の部分は、p型ボディ領域13に接する。
コンタクト領域15は、p型ボディ領域13の他の部分よりも高濃度のドーピングとなるように別途選択的にイオン注入を行うことによって形成される。p型ボディ領域13のうちコンタクト領域15の最表面領域は、ドーピング濃度が、たとえば5×1018/cm3以上50×1018/cm3以下程度と、p型ボディ領域13の他の部分よりも高濃度に形成される。コンタクト領域15は、p型ボディ領域13の他の部分と同程度のドーピング濃度に形成されてもよい。この場合、コンタクト領域を形成する領域へのp型不純物のイオン注入は行われず、p型ボディ領域13の表面部のうちで、n型ソース領域14に接する領域がコンタクト領域15となる。
活性化熱処理工程は、本参考形態ではイオン注入のたびに行っているが、該当する領域へのイオン注入が全て終了した後にまとめて行ってもよい。以上のようにして図1に示す素子単位構造が得られる。
図2は、トレンチ16の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。前述のようにしてn型半導体基板11上のn型ドリフト層12にp型ボディ領域13、n型ソース領域14およびコンタクト領域15が形成された図1に示す素子単位構造に対して、反応性イオンエッチングによって、n型ソース領域14の表面部からp型ボディ領域13を貫通してn型ドリフト層12の内部に達するトレンチ16を形成する。トレンチ16は、n型ソース領域14の幅方向における両端部間の中央部で開口され、n型ソース領域14の延在方向に延びて形成される。
トレンチ16は、p型ボディ領域13を貫通してn型ドリフト層12の内部に達するので、トレンチ16の深さ方向における寸法(以下、単に「深さ」という)は、p型ボディ領域13の層厚よりもやや大きい値となる。具体的には、n型ソース領域14およびコンタクト領域15を含むp型ボディ領域13全体の層厚は、0.5μm以上2μm以下程度であるので、トレンチ16の深さD1は、p型ボディ領域13の層厚である0.5〜2μm程度よりもやや大きい値となる。トレンチ16の幅方向における寸法(以下、単に「幅」という)W1は、1μm前後の値であって、素子抵抗を低減するために微細化する場合には、さらに小さい値となる。したがって、トレンチ16の幅W1に対する深さD1の比、すなわち深さD1/幅W1は1を超える場合が多い。
反応性イオンエッチングによってトレンチ16を形成するときには、トレンチ16の底面および側面にダメージが生じないように、またトレンチ16の底面の断面形状が下に凸の形状となるように、酸化膜などをマスクとして用い、エッチングガスとしては六フッ化硫黄(SF6)などを用いる。以上のようにして図2に示す素子単位構造が得られる。
図3は、チャネル層17およびゲート絶縁膜18の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。前述の反応性イオンエッチングによるダメージが十分に低減されていたとしても、p型ボディ領域13のドーピング濃度は、耐圧確保の点から、前述のように3×1017/cm3以上20×1017/cm3以下程度であり、トレンチ16の側面を構成するp型ボディ領域13の表面にそのままゲート絶縁膜18を形成して、MOSFETのチャネル層として用いるには高すぎる値である。
そこで本参考形態では、ゲート絶縁膜18を形成する前に、チャネル層17となるエピタキシャル層をトレンチ16の底面および側面に形成する。このチャネル層17となるエピタキシャル層を形成するときのエピタキシャル成長は、炭素原料として、減圧下でも成長可能な炭素原料、具体的には不飽和炭化水素もしくは有機シラン、またはこれらの両方を用いて、減圧下で、具体的には100Pa以下の減圧下で、CVDによって行う。
炭素原料としてSiH4およびC38を用いるSiH4/C38系CVDでは、1400℃以上の高温で比較的高い圧力でエピタキシャル成長を行うことが必要である。これに対し、本参考形態のように炭素原料として不飽和炭化水素もしくは有機シラン、またはこれらの両方を用いることによって、100Pa以下の減圧下で、エピタキシャル成長を行うことが可能である。また温度としては1400℃よりも低い温度で、具体的には1000℃程度またはそれ以下の温度であっても、エピタキシャル成長を行うことが可能である。
したがって本参考形態では、前述のように炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用い、100Pa以下の減圧下で、CVDによるエピタキシャル成長を行う。これによって、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ16に対しても、チャネル層17としてSiC層を制御性良く形成することができる。
不飽和炭化水素としては、アセチレンなどのアルキン、エチレンなどのアルケンなどの、炭素数2〜4の不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。その他、炭素および水素以外の元素を含むもの、たとえば水素原子が酸素原子、窒素原子または硫黄原子などで置換された、炭素数2〜4の不飽和脂肪族炭化水素も挙げられる。このように不飽和炭化水素としては、置換または無置換の炭素数2〜4の不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。これらの中から選ばれる1種または2種以上を不飽和炭化水素として用いることができる。
有機シランとしては、シリコン原子と炭素原子とを含むシラン化合物が挙げられ、シリコン原子1個を含むものだけでなく、シリコン原子を2個またはそれ以上含むものも用いることが可能である。具体的には、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、トリメチルシランなどの、炭素数1〜4の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素で置換されたシランが挙げられる。
炭素原料としては、前述のように不飽和炭化水素と有機シランとの両方を用いてもよい。また不飽和炭化水素と、炭素を含まないシラン化合物とを組合せて供給することで、エピタキシャル成長を行ってもよい。炭素を含まないシラン化合物としては、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si26)などの水素と珪素との化合物、ジクロロシラン(SiH2Cl2)などの水素と珪素と塩素との化合物などが挙げられる。
チャネル層17を形成するときのエピタキシャル成長は、トレンチ16の形状、たとえば幅W1および深さD1によっては、原料ガスがトレンチ16内に有効に供給されるように、1Pa以下の圧力で行うことが望ましい。
以上のようにしてトレンチ16の底面および側面にチャネル層17が形成されて、トレンチ16を形成するときのドライエッチングによるダメージの影響が軽減された状態において、チャネル層17の表面に、たとえば減圧下の極薄酸化または減圧下の堆積によって、ゲート絶縁膜18を形成する。
減圧下の極薄酸化によってゲート絶縁膜18を形成する場合、酸素原子を含むガス、たとえば酸素(O2)、一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(N2O)などをプラズマまたは光によって励起することで発生した酸素活性種をチャネル層17の表面に供給する。これによって、チャネル層17の表面にゲート絶縁膜18として極薄酸化膜を形成することができる。
熱酸化の場合、常圧下、たとえば約105Paの圧力下で、1100℃以上の温度で酸化が行われるが、酸素活性種による酸化の場合、100Pa以下の減圧下で400℃以上800℃以下程度の温度で酸化膜を形成することができる。また酸素活性種によって形成された酸化膜は、熱酸化によって形成された熱酸化膜と比べて界面準位密度が小さく、平坦で良好な酸化膜−半導体界面を得ることができる。
酸素活性種による酸化においては、酸化膜の厚み寸法が10nm程度に限られる場合が多く、厚み寸法が数十nmの酸化膜を形成することは困難である。したがって、ゲート絶縁膜18の厚膜化が必要な場合は、減圧下での酸素活性種による酸化の後に、減圧下での堆積を行って、ゲート絶縁膜18を形成する。
減圧下の堆積によってゲート絶縁膜18を形成する場合、前述のO2、NO、N2Oなどの酸素原子を含むガスをプラズマまたは光によって励起することで発生した酸素活性種と、シラン原料とを供給することで、所定の厚みの堆積膜をゲート絶縁膜18として形成する。シラン原料としては、たとえばSiH4、Si26、SiH2Cl2などの、水素と珪素との化合物、または水素と珪素と塩素との化合物が挙げられる。
酸素活性種およびシラン原料を供給して減圧下の堆積によってゲート絶縁膜18を形成する場合、熱酸化の温度よりも遥かに低温の400℃以上800℃以下の温度で、100Pa以下の減圧下においても良好な絶縁性および界面特性のゲート絶縁膜18を得ることができる。このときの圧力は、通常のCVDによる絶縁膜形成における圧力よりも低い。このように減圧下でのプロセスとすることによって、微細なトレンチ16に対しても、制御性良くゲート絶縁膜18を形成することができる。酸素活性種およびシラン原料を供給することによる堆積は、トレンチ16の形状、たとえば幅W1および深さD1によっては、原料ガスがトレンチ16内に有効に供給されるように、1Pa以下の圧力で行うことが望ましい。
また、トレンチ16の側面へのエピタキシャル成長を行った表面、すなわちチャネル層17の表面が極めて清浄化かつ平坦化された状況であれば、ゲート絶縁膜18の厚膜化が必要な場合でも、酸素活性種による極薄酸化を行わずに、酸素活性種およびシラン原料の供給による堆積のみによって、ゲート絶縁膜18を形成してもよい。
以上のように本参考形態では、チャネル層17のエピタキシャル成長、およびゲート絶縁膜18の形成のいずれも減圧下におけるプロセスであるので、真空一貫プロセスで行うことができる。真空一貫プロセスで行うことによって、チャネル層17とゲート絶縁膜18とを、汚染の影響が少なく、かつ清浄なプロセスで形成することができる。したがって、清浄度が高く、汚染の少ない絶縁膜−半導体界面を得ることができる。以上のようにして図3に示す素子単位構造が得られる。
チャネル層17とゲート絶縁膜18とは、ソース領域14およびコンタクト領域15の上にも形成されることがあるが、この場合、以下に述べるゲート電極を形成する工程において除去され、ソース領域14およびコンタクト領域15の上には存在しない形状となる。
図4は、本発明の第1の参考形態における半導体装置1の素子単位構造を示す断面図である。図4に示す素子単位構造は、具体的には、ゲート電極19、層間絶縁膜20、ソース電極21、ドレイン電極22および配線電極23の形成が終了した段階の状態である。ゲート絶縁膜18を形成した後は、トレンチ16内の空間、すなわちゲート絶縁膜18で規定される溝にゲート電極19を充填する。次いで、n型半導体基板11の厚み方向一方側で露出するゲート電極19、ゲート絶縁膜18およびチャネル層17と、n型ソース領域14の一部分とを覆うように層間絶縁膜20を形成する。
次いで、n型ソース領域14の層間絶縁膜20で覆われていない部分とコンタクト領域15とを覆うようにソース電極21を形成する。またn型半導体基板11の厚み方向他方側の表面部、すなわちn型半導体基板11のn型ドリフト層12が形成された側とは反対側の表面部に、ドレイン電極22を形成する。ドレイン電極22は、n型半導体基板11の厚み方向他方側の表面部全体にわたって形成される。次いで、層間絶縁膜20およびソース電極21を覆うように配線電極12を形成して、半導体装置1を製造する。以上のようにして図4に示す素子単位構造を有する半導体装置1が得られる。
以上のようにして製造した半導体装置1では、素子単位構造における素子のしきい値電圧以上のゲート電圧をゲート電極19に印加することで、ソース電極21とドレイン電極22との間に電流を流す、すなわちソース−ドレイン間の電流をオンさせることができる。また、しきい値電圧未満のゲート電圧をゲート電極19に印加することで、ソース電極21とドレイン電極22との間の電流の流れを遮断する、すなわちソース−ドレイン間の電流をオフさせることができる。したがって半導体装置1は、スイッチング素子としての動作が可能である。
以上のように本参考形態によれば、SiC層であるn型ドリフト層12、p型ボディ領域13およびn型ソース領域14に形成されたトレンチ16に対して、チャネル層17として炭化珪素エピタキシャル層が形成され、このチャネル層17が形成されたトレンチ16に対して、ゲート絶縁膜18が形成される。
チャネル層17は、炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用いた100Pa以下の減圧下でのエピタキシャル成長によって形成される。このように100Pa以下の減圧下での成膜であるので、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ16に対しても、チャネル層17を制御性良く形成することができる。これによって、微細なトレンチ16に対して、SiCで構成されるチャネル層17などの半導体層を再現性良く形成することができる。このように微細な構造を制御性良く形成することができるので、素子特性の向上を図ることができる。
またゲート絶縁膜18は、100Pa以下の減圧下で酸素活性種を供給することによる酸化、および100Pa以下の減圧下で酸素活性種およびシラン原料を供給することによる堆積の少なくとも一方によって形成される。このように100Pa以下の減圧下での成膜であるので、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ16に対しても、ゲート絶縁膜18を制御性良く形成することができる。これによって、微細なトレンチ16に対して、ゲート絶縁膜18などの絶縁膜を再現性良く形成することができる。このように微細な構造を制御性良く形成することができるので、素子特性の向上を図ることができる。
このように本参考形態では、半導体層であるチャネル層17およびゲート絶縁膜18の成膜時の圧力を下げ、さらに温度も下げている。これによって、成膜を、供給律速ではなく、反応律速、すなわち熱分解律速または熱反応律速とし、微細なトレンチにも制御性良く堆積を行えるように成長速度を下げている。
絶縁膜をトレンチの側面または底面に形成する場合、成膜時の圧力が高く、温度も高いと、成膜速度が大きく、供給律速となるので、トレンチ上部にのみ成膜が進行し、トレンチ内部に形成されないことになる。
トレンチを半導体で完全に埋込む場合、成膜時の圧力および温度が高いと、トレンチ内での供給原料の反応生成物が底まで到達せず、底部に空洞ができるような形状となってしまう。
これに対し、本参考形態では、成膜時の圧力を下げ、さらに温度も下げているので、前述のように微細なトレンチに対しても制御性良く堆積を行うことができる。
また本参考形態では、トレンチ16には、ゲート絶縁膜18を形成する前に、チャネル層17として、炭化珪素エピタキシャル層が形成される。すなわち、トレンチ16には、チャネル層17を介してゲート絶縁膜18が形成されるので、チャネル層17の不純物濃度を、トレンチ16を規定する半導体層、すなわちn型ドリフト層12、p型ボディ領域13およびn型ソース領域14の不純物濃度と独立して制御することができる。これによって、ゲート絶縁膜18との界面を構成する半導体層であるチャネル層17を、所望の特性を有するように形成することができる。したがって、たとえばMOSFET素子のオン抵抗および閾値電圧を所望の値に制御することができるので、所望の特性を有する半導体装置1を製造することができる。
また本参考形態では、前述のように、チャネル層17およびゲート絶縁膜18の形成を、汚染の影響が少なく、清浄なプロセスである真空一貫プロセスで行うことができるので、清浄度が高く、汚染の少ない絶縁膜−半導体界面を得ることができる。つまり、本参考形態では、清浄度が高く、汚染の少ないプロセスで半導体装置30を製造することができる。したがって半導体装置30では、安定した信頼性の高い動作が可能である。
以上に述べた本参考形態では、MOSFETにおいて、微細な寸法のトレンチ16に対して、半導体層であるチャネル層17と絶縁膜であるゲート絶縁膜18とを減圧下のプロセスで形成する方法について説明した。MOSFETにおいて、チャネル層17とゲート絶縁膜18とをトレンチ16に形成することによって、素子抵抗を低減することができる。このように半導体層と絶縁膜とを減圧下のプロセスで形成する方法は、MOSFETの素子抵抗を低減する方法として有効であるが、これに限定されず、たとえば耐圧を保持するドリフト層を、電圧の印加によって生じる電界と垂直な方向に沿って互いに異なる導電型層を交互に配置した構成に形成する場合、または互いに異なる導電型層を交互に配置するとともに異なる導電型層同士の間に絶縁膜を配置した構成に形成する場合にも適用することができる。
<第の実施の形態>
図5〜図10は、本発明の第の実施の形態における半導体装置30の製造方法を説明するための図である。図5〜図9に半導体装置30の製造途中の構造を示し、図10に半導体装置30を示す。本実施の形態における半導体装置30は、前述の第1の参考形態の半導体装置1と同様に、SiCを用いたSiC半導体装置、より詳細にはSiCパワーデバイスである。図5〜図10には、半導体装置30またはその製造途中の構造におけるMOSFETとして動作する領域の素子単位構造の断面を示している。本実施の形態における半導体装置30の活性領域では、図5〜図10に示す素子単位構造が各図の紙面に向かって左右方向に折り返されて、たとえば櫛型構造または多角形構造を成すように連続している。
本実施の形態の半導体装置30では、図10に示すように、n型ドリフト層32に形成されたトレンチ33に埋込み絶縁膜35を介してp型半導体層36が埋込まれている。つまり、電圧印加によって生じる電界と垂直な方向に沿ってn型半導体層であるn型ドリフト層32とp型半導体層36とが交互に配置されるとともにn型ドリフト層32とp型半導体層36との間に埋込み絶縁膜35が配置されて、ドリフト層が構成されている。このようなドリフト層を備えることによって、素子抵抗を低減することができる。以下、半導体装置30の製造方法について説明する。
図5は、n型ドリフト層32の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。まずn型半導体基板31上に、n型ドリフト層32をエピタキシャル成長させて形成する。n型半導体基板31は、n型低抵抗SiC基板によって実現される。n型ドリフト層32は、耐圧を保持するための層であり、n型SiCドリフト層によって実現される。
n型ドリフト層32は、n型半導体基板31の一方側の表面部全体にわたって形成される。n型ドリフト層32は、たとえば5μm以上150μm以下程度の層厚に形成される。またn型ドリフト層32は、たとえば0.5×1017/cm3以上15×1017/cm3以下程度のドーピング濃度で形成される。kV級の耐圧を考慮すると、n型ドリフト層32の層厚は、5μm以上20μm以下程度であることが望ましい。以上のようにして図5に示す素子単位構造が得られる。
図6は、トレンチ33の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。前述のようにしてn型半導体基板11上にn型ドリフト層32が形成された図5に示す素子単位構造に対して、反応性イオンエッチングによって、n型ドリフト層32の表面部から、n型半導体基板31付近のn型ドリフト層32の内部まで達するトレンチ33を形成する。本実施の形態では、複数の、具体的には3つのトレンチ33が形成される。
トレンチ33は、n型ドリフト層32の表面部から、n型半導体基板31付近のn型ドリフト層32の内部まで達するので、トレンチ33の深さD2は、n型ドリフト層32の層厚と同程度の値となる。具体的には、n型ドリフト層32の層厚は、kV級の耐圧を考慮した素子においては5μm以上20μm以下程度であるので、トレンチ33の深さD2は、n型ドリフト層32の層厚である5〜20μmと同程度の値となる。トレンチ33の幅W2は、1μm前後の値であって、素子抵抗を低減するために微細化する場合には、さらに小さい値となる。したがって、トレンチ33の幅W2に対する深さD2の比、すなわち深さD2/幅W2は、前述の第1の参考形態の場合よりもさらに大きく、10を超える場合が想定される。
反応性イオンエッチングによってトレンチ33を形成するときには、第1の参考形態と同様に、トレンチ33の底面および側面にダメージが生じないように、またトレンチ33の底面の断面形状が下に凸の形状となるように、酸化膜などをマスクとして用い、エッチングガスとしてはSF6などを用いる。以上のようにして図6に示す素子単位構造が得られる。
図7は、エピタキシャル層34および埋込み絶縁膜35の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。前述の反応性イオンエッチングでは、トレンチ33の底面および側面へのダメージが懸念される。そこで、本実施の形態では、半導体と絶縁層との界面状態に及ぼす影響を低減するために、トレンチ33に対して、エピタキシャル層34を介して、埋込み絶縁膜(以下、単に「絶縁膜」という場合がある)35を形成する。具体的には、絶縁膜35を形成する前に、極薄のエピタキシャル層34をトレンチ33の底面および側面に形成する。本実施の形態とは異なるが、前述の反応性イオンエッチングによるダメージが十分に低減されていれば、トレンチ33に対して絶縁膜35を直接形成してもよい。
エピタキシャル層34を形成するためのエピタキシャル成長は、前述の第1の参考形態においてチャネル層17を形成する場合と同様に、炭素原料として、減圧下でも成長可能な炭素原料、具体的には不飽和炭化水素もしくは有機シラン、またはこれらの両方を用いて、減圧下で、具体的には100Pa以下の減圧下で、CVDによって行う。
前述のようにSiH4/C38系CVDでは、1400℃以上の高温で比較的高い圧力でエピタキシャル成長を行うことが必要である。これに対し、本実施の形態のように炭素原料として不飽和炭化水素もしくは有機シラン、またはこれらの両方を用いることによって、100Pa以下の減圧下で、エピタキシャル成長を行うことが可能である。また温度としては、1000℃程度またはそれ以下の温度でエピタキシャル成長が可能である。
したがって本実施の形態では、前述の第1の参考形態と同様に、炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用い、100Pa以下の減圧下で、CVDによるエピタキシャル成長を行う。これによって、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33に対しても、エピタキシャル層34としてSiC層を制御性良く形成することができる。エピタキシャル層34を形成するときのエピタキシャル成長は、トレンチ33の形状、たとえば幅W2および深さD2によっては、原料ガスがトレンチ33内に有効に供給されるように、1Pa以下の圧力で行うことが望ましい。
不飽和炭化水素としては、前述の第1の参考形態と同様のものが挙げられ、具体的には、アセチレンなどのアルキン、エチレンなどのアルケンなどの、炭素数2〜4の不飽和脂肪族炭化水素、炭素および水素以外の元素を含むもの、たとえば水素原子が酸素原子、窒素原子または硫黄原子などで置換された、炭素数2〜4の不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。これらの中から選ばれる1種または2種以上を不飽和炭化水素として用いることができる。
有機シランとしても前述の第1の参考形態と同様のものが挙げられ、具体的には、シリコン原子と炭素原子とを含むシラン化合物が挙げられ、シリコン原子1個を含むものだけでなく、シリコン原子を2個またはそれ以上含むものも用いることが可能である。具体的には、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、トリメチルシランなどの、炭素数1〜4の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素で置換されたシランが挙げられる。
炭素原料としては、前述のように不飽和炭化水素と有機シランとの両方を用いてもよい。また不飽和炭化水素と、炭素を含まないシラン化合物とを組合せて供給することで、エピタキシャル成長を行ってもよい。炭素を含まないシラン化合物としては、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si26)などの水素と珪素との化合物、ジクロロシラン(SiH2Cl2)などの水素と珪素と塩素との化合物などが挙げられる。
以上のようにしてトレンチ33の底面および側面にエピタキシャル層34が形成されて、トレンチ33を形成するときのドライエッチングによるダメージの影響が軽減された状態において、トレンチ33に対して、より詳細にはエピタキシャル層34の表面に対して、埋込み絶縁膜35を形成する。埋込み絶縁膜35は、前述の第1の参考形態においてゲート絶縁膜18を形成する場合と同様に、減圧下の極薄酸化または減圧下の堆積によって形成される。
減圧下の極薄酸化によって絶縁膜35を形成する場合、前述の第1の参考形態と同様に、酸素原子を含むガス、たとえば酸素(O2)、一酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(N2O)などをプラズマまたは光によって励起することで発生した酸素活性種をエピタキシャル層34の表面に供給する。これによって、エピタキシャル層34の表面に絶縁膜35として極薄酸化膜を形成することができる。
前述のように、熱酸化の場合、常圧下、たとえば約105Paの圧力下で、1100℃以上の温度で酸化が行われるが、酸素活性種による酸化の場合、100Pa以下の減圧下で400℃以上800℃以下程度の温度で酸化膜を形成することができる。また酸素活性種によって形成された酸化膜は、熱酸化によって形成された熱酸化膜と比べて界面準位密度が小さく、平坦で良好な酸化膜−半導体界面を得ることができる。
酸素活性種による酸化においては、酸化膜の厚み寸法が10nm程度に限られる場合が多く、厚み寸法が数十nmの酸化膜を形成することは困難である。したがって、絶縁膜35の厚膜化が必要な場合は、減圧下での酸素活性種による酸化の後に、減圧下での堆積を行って、絶縁膜35を形成する。
減圧下の堆積によって絶縁膜35を形成する場合、前述のO2、NO、N2Oなどの酸素原子を含むガスをプラズマまたは光によって励起することで発生した酸素活性種と、シラン原料とを供給することで、所定の厚みの堆積膜を絶縁膜35として形成する。シラン原料としては、たとえばSiH4、Si26、SiH2Cl2などの、水素と珪素との化合物、または水素と珪素と塩素との化合物が挙げられる。
酸素活性種およびシラン原料を供給して減圧下の堆積によって絶縁膜35を形成する場合、熱酸化の温度よりも遥かに低温の400℃以上800℃以下の温度で、100Pa以下の減圧下においても良好な絶縁性および界面特性の絶縁膜35を得ることができる。このときの圧力は、通常のCVDによる絶縁膜形成における圧力よりも低い。このように減圧下でのプロセスとすることによって、微細なトレンチ33に対しても、制御性良く絶縁膜35を形成することができる。酸素活性種およびシラン原料を供給することによる堆積は、トレンチ33の形状、たとえば幅W2および深さD2によっては、原料がトレンチ33内に有効に供給されるように、1Pa以下の圧力で行うことが望ましい。
以上のように本実施の形態では、絶縁膜35の形成を酸素活性種の供給、および酸素活性種とシラン原料との供給で行っている。本実施の形態では、トレンチ33の底は、前述の第1の参考形態におけるトレンチ16に比べて深く、また幅も第1の参考形態におけるトレンチ16に比べると狭い可能性が高いので、活性種はトレンチ33の底に近い領域までは到達しない。他のガスによって供給している原料は、トレンチ33の開口部付近の表面に吸着し、成長または堆積を行うときの温度に加熱された表面において分解し、成膜が生じる。また、トレンチ33の開口部付近に吸着しなかったものは、さらに深い位置での成膜に寄与するが、酸素活性種のうち、トレンチ33の開口部付近において成膜に寄与しなかったものは、活性を失い、さらに深い位置での成膜には寄与しない。したがって、トレンチ33の底に近い領域には絶縁膜35は形成されない。
トレンチ33の側面へのエピタキシャル成長を行った表面、すなわちエピタキシャル層34の表面が極めて清浄化かつ平坦化された状況であれば、絶縁膜35の厚膜化が必要な場合でも、酸素活性種による極薄酸化を行わずに、酸素活性種とシラン原料との供給による堆積のみによって、絶縁膜35を形成してもよい。以上のようにして図7に示す素子単位構造が得られる。
図8は、p型半導体層36の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。埋込み絶縁膜35を形成した後は、p型半導体層(以下、単に「p型層」という場合がある)36でトレンチ33を埋込む。具体的には、トレンチ33内の空間、すなわちエピタキシャル層34および埋込み絶縁膜35で規定される溝にp型層36を充填する。
p型層36は、ドーピング濃度が0.5×1017/cm3以上15×1017/cm3以下程度に形成される。p型層36は、エピタキシャル層34と同様にして形成される。具体的には、p型層36を形成するときのエピタキシャル成長は、炭素原料として、減圧下でも成長可能な炭素原料、具体的には不飽和炭化水素もしくは有機シラン、またはこれらの両方を用いて、減圧下で、具体的には100Pa以下の減圧下で、CVDによって行う。これによって、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33に対しても、p型層36を制御性良く形成することができる。p型層36を形成するときのエピタキシャル成長は、トレンチ33の形状、たとえば幅W2および深さD2によっては、原料ガスがトレンチ33内に有効に供給されるように、1Pa以下の圧力で行うことが望ましい。
以上のように本実施の形態では、エピタキシャル層34のエピタキシャル成長、絶縁膜35の形成、およびp型層36の形成のいずれも減圧下のプロセスであるので、真空一貫プロセスで行うことができる。真空一貫プロセスで行うことによって、エピタキシャル層34、絶縁膜35およびp型層36を、汚染の影響が少なく、清浄なプロセスで形成することができる。以上のようにして図8に示す素子単位構造が得られる。
絶縁膜35は、n型ドリフト層32上にも形成されることになるが、以下に述べるn型半導体層37を形成する工程の前にエッチング除去されることになる。
図9は、n型半導体層37、p型ボディ領域38およびn型ソース領域39の形成が終了した段階の素子単位構造の状態を示す断面図である。前述のようにしてp型層36が埋込まれたn型ドリフト層32上に、スイッチング素子としてのスイッチング領域、またはダイオードとしての電極形成領域を形成する。図9に示すMOSFETの素子単位構造部分では、スイッチング領域として、n型ドリフト層32上にn型半導体層(以下、単に「n型層」という場合がある)37を形成する。そして、n型半導体層37のうち、p型ボディ領域38を形成する領域にp型不純物をイオン注入した後、このp型ボディ領域38となるp型不純物が注入された領域のうち、n型ソース領域39を形成する領域にn型不純物をイオン注入する。
その後、活性化熱処理工程を行い、p型ボディ領域38およびn型ソース領域39を形成する。n型ソース領域39は、各p型ボディ領域38の表面部のうちの中央部に形成される。以上のようにして図9に示す素子単位構造が得られる。
図10は、本発明の第の実施の形態における半導体装置30の素子単位構造を示す断面図である。図10に示す素子単位構造は、具体的には、ゲート絶縁膜40、ゲート電極41、層間絶縁膜42、ソース電極43、ドレイン電極44、配線電極45の形成が終了した段階の状態である。前述のようにしてn型半導体層37にp型ボディ領域38およびn型ソース領域39を形成した後は、n型半導体基板31の厚み方向一方側で露出するn型半導体層37の表面部と、これに連なる各p型ボディ領域38の一部分および各n型ソース領域39の一部分とを覆うように、ゲート絶縁膜40、ゲート電極41および層間絶縁膜42を形成する。ゲート電極41は、ゲート絶縁膜40と層間絶縁膜42に覆われるような形状となる。
次いで、n型ソース領域39およびp型ボディ領域38のゲート絶縁膜40で覆われていない部分を覆うようにソース電極43を形成する。またn型半導体基板31の厚み方向他方側の表面部、すなわちn型半導体基板31のn型ドリフト層32が形成された側とは反対側の表面部に、ドレイン電極44を形成する。ドレイン電極44は、n型半導体基板31の厚み方向他方側の表面部全体にわたって形成される。次いで、層間絶縁膜42およびソース電極43を覆うように配線電極45を形成して、半導体装置30を製造する。以上のようにして図10に示す素子単位構造を有する半導体装置30が得られる。
以上のようにして製造した半導体装置30では、素子単位構造における素子のしきい値電圧以上のゲート電圧をゲート電極41に印加することで、ソース電極43とドレイン電極44との間に電流を流す、すなわちソース−ドレイン間の電流をオンさせることができる。また、しきい値電圧未満のゲート電圧をゲート電極41に印加することで、ソース電極43とドレイン電極44との間の電流の流れを遮断する、すなわちソース−ドレイン間の電流をオフさせることができる。したがって半導体装置30は、スイッチング素子としての動作が可能である。
以上のように本実施の形態によれば、SiC層であるn型ドリフト層32に形成されたトレンチ33に対して、エピタキシャル層34、埋込み絶縁膜35およびp型半導体層36が順次形成される。
エピタキシャル層34およびp型半導体層36は、第1の参考形態におけるチャネル層17と同様に、炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用いた100Pa以下の減圧下でのエピタキシャル成長によって形成される。このように100Pa以下の減圧下での成膜であるので、第1の参考形態においてチャネル層17を形成する場合と同様に、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33に対しても、エピタキシャル層34およびp型半導体層36を制御性良く形成することができる。これによって、微細なトレンチ33に対して、埋込み層であるエピタキシャル層34およびp型半導体層36を再現性良く形成することができる。このように微細な構造を制御性良く形成することができるので、素子特性の向上を図ることができる。
また埋込み絶縁膜35は、第1の参考形態におけるゲート絶縁膜18と同様に、100Pa以下の減圧下で酸素活性種を供給することによる酸化、および100Pa以下の減圧下で酸素活性種およびシラン原料を供給することによる堆積の少なくとも一方によって形成される。このように100Pa以下の減圧下での成膜であるので、第1の参考形態においてゲート絶縁膜18を形成する場合と同様に、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33に対しても、埋込み絶縁膜35を制御性良く形成することができる。これによって、微細なトレンチ33に対して、埋込み絶縁膜35などの絶縁膜を再現性良く形成することができる。このように微細な構造を制御性良く形成することができるので、素子特性の向上を図ることができる。
このように本実施の形態では、第1の参考形態と同様に、半導体層であるエピタキシャル層34およびp型半導体層36、ならびに埋込み絶縁膜35の成膜時の圧力を下げ、さらに温度も下げている。これによって、成膜を、供給律速ではなく、反応律速、すなわち熱分解律速または熱反応律速とし、微細なトレンチにも制御性良く堆積を行えるように成長速度を下げている。
絶縁膜をトレンチの側面または底面に形成する場合、成膜時の圧力が高く、温度も高いと、成膜速度が大きく、供給律速となるので、トレンチ上部にのみ成膜が進行し、トレンチ内部に形成されないことになる。
トレンチを半導体で完全に埋込む場合、成膜時の圧力および温度が高いと、トレンチ内での供給原料の反応生成物が底まで到達せず、底部に空洞ができるような形状となってしまう。
これに対し、本実施の形態では、成膜時の圧力を下げ、さらに温度も下げているので、前述のように微細なトレンチに対しても制御性良く堆積を行うことができる。
また本実施の形態では、トレンチ33には、埋込み絶縁膜35を形成する前に、炭化珪素エピタキシャル層であるエピタキシャル層34が形成される。すなわち、トレンチ33には、エピタキシャル層34を介して埋込み絶縁膜35が形成されるので、良好な絶縁膜−半導体界面を有する半導体装置30を製造することができる。
また本実施の形態では、トレンチ33の側面には、p型層36が形成される前に、埋込み絶縁膜35が形成される。すなわちトレンチ33の側面には、埋込み絶縁膜35を介してp型層36が形成される。埋込み絶縁膜35は、前述のように100Pa以下の減圧下での成膜によって形成されるので、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33に対しても、再現性良く埋込み絶縁膜35を形成することができる。したがって、埋込み絶縁膜35を介したドリフト層構造を制御性良く形成することができるので、良好な絶縁膜−半導体界面を有する半導体装置30を再現性良く製造することができる。
また本実施の形態では、p型層36は、絶縁膜35の形成後のトレンチ33を埋込むように形成される。図7に示す素子単位構造において、トレンチ33の底に近い領域には絶縁膜35が形成されておらず、トレンチ33の底に近い領域の表面はSiCであるので、絶縁膜35の形成後のトレンチ33を埋込むようにp型層36を形成することによって、p型層36の良好なエピタキシャル成長が可能である。これによって、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33に対しても、再現性良く、埋込み絶縁膜35およびp型層36を形成することができる。したがって、埋込み絶縁膜35を介したドリフト層構造を制御性良く形成することができるので、素子抵抗が低減された半導体装置30を再現性良く製造することができる。
また本実施の形態では、トレンチ33の埋込み層となるエピタキシャル層34、絶縁膜35およびp型層36の形成を、汚染の影響が少なく、清浄なプロセスである真空一貫プロセスで行うことができるので、清浄度が高く、汚染の少ないドリフト層を得ることができる。つまり、本実施の形態では、清浄度が高く、汚染の少ないプロセスで半導体装置30を製造することができる。したがって半導体装置30では、安定した信頼性の高い動作が可能である。
また、本実施の形態ではMOSFETに適用した例を示したが、図8に示したドリフト層の構成をpnダイオードおよびショットキ障壁ダイオードにも適用することが可能である。
<第参考形態>
図11は、本発明の第参考形態における半導体装置30Aの素子単位構造を示す断面図である。本参考形態の半導体装置30Aは、第の実施の形態の半導体装置30と構成が類似しているので、異なる部分についてのみ説明し、対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
前述の第の実施の形態では、p型半導体層36は、エピタキシャル層34および絶縁膜35を介してトレンチ33に埋め込まれている。これに対し、本参考形態では、p型半導体層(以下「p型層」という場合がある)36Aは、エピタキシャル層34および絶縁膜35を介さずにトレンチ33Aに埋め込まれている。すなわち、本参考形態では、n型ドリフト層32に形成されたトレンチ33Aが、p型層36Aのみで埋込まれており、電圧印加によって生じる電界と垂直な方向に沿ってn型半導体層であるn型ドリフト層32とp型半導体層36Aとが交互に配置されて、ドリフト層が構成されている。
このようにドリフト層は、n型ドリフト層32とp型半導体層36Aとが、電圧印加によって生じる電界と垂直な方向に沿って交互に配置されて構成されてもよい。このような構成のドリフト層を備えることによって、第の実施の形態の半導体装置30と同様に、素子抵抗を低減することができる。
トレンチ33Aは、第の実施の形態におけるトレンチ33と同様に形成される。トレンチ33Aは、n型ドリフト層32の表面部から、n型半導体基板31付近のn型ドリフト層32の内部まで達しており、トレンチ33Aの深さD3は、n型ドリフト層32の層厚と同程度の値、具体的には5〜20μmである。トレンチ33Aの幅W3は、1μm前後の値であり、素子抵抗を低減するために微細化する場合には、さらに小さい値となる。したがって、トレンチ33Aの幅W3に対する深さD3の比、すなわち深さD3/幅W3は、前述の第の実施の形態の場合と同様に、10を超える場合が想定される。
反応性イオンエッチングによってトレンチ33Aを形成するときには、第1の参考形態および第の実施の形態と同様に、トレンチ33Aの底面および側面にダメージが生じないように、またトレンチ33の底面の断面形状が、第1の参考形態および第の実施の形態と同様に下に凸の形状となるように、あるいは図11に示すような矩形状となるように、酸化膜などをマスクとして用い、エッチングガスとしてはSF6などを用いる。
参考形態においては、トレンチ内に絶縁膜の形成を行わないので、トレンチの形状は必ずしも下に凸となるような形状とならなくてもよい。トレンチ内に絶縁膜が形成される場合には、その領域に角があるとその絶縁膜部分に電界が集中するので、下に凸の形状にする必要がある。
p型層36Aは、p型SiC層によって実現される。p型層36Aは、ドーピング濃度が0.5×1017/cm3以上15×1017/cm3以下程度に形成される。本参考形態におけるp型層36Aは、第の実施の形態におけるp型層36と同様にして形成される。具体的に述べると、p型層36Aは、炭素原料として、減圧下でも成長可能な炭素原料、具体的には不飽和炭化水素もしくは有機シラン、またはこれらの両方を用いてエピタキシャル成長を行うことによって形成される。これによって、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33Aに対しても、p型層36Aを制御性良く形成することができる。p型層36Aを形成するときのエピタキシャル成長は、トレンチ33Aの形状、たとえば幅W3および深さD3によっては、原料ガスがトレンチ33A内に有効に供給されるように、1Pa以下の圧力で行うことが望ましい。
以上のように本参考形態によれば、SiC層であるn型ドリフト層32に形成されたトレンチ33Aに対して、炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用いた100Pa以下の減圧下でのエピタキシャル成長によって、p型層36Aが形成される。このように100Pa以下の減圧下での成膜であるので、前述の第1の実施の形態と同様に、幅がたとえば1μm前後またはそれ以下であるような微細なトレンチ33Aに対しても、p型層36Aを制御性良く形成することができる。これによって、微細なトレンチ33Aに対して、埋込み層としてp型層36Aを再現性良く形成することができる。このように微細な構造を制御性良く形成することができるので、素子特性の向上を図ることができる。
このように本参考形態では、第1の参考形態および第の実施の形態と同様に、半導体層であるp型層36Aの成膜時の圧力を下げ、さらに温度も下げている。これによって、成膜を、供給律速ではなく、反応律速、すなわち熱分解律速または熱反応律速とし、微細なトレンチにも制御性良く堆積を行えるように成長速度を下げている。
トレンチを半導体で完全に埋込む場合、成膜時の圧力および温度が高いと、トレンチ内での供給原料の反応生成物が底まで到達せず、底部に空洞ができるような形状となってしまう。
これに対し、本参考形態では、成膜時の圧力を下げ、さらに温度も下げているので、前述のように微細なトレンチに対しても制御性良く堆積を行うことができる。
また、本参考形態ではMOSFETに適用した例を示したが、前述の第の実施の形態と同様に、pnダイオードおよびショットキ障壁ダイオードにも適用することが可能である。

1,30,30A 半導体装置、11,31 n型半導体基板、12,32 n型ドリフト層、13,38 p型ボディ領域、14,39 n型ソース領域、15 コンタクト領域、16,33,33A トレンチ、17 チャネル層、18,40 ゲート絶縁膜、19,41 ゲート電極、20,42 層間絶縁膜、21,43 ソース電極、22,44 ドレイン電極、23,45 配線電極、34 エピタキシャル層、35 埋込み絶縁膜、36,36A p型半導体層、37 n型半導体層。

Claims (5)

  1. 半導体層として炭化珪素層を備える半導体装置の製造方法であって、
    前記炭化珪素層に形成されたトレンチの底および前記トレンチの底に近い領域に絶縁膜を形成しないで、前記トレンチの側面に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜を形成する工程の後に、前記トレンチ内の空間に、エピタキシャル成長によって炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程を備え、
    前記炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程では、
    炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用い、100Pa以下の減圧下で、前記エピタキシャル成長を行い、
    前記絶縁膜を形成する工程では、
    100Pa以下の減圧下で酸素活性種を供給することによる酸化および、100Pa以下の減圧下で酸素活性種およびシラン原料を供給することによる堆積の少なくとも一方によって、前記絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程では、
    前記絶縁膜が形成されたトレンチを埋込むように、前記炭化珪素エピタキシャル層を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記絶縁膜を形成する工程と、前記炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程とを、真空一貫プロセスで行うことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記絶縁膜を形成する工程の前に、
    記トレンチの側面および底面対して、エピタキシャル成長によって他の炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程をさらに備え、
    前記他の炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程では、
    炭素原料として不飽和炭化水素および有機シランの少なくとも一方を含む原料ガスを用い、100Pa以下の減圧下で、前記エピタキシャル成長を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記他の炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程と、前記絶縁膜形成する工程と、前記炭化珪素エピタキシャル層を形成する工程とを、真空一貫プロセスで行うことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
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