JP5500662B2 - 銀行業務処理システム、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、信用リスク管理等の銀行業務を処理するための銀行業務処理システム、方法及びプログラムに関する。
<信用リスク>
融資等の金融取引により経済主体間で資金が融通され、資金の過不足が調整されると、経済活動が一段と円滑に進む。借り手は、貸し手に利息又は配当を支払うという確約をすることで資金の融通を受ける。利息又は配当は、借り手の将来収入という不確実な資産から支払われる。このため、借り手の状況変化により、貸し手は約定通りの元本の返済及び利息等の対価支払いを受け取ることができなくおそれがある。借り手が約定通りの返済等を行わないことで、貸し手が損害を受ける可能性を、信用リスクという(より詳細な説明は、例えば、非特許文献1第2頁から第5頁)。
貸し手は、信用リスクを回避し、資産の安全性を確保すために、借り手の支払能力を審査して融資の適格性を判断する。さらに、貸し手は、融資実行後も、借り手の業況変化や経済環境の変化が借り手に与える影響等を個別かつ継続的にモニタリングする。
また、貸し手の融資総額がある特定の性質の分野(市場)に偏っていると、その分野へ不測の状況変化が生じた場合には、その分野の多くの借り手の収入が低下するため、融資総額の多くが約定通りに返済されない可能性が高まる。このような分野の偏りによる信用集中リスクの増加を回避するためには、貸し手は、多種多様な借り手を探し、かつ、分野に偏りのないようにポートフォーリオの戦略を定め、実行しなければならない。
貸し手は、借り手の将来の支払能力の審査と、担保価値及び保証による回収可能性の評価と、法的に瑕疵のない契約と、借り手の状況のモニタリングと、さらにポートフォーリオの戦略など、高度に専門的な作業を行うことで、融資資金(債権)の安全性を保持することができる。借り手が企業であり、決算による財務諸表を公表している場合には、借り手の財務内容を詳細に分析することで、借り手の資産や、営業状態や、返済能力(債務償還能力)の変化を把握することができる。
資金に余裕のある個人や企業が資金の融資を行おうとしても、信用リスクを回避しつつ融資の対価である利息収入を得るためには、上述のように、多くの事柄を判断し、また行動しなければならない。貸し手が信用リスクを適切に管理できない環境では、経済主体間の資金の過不足の調整は限定されたものとなり、経済を円滑に進ませる金融取引が行われなくなってしまう(非特許文献1第8頁から第9頁等)。
<預金等受入金融機関>
金融機関は、この金融取引の仲介に特化した法人である。金融機関の内、預金等受入金融機関は、貸し手から預金により調達した資金を融資の原資とするものであり、間接金融と呼ばれる。ここでは、預金等受入金融機関(信用金庫、信用組合等を含む)を銀行と呼ぶ。銀行は、貸し手から預金を受入れ(預金受入業務)、これを借り手に貸し出す(貸出業務)。預金は、流動性に富むため、経済主体間の決済にも利用されている。例えば、我が国では、銀行の事務処理の正確性への信任が厚く、預金残高を利用した自動的な決済である口座振替が発達している。口座振替は、借り手が銀行に融資残高を返済する際にも利用されている。
銀行は、銀行法等の金融法など下記の多様な規律による要請を満たさなければならない。
・銀行法等の金融法(銀行業務の健全性及び適切性)
・財務会計基準
・バーゼルII合意(「自己資本の測定と基準に関する国際的統一化:改訂された枠組」2004年6月、バーゼル銀行監督委員会)
・バーゼルII第1の柱による自己資本比率規制(金融庁告示第19号:銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年3月27日)
・バーゼルII第2の柱による監督(監督指針:主要行等向けの総合的な監督指針(2007年6月)、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(2007年6月); 預金等受入金融機関に係る検査マニュアル(非特許文献5[「検査マニュアル」という])
・バーゼルII第3の柱による自己資本比率等の開示(金融庁告示第15号: 銀行法施行規則第十九条の二第一項第五号ニ等の規定に基づき、自己資本の充実の状況等について金融庁長官が別に定める事項)
・バーゼルII及び検査マニュアルの要請による内部統制(善感注意義務、会社法第362条第4項第6号)
・金融商品取引法による財務報告に係る内部統制(金融商品取引法第24条の4の4)
・財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)(非特許文献8)
銀行法(昭和五十六年六月一日法律第五十九号)第1条(目的)は、次のように規定する。
「1 この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保すると共に金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
2 この法律の運用に当たっては、銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。」
「銀行の業務の健全性」は、銀行の財務の健全性であり、貸出債権(金銭債権)の厳格な査定(評価額の測定)に基づいた財務会計上の(一般及び個別)貸倒引当金の計上と、銀行業務をとりまくリスク量の測定に応じた自己資本比率の計算に応じて判断される。
貸倒引当金の算定に関しては、上記のうち、主に、財務会計基準と検査マニュアルとに準拠しなければならない。リスク量の測定と計算、開示については、バーゼルII関係の告示及び検査マニュアルに準拠しなければならない。
貸倒引当金及びリスク量の測定の正確性を確保するために、強固な内部統制の構築が求められる。内部統制については、上記のように、バーゼルII、検査マニュアル、会社法、及び金融商品取引法による要請がある。
「銀行の自主的な努力」には、銀行による創意工夫が含まれる。
以下、金銭債権の査定(貸倒引当金の額の算出)、リスク量の測定、及び内部統制についての従来例を説明する。
<貸倒引当金: 財務会計>
財務会計は、企業の経済活動を、貨幣額などを用いて計数的に測定し、その結果を報告書にまとめて利害関係者に伝達するためのものである。財務会計の報告書で最も重要な二つが貸借対照表(B/S,balance sheet)と、損益計算書(P/L: profit and loss statement)とである。銀行を例とすると、B/Sは、経済活動に必要な資金を、出資者から拠出を受けた資本を含む純資産と、預金者等から調達した負債とに分けて示すと共に、それらの資金が経済活動のために投下されている資産とを対比して表した一覧表である。
銀行のB/Sでは、預金は負債であり、融資(金銭債権)は資産である。銀行は、資本及び預金による負債を貸金(金銭債権)に投下し、その貸金である資産(金銭債権)から利息収入を得る。P/Lは、銀行が保有する資産により経済活動を行った結果、その成果である収益と、これに要した費用とを事業年度内にて対応させて対比することにより、その差額としての純利益を明らかにするものである(より詳細な説明は、例えば、非特許文献2第1頁から第5頁)。
企業の経済活動の結果、どの程度利益を得たかを計算するために、その企業を解散し、全ての資産を売却してその残額を利益とすることはできない。財務会計では、1年間等の事業年度の期間(期首から期末)で区切り、この期間内の経済活動による利益を算出する。このため、B/Sについては、決算期末時点での資産等を、P/Lについてはその期首から期末までの収益及び費用等を測定する(継続企業の公準: Going Concern,非特許文献2第54頁から第58頁)。
企業会計原則の一般原則は種々あるが、信用リスクとの関係では、保守主義の原則がある。これは、「企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適切に健全な会計処理をしなければならない」とする原則であり、「予想の損失は計上しなければならないが、予想の利益を計上してはならない」という格言で表される(非特許文献2第64頁から第65頁)。
金銭債権の一部が回収不能となると、貸倒れによる損失が発生する。この貸倒れ損失は、信用を供与したことに伴うコストであるから、売上収益に対応する費用であると考えられる。従って金銭債権につき、過去の実績等に基づいて貸倒れ見積高を算定し、「予想の損失」として、貸倒引当金を設定する(非特許文献2第139頁から142頁)。一般に「引当金の設定は、企業にとって避けられない将来の経済的負担のうち、当期の収益に負担させることが妥当な項目のみに限定されなければならない」(非特許文献2第219頁から第221頁)。
貸倒引当金は、資産から控除する引当金であり、金銭債権からの「控除によって債権の回収可能評価額を評価していると考えられることから、評価性引当金とよばれることがある。」(非特許文献2第221頁)。財務会計での金銭債権の評価は、金融商品会計基準に定められており、貸倒引当金の見積について、債務者の状態に従って一般債権と、貸倒懸念債権と、破産更生債権とに債権を区分し、区分毎に適正な評価法で評価をする。
例えば、債務者の経営状態に重大な問題が生じていない一般債権については、過去の貸倒実績率等の合理的な基準で算定する。経営破綻ではないが、弁済に重大な問題が生じているか、その可能性が高いとされる貸倒懸念債権については、債権額から担保の処分可能額又は保証による回収可能額を減算し、これに過去の実績率などから算出する。また、貸倒懸念債権については、将来の見積キャッシュ・フローを約定利子率で割引いた現在価値と、帳簿価格との差額を引当金としても良い。債務者が法的又は実質的に経営破綻に陥っている破産更正債権等については、債権額から担保の処分可能額又は保証による回収可能額を減算する。
銀行がその資産を査定するというのは、主に、銀行が借り手に対して有する金銭債権の経済的価値を評価し、一般及び個別の貸倒引当金の額を算出する作業である。貸倒引当金を計上すると、自己資本が減少する。銀行の資産(金銭債権等)に対する自己資本の比率について、国際的なバーゼル合意がある。
<バーゼル合意>
バーゼル銀行監督委員会は、世界各国の銀行監督当局・中央銀行の代表者が意思疎通・協議を行う機関であり、スイスのバーゼルにある国際決済銀行(BIS)で開催される。信用リスクを対象とするバーゼルI(BIS規制)は1988年に合意され、日本では1991年3月から適用開始、1993年3月から本格適用されている。自己資本比率は、自己資本の額(分子)をリスク資産(リスク・アセット)の総額(分母)で除した割合で示すこととし、その比率が8%以上となることを求めている(非特許文献3第26頁)。
このバーゼルIに対して、次の課題が見いだされた。課題1:金融取引の自由化・国際化・高度化と、銀行が抱えるリスクの多様化・複雑化と、リスク管理手法の高度化とに対応した監督手法の進化が必要。課題2:汎用性・簡便性を確保しつつ、リスク計測の精度(精密性及び正確性)を向上すること。課題3:リスク計測の漏れの防止。課題4:規制として統一性を有しつつもリスク管理技術の高度化を促す仕組み。課題5:銀行の自己責任による自主性と市場規律の強調(非特許文献3第50頁から第51頁)。
新たな自己資本比率規制(バーゼルII)は、1998年に見直し作業が開始され、2004年に最終合意され、「自己資本の測定と基準に関する国際的統一化:改訂された枠組」(以下、「バーゼルIIテキスト」という)が公開された。このバーゼルIIテキストについては、一般社団法人全国銀行協会による日本語への仮訳案(平成16年8月12日掲載、平成20年6月5日更新)がある。
バーゼルIIは3本の柱により構成されている。第1の柱は、自己資本比率規制であり、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクのリスク量に対する自己資本の比率を所定の算式で計算し、自己資本の質と量を確保させる仕組みである。第2の柱は、リスク管理と健全性の維持は銀行自身の責任において遂行され、監督当局はそれを検証することを原則として、監督当局は、例えば、各銀行の内部管理態勢(内部統制)の妥当性・有効性を検証・評価する仕組みである。第3の柱は、市場規律であり、自己資本比率をめぐる関連情報の開示を充実させ市場による評価を得る仕組みである(非特許文献3第51頁から第63頁)。
我が国では、上記のように、第1の柱に対して金融庁告示第19号、第3の柱に対して金融庁告示第15号、第2の柱に関して総合的な監督指針及び検査マニュアルが定められ、公開されている。
バーゼルIIでは、信用リスク管理に関しては、標準的手法と、内部格付手法とが用意されている。標準的手法は、財務会計上の金銭債権等の資産額をもとに、資産のカテゴリーや、外部格付や、担保や保証等の信用リスク削減手法の勘案や、資産の小口分散効果や、貸倒引当金による引当率を加味して、リスク・アセットを計算する手法である。
内部格付手法は、銀行内で測定した長期平均デフォルト率PDを使用してリスク・アセットを計算する手法であり、当局設定のデフォルト時損失率LGD及びデフォルト時エクスポージャーEADを用いる基礎的内部格付手法と、銀行内でLDG及びEADを測定する先進的内部格付手法とがある。
バーゼルIIによる自己資本比率の算式と信用リスク量の算式とは、バーゼルIIテキスト及び金融庁告示第19号に規定されている。その内容の一部は、検査マニュアルの自己資本管理態勢の確認検査用チェックリストと、信用リスク管理態勢の確認検査用チェックリストとにまとめられている。自己資本比率を算出する算式の解説は非特許文献3の第78頁から第230頁、内部格付手法により信用リスク量を算出する算式の解説は非特許文献3の第138頁から第152頁や非特許文献4に記載されている。
さらに、バーゼル銀行監督委員会は、2008年に表面化した金融危機の経験に応じて、2010年12月に「バーゼルIII: より強靱な銀行及び銀行システムのためのグローバルな規制の枠組み」を公表した。バーゼルIIIでは、自己資本の質を高めるため損失吸収性の高い資本の最低水準を定め、さらに自己資本比率の質と量の強化を図る規制(レバレッジ規制と流動性規制)が導入された。
<資産査定>
金融監督行政は、従前より早期是正措置制度等を採用している。その金融監督行政の基本は、銀行の自己資本比率であり、自己資本比率算定に使用する財務諸表を作成するには金銭債権の償却・引当が正確に行われることが必要であり、償却・引当を正確に行うにはその準備作業である銀行自らによる資産査定が適切に行われることが必要である。
資産査定とは、金融機関の保有する資産(金銭債権等)を個別に検討して、回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに従って区分することであり、金融機関自らが行う資産査定を自己査定という。自己査定は、金融機関が信用リスク管理をするための手段であると共に、適正な償却・引当を行うための準備作業である(非特許文献5第187頁:検査マニュアル、資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト、検証ポイント)。
金銭債権の自己査定は、債務者を区分し、債権を分類することである。債権は、貸出金及び貸出金に準ずる金銭債権(貸付有価証券、外国為替、未収利息、未収金、貸出金に準ずる仮払金、支払承諾見返)をいう。また、信用リスクの管理には、この債権以外に信用リスクを有する資産及びオフ・バランス項目が含まれる。
検査マニュアルは、資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト、自己査定(別表1)、1.債権の分類方法、(1)基本的な考え方として「債権の自己査定に当たっては、原則として、信用格付を行い、信用格付に基づき債務者区分を行った上で、債権の資金使途等の内容を個別に検討し、担保や保証等の状況を勘案の上、債権の回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに応じて分類を行うものとする」(非特許文献5第198頁)としている。
信用格付は、債務者のデフォルト率又は倒産確率に応じた格付であり、例えばA,B,Cの記号で特定する。債務者区分は、融資先である債務者を、その債務者の財務状況や収益力に応じて「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」及び「破綻先」に区分するものである。信用格付は、債務者区分と整合的でなければならない。債務者区分では、その債務者が赤字か、延滞があるか、実質債務超過であるか等に着目し、財務内容や債務償還能力等を勘案して上記区分を行う。債権分類は、債務者区分と、担保や保証による保全状況とを考慮し、回収の可能性に応じて、I分類(非分類),II分類、III分類,IV分類に分類する。
<債務者区分>
債務者区分と債権分類と償却・引当との関係については、上記検査マニュアルの自己査定(別表1,非特許文献5第197頁から229頁)と、償却・引当(別表2,非特許文献第231頁から第247頁)に記載されている。この債務者区分及び債権分類の用語の意味や具体例は、非特許文献6第122頁から417頁等にも記載されている。
それぞれの債務者区分は言語を用いて次のように定義されている。
「正常先」とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者をいう。
「要注意先」とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済もしくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者をいう。
「破綻懸念先」とは、現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)をいう。具体的には、現状、事業を継続しているが、実質債務超過の状態に陥っており、業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の回収について重大な懸念があり、従って損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者をいう。
「実質破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている債務者をいう。具体的には、事業を形式的には継続しているが、財務内容において多額の不良資産を内包し、あるいは債務者の返済能力に比して明らかに過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、事業好転の見通しがない状況で、元金又は利息について実質的に長期間延滞している債務者などをいう。
「破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者をいい、例えば、破産、清算、会社整理、会社更正、和議、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者をいう。
このように、債務者区分では、債務者の財務状況、融資返済の延滞の有無や貸出条件変更の有無、収益力等の事業の状況等に着目して債務者を区分する。債務者を区分すると、続いて、債権の分類を行う。債権の分類においては、債務者区分と、債権(与信明細)の担保等による保全状況により調整する。
<債権分類>
「I分類(非分類)」は、「II分類、III分類、IV分類としない資産」であり、回収の危険性又は価値の毀損の危険性について、問題のない資産である。
「II分類」とするものは、「債権確保上の諸条件が満足に満たされないため、あるいは、信用上疑義が存在する等の理由により、その回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権等の資産」である。なお、II分類とするものには、一般担保・保証で保全されているものと保全されていないものとがある。
「III分類」とするものは、「最終の回収又は価値について重大な懸念が存し、従って損失の可能性が高いが、その損失額について合理的な推計が困難な資産」である。但し、III分類については、金融機関にとっての推計がまったく不可能とするものではなく、個々の資産の状況に精通している金融機関自らのルールと判断により損失額を見積もることが適当とされるものである。
「IV分類」とするものは、「回収不能又は無価値と判定される資産」である。なお、IV分類については、その資産が絶対的に回収不能又は無価値であるとするものではなく、また、将来において部分的な回収があり得るとしても、基本的に、査定基準日において回収不能額又は無価値と判定できる資産である。
銀行の債権には、種々のものがある。自己査定により、その総額を上記各分類に分類する。以下、「分類する」というときには、対象となる債権の全部又は該当部分をII分類以下のものと認定し、その額を算定することをいう。「分類しない」というときには、I分類とすることをいう。
債権分類に際しては、その担保等による保全状況によって調整する。貸し手は、借り手の信用リスクに応じて、融資に見合った担保の提供や、借り手以外の保証人による保証を求める。仮に、借り手が返済しない場合や、倒産する場合には、保証人にその債務を履行させ、または、裁判上の強制執行により担保を売却し、弁済を受ける。保証の種類としては、特定債務の保証と、銀行が手形を買い取る手形割引や当座貸越など継続的な取引から発生する債務を包括的に保証する根保証とに分けられる。担保としては、抵当権や質権等の物権の利用が多い。担保目的物としては、土地、建物等の不動産担保や、銀行(自行)に対する定期預金等を担保とする預金担保や、国債、株式等の有価証券担保などがある。
<金融再生法>
金融再生法では、債権区分を定めている。債権区分は、債権を、正常債権、要管理債権、危険債権、破産更正債権及びこれに準ずる債権に区分することをいう。金融再生法は、担保や保証の状況を考慮せず、この債権区分に係る資産の合計額等を公表しなければならない旨定めている。債務者区分との関係は次の通りであり、非特許文献6では、第142頁から第151頁に記載されている。
正常債権 国及び地方公共団体に対する債権、特別公的管理銀行及び被管理金融機関に対する債権、正常先に対する債権、及び要注意先に対する債権のうち要管理債権に該当する債権以外の債権。
要管理債権 要注意先に対する債権のうち、3ヶ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権
危険債権 破綻懸念先に対する債権
破産更正債権及びこれらに準ずる債権 実質破綻先及び破綻先に対する債権
上記「貸出条件緩和債権」は、経済的困難に陥った債務者の再建又は支援を図り、当該債権の回収を促進すること等を目的に、債務者に有利な一定の譲歩を与える約定条件の改定等を行った貸出債権(破産更正債権及びこれらに準ずる債権,危険債権及び3ヶ月以上延滞債権を除く)である。
<リスク管理債権>
銀行法21条は、リスク管理債権を営業年度ごとに業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を公衆の縦覧に供しなければならない旨定めている。業務及び財産の状況には、破綻先債権、延滞債権、3ヶ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権の4種類の貸出金が含まれている。これをリスク管理債権という。非特許文献6では、第146頁から第147頁に記載されている。
<償却・引当>
債務者区分と債権分類とに基づいて、償却・引当を行う。償却・引当は、企業の会計原則に従って、かつ、検査マニュアルの指摘に沿って処理する。償却(貸倒償却、貸倒損失)は、税法に準拠することが多く(有税償却)、会社更生法による更正計画認可決定等の法律上の手続きによる債権消滅時に、債権の回収を不能として償却する。従って、破綻懸念先等のIII分類等は、償却とならない。これらの分類額について、税法上損金とならないが、会計上償却とすることもある(無税償却)。償却・引当については、非特許文献6第453頁から第513頁に記載されている。
銀行の償却・引当は、正常先及び要注意先の債権については一般貸倒引当金を算出し、破綻懸念先以下については、個別貸倒引当金を算出する。
一般貸倒引当金については、正常先に対する債権及び要注意先に対する債権について、信用格付の区分又は債務者区分毎に、償却・引当基準に基づき、予想損失額を合理的に見積もる。信用格付の区分毎に予想損失額を見積もる場合には、債権を分類した自己査定の査定結果による債務者区分と、その時点での信用格付とが整合的でなければならない。
正常先及び要注意先に対する債権について、原則として信用格付の区分(少なくとも債務者区分)毎に、信用格付の区分の債権額に当該信用格付の予想損失率を乗じて予想損失額を算定し、この予想損失額を一般貸倒引当金とする(非特許文献5第232頁、非特許文献6第468頁から第474頁)。予想損失率は、過去の貸倒実績率又は倒産確率に基づいて求める。また、要管理債権を有する要注意先(要管理先)の大口債務者や、要管理先又は破綻懸念先からその他要注意先に上位遷移した大口債務者は、DCF法を採用して元本と債権評価額との差額を個別に計算しつつ、一般貸倒引当金に計上する(非特許文献5第237頁から239頁、非特許文献6第461頁から第467頁)。
破綻懸念先に対する債権については、優良担保・保証部分が非分類、一般担保の処分可能見込額及び一般保証による回収が可能と見込まれる部分については、II分類、その他はIII分類となる。
破綻懸念先に対する債権の引当では、III分類とされた債権額に予想損失率を乗じた額を予想損失額として個別貸倒引当金に計上する。予想損失率は、原則として個別債務者毎に、経済状況の変化、債務者の業況見込み、債務者の営業地区における地域経済の状況等を斟酌の上、過去の貸倒実績率又は倒産確率に将来の予測を踏まえた必要な修正を加えて決定する(非特許文献5第241頁、非特許文献6第479頁から第484頁)。
また、金銭債権を売却可能な市場を有する債権について、合理的に算定された売却可能額を回収見込額とし、債権額から回収見込額を控除した残額を予想損失額とする方法もある。そして、大口債務者については、DCF法を適用することが望ましいとされている。
実質破綻先及び破綻先(以下、(実質)破綻先という)に対する債権については、優良担保・保証部分が非分類、一般担保の処分可能見込額及び一般保証による回収が可能と見込まれる部分については、II分類、担保の評価額と、処分可能見込額との差額については、III分類となり、保全のない部分については、IV分類となる。(実質)破綻先のIII分類及びIV分類については、全額を個別貸倒引当金として計上するか、又は直接償却する(非特許文献5第243頁、非特許文献6第485頁から第486頁)。
<財務分析と信用リスク管理>
債務者の財務諸表に基づいて、財務分析を行い、信用格付を区分することは、古くより行われている。財務分析は、P/LやB/Sで公表された計数から種々の比率を算出し、その比率から収益性、成長性、安全性等の財務内容を判断するものである。例えば、安全性の指標である流動比率は、流動資産/流動負債と定義され、1年以内に現金化できる資産と、1年以内に返済等しなければならない負債との比率であり、短期の資金繰りが良好であるか否か等を表す。流動資産のうち、特に早期に現金化できる流動資産を用いて算出する当座比率は、短期の返済能力を表すとされている。固定資産と長期資産の関係は、固定資産/資本である固定比率や、固定資産/(資本+固定負債)である固定長期適合率等を用いる。これらの値が100%よりも大きいと、短期資金を固定資産に投下していることとなり、資金繰りが不安定となる。
P/Lに基づく指標としては、例えば、インタレスト・カバレッジ・レシオがある。これは、利息を支払うのに十分な利益が獲得できているか否かを判断するために、利益の金額を利息の金額で割って計算される比率であり、P/Lに基づくことから、債務者の支払能力の変化を早期に把握することができる。この比率やその推移により、借入金の返済能力を評価することができる。
債務者区分については、例えば、赤字企業が正常先であるかそれとも要注意先であるかについては、正常先と判断できる基準が示される一方、本基準を機械的・画一的に適用してはならず、業種の特性、業況、赤字決算の原因、企業の内部留保の状況、今後の決算見込み等を総合的に勘案して行うものとしている。従って、赤字企業については、機械的、自動的な判断を行うことができず、自己査定作業にて作業者が個別に判断しなければならない。
銀行の信用リスク管理としては、会計原則及び検査マニュアル等に沿って、決算検討(債務者の財務分析等)、債務者の信用格付、自己査定による債務者区分及び債権分類、自己査定結果及びこれと整合した信用格付に基づいた償却・引当、さらに自己資本比率を算出する。信用格付及び自己査定については、債務者の数が多く、また、単純な計算ではなく種々の判断が必要であるため、市販のアプリケーションソフトウエアをそのまま利用しても、銀行全体として均質で精度良い判断を行うことはできない。
<信用リスク管理等にコンピュータシステムを利用する従来例>
特許文献1には、与信先の信用リスクをタイムリーに再評価することなどを目的として、債務者の決算検討など定期的に発生する事象に応じて与信先の信用格付を行う定期モニタリング工程と、延滞・金利減免など特許文献1の図4に示される不定期に生じる事象が生じたときに、与信先の信用格付を行う経常モニタリング工程とを備えた手法(段落0043から0045)が開示されている。
特許文献1の経常モニタリング工程では、特許文献1の図4等に示される事象が生じたとき、又は、延滞の発生から一定期間経過後に、自己査定を行う。自己査定の結果、要注意先以下と判断された場合には、信用格付の変更を行う。この特許文献1では、債務者の公表財務を詳細に検討すべき先の数を減らし、自己査定作業の対象先の数を減らし、一方、債務者の状況に変化が生じた場合には、経常モニタリングとして随時に自己査定及び信用格付の変更とを行っている。
特許文献2には、自己査定業務を効率的に行うことを目的として、財務指標と、信用格付との自動算出を行い、さらに、必要な追加格付と、自己査定額算出用の債務者格付を行い、保全情報と貸金明細情報とから自己査定額を自動算出する手法(段落第0046から段落0071、図2)が開示されている。
特許文献3には、自己査定の精度向上と事務合理化の両立を図ることを目的として、自動起票と手動起票とを可能としつつ、同一の債務者について重複して起票された際には重複を表示し、一方の取消を促す手法が開示されている。
特許文献4には、取引先に関する文字データの柔軟な取扱及び他システムとの良好な連携を維持することを目的として、取引先の組織の内容を示す組織データと、事業の内容を示す事業データと、当該取引先の主要動向を示す動向コメントデータとの入力及び編集を制御し、当該入力及び編集された文字データと、他システムから自動的に取得する文字データとを一体的な体系で要項データとして管理する手法が開示されている。
特許文献5には、融資等の稟議書の起案及び回付(回覧)、決裁処理を少ないコンピュータ資源を用いて迅速かつ効率的に行うことを目的として、各営業店の担当者が、顧客特定情報と稟議書の種別情報とを入力し、対応する稟議書の作成及び回付に必要な情報をダウンロードし、このダウンロードした情報に基づいて稟議書の作成を行う仕組みが開示されている。
この従来例では、融資の実行を起案するための融資稟議では、その稟議書の作成・決裁の効率化・迅速化を図るため、その作成に用いる語句は極力簡便に表現されるべきであり、その意味については記載されないことから、金融の専門用語に不慣れな新入行員などの初心者にとって、稟議書の作成は困難であるとの課題が指摘されている(特許文献5,段落0008等)。そして、本部で管理されている顧客に関するデータから、当該顧客に財務上の問題点があることが明らかな場合には、ダウンロード直後の表示画面等で起案者に知らせる等の処理を行っている。また、稟議書作成に関して不足している情報が存在している場合には、不足情報の入力後に再ダウンロードするか否か等の判断を起案者に行わせるなどして、注意喚起を行っている(特許文献5,段落0056)。また、稟議書作成誘導部が、必須入力画面等を生成し、各画面中の情報を修正し、また追加することで、各画面を完成させ、当該顧客の稟議書として適正化される旨、開示されている(特許文献5,段落0057から60)。
特許文献6には、融資審査を効率的に行うことを目的として、直前の業務が処理されない限り次の業務を処理できないように管理する手法が開示されている。例えば、実態財務データが作成されない限り、自己査定の自動判定を行う判定ボタンは出現しないようになっており、融資担当者は、予め定められた手順以外の順序で電子的な稟議書を起票することができず、融資審査に恣意性が入り込むのを防止する手法(段落0044)が開示されている
特許文献7は、金融関連ではないが、ワークフローシステムにて電子書類を差し戻す方法について開示されている。この従来例では、ワークフローを使用した業務において、書類不備発生時に効率的に書類を差し戻すことを目的として、電子書類内の情報項目毎に文責者の識別情報を登録しておき、任意の担当者端末にて差戻し操作がなされた場合には、その差し戻す情報項目に対応する文責者をシステム的に特定する手法が開示されている。
特許文献8では、金融関連ではないが、複数の画面を用いて情報設定作業を行うインタフェース装置にて、「次へ」ボタンと「戻る」ボタンにて一画面ずつ画面推移させると共に、画面名リスト等を操作することで、画面名リストを使用して選択された画面へ直接移動するインタフェースを提供する仕組みが開示されている。
<内部統制>
信用リスク管理に関するコンピュータシステムの開発に際しては、各種の内部統制の要請と整合的であることが求められる。内部統制(インターナル・コントロール)は、業務の品質・信頼性を向上させるための業務上のプロセスである。バーゼル銀行監督委員会は1998年「銀行組織における内部管理体制のフレームワーク」を公表した。検査マニュアルは、各種の内部統制フレームワークを底流とし、例えばプロセス・チェックを重視している。
さらに、内部統制は、2005年経済産業省の報告書にて「企業経営者の経営戦略や事業目的等を組織として機能させ達成していくための仕組み」と定義されている(「コーポレート・ガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の枠組みについて-構築及び開示のための指針-」、非特許文献7第2頁から第3頁)。
財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準では、「内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。」と定義する(非特許文献8第2頁)。
バーゼルIIテキスト第744パラグラフで、自己資本の評価に際して銀行がどのような内部統制を有しているかは重要であり、銀行の取締役会の責任として、様々なリスクを評価するためのシステムの構築を挙げている。
また、バーゼル銀行監督委員会「実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」(2006年10月)は、原則17: 内部統制及び監査として、「監督当局は、銀行が業務の規模や複雑性に照らして適切な内部統制機能を有していることを確認しなければならない。」と述べている。
検査マニュアルでは、経営管理態勢、法令等遵守態勢、顧客保護等管理態勢、統合的リスク管理態勢、自己資本管理態勢、信用リスク管理態勢、資産査定管理態勢などの「態勢」を確認検査するためのチェックリストが充実したが、これらのリストは、内部統制の要素であるとも考えられる。そして、自己資本比率の算出に際して内部格付手法を採用しようとする際には、内部統制について一定の基準を満たし独立した信用リスク管理部署を設け、内部監査の対象とすることが求められている(金融庁告示第19号第201条、202条、203条)。
検査マニュアルは、経営管理態勢について「取締役会は、経営方針に則り、代表取締役等に委任することなく、当該金融機関の全体の収益目標及びそれに向けたリスクテイクや人的・物的資源配分の戦略を定めた当該金融機関全体の戦略目標を明確に定めているか」と、収益目標、リスクテイク及び人的・物的資源配分に関する戦略目標の定めを要請する。さらに、自己資本管理態勢では、自己資本管理方針の整備・周知を要請し「取締役は、自己資本管理を軽視することが戦略目標の達成に重大な影響を与えることを十分に認識し、自己資本管理を重視しているか」を確認することとしている。
自己資本管理部門は自己資本管理規程に従い自己資本充実度を評価することとなるが、検査マニュアルは、「自己資本管理部門は、与信集中リスク及び銀行勘定の金利リスクを自己資本充実度の評価における管理対象とし、また、自己資本比率の算定において対象としていないリスクについても管理対象とすべきかを検討しているか」を確認する。そして、自己資本充実度の評価に際しては、「期待損失ELに対する貸倒引当金の過不足を考慮しているか」を確認することとしている。
このように、検査マニュアルによると、自己資本の充実は収益目標を含めた戦略目標の達成に重要であり、自己資本比率の算定で考慮されないリスクをも管理対象とする一方、期待損失ELと貸倒引当金との対比を求めている。バーゼルIIや金融庁告示第19号等は、期待損失ELや非期待損失ULの算出(内部格付手法の採用)に際して、内部統制の構築・運用を求めている。貸倒引当金の算定では、検査マニュアルの資産査定管理態勢の確認用チェックリストとその別表1,2に従った信用格付、債務者区分及び債権分類をし、償却・引当を厳格に行わなければならない。
自己資本比率の算定は、銀行の内部統制としては、自己資本充実度の評価の一部である。この自己資本比率の算定は、非期待損失UL額という信用リスクを信頼区間99.9%で金額評価したリスク量と、自己資本とを対比するものである。一方、貸倒引当金及び償却額の算定は、企業会計原則に従い、予想される損失を費用(コスト)として保守的に求めるものである。そして、非期待損失UL額の算定で使用する期待損失ELと、貸倒引当金とを対比することが求められる。
内部統制が機能する態勢で自己資本比率算定のパラメーター(債務者格付、長期平均デフォルト率PD、デフォルト時損失率LGD等)を推計すると共に、推計されたパラメーターは、「内部格付手法採用行の与信審査、リスク管理、内部の資本配賦及び内部統制において、重要な役割を果たすものでなければならない。(金融庁告示第19号第204条,バーゼルIIテキスト第444パラグラフ)」
2005年会社法制定前から、判例は、取締役の善良なる管理者の注意義務として、内部統制の構築義務を認めていた(非特許文献7第16頁から第24頁)。2005年会社法第362条第4項第6号は、取締役会の義務として「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」を定めている。また、会社法施行規則第100条(業務の適正を確保するための体制)は、次の通り規定する。
一 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
三 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
五 当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
1号は、情報の保存及び管理、2号はリスク管理、3号は効率性、4号は法令等違反行為の把握、監視、予防等である(非特許文献7,第78頁から第80頁)。
2006年金融商品取引法により、財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制を評価した報告書(内部統制報告書)の提出(同法第24条の4の4)、公認会計士、監査法人による内部統制報告書の監査(同法第193条の2第2項)が法制化された。非特許文献8は、企業会計審議会による財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準と実施基準の改訂についての意見書である。財務報告に係る内部統制は、次の4つの目的を達成するために6つの基本要素から構築される。
・企業の4つの目的:
1. 業務の有効性及び効率性: 事業目的を達成するための有効性及び効率性。
2. 財務報告の信頼性: 財務諸表に関する情報の信頼性の確保。
3. 事業活動に関わる法令等の遵守: 事業活動に関わる法令そのた規範の遵守。
4. 資産の保全: 資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われるようにすること。
・6つの基本的要素:
1. 統制環境: 組織の気風を決定し組織内全ての者の統制に対する意識に影響を与え、他の基本的要素の基礎となる基盤。
2. リスクの評価と対応: 組織目標の達成に影響を与える事象について、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価し、当該リスクへ適切な対応を行う一連のプロセス。
3. 統制活動: 経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定める方針及び手続で、業務プロセスに組み込まれるべきものであり、組織内の全ての者において遂行されることにより機能する。
4. 情報と伝達: 必要な情報が識別、把握及び処理され、組織内外及び関係者相互に正しく伝えられることを確保することをいう。一般に、人的及び機械化された情報システムが利用される。
5. モニタリング: 内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセス。
6. ITへの対応: 組織目標を達成するために、予め適切な方針及び手続を定め、それを踏まえて、業務の実施において組織の内外のITに対して適切に対応することをいい、IT環境への対応と、ITの利用及び統制からなる。
ITへの対応は、ITの利用は、ITを利用することにより、上記6つの基本的要素の有効性を確保することである。ITの統制は、IT自体を内部統制の対象とし、ITの統制目標を次の通りとしている。
・ITの利用と内部統制の基本的要素
1. 統制環境の有効性の確保: ITを利用することで組織の基本的方針や決定事項等を組織の適切な者に適時に伝達することを可能にする等。
2. リスクの評価と対応の有効性の確保: リスクの測定とリスク情報の共有をITの利用により効率的に行うことができる。
3. 統制活動の有効性を確保するためのITの利用: ITを利用した統制活動を、適切に設計して業務プロセスに組み込むことにより、統制活動の自動化が可能となる。このITによる自動化により、手作業による統制活動(マニュアル統制)に比べて迅速な情報処理が期待できるほか、人間の不注意による誤謬等の防止も可能となる。一方で、プログラムの不正な改ざん等があった場合には、不正等の適時の発見が困難という問題点も考えられる。
このように統制活動の有効性を確保するためのITの利用では、ITが業務プロセスに求められる様々な要請に対して明確に準拠していることが必須である。準拠性は確保しなければならず、技術的課題としては、そのコストをどのように低減させるかが問題となる。
4. 情報と伝達の有効性の確保: 必要な承認や作業完了が一定期間に実施されない際にはその旨が上司に伝達される機能など、業務管理に必要な情報の伝達を業務プロセスに組み込むことができる。
5.モニタリングの有効性の確保: 日常的モニタリングは、業務管理システムに組み込み自動化することでより網羅的に実施することが可能となる。その結果、財務報告の信頼性を阻害する要因(リスク)の評価を低く見積もることが可能となる。
・ITの統制目標
1.有効性及び効率性: 情報が業務に対して効果的、効率的に提供されていること。
2.準拠性: 情報が関連する法令や会計基準、社内規則等に合致して処理されていること。
3.信頼性: 情報が組織の意思・意図に沿って承認され、漏れなく正確に記録・処理されること(正当性、完全性、正確性)。
4.可用性: 情報が必要とされるときに利用可能であること。
5.機密性: 情報が正当な権限を有する者以外に利用されないように保護されていること。
内部統制に求められる性質を整理すると、次の通りとなる。
(1).銀行法、バーゼルII、金融庁告示19号等、検査マニュアル
(1.1).健全性: 健全性は、銀行の財務の健全性であり、上記銀行法、バーゼルII、金融庁告示、検査マニュアルの要請は、全て健全性を確保するための要請である。健全性は、リスク量に対して適切な自己資本を有することとして定量化される。
収益向上可能性: 健全性を確保するために自己資本を充実するには、収益力が高くなければならない。
損失発生防止可能性: 健全性を確保するために自己資本を充実するには、損失の発生を防止しなければならない。
(1.2).適切性: 適切性は、銀行の業務の適切性であり、業務の適切性を確保するためには、法令等へ準拠性、統合的管理性及び適時報告性が必要である。
(2).適正[会社法]
会社法の要請する内部統制は、主に、不祥事の発生などを防止することであり、損失派生防止とも考えられる、会社法の要請する内部統制は、情報の管理、信頼性、保存性、検索性、可用性、リスク管理、内部監査、を要素としている。
(3).財務報告の信頼性(金融商品取引法・実施基準)
(3.1)ITの利用
上記の通り、財務報告の信頼性確保のための内部統制は、ITの利用が推奨されている。そして、当該内部統制の基本的要素である統制環境の有効性、リスクの評価と対応の有効性、統制活動の有効性、情報の伝達の有効性及びモニタリングの有効性の確保をITの利用により行うことが望ましい。
(3.2)ITの統制
ITの統制としては、有効性及び効率性、準拠性、信頼性、可用性、機密性がある。
本明細書にて、「内部統制の質の向上」という際には、上記内部統制の有効性を確保し、向上させ、または、一定の質を維持しつつ所要費用を低減することをいう。
以下、先行技術文献一覧を開示する。下記特許文献のうち、特許文献3及び4は、本願と同一の出願人による出願である。その他、下記特許文献は、本出願の発明者が技術的思想の創作に際して参照した文献ではなく、本願の特許性を判断するために、発明完成後に調査したものである。また、出願人は本発明の前提となる信用リスク管理に関連して種々の規定、要領、ガイドライン、Q&A等を作成しているが、これらの文献は非公開である。
このため、検査マニュアルでの用語や、融資の態様等の銀行取引や、財務会計、財務分析や、銀行決算の実務などについては、内部資料の公開ではなく、対応事項が記載されており、すでに公開されている書籍を非特許文献として引用した。これらの書籍も、本発明の技術的意義の理解を容易とする観点から本願の出願用に選定したものであり、発明の参照文献であったとは限らない。また、金融取引に関連する主要な用語の定義については上述したが、さらなる詳細や背景については下記文献等を参照されたい。
特開2002-230297号公報(図3,段落0017,0044等) 特開2003-162637号公報 特許第3714468号公報(図4、図7等) 特許第4373642号公報(図3等) 特開2002-140656号公報(図8,段落0056,0074等) 特開2005-134937号公報 特開平9-34948号公報(図3,図7等) 特開平11-203118号公報(図2,段落0028から0039)
酒井良清・鹿野嘉昭著,「金融システム」,株式会社有斐閣,第4版,2011年11月,ISBN978-4-641-12449-3 桜井久勝著,「財務会計講義」,株式会社中央経済社,第13版,2012年3月,ISBN978-4-502-45140-9 佐藤隆文編著,「バーゼルIIと銀行監督 新しい自己資本比率規制」,東洋経済新報社,初版,2007年4月,ISBN978-4-492-65394-4 監査法人トーマツ金融インダストリーグループ編,「バーゼルII対応のすべて リスク管理と銀行経営」,社団法人金融財政事情研究会,2008年3月,ISBN978-4-322-11200-9 金融庁,「預金等受入金融機関に係る検査マニュアル」,[online],1999年7月(改訂:2012年5月),金融庁,[2012年5月検索], インターネット<URL:www.fsa.go.jp> 検査マニュアル研究会編,「金融機関の信用リスク・資産査定管理態勢 平成23年度版 検査マニュアルハンドブックシリーズ」,社団法人金融財政事情研究会,第1版,2011年10月,ISBN978-4-322-11914-5 経済産業省企業行動課編,「コーポレート・ガバナンスと内部統制 信頼される経営のために」,(財)経済産業調査会,初版,平成2007年1月,ISBN978-4-8065-2765-7 企業会計審議会,「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」,[online],2011年3月30日,金融庁,[2012年5月検索],インターネット<URL:www.fsa.go.jp>
上記特許文献1から8、非特許文献1から8、及び、これらを組み合わせた技術では、創意工夫されたコンピュータシステムの活用により、個別の判断についての整合性と、個別の判断相互の整合性とを確保するために、判断の基準を統一するのみならず、コンピュータシステムの情報処理を利用して判断の過程を統一する業務プロセスを構築し、さらに、信用リスク管理及び資産査定に関してITを利用した内部統制の質を向上させることができない、という不都合があった。
[発明の目的]本発明の目的は、銀行業務に関して、整合的判断の積み上げをITの利用により統制し、複数の担当者間によるリスク評価の均質性を確保し、データの可用性を高めることのできる銀行業務処理システム、資産査定方法とプログラムを提供することにある。
[着眼点]本発明の発明者は、従来の帳票による作業では、銀行業務の処理結果について監査等の観点で検証する際に、作業の担当者がどのような手順で作業を行い、どの範囲で整合性の確認をしたのかについて把握することが難しい、という点に着目した。すなわち、帳票では、帳票に記入した作業者が、どの部分から記載を始め、どのような順序で作業し、また修正をしたのかという作業プロセスについて、監査部門等で検証することはできない。
そして、個別の判断についての整合性や、個別の判断相互の整合性の確保のために、判断の基準や手順を統一するのみならず、コンピュータシステムの情報処理を利用して判断の過程を統一できるのではないか、との着想に至った。
上記目的を達成するため、本発明に係る銀行業務処理システムは、リスク評価を含む複数の関連するタスクからなる銀行業務の担当者によって使用される端末とネットワークを介して接続されたコンピュータシステムを有している。このコンピュータシステムが、基礎データ、入力データ、導出データ及び査定データ作業対象毎に有する作業データを格納する作業データ格納部と、端末の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報を銀行業務のタスク毎に格納する画面定義情報格納部と、タスク毎に画面定義情報に従って作業データを端末に表示制御すると共に当該端末の画面要素への操作に応じて入力される入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、作業対象への担当者によるリスク評価を含む査定データとを作業データ格納部に格納するタスク処理部と、画面要素の操作により端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、作業対象を特定する開始画面から当該担当者による査定データを確定する終了画面に向けて、複数のタスクの推移を一方向に制御する進捗制御部とを備えている。
そして、この進捗制御部は、作業中のタスクより開始画面側にあり担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を推移コマンドとして受信した際には、作業中であったタスクとは別の一以上のタスクを開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを現タスクに特定する戻りタスク特定処理とを備えている。
さらに、タスク処理部が、画面定義情報に従って、タスクのために入力され又は導出したリスク評価に関する作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力したタスクに、一以上の別のタスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理を備えている。
そして、次タスク特定処理が、戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、再表示の画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した、という構成を採っている。
これにより、上記課題を解決した。
上記目的を達成するため、本発明に係る銀行業務処理方法は、銀行業務処理システムを使用して銀行業務を処理する方法であって、タスク毎に画面定義情報に従って作業データを端末に表示制御すると共に当該端末の画面要素への操作に応じて入力される入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、作業対象への担当者によるリスク評価を含む査定データとを作業データ格納部に格納するタスク処理工程と、画面要素の操作により端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、作業対象を特定する開始画面から当該担当者による査定データを確定する終了画面に向けて、複数のタスクの推移を一方向に制御する進捗制御工程とを備えている。
そして、この進捗制御工程は、作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を推移コマンドとして受信した際には、当該タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められ次タスクを特定する次タスク特定工程と、作業中のタスクより開始画面側にあり担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を推移コマンドとして受信した際には、作業中であったタスクとは別の一以上のタスクを開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを現タスクに特定する戻りタスク特定工程とを備えている。
そして、タスク処理工程が、画面定義情報に従って、タスクのために入力され又は導出したリスク評価に関する作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力したタスクに、一以上の別のタスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理工程を備えている。
さらに、次タスク特定工程が、戻りタスク特定工程によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、再表示の画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した、という構成を採っている。
これにより、上記課題を解決した。
上記目的を達成するため、本発明に係る銀行業務処理用プログラムは、上記コンピュータに、タスク毎に画面定義情報に従って作業データを端末に表示制御すると共に当該端末の画面要素への操作に応じて入力される入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、作業対象への担当者によるリスク評価を含む査定データとを作業データ格納部に格納するタスク処理手順と、画面要素の操作により端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、作業対象を特定する開始画面から当該担当者による査定データを確定する終了画面に向けて、複数のタスクの推移を一方向に制御する進捗制御手順とを実行させる。
さらに、作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を推移コマンドとして受信した際には、当該タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められ次タスクを特定する次タスク特定手順と、作業中のタスクより開始画面側にあり担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を推移コマンドとして受信した際には、作業中であったタスクとは別の一以上のタスクを開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを現タスクに特定する戻りタスク特定手順とを実行させる。
さらに、画面定義情報に従って、タスクのために入力され又は導出したリスク評価に関する作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力したタスクに、一以上の別のタスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理手順と、戻りタスク特定手順によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、再表示の画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止する手順とを実行させる、という構成を採っている。
これにより、上記課題を解決した。
本発明の銀行業務処理システムは以上のように構成され機能するので、これによると、強制再表示処理が、リスク評価に関する作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後の画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力したタスクに、一以上の別のタスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促し、戻りタスク特定処理が、ジャンプ戻り要求を受信した際に、当該画面要素への操作により指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを特定することで、作業中のタスクより開始画面側にある画面へジャンプして戻す。そして、次タスク特定処理は、次タスク照会要求を受信した際に、ジャンプ戻り後に作業完了した現タスクの作業データ及び現タスクから予め唯一に定められる次タスクを特定することで、再表示の画面へのジャンプ進みを禁止する。このため、ジャンプして戻ることはできるが、ジャンプして進むことはできず、終了画面に至るまでには、必ず唯一の順序に従った画面推移がなされ、このため、ITの利用により全てのユーザに対して整合的判断を積み重ねる判断過程を統一する作用を営む。この判断過程統一作用により、本発明により得られる作業データは必ず一定の順序での思考が積み重なった判断であることが保証され、これにより、作業データに誤り・誤解又は不整合が含まれる可能性をITの利用により予防することができる。そして、判断過程の統一により、リスク評価に関する担当者間の判断の均質性をIT統制により予防的に確保し、内部統制の質を向上させ、リスク評価に関するデータの可用性を向上させることで、リスク管理の精度を高めることができる。
銀行業務処理方法及びプログラムについても同様である。
図1は、本実施形態の構成を示すブロック図である。 図2は、本実施形態で使用するデータの一例を示す説明図である。 図3は、画面定義情報の一例を示す説明図であり、図3(A)は画像情報のデータ構造の一例を示す図で、図3(B)は画面要素と要素属性情報の一例を示す図である。 図4は、画面推移を一方向とするための進捗データのデータ構造を示す説明図であり、図4(A)は、連結リストによる例を示し、図4(B)はスタックを参照する例を示し、図4(C)はテーブルを参照する例を示す図である。 図5は、本発明の実施形態の技術的課題と、構成と、作用効果との関係を示す説明図である。 図6は、本発明の各実施例の技術的課題と、構成と、作用効果との関係を示す説明図である。 図7は、本発明の実施例1の構成例を示すブロック図である。 図8は、進捗ステータスの一例を示す説明図である。 図9は、作業ステータスの一例を示す説明図である。 図10は、進捗ステータステーブルの一例を示す説明図である。 図11は、各タスク及びその順序の一例を示す説明図である。 図12は、作業プロセスデータ6hのERの一例を示す説明図である。 図13は、顧客別承認テーブルの一例を示す説明図である。 図14は、作業ステータステーブルの一例を示す説明図である。 図15は、進捗ステータステーブルの一例を示す説明図である。 図16は、本発明の実施例2の構成例を示すブロック図である。 図17は、本発明の実施例のユースケース図である。 図18は、本実施例による作業での個別判断に必要なシステム要素の関係を示すロバストネス図である。 図19は、本実施例による作業での進捗作業に必要なシステム要素の関係を示すロバストネス図である。 図20は、進捗制御部による進捗処理の一例を示すシーケンス図である。 図21は、本実施例のハードウエアとソフトウエアとの関係を示すブロック図である。 図22は、本実施例のシステムをオブジェクト指向のプログラム言語で開発する際のフレームワークの構成例を示すクラス図である。 図23は、主要なクラスの主要なメソッドの一例を示すクラス図である。 図24は、タスクフレームワークの各インスタンスのダイナミックリンケージの作用を示すコラボレーション図である。 図25は、タスクマネージャーの作用を示す説明図である。 図26は、タスクデータの一例を示す説明図であり、図26(A)はタスクデータをハッシュマップで構成した例を示す図で、図26(B)はハッシュマップと配列とを用いてテーブル情報をタスクデータに集約する例を示す図である。 図27は、次へボタンの操作に応じたタスク・インヴォーカーの制御の一例を示すシーケンス図である。 図28は、コンディショナル・タスクの関係を示すシーケンス図である。 図29は、戻るボタン又はジャンプして戻るボタンの操作に応じたタスク・インヴォーカーの制御の一例を示すシーケンス図である。 図30は、各個別タスク・インスタンスと計算確認クラス・インスタン等との関係を示すシーケンス図である。 図31は、本発明の実施例3及び実施例4の構成例を示すブロック図である。 図32は、スコアリングによる信用格付と債務者区分との関係を示す説明図である。 図33は、抽出符号と自動化との関係を示す説明図である。 図34は、CIF番号等をキーとするERを例示するER図である。 図35は、決算年月等をキーとするERを例示するER図である。 図36は、査定部門コード等をキーとするERを例示するER図である。 図37は、進捗ステータステーブル等の制御用のテーブルの一例を示すER図である。 図38は、各コメントのキー項目を例示する説明図である。 図39は、各タスクに含まれる画面の一例を示す説明図である。 図40は、メイン画面の一例を示す説明図である。 図41は、状況速報起動画面の一例を示す説明図である。 図42は、作業要否選択画面の一例を示す説明図である。 図43は、決算検討作業選択画面の一例を示す説明図である。 図44は、決算検討・雑科目の資産性検討画面の一例を示す説明図である。 図45は、決算検討・決算の実態登録画面の一例を示す説明図である。 図46は、決算検討・決算検討(法人)画面の一例を示す説明図である。 図47は、抽出符号照会画面の一例を示す説明図である。 図48は、主要経営比率(単体)照会画面の一例を示す説明図である。 図49は、信用格付・定量的要因評価画面(法人)の一例を示す説明図である。 図50は、信用格付・一次評価の一例を示す説明図である。 図51は、自己査定・取引先の事象チェック画面の一例を示す説明図である。 図52は、自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)画面の一例の上側を示す説明図である。 図53は、自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)画面の一例の下側を示す説明図である。 図54は、自己査定・抽出基準チェック2-1(貸出金明細)画面の一例を示す説明図である。 図55は、自己査定・抽出条件確認画面の一例を示す説明図である。 図56は、自己査定・債務償還力の確認画面の一例を示す説明図である。 図57は、自己査定・債務者区分確認画面の一例の上側を示す説明図である。 図58は、自己査定・画面スキップ確認画面の一例を示す説明図である。 図59は、自己査定・優良与信チェック(商手明細)画面の一例を示す説明図である。 図60は、自己査定・優良与信確認画面の一例を示す説明図である。 図61は、自己査定・担保・保証確認画面の一例の上側を示す説明図である。 図62は、自己査定・担保・保証確認画面の一例の下側を示す説明図である。 図63は、自己査定・基礎査定額確認画面の一例を示す説明図である。 図64は、自己査定・償却予定額計算画面の一例の上側を示す説明図である。 図65は、自己査定・償却予定額計算画面の一例の下側を示す説明図である。 図66は、自己査定・分類結果確認画面の一例(C株式会社要注意先の場合)を示す説明図である。 図67は、自己査定・分類結果確認画面の一例(C株式会社破綻懸念先の場合)を示す説明図である。 図68は、管理・回収方針画面の一例を示す説明図である。 図69は、債務者の概況画面の一例の上側を示す説明図である。 図70は、債務者の概況画面の一例の下側を示す説明図である。 図71は、統括者指定画面の一例を示す説明図である。 図72は、営業店統括者・承認画面の一例を示す説明図である。 図73は、差戻し理由登録画面の一例を示す説明図である。 図74は、取引先要項システムの画面例を示す説明図である。
次に、図面を参照して、各請求項に記載されている発明の実施をするための形態を説明する。この実施の形態である銀行業務処理システムは、一群の処理を実行するコンピュータシステム4を備える。このコンピュータシステム4として、サーバーを採用することができる。サーバーは、パーソナルコンピュータや携帯端末1などの情報機器(以下「端末1」という)へデータを表示し、入力を促し、そして、端末1の操作による要求に応答する。また、サーバー側での情報処理ではなく、一群の処理を各端末1のCPUを用いて実行し、データについてはオフライン又はオンラインで電子的に送信するようにしても良い。
まず実施形態として、一方向制御と、一方向制御をしつつ強制再表示をする手法を説明する。その後、いくつかの実施例を開示する。
部材の符号中、記号「x」は、任意の数字を示す。例えば、Txxxxと表記されるタスクIDは、図10に示すタスクIDのように、「x」が数字であり、T1300、T1600などを包括的に示す。ボタンBxxというときには、次へボタンB1や、戻るボタンB3や、前回内容照会ボタンB38などを含む。
<実施形態: 一方向制御>
図1を参照すると、本実施形態での銀行業務処理システムは、端末1とネットワーク2を介して接続されたコンピュータシステム4を備えている。
コンピュータシステム4は、主要な構成として、作業データ格納部6と、画面定義情報格納部7と、タスク処理部10と、進捗制御部30とを備えている。そして、進捗制御部30は、次タスク特定処理34と、戻りタスク特定処理32とを備えている。
作業データ格納部6は、基礎データ6b、入力データ6c及び導出データ6dからなる作業データ6aを格納する。基礎データ6bは過去に蓄積したデータや他システム70から取得するデータである。入力データ6cは端末1から入力されるデータである。導出データ6dは、基礎データ6b及び入力データ6cから予め定められた計算式等に従った計算により導出したデータである。
画面定義情報格納部7は、前記端末1の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報7aを前記銀行業務のタスク毎に格納する。画面要素は、例えば、データを表示するテーブルや、入力を受け付けるフィールドや、推移コマンド30a等の送信と関連付けられたボタン又はリンク等である。画面定義情報7aは、これらの画面要素の入力編集可否や、画面上での配置(座標)を特定する。
タスク処理部10は、前記タスク毎に前記画面定義情報7aに従って前記作業データ6aを前記端末1に表示制御する。1つのタスクが1つの画面のみを有するようにしても良いし、1つのタスクが複数の画面を有するようにしても良い。そして、タスク処理部10は、当該端末1の前記画面要素への操作により入力され又は導出する前記作業データ6aを前記作業データ格納部6に格納する。この作業データ6aの格納は、端末1で使用された全ての作業データ6aを格納対象としても良いし、差分のみを格納対象としても良い。タスク処理部10は、特に、当該タスクにて入力された入力データ6cと計算した導出データ6dとを作業データ格納部6に格納する。
進捗制御部30は、前記画面要素の操作により前記端末1から送信される推移コマンド30aに応じて、当該タスク間の推移を前記銀行業務の開始画面から終了画面に向けた一方向に制御する。銀行業務は複数のタスクからなり、このタスクには論理的な順序がある。進捗制御部30は、予め定められた画面推移の方向及び順序に従ってタスク間を推移するように制御する。個々のタスクでの情報処理はタスク処理部10が処理する。
進捗制御部は、戻りタスク特定処理32と、次タスク特定処理34とを備える。
戻りタスク特定処理32は、作業中のタスクより前記開始画面側にある任意の画面へジャンプして戻るジャンプ戻り要求を前記推移コマンド30aとして受信した際には、当該画面要素への操作により指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを特定する。この戻りタスク特定処理32は、前記一方向の画面推移制御中、ジャンプ戻りが要求された際には、当該要求で指定された開始画面側のタスク(画面)へと1以上の開始画面側の画面を飛び越して(ジャンプして)戻る。従って、作業者は、開始画面側の任意の画面に戻って作業をしたい際に、戻り先の画面までの全ての画面を1画面ずつ戻る必要がない。
次タスク特定処理34は、作業完了したタスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を前記推移コマンド30aとして受信した際には、前記ジャンプ戻り後に又はジャンプ戻り無しに作業完了した現画面の作業データ6a及び現タスクから予め唯一に定められる次タスクを特定する。これにより、進捗制御部30は、前記一方向にて次タスクの画面よりも終了画面側の画面へのジャンプ進みを禁止する。すなわち、本実施形態では、ジャンプ戻りは許容するが、ジャンプ進みは禁止する。
このように、次タスク特定処理34は、予め定められた画面推移の順序に従って次のタスク(画面)を特定することで、現在の画面から終了画面側に1以上画面を飛び越して(ジャンプして)推移する処理を禁止する。
本実施形態では、作業者は、ジャンプして戻ることはできても、ジャンプして進むことはできず、特に、ジャンプして戻った後も、ジャンプして進むことはできないため、予め定められた一方向での作業が強制される。途中でジャンプして戻ったとしても、複数のタスクが関連する銀行業務を唯一の順序で判断を積み重ねなければならない(判断過程統一作用,図5参照)。
この判断過程統一作用により、当該銀行業務の作業の順序を本実施形態のITの利用により強制するため、作業に関するリスクの発現を予防することができる(予防的統制効果)。そして、判断過程統一作用により、不慣れな担当者に早期の熟達を促しつつ、ITの利用による事務合理化を図ることができる。
そして、この判断過程統一作用により、銀行業務を多人数で熟達の程度に差のある作業者群によって遂行する際にも、判断過程を強制的に統一するという業務プロセスが構築される(業務プロセス構築作用)。この業務プロセスの構築により、多人数による判断を均質とすることができ、そのため、作業結果で得られるデータの可用性を向上させることができる(均質性と可用性の向上効果)。
また、複数のタスクからなる銀行業務の判断過程が統一されることで、大量のデータの依存関係を一方向制御に基づいて管理することができ、当該銀行業務を組み立てる大量の判断基準について、タスク又はタスク群を単位として局所化することができる(局所化作用)。この判断基準の局所化により、様々なルール(規律)への準拠性を確保する作業負荷が軽減され、システム開発及び規律の進化に応じたシステムの局所的な変更も容易となる(開発変更容易効果)。
本実施形態では、このITを利用した一方向制御により、予防的統制効果、結果の均質性と可用性の向上及び開発変更の容易性等により、内部統制の質を向上させることができる。
銀行業務処理方法及びプログラムについても同様である。
これを詳細に説明する。
図2に、信用リスクに関する作業データ6aの一例を示す。図2に示す例では、基礎データ6bは、銀行の勘定系システムや、情報系システムや、不動産担保評価システムなどの他システム70から取得する債務者及び債権についてのデータである。基礎データ6bとしては、例えば、会社名、業種などの債務者の属性データと、債務者の単独又は連結の公表財務データと、債権である貸金(融資)の明細データと、担保や保証に関する保全データと、担保の一種である不動産担保評価データなどがある。
入力データ6cは、作業者によって端末1に入力されるデータであり、作業者の判断を示す各種コードやコメントである。コメントはテキスト・データで入力される。各種コードはコードの数値等の入力を受けても良いし、リストを提示して選択を促すようにしても良い。
導出データ6dは、基礎データ6b及び入力データ6cとから導出するデータであり、例えば公表財務計数に関する異常の有無を示す異常マークや、信用格付に際してのスコアリングの評点(スコア)の合計点や、債権の分類額などである。画面へ表示する際に基礎データ6bから導出するデータについては、基礎データ6bに含め、導出データ6dは、作業者から入力されるデータのみ又は入力データ6cと基礎データ6bとから導出するデータとする。
また、好適な例では、作業データ6aに、査定データ6eを含めても良い。この査定データ6eは、決裁された作業データ6aからなる査定結果データ6fと、部門別の結果データである査定作業結果データ6gとを有するようにしてもよい。
さらに、作業データ6aに、作業のプロセスがどのようになされたかを作業毎に記録する作業プロセスデータ6hを含めると良い。この作業プロセスデータ6hは、債務者毎に作業がなされたか否かを示す作業有無コードや、作業の状態を示すコード(例えば、作業ステータス)や、個別のタスク毎の進捗を示すコード(例えば、進捗ステータス等)を有すると良い。
再度図1を参照すると、画面定義情報格納部7は、画面定義情報7aを格納する。画面定義情報7aは、端末1のグラフィカル・作業者・インタフェース(GUI)の制御と協調して、端末1に表示する画面要素と、その位置と、その属性とを定義する。画面定義情報7aの形式には種々のものがあるが、端末1がWebブラウザーであれば画面定義情報7aはタスク・マネージャー・インスタンス108I(図28等参照)ファイルに含まれる。端末1がJAVA(登録商標)の仮想マシンであれば、仮想マシンのランタイムシステム100が解釈可能なコードとなる。このようなコードとして、例えば、画面要素の内容と、画面上の位置と、入力編集の可否などの属性とをXMLで記述するようにしても良い。
端末1でアプリケーションソフトウエアを実行する際には、画面定義情報7aは、アプリケーションソフトウエアか、または端末1のオペレーティングシステムが解釈可能なコードとなる。このように、画面定義情報7aの具体例は端末1動作するソフトウエアとの関係で定まり、バイナリーコードや、XMLやHTMLによるテキストの指定となる。
画面定義情報7aとなるコードは、プログラマーが直接に記述するようにしても良いし、ソフトウエアの開発環境が提供するGUI構築用の機能を用いて、画面要素を開発者の端末1の画面上で定義し、属性を定めることで、開発環境が画面定義情報7aとなるコードを自動生成するようにしても良い。画面定義情報格納部7は、この画面定義情報7aとなるコードのデータを格納するハードディスクや、データベースのファイルであり、コンピュータシステム4側で格納しても良いし、端末1側に格納するようにしても良い。すなわち、画面定義情報7aは、個々の作業毎に変化するものではなく、一定であるため、予め端末1側に格納するようにしても良いし、コンピュータシステム4の起動時に端末1側に送信するようにしても良い。
図3(A)を参照すると、本実施形態では、画面IDに対してレイアウト情報を対応付け、このレイアウト情報にて画面要素とその要素属性情報とを対応付ける。作業の進捗を画面IDではなくタスクIDで管理する例では、タスクIDとレイアウト情報とを対応付ける。
図3(B)に示すように、画面要素としては、表示ウインドウであるフレームと、そのフレームを区画するペインと、入力や表示の単位となるフィールドと、作業者の操作の単位となるボタンBxxと、複数の選択肢から複数同時選択可にて選択を受け付けるチェックボックスと、複数の選択肢から唯一の選択を受け付けるラジオボタンやリストと、唯一の選択肢又は未選択を受け付けるコンボボックスと、階層データを表示しその階層データの要素(ノード)の選択を受け付けるツリーなどがある。その他、フィールドを二次元の行列としたものをテーブルと呼ぶ。
ボタンBxxの要素属性情報がクリック不可の際には、現在の状態ではそのボタンBxxによる操作を行えないことを作業者に示す。例えば、必須入力のフィールドへの入力がないときにはボタン操作が不可で、そのフィールドに入力があった際にはクリック可とするように、要素属性情報は固定的ではない場合がある。
[一方向制御]
進捗制御部30は、ボタンBxx等の画面要素の操作により前記端末1から送信される推移コマンド30aに応じて、当該タスク間の推移を前記銀行業務の開始画面から終了画面に向けた一方向に制御する。銀行業務の「タスク」は、1又は複数の画面を有する。タスクを一方向に制御するのは、画面を一方向に制御することと同義である。
図4に、1つのタスクを1画面で構成し、画面を画面IDで識別する際の一方向の種々の例を示す。
図4(A)を参照すると、この「一方向」は、画面IDが1、2、3等となる予め定められた順序での一方向である。一方向というときには、画面IDが1、2、3と進捗する方向のみであり、画面IDが3、2、1となる逆方向を含まない。すなわち、コンピュータシステム4は、一方向制御下の通常の操作では、予め定義された順序で画面が推移するように画面の進捗を制御する。開始画面である画面ID:1から終了画面である画面ID:8までの画面推移を一方向に制御する。
図4(A)から図4(C)に示すように、画面の一方向が画面ID:1、2、3、4、5の順序で、画面ID:4から画面ID:1の画面に戻った後、当該画面ID:1の画面の次タスク特定処理34が、画面ID:1の画面から、画面ID:3及び4の画面へのジャンプを禁止する制御を行う。この例では、画面ID:1の次には、画面ID:2を経由しなければ、画面ID:3の画面に進むことができない。
図4(A)は、連結リストによる例を示し、図4(B)はスタックを参照する例を示し、図4(C)はテーブルを参照する例を示す図である。図4に示す例では、一方向には、作業分岐34aと、画面分岐34bとが含まれている。図4(A)の画面ID:3では、作業分岐条件を満たす場合に次画面IDは4であり、満たさない場合には5となる。この作業分岐34aでは、画面ID:3の画面にて作業分岐条件を満たさない場合には、画面ID:4の画面は作業せず、スキップする。
続いて、画面ID:5では、画面分岐条件を満たす場合に次画面IDは6であり、満たさない場合に次画面IDは7となる。画面ID:6と7とは選択的であり、いずれの画面に進捗してもその次の画面IDは8となる。すなわち、画面ID:5の画面分岐34bは、択一的な画面を選択する分岐であり、画面ID:3の作業分岐34aは作業の分岐である。
図4(A)に示す例では、画面IDのデータ構造を連結リストとしており、この連結の順序にて一方向の定義を格納する。この例では、次タスク特定処理34は、各画面の作業完了時に連結リストを操作して現画面IDを検索し、その画面IDに連結している次の画面IDを次画面IDとする。次画面IDが2つ以上ある際には、作業分岐34aか画面分岐34bであるため、現タスクまでの作業データ6aが分岐条件を満たすか否かを確認し次画面IDを特定する。
図4(B)に示す例では、スタック等の参照型として、作業の開始時に当該作業の一方向を画面IDのスタックとしてプッシュしておき、次タスク特定処理34は、各画面の作業完了後に一つずつ画面IDをポップすることで、次画面IDを特定する。図4(C)に示す例では、画面IDと分岐条件とをテーブルに格納しておき、現画面IDを引数としてテーブルを探索し、次画面IDを特定する。
このように、一方向制御を実現するためのソフトウエアとしては、種々のデータ構造及びアルゴリズムを使用することができる。一方向制御は、作業の進捗を管理するのみならず、ジャンプして戻った際に戻り先よりも終了画面側での作業をなかったこととする制御である。これにより、全ての作業者の判断過程を統一する作用を得ることができる。
また、図4(A)から図4(C)いずれの構成であっても、一方向制御を採用すると、各画面の開発に際しては、その画面での整合性を確保する情報処理を開発すればよく、個別の画面やタスクの開発のドメインは局所化される。ソフトウエアの開発として、一方向制御を採用し作業手順の強制のためのロジックを開発すれば、個々の画面間の全体的な整合性の確保については、作業者が行うこととなり、ソフトウエア開発の負担が大幅に軽減される。
例えば、図4(A)の画面ID:4の開発にて、画面ID:3から引き続いた作業である場合と、画面ID:7からジャンプして戻った場合とに対応した開発をするのは、極めて煩雑となる。具体的には、画面ID:7で表示された内容を修正するために画面ID:3にジャンプして戻り、画面ID:3の内容を修正した場合、続く画面ID:4の情報処理がこの画面ID:3で入力されるデータに依存する可能性があると、画面ID:4の開発に際して、画面ID:4で使用する個別のデータに影響があるか否かを検討しなければならなくなる。すると、例えば、全ての個々のデータの有効性をステータスとして保持し、その有効性を確認しつつ計算等を実装しなければならなくなる。または、「ジャンプして戻る」という情報処理を実現できなくなる。すると、大量の画面を有する業務のシステム化及び安定した運用に別途の課題を生じさせてしまう。例えば、ジャンプして戻るための作業負荷及び時間が膨大であれば、誤りや不整合を発見した際に対応する画面まで戻って修正するというインセンティブを低下させてしまう。
この判断基準の局所化は、オブジェクト指向等に基づく開発環境によっては解決されないものであり、一方向制御により奏することのできる効果である。すなわち、現状のサーバーサイドのコンピュータソフトウエア開発に際して、モデル・ビュー・コントローラー(MVC)等の構成を採用しても、各データの依存関係が複雑で、大量の画面を取り扱う際には、ビューとモデルとの関係の整理に多大な作業負荷がかかってしまう。例えば、Webを利用した情報処理システムにて、一方向に進んでいくことができるが、戻ることができないシステムが多数ある。サーバーサイドやEUC(エンド・作業者・コンピューティング)のアプリケーションにて、直前の画面にのみ戻ることができるシステムもあるが、ジャンプして戻る処理が実装されているシステムは発見できない。直前の画面に戻ることしかできないのは、レスポンスの悪化要因として意識されてしまう。
また、判断基準を局所化できると、開発するコンピュータシステム4の実際のデータ処理の結果(プログラミングの結果)が、業務上の要件を満たしているか否かを検証しやすくなる。これにより、コンピュータシステム4が業務上の要件に準拠していることの確保を行いやすくなる。
また法規制や金融機関への要請などが変化・進化した際に新しいルールに準拠させるためのソフトウエアの変更もデータへの影響を一方向の元で可視化でき、局所的とすることができる。すなわち、ソフトウエアの変更の負担も大幅に軽減される。
<一方向制御の効果>
図5に示すように、一方向制御は、判断過程統一作用により、予防的統制効果を奏し、業務プロセス構築作用により、結果の均質性及び可用性向上効果を奏する。さらに、判断基準の局所化作用により、開発・変更容易効果を奏する。
具体的には、例えば、予め定めた判断過程による作業者の判断が積み重なることを「ITを用いて統制」することで、例えば信用リスク管理に関する銀行業務の作業に伴い発生し得る数値(信用格付、債務者格付、債務者区分、分類額等の作業結果と、これらの作業結果を使用する貸倒引当金及び自己資本比率等)への誤りの混入を「予防」することができる。
この予防に際して、単に自己査定業務をシステム化した場合と比較して、本実施形態による一方向制御というITを利用すると、判断過程統一及び業務プロセス構築を人手によらずにコンピュータシステム4により統制することができる。この統制はマニュアル統制ではなく、システム統制であるため、判断過程の統一という業務上の新しい要請についてまでITを適用可能としたことで、内部統制の質を向上させ、業務自体の有効性及び効率性を高めることができる。
この内部統制の質を向上させるという一方向制御の効果は、当該一方向制御を採用するコンピュータシステム4という製品の製品市場における優位性となる。一方向制御を行うコンピュータシステム4という製品は、判断基準の局所化作用により、異なる金融機関等への適用に際しても導入に必要な情報処理内容の修正を最小限とすることができる。
<実施形態: 強制再表示処理12>
再度図1を参照すると、好適な本実施形態では、タスク処理部10は、強制再表示処理12を備える。強制再表示処理12は、前記画面定義情報7aに従って、前画面までのタスクのために入力され又は導出した作業データ6aの一部を作業中である別のタスクの画面に入力編集不可で再表示する。
複数のタスクからなる銀行業務について、個別の判断と総合的な判断とを整合させたいという課題に対して、本実施形態では、強制再表示処理12が、各タスク(画面)での個別の判断の結果をより終了画面側の画面にて再表示する。
例えば、信用リスク管理を例とすると、決算検討用の画面で入力したコメントを自己査定用の画面で一部再表示するなどして、決算検討での作業者の判断を自己査定用の画面にて再表示する。この強制再表示処理12という情報処理により、決算検討作業自体の整合性を確保しつつ、さらに、決算検討と自己査定との整合性を確保する。この強制再表示処理12は、再表示の対象を画面定義情報7aに予め定義しておき、現画面の照会要求に応じて、前画面までに入力されたデータを端末1に表示させる処理である。
本実施形態では、この強制的な再表示を行うことにより、一方向制御による判断の積み上げを作業者に強制し、同一のデータであっても、個別のタスクの視点から再度の確認を促し、個別の及び総合した整合性の確保を作業者に促すことができる。これにより、多面的な判断が必要な銀行業務について、査定結果データ6fの総合的な一貫性を安定して確実に確保することができる。
この強制再表示処理12という情報処理は、個別作業の整合性及び個別作業間の整合性を確保する作用を営む。この強制再表示により、作業に必要な多面的で総合的な判断についての一貫性を確保することができる。すなわち、複雑に関連する項目を個別作業の目的ごとに予め整理された状態で再表示することで、別の画面を使用して判断したことと、現画面で判断すべきこととの整合性の確保を作業者に促すことができる。この再表示により、作業者は、例えば、決算検討として判断したことと、債務者区分の理由との整合性の有無を自然に判断することとなる。
信用リスク管理に使用する銀行業務処理システムを例とすると、再表示する同一のデータとしては、各種コメントや、決算の財務項目の数値や、作業者によって判断された信用格付や、債務者区分などがある。
[強制再表示:入力データ6c]
強制再表示処理12は、前画面までに入力された入力データ6cを入力編集不可の入力編集不可属性とし、現画面の前記画面定義情報7aに従った位置に再表示すると良い。
この例では、再表示のデータについては、変更を不可とするため、終了画面側の画面では再表示される入力データ6cの修正を行うことができない。従って、再表示された入力データ6cを修正するには、作業者は、当該入力データ6cを入力した画面まで戻らなければならない。なお、戻りタスク特定処理32により、戻り先のタスク(画面)へ戻る作業自体は少ない操作数により短時間で完了する。
本実施形態では、この修正のために強制的に画面を戻らせるという一方向制御により、個別判断と個別判断との総合的な整合性の確保を作業者に促す業務プロセスを強制的に確保することができる。
すなわち、作業者は、終了画面側の画面で修正したくとも、修正できないため、終了画面側である現画面にて作業データ6aの内容の矛盾を発見した作業者は、その再表示されたデータを当初に入力した画面へ戻る操作を行い、入力し直すこととなる(修正時再作業強制作用)。
そして、前画面までに入力された入力データ6cを、編集を不可とする入力編集不可属性で強制的に再表示し、この修正作業については、画面を戻す処理を強制すると、総合的な整合性のために修正が必要な入力を前画面以前で行った作業者の手間及び作業負荷は強制的に増加することとなる。一方、作業の要領等の全体構造を把握している作業者にとっては、修正のために画面等を戻る処理が不要で、一度の画面推移で、短時間で作業を終了させることができる(事務合理化)。このように、一方向制御下の入力編集不可での強制再表示処理12という情報処理により、「総合的な整合性を確保するために修正する際に作業者の作業負荷が増大する」という業務プロセスをコンピュータシステム4の情報処理により強制的に構築している。これにより、作業に必要な知識・経験に関して、作業者の早期熟達を促すことができる(早期熟達と事務合理化)。
すなわち、不慣れな作業者が、作業の全体の構造を把握することなく、目前の画面にのみ注目して作業すると、終了画面側の画面で種々の矛盾を生じさせることとなる。この場合には、作業者は、当初の画面に戻って再作業をしなければならない。この画面を戻した再作業には、時間を要し、煩雑となり、作業負荷が増大する。従って、この銀行業務処理システムは、その業務プロセスの強制を介して、不慣れな作業者に対して、作業の全体の構造を早期に習得し、個々の作業を短時間で完了できるように努めることを促す。
[強制再表示:導出データ6d]
好適な実施形態では、強制再表示処理12は、画面定義情報7aに従って、前画面までに確認された作業データ6aをから計算される導出データ6dを入力編集不可の入力編集不可属性として再表示する。
すなわち、前画面までに入力された入力データ6c及び基礎データ6bを使用して導出データ6dを導出し、導出データ6dを現画面に表示する。この情報処理により、複雑な依存関係にあるデータの関連を予め統一した基準で整理し、画面の推移による判断の積み上げを業務プロセスとして確立することができる。導出データ6dの再表示という構成により、画面表示するデータの精度向上作用による均質な判断積み上げ作業を有し、異なる作業者間の判断の均質化を促し、また、形式的なミス防止のための確認作業の負荷を軽減することができる。
<強制再表示処理12の作用効果>
図5に示すように、強制再表示処理12により、各画面の個別の判断と、より終了画面側での個別の判断とについて、それぞれ必要なデータを表示又は再表示しつつ、再表示については、作業全体に関する一貫した判断を促すことができる。すなわち、強制再表示処理12というITの利用により、作業者に、個別判断と、全体判断とのそれぞれ整合性を促し、整合的な判断の積み上げが自然になされる業務プロセスを構築することができる(整合的判断積み上げ作用)。
強制再表示処理12による整合的判断積み上げ作用は、再表示された画面にて当該画面内部の整合性が確保されず、従って、再表示されたデータの修正が必要となる際に、修正時の作業を強制するという業務プロセスが構築される。すなわち、再表示されたデータを修正するには、当該データを入力する画面までジャンプして戻らなければならず、ジャンプして戻り、必要な修正を行うと、一方向制御により、再表示の画面までジャンプして進むことができない。従って、作業者は、全体的整合性の不備を発見すると、一定の作業を強いられることとなる(修正時の作業強制作用)。
この修正時の作業強制作用により、作業に不慣れな作業者が、早期に熟達するという効果を奏する。すなわち、終了画面側で不整合が発見されると、作業の業務を効率的に行うことができない。従って、業務の効率化のために、作業全体の構造を早期に把握しようと努め、その結果、全ての作業者の早期な熟達が図られる。この点、単に資産査定業務をシステム化すると、作業者が判断すべき事項が減っていき、全体的整合性の判断を促すことがなくなる結果、作業者は、作業という業務の内容についての知識を蓄積する機会が大幅に減少する。一方、強制再表示処理12を採用すると、システム化により事務合理化しつつ、全ての作業者の早期熟達を図ることができる。
一方、熟達した作業者にとっては、作業を要する債務者それぞれについて全ての画面を経由するのは、業務の効率性を悪化させる懸念もある。しかし、作業を要する債務者全てについて必要最低限の作業がなされており、特に、強制再表示により個別判断の整合性が確認されていることを前提とできるため、内部統制に必要なコストを含め全体として事務合理化することができる。
このように、早期熟達効果と、事務合理化効果とにより、強制再表示処理12というITを利用して、資産査定に必要な業務の適切性、有効性及び効率性を高めることができる。
<実施例について>
本実施形態は、下記4つの実施例を有する。実施例1から3は銀行業務処理システム、方法及びプログラムで、実施例4は債務者等の信用格付と債務者への債権の資産査定とを業務とする格付自己査定システムである。
図6に、本発明の各実施例の課題解決手段と作用効果のポイントを示す。
実施例1(進捗ステータス統制)では、進捗制御部30は、タスクの進捗状況をタスク毎の進捗ステータスで管理する。進捗ステータスとして、未着手、作業中及び作業済を有する。進捗制御部30は、作業の起票時に全てのタスクの進捗ステータスを未着手とし、作業が完了するごとにタスク単位で作業済とする。そして、ジャンプして戻った際には、戻った間のタスクの進捗ステータスを作業済から作業中に変更する。これにより、一方向制御をする。
この実施例1では、タスク毎の進捗ステータスを格納することで、銀行業務処理の作業プロセスをデータとして保存することができる。作業データ6aのみならず、作業プロセスデータ6hとして進捗ステータスを記録しておくことで、作業が完了した銀行業務についての作業データ6aの可用性と検証性とを向上させることができる。そして、作業データ6aの可用性を高めることで業務に必要な情報の伝達の有効性を高めることができる。また検証性を向上させると、品質・信頼性向上のためのモニタリングの有効性を高めることができる。
実施例2(タスク処理とトランザクション管理)では、作業データ6aをタスク毎にまとめたタスクデータtdを単位として、予め定められた処理セット(表示制御、計算、条件確認及び格納)を有することで、オブジェクト指向技術に基づく一方向制御の実装をすることができる。すなわち、タスク処理部10が、予め定められた処理セットを有することで、オブジェクト指向での抽象メソッドによる共通性と個々のタスク処理の独立性を得ることができる。抽象メソッドによる共通性を高めることで、進捗制御や他の要請からタスク処理を共通して使用することができる。すなわち、進捗制御等は個別のタスクの実装を知ることなく、共通した処理セットを使用することができる。一方、この処理セット内で個別のタスク毎に実装すると、一方向制御と協調して、個別のタスク処理の独立性を高めることができる。すなわち、タスク及びその画面に生じる修正によって他のタスクの内容や進捗の管理処理などの処理の修正を惹起しないフレームワークとすることができる。これにより、開発の柔軟化と局所化とを実現し、また、タスク間の依存関係を緩めることでタスク毎の開発や入れ替えを容易とすることができる。
そして、トランザクション管理では、一方向制御下にて、作業のトランザクションの管理を、作業通番を単位とする作業トランザクションと、タスクIDを単位とする個別トランザクションとに分けて、それぞれACID特性の全てを要求せず、操作性を向上させつつ、システムのデータ管理上、安定した仕組みを構築する。すなわち、作業タスクの全体の一貫性については作業の全体の終了時に確保し、一方、タスクについては、タスク毎に永続性を確保する。すなわち、作業全体として一貫性がない状態であっても、一方向制御下で、タスクに永続性を与える。これにより、コンピュータシステム4の障害発生時にも作業データ6aを正確に管理することができ、また、システム開発を柔軟に行うことができる。例えば、作業を途中のタスクで中断する中断制御62(図16参照)を実装することができる。
実施例3(特定操作要求)では、一方向制御の下、銀行業務の作業上保守的な判断を作業者の判断として初期値表示し、例外判断については、特定操作を要求する。この初期値表示と特定操作要求という情報処理の構成により、本実施例による銀行業務処理システムは、例外判断の手順を強制する作用を営み、重要な判断に関してその判断の根拠を明確にする効果を奏する。
実施例4(特定操作要求と強制再表示)では、格付自己査定を銀行業務の一例として、複数のタスク群からなる格付自己査定作業での特定操作要求と強制再表示の例を開示する。格付自己査定作業は、債務者の財務諸表に基づく財務分析が重要であり、この決算検討のタスクの判断結果は、信用格付のタスクにも、債務者区分のタスクにも、債権分類のタスクにも影響する。この点、実施例4では、決算検討の結果に基づいて債務者区分のタスクにて特定操作要求をし、また、決算検討時のコメントデータを作業者による作業の終了画面側で強制再表示する。特定操作要求や強制再表示により整合的では無いと判断される際には、作業者は決算検討にジャンプして戻り、再度財務分析を行う。この仕組みにより、整合的判断の積み上げをITの利用により強制し、例外判断の根拠を管理し、早期熟達と事務合理化の両立を図り、判断過程を統一できる業務プロセスを確立し、これらにより、ITの利用による内部統制の質を向上させ、そして、本実施例4による格付自己査定システムを使用する銀行の業務の適切性及び健全性の向上を促すことができる。
<実施例1: 進捗ステータス統制>
図7に示すように、実施例1では、コンピュータシステム4が、進捗ステータス格納部8を備えている。
進捗ステータス格納部8は、作業プロセスデータ6hとして、進捗ステータステーブル8aを格納する。進捗ステータステーブル8aは、タスクを識別するタスクIDを単位として、当該タスクで使用する作業データ6aの全体に対して未着手、作業中及び作業済の進捗ステータスを特定するテーブルである。
図8に示す例では、進捗ステータスとして、さらに、省略と取消とを有すると良い。
未着手との進捗ステータスは、初期状態を示し、作業中との進捗ステータスは、タスクの開始処理がされた状態を示し、作業済との進捗ステータスは、タスクの完了処理がされた状態を示す。
また、進捗ステータスとして省略を有する例では、省略は、作業分岐34aによりスキップしたタスクを示す。スキップは、その作業分岐34aの条件に応じて作業を必要としないタスクのタスクIDについて、作業分岐34aのタスクまでのタスクを省略する進捗管理である。図4(A)又は(C)に示す例では、画面ID:3のタスクから画面ID:5のタスクに進捗する際、スキップするタスクIDは画面ID:4のタスクIDである。
進捗ステータステーブル8aは、図10に示すように、作業通番毎に、1つのテーブルとなり、タスクID毎の進捗ステータスを有する。
図7に示す例では、作業プロセスデータ6hとして、作業を管理するための作業ステータステーブル9aを有する。
図9に示すように、作業ステータスとして、起票後、作業の開始又は振り分けを待機する状態を示す待機中と、営業店担当者等のコンピュータシステム4へのログイン作業者による作業中を示す実行中と、作業が決裁され作業全体が終了した決裁済と、同一債務者の作業が重複して起票された状態を示す重複と、作業の取消を示す取消とを用いると良い。
進捗制御部30は、この作業ステータスを更新し、参照することで作業のワークフローを管理すると良い。ここでは、「ワークフロー」は、作業者間で作業を回付する処理をいい、「進捗」は、同一の作業者による作業内のタスクの推移をいう。
図10に、進捗ステータステーブル8aの具体例を示す。この例では、作業通番S001の作業について、作業者IDUSER001の作業者がタスクID(T1000)から(T1339)まで作業する。進捗制御部30は、当該作業通番の進捗ステータスとして全て未着手をセットする。開始画面がタスクID(T1000)の最初の画面または当該最初の画面を呼び出すメイン画面であり、終了画面は、タスクID(T1339)の最後の画面とする。進捗制御部30は、タスクID(T1000)に属する画面の作業が完了すると、進捗ステータスを作業済とする。タスクID(T1319)のタスクは、作業分岐34aにより予め定めた一方向の順序に含まれないタスクで、タスクID(T1310)のタスクに作業済を記録する際にあわせて、タスクID(T1319)に省略を記録する。タスクID(T1330)のタスクも同様である。
そして、作業者は、図10に示す進捗ステータステーブル8aに示される状況では、タスクID(T1331)のタスクを作業中である。
各タスクに、タイムスタンプが与える例では、各タスク(少なくとも1つの画面群)についての個別作業を完了した時刻が記録される。すると、タスクID間の所要時間なども事後的に検証できる。
図11に、信用リスク管理を対象とする銀行業務処理の各タスクが有する画面の一例を示す。この銀行業務のタスクは、メイン、決算検討、信用格付、自己査定、管理・回収方針、債務者の概況、統括者指定、統括者、支店長、再査定一審、再査定二審、再査定上級、監査一審、監査二審、監査上級の順序となる。営業店担当者が作業をするのはタスクIDを併記した債務者の概況、統括者指定までである。進捗ステータスは、メインタスクから、監査上級まですべてのタスクについて与える。信用格付のスコアリングを実態財務ではなく公表財務で計算する際には、メインの次を信用格付とし、その次に決算検討とするようにしても良い。
タスクID(T1110)の決算検討・実態検討(法人)は、債務者が法人の場合のみ作業を行うタスクであり、債務者が個人の場合には省略となる。タスクID(T1330)の自己査定・画面スキップ確認は、作業分岐34aがある。画面スキップは、正常先で保全内容の修正をする必要がない債務者について、優良与信確認画面から分類結果確認画面までを画面スキップするものである。この画面スキップをする際には、当該画面スキップ確認タスクの進捗ステータスが作業済となり、画面スキップをしない際には、当該画面スキップ確認タスクの進捗ステータスが省略となる。図11に示す例では、作業者は、債務者の概況までの作業が完了し、次フロー先となる統括者を指定する作業まで完了している。その後、統括者による承認作業が未着手となっている。
再度図7を参照すると、実施例1の進捗制御部30は、起票時処理36(A3, startForm())と、タスク開始処理38(C24, S3x, startTask())と、タスク完了処理40(C20, S4x, endTask())と、一方向制御処理42とを備えている。また、実施形態と同様に、次タスク特定処理34と、戻りタスク特定処理32とを備えている。
起票時処理36(startForm(),A3に対応)は、前記銀行業務のタスク群からなる作業が起票された際に当該作業を識別する作業通番の進捗ステータステーブル8aの全てのタスクの進捗ステータスを未着手とする。例えば、図10又は図11に示す全てのタスクIDの進捗ステータスを未着手とする。
タスク開始処理38(startTask(),C24に対応)は、前記推移コマンドが前記タスクの開始要求(start())である際に、当該開始要求のタスクIDで指定されるタスクの進捗ステータスを作業中に変更する。すなわち、タスク開始処理38は、そのタスクの作業を最初に行う際に未着手である進捗ステータスを作業中に変更する。このタスク開始処理38は、図19に示す例では、符号C24で示す処理であり、図20に示すシーケンス図では符号S3a及びS3bで示す処理である。
タスク完了処理40(done(),C20に対応)は、前記推移コマンドが前記タスクの終了要求(done())である際に、現タスクの進捗ステータスを作業済に変更する。具体的には、作業中である進捗ステータスを作業済に変更する。このタスク完了処理40は、図19に示す例では、符号C20で示す処理であり、図20に示すシーケンス図では符号S4a及びS4bで示す処理である。
次タスク特定処理34(getNextTask(),getPrevTask(),C23に対応)は、実施例1では、タスク完了処理40に続いて、現タスクのタスクIDの指定により次タスクIDが照会された際に、前記進捗ステータステーブル8aを参照して、未着手又は作業中のタスクIDのうち最も開始タスクに近いタスクIDを、次タスクIDとして特定する。すなわち、進捗ステータステーブル8aをタスクIDの小さい開始画面側から走査し、進捗ステータスが作業済の場合には次のタスクIDの進捗ステータスを確認し、未着手が現れた際に、この進捗ステータスが未着手であるタスクIDを次タスクIDとする。この次タスク特定処理34は、図19に符号C23で示す処理であり、図20の符号S2a及びS2bで示す処理である。
後述する実施例2で開示する中断制御62があった後に、作業通番で指定される作業の再開のためには、再開すべきタスクIDを特定しなければならない。次タスク特定処理34は、中断後、再開する場合に、進捗ステータスが作業中であるタスクIDを次タスクIDに特定する。
戻りタスク特定処理32(C27に対応)は、実施例1では、現タスクより二以上前のタスクへジャンプして戻るジャンプ戻り要求である際に、当該ジャンプして戻るタスクIDを特定する。ジャンプ戻り要求は、例えば、図10に示す例では、タスクID:T1200からタスクID:T1120に戻ることではなく、T1120等を飛び越して、T1100又はT1000に戻る要求である。
そして、一方向制御処理42(C28に対応)は、前記戻りタスク特定処理32によるジャンプ戻り先のタスクについて前記タスク開始処理38(C24, S3x)をした後に、当該戻り先のタスクIDから前記一方向の順序での前記戻り元のタスクのタスクIDまでの作業済の進捗ステータスを作業中に変更する。 例えば、図10に示す例では、タスクID:T1310からT1100にジャンプして戻ったとする。このとき、進捗ステータステーブル8aでは、T1310の進捗ステータスが作業中で、T1100からT1230までの進捗ステータスは作業済となっている。一方向制御処理42は、T1100にジャンプして戻った後、このタスクT1100のタスク開始処理38の一部として、T1100からT1230までの進捗ステータスを作業中に変更する。
次タスク特定処理34は、現タスクT1100のタスクIDの指定により次タスクIDが照会された際に、前記進捗ステータステーブル8aを参照して、未着手又は作業中のタスクIDのうち最も開始タスクに近いタスクIDを指定するため、T1100にジャンプして戻った後、T1100の再度の作業が完了した際には、次タスクIDは作業中のタスクIDのうち最も開始タスクに近いタスクIDであるT1120となる。これにより、ジャンプして戻る処理がなされても一方向制御を実現する。
<実施例1: 進捗ステータス統制の個別機能>
[進捗ステータス統制: タイムスタンプ]
再度図7を参照すると、好適な例では、タスク完了処理40が、タイムスタンプ処理44を備えている。タイムスタンプ処理44は、当該完了するタスクの進捗ステータスを作業済に変換した際に、当該変換した時刻を前記タイムスタンプに格納する。そして、進捗ステータステーブル8aが、このタイムスタンプを管理する。タイムスタンプは、例えば、当該進捗ステータスを作業済みに変換した時点の時刻をとする。このタイムスタンプは、進捗ステータステーブル8aへ作業済のタイムスタンプを格納する処理の他、進捗ステータスの格納を行った全てのログを記録するようにしても良い。
タイムスタンプは、図10に示すように、タスクID毎に格納する。省略についても、省略と格納した時刻を格納する。未着手については、起票時処理36が未着手を格納した時刻としても良いし、タイムスタンプなしとしても良い。このタイムスタンプ処理44により、タスク毎に作業者の作業の完了時刻を管理することができ、タスク毎の平均リードタイム(所要時間)などを事後検証することができる。また、進捗ステータスの格納のログを記録する例では、作業者が、タスクを戻して修正等を行ったか否かなどを事後的に検証することができる。すなわち、進捗ステータスの格納のログを記録する例では、同一のタスクに戻って再作業した場合には、再作業のタイムスタンプが当初のタイムスタンプとは別に格納されるため、営業店担当者がどのような順序で作業したのかを事後検証することができる。
[進捗ステータス統制: 作業分岐]
好適な例では、作業分岐34aをタスク完了処理40にて実装する。この例では、前記タスク完了処理40は、作業分岐処理46を備える。この作業分岐処理46は、当該作業の作業データ6aと、予め定められた作業分岐34aの条件とを比較して、当該比較結果に応じて次タスクIDを特定する。作業分岐34aの条件としては、債務者の態様(法人、個人、ノンバンク等の種類)や、債務者区分(正常先、要注意先等の種類)がある。作業分岐条件を満たし、作業分岐34aする際に、この作業分岐34aによってスキップするタスクIDの進捗ステータスを省略に変更する。作業分岐34aしない際には、通常の進捗制御となる。
[進捗ステータス統制: 特定スキップ]
好適な例では、一方向制御による作業者の任意での画面やタスクの終了画面側へのジャンプを禁止しつつ、予め定められた許容される終了画面側へのジャンプ(特定スキップという)を一方向制御に組み込むようにしても良い。この例では、前記タスク完了処理40が、特定スキップ処理48を備える。特定スキップ処理48は、前記タスクの作業データ6aの内容が予め定められた作業分岐条件を満たすとして前記作業者によるスキップの操作がなされた際に、前記一方向の順序によるタスクの予め定められた画面表示をスキップし、当該スキップしたタスクの作業データ6aを自動的に生成し、当該スキップした各タスクの進捗ステータスをそれぞれ作業済に変更する。
また、画面スキップによる作業分岐34aと、債務者の態様による作業分岐34aとを別途管理するには、進捗ステータスに「自動」を追加しても良い。しかし、画面スキップの確認用のタスク及び画面(例えば、画面ID:13-30-01、図58)を用意し、この画面スキップ確認タスク(T1330)の進捗ステータスが省略であるか作業済であるかを確認することで、特定スキップ処理48が使用されたか否かを作業通番毎に導出することができる。すなわち、画面スキップ確認タスク(T1330)の進捗ステータスが作業済であれば特定スキップ処理48が使用され、省略であれば使用されていない。
[進捗ステータス統制: 戻り先開始時]
次に、タスク開始処理38の一部として、一方向制御処理42を実装する例を説明する。このタスク開始処理38は、戻った画面についてのタスク開始処理38中に、それより終了画面側の全てのタスクIDの進捗ステータスを作業中に変更する。すなわち、タスク開始処理38が、作業対象のタスクの進捗ステータスを作業中に変換する前後に、当該作業対象のタスクよりも終了タスク側の全てのタスクのうち作業済のタスクの進捗ステータスを作業中に変更することで、前記一方向制御処理42を行う。
この例では、ジャンプして戻る要求に応じて、作業対象のタスクIDが開始画面側に戻った際に、その戻り対象画面のタスク開始処理38にて、戻った画面のタスクIDより終了画面側の全てのタスクIDを作業中に変更する。すなわち、ジャンプして戻った際には、戻ったタスクIDより終了画面側の全てのタスクIDの「タスク完了処理40」をなかったこととする。これは、ジャンプして戻った際には、戻ったタスクIDから戻る直前のタスクIDまでに作業者が入力し、確認したデータは全て作業中として扱うことを意味する。この例では、ジャンプして戻るのみで、戻ることによりジャンプした全てのタスクIDの作業を作業済の状態から作業中へ変更する。従って、一度ジャンプして戻ると、戻り先のタスクIDから終了画面側の全てのタスクについて再度作業することを強制する。
[進捗ステータス統制: 戻り先完了時]
次に、一方向制御処理42を、タスク開始処理38ではなく、タスク完了処理40にて実装する例を説明する。この例では、戻った画面で入力変更があることを確認したときに、作業済のタスクを作業中に変更すると良い。例えば、前記タスク完了処理40が、作業対象のタスクの進捗ステータスを作業済に変更する前後に、当該作業対象のタスクよりも終了タスク側の全ての作業済の進捗ステータスを作業中に変更することで、前記一方向制御処理42を行う。この例では、入力対象画面が戻り、その戻り対象画面又は戻り対象画面より後の画面で入力があった場合に、入力された画面以後の進捗ステータスを作業中にする。戻った後も、作業した画面まで進むことができる。
[進捗ステータス統制: ジャンプ戻りと省略]
銀行業務のタスクの順序が単純な一次元ではなく並列があり、図4に示す作業分岐34aがある場合、進捗ステータスとして図8に示す省略を使用すると良い。この例では、進捗ステータステーブル8aは、当該銀行業務の態様別に進捗が並列であるタスクIDを前記一方向の順序で一次元の並びとして有すると共に、前記進捗ステータスとして省略を有する。
そして、タスク完了処理40は、前記銀行業務の態様別に異なる次タスクIDが定められている際には、前記完了処理のタスクIDから当該次タスクIDまでの進捗ステータスを省略に変更する。すなわち、作業分岐34aにより使用しないタスクIDについては、未着手から省略に変更する。
そして、一方向制御処理42が、戻り先のタスクの進捗ステータスを作業中に変換する前後に、当該戻り先のタスクよりも終了タスク側の全てのタスクのうち省略の進捗ステータスを未着手に変更する。これにより、作業分岐34aのある例でジャンプ戻りがあっても、一方向制御をすることができる。
<実施例1: 作業プロセス保存>
図12に、作業プロセスデータ6hのエンティティー・リレーションシップを示す。各ボックスの一段目はエンティティーの名称、二段目は主キー、三段目は項目である。例えば、進捗ステータステーブル8aのエンティティーは、各作業を識別する主キーが作業通番とタスクIDとであるため、作業通番毎で、タスクID毎に、三段目に示す項目を有する。この項目は、進捗ステータスコード、作業者(作業者)ID、作業者名、タイムスタンプ等である。
図12に示す例では、作業ステータス等の「判定」は、作業ステータステーブル9aのエンティティーにて定義している。作業ステータスは、債務者を唯一に識別するCIF番号と、作業通番とを主キーとする。CIF番号と作業通番とが定まると、当該作業の基準日を唯一に定めることができる。このエンティティーには、作業ステータスの他、実施例4に対応する例では、基礎データ6bを用いた計算にて作業が不要に該当するか否かを識別する作業不要該当コードと、作業者が選択した作業要否を示す作業要否コードと、作業者が選択した画面スキップの有無を示すスキップ有無とを有する。この作業不要該当コードと、作業要否コードと、スキップ有無は、「判定」の一例である。
また、図12に示す例では、顧客別承認履歴テーブル9bのエンティティーを有している。このエンティティーは、CIF番号と、作業通番と、店番や部門であるワークフローの単位を識別するノードIDとを主キーとする。各部門にて承認に該当する作業済が何時なされたかは進捗ステータステーブル8aにも記録されるが、ここでは、重畳して、店番や部門単位の承認履歴を記録する。この顧客別承認履歴テーブル9bは、差戻し等のワークフローによっても利用される。
また、図10に示す例では、営業店担当者から監査上級まであるが、全ての債務者の作業が再査定上級や監査上級までなされることはなく、信用リスク等に応じて、最終査定部門は異なる。また、信用リスクが類似する一群の債務者について、標本を抽出して監査をする際もある。このように、作業毎に最終査定部門がある例では、作業ステータステーブル9aのエンティティーにて最終査定部門コードを保持すると良い。
図13に、顧客別承認テーブル9bの一例を示す。この例では、再査定上級、監査上級まで作業が成されている。顧客別承認テーブル9bでは、承認日と、タイムスタンプと、承認店名・部門名と、承認者の作業者名とを管理する。顧客別承認履歴テーブル9bのみでは、最終査定されているか否か識別できないが、作業ステータステーブル9aの最終査定部門コードを参照すると、最終決裁されているか否かを特定できる。
図14に、作業ステータステーブル9aの一例を、図15に進捗ステータステーブル8aの一例を示す。図14及び図15にて、作業通番が同一の作業は同一の作業である。
・例1: 作業通番1: 債務者の業況に変化が生じて手動(状況速報)にて作業を起票した。
・例2: 作業通番2: 債務者の決算書類を入手したため自動にて作業を起票し(決算検討)、債権額が一定額未満であるため作業不要該当コードにて不要とされていたが、作業者の判断で作業を要として作業している。
・例3: 決算検討で自動起票し、作業者が画面のスキップを選択した。
・例4: 決算検討で自動起票したが、作業不要となった。
作業通番1では、作業不要該当コードが要、作業者の判断結果を示す作業要否コードも要、画面のスキップは選択されず、作業ステータスは最終査定部門コード監査にて決裁である。決裁済であるため、作業通番1の進捗ステータスコードは、画面のスキップを除いて全て作業済となる。
作業通番2では、作業不要該当コードが不要として起票されたが、作業者が作業を要として作業中である。進捗ステータスを参照すると、管理・回収方針を作業中である。画面のスキップをしていないため、画面スキップタスクに省略が記録されている。
作業通番3では、画面のスキップをしている。作業ステータステーブル9aのスキップ有無は、有となる。進捗ステータスは、統括者まで作業済で支店長の作業待ちであり、画面スキップも作業済となる。
作業通番4では、作業不要とされ、作業要否コードは否と記録される。作業ステータスは取消(確定)で、この場合、すべての進捗ステータスを取消に更新する。
このように、進捗ステータス統制により作業プロセス保存制御では、作業の最終的な結果のデータのみならず、その結果に至る作業プロセスについてのデータを明確に記録することができる。この作業プロセスに関する情報は、各種ステータスやコードなどであり、それは、作業者の判断の過程の記録となる。
そして、作業プロセスの保存は、判断過程を記録するため、判断過程の種類(過程や日時等)を検索キーとした検索が可能となり、データの可用性を向上させ、多様な情報伝達が可能となり、内部統制でいう情報の伝達の有効性を向上させることができる。判断過程が記録されると、作業者の判断の思考過程を追認しやすくなり、内部統制に必要なモニタリングの有効性を向上させ、そして判断の検証性を向上させることができる。また、判断過程の態様に応じた案件の抽出をコンピュータシステム4の利用により行うことができる。これらにより、モニタリングの有効性を向上させることができる。
<実施例2: タスク処理のオブジェクト指向分析>
図16に示すように、実施例2では、タスク処理部10の詳細構成と、トランザクション管理部50の詳細構成とを開示する。
また、図16に示す例では、コンピュータシステム4は、通信制御部3と、ワークフロー制御部94とを備えている。コンピュータシステム4は、サーバーやメインフレームであり、通信制御部3を介して、勘定系システム及び情報系システム等のオンラインシステム72や、債務者の情報を登録する取引先要項システム74(特許文献4)や、不動産担保評価システム等のその他各種システム76と接続されている。端末1は、据え置き型又は携帯用のパーソナルコンピュータとしても良いし、専用の端末1としても良い。ネットワーク2は、物理的なケーブルと、コネクタとを有し、TCP/IPなどのプロトコルによる通信信号を伝送する。
ここで、一方向制御、強制再表示、タスク処理部10に必要な機能など各実施例のコンピュータシステム4の構成の要件を検討するために、図17から図19を参照して、UML(Unified Modeling Language, 統一モデリング言語)等によるオブジェクト指向分析を行う。
システムの実装に関しては、オブジェクト指向言語に限定するものではなく、手続型言語でも良いし、一部を直接に論理回路としても良い。オブジェクト指向によるモデルを手続型言語へのモデルへ変更することは、当業者にとって容易であるから、ここでは、オブジェクト指向分析により、本実施形態の各実施例に必要な情報処理内容の本質を開示する。
その後、この分析を参照しつつ、タスク処理部10の構成及びその利点を説明する。
図17に示すユースケースを参照して本実施例による銀行業務処理システムの開発要求を整理し、銀行業務処理システムに要求されるシナリオを可視化する。主に銀行が有する債権の価値を評価する資産査定作業(自己査定)を中心としつつ、銀行業務処理一般を対象とする分析をする。
ユースケースは、作業者の一般的な要求に応じて結びつけられた一群のシナリオである。この要求は、本実施例では、債権等の資産を管理し、監査する部門から発せられる。すなわち、作業者はユースケースを要求する作業者の一部ではあるが、全てではない。資産査定に必要な牽制効果等により、作業のシナリオは資産(債権)の監査部門が定める。一方向制御は、自己査定の監査のために、プロセスチェックを行うとして、そのプロセスそのものである。すなわち、一方向制御されたコンピュータシステム4を使用した作業は、必ず、同一のプロセスの牽制の元で実行されたことが保証される。
図17のユースケース図に現れるユースケース(楕円で囲んだ文字で示される操作及び処理)を、コンピュータシステム4のデータ及び処理の振る舞いとして分析するために、図18及び図19のロバストネス図を用いる。ロバストネス図は、ユースケースの実現に必要な要素を画面に表示するボタンなどの境界(作業者インタフェース、ビュー)と、ビジネスロジックの実装となるコントローラーと、データベースやコンピュータシステム4のメモリー102(図21参照)に格納されるデータ(モデル)との3種類(いわゆるMVC,Model, View and Controller)に分けてそれぞれの関係を整理するものである。
モデルの概要は、図2に示すデータ名であり、リレーショナルデータベースを活用する例では、図34から図37に示すエンティティー・リレーションシップである。ビューは、作業者インタフェースであり、画面要素の組み合わせと配置(レイアウト)である。画面要素やレイアウトは、図3に示すほか、例えば、図40以下の具体的な画面例である。コントローラーは、ビジネスロジックの実装であるから、「処理(コンピュータシステム4の情報処理)」の組み合わせである。処理は、条件分岐と、繰り返しとを含む。
ロバストネス図では、境界とデータとは直接関係を持つことができず、必ずコントローラーを介して関係を持つ。すなわち、コンピュータシステム4では、端末1の画面と、データベースとが存在しても、コンピュータシステム4による情報処理がなければデータベースに格納されているデータと画面表示とは関係できない。コントローラーによる情報処理を必要とする。ロバストネス図でのコントローラーは、実装の具体的なオペレーティングシステムや開発言語を特定せずに、必須の情報処理の内容を特定するものである。ロバストネス図でのコントローラーは、図16や図31等のブロック図での各処理に対応し、図23に示すクラス図等では、メソッド及びそのプログラムに対応し、図20や図27等のシーケンス図では、各工程に対応する。
コンピュータシステム4の開発に従事する当業者は、ロバストネス図と、タスクの要件と、画面のレイアウト情報とから任意のプログラム言語を用いて本実施例による銀行業務処理システムを開発することができる。すなわち、図18及び図19に示すロバストネス図は、本実施例によるシステムの作り方を開示する図である。ユースケース図とロバストネス図による開示は、本実施例によるシステムの使い方を明らかにする。すなわち、画面やボタンBxxなどの境界(ビュー)に対して、コンピュータシステム4がどのように応答しなければならないかが明確となる。
図17を参照すると、本発明の実施例のユースケースは、営業店担当者(A1)とコンピュータシステム4との関係では、作業全体の操作(A2)と、作業の各内容の判断(A10)と、個別作業の進捗の操作(A20)とを有する。ここでは、各画面での作業又は各タスクでの作業を、個別作業という。作業全体の操作(A2)は、作業対象を選択し、作業を開始する操作(A3)と、作業を終了する操作(A4)とを含む。作業を終了する操作(A4)の後に、当該作業を次のワークフロー先(例えば、当該営業店担当者(A1)の上司である統括者等)へのワークフローを制御(A5)する。また、作業の終了(A4)は、作業の中断制御62(A6)に拡張しても良い。
作業の各内容の判断(A10)は、内容の確認処理(A12)と、内容の入力(A13)と、入力データ6cと基礎データ6bからの導出データ6dの計算(A14)とを含む。内容の確認(A12)を営業店担当者に促すには、先行して作業データ格納部等のデータベースにアクセス(A11)し、各作業の内容を端末1等に表示する。
格付自己査定の個別作業の進捗の操作(A20)には、次の個別作業に進む操作(A22)と、一つ前の個別作業へ戻る操作(A24)と、一つ前の個別作業よりも開始画面側に近い個別作業にジャンプして戻る操作(A25)とがある。次の個別作業に進む操作に先行して、その完了処理する個別作業の内容が所定の条件を満たすか否かを確認する情報処理(A21)を行っても良い。また、個別作業の進捗の操作に応じて、作業データ格納部等のデータベースへアクセス(A23)し、作業データ6aを格納する。
本実施例では特に、個別作業の進捗の操作(A20)に関して、個別作業を一方向として、その方向への画面及びタスクのジャンプを禁止する。従って、「ジャンプして進む」というユースケースは存在せず、個別作業の完了時には、予め定められた次の個別作業へ進む。ジャンプして戻った後も、その戻った個別作業の完了時には、その戻った先の個別作業に対して予め定められた次の個別作業へ進むのみである。一方向制御下では、いかなる場合も終了画面側へのジャンプはできない。但し、条件分岐や省略など予め定義されている場合には、一定の個別作業を飛ばして終了画面側へ画面を進捗させることがあるが、これは、条件分岐や省略として予め定義されている際に可能であり、一方向制御による業務プロセスの例外ではない。
この画面(タスク)の進捗を一方向に制御(A26)するための情報処理は、ユースケース(A22、A24及びA25)に含まれており、これらの進捗の操作との関係で情報処理内容を検討することとなる。この進捗の一方向制御(A26)は、営業店担当者等の作業者が操作できないものであり、作業者にとって強制的なシステム要件となる。このため、営業店担当者(A1)が直接に一方向制御のユースケースにアクセスすることはない。あくまで、個々の進捗操作の内側の情報処理となる。これをシステム要件として検討すると、この一方向制御は、一般的な画面推移のための情報処理を拡張するものとなる。
図18は、本実施例による作業での個別判断に必要なシステム要素の関係を示すロバストネス図である。図18に示す例では、営業店担当者(作業者)によって使用される端末1に表示する境界(作業者インタフェース)として、個別作業の判断と関係する境界を例示する。この境界は、図17に示すユースケースから導かれる。
・内容を確認するユースケース(A12)に対して、内容を端末1に表示するための個別作業画面(C1)と、画面要素(C3)。
・内容を入力するユースケース(A13)に対して、要素属性が入力編集可である画面要素(C3)。
・計算するユースケース(A14)に対して、計算をコンピュータシステム4に指示する操作を受け付けるための計算ボタンB7。
・本実施例では特に、ワークフローに関して作業を開始し、終了するユースケース(A3,A4)と、個別作業に関して次の個別作業に進むユースケース(A22)とに対して、次へボタンB1。
・作業の終了の拡張である作業の中断のユースケース(A6)に対して、中断ボタンB4。
このように、図18に示す例では、境界として、作業データ6aを表示する枠となる個別作業画面(C1)と、この画面の入力フィールド(C3)と、計算要求をコンピュータシステム4に送信する操作を受け付ける計算ボタンB7と、個別作業画面またはタスクの完了要求をコンピュータシステム4に送信する操作を受け付ける次へボタンB1と、作業の中断要求をコンピュータシステム4に送信する操作を受け付ける中断ボタンB4とを有する。ここでは、説明の簡略化のために境界をボタンBxxとしているが、メニューの項目としても良いし、コンボボックスの選択肢としても良いし、次へ・戻る等の指定を受信するラジオボタンと、唯一の実行ボタンとの組み合わせとしても良い。
本実施例では、上記のユースケースと境界との関連付けでは、作業の開始や、終了や、作業開始から終了までの画面やタスクの推移について、次へボタン(B1)の操作としている。この次へボタンの多様性により、作業者にとって理解しやすい操作を実現する。従って、「次へボタン」の画面表示用の名称は、「開始」「次へ」「終了」「○○社へ」「登録」などその画面に応じて作業者が理解しやすい名称とするとよい。
また、図17では、各内容の判断についての情報処理(ビジネスロジック部分)を抽出する分析であるため、ユースケース(A24)及び(A25)に対応する境界は定義しない。
また、モデル(データ構造)としては、図18に示す例では、リレーショナル又は階層型などのデータベースを採用し、各種データを作業データ格納部6に格納する。作業データ格納部6に格納するデータとしては、基礎データ6b、入力データ6c及び導出データ6dがある。また、作業者によって作業が開始された作業データ6aは、一時変数tdとしてコンピュータシステム4のメモリー102(図21参照)に格納すると良い。データ構造として、その他、各画面の画面定義情報7aを格納する画面定義ファイル7(図16等に示す例では、画面定義情報格納部7)を有する。
コントローラーは、このモデルと境界との関係を制御する情報処理となる。
個別作業画面(C1)に対して、表示制御(C2)が必要となる。この表示制御(C2)には、図18中、右上の次の個別作業に進む(A22)という処理が先行している。次の個別作業に進むには、さらに、作業が選択され作業を開始する(A3)という処理が先行する。従って、作業開始(A3)、次の個別作業へ進む(A22)という処理を経て、表示制御(C2)が実行される。なお、格付自己査定開始直後の最初の画面では、ユースケース(A3)と(A22)とを一体としても良い。
作業の個別作業画面を端末1に表示するには、先行して、作業の作業対象を選択して作業が開始(A3)され、次の個別作業に進む操作がなされる。そして、作業データ格納部から基礎データ6b及び導出データ6dを読み出して、コンピュータシステム4のメモリー中に一時変数tdとして格納する。この一時変数tdを一定のレイアウトで個別作業画面に表示するための処理が必要となる。この処理を表示制御(C2)とする。
表示制御(C2)は、図16に示す例では、表示制御処理16である。表示制御処理16(C2)は、作業画面を特定する画面IDやタスクIDと、債務者を識別するID等を引数として、作業データ格納部に格納されたデータのうち、当該債務者で、当該画面に関連した作業データ6aを読み出して一時変数tdに格納する。そして、画面IDに対応するレイアウト情報や要素属性情報を画面定義情報7aから読み出して、この画面定義情報7aの指定に応じて作業データ6aを個別作業画面(C1)に表示する。
この表示制御(C2)は、例えば、個別作業画面がWebブラウザーであれば画面定義情報7aに応じたHTMLファイルに作業データ6aを合成し、端末1に当該HTMLファイルを送信する処理である。特別なアプリケーションプログラムなどを端末1にインストールし、実行させるのであれば、画面定義情報7aと作業データ6aとをフィールド名やXMLのタグで関連させ、表示用のデータは端末1側で生成してもよい。コンピュータシステム4をメインフレームとする場合には、画面表示用のデータをコンピュータシステム4側で完全に生成してその画面表示用のデータを端末1に送信する。また、個別作業画面が携帯用端末1である際には、携帯端末1で表示できるプロトコルのデータに変換して送信する。この表示制御(C2)の内容は、コンピュータシステム4のオペレーティングシステムと端末1の種類によって定めれば良い。
個別作業画面(C1)は、その画面に画面要素(C3)を有する。画面要素(C3)に入力されるデータは、営業店担当者によるコメントである文字データや、財務項目の実態修正値である数字データや、チェックボックスやラジオボタンの選択結果などである。この画面要素(C3)に入力されたデータは一時的に端末1のメモリー(C4,図18)に格納される。画面要素は、GUI(graphical User Interface)を使用しても良いし、特別な端末1のキーボード上の特殊な物理的ボタンとしても良い。
端末1にて入力内容の保持をするメモリー(C4)に保持される入力データ6cは、計算ボタンB7又は次へボタンB1の操作に応じて、コンピュータシステム4に送信される。
計算ボタンB7は、営業店担当者が、入力データ6cから導出データ6dを計算する指示を端末1及びコンピュータシステム4に対して命じる際に操作される画面要素である。この計算ボタンB7の操作に応じて、端末1のメモリー102(C4)に保持された入力データ6cと、他の基礎データ6b等とを使用して、導出データ6dを算出する計算処理18(C6)が必要である。そして、計算処理18(C6)した結果は、一時変数tdを介して表示制御処理16(C2)により個別の作業画面(C1)に表示する。
一方、入力編集可の画面要素に入力データ6cが入力されたが、計算ボタンB7が操作されないまま、次へボタンB1が操作されることが想定できる。このため、計算処理18(C6)は、次へボタンB1が操作されたときも実行すべき処理である。従って、計算処理18(C6)は、計算ボタンB7の操作による場合と、次へボタンB1の操作による場合とがある。
また、作業では、ある画面又はタスクについて、作業が完了したとの作業者の判断が入力された際には、図18に示す例では、次へボタンB1が操作された際には、その画面又はタスクにて入力された入力データ6cがその画面内で予め定められた条件を満たしているか否か確認する処理があると良い。例えば、貸借対照表は、資産と、負債及び資本との合計が一致するものであるところ、流動資産の資産性を検討し、実態値を入力した際には、実態値の入力による資産の減額と同額分資本を減額させるなどの処理が必要となる。この資産と資本で減額した額が相違するのは整合性がないため、資産と資本の減額が同額であるか否か確認し、同額でない場合には、営業店担当者に注意を促し、次の画面又はタスクに進むことを許可しない条件確認処理20(C12,図31参照)が考えられる。また、ある画面にて特定の操作をした際に、付随的に必須とする操作がある際に、その必須の操作を行っているか否かを確認する条件確認処理20(C12)も想定できる。この条件確認処理20(C12)は、端末1のメモリー(C4)と、一時変数tdとに格納された作業データ6aを用いて行う。
次へボタンB1が操作された際には、条件確認処理20(C12)と共に、格納処理22(C13)が必要となる。すなわち、次へボタンB1が操作された画面又はタスクの作業用のデータ(一時変数td)を作業データ格納部に格納する。計算ボタンB7ではなく、次へボタンB1の操作によって必要となる計算処理18(C6)については、格納処理22(C13)の一部としても良い。すなわち、条件確認処理20(C12)にて例外が発生する際には、営業店担当者(A1)に満たさない条件を知らせるためのアラート用のパネルを表示するなどの処理が必要となる。このとき、計算ボタンB7を操作してその結果を端末1の個別作業画面(C1)にて確認すべき際には、アラート用のパネルにて計算ボタンB7の操作を営業店担当者に促すことができる。一方、このような端末1での確認を必要としない計算処理18(C6)については、格納処理22(C13)の一部とすることができる。
中断ボタンB4は、作業の終了の拡張として、作業の全体を完了させることなく当該作業を終了させるための中断要求をコンピュータシステム4に送信するものである。中断ボタンB4が操作される際には、現画面による作業も中途であると想定することができる。中断ボタンB4からの中断要求の際には、条件確認を行わず、作業データ6aの格納を行い、その後、作業を終了させる。これにより、再開した際には、すでに入力した入力データ6cが画面に表示され、再入力する必要がない。このような処理を実装するには、一時変数tdを強く型付けし、作業データ格納部の型と関連させておくと良い。
図18に示すように、図17のユースケースから、次へボタンB1に多様性を持たせる構成では、表示制御(C2)、計算(C6)、条件確認(C12)及び格納(C13)というコントローラーをコンピュータシステム4に実装することで、個別作業の各内容の判断を作業者に促す情報処理を実現することができる。
これは、図16に示すタスク処理部の表示制御処理16、計算処理18、条件確認処理20及び格納処理22に対応する。
図18に示す例では、各処理(C2、C6、C12及びC13)は、一時変数tdを共有し、一時変数tdを対象とした情報処理としている。この点、まず、一時変数tdと作業データ格納部との間の情報処理を、DBアクセス(C8、C9,図21のデータベースアクセス118)として、各処理(C2、C6、C12及びC13)から隠蔽することで、この各処理と作業データ格納部の詳細構成とを独立させることができる。次に、コンピュータシステム4と端末1との通信についても、端末1にて表示し、又は入力される作業データ6aと、一時変数tdとのデータ授受がなされれば、各処理(C2、C6、C12及びC13)はこの端末1とのデータの送受信の処理から独立できることとなる。すなわち、図18に示す処理(C2、C6、C12及びC13)は、一時変数tdを対象とする情報処理として、そのビジネスロジックのみを実装すればよい。
このビジネスロジックのプログラマーは、端末1と一時変数tdとの間のデータの送受信や、一時変数tdとデータベース(作業データ格納部)との間のデータの読み出し及び書き込みの具体的な処理内容を知る必要がない。
この一時変数tdを、タスクを単位とした作業データ6aとすると、情報処理が極めて簡易となる。このタスク毎の作業データ6aである一時変数tdを、タスクデータtdという。
図16に示す例では、タスク処理部10は、タスクデータ管理処理14を備えており、このタスクデータ管理処理14は、一時変数tdをこのタスクデータtdとして取り扱う。
<実施例2: タスク処理の共通性と独立性>
図18を参照して分析したように、実施例2のタスク処理部10は、図16に示すように、タスクデータ管理処理14と、表示制御処理16と、計算処理18と、条件確認処理20と、格納処理22とを備えている。タスク処理部10は、表示制御と、計算と、条件確認と、格納とを必ず備えることで、複数のタスクを含む銀行業務処理システムにて、個別のタスクの個々の情報処理について、共通性と独立性の良いバランスを得ることができる。
タスクデータ管理処理14は、前記タスクIDで識別される各タスクで使用する前記作業データ6aをタスク毎の一体のタスクデータtdとして管理する。すなわち、個別タスク毎に特別のデータ構造を採用するのではなく、タスクが取り扱う対象はすべてタスクデータtdのデータ構造を基本とする。
表示制御処理16(C2,query())は、作業対象のタスクIDのタスクデータtdとなる作業データ6aを前記作業データ格納部から読み出して当該タスクIDに対応する前記画面定義情報7aに従って当該画面要素及び当該作業データ6aを前記端末1の画面に表示する。
計算処理18(C6,calculate())は、前記入力編集可の画面要素に入力される入力データ6cを含む前記タスクデータtdを使用して前記導出データ6dを算出する。
条件確認処理20(C12,confirm())は、当該タスクIDのタスクデータtdの予め定められた整合性を確認する。
格納処理22(C13,set())は、当該整合性の確認された当該タスクデータtdを前記作業データ格納部6に格納する。
この表示制御処理16と、計算処理18と、条件確認処理20と、格納処理22とを備えることで、進捗制御やワークフロー制御を除くと、複数のタスクからなる銀行業務に必要な多様な情報処理に対応することができる。すなわち、一方向制御がなされ、タスクデータを単位とするタスクで必要なメソッドはこの4つのみである。
この表示制御処理16と、計算処理18と、条件確認処理20と、格納処理22のセットは、オブジェクト指向での抽象メソッドとなり得る。すなわち、銀行業務処理を構成する個別のタスクの個々のタスクは、取り扱うデータや計算内容は異なるが、タスクデータと、抽象メソッドの組み合わせにより共通性を取り出し、抽象化することができる。すると、全ての銀行業務の処理をタスクという単位でとらえ、必要な情報処理を表示制御処理16と、計算処理18と、条件確認処理20と、格納処理22の4つの何れかに対応させることができる。
これにより、例えば、銀行業務処理の個別のタスクは、抽象クラスのタスクを継承すれば良く、この4つの抽象メソッドをJAVA(登録商標)のインタフェースとして必ず装備する仕組みとすると、タスクを利用する側のプログラムを何ら変更することなく、個別のタスクの追加・修正をすることができる。
このように、タスク処理部10が、予め定められた処理セット(表示制御、計算、条件確認及び格納)を有することで、オブジェクト指向での抽象メソッドによる共通性と個々のタスク処理の独立性を得ることができる。抽象メソッドによる共通性を高めることで、進捗制御等(のプログラマー)や、端末1は、個別のタスクの実装を知ることなく、共通した処理セットを利用して全ての個別のタスクを呼び出し、使用することができる。
個別のタスクについてこの処理セットを実装すると、一方向制御との協調により、個別のタスク処理の独立性を高め、情報処理内容を局所化し、タスク間の依存関係を緩めることでタスク毎の開発や変更を容易とすることができる。
図16に示す例では、タスク処理部10が、照会表示処理28(C2)を備えている。各タスクの処理中に参考となる情報群がある一方、その情報を全ての事例で参照すべきではない場合、一方向に並べるタスク群とは別に、情報の照会機能を設けると良い。
タスク処理部10の照会表示処理28(C2)は、タスクに対応する画面の表示中に参考情報の照会要求を受信した際に、当該作業対象のタスクの画面とは別に当該参考情報を入力編集不可の状態で表示する。参考情報は、銀行業務処理システムにて一方向制御されないデータ群でも良いし、一方向制御される開始画面側のデータ群でも良い。
図19は、本実施例による作業での進捗作業に必要なシステム要素の関係を示すロバストネス図である。図19に示す例では、境界(作業者インタフェース)として、個別作業の進捗の操作と関係する境界を例示する。この境界は、図18に示す例と同様に、図17に示すユースケースから導かれる。
・次の個別作業に進むユースケース(A22)に対して、次へボタンB1。
・一つ前の個別作業に戻るユースケース(A24)に対して、戻るボタンB3。
・ジャンプして戻るユースケース(A25)に対して、ジャンプして戻るボタンB2。
このように、図18に示す例では、GUIとして、現在の画面又はタスクの完了と次画面の表示の要求をコンピュータシステム4に送信する次へボタンB1と、現在の画面又はタスクの一つ前の画面又はタスクを呼び出す要求をコンピュータシステム4に送信する戻るボタンB3と、一つ前の画面又はタスクより開始画面側の画面又はタスクへ戻る要求をコンピュータシステム4に送信するジャンプして戻るボタンB2を備えている。図18に示す次へボタンB1と、図19に示す次へボタンB1とは同一の境界である。
図19に示す例で境界(各ボタン)B1、B2及びB3と、この進捗ステータス格納部8との間の情報処理は、進捗の状態を進捗ステータスとして管理し、さらに、進捗を一方向に制御するユースケース(A26)を実装する。図19に示す例では、進捗ステータスは、作業の完了を示す進捗ステータスと、作業の開始を示す進捗ステータスとである。
図19に示すロバストネス図では、図中上側の格付自己査定の各内容を判断するとのユースケースが、図中下側にも現れる。上側のユースケースをA10aとし、下側をA10bとする。上側A10aは、作業完了する画面又はタスクであり、下側A10bは、進捗制御の直後に表示される次の画面又はタスクである。格付自己査定の各内容の判断(A10a)が完了すると、次へボタンB1が操作され、条件確認(C12)、計算(C6)を含む格納(C13)が処理される。格納(C13)が正常に完了すると、続いて、図19に示す個別作業の完了(C20)を処理する。個別作業の完了(C20)に応じて、進捗ステータスを作業済に更新しなければならない。この進捗ステータスの更新を進捗ステータス管理(C22)が処理する。
また、この個別作業の完了(C20)では、図4に示す作業または画面の分岐(C21)を処理する。図4(A)に示す例では、画面ID:3の完了処理に作業分岐34aが定義され、この分岐処理(C21)が一時変数tdの要素を参照して次画面IDを4又は5とする。
個別作業の完了(C20)に続いて、次画面IDまたは次タスクIDの特定処理を行う。次の個別作業の特定(C23)は、例えば図4に示す各種のデータ構造の実装に応じて、次画面ID又は次タスクIDを特定する。このデータ構造は、進捗ステータスのテーブルとして実装しても良いし、個別作業の完了のプログラム内に実装しても良い。一方向制御処理42(C28)を実装するには、次タスク特定処理34(C23)を強制的な処理とする。
戻るボタンB3と、ジャンプして戻るボタンB2の操作に応じた戻り先の個別作業の特定については、図19に示す例では、端末1側で処理する。次に対象となる画面又はタスクが特定されると、この画面又はタスクの開始(C24)を処理する。進捗ステータス管理(C22)は、開始した画面又はタスクの進捗ステータスを開始に更新する。この開始(C24)は、開始対象の画面ID又はタスクIDを画面定義制御(C29)及び表示制御(C2)に渡す。画面定義制御(C29)及び表示制御(C2)は、この画面IDを用いて個別作業画面(C1)に作業データ6aを表示する。
ジャンプして戻るボタンB2は、現画面又は現タスクより開始画面側の画面ID又はタスクIDを唯一に指定する選択肢の集まりである。進捗フロー管理(C27)は、進捗ステータスを参照して、進捗ステータスが完了の画面ID又はタスクIDを読み出して、これをリスト又はツリーとして、端末1の画面に表示する。このリスト又はツリーは、進捗フローを示し、同時に、ジャンプして戻るボタンB2となる。
図19に示すように、進捗制御に関するコントロールでは、タスクの完了処理(done()、C20)、次タスク特定処理(getNextTask()、C23)、タスクの開始処理(start()、C24)、及び、タスクの表示制御処理(query()、C2)の繰り返しと、ジャンプして戻る処理とがあれば良い。
これに対応して、図7、図16及び図31に示す進捗制御部30は、タスク完了処理40(done()、C20)、次タスク特定処理34(getNextTask()、C23)、タスク開始処理38(start()、C24)とを備え、図16に示すタスク処理部10は、表示制御処理16(query()、C2)を備えている。
図20は、進捗制御部30による進捗管理処理の一例を示すシーケンス図である。図20に示す例では、端末1からコンピュータシステム4へ送信される進捗管理に関する要求は、タスク開始要求と、タスク完了要求との繰り返しである。次へボタンB1の操作に応じて、現タスクであるタスク完了処理40(C20)と、次タスク特定処理34(C23)と、次タスクのタスク開始処理38(C24)とが要求される。
図20に示すように、端末1にて銀行業務処理システム用の画面を呼び出すと、ログイン処理などを経て、銀行業務処理システム用のメイン画面の表示要求をコンピュータシステム4に送信する。進捗制御部30の起票時処理36は、各作業の進捗ステータステーブルを生成し、タスクIDの列と、全ての進捗ステータスについて未着手を格納する。
コンピュータシステム4は、各作業の図20のステップS1では、作業の一覧をメイン画面(例えば、図40)として表示する。メイン画面の操作に応じて作業が選択されると、最初の画面を表示する。この画面の次へボタンB1が操作されると、端末1は、まず、タスク完了処理要求(done())をコンピュータシステム4に送信する。コンピュータシステム4では、タスク完了処理40が、この画面のタスクの進捗ステータスを作業中から作業済に変更する。
図20に示す例では、タスク完了処理40の次に、次タスク特定処理34を行う。具体的には、端末1が、次タスク特定要求(getNextTask())をコンピュータシステム4に送信する。また、タスク完了処理要求の後にコンピュータシステム4が自動的に次タスク特定要求を発しても良い。コンピュータシステム4では、次タスク特定処理34は、進捗ステータステーブル8aを参照して、進捗ステータスが未着手又は作業中であるタスクIDのうち最も開始タスク(T1000)側に近いタスクIDを特定する(S2a)。
この次タスク特定処理34は、作業通番から当該作業の進捗ステータステーブル8aを特定し、この進捗ステータステーブル8aの進捗ステータスをタスクIDの小さい順に走査し、最初に未着手又は作業中を発見した際に、そのタスクIDを次タスクIDとする。中断制御62が行われた場合には未着手ではなく作業中を発見する。
図20に示す例では、次タスク特定処理34は、この次タスクIDを端末1に返し、タスク開始要求の受信を待機する。別の例では、特定した次タスクIDを使用して、端末1からの再度の要求の受信処理を行わずに、タスク開始処理38を処理するようにしてもよい。
端末1は、次タスクIDが特定されると、タスクIDを引数として、タスク開始要求を送信する。コンピュータシステム4のタスク開始処理38は、このタスクIDの進捗ステータスを未着手から作業中に変更する(ステップS3a)。続いて、当該タスクの画面の表示制御等を処理し、端末1の画面に作業データ6aを表示し、営業店担当者による作業を促す。営業店担当者は、チェックボックスなどの画面要素を操作し、入力編集可のフィールドに数値やコメントなどを入力することで、タスクの作業を行う。
タスクの作業が完了すると、営業店担当者は、次へボタンB1を操作することで、当該タスクの作業完了要求をコンピュータシステム4に送信する。コンピュータシステム4では、作業データ6aを確認し、必要な計算処理18をし、作業データ格納部に格納する。続いて、タスク完了処理40は、このタスクの進捗ステータスを作業中から作業済に変更する。
続いて、このタスクについての営業店担当者の作業が完了すると、次タスクIDの特定処理(S2b)にて、進捗ステータステーブル8aを参照して、次タスクを特定する(S2b)。さらに、この特定されるタスクIDのタスク開始処理38を実行することで、進捗ステータスを作業中に変更する(S3b)。このタスクに対する営業店担当者の作業が完了すると、タスク完了処理40を行うことで、進捗ステータスを作業済に変更する(S4b)。このように、進捗制御部30は、次へボタンB1の操作に応じて、タスク完了処理40(S4x)、次タスク特定処理34(S2x)、タスク開始処理38(S3x)とを一方向の順序で定義されたタスクIDの順序にて繰り返すことで、タスクの進捗を制御する。
<実施例2: タスクデータとクラス体系>
[ハードウエア資源]
図18及び図19に示すロバストネス図では、個別作業の各内容を判断するために必要な境界及びコントローラーと、個別作業の進捗を操作するために必要な境界及びコントローラーとを導出した。そして、各処理につき、図16等にブロック図の要素として符号と名称とを付与し、図10及び図11に示す進捗ステータステーブル8aとの関係や、具体的なタスク処理部10の内容等を説明した。
次に、実施形態及び各実施例の銀行業務処理システムをどのようなクラス体系で実装することができるかについて、図21から図30を参照して開示する。図21及び図22に示すクラス構成は、主にJAVA(登録商標)での用語と技術的前提で説明する。このようなクラス体系をフレームワークという。プロセス管理についての説明では、このようなフレームワークに依存せずにプロセス管理に必要な処理を独立させる手法を説明する。
図21は、銀行業務処理システムのハードウエアとソフトウエアとの関係を示すブロック図である。端末1、ネットワーク2、他システム70の構成、通信制御部3につては、図16等に示す構成と同様である。
コンピュータシステム4(サーバー4A)は、ランタイムシステム100と、メモリー102と、CPU103と、クラス群104とを備えている。このサーバー4Aは、銀行業務データベース121と、プログラムファイル格納部122とを備えると良い。
CPU103は、所定の命令セットを有しメモリー102に格納される命令とデータとに従って命令を実行する。メモリー102は、このCPU103の主記憶となる。
銀行業務データベース121は、作業データ6a等を図34から図39に示す構成で格納するリレーショナルデータベースである。また、プログラムファイル格納部122は、プログラムの中間コードであるクラスファイルや、画面定義情報7aを格納するハードディスク等である。銀行業務データベース121は、図16等に示す作業データ格納部6、進捗ステータス格納部8及び作業ステータス格納部9として機能する。
ランタイムシステム100は、CPU103とメモリー102とを使用して仮想マシンとしてクラスファイルを実行する。ランタイムシステム100は、プログラムファイル格納部122に格納されたクラスファイルをロードし、端末1からの要求に応じて、要求名に対応するメソッドを特定し、そのメソッドを実行することで、銀行業務データベース121からデータを読み出し、または、書き込み、計算し、端末1に作業データ6aを送信する。クラスファイルは、本実施形態による銀行業務用プログラム124を有する。
また、サーバー4Aは、開発環境で開発されたクラスファイルや画面定義情報7a等を記録媒体から読み出すためのドライブ又は端子を備えると良い。
[クラス体系]
クラス群104は、銀行業務用プログラム124のクラスファイルに定義されたクラスのうち、本実施形態及び各実施例の情報処理に関連するクラスである。図21のクラス群104に示す各要素がクラスであることを明示する際には、「・クラス」を付し、符号にCを付加する。また、図24に示すように、インスタンスである際には、「・インスタンス」を付し、符号にIを付加する。
タスク・インヴォーカー106は、前記端末1との通信を制御して、端末1からの要求に応答する。
タスクマネージャー108は、個別タスク・インスタンス112Iのメモリー102での位置等、タスクについてのデータを管理する。
タスク110は、個別タスク112の抽象クラスであり、図18及び図19を参照した分析により導かれた個別タスクが有すべきメソッドの基本が定義されている。
個別タスク群112xは、タスク110を承継し、当該各個別作業での前記作業データ6aに対する個々の情報処理でタスク110のメソッドを上書きする。
プログレスマネージャー114は、上位クラスのメソッドを承継しつつ、進捗ステータステーブル及び作業ステータステーブル9aを管理する進捗メソッド及び作業メソッドを有する。すなわち、プログレスマネージャー114は、完了処理メソッド(done())及び表示制御メソッド(query())とに応じて、個別タスク群112xの各タスクIDに依存せずに進捗ステータステーブル8aを管理する。プログレスマネージャー114は、タスク開始処理38及びタスク完了処理40の部品で、起票時処理36の実装であり、実際に進捗ステータスを更新する処理を行う。
タスクデータ115は、タスクデータアレイtdaを集約してタスクデータtdとして機能させる。
進捗ステータステーブル116は、進捗ステータスを管理する。
データベースアクセス118は、銀行業務データベース121とのI/Oについての抽象クラスである。
タスクデータライター120は、銀行業務データベース121から読み出した作業データ6aからタスクデータtdを構築し、またタスクデータtdを格納する。
図22に示す例では、個別タスク毎に、個別タスク・クラス112Cxを有する。この個別タスク・クラス112Ca,112Cb,…は、タスク・クラス110Cのサブクラスである。個別タスク・クラス112Ca,112Cb,…は、銀行業務を構成する個々のタスクである。
また、タスク・インヴォーカー・クラス106Cは、サーブレット130のサブクラスであり、端末1とサーバー4Aとの通信を制御する。
図22中、白抜三角の実線で示す関係は、継承関係である。例えば、各DBアクセス・クラス136Ca,136Cb,…,138Ca,138Cb,…は、DBアクセス・クラス118Cを承継したサブクラスである。
菱形と実線で示す関係は、集約である。例えば、タスクデータ・クラス115Cは、タスクデータアレイを集約し、タスクデータアレイは、明細や、作業を集約する。白抜き三角で点線は、インタフェースの実装を示す。タスククラス110C又はタスクは、タスク・インタフェース134で定義されるメソッドの全てを実装する。
各クラスは、図23に示すメソッドを有する。図23に示す例では、パブリックなメソッドのうち、図18及び図19に示す各コントローラーや、図31に示す各処理と対応するメソッドを示しており、各クラスが有するすべてのメソッドを示すものではない。
タスク110は、タスク処理部10の表示制御処理16(C2,query())、計算処理18(C6,calculate())、条件確認処理20(C12,confirm())及び格納処理22(C13,set())に対応したメソッド(query(),calculate(),confirm(),set())を有する。さらに、タスク110は、進捗制御部30のタスク完了処理40(done()、C20)、タスク開始処理38(start()、C24)に対応したメソッド(done(),start())を有する。タスク・クラス110Cを承継する個別タスク群112Cはもこのタスク処理部に必要なメソッドを実装する。進捗ステータステーブル116Cは、次タスク特定処理34に対応するメソッド(getNextTask())を有する。
各メソッドについては、クラス体系と銀行業務用プログラム124との関係で後述する。
[ダイナミックリンケージ]
図24は、タスクとタスク・インヴォーカーとの協調の仕組みを示すUMLによるコラボレーション図である。図24中、1,1.1,1.2等とあるのは、処理の順序を示す。また、図24に示す構成はクラスというひな形ではなく、実際にメモリー102にロードされたインスタンス(オブジェクト)である。
図24に示すように、本実施例では、各コマンド(start(), done(), confirm(), calculate(), set())の実行に際して、実行を要求するタスクを実行時に指定するダイナミックリンケージを採用すると良い。また、図25に示すように、タスクのインスタンスのメモリー102上の位置をタスクマネージャー108が管理するフライウェイトを採用すると良い。
この例では、タスクマネージャー108は、前記サーバー4Aの起動時に、前記タスクのインスタンス112Ixを唯一に生成し、当該インスタンス112Ixへの参照であるメモリー102上の位置を管理する。このタスクマネージャー108は、タスク・インヴォーカー106から呼び出された際に、タスクIDから前記タスクのインスタンス112Ixへの参照を返すことで、当該タスクのインスタンス112Ixを特定する(タスク特定メソッド(getTask()))。そして、タスク・インヴォーカー106は、前記端末1からの要求に応じて前記タスクのインスタンス112Iのメソッドを呼び出す際に、前記タスク特定メソッド(getTask())を呼び出して当該タスクのインスタンス112Iを特定する。
このタスクマネージャー108の振る舞いは、2つのデザインパターンの組み合わせとなっている。すなわち、ダイナミックリンケージと、フライウェイトの性格を有する。タスク・インヴォーカー106は、端末1からタスクIDを引数として、タスクの開始要求や、完了要求や、格納要求や、計算要求を受信する。しかし、タスク・インヴォーカー106は、そのタスクIDのタスクTxxxのメソッドがメモリー102上のどこに存在するかの情報を有していない。
すなわち、クラスファイル等へのコンパイル時には、端末1からの要求をどのタスクTxxxから呼び出すのかは、タスク・インヴォーカー106には決定されていない。例えば、タスクTxxxのクラスが存在しないとしても、コンパイルのエラーとはならない。
タスク・インヴォーカー106が、端末1からタスクIDを引数とする要求を受信したときに、どのタスクTxxxのインスタンスのメソッドを呼び出すかを決定する。すなわち、コンパイル時ではなくて、実行時に決定する。
タスクマネージャー108は、タスクTxxxのインスタンスを管理する。各タスクTxxxでの表示制御処理16や、条件確認処理20や、計算処理18の内容は異なる。しかし、タスク毎に各処理のメソッド名を変更すると、タスク・インヴォーカー106の構成が煩雑となる。このため、本実施例では、端末1とサーバー4Aとの通信では、start(), done(), query(), confirm(), calculate, set()という6つのメソッド名のみを使用する。各個別タスク・クラス112Cxは、この6つのメソッドを個々に実装する。
図27及び図29に示すように、端末1からは、この6つのメソッド名のみが使用される。一方、サーバー4Aでは、図22に示すように、クラス分けをしている。タスクTxxxは、それぞれ、query(), confirm(), calculate(), set()の4つのメソッドの実行にて、必要な他のクラスのメソッドを呼び出す。
タスクTxxxのインスタンスは、サーバー4Aの稼働中、1つで良い。作業は各営業店の各担当者が平行して行うが、それぞれのタスクTxxxのインスタンスは1つで、多数の端末1からのアクセスに応答できる。なお、DBアクセスに関するクラスは、アクセスに応じて、メモリー102の確保と、解放とが必要となる。タスクTxxxに関しては、サーバー4Aの稼働中、それぞれ1つで良いため、タスクマネージャー108は、サーバー4Aを起動時に、タスクIDとタスクTxxxのクラスファイル(クラスプログラム)が記録されたタスク定義ファイルを参照して、タスク・クラス110Cのインスタンスをメモリー102に生成し、そのアドレスへの参照(例えば、ポインタ)を保持する。このように、インスタンス(オブジェクト)を唯一に管理する点で、タスクマネージャー108はフライウェイト・パターンの実装例である。図25に示すように、タスクマネージャー108は、タスクIDと、そのインスタンスへの参照とを管理するのである。
そして、タスクマネージャー108は、タスク特定メソッド(getTask())を有する。タスク特定メソッドは、タスクIDを引数として呼び出されると、そのタスクTxxxのインスタンスへの参照(例えば、ポインタ)を返す。すなわち、タスク・インヴォーカー106は、端末1からの要求を受信する毎に、そのタスクIDを引数としてタスクマネージャー108のタスク特定メソッドを呼び出すと、そのタスクIDのタスクTxxxのインスタンスへの参照を得ることができる。このように、実際のインスタンスへの参照を実行時に定める点で、タスクマネージャー108はダイナミックリンケージ・パターンの実装例である。
図24を参照すると、端末1から、タスクIDを引数とするコマンドを受信する。コマンドは、上記6つのメソッド名のいずれかである。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、まず、タスクデータライター・インスタンス120Iのタスクデータ構築メソッド(buildTaskData())を呼び出して、端末1から送信されたデータをハッシュマップ型のデータ構造であるタスクデータtdに変換する(図24,1.1)。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、続いて、タスクマネージャー・インスタンス108Iのタスク特定メソッドを呼び出し、taskへの参照を得る(図24,1.2)。
そして、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、そのtaskで示されるタスクに対して、端末1から送信されたデータを含むタスクデータtdを引数として、confirm(),set(),calculate(),query(),start(),done()のメソッドを呼び出す。
タスク特定メソッドで特定されたタスクのインスタンス112Iは、このコマンドを実行し、その結果をタスクデータtdに格納する。そして、タスクデータライター120のインスタンス120Iは、タスクデータtdを端末1で解析できるデータ形式(例えば、HTMLや、XMLや、バイナリー形式)に変換する。タスク・インヴォーカー106のインスタンス106Iは、このデータを端末1に返す。
このように、タスクマネージャー108が、タスクTxxxのインスタンスを管理するため、タスク・インヴォーカー106は、コンパイル時に呼び出すべきタスクTxxxを特定する必要がない。仮に、極めて例外的なタスクTxxxを使用する際には、サーバー4Aのプログラムファイル格納部122ではなく、外部の記録媒体にその例外的なタスクのクラスファイルを格納しておいても動作する。すなわち、タスクIDと、タスクのインスタンスとの関係は、実行時に定まる。このダイナミックリンケージを採用したことで、タスク・インヴォーカー106は、タスク毎に条件分岐するなどの処理が不要であり、6つのコマンドを受信した際に、タスクマネージャーにそのタスクのインスタンスのアドレスを問い合わせるだけでよい。また、この構成では、タスクの追加や、削除や、一方向の順序の入れ替えに際して、タスク定義ファイル等を書き直し、done()やendTask()のコードを修正するのみで、タスクフレームワークの全体へ影響することがない。このように、タスクマネージャー108を使用することで、タスクの独立性を確保することができる。
[タスクデータ]
図22に示す例では、タスク・インヴォーカー106とタスクとは、タスクデータ・クラス115Cのインスタンス115Iを介して協調する。タスクデータtdは、図26に示す例では、ハッシュマップとする。この場合、ハッシュマップでは二次元のデータを直接取り扱うことができないため、図26(B)に示すように、ハッシュマップにさらにハッシュマップを集約するデータ構造を採用する。
図26は、タスクデータtdの一例を示す説明図であり、図26(A)はタスクデータtdをハッシュマップで構成した例を示す図で、図26(B)はハッシュマップと配列tdaとを用いてテーブル情報をタスクデータtdに集約する例を示す図である。リレーショナルデータベースを使用したシステムでは、データベースへのアクセスが処理速度の低下の要因となる。データベースのアクセスを含めた全体的な処理速度の低下を防止するには、データベースからのデータの読み出しや、書き込みや、その回数が少ない方が良い。すなわち、少しのデータを頻繁に読み書きするよりは、多量のデータを少ない回数読み書きする方が、全体的な処理速度は高速である。本実施例では、データの読み出しと、書き込みは、タスクTxxxの全データを単位として行う。そして、図18及び図19に示すように、サーバー4Aにて、各クラスの処理は、タスクTxxxを単位とした一群のデータ(一時変数td)に対して行うようにすると、フレームワークの構成が簡易となり、端末1との通信に必要なデータ形式の変更を標準化することができる。本実施例では、このサーバー4Aの一時変数tdとなるデータ形式に、ハッシュマップを採用した。マップは、JAVA(登録商標)のデータ構造として用意されているコレクションの一種である。
図26(A)に示すように、タスクデータtdは、キーと値との組み合わせである。キーは、そのタスクデータtd内で唯一のものでなければならない。タスクTxxxや、DBアクセス118や、計算クラスの各メソッドは、タスクデータtdとして作業データ6aを読み出し、計算や条件確認等を行った後、タスクデータtdにキーと値とを書き込むことで、タスク・インヴォーカー106に作業データ6aを引き渡す。
図40以下の具体的な画面例で示すように、銀行業務に関する実施例では、テーブル形式の表示が多い。マップでは、キーと値との組み合わせであるため、そのままでは、一時元のデータしか管理できない。この点、図26(B)に示す例では、マップを入れ子にすることで、二次元のデータをタスクデータとして取り扱う。すなわち、元のタスクデータtdの値に配列型(array型)の値(例えば、配列tdaへのポインタ)を格納し、符号tdaで示すインデックスと、集約したマップへのポインタとを格納する配列tdaを生成する。この配列tdaに、複数のマップを集約することで、二次元のデータを格納する。例えば、配列tdaのインデックスを行とし、各マップのキーを列とする行列をマップの集約として格納することができる。
銀行業務では、種々の条件下、詳細な計算処理18をプログラミングしなければならないこともある。また、図22に示すように、タスクTxxxから、計算確認処理を独立させ、この計算確認処理を、別の自動処理140から呼び出す構成も考えられる。この例では、計算確認クラスのプログラマーは、タスク処理や進捗制御とは無関係に、詳細な計算処理18のみをコーディングできれば、タスクデータtdの集約や、タスクマネージャー108の働きなどとは無関係に、プログラミング作業を行うことができる。
このような課題に対して、与信明細や、各種の作業に関して、マップではなく、コレクションに変換するようにしても良い。すなわち、マップの集約は、画面でのテーブル構成に素直なデータ形式であるが、分類額の算出ではロジックが複雑であるため、単純なデータ構造に変換し、計算確認クラスを作成するようにしても良い。
この場合、図26(B)に示すように、ハッシュマップの値にオブジェクト型の値を埋め込み、そのオブジェクトを、JAVA(登録商標)のデータ構造であるコレクションのセットとする。プログラム上の配列操作を可能とするようにしても良い。配列操作が可能となると、部門別にデータを管理するためプログラミングの行数を少なくすることができる。
[プロセス管理:コンディショナル・タスク]
また、作業分岐34aを行うために、コンディショナル・タスクを有するようにしても良い。コンディショナル・タスクは、クラス体系上は個別タスクである。コンディショナル・タスクのタスクの完了処理メソッド(done())は、債務者の態様別に次タスクIDが定められている際には、当該条件に応じて、次の処理を行う。
まず、現タスクIDから予め定められた次タスクIDまでのタスクを使用しない際には、前記プログレスマネージャー114のタスクスキップメソッド(skipTasks())を呼び出して、当該タスクスキップメソッド(skipTasks())は、当該前記一方向の順序で前記現タスクIDの次のタスクIDから当該債務者の態様から特定した次タスクIDまでのタスクIDの進捗ステータスを省略に更新する。
一方、現タスクIDから次タスクIDまでの予め定められたタスクを自動計算する際には、前記プログレスマネージャー114のタスク完了メソッド(endTask())呼び出して、当該タスク完了メソッド(endTask())は、現タスクIDから自動計算の対象となる予め定められたタスクの進捗ステータスを作業済に更新する。
これにより、図4に示す作業分岐34aを実装しつつ、どのルートでの一方向であるかを進捗ステータスの利用により管理することができる。図実現することができる。例えば、図4(C)を参照すると、画面ID:3までの作業結果と基礎データ6b(債務者の属性等)に応じて作業分岐条件が定められている際に、画面ID:4を使用せずに画面ID:5に進む場合、タスクスキップメソッド(skipTasks())により画面ID:4の進捗ステータスを省略として、続いて、画面:5の進捗ステータスを作業中にする。また、図58に示す自己査定・画面スキップ確認画面での画面スキップについては、当該画面スキップ確認画面のタスクを作業済とし、さらに、優良与信確認画面のタスクから管理・回収方針画面の一つ前のタスクまでを作業済とする。
[クラス体系と銀行業務用プログラム124]
ここで、銀行業務用プログラム124の構成をクラス体系に応じて再度説明する。
銀行業務用プログラム124は、前記ランタイムシステム100上で実行することで、作業者による作業を支援する。この銀行業務用プログラム124は、ランタイムシステム100上で実行されるメソッドと、当該メソッドによって管理されるデータとを有するオブジェクトであるインスタンスを生成するためのひな形であるクラスプログラム(クラスファイル)を有している。
この銀行業務用プログラム124は、図22に示すように、クラスファイルとして、下記の名称のクラスファイルを有する。
・タスク・インヴォーカー・クラス106C
タスク・インヴォーカー・クラス106Cは、前記端末1との通信を制御して、端末1からの要求に応答するメソッドとデータとのひな形を有する。タスク・インヴォーカー・クラス106Cは、タスクマネージャー・クラス108Cを使うことで、実行時にタスクIDに対応するインスタンスを特定する。またタスク・インヴォーカー・クラス106Cは、タスク・インタフェース・クラス134Cを使うことで、端末1との通信内容を単純化することができる。
・個別タスク・クラス112C
個別タスク・クラス112Cxは、前記作業の個別作業毎に、当該各個別作業での前記作業データ6aに対する個々の情報処理であるメソッドとデータとのひな形を有する。図22に示す例では、符号112Caで示すタスク・クラス1と、符号112Cbで示すタスク2と、符号112Cnで示すタスクnとを記載したが、実施例によっては、図39に示す多数のタスクTxxxを有する。それぞれの個別タスク・クラス112Cxは、DBアクセス・クラス118Cのサブクラスを使用して銀行業務データベース121に格納されたデータを読み出し、また、端末1から送信された入力データ6cを銀行業務データベース121に格納する。
また、タスク・クラス群112Cxの計算メソッド(calculate())や、条件確認メソッド(confirm())では、そのメソッド中に直接処理内容をコーディングせず、確認計算クラス142Cを作成し、その確認計算クラス142Cのメソッドで複数の詳細なメソッドを持たせる構成としてもよい。この場合、タスク・クラス群112Cxでは、対応する確認計算クラス142Cxの各メソッドを呼び出すことで、計算メソッド等を実行する。
・タスクマネージャー・クラス108C
タスクマネージャー・クラス108Cは、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iからのタスクの特定のための呼び出しに応じて、当該タスクIDから前記タスクのインスタンス112Ixへの参照を返すタスク特定メソッド(getTask())と、データとのひな形を有する。タスクマネージャー・クラス108Cの振る舞いについては、図24及び図25を参照して上述した。
・DBアクセス・クラス118C
DBアクセス・クラス118Cは、各タスク・インスタンス112Ixからの呼び出しに応じて、前記銀行業務データベース121に対する前記作業データ6aの読み出し及び書き込みを制御するメソッドとデータとのひな形を有する。DBアクセス・クラス136(セレクト)Cxは、表示制御メソッド(query())等の、DBアクセス・クラス138(アップデート)Cxは格納メソッド(set())等の要件定義に応じて、対応するデータベースの検索式であるSQL文を有する。また、このSQL文は、ハードコードするのではなく、外部のテーブルに格納するようにしても良い。
・プログレスマネージャー・クラス114C
プログレスマネージャー・クラス114Cは、作業の起票及び承認を制御し、前記作業者による前記作業の進捗に応じて前記進捗ステータステーブル8aに進捗ステータスを記録するメソッドとデータとのひな形を有する。図23に示す例では、プログレスマネージャー・クラス114Cは、進捗ステータステーブル・クラス116Cのサブクラスであるため、プログレスマネージャー・クラス114Cのメソッドの呼び出しでは、進捗ステータステーブル・クラス116Cのメソッドを呼び出すことができる。
前記プログレスマネージャー・クラス114C又は進捗ステータステーブル・クラス116Cは、進捗制御部30の諸機能を実装するため、図23に示すように、下記のメソッドを有する。
・初期化メソッド(startForm())
初期化メソッド(startForm())は、前記作業を唯一に識別する作業通番を有する作業が起票される際に、予め定められた一方向の順序で開始タスクから終了タスクまでのタスクIDの列と、各タスクIDの進捗ステータスである未着手とを前記進捗ステータステーブル8aに格納する。初期化メソッド(startForm())は、例えば、タスク定義ファイルを参照して、進捗ステータステーブル8aを生成し、全ての進捗ステータステーブル8aに未着手を格納する。この初期化メソッド(startForm())は、図7に示す起票時処理36を実行する。
・タスク開始メソッド(startTask())
タスク開始メソッド(startTask())は、開始制御処理(start())に際して、当該開始するタスクIDの進捗ステータスを作業中に更新し、当該タスクIDより終了タスク側の進捗ステータスに作業済がある際には、当該作業済を作業中に更新する(一方向制御処理42)。タスク開始メソッドは、図7に示すタスク開始処理38の具体的処理内容である。
・タスク完了メソッド(endTask())
タスク完了メソッド(endTask())は、完了制御処理(done())に際して、当該完了するタスクIDの進捗ステータスを作業済に更新する。タスク完了メソッドは、図7に示すタスク完了処理40の具体的処理内容である。タイムスタンプ処理44は、このタスク完了メソッド(endTask())で実装すると良い。作業分岐処理46や、画面スキップ処理は、それぞれのタスクの完了時の処理として定義できるため、すなわち、図4(A)に示す連結リスト型で次画面(次タスク)を特定するため、タスクの完了制御処理(done())にて実装すると良い。この例では、作業分岐処理46がない完了処理(進捗ステータステーブルに従い、省略の格納等を行わない)について、図22に示すタスククラス110Cに実装すると、作業分岐34aがある個別タスク・クラス112Cxでのみ完了制御処理done()をオーバーライドすれば良い。
すなわち、オブジェクト指向の継承関係では、サブクラスのメソッドが呼ばれた際に、サブクラスにメソッドが定義されていればそのメソッドを実行し、この例では、作業分岐処理46を含むdone()を実行し、一方、サブクラスにメソッドの定義がなければ、スーパークラスのメソッドを実行する。この例では、通常の進捗ステータスの更新のみの処理を実行する。すると、通常の処理については1つのメソッドのみの記載で、全ての個別タスク・クラス112Cxにコーディングしたのと同様の振る舞いとなり、一方、作業分岐処理46のある例外的な個別タスク・クラス112Cxについてのみdone()を書き改めれば良い。
・次タスク特定メソッド(getNextTask())
次タスク特定メソッド(getNextTask())は、進捗ステータステーブル8aを参照して、現タスクIDよりも終了画面側の個別タスク群112xで、進捗ステータスが未着手又は作業中のタスクのIDを特定して当該次タスクIDを端末1に返す。この次タスク特定メソッド(getNextTask())は、図7に示す次タスク特定処理34の実装である。
・前タスク特定メソッド(getPrevTask())
前タスク特定メソッド(getPrevTask())は、進捗ステータステーブル8aを参照して、現タスクよりも開始画面側で最も近い作業済のタスクIDを特定して当該前タスクIDを端末1に返す。
・タスクスキップメソッド(skipTasks())
タスクスキップメソッド(skipTasks())は、一方向の順序で前記現タスクIDの次のタスクIDから当該債務者の態様から特定した次タスクIDまでのタスクIDの進捗ステータスを省略に更新する。
前記タスクマネージャー108のインスタンス108Iは、上述したように、前記サーバーの起動時に、前記個別タスク・クラス112Cxのインスタンス112Ixを前記ランタイムシステム100にロードしておき、当該ロードした各タスク・インスタンス112Iへの参照(例えば、ポインタ)をタスクID毎に保持する。
前記複数の個別タスク・クラス112Cxは、それぞれ、前記メソッドとして、開始制御メソッド(start())と、表示制御メソッド(query())と、計算メソッド(calculate)と、条件確認メソッド(confirm)と、格納メソッド(set)と、完了処理メソッド(done)とを必ず実装する。「必ず実装する」というのは、JAVA(登録商標)であれば、タスク・インタフェース・クラス134Cに、この6つのメソッドが定義されており、全ての個別タスク・クラス112Cxは、このタスク・インタフェース・クラス134Cをインプリメントしているか、または同様の状態となっていることを意味する。すなわち、タスク・インヴォーカー106等は、必ずタスクがこれらのメソッドを有していることを前提として処理を実装し、実行することができる。
図23に示すように、タスククラス110C及び個別タスク群112xは、次のメソッドを備える。
・開始制御メソッド(start())
開始制御メソッド(start())は、タスク開始処理38,C24の一部であり、当該個別タスク群112xの開始を制御する。進捗ステータスの更新処理は、図23に示す例では、進捗ステータステーブル・クラス116Cのタスク開始メソッドstartTask()が処理する。
・表示制御メソッド(query())
表示制御メソッド(query())は、当該個別タスク群112xの基礎データ6bを前記タスクIDをキーとして前記銀行業務データベース121から読み出す制御をし、当該基礎データ6bを当該タスクIDに関連する画面IDの前記画面定義情報7aの指定に応じて前記端末1の画面に表示する。表示制御メソッドは、表示制御処理16,C2に対応する。
・計算メソッド(calculate())
計算メソッド(calculate())は、前記基礎データ6b及び前記画面にて入力される入力データ6cから前記導出データ6dを算出する。計算メソッドは、計算処理18,C6に対応する。図22に示すように確認計算クラス142Cを別に作成する例では、計算メソッドは当該確認計算クラス142Cのメソッドを呼び出すメソッドである。
・条件確認メソッド(confirm())
条件確認メソッド(confirm())は、当該タスクの作業データ6aが予め定められた条件を満たしているか否かを確認する。条件確認メソッドは、条件確認処理20,C12に対応する。
・格納メソッド(set())
格納メソッド(set())は、当該個別タスク群112xのタスクデータtd(作業データ6a)を前記銀行業務データベース121に格納する制御をする。格納メソッドは、格納処理22,C13に対応する。図22に示すように、DBアクセスクラス136C,138Cを使用できる際には、格納メソッドは、DBアクセスクラス136C,138Cのメソッドを使用してタスクデータtdを銀行業務データベースに格納させる。
・完了処理メソッド(done())
完了処理メソッド(done())は、当該個別タスク群112xの完了を制御する。完了処理メソッドは、タスク完了処理40,C20の一部である。進捗ステータスの更新は、図23に示す例では、進捗ステータステーブル・クラス116Cのタスク完了メソッドendTask()が処理する。
[各部と手順(プログラムコード)]
サーバー4Aのコンピュータを、図7、図16等に示すタスク処理部10及び進捗制御部30等の各部として機能させるには、コンピュータに、各部の処理に対応した手順を実行させると良い。
例えば、タスク処理部10が、「前記タスク毎に前記画面定義情報7aに従って前記作業データ6aを前記端末1に表示制御すると共に当該端末1の前記画面要素への操作により入力され又は導出する前記作業データ6aを前記作業データ格納部6に格納する」と定義される際には、「前記タスク毎に前記画面定義情報7aに従って前記作業データ6aを前記端末1に表示制御すると共に当該端末1の前記画面要素への操作により入力され又は導出する前記作業データ6aを前記作業データ格納部6に格納する手順」をコンピュータに実行させることで、コンピュータがタスク処理部10として機能する。
本実施例では、プログラムは図23に示すメソッドを有し、図22に示す関係を有する図21に示すクラス群104のクラスファイル群(プログラムの中間コード)である。このため、コンピュータをタスク処理部10として動作させる手順は、対応するクラスファイルである。
例えば、実施形態に対応する銀行業務システム用プログラムは、タスク処理手順(図1、図7等に示すタスク処理部10に対応)と、進捗制御手順(進捗制御部30に対応)とを備え、進捗制御手順が、戻りタスク特定処理手順(戻りタスク特定処理32に対応,C23)と、次タスク特定処理手順(次タスク特定処理34に対応,C23,getNextTask())と、を備えると良い。
同様に、例えば、実施例1に対応する銀行業務システム用プログラムは、起票時処理手順(図7等に示す起票時処理36に対応,(startForm())と、タスク開始処理手順(タスク開始処理38に対応,C24, S3x, start ())と、タスク完了処理手順(タスク完了処理40に対応,C20, S4x, done())と、一方向制御処理手順(一方向制御処理42に対応,startTask())とを備えると良い。他の実施例についても同様である。
[シーケンス図: 現タクス完了から次タスク開始]
図27から図30は、次へボタンB1の操作や、戻るボタン等の操作に応答するシーケンス図である。このシーケンス図は、実施形態及び実施例の銀行業務処理方法についての詳細な開示である。
次に、図27のシーケンス図を参照して、端末1にて次へボタンB1が操作され、現タスクIDのタスクを完了させ、次タスクIDを特定し、次タスクIDの画面を表示するまでの振る舞いを説明する。この図27では、特に、次タスク特定工程(getNextTask())と、一方向制御処理工程(startTask())とを開示する。
図27に示す例では、端末1の仮想マシンは、次へボタンの操作を受信すると、まずconfirm()をサーバー4Aに送信して、その応答を受信すると、図27の図中上から下への順序で、次々とコマンドを送信する。
図27に示す例では、タスク・インヴォーカー106のインスタンス106I(以下、「タスク・インヴォーカー・インスタンス106I」という)は、条件確認要求(confirm)を受信すると(図27,S10)、タスクマネージャーのインスタンス108I(以下、「タスク・マネージャー・インスタンス108I」という)のタスク特定処理(getTask())を呼び出し、当該タスクのインスタンスへの参照を得る(図27,S11)。ここでは、タスクID: T0001のインスタンス112Iaとする。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、続けて、このタスク・インスタンス112Iaの条件確認メソッド(confirm())を呼び出す(図27,S12)。
このインスタンス112Iaの条件確認メソッドは、図40以下の各画面例では、金額の比較をし、ある条件下で各種のコメントの入力があるか否か等の予め定められた条件を確認する。すなわち、条件確認処理20を実行する。条件確認に成功すると、成功を端末1に戻し、不成功であれば、エラーメッセージを端末1に表示するための処理を呼び出す。
端末1は、条件確認に成功したとの応答をサーバー4Aから受信すると(図27,S13)、次に、格納要求(set)を送信する。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、タスクIDを使用して、タスク・マネージャー・インスタンス108Iから当該タスクIDのタスクのインスタンスの参照を得る。続いて、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、そのタスクの計算処理18(calculate())を呼び出し、さらに、格納処理22(set())を呼び出す(図27,S14)。タスク1の計算処理18や、格納処理22では、DBアクセス・クラス118Cのインスタンス118Iのメソッドや、確認計算クラスのメソッド等を呼び出して、計算及び格納を完了させる。格納に成功すると、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、端末1に応答を返す。
端末1は、格納に成功すると、このタスクの完了処理(done())を要求する。タスクインヴォーカー・インスタンス106Iは、端末1から現タスクIDを引数とする完了要求を受信した際に(図27,S15)、当該現タスクIDからタスクマネージャ・インスタンス108Iの前記タスク特定メソッド(getTask())によりタスクのインスタンスへの参照を得る。そして、この参照先の当該タスクのインスタンスの完了処理メソッド(done())を呼び出す(図27,S16)。当該完了処理メソッド(done())は、プログレスマネージャー114のインスタンス114Iのタスク完了処理40(endTask())を呼び出す(図27,S17)。このタスク完了処理40(endTask())は、当該現タスクIDの進捗ステータスを作業済に更新する。
画面スキップを行う際には、作業済とするタスクが複数となる。この場合、ステップS15の完了処理メソッド(done())にて、タスク完了処理40(endTask())が複数呼び出すようにしても良いし、タスク完了処理40(endTask())が作業済とする開始タスクと終了タスクとを引数とするようにしても良い。いずれにしても、画面スキップを行う際には、ステップS17Aにて画面スキップ確認画面のタスクの完了処理メソッド(done())に予め定められたタスクについて、タスク完了処理40(endTask())を実行する。
一方、S16で示す前記タスクのインスタンスの完了処理メソッド(done())の処理では、債務者の態様別に次タスクIDが定められている際には、省略するタスクについて、前記プログレスマネージャー114のインスタンス114Iのタスクスキップメソッド(skipTasks())を呼び出す(図27,S16)。当該タスクスキップメソッド(skipTasks())は、当該前記一方向の順序で前記現タスクIDの次のタスクIDから当該債務者の態様から特定した次タスクIDまでのタスクIDの進捗ステータスを省略に更新する(S17B)。これにより、作用分岐処理がされた際に、その分岐の結果を進捗ステータステーブル8aに保存する。例えば、上記図11に示す進捗ステータステーブル8aの各進捗ステータスの状態は、債務者が個人要注意先である際に、作業が完了した状態の進捗ステータスである。図11に示すように、債務者が個人である際には、実態検討(法人のみ)のタスクは、タスクスキップメソッドにより、省略が格納されている。
端末1は、タスク完了要求が成功すると、続いて、次タスクID特定要求(query(TAA10:TaskID))をサーバー4Aに送信する。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から現タスクIDを引数とする次タスクID特定要求(query(TAA10:TaskID))を前記端末1から受信した際に(図27,S18)、前記プログレスマネージャーのインスタンス114Iを取得して、前記次タスク特定メソッド(getNextTask())を呼び出す(図27,S19)。
なお、本実施例では、この次タスクID特定メソッドを有するクラスを、タスクの一種としている。このクラスのタスクIDは、TAA10である。図27に示す例では、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、まず、TAA10のタスクIDのインスタンスの参照をタスク・マネージャー・インスタンス108Iから得る。そして、このTAA10のインスタンスの次タスク特定メソッド(getNextTask())を呼び出す。次タスク特定メソッドは、当該現タスクIDから、進捗ステータステーブル8aを参照して、当該次タスクID特定し、当該次タスクIDを端末1に返す。
端末1は、この次タスクID: T0002を引数として、タスク開始要求(start)をサーバー4Aに送信する。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、タスク開始要求を受信すると(図27,S21)、タスク・マネージャー・インスタンス108Iを使用してタスクのインスタンスを特定する。図27に示す例では、タスクID:T0002のタスク2が特定される。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、当該特定したタスク2のインスタンス112Ibの開始制御メソッド(start())を呼び出す(図27,S22)。当該開始制御メソッド(start())は、前記プログレスマネージャー114のインスタンス114Iのタスク開始メソッド(startTask())を呼び出す(図27,S23)。この当該タスク開始メソッド(startTask())は、当該次タスクIDの進捗ステータスを作業中に更新する。タスク開始メソッド(startTask())は、当該次タスクIDよりも終了画面側のタスクの進捗ステータスに作業済があれば作業中に更新する(一方向制御処理42)。
端末1は、続いて、表示制御要求(query)をサーバー4Aに送信する(ステップS24)。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、タスク2のインスタンス112Ibへの参照を得て、その表示制御メソッド(query())を呼び出す。この表示制御メソッドは、DBアクセス118のメソッド等を使用して、銀行業務データベース121から作業データ6aを読み出して、端末1に送信する。
[シーケンス図: コンディショナル・タスクによる作業分岐]
図28に示す例では、コンディショナル・タスクにより、作業分岐34aを行う。現タスクをタスク3、作業分岐34aにより選択される2つのタスクをタスク3A,3Bとする。タスク3が完了すると、タスク3A又は3Bの一方に進む。
この例では、図27に示す例と同様に、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から現タスクIDを引数とする次タスクID特定要求(query(TAA10:TaskID))を前記端末1から受信した際に、次タスク特定メソッド(getNextTask())を呼び出す。コンディショナル・タスクでは、次タスク特定メソッドは、委譲元となるタスク3のタスクIDを返す。タスク3には、作業分岐先特定メソッドselectDelegate()が定義されており、作業分岐条件に従ってタスク・インヴォーカー・インスタンス106Iからのメソッドの実行を委譲するタスクを特定する。
端末1は、次へボタンB1が操作されると、タスク開始要求start()の処理(S21,S22及びS23)をした後、表示制御要求(query())の処理を行う(S24)。コンディショナル・タスクでは、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、まず、具体的な処理内容が実装されていないコンディショナル・タスクであるタスク3の表示制御要求(query())を呼び出す。コンディショナル・タスクである委譲元のタスク3は、作業分岐先特定メソッド(selectDelegate())を実行して、条件判断を行う。条件1に該当すると、タスク3Aに当該表示制御要求(query())の処理を委譲し、具体的処理内容が実装されたタスク3Aは、この表示制御要求(query())を実行する(S27)。一方、条件2の場合には、図中二点鎖線で示すように、タスク3Bに当該表示制御要求(query())の処理を委譲する。タスク3Bは、この表示制御要求(query())を処理する(S28)。これにより、作業分岐34aを簡易に実現することができる。
[シーケンス図: 戻る/ジャンプして戻る]
図29は、戻るボタンB3や、ジャンプして戻るボタンB2の操作に応じたサーバー4Aの振る舞いを示すシーケンス図である。このシーケンス図では、特に、一方向制御処理工程(startTask())を開示する。図29では、戻るボタンB3の操作の際に、二点鎖線で示すS30,S31及びS32の処理を行う。ジャンプして戻る際には、戻った先のタスクIDは端末1側にて取得できるため、タスクIDを特定するサーバー4A側の処理は不要である。戻る処理の際には、作業分岐34aでの省略等との関係から、サーバー4A側で戻り先のタスクIDを特定している。
戻るボタンB3又はジャンプして戻るボタンB2が操作されると、まず、表示中の現画面の中断制御62を行う。このため、端末1は、格納要求(set)をサーバー4Aに送信する。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、格納要求を受信すると(図29,S13)、条件確認処理20を行わず、計算メソッドを呼び出して実行し(図29,S14a)、入力データ6cを銀行業務データベース121に格納する。
戻るボタンB3の操作の際には、端末1では、続いて、戻り先タスクID特定要求をサーバー4Aに送信する。この要求を受信したタスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、タスクID:TAA11の照会要求query()を呼び出し(図29,S31)、続いて、プログレスマネージャー114の戻り先タスクID特定メソッド(getPrevTask())を呼び出す。このメソッドは、進捗ステータスを参照して、現タスクIDよりも開始画面側のタスクのうち、進捗ステータスが作業済であるタスクで、現タスクIDに最も近いタスクIDを戻り先のタスクIDとして特定する。すなわち、進捗ステータスが作業済であるタスクIDのうち、最も終了画面側に近いタスクIDを、戻り先のタスクIDとして特定する。
戻るボタンB3の操作の際には、続いて、タスクの開始制御メソッドstart()を実行し(図29,S21,S22a,S23a)、さらに、表示制御メソッドを実行する(図29,S24,S25)。
一方、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から戻り先のタスクIDを引数としてジャンプして戻る要求を受信した際に(図29,S13)、上記格納メソッドを実行し(図29,S13,S14)、続いて、タスク・マネージャー・インスタンス108Iを使用して当該戻り先のタスクIDのタスクのインスタンスを特定する。そして、当該タスクのインスタンスの開始制御メソッド(start())を呼び出す(図29,S21)。この開始制御メソッド(start())は、前記プログレスマネージャー114のインスタンス114Iのタスク開始メソッド(startTask())を呼び出す(S23a)。
本実施例では、特に、このタスク開始メソッド(startTask())は、当該タスクIDより終了タスク側の作業済の進捗ステータスを作業中に更新する。省略は、未着手に更新すると良い。本実施例では、この当該タスクIDより終了タスク側の進捗ステータスを更新することで、ジャンプして戻る処理の後も、一方向制御を厳格に実行する。
[シーケンス図: DBアクセス・クラス]
図30は、個別タスク群112xと、確認計算タスク群142Cxと、DBアクセス・クラス118Cとの関係を示すシーケンス図である。例えば、端末1から表示制御要求(query)を受信すると、タスク1のインスタンス112Iaは、DBアクセス1のセレクト1のインスタンス138Iaを生成する。すなわち、このクラスのインスタンスをメモリー102に確保する(図30,S40)。そして、このインスタンス138Iaは、SQL文を銀行業務データベース121に発行するなどし、端末1に表示する作業データ6aを読み出し、一時変数であるタスクデータtdに格納する。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、このタスクデータtdを端末1で解釈できるデータ形式に変更させ、端末1に送信する。
また、条件確認メソッドや、格納メソッドを受信すると(図30,S10,S13)、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、確認計算タスクや、DBアクセス1のアップデート1のインスタンスを生成させ、そのインスタンスのメソッドを用いて条件確認処理20(図30,S41)や計算処理18(図30,S42)や、格納処理22(図30、S43)を実行する。
[シーケンス図: まとめ]
・次タスク特定要求
次に、次タスクID特定要求等を端末1から受信した際のサーバー4Aの動作例を説明する。
前記タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から現タスクIDを引数とする次タスクID特定要求(TAA10: query())を前記端末1から受信した際に(図27,S18)、前記プログレスマネージャー114の次タスク特定メソッド(getNextTask())を呼び出す(図27,S19)。この次タスク特定メソッドは、進捗ステータステーブルを参照して、現タスクIDよりも終了画面側の個別タスク群112xで、進捗ステータスが未着手又は作業中のタスクのIDを特定して当該次タスクIDを端末1に返す(図27,S20)。
・タスク開始要求
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から次タスクIDを引数とするタスク開始要求を受信した際に(図27,S21)、当該タスク開始要求の次タスクIDからタスク2を特定し、当該特定したタスク2・インスタンス112Ibの開始制御メソッド(start())を呼び出す(図27,S22)。この開始制御メソッド(start())は、前記プログレスマネージャー・インスタンス114Iのタスク開始メソッド(startTask())を呼び出す(図27,S23)。ランタイムシステム100は、プログレスマネージャー・インスタンス114Iにタスク開始メソッドが存在しないため、スーパークラスである進捗ステータステーブル・クラス116Cのメソッドを探索し、このタスク開始メソッドを実行する。タスク開始メソッド(startTask())は、当該次タスクIDの進捗ステータスを作業中に更新する。
・ジャンプして戻る要求
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、ジャンプして戻る要求を受信した際には(図29,S21)、当該戻り先のタスクIDからタスクを特定する。続いて、当該タスク1・インスタンス112Iaの開始制御メソッド(start())を呼び出す(図29,S22a)。この当該開始制御メソッド(start())は、前記プログレスマネージャー114のタスク開始メソッド(startTask())を呼び出す(図29,S23a)。進捗ステータステーブル・インスタンス116Iのタスク開始メソッド(startTask())は、当該タスクIDより終了タスク側の作業済の進捗ステータスを作業中に更新する。
・タスク処理
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から表示制御要求、計算要求、条件確認要求又は格納要求を受信した際に、当該現タスクIDからタスクを特定して、当該タスクの表示制御メソッド(query())、計算メソッド(calculate())、条件確認メソッド(confirm())又は格納メソッド(set())を呼び出す。各メソッドは、当該タスク毎に定義された各処理を実行する。
・完了要求
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から現タスクIDを引数とする完了要求を受信した際には、当該現タスクIDからタスクを特定して、当該タスクの完了処理メソッド(done())を呼び出す(図27,S15)。この完了処理メソッド(done())は、前記プログレスマネージャー114のタスク完了処理40(endTask())を呼び出す(図27,S17A)。進捗ステータステーブル・インスタンスのタスク完了処理40(endTask())は、当該現タスクIDの進捗ステータスを作業済に更新する。
また、前記タスクの完了処理メソッド(done())は、債務者の態様別に次タスクIDが定められている際には、すなわち、作業分岐34aを実行する際には、前記プログレスマネージャー114のタスクスキップメソッド(skipTasks())を呼び出す(図27,S17B)。当該タスクスキップメソッド(skipTasks())は、当該前記一方向の順序で前記現タスクIDの次のタスクIDから当該債務者の態様から特定した次タスクIDまでのタスクIDの進捗ステータスを省略に更新する。
このように、本実施例では、タスクの開始と、完了とに応じて、進捗ステータスを更新することで、一方向制御を実現する。そして、個々のタスク処理は、計算メソッド、条件確認メソッド、格納メソッドによって実行する。本実施例では、多数のタスクがあり、多数の画面があるが、このメソッドの存在(インタフェースの実装)は、全てのタスクに共通する。そして、端末1との通信はタスク・インヴォーカー・クラス106Cの責任範囲であり、個々のメソッドの役割はタスク・インタフェース・クラス134Cに定義されているため、タスクの開発作業では、端末1との通信や、他のタスクとの関係の詳細を検討せずに、個々のタスクに関して独立して、プログラムのコーディングを行うことができる。従って、タスクフレームワークは、開発に要する負荷を軽減する。また、タスク間の依存関係を限りなく小さくしたため、タスク間に別のタスクを追加したり、修正したりする際に、そのプログラムの修正の影響が及ぶ範囲を極小化することができる。従って、保守が容易で、修正に必要な開発期間を短くすることができる。すなわち、タスクフレームワークにより、一方向制御を簡単に実装できるため、タスクの開発に際しては、実際のビジネスロジックのみをコーディングすればよい。そして、その修正は、タスクフレームワーク全体とは無関係に行うことができる。
<実施例2: トランザクション管理>
次に、本実施例でのトランザクション管理について開示する。この例では、作業通番単位の作業トランザクションと、タスク単位の個別トランザクションとのACID特性を調整することで、一方向制御下での必要なトランザクション管理を行う。
再度図16を参照すると、コンピュータシステム4は、トランザクション管理部50と、作業ステータス格納部9とを備えている。
作業ステータス格納部9は、前記作業を識別する作業通番を単位として、当該作業通番で使用する作業データ6aの全体に対して、待機中、実行中及び決裁済の作業ステータスを特定した作業ステータステーブル9aを格納する。作業ステータステーブル9aは、例えば図14に示すテーブルである。
トランザクション管理部50は、前記作業通番で使用する作業データ6aの全体に対する処理を作業トランザクションとして管理すると共に、前記タスクIDで使用するタスクデータtdへの処理を個別トランザクションとして管理する。そして、このトランザクション管理部50は、全体排他制御52と、全体一貫性制御54と、個別原子性制御56と、個別隔離性制御58と、個別永続性制御60と、中断制御62とを備えている。
全体排他制御52は、作業通番の作業ステータスが実行中である場合には、当該作業通番の作業開始を禁止する。一方、全体排他制御52は、当該作業ステータスが待機中である場合には、当該待機中を実行中に変更して前記次タスク特定処理34(C23,getNextTask())に当該作業通番を引き渡して作業開始を許可する。全体排他制御52は、これにより、当該作業通番を単位とした前記作業トランザクションの実行を唯一に排他制御して、当該作業トランザクションに隔離性(独立性)を与える。すなわち、作業ステータスを利用して、同一の作業通番の作業に対して複数の作業者が同時にアクセスすることを禁止する。
全体一貫性制御54は、前記作業トランザクションの決裁となる前記タスクの前記タスク完了処理40( C20, S4x)の後に、当該作業トランザクションの作業ステータスを実行中から決裁済に変更することで、当該作業トランザクションに一貫性を与える。個々のタスクの完了時ではなく、複数のタスクからなる銀行業務処理を一方向制御して当該作業が決裁された際に、1つのトランザクションの完了として一貫性を与え、この決裁された作業トランザクションの作業データ6aに一貫性があるとする。
個別原子性制御56は、前記タスク毎の進捗ステータスを管理させることで前記個別トランザクションに原子性を与える。個々のタスクへのトランザクションの結果には一貫性はないが、原子性を与える。
個別隔離性制御58は、前記タスクを一方向に制御することで前記個別トランザクションに隔離性(独立性)を与える。隔離性は、各タスクの作業データ6aが相互に独立しており、他のタスクの作業結果が他のタスクの作業結果に影響を与えないようにする性質である。本実施形態及び実施例では、一方向制御により、すでに完了したタスクのデータが、より終了画面側のタスクの都合で上書きされることがない。開始画面側で入力し、または確認した作業データ6aを修正するには、その開始画面側のタスクまでジャンプして戻らなくてはならない。ジャンプして戻ると、戻ったタスクより終了画面側のタスクの作業データ6aは作業中の扱いとなる。このように、本実施形態及び実施例では、一方向制御により、個別トランザクションの個別隔離性を得ることができる。
個別永続性制御60は、タスクの進捗ステータスが作業済に変換された際に、当該進捗ステータスが作業済である前記個別トランザクションに永続性を与える。すなわち、進捗ステータスが作業済となったデータは、作業トランザクションの作業データ6aとしての一貫性はないが、データベースに作業済として永続的に登録することができる。
そして、中断制御62は、前記端末1から中断要求を受信した際に、当該作業トランザクションに一貫性を与えないまま、当該タスクまでの各タスクの個別トランザクションに永続性を与える。これにより、複数のタスクからなる銀行業務処理システムにて、一方向制御をしつつ、画面の途中で作業を中断する仕組みを実装することができる。
また、個別トランザクションに原子性や永続性を与えつつ、一貫性を与えない取り扱いとすることで、作成過程の未完成のデータが他システム70等に影響を与えることがない。
図16に示すトランザクション管理部50の機能により、作業トランザクションの一貫性と、個別トランザクションの永続性とを確保し、業務プロセスを厳格に管理することができる。
この中断制御62を有する例では、営業店担当者にとって突然の電話や来客などとの対応でき、セキュリティーを確保しつつ、それまでの入力を事後に活用することができる。すなわち、一連の作業をそのまま保存しつつ、作業を即座に中断し、所要の後、中断した画面又はタスクから開始することのできる中断制御62を実装すると、利便性が向上する他、さらに、極めて例外的な理由で作業者がログイン後に端末1を放置することを想定しても、タイムアウトによる中断制御62を実行することができる。
<特定操作要求制御>
本実施例3では、銀行業務の作業を柔軟かつ均質に行うという課題に対して、保守的な初期値の表示と、例外判断については入力を必須とする情報処理により、例外判断時の手順を強制する作用を営み、判断根拠を明確にするという効果を得る(図6参照)。
図31に示す例では、銀行業務処理システムは、端末1とネットワーク2を介して接続されたコンピュータシステム4と、ネットワーク2を介して端末1とコンピュータシステム4との通信を制御する通信制御部3と、他システム70とを備えている。他システム70は、勘定系システムや、情報系システムであるオンラインシステム72と、債務者(取引先)毎の情報(図74の動向コメント222)を管理する取引先要項システム74と、不動産担保評価システム等のその他各種システム76とを備えると良い。
そして、コンピュータシステム4は、作業データ格納部と、進捗ステータス格納部8と、画面定義情報格納部7と、タスク処理部10と、進捗制御部30と、ワークフロー制御部94とを備えている。また、本実施例では、起票制御部96を備えている。起票制御部96は、銀行業務処理の作業を予め定められた条件に従って自動起票し、又は、前記作業者の前記端末1の操作に応じて手動起票し、当該起票する作業に作業通番を付する。
そして、本実施例では、タスク処理部10の前記表示制御処理16は、特定操作要求処理24を備えている。この特定操作要求処理24は、銀行業務の作業上保守的な内容の作業データ6aを前記作業者の入力データ6cとして初期値表示すると共に、当該初期値表示する入力データ6cが当該作業者によって変更される際には、前記画面要素の選択又は前記画面要素への入力を含む特定操作用の画面要素を特定操作要素として表示制御する。
特定操作要求処理24が、情報処理として、保守的初期値の表示と、例外判断時に特定操作を要求するため、作業者の保守的な判断を導きつつ、一方、個々の債務者の実態に応じた判断を可能とすることで、柔軟で、かつ均質である銀行業務処理を促す。
また、図31に示す例では、タスク処理部10の条件確認処理20が、特定操作確認処理22を備えている。この特定操作確認処理22は、初期値表示する入力データ6cが変更されている場合に、次タスクへの推移が要求された際には、前記特定操作要素が操作されたか否かを確認し、当該特定操作要素に対する特定操作が前記作業者によってなされていない際には、当該特定操作を当該作業者に要求する特定操作要求を表示する。これにより、当該特定操作がなされない状態での前記次タスクへの推移を禁止することができる。
<実施例3: 格付自己査定システム>
再度図11を参照すると、銀行業務として信用格付及び資産査定を行う格付自己査定システムは、当初の作業者が担当するタスクとして、10メイン、11決算検討、12信用格付・スコアリング、13自己査定、15管理・回収方針、16債務者の概況、19統括者指定のタスク群を有する。以下、先頭文字のTと、4ケタの数字の組み合わせをタスクIDとする。さらに2ケタの数字の組み合わせを画面IDとする。
図11に示す例では、当初の作業者が担当するタスクは、タスクID:T1000からタスクID:T1600までのタスクである。
[格付自己査定のタスク群]
メインタスク(T1000)は、複数の作業を表示して作業開始する作業の選択等を促す。
決算検討タスク群(T11xx)は、前記債務者から徴求した決算書類による財務データの登録がなされた際に、当該財務データを基礎データ6bとして当該決算検討及び財務の実態登録を前記作業者に促す。
信用格付タスク群(T12xx)は、主に前記基礎データ6bによる財務データを使用して、信用格付の一次評価の確認を前記作業者に促す。
債務者区分タスク群(T1310, T1320)は、信用格付タスク群(T12xx)までの作業データ6aと、前記債務者及び当該債務者の債権に関する基礎データ6bとを使用して、財務状態又は事象として予め定められた抽出基準に該当する債務者について、債務者区分及び信用格付の判定を促す。情報処理として、抽出基準に対応する抽出符号を定めておき、抽出基準に該当する場合には抽出符号をオンとする。
債権分類タスク群(T133x, T1359)は、債務者区分タスク群(T1310, T1320)までの作業データ6aと、当該債務者の債権に関する基礎データ6bとを使用して、当該各債権の保全の確認及び修正を促す。
管理・回収方針(T1500)は、債務者区分が一定以下の債務者の債権について管理・回収方針を文章で表記することを促す。
債務者の概況(T1600)は、信用格付及び資産査定の作業完了に際して、当該債務者についての情報の要約を促す。
これらのタスクに含まれる画面の一覧を図39に示す。画面例を参照しての開示は実施例4で行う。
[信用格付と債務者区分]
次に、信用格付と自己査定の債務者区分との関係を説明する。
信用格付タスク群(T12xx)では、主に債務者から提出された公表財務データに基づいて債務者の信用格付を判定する。実施例によっては、実態登録後の実態財務データを使用して信用格付をしても良い。一般に、信用格付は、恣意のない一律の判断をするために、財務データの財務数値をスコアリングモデルで評価し、その評点の合計点等から当該債務者の信用格付を算出する。
一方、債務者区分は、財務データ(債務者の貸借対照表と損益計算書から分析できる事実)のみならず、取引先(債務者)の行為や、債権の返済状況等の事象の観察結果の情報も加味して区分する。金融検査マニュアルは、信用格付と債務者区分とが整合的であることが必要であるとしている。本実施例では、信用格付タスク群(T12xx)での信用格付を一次評価とし、債務者区分タスク群(T1310, T1320)での債務者区分の結果に応じて確認し、債務者区分の判断と一体として一次評価に必要な修正をする。このように、財務データによる信用格付を、具体的な取引先の事象に応じて修正する業務プロセスを構築したことで、両者の整合性を確保している。
図32を参照すると、横軸は信用格付及び債務者区分で、図中左側は信用リスクが小さく良好で、右側が悪化であり、縦軸はスコアリングモデルによる評点である。図32中、信用格付はAからZ、正常先、要注意先の後、要管理は要管理先債権を含む要注意先、懸は破綻懸念先、実は実質破綻先、破は破綻先である。
スコアリングモデルの評点は、信用格付を区分するものであるから、評点が大きいほど信用格付が高くなければならない。正常先については、この関係が成り立つが、正常先と要注意先との区分については、スコアリングモデルのみでは信用格付を区分することができない。すなわち、スコアリングモデルは、財務分析による判断であるが、自己査定は、延滞の有無、延滞の期間など、取引先に生じている事象による判断である。このため、財務分析のみでは、正常先と要注意先とを区分することができない。
端的な例では、業況が悪化し、売上が1/3に、利益が1/10になった債務者があるとすると、この売上が1/3になった事業年度では、財務分析によって経営成績の悪化を把握することができる。しかし、売上が1/3になった後、その水準で数年経過していると、売上や利益に変動がなく、経営の不安定性が財務に現れにくくなる。この業績悪化後の一定水準での経年経過に関し、延滞や、貸出条件の緩和などが生じていなければ、安定していると判断できるが、融資返済の延滞などの事象が生じている際には、財務分析としては安定しているのかも知れないが、信用リスク管理として要注意先と把握しなければならない。
信用格付でのスコアリングモデルにて、この業績悪化後の一定水準での経年経過について、信用リスクの低下を把握しようとしても、3つの点で問題が生ずる。
第1に、この信用リスクの再度の低下を把握するための手法をスコアリングモデルに導入すると、正常先のスコアリングの精度が悪化しかねない。
例えば、この例で信用リスクの再度の低下を把握できるように、スコアリング項目のウェイト(重み付け)を変化させたとすると、当該信用リスクの再度の低下を把握できるようになるかも知れないが、正常先の判断が実際の信用リスクから乖離しかねないのである。例えば、スコアリングモデルでは、各スコアリング項目の評点の加算により最終的な評点を求める。従って、延滞等をスコアリング項目に入れたとしても、他のスコアリング項目の評点が高ければ、結果的に正常先の範囲内の評点となることも想定され得る。この評点の加算により合計評点を求めるというスコアリングモデルの仕組みでは、特定の事象が生じていることによって合計評点を下げることはできない。この合計評点を下げることを行おうとすると、スコアリングモデルが二本立てになるなどし、比較可能性を減少させ、実際の信用リスクとの乖離が生じてしまう恐れがある。
第2に、延滞や、貸出条件緩和などの事象の発生は、業種によっても異なり、経営者によっても異なる個別性の高い信用リスクであるため、財務分析の判断を精密にすると、信用リスクが低下していない先についても抽出されてしまい、結局、個別の事象による判断が必要となってしまう。これでは、均質な財務分析にならない。
第3に、財務分析にて延滞等の事象の発生を予測するには、経営者の個人資産を会社の資本金に加算するなど、公表された財務項目の数値への加減算が多くなりすぎ、正常先のスコアリングによる信用格付の精度が悪化してしまう恐れがある。すなわち、スコアリングは、公表財務データから客観的に定量的なスコアリングを行うことが望ましい。経営者の主たる事業外の収入から回収確実な際に、正常先と判断できるのは、例外的な判断であって、自己査定作業では、そのような判断の経過と例外判断の根拠とを明確にすべきである。
従って、実態財務として経営者から会社への融資を資本金に組み入れるのではなく、実態財務の分析では債務超過との数値を得ておき、スコアリングは公表財務の数値により他社との比較を行う。そして、自己査定の判断基準として、家族等収入で回収確実と判断できるのであれば、その適用を明確にし、公表財務等では債務超過となるが、実質債務超過ではないとして、正常先に区分すべきである。すなわち、判断の結果のみならず、判断の過程の明確さが必要であり、このためには、自己査定作業と同時に信用格付を必要に応じて修正する本実施例による業務プロセスが好ましい。特に、判断の過程を明確にすると、検証可能性を向上させ、監査・検査時間の短縮させることができる。
このように、信用格付でのスコアリングに際しては、公表された財務計数を尊重し、不良資産による減額は行うものの、経営者の個人資産を会社の資産に加算する等の調整は行わない。これにより、全ての債務者につき、公表された財務計数に基づいたスコアリングを保守的に行うことができる。一方、より実態を参酌した判断は、保守的かつ限定的に自己査定作業での例外と位置づけつつ判断する。そして、本実施例では、信用格付は、財務分析により行い、自己査定作業では、事象や個別事情を考慮して判断し、最終的に、自己査定作業にて要注意先以下と判断された際には、信用格付を修正する。これにより、スコアリングモデルを精緻に維持することができ、信用リスク管理として予見可能性を高めることができる。
図32を参照すると、信用格付のAからGは正常先であり、そのスコア(合計評点)は、AからGへ段階的に小さくなっており、スコアと信用格付とは強く相関している。一方、要注意先のHでは、正常先のFと同一のスコアの債務者もあれば、正常先のGと同一のスコアの債務者もある。従って、スコアでは、正常先と要注意先とを明確に切り分けることができない。この正常先と要注意先をスコアで切り分けることができるようにスコアリングモデルの調整をしたとすると、その調整によって、信用格付のAからGまでをスコアによって区分することができないモデルとなってしまう。すなわち、正常先と要注意先の切り分けは、自己査定作業によって行うべきであり、その自己査定作業によって、要注意先と区分された債務者については、最終的に信用格付をH以下とする。同様に、正常先を区分できるスコアリングモデルでは、要注意先、破綻懸念先等をスコアで区分することができない。なお、信用格付作業にて、定性的要因の判断により、ランクアップ、ランクダウンを行うと、そのスコアによる格付から、信用格付を1段階上下に移動することとなる。この場合、同一のスコアであるが、1段階上下の信用格付に所属する先が生じる。
本実施例では、信用格付作業を公表財務によるスコアリングモデルにてスコアを使用して信用格付を格付し、一方、自己査定作業では個別の事象の発生や取引先の事情に応じて債務者区分を行う。そして、自己査定作業にて要注意先以下となった債務者については、正常先に相当する信用格付の一次評価であっても、自己査定作業の後に、信用格付を修正する。これにより、信用格付作業では、正常先を有意に区分できる信用格付を得ることができる。
財務諸表を作成する基準として、継続企業の公準(ゴーイング・コンサーン)がある。継続企業の公準は、財務諸表は、その企業が永続することを前提に、事業年度を単位として、作成するというものである。従って、資産は、清算価格ではなく、企業の永続性を前提として、取得原価を減価償却した金額である。債務者区分として、破綻懸念先は、この継続企業の公準が満たされない可能性を懸念するものである。そして、継続企業の公準を満たさなければ、その財務諸表は不正確である可能性がある。このため、正常先ではない債務者の財務諸表は、会計基準からして、正常な財務分析ができない可能性がある。従って、財務分析は、正常先に最適化することが最も精緻であり、適切である。一方、要注意先以下の判断については、財務分析ではなく、取引先に生じた事象を加味すべきである。この点、本実施例にて、自己査定作業後に信用格付の確定を行う業務プロセスは、正常先を有意に区分し、かつ、要注意先以下を正確に区分することのできるものとなっている。特に、一方向制御により、自己査定作業と同時に、信用格付の確定作業を促すため、全ての自己査定作業に関し、自己査定による債務者区分と、信用格付との整合性を強力に確保することができる。
[抽出符号]
図33は、本実施例で使用する抽出符号の一覧を示す説明図である。抽出符号は、確認を要する正常先、要注意先及び破綻懸念先以下と判断する抽出基準に該当するか否かをシステム上管理する符号である。
図33に示すように、抽出符号は基礎データ6bから導出することができる。例えば、オンラインシステム72では与信明細を管理するコードを保持しており、そのコードの種類によって当該与信債権がリスク管理債権であるか否かをシステム的に取り扱うことができる。そして、債務の返済に関しては、口座振替や、オンライン端末1のオペレーションにより債務者の口座を用いて決済するため、仮に延滞が発生した場合にはその延滞情報をオンラインで管理することができる。そして、延滞日数に応じて延滞金が発生し、その延滞金の額をオンラインシステム72で計算するため、延滞情報もオンラインシステム72で管理している。また、融資の資金使途が利息返済である場合や、融資条件を変更した場合や、当初から返済期日を極端に長期とした等の与信条件に問題がある場合等を、融資先管理コードとして管理している。この与信明細管理コードと、融資先管理コードとにより、抽出符号のほとんどを導出することができる。
また、例えば、不動産プロジェクト資金与信先で、プロジェクトの事業化又は販売の目処が当初計画より一年以上遅れている先(抽出符号「不」)について、与信債権明細管理コード等による管理を行っていない場合には、これを手動抽出符号とし、債務者決算検討時の作業で作業者による手動による抽出符号の設定を促すようにしてもよい。財テク資金(投機資金ではない)与信先で、含み損がある先等をオンラインシステム72で管理しない場合にも、抽出符号の内容からして、債務者の財務諸表の分析時に判明するため、手動抽出符号として、基礎データ6bからの導出を行わないようにしても良い。
抽出符号「赤」や、無配先又は低株価先を示す「株」は、公表財務計数から導出することができる。「赤」は、決算書に欠損金を計上している先である。これは、経常損失又は当期損失を計上している先や、繰越欠損金を計上している先や、償却不足等により実態が欠損となっている先である。債務超過先を示す「債」は、公表財務計数を修正した実態財務計数や、個人事業主の場合の簡易登録等から導出することができる。当行の役員関連与信先というのは、融資先の取締役が役員の親族である等の場合であり、コンプライアンスの観点から正常先であっても監査の権限により詳細な資産査定を行うものである。
信用格付は、実態財務計数に基づいて定量評価を行い、債務者の状況から定性評価を行うことが多い。この場合、評価の項目毎に内容に応じた評点があり、その合計点数で信用格付を定める。「格」のスコアリングというのは、この信用格付の定量又は定性評価の評点である。関連融資先「グ」は、例えば親会社が要注意先以下の場合の子会社等であり、関連融資先データから導出することができる。
抽出符号と債務者区分等の関係については、例えば、赤字先については、赤字先であれば必ず要注意先に区分されるとは限らない。赤字先は一般的に今後の管理に注意を要する債務者であり、原則的に要注意先に債務者区分することとなる。しかし赤字企業でも、それが一過性の原因によるものや、創業赤字と見られる場合には、要注意先とする必要はない。一過性の原因としては、例えば、不要設備の除却損など、特別な損失の発生や、一時的な原因によるもので、体質的・構造的な要因によるものでないこと等である。
[エンティティー・リレーションシップ]
次に、格付自己査定作業で使用する作業データ6aのデータ項目を説明する。
図34から図37は、作業データ6aの各データ項目のキーを示すER図である。エンティティー・リレーションシップ図(ER図)は、リレーショナル・データベスのデータ項目のキーを明示する図である。このER図は、3つのボックスからなり、上段がエンティティーの名称、中段がキー、下段が項目である。
例えば、顧客506では、上段の「顧客」がエンティティーの名称で、中段の「CIF番号」がこの顧客のデータ項目を特定するためのキーで、顧客についてCIF番号のみで特定できるデータ項目は下段の業種コード、人格コード、親会社顧客番号等である。顧客506のキーはCIF番号のみであるため、CIF番号を唯一に特定すると、業種コードは唯一に特定される。
基準日顧客508は、CIF番号のみならず、基準日もキーとする複合キーである。例えば、代表者氏名や、企業グループを識別するグループ番号等は、CIF番号と基準日とで特定する。この中段のキーと下段のデータ項目との関係は、図34から図37、及び図12に示す全てのエンティティについて同様である。点線は、キーを共通とする外部キーのうち、特に注目する外部キーの共通性を示す。
図34に、CIF番号、基準日及び/又は作業通番をキーとするエンティティーを示す。
図35に、決算年月等をキーとする顧客別決算年月530や、顧客別財務計数比率534を開示する。
図36に、査定部門コード等をキーとする顧客部門別作業540や、与信明細査定結果計数548を開示する。
図37に、疎明資料索引554等の制御用のテーブルの一例を開示する。
[特定操作要求]
・コメント
図38に、格付自己査定作業のタスクにて必要に応じて入力を促すコメント名と、そのキー項目を掲げた。
本実施例では、特定操作要求処理24が、銀行業務の作業上保守的な内容の作業データ6aを作業者の入力データ6cとして初期値表示すると共に、当該初期値表示する入力データが当該作業者によって変更される際には、コメント入力フィールドを特定操作要素として、当該コメントの入力を促すと良い。
この例では、条件確認処理20の特定操作確認処理26の一部として、コメント入力フィールドに、何らかのコメントが入力されたか否かについては確認すると良い。この場合であっても、コンピュータシステム4の情報処理として入力されたコメントの内容については確認しない。入力されたコメントの適切性については、コメントの強制再表示処理12によってコメントを入力した当初の作業者自身によって確認され、また、ワークフロー制御部94による作業のワークフローによって、二次査定部門や監査部門にて確認される。
この例では、入力データ6cがコメントであり、コメントの入力がなされない場合には次タスクへ推移するボタンB2の操作を禁止するため、例外判断については必ずコメントが入力される。このため、二次査定部門や監査部門にて作業者の当初の思考を追認しやすい。また、例外判断の根拠を業務プロセスとして明確とすることができる。すなわち、作業者の個々のスキルによらず、例外判断については必ずコメントが入力されるため、部門間の牽制効果を高めることができ、不適切な例外判断であるか否かを二次査定部門及び監査部門で発見しやすい。また、例外判断についてコメント入力を必須とすることで、事後的な検証可能性を高めることができる。
・理由コード
好適な例では、前記特定操作要素を、前記債務者の実態に応じた当該作業者の判断の理由について予め定められた理由等のコード4xxの選択の入力を求める理由コードフィールドとすると良い。理由等のコード4xxは、例えば、信用格付判定理由コード423(図57)である。これは、信用格付の一次評価と、債務者区分による信用格付とが異なる際に、債務者区分と信用格付とを整合させる判断をした際にも入力を促すコートである。
・抽出基準の例外
好適な例では、前記導出データ6dとして、抽出基準に該当するか否かをオン/オフで示す抽出符号(破綻懸念先以下抽出符号80,要注意先抽出符号82,正常先抽出符号84)を有する。この例では、債務者区分タスク群(T1310, T1320)が、抽出基準確認タスク(T1310)を備える。
抽出基準確認タスク(T1310)は、図33に示す作業データ6aを使用して、各抽出符号(82,84)のオン/オフを計算する。そして、前記計算した各要注意先抽出符号82及び前記各正常先抽出符号84のオン/オフを、前記特定操作要素である当該作業者の初期値として、入力編集可の要素属性で表示制御する。さらに、前記各抽出符号のオン/オフの確認及び入力を当該作業者に促すと共に、前記要注意先抽出符号82の一部がオンとされた債務者について、当該作業者の判断により債務者の財務状態の実態に応じて正常先に区分しようとされる際には、前記特定操作確認処理26として、抽出基準修正コメント210の入力を要求する。
この実施例3では、一方向制御により判断過程を統一しつつ、特定操作要求処理24が、予め定められた事項・項目について作業者の入力データ6cを初期値表示し、当該初期値が変更される際には、特定操作を要求し、特定操作がされない状態での画面遷移を禁止する。従って、予め定められた事項について、作業者の判断根拠を記録することができ、例外判断の根拠をデータとして管理することができる。そして、例外判断を許容しつつその根拠に相当するデータの入力を求めることで、作業者の柔軟な判断と均質な判断との調和を保持し、統制することができる。これにより、内部監査の有効性と効率性を向上させることができる。
<格付自己査定システム:画面の具体例>
次に、具体的な画面例を参照しつつ、銀行業務処理システムの一例として格付自己査定システムの一例を開示する。
図39に、画面の一覧例を示す。図39に示す一覧例は、図11に示すタスクIDT1000からT1600までのタスクに含まれる画面例で、債務者が法人の場合の進捗を左側に、個人の場合の進捗を右側に示した。本実施形態及び各実施例での一方向は、図39では図中上側の画面から下側の画面に向かう方向である。
また、図40以下に図示した画面については図中左端の図面欄に丸を付した。
実施例4の格付自己査定システム(銀行業務処理システム)は、前記タスク処理部10が、前記一方向制御処理42に従って推移させるタスクとして、図39に示すように、決算検討タスク群(T11xx)と、信用格付タスク群(T12xx)と、債務者区分タスク群(T1310, T1320)と、債権分類タスク群(T133x)と、債務者の概況タスク(T16xx)とを備えている。
そして、前記債務者区分タスク群(T1310, T1320)が抽出基準確認タスク(T131x)を備えている。この抽出基準確認タスク(T131x)は、まず、決算検討タスク群で登録された実態財務データを含む作業データ6aから前記抽出基準に該当するか否かを示す複数の抽出符号のオン/オフを計算すると共に当該抽出符号のオン/オフを前記特定操作要素である当該作業者の初期値として入力編集可の要素属性で表示制御する。そして、抽出基準確認タスク(T131x)は、前記各抽出符号のオン/オフの確認及び入力を当該作業者に促す。さらに、当該作業者の判断により前記抽出符号のオン/オフの初期値を修正しようとされる際には、特定操作要求処理24として、抽出基準修正コメント210の入力を促す。
さらに、本実施例4では、債務者の概況タスク(T16xx)にて債務者の概況を担当者による最後の内容確認画面として、この債務者の概況画面を使用して、一方向制御の最後に総合的な整合性の判断を促すと良い。この場合、債務者の概況タスクが、強制再表示処理12として、決算検討コメントの一部(206, 207, 208)又は全部(203, 204, 205, 206, 207, 208)を入力編集不可の属性で再表示する。すなわち、決算検討タスク群(T11xx)が、当該債務者の決算を検討した作業者へ当該決算検討コメント(204, 205, 206, 207, 208)の入力を要求し、作業者は、例えば、図46に示す画面にて決算検討コメント(204, 205, 206, 207, 208)を入力する。
そして、前記債務者の概況タスク(T16xx)が、前記一方向制御処理42の実行下で、前記決算検討コメントの一部(206, 207, 208)又は全部(203, 204, 205, 206, 207, 208)を入力編集不可の属性で再表示するとよい。このように、債務者の概況タスクにて、決算検討のコメントを表示し、決算検討コメントを修正する際には、強制的に、決算検討画面まで処理を戻し、決算検討、信用格付、自己査定の全ての画面を再度経過しなければ、債務者の概況タスク(T16xx)に戻ることができない。すなわち、決算検討作業が作業の骨幹であって、この決算検討作業の結果を集約した決算検討コメントの一部又は全部が債務者の概況の判断にて矛盾することは許されない。
この債務者の概況タスク(T16xx)により、柔軟な判断を許容しつつ、総合的整合性の確保を促す。債務者の概況タスクにて、総合的な整合性が確認できない場合には、一方向制御により、信用格付や債務者区分の判定用の画面まで作業を戻すこととなる。債務者の概況画面の一例を図69及び図70に示す。
本実施例は、この抽出基準確認タスクの特定操作要求と、債務者の概況タスクでのコメントの強制再表示により、早期熟達と事務合理化との両立を図り、業務プロセスを確立し予防的統制効果を得て、検証性を高め、ITによる内部統制の質を向上させることができる。
また、一方向制御下にて、ワークフロー制御部94による差戻しがある際には、差戻し先428のタスクを債務者の概況タスク(T16xx)とすると良い。これにより、具体的にどのタスクからやり直しを行うかについては、営業店担当者が自ら判断することができる。
この例では、サーバー4Aが、ワークフロー制御部94を備える。このワークフロー制御部94は、前記作業者による作業の完了後、同一又は他の査定部門のワークフロー先へ当該作業を電子的に回付し、当該ワークフロー先にて当該作業を前記作業者へ差し戻す操作がなされた場合には、当該作業を前記作業者に電子的に差し戻す。そして、前記進捗制御部30が、前記一方向制御処理42の実行下で、前記ワークフロー制御部94によって電子的に差し戻された作業の作業対象のタスクIDを、前記債務者の概況タスク(T16xx)のタスクIDとする。
この例では、差戻しの内容に応じて、差し戻された作業者自らが修正すべき画面を選択でき、これにより、最小限の作業で差戻しに対応することができる。実際には、差戻し時に進捗ステータステーブル8aにアクセスし、作業済である債務者の概況の進捗ステータスを作業中に変更する。すると、メインタスク(T10xx)を現タスクIDとして次タスク特定処理34を実行すると、債務者の概況タスク(T16xx)が次タスクIDとなる。
[チェック・確認]
各タスクは、チェック画面と、確認画面とを有すると良い。すなわち、チェック画面としては、図39に示すように、基礎データ6b及び導出データ6dを表示して入力データ6cの入力を促すチェック画面(例えば、タスクID13-10-01から13-10-04や、13-32-01から13-32-04)がある。確認画面としては、前画面までに入力された作業データ6aを一覧として表示し当該作業データ6aの整合性の確認を促す確認画面(例えば、タスクID13-10-05以後や、13-32-05)がある。
タスクがこのようなチェック画面と確認画面とを有すると、確認画面の繰り返しにより、個別の判断の整合性を保ちつつ、全体の整合性の確保を促すことができる。確認画面では、チェック画面又はそれ以前に入力された入力データ6cや、導出データ6dを再表示すると良い。
図39中、xx-xx-xxの画面IDで識別する各画面につき、画面の名称に「チェック」が含まれている画面がチェック画面であり、名称に「確認」が含まれている画面が確認画面である。例えば、図11に示す自己査定の抽出基準確認タスク(T1310)は、図39に示す例では、取引先の事象チェック:13-10-01(図51)、抽出基準チェック1(債務者単位):13-10-02(図52及び図53)、抽出基準チェック2-1(貸出金明細):13-10-03(図54)及び抽出基準チェック2-2(商手・オフバラ明細):13-10-04(図示なし)の4つのチェック画面と、確認画面:13-10-05(図55)とを有する。
<実施例4: 画面の具体例>
それでは、以下、実施例4の格付自己査定システムの画面の具体例を説明する。画面例では、下記の架空の事例とし、架空の数値を開示する。事例及び数値や事象は架空のものであるが、これらの数値や事象に応じた作業者の判断や、コンピュータシステム4の情報処理内容は通常の自己査定に関する様々な要請に整合したものである。一方、各事例での個別の判断手法等は、必ずしも出願人自身の実際の要領とは一致しない場合や、出願時点にて一致していても出願後の法制度及び実務の変化により一致しなくなる場合もある。また、本実施例による格付自己査定システム(銀行業務処理システムの一態様)を使用する金融機関の規模によっては、債務者も中小・個人事業主から大企業までとその規模が異なるため、下記の事例についての判断とは異なる判断となる場合もある。
図40に示す符号D1は、6桁の画面IDである。この画面IDのうち、上四桁はタスクIDの番号である。操作できるボタンには右下に影を付した。入力不可の表示項目(フィールドの表示用の名称など)は白抜きで表示している。右下に影を付したフィールドは入力編集可である。他の画面例についても左上に画面IDと画面名を示す。
図39及び図40以下に示す例では、コンピュータシステム4のデータ読み出しや通信による負荷を軽減するために、コンピュータシステム4と端末1とのデータの送受信はタスク毎に行う。従って、同一のタスクに属する複数の画面の進捗は、端末1側で管理する。すなわち、同一のタスク内で戻るボタンや次へボタンを操作した際には、コンピュータシステム4との通信を発生させず、端末1側で画面の切り替えをする。コンピュータシステム4の進捗制御部30がタスクの進捗(「次へ進む」と「戻る」)を管理するのは、タスクの最後の画面で次へボタンが操作された際と、タスクの最初の画面で戻るボタンが操作された際である。
図40は、画面ID:00-00-01の格付自己査定システムメイン(営業店)画面の一例である。図中左上の符号D1で示す00-00-01がこの画面の画面IDである。この画面は、メインタスクT0000に含まれる。画面IDの上位4桁がタスク番号である。作業者名は、図中右上に表示される。ここでは、作業者名は「作業者1」であり、作業者1は、営業店の担当者である。このメイン画面では、起票された作業の一覧が表示される。作業者が、取引先名D2等をみて、リストの任意の位置にてクリック操作等をすると右端の選択D4がチェックされ、右下の作業開始ボタンB1を操作すると、選択した債務者の作業が開始される。
図40に示す例では、CIF番号10-XXX-XX1のA株式会社の作業がチェックされている。この状態で、画面右下の作業開始(次へ)ボタンB1ボタンを操作すると、A株式会社の作業の開始となる。この作業開始ボタンB1の操作に応じた要求を受信すると、ワークフロー制御部94は、この作業通番の作業ステータスを実行に変更する。
続いて、進捗制御部30は、起票時処理36を実行することで、この作業通番の進捗ステータスを生成して、全てのタスクに未着手を格納する。また、作業の開始時ではなく、伝票に作業通番を与えて起票し、当該メイン画面に表示可能とする段階で、進捗ステータスを生成し未着手を格納するようにしても良い。進捗制御部30は、さらに、次タスク特定処理34を実行することで次タスクIDをT1100と特定し、そして、T1100(決算検討作業選択,図示せず)のタスク開始処理38を実行する。また、この画面にて、状況速報ボタンB11を操作すると、状況速報による作業を起票するため、図41に示す画面ID: 02-00-01の状況速報起動画面を呼び出す。
終了ボタンB6が操作されると、作業を終了する。
図40に示すメイン画面では、画面右上の並び替えボタンB21と、「融資先番号順」とあるコンボボックスとの操作により、作業の一覧を並べ替えることができる。また、データ一覧更新ボタンB12の操作を受信すると、ワークフロー制御部94は、作業ステータス等を参照して、最新の情報を端末1に送信する。作業は、起票されると、営業店の振り分け担当者に振り分けられる。なお、状況速報による起票の際には直接担当者に振り分けるようにすると良い。営業店の振り分け担当者は、振り分け待ち一覧ボタンB13を操作し、振り分けされていない作業の一覧をメイン画面に表示する。振り分け待ち一覧ボタンB13が操作されると、ワークフロー制御部94は、当該営業店の作業のうち、作業ステータスが待機である作業の一覧を端末1に送信する。振り分け担当者の指名等は、権限変更の権限を有する例えば支店長等が本システム又は別システムの操作により行う。担当者変更は、担当者変更ボタンB20等の操作により行う。
処理待ち一覧ボタンB14が操作されると、振り分け作業、営業店担当者の作業、統括者や支店長の承認待ちなど、手続毎の作業の一覧を表示することができる。作業の手続の状態は、作業ステータスの他、進捗ステータスとして管理されている。ワークフロー制御部94は処理待ち一覧ボタンB14,担当者作業待ちボタンB15,承認待ちボタンB16、確認待ちボタンB17及び店一覧ボタンB18の操作による要求に応じて、作業ステータスや進捗ステータスを参照し、作業の一覧を生成し、端末1に送信する。
取消起票は、営業店担当者が行う。例えば、図40に示す例では、起動条件が決算登録である△株式会社と、起動条件が状況速報である△株式会社とが起票されている。決算登録は自動的な起票であり、状況速報は手動による起票であるから、このような重複して起票される状態を要件定義として意図的に許容している。ワークフロー制御部94は、異なる作業通番で、同一のCIF番号の作業が重複しているため、CIF番号の重複により、作業の重複と判断する。そして、重複フィールドD3に「不可」を表示する。
2つの作業のうち、決算登録の作業は必須であるため、状況速報による作業を取り消す。営業店担当者は、状況速報の△株式会社を選択し、データ取消ボタンB19を操作すると、取消理由の入力を要求された後、当該状況速報による作業の取消を起票する。この取消は、例えば統括者に電子的に回付され、統括者の承認によって取消を行う。この作業が取り消されると、決算登録による△株式会社の作業の不可が外れ、作業を開始することができるようになる。ワークフロー制御部94は、取り消された作業通番の作業については、作業ステータスを取消とする。
図40下の取引先要項ボタンB24が操作されると、コンピュータシステム4は、取引先要項システム74を起動する。取引先要項システムについては、特許文献4に詳細が開示されている。作業の前に、取引先要項システム74の要項IIの画面(例えば、図74、特許文献4の図4等)に、主要動向区分430と動向コメント222とを入力する。主要動向区分430は、動向コメント222の種類を示すもので、例えば特許文献4の図3に例示されている。図69に示す例では、主要動向区分430は、「創業」「法人成り」「事業の展開・変動」等である。
照会ボタンB23を操作すると、作業のための各種の情報を照会することができる。疎明資料ボタンB5は、電子的な疎明資料をコンピュータシステム4に登録するための操作を受信するボタンである。疎明資料の登録は、通常の作業では入力できない情報を登録するものである。具体的には、表計算ソフトウエアのファイルや、ワードプロセッシングソフトウエアのファイルや、画像データのファイルを、疎明資料として、作業通番毎に、コンピュータシステム4に登録する。
印刷ボタンB22が操作されると、印刷するための画面に推移する。ヘルプボタンB27が操作されると、ヘルプを表示する。
図40に示す例では、CIF番号10-XXX-XX5のF株式会社について、差戻のマークが付されている。これは、実態バランス再修正を起動条件とした作業について、一度担当者の作業を完了させてワークフローとして回付したが、上級審から差し戻された作業である。
図41は、画面ID:02-00-01の状況速報起動画面の一例を示す説明図である。状況速報起動画面は、メイン画面00-00-01の状況速報ボタンB11の操作により呼び出される。状況速報起動画面では、営業店担当者は、図中左上のCIF番号入力フィールド300に状況速報を起動する債務者のCIF番号を入力し、登録ボタンB1を操作する。すると、融資先番号600-xxx-xx3の「C株式会社」との取引先名と、主担当店である「本店営業部」とが表示される。また、勘定系システム等のオンラインシステム72との整合を確保するために、オンラインシステム72の操作の手順が表示されるため、営業店担当者は、この内容を確認し、オンラインシステム72に必要な操作を行う。そして、営業店担当者は、状況速報起動理由コード400の一覧から、該当する状況速報起動理由コード400を選択する。ここでは、取引先の業況変化を選択する。登録ボタンB1の操作を受信すると、起票制御部96は、状況速報による作業を起票し、作業通番を付し、進捗ステータステーブル8aを初期化する。例えば、全てのタスクについて未着手とする。その後、メイン画面に戻ると、この状況速報による作業が起票されている。
画面ID:10-00-01の作業開始確認画面(図示せず)では、債務者の業種や人格(法人、個人、ノンバンク)を確認し、事実と異なる際には、オンラインシステム72についても変更が必要であるため、オンラインシステム72に変更を登録し、その後、本実施例による格付自己査定システムに取り込む。また、作業開始確認画面では、円換算レートを入力する。業況変化による状況速報による際には、作業開始確認画面にて、変化の理由コード401(主要動向区分430としても良い)を選択し、さらに、その内容について業況変化の詳細内容コメント200を入力する。ここでは、図41の状況速報起動画面に、この変化の理由コード等の表示例を示す。変化の理由コード401としては、周辺状況の悪化、法的手続申立など従来融資先管理で使用していた理由を用いると良い。この変化の理由コード401は、取引先要項システムで利用する主要動向区分430を使用することもできる。
図42に示す画面ID:10-00-02の作業要否選択画面では、格付作業の要否を確認し、選択する。作業要否判定コード403は、基礎データ6bを用いて情報処理により判定した要否であり、予め定められた条件に従って作業の要否の自動判定結果を表示する。作業者は、作業要の際には次へボタンB1を操作する。作業不要の際には作業不要ボタンB9の操作により次画面に遷移する。
また、作業の参考とするために、スコアリング評点照会ボタンB30と、抽出符号照会ボタンB31と、個人定量評点ボタンB32と、財務要約照会ボタンB33と、財務分析帳票ボタンB34とを表示し、これらボタンの操作に応じて判断の参考となる情報を表示する。
例えば、抽出符号照会ボタンB31が操作されると、図47に示す抽出符号照会画面を表示する。
取扱要領ボタンB25が押し下されると、信用リスク管理及び資産査定に関する行内規程(取扱要領)を表示する。Q&AボタンB26が押し下されると、信用リスク管理及び資産査定に関するQ&Aを表示する。
図43に示す画面ID:11-00-00の決算検討作業選択画面では、決算検討、信用格付及び自己査定のうち、決算検討作業を開始することを作業者に示す。財務登録がある先の場合には、財務登録有り404のラジオボタンについてオンを初期値表示し、次へボタンB1の操作により図44に示す画面へ進む。財務登録がなく決算検討及び信用格付が不能な債務者については、作業では、自己査定作業から開始するようにする。この場合、自己査定405のラジオボタンについてオンが初期値表示されるため、この状態で次へボタンB1を操作する。
図44に示す画面ID:11-10-21の決算検討・雑科目の資産性検討画面は、図39に示すように、債務者が個人又は個人事業主のときには使用しない画面である。営業店担当者は、この画面で、雑科目毎の公表金額について、債務者から徴求した資料に基づいて、内訳金額407と雑科目明細408とを入力する。そして、資産性を三段階評価(○△×)し、この資産性コード406を入力する。そして、その根拠を文字データとして雑科目資産性・査定根拠コメント201に入力する。×は全額資産性なしで、△は評価損など一部に資産性ないことを示す。この「資産性」についての評価は、当該自己査定を行う債権者による信用リスク管理上の判断である。
営業店担当者は、例えば、未収入金について、その雑科目明細408に株式会社第2○○社と、第3○○社であることを入力し、第2○○社については業況芳しくないことから、保守的に、資産性なしと査定する。そして、雑科目資産性・査定根拠コメント201に「業況芳しくなく、資産性なしとする」と入力する。その内訳金額407は、40,000千円である。
図44の図中画面左側に、フォルダのツリー形式で、進捗フローB2が示されている。符号B2で示す「開始条件確認」から「次フロー」までの流れを、進捗フローという。進捗フローB2では、作業済のタスクについては実線で表示し、現在作業中のタスクについては、符号D11で示すように黒地に白抜き文字で表示し、現タスクより終了画面側のタスクについては、操作不能として点線で表示する。また、進捗フローは、符号D10で示すように、「決算検討」という作業のさらに詳細なタスクを表示するか、または、「決算検討」「自己査定」等の大枠の作業のみを表示するかを選択することができる。符号D10の開いたフォルダのアイコンは、その作業の詳細を画面に表示していることを示す。この進捗フローは、進捗フロー非表示ボタンB29の操作によって非表示と表示とを入れ替えることができる。進捗フローB2を非表示中には、このボタンは進捗フロー表示ボタンB29となる。進捗フローB2を非表示とすると、その範囲を作業のペインに割り当てることができる。
この進捗フローB2は、本実施例では、画面やタスクを開始画面側に戻す際のジャンプして戻るボタンB2である。すなわち、すでに作業済となったタスクについては、進捗フローB2の実線部分をクリックすることで、そのタスクの最初の画面にジャンプして戻ることができる。また、本実施例では、「ジャンプして進む」ことはできないため、現タスクよりも終了画面側のタスクは符号D12で示すように点線表示し、クリックすることはできない。
符号D10で示すフォルダーは、作業手順の大概念であり、複数の手順を含む。符号D10で示す決算検討では、決算実態検討のための手順と、決算総評登録のための手順とを含む。符号D11で示す文字反転の表示は、現在のタスクが属している手順である。
この進捗フローB2の表示により、業務プロセス全体の流れと、現在の作業の位置付けとを表示する。
図44の図中画面下側に、ボタン群が配置されている。戻るボタンB3は、画面を1つ戻す要求を端末1に送信する。その画面がタスクの最初の画面であれば、タスクを1つ戻す要求を端末1及びコンピュータシステム4に送信する。コンピュータシステム4では、このタスクに対して中断制御62を実行し、続いて、戻りタスク特定処理32,C23を実行し、当該戻りタスク特定処理32,C23にて特定されたタスクIDのタスク開始処理38,C24を実行する。これにより、開始画面側のタスクに作業対象を戻すことができる。
次へボタンB1は、この画面の次の画面に画面を推移させる要求を端末1に送信する。その画面がタスクの最後の画面であれば、タスクを1つ進める要求を端末1及びコンピュータシステム4に送信する。コンピュータシステム4では、進捗制御部30が、タスク完了処理40,C20を実行し、次タスク特定処理34,C23を実行し、タスク開始処理38,C24を実行する。これにより、終了画面側のタスクに作業対象を進めることができる。
図44に示す例では、画面ID:11-10-21の雑科目の資産性検討画面と、図45に示す画面ID:11-10-22の決算の実態登録画面とは同一のタスク内であるため、画面ID:11-10-21の次へボタンB1の操作により、端末1側で画面ID:11-10-22の画面を表示させる。1画面1タスクとする際には、サーバー側で画面表示制御を行う。
顧客属性表示ボタンB28が操作されると、当該画面に顧客の属性を表示する。
前回内容照会ボタンB38が操作されると、照会表示処理28は、前回の決算検討の内容を別途表示する。前回内容取込ボタンB39が操作されると、前年度の決算検討の結果を今回の画面の対応欄に取り込み、表示する。
貸借対照表(単体)ボタンB37が操作されると一覧形式の貸借対照表を表示し、損益計算書(単体)ボタンがB36操作されると一覧形式の損益計算書(単体)を表示する。主要経営比率(単体)ボタンB35が操作されると、図48に示す主要経営比率(単体)の照会画面を表示する。この画面では、経営比率に関する主な問題点とポイントコメント209を自動表示すると良い。
資産性の検討にて、疎明資料を添付する際には、作業者は、疎明資料ボタンB5を操作する。コンピュータシステム4は、疎明資料となるファイルを登録するための画面を表示する。
図45に示す画面ID:11-10-22の決算検討・決算の実態登録画面では、雑科目の資産性の検討結果に応じて、財務諸表の公表金額の実態を登録する。B/SへボタンB40と、P/LへボタンB41とで、両者を切り替え表示することができる。ここでは、流動資産の一部の科目を例示する。例えば、未収入金であれば、第2○○社についての未収入金の資産性なしと判断したため、その資産性修正額409として40,000を入力する。この資産性修正額409の多くはマイナスであるため、システム側でマイナスを自動的に付加するようにしても良い。また、雑科目の資産性検討画面11-10-21での入力結果に応じて、資産性修正額409の入力内容を自動的に登録しても良いが、この決算の実態登録画面11-10-22にて再度の登録を求めることが好ましい。
計算ボタンB7が操作されると、修正額をB/S等に反映させる計算をする。
雑科目の資産性検討画面の入力データ6cを自動的に実態登録画面に反映させない理由は、第1に、決算検討作業は営業店担当者のスキル向上にとって重要な作業であるため、コンピュータシステム4ではなく、営業店担当者が計算すべきであり、第2に、雑科目の資産性検討では、内訳を把握し、個々に資産性を検討することが主眼である一方、実態登録では、その検討結果を科目毎に合算する作業である。この2つの手順を営業店担当者が検討し、判断することで、入力内容の正確さ及び精密さを向上させることができ、第3に、二次査定部門や監査部門にて営業店担当者の検討の程度を検証しやすい。
また、条件確認処理20,C12は、この決算の実態登録にて入力した雑科目に関する修正額の絶対値が、雑科目の資産性検討にて資産性なしとした内訳金額407よりも少ない際に、エラーを表示し、両画面の整合性を求めるようにしても良い。
営業店担当者は、図45に示す画面の作業が完了すると、次へボタンB1を操作する。タスク処理部10は、次へボタンB1の操作に応じて、計算処理18,C6、条件確認処理20,C12及び格納処理22,C13を実行する。そして、次へボタンB1の操作に応じて、進捗制御部30は、作業通番と現タスクID: T1110とを引数として、進捗ステータステーブル8aを参照し、現タスクIDに作業済を格納する。
進捗制御部30は、続いて、次タスク特定処理34を実行する。次タスク特定処理34,C23では、当該作業通番の進捗ステータステーブル8aを参照して、進捗ステータスが未着手又は作業中のうち、最もタスクIDの小さいタスクIDを特定する。ここでは、T1120が特定される。タスク開始処理38,C24は、タスクID: T1120のタスクの開始を制御する。タスク処理部10は、タスクID: T1120の画面定義情報7aを読み出して、端末1に送信する。また、表示制御処理16は、画面定義情報7aのフィールドの検索式から、作業データ格納部を検索し、基礎データ6b及び前画面までに入力された入力データ6cとを端末1に送信する。端末1では、画面定義情報7aと受信した作業データ6aとを合成し、タスクID: T1120の最初の画面を表示する。
図46に示す画面ID:11-20-11の決算検討・決算検討(法人)画面では、前々期の公表と、前期の公表と、今期の公表と、対前期の増減額とを勘定科目毎に表示される。ここでは、流動資産の項目の一部を表示する。この画面にて、前期又は前々期に実態修正されていた際には図46に示す公表の数値に実態修正されたことを示すマーク等を表示するようにしても良い。また、過去に実態修正されていが、今期実態修正しておらず、その理由を把握できない際には、営業店担当者は、前回内容照会ボタンB38等を操作して前期の内容を確認し、必要に応じて雑科目の資産性検討画面11-10-21に戻って決算検討作業をやり直す。
本実施例では、雑科目の資産性検討として整合性のある判断を入力し、決算の実態登録として整合性のある判断を入力し、さらに、前々期及び前期との関係での整合性を確認した上で、総合的な決算検討を行うことが情報処理により構築された業務プロセスとして強制されている。従って、全ての作業の査定結果は、この手順により判断されたことが保証されている。すなわち、一方向制御により、全ての営業店担当者の判断過程を一定範囲統一し、その判断内容を標準化している。
また、財務項目には、財務分析の知識によって予め定められた「異常」が定義されている。例えば、受取手形や売掛金であれば、その回転期間や売上高の変動比率との関係で一定値以上(未満)の際に異常とし、異常マークを表示して、その異常値についての説明を求めるようにしても良い。
この決算検討画面11-20-11では、異常マークがある際に、システムで自動的に主要アラームコメント203を表示する。その他、異常マークについてコメント204、当期の業況総評コメント205、業況・財務の特徴コメント206、赤字・延滞解消の見込みコメント207、今後の業況等の見通しコメント208を入力する。図中「→」が付されているコメント206,207及び208については、タスクID: T1600の債務者の概況画面で再度表示するコメントである。これは、強制再表示処理12であり、営業店担当者は、債務者の概況確認にてコメントの内容が他の判断と不整合と思料する際には、この決算検討(法人)画面までジャンプして戻り、以後の全ての画面を再度確認し再度作業しなければならない。
強制再表示処理12としては、この決算検討(法人)画面では、実態修正額の欄に修正額を表示し、今期実態金額にこの修正後の金額を表示することで、雑貨目の資産性検討画面及び決算の実態登録画面で入力した数値を再度表示し、公表財務での対前期増減額との関係なども考慮して、決算の実態値が整合しているかの判断を営業店担当者に求めている。この決算検討(法人)画面にて、今期実態値を修正することはできない。今期実態値を修正するには、実態登録画面に戻らなければならない。また、実態登録と、雑科目の資産性検討とは整合していなければならないため、雑科目の資産性検討の作業まで戻らなければ、今期実態値を修正することはできない。
特定操作要求処理24としては、異常マークが付されているのに、異常マークについてのコメントが何ら入力されていない状態で、次へボタンが操作された際に、当該異常マークについてのコメントの入力を営業店担当者に求めるための表示をするようにしても良い。また、次へボタンB1が操作された際に、異常マークについてコメント204と、赤字・延滞解消の見込みコメント207の2つを拡大表示し、入力されたコメントの整合性の確認を求めるようにしても良い。このように、特定操作要求処理24は、個々の内容をコンピュータシステム4により条件確認するのではなく、営業店担当者等の作業者に種々の視点を提示することで、作業の整合性を向上させることを求めるのである。すなわち、本実施例では、作業自体を自動化するのではなく、作業の業務プロセスを強制的に一定のものとするための自動化(コンピュータシステム4による情報処理)を行うのである。この自動化が、一方向制御であり、強制再表示処理12であり、特定操作要求処理24である。
図47に示す画面ID:43-20-00は、図42や図46に示す抽出符号照会ボタンB31が操作された際に表示する抽出符号の照会画面である。図中、要注意先抽出符号82のうち、債務超過先及び赤字先に公表と実態とがあるのは、公表された決算の計数にてそのまま計算した場合と、実態登録後の計数により計算した場合とである。
図49に示す画面ID:12-10-05の信用格付・定量的要因評価画面では、営業店担当者が入力する項目はない。ここでは、公表財務計数を使用して、予め定められたスコアリングモデルを適用し、予め定められた一律の計算式により評点又はスコアを算出した結果を表示するものである。このスコアリングモデルは、デフォルト率の実績値との相関等から予測性の高いモデルを継続的に採用するとよい。なお、この信用格付の定量的要因評価の具体的な手法については、数多くの手法が存在する。
営業店担当者は、図49に表示される内容を確認し、次へボタンB1を操作する。
図50に示す画面ID:12-30-01の信用格付・一次評価では、スコアリングの結果に応じて一次評価を信用格付(債務者格付)の一次評価として表示する。また、外部格付機関コード410や、特定の調査機関の企業番号411を入力し、検索ボタンB8を操作することで、外部評価を照会することもできる。
図50までで決算検討作業及び信用格付の一次評価作業が終了し、次に、自己査定作業に進む。
図51に示す画面ID13-10-01の取引先の事象チェック画面では、自己査定作業として、まず、要管理先以下の事象チェックを行う。要管理先以下については、コンピュータシステム4による自動的な判断や初期値の表示はほとんど行わず、図51に示すような文章を表示して、該当するか否かの判断を営業店担当者に促す。営業店担当者は、図51に示す文章で表される要件を満たすか否かを個々に判断し、該当する事象チェックコード412のチェックボックスをオンとする。この事象チェックでは、債務者区分を特定できるように要件を分けて表示することで、正確で均質な債務者区分の判断を促している。
図52及び図53に示す画面ID:13-10-02の自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)では、タスク処理部10は、抽出基準毎に抽出符号のオン/オフを算出し、自動抽出欄に表示する。営業店担当者は、債務者の現況から抽出基準の該当性を判断し、該当する抽出基準があれば、破綻懸念先以下抽出符号コード413,要注意先抽出符号コード414,正常先抽出符号コード415及び検査・考査符号コード416の営業店欄の該当するチェックボックスにオンを入力する。
強制再表示処理12としては、財務項目から導出される抽出符号がある。例えば、「債」、「赤」、「売」、「過」、「急」、「格」などである。これらの抽出符号の該当が営業店担当者にとって意外であった際には、決算検討の不足が懸念される。
特定操作要求処理24としては、初期表示した抽出符号を外し、また、初期表示にない抽出符号をチェックした後に次へボタンB1を操作した際に、そのチェックの内容の確認を求める画面を表示するようにしても良い。
図53に示す例では、売上減少との正常先抽出符号84がオンとなっており、営業店欄にもこのオンが初期値表示される。
また、抽出符号のオン/オフの選択で疎明すべき事情がある際には、疎明資料を電子的に作成し、疎明資料ボタンB5を操作して、電子的な疎明資料ファイルをコンピュータシステム4に送信する。
図54に示す画面ID:13-10-03の自己査定・抽出基準チェック2-1(貸出金明細)画面では、条件緩和債権に該当する際には、条件緩和コード418が表示される。担当者は、与信明細のデータに修正があれば、与信明細修正417に修正内容を登録する。担当者はさらに、与信明細毎の抽出符号419のオン/オフを判断する。タスク処理部10は、この画面で与信明細毎の抽出符号がオンとされた際には、債務者単位の対応する抽出符号をオンとする導出データ6dを算出する。
画面ID13-10-04の抽出基準チェック2-2(商手・オフバラ明細)(図示せず)は、商業手形の合算値を表示する。オフ・バランスの明細については、個々の明細毎に表示する。
図55に示す画面ID:13-10-05の自己査定・抽出条件確認画面は、確認用の画面であり、抽出基準に関連する画面で入力された入力データ6cと、確認された基礎データ6b及び導出データ6dを再度表示する。営業店担当者は、内容を再度確認し、抽出基準を修正した際には、すなわち、抽出符号のオン/オフを自動から変更した際には、抽出基準修正コメント210にコメントを入力する。
強制再表示処理12としては、この確認画面にて、抽出符号のオン/オフを入力編集不可の状態で表示する。自己査定作業では、1つのテーマにてチェックすべき項目が多いため、確認用の画面にて入力編集不可の状態で再度表示し、画面内での整合性の判断を再度求めるようにすると良い。
特定操作要求処理24としては、図55に示す画面にて次へボタンB1が操作された際に、抽出符号のチェックへの操作の有無を確認し、初期値からチェックを外し、例えば、自動抽出にて「赤」とあるチェックを営業店担当者が疎明する情報にてチェックを外し、当該債務者は「赤」に該当しないと判断した際に、抽出基準修正コメント210に何らかの文字データが入力されたか否かを確認し、抽出符号への操作があったのに、抽出基準修正コメント210に入力が無かった際には、次の画面へ進めないようにしても良い。この抽出基準修正コメント210は、債務者の概況画面に強制再表示される。
図57に示す画面ID:13-20-02の自己査定・債務者区分確認画面では、債務者区分及び信用格付についての最終的な判断を行う。この画面では、信用格付の一次評価と、抽出基準による債務者区分とを表示する。
事象チェックによる債務者区分は、抽出基準の確認までの判断から導出する債務者区分である。債務者区分判定の欄では、抽出基準による債務者区分が初期値表示されるため、営業店担当者は、債務償還力の確認結果などを考慮して、信用格付一次評価との整合性を検討し、債務者区分及び信用格付を判定する。
債務者区分については、抽出符号の確認結果による債務者区分を債務者区分判定コード420として初期値表示する。図57に示す例では、正常先と表示する。営業店担当者は、債務者の債務者格付を確定し、債務者格付コード421を入力する。ここでは、信用格付Bを登録する。特定与信格付コード422は、債務者単位ではなく、特定の与信を対象とする信用格付のコードである。そして、この債務者区分の判定と整合させた信用格付の判定理由を一覧から選択する。図57に示す例では、営業店担当者は、信用格付判定理由コード423の内容を表示して選択する。
また、営業店担当者は、債務者区分及び信用格付の判定に際して、参考情報照会ボタンB45を操作し、参考情報を照会することができる。
強制再表示処理12としては、図57に示す例では、信用格付作業による信用格付一次評価を再表示している。また、抽出符号による債務者区分を再表示している。そして、事象チェックによる債務者区分も表示する。これらの多面的な判断材料を示した上で、債務者区分の入力を営業店担当者に促す。例えば、要注意先抽出符号82に該当せず、正常先抽出符号84の「急」にのみ該当し、形式的区分では正常先であるが、債務償還年数が長期で償還力に不安がある際には、要注意先と判定することもある。この場合、実際には、要注意先抽出符号82の「財」に該当することとなるため、自己査定・抽出基準チェック(債務者単位)に戻るよう促すか、また、強制的に抽出符号の「財」をオンとするようにしてもよい。
また、このケースで、営業店担当者が、債務者が正常先であるとの心証で、決算検討コメントを入力していた際には、決算の実態登録画面に戻り、コメントを修正しなければならない。一方、信用格付と債務者区分の整合性については、最終的な判断をより最終画面に近い画面にて行う。
このように、一方向制御と、強制再表示との組み合わせにより、多面的な判断材料をより終了画面側の画面にて再表示することで、作業の種々の判断を全体的に整合させることを作業者に促すことができる。
そして、この段階での整合的な判断について、コメントの入力を求める。図57に示す例では、債務者区分・信用格付判定理由コメント211の入力を求めている。この債務者区分・信用格付判定理由コメント211は、債務者の概況画面に強制再表示する。従って、債務者の概況画面にて、決算検討や債権分類との関係でこの債務者区分・信用格付判定理由コメント211記載した文章の根拠となる判断に不整合がある際には、この債務者区分確認画面まで作業を戻さなければならない。
タスク完了処理40は、コメントの内容のチェックは行わないが、コメントが入力されているか否かのチェックを行う。すなわち、コンピュータシステム4による情報処理としては、文字データが入力されていれば、コメントの入力有りとして、特定操作確認処理26の条件を満たす。例えば、「あいうえお」という作業としては意味のない文字列であっても、特定操作確認処理26の条件を満たす。このコメントの適切性については、営業店内の承認権限を有する別の担当者による判断の対象であり、情報処理によりコメントの内容の適切性を判断することはない。情報処理としては、何らかのコメントの入力を必ず求めるという業務プロセスを強制的に構築している。この業務プロセスの強制的な構築により、別の担当者による判断が容易となり、均質・一律な結果を低コストでもたらすことができる。
債務者区分の作業が終了すると、次タスクに進む。ここでは、図57の特定スキップ有り426のラジオボタンを選択することで、保全内容の修正に関する作業のスキップを選択することもできる。すなわち、「優良与信確認以降の画面をスキップする」の特定スキップ有り426のラジオボタンを選択し、次へボタンB1を操作すると、図58に示す自己査定・画面スキップ確認画面へ推移する。一方、初期値である「スキップしない」際には、特定スキップ無し427のラジオボタンをチェックしておき、次へボタンB1を操作すると、優良与信のチェック画面へ推移する。このスキップは、作業分岐34aの一例である。
図58に示す画面ID:13-30-01の自己査定・画面スキップ確認画面では、画面スキップする内容を表示し、確認を求める。この画面にて、画面スキップを行わないと判断する際には、戻るボタンB3を操作して図57に示す画面に戻る。この画面スキップ確認画面にて、次へボタンB1が操作されると、この画面スキップ確認画面のタスク完了処理40は、特定スキップ処理48を実行する。この特定スキップ処理48は、進捗ステータステーブル8aへの処理としては、この画面スキップ確認画面のタスクの進捗ステータスを作業済とし、次タスクIDまでのタスクIDの進捗ステータスに作業済を格納する。特定スキップ処理48は、具体的な分類額等の算出では、債務者区分確認画面までに入力された入力データ6cと、基礎データ6bとを使用して、分類額の算出を行う。
なお、画面スキップしない際には、画面スキップ確認画面の進捗ステータスが省略となる。
債務者区分の判定が完了すると、続く画面では、分類額の算出を行う。
図59に示す画面ID:13-31-01の自己査定・優良与信チェック1(商手明細)画面では、債務者に支払われた商手の一覧又はその一部を表示する。支払人が銀行の融資先である際には、CIF番号と、債務者区分とを表示する。支払人が取引先でない際には、信用照会の結果を表示し、また、企業番号411を入力して、評点を検索し、表示させる。このような画面構成は、債権譲渡等を保全とする与信の確認にも利用できる。
図59に示す例では、優良与信を認定するために商手の一覧を表示するが、振出人が破綻懸念先以下であるなど、決済懸念がある商手の確認を行うようにしても良い。また、支払場所や、金額も表示するため、信用リスクの高い兆候となる融通手形となっているか否かの判断にも役立つ。ここで融通手形を発見した際には、その金額の影響を検討し、必要であれば、決算検討に戻るか、抽出符号にて「財」を付するなど再度の作業が必要となる。
画面ID:13-31-02の優良与信チェック2(買入外為)(図示せず)では、別枠買入外為明細を全て優良与信として初期値表示する。営業店担当者は、明細の表示内容を確認の上優良与信の対象外のものは優良与信ではないとしてチェックボックスをオフにする。
図60に示す画面ID:13-31-03の自己査定・優良与信確認画面では、商手と別枠買入外為についてチェックした内容を強制再表示処理12する。優良与信を修正した際には、そのコメントを優良与信修正コメント212に入力する。
画面ID:13-32-01、02、03、04で示す担保・保証チェック(図示せず)では、貸出金明細(13-32-01)、商手・オフバラ明細(13-32-02)、優良の根担保・根保証(13-32-03)、一般の根担保・根保証(13-32-04)について担保の種類、評価額、保全額、保全内容、処分可能見込額等を入力する。
図61及び図62に示す画面ID:13-32-05の担保・保証確認画面では、チェック画面にて入力し、確認したデータを強制再表示処理12する。優良担保保証について修正点があれば、優良担保保証修正コメント213を入力し、保証人による一般保証について回収可能と見込む際にはその理由を保証人回収可能理由コメント214に入力し、一般担保保証について修正点があれば一般担保保証修正コメント215に入力する。このコメント213、214及び215は、この確認画面ではなく、チェック画面にて入力を促すようにしても良い。
図63に示す画面ID:13-39-01の自己査定・基礎査定額確認画面では、優良与信と、担保・保証について確認し、入力したデータから、分類対象外債権の額及び基礎査定額を導出し、表示する。基礎査定額は、与信残高から、優良与信等の分類対象外債権の額を減額したものである。自己査定では、債務者区分と一般担保等に従って、この基礎査定額を分類する。営業店担当者は、この画面で基礎査定額等を確認し、修正があれば画面を戻って再度作業する。
図64及び図65に示す画面ID:13-59-01の自己査定・償却予定額計算画面では、債務者区分が破綻懸念先以下である際には、優良担保・保証の内容と、一般担保・保証の内容とから、償却予定額が表示されるため、確認する。
図66及び図67に示す画面ID:13-59-09の分類結果確認画面では、債権の科目毎に分類額が表示されるため、内容を確認し、自己査定全般に関して特記すべき事項があれば、自己査定特記事項コメント216に入力する。
図68に示す画面ID:15-00-01の管理・回収方針画面では、債務者区分が要注意先以下の際に管理回収方針コメント217を入力する。
図69及び図70に示す画面ID:16-00-01の債務者の概況画面では、取引先要項システム74から読み出した動向コメント222と、決算検討作業での各種のコメントと、自己査定作業の結果とを強制再表示処理12する。具体的には、図46に示す画面ID: 11-20-11の決算検討(法人)画面にて入力する「業況・財務の特徴コメント206」と、「赤字・延滞解消の見込みコメント207」と、「今後の業況等の見通しコメント208」とを債務者の概況画面にて強制再表示処理12する。また、図57に示す画面ID:13-20-02の債務者区分確認画面にて入力する「債務者区分・信用格付判定理由コメント211」を債務者の概況画面にて強制再表示処理12する。
図69にて、業況・財務の特徴コメント206に、決算年月2011/6とあるのは、このコメントが当該債務者の決算年月での公表財務に基づいてコメントされたものであることを示す。一方、抽出符号については、起動理由「状況速報」とあり、この抽出符号は、状況速報による作業時に当該抽出基準に該当すると判断されたものであることを示す。
また、図69の債務者の概況画面にて、取引の経緯テーブルは、取引先要項システム74の図74に示す要項II画面の取引の経緯の一部を抽出し、表示したものである。この債務者の概況画面での取引の経緯に抽出するのは、主要動向区分430が、当行融資取引開始、創業、法人成り、改組、M&A、事業の展開・変動、金融取引の異動である動向コメント222である。
この債務者の概況画面の表示を使用して、各タスクの作業結果について、相互に矛盾がないか作業の全体的な整合性を確認する。また、状況速報にて起票された際には、変化の要因コメント218と、変化に対する対応と見通しコメント219とを入力する。貸出条件緩和債権を有する債務者については、その補足説明コメント220を入力する。この債務者の概況画面16-00-01の作業が完了すると、作業のすべてが完了となる。
債務者の概況画面にて、新たに入力するコメント欄としては、変化の要因コメント218と、変化に対する対応と見通しコメント219と、補足説明コメント220とがある。「変化の要因」は、決算検討時の自己査定作業による判断の後、業況の変化などによって債務者の信用リスクが変化した際に、その変化の要因を記載する。変化に対する対応と見通しは、その変化への対応と見通しである。従って、この2つのコメント218,219は、決算検討時の格付自己査定作業では使用せず、状況速報による作業にて使用する。
図71に示す画面ID:19-00-00統括者指定画面は、ワークフロー用の画面である。次にフロー可能な先が人名のリストとして表示されるため、営業店担当者は、次フロー先を指定して、統括者へボタンB1を操作する。
図72に示す画面ID:21-00-00は、営業店統括者・承認画面である。この画面は、サマライズ画面ともいう。サマライズ画面では、営業店担当者が作業した結果を、決算検討作業、信用格付作業、自己査定作業及び管理・回収方針作業に分けて要約を表示する。この要約では、重要なコメントを表示する。営業店統括者は、図中右上の登録内容全照会ボタンB43の操作により全ての確認画面をチェックすることができる。また、営業店統括者は、このサマライズ画面に表示される営業店のコメントを修正することができる。営業店の統括者は、承認ボタンB1を操作することで、この作業を支店長に回付する。また、営業店担当者の検討不足を発見し、差し戻す際には、差戻しボタンB44を操作する。
図73に示す画面ID:20-10-00の差戻し理由登録画面は、差戻しボタンB44の操作によって表示される。差戻しを行う主体は、差戻し理由コメント221に文章で差戻し理由を入力し、差戻し先428の担当者を指定して、差戻しボタンB44を操作する。差戻し先428の担当者の一覧は、進捗ステータステーブル8a等から自動生成する。その担当者のメイン画面に当該作業が表示される。
上述したように、営業店担当者は、一方向制御の下、次々と画面を表示させることで、作業を行うことができる。そして、個々の画面に表示された項目間の整合性を各画面で判断しつつ、より終了画面側の画面にて、逐次、その画面までの作業の全体の整合性を判断する。作業の全体の整合性に疑義がある際には、検討不足の画面まで戻り、再度、戻った画面以降の画面による作業を行う。例えば、債務者の概況画面にて、決算検討のコメントと、自己査定の債務者区分との関係が整合していない際には、決算検討画面まで戻り、再度コメントを入力し直さなければならない。そして、信用格付作業及び自己査定作業等の一切を再度作業する。決算検討画面に戻ってコメントを修正する際には、財務項目の数値を読み間違ったか、または、財務項目の実態値の検討不足である。財務項目の実態値を修正すると、抽出符号が変化し、また長期債務償還力が変化する可能性がある。従って、債務者の概況にて決算に関するコメントが自己査定と整合しない際には、全ての作業をやり直すこととなる。このような作業のやり直しは、煩雑で、時間を要し、営業店担当者にとっては避けたい事項である。従って、決算検討をより適切に行うための知識と理解とを早期に得ようとする。これにより、営業店担当者の早期習熟を促す。また、熟達者にとっても、多数の条件が複雑に関連する作業を多数の債務者について一時期に大量に処理する際に、一方向の画面の推移という業務プロセスを経ることを情報処理として強制しているため、単純なミスの発生を防止することができる。
<強制再表示12後の戻り事例>
次に、強制再表示処理12等に応じて、作業者が信用リスク管理の深淵を発見し、画面を戻り、再作業する例を説明する。
・戻り事例1: 信用格付作業から決算検討に戻る。
1.1 営業店担当者は、図49に示す画面ID: 12-10-05の定量的要因評価(法人)画面にて定量的要因を評価する際に、長期債務償還年数や、インタレスト・カバレッジ・レシオなどによる債務償還力が前期より悪化していることを見いだした。この債務償還力の悪化から、今期設備投資の過大と、手元流動性の悪化とを懸念し、図45に示す画面ID:11-10-22の決算の実態登録画面に戻った。具体的には、進捗フローB2の決算検討をクリックすることで個々のタスクを開き、そのうちの決算の実態登録をクリックすることで、図45に示す画面まで戻った。再度の決算検討によると、関連会社への投資の資産性を懸念し、事情確認のところ、関連会社の業績悪化で配当がなく、インタレスト・カバレッジ・レシオが悪化していた。このため、当該関連会社への投資の評価損を見積もり、実態登録した。その結果、自己資本比率等が悪化した。このため、自己査定作業中の債務償還力による検証を重視することとした。
なお、ジャンプして戻る戻り先を画面単位ではなくタスク単位とする際には、図49に示す画面から決算の実態登録に戻る際には、決算検討の当初のタスクである図44に示す雑科目の資産性検討画面に戻ることとなる。
1.2 図50に示す画面ID: 12-30-01の信用格付一次評価にて、外部格付機関の格付が低く、実態検討不足を懸念し、図46に示す決算検討(法人)画面まで戻り、異常マークの付された項目を再検討した。その結果、売上の減少と棚卸資産の増加を看過できず、棚卸資産回転率を確認したところ、時系列及び業種平均との比較において不自然で、棚卸資産の不良資産化を認定した。その理由は必ずしも明らかではないが、さらに決算の実態登録画面まで戻り、理由不明としつつ、実態修正した。この結果、債務償還力検証式の固定資産対応負債額の修正必要額(ツ)が増加し、長期債務償還年数が長期となり、その他総合判断により、要注意先となった。
・戻り事例2: 自己査定作業から戻る。
2.1 図52及び図53に示す画面ID: 13-10-02の自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)画面にて、「売」の抽出となっており、決算検討時の売上高増減コメントとの整合性が脆弱となった。このため、決算検討を再度行うこととして、当期の業況総評コメント205や、今後の業況等の見通しコメント208を修正するために、画面ID: 11-20-11の決算検討(法人)画面に戻った。
2.2 図52及び図53に示す画面ID: 13-10-02の自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)にて、「急」の抽出となっており、純利益の減少及び他行借入増加で、当行債権が実質的かつ結果的な利貸しとなっていることが懸念された。利貸し先をチェックし、対応する金額分、債権に使途条件問題を指定した。そして、「業況・財務の特徴コメント206を修正するために、決算検討(法人)画面に戻り、あわせて、資産性を再検討したが、資産の評価損を見いだすことはできず、実質債務超過の懸念があるものの、確認できなかった。債務償還力では通常の償還年数となるものの、キャッシュ・フローが大幅に悪化しており、財務内容要注意として、要注意先に区分した。今後の管理では、遊休資産の売却や増資等が急がれる旨のコメントに修正し、今後の管理に注意することとした。
2.3 自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)画面にて、「赤」、「売」等で抽出されたが、財務内容の問題ないと判断し、正常先とした。しかし、赤字・延滞解消の見込みのコメントと、正常先と判定する理由のコメントとの整合性に難があり、決算検討(法人)画面に戻り、赤字・延滞解消の見込みコメント207を修正し、再度作業をした。
2.4 自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)画面にて、「株(低株価先)」で抽出され、低株価先であることを把握していなかったため、決算検討作業に戻り、異常マークを再検討し、実態修正したところ実質債務超過の懸念が認められた。長期負債償還年数は減価償却期間の倍となっており、処分可能な固定資産も認められず、抜本的な経営改善計画の作成が必要と判断し、作業を当初からやり直すこととした。
2.5 図59に示す優良与信チェック1(商手明細)画面にて、商手の支払人が割引後に破綻懸念先となっていて、金額が大きいため、決算検討作業に戻り、受取手形の精査をしたところ融通手形であると判明したため、対象の受取手形の全額を控除した。その結果、財務内容問題先での要注意となった。
2.6 正常先抽出符号84で抽出され、図61、図62等に示す担保・保証確認画面にて個々の債権を精査したところ、事業利用している不動産の担保評価額が大幅に減少していることを発見した。評価損が大きいため、決算検討に戻り、固定資産の評価損を実態登録した。しかし、実質債務超過とはならなかったため、正常先との判断を維持した。
2.7 図69及び図70に示す画面ID: 16-00-01の債務者の概況画面で、各コメント間の整合性に欠ける部分が認められたため、決算検討コメント及び債務者区分・信用格付判定理由コメント211を修正するために決算検討画面に戻った。
上述のように、一方向制御による業務プロセスでは、何らかの修正を行う際には、その画面まで作業対象を戻し、作業を戻した画面から再度行わなければならない。特に、決算検討時のコメントに不備があると、すなわち、決算検討不足の際には、再作業に長時間を要することとなる。このため、不慣れな担当者は、決算検討時のコメントの修正や、実態登録の再作業を行う毎に、決算検討時に注意深く検討する方が、結果的に短時間で作業を完了することができることを体感する。これにより、決算検討に必要なスキルの向上を早期に促すことができる。
<事例を参照した各処理の詳細>
次に、具体的な事例を参照して、営業店担当者の作業と、情報処理内容とを説明する。事例は、仮想的な下記のものである。
・A社(事例1,図44から図58): 決算検討で流動資産の実態を登録する。「売」の抽出符号にて抽出され、債務償還力を検証したところ、債務償還力有り、正常先とした。
・B社(事例2及び事例3,図59から図68): 赤字先で、債務償還力確認式にて業種相当外の年数となり、要注意先であり、II分類額を算出する。
・C社(事例4,図41、図69から図74): 民事再生手続申立につき、状況速報による手動で作業を起票し、破綻先とする。
[事例1:A社]
例1: 図40を参照すると、本システムにログインした営業店担当者である作業者1には、A株式会社が振り分けられている。A株式会社の作業の進捗状況は担当者作業待ちである。作業者1(以下、「営業店担当者」という)は、A株式会社の選択にチェックをし、作業開始ボタンB1を操作する。すると、進捗制御部30は、タスク開始処理38として、次タスクIDをT1000と特定する。そして、タスク処理部10の表示制御処理16は、タスクIDがT1000の基礎データ6bと、画面定義情報7aとを端末1に送信する。端末1は、図示しない作業開始確認画面を表示し、続いて、図42に示す作業要否選択画面を表示する。営業店担当者は、作業要否選択画面にて作業要否判定コード403が要の状態で当該画面の次へボタンB1を操作する。進捗制御部30及びタスク処理部10は、同様に、図43に示すタスクIDがT1100の決算検討作業選択画面を表示する。A株式会社は決算検討作業を行うため、営業店担当者は、決算検討作業を選択し、この画面の次へボタンB1を操作する。
タスク処理部10の表示制御処理16は、図44に示す雑科目の資産性検討画面を表示する。営業店担当者は、財務諸表や附属明細から、まず、A株式会社の短期貸付金20,000(単位千円、以下同じ)の全額の貸付先が(有)第1○○社であることを把握し、この(有)第1○○社の業況を調査した。その結果、第1○○社は業況が悪化しており、貸付金が返済されない可能性が高いとして、内訳金額20,000の全体の資産性をなしと入力した。また、未収入金85,000については、(株)第2○○社からの未収入金につき、第2○○社の業況芳しくないことから、回収できない可能性が高いとし、第2○○社からの未収入金40,000の資産性をなしと評価した。(株)第3○○社の20,000や、残額の25,000については資産性有りと評価した。
同様に、その他流動資産や、投資などの項目の内訳を把握し、それぞれの資産性を評価する。このような雑科目としては、繰延資産等がある。
また、P/Lに関しては、雑収入、雑損失、特別利益、特別損失について、その内訳金額407と、雑科目明細408と、雑科目資産性・査定根拠コメント201とを臨時損益混入として実態を把握し、登録する。
雑科目の資産性の検討が終了すると、営業店担当者は、この画面の次へボタンB1を操作する。タスクIDがT1110である決算検討タスクは、この画面と、次の決算の実態登録画面とを有するため、この次へボタンB1の操作があると、端末1は、コンピュータシステム4へアクセスせずに、すでに受信した画面定義情報7aと作業データ6aとにより、図45に示す決算の実態登録画面を表示する。
営業店担当者は、図45に示す公表財務データの科目毎に、資産性を検討した修正額を合計し、登録する。修正額の欄では、数値を入力すると、マイナスを自動的に付加するようにしても良い。
異常マークの付された売掛金について精査し、(有)第4○○社向け売掛金60,000を第4○○社の業況悪化により控除した。
さらに、未収入金については、公表金額85,000に対して、第2○○社からの未収入金40,000の資産性をなしとしたため、40,000との数値を当該欄に入力し、マイナス40,000を登録する。そして、その実態修正コメント202として、第2○○社との文字を入力する。同様に、他の科目についても修正額の登録を行う。P/Lについても、臨時損益等の検討結果を反映させる。なお、流動資産で減算した修正額については、その合計額を資本剰余金から減算することで、実態財務のバランスを得る。この資本剰余金からの減算は、図45に示す計算ボタンB7が操作された際に、計算処理18が自動的に計算するようにしても良い。
営業店担当者は、決算の実態登録が完了すると、次へボタンB1を操作する。すると、タスク処理部10は、まず、条件確認処理20を実行する。例えば、雑科目の公表金額と、その内訳金額407の合計額とを比較し、不一致の場合には条件を満たさないとして端末1にエラー表示するようにしても良い。また、公表金額の絶対値よりも修正額の絶対値が大きい場合には、エラー表示するようにしても良い。合計金額の算出等が必要な場合には、条件確認処理20の一部として、計算処理18を実行する。この計算処理18により、資本剰余金からの減算額が再度計算され、最新の状態となる。
サーバー4Aは、図45に示す次へボタンB1を操作に応じて、図18、図19、図27及び図28に示す情報処理を実行することで、営業店担当者の端末1の画面に図46に示す決算検討(法人)画面を表示制御する。営業店担当者は、前々期から今期までの公表財務データと、対前期増減額と、財務比率による異常マークの有無と、実態修正額の登録の有無と、今期実態金額とを参照して、決算検討コメント(203,204,205,206,207及び208)を登録する。主要アラームコメント203については、異常マークの有無(及び程度)に応じて予め準備したコメントを自動的な表示とし、入力を不可としても良い。
図46に示す例では、例えば、売掛金の欄に、異常を示すアスタリスクが付されており、さらに、実態修正額が登録されている。これは、前画面にて売掛金245,000のうち、(有)第4○○社向け売掛金60,000を控除したため、その実態の金額は、公表財務データの245,000から60,000を減額し、185,000となる。また、売掛金の今期公表は、前期公表の50,000と比較して、195,000のプラスと、3倍以上に急激に増加している。主要アラームコメント203を参照すると、売上高急減、売掛金急増とのコメントが表示されている。担当者は、この売掛金急増について当社にヒアリングをして異常マークについて204にコメントを記入し、また売掛金の実態修正の内容についても当該コメント欄に記入する。
未収入金については、今期の公表財務データは85,000で、第2○○社からの未収入金40,000を実態修正額とし、今期実態金額は45,000となっている。そして、営業店担当者は、業況・財務の特徴コメント206では、この40M(40,000)は同社(第2○○社)の業況思わしくなく資産性なしとした旨を記載した。その他、実態財務に基づいて、財務分析と将来予測とを合理的に行い、それぞれのコメントの項目につき、営業店担当者の所見をコメントする。
営業店担当者は、この決算検討(法人)画面にて、強制再表示処理12された今期実態の財務計数が、不自然である際には、前回内容照会ボタンB38等を操作し、その理由を検討する。実態登録を修正すべきであると判断した際には、雑科目の資産性検討画面等に戻って作業をやり直すこととなる。なお、雑科目の資産性検討画面では、前回内容の照会や、前回内容の取り込みができるため、営業店担当者は、雑科目の資産性検討に関し、前回までの判断を参照して作業しておけば、図46に示す画面から戻って再作業するという手間を発生させることがない。この一方向制御と、再表示により総合的な確認を求める業務プロセスにより、営業店担当者の早期の習熟を促すことができる。
営業店担当者は、決算コメントの登録が完了すると、次へボタンB1を操作する。コンピュータシステム4は、図49に示す定量的要因評価(法人)画面を端末1に表示する。営業店担当者は、この画面にて入力すべき項目はない。固定負債対有形固定資産比率等の評価指標は、前画面までに確認した公表財務計数からタスク処理部10が導出した導出データ6dである。タスク処理部10の表示制御処理16は、それぞれの評価指標の数値を作業データ格納部から読み出し、または元の公表財務計数を読み出して財務比率を算出し、端末1に送信する。
格付は、評点やスコアの小計から、A,B,C等の信用格付の値とするものである。
営業店担当者は、続いて、図50に示す画面にて、A株式会社の信用格付の一次評価を確認する。
信用格付作業が完了すると、営業店担当者は、自己査定作業を行う。図51に示す例では、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先の判断を行うために、事象をチェックする画面である。営業店担当者は、A株式会社では、図51に示す事象は生じていないため、何も入力せず、次へボタンB1を操作する。
A株式会社は、図52の要注意先抽出符号82のオンには該当していない。すなわち、オンラインシステム72に延滞は登録されておらず、実態財務では黒字であり、債務超過を伴ってはいない。図53は、図52に示す画面をスクロールした際の下側の画面である。図53に示すように、A株式会社は、予め定められた比率より大きく売上の減少があり、正常先抽出符号84の「売」にて自動的に抽出されている。そして、営業店担当者の欄には、「売」のチェックが初期値表示されている。営業店担当者は、図46に示す決算検討の段階で、売上の減少を認識しており、売上の減少後の今後の業況等の見通しについても利益率の高い受注の伸びに着目したコメントを記載しているため、「売」での抽出は認識済であり、他の抽出符号に該当していないことを確認し、次へボタンを操作する。
図54に示す画面では、貸出金明細単位に、抽出基準に該当するか否かを確認する。与信明細等の詳細の記載は省略しているが、また、開示債権や、条件緩和は、債権を単位とした判断であり、延滞についても、債権に生じる事象であるため、営業店担当者は、債権毎に、抽出基準に該当するか否かを確認する。例えば、与信明細毎に貸出条件等を確認し、実質的な貸出条件緩和債権となっているか否かなどを判断する。A株式会社については、抽出基準や問題与信債権に該当する債権がなく、営業店担当者は、次へボタンB1を操作する。
図55は、抽出条件確認画面であり、抽出基準のチェック画面(画面ID: 13-10-01,13-10-02,13-10-03,13-10-04)にて確認し、入力した内容をこの図55に示す確認画面(画面ID: 13-10-05)に強制再表示処理12により表示している。タスク処理部10又は端末1は、債権毎の抽出符号のチェックがあった際には、対応する債務者単位の抽出符号をオンとする。営業店担当者は、A株式会社は、抽出符号を初期値から修正していないため、抽出基準修正コメント210は入力せずに、次へボタンB1を操作する。
図56に示す債務償還力の確認画面では、債務償還力確認式の計算の過程及び結果を表示している。固定資産は、公表財務の数値である。修正必要額ツは、図45の流動資産の資産性検討の修正額の合計の絶対値であり、図45の<流動資産計>実態修正額に示すように、A株式会社の今期については120,200である。債務償還力確認式では、自己資本から、流動資産中の不良資産の額を減算する。図45に示す例では、170,200から、この修正額の絶対値120,200を減算する。すると、50,000となる。この50,000は、実態の自己資本である。そして、固定資産対応負債額は、公表固定資産から、実態自己資本を減算するから、公表固定資産+公表繰延資産510,000から、実態自己資本50,000を減算する。すると、固定資産対応負債額は、460,000となる。
当期純利益は当社の税引き後の利益額であり、要修正額は、臨時損益の混入等の実態を調整するもので、減価償却額は、公表減価償却額である。要修正額は、臨時損益や減価償却不足を振り替えた特別利益・特別損失の実態値であり、決算検討・雑科目の資産性検討画面11-10-21で検討し、決算の実態登録画面11-10-22画面で確認した内容である。
この当期純利益(ト)、要修正額(ナ)及び減価償却額(ニ)を二期分合計して一期の平均値を計算することで、A株式会社の1年分の償還可能額を求めると、50,000となった。固定資産対応負債額(テ)をこの償還可能額(ヌ)で割ると長期債務償還年数を求めることができ、9.2年となる。この9.2年は、概ね正常先と判断できる15年以内を超えないため、債務償還力有りと判定できる。 この概ね正常先と判断できる償還年数は、業種によっては、さらに10年加算して25年となる。
また、図56に示す例では、有利子負債償還年数の計算結果を参照することで、多面的な判断を促すことができる。有利子負債償還年数と、長期債務償還年数との年数との乖離が著しい際には、担当者は、決算検討の実態登録が適切であったか等を再検討する。
図56に示す流動資産の実態である修正必要額(ツ)と、臨時損益や減価償却不足その他特別利益・特別損益への振り替える損益の実態である要修正額(ナ)の値が整合的ではない場合、雑科目の資産性検討画面11-10-21に戻り、決算コメントも入力し直し、自己査定作業をやり直すこととなる。
なお、図56に示すように、実態債務超過がある先についての判断材料として、債務超過償還解消年数を計算し、表示するようにしても良い。
図56に示す各財務計数は、公表財務計数と、実態財務計数とが入り交じっている。実施例によっては、実態財務登録がされた計数については、実態財務登録がされた数値による旨が画面表示上簡易に判明するようなマークを表示したり、公表財務の数値に対する実態財務の比率を参考情報として表示するようにしても良い。
また、中小企業等で法人・個人の一体判断を行う先や、公表財務データが粉飾されており通常の実態バランス修正では対応できないような場合には、債務償還力確認式を組み込んだ表計算ソフトウエア用のファイルなどに数値を入力し、計算して疎明資料として添付すると良い。
決算検討の実態バランス修正と、債務償還力確認式の計算結果により、営業店担当者は、A株式会社については、実態バランスの修正後、長期債務償還力あり、正常先と判定した。また、保全内容の修正もないため、特定スキップ有り426のラジオボタンをチェックし、次へボタンB1を操作すると、図58に示す画面が表示され、図68に示す管理・回収方針画面へ進む。正常先であるため管理・回収方針は記入せず、図69及び図70に示す債務者の概況を確認して、作業を終了し、図71に示す画面にて営業店の統括者の名前を特定し、当該作業を特定した統括者に電子的に回付する。
[事例2:B社]
例3: B株式会社は、要注意先であるとする。営業店担当者は、B株式会社の作業をメイン画面で選択し、決算検討作業を行い、信用格付作業を行い、債務者区分の判定を作業する。そして、債務者区分を登録し、図57に示す債務者区分確認画面で画面スキップしないを選択すると、まず、図59に示す優良与信チェック1(商手明細)画面となる。
商手は、図59に示す支払人名の支払人から、B株式会社に支払われたものである。支払人は、当行(格付自己査定を実施する金融機関)の取引先である場合と、取引のない場合とがある。図59に示す例では、当行取引先の商手支払人については、CIF番号を表示し、融資取引が有れば、最新の債務者区分を表示する。例えば、(株)乙であれば、当行前月債務者区分は正常先である。乙が正常先であるから、乙が振りだした商手に決済懸念はない。甲製作所は、当行取引先ではないため、企業番号411を用いて、信用照会を行う。信用照会の結果、決済懸念なしである。従って、B株式会社の商手に決済懸念はなく、全て優良与信である。
営業店担当者は、次へボタンB1を操作して、画面ID: 13-31-02の優良与信チェック2(買入外為)画面(図示せず)に進む。この画面では、当初貸出日や、期日や、延滞の有無や、使途内容を表示し、優良与信の対象外の案件の選択を営業店担当者に促す。営業店担当者は、優良与信であるか否かを判断し、優良与信又は優良与信でないものを特定する登録をして、次へボタンB1を操作する。B株式会社は、別枠買入外為がないため、何ら操作を行わずに、次へボタンB1を操作する。
優良与信に関するチェック画面での作業が完了したため、確認画面が表示される。すなわち、端末1は、図60に示す優良与信確認画面を表示する。B株式会社に関して、優良与信は修正していないため、優良与信修正コメントにはなんら登録を行わず、次へボタンB1を操作する。
次に、担保・保証のチェック及び確認を行う。担保・保証のチェック画面(13-32-01, 13-32-02, 13-32-03, 13-32-04)では、与信明細、オフ・バランス、根担保・根保証について基礎データ6bを画面表示する。営業店担当者は、自動計算される評価額や処分可能見込額を確認し、修正する際には、営業店欄に修正額を登録する。担保・保証のチェック作業が完了すると、図61及び図62に示す確認画面に至る。営業店担当者は、チェック又は入力した数値を確認し、問題なければ、次へボタンB1を操作する。なお、評価額と処分可能見込額とは、担保・保証の種類によって予め定められた掛け目を評価額に掛けることで、保守的な処分可能見込額を合理的に見積もる。
本実施例では、図62に示すように一般担保・一般保証のチェック・確認を行う。要注意先の債権は、一般担保・保証の有無や内容に関わらずII分類となるため、債権分類では、要注意先について一般担保・一般保証の内容の精査は必ずしも求められてはいない。信用リスク管理として、保全状況を管理し、回収率を統計的に扱う等の要請のため、優良担保・保証と共に、一般担保・保証のチェック・確認を行うと良い。
一般担保等の確認もするため、本実施例では、要注意先が仮に破綻懸念先となった際に不良債権残高にどのような影響を与えるかを営業店担当者に知らせることができる。
一般保証のチェック画面では、保証人の信用格付・債務者格付を表示して確認するようにしてもよい。
優良担保・保証や、一般担保・保証について初期表示した内容を修正した際には、チェック画面又は確認画面にて、優良担保保証修正コメント213や、一般担保保証修正コメント215の入力を促す。
与信残高のうち、優良与信と、優良担保付の与信と、優良保証付の与信とは、分類対象外である。与信残高から分類対象外債権の額を減算した額が、基礎査定額である。図63に示す基礎査定額確認では、与信の科目毎に、基礎査定額を確認する。なお、要注意先以下の債務者区分に分類されたが、全てが分類対象外債権で、分類額がないこともある。
図63に示す例では、与信残高から優良与信等の分類対象外債権を減額した基礎査定額は、5,170となった。
図64及び図65は、要注意先判定・(破綻懸念先以下の場合の)償却予定額計算画面である。要注意先については、この画面で債務者区分を再確認し、B社が仮に破綻懸念先や(実質)破綻先である際の償却予定額となる仮定の金額を表示する。
図66は、分類結果の確認画面である。B株式会社は要注意先であるため、与信残高は、非分類額と、II分類額とに分類される。例えば、貸出金8,200に関しては、II分類額が4,600で、非分類額が3,600である。
また、貸倒引当金に対応する期待損失EL額を別途計算し、対比用に表示するようにしても良い。
[事例3:B社(破綻先の場合)]
図67は、B株式会社が仮に破綻先である際の分類結果である。破綻先の場合には、一般担保、保証の内容との関係で、非分類額と、II分類額と、III分類額とIV額とに分類する。この例では、非分類5,800,II分類3,120、III分類1,450、IV分類600となった。
債権の分類が完了すると、図68に示す管理・回収方針等を登録し、債務者の概況を確認し、作業を統括者に電子的に回付することで、B株式会社の作業が完了する。
[事例4:C社]
C株式会社は、2011年6月の決算登録時には、破綻懸念先であったが、主要受注先からの受取手形が不渡となり、資金繰りが逼迫し、2012年1月に民事再生手続の申立となった事例である。民事再生の申立という情報を取得した営業店担当者は、まず電話等で与信管理の担当者等へ報告し、火急の作業を完了させた後、取引先要項システム74に法的手続の申立を動向コメント222として登録する。例えば、図74に示すように、2012年1月20日付けで、主要動向区分を法的手続申立として、民事再生申請と登録する。
続いて、C株式会社の作業を状況速報として起動する。例えば、図40に示すメイン画面にて、状況速報ボタンB11を操作する。進捗制御部30は、次タスクIDとしてT0200を指定するため、表示制御処理16は、図41に示す状況速報起動画面を端末1に表示させる。営業店担当者(ここでは、本店営業部の担当者)は、C株式会社のCIF番号を入力し、登録ボタンB1を操作する。すると、図41に示す融資先番号、取引先名及び主担当店が表示される。営業店担当者は、状況速報起動理由コード400として取引先の業況変化を選択する。
営業店担当者は、図41に示す状況速報起動画面にて、変化の理由コード401(又は主要動向区分430)として、法的手続申立を選択し、業況変化の詳細内容コメント200として、「H24.1.20 民事再生手続申立(主要取引先からの受取手形が不渡となり資金繰りが逼迫)」を入力する。状況速報では、決算検討作業及び信用格付一次評価作業は行わず画面表示のみとし、自己査定作業を行う。図51に示す取引先の事象チェックにて、図示しない民事再生手続申立にチェックをする。図52に示す抽出基準チェックでは、担当者は、事象チェックにより、「破」、「開」、「債」、「条」、「金」、「日」、「自」、「管」、「売」、「グ」を抽出する。債務者区分確認画面にて債務者区分を判定し、破綻先に応じた信用格付とする。図57はA株式会社についての事例を開示しているが、民事再生手続を申し立てたC株式会社について図57に示す債務者区分確認画面を操作する際には、担当者は、法的整理に該当424のチェックボックスをオンとする。この法的整理に該当コードがオンとされると、計算処理18は、本画面以降のタスクにて法的整理先である際の分類額の算出手法を適用する。
債務者区分及び信用格付を判定し、担保・保証等をチェックし、確認すると、続いて、債務者の概況画面が表示される。
図69に示すように、債務者の概況画面では、図74に示す動向コメント222のうち、事業の展開・変動等に該当する動向コメント222を読み出して表示する。業況・財務の特徴コメント206は、直近決算登録時のコメントである。状況速報では、決算登録時のコメントをそのまま表示する。自己査定の抽出基準、分類算式、債務者区分については、状況速報による今回の作業の内容を強制再表示処理12している。
図70の符号207で示す赤字・延滞解消の見込みコメントと、符号208で示す今後の業況等の見通しコメント208についても、直近の決算登録時のコメントをそのまま表示する。続いて、営業店担当者は、変化の要因コメント218に、状況速報の原因となった変化の要因についてコメントする。続いて、変化に対する対応と見通しについて、状況速報時の所見としてコメントを登録する。
債務者の概況画面にて、決算検討時のコメントをそのまま表示し、状況速報時のコメントをさらに追加する業務プロセスを強制しているため、債務者の動向をより正確に記述することができる。決算検討時の「今後の業況等の見通し」コメントが、事後に発生した状況速報の変化の要因にそぐわないとしても、決算検討時のコメントをそのまま表示する。
図72は、C株式会社の作業を承認する統括者用のサマライズ画面である。決算検討作業のコメントは、決算検討時のコメントである。信用格付は、債務者区分確認画面での判定結果が表示される。自己査定作業は、状況速報によるものである。統括者は、登録内容全照会ボタンB43を操作することで、各確認画面の精査を行うことができる。
上述したように、一方向制御と強制再表示処理12とにより、多種多様な債務者の債権を均質に査定する業務プロセスを構築することができる。特に、作業を素早く正確に完了させるための業務プロセスではなく、不慣れな担当者に早期習熟を促し、熟達者の思考を妨げずに、判断漏れをなくす程度に冗長な強制再表示処理12を行うため、作業に不慣れな作業者から、熟達者にとって使いやすく、かつ、帳票ではなく、コンピュータシステム4を使用して作業を行っても、作業に必要なスキルを作業者が失うことのないように、各画面にて総合的な整合性の確保と判断への熟慮を求めることができる。すなわち、本実施例では、作業を自動化するのではなく、業務プロセスの確立を自動化したため、営業店担当者のスキルが失われることはない。また、一方向制御と強制再表示処理12という強固な業務プロセスにより、多様な債務者に応じた個々の判断と、作業者に依存しない均質な判断とを両立させることができる。
<実施形態及び各実施例の効果>
上述したように本実施形態及び各実施例によると、実施形態及び実施例で開示した銀行業務処理システムは、次の効果を奏する。
・判断過程統一作用: 予防的統制効果
本発明では、マニュアル(人手)ではなく、ITの利用により、画面や個別タスクの終了画面側へのジャンプを厳格に禁止することで、作業の順序を必ず一方向で行う強制をITの利用により実現することができる。特に、開始画面側へ戻った後であっても終了画面側へのジャンプを禁止すると、作業者は、戻った画面より終了画面側の各画面の内容を少なくとも確認し、そして、必要な再作業する作業手順が強制される。
本発明では、ITの利用により作業手順を強制するため、査定結果に至る判断の過程を統一することができる。すなわち、予め定められた判断過程以外の判断過程による査定結果を生じさせない(判断過程統一作用)。
一方向制御による判断過程統一作用により、想定外の誤解による作業の発生とその誤りの発生とを有効に予防することができる。すなわち、一方向制御というITの利用により、格付自己査定という業務について予め定めた業務手順から逸脱した作業やその誤りを予防することができる。従って、ITの利用による予防的統制を実現でき、これにより、内部統制の質を向上させることができる(予防的統制効果)。
・業務プロセス構築作用: 業務標準化効果、結果の均質化効果、可用性向上効果
この一方向制御というITを利用した判断の「過程(プロセス)」の統一により、厳格な業務プロセスを構築することができる。すなわち、ITを利用した判断過程の統一により、予め定められた基準による各画面又は各個別タスクでの作業者の判断が、予め定められた判断過程にてなされるため、不慣れな作業者であっても、熟達した作業者であっても、判断の過程が統一される。これにより、作業者によらず共通した業務プロセスを構築することができる(業務プロセス構築作用)。そして、ITを利用した業務プロセスの構築により、ITの利用による業務の標準化を実現し(業務標準化効果)、作業の結果を均質とすることができる(均質化効果)。
すなわち、一方向制御というITを利用した判断過程の統一により、業務の標準化効果と、結果の均質化という効果を奏する。結果の均質化という効果には、一定の結果の均質化を確保するための業務上の作業負荷の軽減が含まれる。
さらに、この業務の標準化と結果の均質化とにより、一方向制御下での判断を標準的に積み上げる業務プロセスとなり、このため、総合的な整合性についての一貫性を確保することができる。すなわち、査定結果データ6fの一貫性を保ち、その信頼性及び正確性を全ての債務者及び全ての作業者について確実に確保することができる。すなわち、内部統制等のために何らかの統計的処理を行う際に、高度な統計処理を行うために必要となるデータの信頼性及び精度を確保することができる。これらにより、データの可用性を大幅に向上させることができる(可用性向上)。
また、本発明は、予め定められた手順での判断を作業者に強制するため、各過程で判断すべき事項が予め統一して特定されており、従って、個別の判断に使用するデータと、そのデータに基づく判断の根拠とが明確となる。このため、査定結果の検証可能性をより一層向上させることができる。すなわち、データの可用性として、検証可能性を向上させることができる。
・判断基準の局所化作用: 準拠性確保効果、開発容易効果
そして、本発明は、作業者の判断過程を統一するための情報処理であり、個々の作業の判断基準には依存しない。従って、一方向制御は、判断基準の変更に応じたコンピュータシステム4の変更があっても、引き続き利用できる情報技術である。さらに、判断基準の変更に伴ってコンピュータシステム4の変更が必要となっても、多くの場合、判断過程(作業のプロセス)自体の変更までは要さない。
そして、一方向制御を採用すると、判断基準自体は、判断の過程と独立して要件定義することができる。また、必ず同一の画面推移により作業者の判断及び作業データ6aが蓄積されることを前提とすることができる。このため、個々の判断基準や計算式は、作業全体の業務プロセスへの組み込みを最低限とし、局所化することができる(判断の局所化作用)。
さらに、一方向制御を採用し、画面推移が一律(予め定められた複数のパターンの推移を含む)であり、個々の詳細な計算式等が局所化され、可能性の組み合わせの数が少なくなるため、業務に熟達した発明者と、情報技術に熟達した発明者との対話が容易となる。このため、業務上必要な計算式や表示等のルールにコンピュータシステム4を準拠させてその確認をする開発負荷を、一方向制御を採用しないコンピュータシステム4と比較して、大幅に軽減することができる(準拠性確保効果)。
例えば、一方向制御を採用しないと、判断過程の統一を実現できず、さらに、各データの状態(全体の中での位置付け)を管理するための情報処理(プログラム)と、各データを計算するための情報処理とが混在しがちとなる。すると、判断基準の変更に伴うプログラムの開発や修正について、その影響を抽出する作業自体が膨大となり、さらに、開発や修正の作業自体も複雑で、修正後にはさらに情報処理内容全体の見通しが悪化しがちとなり、保守負担も増加する。すなわち、リーズナブルな変更が困難となってしまう。
本発明では、各データの状態を個別に管理する必要がなく、作業のプロセスである一方向制御自体は変更される可能性が低いため、判断基準の変更に伴って必要となる開発作業の人的負荷及び費用を軽減することができる(開発容易効果)。
・内部統制の質の向上効果
上述のように、一方向制御を採用すると、その判断過程統一作用により、予防的統制を高度に実現することができる。さらに、一方向制御による業務プロセス構築作用により、業務の標準化をITの利用により実現し、結果を均質とし、これらにより作業の結果として蓄積されるデータの可用性を大幅に高めることができる。データの可用性を高めることで、発見的統制の手法を拡大し、またコストを低減することができる。そして、一方向制御による判断基準の局所化作用により、コンピュータシステム4の要件定義に対する準拠性を低コストで確保し、開発及び変更の作業負荷を軽減することができる。
このように、本発明は、一方向制御というITの利用により、予防的統制を高度に実現し、発見的統制の手法を多様化すると共にコストを低減し、そして、IT統制としても準拠性の確保をしやすく、開発及び変更の見通しを良好とすることができる。
従って、本発明を採用するコンピュータシステム4は、内部統制の質を高め、業務の有効性及び効率性の確保に寄与することができる。
これらにより、本発明は、ITの利用により内部統制の質を向上させると共に信用リスク・信用コストに関連するデータの可用性を安定的に確保することで、業務の健全性、適切性及び適正を向上させることができる。
上記本発明の実施形態及び実施例による効果を内部統制の用語との関係で再度整理すると、以下の通りとなる。
(1).銀行法、バーゼルII、告示19号等、改訂金融検査マニュアル
(1.1)健全性: 一方向制御というITを利用したコンピュータシステム4により、信用リスクと信用コストとに関するデータについて、検証可能性、検索可能性、可用性及び準拠性の高い統計的データを安定して蓄積することができる。この信頼性の高い統計的データの蓄積により、信用リスク及び信用コストを測定することで、損失の発生を低減しつつ、収益性を管理することができる。好適な例では、柔軟かつ均質なデータの蓄積が可能となる。
・収益向上可能性: 一方向制御により、信用リスク及び信用コストを測定し、自己資本の資本配賦のための判断材料となるデータを精度良く測定することができ、さらに、自己資本管理部門への適時報告が可能となる。
・損失発生防止可能性: 一方向制御等のITを利用することで、信用リスク及び信用コストの管理に必要な内部統制の質を向上させることができ、信用リスク及び信用コストを精度良く管理できるため、早期の対応が可能となり、損失発生やその拡大を有効に防止することができる。
(1.2)適切性: 一方向制御というITでは、画面の確認により開発の早期の段階から準拠性を確保することができる。また、一方向制御下では、データの依存関係が明確に明示的に整理されているため、準拠性を確認するための試験を低コストで実施することができる。そして、判断過程の統一により、信用リスク及び信用コストの測定・評価に必要な手続を標準化し、個別の判断や全体的判断の整合性を有意に確保することができる。そして、好適な例では、進捗ステータス等を利用したトランザクション管理により適時の報告を可能とし、さらには、基準等の変更に対応してコンピュータ・プログラムを修正する負荷を軽減することができる。このように、準拠性を確保するための様々な業務の作業負荷を軽減するため、信用リスク及び信用コストの管理に関する銀行の業務の適切性を低コストで維持することができる。
・法令準拠性: 一方向制御を用いて、判断過程及び作業手順を一律に強制することで、法令準拠性に必要となる個別判断の位置付けを明確化し、不慣れな作業者であっても早期の熟達を促すことができる。そして、例えば特性操作要求により、個別判断の積み上げと総合的判断とによる一貫性を確保することができる。
・統合的管理性: 一方向制御と、必要な強制再表示や特性操作要求等により、信用格付・債務者区分と自己査定とを一体的に管理することができる。
・適時報告性: 作業プロセスデータ6hの管理や、トランザクション管理によりデータの取扱い容易性を向上させ、例えば、進捗ステータスや作業ステータスにより各データの有効性を確認しつつ、日中にデータを抜き出して必要な報告することができる。
・変更対応性: 一方向制御やプロセス管理により、制度変更に際してその変更を局所化して反映することができる。
(2).適正[会社法]
・情報の管理: 一方向制御により、統計処理の母集団として安定したデータを蓄積することができ、プロセス管理等により、判断過程や判断根拠を含めたデータを生成でき、データの可用性を向上させると共に、様々な切り口の検索及び適時報告を実現することができる。
・業務の信頼性: 一方向制御により、不慣れな作業者も熟達した作業者も判断の過程が統一されることにより、強固な業務プロセスを構築することができる。さらに、特定操作要求等により、判断の根拠をデータとして記録することで、検証可能性を向上し、モニタリングの有効性をより確保することができる。
・保存性: 好適な例では、作業データ6aと、作業プロセスデータ6hとの両者を蓄積するため、データの進捗上の意味を明確化することができる。特定操作要求など予めシステムに組み込むことで、予め定められた事項については判断根拠をデータとして保存することが可能となる。
・検索性: 好適な実施例では、全ての項目をサーバーで管理するため、エンド・作業者・コンピューティングによる場合と比較して、各項目の意味を唯一に明確に定めておくことができ、検索の精度を格段に向上させることができる。また作業プロセスデータ6hの項目を用いた検索も可能となる。
・可用性: 好適な実施例では、個々の信用格付及び債務者区分等のデータを活用できる他、検証容易性、統計的処理を安定して行うことができる。
・リスク管理: 上述のように、信用リスク管理の基礎データ6b蓄積に必要な準拠性、信頼性、検証可能性及び検索活用性を確保することができる。期待損失ELと貸倒引当金との比較などに際して、事後検証可能で準拠性あり信頼できるデータで比較することができる。
・内部監査: 内部監査手続をシステム化したため、監査手順等をITで統制することができる。また、作業プロセスデータ6hや、判断根拠についてのデータを用いたモニタリングをすることもできる。
(3).財務報告の信頼性(金融商品取引法・実施基準)
(3.1).ITの利用: 自己査定は償却・引当という財務報告の要素を計算する業務プロセスの一部であり、この貸倒引当金の算出等の業務の有効性・効率性・信頼性をITの利用により確保し、向上することができる。特に、自己査定業務の手順を標準化し、その手続に強制的に従わせることで、ITを利用した内部統制の質を向上させ、有効性を確保することができる。なお、バーゼルIIの第3の柱に対応した金融庁告示第15号による開示は財務報告ではないが、債務者格付は信用リスク量の測定という信用リスク管理に必要な業務プロセスの一部であり、その数値の信頼性を確保するために、一方向制御というITを利用することができる。
・統制環境の有効性: 一方向制御という作業者の理解が容易なITに信用リスク及び信用コストの管理に必要な判断基準を組み込むことで、この判断基準及び業務の結果を組織の適切な者に適時に伝達することが可能となり、統制環境の有効性を確保することができる。
・リスクの評価と対応: 信用格付、債務者区分、債権分類を測定し、判定する業務は、信用リスク及び信用コストを評価する業務であり、一方向制御により、判断過程が強制的に統一されているため、貸倒引当金や自己資本比率の算出に誤りが含まれる可能性を大幅に低減することができる。そして、質の高い統計的データを蓄積し、データの可用性が高いため、リスク情報の共有を良好に低コストで行うことができる。
・統制活動: 一方向制御というITは、判断過程を統一するという業務上困難な課題をコンピュータシステム4の利用により実現するものであり、この判断過程の統一により、統制活動の有効性を良好に低コストで確保することができる。すなわち、判断過程を統一するというITの利用は、予防的システムによる統制となり、統制活動の質を向上させることができる。また、好適な実施例では、作業手順上、初回判断を別途保存することで、判断の相違を記録し、事後検証を容易にすることができる。
・情報の伝達: 上記の他、一方向制御により、一定の準拠性及び信頼性を確保しつつ必要な情報を要約していく作業を強制することで、伝達の有効性を向上することができる。
・モニタリング: 信用格付、債務者区分の判断等について、内部監査部門がコンピュータシステム4を利用して監査する際、一方向制御というITが利用されているため、作業者の判断思考を追認しやすく、内部監査の有効性を上昇させることができる。また、作業結果のみならず、作業プロセスに関するデータも蓄積されるため、抽出監査を行う際に、様々な切り口での自動的な抽出が可能となる。また、差戻しという作業プロセスの記録により、モニタリングの結果を有効に機能させることができる。
(3.2)ITの統制: 信用リスク及び信用コストの測定や管理に関する業務については、一方向制御により均質なデータを蓄積することができる。システム開発に関する業務については、一方向制御により準拠性確保の開発負荷を低減でき、このため、変更容易性も確保できる。
・有効性及び効率性: 一方向制御により個別の作業漏れを防止し、判断の柔軟性と均質性とを確保しつつ、好適な実施形態・実施例では、熟達者にとっては事務合理化に役立ち、不慣れな者にとっては早期の熟達を促すことができる。
・準拠性: 一方向制御では、画面設計時に情報処理の大まかな流れが特定されるため、開発の早い段階から準拠性を確保することができ、また、リリースに至るまで、画面での実際の入力をしながら準拠性を確認することができるため、準拠性の確度を大幅に向上させつつ、早期の確認を可能とすることで、全般的な作業負荷を軽減することができる。
・データ信頼性: 一方向制御により、判断の過程が統一されているため、粒度の揃ったデータを蓄積することができる。
・可用性: 上記の他、クライアントサーバーの利用により、項目の意味が明確で安定した信頼性の高い集計を可能とする。また、取り扱う数値(金額)の単位を合わせることも容易である。
・機密性: 各データに対するもののみならず、作業プロセスデータ6hについてのアクセスログを残すこともでき、機密性確保と確認とを多面的に行うことができる。
1 端末
2 ネットワーク
3 通信制御部
4 コンピュータシステム
6 作業データ格納部
6a 作業データ
6b 基礎データ
6c 入力データ
6d 導出データ
6e 査定データ
6f 査定結果データ
6g 査定作業結果データ
6h 作業プロセスデータ
7 画面定義情報格納部
7a 画面定義情報
10 タスク処理部
12 強制再表示処理
14 タスクデータ管理処理
16 表示制御処理
18 計算処理
20 条件確認処理
22 格納処理
24 特定操作要求処理
26 特定操作確認処理
30 進捗制御部
30a 推移コマンド
32 戻りタスク特定処理
34 次タスク特定処理
34a 作業分岐
34b 画面分岐
36 起票時処理
38 タスク開始処理
40 タスク完了処理
42 一方向制御処理
44 タイムスタンプ処理
46 作業分岐処理
48 特定スキップ処理
50 トランザクション管理部
52 全体排他制御
54 全体一貫性制御
56 個別原子性制御
58 個別隔離性制御
60 個別永続性制御
62 中断制御
70 他システム
72 オンラインシステム
74 取引先要項システム
76 その他各種システム
80 破綻懸念先以下抽出符号
82 要注意先抽出符号
84 正常先抽出符号
94 ワークフロー制御部
96 起票制御部
100 ランタイムシステム
102 メモリー
103 CPU
104 クラス群
106 タスク・インヴォーカー
108 タスクマネージャー
110C タスククラス
112Cx 個別タスク・クラス群
114 プログレスマネージャー
115 タスクデータ(td)
116 進捗ステータステーブル
118 DBアクセス
120 タスクデータライター
121 銀行業務データベース
122 プログラムファイル格納部
124 信用リスク・コスト統制用プログラム
130 サーブレット
134 タスク・インタフェース
136 DBアクセス・クラス
140 自動処理等
142C 確認計算クラス
200 業況変化の詳細内容コメント
201 雑科目資産性・査定根拠コメント
202 実態修正コメント
203 主要アラームコメント
204 異常マークについてコメント
205 当期の業況総評コメント
206 業況・財務の特徴コメント
207 赤字・延滞解消の見込みコメント
208 今後の業況等の見通しコメント
209 主な問題点とポイント
210 抽出基準修正コメント
211 債務者区分・信用格付判定理由コメント
212 優良与信修正コメント
213 優良担保保証修正コメント
214 保証人回収可能理由コメント
215 一般担保保証修正コメント
216 自己査定特記事項コメント
217 管理回収方針コメント
218 変化の要因コメント
219 変化に対する対応と見通しコメント
220 補足説明コメント
221 差戻し理由コメント
222 動向コメント
400 状況速報起動理由コード
401 変化の理由コード
402 変化の発生日
403 作業要否判定コード
404 財務登録有り
405 財務登録無し
406 資産性コード
407 内訳金額
408 雑科目明細
409 資産性修正額
410 外部格付機関コード
411 企業番号
411 企業番号
412 事象チェックコード
413 破綻懸念先以下抽出符号コード
414 要注意先抽出符号コード
415 正常先抽出符号コード
416 検査・考査符号コード
417 与信明細修正
418 条件緩和コード
419 問題与信債権コード
420 債務者区分判定コード
421 債務者格付コード
422 特定与信格付コード
423 信用格付判定理由コード
424 法的整理
425 与信額補正
426 特定スキップ有り
427 特定スキップ無し
428 差戻し先
429 動向発生年月日
430 主要動向区分
B1 次へボタン(作業開始、登録、承認)
B2 ジャンプして戻るボタン
B3 戻るボタン
B4 中断ボタン
B5 疎明資料ボタン
B6 終了ボタン
B7 計算ボタン
B8 検索ボタン
B9 作業不要ボタン
B10 作業基準日
B11 状況速報ボタン
B12 データ一覧更新ボタン
B13 振分け待ち一覧ボタン
B14 処理待ち一覧ボタン
B15 担当者作業待ちボタン
B16 承認待ちボタン
B17 確認待ちボタン
B18 店一覧ボタン
B19 データ取消ボタン
B20 担当者変更ボタン
B21 並び替えボタン
B22 印刷ボタン
B23 照会ボタン
B24 取引先要項ボタン
B25 取扱要綱ボタン
B26 Q&Aボタン
B27 ヘルプボタン
B28 顧客属性表示ボタン
B29 進捗フロー表示(非表示)ボタン
B30 スコアリング評点照会ボタン
B31 抽出符号照会ボタン
B32 個人定量評点
B33 財務要約照会
B34 財務分析帳票
B35 主要経営比率
B36 損益計算書(単体)
B37 貸借対照表(単体)
B38 前回内容照会ボタン
B39 前回内容取込ボタン
B40 B/Sへボタン
B41 P/Lへボタン
B42 関連融資先ボタン
B43 登録内容全照会ボタン
B44 差戻しボタン
B45 参考情報照会ボタン

Claims (8)

  1. リスク評価を含む複数の関連するタスクからなる銀行業務の担当者によって使用される端末とネットワークを介して接続されたコンピュータシステムを有し、このコンピュータシステムが、
    基礎データ、入力データ、導出データ及び査定データ作業対象毎に有する作業データを格納する作業データ格納部と、
    前記端末の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報を前記銀行業務の前記タスク毎に格納する画面定義情報格納部と、
    前記タスク毎に前記画面定義情報に従って前記作業データを前記端末に表示制御すると共に、当該端末の前記画面要素への操作に応じて入力される前記入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、前記作業対象への前記担当者による前記リスク評価を含む査定データとを前記作業データ格納部に格納するタスク処理部と、
    前記画面要素の操作により前記端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、前作業対象を特定する開始画面から当該担当者による前記査定データを確定する終了画面に向けて、複数の前記タスクの推移を一方向に制御する進捗制御部とを備え、
    この進捗制御部は、
    作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を前記推移コマンドとして受信した際には、当該タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められ次タスクを特定する次タスク特定処理と、
    作業中のタスクより前記開始画面側にあり前記担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を前記推移コマンドとして受信した際には、前記作業中であった前記タスクとは別の一以上のタスクを前記開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先の前記タスクを現タスクに特定する戻りタスク特定処理とを備え、
    前記タスク処理部が、前記画面定義情報に従って、前記タスクのために入力され又は導出した前記リスク評価に関する前記作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理を備え、
    前記次タスク特定処理が、前記戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする前記次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、前記再表示の前記画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した
    ことを特徴とする銀行業務処理システム。
  2. 前記作業対象毎に、前記タスクを識別するタスクIDを使用して前記開始画面を含む開始タスクから前記終了画面を含む終了タスクに向けた一方向の順序で一次元の並びとして複数の前記タスクを有すると共に、当該各タスクでそれぞれ使用する作業データの全体に対して当該タスクを単位として未着手、作業中及び作業済の進捗ステータスを特定する進捗ステータステーブルを格納する進捗ステータス格納部を備え、
    前記進捗制御部は、
    前記銀行業務のタスク群からなる作業が起票された際に当該作業対象を識別する作業通番の進捗ステータステーブルの全ての前記タスクの進捗ステータスを前記未着手とする起票時処理と、
    前記推移コマンドが前記タスクの開始要求である際に、当該開始要求の前記タスクIDで指定される前記タスクの進捗ステータスを前記作業中に変更するタスク開始処理と、
    前記推移コマンドが前記タスクの終了要求である際に、当該現タスクの進捗ステータスを前記作業済に変更するタスク完了処理と、
    前記戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り先の前記タスクについて前記タスク開始処理をした後に、当該戻り先である当該現タスクのタスクIDから前記一方向の順序での前記戻り元の前記タスクのタスクIDまでの全ての前記作業済の進捗ステータスを前記作業中に変更する一方向制御処理とを備え、
    前記次タスク特定処理は、前記戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り後のタスクを現タスクとする際と、ジャンプ戻りではないタスクを現タスクとする際とのいずれにあっても、当該現タスクへの前記タスク完了処理の後に前記次タスク照会要求を受信した際には、前記進捗ステータステーブルを参照して前記未着手又は前記作業中の前記タスクIDのうち最も前記開始タスクに近い前記タスクIDの前記タスクを次タスクに指定する、
    とを特徴とする請求項1記載の銀行業務処理システム。
  3. 前記進捗ステータステーブルは、当該銀行業務の態様別に進捗が並列であるタスクを前記一方向の順序で一次元の並びとして有すると共に、前記進捗ステータスとして省略を有し、
    前記進捗制御部は、
    前記タスク完了処理が、前記銀行業務の態様別に異なる次タスクが定められている際には、前記タスク完了処理のタスクから当該次タスクまでの進捗ステータスを省略に変更し、
    前記一方向制御処理が、戻り先のタスクの進捗ステータスを作業中に変換する前後に、当該戻り先のタスクよりも終了タスク側の全てのタスクのうち前記省略の進捗ステータスを前記未着手に変更する、
    ことを特徴とする請求項2記載の銀行業務処理システム。
  4. 前記作業を識別する前記作業通番を単位として、当該作業通番で使用する作業データの全体に対して、待機中、実行中及び決裁済の作業ステータスを特定した作業ステータステーブルを格納する作業ステータス格納部と、
    前記作業通番で使用する作業データの全体に対する処理を作業トランザクションとして管理すると共に、前記タスクIDで使用するタスクデータへの処理を個別トランザクションとして管理するトランザクション管理部を備え、
    このトランザクション管理部は、
    前記作業通番の作業ステータスが前記実行中である場合には、当該作業通番の作業開始を禁止する一方、当該作業ステータスが前記待機中である場合には、当該待機中を前記実行中に変更して前記次タスク特定処理に当該作業通番を引き渡して作業開始を許可することで、当該作業通番を単位とした前記作業トランザクションの実行を唯一に排他制御して、当該作業トランザクションに隔離性を与える全体排他制御と、
    前記作業トランザクションの決裁となる前記タスクの前記タスク完了処理の後に、当該作業トランザクションの作業ステータスを前記実行中から前記決裁済に変更することで、当該作業トランザクションに一貫性を与える全体一貫性制御と、
    前記タスク毎の進捗ステータスを管理させることで前記個別トランザクションに原子性を与える個別原子性制御と、
    前記タスクを一方向に制御することで前記個別トランザクションに隔離性を与える個別隔離性制御と、
    前記タスクの進捗ステータスが作業済に変換された際に、当該進捗ステータスが作業済である前記個別トランザクションに永続性を与える個別永続性制御と、
    前記端末から中断要求を受信した際に、当該作業トランザクションに一貫性を与えないまま、当該タスクまでの各タスクの個別トランザクションに永続性を与える中断制御とを備えると共に、
    当該トランザクション管理部は、前記端末からジャンプ戻り要求を受信した際に、当該戻り元の当該タスクに前記中断制御をすることで、当該作業トランザクションに一貫性を与えないまま、当該戻り元の当該タスクの作業データに永続性を与える、
    とを特徴とする請求項3記載の銀行業務処理システム。
  5. 前記タスク処理部は、前記銀行業務の前記リスク評価の作業上保守的な内容の作業データを前記担当者の入力データとして初期値表示すると共に、当該初期値表示する入力データが当該担当者によって変更される際には、前記画面要素の選択又は前記画面要素への入力を含む特定操作用の画面要素を特定操作要素として表示制御してコメントの入力を促すと共に、作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す特定操作要求処理を備えた、
    ことを特徴とする請求項4記載の銀行業務処理システム。
  6. 前記タスク処理部が、前記一方向制御処理に従って推移させるタスクとして、
    前記基礎データとして債務者の決算による公表財務データの登録がなされた際に、当該公表財務データの検討、実態財務データの登録、及び予め定められた複数の決算検討コメントの入力を前記担当者に促す決算検討タスク群と、
    当該決算検討タスク群の完了後、当該決算検討タスク群での入力データ、前記基礎データ及び導出データを使用して、当該債務者の信用格付の一次評価の検討を前記担当者に促す信用格付タスク群と、
    前記信用格付タスク群の完了後、当該信用格付タスク群までの作業データと、前記債務者及び当該債務者の債権に関する基礎データとを使用して、財務状態又は事象として予め定められた抽出基準に該当する債務者について、債務者区分及び信用格付の判定を促す債務者区分タスク群と、
    前記債務者区分タスク群の完了後、当該債務者区分タスク群までの作業データと、当該債務者の債権に関する基礎データとを使用して、当該各債権の保全の確認及び修正を促す債権分類タスク群と、
    債権分類タスク群に続いて、当該債権分類タスク群までの作業データの一部を入力編集不可の属性で債務者の概況として再表示すると共に、決算検討時の決裁後に当該債務者変化があった際には変化検討コメントの入力を促す債務者の概況タスクとを備え、
    前記債務者の概況タスクにて
    前記強制再表示処理が、前記決算検討コメントの一部又は全部を入力編集不可の属性で当該債務者の概況タスクの画面に再表示し、
    前記戻りタスク特定処理が、当該入力編集不可で再表示した決算検討コメントについて前記担当者による修正がなされる際に、前記決算検討タスク群に前記ジャンプして戻るジャンプ戻り要求の送信と関連付けられた前記画面要素を当該債務者の概況タスクの画面に表示する、
    ことを特徴とする請求項5記載の銀行業務処理システム。
  7. リスク評価を含む複数の関連するタスクからなる銀行業務の担当者によって使用される端末とネットワークを介して接続されたコンピュータシステムを有し、このコンピュータシステムが、
    基礎データ、入力データ、導出データ及び査定データ作業対象毎に有する作業データを格納する作業データ格納部と、
    前記端末の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報を前記銀行業務の前記タスク毎に格納する画面定義情報格納部とを備えた銀行業務処理システムを使用して前記複数の関連するタスクを実行する方法であって、
    前記タスク毎に前記画面定義情報に従って前記作業データを前記端末に表示制御すると共に当該端末の前記画面要素への操作に応じて入力される前記入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、前記作業対象への前記担当者による前記リスク評価を含む査定データとを前記作業データ格納部に格納するタスク処理工程と、
    前記画面要素の操作により前記端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、前作業対象を特定する開始画面から当該担当者による前記査定データを確定する終了画面に向けて、複数の前記タスクの推移を一方向に制御する進捗制御工程とを備え、
    この進捗制御工程は、
    作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を前記推移コマンドとして受信した際には、当該タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められ次タスクを特定する次タスク特定工程と
    作業中のタスクより前記開始画面側にあり前記担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を前記推移コマンドとして受信した際には、前記作業中であった前記タスクとは別の一以上のタスクを前記開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先の前記タスクを現タスクに特定する戻りタスク特定工程とを備え、
    前記タスク処理工程が、前記画面定義情報に従って、前記タスクのために入力され又は導出した前記リスク評価に関する前記作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理工程を備え、
    前記次タスク特定工程が、前記戻りタスク特定工程によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする前記次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、前記再表示の前記画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した、ことを備えたことを特徴とする銀行業務処理方法。
  8. リスク評価を含む複数の関連するタスクからなる銀行業務の担当者によって使用される端末とネットワークを介して接続されたコンピュータシステムを有し、このコンピュータシステムが、
    基礎データ、入力データ、導出データ及び査定データ作業対象毎に有する作業データを格納する作業データ格納部と、
    前記端末の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報を前記銀行業務の前記タスク毎に格納する画面定義情報格納部とを備えた銀行業務処理システムのコンピュータを使用して銀行業務を処理するための銀行業務処理用プログラムであって、
    前記タスク毎に前記画面定義情報に従って前記作業データを前記端末に表示制御すると共に当該端末の前記画面要素への操作に応じて入力される前記入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、前記作業対象への前記担当者による前記リスク評価を含む査定データとを前記作業データ格納部に格納するタスク処理手順と、
    前記画面要素の操作により前記端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、前作業対象を特定する開始画面から当該担当者による前記査定データを確定する終了画面に向けて、複数の前記タスクの推移を一方向に制御する進捗制御手順と、
    作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を前記推移コマンドとして受信した際には、当該タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められ次タスクを特定する次タスク特定手順と
    作業中のタスクより前記開始画面側にあり前記担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を前記推移コマンドとして受信した際には、前記作業中であった前記タスクとは別の一以上のタスクを前記開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先の前記タスクを現タスクに特定する戻りタスク特定手順と、
    前記画面定義情報に従って、前記タスクのために入力され又は導出した前記リスク評価に関する前記作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理手順と、
    前記戻りタスク特定手順によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする前記次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、前記再表示の前記画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止する手順と、
    を実行させることを特徴とする銀行業務処理用プログラム。
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