JP5500662B2 - 銀行業務処理システム、方法及びプログラム - Google Patents
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Description
融資等の金融取引により経済主体間で資金が融通され、資金の過不足が調整されると、経済活動が一段と円滑に進む。借り手は、貸し手に利息又は配当を支払うという確約をすることで資金の融通を受ける。利息又は配当は、借り手の将来収入という不確実な資産から支払われる。このため、借り手の状況変化により、貸し手は約定通りの元本の返済及び利息等の対価支払いを受け取ることができなくおそれがある。借り手が約定通りの返済等を行わないことで、貸し手が損害を受ける可能性を、信用リスクという(より詳細な説明は、例えば、非特許文献1第2頁から第5頁)。
また、貸し手の融資総額がある特定の性質の分野(市場)に偏っていると、その分野へ不測の状況変化が生じた場合には、その分野の多くの借り手の収入が低下するため、融資総額の多くが約定通りに返済されない可能性が高まる。このような分野の偏りによる信用集中リスクの増加を回避するためには、貸し手は、多種多様な借り手を探し、かつ、分野に偏りのないようにポートフォーリオの戦略を定め、実行しなければならない。
金融機関は、この金融取引の仲介に特化した法人である。金融機関の内、預金等受入金融機関は、貸し手から預金により調達した資金を融資の原資とするものであり、間接金融と呼ばれる。ここでは、預金等受入金融機関(信用金庫、信用組合等を含む)を銀行と呼ぶ。銀行は、貸し手から預金を受入れ(預金受入業務)、これを借り手に貸し出す(貸出業務)。預金は、流動性に富むため、経済主体間の決済にも利用されている。例えば、我が国では、銀行の事務処理の正確性への信任が厚く、預金残高を利用した自動的な決済である口座振替が発達している。口座振替は、借り手が銀行に融資残高を返済する際にも利用されている。
・銀行法等の金融法(銀行業務の健全性及び適切性)
・財務会計基準
・バーゼルII合意(「自己資本の測定と基準に関する国際的統一化:改訂された枠組」2004年6月、バーゼル銀行監督委員会)
・バーゼルII第1の柱による自己資本比率規制(金融庁告示第19号:銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年3月27日)
・バーゼルII第2の柱による監督(監督指針:主要行等向けの総合的な監督指針(2007年6月)、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(2007年6月); 預金等受入金融機関に係る検査マニュアル(非特許文献5[「検査マニュアル」という])
・バーゼルII第3の柱による自己資本比率等の開示(金融庁告示第15号: 銀行法施行規則第十九条の二第一項第五号ニ等の規定に基づき、自己資本の充実の状況等について金融庁長官が別に定める事項)
・バーゼルII及び検査マニュアルの要請による内部統制(善感注意義務、会社法第362条第4項第6号)
・金融商品取引法による財務報告に係る内部統制(金融商品取引法第24条の4の4)
・財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)(非特許文献8)
「1 この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保すると共に金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
2 この法律の運用に当たっては、銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。」
「銀行の業務の健全性」は、銀行の財務の健全性であり、貸出債権(金銭債権)の厳格な査定(評価額の測定)に基づいた財務会計上の(一般及び個別)貸倒引当金の計上と、銀行業務をとりまくリスク量の測定に応じた自己資本比率の計算に応じて判断される。
貸倒引当金の算定に関しては、上記のうち、主に、財務会計基準と検査マニュアルとに準拠しなければならない。リスク量の測定と計算、開示については、バーゼルII関係の告示及び検査マニュアルに準拠しなければならない。
貸倒引当金及びリスク量の測定の正確性を確保するために、強固な内部統制の構築が求められる。内部統制については、上記のように、バーゼルII、検査マニュアル、会社法、及び金融商品取引法による要請がある。
「銀行の自主的な努力」には、銀行による創意工夫が含まれる。
以下、金銭債権の査定(貸倒引当金の額の算出)、リスク量の測定、及び内部統制についての従来例を説明する。
財務会計は、企業の経済活動を、貨幣額などを用いて計数的に測定し、その結果を報告書にまとめて利害関係者に伝達するためのものである。財務会計の報告書で最も重要な二つが貸借対照表(B/S,balance sheet)と、損益計算書(P/L: profit and loss statement)とである。銀行を例とすると、B/Sは、経済活動に必要な資金を、出資者から拠出を受けた資本を含む純資産と、預金者等から調達した負債とに分けて示すと共に、それらの資金が経済活動のために投下されている資産とを対比して表した一覧表である。
例えば、債務者の経営状態に重大な問題が生じていない一般債権については、過去の貸倒実績率等の合理的な基準で算定する。経営破綻ではないが、弁済に重大な問題が生じているか、その可能性が高いとされる貸倒懸念債権については、債権額から担保の処分可能額又は保証による回収可能額を減算し、これに過去の実績率などから算出する。また、貸倒懸念債権については、将来の見積キャッシュ・フローを約定利子率で割引いた現在価値と、帳簿価格との差額を引当金としても良い。債務者が法的又は実質的に経営破綻に陥っている破産更正債権等については、債権額から担保の処分可能額又は保証による回収可能額を減算する。
銀行がその資産を査定するというのは、主に、銀行が借り手に対して有する金銭債権の経済的価値を評価し、一般及び個別の貸倒引当金の額を算出する作業である。貸倒引当金を計上すると、自己資本が減少する。銀行の資産(金銭債権等)に対する自己資本の比率について、国際的なバーゼル合意がある。
バーゼル銀行監督委員会は、世界各国の銀行監督当局・中央銀行の代表者が意思疎通・協議を行う機関であり、スイスのバーゼルにある国際決済銀行(BIS)で開催される。信用リスクを対象とするバーゼルI(BIS規制)は1988年に合意され、日本では1991年3月から適用開始、1993年3月から本格適用されている。自己資本比率は、自己資本の額(分子)をリスク資産(リスク・アセット)の総額(分母)で除した割合で示すこととし、その比率が8%以上となることを求めている(非特許文献3第26頁)。
バーゼルIIは3本の柱により構成されている。第1の柱は、自己資本比率規制であり、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクのリスク量に対する自己資本の比率を所定の算式で計算し、自己資本の質と量を確保させる仕組みである。第2の柱は、リスク管理と健全性の維持は銀行自身の責任において遂行され、監督当局はそれを検証することを原則として、監督当局は、例えば、各銀行の内部管理態勢(内部統制)の妥当性・有効性を検証・評価する仕組みである。第3の柱は、市場規律であり、自己資本比率をめぐる関連情報の開示を充実させ市場による評価を得る仕組みである(非特許文献3第51頁から第63頁)。
我が国では、上記のように、第1の柱に対して金融庁告示第19号、第3の柱に対して金融庁告示第15号、第2の柱に関して総合的な監督指針及び検査マニュアルが定められ、公開されている。
内部格付手法は、銀行内で測定した長期平均デフォルト率PDを使用してリスク・アセットを計算する手法であり、当局設定のデフォルト時損失率LGD及びデフォルト時エクスポージャーEADを用いる基礎的内部格付手法と、銀行内でLDG及びEADを測定する先進的内部格付手法とがある。
金融監督行政は、従前より早期是正措置制度等を採用している。その金融監督行政の基本は、銀行の自己資本比率であり、自己資本比率算定に使用する財務諸表を作成するには金銭債権の償却・引当が正確に行われることが必要であり、償却・引当を正確に行うにはその準備作業である銀行自らによる資産査定が適切に行われることが必要である。
資産査定とは、金融機関の保有する資産(金銭債権等)を個別に検討して、回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに従って区分することであり、金融機関自らが行う資産査定を自己査定という。自己査定は、金融機関が信用リスク管理をするための手段であると共に、適正な償却・引当を行うための準備作業である(非特許文献5第187頁:検査マニュアル、資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト、検証ポイント)。
信用格付は、債務者のデフォルト率又は倒産確率に応じた格付であり、例えばA,B,Cの記号で特定する。債務者区分は、融資先である債務者を、その債務者の財務状況や収益力に応じて「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」及び「破綻先」に区分するものである。信用格付は、債務者区分と整合的でなければならない。債務者区分では、その債務者が赤字か、延滞があるか、実質債務超過であるか等に着目し、財務内容や債務償還能力等を勘案して上記区分を行う。債権分類は、債務者区分と、担保や保証による保全状況とを考慮し、回収の可能性に応じて、I分類(非分類),II分類、III分類,IV分類に分類する。
債務者区分と債権分類と償却・引当との関係については、上記検査マニュアルの自己査定(別表1,非特許文献5第197頁から229頁)と、償却・引当(別表2,非特許文献第231頁から第247頁)に記載されている。この債務者区分及び債権分類の用語の意味や具体例は、非特許文献6第122頁から417頁等にも記載されている。
それぞれの債務者区分は言語を用いて次のように定義されている。
「正常先」とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者をいう。
「要注意先」とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済もしくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者をいう。
「破綻懸念先」とは、現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)をいう。具体的には、現状、事業を継続しているが、実質債務超過の状態に陥っており、業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の回収について重大な懸念があり、従って損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者をいう。
「実質破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている債務者をいう。具体的には、事業を形式的には継続しているが、財務内容において多額の不良資産を内包し、あるいは債務者の返済能力に比して明らかに過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、事業好転の見通しがない状況で、元金又は利息について実質的に長期間延滞している債務者などをいう。
「破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者をいい、例えば、破産、清算、会社整理、会社更正、和議、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者をいう。
「I分類(非分類)」は、「II分類、III分類、IV分類としない資産」であり、回収の危険性又は価値の毀損の危険性について、問題のない資産である。
「II分類」とするものは、「債権確保上の諸条件が満足に満たされないため、あるいは、信用上疑義が存在する等の理由により、その回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権等の資産」である。なお、II分類とするものには、一般担保・保証で保全されているものと保全されていないものとがある。
「III分類」とするものは、「最終の回収又は価値について重大な懸念が存し、従って損失の可能性が高いが、その損失額について合理的な推計が困難な資産」である。但し、III分類については、金融機関にとっての推計がまったく不可能とするものではなく、個々の資産の状況に精通している金融機関自らのルールと判断により損失額を見積もることが適当とされるものである。
「IV分類」とするものは、「回収不能又は無価値と判定される資産」である。なお、IV分類については、その資産が絶対的に回収不能又は無価値であるとするものではなく、また、将来において部分的な回収があり得るとしても、基本的に、査定基準日において回収不能額又は無価値と判定できる資産である。
銀行の債権には、種々のものがある。自己査定により、その総額を上記各分類に分類する。以下、「分類する」というときには、対象となる債権の全部又は該当部分をII分類以下のものと認定し、その額を算定することをいう。「分類しない」というときには、I分類とすることをいう。
金融再生法では、債権区分を定めている。債権区分は、債権を、正常債権、要管理債権、危険債権、破産更正債権及びこれに準ずる債権に区分することをいう。金融再生法は、担保や保証の状況を考慮せず、この債権区分に係る資産の合計額等を公表しなければならない旨定めている。債務者区分との関係は次の通りであり、非特許文献6では、第142頁から第151頁に記載されている。
正常債権 国及び地方公共団体に対する債権、特別公的管理銀行及び被管理金融機関に対する債権、正常先に対する債権、及び要注意先に対する債権のうち要管理債権に該当する債権以外の債権。
要管理債権 要注意先に対する債権のうち、3ヶ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権
危険債権 破綻懸念先に対する債権
破産更正債権及びこれらに準ずる債権 実質破綻先及び破綻先に対する債権
上記「貸出条件緩和債権」は、経済的困難に陥った債務者の再建又は支援を図り、当該債権の回収を促進すること等を目的に、債務者に有利な一定の譲歩を与える約定条件の改定等を行った貸出債権(破産更正債権及びこれらに準ずる債権,危険債権及び3ヶ月以上延滞債権を除く)である。
銀行法21条は、リスク管理債権を営業年度ごとに業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を公衆の縦覧に供しなければならない旨定めている。業務及び財産の状況には、破綻先債権、延滞債権、3ヶ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権の4種類の貸出金が含まれている。これをリスク管理債権という。非特許文献6では、第146頁から第147頁に記載されている。
債務者区分と債権分類とに基づいて、償却・引当を行う。償却・引当は、企業の会計原則に従って、かつ、検査マニュアルの指摘に沿って処理する。償却(貸倒償却、貸倒損失)は、税法に準拠することが多く(有税償却)、会社更生法による更正計画認可決定等の法律上の手続きによる債権消滅時に、債権の回収を不能として償却する。従って、破綻懸念先等のIII分類等は、償却とならない。これらの分類額について、税法上損金とならないが、会計上償却とすることもある(無税償却)。償却・引当については、非特許文献6第453頁から第513頁に記載されている。
一般貸倒引当金については、正常先に対する債権及び要注意先に対する債権について、信用格付の区分又は債務者区分毎に、償却・引当基準に基づき、予想損失額を合理的に見積もる。信用格付の区分毎に予想損失額を見積もる場合には、債権を分類した自己査定の査定結果による債務者区分と、その時点での信用格付とが整合的でなければならない。
破綻懸念先に対する債権の引当では、III分類とされた債権額に予想損失率を乗じた額を予想損失額として個別貸倒引当金に計上する。予想損失率は、原則として個別債務者毎に、経済状況の変化、債務者の業況見込み、債務者の営業地区における地域経済の状況等を斟酌の上、過去の貸倒実績率又は倒産確率に将来の予測を踏まえた必要な修正を加えて決定する(非特許文献5第241頁、非特許文献6第479頁から第484頁)。
また、金銭債権を売却可能な市場を有する債権について、合理的に算定された売却可能額を回収見込額とし、債権額から回収見込額を控除した残額を予想損失額とする方法もある。そして、大口債務者については、DCF法を適用することが望ましいとされている。
債務者の財務諸表に基づいて、財務分析を行い、信用格付を区分することは、古くより行われている。財務分析は、P/LやB/Sで公表された計数から種々の比率を算出し、その比率から収益性、成長性、安全性等の財務内容を判断するものである。例えば、安全性の指標である流動比率は、流動資産/流動負債と定義され、1年以内に現金化できる資産と、1年以内に返済等しなければならない負債との比率であり、短期の資金繰りが良好であるか否か等を表す。流動資産のうち、特に早期に現金化できる流動資産を用いて算出する当座比率は、短期の返済能力を表すとされている。固定資産と長期資産の関係は、固定資産/資本である固定比率や、固定資産/(資本+固定負債)である固定長期適合率等を用いる。これらの値が100%よりも大きいと、短期資金を固定資産に投下していることとなり、資金繰りが不安定となる。
P/Lに基づく指標としては、例えば、インタレスト・カバレッジ・レシオがある。これは、利息を支払うのに十分な利益が獲得できているか否かを判断するために、利益の金額を利息の金額で割って計算される比率であり、P/Lに基づくことから、債務者の支払能力の変化を早期に把握することができる。この比率やその推移により、借入金の返済能力を評価することができる。
特許文献1には、与信先の信用リスクをタイムリーに再評価することなどを目的として、債務者の決算検討など定期的に発生する事象に応じて与信先の信用格付を行う定期モニタリング工程と、延滞・金利減免など特許文献1の図4に示される不定期に生じる事象が生じたときに、与信先の信用格付を行う経常モニタリング工程とを備えた手法(段落0043から0045)が開示されている。
この従来例では、融資の実行を起案するための融資稟議では、その稟議書の作成・決裁の効率化・迅速化を図るため、その作成に用いる語句は極力簡便に表現されるべきであり、その意味については記載されないことから、金融の専門用語に不慣れな新入行員などの初心者にとって、稟議書の作成は困難であるとの課題が指摘されている(特許文献5,段落0008等)。そして、本部で管理されている顧客に関するデータから、当該顧客に財務上の問題点があることが明らかな場合には、ダウンロード直後の表示画面等で起案者に知らせる等の処理を行っている。また、稟議書作成に関して不足している情報が存在している場合には、不足情報の入力後に再ダウンロードするか否か等の判断を起案者に行わせるなどして、注意喚起を行っている(特許文献5,段落0056)。また、稟議書作成誘導部が、必須入力画面等を生成し、各画面中の情報を修正し、また追加することで、各画面を完成させ、当該顧客の稟議書として適正化される旨、開示されている(特許文献5,段落0057から60)。
信用リスク管理に関するコンピュータシステムの開発に際しては、各種の内部統制の要請と整合的であることが求められる。内部統制(インターナル・コントロール)は、業務の品質・信頼性を向上させるための業務上のプロセスである。バーゼル銀行監督委員会は1998年「銀行組織における内部管理体制のフレームワーク」を公表した。検査マニュアルは、各種の内部統制フレームワークを底流とし、例えばプロセス・チェックを重視している。
さらに、内部統制は、2005年経済産業省の報告書にて「企業経営者の経営戦略や事業目的等を組織として機能させ達成していくための仕組み」と定義されている(「コーポレート・ガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の枠組みについて-構築及び開示のための指針-」、非特許文献7第2頁から第3頁)。
財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準では、「内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。」と定義する(非特許文献8第2頁)。
バーゼルIIテキスト第744パラグラフで、自己資本の評価に際して銀行がどのような内部統制を有しているかは重要であり、銀行の取締役会の責任として、様々なリスクを評価するためのシステムの構築を挙げている。
また、バーゼル銀行監督委員会「実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」(2006年10月)は、原則17: 内部統制及び監査として、「監督当局は、銀行が業務の規模や複雑性に照らして適切な内部統制機能を有していることを確認しなければならない。」と述べている。
一 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
三 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
五 当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
1号は、情報の保存及び管理、2号はリスク管理、3号は効率性、4号は法令等違反行為の把握、監視、予防等である(非特許文献7,第78頁から第80頁)。
1. 業務の有効性及び効率性: 事業目的を達成するための有効性及び効率性。
2. 財務報告の信頼性: 財務諸表に関する情報の信頼性の確保。
3. 事業活動に関わる法令等の遵守: 事業活動に関わる法令そのた規範の遵守。
4. 資産の保全: 資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われるようにすること。
1. 統制環境: 組織の気風を決定し組織内全ての者の統制に対する意識に影響を与え、他の基本的要素の基礎となる基盤。
2. リスクの評価と対応: 組織目標の達成に影響を与える事象について、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価し、当該リスクへ適切な対応を行う一連のプロセス。
3. 統制活動: 経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定める方針及び手続で、業務プロセスに組み込まれるべきものであり、組織内の全ての者において遂行されることにより機能する。
4. 情報と伝達: 必要な情報が識別、把握及び処理され、組織内外及び関係者相互に正しく伝えられることを確保することをいう。一般に、人的及び機械化された情報システムが利用される。
5. モニタリング: 内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセス。
6. ITへの対応: 組織目標を達成するために、予め適切な方針及び手続を定め、それを踏まえて、業務の実施において組織の内外のITに対して適切に対応することをいい、IT環境への対応と、ITの利用及び統制からなる。
・ITの利用と内部統制の基本的要素
1. 統制環境の有効性の確保: ITを利用することで組織の基本的方針や決定事項等を組織の適切な者に適時に伝達することを可能にする等。
2. リスクの評価と対応の有効性の確保: リスクの測定とリスク情報の共有をITの利用により効率的に行うことができる。
3. 統制活動の有効性を確保するためのITの利用: ITを利用した統制活動を、適切に設計して業務プロセスに組み込むことにより、統制活動の自動化が可能となる。このITによる自動化により、手作業による統制活動(マニュアル統制)に比べて迅速な情報処理が期待できるほか、人間の不注意による誤謬等の防止も可能となる。一方で、プログラムの不正な改ざん等があった場合には、不正等の適時の発見が困難という問題点も考えられる。
このように統制活動の有効性を確保するためのITの利用では、ITが業務プロセスに求められる様々な要請に対して明確に準拠していることが必須である。準拠性は確保しなければならず、技術的課題としては、そのコストをどのように低減させるかが問題となる。
4. 情報と伝達の有効性の確保: 必要な承認や作業完了が一定期間に実施されない際にはその旨が上司に伝達される機能など、業務管理に必要な情報の伝達を業務プロセスに組み込むことができる。
5.モニタリングの有効性の確保: 日常的モニタリングは、業務管理システムに組み込み自動化することでより網羅的に実施することが可能となる。その結果、財務報告の信頼性を阻害する要因(リスク)の評価を低く見積もることが可能となる。
1.有効性及び効率性: 情報が業務に対して効果的、効率的に提供されていること。
2.準拠性: 情報が関連する法令や会計基準、社内規則等に合致して処理されていること。
3.信頼性: 情報が組織の意思・意図に沿って承認され、漏れなく正確に記録・処理されること(正当性、完全性、正確性)。
4.可用性: 情報が必要とされるときに利用可能であること。
5.機密性: 情報が正当な権限を有する者以外に利用されないように保護されていること。
(1).銀行法、バーゼルII、金融庁告示19号等、検査マニュアル
(1.1).健全性: 健全性は、銀行の財務の健全性であり、上記銀行法、バーゼルII、金融庁告示、検査マニュアルの要請は、全て健全性を確保するための要請である。健全性は、リスク量に対して適切な自己資本を有することとして定量化される。
収益向上可能性: 健全性を確保するために自己資本を充実するには、収益力が高くなければならない。
損失発生防止可能性: 健全性を確保するために自己資本を充実するには、損失の発生を防止しなければならない。
(1.2).適切性: 適切性は、銀行の業務の適切性であり、業務の適切性を確保するためには、法令等へ準拠性、統合的管理性及び適時報告性が必要である。
会社法の要請する内部統制は、主に、不祥事の発生などを防止することであり、損失派生防止とも考えられる、会社法の要請する内部統制は、情報の管理、信頼性、保存性、検索性、可用性、リスク管理、内部監査、を要素としている。
(3.1)ITの利用
上記の通り、財務報告の信頼性確保のための内部統制は、ITの利用が推奨されている。そして、当該内部統制の基本的要素である統制環境の有効性、リスクの評価と対応の有効性、統制活動の有効性、情報の伝達の有効性及びモニタリングの有効性の確保をITの利用により行うことが望ましい。
(3.2)ITの統制
ITの統制としては、有効性及び効率性、準拠性、信頼性、可用性、機密性がある。
本明細書にて、「内部統制の質の向上」という際には、上記内部統制の有効性を確保し、向上させ、または、一定の質を維持しつつ所要費用を低減することをいう。
このため、検査マニュアルでの用語や、融資の態様等の銀行取引や、財務会計、財務分析や、銀行決算の実務などについては、内部資料の公開ではなく、対応事項が記載されており、すでに公開されている書籍を非特許文献として引用した。これらの書籍も、本発明の技術的意義の理解を容易とする観点から本願の出願用に選定したものであり、発明の参照文献であったとは限らない。また、金融取引に関連する主要な用語の定義については上述したが、さらなる詳細や背景については下記文献等を参照されたい。
そして、個別の判断についての整合性や、個別の判断相互の整合性の確保のために、判断の基準や手順を統一するのみならず、コンピュータシステムの情報処理を利用して判断の過程を統一できるのではないか、との着想に至った。
そして、この進捗制御部は、作業中のタスクより開始画面側にあり担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を推移コマンドとして受信した際には、作業中であったタスクとは別の一以上のタスクを開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを現タスクに特定する戻りタスク特定処理とを備えている。
さらに、タスク処理部が、画面定義情報に従って、タスクのために入力され又は導出したリスク評価に関する作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力したタスクに、一以上の別のタスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理を備えている。
そして、次タスク特定処理が、戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、再表示の画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した、という構成を採っている。
これにより、上記課題を解決した。
そして、この進捗制御工程は、作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を推移コマンドとして受信した際には、当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定する次タスク特定工程と、作業中のタスクより開始画面側にあり担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を推移コマンドとして受信した際には、作業中であったタスクとは別の一以上のタスクを開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを現タスクに特定する戻りタスク特定工程とを備えている。
そして、タスク処理工程が、画面定義情報に従って、タスクのために入力され又は導出したリスク評価に関する作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力したタスクに、一以上の別のタスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理工程を備えている。
さらに、次タスク特定工程が、戻りタスク特定工程によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、再表示の画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した、という構成を採っている。
これにより、上記課題を解決した。
さらに、作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を推移コマンドとして受信した際には、当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定する次タスク特定手順と、作業中のタスクより開始画面側にあり担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を推移コマンドとして受信した際には、作業中であったタスクとは別の一以上のタスクを開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先のタスクを現タスクに特定する戻りタスク特定手順とを実行させる。
さらに、画面定義情報に従って、タスクのために入力され又は導出したリスク評価に関する作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力したタスクに、一以上の別のタスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理手順と、戻りタスク特定手順によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、再表示の画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止する手順とを実行させる、という構成を採っている。
これにより、上記課題を解決した。
銀行業務処理方法及びプログラムについても同様である。
部材の符号中、記号「x」は、任意の数字を示す。例えば、Txxxxと表記されるタスクIDは、図10に示すタスクIDのように、「x」が数字であり、T1300、T1600などを包括的に示す。ボタンBxxというときには、次へボタンB1や、戻るボタンB3や、前回内容照会ボタンB38などを含む。
図1を参照すると、本実施形態での銀行業務処理システムは、端末1とネットワーク2を介して接続されたコンピュータシステム4を備えている。
コンピュータシステム4は、主要な構成として、作業データ格納部6と、画面定義情報格納部7と、タスク処理部10と、進捗制御部30とを備えている。そして、進捗制御部30は、次タスク特定処理34と、戻りタスク特定処理32とを備えている。
進捗制御部は、戻りタスク特定処理32と、次タスク特定処理34とを備える。
このように、次タスク特定処理34は、予め定められた画面推移の順序に従って次のタスク(画面)を特定することで、現在の画面から終了画面側に1以上画面を飛び越して(ジャンプして)推移する処理を禁止する。
この判断過程統一作用により、当該銀行業務の作業の順序を本実施形態のITの利用により強制するため、作業に関するリスクの発現を予防することができる(予防的統制効果)。そして、判断過程統一作用により、不慣れな担当者に早期の熟達を促しつつ、ITの利用による事務合理化を図ることができる。
そして、この判断過程統一作用により、銀行業務を多人数で熟達の程度に差のある作業者群によって遂行する際にも、判断過程を強制的に統一するという業務プロセスが構築される(業務プロセス構築作用)。この業務プロセスの構築により、多人数による判断を均質とすることができ、そのため、作業結果で得られるデータの可用性を向上させることができる(均質性と可用性の向上効果)。
また、複数のタスクからなる銀行業務の判断過程が統一されることで、大量のデータの依存関係を一方向制御に基づいて管理することができ、当該銀行業務を組み立てる大量の判断基準について、タスク又はタスク群を単位として局所化することができる(局所化作用)。この判断基準の局所化により、様々なルール(規律)への準拠性を確保する作業負荷が軽減され、システム開発及び規律の進化に応じたシステムの局所的な変更も容易となる(開発変更容易効果)。
本実施形態では、このITを利用した一方向制御により、予防的統制効果、結果の均質性と可用性の向上及び開発変更の容易性等により、内部統制の質を向上させることができる。
銀行業務処理方法及びプログラムについても同様である。
これを詳細に説明する。
さらに、作業データ6aに、作業のプロセスがどのようになされたかを作業毎に記録する作業プロセスデータ6hを含めると良い。この作業プロセスデータ6hは、債務者毎に作業がなされたか否かを示す作業有無コードや、作業の状態を示すコード(例えば、作業ステータス)や、個別のタスク毎の進捗を示すコード(例えば、進捗ステータス等)を有すると良い。
端末1でアプリケーションソフトウエアを実行する際には、画面定義情報7aは、アプリケーションソフトウエアか、または端末1のオペレーティングシステムが解釈可能なコードとなる。このように、画面定義情報7aの具体例は端末1動作するソフトウエアとの関係で定まり、バイナリーコードや、XMLやHTMLによるテキストの指定となる。
進捗制御部30は、ボタンBxx等の画面要素の操作により前記端末1から送信される推移コマンド30aに応じて、当該タスク間の推移を前記銀行業務の開始画面から終了画面に向けた一方向に制御する。銀行業務の「タスク」は、1又は複数の画面を有する。タスクを一方向に制御するのは、画面を一方向に制御することと同義である。
図4(A)を参照すると、この「一方向」は、画面IDが1、2、3等となる予め定められた順序での一方向である。一方向というときには、画面IDが1、2、3と進捗する方向のみであり、画面IDが3、2、1となる逆方向を含まない。すなわち、コンピュータシステム4は、一方向制御下の通常の操作では、予め定義された順序で画面が推移するように画面の進捗を制御する。開始画面である画面ID:1から終了画面である画面ID:8までの画面推移を一方向に制御する。
また、図4(A)から図4(C)いずれの構成であっても、一方向制御を採用すると、各画面の開発に際しては、その画面での整合性を確保する情報処理を開発すればよく、個別の画面やタスクの開発のドメインは局所化される。ソフトウエアの開発として、一方向制御を採用し作業手順の強制のためのロジックを開発すれば、個々の画面間の全体的な整合性の確保については、作業者が行うこととなり、ソフトウエア開発の負担が大幅に軽減される。
また法規制や金融機関への要請などが変化・進化した際に新しいルールに準拠させるためのソフトウエアの変更もデータへの影響を一方向の元で可視化でき、局所的とすることができる。すなわち、ソフトウエアの変更の負担も大幅に軽減される。
図5に示すように、一方向制御は、判断過程統一作用により、予防的統制効果を奏し、業務プロセス構築作用により、結果の均質性及び可用性向上効果を奏する。さらに、判断基準の局所化作用により、開発・変更容易効果を奏する。
具体的には、例えば、予め定めた判断過程による作業者の判断が積み重なることを「ITを用いて統制」することで、例えば信用リスク管理に関する銀行業務の作業に伴い発生し得る数値(信用格付、債務者格付、債務者区分、分類額等の作業結果と、これらの作業結果を使用する貸倒引当金及び自己資本比率等)への誤りの混入を「予防」することができる。
この予防に際して、単に自己査定業務をシステム化した場合と比較して、本実施形態による一方向制御というITを利用すると、判断過程統一及び業務プロセス構築を人手によらずにコンピュータシステム4により統制することができる。この統制はマニュアル統制ではなく、システム統制であるため、判断過程の統一という業務上の新しい要請についてまでITを適用可能としたことで、内部統制の質を向上させ、業務自体の有効性及び効率性を高めることができる。
この内部統制の質を向上させるという一方向制御の効果は、当該一方向制御を採用するコンピュータシステム4という製品の製品市場における優位性となる。一方向制御を行うコンピュータシステム4という製品は、判断基準の局所化作用により、異なる金融機関等への適用に際しても導入に必要な情報処理内容の修正を最小限とすることができる。
再度図1を参照すると、好適な本実施形態では、タスク処理部10は、強制再表示処理12を備える。強制再表示処理12は、前記画面定義情報7aに従って、前画面までのタスクのために入力され又は導出した作業データ6aの一部を作業中である別のタスクの画面に入力編集不可で再表示する。
複数のタスクからなる銀行業務について、個別の判断と総合的な判断とを整合させたいという課題に対して、本実施形態では、強制再表示処理12が、各タスク(画面)での個別の判断の結果をより終了画面側の画面にて再表示する。
例えば、信用リスク管理を例とすると、決算検討用の画面で入力したコメントを自己査定用の画面で一部再表示するなどして、決算検討での作業者の判断を自己査定用の画面にて再表示する。この強制再表示処理12という情報処理により、決算検討作業自体の整合性を確保しつつ、さらに、決算検討と自己査定との整合性を確保する。この強制再表示処理12は、再表示の対象を画面定義情報7aに予め定義しておき、現画面の照会要求に応じて、前画面までに入力されたデータを端末1に表示させる処理である。
強制再表示処理12は、前画面までに入力された入力データ6cを入力編集不可の入力編集不可属性とし、現画面の前記画面定義情報7aに従った位置に再表示すると良い。
この例では、再表示のデータについては、変更を不可とするため、終了画面側の画面では再表示される入力データ6cの修正を行うことができない。従って、再表示された入力データ6cを修正するには、作業者は、当該入力データ6cを入力した画面まで戻らなければならない。なお、戻りタスク特定処理32により、戻り先のタスク(画面)へ戻る作業自体は少ない操作数により短時間で完了する。
本実施形態では、この修正のために強制的に画面を戻らせるという一方向制御により、個別判断と個別判断との総合的な整合性の確保を作業者に促す業務プロセスを強制的に確保することができる。
そして、前画面までに入力された入力データ6cを、編集を不可とする入力編集不可属性で強制的に再表示し、この修正作業については、画面を戻す処理を強制すると、総合的な整合性のために修正が必要な入力を前画面以前で行った作業者の手間及び作業負荷は強制的に増加することとなる。一方、作業の要領等の全体構造を把握している作業者にとっては、修正のために画面等を戻る処理が不要で、一度の画面推移で、短時間で作業を終了させることができる(事務合理化)。このように、一方向制御下の入力編集不可での強制再表示処理12という情報処理により、「総合的な整合性を確保するために修正する際に作業者の作業負荷が増大する」という業務プロセスをコンピュータシステム4の情報処理により強制的に構築している。これにより、作業に必要な知識・経験に関して、作業者の早期熟達を促すことができる(早期熟達と事務合理化)。
好適な実施形態では、強制再表示処理12は、画面定義情報7aに従って、前画面までに確認された作業データ6aをから計算される導出データ6dを入力編集不可の入力編集不可属性として再表示する。
すなわち、前画面までに入力された入力データ6c及び基礎データ6bを使用して導出データ6dを導出し、導出データ6dを現画面に表示する。この情報処理により、複雑な依存関係にあるデータの関連を予め統一した基準で整理し、画面の推移による判断の積み上げを業務プロセスとして確立することができる。導出データ6dの再表示という構成により、画面表示するデータの精度向上作用による均質な判断積み上げ作業を有し、異なる作業者間の判断の均質化を促し、また、形式的なミス防止のための確認作業の負荷を軽減することができる。
図5に示すように、強制再表示処理12により、各画面の個別の判断と、より終了画面側での個別の判断とについて、それぞれ必要なデータを表示又は再表示しつつ、再表示については、作業全体に関する一貫した判断を促すことができる。すなわち、強制再表示処理12というITの利用により、作業者に、個別判断と、全体判断とのそれぞれ整合性を促し、整合的な判断の積み上げが自然になされる業務プロセスを構築することができる(整合的判断積み上げ作用)。
強制再表示処理12による整合的判断積み上げ作用は、再表示された画面にて当該画面内部の整合性が確保されず、従って、再表示されたデータの修正が必要となる際に、修正時の作業を強制するという業務プロセスが構築される。すなわち、再表示されたデータを修正するには、当該データを入力する画面までジャンプして戻らなければならず、ジャンプして戻り、必要な修正を行うと、一方向制御により、再表示の画面までジャンプして進むことができない。従って、作業者は、全体的整合性の不備を発見すると、一定の作業を強いられることとなる(修正時の作業強制作用)。
この修正時の作業強制作用により、作業に不慣れな作業者が、早期に熟達するという効果を奏する。すなわち、終了画面側で不整合が発見されると、作業の業務を効率的に行うことができない。従って、業務の効率化のために、作業全体の構造を早期に把握しようと努め、その結果、全ての作業者の早期な熟達が図られる。この点、単に資産査定業務をシステム化すると、作業者が判断すべき事項が減っていき、全体的整合性の判断を促すことがなくなる結果、作業者は、作業という業務の内容についての知識を蓄積する機会が大幅に減少する。一方、強制再表示処理12を採用すると、システム化により事務合理化しつつ、全ての作業者の早期熟達を図ることができる。
一方、熟達した作業者にとっては、作業を要する債務者それぞれについて全ての画面を経由するのは、業務の効率性を悪化させる懸念もある。しかし、作業を要する債務者全てについて必要最低限の作業がなされており、特に、強制再表示により個別判断の整合性が確認されていることを前提とできるため、内部統制に必要なコストを含め全体として事務合理化することができる。
このように、早期熟達効果と、事務合理化効果とにより、強制再表示処理12というITを利用して、資産査定に必要な業務の適切性、有効性及び効率性を高めることができる。
本実施形態は、下記4つの実施例を有する。実施例1から3は銀行業務処理システム、方法及びプログラムで、実施例4は債務者等の信用格付と債務者への債権の資産査定とを業務とする格付自己査定システムである。
図6に、本発明の各実施例の課題解決手段と作用効果のポイントを示す。
実施例1(進捗ステータス統制)では、進捗制御部30は、タスクの進捗状況をタスク毎の進捗ステータスで管理する。進捗ステータスとして、未着手、作業中及び作業済を有する。進捗制御部30は、作業の起票時に全てのタスクの進捗ステータスを未着手とし、作業が完了するごとにタスク単位で作業済とする。そして、ジャンプして戻った際には、戻った間のタスクの進捗ステータスを作業済から作業中に変更する。これにより、一方向制御をする。
この実施例1では、タスク毎の進捗ステータスを格納することで、銀行業務処理の作業プロセスをデータとして保存することができる。作業データ6aのみならず、作業プロセスデータ6hとして進捗ステータスを記録しておくことで、作業が完了した銀行業務についての作業データ6aの可用性と検証性とを向上させることができる。そして、作業データ6aの可用性を高めることで業務に必要な情報の伝達の有効性を高めることができる。また検証性を向上させると、品質・信頼性向上のためのモニタリングの有効性を高めることができる。
そして、トランザクション管理では、一方向制御下にて、作業のトランザクションの管理を、作業通番を単位とする作業トランザクションと、タスクIDを単位とする個別トランザクションとに分けて、それぞれACID特性の全てを要求せず、操作性を向上させつつ、システムのデータ管理上、安定した仕組みを構築する。すなわち、作業タスクの全体の一貫性については作業の全体の終了時に確保し、一方、タスクについては、タスク毎に永続性を確保する。すなわち、作業全体として一貫性がない状態であっても、一方向制御下で、タスクに永続性を与える。これにより、コンピュータシステム4の障害発生時にも作業データ6aを正確に管理することができ、また、システム開発を柔軟に行うことができる。例えば、作業を途中のタスクで中断する中断制御62(図16参照)を実装することができる。
図7に示すように、実施例1では、コンピュータシステム4が、進捗ステータス格納部8を備えている。
進捗ステータス格納部8は、作業プロセスデータ6hとして、進捗ステータステーブル8aを格納する。進捗ステータステーブル8aは、タスクを識別するタスクIDを単位として、当該タスクで使用する作業データ6aの全体に対して未着手、作業中及び作業済の進捗ステータスを特定するテーブルである。
図8に示す例では、進捗ステータスとして、さらに、省略と取消とを有すると良い。
また、進捗ステータスとして省略を有する例では、省略は、作業分岐34aによりスキップしたタスクを示す。スキップは、その作業分岐34aの条件に応じて作業を必要としないタスクのタスクIDについて、作業分岐34aのタスクまでのタスクを省略する進捗管理である。図4(A)又は(C)に示す例では、画面ID:3のタスクから画面ID:5のタスクに進捗する際、スキップするタスクIDは画面ID:4のタスクIDである。
進捗ステータステーブル8aは、図10に示すように、作業通番毎に、1つのテーブルとなり、タスクID毎の進捗ステータスを有する。
図9に示すように、作業ステータスとして、起票後、作業の開始又は振り分けを待機する状態を示す待機中と、営業店担当者等のコンピュータシステム4へのログイン作業者による作業中を示す実行中と、作業が決裁され作業全体が終了した決裁済と、同一債務者の作業が重複して起票された状態を示す重複と、作業の取消を示す取消とを用いると良い。
進捗制御部30は、この作業ステータスを更新し、参照することで作業のワークフローを管理すると良い。ここでは、「ワークフロー」は、作業者間で作業を回付する処理をいい、「進捗」は、同一の作業者による作業内のタスクの推移をいう。
そして、作業者は、図10に示す進捗ステータステーブル8aに示される状況では、タスクID(T1331)のタスクを作業中である。
各タスクに、タイムスタンプが与える例では、各タスク(少なくとも1つの画面群)についての個別作業を完了した時刻が記録される。すると、タスクID間の所要時間なども事後的に検証できる。
[進捗ステータス統制: タイムスタンプ]
再度図7を参照すると、好適な例では、タスク完了処理40が、タイムスタンプ処理44を備えている。タイムスタンプ処理44は、当該完了するタスクの進捗ステータスを作業済に変換した際に、当該変換した時刻を前記タイムスタンプに格納する。そして、進捗ステータステーブル8aが、このタイムスタンプを管理する。タイムスタンプは、例えば、当該進捗ステータスを作業済みに変換した時点の時刻をとする。このタイムスタンプは、進捗ステータステーブル8aへ作業済のタイムスタンプを格納する処理の他、進捗ステータスの格納を行った全てのログを記録するようにしても良い。
好適な例では、作業分岐34aをタスク完了処理40にて実装する。この例では、前記タスク完了処理40は、作業分岐処理46を備える。この作業分岐処理46は、当該作業の作業データ6aと、予め定められた作業分岐34aの条件とを比較して、当該比較結果に応じて次タスクIDを特定する。作業分岐34aの条件としては、債務者の態様(法人、個人、ノンバンク等の種類)や、債務者区分(正常先、要注意先等の種類)がある。作業分岐条件を満たし、作業分岐34aする際に、この作業分岐34aによってスキップするタスクIDの進捗ステータスを省略に変更する。作業分岐34aしない際には、通常の進捗制御となる。
好適な例では、一方向制御による作業者の任意での画面やタスクの終了画面側へのジャンプを禁止しつつ、予め定められた許容される終了画面側へのジャンプ(特定スキップという)を一方向制御に組み込むようにしても良い。この例では、前記タスク完了処理40が、特定スキップ処理48を備える。特定スキップ処理48は、前記タスクの作業データ6aの内容が予め定められた作業分岐条件を満たすとして前記作業者によるスキップの操作がなされた際に、前記一方向の順序によるタスクの予め定められた画面表示をスキップし、当該スキップしたタスクの作業データ6aを自動的に生成し、当該スキップした各タスクの進捗ステータスをそれぞれ作業済に変更する。
次に、タスク開始処理38の一部として、一方向制御処理42を実装する例を説明する。このタスク開始処理38は、戻った画面についてのタスク開始処理38中に、それより終了画面側の全てのタスクIDの進捗ステータスを作業中に変更する。すなわち、タスク開始処理38が、作業対象のタスクの進捗ステータスを作業中に変換する前後に、当該作業対象のタスクよりも終了タスク側の全てのタスクのうち作業済のタスクの進捗ステータスを作業中に変更することで、前記一方向制御処理42を行う。
次に、一方向制御処理42を、タスク開始処理38ではなく、タスク完了処理40にて実装する例を説明する。この例では、戻った画面で入力変更があることを確認したときに、作業済のタスクを作業中に変更すると良い。例えば、前記タスク完了処理40が、作業対象のタスクの進捗ステータスを作業済に変更する前後に、当該作業対象のタスクよりも終了タスク側の全ての作業済の進捗ステータスを作業中に変更することで、前記一方向制御処理42を行う。この例では、入力対象画面が戻り、その戻り対象画面又は戻り対象画面より後の画面で入力があった場合に、入力された画面以後の進捗ステータスを作業中にする。戻った後も、作業した画面まで進むことができる。
銀行業務のタスクの順序が単純な一次元ではなく並列があり、図4に示す作業分岐34aがある場合、進捗ステータスとして図8に示す省略を使用すると良い。この例では、進捗ステータステーブル8aは、当該銀行業務の態様別に進捗が並列であるタスクIDを前記一方向の順序で一次元の並びとして有すると共に、前記進捗ステータスとして省略を有する。
図12に、作業プロセスデータ6hのエンティティー・リレーションシップを示す。各ボックスの一段目はエンティティーの名称、二段目は主キー、三段目は項目である。例えば、進捗ステータステーブル8aのエンティティーは、各作業を識別する主キーが作業通番とタスクIDとであるため、作業通番毎で、タスクID毎に、三段目に示す項目を有する。この項目は、進捗ステータスコード、作業者(作業者)ID、作業者名、タイムスタンプ等である。
また、図10に示す例では、営業店担当者から監査上級まであるが、全ての債務者の作業が再査定上級や監査上級までなされることはなく、信用リスク等に応じて、最終査定部門は異なる。また、信用リスクが類似する一群の債務者について、標本を抽出して監査をする際もある。このように、作業毎に最終査定部門がある例では、作業ステータステーブル9aのエンティティーにて最終査定部門コードを保持すると良い。
・例1: 作業通番1: 債務者の業況に変化が生じて手動(状況速報)にて作業を起票した。
・例2: 作業通番2: 債務者の決算書類を入手したため自動にて作業を起票し(決算検討)、債権額が一定額未満であるため作業不要該当コードにて不要とされていたが、作業者の判断で作業を要として作業している。
・例3: 決算検討で自動起票し、作業者が画面のスキップを選択した。
・例4: 決算検討で自動起票したが、作業不要となった。
作業通番2では、作業不要該当コードが不要として起票されたが、作業者が作業を要として作業中である。進捗ステータスを参照すると、管理・回収方針を作業中である。画面のスキップをしていないため、画面スキップタスクに省略が記録されている。
作業通番3では、画面のスキップをしている。作業ステータステーブル9aのスキップ有無は、有となる。進捗ステータスは、統括者まで作業済で支店長の作業待ちであり、画面スキップも作業済となる。
作業通番4では、作業不要とされ、作業要否コードは否と記録される。作業ステータスは取消(確定)で、この場合、すべての進捗ステータスを取消に更新する。
そして、作業プロセスの保存は、判断過程を記録するため、判断過程の種類(過程や日時等)を検索キーとした検索が可能となり、データの可用性を向上させ、多様な情報伝達が可能となり、内部統制でいう情報の伝達の有効性を向上させることができる。判断過程が記録されると、作業者の判断の思考過程を追認しやすくなり、内部統制に必要なモニタリングの有効性を向上させ、そして判断の検証性を向上させることができる。また、判断過程の態様に応じた案件の抽出をコンピュータシステム4の利用により行うことができる。これらにより、モニタリングの有効性を向上させることができる。
図16に示すように、実施例2では、タスク処理部10の詳細構成と、トランザクション管理部50の詳細構成とを開示する。
また、図16に示す例では、コンピュータシステム4は、通信制御部3と、ワークフロー制御部94とを備えている。コンピュータシステム4は、サーバーやメインフレームであり、通信制御部3を介して、勘定系システム及び情報系システム等のオンラインシステム72や、債務者の情報を登録する取引先要項システム74(特許文献4)や、不動産担保評価システム等のその他各種システム76と接続されている。端末1は、据え置き型又は携帯用のパーソナルコンピュータとしても良いし、専用の端末1としても良い。ネットワーク2は、物理的なケーブルと、コネクタとを有し、TCP/IPなどのプロトコルによる通信信号を伝送する。
システムの実装に関しては、オブジェクト指向言語に限定するものではなく、手続型言語でも良いし、一部を直接に論理回路としても良い。オブジェクト指向によるモデルを手続型言語へのモデルへ変更することは、当業者にとって容易であるから、ここでは、オブジェクト指向分析により、本実施形態の各実施例に必要な情報処理内容の本質を開示する。
その後、この分析を参照しつつ、タスク処理部10の構成及びその利点を説明する。
ユースケースは、作業者の一般的な要求に応じて結びつけられた一群のシナリオである。この要求は、本実施例では、債権等の資産を管理し、監査する部門から発せられる。すなわち、作業者はユースケースを要求する作業者の一部ではあるが、全てではない。資産査定に必要な牽制効果等により、作業のシナリオは資産(債権)の監査部門が定める。一方向制御は、自己査定の監査のために、プロセスチェックを行うとして、そのプロセスそのものである。すなわち、一方向制御されたコンピュータシステム4を使用した作業は、必ず、同一のプロセスの牽制の元で実行されたことが保証される。
モデルの概要は、図2に示すデータ名であり、リレーショナルデータベースを活用する例では、図34から図37に示すエンティティー・リレーションシップである。ビューは、作業者インタフェースであり、画面要素の組み合わせと配置(レイアウト)である。画面要素やレイアウトは、図3に示すほか、例えば、図40以下の具体的な画面例である。コントローラーは、ビジネスロジックの実装であるから、「処理(コンピュータシステム4の情報処理)」の組み合わせである。処理は、条件分岐と、繰り返しとを含む。
・内容を確認するユースケース(A12)に対して、内容を端末1に表示するための個別作業画面(C1)と、画面要素(C3)。
・内容を入力するユースケース(A13)に対して、要素属性が入力編集可である画面要素(C3)。
・計算するユースケース(A14)に対して、計算をコンピュータシステム4に指示する操作を受け付けるための計算ボタンB7。
・本実施例では特に、ワークフローに関して作業を開始し、終了するユースケース(A3,A4)と、個別作業に関して次の個別作業に進むユースケース(A22)とに対して、次へボタンB1。
・作業の終了の拡張である作業の中断のユースケース(A6)に対して、中断ボタンB4。
また、図17では、各内容の判断についての情報処理(ビジネスロジック部分)を抽出する分析であるため、ユースケース(A24)及び(A25)に対応する境界は定義しない。
コントローラーは、このモデルと境界との関係を制御する情報処理となる。
端末1にて入力内容の保持をするメモリー(C4)に保持される入力データ6cは、計算ボタンB7又は次へボタンB1の操作に応じて、コンピュータシステム4に送信される。
これは、図16に示すタスク処理部の表示制御処理16、計算処理18、条件確認処理20及び格納処理22に対応する。
この一時変数tdを、タスクを単位とした作業データ6aとすると、情報処理が極めて簡易となる。このタスク毎の作業データ6aである一時変数tdを、タスクデータtdという。
図16に示す例では、タスク処理部10は、タスクデータ管理処理14を備えており、このタスクデータ管理処理14は、一時変数tdをこのタスクデータtdとして取り扱う。
図18を参照して分析したように、実施例2のタスク処理部10は、図16に示すように、タスクデータ管理処理14と、表示制御処理16と、計算処理18と、条件確認処理20と、格納処理22とを備えている。タスク処理部10は、表示制御と、計算と、条件確認と、格納とを必ず備えることで、複数のタスクを含む銀行業務処理システムにて、個別のタスクの個々の情報処理について、共通性と独立性の良いバランスを得ることができる。
計算処理18(C6,calculate())は、前記入力編集可の画面要素に入力される入力データ6cを含む前記タスクデータtdを使用して前記導出データ6dを算出する。
条件確認処理20(C12,confirm())は、当該タスクIDのタスクデータtdの予め定められた整合性を確認する。
格納処理22(C13,set())は、当該整合性の確認された当該タスクデータtdを前記作業データ格納部6に格納する。
この表示制御処理16と、計算処理18と、条件確認処理20と、格納処理22のセットは、オブジェクト指向での抽象メソッドとなり得る。すなわち、銀行業務処理を構成する個別のタスクの個々のタスクは、取り扱うデータや計算内容は異なるが、タスクデータと、抽象メソッドの組み合わせにより共通性を取り出し、抽象化することができる。すると、全ての銀行業務の処理をタスクという単位でとらえ、必要な情報処理を表示制御処理16と、計算処理18と、条件確認処理20と、格納処理22の4つの何れかに対応させることができる。
これにより、例えば、銀行業務処理の個別のタスクは、抽象クラスのタスクを継承すれば良く、この4つの抽象メソッドをJAVA(登録商標)のインタフェースとして必ず装備する仕組みとすると、タスクを利用する側のプログラムを何ら変更することなく、個別のタスクの追加・修正をすることができる。
個別のタスクについてこの処理セットを実装すると、一方向制御との協調により、個別のタスク処理の独立性を高め、情報処理内容を局所化し、タスク間の依存関係を緩めることでタスク毎の開発や変更を容易とすることができる。
タスク処理部10の照会表示処理28(C2)は、タスクに対応する画面の表示中に参考情報の照会要求を受信した際に、当該作業対象のタスクの画面とは別に当該参考情報を入力編集不可の状態で表示する。参考情報は、銀行業務処理システムにて一方向制御されないデータ群でも良いし、一方向制御される開始画面側のデータ群でも良い。
・次の個別作業に進むユースケース(A22)に対して、次へボタンB1。
・一つ前の個別作業に戻るユースケース(A24)に対して、戻るボタンB3。
・ジャンプして戻るユースケース(A25)に対して、ジャンプして戻るボタンB2。
これに対応して、図7、図16及び図31に示す進捗制御部30は、タスク完了処理40(done()、C20)、次タスク特定処理34(getNextTask()、C23)、タスク開始処理38(start()、C24)とを備え、図16に示すタスク処理部10は、表示制御処理16(query()、C2)を備えている。
この次タスク特定処理34は、作業通番から当該作業の進捗ステータステーブル8aを特定し、この進捗ステータステーブル8aの進捗ステータスをタスクIDの小さい順に走査し、最初に未着手又は作業中を発見した際に、そのタスクIDを次タスクIDとする。中断制御62が行われた場合には未着手ではなく作業中を発見する。
図20に示す例では、次タスク特定処理34は、この次タスクIDを端末1に返し、タスク開始要求の受信を待機する。別の例では、特定した次タスクIDを使用して、端末1からの再度の要求の受信処理を行わずに、タスク開始処理38を処理するようにしてもよい。
[ハードウエア資源]
図18及び図19に示すロバストネス図では、個別作業の各内容を判断するために必要な境界及びコントローラーと、個別作業の進捗を操作するために必要な境界及びコントローラーとを導出した。そして、各処理につき、図16等にブロック図の要素として符号と名称とを付与し、図10及び図11に示す進捗ステータステーブル8aとの関係や、具体的なタスク処理部10の内容等を説明した。
次に、実施形態及び各実施例の銀行業務処理システムをどのようなクラス体系で実装することができるかについて、図21から図30を参照して開示する。図21及び図22に示すクラス構成は、主にJAVA(登録商標)での用語と技術的前提で説明する。このようなクラス体系をフレームワークという。プロセス管理についての説明では、このようなフレームワークに依存せずにプロセス管理に必要な処理を独立させる手法を説明する。
コンピュータシステム4(サーバー4A)は、ランタイムシステム100と、メモリー102と、CPU103と、クラス群104とを備えている。このサーバー4Aは、銀行業務データベース121と、プログラムファイル格納部122とを備えると良い。
銀行業務データベース121は、作業データ6a等を図34から図39に示す構成で格納するリレーショナルデータベースである。また、プログラムファイル格納部122は、プログラムの中間コードであるクラスファイルや、画面定義情報7aを格納するハードディスク等である。銀行業務データベース121は、図16等に示す作業データ格納部6、進捗ステータス格納部8及び作業ステータス格納部9として機能する。
また、サーバー4Aは、開発環境で開発されたクラスファイルや画面定義情報7a等を記録媒体から読み出すためのドライブ又は端子を備えると良い。
クラス群104は、銀行業務用プログラム124のクラスファイルに定義されたクラスのうち、本実施形態及び各実施例の情報処理に関連するクラスである。図21のクラス群104に示す各要素がクラスであることを明示する際には、「・クラス」を付し、符号にCを付加する。また、図24に示すように、インスタンスである際には、「・インスタンス」を付し、符号にIを付加する。
タスクマネージャー108は、個別タスク・インスタンス112Iのメモリー102での位置等、タスクについてのデータを管理する。
タスク110は、個別タスク112の抽象クラスであり、図18及び図19を参照した分析により導かれた個別タスクが有すべきメソッドの基本が定義されている。
個別タスク群112xは、タスク110を承継し、当該各個別作業での前記作業データ6aに対する個々の情報処理でタスク110のメソッドを上書きする。
進捗ステータステーブル116は、進捗ステータスを管理する。
データベースアクセス118は、銀行業務データベース121とのI/Oについての抽象クラスである。
タスクデータライター120は、銀行業務データベース121から読み出した作業データ6aからタスクデータtdを構築し、またタスクデータtdを格納する。
また、タスク・インヴォーカー・クラス106Cは、サーブレット130のサブクラスであり、端末1とサーバー4Aとの通信を制御する。
菱形と実線で示す関係は、集約である。例えば、タスクデータ・クラス115Cは、タスクデータアレイを集約し、タスクデータアレイは、明細や、作業を集約する。白抜き三角で点線は、インタフェースの実装を示す。タスククラス110C又はタスクは、タスク・インタフェース134で定義されるメソッドの全てを実装する。
各メソッドについては、クラス体系と銀行業務用プログラム124との関係で後述する。
図24は、タスクとタスク・インヴォーカーとの協調の仕組みを示すUMLによるコラボレーション図である。図24中、1,1.1,1.2等とあるのは、処理の順序を示す。また、図24に示す構成はクラスというひな形ではなく、実際にメモリー102にロードされたインスタンス(オブジェクト)である。
図24に示すように、本実施例では、各コマンド(start(), done(), confirm(), calculate(), set())の実行に際して、実行を要求するタスクを実行時に指定するダイナミックリンケージを採用すると良い。また、図25に示すように、タスクのインスタンスのメモリー102上の位置をタスクマネージャー108が管理するフライウェイトを採用すると良い。
すなわち、クラスファイル等へのコンパイル時には、端末1からの要求をどのタスクTxxxから呼び出すのかは、タスク・インヴォーカー106には決定されていない。例えば、タスクTxxxのクラスが存在しないとしても、コンパイルのエラーとはならない。
タスク・インヴォーカー106が、端末1からタスクIDを引数とする要求を受信したときに、どのタスクTxxxのインスタンスのメソッドを呼び出すかを決定する。すなわち、コンパイル時ではなくて、実行時に決定する。
図27及び図29に示すように、端末1からは、この6つのメソッド名のみが使用される。一方、サーバー4Aでは、図22に示すように、クラス分けをしている。タスクTxxxは、それぞれ、query(), confirm(), calculate(), set()の4つのメソッドの実行にて、必要な他のクラスのメソッドを呼び出す。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、続いて、タスクマネージャー・インスタンス108Iのタスク特定メソッドを呼び出し、taskへの参照を得る(図24,1.2)。
そして、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、そのtaskで示されるタスクに対して、端末1から送信されたデータを含むタスクデータtdを引数として、confirm(),set(),calculate(),query(),start(),done()のメソッドを呼び出す。
タスク特定メソッドで特定されたタスクのインスタンス112Iは、このコマンドを実行し、その結果をタスクデータtdに格納する。そして、タスクデータライター120のインスタンス120Iは、タスクデータtdを端末1で解析できるデータ形式(例えば、HTMLや、XMLや、バイナリー形式)に変換する。タスク・インヴォーカー106のインスタンス106Iは、このデータを端末1に返す。
図22に示す例では、タスク・インヴォーカー106とタスクとは、タスクデータ・クラス115Cのインスタンス115Iを介して協調する。タスクデータtdは、図26に示す例では、ハッシュマップとする。この場合、ハッシュマップでは二次元のデータを直接取り扱うことができないため、図26(B)に示すように、ハッシュマップにさらにハッシュマップを集約するデータ構造を採用する。
このような課題に対して、与信明細や、各種の作業に関して、マップではなく、コレクションに変換するようにしても良い。すなわち、マップの集約は、画面でのテーブル構成に素直なデータ形式であるが、分類額の算出ではロジックが複雑であるため、単純なデータ構造に変換し、計算確認クラスを作成するようにしても良い。
この場合、図26(B)に示すように、ハッシュマップの値にオブジェクト型の値を埋め込み、そのオブジェクトを、JAVA(登録商標)のデータ構造であるコレクションのセットとする。プログラム上の配列操作を可能とするようにしても良い。配列操作が可能となると、部門別にデータを管理するためプログラミングの行数を少なくすることができる。
また、作業分岐34aを行うために、コンディショナル・タスクを有するようにしても良い。コンディショナル・タスクは、クラス体系上は個別タスクである。コンディショナル・タスクのタスクの完了処理メソッド(done())は、債務者の態様別に次タスクIDが定められている際には、当該条件に応じて、次の処理を行う。
まず、現タスクIDから予め定められた次タスクIDまでのタスクを使用しない際には、前記プログレスマネージャー114のタスクスキップメソッド(skipTasks())を呼び出して、当該タスクスキップメソッド(skipTasks())は、当該前記一方向の順序で前記現タスクIDの次のタスクIDから当該債務者の態様から特定した次タスクIDまでのタスクIDの進捗ステータスを省略に更新する。
一方、現タスクIDから次タスクIDまでの予め定められたタスクを自動計算する際には、前記プログレスマネージャー114のタスク完了メソッド(endTask())呼び出して、当該タスク完了メソッド(endTask())は、現タスクIDから自動計算の対象となる予め定められたタスクの進捗ステータスを作業済に更新する。
ここで、銀行業務用プログラム124の構成をクラス体系に応じて再度説明する。
タスク・インヴォーカー・クラス106Cは、前記端末1との通信を制御して、端末1からの要求に応答するメソッドとデータとのひな形を有する。タスク・インヴォーカー・クラス106Cは、タスクマネージャー・クラス108Cを使うことで、実行時にタスクIDに対応するインスタンスを特定する。またタスク・インヴォーカー・クラス106Cは、タスク・インタフェース・クラス134Cを使うことで、端末1との通信内容を単純化することができる。
個別タスク・クラス112Cxは、前記作業の個別作業毎に、当該各個別作業での前記作業データ6aに対する個々の情報処理であるメソッドとデータとのひな形を有する。図22に示す例では、符号112Caで示すタスク・クラス1と、符号112Cbで示すタスク2と、符号112Cnで示すタスクnとを記載したが、実施例によっては、図39に示す多数のタスクTxxxを有する。それぞれの個別タスク・クラス112Cxは、DBアクセス・クラス118Cのサブクラスを使用して銀行業務データベース121に格納されたデータを読み出し、また、端末1から送信された入力データ6cを銀行業務データベース121に格納する。
また、タスク・クラス群112Cxの計算メソッド(calculate())や、条件確認メソッド(confirm())では、そのメソッド中に直接処理内容をコーディングせず、確認計算クラス142Cを作成し、その確認計算クラス142Cのメソッドで複数の詳細なメソッドを持たせる構成としてもよい。この場合、タスク・クラス群112Cxでは、対応する確認計算クラス142Cxの各メソッドを呼び出すことで、計算メソッド等を実行する。
タスクマネージャー・クラス108Cは、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iからのタスクの特定のための呼び出しに応じて、当該タスクIDから前記タスクのインスタンス112Ixへの参照を返すタスク特定メソッド(getTask())と、データとのひな形を有する。タスクマネージャー・クラス108Cの振る舞いについては、図24及び図25を参照して上述した。
DBアクセス・クラス118Cは、各タスク・インスタンス112Ixからの呼び出しに応じて、前記銀行業務データベース121に対する前記作業データ6aの読み出し及び書き込みを制御するメソッドとデータとのひな形を有する。DBアクセス・クラス136(セレクト)Cxは、表示制御メソッド(query())等の、DBアクセス・クラス138(アップデート)Cxは格納メソッド(set())等の要件定義に応じて、対応するデータベースの検索式であるSQL文を有する。また、このSQL文は、ハードコードするのではなく、外部のテーブルに格納するようにしても良い。
プログレスマネージャー・クラス114Cは、作業の起票及び承認を制御し、前記作業者による前記作業の進捗に応じて前記進捗ステータステーブル8aに進捗ステータスを記録するメソッドとデータとのひな形を有する。図23に示す例では、プログレスマネージャー・クラス114Cは、進捗ステータステーブル・クラス116Cのサブクラスであるため、プログレスマネージャー・クラス114Cのメソッドの呼び出しでは、進捗ステータステーブル・クラス116Cのメソッドを呼び出すことができる。
・初期化メソッド(startForm())
初期化メソッド(startForm())は、前記作業を唯一に識別する作業通番を有する作業が起票される際に、予め定められた一方向の順序で開始タスクから終了タスクまでのタスクIDの列と、各タスクIDの進捗ステータスである未着手とを前記進捗ステータステーブル8aに格納する。初期化メソッド(startForm())は、例えば、タスク定義ファイルを参照して、進捗ステータステーブル8aを生成し、全ての進捗ステータステーブル8aに未着手を格納する。この初期化メソッド(startForm())は、図7に示す起票時処理36を実行する。
タスク開始メソッド(startTask())は、開始制御処理(start())に際して、当該開始するタスクIDの進捗ステータスを作業中に更新し、当該タスクIDより終了タスク側の進捗ステータスに作業済がある際には、当該作業済を作業中に更新する(一方向制御処理42)。タスク開始メソッドは、図7に示すタスク開始処理38の具体的処理内容である。
タスク完了メソッド(endTask())は、完了制御処理(done())に際して、当該完了するタスクIDの進捗ステータスを作業済に更新する。タスク完了メソッドは、図7に示すタスク完了処理40の具体的処理内容である。タイムスタンプ処理44は、このタスク完了メソッド(endTask())で実装すると良い。作業分岐処理46や、画面スキップ処理は、それぞれのタスクの完了時の処理として定義できるため、すなわち、図4(A)に示す連結リスト型で次画面(次タスク)を特定するため、タスクの完了制御処理(done())にて実装すると良い。この例では、作業分岐処理46がない完了処理(進捗ステータステーブルに従い、省略の格納等を行わない)について、図22に示すタスククラス110Cに実装すると、作業分岐34aがある個別タスク・クラス112Cxでのみ完了制御処理done()をオーバーライドすれば良い。
次タスク特定メソッド(getNextTask())は、進捗ステータステーブル8aを参照して、現タスクIDよりも終了画面側の個別タスク群112xで、進捗ステータスが未着手又は作業中のタスクのIDを特定して当該次タスクIDを端末1に返す。この次タスク特定メソッド(getNextTask())は、図7に示す次タスク特定処理34の実装である。
前タスク特定メソッド(getPrevTask())は、進捗ステータステーブル8aを参照して、現タスクよりも開始画面側で最も近い作業済のタスクIDを特定して当該前タスクIDを端末1に返す。
タスクスキップメソッド(skipTasks())は、一方向の順序で前記現タスクIDの次のタスクIDから当該債務者の態様から特定した次タスクIDまでのタスクIDの進捗ステータスを省略に更新する。
・開始制御メソッド(start())
開始制御メソッド(start())は、タスク開始処理38,C24の一部であり、当該個別タスク群112xの開始を制御する。進捗ステータスの更新処理は、図23に示す例では、進捗ステータステーブル・クラス116Cのタスク開始メソッドstartTask()が処理する。
表示制御メソッド(query())は、当該個別タスク群112xの基礎データ6bを前記タスクIDをキーとして前記銀行業務データベース121から読み出す制御をし、当該基礎データ6bを当該タスクIDに関連する画面IDの前記画面定義情報7aの指定に応じて前記端末1の画面に表示する。表示制御メソッドは、表示制御処理16,C2に対応する。
計算メソッド(calculate())は、前記基礎データ6b及び前記画面にて入力される入力データ6cから前記導出データ6dを算出する。計算メソッドは、計算処理18,C6に対応する。図22に示すように確認計算クラス142Cを別に作成する例では、計算メソッドは当該確認計算クラス142Cのメソッドを呼び出すメソッドである。
条件確認メソッド(confirm())は、当該タスクの作業データ6aが予め定められた条件を満たしているか否かを確認する。条件確認メソッドは、条件確認処理20,C12に対応する。
格納メソッド(set())は、当該個別タスク群112xのタスクデータtd(作業データ6a)を前記銀行業務データベース121に格納する制御をする。格納メソッドは、格納処理22,C13に対応する。図22に示すように、DBアクセスクラス136C,138Cを使用できる際には、格納メソッドは、DBアクセスクラス136C,138Cのメソッドを使用してタスクデータtdを銀行業務データベースに格納させる。
完了処理メソッド(done())は、当該個別タスク群112xの完了を制御する。完了処理メソッドは、タスク完了処理40,C20の一部である。進捗ステータスの更新は、図23に示す例では、進捗ステータステーブル・クラス116Cのタスク完了メソッドendTask()が処理する。
サーバー4Aのコンピュータを、図7、図16等に示すタスク処理部10及び進捗制御部30等の各部として機能させるには、コンピュータに、各部の処理に対応した手順を実行させると良い。
例えば、タスク処理部10が、「前記タスク毎に前記画面定義情報7aに従って前記作業データ6aを前記端末1に表示制御すると共に当該端末1の前記画面要素への操作により入力され又は導出する前記作業データ6aを前記作業データ格納部6に格納する」と定義される際には、「前記タスク毎に前記画面定義情報7aに従って前記作業データ6aを前記端末1に表示制御すると共に当該端末1の前記画面要素への操作により入力され又は導出する前記作業データ6aを前記作業データ格納部6に格納する手順」をコンピュータに実行させることで、コンピュータがタスク処理部10として機能する。
本実施例では、プログラムは図23に示すメソッドを有し、図22に示す関係を有する図21に示すクラス群104のクラスファイル群(プログラムの中間コード)である。このため、コンピュータをタスク処理部10として動作させる手順は、対応するクラスファイルである。
同様に、例えば、実施例1に対応する銀行業務システム用プログラムは、起票時処理手順(図7等に示す起票時処理36に対応,(startForm())と、タスク開始処理手順(タスク開始処理38に対応,C24, S3x, start ())と、タスク完了処理手順(タスク完了処理40に対応,C20, S4x, done())と、一方向制御処理手順(一方向制御処理42に対応,startTask())とを備えると良い。他の実施例についても同様である。
図27から図30は、次へボタンB1の操作や、戻るボタン等の操作に応答するシーケンス図である。このシーケンス図は、実施形態及び実施例の銀行業務処理方法についての詳細な開示である。
図27に示す例では、端末1の仮想マシンは、次へボタンの操作を受信すると、まずconfirm()をサーバー4Aに送信して、その応答を受信すると、図27の図中上から下への順序で、次々とコマンドを送信する。
このインスタンス112Iaの条件確認メソッドは、図40以下の各画面例では、金額の比較をし、ある条件下で各種のコメントの入力があるか否か等の予め定められた条件を確認する。すなわち、条件確認処理20を実行する。条件確認に成功すると、成功を端末1に戻し、不成功であれば、エラーメッセージを端末1に表示するための処理を呼び出す。
なお、本実施例では、この次タスクID特定メソッドを有するクラスを、タスクの一種としている。このクラスのタスクIDは、TAA10である。図27に示す例では、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、まず、TAA10のタスクIDのインスタンスの参照をタスク・マネージャー・インスタンス108Iから得る。そして、このTAA10のインスタンスの次タスク特定メソッド(getNextTask())を呼び出す。次タスク特定メソッドは、当該現タスクIDから、進捗ステータステーブル8aを参照して、当該次タスクID特定し、当該次タスクIDを端末1に返す。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、当該特定したタスク2のインスタンス112Ibの開始制御メソッド(start())を呼び出す(図27,S22)。当該開始制御メソッド(start())は、前記プログレスマネージャー114のインスタンス114Iのタスク開始メソッド(startTask())を呼び出す(図27,S23)。この当該タスク開始メソッド(startTask())は、当該次タスクIDの進捗ステータスを作業中に更新する。タスク開始メソッド(startTask())は、当該次タスクIDよりも終了画面側のタスクの進捗ステータスに作業済があれば作業中に更新する(一方向制御処理42)。
図28に示す例では、コンディショナル・タスクにより、作業分岐34aを行う。現タスクをタスク3、作業分岐34aにより選択される2つのタスクをタスク3A,3Bとする。タスク3が完了すると、タスク3A又は3Bの一方に進む。
この例では、図27に示す例と同様に、タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から現タスクIDを引数とする次タスクID特定要求(query(TAA10:TaskID))を前記端末1から受信した際に、次タスク特定メソッド(getNextTask())を呼び出す。コンディショナル・タスクでは、次タスク特定メソッドは、委譲元となるタスク3のタスクIDを返す。タスク3には、作業分岐先特定メソッドselectDelegate()が定義されており、作業分岐条件に従ってタスク・インヴォーカー・インスタンス106Iからのメソッドの実行を委譲するタスクを特定する。
図29は、戻るボタンB3や、ジャンプして戻るボタンB2の操作に応じたサーバー4Aの振る舞いを示すシーケンス図である。このシーケンス図では、特に、一方向制御処理工程(startTask())を開示する。図29では、戻るボタンB3の操作の際に、二点鎖線で示すS30,S31及びS32の処理を行う。ジャンプして戻る際には、戻った先のタスクIDは端末1側にて取得できるため、タスクIDを特定するサーバー4A側の処理は不要である。戻る処理の際には、作業分岐34aでの省略等との関係から、サーバー4A側で戻り先のタスクIDを特定している。
図30は、個別タスク群112xと、確認計算タスク群142Cxと、DBアクセス・クラス118Cとの関係を示すシーケンス図である。例えば、端末1から表示制御要求(query)を受信すると、タスク1のインスタンス112Iaは、DBアクセス1のセレクト1のインスタンス138Iaを生成する。すなわち、このクラスのインスタンスをメモリー102に確保する(図30,S40)。そして、このインスタンス138Iaは、SQL文を銀行業務データベース121に発行するなどし、端末1に表示する作業データ6aを読み出し、一時変数であるタスクデータtdに格納する。タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、このタスクデータtdを端末1で解釈できるデータ形式に変更させ、端末1に送信する。
・次タスク特定要求
次に、次タスクID特定要求等を端末1から受信した際のサーバー4Aの動作例を説明する。
前記タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から現タスクIDを引数とする次タスクID特定要求(TAA10: query())を前記端末1から受信した際に(図27,S18)、前記プログレスマネージャー114の次タスク特定メソッド(getNextTask())を呼び出す(図27,S19)。この次タスク特定メソッドは、進捗ステータステーブルを参照して、現タスクIDよりも終了画面側の個別タスク群112xで、進捗ステータスが未着手又は作業中のタスクのIDを特定して当該次タスクIDを端末1に返す(図27,S20)。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から次タスクIDを引数とするタスク開始要求を受信した際に(図27,S21)、当該タスク開始要求の次タスクIDからタスク2を特定し、当該特定したタスク2・インスタンス112Ibの開始制御メソッド(start())を呼び出す(図27,S22)。この開始制御メソッド(start())は、前記プログレスマネージャー・インスタンス114Iのタスク開始メソッド(startTask())を呼び出す(図27,S23)。ランタイムシステム100は、プログレスマネージャー・インスタンス114Iにタスク開始メソッドが存在しないため、スーパークラスである進捗ステータステーブル・クラス116Cのメソッドを探索し、このタスク開始メソッドを実行する。タスク開始メソッド(startTask())は、当該次タスクIDの進捗ステータスを作業中に更新する。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、ジャンプして戻る要求を受信した際には(図29,S21)、当該戻り先のタスクIDからタスクを特定する。続いて、当該タスク1・インスタンス112Iaの開始制御メソッド(start())を呼び出す(図29,S22a)。この当該開始制御メソッド(start())は、前記プログレスマネージャー114のタスク開始メソッド(startTask())を呼び出す(図29,S23a)。進捗ステータステーブル・インスタンス116Iのタスク開始メソッド(startTask())は、当該タスクIDより終了タスク側の作業済の進捗ステータスを作業中に更新する。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から表示制御要求、計算要求、条件確認要求又は格納要求を受信した際に、当該現タスクIDからタスクを特定して、当該タスクの表示制御メソッド(query())、計算メソッド(calculate())、条件確認メソッド(confirm())又は格納メソッド(set())を呼び出す。各メソッドは、当該タスク毎に定義された各処理を実行する。
タスク・インヴォーカー・インスタンス106Iは、前記端末1から現タスクIDを引数とする完了要求を受信した際には、当該現タスクIDからタスクを特定して、当該タスクの完了処理メソッド(done())を呼び出す(図27,S15)。この完了処理メソッド(done())は、前記プログレスマネージャー114のタスク完了処理40(endTask())を呼び出す(図27,S17A)。進捗ステータステーブル・インスタンスのタスク完了処理40(endTask())は、当該現タスクIDの進捗ステータスを作業済に更新する。
次に、本実施例でのトランザクション管理について開示する。この例では、作業通番単位の作業トランザクションと、タスク単位の個別トランザクションとのACID特性を調整することで、一方向制御下での必要なトランザクション管理を行う。
再度図16を参照すると、コンピュータシステム4は、トランザクション管理部50と、作業ステータス格納部9とを備えている。
また、個別トランザクションに原子性や永続性を与えつつ、一貫性を与えない取り扱いとすることで、作成過程の未完成のデータが他システム70等に影響を与えることがない。
図16に示すトランザクション管理部50の機能により、作業トランザクションの一貫性と、個別トランザクションの永続性とを確保し、業務プロセスを厳格に管理することができる。
本実施例3では、銀行業務の作業を柔軟かつ均質に行うという課題に対して、保守的な初期値の表示と、例外判断については入力を必須とする情報処理により、例外判断時の手順を強制する作用を営み、判断根拠を明確にするという効果を得る(図6参照)。
特定操作要求処理24が、情報処理として、保守的初期値の表示と、例外判断時に特定操作を要求するため、作業者の保守的な判断を導きつつ、一方、個々の債務者の実態に応じた判断を可能とすることで、柔軟で、かつ均質である銀行業務処理を促す。
再度図11を参照すると、銀行業務として信用格付及び資産査定を行う格付自己査定システムは、当初の作業者が担当するタスクとして、10メイン、11決算検討、12信用格付・スコアリング、13自己査定、15管理・回収方針、16債務者の概況、19統括者指定のタスク群を有する。以下、先頭文字のTと、4ケタの数字の組み合わせをタスクIDとする。さらに2ケタの数字の組み合わせを画面IDとする。
図11に示す例では、当初の作業者が担当するタスクは、タスクID:T1000からタスクID:T1600までのタスクである。
メインタスク(T1000)は、複数の作業を表示して作業開始する作業の選択等を促す。
決算検討タスク群(T11xx)は、前記債務者から徴求した決算書類による財務データの登録がなされた際に、当該財務データを基礎データ6bとして当該決算検討及び財務の実態登録を前記作業者に促す。
信用格付タスク群(T12xx)は、主に前記基礎データ6bによる財務データを使用して、信用格付の一次評価の確認を前記作業者に促す。
債務者区分タスク群(T1310, T1320)は、信用格付タスク群(T12xx)までの作業データ6aと、前記債務者及び当該債務者の債権に関する基礎データ6bとを使用して、財務状態又は事象として予め定められた抽出基準に該当する債務者について、債務者区分及び信用格付の判定を促す。情報処理として、抽出基準に対応する抽出符号を定めておき、抽出基準に該当する場合には抽出符号をオンとする。
債権分類タスク群(T133x, T1359)は、債務者区分タスク群(T1310, T1320)までの作業データ6aと、当該債務者の債権に関する基礎データ6bとを使用して、当該各債権の保全の確認及び修正を促す。
管理・回収方針(T1500)は、債務者区分が一定以下の債務者の債権について管理・回収方針を文章で表記することを促す。
債務者の概況(T1600)は、信用格付及び資産査定の作業完了に際して、当該債務者についての情報の要約を促す。
これらのタスクに含まれる画面の一覧を図39に示す。画面例を参照しての開示は実施例4で行う。
次に、信用格付と自己査定の債務者区分との関係を説明する。
信用格付タスク群(T12xx)では、主に債務者から提出された公表財務データに基づいて債務者の信用格付を判定する。実施例によっては、実態登録後の実態財務データを使用して信用格付をしても良い。一般に、信用格付は、恣意のない一律の判断をするために、財務データの財務数値をスコアリングモデルで評価し、その評点の合計点等から当該債務者の信用格付を算出する。
一方、債務者区分は、財務データ(債務者の貸借対照表と損益計算書から分析できる事実)のみならず、取引先(債務者)の行為や、債権の返済状況等の事象の観察結果の情報も加味して区分する。金融検査マニュアルは、信用格付と債務者区分とが整合的であることが必要であるとしている。本実施例では、信用格付タスク群(T12xx)での信用格付を一次評価とし、債務者区分タスク群(T1310, T1320)での債務者区分の結果に応じて確認し、債務者区分の判断と一体として一次評価に必要な修正をする。このように、財務データによる信用格付を、具体的な取引先の事象に応じて修正する業務プロセスを構築したことで、両者の整合性を確保している。
スコアリングモデルの評点は、信用格付を区分するものであるから、評点が大きいほど信用格付が高くなければならない。正常先については、この関係が成り立つが、正常先と要注意先との区分については、スコアリングモデルのみでは信用格付を区分することができない。すなわち、スコアリングモデルは、財務分析による判断であるが、自己査定は、延滞の有無、延滞の期間など、取引先に生じている事象による判断である。このため、財務分析のみでは、正常先と要注意先とを区分することができない。
信用格付でのスコアリングモデルにて、この業績悪化後の一定水準での経年経過について、信用リスクの低下を把握しようとしても、3つの点で問題が生ずる。
例えば、この例で信用リスクの再度の低下を把握できるように、スコアリング項目のウェイト(重み付け)を変化させたとすると、当該信用リスクの再度の低下を把握できるようになるかも知れないが、正常先の判断が実際の信用リスクから乖離しかねないのである。例えば、スコアリングモデルでは、各スコアリング項目の評点の加算により最終的な評点を求める。従って、延滞等をスコアリング項目に入れたとしても、他のスコアリング項目の評点が高ければ、結果的に正常先の範囲内の評点となることも想定され得る。この評点の加算により合計評点を求めるというスコアリングモデルの仕組みでは、特定の事象が生じていることによって合計評点を下げることはできない。この合計評点を下げることを行おうとすると、スコアリングモデルが二本立てになるなどし、比較可能性を減少させ、実際の信用リスクとの乖離が生じてしまう恐れがある。
従って、実態財務として経営者から会社への融資を資本金に組み入れるのではなく、実態財務の分析では債務超過との数値を得ておき、スコアリングは公表財務の数値により他社との比較を行う。そして、自己査定の判断基準として、家族等収入で回収確実と判断できるのであれば、その適用を明確にし、公表財務等では債務超過となるが、実質債務超過ではないとして、正常先に区分すべきである。すなわち、判断の結果のみならず、判断の過程の明確さが必要であり、このためには、自己査定作業と同時に信用格付を必要に応じて修正する本実施例による業務プロセスが好ましい。特に、判断の過程を明確にすると、検証可能性を向上させ、監査・検査時間の短縮させることができる。
財務諸表を作成する基準として、継続企業の公準(ゴーイング・コンサーン)がある。継続企業の公準は、財務諸表は、その企業が永続することを前提に、事業年度を単位として、作成するというものである。従って、資産は、清算価格ではなく、企業の永続性を前提として、取得原価を減価償却した金額である。債務者区分として、破綻懸念先は、この継続企業の公準が満たされない可能性を懸念するものである。そして、継続企業の公準を満たさなければ、その財務諸表は不正確である可能性がある。このため、正常先ではない債務者の財務諸表は、会計基準からして、正常な財務分析ができない可能性がある。従って、財務分析は、正常先に最適化することが最も精緻であり、適切である。一方、要注意先以下の判断については、財務分析ではなく、取引先に生じた事象を加味すべきである。この点、本実施例にて、自己査定作業後に信用格付の確定を行う業務プロセスは、正常先を有意に区分し、かつ、要注意先以下を正確に区分することのできるものとなっている。特に、一方向制御により、自己査定作業と同時に、信用格付の確定作業を促すため、全ての自己査定作業に関し、自己査定による債務者区分と、信用格付との整合性を強力に確保することができる。
図33は、本実施例で使用する抽出符号の一覧を示す説明図である。抽出符号は、確認を要する正常先、要注意先及び破綻懸念先以下と判断する抽出基準に該当するか否かをシステム上管理する符号である。
図33に示すように、抽出符号は基礎データ6bから導出することができる。例えば、オンラインシステム72では与信明細を管理するコードを保持しており、そのコードの種類によって当該与信債権がリスク管理債権であるか否かをシステム的に取り扱うことができる。そして、債務の返済に関しては、口座振替や、オンライン端末1のオペレーションにより債務者の口座を用いて決済するため、仮に延滞が発生した場合にはその延滞情報をオンラインで管理することができる。そして、延滞日数に応じて延滞金が発生し、その延滞金の額をオンラインシステム72で計算するため、延滞情報もオンラインシステム72で管理している。また、融資の資金使途が利息返済である場合や、融資条件を変更した場合や、当初から返済期日を極端に長期とした等の与信条件に問題がある場合等を、融資先管理コードとして管理している。この与信明細管理コードと、融資先管理コードとにより、抽出符号のほとんどを導出することができる。
次に、格付自己査定作業で使用する作業データ6aのデータ項目を説明する。
図34から図37は、作業データ6aの各データ項目のキーを示すER図である。エンティティー・リレーションシップ図(ER図)は、リレーショナル・データベスのデータ項目のキーを明示する図である。このER図は、3つのボックスからなり、上段がエンティティーの名称、中段がキー、下段が項目である。
例えば、顧客506では、上段の「顧客」がエンティティーの名称で、中段の「CIF番号」がこの顧客のデータ項目を特定するためのキーで、顧客についてCIF番号のみで特定できるデータ項目は下段の業種コード、人格コード、親会社顧客番号等である。顧客506のキーはCIF番号のみであるため、CIF番号を唯一に特定すると、業種コードは唯一に特定される。
基準日顧客508は、CIF番号のみならず、基準日もキーとする複合キーである。例えば、代表者氏名や、企業グループを識別するグループ番号等は、CIF番号と基準日とで特定する。この中段のキーと下段のデータ項目との関係は、図34から図37、及び図12に示す全てのエンティティについて同様である。点線は、キーを共通とする外部キーのうち、特に注目する外部キーの共通性を示す。
図35に、決算年月等をキーとする顧客別決算年月530や、顧客別財務計数比率534を開示する。
図36に、査定部門コード等をキーとする顧客部門別作業540や、与信明細査定結果計数548を開示する。
図37に、疎明資料索引554等の制御用のテーブルの一例を開示する。
・コメント
図38に、格付自己査定作業のタスクにて必要に応じて入力を促すコメント名と、そのキー項目を掲げた。
本実施例では、特定操作要求処理24が、銀行業務の作業上保守的な内容の作業データ6aを作業者の入力データ6cとして初期値表示すると共に、当該初期値表示する入力データが当該作業者によって変更される際には、コメント入力フィールドを特定操作要素として、当該コメントの入力を促すと良い。
この例では、条件確認処理20の特定操作確認処理26の一部として、コメント入力フィールドに、何らかのコメントが入力されたか否かについては確認すると良い。この場合であっても、コンピュータシステム4の情報処理として入力されたコメントの内容については確認しない。入力されたコメントの適切性については、コメントの強制再表示処理12によってコメントを入力した当初の作業者自身によって確認され、また、ワークフロー制御部94による作業のワークフローによって、二次査定部門や監査部門にて確認される。
好適な例では、前記特定操作要素を、前記債務者の実態に応じた当該作業者の判断の理由について予め定められた理由等のコード4xxの選択の入力を求める理由コードフィールドとすると良い。理由等のコード4xxは、例えば、信用格付判定理由コード423(図57)である。これは、信用格付の一次評価と、債務者区分による信用格付とが異なる際に、債務者区分と信用格付とを整合させる判断をした際にも入力を促すコートである。
好適な例では、前記導出データ6dとして、抽出基準に該当するか否かをオン/オフで示す抽出符号(破綻懸念先以下抽出符号80,要注意先抽出符号82,正常先抽出符号84)を有する。この例では、債務者区分タスク群(T1310, T1320)が、抽出基準確認タスク(T1310)を備える。
抽出基準確認タスク(T1310)は、図33に示す作業データ6aを使用して、各抽出符号(82,84)のオン/オフを計算する。そして、前記計算した各要注意先抽出符号82及び前記各正常先抽出符号84のオン/オフを、前記特定操作要素である当該作業者の初期値として、入力編集可の要素属性で表示制御する。さらに、前記各抽出符号のオン/オフの確認及び入力を当該作業者に促すと共に、前記要注意先抽出符号82の一部がオンとされた債務者について、当該作業者の判断により債務者の財務状態の実態に応じて正常先に区分しようとされる際には、前記特定操作確認処理26として、抽出基準修正コメント210の入力を要求する。
次に、具体的な画面例を参照しつつ、銀行業務処理システムの一例として格付自己査定システムの一例を開示する。
図39に、画面の一覧例を示す。図39に示す一覧例は、図11に示すタスクIDT1000からT1600までのタスクに含まれる画面例で、債務者が法人の場合の進捗を左側に、個人の場合の進捗を右側に示した。本実施形態及び各実施例での一方向は、図39では図中上側の画面から下側の画面に向かう方向である。
また、図40以下に図示した画面については図中左端の図面欄に丸を付した。
本実施例は、この抽出基準確認タスクの特定操作要求と、債務者の概況タスクでのコメントの強制再表示により、早期熟達と事務合理化との両立を図り、業務プロセスを確立し予防的統制効果を得て、検証性を高め、ITによる内部統制の質を向上させることができる。
この例では、サーバー4Aが、ワークフロー制御部94を備える。このワークフロー制御部94は、前記作業者による作業の完了後、同一又は他の査定部門のワークフロー先へ当該作業を電子的に回付し、当該ワークフロー先にて当該作業を前記作業者へ差し戻す操作がなされた場合には、当該作業を前記作業者に電子的に差し戻す。そして、前記進捗制御部30が、前記一方向制御処理42の実行下で、前記ワークフロー制御部94によって電子的に差し戻された作業の作業対象のタスクIDを、前記債務者の概況タスク(T16xx)のタスクIDとする。
この例では、差戻しの内容に応じて、差し戻された作業者自らが修正すべき画面を選択でき、これにより、最小限の作業で差戻しに対応することができる。実際には、差戻し時に進捗ステータステーブル8aにアクセスし、作業済である債務者の概況の進捗ステータスを作業中に変更する。すると、メインタスク(T10xx)を現タスクIDとして次タスク特定処理34を実行すると、債務者の概況タスク(T16xx)が次タスクIDとなる。
各タスクは、チェック画面と、確認画面とを有すると良い。すなわち、チェック画面としては、図39に示すように、基礎データ6b及び導出データ6dを表示して入力データ6cの入力を促すチェック画面(例えば、タスクID13-10-01から13-10-04や、13-32-01から13-32-04)がある。確認画面としては、前画面までに入力された作業データ6aを一覧として表示し当該作業データ6aの整合性の確認を促す確認画面(例えば、タスクID13-10-05以後や、13-32-05)がある。
タスクがこのようなチェック画面と確認画面とを有すると、確認画面の繰り返しにより、個別の判断の整合性を保ちつつ、全体の整合性の確保を促すことができる。確認画面では、チェック画面又はそれ以前に入力された入力データ6cや、導出データ6dを再表示すると良い。
それでは、以下、実施例4の格付自己査定システムの画面の具体例を説明する。画面例では、下記の架空の事例とし、架空の数値を開示する。事例及び数値や事象は架空のものであるが、これらの数値や事象に応じた作業者の判断や、コンピュータシステム4の情報処理内容は通常の自己査定に関する様々な要請に整合したものである。一方、各事例での個別の判断手法等は、必ずしも出願人自身の実際の要領とは一致しない場合や、出願時点にて一致していても出願後の法制度及び実務の変化により一致しなくなる場合もある。また、本実施例による格付自己査定システム(銀行業務処理システムの一態様)を使用する金融機関の規模によっては、債務者も中小・個人事業主から大企業までとその規模が異なるため、下記の事例についての判断とは異なる判断となる場合もある。
図40に示す符号D1は、6桁の画面IDである。この画面IDのうち、上四桁はタスクIDの番号である。操作できるボタンには右下に影を付した。入力不可の表示項目(フィールドの表示用の名称など)は白抜きで表示している。右下に影を付したフィールドは入力編集可である。他の画面例についても左上に画面IDと画面名を示す。
図40に示す例では、CIF番号10-XXX-XX1のA株式会社の作業がチェックされている。この状態で、画面右下の作業開始(次へ)ボタンB1ボタンを操作すると、A株式会社の作業の開始となる。この作業開始ボタンB1の操作に応じた要求を受信すると、ワークフロー制御部94は、この作業通番の作業ステータスを実行に変更する。
終了ボタンB6が操作されると、作業を終了する。
2つの作業のうち、決算登録の作業は必須であるため、状況速報による作業を取り消す。営業店担当者は、状況速報の△株式会社を選択し、データ取消ボタンB19を操作すると、取消理由の入力を要求された後、当該状況速報による作業の取消を起票する。この取消は、例えば統括者に電子的に回付され、統括者の承認によって取消を行う。この作業が取り消されると、決算登録による△株式会社の作業の不可が外れ、作業を開始することができるようになる。ワークフロー制御部94は、取り消された作業通番の作業については、作業ステータスを取消とする。
印刷ボタンB22が操作されると、印刷するための画面に推移する。ヘルプボタンB27が操作されると、ヘルプを表示する。
また、作業の参考とするために、スコアリング評点照会ボタンB30と、抽出符号照会ボタンB31と、個人定量評点ボタンB32と、財務要約照会ボタンB33と、財務分析帳票ボタンB34とを表示し、これらボタンの操作に応じて判断の参考となる情報を表示する。
例えば、抽出符号照会ボタンB31が操作されると、図47に示す抽出符号照会画面を表示する。
取扱要領ボタンB25が押し下されると、信用リスク管理及び資産査定に関する行内規程(取扱要領)を表示する。Q&AボタンB26が押し下されると、信用リスク管理及び資産査定に関するQ&Aを表示する。
営業店担当者は、例えば、未収入金について、その雑科目明細408に株式会社第2○○社と、第3○○社であることを入力し、第2○○社については業況芳しくないことから、保守的に、資産性なしと査定する。そして、雑科目資産性・査定根拠コメント201に「業況芳しくなく、資産性なしとする」と入力する。その内訳金額407は、40,000千円である。
符号D10で示すフォルダーは、作業手順の大概念であり、複数の手順を含む。符号D10で示す決算検討では、決算実態検討のための手順と、決算総評登録のための手順とを含む。符号D11で示す文字反転の表示は、現在のタスクが属している手順である。
この進捗フローB2の表示により、業務プロセス全体の流れと、現在の作業の位置付けとを表示する。
顧客属性表示ボタンB28が操作されると、当該画面に顧客の属性を表示する。
前回内容照会ボタンB38が操作されると、照会表示処理28は、前回の決算検討の内容を別途表示する。前回内容取込ボタンB39が操作されると、前年度の決算検討の結果を今回の画面の対応欄に取り込み、表示する。
貸借対照表(単体)ボタンB37が操作されると一覧形式の貸借対照表を表示し、損益計算書(単体)ボタンがB36操作されると一覧形式の損益計算書(単体)を表示する。主要経営比率(単体)ボタンB35が操作されると、図48に示す主要経営比率(単体)の照会画面を表示する。この画面では、経営比率に関する主な問題点とポイントコメント209を自動表示すると良い。
資産性の検討にて、疎明資料を添付する際には、作業者は、疎明資料ボタンB5を操作する。コンピュータシステム4は、疎明資料となるファイルを登録するための画面を表示する。
計算ボタンB7が操作されると、修正額をB/S等に反映させる計算をする。
また、条件確認処理20,C12は、この決算の実態登録にて入力した雑科目に関する修正額の絶対値が、雑科目の資産性検討にて資産性なしとした内訳金額407よりも少ない際に、エラーを表示し、両画面の整合性を求めるようにしても良い。
本実施例では、雑科目の資産性検討として整合性のある判断を入力し、決算の実態登録として整合性のある判断を入力し、さらに、前々期及び前期との関係での整合性を確認した上で、総合的な決算検討を行うことが情報処理により構築された業務プロセスとして強制されている。従って、全ての作業の査定結果は、この手順により判断されたことが保証されている。すなわち、一方向制御により、全ての営業店担当者の判断過程を一定範囲統一し、その判断内容を標準化している。
営業店担当者は、図49に表示される内容を確認し、次へボタンB1を操作する。
図51に示す画面ID13-10-01の取引先の事象チェック画面では、自己査定作業として、まず、要管理先以下の事象チェックを行う。要管理先以下については、コンピュータシステム4による自動的な判断や初期値の表示はほとんど行わず、図51に示すような文章を表示して、該当するか否かの判断を営業店担当者に促す。営業店担当者は、図51に示す文章で表される要件を満たすか否かを個々に判断し、該当する事象チェックコード412のチェックボックスをオンとする。この事象チェックでは、債務者区分を特定できるように要件を分けて表示することで、正確で均質な債務者区分の判断を促している。
特定操作要求処理24としては、初期表示した抽出符号を外し、また、初期表示にない抽出符号をチェックした後に次へボタンB1を操作した際に、そのチェックの内容の確認を求める画面を表示するようにしても良い。
図53に示す例では、売上減少との正常先抽出符号84がオンとなっており、営業店欄にもこのオンが初期値表示される。
また、抽出符号のオン/オフの選択で疎明すべき事情がある際には、疎明資料を電子的に作成し、疎明資料ボタンB5を操作して、電子的な疎明資料ファイルをコンピュータシステム4に送信する。
画面ID13-10-04の抽出基準チェック2-2(商手・オフバラ明細)(図示せず)は、商業手形の合算値を表示する。オフ・バランスの明細については、個々の明細毎に表示する。
事象チェックによる債務者区分は、抽出基準の確認までの判断から導出する債務者区分である。債務者区分判定の欄では、抽出基準による債務者区分が初期値表示されるため、営業店担当者は、債務償還力の確認結果などを考慮して、信用格付一次評価との整合性を検討し、債務者区分及び信用格付を判定する。
また、営業店担当者は、債務者区分及び信用格付の判定に際して、参考情報照会ボタンB45を操作し、参考情報を照会することができる。
また、このケースで、営業店担当者が、債務者が正常先であるとの心証で、決算検討コメントを入力していた際には、決算の実態登録画面に戻り、コメントを修正しなければならない。一方、信用格付と債務者区分の整合性については、最終的な判断をより最終画面に近い画面にて行う。
そして、この段階での整合的な判断について、コメントの入力を求める。図57に示す例では、債務者区分・信用格付判定理由コメント211の入力を求めている。この債務者区分・信用格付判定理由コメント211は、債務者の概況画面に強制再表示する。従って、債務者の概況画面にて、決算検討や債権分類との関係でこの債務者区分・信用格付判定理由コメント211記載した文章の根拠となる判断に不整合がある際には、この債務者区分確認画面まで作業を戻さなければならない。
なお、画面スキップしない際には、画面スキップ確認画面の進捗ステータスが省略となる。
図59に示す画面ID:13-31-01の自己査定・優良与信チェック1(商手明細)画面では、債務者に支払われた商手の一覧又はその一部を表示する。支払人が銀行の融資先である際には、CIF番号と、債務者区分とを表示する。支払人が取引先でない際には、信用照会の結果を表示し、また、企業番号411を入力して、評点を検索し、表示させる。このような画面構成は、債権譲渡等を保全とする与信の確認にも利用できる。
図59に示す例では、優良与信を認定するために商手の一覧を表示するが、振出人が破綻懸念先以下であるなど、決済懸念がある商手の確認を行うようにしても良い。また、支払場所や、金額も表示するため、信用リスクの高い兆候となる融通手形となっているか否かの判断にも役立つ。ここで融通手形を発見した際には、その金額の影響を検討し、必要であれば、決算検討に戻るか、抽出符号にて「財」を付するなど再度の作業が必要となる。
図68に示す画面ID:15-00-01の管理・回収方針画面では、債務者区分が要注意先以下の際に管理回収方針コメント217を入力する。
次に、強制再表示処理12等に応じて、作業者が信用リスク管理の深淵を発見し、画面を戻り、再作業する例を説明する。
・戻り事例1: 信用格付作業から決算検討に戻る。
1.1 営業店担当者は、図49に示す画面ID: 12-10-05の定量的要因評価(法人)画面にて定量的要因を評価する際に、長期債務償還年数や、インタレスト・カバレッジ・レシオなどによる債務償還力が前期より悪化していることを見いだした。この債務償還力の悪化から、今期設備投資の過大と、手元流動性の悪化とを懸念し、図45に示す画面ID:11-10-22の決算の実態登録画面に戻った。具体的には、進捗フローB2の決算検討をクリックすることで個々のタスクを開き、そのうちの決算の実態登録をクリックすることで、図45に示す画面まで戻った。再度の決算検討によると、関連会社への投資の資産性を懸念し、事情確認のところ、関連会社の業績悪化で配当がなく、インタレスト・カバレッジ・レシオが悪化していた。このため、当該関連会社への投資の評価損を見積もり、実態登録した。その結果、自己資本比率等が悪化した。このため、自己査定作業中の債務償還力による検証を重視することとした。
なお、ジャンプして戻る戻り先を画面単位ではなくタスク単位とする際には、図49に示す画面から決算の実態登録に戻る際には、決算検討の当初のタスクである図44に示す雑科目の資産性検討画面に戻ることとなる。
2.1 図52及び図53に示す画面ID: 13-10-02の自己査定・抽出基準チェック1(債務者単位)画面にて、「売」の抽出となっており、決算検討時の売上高増減コメントとの整合性が脆弱となった。このため、決算検討を再度行うこととして、当期の業況総評コメント205や、今後の業況等の見通しコメント208を修正するために、画面ID: 11-20-11の決算検討(法人)画面に戻った。
次に、具体的な事例を参照して、営業店担当者の作業と、情報処理内容とを説明する。事例は、仮想的な下記のものである。
・A社(事例1,図44から図58): 決算検討で流動資産の実態を登録する。「売」の抽出符号にて抽出され、債務償還力を検証したところ、債務償還力有り、正常先とした。
・B社(事例2及び事例3,図59から図68): 赤字先で、債務償還力確認式にて業種相当外の年数となり、要注意先であり、II分類額を算出する。
・C社(事例4,図41、図69から図74): 民事再生手続申立につき、状況速報による手動で作業を起票し、破綻先とする。
例1: 図40を参照すると、本システムにログインした営業店担当者である作業者1には、A株式会社が振り分けられている。A株式会社の作業の進捗状況は担当者作業待ちである。作業者1(以下、「営業店担当者」という)は、A株式会社の選択にチェックをし、作業開始ボタンB1を操作する。すると、進捗制御部30は、タスク開始処理38として、次タスクIDをT1000と特定する。そして、タスク処理部10の表示制御処理16は、タスクIDがT1000の基礎データ6bと、画面定義情報7aとを端末1に送信する。端末1は、図示しない作業開始確認画面を表示し、続いて、図42に示す作業要否選択画面を表示する。営業店担当者は、作業要否選択画面にて作業要否判定コード403が要の状態で当該画面の次へボタンB1を操作する。進捗制御部30及びタスク処理部10は、同様に、図43に示すタスクIDがT1100の決算検討作業選択画面を表示する。A株式会社は決算検討作業を行うため、営業店担当者は、決算検討作業を選択し、この画面の次へボタンB1を操作する。
同様に、その他流動資産や、投資などの項目の内訳を把握し、それぞれの資産性を評価する。このような雑科目としては、繰延資産等がある。
雑科目の資産性の検討が終了すると、営業店担当者は、この画面の次へボタンB1を操作する。タスクIDがT1110である決算検討タスクは、この画面と、次の決算の実態登録画面とを有するため、この次へボタンB1の操作があると、端末1は、コンピュータシステム4へアクセスせずに、すでに受信した画面定義情報7aと作業データ6aとにより、図45に示す決算の実態登録画面を表示する。
異常マークの付された売掛金について精査し、(有)第4○○社向け売掛金60,000を第4○○社の業況悪化により控除した。
さらに、未収入金については、公表金額85,000に対して、第2○○社からの未収入金40,000の資産性をなしとしたため、40,000との数値を当該欄に入力し、マイナス40,000を登録する。そして、その実態修正コメント202として、第2○○社との文字を入力する。同様に、他の科目についても修正額の登録を行う。P/Lについても、臨時損益等の検討結果を反映させる。なお、流動資産で減算した修正額については、その合計額を資本剰余金から減算することで、実態財務のバランスを得る。この資本剰余金からの減算は、図45に示す計算ボタンB7が操作された際に、計算処理18が自動的に計算するようにしても良い。
格付は、評点やスコアの小計から、A,B,C等の信用格付の値とするものである。
営業店担当者は、続いて、図50に示す画面にて、A株式会社の信用格付の一次評価を確認する。
この当期純利益(ト)、要修正額(ナ)及び減価償却額(ニ)を二期分合計して一期の平均値を計算することで、A株式会社の1年分の償還可能額を求めると、50,000となった。固定資産対応負債額(テ)をこの償還可能額(ヌ)で割ると長期債務償還年数を求めることができ、9.2年となる。この9.2年は、概ね正常先と判断できる15年以内を超えないため、債務償還力有りと判定できる。 この概ね正常先と判断できる償還年数は、業種によっては、さらに10年加算して25年となる。
図56に示す流動資産の実態である修正必要額(ツ)と、臨時損益や減価償却不足その他特別利益・特別損益への振り替える損益の実態である要修正額(ナ)の値が整合的ではない場合、雑科目の資産性検討画面11-10-21に戻り、決算コメントも入力し直し、自己査定作業をやり直すこととなる。
なお、図56に示すように、実態債務超過がある先についての判断材料として、債務超過償還解消年数を計算し、表示するようにしても良い。
図56に示す各財務計数は、公表財務計数と、実態財務計数とが入り交じっている。実施例によっては、実態財務登録がされた計数については、実態財務登録がされた数値による旨が画面表示上簡易に判明するようなマークを表示したり、公表財務の数値に対する実態財務の比率を参考情報として表示するようにしても良い。
例3: B株式会社は、要注意先であるとする。営業店担当者は、B株式会社の作業をメイン画面で選択し、決算検討作業を行い、信用格付作業を行い、債務者区分の判定を作業する。そして、債務者区分を登録し、図57に示す債務者区分確認画面で画面スキップしないを選択すると、まず、図59に示す優良与信チェック1(商手明細)画面となる。
一般担保等の確認もするため、本実施例では、要注意先が仮に破綻懸念先となった際に不良債権残高にどのような影響を与えるかを営業店担当者に知らせることができる。
一般保証のチェック画面では、保証人の信用格付・債務者格付を表示して確認するようにしてもよい。
優良担保・保証や、一般担保・保証について初期表示した内容を修正した際には、チェック画面又は確認画面にて、優良担保保証修正コメント213や、一般担保保証修正コメント215の入力を促す。
図63に示す例では、与信残高から優良与信等の分類対象外債権を減額した基礎査定額は、5,170となった。
また、貸倒引当金に対応する期待損失EL額を別途計算し、対比用に表示するようにしても良い。
図67は、B株式会社が仮に破綻先である際の分類結果である。破綻先の場合には、一般担保、保証の内容との関係で、非分類額と、II分類額と、III分類額とIV額とに分類する。この例では、非分類5,800,II分類3,120、III分類1,450、IV分類600となった。
C株式会社は、2011年6月の決算登録時には、破綻懸念先であったが、主要受注先からの受取手形が不渡となり、資金繰りが逼迫し、2012年1月に民事再生手続の申立となった事例である。民事再生の申立という情報を取得した営業店担当者は、まず電話等で与信管理の担当者等へ報告し、火急の作業を完了させた後、取引先要項システム74に法的手続の申立を動向コメント222として登録する。例えば、図74に示すように、2012年1月20日付けで、主要動向区分を法的手続申立として、民事再生申請と登録する。
債務者区分及び信用格付を判定し、担保・保証等をチェックし、確認すると、続いて、債務者の概況画面が表示される。
上述したように本実施形態及び各実施例によると、実施形態及び実施例で開示した銀行業務処理システムは、次の効果を奏する。
・判断過程統一作用: 予防的統制効果
本発明では、マニュアル(人手)ではなく、ITの利用により、画面や個別タスクの終了画面側へのジャンプを厳格に禁止することで、作業の順序を必ず一方向で行う強制をITの利用により実現することができる。特に、開始画面側へ戻った後であっても終了画面側へのジャンプを禁止すると、作業者は、戻った画面より終了画面側の各画面の内容を少なくとも確認し、そして、必要な再作業する作業手順が強制される。
本発明では、ITの利用により作業手順を強制するため、査定結果に至る判断の過程を統一することができる。すなわち、予め定められた判断過程以外の判断過程による査定結果を生じさせない(判断過程統一作用)。
一方向制御による判断過程統一作用により、想定外の誤解による作業の発生とその誤りの発生とを有効に予防することができる。すなわち、一方向制御というITの利用により、格付自己査定という業務について予め定めた業務手順から逸脱した作業やその誤りを予防することができる。従って、ITの利用による予防的統制を実現でき、これにより、内部統制の質を向上させることができる(予防的統制効果)。
この一方向制御というITを利用した判断の「過程(プロセス)」の統一により、厳格な業務プロセスを構築することができる。すなわち、ITを利用した判断過程の統一により、予め定められた基準による各画面又は各個別タスクでの作業者の判断が、予め定められた判断過程にてなされるため、不慣れな作業者であっても、熟達した作業者であっても、判断の過程が統一される。これにより、作業者によらず共通した業務プロセスを構築することができる(業務プロセス構築作用)。そして、ITを利用した業務プロセスの構築により、ITの利用による業務の標準化を実現し(業務標準化効果)、作業の結果を均質とすることができる(均質化効果)。
すなわち、一方向制御というITを利用した判断過程の統一により、業務の標準化効果と、結果の均質化という効果を奏する。結果の均質化という効果には、一定の結果の均質化を確保するための業務上の作業負荷の軽減が含まれる。
さらに、この業務の標準化と結果の均質化とにより、一方向制御下での判断を標準的に積み上げる業務プロセスとなり、このため、総合的な整合性についての一貫性を確保することができる。すなわち、査定結果データ6fの一貫性を保ち、その信頼性及び正確性を全ての債務者及び全ての作業者について確実に確保することができる。すなわち、内部統制等のために何らかの統計的処理を行う際に、高度な統計処理を行うために必要となるデータの信頼性及び精度を確保することができる。これらにより、データの可用性を大幅に向上させることができる(可用性向上)。
また、本発明は、予め定められた手順での判断を作業者に強制するため、各過程で判断すべき事項が予め統一して特定されており、従って、個別の判断に使用するデータと、そのデータに基づく判断の根拠とが明確となる。このため、査定結果の検証可能性をより一層向上させることができる。すなわち、データの可用性として、検証可能性を向上させることができる。
そして、本発明は、作業者の判断過程を統一するための情報処理であり、個々の作業の判断基準には依存しない。従って、一方向制御は、判断基準の変更に応じたコンピュータシステム4の変更があっても、引き続き利用できる情報技術である。さらに、判断基準の変更に伴ってコンピュータシステム4の変更が必要となっても、多くの場合、判断過程(作業のプロセス)自体の変更までは要さない。
そして、一方向制御を採用すると、判断基準自体は、判断の過程と独立して要件定義することができる。また、必ず同一の画面推移により作業者の判断及び作業データ6aが蓄積されることを前提とすることができる。このため、個々の判断基準や計算式は、作業全体の業務プロセスへの組み込みを最低限とし、局所化することができる(判断の局所化作用)。
さらに、一方向制御を採用し、画面推移が一律(予め定められた複数のパターンの推移を含む)であり、個々の詳細な計算式等が局所化され、可能性の組み合わせの数が少なくなるため、業務に熟達した発明者と、情報技術に熟達した発明者との対話が容易となる。このため、業務上必要な計算式や表示等のルールにコンピュータシステム4を準拠させてその確認をする開発負荷を、一方向制御を採用しないコンピュータシステム4と比較して、大幅に軽減することができる(準拠性確保効果)。
例えば、一方向制御を採用しないと、判断過程の統一を実現できず、さらに、各データの状態(全体の中での位置付け)を管理するための情報処理(プログラム)と、各データを計算するための情報処理とが混在しがちとなる。すると、判断基準の変更に伴うプログラムの開発や修正について、その影響を抽出する作業自体が膨大となり、さらに、開発や修正の作業自体も複雑で、修正後にはさらに情報処理内容全体の見通しが悪化しがちとなり、保守負担も増加する。すなわち、リーズナブルな変更が困難となってしまう。
本発明では、各データの状態を個別に管理する必要がなく、作業のプロセスである一方向制御自体は変更される可能性が低いため、判断基準の変更に伴って必要となる開発作業の人的負荷及び費用を軽減することができる(開発容易効果)。
上述のように、一方向制御を採用すると、その判断過程統一作用により、予防的統制を高度に実現することができる。さらに、一方向制御による業務プロセス構築作用により、業務の標準化をITの利用により実現し、結果を均質とし、これらにより作業の結果として蓄積されるデータの可用性を大幅に高めることができる。データの可用性を高めることで、発見的統制の手法を拡大し、またコストを低減することができる。そして、一方向制御による判断基準の局所化作用により、コンピュータシステム4の要件定義に対する準拠性を低コストで確保し、開発及び変更の作業負荷を軽減することができる。
このように、本発明は、一方向制御というITの利用により、予防的統制を高度に実現し、発見的統制の手法を多様化すると共にコストを低減し、そして、IT統制としても準拠性の確保をしやすく、開発及び変更の見通しを良好とすることができる。
従って、本発明を採用するコンピュータシステム4は、内部統制の質を高め、業務の有効性及び効率性の確保に寄与することができる。
これらにより、本発明は、ITの利用により内部統制の質を向上させると共に信用リスク・信用コストに関連するデータの可用性を安定的に確保することで、業務の健全性、適切性及び適正を向上させることができる。
(1.1)健全性: 一方向制御というITを利用したコンピュータシステム4により、信用リスクと信用コストとに関するデータについて、検証可能性、検索可能性、可用性及び準拠性の高い統計的データを安定して蓄積することができる。この信頼性の高い統計的データの蓄積により、信用リスク及び信用コストを測定することで、損失の発生を低減しつつ、収益性を管理することができる。好適な例では、柔軟かつ均質なデータの蓄積が可能となる。
・収益向上可能性: 一方向制御により、信用リスク及び信用コストを測定し、自己資本の資本配賦のための判断材料となるデータを精度良く測定することができ、さらに、自己資本管理部門への適時報告が可能となる。
・損失発生防止可能性: 一方向制御等のITを利用することで、信用リスク及び信用コストの管理に必要な内部統制の質を向上させることができ、信用リスク及び信用コストを精度良く管理できるため、早期の対応が可能となり、損失発生やその拡大を有効に防止することができる。
(1.2)適切性: 一方向制御というITでは、画面の確認により開発の早期の段階から準拠性を確保することができる。また、一方向制御下では、データの依存関係が明確に明示的に整理されているため、準拠性を確認するための試験を低コストで実施することができる。そして、判断過程の統一により、信用リスク及び信用コストの測定・評価に必要な手続を標準化し、個別の判断や全体的判断の整合性を有意に確保することができる。そして、好適な例では、進捗ステータス等を利用したトランザクション管理により適時の報告を可能とし、さらには、基準等の変更に対応してコンピュータ・プログラムを修正する負荷を軽減することができる。このように、準拠性を確保するための様々な業務の作業負荷を軽減するため、信用リスク及び信用コストの管理に関する銀行の業務の適切性を低コストで維持することができる。
・法令準拠性: 一方向制御を用いて、判断過程及び作業手順を一律に強制することで、法令準拠性に必要となる個別判断の位置付けを明確化し、不慣れな作業者であっても早期の熟達を促すことができる。そして、例えば特性操作要求により、個別判断の積み上げと総合的判断とによる一貫性を確保することができる。
・統合的管理性: 一方向制御と、必要な強制再表示や特性操作要求等により、信用格付・債務者区分と自己査定とを一体的に管理することができる。
・適時報告性: 作業プロセスデータ6hの管理や、トランザクション管理によりデータの取扱い容易性を向上させ、例えば、進捗ステータスや作業ステータスにより各データの有効性を確認しつつ、日中にデータを抜き出して必要な報告することができる。
・変更対応性: 一方向制御やプロセス管理により、制度変更に際してその変更を局所化して反映することができる。
・情報の管理: 一方向制御により、統計処理の母集団として安定したデータを蓄積することができ、プロセス管理等により、判断過程や判断根拠を含めたデータを生成でき、データの可用性を向上させると共に、様々な切り口の検索及び適時報告を実現することができる。
・業務の信頼性: 一方向制御により、不慣れな作業者も熟達した作業者も判断の過程が統一されることにより、強固な業務プロセスを構築することができる。さらに、特定操作要求等により、判断の根拠をデータとして記録することで、検証可能性を向上し、モニタリングの有効性をより確保することができる。
・保存性: 好適な例では、作業データ6aと、作業プロセスデータ6hとの両者を蓄積するため、データの進捗上の意味を明確化することができる。特定操作要求など予めシステムに組み込むことで、予め定められた事項については判断根拠をデータとして保存することが可能となる。
・検索性: 好適な実施例では、全ての項目をサーバーで管理するため、エンド・作業者・コンピューティングによる場合と比較して、各項目の意味を唯一に明確に定めておくことができ、検索の精度を格段に向上させることができる。また作業プロセスデータ6hの項目を用いた検索も可能となる。
・可用性: 好適な実施例では、個々の信用格付及び債務者区分等のデータを活用できる他、検証容易性、統計的処理を安定して行うことができる。
・リスク管理: 上述のように、信用リスク管理の基礎データ6b蓄積に必要な準拠性、信頼性、検証可能性及び検索活用性を確保することができる。期待損失ELと貸倒引当金との比較などに際して、事後検証可能で準拠性あり信頼できるデータで比較することができる。
・内部監査: 内部監査手続をシステム化したため、監査手順等をITで統制することができる。また、作業プロセスデータ6hや、判断根拠についてのデータを用いたモニタリングをすることもできる。
(3.1).ITの利用: 自己査定は償却・引当という財務報告の要素を計算する業務プロセスの一部であり、この貸倒引当金の算出等の業務の有効性・効率性・信頼性をITの利用により確保し、向上することができる。特に、自己査定業務の手順を標準化し、その手続に強制的に従わせることで、ITを利用した内部統制の質を向上させ、有効性を確保することができる。なお、バーゼルIIの第3の柱に対応した金融庁告示第15号による開示は財務報告ではないが、債務者格付は信用リスク量の測定という信用リスク管理に必要な業務プロセスの一部であり、その数値の信頼性を確保するために、一方向制御というITを利用することができる。
・統制環境の有効性: 一方向制御という作業者の理解が容易なITに信用リスク及び信用コストの管理に必要な判断基準を組み込むことで、この判断基準及び業務の結果を組織の適切な者に適時に伝達することが可能となり、統制環境の有効性を確保することができる。
・リスクの評価と対応: 信用格付、債務者区分、債権分類を測定し、判定する業務は、信用リスク及び信用コストを評価する業務であり、一方向制御により、判断過程が強制的に統一されているため、貸倒引当金や自己資本比率の算出に誤りが含まれる可能性を大幅に低減することができる。そして、質の高い統計的データを蓄積し、データの可用性が高いため、リスク情報の共有を良好に低コストで行うことができる。
・統制活動: 一方向制御というITは、判断過程を統一するという業務上困難な課題をコンピュータシステム4の利用により実現するものであり、この判断過程の統一により、統制活動の有効性を良好に低コストで確保することができる。すなわち、判断過程を統一するというITの利用は、予防的システムによる統制となり、統制活動の質を向上させることができる。また、好適な実施例では、作業手順上、初回判断を別途保存することで、判断の相違を記録し、事後検証を容易にすることができる。
・情報の伝達: 上記の他、一方向制御により、一定の準拠性及び信頼性を確保しつつ必要な情報を要約していく作業を強制することで、伝達の有効性を向上することができる。
・モニタリング: 信用格付、債務者区分の判断等について、内部監査部門がコンピュータシステム4を利用して監査する際、一方向制御というITが利用されているため、作業者の判断思考を追認しやすく、内部監査の有効性を上昇させることができる。また、作業結果のみならず、作業プロセスに関するデータも蓄積されるため、抽出監査を行う際に、様々な切り口での自動的な抽出が可能となる。また、差戻しという作業プロセスの記録により、モニタリングの結果を有効に機能させることができる。
・有効性及び効率性: 一方向制御により個別の作業漏れを防止し、判断の柔軟性と均質性とを確保しつつ、好適な実施形態・実施例では、熟達者にとっては事務合理化に役立ち、不慣れな者にとっては早期の熟達を促すことができる。
・準拠性: 一方向制御では、画面設計時に情報処理の大まかな流れが特定されるため、開発の早い段階から準拠性を確保することができ、また、リリースに至るまで、画面での実際の入力をしながら準拠性を確認することができるため、準拠性の確度を大幅に向上させつつ、早期の確認を可能とすることで、全般的な作業負荷を軽減することができる。
・データ信頼性: 一方向制御により、判断の過程が統一されているため、粒度の揃ったデータを蓄積することができる。
・可用性: 上記の他、クライアントサーバーの利用により、項目の意味が明確で安定した信頼性の高い集計を可能とする。また、取り扱う数値(金額)の単位を合わせることも容易である。
・機密性: 各データに対するもののみならず、作業プロセスデータ6hについてのアクセスログを残すこともでき、機密性確保と確認とを多面的に行うことができる。
2 ネットワーク
3 通信制御部
4 コンピュータシステム
6 作業データ格納部
6a 作業データ
6b 基礎データ
6c 入力データ
6d 導出データ
6e 査定データ
6f 査定結果データ
6g 査定作業結果データ
6h 作業プロセスデータ
7 画面定義情報格納部
7a 画面定義情報
10 タスク処理部
12 強制再表示処理
14 タスクデータ管理処理
16 表示制御処理
18 計算処理
20 条件確認処理
22 格納処理
24 特定操作要求処理
26 特定操作確認処理
30 進捗制御部
30a 推移コマンド
32 戻りタスク特定処理
34 次タスク特定処理
34a 作業分岐
34b 画面分岐
36 起票時処理
38 タスク開始処理
40 タスク完了処理
42 一方向制御処理
44 タイムスタンプ処理
46 作業分岐処理
48 特定スキップ処理
50 トランザクション管理部
52 全体排他制御
54 全体一貫性制御
56 個別原子性制御
58 個別隔離性制御
60 個別永続性制御
62 中断制御
70 他システム
72 オンラインシステム
74 取引先要項システム
76 その他各種システム
80 破綻懸念先以下抽出符号
82 要注意先抽出符号
84 正常先抽出符号
94 ワークフロー制御部
96 起票制御部
100 ランタイムシステム
102 メモリー
103 CPU
104 クラス群
106 タスク・インヴォーカー
108 タスクマネージャー
110C タスククラス
112Cx 個別タスク・クラス群
114 プログレスマネージャー
115 タスクデータ(td)
116 進捗ステータステーブル
118 DBアクセス
120 タスクデータライター
121 銀行業務データベース
122 プログラムファイル格納部
124 信用リスク・コスト統制用プログラム
130 サーブレット
134 タスク・インタフェース
136 DBアクセス・クラス
140 自動処理等
142C 確認計算クラス
200 業況変化の詳細内容コメント
201 雑科目資産性・査定根拠コメント
202 実態修正コメント
203 主要アラームコメント
204 異常マークについてコメント
205 当期の業況総評コメント
206 業況・財務の特徴コメント
207 赤字・延滞解消の見込みコメント
208 今後の業況等の見通しコメント
209 主な問題点とポイント
210 抽出基準修正コメント
211 債務者区分・信用格付判定理由コメント
212 優良与信修正コメント
213 優良担保保証修正コメント
214 保証人回収可能理由コメント
215 一般担保保証修正コメント
216 自己査定特記事項コメント
217 管理回収方針コメント
218 変化の要因コメント
219 変化に対する対応と見通しコメント
220 補足説明コメント
221 差戻し理由コメント
222 動向コメント
400 状況速報起動理由コード
401 変化の理由コード
402 変化の発生日
403 作業要否判定コード
404 財務登録有り
405 財務登録無し
406 資産性コード
407 内訳金額
408 雑科目明細
409 資産性修正額
410 外部格付機関コード
411 企業番号
411 企業番号
412 事象チェックコード
413 破綻懸念先以下抽出符号コード
414 要注意先抽出符号コード
415 正常先抽出符号コード
416 検査・考査符号コード
417 与信明細修正
418 条件緩和コード
419 問題与信債権コード
420 債務者区分判定コード
421 債務者格付コード
422 特定与信格付コード
423 信用格付判定理由コード
424 法的整理
425 与信額補正
426 特定スキップ有り
427 特定スキップ無し
428 差戻し先
429 動向発生年月日
430 主要動向区分
B1 次へボタン(作業開始、登録、承認)
B2 ジャンプして戻るボタン
B3 戻るボタン
B4 中断ボタン
B5 疎明資料ボタン
B6 終了ボタン
B7 計算ボタン
B8 検索ボタン
B9 作業不要ボタン
B10 作業基準日
B11 状況速報ボタン
B12 データ一覧更新ボタン
B13 振分け待ち一覧ボタン
B14 処理待ち一覧ボタン
B15 担当者作業待ちボタン
B16 承認待ちボタン
B17 確認待ちボタン
B18 店一覧ボタン
B19 データ取消ボタン
B20 担当者変更ボタン
B21 並び替えボタン
B22 印刷ボタン
B23 照会ボタン
B24 取引先要項ボタン
B25 取扱要綱ボタン
B26 Q&Aボタン
B27 ヘルプボタン
B28 顧客属性表示ボタン
B29 進捗フロー表示(非表示)ボタン
B30 スコアリング評点照会ボタン
B31 抽出符号照会ボタン
B32 個人定量評点
B33 財務要約照会
B34 財務分析帳票
B35 主要経営比率
B36 損益計算書(単体)
B37 貸借対照表(単体)
B38 前回内容照会ボタン
B39 前回内容取込ボタン
B40 B/Sへボタン
B41 P/Lへボタン
B42 関連融資先ボタン
B43 登録内容全照会ボタン
B44 差戻しボタン
B45 参考情報照会ボタン
Claims (8)
- リスク評価を含む複数の関連するタスクからなる銀行業務の担当者によって使用される端末とネットワークを介して接続されたコンピュータシステムを有し、このコンピュータシステムが、
基礎データ、入力データ、導出データ及び査定データを作業対象毎に有する作業データを格納する作業データ格納部と、
前記端末の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報を前記銀行業務の前記タスク毎に格納する画面定義情報格納部と、
前記タスク毎に前記画面定義情報に従って前記作業データを前記端末に表示制御すると共に、当該端末の前記画面要素への操作に応じて入力される前記入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、前記作業対象への前記担当者による前記リスク評価を含む査定データとを前記作業データ格納部に格納するタスク処理部と、
前記画面要素の操作により前記端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、前記作業対象を特定する開始画面から当該担当者による前記査定データを確定する終了画面に向けて、複数の前記タスクの推移を一方向に制御する進捗制御部とを備え、
この進捗制御部は、
作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を前記推移コマンドとして受信した際には、当該現タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定する次タスク特定処理と、
作業中のタスクより前記開始画面側にあり前記担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を前記推移コマンドとして受信した際には、前記作業中であった前記タスクとは別の一以上のタスクを前記開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先の前記タスクを現タスクに特定する戻りタスク特定処理とを備え、
前記タスク処理部が、前記画面定義情報に従って、前記タスクのために入力され又は導出した前記リスク評価に関する前記作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理を備え、
前記次タスク特定処理が、前記戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする前記次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、前記再表示の前記画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した、
ことを特徴とする銀行業務処理システム。 - 前記作業対象毎に、前記タスクを識別するタスクIDを使用して前記開始画面を含む開始タスクから前記終了画面を含む終了タスクに向けた一方向の順序で一次元の並びとして複数の前記タスクを有すると共に、当該各タスクでそれぞれ使用する作業データの全体に対して当該タスクを単位として未着手、作業中及び作業済の進捗ステータスを特定する進捗ステータステーブルを格納する進捗ステータス格納部を備え、
前記進捗制御部は、
前記銀行業務のタスク群からなる作業が起票された際に当該作業対象を識別する作業通番の進捗ステータステーブルの全ての前記タスクの進捗ステータスを前記未着手とする起票時処理と、
前記推移コマンドが前記タスクの開始要求である際に、当該開始要求の前記タスクIDで指定される前記タスクの進捗ステータスを前記作業中に変更するタスク開始処理と、
前記推移コマンドが前記タスクの終了要求である際に、当該現タスクの進捗ステータスを前記作業済に変更するタスク完了処理と、
前記戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り先の前記タスクについて前記タスク開始処理をした後に、当該戻り先である当該現タスクのタスクIDから前記一方向の順序での前記戻り元の前記タスクのタスクIDまでの全ての前記作業済の進捗ステータスを前記作業中に変更する一方向制御処理とを備え、
前記次タスク特定処理は、前記戻りタスク特定処理によるジャンプ戻り後のタスクを現タスクとする際と、ジャンプ戻りではないタスクを現タスクとする際とのいずれにあっても、当該現タスクへの前記タスク完了処理の後に前記次タスク照会要求を受信した際には、前記進捗ステータステーブルを参照して前記未着手又は前記作業中の前記タスクIDのうち最も前記開始タスクに近い前記タスクIDの前記タスクを次タスクに指定する、
ことを特徴とする請求項1記載の銀行業務処理システム。 - 前記進捗ステータステーブルは、当該銀行業務の態様別に進捗が並列であるタスクを前記一方向の順序で一次元の並びとして有すると共に、前記進捗ステータスとして省略を有し、
前記進捗制御部は、
前記タスク完了処理が、前記銀行業務の態様別に異なる次タスクが定められている際には、前記タスク完了処理のタスクから当該次タスクまでの進捗ステータスを省略に変更し、
前記一方向制御処理が、戻り先のタスクの進捗ステータスを作業中に変換する前後に、当該戻り先のタスクよりも終了タスク側の全てのタスクのうち前記省略の進捗ステータスを前記未着手に変更する、
ことを特徴とする請求項2記載の銀行業務処理システム。 - 前記作業を識別する前記作業通番を単位として、当該作業通番で使用する作業データの全体に対して、待機中、実行中及び決裁済の作業ステータスを特定した作業ステータステーブルを格納する作業ステータス格納部と、
前記作業通番で使用する作業データの全体に対する処理を作業トランザクションとして管理すると共に、前記タスクIDで使用するタスクデータへの処理を個別トランザクションとして管理するトランザクション管理部を備え、
このトランザクション管理部は、
前記作業通番の作業ステータスが前記実行中である場合には、当該作業通番の作業開始を禁止する一方、当該作業ステータスが前記待機中である場合には、当該待機中を前記実行中に変更して前記次タスク特定処理に当該作業通番を引き渡して作業開始を許可することで、当該作業通番を単位とした前記作業トランザクションの実行を唯一に排他制御して、当該作業トランザクションに隔離性を与える全体排他制御と、
前記作業トランザクションの決裁となる前記タスクの前記タスク完了処理の後に、当該作業トランザクションの作業ステータスを前記実行中から前記決裁済に変更することで、当該作業トランザクションに一貫性を与える全体一貫性制御と、
前記タスク毎の進捗ステータスを管理させることで前記個別トランザクションに原子性を与える個別原子性制御と、
前記タスクを一方向に制御することで前記個別トランザクションに隔離性を与える個別隔離性制御と、
前記タスクの進捗ステータスが作業済に変換された際に、当該進捗ステータスが作業済である前記個別トランザクションに永続性を与える個別永続性制御と、
前記端末から中断要求を受信した際に、当該作業トランザクションに一貫性を与えないまま、当該タスクまでの各タスクの個別トランザクションに永続性を与える中断制御とを備えると共に、
当該トランザクション管理部は、前記端末からジャンプ戻り要求を受信した際に、当該戻り元の当該タスクに前記中断制御をすることで、当該作業トランザクションに一貫性を与えないまま、当該戻り元の当該タスクの作業データに永続性を与える、
ことを特徴とする請求項3記載の銀行業務処理システム。 - 前記タスク処理部は、前記銀行業務の前記リスク評価の作業上保守的な内容の作業データを前記担当者の入力データとして初期値表示すると共に、当該初期値表示する入力データが当該担当者によって変更される際には、前記画面要素の選択又は前記画面要素への入力を含む特定操作用の画面要素を特定操作要素として表示制御してコメントの入力を促すと共に、作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す特定操作要求処理を備えた、
ことを特徴とする請求項4記載の銀行業務処理システム。 - 前記タスク処理部が、前記一方向制御処理に従って推移させるタスクとして、
前記基礎データとして債務者の決算による公表財務データの登録がなされた際に、当該公表財務データの検討、実態財務データの登録、及び予め定められた複数の決算検討コメントの入力を前記担当者に促す決算検討タスク群と、
当該決算検討タスク群の完了後、当該決算検討タスク群での入力データ、前記基礎データ及び導出データを使用して、当該債務者の信用格付の一次評価の検討を前記担当者に促す信用格付タスク群と、
前記信用格付タスク群の完了後、当該信用格付タスク群までの作業データと、前記債務者及び当該債務者の債権に関する基礎データとを使用して、財務状態又は事象として予め定められた抽出基準に該当する債務者について、債務者区分及び信用格付の判定を促す債務者区分タスク群と、
前記債務者区分タスク群の完了後、当該債務者区分タスク群までの作業データと、当該債務者の債権に関する基礎データとを使用して、当該各債権の保全の確認及び修正を促す債権分類タスク群と、
債権分類タスク群に続いて、当該債権分類タスク群までの作業データの一部を入力編集不可の属性で債務者の概況として再表示すると共に、決算検討時の決裁後に当該債務者に変化があった際には変化検討コメントの入力を促す債務者の概況タスクとを備え、
前記債務者の概況タスクにて、
前記強制再表示処理が、前記決算検討コメントの一部又は全部を入力編集不可の属性で当該債務者の概況タスクの画面に再表示し、
前記戻りタスク特定処理が、当該入力編集不可で再表示した決算検討コメントについて前記担当者による修正がなされる際に、前記決算検討タスク群に前記ジャンプして戻るジャンプ戻り要求の送信と関連付けられた前記画面要素を当該債務者の概況タスクの画面に表示する、
ことを特徴とする請求項5記載の銀行業務処理システム。 - リスク評価を含む複数の関連するタスクからなる銀行業務の担当者によって使用される端末とネットワークを介して接続されたコンピュータシステムを有し、このコンピュータシステムが、
基礎データ、入力データ、導出データ及び査定データを作業対象毎に有する作業データを格納する作業データ格納部と、
前記端末の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報を前記銀行業務の前記タスク毎に格納する画面定義情報格納部とを備えた銀行業務処理システムを使用して前記複数の関連するタスクを実行する方法であって、
前記タスク毎に前記画面定義情報に従って前記作業データを前記端末に表示制御すると共に当該端末の前記画面要素への操作に応じて入力される前記入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、前記作業対象への前記担当者による前記リスク評価を含む査定データとを前記作業データ格納部に格納するタスク処理工程と、
前記画面要素の操作により前記端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、前記作業対象を特定する開始画面から当該担当者による前記査定データを確定する終了画面に向けて、複数の前記タスクの推移を一方向に制御する進捗制御工程とを備え、
この進捗制御工程は、
作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を前記推移コマンドとして受信した際には、当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定する次タスク特定工程と
作業中のタスクより前記開始画面側にあり前記担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を前記推移コマンドとして受信した際には、前記作業中であった前記タスクとは別の一以上のタスクを前記開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先の前記タスクを現タスクに特定する戻りタスク特定工程とを備え、
前記タスク処理工程が、前記画面定義情報に従って、前記タスクのために入力され又は導出した前記リスク評価に関する前記作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理工程を備え、
前記次タスク特定工程が、前記戻りタスク特定工程によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする前記次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、前記再表示の前記画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止した、ことを備えたことを特徴とする銀行業務処理方法。 - リスク評価を含む複数の関連するタスクからなる銀行業務の担当者によって使用される端末とネットワークを介して接続されたコンピュータシステムを有し、このコンピュータシステムが、
基礎データ、入力データ、導出データ及び査定データを作業対象毎に有する作業データを格納する作業データ格納部と、
前記端末の画面に表示する画面要素の入力編集可否及び配置を定義する画面定義情報を前記銀行業務の前記タスク毎に格納する画面定義情報格納部とを備えた銀行業務処理システムのコンピュータを使用して銀行業務を処理するための銀行業務処理用プログラムであって、
前記タスク毎に前記画面定義情報に従って前記作業データを前記端末に表示制御すると共に当該端末の前記画面要素への操作に応じて入力される前記入力データと、当該入力データを使用して導出する導出データと、前記作業対象への前記担当者による前記リスク評価を含む査定データとを前記作業データ格納部に格納するタスク処理手順と、
前記画面要素の操作により前記端末から送信される推移コマンドに応じて、当該タスク間の推移を、前記作業対象を特定する開始画面から当該担当者による前記査定データを確定する終了画面に向けて、複数の前記タスクの推移を一方向に制御する進捗制御手順と、
作業完了した現タスクの次に作業するタスクを要求する次タスク照会要求を前記推移コマンドとして受信した際には、当該現タスクまでの作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定する次タスク特定手順と
作業中のタスクより前記開始画面側にあり前記担当者の任意で指定されるタスクにジャンプして戻るジャンプ戻り要求を前記推移コマンドとして受信した際には、前記作業中であった前記タスクとは別の一以上のタスクを前記開始画面側に向けて飛び越して、当該任意で指定された当該ジャンプ戻り先の前記タスクを現タスクに特定する戻りタスク特定手順と、
前記画面定義情報に従って、前記タスクのために入力され又は導出した前記リスク評価に関する前記作業データの一部を、一以上の別のタスクの作業後に作業中である現タスクの画面に入力編集不可で再表示することで、当該再表示した作業データの修正に際して、当該作業データを入力した前記タスクに、前記一以上の別の前記タスクを飛び越すことでジャンプして戻ることを当該担当者に促す強制再表示処理手順と、
前記戻りタスク特定手順によるジャンプ戻り先のタスクを作業完了の現タスクとする前記次タスク照会要求を受信した際に、当該ジャンプ戻り先である当該現タスクまでの前記作業データ及び当該現タスクから予め唯一に定められた次タスクを特定することで、前記再表示の前記画面までジャンプして進むジャンプ進みを禁止する手順と、
を実行させることを特徴とする銀行業務処理用プログラム。
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