JP5498951B2 - クエン酸に対し安定化された中性メタロプロテアーゼの使用と生産 - Google Patents

クエン酸に対し安定化された中性メタロプロテアーゼの使用と生産 Download PDF

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Description

関連する出願
本出願は、2007年10月31日出願の米国仮特許出願第60/984,046号、題名「クエン酸安定化中性メタロプロテアーゼの使用と生産」に基づく優先権を主張する。
本発明は金属キレート剤の存在下、安定性が改善された少なくとも1個の中性メタロプロテアーゼを含む方法と組成物を提供する。いくつかの実施態様では、この中性メタロプロテアーゼはクエン酸を含む洗浄と他の用途で使用される。いくつかの特に好ましい実施態様では、本発明はクエン酸で誘導される自己分解に耐えるように操作を受けた変異中性メタロプロテアーゼを含む方法と組成物を提供する。
バチルス属の細菌は多くの産業的に有用な酵素を分泌するグラム-陽性細菌であり、発酵により大容量で安価に生産できる。分泌されたバチルス属の酵素の例はスブチリシン・セリン・プロテアーゼ、亜鉛を含有する中性プロテアーゼ、アルファ-アミラーゼとセルラーゼである。バチルス・プロテアーゼは繊維業、洗濯業及び家庭製品産業で広く使用されている(Galante, Current Organic Chemistry,7:1399-1422,2003;及びShowell, Handbook of Detergents, Part D: Formulation, Hubbard(編)、NY: Taylor and Francis Group, 2006)洗濯物からの高効率の色及びシミ除去はプロテアーゼを必要とする。しかし、洗浄と洗濯剤の液体製品は通常、ビルダー、界面活性剤、金属キレート剤を含み、大抵のプロテアーゼを不安定化する効果を及ぼす。
一般に、変性剤は自己分解による迅速なプロテアーゼの分解を起こす。従って、プロテアーゼの自己分解の分子機構に関する理解は、安定なプロテアーゼを作成する手段として研究されてきた。(Eijsinkら、J.Biotechnol,113:105-120,2004)。自己分解経路の解明は(i) プロテアーゼが一部変性した状態のタンパク質を分解する高い効率により複雑化し、また(ii)多くの折れ曲がっていない状態が存在する可能性が高くこれがタンパク質全体に分布し、多数の同時に進む自己分解経路が生じること、により複雑になっている。テルモシリン様のメタロプロテアーゼの自己分解の分子機構は報告されている(Eijsinkら、Nat Struct Biol. 2:374-379,1995;van den Burg ら、Biotechnol Appl Bioeng, 30:35-40,1999; 及びVriend, J Comput Aided Mol Des. 7:367-396,1993)
しかし、他の産業上関連するメタロプロテアーゼの自己分解の機構を解明する必要性は残っている。特に、バチルス・アミロリケファシエンス中性プロテアーゼ(NprE)のクエン酸誘導自己分解の理解の必要性が残っており、カルシウムキレート剤の存在下安定性の向上したNprE変異種を設計するため使用できる。これは、B・アミロリケファシエンスの場合に特に重要である。なぜなら、この酵素は、その構造と機能を、カルシウムに依存するので、クエン酸塩のようなカルシウム除去剤に対してこの酵素の感受性は一層高いからである。
本発明の要約
本発明は金属キレート剤の存在下、安定性の向上した少なくとも1個の中性メタロプロテアーゼを含む方法と組成物を提供する。いくつかの実施態様では、この中性メタロプロテアーゼはクエン酸を含む洗浄及び他の用途で使用される。いくつかの特に好ましい実施態様では、本発明はクエン酸誘導自己分解に耐えるように操作された変異中性メタロプロテアーゼを含む方法と組成物を提供する。
本発明はクエン酸誘導自己分解への耐性が向上している単離された中性メタロプロテアーゼ変異種を提供する。いくつかの好ましい実施態様では、この中性メタロプロテアーゼ変異種はSEQ ID NO:3として表されたアミノ酸配列の129,130,138,190,及び220と同等の群から選ばれた3,4、又は5個の位置に置換を含むアミノ酸配列をもつバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種である。いくつかの好ましい実施態様では、この置換は、S129I/F130L/D220P、M138L/V190I/D220P、及びS129I/F130L/M138L/V190I/D220Pから選ばれた複数の変異を含む。好ましい実施態様では、バチルス属はB・アミロリケファシエンスである。いくつかの実施態様では、この中性メタロプロテアーゼは、SEQID NO:3で表されたアミノ酸配列中性メタロプロテアーゼと少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約53%、少なくとも約55%、少なくとも約57%、少なくとも約60%、少なくとも約63%、少なくとも約65%、少なくとも約67%、少なくとも約70%、少なくとも約73%、少なくとも約75%、少なくとも約77%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%のアミノ酸同一性を有する。本発明は、この核酸を含む発現ベクターと、本明細書に述べられた中性メタロプロテアーゼ変異種をコードした単離された核酸も提供する。さらに、本発明は発現ベクターを含む宿主細胞を与える。さらに別の実施態様では、本発明は発現ベクターを含む宿主細胞から得られる中性メタロプロテアーゼを提供する。

加えて、本発明はクエン酸誘導自己分解に対して改善された耐性を持つ単離されたB・アミロリケファシエンス中性メタロプロテアーゼ変異種を与える。いくつかの好ましい実施態様では、この中性メタロプロテアーゼ変異種はSEQIDNO:3に表されたアミノ酸配列の129、130、138、190、及び220と同等の群から選択された3,4,5個の位置に置換を含むアミノ酸配列を有する。また、SEQIDNO:3に表されたアミノ酸配列の多数の変異を含む単離されたB・アミロリケファシエンス中性メタロプロテアーゼを提供する。ここで、この複数の変異はS129I/F130L/D220P、M138L/V190I/D220P、及びS129I/F130L/M138L/V190I/D220Pから選ばれる。いくつかの好ましい実施態様では、単離されたB・アミロリケファシエンス中性メタロプロテアーゼ変異種はSEQIDNO:18(S129I/F130L/D220P)、SEQIDNO:19 (M138L/V190I/D220P)、またはSEQIDNO:20 (S129I/F130L/M138L/V190I/ D220P)として表されたアミノ酸配列を含む。本発明は、また、本明細書に記載された中性メタロプロテアーゼ変異種をコードする単離された核酸、及びこの中性メタロプロテアーゼ変異種をコードする核酸を含む発現ベクターも提供する。さらに、本発明はこの発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。さらに別の実施態様では、本発明は発現ベクターを含む宿主細胞から得られる中性メタロプロテアーゼ変異種を提供する。
さらに、本発明は中性メタロプロテアーゼ活性を有する酵素を産生する方法を提供する。これは、中性メタロプロテアーゼ変異種をコードする核酸を含む発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し;この中性メタロプロテアーゼの産生に適した条件下、形質転換された宿主細胞を培養することを含む。本発明のいくつかの実施態様は産生された中性メタロプロテアーゼを集める段階をさらに含む。好ましい実施態様では、この宿主細胞はバチルス属の種であり、特に好ましい実施態様では、このバチルス属の種はB・スブチリスである。
本発明は、またクエン酸誘導自己分解に対する耐性が向上している単離された中性メタロプロテアーゼを含む組成物も提供する。いくつかの実施態様では、本組成物はさらに少なくとも1個のカルシウムイオン/または少なくとも1個の亜鉛イオンを含む。別の実施態様では、本組成物はさらにクエン酸を含む。いくつかの好ましい実施態様では、本組成物は洗浄剤組成物(例.洗剤)である。いくつかの特に好ましい実施態様では、本組成物はさらに、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、クチナーゼ、酸化還元酵素、ヘミセルラーゼ、及びセルラーゼからなる群から選択された少なくとも1個の別の酵素または酵素誘導体を含む。本発明のいくつかの実施態様では、本組成物は:少なくとも約0.0001重量%の中性メタロプロテアーゼ変異種を、;または約0.001から約0.5重量%の中性メタロプロテアーゼ変異種を含む。本発明のいくつかの組成物はさらに少なくとも1個の他の成分を含む。いくつかの特に好ましい実施態様では、本組成物はさらに本組成物に約3から約5の原液のpHを与える程の十分な量のpH調整剤を含み、本組成物は、約pH3から約pH5のpHで加水分解する物質は、本質的に含んでいない。いくつかの好ましい実施態様では、本界面活性剤は、エチレンオキシド部分を含むアルキル硫酸ナトリウム界面活性剤である。いくつかの実施態様では、本組成物は液体である。
加えて、本発明はクエン酸誘導自己分解に対する耐性が向上している単離された中性メタロプロテアーゼを含む動物飼料組成物を提供する。別の実施態様では、クエン酸誘導自己分解に耐性が向上している単離された中性メタロプロテアーゼ変異種を含む繊維処理組成物が提供される。さらに別の実施態様ではクエン酸誘導自己分解に対する耐性が向上している単離された中性メタロプロテアーゼ変異種を含む皮革処理組成物が提供される。
さらに、本発明は、布地(例.材料)を含む表面及び/又は物品をクエン酸誘導自己分解に対する耐性が向上している単離された中性メタロプロテアーゼ変異種を含む洗浄剤組成物と接触させる段階を含む洗浄方法を提供する。いくつかの実施態様では、本方法は、さらに洗浄剤組成物と表面又は材料を接触させた後、その表面及び/または布地を濯ぐ段階を含む。
図1は、バチルス・アミロリケファシエンス中性メタロプロテアーゼ(NprE)のクエン酸誘導自己分解を示している。図Aは0.1MTris-HCl、pH8.4中での、クエン酸の濃度(0-250mM)、カルシウム濃度(0-10mM)の関数として0.4mg/mlプロテアーゼの不活性化を示す。残存活性はスクシニル化された-カゼイン/TNBSAを使用して測定され、10mM塩化カルシウムの存在下測定された活性の相対値である。図Bはクエン酸により誘導されたプロテアーゼの自己分解パターンを示す10%SDS-PAGE分析を表す。約0.4mg/mlのタンパク質は、0-100mMクエン酸を含む5mM HEPES、pH8.0中で、氷冷で100分間保温された。このプロテアーゼは、ゲルに載せる前に自己分解を停止するため0.1N HClにより不活性化された。レーン1はクエン酸を含まない条件で保温された対照タンパク質を表し、レーン2-7は、クエン酸塩を増加したときのタンパク質を含み、レーン8は分子量マーカーを含む。 図2は、B・アミロリケファシエンス中性プロテアーゼ(NprE)の自己分解断片のアミノ酸配列を与える。:断片1(SEQIDNO:13);断片2(SEQIDNO:14);断片3(SEQIDNO:15);断片4(SEQIDNO:16);断片5(SEQIDNO:17)自己分解断片のN-末端は、太字で強調されている。数字はNprEの成熟形の位置に対応する。 図3はクエン酸に対する感受性についてNprEの3箇所における全ての可能なアミノ酸置換をスクリーニングすることにより得られる活性データを示す、代表的な図である。図AはM138の位置の活性スクリーニングのデータである。図BはD220の位置の活性スクリーニングのデータである。図CはV190の活性スクリーニングのデータである。スクリーニングは、25mM HEPES,pH8.0において50mMのクエン酸存在下又は非存在下、25℃で60分間で行われた。このy軸の目盛は任意であって、野生型タンパク質に対する増加を示す。 図4はクエン酸濃度と保温時間の関数として中性プロテアーゼ変異種の活性を示すグラフである。図Aは野生型プロテアーゼ(●)、V190I(○)、M138L(▼)、D220P(△)、M138L-D220P(■)、及びS129I-F130L-M138L-V190I-D220P(◆)について、室温で60分後に測定した活性の、クエン酸濃度に対する依存性を示す。図Bは野生型NprEと変異種S129I-F130L-M138L-V190I-D220Pに対するクエン酸の影響を示す10%SDS-PAGE分析を表す。約0.4mg/mlのタンパク質がいくつかのクエン酸の濃度で、100分4℃で保温された。レーン1−4はクエン酸(0-75mM)の関数として野生型の自己分解のパターンを示し、レーン6−10は完全な(自己分解されていない)S129I-F130L-M138L-V190I- D220Pを示す。レーン5は標準分子量マーカーを表す。 図5は野生型と変異プロテアーゼの熱安定性を示すグラフである。図Aは130mMのクエン酸存在下0.4mg/mlのプロテアーゼ変異種S129I、D220E、V190I-D220P、S129I-F130L -D220P、及びS129I-F130L-M138L-V190I-D220Pの代表的な熱量プロファイルである。データは、Auto-Cap VP-DSC(MicroCal, Northampton,MA,USA)を用いて200℃/hrのスキャン速度で、20-90℃で収集された。示された全てのデータは、緩衝液のベースラインににより補正されている。この緩衝液は5mM HEPES、pH8.0であった。図Bは、130mMのクエン酸の存在下、pH8.0、融点(Tm’s)での上昇を示す、多数の1個、2個、3個の変異を含むプロテアーゼ変異種についての棒グラフである。 図6は野生型NprEとその変異種の活性と熱安定性を一覧表にしたものである。 図7は、本発明のクエン酸に安定なNprE変異種の例のアミノ酸配列を提供する。図Aは、S129I-F130L-D220P NprE変異種(SEQIDNO:18)のアミノ酸配列を与える。図Bは、M138L-V190I-D220P NprE変異種(SEQ IDNO:19)のアミノ酸配列を与える。図CはS129I-F130L-M138L-V190I-D220P NprE変異種(SEQ ID NO:20)のアミノ酸配列を与える。 図8はpHに対するKcat/Kmのグラフであり、野生型NprEと5個の変異をもつNprE変異種(S129I-F130L-M138L-V190I-D220P)は、pH6.5においてAGLA基質に対し最高の活性をもつことを示している。 図9は、pHに対する残存NprE活性のグラフであり、カルシウムの添加が、低いpHと高いpHの両方で、野生型NprEと5個の変異をもつNprE変異種(S129I-F130L-M138L -V190I-D220P)の両者を安定化することを示す。発明の概要
本発明は、金属キレート剤の存在下、安定性の向上した少なくとも1個の中性メタロプロテアーゼ酵素を含む方法と組成物を提供する。いくつかの実施態様では、この中性メタロプロテアーゼは、クエン酸塩を含む洗浄及び他の用途で使用される。いくつかの特に好ましい実施態様では、本発明はクエン酸誘導自己分解に耐性があるように操作された変異中性メタロプロテアーゼを含む方法と組成物を与える。
別に記載がない場合には、本発明の実施は本技術分野の範囲内にある分子生物学、微生物学、組換えDNAで普通に使用される従来の技術を含む。このような技術は、本技術分野の技術者に知られており、多くの教科書や参考書で述べられている。(例.Sambrookら”Molecular Cloning:A Laboratory Manual”、第2版、Cold Spring Harbor, 1989;及びAusubelら、”Current Protocols in Molecular Biology,” 1987)本明細書で上記及び下記に述べられるすべての特許、全ての特許出願、記事、刊行物は、引用によって明示的に本明細書に組み入れられる。
本明細書で別に定義がない場合、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の普通の技術者により共通に理解されているものと同一の意味をもつ。例えば、SingletonとSainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 第2版、John Wiley and Sons, NY(1994);及びHale and Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY(1991)は、本技術分野の技術者に本発明で使用される多くの用語について一般的な辞書を与える。本明細書に記載されたものと類似または同等のいかなる方法と原材料も本発明の実施で使用されるが、好ましい方法と原材料は本明細書に述べられている。従って、直ぐ後に定義される用語は、全体として明細書を参照することにより、更に良く理解される。
また、本明細書で使用する場合、単数の名詞の表記は、文意から明瞭に異なる場合を除き、複数の名詞をも含む。数字の範囲は、その範囲を限定しているその数字を含む。別に記載がない場合には、核酸は、5‘から3’の向きに左から右に記載される。アミノ酸配列は、アミノ基からカルボキシ基の向きに左から右へ記載される。本発明が、記載された特定の方法論、プロトコール及び試薬に限定されないことが理解されるべきである。なぜなら、これらは、本技術分野の技術者により使用される状況により変わり得るからである。
さらに、本明細書に記載の表題は本発明の種々の面または実施態様の限界ではなく、本発明は、全体として明細書を参照することにより理解されるべきものである。従って、直ぐ後に定義される用語は全体として明細書を参照することにより、更に意味が明らかになる。
しかしながら、本発明の理解を促すために、多くの用語が以下に定義されている。

定義
本明細書で別の定義がされていない場合には、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術者により普通に理解されるものと同一の意味をもつ。本明細書に記載されたものと類似または同等のいかなる方法と原材料も本発明の実施に使用できるが、好ましい方法と原材料が、本明細書に記載されている。従って、直ぐ後に定義される用語は全体として明細書を参照することにより、より良く理解できる。また、本明細書で使用する場合、単数の名詞の表記は、文意から明瞭に異なる場合を除き、複数の名詞をも含む。別に記載がない場合には、核酸は、5‘から3’の向きに、アミノ酸配列は、アミノ基からカルボキシ基の向きに左から右へ、それぞれ記載される。本発明が、記載された特定の方法論、プロトコール及び試薬に限定されないことが理解されるべきである。なぜなら、本技術分野の技術者により使用される状況により変わり得るからである。
この明細書全体で、全ての最大値による数的限定は、より小さい数による限定が明示的に本明細書に記載されている場合のように、全てのより小さい数による限定を含む。本明細書全体で全ての最小値による限定は、より大きい数による限定が明示的に本明細書に記載されている場合のように、全てのより大きい数による限定を含む。本明細書全体で与えられている全ての数の範囲は、より狭い数の範囲が本明細書に明示的に記載されている場合のように、その広い数の範囲内にある、全てのより狭い数的範囲を含む。
引用されている全ての文書は、関連する部分が引用により組み入れられる。いずれの文書の引用も、その文書が本発明に関して先行技術であることを認めるものとして解釈されてはならない。
本明細書で使用する場合、用語「プロテアーゼ」と「タンパク質分解活性」はペプチドまたはペプチド結合を持つ基質を加水分解する能力を示すタンパク質またはペプチドである。タンパク質分解活性を測定するために多くの手順が知られている。(Fiechter(編)、Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,1988 Kalisz,”Micobial Proteinases”)例えば、タンパク質分解活性は、比較試験により確認されて良い。この試験は市販の基質を加水分解する個々のプロテアーゼの性能を分析するものである。プロテアーゼまたはタンパク質分解活性のそのような分析で有用な基質の例は、ジメチルカゼイン(Sigma C-9801)、ウシコラーゲン(Sigma C-9879)、ウシエラスチン(Sigma E-1625)、及びウシケラチン(ICN Biomedical 902111)を非限定的に含む。これらの基質を利用する比色定量は本技術分野で良く知られ(WO99/34011及び米国特許第6,376,450号参照、両者は引用により本明細書に組み入れられる。)pNA定量は(Del Marら、Anal Biochem, 99,316-320,1979)また、グラジエント溶出の間集められた分画の活性酵素濃度を決定する際に用いられる。この定量は、酵素が可溶性合成基質、スクシニル-アラニン-アラニン-プロリン-フェニルアラニン-p-ニトロアニリン(sAAPF-pNA)を加水分解する際にp-ニトロアニリンが遊離される速度を測定する。加水分解反応から生じる黄色の生成速度は分光光度計により410nmで測定され、これは活性酵素濃度に比例する。加えて、280nmにおける吸光度は総タンパク質濃度を決定するために使用できる。活性酵素/総タンパク質比は、酵素純度を与える。
本明細書で使用する場合、用語「NprEプロテアーゼ」と「NprE」は本明細書で述べられた中性メタロプロテアーゼをいう。いくつかの好ましい実施態様では、このNprEプロテアーゼはバチルス・アミロリケファシエンスから得られた精製されたMULTIFECT(登録商標)NeutralまたはPMNとして本明細書に指定されたプロテアーゼである。従って、いくつかの実施態様では、用語「PMNプロテアーゼ」はSEQIDNO:3で定められたものと実質的に同一のアミノ酸配列をもつバチルス・アミロリケファシエンス由来の天然に生成する成熟プロテアーゼをいう。別の実施態様では、本発明はNprEプロテアーゼの一部分を提供する。
用語「バチルスプロテアーゼ相同体」は、バチルス・アミロリケファシエンス由来の成熟プロテアーゼと実質的に同一のアミノ酸配列をもつ天然に産生されるプロテアーゼ、または天然に産生されるプロテアーゼをコードするポリヌクレオチド配列をいい、このプロテアーゼはそのような核酸によりコードされる中性メタロプロテアーゼの機能的特徴を保持している。
本明細書で使用される場合、「NprE変異種」と「NprEプロテアーゼ変異種」は野生型NprEに、特に機能面で類似し、しかしそのアミノ酸配列に変異をもち、野生型プロテアーゼと配列が異なるプロテアーゼを示すために使用される。
本明細書で使用される場合、「バチルス属の種」は「バチルス」属内の全ての種をいい、これは、Bacilli綱、Bacillales目、Bacillaceae科に属するグラム陽性菌である。「バチルス」属は本技術分野の技術者に知られている「バチルス」属に属する全ての種を含む。つまり、B・スブチリス、B・リケニフォルミス、B・レンツス、B・ブレビス、B・ステアロテルモフィルス、B・アルカロフィルス、B・アミロリケファシエンス、B・クラウシ、B・ハロジュランス、B・メガテリウム、B・コアグランス、B・サーキュランス、B・ラウツス及びB・スリンギエンシスを非限定的に含む。このバチルス属は分類学上の再分類を受けていることが知られている。つまり、この属はこれまで分類されてきた種を含むこととされ、B・ステアロテルモフィルス(現在、「ジオバチルス(Geobacillus)・ステアロテルモフィルス」と命名されている)のような生物を非限定的に含む。酸素存在下での、抵抗性内生胞子の産生は、バチルス属を定義付ける特徴であると考えられる。しかし、この特徴は、また最近命名されたアリシクロバチルス(Alicyclobacillus)、アンフィバチルス(Amphibacillus)、アネウリンバチルス(Aneurinbacillus)、アノキシバチルス(Anoxybacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、フィロバチルス(Filobacillus)、グラシルバチルス(Gracilbacillus)、ハロバチルス(Halobacillus)、ペニバチルス(Paenibacillus)、サリバチルス(Salibacillus)、テルモバチルス(Thermobacillus)、ウレビバチルス(Urebibacillus)及びビルジバチルス(Virgebacillus)にも適用される。
関連する(及び誘導体)タンパク質は「変異タンパク質」を含む。いくつかの好ましい実施態様では、変異タンパク質は、親タンパク質と異なり、少数のアミノ酸残基により互いに異なる。異なるアミノ酸残基の数は1以上であり、好ましくは1,2,3,4,5,10,15,20,30,40,50またはそれ以上の残基である。いくつかの好ましい実施態様では、変異種の間の異なるアミノ酸の数は1と10の間である。いくつかの特に好ましい実施態様では、関連するタンパク質と特に変異したタンパク質は少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%アミノ酸配列の同一性がある。加えて、本明細書で使用する場合、関連するタンパク質または変異タンパク質は、多くの重要な領域で別の関連タンパク質または親タンパク質と異なるタンパク質をいう。例えば、いくつかの実施態様では、変異タンパク質は親タンパク質と異なる1,2,3,4,5または10個の対応する重要な領域を有する。
本発明の酵素の変異種を生成するに適したいくつかの方法が、本技術分野で知られており、種々の他の組換え方法と、部位飽和変異誘導(site-saturation mutagenesis)、スキャニング変異誘導(scanning mutagenesis)、挿入的変異誘導(insertional mutagenesis)、無作為変異誘導(random mutagenesis)、部位指定変異誘導(site-directed mutagenesis)、定向進化(directed-evolution)を含む。
野生型及び変異タンパク質の特徴付けはいずれの方法又は、適した「試験」によっても達成され、目的の性質の評価に基づくことが好ましい。例えば、pHと/または温度は、洗剤及び/又は酸化に対する安定性と同様、本発明のいくつかの実施態様で決定される。実際、これらの特性(pH、温度、タンパク質分解安定性、洗剤安定性、及び/または酸化安定性)のうちの1以上において種々の程度の安定性を持つ酵素が使用できると考える。
用語「ポリヌクレオチド」と「核酸」は本明細書で相互に交換して使用され、いずれかの鎖長のヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチド、の重合体をいう。これらの用語は一本鎖、二重鎖、三重鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA-RNAハイブリッド、またはプリンとピリミジン塩基または他の天然の、化学的、生化学的に修飾された、非天然又は誘導体であるヌクレオチド塩基を含む重合体を非限定的に含む。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的例である。:遺伝子、遺伝子断片、染色体断片、EST、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの鎖長の単離されたDNA、いずれかの配列のRNA、核酸プローブ及びプライマー。いくつかの実施態様では、ポリヌクレオチドは修飾されたヌクレオチド、例えば、メチル化されたヌクレオチド、ヌクレオチド類縁体、ウラシル、フルオロリボースとチオエートのような他の糖及び連結基、ヌクレオチドの分岐を含む。別の実施態様では、ヌクレオチドの配列は非-ヌクレオチド成分により中断される。
本明細書で使用される場合、「DNA構造体」と「形質転換DNA」は宿主細胞または生物に配列を導入するために使用されるDNAを指し示すため相互に入れ替えて使用される。このDNAはPCRまたは、本技術分野の技術者に知られているいずれか他の適した技術により生体外で生成されても良い。特に好ましい実施態様では、このDNA構造体は目的に沿った配列を含む(例えば、外来の配列)。いくつかの実施態様では、この配列は調整因子(例.プロモーター等)のような追加の因子に機能的に連結されている。このDNA構造体はさらに選択的マーカーを含んでも良い。これはさらに相同ボックス(homology box)により隣接されている外来の配列を含んでも良い。さらなる実施態様では、形質転換DNAは他の非相同配列を、末端に含む(例.スタッファー配列(stuffer sequences)またはフランクス(flanks))。いくつかの実施態様では、形質転換DNAが閉じた環を形成するように、外来の配列の末端が閉じている。この形質転換配列は野生型、成熟型または修飾されたものでも良い。いくつかの実施態様では、このDNA構造体は宿主細胞の染色体と相同の配列を含む。他の実施態様では、このDNA構造体は非相同の配列を含む。一度DNA構造体が生体外で構成されると、これは1)宿主細胞の好ましい目的配列に異種の配列を挿入する、及び/または2)宿主細胞染色体の領域を変異させる(つまり、異種配列により固有の配列を置き換える)、3)目標遺伝子を欠失させる:及び/または宿主に、複製するプラスミドを導入するために使用できる。
本明細書で使用する場合、用語「発現カセット」と「発現ベクター」は、目的細胞内で特定の核酸の転写をさせる一連の特定の核酸因子を備えた、組換えにまたは合成より作成された核酸構造体をいう。この組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウィルス、または核酸断片に組み入れることができる。通常、発現ベクターの組換え発現カセットは、他の配列の中で、転写を受ける核酸配列及びプロモーターを含む。好ましい実施態様では、発現ベクターは宿主細胞内で異種のDNA断片を組み入れかつ発現する性能を持つ。多くの原核性及び真核性発現ベクターは、市販されている。適した発現ベクターの選択は、本技術分野の技術者の知識の範囲内にある。用語「発現カセット」は、本明細書では、「DNA構造体」、及びそれらの文法的に同等の語と相互に交換して使用できる。適した発現ベクターの選択は、本技術分野の技術者の知識の範囲内にある。
本明細書で使用する場合、用語「ベクター」は核酸を1種以上の細胞に組み入れるように設計されたポリヌクレオチド構造体をいう。ベクターはクローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスチド、カセット等を含む。いくつかの実施態様では、このポリヌクレオチド構造体は適した宿主でDNAを発現させることができる、適したプロ配列(例.分泌性等)に機能的に連結されたプロテアーゼ(例.前駆体または成熟プロテアーゼ)をコードするDNA配列を含む。
本明細書で使用する場合、用語「プラスミド」はクローニングベクターとして使用される環状の二重鎖(ds)DNA構造体をいい、いくつかの真核細胞または原核細胞で染色体外自己複製遺伝因子を形成し、または、宿主染色体に組み入れられる。
細胞に核酸配列を導入についての説明の中で本明細書で使用される場合、用語「導入された」はこの細胞に核酸配列を移すために適したいずれの方法を用いたものをもいう。そのような導入の方法は、プロトプラスト融合、感染、形質転換、接合、及び形質導入を非限定的に含む。(例えばHardwoodら(編)Bacillus Plenum Publishing Corp.,のFerrariら、”Genetics” pages 57-72,1989)
本明細書で使用する場合、「形質転換された」及び「安定に形質転換された」は、そのゲノムに統合された固有でない(異種の)ポリヌクレオチド配列をもつ細胞、または少なくとも2世代維持されるエピソームのプラスミドをいう。
本明細書で使用する場合、用語「選択マーカー-コード化ヌクレオチド配列」は、宿主細胞で発現することができるヌクレオチド配列であって、この選択マーカーの発現は、発現された遺伝子を含む細胞に、対応する選択剤存在下、または必須の栄養素が欠けた条件下で増殖させる性能を与える。
本明細書で使用する場合、用語「選択マーカー」は宿主細胞で発現できる核酸(例.遺伝子)であって、ベクターを包含するこれらの宿主の選択を容易にするものであるものである。このような選択マーカーの例は抗菌剤耐性を非限定的に含む。従って、用語「選択マーカー」は宿細胞が目的の外来のDNAを取り入れ、またはいくつかの他の反応が生じたことの指標を与える遺伝子をいう。通常、選択マーカーは、抗生物質抵抗性または代謝上の優位性を宿主細胞に与え、形質転換操作において外来性の配列を受け入れなかった細胞から外来性のDNAを含む細胞を識別させる。「リザイディング(residing)選択マーカー」は形質転換される微生物の染色体にあるマーカーで、形質転換するDNA構造体の選択マーカーと異なる遺伝子をコードする。選択マーカーは本技術分野の技術者に良く知られている。上記のように、このマーカーは抗生物質耐性のマーカーであることが好ましい。(例.AmpR; phleoR; spec R; kanR; ery R;tet R; cmp R;及びneo R(Guerot-Fleury, Gene ,167:335-337,1995;Palmeros ら、Gene 247:255-264,2000;及びTrieu-Cuotら、Gene, 23:331-341,1983参照)。本発明に従う有用な他のマーカーは、例えば、トリプトファンのような、栄養要求性マーカー、また例えばβ-ガラクトシダーゼのような、検出マーカーを非限定的に含む。
本明細書で使用する場合、用語「プロモーター」は、下流の遺伝子の転写を指示する機能をもつ核酸配列をいう。好ましい実施態様では、このプロモーターは、目標遺伝子が発現されている宿主細胞に適している。このプロモーターは、他の転写及び翻訳調整核酸配列(「調整配列」と呼ばれる)とともに所与の遺伝子を発現するために必要である。一般的に、転写と翻訳調整配列は、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始配列及び停止配列、翻訳配列と停止配列、及びエンハンサー又は活性化配列を非限定的に含む。
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係にあるように配置されている場合、「機能的に連結されている」。例えば、分泌リーダー(つまり、シグナルペプチド)をコードするDNAは、ポリペプチドの分泌に関与する前置タンパク質(preprotein)として発現されるとき、ポリペプチドのDNAと機能的に連結している。プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響するとき、それらはコード配列に機能的に連結している。または、リボゾーム結合部位が翻訳を促すように配置されている場合、コード配列と機能的に連結している。一般的に、「機能的に連結されている」は、連結されているDNA配列が連続していることをいい、分泌リーダーの場合には、連続し、読み取り領域にある。しかし、エンハンサーは連続的である必要はない。連結は便宜な制限部位でリゲーションにより達成される。そのような部位がない場合、合成のオリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが通常の方法に従い使用される。
本明細書で使用する場合、用語「遺伝子」は、ポリペプチドをコードし、各コード部分(エキソン)の間の介在配列(イントロン)とともに、コード領域の前と後ろの領域を含むポリヌクレオチド(例.DNA配列)をいう。
本明細書で使用する場合、「相同遺伝子」は、異なるがしかし普通関連する種由来の一対の遺伝子をいい、これらは互いに対応しかつ互いに同一であるか又は非常に類似するものである。この用語は属での重複(例.パラロガス遺伝子)により分離された遺伝子と、分化(つまり、新種の出現)(オルソロガス遺伝子)により分離された遺伝子を含む。
本明細書で使用する場合、「オルソローグ」と「オルソロガス遺伝子」は、共通の祖先の遺伝子(つまり、相同遺伝子)から分化により進化した異なる種にある遺伝子をいう。通常、オルソローグは進化の過程で同一の機能を保持している。オルソローグの同定は新しく配列決定された遺伝子内で遺伝子の機能の信頼できる予測に使用できる。
本明細書で使用する場合、「パラローグ」と「パラロガス遺伝子」は遺伝子内での重複により関連する遺伝子をいう。オルソローグは、進化の過程を通じて同一の機能を保持するが、パラローグでは、新しい機能(いくつかの機能は元の遺伝子に関連することが多い)を進化させる。パラロガス遺伝子の例は、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼとトロンビンをコードする遺伝子を非限定的に含む。これらは、全てセリンプロテアーゼであり、同一の種の中で共に発生する。
本明細書で使用される場合、「相同性」とは、配列の類似性又は同一性をいい、同一であることが好ましい。この相同性は本技術分野で知られている標準的技術を用いて、決定される。(例えば、Smith and Waterman, Adv Appl Math,2:482,1981; Needleman と Wunsch,J Mol Biol,48:443,1970:Pearson と Lipman, Proc Natl Acad Sci USA, 85:2444,1988; プログラム、例えばWisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA;及びDevereuxら Nucl Acid Res. 12:387-395,1984参照)
本明細書で使用する場合、「類似配列」は、遺伝子の機能がB・アミロリケファシエンスNprEプロテアーゼに基づく遺伝子と本質的に同一であるものである。加えて、類似遺伝子は、B・アミロリケファシエンスNprEプロテアーゼの配列と少なくとも約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は約100%の配列の同一性を含む。別の実施態様では、上記の性質の一より多くはこの配列に当てはまる。類似の配列は、既知の配列の位置合わせ法により決定される。先に、及び後に示すとおり、配列の位置合わせに他の方法も使用できるが、普通に使用できる位置合わせ法はBLASTである。
有用なアルゴリスムの一例はPILEUPである。PILEUPはプログレッシブペアワイスアライメント(progressive, pair-wise alignment)を用いて関連する配列の群から複数の配列の位置合わせを行う。PILEUPはFengとDoolittle(FengとDoolittle、J Mol.Evol,35: 351-360,1987)のプログレッシブアライメント法の単純化を用いる。本法はHigginsとSharpにより述べられたものと類似している(HigginsとSharp、CABIOS 5:151-153,1989)。有用なPILEUPパラメーターは3.00のデフォルトギャップウェイト(default gap weight)、0.10のデフォルトギャップレングスウェイト(default gap length weight)、及びウェイテドエンドギャップ(weighted end gaps)を含む。
有用なアルゴリスムの別の例はBLASTアルゴリズムであり、Altschulらにより述べられている(Altschulら、J Mol. Biol, 215:403-410,1990;及びKarlinら、Proc Natl Acad Sci USA, 90:5873-5787,1993)。特に有用なBLASTプログラムはWU-BLAST-2プログラムである。(Altschulら、Meth Enzymol,266:460-480,1996参照)WU-BLAST-2はいくつかのサーチパラメーターを用いる。それらの殆どは初期値に設定されている。調整可能なパラメーターは、以下の値で設定される。:オーバーラップスパン(overlap span)=1、オーバーラップフラクション(overlap fraction)=0.125、ワードスレショールド(word threshold)(T)=11。HSP SとHSP S2パラメーターは動的な値であり目的の配列がサーチされる対象である特定の配列の組合わせや、特定のデータベースの組合わせに応じてプログラム自身が決定する。しかし、この値は感度を上げるために調整できる。A%アミノ酸配列の同一性値は、一致した同一残基の数を位置合わせされる領域の「長い方」の配列の残基の総数により割って決定される。この「長い方」の配列は、位置合わせされた領域で最大の実際の残基をもつものである(位置合わせスコアを最大化するためWU-Blast-2により導入されたギャップは無視する。)
従って、「パーセント(%)核酸配列同一性」は、原配列(つまり、目的配列)のヌクレオチド残基と同一である、候補配列のヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。好ましい方法は、WU-BLAST-2セットのBLASTNモジュールを初期値に利用し、オーバーラップスパン(overlap span)とオーバーラップフラクションセット(overlap fraction set)をそれぞれ1と0.125にする。
本明細書で使用される場合、用語「ハイブリッド形成」は、本技術分野で知られているように、核酸の鎖が塩基対形成により相補鎖と結合する過程をいう。
核酸配列は、中程度から高度に厳格なハイブリッド形成及び洗浄条件下、2本の配列が互いに特異的にハイブリッド形成する場合には、対照核酸配列と「選択的ハイブリッド形成」できると考えられる。ハイブリッド形成条件は核酸結合複合体又はプローブの融点(Tm)に基づく。例えば、「最大の厳密度」は通常、約Tm-5℃で生じる(プローブのTmより5℃下);「高度な厳密度」はTmの約5-10℃低い温度;「中間的な厳密度」はプローブのTmの約10-20℃低い温度、及び「低い厳密度」はTmの約20-25℃低い温度である。機能的には最大の厳密条件はハイブリッド形成プローブと厳密な同一性またはほぼ厳密な同一性をもつ配列を同定するために使用できる。他方、中間的又は低い厳密性のハイブリッド形成はポリヌクレオチド配列相同体を同定又は検出するため使用できる。
中程度及び高い厳密性のハイブリッド形成条件は、本技術分野で良く知られている。高い厳密性条件の一例は、50%ホルムアミド、5X SSC、5X デンハート溶液、0.5%SDS及び100μg/ml変性キャリアーDNA中で約42℃でのハイブリッド形成、続く室温での2X SSCと0.5% SDS中での2回の洗浄、そして42℃、0.1XSSCと0.5%SDS中での2度の追加の洗浄を含む。中程度の厳密な条件の例は20%ホルムアミド、5xSSC(150mM NaCl、15mMクエン酸3ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート溶液、10%硫酸デキストランと20mg/mlの変性せん断サケ精子DNAを含む溶液中で37℃で一夜保温し、その後、約37-50℃で1xSSC中でフィルターを洗浄することを含む。本技術分野の技術者は、プローブの長さ等のような因子を受け入れるため必要に応じ、温度、イオン強度などを調整する方法を知っている。
本明細書で使用する場合、「組換え体」は、異種の核酸配列の導入により修飾された細胞又はベクター、またはその細胞はそのように修飾された細胞に由来する細胞をさすことを含む。例えば、組換え細胞は、その細胞の天然(非-組換体)の形態に属する同一の形態に見出されない遺伝子を発現し、または、ヒトの介入がなければ非常時に発現される天然の遺伝子を発現する。つまり、ヒトの意図的な介入の結果として、遺伝子は発現されまたは全く発現されない状態にある。「組換え体」、「組換え化」及び「組換えられた」核酸の作成は一般的に、組み合わせがキメラ遺伝子を生ずる2以上の核酸断片の組み合わせである。
好ましい実施態様では、変異DNA配列は少なくとも一つのコドンにおいて位置飽和変異によって作成される。別の好ましい実施態様では、位置飽和変異は2以上のコドンについて行われる。さらに別の実施態様では、変異DNA配列は、野生型配列と約50%より多い、約55%より多い、約60%より多い、約65%より多い、約70%より多い、約75%より多い、約80%より多い、約85%より多い、約90%より多い、約95%より多い、約98%より多い相同性を有する。別の実施態様では、変異DNAは、例えば放射線、ニトロソグアニジン等のいずれか既知の変異誘導法を用いて生体内で生成される。好ましいDNA配列は次に単離され、本明細書に記載された方法で単離され、使用される。
本明細書で使用する場合、用語「目的配列」は、外来配列が宿主細胞遺伝子へ挿入されることが望ましい場合に、その配列をコードする宿主細胞内のDNA配列をいう。いくつかの実施態様では、目的配列は機能性野生型遺伝子又はオペロンをコードしているが、他の実施態様では、この目的配列は機能性変異遺伝子またはオペロン、または非機能性遺伝子またはオペロンをコードしている。
本明細書で使用する場合、「フランキング配列」は問題の配列(例.遺伝子A-B-Cについて、遺伝子BはAとC遺伝子配列により挟まれている)の上流または下流にあるいずれの配列もいう。好ましい実施態様では、外来配列はそれぞれの端で相同ボックスにより隣接されている。別の実施態様では、外来配列と相同ボックスは各末端にスタッファー配列(stuffer sequence)により隣接されている構造単位を含む。いくつかの実施態様ではこの隣接する配列は片側のみにあるが(3’または5’)、好ましい実施態様では、これは隣接されている配列の両側にある。
本明細書で使用する場合、用語「スタッファー配列」は相同ボックス(通常は、ベクター配列)に隣接するいずれかの余分なDNAをいう。しかし、この用語はいずれの非相同DNA配列も含まない。理論により制限される訳ではないが、スタッファー配列は、細胞がDNAの取り込みを始めるための、決定的に重要とはいえない目標を提供している。
本明細書で使用する場合、用語「増幅」と「遺伝子増幅」は、増幅された遺伝子がゲノムに当初存在したよりも多くのコピー数で含まれるように、特定のDNA配列が不均一に複製される過程をいう。いくつかの実施態様では、医薬品(阻害される酵素の阻害剤)の存在下での増殖による細胞の選別は、その医薬品の存在下で増殖に必要とされる遺伝子産生物をコードする内因性遺伝子の増幅、又はこの遺伝子産生物をコードする外来(つまり、外から追加したもの)配列の増幅、又は両者の増幅に至る。
「増幅」は鋳型特異性を含む核酸複製の特別な場合である。これは非特異的鋳型複製(つまり、鋳型依存性であるが、しかし特定の鋳型に依存する訳ではない複製)と対照的である。鋳型特異性は、ここでは、複製のフィデリティー(つまり、適当なポリヌクレオチド配列の合成)と、ヌクレオチド(リボ-またはデオキシリボ)特異性から区別される。鋳型特異性は、「目標」特異性という用語で述べられることが多い。目標配列は、それらが他の核酸から選別されることが求められる意味において「目標」である。増幅技術は主にこの選別のために設計される。
本明細書で使用する場合、用語「共増幅」は他の遺伝子配列(つまり、発現ベクターに含まれるもののような1以上の非選択遺伝子を含むこと)とともに増幅可能マーカーを単一細胞へ導入することと、その細胞が増幅可能なマーカーと他の非選択遺伝子配列の両者を増幅するように適当な選択圧力を加えることをいう。この増幅可能なマーカーは他の遺伝子配列に物理的に連結しても良く、または、2個の別のDNA片(一つは増幅可能マーカーを含み、他は非選択マーカーを含む)が同一の細胞に導入されても良い。
本明細書で使用する場合、「増幅可能マーカー」「増幅可能遺伝子」及び「増幅ベクター」は、適当な増殖条件下でその遺伝子の増幅を可能にする遺伝子または遺伝子をコードするベクターをいう。
「鋳型特異性」は酵素の選択により殆どの増幅技術で達成される。増幅酵素は、使用条件において、核酸中の異なる種の混合体の中で特定の配列の核酸のみを処理する酵素である。例えば、Qβレプリカーゼの場合、MDV-1 RNAがこのレプリカーゼに特異的な鋳型であり(例えば、Kacianら、Proc Natl Acad Sci USA 69:3038,1972参照)、他の核酸はこの増幅酵素により複製されない。同様に、T7RNAポリメラーゼの場合、この増幅酵素は自らのプロモーターに高度の特異性をもつ(Chamberlinら、Nature 228:227,1970参照)。T4DNAリガーゼの場合、この酵素は、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド基質と鋳型の間で結合位置に不整合がある場合、この2本のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを結合しない(WuとWallace, Genomics 4:560,1989参照)。最後に、TaqとPfuポリメラーゼは、高温で機能する性能のため、結合された配列、つまりプライマーで決められた配列に高い特異性を示すことが見出されている。この高温は目標配列とプライマーのハイブリッド形成を有利にし、目標でない配列とはハイブリッド形成しない熱力学的条件となる。
本明細書で使用する場合、用語「増幅可能な核酸」は核酸をいい、いずれかの増幅方法により増幅される。「増幅可能な核酸」は普通、「サンプル鋳型」を含むと考えられている。
本明細書で使用する場合、用語「サンプル鋳型」はサンプルに由来する核酸をいい、これは「目標」(下記で定義される)の存在の有無について分析される。対照的に「バックグラウンド鋳型」はサンプル鋳型以外の核酸をいい、サンプルに存在することも存在しないこともある。バックグラウンド鋳型は偶然であることが非常に多い。これは前回の持ち越しの結果であり、また、サンプルから精製除去されるべき核酸汚染物質の存在による。例えば、検出されるべき核酸以外の、生物由来の核酸は試験サンプル中でバックグラウンドとして含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「プライマー」は、オリグヌクレオチドで(精製された制限酵素により切断される場合のように自然に作成される場合又は合成的に作成される場合も含む)、核酸鎖に相補的であるプライマーの伸長鎖の合成が誘導される条件下(つまり、ヌクレオチドと、DNAポリメラーゼのような誘導剤と適温と適当なpHの存在下)におかれた場合、合成の開始点として働くことができるものである。このプライマーは増幅において最大の効率を求める場合一本鎖が望ましい。しかし、そうでなければ、二重鎖でも良い。二重鎖である場合、このプライマーは、最初に、伸長産生物を調製するため使用される前にその鎖を分離するため処理される。好ましくは、このプライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。このプライマーは誘導剤の存在下、伸長産生物の合成を開始するために十分長くなければならない。このプライマーの正確な長さは、温度、プライマーの起源、及び使用する方法等の多くの因子により決定される。
本明細書で使用される場合、用語「プローブ」はオリゴヌクレオチド(つまり、ヌクレオチドの配列)で、精製された制限酵素により切断される場合のように自然的経路により生じる場合、または合成により、遺伝子組み換えにより、またはPCR増幅により作成される場合があり、目的の別のオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成できるものをいう。プローブは一本鎖または二本鎖でも良い。プローブは特定の遺伝子配列の検出、同定及び単離に有用である。本発明で使用されるいずれのプローブもいずれかの「レポーター分子」で標識され、その結果、酵素(例.ELISA、及び酵素に基づく組織化学的定量)、蛍光、放射活性、及び発光系を非限定的に含むいずれの検出システムでも検出できる。本発明はいずれか特定の検出系または標識に限定することは意図していない。
本明細書で使用される場合、用語「目標」は、ポリメラーゼ連鎖反応について使用される場合、ポリメラーゼ連鎖反応に使用されるプライマーにより結合された核酸領域をいう。よって、この「目標」は他の核酸配列から選別されることが求められる。「セグメント」は目標配列内の核酸の領域として定義される。
本明細書で使用される場合、用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(“PCR”)は、米国特許番号第4,683,195号、第4,683,202号、第4,965,188号(引用により組み入れる。)の方法をいう。これらは、クローニング又は精製せずにゲノムDNAの混合物において目標配列のセグメントの濃度を高くする方法を含む。この目標配列を増幅するこの方法は、好ましい目標配列を含むDNA混合物に大過剰の2本のオリゴヌクレオチドプライマーの導入と、その後のDNAポリメラーゼの存在下、熱的サイクルの正確な繰り返しからなる。この2本のプライマーは二重鎖の目標配列のそれぞれの鎖に相補的である。増幅を行うため、この混合体は変性され、プライマーは次に目標分子内のその相補的配列にアニーリングする。アニーリングの後、このプライマーは新しい相補鎖の対を形成するためポリメラーゼにより伸長される。変性、プライマーのアニーリング及びポリメラーゼによる伸長の段階を多数回(つまり、変性、アニーリング、及び伸長反応が1「サイクル」を形成する。;多数の「サイクル」を繰り返すことができる。)繰り返され、所望の目標配列の増幅されたセグメントを高い濃度で得ることが出来る。所望の目標配列の増幅されたセグメントの長さはプライマーの相互の相対的位置により決定され、そのため、この長さは調整可能なパラメーターである。この過程を繰り返すことから、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」といわれる(以後「PCR」という)。目標配列の所望の増幅されたセグメントが混合物の中で主な配列(濃度において)となるので、これらは「PCR増幅体」といわれる。
本明細書で使用される場合、用語「増幅剤」はプライマー、核酸鋳型及び増幅酵素以外の増幅に必要な試薬(デオキシリボヌクレオチド3リン酸、緩衝液等)をいう。通常、他の反応成分と共に増幅剤は加えられ、反応器(試験管、マイクロウェル等)に含まれる。
PCRにより、ゲノムDNA中の特定の目標配列の単一のコピーをいくつかの異なる方法論(例.標識されたプローブによるハイブリッド形成;ビオチン化されたプライマーの導入とその後のアビジン酵素と共役した検出、dCTPまたはdATPのような32P-標識デオキシヌクレオチド3リン酸の増幅したセグメントへの導入)により検出可能な水準まで増幅することが可能である。ゲノムのDNAに加えて、いずれかのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列は適当な組のプライマー分子により増幅できる。特に、PCR法それ自身により作成された増幅されたセグメントは、それ自体、その後のPCR増幅の効率的な鋳型である。
本明細書で使用する場合、用語「PCR生産物」「PCRフラグメント」及び「増幅生産物」は変性、アニーリング、伸長のPCR段階の2回又はそれ以上のサイクルが終了後の、結果物である化合物の混合物をいう。これらの用語は1以上の目標配列の1以上のセグメントが増幅される場合を含む。
本明細書で使用する場合、用語「RT-PCR」は、RNA配列の複製と増幅をいう。この方法では、逆転写はPCRと組み合わされ、熱的に安定なポリメラーゼが使用される1酵素法が使用されることが最も多い。これは米国特許第5,322,770号で述べられているとおりであり、引用により本明細書に組み入れられる。RT-PCRでは、RNA鋳型はポリメラーゼの逆転写活性によりcDNAに転換され、その後、ポリメラーゼの重合活性を用いて増幅される。(つまり、他のPCR法のように)
本明細書で使用する場合、用語「制限エンドヌクレアーゼ」と「制限酵素」は細菌酵素をいい、これらのそれぞれは、特定のヌクレオチド配列でまたは近傍で二重鎖のDNAを切断する。
「制限部位」は、所与の制限エンドヌクレアーゼにより認識され、切断されるヌクレオチド配列をいい、DNAフラグメントの挿入の部位であることが多い。本発明のある実施態様では、制限部位は選択マーカーの中及びDNA構造体の5’及び3’末端に入れられるように操作される。
本明細書で使用される場合、用語「染色体への組み入れ」は、外来の配列が宿主細胞の染色体へ導入される方法をいう。形質転換化DNAの相同領域は染色体の相同領域と合わせられる。続いてこの相同ボックスの間にある配列は2度の組換え(つまり、相同の組換え)において外来配列により置き換えられる。本発明のいくつかの実施態様では、DNA構造体の不活性化染色体セグメントの相同部分は、バチルス染色体の固有の染色体領域の隣接する相同領域と合わせられる。続いて、固有の染色体領域は2度の組換え(つまり、相同の組換え)によりDNA構造体により欠失される。
「相同的組換え」は同一または、ほぼ同一のヌクレオチド配列の部位において2個のDNA分子又は一対の染色体の間でDNAフラグメントを交換することをいう。好ましい実施態様では染色体の組み入れは相同的組換えである。
「相同配列」は本明細書で使用される場合、比較のため最適に合わされたときに別の核酸またはポリペプチド配列と約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約88%、約85%、約80%、約75%、または約70%の配列の同一性をもつ核酸またはポリペプチド配列をいう。いくつかの実施態様では、相同配列は約85%と約100%の間の同一性を有し、一方、他の実施態様では、約90%と約100%の間の配列の同一性があり、さらに好ましい実施態様では、約95%と約100%の配列の同一性がある。
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」はペプチドまたはタンパク質の配列またはその一部をいう。用語「タンパク質」「ペプチド」及び「ポリペプチド」は相互に入れ替えて使用される。
本明細書で使用する場合、用語「異種タンパク質」は宿主細胞で自然に生じないタンパク質またはポリペプチドをいう。異種タンパク質の例はプロテアーゼを含む加水分解酵素のような酵素を含む。いくつかの実施態様では、タンパク質をコードする遺伝子は自然に生じる遺伝子であり、他の実施態様では、成熟及び/または合成遺伝子が使用される。
本明細書で使用する場合、「相同タンパク質」は細胞中に固有にまたは天然に生じるタンパク質またはポリペプチドをいう。好ましい実施態様では、この細胞はグラム陽性細胞であり、特に好ましい実施態様では、細胞はバチルス宿主細胞である。別の実施態様では、相同タンパク質はE・コリ、ストレプトマイセス属、トリコデルマ属及びアスペルギルス属を非限定的に含むその他の生物により産生される固有のタンパク質である。
本明細書で使用される場合、「オペロン領域」は共通のプロモーターから単一の転写単位として転写される一群の連続する遺伝子を含み、それにより同時に調整を受ける領域である。いくつかの実施態様では、このオペロンは調節遺伝子を含む。最も好ましい実施態様では、RNAレベルで測定された場合に高度に発現され、しかし未知または不必要な機能をもたないオペロンが使用される。
本明細書で使用される場合、「抗菌領域」は、抗菌性タンパク質をコードする少なくとも1個の遺伝子を含む領域である。
ポリヌクレオチドは、その天然の状態で、または本技術分野の技術者に知られている方法により操作を受けたとき、これが転写され及び/または翻訳されRNA、ポリヌクレオチドまたはその断片を生成する場合、RNAまたはポリペプチドを「コード」するといわれる。そのような核酸のアンチセンス鎖もまたこの配列をコードするといわれる。
本技術分野で知られている場合、DNAはRNAポリメラーゼにより転写されRNAを産生する。しかしRNAは逆転写酵素により逆転写され得DNAを産生する。従って、DNAはRNAをコードでき、また逆も成り立つ。
用語「調整セグメント」または「調整配列」または「発現調整配列」はコードされたアミノ酸配列の発現を行うために、ポリペプチド鎖のアミノ酸配列をコードするDNAのポリヌクレオチド配列と機能的に連結しているDNAのポリヌクレオチド配列をいう。調整配列はアミノ酸をコードする、機能的に連結されたポリペプチド配列の発現を阻害し、抑制し、または促進できる。
「宿主株」または「宿主細胞」は本発明のDNAを含む発現ベクターに適した宿主をいう。
酵素が、対応する野生型細胞において発現される水準よりも高い水準で細胞中で発現されるとき、この酵素はこの宿主細胞で「過剰発現」されている。用語「タンパク質」と「ポリペプチド」は本明細書で相互に交換して使用される。生化学的命名法に関するIUPAC-IUB共同委員会(IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature)(JCBN)に従い決められたアミノ酸の3文字コードはこの開示で使用される。ポリペプチドは遺伝子コードの縮重により1以上のヌクレオチド配列によりコードできることも理解される。
「前置配列」は、プロテアーゼの分泌に必要なシグナル配列と成熟プロテアーゼの間のアミノ酸配列である。この前置配列の開裂により成熟した活性プロテアーゼとなる。
用語「シグナル配列」または「シグナルペプチド」は、本タンパク質の成熟または前駆体の分泌に関与するヌクレオチド及び/またはアミノ酸のいずれかの配列をいう。シグナル配列のこの定義は機能的な定義であり、タンパク質の分泌の実施に関与する、タンパク質遺伝子のN-末端部までコードされる全てのアミノ酸配列を含むことにしている。これらはタンパク質のN-末端部分、または前駆体タンパク質のN-末端部分に結合することが、全ての場合ではないが、多い。このシグナル配列は内因性または外来性でも良い。このシグナル配列は、タンパク質(例.プロテアーゼ)と正常に組み合わされても良く、または別の分泌されるタンパク質をコードする遺伝子由来でも良い。外来のシグナル配列の一例は、バチルス・スブチリススブチリシン由来のシグナル配列の最初の7個のアミノ酸残基を含むものであって、バシルス・レンツス(ATCC 21536)由来のスブチリシンのシグナル配列の以外の部分と結合しているものである。
用語「ハイブリッドシグナル配列」は、シグナル配列の一部が発現宿主由来であり、これが発現を受ける遺伝子のシグナル配列と結合しているシグナル配列をいう。いくつかの実施態様では、合成配列が使用される。
用語、タンパク質またはペプチドの「成熟」型はタンパク質またはペプチドの最終的な機能型をいう。例を挙げれば、本発明のNprEプロテアーゼの成熟型は少なくとも、SEQIDNO:3のアミノ酸配列を含む。
用語タンパク質またはペプチドの「前駆体」型は、タンパク質の成熟型で、このタンパク質のアミノ基またはカルボニル基末端に機能的に連結された前置配列を持つものをいう。この前駆体はまた、この前置配列のアミノ基末端に機能的に連結された「シグナル」配列をもってもよい。この前駆体はまた、翻訳後の活性に関連する追加のポリヌクレオチドも、もっても良い(例.タンパク質またはペプチドの成熟型から切断されて、タンパク質またはポリペプチドの成熟型を残すポリヌクレオチド)
「天然に生じる酵素」は自然に見出されるものと同一の非修飾のアミノ酸配列をもつ酵素をいう。天然に生じる酵素は固有の酵素を含み、これらの酵素は特定の微生物で自然に発現されるかまたは見出される。
用語「・・に由来の」及び「・・から得られる」は、問題の生物株により産生されまたは産生され得るプロテアーゼだけでなく、そのような株から単離されたDNA配列によりコードされた、またそのようなDNA配列を含む宿主生物で産生されるプロテアーゼをいう。加えて、この用語は、合成及び/またはcDNA起源であって、問題のプロテアーゼの特徴を特定するDNA配列によりコードされているプロテアーゼをいう。例を挙げれば、「バチルス属の種由来のプロテアーゼ」は、バチルス属の種により天然に産生されるタンパク質分解活性をもつ酵素及び、バチルス属の種由来の遺伝子により産生されるものであるが、遺伝子工学技術により、中性メタロプロテアーゼをコードする核酸により形質転換されたバシルス・アミロリケファシエンス以外により産生されるもののような前記中性のメタロプロテアーゼもいう。
本定義の範囲内の「誘導体」とは、一般的にこの誘導体が野生型、天然型または親型と類似の目的のために有用である程度まで、野生型、天然型または親型で観察される特徴的なタンパク質分解活性を保持している。中性メタロプロテアーゼの機能的な誘導体は、本発明の中性メタロプロテアーゼの一般的特徴を有する、天然に生じる、合成されるまたは組換えにより産生されるペプチドまたはペプチド断片を含む。
用語「機能的誘導体」は中性メタロプロテアーゼをコードする核酸の機能的特徴を有する核酸の誘導体をいう。本発明の中性メタロプロテアーゼをコードする、核酸の機能的誘導体は天然に生じる、合成されるまたは組み換えにより作成される核酸または断片を含み、本発明に特徴的な中性メタロプロテアーゼをコードする。本発明による中性メタロプロテアーゼをコードする野生型の核酸は、本技術分野で知られている遺伝子コードの縮重に基づき天然に生じる対立遺伝子と相同体を含む。
2個の核酸またはポリペプチド配列について用語「同一」とは、以下の配列比較又は分析アルゴリズムの一つを用いて評価した場合に最大の対応があるように位置合わせされたときの2個の配列における同一の残基をいう。
用語「最適の位置合わせ」は最高のパーセントの同一性スコアを与える位置合わせをいう。
2個のアミノ酸、ポリヌクレオチド、及び/または遺伝子配列(適当な場合)に関し「パーセント遺伝子配列同一性」及び/または「パーセント核酸/ポリヌクレオチド配列同一性」は、この配列が最適に位置合わせされたとき2個の配列において同一である残基のパーセンテージをいう。従って、「80%同一のアミノ酸配列」は2個の最適に位置合わせされたポリペプチド配列において80%のアミノ酸が同一であることを意味する。
2個の核酸またはポリペプチドについて「実質的に同一」とは、標準的なパラメーターを使用したときプログラムまたはアルゴリズム(例.BLAST,ALIGN,CLUSTAL)を使用して標準配列と比較されたとき少なくとも約70%の配列同一性、好ましくは少なくとも約75%の配列同一性、好ましくは少なくとも約80%の、好ましくは少なくとも約85%の、好ましくは少なくとも約90%の、好ましくは少なくとも約95%の、好ましくは少なくとも約97%の、好ましくは少なくとも約98%の、好ましくは少なくとも約99%の配列の同一性をいう。2個のポリペプチドが実質的に同一である指標は第1のポリペプチドが免疫学的に第2のポリペプチドと交差反応することである。通常、保存的アミノ酸置換により異なるポリペプチドは、免疫学的に交差反応する。つまり、例えば、2個のポリペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合は、ポリペプチドは第2のポリペプチドと実質的に同一である。2個の核酸配列が実質的に同一である別の指標は、厳密な条件(例.中程度から高い厳密性の範囲内)で2分子が互いにハイブリッド形成することである。
用語「単離された」または「精製された」は元の環境(例.それが天然に生じる場合には自然的環境)から取り出された物質をいう。例えば、天然の又は野生型の生物に存在するより高いまたは低い濃度で、または天然のまたは野生型の生物から発現するとき正常では存在しない成分と組み合わされて、特定の組成物に存在するとき、その物質は「精製された」といわれる。例えば、生きた動物に存在する天然のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていない。しかし、同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、天然の系に共存する物質のいくつか又は全てから分離された場合は、単離されている。そのようなポリヌクレオチドはベクターの一部、及び/またはそのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であり得る。しかしポリヌクレオチドは、そのようなベクターまたは組成物は天然の環境の一部ではない点で単離されている。例えば、好ましい実施態様では、電気泳動ゲルで本質的に一本のバンドまたはブロットを生じるとき、核酸または組成物は精製されているといえる。
用語「単離された」は、DNA配列について使用される場合、その天然の環境から取り出され、そのため他の無関係の、または必要としないコード配列を含まないDNA配列であり、遺伝学的に操作されたタンパク質産生系内での使用に適した形態にあるものをいう。そのような単離された分子はその天然環境から分離された分子であり、cDNAと遺伝子クローンを含む。本発明の単離されたDNAは、DNA分子が普通に組み合わされている他の遺伝子を含まず、しかし、プロモーター及びターミネーターのような、天然の5’及び3’の非翻訳領域を含んでも良い。組み合わされた領域の同定は本技術分野の通常の技術者には自明である。(例.DynanとTijan,Nature 316, 774-78,1985)用語「単離されたDNA配列」は、別に、「クローンされたDNA配列」と呼ばれる。
用語「単離された」は、タンパク質について使用される場合、自然の環境以外の条件で見出されるタンパク質をいう。好ましい形態では、この単離されたタンパク質は他のタンパク質、特に他の相同タンパク質を実質的に含まない。単離されたタンパク質は、SDS-PAGEで測定されたとき、約10%より純度が高く、好ましくは、約20%よりも純度が高く、より好ましくは、約30%よりも純度が高い。本発明の別の面は、SDS-PAGEにより測定した場合、高度に精製された形態のタンパク質(つまり、約40%よりも純度が高い、約60%よりも純度が高い、約80%よりも純度が高い、約90%よりも純度が高い、約95%よりも純度が高い、約97%よりも純度が高い、約99%よりすら高い)を含む。
以下のカセット変異誘発法は、本発明の酵素変異種の構築を促すため使用され得るが、他の方法を使用しても良い。最初に、本明細書に記載されているように、この酵素をコードする天然に生じた遺伝子を入手し、全体または一部が配列決定される。次に、この配列は、コードされた酵素中の1以上のアミノ酸の変異(欠失、挿入または置換)を誘導することを意図する位置について詳しく調べられる。この点に隣接する配列は、発現させる種々の変異をコードするオリゴヌクレオチドのプールにより、遺伝子の短いセグメントを置き換えるための、制限部位の有無について調べられる。そのような制限部位は、その遺伝子セグメントの置換を容易にするためタンパク質遺伝子内の特有の部位であることが望ましい。しかし、制限部位の切断により生じた遺伝子断片が適当な配列に再構築される場合、この酵素遺伝子内で過剰に存在するのではない便利な制限部位が使用できる。もし制限部位が選択された点から都合の良い距離(10から15ヌクレオチド)にない場合、そのような部位は、リーディングフレーム(reading frame)または、コードされたアミノ酸も最終の構造で変わらないようにその遺伝子内でヌクレオチチドを置換することにより作成される。望む配列に適合するようにその配列を変更するための遺伝子の変異は、一般的に知られている方法に従いM13プライマーの伸長により達成される。適した隣接領域を特定し、2個の都合の良い制限部位の配列を得るための必要な変更を評価する操作は、多くの遺伝子コード、この遺伝子の制限部位のマップ及び多くの異なる制限部位により普通に行われるようになっている。1個の都合の良い隣接する制限部位が利用できるときは、上記の方法は、制限部位を含まない隣接領域とのみ関連して、使用される必要であることに留意すべきである。
天然に存在するDNA及び/または合成DNAがクローンされると、変異を受ける位置に隣接する制限部位は、それに特有の制限酵素により切断され、複数の末端が相補的になっているオリゴヌクレオチドカセットがこの遺伝子に結合される。オリゴヌクレオチオドの全てが同一の制限部位をもつように合成でき、合成リンカーがこの制限部位を作成するために必要ではないので、この変異誘発は本法により単純になっている。
本明細書で使用する場合、「相当する」とは、タンパク質またはペプチドの列挙した位置にある残基、またはタンパク質またはペプチドの列挙された残基と類似、相同、または同等である残基についていう。
本明細書で使用する場合、「相当する領域」は、一般に、関連するタンパク質または親タンパク質の類似する位置をいう。
本明細書で使用する場合、用語「コンビナトリアル(combinatorial)変異誘発」は、原配列の変異体のライブラリーを作成する方法をいう。これらのライブラリーでは、この変異種は予め定めたセットの変異から選ばれた1または数個の変異を含む。加えて、本法は、予定した変異のセットには属さない、無作為の変異を導入する手段を与える。いくつかの実施態様では、本法は2000年10月26日に出願された米国出願第09/699,250に述べられたものを含み、引用により本明細書に組み入れる。別の実施態様では、コンビナトリアル変異誘発法は市販のキットを用いる(例QUIKCHANGE(登録商標)Multisite, Stratagene, San Diego,CA)。
本明細書で使用する場合、用語「変異種のライブラリー」はその遺伝子の大部分において同一であリ、しかし1以上の遺伝子で異なる相同体を含む細胞の集団をいう。そのようなライブラリーは、例えば、改善された特徴を有する遺伝子又はオペロンを同定するために使用できる。
本明細書で使用する場合、用語「原遺伝子」及び「親遺伝子」は、本発明を用いて改善及び/または変更される目的タンパク質をコードする目的遺伝子をいう。
本明細書で使用する場合、用語「多数配列の位置合わせ」と「MSA」は、アルゴリズム(例.Clustal W)を使用して位置合わせされた原遺伝子の多数の相同体の配列をいう。
本明細書で使用する場合、用語「コンセンサス配列」と「標準配列」は、目的である特定のタンパク質または配列の全ての変異種との比較の対象になる原型のアミノ酸配列をいう。この用語は目的のDNA配列に最も多く存在するヌクレオチドを表す配列もさす。遺伝子の各位置について、このコンセンサス配列は、MSAのその位置で最も多く現れるアミノ酸を与える。
本明細書で使用する場合、用語「コンセンサス変異」は原遺伝子の配列とコンセンサス配列の違いをいう。コンセンサス変異は原遺伝子の配列とMSAから得られるコンセンサス配列を比較することにより同定される。いくつかの実施態様では、コンセンサス変異は、原配列がコンセンサス配列により近づくように原配列に導入される。コンセンサス変異は、また、原配列にあるアミノ酸の出現頻度に関し、原遺伝子のアミノ酸をその位置でMSAにある、より高い頻度で見いだされるアミノ酸に変えるアミノ酸の変更も含む。従って、用語コンセンサス変異は、MSAにある、そのアミノ酸よりもより頻繁に現れるアミノ酸により原遺伝子のアミノ酸を置き換える全ての一個のアミノ酸の変更を含む。
用語「修飾された配列」と「修飾された遺伝子」は、本明細書では、天然に生じる核酸配列の欠失、挿入又は中断を含む配列をいうために相互に入れ替えて使用される。いくつかの好ましい実施態様では、修飾された配列の発現産生物は短縮されたタンパク質である(例.修飾が配列の欠失または中断である場合)。いくつかの特に好ましい実施態様では、短縮されたタンパク質は生物学的活性を保持している。別の実施態様では、この修飾された配列の発現生成物は、延長されたタンパク質である。(例.核酸配列への挿入を含む修飾)。いくつかの実施態様では、挿入は短縮されたタンパク質を生ずる。(例.挿入が停止コドンの形成になるとき)。従って、挿入は、発現生成物として短縮されたタンパク質又は延長されたタンパク質にもなりうる。
本明細書で使用される場合、用語「変異配列」と「変異遺伝子」は相互に入れ替えて使用され、宿主細胞の野生型配列に生じる、少なくとも1コドンに変更がある配列をいう。この変異配列の発現生成物は野生型と比べて変異したアミノ酸配列を有するタンパク質である。この発現生成物は性能が変わることがある(例.酵素活性の向上)
用語「変異プライマー」または「変異オリゴヌクレオチド」(本明細書では相互に入れ替えて使用される)は、鋳型配列の一部に相当し、これにハイブリッド形成できるオリゴヌクレオチド組成物をいうことを意図している。変異プライマーに関し、このプライマーは、鋳型核酸に正確には適合せず、このプライマーにおける不適合は核酸ライブラリーヘ所望の変異を導入するために使用される。本明細書で使用する場合、「非変異プライマー」または「非変異オリゴヌクレオチド」は、鋳型核酸に正確に適合するオリゴヌクレオチド組成物をいう。本発明の一実施態様では、変異プライマーのみが使用される。本発明の別の好ましい実施態様では、このプライマーは、変異プライマーが導入される少なくとも一つの領域に対してデザインされるが、オリゴヌクレオチド混合物には、非変異プライマーも含まれる。変異プライマーと変異プライマーの少なくとも1つに対応する非変異プライマーの混合物を加えることにより、種々のコンビナトリアル変異パターンを含む核酸ライブラリーを作成することが可能である。例えば、変異核酸ライブラリーのメンバーのいくつかはある位置で親配列を保持し、一方、他のメンバーはその部位で変異を有していることを望む場合、非変異プライマーにより、所与の残基について核酸ライブラリー内に特定量の非変異メンバーを得ることができる。本発明の方法は、一般に、長さが10-50塩基、より好ましくは約15-45塩基である変異及び非変異オリゴヌクレオチドを用いる。しかし、希望する変異を得るためには、10塩基より短いかまたは50塩基より長いプライマーを使用することが必要かもしれない。対応する変異プライマー及び非変異プライマーに関し、対応するオリゴヌクレオチドが同一の長さである必要はなく、加える変異に対応する領域を共に有していることのみで良い。
プライマーは、本発明に従い予め定めた比率で加えられる。例えば、得られるライブラリーが、同一または異なる位置に相当量のある特定の変異とそれより少ない量の異なる変異を有することを望む場合、加えるプライマーの量を調整することにより、好ましい偏りのあるライブラリーを作成することが可能である。または、より少ない量の又は多くの量の非変異プライマーを加えることにより、変異核酸ライブラリー内に対応する変異が作成される頻度を調整することが可能である。
宿主細胞に固有の又は天然に生じる配列をさすため、用語「野生型配列」または「野生型遺伝子」は本明細書で相互に入れ替えて使用される。いくつかの実施態様では、野生型配列は、タンパク質工学の計画の出発点である目的配列である。この野生型配列は相同又は異種タンパク質をコードしても良い。相同タンパク質は、宿主細胞がヒトの干渉を受けない場合には、産生するであろうタンパク質である。異種タンパク質は、宿主細胞がヒトの干渉なしには産生しないであろうタンパク質である。
用語「酸化に安定な」とは、本発明の、タンパク質分解的な、加水分解的な洗浄または他の処理の間に現れる条件下(例えば、漂白剤又は酸化剤に晒され又は接触する際)、所与の時間にわたり特定の水準の酵素活性を保持する、本発明のプロテアーゼについていう。いくつかの実施態様では、本プロテアーゼは、例えば、少なくとも1分、3分、5分、8分、12分、16分、20分等、所与の時間、漂白剤または酸化剤と接触した後、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%タンパク質分解活性を保持する。
用語「キレート剤に安定な」とは、本発明の、タンパク質分解的な、加水分解的な洗浄または他の処理の間に現れる条件下(例えば、キレート剤に晒される又は接触する際)、所与の時間にわたり特定の水準の酵素活性を保持する、本発明のプロテアーゼについていう。いくつかの実施態様では、このプロテアーゼは、キレート剤と例えば、少なくとも10分、20分、40分、60分、100分間等所与の時間接触後、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%タンパク質分解活性を保持する。
用語「熱的に安定な」は、本発明の、タンパク質分解的な、加水分解的な洗浄または他の処理の間に現れる条件下(例えば、変化した温度に晒される際)、所与の時間にわたり特定の温度に晒された後、特定の水準の酵素活性を保持する、本発明のプロテアーゼについていう。変化した温度は、上昇又は低下した温度を含む。いくつかの実施態様では、本プロテアーゼは、例えば、少なくとも60分間、120分間、180分間、240分間、300分間等、所与の時間にわたり変化した温度に晒された後、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%のタンパク質分解活性を保持する。
本明細書で使用される場合、用語「化学的に安定な」とは、タンパク質の活性に悪影響を及ぼす化学物質に対するそのタンパク質(例.酵素)の安定性をいう。いくつかの実施態様では、このような化学物質は過酸化水素、過酸、アニオン性洗剤、カチオン性洗剤、非イオン性洗剤、キレート剤等を非限定的に含む。しかし、本発明が、いずれかの特定の化学的安定性の水準または、化学的安定性の範囲に限定されることは意図されていない。特に、用語「洗剤安定性」と「LAS安定性」は、本発明のタンパク質分解的、加水分解的洗浄又は他の処理の間に現れる条件下、所与の時間、洗剤組成物に晒された後に、特定水準の酵素活性を保持する、本発明のプロテアーゼをいう。いくつかの実施態様では、本プロテアーゼは、例えば、少なくとも60分、120分、180分、240分、300分等、所与の時間、洗剤に晒された後、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%タンパク質分解活性を保持する。
酸化、キレート剤、熱的及び/又はpHに安定なプロテアーゼについて、用語「向上した安定性」は、他の中性メタロプロテアーゼ及び/または野生型酵素と比較したとき、経時的に高く保持されたタンパク質分解活性をいう。
酸化、キレート剤、熱的及び/又はpHに安定なプロテアーゼについて、用語「低下した安定性」は、他の中性メタロプロテアーゼ及び/又は野生型酵素と比較したとき経時的に低くタンパク質分解活性が保持されていることをいう。
本明細書で使用する場合、用語「洗浄剤組成物」は、別途示されているのでない場合には、顆粒または粉末状全用途用、又は「重質」洗浄剤を含み、特に洗浄洗剤;液体、ゲルまたは糊状全用途用洗剤、特に、いわゆる、重質液体タイプ;液体の繊細な布地用洗剤;手洗い用皿洗い用洗剤または軽質皿洗い用洗剤、特に高い泡立ちのタイプ;種々の錠剤型の、顆粒の、液体の、及び家庭用、事業用の濯ぎが簡易なタイプ等の皿洗い機用洗剤;抗菌性手洗いタイプ、洗浄棒、口腔洗浄剤、義歯洗浄剤、自動車又はカーペット洗浄剤、風呂場用洗剤等の液体洗浄・消毒剤;髪のシャンプーと髪のリンス;シャワー用ゲルとフォームバス(foam bath)と金属洗剤;また漂白添加剤と「ステイン-スティック(stain-stick)」またはプレトリートタイプ(pre-treat type)のような洗浄補助製品を含む。
別に記載がある場合を除き、全ての成分または組成物の量はその成分または組成物の活性な量をいい、購入品に含まれているかもしれない不純物、例えば、残留溶媒または副生物は含まない。
酵素成分の重量は全活性タンパク質に基づく。全てのパーセンテージと比率は、別に記載がある場合を除き、重量により計算される。全てのパーセンテージと比率は、別に記載がある場合を除き、全組成物に基づいて計算される。
用語「洗浄活性」は、本発明のタンパク質分解的、加水分解的洗浄又は他の処理の間に現れる条件下、プロテアーゼにより達成される洗浄性能をいう。いくつかの実施態様では、洗浄性能は酵素に敏感な汚れについて種々の洗浄性能測定を使用することにより決定される。例えば、草、血液、ミルクまたは卵のタンパク質は、標準的洗浄条件でその汚れが処理された後、種々のクロマトグラフィー的、分光学的または他の定量的方法論により測定される。測定の例は、WO99/34011、と米国特許第6,605,458号(この両者は引用により本明細書に組み入れられる)と実施例にある方法を非限定的に含む。
用語、プロテアーゼの「洗浄有効量」は、ある具体的洗浄組成物中の望ましい水準の酵素活性を達成する、明細書で先に述べたプロテアーゼの量をいう。そのような有効量は本技術分野の普通の技術者により容易に確認され、多くの因子、例えば、使用される特定のプロテアーゼ、洗浄用途、洗浄組成物の具体的組成、及び液体または乾燥(例.顆粒、バー)組成物が求められるか否か等に基づく。
用語「洗浄用補助物質」は、本明細書で用いる場合、所望のタイプの洗浄剤組成物と製品の形態(例.液体、顆粒、粉末、バー、ペースト、スプレー、錠剤、ゲル、または泡組成物)について選択された液体、固体または気体いずれかの物質を意味し、これらは、また、その組成物中で使用されているプロテアーゼ酵素と適合していることが望ましい。いくつかの実施態様では、顆粒組成物は、「コンパクト(堅く固めた)」形態をし、他の実施態様では、この液体組成物は「濃縮された」形態である。
本明細書で使用する場合、「低洗剤濃度」系は洗濯水に約800ppm未満の洗剤成分が含まれる場合の洗剤を含む。洗濯水に約667ppmの洗剤成分を含むので、日本の洗剤は通常、低洗剤濃度系であると考えられている。
本明細書で使用する場合、「中程度の洗剤濃度」系は洗濯水に約800ppmと約2000ppmの間の洗剤成分が含まれる場合の洗剤を含む。北アメリカの洗剤は、一般的に洗濯水に約975ppmの洗剤成分を含むので中程度の洗剤濃度系であると考えられる。ブラジルの洗剤は洗濯水に約1500ppmの洗剤成分を含む。
本明細書で使用する場合、「高洗剤濃度」系は約2000ppmより高い洗剤組成物が洗濯水に含まれる洗剤を含む。ヨーロッパの洗剤は一般的に、洗濯水に約3000-8000ppmの洗剤成分を含むので高洗剤濃度系であると考えられている。
本明細書で使用する場合、「布洗浄組成物」は、洗濯用添加組成物及び汚れた布地(例.衣服、リネン及び他の繊維材料)の浸漬及び/又は前処理に適した組成物を含む、手洗い及び機械洗い用洗濯洗剤組成物を含む。
本明細書で使用する場合、「非布地洗浄剤組成物」は、皿洗い洗浄剤組成物、口腔洗浄剤組成物、義歯洗浄剤組成物及びヒト洗浄用組成物を非限定的に含む、織物(つまり、布)でない表面の洗浄剤組成物を含む。
本明細書の洗浄剤組成物の「コンパクト」形態は密度に最も良く反映され、かつ組成の面では、無機増量塩の量に反映される。無機増量塩は粉末形態の洗剤組成物の従来の成分である。従来の洗剤組成物においては、この増量塩は相当量含まれ、総組成物の重量の通常17-35%で含まれる。これに対し、コンパクト組成物では、この増量塩は総組成物の15%を越えない量で含まれる。いくつかの実施態様では、増量塩は重量で組成物の10%を越えない、または好ましくは5%を超えない量で含まれる。いくつかの実施態様では、この無機増量塩は硫酸及び塩素のアルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩から選ばれる。このましい増量剤は硫酸ナトリウムである。
本発明の詳細な説明
中性メタロエンドペプチダーゼ(つまり、中性メタロプロテアーゼ)(EC 3.4.24.4)は、触媒活性のために亜鉛イオンを絶対的に必要とするプロテアーゼのクラスに属する。これらの酵素は中性pHで最も活性であり、30から40kDaの範囲にある。中性メタロプロテアーゼはこのタンパク質の構造上の安定性に寄与する2個から4個のカルシウムイオンと結合している。メタロプロテアーゼの活性部位にある結合金属イオンは水分子の活性化のために欠くことのできない特徴である。この水分子は、次に求核剤として働き、ペプチド結合のカルボニル基を開裂する。
この中性亜鉛結合メタロプロテアーゼ類は細菌酵素テルモシリンとテルモシリン様プロテアーゼ(“LTP”)及びカルボキシペプチダーゼA(消化酵素)と組織修復、分解において反応を触媒するマトリックスメタロプロテアーゼを含む。安定性と機能に関し、これらのプロテアーゼのうち唯一良く特徴付けられているのはテルモシリンとその変異種(TLPs)である。実際、多くの研究がこの酵素の熱安定性を向上させるためにバチルス・スブチリス中性プロテアーゼを操作するために行われた(例えば、Tweenら (編) Stability and Stabilization of enzymes Elsevier,pp.93-99[1993]中のVriendらの記事参照)。
努力の大半は構造決定因子を変化させることによりこのプロテアーゼの安定性を増大させることに集中された。この構造決定因子は分子モデル法により、高温でこのタンパク質の自己分解を生じさせ、この中性プロテアーゼを変性するに至らせる部分的な折りたたみの解きを予防すると示唆されているものである。(例えば、Hopsu-Havuら(編)の、van den BurgらによるProteolysis in Cell Functions Manipulating the Autolytic Pathway of a Bacillus Protease Biomedical and Health Research Vol.13, IOS Press[1997]p.576参照)
改善された特性を有する中性メタロプロテアーゼを操作する組成物と方法が本明細書に提供されている。本明細書に示すとおり、カルシウムイオンはテルモシリンのような他のプロテアーゼが自己分解することを防ぐと報告されている。B.ステアロテルモフィルス中性プロテアーゼは、自己分解とタンパク質分解作用による分解に対して、カルシウムを加えることにより安定化された。(Duerrchmidtら、FEBS J.,272:1523-1534[2005]参照)
本発明はその構造的安定性を維持するためにカルシウムとは別の中性メタロプロテアーゼの操作に適した組成物と方法を提供する。いくつかの実施態様では、タンパク質操作は、特定の二次的構造因子の部分的な折りたたみの解けを予防し、タンパク質分解を予防しうる。
スブチリシンのような、天然及び操作を受けたプロテアーゼはバチルス・スブチリスで発現されることが多く、いくつかはタンパク質性の汚れを除くために洗剤調合剤で使用されてきた。他は、例えば、ベーキング産業で使用された(例.バチルス・テルモプロテオリチクス由来のテルモシリン:例えば、GalanteとFormantici, Curr.Organic Chem.,7,1399-1422[2003])。一般に、比較的容易にこれらのプロテアーゼが安定化されえることが少なくとも理由の一部となり、セリンプロテアーゼは、洗剤で広く利用されてきた。
実際には、メタロプロテアーゼは産業では余り多く利用されていない。多くの理由により、特に洗剤産業ではそうである。これらの酵素は、安定性と機能性の点でカルシウムと亜鉛イオンをそれぞれ絶対的に必要とするので、より複雑なタンパク質系を含んでいる。さらに、洗濯工程で使用する水やこの洗剤溶液は、この酵素によるイオンの結合、またはこれらのイオンのキレートにしばしば干渉する成分を含むことが多く、タンパク質分解機能の低下または喪失とこのプロテアーゼの不安定化に至らせる。
本発明の開発において決定されたところでは、クエン酸存在下でのNprEの自己分解モデルは以下の式で表される。
Figure 0005498951

ここでNは固有の形態であり、Iは部分的に折りたたみの解けた中間体を表し、Apは自己分解されたプロテアーゼである。NprEについては、クエン酸イオンが、カルシウムイオンを取り去り、部分的に折りたたみの解かれた中間体(I)を生じさせ、ループと表面の残基が自己分解を受けやすくすることによってタンパク質構造を最も不安定化させる可能性が最も高い。自己分解されたタンパク質断片の生成は迅速でありかつ、高次である。これらの領域またはその近傍での安定化を高めるための置換は、自己分解に対し安定性が高くなったNrpE変異種を生じさせた。この変異種のモデルは、自己分解されたタンパク質(Ap)の生成がかなり遅いことを除き、野生型に類似する可能性が非常に高い。クエン酸存在下又は非存在下における熱的な折りたたみの解けは、クエン酸存在下で活性で完全な変異種が折りたたまれた構造を取ることを強調する重要事実であった。このデータは、見出された変異のいずれも直接にカルシウムとの結合に係っていないことを考えると、クエン酸に対し安定化する置換はカルシウム-ストレスを加えられたタンパク質の安定性を増大させている可能性が最も高い。従って、本明細書で記載の通り、カルシウムの喪失によるNprEのクエン酸による不安定化はカルシウム-ストレスを加えられたタンパク質の安定性を改善することにより、間接的に補うことができる。
具体的には、野生型バチルス・アミロリケファシエンスNprEプロテアーゼのクエン酸誘導不活性化と自己分解(活性測定とSDS-PAGEを用いて研究された)は、迅速かつ非可逆的である。このエドマン分解により同定された初期自己分解部位のN-末端は、この分子のループ領域と表面にある。単一部位飽和変異誘導とその後のコンビナトリアル変異により、ループと表面部位領域に分散されたS129、F130、M138、V190及びD220における5個のアミノ酸置換によってクエン酸に安定なタンパク質の例が作成された。S129I-F130L-M138L-V190I-D220P分子は、室温で一夜保温しても100mMクエン酸の存在下で完全に活性かつ構造的に完全である。クエン酸存在下、単一変異及び多数変異のコンビナトリアル変異種の融点の熱量測定法による決定によれば融点は相加性を示し、見掛けのΔTmは+10℃である。この安定化効果は、非可逆的不活性化と自己分解を受けない安定な固有の状態が生じたことによると考えられている。事業用洗剤はクエン酸を含むことが多いので、本発明はNprE変異種を含む事業用洗剤の生産と開発に非常に有益な機会を与えるものである。
本発明の洗浄と洗剤調合物の詳細な説明
別に記載されている場合を除き、本明細書に記載された全ての成分または組成物の量はその成分または組成物の活性な量であり、市販品に含まれている可能性のある不純物、例えば、残留溶媒または副生物は含まない。酵素成分の重量は総タンパク質量に基づく。全てのパーセンテージと比率は、別に示されている場合を除き、重量により計算される。全てのパーセンテージと比率は別に示されている場合を除き、全組成物に基づき計算される。
洗剤組成物の例において、酵素量は全組成物の重量で割った純粋な酵素量により表され、別に指定されている場合を除き、洗剤成分は、全組成物の重量によって表される。

中性メタロプロテアーゼを含む洗浄剤組成物
本発明の中性メタロプロテアーゼは種々の洗剤組成物を調合する際に有用である。本発明の洗浄剤組成物は、例えば洗濯用、堅い表面の洗浄、自動皿洗い用及義歯、歯、髪及び皮膚のような化粧品用に優れた用途がある。しかし、低温溶液における効率の増加や優れた色落ち防止性という特有の利点があるために、本発明の酵素は布地の漂白のような洗濯用途に理想的であるさらに、本発明の酵素は顆粒及び液体組成物の両者において用途がある。
本発明の酵素は洗浄用添加製品でも使用できる。本発明の少なくとも1個の酵素を含む洗浄用添加製品は、漂白効率を上げたいときに、洗浄工程に加えるのに理想的である。そのような例は、低温溶液洗浄用を非限定的に含む。この添加製品は、その最も簡単な形態では、本発明により提供されるような1以上の中性メタロプロテアーゼ酵素でも良い。いくつかの実施態様では、この添加物は、過酸発生剤が使用され、漂白効率が増大することを望む場合には、洗浄工程に加えるために投与量ごとに包装される。いくつかの実施態様では、単回投与形態は、丸薬、錠剤、ゲルキャップまたは、予め秤量された粉末及び/又は液体等の他の単回投与量を含む。いくつかの実施態様では、そのような組成物の量を増やすために増量剤及び/または担体が含まれる。適した増量剤または担体は種々の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩及びタルク、粘度等を非限定的に含む。いくつかの実施態様では、液体組成物用の増量剤及び/または担体物質は水、及び/またはポリオールとジオール等の低分子量の1級及び2級アルコールを含む。このようなアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールを非限定的に含む。いくつかの実施態様では、本組成物は約5%から約90%のそのような物資を含む。別の実施態様では、酸性の増量剤が本組成物のpHを下げるために使用される。いくつかの他の実施態様では、この洗浄用添加剤は下記のように少なくとも1個の活性化された過酸発生剤と/又は下記に更に述べる補助成分を含む。
本発明の洗浄剤組成物と洗浄用添加剤は、有効量の、本発明で提供される中性メタロプロテアーゼ酵素を必要とする。いくつかの実施態様では、この酵素の要求量は、1種以上の本発明が提供する中性メタロプロテアーゼの添加により達成される。通常は、本発明の洗浄剤組成物は、少なくとも0.0001重量パーセントの、約0.0001から約1の、約0.001から約0.5の、またはさらに約0.01から約0.1重量パーセントの少なくとも1個の本発明により提供される中性メタロプロテアーゼを含む。
好ましい実施態様では、本明細書に記載されるこの洗浄剤組成物は、水における洗浄で使用されるときに水が約5.0から約11.5のpHを持つように通常調合され、または別の実施態様では、約6.0から約10.5になるように調合される。いくつかの好ましい実施態様では、液体製品調合剤は、通常約3.0から約9.0の原液のpHをもつように調合され、他方、いくつかの他の実施態様では、この調合物は約3から約5の原液のpHをもつ。いくつかの好ましい実施態様では、顆粒洗濯製品は通常は、約8から約11のpHをもつように調合される。推奨される使用レベルにpHを調整する技術は緩衝剤、アルカリ、酸等を含み、本技術分野の技術者に良く知られている。
いくつかの特に好ましい実施態様では、少なくとも1個の中性メタロプロテアーゼが顆粒組成物または液体で使用されるとき、この中性メタロプロテアーゼは貯蔵中に顆粒組成物の他の成分から酵素を保護するためにカプセル化された粒子の形態にされている。加えて、カプセル化は洗浄過程におけるこの中性メタロプロテアーゼの利用度を調整する手段を与え、この中性メタロプロテアーゼの性能を高める。本発明のこのカプセル化された中性メタロプロテアーゼは種々の環境で使用することが考えられている。この中性メタロプロテアーゼは、本技術分野で知られたいずれかの適したカプセル化材料と方法を用いてカプセル化されることも考えられている。
いくつかの好ましい実施態様では、カプセル化材料は通常、この中性メタロプロテアーゼ触媒の少なくとも一部をカプセル化する。いくつかの実施態様では、このカプセル化材料は水溶性及び/または水分散性である。いくつかの別の実施態様では、このカプセル化材料は0℃以上のガラス転移温度(Tg)をもつ(ガラス転移温度に関し更に詳しくは、例えば、WO97/11151、特に6頁、25行-7頁、2行参照。)
いくつかの実施態様では、このカプセル化材料は炭水化物、天然又は合成ゴム、キチンとキトサン、セルロースとセルロース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックス及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。カプセル化材が炭水化物であるいくつかの実施態様では、炭水化物は、単糖、オリゴ糖、多糖、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの好ましい実施態様では、このカプセル化材はデンプンである(適したデンプンの例については、例えばEP0922499、US4,977,252、US5,354,559、及びUS5,935,826参照)
別の実施態様では、このカプセル化材料はプラスチックから作られた微小球(microsphere)を含む(例.熱可塑性プラスチック、アクリロニトリル、メチルアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル及びそれらの混合物;使用できる市販の微小球は、EXPANCEL(登録商標)[Casco Products, Stockholm, Sweden]、PM6545、PM6550、PM7220、PM7228、EXTENDOSPHERES(登録商標)、及びQ-CEL(登録商標)[PQ Corp., Valley Forge, PA]、LUXSIL(登録商標)とSPHERICELI(登録商標)[Potters Industries,Inc., Carlstadt,NJ and Valley Forge,PA]を非限定的に含む)。
出願人の洗浄剤組成物調製法と使用
いくつかの好ましい実施態様では、本発明の組成物はいずれかの適した形態へ調合され、調合者により選択されたいずれかの方法により調製される。(非限定的例として例えば、U.S.5,879,584、U.S. 5,691,297、U.S.5,574,005、U.S.5,569,645、U.S.5,565,422、U.S.5,516,448、U.S.5,489,392及びU.S.5,486,303を参照)低pH洗浄組成物が望まれるいくつかの実施態様では、そのような組成物のpHはHClのような酸性物質の添加により調整される。
補助成分
本発明の目的に必須ではないが、いくつかの実施態様では、本明細書に記載の非限定的なリストの補助成分は本発明の洗浄剤組成物での使用に適している。いくつかの実施態様では、補助成分は本発明の洗浄剤組成物に組み入れられる。いくつかの実施態様では、補助成分は洗浄性能を助け及び/または高め、洗浄を受ける物体を処理し、及び/または洗浄剤組成物の美観を飾る(例.香料、着色料、染料等)。そのような補助成分は本発明の中性メタロプロテアーゼに添加されると理解される。これらの追加成分の正確な性質と、その含有量はその組成物の物理的形態とそれが使用される洗浄の性質により変わる。適した補助成分は界面活性剤、ビルダー、キレート剤、色移り防止剤、沈降助剤、分散剤、追加の酵素及び酵素安定剤、触媒物質、漂白活性剤、漂白助剤、過酸化水素、過酸化水素発生剤、予備調製された過酸、重合性分散剤、泥汚れ除去剤/再付着防止剤、増白剤、発泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤(structure elasticizing agents)、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、処理助剤及び/又は色素を非限定的に含む。本明細書で明示的に与えられたものに加え、他の例は本技術分野で知られている(例.米国特許第5,576,282号、6,306,812B1号、及び6,326,348B1号)。いくつかの実施態様では、先に述べた補助成分は本発明の洗浄剤組成物の残部である。
界面活性剤 いくつかの実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は少なくとも1個の界面活性剤又は界面活性系を含み、この界面活性剤は非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びそれらの混合物から選ばれる。いくつかの低pH洗浄剤組成物の実施態様(例.約3から約5の原液のpHをもつ組成物)では、この組成物はアルキルエトキシル化硫酸塩をふくまない。なぜならそのような界面活性剤は、そのような組成物の酸性成分により加水分解されるかもしれないからである。
いくつかの実施態様では、この界面活性剤は約0.1%から約60%の量で含まれ、他方、別の実施態様ではこの量は約1%から約50%であり、一方さらに別の実施態様では、この洗浄剤組成物の重量で、この量は約5%から約40%である。
ビルダー いくつかの実施態様では、本発明のこの洗浄剤組成物は一以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含む。少なくとも1つのビルダーを含むいくつかの実施態様では、この洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物の重量で、少なくとも約1%、約3%から約60%またはさらに約5%から約40%のビルダーを含む。
ビルダーは、ポリリン酸のアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、ケイ酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類及びアルカリ金属塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカーボネート化合物、エーテルヒドロキシポリカーボネート、エチレン又はビニルメチルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸、及びカーボキシメチロキシコハク酸、例えば、エチレンジアミン4酢酸とニトリロ3酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、及びポリカルボン酸、例えばメリチック酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルコハク酸、及びその可溶性の塩を非限定的に含む。いずれの適したビルダーも本発明の種々の実施態様において使用することが考えられている。
キレート剤―いくつかの実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は少なくとも1個のキレート剤を含む。適したキレート剤は、非限定的に、銅、鉄及び/又はマンガンのキレート剤とそれらの混合物を非限定的に含む。少なくとも1個のキレート剤が使用される実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物の重量の、約0.1%から約15%またはさらに約3.0%から約10%のキレート剤を含む。
沈降助剤―いくつかの実施態様では、本発明のこの洗浄剤組成物は少なくとも1個の沈降助剤を含む。適した沈降助剤はポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシレート、ポリテレフタル酸のような汚れ遊離ポリマー、カオリナイト、モンモリロナイト、アタプルガイト、イライト、ベントナイト、ハロサイト、及びそれらの混合物のような粘土も含む。
色移り防止剤―いくつかの実施態様では、本発明の洗浄組成物は一以上の色移り防止剤を含む。適した重合性色移り防止剤はポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾールまたはそれらの混合物を非限定的に含む。
少なくとも1個の色移り防止剤が使用されている実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物の重量で、約0.0001%から約10%、約0.01%から約5%、またはさらに約0.1%から約3%を含む。
分散剤―いくつかの実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は少なくとも1個の分散剤を含む。適した水溶性有機物質は、ホモ-または-コポリマー性の酸またはその塩を非限定的に含み、このポリカルボン酸は、2個以下の炭素で互いに離れている少なくとも2個のカルボキシル基を含む。
酵素―いくつかの実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性能及び/又は布地保護の利点のある一以上の洗剤酵素を含む。適した酵素の例は、ヘミセルラーゼ、パーオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、酸化酵素、フェノール酸化酵素、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、またはそれらの混合物を非限定的に含む。いくつかの実施態様では、アミラーゼと組合させたプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような、従来から使用される酵素を含む組み合わせが使用される(つまり、カクテル)。
酵素安定化剤―本発明のいくつかの実施態様では、本発明の洗剤調合剤で使用される酵素は安定化されている。酵素安定化の種々の技術は本発明で使用することが考えられる。例えば、いくつかの実施態様では、本明細書で使用できる酵素は、最終組成物に含まれる水溶性亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオンの水溶性の供給源により安定化される。この組成物はそのようなイオンや、他の金属イオン(例.バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)及び酸化バナジウム(IV))をこの酵素に与える。
触媒性金属錯体―いくつかの実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は1以上の触媒金属錯体を含む。いくつかの実施態様では、金属含有漂白触媒を使用する。いくつかの好ましい実施態様では、この金属漂白触媒は、明確な漂白触媒活性のある遷移金属カチオン(例.銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデンまたはマンガンカチオン)を含む触媒系を含み、漂白触媒活性を殆ど又は全く持たない補助金属カチオン(例.亜鉛又はアルミニウムカチオン)、その触媒性及び補助金属カチオンについて一定の安定定数をもつ金属イオン遮蔽剤、特に、エチレンジアミン4酢酸、エチレンジアミン4(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性の塩を含む。(例えば、U.S. 4,430,243参照)
いくつかの実施態様では、本発明の洗浄剤組成物はマンガン化合物という手段により触媒される。そのような化合物と使用量は本技術分野で良く知られている(例えばU.S. 5,576,282参照)。
別の実施態様では、コバルト漂白触媒は本発明の洗浄剤組成物で使用される。種々のコバルト漂白触媒が本技術分野で知られている。(例えばU.S,5,597,936及びU.S.5,595,967参照)そのようなコバルト触媒は既知の手順により容易に調製される。(例えばU.S. 5,597,936及びU.S.5,595,967参照)。
別の実施態様では、本発明のこの洗浄剤組成物はマクロ多環式硬性配位子(Macropolycyclic rigid ligand, MRL)の遷移金属錯体を含む。実使用のため、限定のためではなく、いくつかの実施態様では、本発明で与えられるこの組成物と洗浄法は、少なくとも1億分1の次元で水性の洗浄媒体中に活性MRLを与えるように調整され、いくつかの好ましい実施態様では、洗浄液中に約0.005ppmから約25ppm、より好ましくは約0.05ppmから約10ppm、のMRLを与え、及び約0.1ppmから約5ppmのMRLを与えることが最も好ましい。
好ましい本例の遷移金属漂白触媒中の好ましい遷移金属は、マンガン、鉄及びクロムを非限定的に含む。好ましいMRLは、また、交差架橋した特別な超硬性配位子を非限定的に含む(例.5,12-ジエチル-1,5,8,12-テトラアザビシクロ[6,6,2]ヘキサデカン)。適した遷移金属MRLは既知の方法により容易に合成できる(例えば、WO00/32601、及びU.S.6,225,464参照)
洗浄組成物の生産法と使用
本発明の洗浄剤組成物はいずれの適した剤型にも調合され、調合者により選ばれたいずれの適した方法によっても調製される。(例えば、U.S.5,879,584、U.S.5,691,297、U.S.5,574,005、U.S.5,569,645、U.S.5,565,422、U.S.5,516,448、U.S.5,489,392、U.S.5,486,303、U.S.4,515,705、U.S.4,537,706、U.S.4,515,707、U.S.4,550,862、U.S.4,561,998、U.S.4,597,898、U.S.4,968,451、U.S.5,565,145、U.S.5,929,022、U.S.6,294,514及びU.S.6,376,445参照。これらは全て、いくつかの非限定的実施例として引用により本明細書に組み入れる。)
使用法
好ましい実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は、表面及び/または布地の洗浄に使用される。いくつかの実施態様では、その表面及び/または布地の少なくとも一部は、原液とまたは洗浄液の希釈液で、本発明の洗浄剤組成物の少なくとも一実施態様と接触し、次にその表面及び/または布地は任意に洗浄及び/または濯ぎを受ける。本発明の目的のため、「洗浄」はこすることと機械的にかき混ぜることを非限定的に含む。いくつかの実施態様では、この布地は、普通の消費者の使用条件で洗濯され得るいずれの布地も含む。好ましい実施態様では、本発明の洗浄剤組成物は、溶液中で約500ppmから約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶液が水であるいくつかの実施態様では、この水温は通常約5℃から約90℃の範囲にある。布地洗浄に関していくつかの好ましい実施態様では、水と布地の質量比は通常約1:1から約30:1である。
実験
以下の実施例は、本発明のある好ましい実施態様と側面を実証しかつ、さらに説明するために提供され、その範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
以下の実験の開示では、以下の略号が使用される。℃(度、摂氏);rpm(1分当たりの回転数);H2O(水);HCl(塩酸);aaとAA(アミノ酸);bp(塩基対);kb(キロ塩基対);kD(キロダルトン);gm(グラム);μgとug(マイクログラム);mg(ミリグラム);ng(ナノグラム);μlとul(マイクロリットル);ml(ミリリットル);mm(ミリメートル);nm(ナノメートル);μmとum(マイクロメートル);M(モル);mM(ミリモル);μMとuM(マイクロモル);U(単位);V(ボルト);MW(分子量);sec(秒);min(s)(分);hr(s)(時間);MgCl2(塩化マグネシウム);NaCl(塩化ナトリウム);OD280(280nmにおける光学濃度);OD405(405nmにおける光学濃度);OD600(600nmにおける光学濃度);PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動);EtOH(エタノール);PBS(リン酸塩で緩衝された食塩水)[150mM NaCl、10mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2]);LAS(ラウリル硫酸ナトリウム);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);TAED(N,N,N’,N’-テトラアセチルエチレンジアミン);BES(ポリエステルスルホン);MES(2-モルホリノエタンスルホン酸、1水和物;f.w. 195.24;
Sigma#M-3671);CaCl2(塩化カルシウム、無水物;f.w. 110.99;Sigma#C-4901);DMF(N,N-ジメチルホルムアミド、f.w. 73.09, d=0.95);Abz-AGLA-Nba(2-アミノベンゾイル-L-アラニル-グリシル-L-ロイシル-L-アラニノ-4-ニトロベンジルアミド、f.w.583.65;Bachem#H-6675. VWR catalog # 100040-598);SBG1%(Super Broth with Glucose; 6g Soytone [Difco]、3g酵母抽出物、6gNaCl、6g グルコース);pHは本技術分野で知られている方法を用いて滅菌前にNaOHで7.1に調整された;w/v (重量対容量);v/v(容量対容量);Nprとnpr(中性メタロプロテアーゼ);SEQUEST(登録商標)(SEQUEST データベースサーチプログラム、University of Washington);MS(質量分析);BMI(血液、ミルク、インク);SRI(汚れ除去指数);Nprとnpr(中性メタロプロテアーゼ遺伝子)、NprEとnprE(B・アミロリケファシエンス中性メタロプロテアーゼ);PMN(精製MULTIFECT(登録商標)メタロプロテアーゼ);及びQuint(S129I-F130L-M138L-V190I -D220P 5変異NprE変異種)
以下の略号はその製品と業務が実験例で言及されている会社に適用する。:TIGR(The Institute for Genomic Research、Rockville,MD);AATCC(American Association of Textile and Coloring Chemists);Amersham(Amersham Life Science, Inc. Arlington Heights, IL);Corning(Corning International, Corning,NY);ICN(ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CA); Pierce(Pierce Biotechnology, Rockford,IL);Equest(Equest, Warwick International Group, Inc.,Flintshire,UK);EMPA(Eidgenossische Material Prufungs und Versuch Anstalt, St. Gallen, Switzerland); CFT(Center for Test Materials, Vlaardingen, The Netherlands);Amicon(Amicon,Inc., Beverly,MA);ATCC(American Type Culture Collection, Manassas, VA);Becton Dickinson(Becton Dickinson Labware,Lincoln Park,NJ);Perkin-Elmer(Perkin-Elmer, Wellesley, MA);Rainin(Rainin Instrunent, LLC, Woburn, MA);Eppendorf(Eppendorf AG, Hamburg, Germany);Waters(Waters, Inc., Milford, MA);Geneart(Geneart GmbH, Regenburg, Germany);Perseptive Biosystem(Perseptive Biosystem, Ramsey, MN); Molecular Probes(Molecular Probes, Eugene, OR);BioRad(BioRad,Richmond,CA);Clontech(CLONTECH Laboratories,Palo Alto,CA);Cargill(Cargill,Inc., Minneapolis,MN);Difco(Difco Laboratories, Detroit,MI);GIBCO BRL またはGibco BRL(Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD);New Brunswick(New Brunswick Scientific Company,Inc.,Edison,NJ); Thermoelectron(Thermoelectron Corp., Waltham,MA);BMG(BMG Labtech, GmbH, Offenburg, Germany);Greiner(Greiner Bio-One Kremsmuenster,Austria);Novagen(Novagen,Inc., Madison,WI);Novex(Novex,San Diego,CA);Finnzymes(Finnzymes OY,Finland);Qiagen(Qiagen, Inc., Valentcia, CA);Invitrogen(Invitrogen Corp., Carlsbad,CA); Sigma(Sigma Chemical Co., St.Louis,MO);DuPont Instruments(Asherville, NY); Global Medical Instrumentation またはGMI(Global Medical Instrumentation; Ramsey, MN);MJ Research(MJ Research, Waltham,MA);INfors(Infors AG,Bottmingen,Switzerland); Stratagen(Stratagen Cloning Systems, La Jolla, CA); Roche(Hoffmann La Roche, Inc., Nutley, NJ);Agilent(Agilent Technologies,Palo Alto, CA);S-Matrix(S-Matrix Corp.,Eureka, CA);US Testing(United States Testing Co., Hoboken,NY);West Coast Analytical Services(West Coast Analytical Services,Inc., Santa Fe Springs,CA);Ion Beam Analysis Laboratory(Ion Bean Analysis Laboratory, The University of Surrey Ion Beam Centre(Guildford, UK);TOM(Terg-o-Meter); BaChem(BaChem AG, Bubendorf, Switzerland);Molecular Devices(Molecular Devices, Inc., Sunnyvale, CA);Corning(Corning International, Corning, NY);MicroCal(Microcal, Inc., Northhampton,MA);Chemical Computing(Chemical Computing Corp., Montreal,Canada);NCBI(National Center for Biotechnology Information); Argo Bioanalytica(Argo Bioanalytica. Inc, New Jersey); Vydac(Grace Vydac, Hesperia,CA);Minolta(Konica Minolta, Ramsy, NJ);及びZeiss(Carl Zeiss, Inc., Thornwood, NY)
以下の配列は本発明で使用され、かつ本発明により提供される。
Figure 0005498951
Figure 0005498951
Figure 0005498951
実施例1
定量
以下の定量が下記の実施例で行われた。下記のプロトコールからのいかなる逸脱も実施例に示している。これらの実験では、分光光度計は反応の終了後、生成した産生物の吸光度を測定するために使用された。布見本の反射率を測定するため反射率計が使用された。
A. タンパク質含量測定

1.96ウェルマイクロタイタープレート(MTPs)でのタンパク質含量測定のためのBCA(ビシンコニン酸)定量

これら定量では、BCA(Pierce)定量は、MTP上でプロテアーゼサンプル中のタンパク質濃度を決定するために使用された。この定量系では、使用された化学物質及び試液は:BCAタンパク質定量試薬、及びPierce Dilution緩衝液(50mM MES,pH6.5, 2mM CaCl2、0.005%TWEEN(登録商標)-80)。使用された装置はSpectraMAX(340型)MTPリーダー。このMTPはCostar(9017型)から得られた。
試験では、200μl BCA試薬が各ウェルにピペットで移され、20μlの稀釈タンパク質が加えられた。十分に混合した後、このMTPは37℃で30分間保温された。空気泡があれば除き、ウェル内のこの溶液の光学濃度(OD)が562nmで測定された。タンパク質濃度を決定するために、サンプルの測定値からバックグランドの値が差し引かれた。このOD562がタンパク質標品(精製プロテアーゼ)に対しプロットされ検量線が作成された。サンプルのタンパク質濃度は、検量線から推定された。
2.96-ウェルマイクロタイタープレート(MTP)におけるタンパク質含量測定のためのブラッドフォード定量
これらの定量では、ブラッドフォード染色試薬(Quick Start)定量がMTPでプロテアーゼサンプルのタンパク質濃度を決定するために使用された。この定量系で使用された化学物質と試液は、:Quick Start Bradford Dye Reagent(BIO-RAD Catalog No. 500-0205)、稀釈緩衝液(10mM NaCl、0.1mM CaCl2、0.005%TWEEN(登録商標)-80)である。使用した装置はBiomek FX Robot (Beckman)とSpectra MAX (type 340)MTPリーダーであった。このMTPはCostar(9017型)のものであった。
この試験では、200μlのブラッドフォード染色試薬が各ウェルにピペットで移され、15μl稀釈緩衝液が加えられた。最後に、10μlのろ過した液体培養液がウェルに加えられた。十分に混合した後、このMTPは室温で少なくとも10分間保温された。空気泡があれば飛ばして、各ウェルの光学濃度が595nmで測定された。このタンパク質の濃度を決定するために、バックグランド(つまり、菌が接種されていない液のウェル)の測定値がサンプルの測定値から差し引かれた。得られたOD595値はサンプル中のタンパク質含量の相対値を与える。
B.タンパク質分解活性のクエン酸に対する安定性評価
クエン酸に対する安定性はmMのクエン酸存在下で、野生型NprEと変異種を保温した後に測定された。この初期及び残留活性はDMC 加水分解定量法を用いて決定された。この定量系で、使用された化学物質と試液は、以下のものであった。
クエン酸一水和物 Merck 1.00244
Pipes(遊離酸) Sigma P-1851
Tris(遊離酸) Sigma T-1378
HEPES(超高純度>99.5%) Sigma-H7523
TWEEN(登録商標)-80 SigmaP-8074
ジメチルカゼイン(DMC) Sigma C-9801
トリス緩衝液(遊離酸)6.04gを 1000mlの水に溶解 (=50mM)
HEPES緩衝液 11.9gを 1000ml水に溶解 (=50mM)
クエン酸緩衝液(遊離酸)21.0gを1000mlの水に溶解(=100mM)
PIPES緩衝液(遊離酸)3.32gを約960mlの水に溶解
DMC溶液 55mM PIPES 緩衝液の1% w/v、最終pH=6.0
稀釈緩衝液1 0.1mM CaCl2/25mM Tris;pH8.2
稀釈緩衝液2 0.1mM CaCl2/50mMクエン酸/25mMTris;pH8.2
これらの稀釈緩衝液の濃度は最終濃度として示されている。はじめの濃度は、稀釈率に比例して高い。別の実験では、HEPESがトリスの代わりに使用される。使用された装置はBiomek FX Robot(Beckman)と恒温器/振とう器(Innova, 4230型;New Brunswick)であった。このPIPES緩衝液は4N HClでpH5.8に調整された(最終濃度55mM)。トリス緩衝液は4NHClでpH8.2に調整された。(最終濃度25mM)50mMクエン酸/25mMトリス緩衝液は4NNaOHでpH8.2に調整された。このHEPES緩衝液は4NNaOH(最終濃度25mM)でpH8.2に調整された。50mMクエン酸/25mM HEPES緩衝液は4NNaOHでpH8.2に調整された。
タンパク質決定と試験法
クエン酸安定性定量法で好ましい稀釈率を得るため、各プレートの野生型NprE対照サンプルのプロテアーゼ濃度はTCA定量により決定された。この方法では、25μlのろ過を受けた液体培地が200μlの16.875%(w/v)TCAに加えられた。周囲温度で10から15分間保温後、405nmにおける光散乱/吸光度が決定された。このタンパク質濃度は、精製NprEで作成した検量線を使用して決定された。
ストレス条件
ろ過した培養液は稀釈緩衝液2で稀釈された。このMTPはテープでカバーされ、数秒振とうした後、25℃、60分間、200rpmで恒温器に入れられた。保温終了後、各ウェルからこの混合物の20μlを採取して、180μl 1%DMCの予熱された基質溶液(この基質は25℃に予熱されていた)を含む新しいMTPへ移された。このMTPは直接に恒温器/振とう器に入れられ200rpmの撹拌で30分間25℃で保温された。残存プロテアーゼ活性はジメチルカゼイン加水分解定量を用いて、下記のように決定された。
非ストレス性条件
ろ過を受けた液体培地が稀釈緩衝液1により稀釈された。直ぐに、20μlの混合物が各ウェルから採取され、180μlの予熱された1%DMC基質溶液(基質溶液は25℃で予熱された。)を含む、新しいMTPへ移された。このMTPは直接に恒温器/振とう器に入れられ、200rpmの撹拌で、30分間25℃で保温された。ジメチルカゼイン加水分解定量を用いて、TNBSにより決定された初期プロテアーゼ活性は、下記に述べられている。
全ての残存活性値(ジメチルカゼイン加水分解定量で決定)は以下の式を用いて計算された。
%残存活性=OD60min値*100/OD00min
C. ジメチルカゼイン加水分解定量
この定量系で、使用された化学物質と試液は、

ジメチルカゼイン(DMC) Sigma C-9801
TWEEN(登録商標)-80 Sigma P-8074

PIPES 緩衝液(遊離酸)Sigma P-1851; 15.1gが約960mlの水に溶解される。;4N NaOHによりpHは6.0に調整され、1mlの5%TWEEN(登録商標)-80が加えられ、容量が1000mlにされた。PIPESとTWEEN(登録商標)-80の最終濃度は、それぞれ50mMと0.005%である。

ピクリルスルホン酸(TNBS)Sigma P-2297(5%水溶液)

試薬A 45.4g Na2B4O7 10H2O(Merck 6308)と15mlの4N NaOHが共に溶解され最終容量は1000mlである(必要時は加熱する)

試薬B 35.2g NaH2PO4 1H2O(Merck6346)と0.6gのNa2SO3(Merck 6657)が共に溶解され最終容量は1000mlである。
方法
基質を合成するために、4gのジメチルカゼインが400mlのPIPES緩衝液に溶解された。
このろ過を受けた培養液の上澄み液はPIPES緩衝液で稀釈された。次に、10μlの各希釈上澄液がMTPのウェルの200μlの基質へ加えられた。このMTPはテープでカバーされ、数秒間振とうされ、30分間25℃で撹拌せずオーブンに入れられた。このオーブンから第1のプレートを出す前、約15分に、50mlの試薬Aについて1mlTNBS溶液を混合し、TNBS試薬が調製された。MTPには、各ウェルについて60μlのTNBS・試薬Aが加えられた。恒温器に入れられたプレートは数秒間、振とうされ、その後、10μlが、TNBS試薬を入れたMTPに移された。このプレートはテープでカバーしベンチ振とう器(BMG Thermostar)で20分間、室温、500rpmで振とうされた。最後に、200μlの試薬Bがウェルへ加えられ、振とう器で1分間混合し、405nmでの吸光度がMTPリーダーを用いて測定された。
得られた吸光度はブランクサンプルの値(つまり、酵素を含まない基質)により補正された。得られた吸光度は加水分解活性の尺度であった。サンプルの(任意尺度の)活性は、吸光度を決定したタンパク質濃度で割ることにより計算された。
D. 2−アミノベンゾイル-L-アラニルグリシル-L-ロイシル-L-アラニノ-4-ニトロベンジルアミドプロテアーゼ定量(Abz-AGLA-Nba)
下記に与えられている方法は時と場所に依存しない再現性のあるプロテアーゼ定量データを取る、ある程度の技術的詳細を与える。定量は所与の試験条件に適合させることが出来るが、変更した手順により得られたいずれのデータも元の方法によって得られた結果と照合されなければならない。中性メタロプロテアーゼは、2-アミノベンゾイル-L-アラニルグリシル-L-ロイシル-L-アラニノ-4-ニトロベンジルアミド(Abz-AGLA-Nba)のグリシンとロイシンの間のペプチド結合を開裂する。溶液中の遊離2-アミノベンゾイル-L-アラニルグリシン(Abz-AG)は、340nmに極大のある励起光により415nmに極大のあるケイ光発光をもつ。Abz-AGのケイ光は、開裂前のAbz-AGLA-Nba分子中のニトロベンジルアミドにより消光される。
これらの実験では、Abz-AGLA-Nbaのプロテアーゼの開裂によるAbz-AGの遊離は蛍光分光光度計(Ex.340/Em415)によりモニターされた。Abz-AGの出現速度はタンパク質分解活性の尺度であった。定量はnon-substrate limited initial rate conditionで行われた。
温度制御式のマイクロプレートミキサー(例.エッペンドルフサーモミキサー)が再現性のある定量結果を得るために必要とされた。この定量溶液は、酵素添加前にマイクロプレートミキサー中で望む温度(例.25℃)に保温された。酵素溶液がミキサーにあるプレートへ加えられ、激しく混合され、速やかにプレートリーダーに移された。
連続的なデータの記録、線型回帰分析、温度管理が可能な分光ケイ光光度計が求められた。(例.SpectraMax M5, Gemini EM. Molecular Devices)このリーダーは常に好ましい温度(例25℃)に維持されていた。このリーダーは、トップ-リードケイ光検出に設定され、励起は350nmに、カットオフフィルターを使用せずに発光は415nmで測定された。このPMTは中程度の感度に設定され、1ウェル当たり5回測定を行った。自動校正がオンとされたが、最初の測定前の校正のみ行われた。この定量はモニターされるウェルの数に従い測定間隔が最小の3分間で測定された。リーダーはmilli-RFU/分(1000分の1の単位での1分当たりの相対的ケイ光量)を計算するために設定された。この速度(Vmax 点)を計算するために使用される測定回数は、2分に相当する回数に設定された。回数は測定間隔により決定される(例.10秒毎の測定ならこの速度を計算するために12ポイントを用いる)。最大RFUは50,000に設定された。
酵素と基質原液の全てのピペッティングはポシティブデスプレースメントピペット(Rainin Microman)で行われた。緩衝液、定量及び酵素標準液は試験管、試薬瓶、貯蔵用マイクロプレートからシングル又はマルチ-チャンネル-エアー-ディスプレースメントピペット(Rainin LTS)によりピペッティングされた。リピーターピペット(Eppendorf)は、試薬の損失を最小にするため、少数のウェルを使用するときに、定量溶液をマイクロプレートのウェルに移す際に使用される。Beckman FX またはCybio Cybi-ウェルのような自動ピペッティング装置も、同時に全マイクロプレートで反応を開始するため、標準液のマイクロプレートから酵素溶液を定量用マイクロプレートに移す際に使用される。
試薬と溶液
52.6mM MES/NaOH、2.6mM CaCl2, pH6.5-MES 緩衝液
MES 酸(10.28g)と292mgの無水CaCl2は約900mLの精製水に溶解された。この溶液はNaOHによりpH6.5に調整された(25℃で、又は温度調整pHプローブにより)。このpH-調整された緩衝液は総容量1Lにされた。最終溶液は0.22μm無菌フィルターでろ過され、室温に保たれた。
48mM Abz-AGLA-Nba DMF溶液 - Abz-AGLA-Nba原液
約28mgのAbz-AGLA-Nbaが小さい試験管に加えられた。これはDMFに溶解され(容量は加えたAbz-AGLA-Nbaの量により変わる。)、数分ボルテックスでかき混ぜた。この溶液は遮光して室温で保存された。
50mM MES、2.5mM CaCl2、5%DMF、2.4mM Abz-AGLA-Nba pH6.5-定量溶液
1mLのAbz-AGLA-Nba 原液が19mLのMES緩衝液に加えられ、ボルテックスに掛けられた。この溶液は遮光して室温で保存された。
50mM MES、2.5mM CaCl2、pH6.5−酵素稀釈緩衝液
この緩衝液は95mLのMES緩衝液に5mLの精製水を加えることにより調製された。
50mM MES、2.5mM CaCl2、5%DMF,pH6.5 − 基質稀釈緩衝液
5mLの純DMFが95mLのMES緩衝液に加えられた。この緩衝液は速度論的パラメータを決定するために使用された。
酵素溶液
酵素原液は酵素稀釈緩衝液で約1ppm(1μg/mL)の濃度にまで稀釈された。MULTIFECT(登録商標)中性プロテアーゼ(野生型NprE)は、6ppm(6ug/mL)未満の濃度にまで稀釈された。連続的希釈が望ましい。これらの溶液は室温で1時間安定であった、しかしより長い貯蔵では、これらの溶液は氷上で保存された。
手順
最初に全ての緩衝液、原液及び試液が調製された。各酵素希釈液は、別に記載のない場合は、3回定量された。全てに溶液を入れない場合、酵素試液の貯留マイクロプレートはプレートの左から縦の列を満たすようにされた(プレートリーダーで測定するため)。対応する定量用プレートも同様に準備された。マイクロプレート分光ケイ光光度計は先に述べたように準備された。
最初に、200μLの定量溶液が96ウェルのマイクロプレートのウェルに加えられた。このプレートは温度制御マイクロプレートミキサー内で25℃で10分間、遮光して保温された。この定量はこのミキサー中でマイクロプレートを定量するため貯留マイクロプレートから10μLの酵素試液を移すことにより開始された。96ウェルのピペッティングヘッドが使用することが最適だが、最も左側の列から液を移すため8ウェルのマルチチャンネルピペットが使用された。この溶液は15秒間激しく撹拌された(エッペンドルフサーモミキサーで900rpm)。直ぐに、定量マイクロプレートはマイクロプレート分光ケイ光光度計に移され、350nmの励起と415nmと発光のケイ光測定の記録が始められた。分光ケイ光光度計のソフトウェアは、milli-RFU/分の線型回帰直線にあわせて、各ウェルについてケイ光の増大を伴う反応速度を計算した。いくつかの実験では、最初のプレートが測定されている間に、第2のプレートが温度を平衡させるためにマイクロプレートミキサー内に置かれた。
初期速度は、0.3mMまで生成物の濃度(つまり、遊離された2-アミノベンゾイルのケイ光)と直線関係にある。0.3mMは約22,000RFUのバックグランドのケイ光をもつ2.3mM Abz-AGLA-Nbaで反応を開始した溶液中の約50,000RFUに相当する。Abz-AGLA-Nba はDMFに溶解され、調製された日に使用された。
実施例2
B.スブチリスにおけるNprEプロテアーゼ産生
この実施例では、B.スブチリスにNprEを産生させるために行われた実験が述べられる。特に、B.スブチリスをプラスミドpUBnprEで形質転換するときに使用される方法が提供される。形質転換は本技術分野で知られているように実施された(例えば、WO2002/014490とWO2007/044993参照。両者は引用により本明細書に組み入れられる。)下記のDNA配列(B.アミロリケファシエンス由来のnprEリーダー、nprE 前置及びnprE成熟DNA配列)は、NprE前駆体タンパク質をコードしている。
Figure 0005498951
Figure 0005498951
上記の配列では、太字は成熟NprEプロテアーゼをコードするDNAを示し、標準的な字体はリーダー配列(nprEリーダー)、及び下線は前置配列(nprE前置)を示す。下記(SEQ ID NO:2)のアミノ酸配列(NprEリーダー、NprE前置及びNprE成熟DNA配列)は、全NprE前駆体タンパク質に相当する。この配列では、下線は前置配列を、太字は成熟NprEプロテアーゼを示す。
Figure 0005498951
この成熟NprE配列はSEQIDNO:3として表されている。この配列は、本明細書に述べられた変異ライブラリーを作成する基礎として使用された。
Figure 0005498951
pUBnprE発現ベクターは2個の特定のプライマーを使用することによりB.アミロリケファシエンスの染色体DNA由来のnprE遺伝子を増幅することにより構築された。
オリゴAB1740:
Figure 0005498951
(SEQ ID NO:4)
オリゴAB1741:
Figure 0005498951
(SEQIDNO:5)
PCR は、Phusion High Fidelity DNA ポリメラーゼ(Finnzymes)によりサーモサイクラーで行われた。PCR混合物は10μl 5x緩衝液(Finnzyme Phusion)、1μl 10mM dNTP’s、1.5μl DMSO、1μlの各プライマー、1μlのFinnzymes Phusion DNAポリメラーゼ、1μl染色体DNA溶液50ng/μl、34.5μl MilliQ水を含んでいた。以下の実験手順が使用された。

PCRプロトコール
1)30秒、98℃
2)10秒、98℃
3)20秒、55℃
4)1分 72℃
5)2)から4)ステップを25サイクル、次に
6)5分 72℃
これにより、1.9kb DNA断片が得られ、これは、BglIIとBclII DNA制限酵素を用いて切断された。マルチコピーバチルスベクターpUB110(例えばGryczan, J Bacteriol, 134;318-329,1978参照)は、BamHIで切断された。このPCRフラグメントxBglIIxBclII は、次にpUB110x BamHIベクターに結合し、pUBnprE発現ベクターを形成した。
pUBnprEはB.スブチリス(ΔaprE,ΔnprE、oppA、ΔspoIIE、degUHy32、Δamy E::(xylR,pxylA,pxylA-comK)株を形質転換した。B.スブチリスの形質転換は、WO02/14490(引用により本明細書に組み入れる)に述べられているように行われた。pUBnprEベクターを含むB.スブチリス形質転換種の選択的増殖が、20mg/Lネオマイシンを加えた25mlMBD培地(MOPSを基礎とするディファインド(defined)培地)を含む振とうフラスコ内で行われた。MBD培地はNH4Cl、FeSO4及びCaCl2が基礎培地から除かれ、3mM K2HPO4が使用されたことを除き本技術分野で知られている(Neidhardtら、J.Bacteriol, 119:736-747,1974参照)のと本質的に同一に調製され、この基礎培地に60mM尿素、75g/Lグルコース、及び1%ソイトンが加えられた。また、微量栄養素が1リットルに400mgFeSO47H2O、100mg MnSO4 H2O、100mgZnSO47H2O、50mgCuCl22H2O、100mgCoCl26H2O、100mgNaMoO42H2O、100mgNa2B4O7 10H2O、10mlの1M CaCl2及び10mlの0.5M クエン酸ナトリウムを含む100X原液として調製された。この培地はインキュベーター/振とう器(Infors)の中で37℃で3日間インキュベートされた。この培養によりプロテアーゼ定量により実証されたタンパク質分解活性をもつNprEプロテアーゼが分泌された。ゲル分析はNuPage Novex 10% Bis-Tris ゲル(Invitrogen, Catalog No. NP0301BOX)を用いて行われた。分析用にサンプルを調製するため、2倍量の上澄液が1倍量の1M HCl、1倍量4xLDS サンプル緩衝液(Invitrogen, Catalog No. NP0007)、及び1%PMSF(20mg/ml)と混合された。このサンプルは続いて70℃で10分間加熱された。次に、25μLの各サンプルは、10μLのSeeBlue と2個の予め染色されたタンパク質標準(Invitrogen, Catalog No. LC5925)とともにゲルに載せられた。この結果は、本実施例で述べられたnprEクローニング戦略が、B.スブチリス内に活性なNprEを産生するために適していることを実証した。
実施例3
部位評価ライブラリー(SELs)の生成
本実施例では、nprE SELの構築で使用される方法が述べられる。

nprE SELsの生成-方法I
このpUBnprEベクターは、上記のnprE発現カセットを含み、鋳型DNAとして役立つ。このベクターは特有のBglII制限部位を含み、これが部位評価ライブラリー構築に利用された。簡単にいうと、nprE部位評価ライブラリーを構築するために、3回のPCR反応が行われた。これは、成熟nprE DNA配列中に目的の変異コドンを導入するための2回の変異導入PCRと成熟nprE配列中に目的とする変異コドンを含むpUBnprE発現ベクターを構築するためのこの2つの変異PCR 断片を融合するために使用された3回目のPCRを含む。
変異誘導の方法はコドンに特異的な変異誘導法に基づき、これは、特定のデザインされた3文字DNA配列NNS(N=A,C,TまたはG;及びS=C又はG)を含む、長さが25から45ヌクレオチドのフォーワード及びリバースオリゴヌクレオチドプライマーを用いて特定のDNA3文字に一度に全ての可能な変異の作成が行われるものである。ここでNNSは、変異を導入するコドンの配列に対応し、その特定のnprE成熟コドンの位置において無作為なヌクレオチドの導入を保証するものである。プライマーの名称の中に付された番号は特定のnprE成熟コドンの位置に対応する。複数の部位が評価を受けるよう含まれている。プライマー配列の一覧例はWO2007/044993に述べられ、引用により本明細書に組み入れられる。
部位評価ライブラリーを構築するために使用される2個の別のプライマーは、BglII制限部位を、BglII制限部位に隣接するpUBnprE DNAの一部とともに含んでいた。これらのプライマーはInvitrogenにより作成された(50nmole スケール、脱塩化)。
pUB-BglII-FW
Figure 0005498951
及び、pUB-BglII-RV
Figure 0005498951
各SELの構築は、pUB-BglII-FWプライマーとそのnprEリバース変異誘導プライマーを用いる2回のプライマリーPCR増幅により開始した。2番目のPCRについては、pUB-BglII-RVプライマーとそのnprEフォーワード変異誘導プライマー(フォーワード及びリバーズ変異誘導プライマーについてのnprE成熟コドンは等しい)が使用された。
この成熟nprE配列における変異の導入はPhusion High-Fidelity DNA ポリメラーゼ(Finnzymes;Catalog No. F-530L)を用いて行われた。全てのPCRはこのポリメラーゼとともに提供されたFinnzymes プロトコールに従い行われた。プライマリーPCRのPCR条件は、
プライマリーPCR1:
pUB-BglII-FWプライマーとそのNPREリバース変異誘導プライマー−両者1μL(10μM)
プライマリーPCR2:
pUB-BelII-RVプライマーとそのNPREフォーワード変異誘導プライマー−両者1μL(10μM)
と、以下の成分である。
5xPhusion HF緩衝液 10μL
10mM dNTP混合物 1μL
Phusion DNAポリメラーゼ 0.75μL(2単位/μL)
DMSO 100% 1μL
pUBnprE鋳型DNA 1μL(0.1-1ng/μL)
蒸留、蒸気滅菌水 50μLまで
このPCRプログラムは、30秒、98℃、30x(10秒、98℃、20秒、55℃、1.5分、72℃)及び5分72℃であり、PTC-200 Pelitier thermal cycle (MJ Research)で行われた。このPCR実験により、約2から3kBの2本の断片が得られ、これらは、目的のNprEの成熟コドンの周辺に約30ヌクレオチド塩基が共通していた。フラグメントは、これら2本の先に述べた断片とフォーワード及びリバースBglIIプライマーを使用した3回目のPCR反応で結合(fused)された。このフュージョンPCR反応は以下の溶液で行われた。:
pUB-BglII-FWプライマーとpUB-BglII-RVプライマー−両者1μL(10μM)
と、
5xPhusion HF 緩衝液 10μL
10mM dNTP 混合物 1μL
Phusion DNA ポリメラーゼ 0.75μL(2単位/μL)
DMSO, 100% 1μL
プライマリーPCR 1反応混合物 1μL
プライマリーPCR 2反応混合物 1μL
蒸留、蒸気滅菌水 50μLまで
このPCRヒュージョンプログラムは以下のように行われた。PTC-200 Peltier thermal cycler (MJ Research)30秒98℃、30x(10秒、98℃、20秒、55℃、2:40分 72℃)及び5分72℃。
増幅された線状の6.5Kbの断片は、Qiaquick PCR 精製キット(Quiagen, Catalog No. 28106)を用いて精製され、BglII制限酵素で切断され、フージョン断片の両端に結合端を作った。

-35μL精製線状DNA断片
-4μL REACT(登録商標)3 緩衝液 (Invitrogen)
-1μL BglII、10単位/ml (Invitrogen)
反応条件:1時間、 30 ℃
BglIIで切断され、Qiaquick PCR 精製キット(Quiagen, Catalog No. 28106)を用いて精製された断片の結合(ligation)により、環状で、望む変異を含む複数の断片からなるDNAが得られた。

-30μLの精製BglII切断DNA断片
-8μL T4 DNA リガーゼ緩衝液(Invitogen Catalog No.46300-18)
-1μL T4 DNA リガーゼ、1単位/μL(Invitogen Catalog No.15224-017)
反応条件:16-20時間、16℃
続いて、このリゲーション混合物はB・スブチリス(ΔaprE,ΔnprE、oppA、ΔspoIIE、degUHy32、Δamy E::(xylR,pxylA-comK)株を形質転換した。B・スブチリスの形質転換は、WO02/14490で記載されているように実施され、引用により本明細書に組み入れられる。各ライブラリーについて、96個の単一のコロニーが採取され、配列分析(BaseClear)とスクリーニングのため、ネオマイシンと1.25g/L酵母抽出物を含むMOPS培地で増殖された。各ライブラリーは最大19個のnprE部位特異的変異種を含んでいた。
この変異種は20mg/Lのネオマイシンと1.25g/Lの酵母抽出物を含むMBD培地中で68時間、37℃で96ウェルのMTPでB・スブチリスSEL形質転換種を増殖することにより産生された。
nprESELsの作成-方法II
nprE SELを作成する別の方法も述べられる。これらの方法は目的の他の酵素のSELの作成に適している。上記のように、nprE発現カセットを含むこのpUBnprEベクターは、nprESELとNprE変異種の作成のDNA鋳型として使用できる。この2法の間の主な違いは本法は相補的部位指定変異プライマーを使用するベクター全体の増幅を要するということである。
材料:
pUBnprEベクターを含むバチルス株
Quiagen Plasmid Midi Kit (Quiagen Catalog No. 12143)
Ready-Lyse Lysozyme(Epicentre Catalog No. R1802M)
dam Methylase Kit(New England Biolabs Catalog No.M0222L)
Zymoclean Gel DNA Recovery Kit(Zymo Research Catalog No. D4001)
nprE site-directed mutagenic primers, 100 nmole scale, 5’ リン酸化、PAGE 精製(Integrated DNA Technologies, Inc.)
QUICKCHANGE(登録商標)Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene Catalog No. 200514)
MJ Research PTC-200 Peltier Thermal Cycler (Bio-Rad Laboratories)
1.2% agarose E-gels(Invitrogen Catalog No. G5018-01)
TempliPhi Amplification Kit(GE Healthcare Catalog No.25-6400-10)
使用 B.スブチリス細胞(ΔaprE,ΔnprE、oppA、ΔspoIIE、degUHy32、Δamy E::(xylR,pxylA,pxylA-comK)株
方法
1変異を含むpUBnprEプラスミド(実施例3及びWO2007/04493で先に述べられたnprESELのスクリーニングにより同定される。WO2007/04493は引用により組み入れられる)を得るために、目的とする各バチルス株の単一コロニーが5ml LB+10ppm ネオマイシンを入れた試験管(例.スターター培養)に接種するために使用された。この培地は6時間、225rpmで振とうしながら37℃で培養された。次に、100mlの新鮮なLB+10ppmネオマイシンが1mlのスターター培地で接種された。この培地は225rpmで振とうしながら37℃で培養された。この培養に続き、収集に十分な遠心分離により細胞の粒が集められた。この粒は10mlの緩衝液P1(Quiagen Plasmid Midi Kit)中で再懸濁された。次に、10μlのReady-Lyse-Lysozymeがこの再懸濁された細胞粒に加えられ、30分間、37℃で保温された。10mlのBuffer P2とP3を培養液に加えて容量を増やし、Quiagen Plasmid Midi Kitのプロトコールを続けた。単一のnprE変異を含む各pUBnprEプラスミドをバチルスから単離した後、各プラスミドの濃度が決定された。次に、これらのプラスミドはメーカーの指図書に従い、damメチラーゼキット(New England Biolabs)を用いてdamメチル化され、試験管当たり約2μgの各pUBnprEプラスミドをメチル化した。Zymoclean Gel DNA回収キットがdam-メチル化されたpUBnprEプラスミドを精製、濃縮するために使用された。このdam-メチル化pUBnprEプラスミドは、次に、定量され、それぞれ50ng/μlの試験濃度に稀釈された。混合した部位指定変異プライマーが各反応ごとに別に調製された。例えば、pUBnprE T14Rプラスミドを鋳型として使用して、混合した部位指定変異プライマーの試験管は10μlのnprE-S23R、10μl nprE-G24R、10μl nprE-N46K、及び10μl nprE-T54R(全てのプライマーは各10μM)を含むであろう。QuikChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)を使用するPCR反応がメーカーの指図書に従い行われた(例.1μlの1変異を含むdam メチル化pUBnprEプラスミド(50ng/μl)、2μl nprE 部位指定変異誘導プライマー(10μM)、2.5μl 10xQuikChange Multi Reaction 緩衝液、1μl dNTP Mix、1μl QuikChange Multi enzyme blend(2.5U/μl)、及び17.5μlの蒸留、加圧滅菌水を用い、総計25μlの反応混合物を与える)。このnprE変異種ライブラリーは以下の条件を使用して増幅された。:95℃、1分(第1サイクルのみ)、続いて95℃、1分間、55℃、1分間、65℃、13.5分間、及び29サイクル繰り返す。反応生成物は4℃で一夜保存された。次に、この反応混合物は、メーカーのプロトコール(つまり、1.5μlのDpnI制限酵素が各試験管に加えられ、37℃で3時間保温される。)を用いてDpnI切断処理(QUIKCHANG(登録商標)Multi Site-Directed Mutagenesis Kitにより提供される)を受け親pUB-nprEプラスミドを切断した。2μlのDpnI-切断されたPCR反応物は次に1.2%E-ゲル上で分析され、PCR反応が進行し、親の鋳型が切断されたことを確認した。TempliPhiローリングサークル(rolling circle)増幅がメーカーのプロトコール(つまり、〜11μlの総反応量に対して、1μlのDpnI処理を受けたDNA
のQuikChange MultiSite-Directed Mutagenesis PCR, 5μl TempliPhi Sample 緩衝液、5μl TempliPhi Reaction 緩衝液、及び0.2μl TempliPhi Enzyme Mix、30℃、3時間で保温された。)を用いて、このnprE多数変異含有種のライブラリーのサイズを増やすために多量のDNAを作成するために使用された。このTempliPhi 反応物は200μlの蒸留、加圧滅菌水を加えることにより稀釈され、短くボルテックスが掛けられた。次に1.5μlの稀釈TempliPhi物はB・スブチリス細胞を形質転換し、nprE多数変異含有種は、LA+10ppm ネオマイシン+1.6%スキムミルクプレートを用いて選別された。コロニーが採取され、異なるnprE変異ライブラリーの組合せを決定するために配列決定された。
Integrated DNATechnologies 社は変異誘導のために使用された全てのプライマー(100nm台、5’-リン酸化、PAGE精製)を合成した。評価された位置は、4,12,13,23,45,49,50,54,59,60,65,82,90,110,119,128,129,130,135,136,137,138,139,140, 151,152,155,179,190,197,198,199,204,205,214,216,217,218,219,220,221,222,224,243,244,260,261,263,265,269,273,282,285,286,289,293,296,297及び299である。変異誘導プライマーの例はWO2007/044993に述べられ、引用により本明細書に組み入れられる。
実施例4
変異プロテアーゼの発現、発酵及び精製
本実施例は先の実施例の形質転換されたB・スブチリスのプロテアーゼの発現、発酵及び精製に使用される方法を述べる。

中性メタロプロテアーゼ
組換えバチルス・スブチリスは栄養培地中での従来のバッチ発酵により培養された。B・スブチルス培養菌(B・アミロリケファシエンス中性メタロプロテアーゼ、又はその変異種を含む)の1個のグリセロールバイアルが200mg/Lクロラムフェニコールを含む600mlのSBG 1%培地に接種するために使用された。この培養菌は37℃で36-48時間培養された。使用された別の方法は35℃で60時間ディファインド培地中で、組換えB・スブチリスの培養を行うことを含む。この培養液は、次に本技術分野で知られているように(SORVALL(登録商標)遠心分離機モデルRC5B)、12,000rpmで遠心分離により回収された。この分泌された中性メタロプロテアーゼは、培養液から単離され、BES(ポリエーテルスルホン)10kDa分離Amicon フィルターシステム8400用いて約10倍に濃縮された。
この濃縮された上澄み液は、1mM CaCl2を含有する25mM MES緩衝液,pH5.4に対して4℃で一夜透析された。この透析を受けた液は、カチオン-交換カラムPoros HS 20(総容量〜83mL;結合容量〜4.5gタンパク質/mL;Waters社のApplied Biosystemsカラム)に加えた。カラムは、1mM CaCl2を含む25mM MES緩衝液,pH5.4で予め平衡にされた。結合したタンパク質は25mM MES、pH5.4、1mMCaCl2から50mM MES、pH6.2、2mMCaCl2、100mM NaClまでpHと塩のグラジエントを掛けて溶出された。タンパク質の溶出はpH5.8と6.0の間であった。この純粋なタンパク質は濃縮され、2mMCaCl2、と40%プロピレングリコールを含む25mM MES緩衝液、pH5.8で緩衝液の交換を行った。調製物の純度はタンパク質分解活性の測定と、10%(w/v)NU-PAGE(登録商標)Novex SDS-PAGE (Invitrogen Corp.)により評価を受け、95%より高いことが見出された。

実施例5
NprEプロテアーゼのクエン酸-誘導自己分解の同定
本実施例では、野生型及び組換え変異NprEのクエン酸-誘導自己分解の評価に使用される方法が述べられる。これらの実験では、B・アミロリケファシエンス(B・スブチリスで発現された天然及び組換え変異種)由来の中性メタロプロテアーゼの自己分解がクエン酸ナトリウム(Sigma)を用いて誘導された。この自己分解過程は(i)25mM MES,pH6.5 中4℃又は(ii)5mM HEPES pH8.0 で、室温で反応を行うことにより制御された。これらの実験では、0.4mg/ml NprEの自己分解は、(a)10mMクエン酸において保温時間(0-120分)を変えるか;又は(b) 100分でクエン酸濃度(10-100mM)を変えることにより最適化された。緩衝液のみ(つまり、クエン酸を含有しない)で稀釈された中性メタロプロテアーゼの対照サンプルは同様の条件で保温された。残存プロテアーゼ活性は、合成ペプチド(Abz-AGLA-Nba)を用いて測定され、クエン酸のないその対照サンプルと比較して計算された。
図1Aで示されるように、この中性メタロプロテアーゼNprEは、弱いカルシウムキレート剤であるクエン酸の存在下、不活性化される。100-250mMのクエン酸存在下であって、カルシウムのない条件では、野生型中性プロテアーゼの活性は、室温で5分間保温されたとき、30%未満まで減少する。このクエン酸によるプロテアーゼの不活性化は、塩化カルシウムによる滴定により解消される。さらに、2mM塩化カルシウムの存在下、野生型中性プロテアーゼは完全に安定であり、酵素的に活性である。この結果は、亜鉛ではなく、カルシウムの除去がクエン酸存在下でのNprEの不安定性の原因であることを実証している。
4℃で行われた自己分解反応は等量の1N HClの添加により終了された。このサンプルは、TCAを使用して沈殿され、ペレットは洗浄され、アセトンを用いて乾燥された。得られたペレットは20μL緩衝液, pH6.5、4XLDSサンプル緩衝液(NuPage, Invitrogen)中で再懸濁された。この自己分解断片は10%(w/v)SDS-PAGE上で分離され、PVDF膜上にエレクトロブロッティングされた。最初の10アミノ酸残基はエドマン分解(Argo Bioanalytica)により配列が決定され、表5-1に示されている。自己分解反応の断片の部分的なアミノ酸配列は、トリプシンイン-ゲル(in-gel)分解を使用し、LCQ-MS(Agilent)を使用して分析された。このイン-ゲル分解法は、タンパク質を含んだゲル片を単離し、クーマシーブルー色素を除き、2M尿素を含む25mMNH4CO3中でゲル片を含水させることを含む。トリプシンが37℃で約6時間掛けてこの再含水したゲル片に加えられた。切断後、これらのペプチドはアセトニトリルとTCAを用いて抽出された。これらのペプチドはアセトニトリル-水のグラジエントを用いてC4-疎水性カラム(Vydac)上で分離された。得られたペプチドマップは、SEQUE ST(登録商標)データベースサーチプログラムによりGenencor の酵素を含むデータべースに対し、検索された。各断片の最初の10個のアミノ酸配列が、B・アミロリケファシエンスNprEの既知のアミノ酸配列と比較された。これによりN-末端のアミノ酸の同定及び、それによりNprE内での切断部位の同定ができた。
野生型中性プロテアーゼ上でのクエン酸の自己分解は、図1B内に示されているように4℃でクエン酸の濃度を上昇させて、分析された。10mMのクエン酸と90分間保温後、残存した完全なNprEに加え2個の第1の自己分解断片が観察された(レーン1)。完全なNprEの分子量は約32kDaであり、第1の自己分解断片は、約24kDaと9kDaの大きさである。100mMまでのクエン酸濃度を上昇させると、さらに自己分解が進み、別の第2の自己分解断片(レーン4-7)が生じた。特に、クエン酸の増大により、24kD自己分解断片は、さらに加水分解され3個の21kDa、15kDa及び11kDaのより小さい断片を生じた。
これらの断片のN-末端は、エドマン分解(図2)により同定された。断片1、3及び4全ては、元のN-末端配列をもち、断片2と5は独自のN-末端をもつ。断片2は、元のN末端が切れ、N−末端の始まりはD220、A221またはG222、またはその近くである。15kDaの断片のC-末端がその大きさに基づき推定され、L198またはその付近である。イン-ゲルトリプシン切断とLCQ-MSは、これらの自己分解断片の同定を確認した。NprE切断断片のN-末端とLCQ-MS分析に基づき、第1の切断部位はアミノ酸部位M138、L198、D220、A221及びG222であると同定された。
Figure 0005498951
実施例6
クエン酸誘導自己分解に耐性のあるNprE 変異種の産生
本実施例はカルシウムキレート剤の存在下、安定性を改善したNprE変異種のスクリーニングを述べる。第1の切断部位、M138、L198、D220、A221及びG222とこれらの部位の近辺のアミノ酸及び/または酵素表面にあるアミノ酸は実施例3とWO2007/044993(引用により全てを本明細書に組み入れる)で述べられた遺伝子作成及び配列決定法を用いて変異誘導の目標とされた。S129、F130、M138、V190及びD220の部位評価ライブラリー(天然のアミノ酸残基が19個の別のアミノ酸残基の一つによりそれぞれ置き換えられている)が調製された。同様に、2重(M138L-D220P; F130L-D220P; S129I-D220P; V190I-D220P; S129I-V190I, S129V-V190I, S129V-D220P)、3重(M138L-V190I-D220P, S129I-F130L-D220P)及び4重(S129I-F130L-M138L-V190I-D220P)アミノ酸置換変異種が作成された。
NprE SELメンバーが、50mMクエン酸ナトリウムの存在下及び非存在下、スクリーニングされた。使用された緩衝液は0.1mMCaCl2を含む25mMHEPES、pH8.0であった。プロテアーゼの活性はスクシニル化-カゼイン/TNBSA法(Pierce. Inc. Rockford,IL)又はケイ光で標識されたAbz-AGLA-Nba ペプチド定量(Vriendら、J.Biol.Chem., 255:3482-3486, 1980)を用いて測定された。使用された分光光度計はSpectraMax M2°(Molecular Devices)であり、全ての定量は培地タンパク質-結合96ウェルプレート(Corning International)で行われた。残存プロテアーゼ活性は、室温で、60分間保温した後、4度の繰り返しについて計算された。この値は、野生型NprEについて観察されたものと比較して規格化された。クエン酸に対して安定性が増大した(野生型と比較して)それぞれの変異タンパク質が更に特徴づけをするために選択された。NprE138(自己分解部位)、190(露出表面部位)及び220(自己分解部位)でのDMC/TNBSA終点定量を用いる代表的スクリーニングデータが図3に示されている。
同様に、単一(S129I/L、F130L、M138I/L、V190I、D220P/E)、2重(S129I-V190I、S129V V190I、M138L-D220P、S129I-D220P、F130L-D220P、V190I-D220P及びS129V-D220P
)、3重(S129I-F130L-D220P、及びM138L-V190I-D220P)及び5重(S129I-F130L-M138L- V190I-D220P)NprE変異種のクエン酸に対する安定性は、合成ペプチドに対するプロテアーゼ活性の測定、及びSDS-PAGE分析により評価された。クエン酸スクリーニングデータはLeuによるM138、Pro又はGluによるD220、IleまたはLeuによるS129、LeuによるF130及びLeuまたはIleによるV190の置換により、クエン酸自己分解に対する感度が低くなったプロテアーゼが生じたことを示した。
選択した中性プロテアーゼ変異種の安定性のクエン酸濃度依存性は図4Aに示されている。単一のアミノ酸置換変異種、S129I/V、M138I/L及びD220E/Pは、室温で100mMクエン酸の存在下で保温されたとき、野生型タンパク質よりも、20-30%大きい残存活性を示した。V190Iは60分間、室温で100mMのクエン酸中で保温した後、最大の残存活性(〜60%)を示す。これらの変異の組み合わせは相加性を示した。最もクエン酸に安定な変異種はS129I-F130L-M138L-V190I-D220Pの5変異の組み合わせである。この5重変異種S129I-F130L-M138L-V190I-D220Pは100mMのクエン酸存在下、150分間その活性の全てを保持し、この向上した安定性はSDS-PAGEにより観察されるように自己分解断片のないことにより実証される。特に、図4Bに示すように、クエン酸の濃度が増大するとき、野生型NprE(レーン1-4)に特徴的な自己分解パターンは、S129I-F130L-M138L-V190I -D220P(レーン6-10)が自己分解しないことと対照的である。室温で60分間保温した後の、100mMクエン酸の存在下、野生型NprEと変異中性メタロプロテアーゼの残存活性のパーセンテージは、図6に示され、明確に、自己分解の耐性への単一の置換の相加性を示している。
実施例7
示差走査熱量測定(DSC)
過剰熱容量曲線は超感度走査高効率ミクロ熱量測定計、VP-Cap DSC(MicroCal. Inc., Northampton, MA)を使用して、測定された。約500 Lの200から400ppmのタンパク質が必要であった。通常、400ppmのNprEとその変異メタロプロテアーゼ(クエン酸非存在下、130mMのクエン酸の存在下)は、20-100℃の温度範囲にわたり走査された。同一のサンプルは、この方法の可逆性を点検するため再走査された。中性プロテアーゼについては、熱による折れたたみの解ける過程は非可逆的であった。使用された緩衝液は5mM HEPES,pH8.0であった。NprEの融点の走査速度に依存するデータは、25から200℃/時間の走査速度で評価された。200℃/時間の走査速度が、凝集または自己分解から生じうる分解物を最小にするため、最終的に選ばれた。DSC曲線の融点(Tm)は、熱安定性の標識として使用された。440ppm野生型中性プロテアーゼは69.2±0.5℃の融点(Tm)を示した。野生型とNprE変異種の融点が図6に示され、この変異種はクエン酸がない条件では、融点に最小限の影響しか与えないことを示している。
それに対し、クエン酸存在下での変異NPrEの熱的な解けは、野生型NprEと大きな違いを示す(図6)。130mMクエン酸、pH8.0の存在下、野生型タンパク質について熱的な解けのプロファイルはない。これは、その迅速で完全なクエン酸誘導自己分解と不活性化と一致している。対照的に、全てのクエン酸安定変異種は熱的な折りたたみの解けのプロファイルを示した。野生型NprEと変異種の熱による折りたたみの解けの中間点は、図5Bに示している。130mMクエン酸存在下、DSCを使用して特徴付けられた最もクエン酸に安定性の低い変異種は48℃の融点を有し、最も安定な単一変異種は52℃の融点(図6)を有する。このクエン酸に対し安定化する置換は相加性を示し、S129I-F130L-M138L-V190I -D220P変異種のプロテアーゼ骨格の5箇所の変異の組み合わせは59.2℃のTmを有する。5個の改善された変異の組み合わせは、+10℃の上昇となる(図5と6)これらの結果を合わせると、クエン酸誘導自己分解に対する耐性とクエン酸存在下での熱安定性の間に相関があることが分かる。
実施例8
NprEの相同モデリング
この実施例はB.セレウスNprEの既知の構造に基づくB・アミロリケファシエンスNprEの構造のモデリングを述べる。B・アミロリケファシエンスNprE の構造は、B.セレウスNprE に45%同一である。加えて、ミクロPIXES分析は、NprEの亜鉛とカルシウムの結合の化学量論を確認するため使用された。このモデルは溶媒に晒される可能性のあるNprEのアミノ酸を同定するために使用された。
配列分析で使用される構造の座標、位置合わせとモデリングがPDBからダウンロードされた。B・アミロリケファシエンスNprEのタンパク質配列は、Swissport No. P06832に見出され、成熟体の配列はSEQ IDNO:3として表されている。プログラムスイートMOE(Chemical Computing Corp Montreal, Canada)が、このプログラムと共に提供されたマニュアルに従い位置合わせ計算、手動再調整、分析及びモデル作成に使用された。Charmm27のパラメーターの組がエネルギー最小化の計算のために選択された。
B・セレウス(1NPC)、B・テルモプロテオリティクス(PDB 1D 1KEI)、P・エルギノザ(1EZM)、及びS・アウレウス(1BQB)の亜鉛中性プロテアーゼの構造が入手できる。これらの構造の中でB・アミロリケファシエンスNprEの成熟プロテアーゼ領域に最も類似の相同体はB・セレウスNprEであり、モデリングの鋳型構造として使用された。これらの構造は構造的な位置合わせが行われた。この配列の位置合わせの比較により、B・アミロリケファシエンスNprE配列とB.セレウスNprE配列の間で多くの挿入、欠失が明らかになった。位置合わせを点検すると両者に誤りらしいものが明らかになり、この位置合わせは手動により調整された。B・アミロリケファシエンスNprEは、2個のCa2+イオンがこのタンパク質に結合すると予測されているループに、鋳型1NPC構造と比較して4個の残基の欠失を有する。これは、この非常に重要な領域のモデリングを、当初困難なものとした。幸いに、S・アウレウスNprEは、B・アミロリケファシエンスNprEと同一の化学量論量の結合金属を有し、このループにおいて同一の欠失を有する。このため、酵素に、より正確にCa2+が結合するように、この領域における手動による再構築のため、S・アウレウスNprE構造が使用できた。このモデルのエネルギーを最小化することを図ったが、亜鉛とカルシウム結合部位についてよい結果は得られなかった。そのため、金属イオンとその配位子はエネルギー最小化を通じて固定された。水分子はこのモデルに加えられなかった。
B・アミロリケファシエンスNprE相同体モデルは成熟酵素の300個の残基を含んでいる。
最終モデルのRamachandronプロットは3つの外れた残基を明らかにした。これは、S23、N61及びS191である。表面に出ている残基の分析により、この表面に8個の脂肪族又は芳香族残基を明らかにした。これらは、Y49、L55、I117、F130、V190、L216、V260及びL282である。これらの残基は表面に出ているループにあり、一般的に相同モデリング法を用いて、最も正確にモデル化ができない領域であり、このモデル化が比較的信頼できない領域となっている可能性がある。
B・アミロリケファシエンスNprE酵素のN-末端部分は、8本の分子鎖が合わさったベータシートを含み、これは、長いらせん構造の表面の約75%の表面を含む。この酵素のC-末端部分は、大部分6本のらせん状の分子鎖の束と逆平行のベータシートの2本の短い分子鎖からなる。この酵素の活性部位はこれらの2個のサブ-ドメインの間にある。この基質が結合する裂け目は非常に大きく開き、観測されるエンド-プロテアーゼ活性と整合している。
基質の入る裂け目の中央に、触媒的に重要なZn2+イオンが見出される。このモデルはH143、H147及びE167が、正四面体構造で、このZn2+イオンに結合することを予測する。テルモシリンでは、4番目の配位子は水である。しかし、水はB・アミロリケファシエンスNprE相同体モデルには加えられなかった。残基D139、D178、E180、D181、E186及びD197は二個のカルシウム部位を形成する。モデルのCA351はD139, D178、D181及びE186の側鎖とD183の主鎖のカルボニル基により錯体を形成している。モデルのCA352は、D178、E180、D181及びE187の側鎖と錯体形成している。D187の側鎖は、またCA352の近くにもあるが、これがこのイオンに配位しているかは、モデルから明らかではない。
B・アミロリケファシエンスNprEの金属イオンの化学量論を予測するため、ミクロ-粒子-誘導 X 線発光(ミクロ-PIXE)分光測定が行われ、実験的に亜鉛とカルシウム含量が決定された。Surrey大学イオンビームセンター(Guildford、英国)がPIXES分析のために使用された。表8-1に示すように、観測された化学量論は、Zn2+について1.02であり、Ca2+について1.62である。2個の予測されたCa2+イオンのうち1個または両者について部分的な配位が仮定されるなら、この分析は予測と一致する。Zn2+とCa2+の結合親和性の決定によると、Zn2がCa2+よりも10-倍強く結合することを示し、PIXEサンプルで観測されたCa2+の若干の喪失と一致する。
Figure 0005498951
実施例9
pH依存活性と安定性の評価

A. 野生型NprEと変異NprEのpH依存活性
異なるpHの緩衝液がMES1水和物、トリズマ(Trizma)塩基及び酢酸ナトリウム(すべてSigma)を用いて調製された。緩衝液の各成分の最終濃度は25mM酢酸塩、50mM MESと25mMトリスであった。この緩衝液のpHは水酸化ナトリウム又は塩酸のいずれかを使用して最終pH9.40、8.69、8.36、7.70、7.45、6.52、6.00、5.45、4.78及び4.27に調整された。AGLA基質(American Peptide Company)が、4.8mMの濃度でDMFに溶解された。各緩衝液に異なる濃度のAGLA基質が調製され、最終AGLA濃度は0.096mM、0.048mM、0.024mM、0.012mM及び0.006mMであった。
200μlの、各基質濃度の各pH緩衝液が96ウェルのプレートに加えられ、10μlの0.94μg/mlの精製NprE又は変異種が各ウェルに加えられた。次にこのプレートを15秒間振とうさせた。各ウェルからのケイ光が、プレートリーダー(Molecular dynamics)を使用して、5分間11秒毎に測定して、350nmの励起光と415nmの発光でモニターされた。各曲線のVmax(最大線型傾斜)が記録された。VmaxをAGLA基質濃度に対してプロットするとKcat/Kmが分かり、これは、この曲線の傾斜と基質に使用された最終酵素濃度に基づいて計算された。図8に示すとおり、野生型NprEと5重NprE変異種(S129I-F130L-M138L-V190I-D220P)はpH6.5でAGLA基質に対して最高の活性をもつ。
B.野生型NprEと変異NprEのpH依存安定性
異なるpHでの野生型NprEと5重NprE変異種(S129I-F130L-M138L-V190I-D220P=「5重変異」)の安定性が塩化カルシウムのない条件又は2mM塩化カルシウム存在下で試験された。異なるpHの同一の組の緩衝液が、先に述べたように使用された。但し、96ウェルのプレートにタンパク質が結合することを避けるため0.005%Tween80も各緩衝液に加えられた。1組の緩衝液に、2mM塩化カルシウムが加えられた。精製されたタンパク質が最終タンパク質濃度が10μg/mlになるように加えられた。総量は96ウェルのプレートで200μl/ウェルであった。このプレートは室温(例.23℃)で、3時間保温された。異なるpHでの各タンパク質の活性がAGLA定量を用いて測定された。野生型NprEは、pH6.5で最も安定であり、6.5より低い又は高いpHでは安定性が低下した。pH4.3では、NprEは100%活性を失う。5重変異種は、pH5.5 からpH9.4の広いpHの範囲で非常に安定である。4.7未満のpHでは、5重変異種の安定性は低下する。しかし、2mMのカルシウムを加えると、低pHと高pHの両方でNprEと5重変異種の両方が安定化する。
本明細書で述べられた全ての特許と刊行物は本発明が属する技術分野の技術者の水準を示している。本明細書の全ての特許と刊行物は、各刊行物が具体的に、それぞれについて引用により組み入れられることが示されているのと同等に、引用により本明細書に組み入れられる。しかし、刊行物の引用が本発明に関し、先行技術であることを認めるものであると解釈されてはならない。
本発明の実施例で述べたが、開示された実施例について種々の修飾を行いうること、そのような修飾は本発明の範囲内にあることは、本技術分野の技術者に明らかである。
本技術分野の技術者は、本発明がそれを遂行し、その発明に固有に備わったものと併せ、明細書に述べられた目的と利点を得るに良く適していると容易に認める。本明細書に述べられた組成物と方法は代表であって、本発明の範囲の限定であると考えてはいない。本発明の範囲と思想から逸脱せずに本明細書に開示された発明に種々の置換と修飾が行われ得ることは本技術分野の技術者には容易に理解できる。
本明細書に説明した本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれの特定事項、限定をも加えることなく実施しうる。使用された用語と表現は説明のために使用されたものであり、限定のために使用されたのではない。そのような用語及び表現の使用は、示された、又は述べられた特徴又はそれらの一部と同等のものを排除する意図はなく、請求項の発明の範囲内で種々の変更が可能であることが分かる。従って、本発明は、具体的に実施例と任意の技術的特徴により開示されてきたが、本明細書に開示された概念の修飾と変更は本技術分野の技術者に委ねられており、またそのような修飾と変更が、請求項により定められている本発明の範囲内に属すると考えられることは理解されるべきである。
本発明は本明細書で広く遺伝子学的に述べられた。この一般的な開示内にあるより狭い概念、下位概念も本発明の範囲に属する。これは、いずれかのものをこの一般的範囲から除外する但し書き又は消極的限定を付した一般的記述を含み、この除外されるものが具体的に本明細書に列挙されているか否かに係らない。

Claims (27)

  1. 金属キレート剤の存在下の野生型バチルス中性メタロプロテアーゼの抵抗性と比べて、前記金属キレート剤の存在下で抵抗性の向上した単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種であり、前記変異種はSEQ ID NO:3として表されたアミノ酸配列の129、130、138、190及び220の位置と同等の位置からなる群から選択された3又は5箇所での置換を含むアミノ酸配列を有し、前記置換はM138L/V190I/D220P及びS129I/F130L/M138L/ V190I/D220Pから選択された複数の変異を含むバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種。
  2. 請求項1の単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種であって、野生型バチルス中性メタロプロテアーゼの抵抗性に比べクエン酸-誘導自己分解に対し抵抗性が改善しているバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種。
  3. 請求項1の単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種であって、前記バチルス属は、B・アミロリケファシエンスであるバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種。
  4. 請求項1の単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種であって、前記単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼはSEQIDNO:3として表されたアミノ酸配列の中性メタロプロテアーゼと少なくとも90%のアミノ酸の同一性を有するバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種。
  5. 請求項1のバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種をコードする単離された核酸。
  6. 請求項5の核酸を含む発現ベクター。
  7. 請求項6の発現ベクターを含む宿主細胞。
  8. 請求項1の単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種であって、前記変異種はSEQIDNO:19(M138L/V190I/D220P)、及び/またはSEQIDNO:20(S129I/F130L/M138L /V190I/D220P)として表されたアミノ酸配列を含むバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種。
  9. 請求項1の単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種を含む組成物。
  10. 請求項9の組成物であって、さらに少なくとも1個のカルシムイオン及び/又は少なくとも1個の亜鉛イオンを含む組成物。
  11. 請求項10の組成物であって、さらにクエン酸を含む組成物。
  12. 前記組成物は洗浄剤組成物である、請求項9の組成物。
  13. 請求項12の組成物であって、前記組成物は、さらにプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、クチナーゼ、酸化還元酵素、ヘミセルラーゼ及びセルラーゼからなる群から選択される少なくとも1個の追加の酵素又は酵素誘導体を含む組成物。
  14. 請求項9の組成物であって、前記組成物は、少なくとも 0.0001重量パーセントのバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種;または 0.001から 0.5重量パーセントのバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種を含む組成物。
  15. 請求項9の組成物であって、さらに少なくとも1個の補助成分を含む組成物。
  16. 請求項9の組成物であって、さらに3から5の原液のpHを当該組成物を与えるに十分な量のpH調節剤を含み、当該組成物はpH3からpH5のpHで加水分解する物質を本質的に含まない組成物。
  17. 請求項16の組成物であって、さらに少なくとも1個の界面活性剤を含む組成物。
  18. 請求項17の組成物であって、前記界面活性剤はエチレンオキサイド部分を含むアルキル硫酸ナトリウム界面活性剤である組成物。
  19. 請求項9の組成物であって、前記組成物は液体である組成物。
  20. 請求項9の組成物であって、前記組成物は動物飼料である組成物。
  21. 請求項9の組成物であって、前記組成物は繊維処理組成物及び/または皮革処理組成物である組成物。
  22. 請求項12の洗浄剤組成物と布地を含む表面及び/または製品を接触させる段階を含む洗浄方法。
  23. 請求項22の洗浄方法であり、布地を含む前記表面及び/または製品を濯ぐ段階をさらに含む洗浄方法。
  24. 請求項1の単離されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種を産生する方法であって、前記バチルス中性メタロプロテアーゼ変異種をコードする核酸を含む発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、形質転換された宿主細胞を産生し、前記形質転換された宿主細胞を、前記バチルス中性メタロプロテアーゼ変異種の産生に適した条件下で培養し、前記バチルス中性メタロプロテアーゼ変異種を産生することを含む方法。
  25. 請求項24の方法であって、さらに前記産生されたバチルス中性メタロプロテアーゼ変異種を収集する段階を含む方法。
  26. 請求項24の方法であって、前記宿主細胞はバチルス属の種である方法。
  27. 請求項26の方法であって、前記バチルス属の種はB・スブチリスである方法。
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