JP5498871B2 - 光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法 - Google Patents

光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法に関する。
プリント配線板やリードフレームの製造方法として、表面に導電層を設けた絶縁性基板あるいは導電性基板の回路部にエッチングレジスト層を設け、露出している非回路部の導電層をエッチング除去して導電パターンを形成するサブトラクティブ法がある。また、絶縁性基板の回路部にメッキ法で導電層を設けていくアディティブ法やセミアディティブ法がある。
近年の電子機器の小型、多機能化に伴い、機器内部に使用されるプリント配線板やリードフレームも高密度化や導電パターンの微細化が進められており、サブトラクティブ法により、現在では導体幅が50〜80μm未満、導体間隙が50〜80μmの導電パターンが製造されている。また、さらなる高密度化、微細配線化が進み、導体幅あるいは導体間隙50μm未満の超微細な導電パターンが求められるようになってきている。それに伴って、導電パターンの精度やインピーダンスの要求も高くなっている。このような微細な導電パターンを形成するため、従来から、サブトラクティブ法に代わり、セミアディティブ法が検討されているが、製造工程が大幅に増加するという問題や電解メッキ銅の接着強度不足等の問題があった。そのため、サブトラクティブ法でプリント配線板やリードフレームを製造するのが主流となっている。
サブトラクティブ法において、エッチングレジスト層は、感光性材料を用いた露光現像工程を有するフォトファブリケーション法、スクリーン印刷法、インクジェット法等によって形成される。この中でも、フォトファブリケーション法におけるネガ型のドライフィルムレジストと呼ばれるシート状の光架橋性樹脂層を用いた方法は、取り扱い性に優れ、テンティングによるスルーホールの保護が可能なことから好適に用いられている。
光架橋性樹脂層を用いた方法では、基板上に光架橋性樹脂層を形成し、露光現像工程を経てエッチングレジスト層が形成される。微細な導電パターンを形成するためには、微細なエッチングレジスト層を形成させることが必要不可欠である。このために、できる限りレジスト膜厚を薄くする必要がある。光架橋性樹脂層として一般的なドライフィルムレジストでは、例えば、10μm以下の膜厚にすると、ゴミを核とした気泡の混入や凹凸追従性の低下が原因となり、レジスト層の剥がれや断線が発生するという問題があり、微細なエッチングレジスト層を形成させることは困難であった。
このような問題を解決すべく、あらかじめ基板上に厚い光架橋性樹脂層を形成し、次に、高濃度の無機アルカリ性化合物を含むアルカリ水溶液を用いて光架橋性樹脂層を薄膜化した後、回路パターンの露光、現像を行ってエッチングレジスト層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1において、連続薄膜化処理によって光架橋性樹脂溶解量が増加すると、樹脂層中のポリマー成分、架橋剤、光重合開始剤、染料等の不溶性の残渣が浮遊するスカムやそれらが沈殿してできるスラッジが生成され、これが薄膜化時に膜表面に再付着するため、露光、現像工程において解像不良となることがある。さらに、通常、スプレー処理で薄膜化されることが多く、光架橋性樹脂溶解量が増加して、発泡が激しくなり連続運転できなくなるという問題があった。
消泡の手段として、物理的・機械的方法と化学的方法が挙げられる。物理的・機械的方法は、温度、圧力の変化、超音波などによって泡を不安定化させる方法や吸引によって強制的に泡を排除する方法である。化学的方法は、主として消泡剤を添加して消泡する方法である。物理的・機械的方法に比べ、化学的方法は、簡易で能率がよいため、より有利な方法である。
消泡のために添加される消泡剤には、シリコーン系消泡剤と有機系消泡剤がある。シリコーン系消泡剤は、消泡の速効性に優れるが、消泡能力の持続性や相溶性、濡れ性の点で劣っており、はじきやクレーターといった欠陥を引き起こしやすい。一方、有機系消泡剤は、界面活性剤、ポリエーテル、高級アルコール等があるが、水性の発泡液の消泡において、シリコーン系消泡剤に比べて優れた持続性を示す。しかし、光架橋性樹脂の溶解量が増え、消泡のためにその添加量が多くなると、油状のスカムとなり膜表面に再付着するという問題があった。また、薄膜化処理において、光架橋性樹脂の溶解は、通常、スプレー処理で行われることが多く、供給ポンプに付いたインペラのせん断力によって、エマルジョンが破壊され、消泡剤の油分が分離するという問題があった。そのため、水溶液中でより安定に存在できる消泡効果の高い有機系消泡剤が求められていた。
国際公開第2009/096438号パンフレット
本発明の課題は、光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法において、連続薄膜化処理によって光架橋性樹脂溶解量が増加した場合にも、現像能力および溶解能力を一定に維持することができる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法において、工程(a)基板上に光架橋性樹脂層を形成する工程、工程(b1)無機アルカリ性化合物を5〜20質量%含む水溶液で処理する工程、工程(b2)無機アルカリ性化合物と式1または式2で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤とを含み、pH5〜10である水溶液で処理する工程を含むことを特徴とする光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法を見出した。
Figure 0005498871
式1および式2において、mおよびnは0または1以上の整数で、かつ、0≦m+n≦30である。
本発明の光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法においては、光架橋性樹脂層の薄膜化処理工程(b2)において、アセチレン基を中央に持ち、左右対称の構造をした非イオン性界面活性剤を無機アルカリ性化合物を含む水溶液に少なくとも一種含有させることにより、連続薄膜化処理で光架橋性樹脂溶解量が増加した場合でも、処理液の発泡を持続的に抑制し、多量に発生するスカムの膜表面への再付着を防止することができる。また、光架橋性樹脂の溶解量が増加し、上記界面活性剤の添加量が多くなった場合でも、消泡剤由来の油状スカムによる膜表面への再付着は発生しない。また、連続スプレー処理においても、エマルジョン破壊による消泡剤油分の分離はほとんどない。これにより、連続運転においても、薄膜化処理工程で、現像能力および溶解能力を一定に維持することができる。
光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法の一例を示す断面工程図である。 薄膜化された光架橋性樹脂層を使用した導電パターンの作製方法の一例を示す断面工程図である。
以下、本発明の光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法について詳細に説明する。
図1は、光架橋性樹脂層を薄膜化処理方法の一例を示す断面工程図である。図1において、絶縁性基板5の片表面に導電層4を設けてなる基板2を使用している。工程(a)では、基板2の導電層4上に光架橋性樹脂層1を形成する。工程(b1)では、光架橋性樹脂層1の上層部にアルカリ水溶液を浸透させ、ミセル化した光架橋性樹脂層6を形成する。工程(b2)では、ミセル化した光架橋性樹脂層6を溶解除去し、光架橋性樹脂層1を薄膜化させる。工程(b3)では、薄膜化後の光架橋性樹脂層1を水洗した後、水滴を除去する。
光架橋性樹脂層の形成には、例えば、加熱したゴムロールを加圧して押し当てる熱圧着方式のラミネータ装置を用いることができる。加熱温度は100℃以上であることが好ましい。基板には、アルカリ脱脂、酸洗等の前処理を施してもよい。
本発明においては、表面に導電層を設けた基板が好ましく用いられる。このような基板としては、プリント配線板またはリードフレーム用基板が挙げられる。プリント配線板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。フレキシブル基板の絶縁性基板の厚さは5〜125μmで、その両面もしくは片面に1〜35μmの金属箔層が導電層として設けられており、可撓性が大きい。絶縁性基板の材料には、通常、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー等が用いられる。絶縁性基板上に金属箔層を有する材料は、接着剤で貼り合わせる接着法、金属箔上に絶縁性基板材料である樹脂の液を塗布するキャスト法、スパッタリングや蒸着法で絶縁性基板である樹脂フィルム上に形成した厚さ数nmの薄い導電層(シード層)の上に電解メッキで金属箔層を形成するスパッタ/メッキ法、熱プレスで貼り付けるラミネート法等のいかなる方法で製造したものを用いてもよい。金属箔層の金属としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、あるいはそれらの合金等のいかなる金属を用いることができるが、銅が一般的である。
リジッド基板としては、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂等を浸漬させた紙基材またはガラス基材を重ねて絶縁性基板とし、その片面もしくは両面に金属箔を導電層として載置し、加熱及び加圧により積層して、金属箔層が設けられたものが挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、貫通孔や非貫通孔を有する多層板も挙げられる。厚みは60μm〜3.2mmであり、プリント基板としての最終使用形態により、その材質と厚みが選定される。金属箔層の材料としては、銅、アルミニウム、銀、金等が挙げられるが、銅が最も一般的である。
これらプリント基板の例は、「プリント回路技術便覧」(日本プリント回路工業会編、1987年刊行、日刊工業新聞社刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット編、1992年刊行、近代化学社刊)に記載されている。リードフレーム用基板としては、鉄ニッケル合金、銅系合金等の基板が挙げられる。
光架橋性樹脂層とは露光部が架橋して現像液に不溶化する樹脂層であり、回路形成用として、ネガ型のドライフィルムレジストが一般的に使用されている。市販のドライフィルムレジストは、少なくとも光架橋性樹脂層を有していて、ポリエステル等の支持層フィルム上に光架橋性樹脂層を設け、場合によってはポリエチレン等の保護フィルムで光架橋性樹脂上を挟んだ構成となっているものが多い。本発明において、光架橋性樹脂層として使用できる市販のドライフィルムレジストとしては、例えば、サンフォート(登録商標)シリーズ(旭化成イーマテリアルズ社製)、フォテック(登録商標)シリーズ(日立化成工業社製)、リストン(登録商標)シリーズ(デュポンMRCドライフィルム社製)、ALPHO(登録商標)シリーズ(ニチゴー・モートン社製)等を挙げることができる。
光架橋性樹脂層の厚みは、15〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。この厚みが15μm未満では、ゴミを核とした気泡の混入や凹凸追従性不良によって、レジスト剥がれや断線が発生する場合がある。一方、100μmを超えると、光架橋性樹脂層の製造コストが高くなるだけでなく、製造した光架橋性樹脂層のエッジフュージョンが顕著で保存性が悪くなる場合がある。
本発明における光架橋性樹脂層の薄膜化処理は、少なくとも工程(b1)〜(b2)を含む。まず、工程(b1)において、無機アルカリ性化合物を5〜20質量%、より好ましくは、10〜15質量%含む水溶液を供給することにより、溶解途中でミセル化された光架橋性樹脂層成分を一旦不溶化し、処理液中への溶解拡散を抑制する。5質量%未満では、ミセルが不溶化し難く、溶解除去途中で可溶化されたミセルが溶解拡散して、薄膜化処理で面内ムラが発生する。また、20質量%を超えると、無機アルカリ性化合物の析出が起こりやすく、液の経時安定性、作業性に劣る。溶液のpHは9〜12の範囲とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜少量添加することもできる。無機アルカリ性化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。
次いで、工程(b2)では、無機アルカリ性化合物を含み、かつ、pH5〜10、より好ましくはpH6〜9、さらに好ましくはpH7〜8の水溶液を供給し、工程(b1)で不溶化された光架橋性樹脂層成分を再分散させて溶解除去する。無機アルカリ性化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムがより好ましい。無機アルカリ性化合物の濃度は、0.01〜1.0質量%が好ましく、0.03〜0.5質量%がより好ましく、0.05〜0.3質量%がさらに好ましい。このように、工程(b1)と工程(b2)を分けることで、工程(b1)では光架橋性樹脂層は処理液中にほとんど溶け込まないため、処理液の溶解性変化が少なく、安定した連続薄膜化処理ができるという利点がある。また、工程(b2)において、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩はいずれもアルカリ領域に優れた緩衝能力を有するため、工程(b1)から高濃度のアルカリ水溶液の一部が混入した場合においても、急激なpHの上昇を防止することができ、局所的な処理液の攪拌ムラおよびスプレームラ、光架橋性樹脂層の溶解ムラに起因するpH変化を最小限まで抑制することができる。さらに、pH5〜10の水溶液を使用することにより、(b2)における光架橋性樹脂層成分の再分散性を一定に保つことができ、安定した連続薄膜化処理ができる。
工程(b2)において、水溶液のpHが5未満では、再分散により溶け込んだ光架橋性樹脂成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって薄膜化した光架橋性樹脂層表面に付着する。一方、水溶液のpHが10を超えると、光架橋性樹脂層の溶解拡散が促進され、面内で膜厚ムラが発生するため好ましくない。また、工程(b2)の処理液は、硫酸、リン酸、塩酸等を用いて、液のpHを調整した後に使用してもよい。工程(b2)において、水溶液の供給流量は多い方が好ましく、光架橋性樹脂層1cmあたり0.030〜1.0L/minであることが好ましい。工程(b2)において、供給流量が不足すると、不溶化された光架橋性樹脂層成分の再分散性が悪くなり、溶解不良が起こりやすくなる。その結果、薄膜化後の光架橋性樹脂層表面に不溶解成分の析出が見られ、タック性が問題になる場合がある。
本発明において、工程(b2)で使用する処理液が式1または式2で表される界面活性剤を少なくとも一種含有することによって、繰り返し薄膜化処理を行うことで、光架橋性樹脂溶解量が増加した場合でも、処理液の発泡抑制、多量に発生するスカムの膜表面への再付着を同時に防止することができる。また、連続運転においても、現像能力および溶解能力を一定に維持したまま薄膜化処理を行うことができる。本発明に用いられる界面活性剤は、アセチレン基を中央にもち左右対称の非常に安定な分子構造を有し、分子量も小さく、表面張力を大きく下げる効果がある。これにより、消泡性や分散性といった働きだけでなく、濡れ性や相溶性にも優れた性能を発揮する。
このような界面活性剤としては、例えば、日信化学工業社製のサーフィノール(登録商標)104、サーフィノール(登録商標)DF110D、サーフィノール(登録商標)MD−20、サーフィノール(登録商標)420、サーフィノール(登録商標)440、サーフィノール(登録商標)465、サーフィノール(登録商標)485、オルフィン(登録商標)AF−103、オルフィン(登録商標)E1004等が挙げられる。特に、消泡性の点からは、サーフィノール(登録商標)104、オルフィン(登録商標)AF−103が好ましく、水溶性の点からは、サーフィノール(登録商標)465、サーフィノール(登録商標)485、オルフィン(登録商標)E1004等が好ましいが、これらに加え、相溶性、消泡効果の持続性、光架橋性樹脂溶解量の増加に伴う油状スカムの分散性を考慮すると、サーフィノール(登録商標)MD−20の使用が最も好ましい。
これらの界面活性剤は、工程(b2)において溶解する光架橋性樹脂量1gあたり、0.01〜5.0g添加するのが好ましく、さらに好ましくは0.05〜2.0gである。0.01g未満では、発泡に対する消泡効果が不十分となる場合がある。5.0gを超えると、処理液中での界面活性剤の層分離が発生する可能性がある。また、界面活性剤は、水溶液に分散させた状態で添加することにより、工程(b2)処理液中に速やかに拡散し、消泡効果を発揮する。
工程(b2)に続き、工程(b3)において、処理後の光架橋性樹脂層表面を水洗した後、水滴を除去することもできる。水洗水としては、工業用水、水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。樹脂層表面の水滴の除去方法としては、エアーナイフ、吸液性ロール、温風乾燥等が挙げられるが、物理的な接触がなく、除去効率がよいことから、エアーナイフが特に好ましい。
光架橋性樹脂層上に支持層フィルムが設けられている場合には、剥がしてから薄膜化処理を実施する。薄膜化処理とは、光架橋性樹脂層の厚みを略均一に薄くする処理のことであり、詳しくは、薄膜化処理を施す前の厚みの0.05〜0.9倍の厚みまで薄くすることを言う。
薄膜化処理の方法として、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、スプレー方式が光架橋性樹脂層の溶解速度の点からは最も適している。スプレー方式の場合、処理条件(温度、時間、スプレー圧)は、使用する光架橋性樹脂層の溶解速度に合わせて適宜調整される。具体的には、処理温度は10〜50℃が好ましく、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜35℃である。また、スプレー圧は0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.3MPaである。
本発明の光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法を実施した後、例えば、工程(c);回路パターンの露光工程、工程(d);現像工程、工程(e);エッチング工程を行うことで、導電パターンを作製することができる。図2は、薄膜化された光架橋性樹脂層を使用した導電パターンの作製方法の一例を示す断面工程図である。工程(c)では、回路パターンに相当する部分の光架橋性樹脂層1を露光し、架橋部3を形成する。工程(d)では、光架橋性樹脂層(未架橋部)1を現像により除去する。工程(e)では、光架橋性樹脂の架橋部3で覆われていない導電層4をエッチングし、導電パターンを得る。
工程(c)の回路パターンの露光において、回路パターンの露光方法としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とした反射画像露光、フォトツールを用いた片面あるいは両面密着露光方式、プロキシミティ方式、プロジェクション方式やレーザー走査露光方式等が挙げられるが、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とし、フォトツールを用いた片面、両面密着露光が好適に用いられる。
工程(d)では、光架橋していない光架橋性樹脂層を現像液で除去して、エッチングレジスト層を形成する。現像方法としては、使用する光架橋性樹脂層に見合った現像液を用い、基板の上下方向から基板表面に向かってスプレーを噴射して、エッチングレジストパターンとして不要な部分を除去し、回路パターンに相当するエッチングレジスト層を形成する。一般的には、0.3〜2質量%の炭酸ナトリウム水溶液が使用される。
工程(e)では、エッチングレジスト層以外の露出した導電層をエッチングすることにより、微細な導電パターンを作製する。エッチング工程では、「プリント回路技術便覧」(日本プリント回路工業会編、1987年刊行、日刊工業新聞社刊)記載の方法等を使用することができる。エッチング液は金属箔層を溶解除去できるもので、また、少なくともエッチングレジスト層が耐性を有しているものであればよい。一般に導電層に銅を使用する場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液等を使用することができる。
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<工程(a)>
ガラス基材エポキシ樹脂銅張積層板(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.4mm、商品名:FR−4、三菱ガス化学社製)上に耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルム用ラミネータを用いて、保護フィルムを剥がしながら、ロール温度100℃、エアー圧力0.30MPa、ラミネート速度0.50m/minにて、ドライフィルムレジスト(商品名:サンフォートAQ5038、厚み50μm、旭化成イーマテリアルズ社製)をラミネートした。
<工程(b1)〜(b3)>
水平搬送方式の連続処理装置を用いて、ドライフィルムレジストの薄膜化処理を行った。液温25℃、スプレー圧0.05MPaの条件下で厚み25μmまで薄膜化処理を行った。薄膜化処理1枚あたり、工程(b2)処理液中に溶解する光架橋性樹脂量は、およそ1gである。支持層フィルムを剥離した後、工程(b1)処理液である10質量%炭酸ナトリウム水溶液および表1に記載の工程(b2)処理液Aで処理した。なお、薄膜化処理1枚あたり(溶解光架橋性樹脂1gあたり)、濃度0.1質量%に調製した界面活性剤(サーフィノール(登録商標)MD−20、日信化学工業社製)含有水溶液を1kgずつ添加した。また、工程(b2)処理槽の容量は100Lであり、処理液面は一定に維持されるように、オーバーフローにより調整されている。その後、工程(b3)として、エアーナイフによって薄膜化後の樹脂層表面の水滴を除去した。なお、工程(b2)処理液のpHは、硫酸を添加することによって調整した。
薄膜化処理1枚目、10枚目、20枚目、50枚目、100枚目における光架橋性樹脂層の膜厚を10点で測定し、膜厚のばらつき(標準偏差σ、単位:μm)で評価した。結果を表2に示す。また、連続処理において、工程(b2)処理槽の気泡性およびスラッジの発生について、目視評価の結果を表2に示す。気泡性は、工程(b2)処理槽における泡高さの上昇速度を基準にし、ほとんど上昇しない場合を「弱」、緩やかに上昇する場合を「中」、急激に上昇する場合を「強」とした。また、スラッジについては、工程(b2)処理槽中において、ほとんど発生が見られない場合を「良」、わずかに発生が見られる場合を「可」、発生が顕著な場合を「不可」とした。連続処理100枚目においても、膜厚のばらつきはなく、工程(b2)処理槽の気泡性およびスラッジの発生も効果的に抑制されていた。
Figure 0005498871
Figure 0005498871
<工程(c)>
ライン/スペース=25/25μmのパターンが描画されたフォトツールを用い、出力3kwの超高圧水銀灯(商品名:URM−300、ウシオライティング社製)を光源に備えた真空密着露光装置で密着露光を行った。
<工程(d)>
1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温度30℃、スプレー圧0.15MPa)を用いて現像処理を行い、エッチングレジスト層を形成した。得られたエッチングレジスト層を光学顕微鏡で観察した結果、ライン/スペース=25/25μmのパターンにおいて、線細りや断線あるいは線太りやショート等の欠陥は見られなかった。
<工程(e)>
エッチングレジスト層を形成した基板を塩化第二鉄溶液(液温度40℃、スプレー圧0.20MPa)で処理し、エッチングレジスト層以外の銅箔を除去することでエッチングを実施した。続いて、40℃の3質量%水酸化ナトリウム溶液で残存するエッチングレジスト層を除去し、導電パターンを得た。得られた導電パターンには、実用上問題となる断線またはショート欠陥は見られなかった。
(実施例2〜18)
光架橋性樹脂層の薄膜化処理において、工程(b2)処理液Aを表1に記載の処理液B〜Rとした以外は実施例1と全く同じ方法で導電パターンの作製を行った。実施例1と同様に薄膜化処理後の光架橋性樹脂層の膜厚のばらつき(標準偏差σ)、工程(b2)処理槽の気泡性およびスラッジの発生について、目視評価の結果を表2に示す。いずれの消泡剤を用いた場合にも、連続薄膜化処理によって光架橋性樹脂溶解量が増加しても、膜厚のばらつき(標準偏差σ)がほとんど変わらず、現像能力および溶解能力を一定に維持することができることが分かった。また、得られた導電パターンには、実用上問題となる断線またはショート欠陥は見られなかった。
(比較例1〜5)
光架橋性樹脂層の薄膜化処理において、工程(b2)処理液Aを表3に記載の処理液AA〜AEとした以外は実施例1と全く同じ方法で導電パターンの作製を行った。実施例1と同様に薄膜化処理後の光架橋性樹脂層の膜厚のばらつき(標準偏差σ)、工程(b2)処理槽の気泡性およびスラッジの発生について、目視評価の結果を表4に示す。連続薄膜化処理20枚以上においては、工程(b2)処理槽の発泡が激しく、装置を連続運転することができなかった。また、工程(b2)処理槽中には多量のスラッジの付着が見られた。
Figure 0005498871
Figure 0005498871
(比較例6〜7)
光架橋性樹脂層の薄膜化処理において、工程(b2)処理液Aを表3に記載の処理液AF〜AGとした以外は実施例1と全く同じ方法で導電パターンの作製を行った。薄膜化処理1枚目において、薄膜化後の膜表面に斑点状の厚膜部が多発し、面内均一な薄膜化処理ができなかった。
本発明は、サブトラクティブ法を用いた微細な導電パターンの作製に広く利用され、実施例で説明したプリント配線板のほか、リードフレームの製造方法にも利用することができる。また、アディティブ法あるいはセミアディティブ法において、回路基板、半導体装置等の製造や金属の精密加工、プラズマディスプレイ背面板などの加工分野、メタルマスク製造等に利用することができる。
1 光架橋性樹脂層(未架橋部)
2 基板
3 光架橋性樹脂層の架橋部
4 導電層
5 絶縁性基板
6 ミセル化した光架橋性樹脂層

Claims (1)

  1. 光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法において、
    工程(a) 基板上に光架橋性樹脂層を形成する工程、
    工程(b1) 無機アルカリ性化合物を5〜20質量%含む水溶液で処理する工程、
    工程(b2) 無機アルカリ性化合物と式1または式2で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の界面活性剤とを含み、pH5〜10である水溶液で処理する工程を含むことを特徴とする光架橋性樹脂層の薄膜化処理方法。
    Figure 0005498871
    式1および式2において、mおよびnは0または1以上の整数で、かつ、0≦m+n≦30である。
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