JP2011222888A - ドライフィルムレジストの薄膜化処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理速度を大きく変えることなく薄膜化後の厚みが調整可能なドライフィルムレジストの薄膜化処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも連続した2つ以上の薄膜化処理ユニット1,2を有するドライフィルムレジストの薄膜化処理装置。基板上のドライフィルムレジストを薄膜化する装置であり、微細な導体パターンを形成するためには、レジスト膜厚を薄くする必要があり、処理時間が長くなる傾向にある。処理ユニットを複数有することで、薄膜化処理速度を自由に設定することが可能となる。
【選択図】図2
【解決手段】少なくとも連続した2つ以上の薄膜化処理ユニット1,2を有するドライフィルムレジストの薄膜化処理装置。基板上のドライフィルムレジストを薄膜化する装置であり、微細な導体パターンを形成するためには、レジスト膜厚を薄くする必要があり、処理時間が長くなる傾向にある。処理ユニットを複数有することで、薄膜化処理速度を自由に設定することが可能となる。
【選択図】図2
Description
本発明は、処理速度を大きく変えることなく、薄膜化後の厚みが調整可能なドライフィルムレジストの薄膜化処理装置を提供するものである。
プリント配線板やリードフレームの製造方法としては、基板上にエッチングレジスト層を形成し、そのエッチングレジスト層で被覆されていない金属層をエッチングにより取り除くサブトラクティブ法が挙げられる。この手法は、他の手法に比べ、製造工程が短くてコスト安であること、導電パターンと絶縁板の接着強度が強いこと等の優位点があるため、現在のプリント配線板およびリードフレーム製造の主流となっている。そして、サブトラクティブ法にてエッチングレジスト層を設ける方法としては、ドライフィルムレジストと呼ばれるシート状の感光材料および液状フォトレジストを用いた方法が挙げられ、これらの中でも取り扱い性が優れ、テンティングによるスルーホールの保護が可能なことから、ドライフィルムレジストの方が一般的に好まれている。
さて、近年の電子機器の小型、多機能化に伴い、機器内部に使用されるプリント配線板も高密度化や導電パターンの微細化が進められており、サブトラクティブ法によって、現在では、導体幅が50〜80μm、導体間隙が50〜80μmの導電パターンを有するプリント配線板が製造されている。また、さらなる高密度化、微細配線化が進み、50μm以下の超微細な導電パターンが求められるようになっている。それに伴い、パターン精度やインピーダンスの要求も高くなっている。このような微細な導電パターンを達成するために、従来から、セミアディティブ法が検討されているが、工程数が大幅に増加するという問題やめっき銅の密着性不良等の問題があった。
サブトラクティブ法にて、このような微細な導電パターンを形成する場合、生産ライン全ての技術レベルや管理レベルを向上させる必要があることはもちろんであるが、その中でもエッチングが大きなポイントとなる。これは、サブトラクティブ法の特徴である導体の側面方向から進行するサイドエッチングが問題となるからであり、サイドエッチングの量を抑えるために、液組成管理、基板への液吹き付け角度や強さ等、最適なエッチング条件を調整する必要がある。また、エッチング条件の調整だけではなく、エッチングレジスト層の膜厚によっても、サイドエッチングは影響を受ける。つまり、膜厚が厚いほど、微細なレジストパターン間に液が循環しにくくなり、その結果、サイドエッチングが大きくなる。現在主流となっているドライフィルムレジストの厚みは、25μm前後の厚みであるが、微細な導電パターンを形成するためには、できるだけレジスト膜厚を薄くする必要がある。近年では、10μm以下の厚みのドライフィルムレジストが開発され、商品化され始めている。しかし、このような薄いドライフィルムレジストでは、ゴミを核とした気泡の混入、不十分な凹凸追従性が原因となり、レジスト剥がれや断線が発生する問題が発生していた。
このような問題を解決すべく、サブトラクティブ法によって導電パターンを作製する方法において、基板上にドライフィルムレジストを貼り付けた後、無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、ドライフィルムレジストの薄膜化処理を行い、次に、回路パターンの露光、現像、エッチングを行うことを特徴とする導電パターンの形成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
薄膜化処理の工程は、(1)アルカリ水溶液を用いてドライフィルムレジスト内の光架橋性樹脂成分をミセル化させる薄膜化処理、(2)pH5〜9のアルカリ水溶液によってミセルを除去するミセル除去処理、(3)表面を水で洗浄する水洗浄処理、(4)水洗水を除去する乾燥処理の四段階で処理される。したがって、(1)のアルカリ水溶液での処理時間を長くすればそれだけ薄膜化が進行し、処理時間を短くすれば薄膜化は少なくなる。しかしながら、処理時間を処理速度で制御するには限界があることがわかってきた。すなわち、ある一定の長さの薄膜化処理ユニットを1ユニットのみ有する薄膜化処理装置を用いた場合、薄膜化処理を長くするために処理速度を下げると、作業効率が低下すると共に、洗浄処理や乾燥処理が過剰となった。また、薄膜化処理を短くするために処理速度を上げると、薄膜化の均一性が損なわれると共に、洗浄処理や乾燥処理が不十分となった。このように、1つのユニットの薄膜化処理で、ドライフィルムレジストの膜厚を制御するには限界があった。
また、エッチング処理部が複数の単位処理部から構成され、エッチング液供給手段と不活性液供給手段が設けられ、選択的にこれらを使い分ける基板処理装置が提案されている。しかし、この基板処理装置の目的としては、基板に悪影響を与えることなく、エッチング処理部以外の処理部を有効に活用することであり、エッチング処理速度を大きく変えることなく、エッチング処理量が調整可能なエッチング装置ではなく、ましてや、処理後の均一性を目的として、前処理を行うものでもなかった(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、処理速度を大きく変えることなく、薄膜化後の厚みが調整可能なドライフィルムレジストの薄膜化処理装置を提供するものである。
本発明者らが検討した結果、少なくとも連続した2つ以上の薄膜化処理ユニットを有するドライフィルムレジストの薄膜化処理装置および少なくとも連続した2つ以上の薄膜化処理ユニットを有し、未使用の薄膜化処理ユニットが水洗処理ユニットに変更可能であり、且つ、薄膜化処理ユニットの上流側で該水洗処理ユニットを使用するドライフィルムレジストの薄膜化処理装置によって上記課題が解決できた。
本発明は、基板上のドライフィルムレジストを薄膜化する装置に関するものである。薄膜化処理ユニットを複数有することで、薄膜化処理速度を大きく変えることなく、安定した処理速度で薄膜化処理量を自由に設定することが可能となる。例えば、3つの薄膜化処理ユニットを有する場合、薄膜化処理を最も少なく行う場合には、薄膜化処理ユニットを1ユニット使用し、薄膜化処理を多く行いたい場合には、全ての薄膜化処理ユニットを用いればよい。
また、本発明の薄膜化処理装置は、未使用の薄膜化処理ユニットが水洗処理ユニットに変更可能であり、且つ、該水洗処理ユニットを、薄膜化処理ユニットの上流側で使用することを特徴とするドライフィルムレジストの薄膜化処理装置である。使用しない薄膜化処理ユニットは、水洗処理ユニットとして使用でき、薄膜化処理する前に水洗処理を行うことで、ドライフィルムレジスト表面に存在するポリマーの親水基が再配向し、親水性が均一化され、さらに、ドライフィルムレジスト表面に付着した汚染物や異物を取り除くことが可能となり、厚残りさせることなく、より均一な薄膜化処理を行うことが可能となる。水洗処理は、このように、より均一な薄膜化処理を行うために、必ず薄膜化処理の前に行う必要がある。薄膜化処理後に水洗処理を行った場合、薄膜化処理ユニットでミセル化されたドライフィルムレジスト内の光架橋性樹脂成分が、水洗処理により不十分に除去され、薄膜化後の均一性が著しく損なわれる。
本発明のドライフィルムレジストの薄膜化処理装置について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の薄膜化処理装置の概略図である。3つの薄膜化処理ユニットを有していて、上流側からユニット1、ユニット2、ユニット3からなる薄膜化処理ユニットとなっている。薄膜化処理ユニットの数は、2以上であればよく、特に限定されない。薄膜化処理ユニットの後に、(2)pH5〜9のアルカリ水溶液によってミセルを除去するミセル除去処理、(3)表面を水で洗浄する水洗浄処理、(4)水洗水を除去する乾燥処理を経て、薄膜化処理が完了する。
図1は本発明の薄膜化処理装置の概略図である。3つの薄膜化処理ユニットを有していて、上流側からユニット1、ユニット2、ユニット3からなる薄膜化処理ユニットとなっている。薄膜化処理ユニットの数は、2以上であればよく、特に限定されない。薄膜化処理ユニットの後に、(2)pH5〜9のアルカリ水溶液によってミセルを除去するミセル除去処理、(3)表面を水で洗浄する水洗浄処理、(4)水洗水を除去する乾燥処理を経て、薄膜化処理が完了する。
希望する薄膜化処理量により、各ユニットを使い分けることができる。例えば、薄膜化処理として1つのユニットを使用する場合は、ユニット1〜3のいずれかのユニットを使用すれば良い。2つのユニットを使用する場合も、ユニット1〜3のうち、いずれか2つのユニットを使用すれば良い。もちろん全てのユニットを薄膜化処理ユニットとして用いることもできる。未使用の薄膜化処理ユニットを水洗処理ユニットとして使用する場合は、水洗処理を薄膜化処理の上流に設置する必要がある。例えば、薄膜化処理として1つのユニットを使用する場合は、ユニット1を水洗処理、ユニット2もしくは3を薄膜化処理とすることもできるし、ユニット2を水洗処理、ユニット3を薄膜化処理とすることもできる。薄膜化処理として2つのユニットを使用する場合は、ユニット1が水洗処理、ユニット2および3が薄膜化処理となる。このように、水洗処理と薄膜化処理を必要に応じて適宜選択することで、処理速度を大きく変えることなく、薄膜化処理の程度を自由に調整することが可能となる。
図2は、水洗処理ユニットに変更可能な薄膜化処理ユニットの構成を模式的に示した概略図である。図2では、薄膜化処理ユニット1および2を示しており、省略しているが、引き続き下流側に薄膜化処理ユニットを連続して設置することができる。薄膜化処理ユニットの後に、ミセル除去処理工程、洗浄処理工程、乾燥工程を経て、薄膜化処理が完了する。
薄膜化処理ユニット1に形成された導入部3から薄膜化処理ユニット1にワーク4を導入し、ワーク4を上下に挟み込むように設計された搬送用ロール5によって、ワーク4が薄膜化処理ユニット2へ搬送され、そして、さらに下流側へと搬送される。
薄膜化処理ユニット1には、薄膜化処理用ノズル6と水洗処理用ノズル7が設置してある。薄膜化処理ユニットとして使用する場合は薄膜化処理用ノズル6に、水洗処理ユニットとして使用する場合は水洗処理用ノズル7に、各種処理液が供給された後噴出され、ワーク4を処理することができる。薄膜化処理用の処理液は貯蔵タンク8から薄膜化処理用薬液ポンプ9を介して供給される。水洗処理用の処理液は、水供給管10より供給される。このように、供給する液を変更することで、各ユニットは薄膜処理ユニット、水洗処理ユニットに自由に切り替えが可能な構造となっている。どちらの液も供給しない場合には、未使用ユニットとなる。
薄膜化処理ユニット1の下部には、薄膜化処理薬液回収管11が設置してあり、処理後の薬液は、廃液管12を介して廃棄される。薄膜化処理薬液回収管11と廃液管12にはバルブ13が取り付けてあり、これらを操作することで、回収と廃棄を選択することが可能となる。図2では省略しているが、薄膜化処理ユニット2およびその下流側の薄膜化処理ユニットも、ユニット1と同様の構造となっている。
本発明に係わるドライフィルムレジストの薄膜化処理について詳細に説明する。まず、はじめに、基板の少なくとも片面にドライフィルムレジストを貼り付けて、ワークを作製する。貼り付けには、例えば、100℃以上に加熱したゴムロールを加圧して押し当てるラミネータ装置を用いる。基板には、酸洗等の前処理を施しても良い。貼り付け後、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥がし、5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、ドライフィルムレジストに薄膜化処理を施される。
ドライフィルムレジストの薄膜化処理後に、回路パターンの露光を行い、さらに、現像を行ってエッチングレジスト層を形成し、次に、エッチングレジスト層以外の金属層をエッチングすることで導電パターンを形成する。
基板としては、プリント配線板またはリードフレーム用基板が挙げられる。プリント配線板としては、例えば、フレキシブル基板、リジッド基板が挙げられる。フレキシブル基板は、通常、ポリエステルやポリイミド、アラミド、ポリエステル−エポキシベースが絶縁層の材料として用いられている。フレキシブル基板の絶縁層の厚さは5〜125μmで、その両面または片面に1〜35μmの金属層が設けられており、非常に可撓性がある。絶縁層や金属層の厚みは、この範囲以外のものであっても良い。フレキシブル基板は、シート状の形態でも良いし、ロール状の形態でも良い。ロール状の形態であれば、ロールtoロールの方式で、薄膜化処理、露光、現像、エッチング等の工程を処理できる。
リジッド基板としては、紙基材またはガラス基材にエポキシ樹脂またはフェノール樹脂等を浸漬させた絶縁性基板を必要枚数重ねて絶縁層とし、その片面もしくは両面に金属箔を載せ、加熱、加圧して積層し、金属層が設けられたものが挙げられる。また、内層配線パターン加工後、プリプレグ、金属箔等を積層して作製する多層用のシールド板、また貫通孔や非貫通孔を有する多層板も挙げられる。厚みは60μm〜3.2mmであり、プリント基板としての最終使用形態により、その材質と厚みが選定される。金属層の材料としては、銅、金、銀、アルミニウム等が挙げられるが、銅が最も一般的である。これらプリント基板は、例えば「プリント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学会編、日刊工業新聞社発刊)や「多層プリント回路ハンドブック」(J.A.スカーレット編、(株)近代化学社発刊)に記載されているものを使用することができる。リードフレーム用基板としては、鉄ニッケル合金、銅系合金等の基板が挙げられる。
本発明に係わるドライフィルムレジストとは、一般的に使用されている回路形成用の感光性材料であり、光照射部が硬化して現像液に不溶化するネガ型のレジストが挙げられる。ドライフィルムレジストは、少なくとも光架橋性樹脂層からなり、ポリエステル等のキャリアフィルム(透明支持体)上に光架橋性樹脂層が設けられ、場合によってはポリエチレン等の保護フィルムで光架橋性樹脂層上を被覆した構成となっている。ネガ型の光架橋性樹脂層は、例えば、カルボキシル基を含むバインダーポリマー、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤、溶剤、その他添加剤からなる。それらの配合比率は、感度、解像度、硬度、テンティング性等の要求される性質のバランスによって決定される。光架橋性樹脂組成物の例は「フォトポリマーハンドブック」(フォトポリマー懇話会編、1989年刊行、(株)工業調査会刊)や「フォトポリマー・テクノロジー」(山本亜夫、永松元太郎編、1988年刊行、日刊工業新聞社刊)等に記載されており、所望の光架橋性樹脂組成物を使用することができる。光架橋性樹脂層の厚みは、15〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。この厚みが15μm未満では、ゴミを核とした気泡の混入や凹凸追従性不良によって、レジスト剥がれや断線が発生する場合があり、100μmを超えると、薄膜化で溶解除去される量が多くなって薄膜化処理時間が長くなることがある。
本発明に係わる水洗処理とは、薄膜化処理の前処理として、ドライフィルムレジスト表面の親水性を均一化すると共に、ドライフィルム上に存在する汚染物や異物を取り除く工程のことである。水洗処理に使用する水としては、水道水、工業用水、純水等が挙げられ、このうち、純水を使用することが好ましい。純水は、一般的に工業用に用いられるものを使用することができる。例えば、水道水をフィルター処理、活性炭処理、イオン交換樹脂によって処理することで得ることができる。純水中の有機物量は、特に制限はないが、1000ppb以下が好ましい。イオン量を示す比抵抗値も、特に制限はないが、0.1〜15MΩ・cmの範囲が好ましい。水洗処理の方法は、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、スプレー方式がドライフィルムレジスト上の汚染物や異物の除去のためには最も適している。スプレー処理の条件(温度、スプレー圧、時間)は、適宜調整することができるが、具体的には、処理温度は10〜30℃が好ましく、より好ましくは20〜25℃である。また、スプレー圧は0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3MPaである。
薄膜化処理に用いる処理液としては、無機アルカリ性化合物を処理液に対して5〜20質量%含有する水溶液を使用することができる。無機アルカリ性化合物の含有量が5質量%未満の場合、溶解除去途中のミセルが溶解拡散しやすくなって、処理液の流動によって薄膜化処理が不均一になる場合がある。また、無機アルカリ性化合物の含有量が20質量%を超えた場合、析出が起こりやすくなって、液の経時安定性、作業性に劣る場合がある。溶液のpHは9〜12の範囲とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜少量添加することもできる。
無機アルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩または重炭酸塩等のアルカリ金属炭酸塩、カリウム、ナトリウムのリン酸塩等のアルカリ金属リン酸塩、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物等のアルカリ金属水酸化物、カリウム、ナトリウムのケイ酸塩等のアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物を挙げることができる。このうち特に好ましい化合物としては、アルカリ金属炭酸塩が挙げられる。
本発明に係わる薄膜化処理とは、ドライフィルムレジストの厚みを略均一に薄くする処理のことであり、薄膜化処理を施す前の厚みの0.05倍〜0.9倍の厚みにする。薄膜化処理の方法は、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、ドライフィルムレジストの除去速度のためにはスプレー方式が最も適している。スプレー処理の条件(温度、スプレー圧、時間)は、使用するドライフィルムレジストの溶解除去性に合わせて適宜調整される。具体的には、処理温度は10〜50℃が好ましく、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜35℃である。また、スプレー圧は0.01〜0.5MPaとするのが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.3MPaである。
本発明に係わるミセル除去処理とは、薄膜化処理において、高濃度のアルカリ水溶液を過剰に供給することにより、溶解途中でミセル化された光架橋性樹脂成分が一旦不溶化され、処理液中への溶解拡散が抑制されていたものを溶解させる工程である。ミセル除去処理では、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含むpH5〜10の水溶液を供給し、薄膜化処理で不溶化された光架橋性樹脂層成分を再分散させて溶解除去することができる。ミセル除去処理において、水溶液のpHが5未満では、再分散により溶け込んだ光架橋性樹脂成分が凝集し、不溶性のスラッジとなって薄膜化した光架橋性樹脂層表面に付着する恐れがある。一方、水溶液のpHが10を超えると、光架橋性樹脂層の溶解拡散が促進され、面内で膜厚ムラが発生しやすくなる場合がある。また、ミセル除去処理の処理液は、硫酸、リン酸、塩酸等を用いて、液のpHを調整した後に使用してもよい。
ミセル除去処理において、前記pH5〜10の水溶液の供給流量は、光架橋性樹脂層1cm2当たり0.030〜1.0L/minが好ましい。0.050〜1.0L/minがより好ましく、0.10〜1.0L/minがさらに好ましい。供給流量がこの範囲であると、薄膜化後の光架橋性樹脂層表面に不溶解成分を残すことなく、面内略均一に薄膜化処理を行うことができる。光架橋性樹脂層1cm2当たりの供給流量が0.030L/min未満では、不溶化した光架橋性樹脂層成分の溶解不良が起こる場合がある。一方、供給流量が1.0L/minを超えると、供給のために必要なポンプ等の部品が巨大になり、大がかりな装置が必要になる場合がある。さらに、1.0L/minを超えた供給流量では、光架橋性樹脂層成分の溶解拡散に与える効果が変わらなくなることがある。ミセル除去処理における液供給方法としては、光架橋性樹脂層の溶解速度と液供給の均一性の点からスプレー方式が最も好ましい。さらに、スプレーの方向は、光架橋性樹脂層表面に効率よく液流れを作るために、光架橋性樹脂層表面に垂直な方向に対して傾いた方向から噴射するのがよい。
水洗処理とミセル除去処理とは、基本的にスプレー方式にて水溶液を噴射する点で類似しているが、水洗処理はミセル除去処理ほどの供給流量とスプレー圧が必要ではないこと、ミセル除去処理では、無機アルカリ性化合物を含むpH5〜10の水溶液を供給する点で異なる。ユニット化で、水洗処理を薄膜化処理の後に設置した場合を考えたとき、つまり、構成的にミセル除去処理工程が水洗処理工程に置き換わった場合を考えると、水洗処理はミセル除去処理より供給流量を必要とせず、また、スプレー圧も低いため、薄膜化処理でミセル化されたドライフィルムレジスト内の光架橋性樹脂成分は、水洗処理ユニットでは完全に除去されることなく、不十分に除去されることとなり、薄膜化後の均一性は著しく損なわれることとなる。このように、水洗処理は、レジスト表面の親水性を均一化すると共に、ドライフィルム上に存在する汚染物や異物を取り除く工程であるため、必要以上の水量と水圧は必要なく、且つ、純度の高い水を用いる点でもミセル除去処理工程とは異なる。
5〜20質量%の無機アルカリ性化合物水溶液で薄膜化処理を行い、pH5〜10の水溶液でミセル除去処理を行った後、水によって十分に洗浄する水洗浄処理を行う必要がある。水洗浄処理の方法は、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式等があり、処理速度が速いため、スプレー方式が最も適している。
薄膜化処理を行った後、回路パターンの露光、現像、エッチングを行うことにより、導電パターンを形成することができる。回路パターンの露光方法としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とした反射画像露光、フォトツールを用いた片面、両面密着露光や、プロキシミティ方式、プロジェクション方式やレーザー走査露光が挙げられる。走査露光を行う場合には、He−Neレーザー、He−Cdレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンイオンレーザー、ルビーレーザー、YAGレーザー、窒素レーザー、色素レーザー、エキシマレーザー等のレーザー光源を発光波長に応じてSHG波長変換して走査露光する、あるいは液晶シャッター、マイクロミラーアレイシャッターを利用した走査露光によって露光することができる。
現像の方法としては、使用するドライフィルムレジストに見合った現像液を用い、基板の上下方向から基板表面に向かってスプレーして、レジストパターンとして不要な部分を除去し、回路パターンに相当するエッチングレジスト層を形成する。一般的には、1〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が使用される。
エッチングは、現像で形成されたエッチングレジスト層以外の露出した金属層を除去する方法である。エッチング工程では、「プリント回路技術便覧」((社)日本プリント回路工業会編、1987年刊行、日刊工業新聞社発行)記載の方法等を使用することができる。エッチング液は金属層を溶解除去できるもので、また、少なくともエッチングレジスト層が耐性を有しているものであれば良い。一般に、金属層に銅を使用する場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液等を使用することができる。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜7>
ガラス基材エポキシ樹脂銅張積層板(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm、商品名:CCL−E170、三菱ガス化学社製)上に、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、保護フィルムを剥がしながら、ロール温度100℃、エアー供給圧力0.30MPa、ラミネート速度0.50m/minにて、ドライフィルムレジスト(商品名:サンフォート、旭化成イーマテリアルズ社製)をラミネートし、ワークを作製した。次いで、キャリアフィルムを剥がし、長さ1mの薄膜化処理ユニット3つを有する薄膜化処理装置を用い、薄膜化処理液として10%の炭酸ナトリウム水溶液を用い、処理速度5〜8m/minでドライフィルムレジストを薄膜化処理した。処理速度は、作業効率を見込んで5m/min以上とし、処理速度の上限は、ドライフィルムレジスト内の光架橋性樹脂成分が均一にミセル化され、且つ、水洗浄処理と乾燥処理が不十分とならないための上限速度として8m/minを設定した。薄膜化処理は、処理後の膜厚が10μmとなることを目標とした。薄膜化処理として、どのユニットを使用したか、処理速度5〜8m/minの範囲内で薄膜化できる膜厚の範囲および10μmに薄膜化が可能であったドライフィルムレジストの種類を表1に示した。
ガラス基材エポキシ樹脂銅張積層板(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm、商品名:CCL−E170、三菱ガス化学社製)上に、耐熱シリコンゴムライニング表面処理されたラミネートロールを備えたドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、保護フィルムを剥がしながら、ロール温度100℃、エアー供給圧力0.30MPa、ラミネート速度0.50m/minにて、ドライフィルムレジスト(商品名:サンフォート、旭化成イーマテリアルズ社製)をラミネートし、ワークを作製した。次いで、キャリアフィルムを剥がし、長さ1mの薄膜化処理ユニット3つを有する薄膜化処理装置を用い、薄膜化処理液として10%の炭酸ナトリウム水溶液を用い、処理速度5〜8m/minでドライフィルムレジストを薄膜化処理した。処理速度は、作業効率を見込んで5m/min以上とし、処理速度の上限は、ドライフィルムレジスト内の光架橋性樹脂成分が均一にミセル化され、且つ、水洗浄処理と乾燥処理が不十分とならないための上限速度として8m/minを設定した。薄膜化処理は、処理後の膜厚が10μmとなることを目標とした。薄膜化処理として、どのユニットを使用したか、処理速度5〜8m/minの範囲内で薄膜化できる膜厚の範囲および10μmに薄膜化が可能であったドライフィルムレジストの種類を表1に示した。
表1から明らかなごとく、薄膜化処理ユニットを3つ有する薄膜化処理装置では、いずれか1つのユニットで薄膜化処理を行った実施例1〜3、いずれか2つのユニットで薄膜化処理を行った実施例4〜6、全てのユニットで薄膜化処理を行った実施例7を合わせると、薄膜化できる膜厚の範囲は、10.1〜48.6μmとなる。よって、処理可能なドライフィルムレジストの種類が多くなることがわかる。
これに対し、薄膜化処理ユニットとして、長さ3mの薄膜化処理ユニット1つを有する薄膜化処理装置を用いた場合には、薄膜化できる膜厚の範囲は30.4〜48.6μmとなり、処理可能なドライフィルムレジストの初期膜厚も50μmのみに限られる。
<実施例8〜19、比較例1〜4>
薄膜化処理ユニットとして使用しないユニットを未使用とする条件(実施例8〜14)、未使用の薄膜化処理ユニットを水洗処理ユニットとして使用し、該水洗処理ユニットを薄膜化処理ユニットの上流側で使用する条件(実施例15〜19)、未使用の薄膜化処理ユニットを水洗処理ユニットとして使用し、水洗処理ユニットを薄膜化処理ユニットの下流側で使用する条件(比較例1〜4)について、表2記載のドライフィルムレジスト、処理速度で、処理後の膜厚が10μmとなるように薄膜化処理を行った。また、水洗処理の効果を確認するため、下記記載の方法で膜厚のばらつきを測定した。
薄膜化処理ユニットとして使用しないユニットを未使用とする条件(実施例8〜14)、未使用の薄膜化処理ユニットを水洗処理ユニットとして使用し、該水洗処理ユニットを薄膜化処理ユニットの上流側で使用する条件(実施例15〜19)、未使用の薄膜化処理ユニットを水洗処理ユニットとして使用し、水洗処理ユニットを薄膜化処理ユニットの下流側で使用する条件(比較例1〜4)について、表2記載のドライフィルムレジスト、処理速度で、処理後の膜厚が10μmとなるように薄膜化処理を行った。また、水洗処理の効果を確認するため、下記記載の方法で膜厚のばらつきを測定した。
<膜厚のばらつきの測定方法>
薄膜化処理後、ドライフィルムレジストの膜厚を40点で測定し、膜厚のばらつきを標準偏差σの値で評価した。なお、膜厚は、スペクトラ・コープ社製の小型高分解能分光装置(装置名:SolidLambdaUV−NIR)を用い、非接触、非破壊により測定し、反射率分光法から算出した。
薄膜化処理後、ドライフィルムレジストの膜厚を40点で測定し、膜厚のばらつきを標準偏差σの値で評価した。なお、膜厚は、スペクトラ・コープ社製の小型高分解能分光装置(装置名:SolidLambdaUV−NIR)を用い、非接触、非破壊により測定し、反射率分光法から算出した。
表2から明らかなごとく、実施例8〜14と実施例15〜19とを比較すると、未使用の薄膜化処理ユニットを水洗処理ユニットとして使用し、該水洗処理ユニットを薄膜化処理ユニットの上流側で使用した実施例15〜19では、処理後の膜厚のばらつきが小さく、優れた薄膜化処理装置であることがわかる。これは、ドライフィルムレジスト表面に存在するポリマーの親水基が再配向し、親水性が均一化され、さらに、ドライフィルムレジスト表面に付着した汚染物や異物を取り除くことが可能となり、厚残りさせることなく、より均一な薄膜化処理を行うことができたからだと考えられる。水洗処理ユニットを薄膜化処理ユニットの下流側で使用した比較例1〜4では、処理後の膜厚が全く安定せず、ドライフィルムレジストとして使用することができなかった。これは、薄膜化処理ユニットでミセル化されたドライフィルムレジスト内の光架橋性樹脂成分が、水洗処理ユニットで不十分に除去され、薄膜化後の均一性が著しく損なわれたためと考えられる。
本発明は、サブトラクティブ法における導電パターンの形成に広く使用され、例えば、プリント配線板、リードフレーム等の作製に使用することができる。
1 薄膜化処理ユニット1
2 薄膜化処理ユニット2
3 導入部
4 ワーク
5 搬送用ロール
6 薄膜化処理用ノズル
7 水洗処理用ノズル
8 貯蔵タンク
9 薄膜化処理用薬液ポンプ
10 水供給管
11 薄膜化処理薬液回収管
12 廃液管
13 バルブ
2 薄膜化処理ユニット2
3 導入部
4 ワーク
5 搬送用ロール
6 薄膜化処理用ノズル
7 水洗処理用ノズル
8 貯蔵タンク
9 薄膜化処理用薬液ポンプ
10 水供給管
11 薄膜化処理薬液回収管
12 廃液管
13 バルブ
Claims (2)
- 少なくとも連続した2つ以上の薄膜化処理ユニットを有するドライフィルムレジストの薄膜化処理装置。
- 少なくとも連続した2つ以上の薄膜化処理ユニットを有し、未使用の薄膜化処理ユニットが水洗処理ユニットに変更可能であり、且つ、薄膜化処理ユニットの上流側で該水洗処理ユニットを使用するドライフィルムレジストの薄膜化処理装置。
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JP2010093048A JP2011222888A (ja) | 2010-04-14 | 2010-04-14 | ドライフィルムレジストの薄膜化処理装置 |
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CN115556450A (zh) * | 2022-09-26 | 2023-01-03 | 湖北慧狮塑业股份有限公司 | 一种超薄型聚烯烃干膜保护膜 |
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2010
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