JP5498136B2 - 電流センサ - Google Patents

電流センサ Download PDF

Info

Publication number
JP5498136B2
JP5498136B2 JP2009268746A JP2009268746A JP5498136B2 JP 5498136 B2 JP5498136 B2 JP 5498136B2 JP 2009268746 A JP2009268746 A JP 2009268746A JP 2009268746 A JP2009268746 A JP 2009268746A JP 5498136 B2 JP5498136 B2 JP 5498136B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current
magnetic
measured
sensor
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009268746A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011112488A (ja
Inventor
崇史 牧野
康人 菅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei EMD Corp
Original Assignee
Asahi Kasei EMD Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei EMD Corp filed Critical Asahi Kasei EMD Corp
Priority to JP2009268746A priority Critical patent/JP5498136B2/ja
Publication of JP2011112488A publication Critical patent/JP2011112488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5498136B2 publication Critical patent/JP5498136B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Instrument Details And Bridges, And Automatic Balancing Devices (AREA)

Description

本発明は、電力計測に適用可能な磁気センサを備えた電流センサに関し、より詳細には、多心の電流線路(被測定電流導体)に逆方向に流れる被測定電流の電流量を測定する電流センサに関する。
最近の地球環境保全、温暖化防止等の社会的要請の中で、省エネに関する興味の高まりは以前にも増して進んでいる。特に、一般家庭の個々の家電製品がどのくらい電力を消費しているかについては、目に見えないため、いわゆる、「電力の見える化」のニーズが増大している。このような要望に応えるため、電力計(表示)付コンセント・テーブルタップ等も製品化されているが、これらは複雑で高価であり、広く普及しているとはとても言えない。
このような「電力の見える化」のニーズが高まる中で、本発明は、一般家庭において簡易に電源電線の電流の値を見たいという要求に基づいてなされたものである。
一般的に電流検出手段としては、例えば、特許文献1に見られるように、被測定電流が流れる導体(バスバー)を有し、この導体中を流れる電流を磁気的に検出するバスバー式電流計や、例えば、特許文献2に見られるように、被測定電流導体である電源コードの一部を磁性体にてクランプし、被測定電流により生ずる磁束を検出するようにしたクランプ式電流計がある。また、磁気センサを用いない電流センサとして、シャント抵抗と呼ばれる高精度の抵抗器を用いて、電流をシャント抵抗の両端の電圧として検出するシャント抵抗式電流計などがある。
上述した特許文献1に記載のバスバー式電流計は、磁気検出素子と処理回路と外部接続端子を備えた半導体パッケージを、バスバーの両端部を露出するようにして、このバスバーと半導体パッケージとを樹脂モールドで一体化したものである。
また、特許文献2に記載のクランプ式電流計は、一側のホルダ部と他側のホルダ部とに電流センサを各別に収納し、かつ、その閉止時に当接する突合せ端部を備えてなる一側のセンサ部と他側のセンサ部とを計器本体に取り付けてなるもので、活線状態にある電線などの被測定電流導体をクランプして測定する際に用いられ、各突合せ端部は、その閉止時に、一側のホルダ側の突起部は他側のホルダ側の凹陥部と、一側のホルダ側の凹陥部は他側のホルダ側の突起部と相互に嵌合させることで、電流センサの当接面相互を正対させて確実に当接させることができるというものである。
また、特許文献3に記載の多心平行コード電流検出器は、平行コードに流れる電流を、その電流により発生する磁力線の打ち消し合わない部分、すなわち、平行コードの電線間に発生する磁力線を電気信号として検出するもので、磁気検出素子又はホール素子からなる磁気検出器と、分割できる円筒型磁性体と、外側のシールド容器から構成し、平行コードを挟むことができるように構成したものである。
特開2009−156803号公報 特開2009−14366号公報 特開2000−199770号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の電流センサや、シャント抵抗を用いた電流測定手段では、電流センサ本体に被測定電流を流すことが必要である。このため、電流センサやシャント抵抗を電流経路に取り付けるために、被測定電流導体であるコードあるいは電線を一度切断する必要があった。さらに、被測定箇所が複数存在した場合、被測定箇所の個数分だけ電流センサやシャント抵抗が必要になるという問題点があった。
また、上述した特許文献2に記載のクランプ式電流計の場合は、電流線路を切断することなく電流を測定できるが、一般家電製品の電源電線に用いられるような、2心のビニル平型コード(JISC3306 VFF)、や二種ビニル平型コード(JISC3306 HVFF)、ビニルキャブタイヤ丸型コード(JISC3306 VCTF)、二種ビニルキャブタイヤ丸型コード(JISC3306 HVCTF)、長円形キャブタイヤコード(JISC3306 VCTFK)、二種長円形キャブタイヤコード(JIS3306 HVCTFK)などでは、2心が一体になっているため、零相変流器(ZCT)と同様に、1心の電流を分離して検出できないという問題点があった。
したがって、上述した特許文献2に記載のクランプ式電流計を用いて、2心のビニル平形コード(JISC3306 VFF)、や二種ビニル平形コード(JISC3306 HVFF)など(以下、2心のコードという)、大きさが同じで、逆向きに電流線路を流れる電流を測定する場合には、コードを裂き、単心の線にすることで、測定が可能となるが、このような電源電線の加工を一般の消費者が行うには技術面や安全面で問題点があった。
また、このクランプ式電流計は、構造が複雑であるために、製造工程が煩雑となり、その結果、電流センサそのものの価格が高くなり、一般家庭で広く簡便に電流測定を行うという目的に供することができないという問題点があった。
また、特許文献3に記載の多心平行コード電流検出器は、分割できる円筒型磁性体を、多心コードを覆うように位置決めして取り付けるというものであるが、磁気検出器の位置決めが難しく、又、完全にシールドしなければいけない程に信号が微弱であり、シールドにより信号線の取り出しが難しく、一般家庭では取り付け作業が煩雑で、簡易に電流測定ができるというものではなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、家庭やオフィスなどで一般消費者が、特別な作業や工事をせずとも、簡単に一般家電製品の電流を見ることができるようにした電流センサを提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被測定電流導体に流れる被測定電流によって発生する磁束に基づき、該被測定電流を磁気的に検出する電流センサにおいて、多心の被測定電流導体が挿入される空隙部を有する磁性体コアであって、前記多心の被測定電流導体の各々には、互いに逆向きに被測定電流が流れることと、前記磁性体コアの前記空隙部に配置された磁気センサであって、前記多心の被測定電流導体の各々に流れる被測定電流によって発生する差磁束を、前記磁性体コアが収束した位置に配置され、磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサとを備え、前記磁性体コアの前記空隙部の庇部の長さ(L)が、前記多心の被測定電流導体の各々の間隔(P)に対して、1.0から3.0の値となることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記空隙部に挿入される前記被測定電流導体の一方が、前記空隙部における前記磁気センサ側に配置され、前記被測定電流導体の他方が、前記空隙部における開口側に配置されるように取り付けることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記磁気センサ側に配置された前記一方の被測定電流導体に流れる前記被測定電流によって発生し、前記磁気センサが配置された位置に収束する磁束密度B2とし、前記開口側に配置される前記他方の被測定電流導体に流れる前記被測定電流によって発生し、前記磁気センサが配置された位置に収束する磁束密度B3とした場合に、前記磁気センサが検出する差磁束密度B23は、B2B3で表されることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の発明において、前記磁性体コアの前記空隙部が、前記磁気センサを配置するギャップ部と前記被測定電流導体を配置する凹部とを有することを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、前記磁性体コアが、断面コ字状の鉤型磁性体コアであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、前記磁性体コアが、棒状磁性体と鉤型磁性体との組み合わせであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、前記磁性体コアが、断面U字状の磁性体コアであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、前記磁気センサが、ホール効果を利用したホール素子であることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれに記載の電流センサを用いて取得した電流情報と、電圧センサを用いて取得した電圧情報との積を乗算積分手段により電力を計算することを特徴とする電力計である。
本発明によれば、一般家庭やオフィスなどにおいて、一般家電製品の電源電線に用いられる、2心のコードを流れる電流を、コードを切断したり、裂いたりすることなく、電流測定をすることができる。また、コードの交換が簡単なため、複数のコードを1つの電流センサで測定することが容易である。また、電流センサを持ち運んで簡単に設置できるため、被測定箇所が複数個存在した場合にも測定が容易である。
また、磁気センサを2つの磁性体のギャップ部に配設することで、電流センサの組み立て時に生じる、磁性体と磁気センサの位置ずれによる電流センサの感度ばらつきが低減でき、安価に電流センサを提供することができる。また、2つの同一形状の鉤形磁性体を用いることによる製造コストの低減と、製造ばらつきの低減ができ、さらに、安価に電流センサを製造することができる。
また、本発明による電流センサを用い、何らかの電圧検出又は推定方法とを組み合わせることで電力を計測することができる。従来は、電線の加工を行うか、特別な装置を用いなければ測定が困難であった一般家電製品の消費電力を、非接触で簡便に測定することができる、「電力の見える化」を簡便に行うことが可能となった。
本発明に係る電流センサの実施例1を説明するための断面図である。 本発明に係る電流センサの実施例1を説明するための斜視図である。 (a)乃至(c)は、2心の電流線路の差磁束が生じる原理について説明するための図で、(a)は全体の断面構成図、(b)は一方の電流線路による磁束、(c)は他方の電流線路による磁束の模式図である。 (a),(b)は、一方の被測定電流導体に紙面の奥から手前に向かう方向に、他方の被測定電流導体に紙面の手前から奥へ向かう方向に、それぞれ1Aの電流を流した時の磁束密度ベクトルの分布を計算した結果を示した図で、(a)は、鉤型磁性体コアの内部、(b)はギャップ部における磁束密度ベクトルの分布を計算した結果を示している。 鉤状磁性体のギャップ部における、磁気センサのx方向の位置と磁束密度変化量の関係を示す図である。 鉤状磁性体のギャップ部における、磁気センサのy方向の位置と磁束密度変化量の関係を示す図である。 電流線路に流れる電流とギャップ部の磁束密度との関係を示す図である。 規格化した断面コ字状の磁性体コアの庇部の長さ(L/P)に対して鉤型磁性体のギャップ部の磁束密度の値をプロットしたグラフを示す図である。 2心のコードを図1に示す+x方向に所定量ずらした時の鉤型磁性体のギャップ部の磁束密度の変化率を、電流線路の間隔(P)で規格化した鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L/P)に対してプロットしたグラフを示す図である。 本発明による電流センサを用いてビニル平型コード(JISC3306 VFF 2心 公称断面積2.0mm2)に流れる電流を測定した結果を示す図である。 電流値を求める手順を説明するためにフローチャートを示す図である。 本発明の電流センサを用いた電力計算処理を行うためのブロック図である。 (a),(b)は、複数の電流センサを用いて複数の電力をモニタするシステムの構成図で、(a)は全体構成図、(b)は電力表示器を示している。 (a),(b)は、多心コードに対する電流センサの構成図で、(a)に3心コードの例、(b)に4心コードの例を示している。 (a)乃至(c)は、磁性体の形状のバリエーションを示す図で、(a)は棒状(板状)磁性体と鉤型磁性体とを組み合わせた例、(b)は複数コの棒状(板状)磁性体を組み合わせた例、(c)は磁気センサの配置を変えた例である。 磁性体コアの形状を断面U字型にした例を示す図である。 磁性体コアの形状を2つの棒状磁性体(板状)とした例を示す図である。 磁気センサに差磁束が生じない場合の電流線路の配置例を示す図である。
本発明の電流センサは、一般家電製品に用いられる電源電線に流れる電流をある程度の精度で検出するのであれば、電線全周を磁性体コアで覆い、電流の生ずる全磁束を捉えて電流測定する必要はなく、2心のコードを側面のみから覆うことで磁性体コアの非対称性から生じる、逆方向に流れる被測定電流により発生される差磁束を検出することで、簡便に電流検出ができるという視点からなされたものである。また、電源コードの規格等の予め定まる配置を基に、自ずと求める精度と適正な配置の範囲は定まる。
以下、図面を参照して本発明の各実施例について説明する。
図1は、本発明に係る電流センサの実施例1を説明するための断面図で、図2は、本発明に係る電流センサの実施例1を説明するための斜視図を示している。図中符号1は磁気センサ、2,3は被測定電流導体(電流経路)、4a,4bは断面コ字状の磁性体コア、5aはギャップ部、5bは凹部を示している。磁気センサ1は、ホール効果を利用したホール素子であることが好ましい。
なお、符号Aは凹部5bの開口部の幅、B,B’は磁性体コア4a,4bの庇部の厚さ、Cは磁性体コア4a,4bのギャップ部5a部分の長さ、Lは磁性体コア4a,4bの庇部の長さ、Pは被測定電流導体(電流経路)2,3の中心部間の距離を示している。
本発明の電流センサは、被測定電流導体に流れる互いに逆向きで、同じ電流値である被測定電流によって発生する磁束に基づき、この被測定電流を磁気的に検出する電流センサである。断面コ字状の磁性体コア4a,4bは、相互に対面するギャップ部5aと凹部5bとを有し、この凹部5bに挿入された被測定電流導体2,3に流れる逆向きの被測定電流によって発生する差磁束を収束するものである。つまり、凹部5bに挿入された2心以上の電流線路2,3に流れる、大きさが同じで、逆向きに流れる電流が発生する差磁束を収束する断面コ字状の磁性体コア4a,4bと、この磁性体コア4a,4bが収束した差磁束を検出し、磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサからなる電流センサである。この磁性体コア4a,4bは、鉤型磁性体コアであることが望ましい。
つまり、本発明の電流センサは、被測定電流導体2,3に逆向きの被測定電流が流れることによって発生する差磁束を検出する2つの鉤型磁性体コア4a,4bを備え、この鉤型磁性体コア4a,4bは、断面コ字状の磁気コアを形成するように組み合わされている。
また、磁気センサ1は、一対の鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5bに配置され、鉤型磁性体コア4a,4bが収束した差磁束を検出して磁束密度に応じた電圧を出力するものである。
また、一方の被測定電流導体2が、鉤型磁性体コア4a,4bの凹部5bにおける磁気センサ側に配置され、他方の被測定電流導体3が、鉤型磁性体コア4a,4bの凹部5bにおける開口側に配置されている。
そして、一方の被測定電流導体2による磁束が、他方の被測定電流導体3による磁束よりも集まりやすくなることにより、一方の被測定電流導体2による強調された差磁束を得ることができる。
被測定電流導体2,3には、例えば、ビニル平型コード(2心、公称断面積2mm2(平方ミリメートル))である。この被測定電流導体2,3には、大きさが同じで、かつ逆向きの電流が流れる。
ビニル平型コードの被測定電流導体2,3は、鉤型磁性体コア4a,4bの凹部5b、図面右から左方向に挿入され、一方の被測定電流導体2が鉤型磁性体コアの奥に接するように配置され、他方の被測定電流導体3が鉤型磁性体コア4a,4bの開口部付近に配置されている。
このような配置を取ることで、鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aには、一方の被測定電流導体2による磁束が集まりやすく、他方の被測定電流導体3による磁束は集まりにくくなる。このことにより、両者の差磁束として、お互い逆向きに流れる被測定電流導体2,3のうち、一方の被測定電流導体2の寄与が強調された差磁束が得られる。そして単位電流当たりの差磁束値を予め求めておけば、差磁束の値を磁気センサで検出して電流値を逆算することで電流値を算出できる。
また、断面コ字状の磁性体コア4a,4bの奥側に接するよう配置するだけで電流値が測定できるため、一つのビニル平形コードの電流値を測定した後、簡単に取り外し、直ちに別のビニル平形コードの電流値を測定できるため、複数のコードの電流値を1つのセンサで測定することが非常に容易である。
<差磁束の原理の説明>
図3(a)乃至(c)は、2心の電流線路の差磁束が生じる原理について説明する図で、図3(a)は全体の断面構成図、図3(b)は一方の電流線路による磁束の模式図、図3(c)は他方の電流線路による磁束の模式図を示している。
電流線路2には紙面奥から手前の方向へ電流が流れ、電流線路3には紙面手前から奥の方向へ電流が流れているとすると、断面コ字状の磁性体コアの凹部5bの奥側の電流線路2によって発生する磁束は、図3(b)に示されるようになり、断面コ字状の磁性体コアの凹部5bの開口部側の電流線路3によって発生する磁束は、図3(c)に示されるようになる。
電流線路2と3の両方が存在した場合、両者の磁束は向きが逆で打ち消しあうが、ギャップ部5aに配置された磁気センサ1は、電流線路3によって発生する磁束φ2よりも、電流線路2によって発生する磁束φ1の影響を強く受けることになって差磁束が生じる。以下、数式に基づいて差磁束が生じる概略について説明する。
まず、電流線路2、3の磁気センサ部からの距離をそれぞれP2、P3とすると、P2<P3が成り立つ。始めに、無限に長い直線電流による磁界Hは、直線からの距離rの関数として、下式で表される。
H=I/2πr ・・・・・・・・・・(1)
ここで、Iは電流値である。
次に、磁気センサが配置されるギャップ部に生じる磁束密度について考える。
磁束密度Bは、電流経路の配置や、磁性体の材質、形状などによって変化する関数をf(μ)と定義することで下式であらわすことができる。
B=μ0H×f(μ) ・・・・・・・・(2)
ここで、μ0は真空の透磁率である。
さらに(2)式に(1)を代入し、
B=μ0I/2πr×f(μ) ・・・・(3)
と表せる。
ここで、電流線路2の磁束密度B2、電流線路3の磁束密度B3について考えると、平型コードの電流経路2,3には大きさが等しい電流が流れることからIは等しく、また、f(μ)は、同一の磁性体を用いていることから第一近似的に等価として考えてよい。
すると、電流線路2の磁束密度B2、電流線路3の磁束密度B3は下式で表される。
B2=μ0I/2πP2×f(μ)
B3=μ0I/2πP3×f(μ)
定義よりP2<P3であることから、B2>B3が常に成り立つ。
よって、ギャップ部の差磁束密度B23は、
B23=B2−B3>0
となり、ゼロではない有限の値をとる。
その値は、下式で表せる。
B23=B2−B3
=μ0I/2π×f(μ)×(1/P2−1/P3)
=A1×I ・・・・・・・・・・(4)
ここで、A1は定数である。
上式より、差磁束密度B23は、電流に比例する形になっていることが分かる。
この定数A1を予め、計算や実測などで求めておく。
後は、差磁束密度B23の値を磁気感度が既知の磁気センサで検出することで、下式の電圧出力が得られる。
Vout=Vh×B23 ・・・・・・・・・(5)
ここで、磁気センサの電圧出力をVout、磁気感度をVhとした。
(4)、(5)式より、
Vout=Vh×A1×I
=A2×I
よって
I=Vout/A2 ・・・・・・・・・・・(6)
ここで、A2は定数である。
定数A2を予め計算や実測などで求めておくことで、磁気センサ出力電圧値を(6)式に当てはめて電流値に変換することができる。
<磁気シミュレーション>
まず、実施例1の電流センサの詳細寸法を決めるために、積分要素法を用いた磁気シミュレーションを行った。この磁気シミュレーションにおいては、磁気センサ1として旭化成エレクトロニクス(株)製のリニアホールIC、EQ−710L(商品名)を使用し、被測定電流導体2,3として、平河ヒューテック(株)製の二種ビニル平形コード(JISC3306 HVFF)(2心、公称断面積2mm2(平方ミリメートル))を使用し、鉤型磁性体コア4a,4bとして、トミタ電機(株)製のフェライト(初透磁率14000、飽和磁束密度330mT)を使用し、鉤型磁性体コア4a,4bの各部の長さは、A=3.6mm、B=B’=5mm、C=5mm、L=7mmとした。また、磁気センサ1が配置される鉤型磁性体コア4a,4bギャップ部5aの長さは、1.5mmとした。
図4(a),(b)は、前記条件下で一方の被測定電流導体に紙面の奥から手前に向かう方向に、他方の被測定電流導体に紙面の手前から奥へ向かう方向に、それぞれ1Aの電流を流した時の磁束密度ベクトルの分布を計算した結果を示した図で、図4(a)は、鉤型磁性体コアの内部、図4(b)はギャップ部における磁束密度のベクトルの分布を計算した結果を示している。
図4(a)に示された計算結果から、一方の被測定電流導体2を中心として反時計回りに、他方の被測定電流導体3を中心として時計回りに、鉤型磁性体コア4a,4bの内部に磁束が発生していることが分かる。
また、図4(b)より、磁気センサ1が配置されるギャップ部5aには、被測定電流導体2,3による差磁束が発生していることがわかる。
この差磁束による磁束密度は、被測定電流導体2,3にそれぞれ1Aの逆向きの電流が流れたときには、約0.10mTとなる。これは、鉤型磁性体コア4a,4bが無い場合の磁束密度の0.03mTに比べ格段に大きく、鉤型磁性体コア4a,4bにより効率的に差磁束が収束されていることが分かる。
次に、磁気センサ1を鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aに組み付け時に生じる磁気センサ1の位置ずれについて検討する。
図5及び図6は、磁気センサの配設位置がギャップ部の中心から、図1に示すx方向あるいはy方向にずれた時の磁束密度の変化量を示す図である。
図5に示すように、x方向に±0.5mmずれた時の磁束密度の変化量は±0.1%以下であり、図6に示すように、y方向に±0.5mmずれた時の磁束密度の変化量は±0.04%以下である。このことから、磁気センサ1のギャップ部5aへの配設時の位置ずれによる本発明による電流センサの感度変動が小さいことがわかる。
図7は、電流線路に流れる電流とギャップ部の磁束密度との関係を示す図である。電流とギャップ部の磁束密度は比例関係にあることが分かる。よって単位電流当たりの磁束密度の値を計算や実測により求めておき、磁気センサにより測定した磁束密度の値を電流値に変換する事で、被測定電流の電流測定が出来る。
次に、差磁束を効率良く収束するための鉤型磁性体コア4a,4bの凹部5bを構成する部分の長さ(L)について検討する。
本発明による電流センサの鉤型磁性体コア4a,4bの庇部の長さ(L)は、2心のコードの2心の被測定電流導体の間隔(P)を用いて規格化し、L/Pとして表すことにする。
図8は、規格化した断面コ字状の磁性体コアの庇部の長さ(L/P)に対して鉤型磁性体コアのギャップ部の磁束密度の値をプロットしたグラフを示す図である。これより、規格化した鉤型磁性体コア4a,4bの庇部の長さ(L/P)が1以下の範囲では、鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aの磁束密度は、規格化した鉤型磁性体コア4a,4bの庇部の長さにほぼ比例するため、鉤型磁性体コア4a,4bの製造のばらつきや組み立てのばらつきが電流センサの感度に影響するため好ましくない。
実用上の問題が生じない程度の電流センサの感度誤差範囲で、安定して電流センサを製造するためには、鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aの磁束密度の変動量は、10%以内に抑えることが肝要である。
磁気センサの電圧ノイズによる影響を実用上問題の無い範囲まで低減するためには、電流センサの感度を極力高めるのが好ましく、鉤型磁性体コアのギャップ部の磁束密度が極大値の90%以上になるように選ぶことが肝要である。
したがって、前述の条件を満たす規格化した鉤型磁性体コア4a,4bの庇部の長さ(L/P)は、1.0から3.0の範囲であることが分かる。本実施例の二種ビニル平形コード(JISC3306 HVFF)(2心、公称断面積2mm^2(平方ミリメートル))の場合、P=3.4mmであるため、前述の条件を満たす鉤型磁性体コア4a,4bの庇部の長さは3.4mmから10.2mmである。
さらに、鉤型磁性体コアの凹部に挿入された2心のコードの位置ずれについて検討する。
本発明による電流センサは、特別に教育を受けた作業者が使うのではなく、一般消費者が一般家電製品の電流を簡便に測定することを目的としている。このため、鉤型磁性体コアの凹部に挿入された2心のコードの位置が作業者によってばらつくことが想定される。したがって、この2心のコードの位置ずれによる電流センサの感度変動量を小さくすることが肝要である。
図9は、2心のコードを図1に示す+x方向に所定量ずらした時の鉤型磁性体のギャップ部の磁束密度の変化率を、電流線路の間隔(P)で規格化した鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L/P)に対してプロットしたグラフを示す図である。
ここで、鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aの磁束密度の変化率は、2心のコードが鉤型磁性体コア4a,4bの凹部5bの最深部に配置された時の鉤型磁性体コア4a,4bの磁束密度を基準としている。また、2心のコードのずれ量は、2心のコードを+x方向にずらした量(Δx)を2心の被測定電流導体の間隔(P)で規格化した値(Δx/P)が0.1と0.4とした。
図9より、L/Pの値が2.0より小さい領域では、2心のコードの位置ずれによる鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aの磁束密度の変化が大きいことがわかる。したがって、L/Pの値が2.0以上にすれば、2心のコードの位置ずれによる鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aの磁束密度の変化量を3%以下にすることができ、好適である。
さらに、L/Pの値を2.5以上の範囲とすれば、2心のコードの位置ずれによる鉤型磁性体コア4a,4bのギャップ部5aの磁束密度の変化量を1%以下にすることができ、さらに好適である。
以上のことから、2心のコードから生じる差磁束を効率よく収束し、2心のコードを鉤型磁性体コア4a,4bに挿入した時の2心のコードの位置ずれに対する電流センサの感度ばらつきを低減するためには、鉤型磁性体コア4a,4bの庇部の長さ(L)を、2心のコードの2心の被測定電流導体の間隔(P)を用いて規格化し、L/Pの値が2.0から3.0の範囲とすることが好ましく、さらに、2心のコードの位置ずれによる電流センサの感度変動を低減するためには、L/Pの値が2.5から3.0の範囲とすることが好ましい。
本実施例1の説明においては、ビニル平型コードを用いて詳細を説明したが、本発明による電流センサは、被測定電流導体及び鉤型磁性体コアの相似形についても同様に成り立つことが明白である。したがって、2心のコードの種類や電流値が異なっても、本発明による電流センサを同様に用いることができる。
<具体例>
以下の表1は、本発明の具体例による電流センサ(磁性体コアと磁気センサ)の例を示す表である。この表1には、上述した本発明による電流センサの詳細が記載されている。
Figure 0005498136
図10は、本発明による電流センサを用いて二種ビニル平型コード(JISC3306 HVFF 2心 公称断面積2.0mm2)に流れる電流を測定した結果を示す図である。
図11は、電流値を求める手順を説明するためにフローチャートを示す図である。まず、使用コードを決める(ステップS1)。次に、決められた使用コードに応じた断面コ字状の磁性体コアを定める(ステップS2)。次に、予め磁気センサの出力電圧値と電流値との関係を求めておく(ステップS3)。次に、磁気センサの出力電圧を出力する(ステップS4)。最後に、電流値を求める(ステップS5)。これより、本発明による電流センサを用いて、効率良く、2心のコードが生ずる差磁束を測定できることが分かる。
本発明の電流センサは、一般家電製品の電源電線に流れる電流を測定することを目的とするため、様々な種類の2心のコードに流れる電流を測定することが必要である。そこで、2心のコードの2心の被測定電流導体の間隔(P)が異なる場合について検討する。
まず、同一の電流センサで異なる線幅や線種の2心のコードを流れる電流を測定する場合には、電流センサの凹部に2心のコードが挿入可能となるために、鉤型磁性体コアの空隙部(図1のA)が最大形状の2心のコードの厚さと同等であることが必要である。
また、その他のサイズ(図1のB及びC)は電流センサの測定対象とする最大電流値から磁気飽和が生じない十分な大きさとすることが必要である。
次に、鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L)については、最大形状の2心のコードの2心の被測定電流導体の間隔(Pa)を基準にして、鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L)の比(L/Pa)が実施例1において詳述した2.0から3.0の範囲にすることが必要である。
ここで、上述した電流センサを異なる2心の被測定電流導体の間隔(P)をもつ2心のコードに適用した場合について検討する。
表2は、ビニル平型コード(2心、公称断面積2.0mm2(平方ミリメートル))を基準に製作した異なる鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L)を持つ電流センサを用いて、ビニル平型コード(2心、公称断面積0.75mm2(平方ミリメートル))に5Aの電流を流した時の、鉤型磁性体コアのギャップ部の磁束密度を測定した結果である。
Figure 0005498136
この結果より、L/Paが2.0から3.0の範囲であれば、2心のコードの2心の被測定電流導体の間隔(P)が異なっても、鉤型磁性体コアのギャップ部の磁束密度は、20%程度しか変化しないことが分かる。したがって、異なる2心のコードに対して、20%程度の誤差で電流を測定することができる。
また、鉤型磁性体コアのギャップ部の磁束密度の大きさは、L/Paが1.0〜3.0であれば、2心のコードの電流線路の間隔(P)によらず、極大値の85%以上となり、単位電流値当たりの出力電圧を大きくすることができる。
さらに、2心のコードの位置ずれが+x方向にΔx=1.35mm生じたときの磁束密度の変化量は、L/Paが2.0以上であれば、2心のコードの2心の被測定電流導体の間隔(P)によらず、3%以下となっており、2心のコードの鉤型磁性体コアの凹部への挿入時の位置ずれに対してもほとんど影響を受けないことが分かる。
このように、異なる2心の被測定電流導体の間隔(P)をもつ2心のコードの電流を測定する場合においても、本発明による電流センサにおいて、L/Pを最大形状の2心のコードの2心の被測定電流導体の間隔(Pa)を基準にして鉤型磁性体コアの形状を決定することができる。
上述した実施例1,2の電流センサと、何らかの電圧検出、または推定手段とを組み合わせることで簡便な電力測定が可能になる。
図12は、本発明の電流センサを用いた電力計算処理を行うためのブロック図である。図中符号11は電流出力部、12は電圧出力部、13は乗算積分部、14は電力出力部を示している。
上述した実施例1,2に記載の電流センサによって得た電流情報と、何らかの手段で得た電圧情報との積をとることにより電力情報に換算できる。この電力情報を得る手段の一例として、コンセントに差すことで電圧値を測定できる電圧プローブがある。また、電圧値を完全な正弦波交流100V(力率100%)と仮定して、ある程度の誤差が存在する前提で電圧情報を簡単に取得する手段もある。家電製品の負荷の種類によって、位相や波形が変化して完全な正弦波とはならないため、正確な電力情報を得るには、逐次電圧と電流の情報の積をとり、瞬時電圧を積分する必要がある。
しかし、一般家電製品の消費電力について、一般消費者がオーダー的に知る程度の大まかな消費電力であれば、電圧値を仮定し、電流情報のみより算出しても良い。こうすることで、従来は電線の加工を行うか、特別な装置を用いなければ測定が困難であった一般家電製品の消費電力を簡便に測定することができる。
次に、本発明による電流センサを用いた電力計システムについて説明する。
図13は、図12に示した電力計算処理に用いられる電力表示器を示す図である。まず、各家電機器の電源コードに本発明による電流センサを設置する。各電流センサによって測定された電流情報は、リアルタイムで電力表示器に送られ、電力表示器にて測定した瞬時電圧と乗算し、積分することによる消費電力を求め、消費電力として電力表示器15に表示される。
なお、各電流センサと電力表示器との通信は機器間を直接有線や無線でつなぐ方法でも良いが、PLC通信やTCPIP、ZigBeeなど他の通信システムと供用するなどすることにより、容易に設置できたり、配線が複雑にならないなどの利点があり好ましい。
図13(a),(b)は、複数の電流センサを用いて複数の電力をモニタするシステムの構成図で、図13(a)は全体構成図、図13(b)は電力表示器を示している。図中符号21は本発明の複数の電流センサ、22はテレビ、23はエアコン、24は電気冷蔵庫を示している。
簡便な携帯型電力表示システムとして、携帯型ゲーム端末等に本発明による電流センサを接続し、家電機器の概消費電力を表示させることができる。携帯型ゲーム端末等が蓄電池等動作している場合、瞬時電圧を測定できないため、正確な電力測定はできないが、消費電力の大小をあるいは、機器の動作状態を概モニタするに十分である。携帯型ゲーム端末であっても、商用電源の電力波形をモニタする電圧測定プローブ状の機器を接続すれば、より精度の高い電力測定が可能である。
(その他の実施例)
本発明の実施例として、リニアホールICを用いた例を用いて説明したが、本発明の電流センサに用いる磁気センサには、ホール素子,磁気抵抗素子など、様々な磁気センサを用いることが可能である。
特に、磁気センサとして、リニアホールICやホール素子などのホール効果を利用したホールセンサを用いた場合には、鉤型磁性体コアのギャップ部の磁束密度に比例した電圧出力を容易に得ることが出来るために、マイコンなどの出力電圧の補正回路やログアンプなどの複雑な外部回路を用いることなく、本発明による電流センサを構成することができる。
さらに、磁気センサとして、リニアホールICやプログラマブルリニアホールICを用いれば、外部回路を大幅に削減することができる。
本発明の実施例として、鉤型磁性体にはフェライトを用いたが、珪素鋼板やパーマロイなどの軟磁性を持つ材料であれば構わない。
2心のコードとして、一般家電製品の電源電線に広く用いられる、2心のビニル平型コード(JISC3306 VFF)、や二種ビニル平型コード(JISC3306 HVFF)、ビニルキャブタイヤ丸型コード(JISC3306 VCTF)、二種ビニルキャブタイヤ丸型コード(JISC3306 HVCTF)、長円形キャブタイヤコード(JISC3306 VCTFK)、二種長円形キャブタイヤコード(JIS3306 HVCTFK)を例としてあげたが、これらコードに限定されない。すなわち、本発明の電流センサは、一般的な2心以上のコードに適用が可能である。
図14(a)乃至(c)は、多心コードに対する電流センサの構成図で、図14(a)に3心コードの例、図14(b)に4心コードの例を示している。本発明の電流センサは、図14(a)に示すような3心コード31、例えば、3心のビニルキャブタイヤ丸形コード(JISC3306 VCTF)に適用できる。また、図14(b)に示すような4心コード41、例えば、4心のビニルキャブタイヤ丸形コード(JISC3306 VCTF)に適用できる。
また、コードの樹脂材質は、塩化ビニル樹脂を主体とするものに限定されない。例えばポリエステルやゴムなど、コードの絶縁被覆として一般に用いられている非磁性材質であれば良い。また、コードの形状は、特に制限がなく、平型,丸型,長円形型でなくとも構わない。
さらに、本発明の電流センサを適用するコードの導体の公称断面積は、実施例に示した2.0mm2や0.75mm2にはとらわれない。コードの導体の公称断面積や、素線の本数、太さや、単線であるか、より線であるかなどの形状について制限を受けない。
断面コ字状の磁性体コアは、磁気回路的に等価であれば任意の形状変更が可能であり、各種磁性体の組み合わせによって実現してもよい。すなわち、鉤型磁性体コアは、2以上の磁性体の組み合わせで実現すれば良く、
図15(a)乃至(c)は、磁性体コアの形状のバリエーションを示す図で、図15(a)は棒状(板状)磁性体と鉤型磁性体とを組み合わせた例、図15(b)は複数の棒状(板状)磁性体を組み合わせた例、図15(c)は磁気センサの配置を変えた例を示している。図中符号34aは鉤型磁性体、34b,34c,34d,34e,34f,34g,34hは棒状(板状)磁性体を示している。
図15(b)に示すように、3本の棒状(板状)磁性体を組み合わせても構わない。その際に、磁気センサを配置する部位は、差磁束が検出できる場所であれば良く特に限定されない。したがって、図15(c)に示すように、磁気センサをy軸に平行に配置しても構わない。
図16は、磁性体コアの形状を断面U字型にした例を示す図である。断面コ字状の磁性体コアの角をとり、図16に示すように、断面U字状とすることが好ましい。角部での磁束の集中を緩和し、磁気飽和がおきにくくなることで、より広い範囲で電流が測定可能になる。また、凹部側の曲面を電線被覆形状に合わせる事で、二心平型コードと磁性体コアとの位置再現性が向上する。
図17は、磁性体コアの形状を2つの棒状磁性体(板状)とした例を示す図である。磁性体コアは断面コ字状でなくとも、差磁束が生じるあらゆる配置に対し、同様の考え方で電流検出は可能である。図17に示すように、棒状磁性体コア34a,34bで磁気センサと電流線路を挟み込んだ配置でも構わない。電流検出ができないのは、図18に示すように、磁性体コア43a,43bと磁気センサ1に対する相対配置が等価になるときのみである。この場合は、地絡が起こるなどして、電流線路2,3の電流がアンバランスにならない限り差磁束はゼロとなり、電流を検出することはできない。
以上のように、本発明の各実施例として、磁気センサを一つ用いる例について説明したが、磁気センサを複数個用いても構わない。この様な構成であれば、2以上の磁気センサの出力を演算し、外乱磁場による磁束密度の影響を除去することができ、工場などの重電装置における電流検出において、外来磁場の環境を低減しながら、簡便に電流測定することができる。
本発明の電流センサにおいては、鉤型磁性体コアと磁気センサに着目して詳細を説明したが、これら磁性体コアと磁気センサを保持するために、プラスチックや非磁性金属材による筐体を用いても構わない。
このように、本発明による電流センサを用いれば、従来は、電線の加工を行うか、特別な装置を用いなければ測定が困難であった電流を簡便に測定することができ、「電力の見える化」を簡便に行うことが可能となる。
2心のコードを、鉤型磁性体コアの凹部に挿入するだけで、電流経路を流れる被測定電流を測定することができるため、2心のコードを切断したり、裂いたりする作業が不要である。
また、鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L)を2心の被測定電流導体の間隔(P)に対して、1.0から3.0の値とすることで、鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L)にほとんど依存せず、2心のコードを流れる電流によって生じる差磁束を効率的に収束し、2心のコードを流れる電流の測定が可能となる。
また、鉤型磁性体コアの庇部の長さ(L)が2心の被測定電流導体の間隔(P)に対して、2.0以上の値とすることで、鉤型磁性体コアの凹部に挿入された2心のコードが鉤型磁性体コアの凹部の最深部から若干ずれた場合にも、極端な電流センサの感度の変動をすることなく、2心のコードを流れる電流の測定ができる。
さらに、異なる線幅や線種の2心のコードを流れる電流を測定する場合には、対象とする2心のコードのうち、最大形状の2心コードの2心の被測定電流導体の間隔(Pa)を基準にして、鉤型磁性体コアが収束する磁束が凹部5bを構成する庇部の長さ(L)の比(L/Pa)が、2.0から3.0の値とすることが好ましい。
また、本発明の電流センサは、鉤型磁性体コアが、2個の磁性体からなり、磁性体コアが収束した差磁束を検出し、磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサが、2個の磁性体で挟んだギャップ部に配置されていることを特徴とする。
このような構成であれば、磁気センサは磁性体コアが収束した磁束を効率的に検出することができる。また、2個の磁性体のギャップ部分にはほぼ均一な磁束密度分布が形成されるので、磁気センサと磁性体コアの配設時の位置ずれによる電流センサ感度は変動が極めて少なくなる。したがって、本発明による電流センサの製造ばらつきが少なくなり、安価な電流センサを大量生産することができる。
さらには、2個の磁性体を同一形状の2個の鉤型磁性体で構成すれば、磁性体形状のばらつきによる組み立て誤差が小さくなり、電流センサの特性ばらつきが少なくなる。また、同一形状の鉤型磁性体を大量生産することが出来るため、部材コストの低減が可能となり、より安価な電流センサを大量生産することが出来る。
また、本発明の電流センサは、磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサが、ホール効果を利用したホールセンサであることを特徴とする。
このような構成であれば、ホールセンサは磁束密度に比例した電圧を出力することができる。したがって、磁性体コアにより収束された差磁束を容易に電圧に変換することが出来、その出力電圧は被測定電流導体に流れる電流量に正しく比例するため、マイコン等による出力電圧の補正やログアンプなどの複雑な外部補正回路を用いることなしに電流センサを製造することが出来る。また、近年、開発されているリニアホールICやプログラマブルリニアホールICを用いれば、さらに外部回路を削減することが出来、安価に電流センサを製造することができる。
また、本発明の電流センサは、鉤型磁性体コアの内部形状は、曲面またはテーパーを有することが好ましい。これにより、磁性体の磁気飽和が生じ難くなり、電流センサのリニアリティを向上させると共に、同一の最大電流測定範囲を得るために使用する磁性体量を低減することができるため、より安価な電流センサを製造することができる。
本発明は、2心の電流線路(被測定電流導体)に逆方向に流れる被測定電流により発生される差磁束を収束する磁性体コアと、差磁束を検出する磁気センサとを備え、被測定電流により生じる差磁束を磁気センサにより検出することで、被測定電流の電流量を測定する電流センサに関する。家庭やオフィスなどで一般消費者が、特別な作業や工事をせずとも、簡単に一般家電製品の電流を見ることができるようにしたもので、家庭やオフィスなどの消費電力モニタ、消費電力チェッカ、消費電力を測定するゲームやおもちゃなどに適用できる。
1 磁気センサ
2,3 被測定電流導体(電流経路)
4a,4b 断面コ字状の磁性体コア
4c 棒状(板状)磁性体
5a ギャップ部
5b 凹部
11 電流出力部
12 電圧出力部
13 乗算積分部
14 電力出力部
15 電力表示器
21 本発明の複数の電流センサ
22 テレビ
23 エアコン
24 電気冷蔵庫
31 3心コード
34a 鉤型磁性体
34b,34c,34d,34e,34f,34g,34h 棒状(板状)磁性体
41 4心コード

Claims (9)

  1. 被測定電流導体に流れる被測定電流によって発生する磁束に基づき、該被測定電流を磁気的に検出する電流センサにおいて、
    多心の被測定電流導体が挿入される空隙部を有する磁性体コアであって、前記多心の被測定電流導体の各々には、互いに逆向きに被測定電流が流れることと、
    前記磁性体コアの前記空隙部に配置された磁気センサであって、前記多心の被測定電流導体の各々に流れる被測定電流によって発生する差磁束を、前記磁性体コアが収束した位置に配置され、磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサとを備え
    前記磁性体コアの前記空隙部の庇部の長さ(L)が、前記多心の被測定電流導体の各々の間隔(P)に対して、1.0から3.0の値となることを特徴とする電流センサ。
  2. 前記空隙部に挿入される前記被測定電流導体の一方が、前記空隙部における前記磁気センサ側に配置され、前記被測定電流導体の他方が、前記空隙部における開口側に配置されるように取り付けることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記磁気センサ側に配置された前記一方の被測定電流導体に流れる前記被測定電流によって発生し、前記磁気センサが配置された位置に収束する磁束密度B2とし、前記開口側に配置される前記他方の被測定電流導体に流れる前記被測定電流によって発生し、前記磁気センサが配置された位置に収束する磁束密度B3とした場合に、前記磁気センサが検出する差磁束密度B23は、B2B3で表されることを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
  4. 前記磁性体コアの前記空隙部が、前記磁気センサを配置するギャップ部と前記被測定電流導体を配置する凹部とを有することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の電流センサ。
  5. 前記磁性体コアが、断面コ字状の鉤型磁性体コアであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電流センサ。
  6. 前記磁性体コアが、棒状磁性体と鉤型磁性体との組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電流センサ。
  7. 前記磁性体コアが、断面U字状の磁性体コアであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電流センサ。
  8. 前記磁気センサが、ホール効果を利用したホール素子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電流センサ。
  9. 請求項1乃至のいずれに記載の電流センサを用いて取得した電流情報と、電圧センサを用いて取得した電圧情報との積を乗算積分手段により電力を計算することを特徴とする電力計。
JP2009268746A 2009-11-26 2009-11-26 電流センサ Active JP5498136B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009268746A JP5498136B2 (ja) 2009-11-26 2009-11-26 電流センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009268746A JP5498136B2 (ja) 2009-11-26 2009-11-26 電流センサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011112488A JP2011112488A (ja) 2011-06-09
JP5498136B2 true JP5498136B2 (ja) 2014-05-21

Family

ID=44234931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009268746A Active JP5498136B2 (ja) 2009-11-26 2009-11-26 電流センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5498136B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013002974A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Mega Chips Corp 電流測定装置
JP2013257176A (ja) * 2012-06-11 2013-12-26 Fukami Seisakusho:Kk 電力計及び電力計測用アダプタ
JP2014085248A (ja) * 2012-10-24 2014-05-12 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 電流センサおよび電流検出方法
JP6021615B2 (ja) * 2012-12-01 2016-11-09 文化シヤッター株式会社 太陽電池パネル検査装置及び計測装置
JP2018028477A (ja) * 2016-08-18 2018-02-22 株式会社Sassor 電力測定装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54109881A (en) * 1978-02-17 1979-08-28 Nana Erekutoronikusu Kk Method and device for measuring electrical current
JP2607320Y2 (ja) * 1992-08-05 2001-07-09 住友電装株式会社 電流検出装置付リレーボックス
JP2001305162A (ja) * 2000-04-25 2001-10-31 Murata Mfg Co Ltd 電流検出器
JP4755791B2 (ja) * 2001-09-28 2011-08-24 テンパール工業株式会社 電流または電力センサ
JP2006038551A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Nec Engineering Ltd ディジタル交流電力計
JP2007303952A (ja) * 2006-05-11 2007-11-22 Yazaki Corp 電流測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011112488A (ja) 2011-06-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7719258B2 (en) Method and apparatus for current measurement using hall sensors without iron cores
US6414475B1 (en) Current sensor
KR101753459B1 (ko) 건축물의 전력 사용량을 모니터링하기 위한 시스템 및 그 방법
JP5498136B2 (ja) 電流センサ
JP6880069B2 (ja) バスバー電流センサアセンブリ
JP6373019B2 (ja) 模擬電力供給装置及び正常計量確認装置
WO2021111238A1 (en) Self calibration by signal injection
US8922193B2 (en) Current meter
US20140210460A1 (en) Contactless electric meter reading devices
JP6566188B2 (ja) 電流センサ
JP2019152558A (ja) 電流センサ及び電力量計
JP4993728B2 (ja) 有効漏れ電流測定器
US10048298B2 (en) Thin-film sensor type electrical power measurement device
George et al. An improved anti-differential configuration based hall-effect current sensor
US20170269127A1 (en) Electrical measurement apparatus having a detector providing an identification signal and corresponding method
JP2014085248A (ja) 電流センサおよび電流検出方法
CN110261731A (zh) 一种基于电流磁场的多输电线路参数测量方法
TWI418828B (zh) Transformer test system
TWI546542B (zh) 量測耗電量的裝置、非接觸式量測供電狀況的裝置及方法
Bottauscio et al. Probe influence on the measurement accuracy of nonuniform LF magnetic fields
JP6568573B2 (ja) 配電線検査システム
JP5486235B2 (ja) 電力計測ユニット
JP2011169703A (ja) 電力計
JP6956371B2 (ja) 判定システム、判定方法、及びプログラム
JP6541069B2 (ja) 分電盤管理システム、及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120926

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120926

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140304

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140307

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5498136

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350