JP5497991B2 - 顔料微粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、微小な顔料粒子の製造方法に関する。
従来、着色材としての顔料は、鮮明な色調と高い着色力、耐候性を有し、多くの分野で広く使用されてきている。これらの顔料の中でも実用上重要なものは、一般に、微細な粒子のものが多く、該顔料の凝集を防ぎ微細化することによって鮮明な色調と高い着色力とが得られる。
このような微細な有機顔料は、例えば塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルタ等を用途としてあげることができ、非常に重要な化合物となっている。中でも高性能が要求され、実用上特に重要なものとしては、インクジェット用顔料及びカラーフィルタ用顔料が挙げられる。
インクジェット用インクの色材については、従来、染料が用いられてきたが、耐水性や耐光性の点で問題があり、高い耐水性や耐光性を有する顔料が用いられるようになってきている。顔料インクにより得られた画像は、染料系のインクによる画像に比べて耐光性、耐水性に優れるという利点を有する。しかしながら、紙表面の空隙にしみこむことが可能なナノメートルサイズで均一に微細化(すなわち単分散化)することは難しく、紙への密着性に劣るという問題がある。
またデジタルカメラの高画素化に伴い、CCDセンサーなどの光学素子や表示素子に用いるカラーフィルタの薄層化が望まれている。カラーフィルタには有機顔料が用いられているが、フィルタの厚さは有機顔料の粒子径に大きく依存するため、ナノメートルサイズレベルでしかも単分散で安定な微粒子の製造が望まれている。
しかし、例えばソルトミリングのような物理的な方法(ブレイクダウン法)で顔料をより微細化していくと、該顔料の分散液は高粘度を示すことが多い。このため、この顔料分散液を工業的規模で調製した場合は、該顔料分散液の分散機からの取り出しが困難となったり、パイプラインによる輸送ができなくなったり、更には貯蔵中にゲル化して使用不能となる等の問題があった。
そこで、従来においては、流動性、分散性に優れた顔料分散液あるいは着色感光性組成物を得るため、有機顔料の表面処理を行ったり(例えば、特許文献1及び2参照)、種々の分散剤を使用したりすることが知られている(例えば、特許文献3及び4参照)。しかしながらこれら方法で調製された有機顔料については、分散性・流動性に問題が有り、満足のいくものを供給できていないのが現状である。
また、良溶媒に溶解した試料を攪拌条件や温度を制御した貧溶媒に注入することにより、ナノ粒子を得る再沈法を用いる方法がある(例えば特許文献5参照)。この方法(ビルドアップ法)で作られた粒子は単分散性(本発明において、単分散性とは粒径が揃っている度合いをいう。)が良く、近年注目されてきているが、その一方で製造工程が煩雑であり、生産性などに課題がある。
近年、特定の有機顔料を化学修飾し、有機溶剤可溶にする技術が開発された。キナクリドン、インジゴ等の顔料上の窒素原子をオキシカルボニル基で修飾した化合物が知られており(例えば特許文献6参照)、さらにこの修飾した化合物を加熱処理することで、元の顔料に再生することが知られている。
しかしながら、これら化学修飾された顔料前駆体を元の顔料に再生させるためには、大量のエネルギーが必要であった。そのため得られた顔料粒子の多くは粒子成長した粗大粒子となっていることがほとんどであり、微小なナノ粒子を効率良く製造することは困難であった。
また、顔料合成段階や分散工程中に粒子成長抑制剤を添加すると、粒子成長を抑制する効果があることは既に知られているところである(例えば、特許文献7及び8参照)。しかしながら、それによって得られた粒子でも、いまだインクジェット用顔料及びカラーフィルタ用顔料としてそのまま用いるには、粒子サイズが大きすぎるのが現状であり、さらなる微細化が求められていた。
顔料の一次粒子の形状は、化学組成や特性、結晶構造、合成法などによって決まり、球状、立方状、棒状、針状、偏平状、無定形など多種多様である(例えば非特許文献1参照)。一次粒子の形状及び粒子径は、顔料粉末としての性能に大きな影響を及ぼし、例えば粒子径が大きいほど隠ぺい力、耐候性に優れるが、着色力が低いことなどが知られている。そこで顔料粒子の形状を整える為に、塗料業界などではフラッシング工程を導入しているが、この工程は微小な顔料粒子を結晶成長させて粗大化させるものであり、粒子径を大きい方に揃えている。即ち微小側に粒度分布をそろえる一般的な方法が無いのが現状である。
特開平11−269401号公報 特開平11−302553号公報 特開平8−48890号公報 特開2000−239554号公報 特開2004−123853号公報 特開平7−150068号公報 特開2000−7677号公報 特開2001−240780号公報 伊藤 征司郎 総編集「顔料の事典」朝倉書店、2000年9月25日
本発明は、ナノメートルサイズにまで粒子を微細化した時にも、長径と短径の差を低減した球形に近い顔料微粒子を効率よく得る製造方法の提供を目的とする。
上記目的は、下記の手段によって達成された。
〔1〕下記顔料前駆体の保護基を脱離して顔料に転換し、該顔料の微粒子を生成させるに当たり、下記粒子成長抑制剤の存在下で前記顔料への転換を行い、生成微粒子の長径と短径の差を抑制することを特徴とする顔料微粒子の製造方法。
[前記粒子成長抑制剤が、
(a)顔料残基を有する化合物からなり、当該顔料残基が、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、およびフタロシアニン顔料から選ばれる少なくとも一種の顔料の残基であり、あるいは、
(b)水素結合形成能を有する部位を有し、当該水素結合形成能を有する部位が、ウレア基、ウレタン基、チオウレア基、またはアミド基である。]
[前記顔料前駆体が、下記一般式(1)で表される化合物である。]
Figure 0005497991
(式中、Bは、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、及びジケトピロロピロール顔料から選ばれる発色団の残基を表す。Cは、B中のヘテロ原子に結合する保護基を表し、シリル基、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ここで該ヘテロ原子は窒素原子、酸素原子、及びイオウ原子からなる群から選択され、かつ基Bの一部を構成する。xは1〜8の整数である。)
〔2〕前記顔料前駆体が下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする〔1〕記載の顔料微粒子の製造方法。
Figure 0005497991
(一般式(2)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a1 はシリル原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
Figure 0005497991
(一般式(3)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a2 はカルボニル炭素に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
Figure 0005497991
(一般式(4)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a3 は窒素原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
Figure 0005497991
(一般式(5)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a4 は酸素原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
Figure 0005497991
(一般式(6)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a5 はヘテロ原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
〔3〕前記粒子成長抑制剤を、対応する顔料の質量を基準にして0.05〜15質量%で適用することを特徴とする〔1〕または〔2〕記載の顔料微粒子の製造方法。
〔4〕前記顔料微粒子の数平均径が50nm以下であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
〔5〕前記顔料微粒子の長径が5〜50nmの範囲内で短径が5〜50nmの範囲内であり、かつ、長径と短径の差が0〜30nmの範囲内であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
〔6〕前記一般式(1)における顔料前駆体が、顔料分子中のカルボニル基の酸素原子が保護基Cによりエノール保護された顔料前駆体であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
〔7〕さらに顔料分散剤の存在下で前記保護基を脱離し、前記顔料前駆体を前記顔料に転換することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
〔8〕前記の顔料前駆体の保護基を脱離させる工程が、溶媒中で行われることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
〔9〕前記溶媒が、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、芳香族化合物、二硫化炭素、脂肪族化合物、ニトリル化合物、エステル類、スルホキシド化合物、アミド化合物、ハロゲン含有化合物、ニトロ化合物、及び窒素含有複素環化合物から選ばれる少なくとも1つ、またはこれらの混合物であることを特徴とする〔8〕記載の顔料微粒子の製造方法。
〔10〕前記の顔料前駆体における保護基を、化学反応法、加熱法又は光分解法から選ばれた少なくとも1つの方法によって脱離させる工程を含むことを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
〔11〕前記化学反応法において、顔料化を促す化合物として、酸、塩基、求核剤、親電子剤、酸化剤、還元剤、および配位性化合物から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする〔10〕に記載の顔料微粒子の製造方法。
〔12〕前記酸として有機酸または無機酸を用いることを特徴とする〔11〕に記載の顔料微粒子の製造方法。
本発明の顔料微粒子の製造方法によれば、ナノメートルサイズにまで粒子を微細化した時にも、長径と短径の差を低減した球形に近い顔料微粒子を効率よく製造することができる
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、粒子成長抑制剤の存在下で、顔料前駆体の保護基を脱離させることにより、微小顔料微粒子をその形状が球形に近くなるよう粒子径の長径と短径の差を低減しながら得る工程を有する。
(a)顔料前駆体
本発明で使用する顔料前駆体は、顔料が保護基により修飾された構造を有しており、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005497991
一般式中、Bは、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料及びジケトピロロピロール顔料から選ばれる発色団の残基を表す。中でも、ジケトピロロピロール顔料からなる発色団の残基が最も好ましい。Cは、B中のヘテロ原子に結合する保護基を表し、シリル基、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ここで該ヘテロ原子は窒素原子(N)、酸素原子(O)、及びイオウ原子(S)からなる群から選択され、かつ基Bの一部を構成する。xは1〜8の整数である。
保護基Cは、シリル基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、シリル基、アルキルオキシカルボニル基が特に好ましい。また。xが2〜8の場合、複数の保護基Cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本発明に用いられる顔料前駆体としては、以下に説明する下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。尚、下記一般式(2)〜(6)におけるB’は前記一般式(1)で表されている発色団基Bの一部であり、Yはヘテロ原子を示し、B’とYとで発色団残基Bを表す。ここで基B’Yは前記一般式(1)中に記載されている基Bと同義であり、好ましい範囲も同様である。また一般式(2)〜(6)におけるxは、前記一般式(1)中に記載されているxと同義であり、好ましい範囲も同様である。
まず、下記一般式(2)で表される化合物について説明する。
Figure 0005497991
一般式(2)中、Yはヘテロ原子を表し、またRa1はシリル原子に結合可能な1価の基であり、好ましい例として、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。また複数のRa1はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
一般式(2)中、Ra1で表される脂肪族基は無置換でも置換基を有していてもよく、飽和基でも不飽和基でもよく、総炭素数1〜15の脂肪族基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
一般式(2)中、Ra1で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
一般式(2)中、Ra1で表されるヘテロ環基としては、飽和環基でも不飽和環基でもよく、総炭素数3〜15のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基等が挙げられる。
一般式(2)中、Yで表されるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群の中から選ばれ、好ましくは窒素原子、酸素原子であり、より好ましくは酸素原子であり、最も好ましくはエノール酸素原子である。
ここで、本明細書中に記載されているエノール酸素原子について説明する。通常、カルボニル基はそのα位にプロトンがある場合、ケト−エノール互変異性体を生じ、ケト型とエノール型とは平衡状態を示している。このエノール型のヒドロキシル基を構成する酸素原子のことを、本発明ではエノール酸素原子と呼ぶことにする。一般に、エノール型異性体はケト型異性体よりも高エネルギー状態であり、不安定である。エノール酸素原子に保護基が結合されている場合には、当該保護基を低いエネルギーでかつ短時間で外すことができ、その結果微細なナノ粒子を形成することができる。したがって、本発明における顔料前駆体はエノール酸素原子に保護基が結合されていることが好ましい。
また、本明細書中における「脂肪族基」は、その脂肪族部位が直鎖、分岐鎖または環状であって、飽和および不飽和のいずれであってもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を含み、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。また、本明細書中における「アリール基」は、単環および縮合環のいずれでもよく、例えば芳香族基が含まれ、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。本明細書中における「ヘテロ環基」は、そのヘテロ環部位が環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環および不飽和環のいずれであってもよく、単環および縮合環のいずれでもよく、無置換であっても置換基で置換されていてもよい。
また、本明細書中における「置換基」は、置換可能な基であればよく、例えば、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基等を挙げることができる。
次に、下記一般式(3)で表される化合物について説明する。
Figure 0005497991
一般式(3)中、Yはヘテロ原子を表し、またRa2はカルボニル炭素に結合可能な1価の基であり、好ましい例として、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。
一般式(3)中、Ra2で表される脂肪族基は無置換でも置換基を有していてもよく、飽和基でも不飽和基でもよく、総炭素数1〜15の脂肪族基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
一般式(3)中、Ra2で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基等が挙げられる。
一般式(3)中、Ra2で表されるヘテロ環基としては、飽和環基でも不飽和環基でもよく、総炭素数3〜15のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基等が挙げられる。
一般式(3)中、Yで表されるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群の中から選ばれ、好ましくは窒素原子、酸素原子であり、より好ましくは酸素原子であり、最も好ましくはエノール酸素原子である。
次に、下記一般式(4)で表される化合物について説明する。
Figure 0005497991
一般式(4)中、Yはヘテロ原子を表し、またRa3は窒素原子に結合可能な1価の基であり、好ましい例として、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。また複数のRa3はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
一般式(4)中、Ra3で表される脂肪族基は無置換でも置換基を有していてもよく、飽和基でも不飽和基でもよく、総炭素数1〜15の脂肪族基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
一般式(4)中、Ra3で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基等が挙げられる。
一般式(4)中、Ra3で表されるヘテロ環基としては、飽和環基でも不飽和環基でもよく、総炭素数3〜15のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基等が挙げられる。
一般式(4)中、Yで表されるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群の中から選ばれ、好ましくは窒素原子、酸素原子であり、より好ましくは酸素原子であり、最も好ましくはエノール酸素原子である。
次に、下記一般式(5)で表される化合物について説明する。
Figure 0005497991
一般式(5)中、Yはヘテロ原子を表し、またRa4は酸素原子に結合可能な1価の基であり、好ましい例として、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。
一般式(5)中、Ra4で表される脂肪族基は無置換でも置換基を有していてもよく、飽和基でも不飽和基でもよく、総炭素数1〜15の脂肪族基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
一般式(5)中、Ra4で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基等が挙げられる。
一般式(5)中、Ra4で表されるヘテロ環基としては、飽和環基でも不飽和環基でもよく、総炭素数3〜15のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基等が挙げられる。
一般式(5)中、Yで表されるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群の中から選ばれ、好ましくは窒素原子、酸素原子であり、より好ましくは酸素原子であり、最も好ましくはエノール酸素原子である。
次に、下記一般式(6)で表される化合物について説明する。
Figure 0005497991
一般式(6)中、Yはヘテロ原子を表し、またRa5はヘテロ原子に結合可能な1価の基であり、好ましい例として、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。
一般式(6)中、Ra5で表される脂肪族基は無置換でも置換基を有していてもよく、飽和基でも不飽和基でもよく、総炭素数1〜15の脂肪族基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
一般式(6)中、Ra5で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜16のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基等が挙げられる。
一般式(6)中、Ra5で表されるヘテロ環基としては、飽和環基でも不飽和環基でもよく、総炭素数3〜15のヘテロ環基が好ましい。例えば、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基等が挙げられる。
一般式(6)中、Yで表されるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群の中から選ばれ、好ましくは窒素原子、酸素原子であり、より好ましくは酸素原子であり、最も好ましくはエノール酸素原子である。
前記一般式(1)で表される顔料前駆体は、顔料のカルボニル基の酸素原子が保護基によりエノール保護された顔料前駆体であることが好ましい。また、上記一般式(1)で表される顔料前駆体は、一種のみで用いてもよく、二種以上併用しても良い。
以下に、本発明に用いられる、不溶性顔料に転換されうる顔料前駆体について、その具体例を示す。ただし、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0005497991
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Figure 0005497991
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本発明に用いられる顔料前駆体は、顔料中の少なくとも1つのヘテロ原子に保護基を結合させることで得ることができる。例えば顔料中のエノール酸素原子に保護基を結合させる場合には、ケト−エノール変異性を示す顔料において、エノール型のヒドロキシル基に保護基を導入することで得られる。保護基の導入は任意の方法で行うことができ、例えばAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,1987,26,552.等に記載の方法により行うことができる。
また、本発明に用いられる顔料前駆体は、Industrial Organic Pigments(Wiley,Third edition)等に記載の方法に準じて、直接合成することもできる。
(b)粒子成長抑制剤
次に、本発明に用いる粒子成長抑制剤について説明する。顔料前駆体の保護基を脱離させると顔料分子が不溶化して析出してくるが、得られる顔料粒子は粒子成長した粗大粒子である。しかしながら、ある種の添加剤の存在下で同様に顔料前駆体の保護基を脱離させて顔料粒子を造る場合には、粒子成長が妨げられて微小粒子が得られることがある。
本発明において粒子成長抑制剤とは、不溶化して析出する顔料粒子の粒子成長を妨げて微小粒子を得るような効果(粒子成長抑制効果)を奏するものをいう。粒子成長抑制剤としては、粒子成長抑制効果があるものであればどのようなものであってもよいが、その構造上、顔料残基を有する化合物であるか、または/および、水素結合形成能を有する部位を有しているものが、特に粒子成長を妨る効果が大きく好ましく用いられる。
また、本発明の粒子成長抑制剤によって粒子成長が停止されるのは、例えば、顔料結晶の成長方向が、水素結合生成方向と、それに略鉛直なπ平面方向とであり、そのそれぞれにおいて粒子成長抑制剤が例えば水素結合によって結合することで成長が阻害されることによるものと推測される。
顔料残基を有する化合物は、粒子成長抑制剤として、特にサイズの小さな微細顔料粒子を生成する際に好ましく使用される。粒子成長抑制剤として用いられる顔料残基を有する化合物としては、キナクリドン顔料残基またはジケトピロロピロール顔料残基を有する化合物、例えばスルホン酸基、フタルイミドメチル基、イミダゾリルメチル基、ピラゾリルメチル基、N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド基などを有するキナクリドン顔料又はジケトピロロピロール顔料残基を有する化合物が好ましい。これらの顔料残基を有する化合物からなる粒子成長抑制剤は、保護基を脱離させて顔料粒子を生成する際に顔料前駆体と共存させておくことで、粒径制御とさらには粒子形状制御に特に好ましく作用する。また、用いられる顔料残基としては、上記の他にも、アントラキノン、ジオキサジン、フタロシアニンなどの残基であってもよく、これらの顔料残基が例えばスルホン酸基、フタルイミドメチル基、イミダゾリルメチル基、ピラゾリルメチル基、N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド基などを有する化合物を好ましく用いることができる。この中でも、キナクリドン、ジケトピロロピロール、アントラキノンなどの顔料残基が特に好ましい。
以下に、本発明に用いられる、顔料残基を有する化合物からなる粒子成長抑制剤についてその具体例を示す。ただし、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0005497991
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本発明では、保護基を脱離させて顔料粒子を造る際に、水素結合形成能を有する部位を有している化合物からなる粒子成長抑制剤も、顔料前駆体と共存させておくことで、粒径制御とともに前記の粒子形状制御に有効である。
なお、以下、この粒子成長中の顔料に対して水素結合を形成する能力を有する部位(下記構造及び官能基)を、適宜、「水素結合形成能を有する部位」と総称して、説明する。
水素結合形成能を有する部位とは、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなどの電気陰性度が大きな原子(陰性原子)を含む部位を意味し、例えば該化合物が、アルコール基、チオール基、カルボン酸基、スルホン酸基、アミン基、ウレア基、ウレタン基、チオウレア基、アミド基などから選ばれる少なくとも1つの基を有しているものを例として挙げることができる。この中でも、ウレア基、ウレタン基、チオウレア基、アミド基を有して水素結合を形成し得る化合物が好ましい。また、顔料残基を有する化合物の構造中に水素結合形成能を有する部位を有していてもよく、あるいはこれを有していなくてもどちらでもよいが、顔料残基を有する化合物であってその構造中に水素結合形成能を有する部位を有しているものがより好ましい。
以下に、本発明に用いられる、水素結合形成能を有する部位を有する粒子成長抑制剤についてその具体例を示す。ただし、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0005497991
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このような粒子成長抑制剤は、ある種の条件下においては、結晶相指向剤としても働く。
粒子成長抑制剤は、顔料前駆体の保護基を脱離させて顔料粒子を造る際、保護基の脱離前に添加する必要があり、対応する顔料の質量を基準にして0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜8質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の量で添加するのがよい。また、粒子成長抑制剤は1種類で用いても良いし2種類以上併用して用いても良い。2種類以上併用する場合は、どのような組み合わせであっても良いが、顔料残基を有する化合物からなる粒子成長抑制剤と水素結合形成能を有する部位を有する粒子成長抑制剤とを併用して用いることがより好ましい。
本発明によれば、粒子成長抑制剤の存在下に顔料前駆体から微粒子を生成させることにより、得られる粒子を微細化するとともに、その粒子形状を適正に調節又は制御して粒子径の長径と短径の差が低減された顔料微粒子を生成することができる。
ここで、本発明によって得られる顔料微粒子の粒子径は、粒子成長抑制剤の種類などの条件によっても変化するが、顔料微粒子(一次粒子)の粒径は、50nm以下であることが好ましく、5nm〜40nmであることがより好ましく、10nm〜30nmであることが特に好ましい。
また、本発明において粒子径の短径と長径の差が抑制されているとは、長径が5〜50nmの範囲内で短径が5〜50nmの範囲内であり、かつ、長径と短径の差が0〜30nmの範囲内である微粒子を得ることをいう。さらに、本発明で得られる微粒子は、長径が5〜50nmの範囲内で短径が5〜50nmの範囲内であり、かつ、長径と短径の差が0〜20nmの範囲内にあることがより好ましく、長径が5〜30nmの範囲内で短径が5〜30nmの範囲内であり、かつ、長径と短径の差が0〜10nmの範囲内にあることが特に好ましい。
ここで、長径、短径とは、ある一粒の顔料粒子を回転楕円体粒子として近似した時に、その一断面である楕円状に直交する2本の直線を描いて、その最長の直線を長径といい、該長径と直交する短い方の直線を短径という。但し、長径と短径が同じ値であってもよい。
有機ナノ顔料粒子の粒径に関しては、計測法により数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種の平均径(数平均、長さ平均、面積平均、質量平均、体積平均等)などがあり、本発明においては、特に断りのない限り、平均粒径とは数平均径をいう。なお本発明において形成される顔料微粒子は結晶質粒子に限定されるものではなく、非晶質粒子であってもよく、またはこれらの混合物でもよい。
また、粒子の単分散性を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、体積平均粒径(Mv)と数平均粒径(Mn)の比(Mv/Mn)を用いる。有機ナノ顔料粒子の濃縮方法に用いられる有機ナノ顔料粒子分散液に含まれる粒子(一次粒子)の単分散性、つまりMv/Mnは、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが特に好ましい。
有機ナノ顔料粒子の粒径の測定方法としては、顕微鏡法、重量法、光散乱法、光遮断法、電気抵抗法、音響法、動的光散乱法が挙げられ、顕微鏡法、動的光散乱法が特に好ましい。顕微鏡法に用いられる顕微鏡としては、例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などが挙げられる。動的光散乱法による粒子測定装置として、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150、大塚電子社製ダイナミック光散乱光度計DLS−7000シリーズ、堀場製作所社製LB−400などが挙げられる(いずれも商品名)。
本発明においては、このような粒子成長抑制剤を用いることによって、従来の製造方法で得られたいわゆる棒状などの顔料粒子に対して、その形状が球状に近似の顔料微粒子を得ることができる。このように粒子形状をより真球状に近く改良することで、その顔料微粒子から得られるインクジェットインクなどが低粘度化され流動性ないし分散安定性が向上し、それによってインクの目詰まり抑制性などの性能を向上することができる。
本発明における前記顔料前駆体の保護基を脱離させる工程は、溶媒中で行われることが好ましい。本発明に用いられる溶媒は、前記顔料前駆体や粒子成長抑制剤を溶解または分散し、かつこれらの成分と反応しないものであるならば、どのような溶媒であっても良い。また、本発明の方法では、顔料前駆体を溶媒に溶かした状態で保護基を脱離させ、形成された不溶性顔料微粒子をその溶媒中で分散状態にさせた分散物の形態で顔料微粒子を製造することができる。このとき用いられる分散溶媒は、顔料微粒子を分散させることができれば特に制約は無いが、顔料前駆体に対しては良溶媒、顔料微粒子に対しては貧溶媒と成り得るような溶媒が好ましい。
前記の顔料前駆体に対しては良溶媒、顔料微粒子に対しては貧溶媒と成り得るような溶媒としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、芳香族化合物、二硫化炭素、脂肪族化合物、ニトリル化合物、エステル類、スルホキシド化合物、アミド化合物、ハロゲン含有化合物、ニトロ化合物、窒素含有複素環化合物等から選ばれる少なくとも1つの溶媒が挙げられ、その溶媒分子中で1箇所または数箇所が不飽和結合であっても、あるいはハロゲン化されていてもよい。これらの中でも、水、アルコール類、エステル類、又はケトン類であることが好ましく、水、アルコール類、又はエステル類であることがより好ましい。また、これらの溶媒は2種以上の液体の混合物として使っても良い。
具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ピリジン、キノリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
溶媒の量については特に制約されないが、顔料前駆体の保護基が脱離して形成された顔料微粒子が得られた際、溶媒に対する顔料微粒子の濃度が0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.3質量%〜15質量%であることがより好ましい。溶媒が多すぎると、顔料微粒子を溶媒中から取り出す際に時間を必要とし、また顔料分散液として用いたい場合には濃縮する工程が必要となるなどの問題が生ずる。溶媒が少なすぎると、凝集しやすくなり粘度が高くなるなどの問題が生ずる。
上記溶媒中で顔料前駆体の保護基を脱保護させ、顔料粒子を形成させるとき、溶媒中に分散剤を添加しても良い。ここで分散剤とは、(1)析出した顔料表面に素早く吸着し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。本発明で用いる粒子成長抑制剤に対して、前記分散剤は粒子凝集抑制剤ということができる。
本発明に用いることができる顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料残基を有する化合物等を挙げることができる。但し、分散剤が顔料残基を有する化合物である場合には、本発明の粒子成長抑制剤と同一となることはない。
高分子分散剤としては、例えばその重量平均分子量(Mw)は、1000〜200000の範囲が好ましく、特に10000〜100000の範囲が好ましい。この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(キャリア:テトラヒドロフラン)により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170、2000(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」などが挙げられる(いずれも商品名)。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766、6750」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」などが挙げられる(いずれも商品名)。
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、3000、24000GR、32000、39000、55000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、顔料分散剤として、顔料残基を有する重合体であることがより好ましい。ここで、顔料残基により構成される有機顔料の構造は、本発明に用いられる前記顔料前駆体から転換されて得られる顔料の構造と同一であっても異なっていてもよいが、強親和性とする観点から同一又は類似する構造であることが好ましい。
分散剤の含有量は、有機顔料微粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、有機顔料微粒子100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、さらに好ましくは10〜250質量部の範囲である。0.1質量部未満であると有機顔料微粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。
顔料前駆体は、化学反応法、加熱法又は光分解法などのいずれかの方法、あるいはこれら方法を組み合わせた方法で保護基を脱離させ、顔料へと変換させ得る。どの方法を用いるかは、顔料前駆体の構造によってそれぞれ異なる。
化学反応方法とは、顔料前駆体の不溶性顔料への転換を開始もしくは促進させる化合物を何らかの方法で顔料前駆体と共存させることをいう。この際、顔料前駆体は、溶液中に溶解していても、固体のまま(例えば、ガラス基板上にスピンコートされた状態等で)存在していても良い。
顔料化を促す化合物の添加方法として、顔料前駆体に直接添加しても、その化合物を溶解させうる溶媒に希釈して添加しても良い。また、一度に全量添加しても、適当な時間に分割して添加しても良い。またその添加量について、特に制約は無いが、前記一般式(1)で表される顔料前駆体についてB基がx個ある場合、添加量は0.01x mol〜10x molであることが好ましく、0.1x mol〜2x molであることがより好ましい。この顔料化を促す化合物の添加方法、使用量によって、顔料の粒子サイズが変化し得る。
顔料化を促す化合物としては、酸、塩基、求核剤、親電子剤、酸化剤、還元剤、配位性化合物などが挙げられ、好ましくは酸または塩基であり、特に好ましいのは酸である。また、特に前記一般式(2)で表される顔料前駆体であってYが酸素原子を表し酸素原子とシリル原子が結合しているような顔料前駆体に対しては、酸やフッ素アニオンを有するような化合物(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオライド等)を用いて顔料化することが好ましい。
用いうる適当な酸としては、有機酸、無機酸のいずれでもよく、有機酸としては、例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、ラウリン酸、アクリル酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸等が挙げられ、無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。また、化学反応(例えば錯形成反応等)、光反応、加熱などによって酸が発生する潜在酸についても含まれる。これらは、単独で用いても2種以上組み合わせて用いても良い。
用いうる適当な塩基としては、有機塩基、無機塩基のいずれでもよく、有機塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、アミノエタノール、トリエタノール、ジメチルアニリン、ルチジン等が挙げられ、無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。また、化学反応(例えば錯形成反応等)、光反応、加熱などによって塩基が発生する潜在塩基についても含まれる。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いても良い。
加熱法とは、顔料前駆体を加熱することで不溶性顔料に転換させることをいい、顔料前駆体は、溶液中に溶解していても、固体のまま(例えば、ガラス基板上にスピンコートされた状態等で)存在していても良い。加熱温度は、特に制約は無いが、50℃〜250℃であることが好ましく、70℃〜190℃であることがより好ましい。
光分解法とは、顔料前駆体に紫外線、可視光、赤外線などを照射することによって不溶性顔料に転換させることをいう。顔料前駆体は、溶液中に溶解していても、固体のまま(例えば、ガラス基板上にスピンコートされた状態等で)存在していても良い。
以下に、顔料前駆体を不溶性顔料に転換させて顔料微粒子を得る本発明の好ましい実施態様について以下説明する。尚、これは1例であり、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
まず、顔料前駆体と粒子成長抑制剤を共存させて溶媒に溶解させる。顔料分散剤を用いるときには、顔料前駆体、粒子成長抑制剤と共に溶解させる。ここで分散剤や溶媒、粒子成長抑制剤の種類は、顔料前駆体及び得られる顔料によって適宜選択される。この顔料前駆体溶液を攪拌させながら適当な酸などを加えることで、顔料前駆体が転換されて瞬時に不溶性顔料が形成される。
撹拌する際の撹拌速度は100〜10000rpmが好ましく、150〜8000rpmがより好ましく、200〜6000rpmが特に好ましい。粒子形成時の溶媒の温度については、特に制約は無いが、−20℃〜100℃であることが好ましく、0℃〜50℃であることがより好ましい。
このような方法で作製した顔料微粒子液において、顔料微粒子は凝集を起こしていることがある。このような凝集微粒子を分散させる方法として、例えば超音波による分散方法や物理的なエネルギーを加える方法等の任意の方法を用いることができ、分散物の形態で得ることもできる。
用いられる超音波照射装置は10kHz以上の超音波を印加できる機能を有することが好ましく、例えば、超音波ホモジナイザー、超音波洗浄機などが挙げられる。超音波照射中に液温が上昇すると、ナノ粒子の熱凝集が起こるため(「最新顔料分散技術」技術情報協会、1995、p166参照)、液温を1〜100℃とすることが好ましく、5〜60℃がより好ましい。温度の制御方法は、分散液温度の制御、分散液を温度制御する温度調整層の温度制御などによって行うことができる。
物理的なエネルギーを加えて濃縮した有機ナノ粒子を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の分散機が挙げられる。
本発明で得られた顔料分散液、及びそれから得られる顔料ナノ粒子は、好適なインクジェットインクもしくはその原料微粒子、またはカラーフィルタ塗布液もしくはその原料微粒子として利用可能である。インクジェット用途での利点として、微小な顔料粒子であるため、ノズルヘッドでの目詰まりが起こりにくいことが挙げられる。カラーフィルターで使われる利点として、微小な顔料粒子であるため、散乱光が生じにくく、コントラストが上がることが期待される。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
<顔料前駆体の合成>
[合成例P−1]
1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール5.0部を溶かしたテトラヒドロン溶液100部に、ジメチルアミノピリジン0.9部を加え25℃で攪拌する。そこに、ジ-tert-ブチルジカーボネート3.7部を加え30℃で1時間攪拌を行った。さらに1時間後、ジ-tert-ブチルジカーボネート3.7部を加え30℃で4時間攪拌を行った。反応終了後、ろ過をし、溶媒を留去する。残固体を炭酸水素ナトリウムの5%水溶液で洗い、続いて1規定塩酸で洗うことで、顔料前駆体P−1、7.7部を得た。
[合成例P−2]
1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール2.9部を溶かしたテトラヒドロフラン溶液60部に、水素化ナトリウム0.7部を加え60℃で1時間攪拌した。その後、t−ブチルジメチルシリルクロリド4.6部を加え5時間加熱攪拌した後、吸引ろ過を行い、ろ液を濃縮した。析出した固体をクロロホルムに溶かしたのち、水で洗浄、ろ過を繰り返すことで、顔料前駆体P−2、4.4部を得た。
[合成例P−3]
1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール5.0部を溶かしたテトラヒドロン溶液100部に、水素化ナトリウム1.23部(60%)を加え60℃で1時間攪拌した。その後、クロロ(ジメチル)(1,1,2−トリメチルプロピル)シラン5.5部を加え5時間加熱攪拌した後、吸引ろ過を行い、ろ液を濃縮した。析出した固体をクロロホルムに溶かしたのち、水で洗浄、ろ過を繰り返すことで顔料前駆体P−3、10.1部を得た。
[合成例P−4]
1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール6.1部を溶かしたテトラヒドロン溶液200部に、ジメチルアミノピリジン1.0部を加え25℃で攪拌する。そこに、ジ-tert-アミルジカーボネート5.0部を加え30℃で1時間攪拌を行った。さらに1時間後、ジ-tert-アミルジカーボネート5.0部を加え30℃で4時間攪拌を行った。反応終了後、ろ過をし、溶媒を留去する。残固体を炭酸水素ナトリウムの5%水溶液で洗い、続いて1規定塩酸で洗うことで、顔料前駆体P−4、9.8部を得た。
[合成例P−5]
1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール2.8部を溶かしたテトラヒドロン溶液50部に、水素化ナトリウム0.7部(60%)を加え60℃で1時間攪拌した。その後、t−ブチルジフェニルシリルクロリド4.8部を加え5時間加熱攪拌した後、吸引ろ過を行い、ろ液を濃縮した。析出した固体をクロロホルムに溶かしたのち、水で洗浄、ろ過を繰り返すことで顔料前駆体P−5、4.4部を得た。
また、他の顔料前駆体、例えばP−7やP−18も前記と同様の操作によって得られる。
<顔料分散剤の合成>
D−1
下記繰返し単位M−1を与えるモノマー 10質量部
末端にメタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート 90質量部
(数平均分子量6000、東亞合成化学(株)製AA−6、商品名)
Figure 0005497991
D−2
下記繰返し単位M−2を与えるモノマー 10質量部
末端にメタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート 90質量部
(数平均分子量6000、東亞合成化学(株)製AA−6、商品名)
Figure 0005497991
他にも下記市販分散剤を使用した(D−3〜D−11は、いずれも商品名)。
D−3:ソルスパーズ24000GR(ルーブリゾール社製)
D−4:ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製)
D−5:Disperbyk−161(BYK Chemie社製)
D−6:Disperbyk−2000(BYK Chemie社製)
D−7:ソルスパーズ3000(ルーブリゾール社製)
D−8:EFKA6750(EFKA社製)
D−9:ソルスパーズ5000(ルーブリゾール社製)
D−10:ソルスパーズ39000(ルーブリゾール社製)
D−11:ソルスパーズ55000(ルーブリゾール社製)
D−12:ポリアクリル酸(aldrich社製)
D−13:ポリビニルピロリドン(和光純薬社製)
D−1、D−2で表される繰返し単位を含む重合体は、任意の方法で得ることができ、例えば特開2007−9117号公報等に記載の方法に準じて合成することもできる。
実施例1
粒子成長抑制剤H−1(0.01部)、顔料分散剤D−1(0.5部)及び先に示した顔料前駆体P−3(0.9部)を1−メトキシ−2−プロピルアセテート(以下、PGMEAと略称する)100部に添加した溶液を、藤沢製薬工業社製GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名)を用いて、25℃、500rpmで攪拌し、その溶液中にトリフルオロ酢酸0.22部を一括添加することで、1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール顔料粒子を調製した。またこの際に、完全に顔料化が完了したことを、紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV−2400PC、商品名)を用いて確認した。さらにこの溶液に、日本精密製作所社製超音波ホモジナイザーUSシリーズ(商品名)を用いて、超音波を30分照射することで、顔料粒子分散液R−1を調製した。
実施例2〜81
実施例1において、溶液に添加した材料の組成を下記表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に顔料粒子を調製することで、顔料粒子分散液R-2〜R-81を得た。
Figure 0005497991
Figure 0005497991
比較例1
実施例1の粒子成長抑制剤H−1(0.01部)、顔料分散剤D−1(0.5部)及び先に示した顔料前駆体P−3(0.9部)を1−メトキシ−2−プロピルアセテート(PGMEA)100部に添加した溶液を、顔料分散剤D−1(0.5部)及び先に示した顔料前駆体P−3(0.9部)を1−メトキシ−2−プロピルアセテート100部に添加した溶液に変更した以外は、実施例1と同様に顔料を調製することで、顔料粒子分散液W−1を調製した。
比較例2〜3
比較例1において、溶液に添加した材料の組成を下記表2に示すように変更した以外は、比較例1と同様に顔料粒子を調製することで、顔料粒子分散液W-2〜W−3を得た。
Figure 0005497991
<評価>
各分散液について以下の評価を行った。結果を表3、4に示す。
粒子径
このようにして得られた顔料粒子の粒子径は、以下のようにして求めた。まず、支持膜を張ったメッシュ上に顔料粒子分散液を滴下、乾燥したものを試料として、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM−2010、商品名)を用い、加速電圧100kVで観察を行った。続いて、測定した写真の粒子を1つずつ100個以上画像処理を行って、その長径、短径の平均を出した。なお、長径、短径とは、ある一粒の顔料粒子を回転楕円体粒子として近似して見た時に、その一断面である楕円状に直交する2本の直線を描いて、その最長の直線を長径とし、該長径と直交する短い方の直線を短径とした。
Figure 0005497991
Figure 0005497991
Figure 0005497991
表3、4の結果から明らかなように、本発明に従って粒子形成時に粒子成長抑制剤を共存させると、明らかに粒径がより微細化され、かつ、その粒子形状も粒径の短径と長径との差が著しく低減されていることが分かる。
この微細な顔料粒子をインクジェット用途で使用した場合、ノズルヘッドでの目詰まりが改善されること、またカラーフィルターで使った場合、散乱光を抑制してコントラストが上がること、などが期待される。

Claims (12)

  1. 下記顔料前駆体の保護基を脱離して顔料に転換し、該顔料の微粒子を生成させるに当たり、下記粒子成長抑制剤の存在下で前記顔料への転換を行い、生成微粒子の長径と短径の差を抑制することを特徴とする顔料微粒子の製造方法。
    [前記粒子成長抑制剤が、
    (a)顔料残基を有する化合物からなり、当該顔料残基が、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、およびフタロシアニン顔料から選ばれる少なくとも一種の顔料の残基であり、あるいは、
    (b)水素結合形成能を有する部位を有し、当該水素結合形成能を有する部位が、ウレア基、ウレタン基、チオウレア基、またはアミド基である。
    [前記顔料前駆体が、下記一般式(1)で表される化合物である。]
    Figure 0005497991
    (式中、Bは、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、及びジケトピロロピロール顔料から選ばれる発色団の残基を表す。Cは、B中のヘテロ原子に結合する保護基を表し、シリル基、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。ここで該ヘテロ原子は窒素原子、酸素原子、及びイオウ原子からなる群から選択され、かつ基Bの一部を構成する。xは1〜8の整数である。)
  2. 前記顔料前駆体が下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の顔料微粒子の製造方法。
    Figure 0005497991
    (一般式(2)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a1 はシリル原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
    Figure 0005497991
    (一般式(3)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a2 はカルボニル炭素に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
    Figure 0005497991
    (一般式(4)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a3 は窒素原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
    Figure 0005497991
    (一般式(5)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a4 は酸素原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
    Figure 0005497991
    (一般式(6)中、B’とYとで一般式(1)の発色団残基Bを表す。Yはヘテロ原子を表す。R a5 はヘテロ原子に結合可能な1価の基である。xは一般式(1)と同義である。)
  3. 前記粒子成長抑制剤を、対応する顔料の質量を基準にして0.05〜15質量%で適用することを特徴とする請求項1または2記載の顔料微粒子の製造方法。
  4. 前記顔料微粒子の数平均径が50nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
  5. 前記顔料微粒子の長径が5〜50nmの範囲内で短径が5〜50nmの範囲内であり、かつ、長径と短径の差が0〜30nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
  6. 前記一般式(1)における顔料前駆体が、顔料分子中のカルボニル基の酸素原子が保護基Cによりエノール保護された顔料前駆体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
  7. さらに顔料分散剤の存在下で前記保護基を脱離し、前記顔料前駆体を前記顔料に転換することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
  8. 前記の顔料前駆体の保護基を脱離させる工程が、溶媒中で行われることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
  9. 前記溶媒が、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、芳香族化合物、二硫化炭素、脂肪族化合物、ニトリル化合物、エステル類、スルホキシド化合物、アミド化合物、ハロゲン含有化合物、ニトロ化合物、及び窒素含有複素環化合物から選ばれる少なくとも1つ、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項8記載の顔料微粒子の製造方法。
  10. 前記の顔料前駆体における保護基を、化学反応法、加熱法又は光分解法から選ばれた少なくとも1つの方法によって脱離させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の顔料微粒子の製造方法。
  11. 前記化学反応法において、顔料化を促す化合物として、酸、塩基、求核剤、親電子剤、酸化剤、還元剤、および配位性化合物から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項10に記載の顔料微粒子の製造方法。
  12. 前記酸として有機酸または無機酸を用いることを特徴とする請求項11に記載の顔料微粒子の製造方法。
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